2023/07/08|1,038文字
<就業規則の有効性>
就業規則は所轄の労働基準監督署長に届出をしても、労働者に周知しなければ効力がありません。
この「周知」というのは、すべての労働者が見ようと思えば見られるようにしておくことをいいます。
つまり、本当に中身を読んだか、理解したかまでは問われません。
もっとも、日本語がよくわからない外国人には、その母国語で書かれた就業規則を周知したり、内容を解説した文書を公開したり、別の工夫が必要となります。
さらに、労働紛争の発生を想定すると、できれば労働条件通知書の会社控などに就業規則を確認した旨、一筆取っておきたいところです。
少なくとも、新人の入社時には、他の項目と合わせて、就業規則のある場所をメールで通知しておくなど、証拠の保管を意識すべきです。
<就業規則が使われるケース>
実際に就業規則の規定が活用されるのは、「就業規則にこう書いてあるのに守らなかった」「就業規則によればこういう結論になる」といったケースです。
これらの場合には、「読めば誰でも具体的な内容を理解できる」というのが前提になっています。
ところが実際には、表現が古くさくて理解できなかったり、そもそも読めなかったりということがあります。
就業規則を作った人にはわかる内容でも、会社に高校生のアルバイトがいて、その人にはわからないというのでは困ります。
就業規則違反を問いただしても、「へぇーそれはそういう意味だったんですかぁ」と言われたら、反省を求めることもできません。
<実例として>
就業規則のひな形の中で、たとえば次のような用語は、書き換えたほうがわかりやすいと思います。
就業に関する → 仕事に関する
若しくは → もしくは
漏洩しない → もらさない
多胎妊娠 → 双子・三つ子などを妊娠
既往の → それまでの
顕著な → 特にすばらしい
それぞれ、法令の用語がそのまま就業規則のひな形に使われ、それが会社の就業規則に入ってしまったものと思われます。
上にあげた例もそうですが、ことばは使われる場所によっても意味が違ってきます。
前後の文脈も考えたうえで、ことばを選ぶ必要があります。
<わかりやすい就業規則にするには>
社員数名で就業規則の読み合わせをしてはいかがでしょうか。
「ここの意味がわからない」と気軽に申し出られるメンバーであることが必要です。
そして、よりわかりやすい就業規則の修正案を作成していくのです。
もし、こうしたことが社内でできないのであれば、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。