ストレス発散の連鎖がハラスメントを生む

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<ストレスの連鎖>

殺人事件や傷害事件が発生すると、警察は加害と被害の内容、両者間の因果関係を解明し、その一環として加害の動機を明らかにします。

しかし、動機となった「ストレス発散」のストレスの原因までは追究しません。

ひょっとしたら、加害者もまた誰かにいじめられていて、そのストレスを発散するために事件が起きたのかもしれません。

しかし、加害者の負っていたストレスまでは配慮しません。

ストレスとその発散は連鎖します。どこかで連鎖を止めないと、最後には弱者に大きな被害が生じます。

あくまでも例え話ですが、次のようなストレスとその発散の連鎖があったとします。

金融機関→社長→部長→課長→一般社員(弱者)

(上の連鎖の)課長→妻→息子→息子の同級生(弱者)

ある会社の社長が、金融機関から大きなストレスを与えられることで、社内では、ストレスのはけ口が、弱い一般社員に及びます。これがパワハラです。

一方で、その会社の課長が、そのストレスを家庭に持ち込み、息子がそのストレスを学校に持ち込むとイジメの原因になります。

もしも、ここで部長がストレスに耐え、課長にぶつからなければ、ストレスの連鎖が止まることになります。

 

<ストレスチェックの目的>

ストレスチェックというのは、ストレスについての質問票に、労働者が選択肢の中から選ぶ形で回答を記入し、それを集計・分析することで、ストレスがどのような状態にあるのかを調べる簡単な検査です。

労働者が50 人以上の事業所では、2015 年12 月から毎年1回、この検査を労働者に対して実施することが義務付けられました。〔労働安全衛生法66条の10〕

定期健康診断と同様に、契約期間が1年未満の労働者や、所定労働時間が通常の労働者の4分の3未満の短時間労働者は法的義務の対象外です。

労働者が自分のストレスの状態を知ることで、ストレスをためすぎないように対処したり、ストレスが高い状態の場合には医師の面接を受けて助言をもらったり、会社側に仕事の軽減などの措置を実施してもらったり、職場の改善につなげたりすることで、「うつ」などのメンタルヘルス不調を未然に防止するのが目的です。

決して、ストレスに弱い労働者を発見して退職を勧奨したり、降格の根拠を見つけたりするためのものではありません。むしろ、こうしたことが無いように、充分な配慮が求められています。

結局、ストレスチェックの目的はストレスがたまりやすい職場を発見し、これを改善することにあると思います。

 

<ストレスがたまりにくい職場>

すべては、コミュニケーションによる解決が可能だと思います。

上の「→」で結ばれた間に、ストレスの原因となったことについて、具体的な情報の伝達があればストレスの連鎖は止まります。

なぜ怒っているのか、不安なのか、その原因についての説明が大事です。

会社の中で、ストレス発散と思われるパワハラなどを本気で防ぎたいのであれば、コミュニケーションの仕組みを見直すことが有効です。

「みんなで飲みに行って話し合えばわかりあえる」という昭和時代ではなくなりました。あくまでも勤務時間帯に使える仕組みを構築しましょう。

 

2019.04.22. 解決社労士 柳田 恵一