働き方改革とコンビニの時短営業

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2019/10/23|1,254文字

 

<新聞の報道>

日本経済新聞は、令和元(2019)年10月22日朝刊の1面トップで、「セブン、時短店を容認 深夜休業に指針 来月まず8店 24時間モデルに転機」と伝えています。

株式会社セブン-イレブン・ジャパンが、営業時間を短縮した時短営業を本格的に実施すると発表したそうです。

コンビニは人手不足や最低賃金の上昇で24時間営業がしにくくなり、出店が減少し閉店が増加する傾向にあります。

今後は、効率化に向けた見直しを迫られます。

 

<昔と今>

セブン-イレブンが日本に誕生したとき、営業時間は午前7時から午後11まででした。だからこそ、セブン-イレブンという名称になったわけです。

お店は住宅地の近くにありましたし、スーパーマーケットの開店前や閉店後も便利に利用できました。

最近では、24時間営業の店舗がほとんどですし、住宅地に近い店舗が閉店し、駅に新しい店舗が誕生するという傾向が顕著でした。

 

<会社の立場>

会社としては、営業時間の短縮により売上が減少するのは困ります。

ライバル店にお客様を取られてしまうこともあるでしょう。

そのライバル店が、近くのセブン-イレブンであれば複雑な話になってしまいます。

会社としては、今後も24時間営業を原則とする方針です。

 

<店長の立場>

営業時間を短縮して売上が減少すれば、店長の収入も減少します。

しかし、店長は経営者の立場にあるとされ、労働基準法その他労働法の保護が及びません。

働き方改革も対象外ですから、家庭生活と仕事とのバランスを取るのも大変です。

何より、健康を害してしまっては元も子もありません。

こうして営業時間の短縮を強く希望する店長が現われるようになりました。

 

<店員の立場>

新人は、多くの場合、最低賃金に近い時給から働き始めます。

それでも、慢性的な人手不足により、採用のハードルは高くありません。

特に、午後10時から翌日午前5時までは、労働基準法の定める25%の深夜割増がありますから、とりあえず収入を得るには手軽なイメージがあります。

しかし、人手不足の深刻化によって、日中の仕事でも賃金の高い求人が出るようになりました。

やがて、思ったほど楽ではないと感じた店員は、別の職種に転職していきました。

 

<お客様の立場>

働き方改革によって、労働時間の短縮が進んでいることもあり、一般のサラリーマンがスーパーマーケットで買い物をして帰るのも自然なことです。

賃金の減少傾向による節約志向の拡大も進んでいますから、スーパーマーケットで少しでも安い商品を購入しようとするのも当たり前です。

 

<コンビニの転換期>

これまでの急成長を考えると、コンビニ各社が自らのスタンスを崩したくないのも分かります。

しかし、店長、店員、お客様は、確実に働き方改革の影響を受けています。

店長は、労働法の保護を受けられないことに不満と不安を感じています。

店員には、転職しやすい環境が整いつつあります。

お客様は、プライベートの時間が増えて、必ずしも便利さ(コンビニエンス)を追求しなくなってきています。

こうしたことから、コンビニ業界全体が転換期にあると考えられます。

 

解決社労士 柳田 恵一