過労死等防止対策白書について

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<過労死等防止対策白書とは>

平成29年10月6日に、政府が過労死等防止対策推進法に基づき、「過労死等防止対策白書」(正式には「平成29年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」)を閣議決定しました。

その具体的な内容は、厚生労働省ホームページからダウンロードできます。

政府刊行物センターなどで販売されるのは、10月下旬からの予定となっています。

 

過労死等防止対策推進法(平成26年法律第100号)

(年次報告)

第6条 政府は、毎年、国会に、我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況に関する報告書を提出しなければならない。

 

この条文によると、行政府である内閣が、国民の代表者で構成される国会に対して、我が国における過労死等の状況と政府が講じた対策を報告するものであることがわかります。

 

<過労死等防止対策>

厚生労働省では、「過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会」の実現に向け、引き続き過労死等防止対策に取り組んでいくとしています。

ここで「過労死等」というのは、業務における過重な負荷による脳血管疾患もしくは心臓疾患を原因とする死亡、もしくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡またはこれらの脳血管疾患、心臓疾患、精神障害と定義されています。

マスコミなどで報道されている場合には、「過労死」という言葉が使われていても、必ずしも定義が明確ではないので注意が必要です。

 

<政府の設定した目標>

政府は平成27年7月24日に、過労死等の防止のための対策を効果的に推進するため、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」を閣議決定しました。

その中で、具体的な目標が次のように設定されています。

 

週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下にする(平成32年まで)

一般の事業では、法定の週労働時間が40時間ですから、1週間の法定外残業時間を20時間未満にしようということです。

 

・年次有給休暇取得率を70%以上にする(平成32年まで)

労働基準法に定められている年次有給休暇について、付与された日数の70%以上を取得させるということです。

 

・メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上にする(平成29年まで)

大企業では対策が進んでいますが、80%以上というのは頭数が基準ではなく事業場数が基準ですから、中小企業にも対策が求められていることになります。

 

これらの目標が、行政府である内閣から、国民の代表者で構成される国会に対して示されたということは、もし目標が達成できなければ、政府は国民に対して政治責任を負うということです。

 

政府が労働関係の政策を推進する場合、一般には次の手順で行っていると思います。

1. 国民に周知するための広報を強化する。

2. 国会に企業の努力義務を定める法案を提出して成立させる。

3. 罰則付きの法的義務を定める改正法案を提出して成立させる。

4. 指導と取締りを強化し、罰則の適用を厳格にしていく。

 

今回のように目標の期限がタイトな場合には、手順が省略されて急ピッチで進められることもあります。

各企業は法改正の動向に敏感に反応し、ある程度先回りして対応の計画・準備をすることが必要になります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

各企業が法改正に先回りして対応するというのはむずかしいと思います。

現状で、次のような問題を抱えている企業は、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

・月間80時間以上の残業が当たり前になっている社員がいる。

・労働時間の把握が不正確な社員がいる。

・社員が年次有給休暇を取得できていない。

・経営者がメンタルヘルス対策について具体的な宣言をしていない。

 

2017.10.07.解決社労士