電通が社員の自己申告で残業代23億円を支給

LINEで送る

<YOMIURI ONLINE 20171128日の報道>

YOMIURI ONLINE によると、違法残業事件で有罪判決が確定した大手広告会社・電通(東京)への取材で、事実上の未払い残業代として計約23億円を社員に支給することになったそうです。

社員の自己申告に基づいて勤務時間を改めて精査した結果で、20174月から今年3月の間の未払い残業代を一時金として支払うそうです。

自己啓発や情報収集名目で、職場に残る社員が多数いたということです。

 

<勤務時間を改めて精査>

電通が、勤務時間を改めて精査したということは、労働時間の適正な把握ができていなかったことを認めているのでしょう。

2017年120日に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」が策定され公開されました。

各企業は、このガイドラインに沿って労働時間を把握することになります。

 

<20174月から今年3月の間>

電通は、20174月から今年3月の間の未払い残業代を支払うそうですが、何故1年分にしたのかはわかりません。

会社側が独自に調査を進め、自主的に事実上の未払い残業代を支払うので、1年間という期間については、会社としての判断によるのでしょう。

これがもし社員からの請求であれば、過去2年分の請求になると思われます。

なぜなら、賃金の請求権の消滅時効期間は2年間だからです。〔労働基準法115条〕

この2年間というのは、民法が一般の賃金について消滅時効期間を1年間と定めているのに対して、労働者保護のため期間を延長しているものです。〔民法1741号〕

 

<民法改正による影響>

2017年526日、「民法の一部を改正する法律」が参議院で可決・成立し、同年62日に公布されました。

施行日は、原則として公布日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日とされています。

改正民法は、債権者が権利を行使できることを知った時から5年間、または権利を行使できる時から10年間で時効消滅するという規定になっています。

労働基準法が今のまま、2年間の消滅時効期間を規定していたのでは、労働者保護の趣旨に反しますから、労働基準法115条が削除されて改正民法が適用されるのではないでしょうか。

そうなると、会社は過去5年分から10年分の未払い残業代を請求されるようになるわけです。

あくまでも個人的な見解です。

 

<自己啓発や情報収集名目>

自己啓発や情報収集名目で職場に残っている場合、これを残業時間に含めるべきかというと、どういう名目で残っているかは基準になりません。

労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、使用者の明示または黙示の指示により、労働者が業務に従事する時間です。

また、参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の明示または黙示の指示により、業務に必要な学習等を行っていた時間は労働時間に該当します。

社内に残って行う自己啓発や情報収集は、業務に必要があって行うのではないでしょうか。業務に無関係な自己啓発や情報収集なら、会社の設備や物品を使って行うことを上司が黙認しないでしょう。

結局、自己啓発や情報収集名目であっても、会社側がこれを許している場合には、労働時間に該当する場合が多いことになります。

 

2017.11.28.解決社労士