ルネサス子会社で過労死認定

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<新聞の報道>

毎日新聞などによると、ルネサスエレクトロニクスの子会社で勤務していた38歳の男性が、昨年1月に急性心筋梗塞で亡くなったのは、時間外労働などによる過重な負荷などが原因だったとして、米沢労働基準監督署が労災認定したそうです。

この男性は、昨年123日深夜に帰宅し、翌24日午前0時ごろ布団に入った直後にうめき声を上げ、約1時間後、搬送先の病院で死亡が確認されたということですが、男性が亡くなる直前の1週間で約25時間、4か月間では1か月平均で約80時間の時間外労働を行っていたと認定されました。なお、達成困難なノルマが課せられ日常的に精神的緊張を伴っており、著しい疲労の蓄積を伴う過剰な業務に就いていたという認定もされています。

 

<過労死ライン>

一般的な過労死ラインとして「1か月の法定外の残業時間が100時間を超えた場合、または、直近26か月の平均残業時間が80時間を超えた場合」という基準が用いられています。

米沢労働基準監督署による労災認定も、基本的にはこの基準によるものと考えられます。

 

<裁判になったら>

民事裁判などでは、裁判所が「事実が不明なので判断できません」と言って、判決を出さないということはできません。

この場合、裁判所が判断をするのに必要な事実について、対立する当事者に証明責任が振り分けられます。

死亡の原因が過重労働による過労だったのか、厳密に考えれば、その真実が明らかになることはありません。

そこで、労働者の勤務が過労死ラインを超えていれば、過労死だったことが推定され、「過労死ではなかった」ことを会社側が証明できなければ、裁判所が過労死であったと認定します。

反対に、労働者の勤務が過労死ラインを下回っていれば、過労死ではなかったことが推定され、「過労死だった」ことを遺族側が証明できなければ、裁判所が過労死ではなかったと認定します。

 

<判断基準の柔軟性>

過労死ラインという基準は絶対的なものではなく、休日の少なさなどを理由に、このラインを下回っているケースについて過労死を認定した裁判もあります。

今回の事件では、裁判所ではなく労働基準監督署の判断なのですが、「4か月間では1か月平均で約80時間の時間外労働」があったという、過労死ラインぎりぎりの認定がされたため、「達成困難なノルマが課せられ日常的に精神的緊張を伴っており、著しい疲労の蓄積を伴う過剰な業務に就いていた」という事実と併せて、過労死を認定したものと考えられます。

企業としては、過労死ラインに達しない働かせ方を基本に、その他の面からも過重労働と言われない配慮が必要になっています。

 

2018.04.05.解決社労士