<事前の相談>
生活保護制度の利用を希望する場合には、まず地域の福祉事務所の生活保護担当に相談します。
ここで、生活保護制度の説明を受けるとともに、生活福祉資金、各種社会保障施策等の活用について検討することになります。
その日1日を過ごすのも大変になってから相談に訪れる人もいますが、今後の見通しが立たなくなったら早めに相談するべきでしょう。
<保護申請後の調査>
生活保護の申請をすると、保護の決定のために次のような調査が行われます。
・生活状況等を把握するための実地調査(家庭訪問等)
・預貯金、保険、不動産等の資産調査 ・扶養義務者による扶養(仕送り等の援助)の可否の調査 ・年金等の社会保障給付、就労収入等の調査 ・就労の可能性の調査 |
扶養義務者による扶養の可否の調査は、対象者のプライバシーなどのこともあり、どうしても形式的なものになりがちです。
また、年金受給額などは保護開始後に詳しく調査されるものです。
<保護費の支給>
基準となる最低生活費から収入(年金や就労収入等)を差し引いた額が、保護費として毎月支給されます。
したがって、生活保護の受給中は、収入の状況を毎月申告することになります。
また、世帯の実態に応じて、福祉事務所のケースワーカーが年数回の訪問調査を行います。
就労の可能性のある方については、就労に向けた助言や指導が行われます。
しかし、生活保護世帯も高齢化が進み、就労が困難なケースが増えています。
<老齢年金の受給>
生活保護を受け始めてから、老齢年金の手続きをすれば受給できることがわかる場合があります。
この場合、一般には5年前の分までさかのぼり、まとめて受給することになります。
このときの受給額が多額の場合には、生活保護が一時ストップすることもありますし、その後の受給額が充分であれば保護廃止の決定が行われることもあります。
<年金相談は早めに>
「今はまだ大丈夫」ということで、年金をもらう手続を怠っている方も、かなりの数にのぼります。
しかし、面倒に思わず、年金事務所の窓口に行って、相談していただきたいものです。生活費に困り余裕の無い状態になってからでは、落ち着いて話を聞くこともできなくなりますので。
お客様相談室では、一般の職員の他、社会保険労務士が対応にあたっています。
いくらネットや本で調べてみても、個人の保険料納付記録が無ければ、確実なことはわかりません。
年金を受け取る権利には、時効期間もあります。もし、年金をもらえる状態で、長年放置していれば、権利は消えていってしまいます。そうならないためにも、是非一度、ご相談をしていただきたいです。
<障害年金の受給>
年金というと、まず老齢年金が思い浮かびます。
しかし、働けなくなって生活保護の申請をする方の中には、障害年金の受給対象となる方も含まれています。障害があるために働けないケースがあるからです。
ただし、この障害年金を受けるには、保険料納付要件、初診日の証明、障害の状態等いくつものハードルがあります。
生活費に困り余裕の無い状態になる前に、老齢年金と同じく年金事務所で相談することをお勧めします。
ただ、老齢年金よりも少々複雑な話となることが多いようです。不安がある場合や、年金事務所での相談に納得できない場合には、思い切って、社会保険労務士に相談してみてはいかがでしょうか。
2018.12.28.解決社労士