働き方改革の具体的な取り組み

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<取り組みベスト5

平成291220日に厚生労働省から発表された「労働経済動向調査(平成2911月)」の結果の中に、特別項目として「働き方改革の取組」に関する調査があります。

これによると、実際に行われた取り組みとして多いのは、次のような項目となっています。

第1位 長時間労働削減のための労働時間管理の強化60%)

第2位 休暇取得の促進54%)

第3位 育児・介護中の職員が働きやすいような環境整備46%)

第4位 ノー残業デーの実施41%)

第5位 経営トップのメッセージの発信29%)

 

<笛吹けども踊らず>

「笛吹けども踊らず」とは、躍らせようとして笛を吹いても、誰も踊り出さないということの例えから、人に何かをさせようとしてあれこれと準備を整えても、相手がそれに応じないことをいいます。

新約聖書のマタイ伝十一章に由来するとされています。

企業の中でも、この言葉が良く使われています。経営者や上層部が方針を打ち出しても、中間管理職や一般社員がこれに応えて積極的に動き成果を出そうとしないという意味に使われています。

しかし、この使われ方は本来の意味とは違います。

「笛吹けども踊らず」とは、本来は、きちんと準備を整えてあげたにもかかわらず、相手が動いてくれないことをいいます。

ところが、企業の中では、経営者や上層部が抽象的な指示を出しただけで、成果を出すために必要な準備を整えない場合にも使われてしまいます。

 

<第1位 長時間労働削減のための労働時間管理の強化>

労働時間の適正な把握は経営者の責任です。

そして、労働時間を管理するのは管理監督者や管理職です。

経営者が管理職に対して「労働時間の管理を強化しなさい」と言っただけでは実現できません。

これを実現するには、労働時間管理のための適切なツールの提供、労働時間を管理する社員と管理される社員それぞれに対する教育・研修、就業規則など社内ルールの改定などが必要です。

本気で取り組むには、社会保険労務士(社労士)に相談したり、一部を任せたりする必要があるでしょう。これらのことは、それほど専門性の高いことなのです。

 

<第2位 休暇取得の促進>

大酒飲みに向かって「健康のためお酒を控えましょう」と言っても、これに応じて飲酒量を減らす人はいるのでしょうか?

たくさんお酒を飲むのは、ストレス解消などの理由があるわけで、ストレスを減らしてあげなければ飲酒量は減りません。

これと同じように「年次有給休暇を取得しなさい!」と言っても、これに応じて休暇を取る人は増えないでしょう。

ましてや、休暇の取得を割り当てたり強制したりすれば、持ち帰りの仕事が発生し、営業上の秘密が社外に流出する恐れがあります。

休暇を取るためには、仕事を溜めないようにする仕組みが必要であり、休暇中に仕事を代行できる人材が必要であり、休暇を取りやすい雰囲気や休暇を取っても人事考課での評価が下がらない運用が必要です。

 

<第3位 育児・介護中の職員が働きやすいような環境整備>

政府が少子高齢化対策の強化を継続していますから、法改正が急速に進んでいます。

少なくとも、育児・介護関連の法令を遵守できるようにすることが先決です。

これに取り組まないのは、政府の政策に逆らうことにもなり、いつの間にか会社がブラック化していくことにもなります。

 

<第4位 ノー残業デーの実施>

残業を命じるのは使用者です。つまり、管理監督者や管理職です。

管理職が部下に対して「残業を削減しなさい」というのは責任放棄です。

部下の残業を減らすことができるのは、上司である管理職だからです。

これを実現するには、社員ひとり一人の具体的業務内容の把握、個人ごとの残業実体と発生理由の分析、残業削減目標の適正な設定、残業や時間管理についての教育・研修、適切なツールの準備、効果測定とフィードバック、そして就業規則など社内ルールの改定が必要です。

これらも専門性の高いことですから、社会保険労務士(社労士)の協力が不可欠だと思います。

 

<第5位 経営トップのメッセージの発信>

これはトップの態度を示しているわけですから、かなり効果が期待できます。

パワハラやセクハラの撲滅や労働災害の防止などについても、経営トップのメッセージの発信は効果が大きいものです。

ただ、その後の具体的な施策が出て来なければ、ただ言っただけになってしまい、これが繰り返されれば狼少年になってしまうリスクがあります。

経営トップがメッセージを発信したら、間髪入れずに具体的な施策を展開していくことが成功の秘訣です。

 

2017.12.29.解決社労士