採用難で労働者の会社に対する権利主張が変化

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<有効求人倍率の推移>

厚生労働省によると、有効求人倍率は平成21年度に0.5弱で底入れし、平成28年度から平成29年度は1.3から1.5で推移しています。

有効求人倍率というのは、ハローワークに登録されている求職者に対する求人数の割合のことをいいます。「有効」が付いているのは、求人・求職の申し込みに有効期限があって、有効期限内のもの全体で計算しているからです。

計算式で示すと次のようになります。

 

「企業が働いて欲しい人数」÷「働きたいと思って仕事を探している人数」

 

数字が大きいほど「なかなか採用できない」ということで企業側が困ります。

数字が小さいほど「なかなか就職できない」ということで労働者側が困ります。

平成21年度には、採用されることが困難であり就職難でした。

今では、採用することが困難で採用難です

 

<就職困難期の権利主張>

会社から労働者の権利を侵害されて不満を持ったとしても、多少のことであれば労働者は我慢します。なぜなら、不満を示すことによって、会社から悪く思われ労働条件を下げられたら困るからです。なにしろ、転職は困難ですから今の会社に残るしかないからです。

そして、もし解雇を宣告されたら、不当解雇であり解雇は無効であると主張します。社員としての権利を有する地位にあることの確認を求めて、斡旋(あっせん)や労働審判そして労働訴訟を利用するのです。

つまり、会社に残ることを前提に権利の主張をします。これはある意味、愛社精神の現われでもあります。

 

<採用困難期の権利主張>

会社から労働者の権利を侵害されて不満を持てば、会社にぶつけることが当たり前になってきます。なぜなら、会社から反撃されて嫌な思いをしたら辞めればいいのですから。

そして、もし解雇を宣告されたら不当解雇を主張しますが、慰謝料を含めた損害賠償を請求し、職場に戻ることにはこだわりません。あくまでも金銭解決です。

さらに、採用困難期には就職困難期とは異質の労働紛争が発生します。

まず、入社と退職が盛んになりますから、形成された人間関係が簡単に崩壊し、どこかの時点で好ましくない人間関係となって、パワハラやセクハラなどのハラスメントが発生しやすくなります。この人間関係が原因となって、一層、退職者が出やすくなります。

つぎに、転職が容易なため転職に伴うトラブルが増えます。退職者が顧客情報を持ち逃げしたり、ライバル会社に転職したりが発生します。企業機密や個人情報の管理の強化とともに、社員教育やこうした不都合を発生させない仕組みづくりが必要です。

そして、最近急増しているのが、会社を辞めたいのに辞めさせてもらえないという労働相談です。会社側から見ると、強引な引き留めが労働者の権利侵害となり労働紛争になってしまうということです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

このように、現在の採用困難期では労働者が会社を辞める前提で権利を主張し争ってきます。つい数年前の就職困難期には、労働者が会社に戻りたくて争っていたので、同じ争うのでも手加減が感じられました。しかし今は、退職者が会社と争うときには手加減がありません。

こうした労働市場環境で、トラブルが発生したらあわてて弁護士の先生に依頼するというのはどうでしょう。労働紛争がこじれたら会社が失うのは金銭ばかりではありません。

トラブルの小さな火種を発見し未然に防ぐには、信頼できる国家資格の顧問社労士を置いておくのが得策だと思います。

 

2017.09.10.解決社労士