休職規定の表現を工夫しましょう

2023/07/13|1,343文字

 

<休職とは>

休職とは、長く働く予定であった従業員が、個人的な事情により長期間勤務できない状況となり、本来ならば退職しなければならないところ、会社が必要を認めて退職させずに雇用を継続する制度です。

そして、長期間勤務できない理由ごとに一定の休職期間が設定され、復帰できる状態になれば職務に復帰し、期限までに復帰できなければ退職となります。

これが一般的な形です。

しかし、育児休業や介護休業などを除き法定の制度ではありませんから、この制度を設けるかどうか、どのような制度にするかは基本的に会社の自由です。

 

<私的な病気やケガによる休職の例>

たとえば、次のような規定が考えられます。

 

第XX条(休職)

労働者が、次のいずれかに該当するときは、所定の期間休職とする。

(1)業務外の傷病による欠勤が1か月を超え、なお療養を継続する必要があるため勤務できないときは、2年以内

(2)前号のほか特別な事情があり、休職させることが適当と認められるときは、必要な期間

2 休職期間中に休職事由が消滅したときは、原則として元の職務に復帰させる。ただし、元の職務に復帰させることが困難又は不適当な場合には、他の職務に就かせることがある。

3 第1項第1号により休職し、休職期間が満了してもなお傷病が治癒せず就業が困難な場合は、休職期間の満了をもって退職とする。

 

第1項第1号で、「業務外の傷病」と言っているのは、業務災害の場合には解雇が制限されているからです。〔労働基準法第19条第1項〕

 

<お勧めしたい表現の変更例>

主語を明確にして、トラブルを未然に防止するには、下線部を次のように変更することが考えられます。

 

第XX条(休職)

労働者が次のいずれかに該当するときは、会社が必要に応じて、所定の期間休職を命ずることがある。

(1)  業務外の傷病による欠勤が1か月を超え、なお療養を継続する必要があるため勤務できないときは、2年以内

(2)  前号のほか特別な事情があり、会社が休職させることが適当と認めたときは、必要な期間

2 休職期間中に休職事由が消滅したときは、原則として元の職務に復帰させる。ただし、元の職務に復帰させることが困難又は不適当と会社が判断した場合には、他の職務に就かせることがある。

3 第1項第1号により休職し、休職期間が満了してもなお傷病が治癒せず就業が困難な場合は、休職期間の満了をもって退職とする。

 

このように表現を変更することによって、次のことが明確になります。

・会社は従業員に休職の権利を与えたわけではない。

・休職を判断するのは従業員ではなく会社である。

・会社は休職を命じても良いし、命じなくても良い。

・元の職務と違う職務に復帰させる必要性についても会社に判断権がある。

これによって休職は、会社にとって必要な人材を確保するための仕組みであることが明確になります。

こうしておけば、従業員から「3か月の世界一周旅行に行ってくる。これは第1項第2号の特別な事情にあたるから必要な期間休職させなさい」などと言われることも無いと思います。

 

就業規則は、言葉が足らなくても余計な言葉が付いていても、それがトラブルの元となります。

ぜひ一度、信頼できる社労士(社会保険労務士)のチェックを受けるよう強くお勧めします。

 

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