短時間労働者に対する今後の社会保険適用拡大

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2020/04/17|1,316文字

 

<年金制度改革の方向性>

「労働者として働く人には社会保険を適用する」というのが、今後の年金制度改革の基本的な方向性として示されています。

かつては、フルタイム労働者か、これに近い労働条件で働いている人だけが社会保険に入るものとされていました。

この基準が見直されて、より多くの労働者が社会保険の加入者(被保険者)になっていくように、法改正が重ねられていくことになります。

 

<現在の特定適用事業所の基準>

平成28(2016)年10月から、従来の基準での社会保険加入者(被保険者)が500人を超える企業は、特定適用事業所とされました。

ここで、加入者(被保険者)の数は、法人の場合、同じ法人番号の全事業所についてカウントします。

特定適用事業所では、週所定労働時間が20時間以上で、雇用期間が1年以上と見込まれる労働者は、賃金の月額が8万8千円以上であり、学生でなければ、社会保険の加入者(被保険者)となります。

また、平成29(2017)年4月から、社会保険の加入者(被保険者)が500人以下の企業であっても、労使の合意によって、特定適用事業所の扱いを受けるようにすることができるようになりました(任意特定適用事業所)。

 

<法改正による特定適用事業所の基準の引き下げ>

上記にある「500人」という基準は、法律上、当分の間の経過措置とされています。

そしてこの基準が、令和4(2022)年10月から100人、令和6(2024)年10月から50人と変更されていきます。

もっとも、この「100人」「50人」は、現在の「500人」と同様に、週所定労働時間がフルタイムの通常の労働者の4分の3以上の人数を基準とします。

また、毎月この人数が変動する場合には、給与の締日などに月ごとの人数のカウントをして、直近12か月のうち6か月で基準を上回ったら、特定適用事業所となります。

そして、一度適用事業所となったら、人数が減少して基準を下回っても、加入者(被保険者)の4分の3以上の同意を得て手続をしない限り、適用対象外となることはありません。

 

<法改正による勤務期間条件の短縮>

現在、特定適用事業所の短時間労働者が社会保険の加入者(被保険者)となるには、雇用期間が1年以上と見込まれることが必要です。

令和4年(2022)10月1日からは、この基準が見直され、雇用期間が「2か月を超える」と見込まれる労働者になります。

これは、現在のフルタイム労働者の基準に合わせての短縮となります。

 

<実務への影響>

特定適用事業所となることが想定される企業、任意特定適用事業所となる予定の企業では、社会保険料の企業負担がどの程度増加するかをシミュレーションしておく必要があります。

この一方で、労働者側の社会保険の適用対象に「なりたい」「なりたくない」という意向を探っておく必要もあります。

一人ひとりの社会保険料の負担額を算出しておき、社会保険に加入(資格取得)することの、メリットとデメリットを説明しつつ、個人面談を行うことになります。

これを通じて、労働条件に見直しをかけることになります。

10月といえば、最低賃金見直しの時期にも重なりますので、合わせて検討することになるでしょう。

 

解決社労士