2019/12/01|1,228文字
<職場で求められる協調性>
職場では、上司、同僚、部下、他部門との関係で、次のような協調性が求められます。
上司との連携は円滑か、報・連・相は適切か、上司の指示に忠実か、上司のミスをカバーしたか、上司の話に傾聴しているか、上司を批判していないか、上司に感謝しているか、などが問われます。
同僚との連携は円滑か、同僚のことも考えて業務を推進しているか、同僚のミスをカバーしたか、などが問われます。
部下との連携は円滑か、部下の誰をどこまで育てたか、部下をほめているか、部下からの相談に対し親身に取り組んでいるか、部下から感謝されているか、などが問われます。
他部門の業務に干渉していないか、自部門・他部門の改善提案は正しいルートで行っているか、などが問われます。
<けん責処分>
本人から会社へ始末書を提出させ、反省させる処分です。
懲戒処分の中では軽いほうでしょう。
始末書には、不都合な事実の内容、そうした事実を生じたことに対する反省、再発防止策の提示、再発防止に向け努力することの約束を書きます。
お詫びだけを長々と書くのでは、始末書の体を成しません。
<けん責処分の正当性>
譴責処分を受けたなら、始末書で約束した努力を続けつつ、気を取り直して業務に打ち込み、社内の信頼を回復するのが筋です。
しかし、どうにも納得がいかないという場合には、次の懲戒処分の有効要件を確認してみましょう。
もちろん、就業規則や労働条件通知書などに具体的な規定があることは大前提です。
・労働者の行為と懲戒処分とのバランスが取れていること。
・事件が起きてから懲戒処分の規定ができたのではないこと。
・過去に懲戒処分の対象とした行為を、再度懲戒処分の対象にしていないこと。
・その労働者に説明するチャンスを与えていること。
・嫌がらせや退職に追い込むなど不当な動機目的がないこと。
・社内の過去の例と比べて、不当に重い処分ではないこと。
これらの条件は、数多くの裁判の積み重ねによって作られた「懲戒権濫用法理」という理論の具体的な内容を示したものです。
条件を満たしていなければ、懲戒処分は無効となります。〔労働契約法第15条〕
それどころか、会社は労働者から損害賠償の請求を受けることにもなります。
ただ、譴責処分を受けた本人は感情的になっていますから、会社が懲戒権を濫用したのかどうか、弁護士や特定社労士に客観的な判断を求めることが必要でしょう。
<人事考課との関係>
人事考課と懲戒処分とでは目的が違います。
懲戒処分を受けたことを理由に、人事考課で一段低い評価を受けるというのは不合理です。
ただ、懲戒規定に協調性についての規定があり、人事考課の基準にも協調性の項目が入っていると、それぞれ効力が認められます。
懲戒処分を受けるにあたって、本人には事情を説明するチャンスが与えられますから、このときに人事考課との関係も確認できるかもしれません。
ただ、あまりこだわりを示すと心証を悪くしてしまいますので注意が必要です。
解決社労士