副業・兼業について就業規則の変更が求められます

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<モデル就業規則>

就業規則の作成・変更の参考とするため、就業規則の規定例や解説をまとめた「モデル就業規則」が厚生労働省ホームページに掲載されています。

あくまでも規定例ですから、実際の就業規則は、それぞれの職場の実情に合わせて調製します。

現在の最新版は平成28330日版ですから、これよりも古い「モデル就業規則」を参考に作成・変更した就業規則は、最近の法改正に対応できていないかも知れません。

 

<現在の副業・兼業に関する規定>

現在の「モデル就業規則」には、次のような規定があります。

 

(遵守事項)

第11条 労働者は、以下の事項を守らなければならない。

⑥ 許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。

 

(懲戒の事由)

第62条 労働者が次のいずれかに該当するときは、情状に応じ、けん責、減給又は出勤停止とする。

⑦ 第11条、第13条、第14条に違反したとき。

 

つまり、会社の許可を得ないで副業・兼業を行った場合には、始末書をとったり、減給処分や出勤停止処分を行ったりするという内容です。

 

<少子高齢化対策>

政府は少子高齢化対策を急速に進めています。

 

このままだと日本の人口は、2060年には8,674万人、2110年には4,286万人に減少すると試算されています。しかも、高齢者の比率が極端に高いのです。

国の借金が解消するためには人口が増えなければならないのに、このように減少していったのでは、日本が経済的に破たんして外国に身売りしなければならないという議論もあるほどです。

 

そこで、若者の所得と私生活の時間を増やし、結婚・出産・子育てに向かえるようにするためにも、働き方を柔軟にすることが推進されています。

そして、働き方を柔軟にするためには、企業が積極的に副業・兼業を認めるべきだとされるようになっています。

 

<副業・兼業に関する規定の改定案>

今年度中に厚生労働省から公表される予定の新しい「モデル就業規則」案では、副業・兼業の規定が次のように改められています。

 

(副業・兼業)

第65条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。

2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。

3 第1項の業務が第11条第1号から第5号に該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。

 

(遵守事項)

第11条 労働者は、以下の事項を守らなければならない。

① 許可なく職務以外の目的で会社の施設、物品等を使用しないこと。

② 職務に関連して自己の利益を図り、又は他より不当に金品を借用し、若しくは贈与を受ける等不正な行為を行わないこと。

③ 勤務中は職務に専念し、正当な理由なく勤務場所を離れないこと。

④ 会社の名誉や信用を損なう行為をしないこと。

⑤ 在職中及び退職後においても、業務上知り得た会社、取引先等の機密を漏洩しないこと。

 

つまり勤務時間外なら、他の会社で働くことも会社の許可なく行えるということです。ただし、事前の届出を求めることはできます。

「許可」ならば会社がノーと言えば許されないわけですが、「届出」ならば会社はノーと言えません。

そして、会社に実害を与えるような行為が見られたときは、それを禁止・制限できるという規定になっています。

 

<盛んな法改正と対応>

少子高齢化対策や働き方改革などにより法改正が盛んになっていますから、各企業は就業規則の改定や運用の変更が求められます。

今までに例が無いほど急速で大量の変更です。

しかし、これを怠っていると、いつの間にかブラック企業扱いされるようになるかも知れません。

来年は無期転換ルールや派遣労働者の期間制限への対応が必要ですし、それ以降も、時間外労働の上限規制、同一労働同一賃金、中小企業に対する月間60時間超の時間外割増賃金(5割以上)の適用猶予廃止、年次有給休暇の取得促進、フレックスタイム制の見直し、企画業務型裁量労働制の適用拡大、高度プロフェッショナル制度、産業医・産業保健機能の強化、勤務間インターバル制度、治療と職業の両立など多くの法改正が予定されています。

これに対応することは、社内のメンバーだけでは困難でしょう。

専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.11.29.解決社労士