職場環境と労働安全の法的な規制

<労働安全衛生法>

職場での労働者の安全と健康を確保し、快適な職場環境を形成することを目的として、労働基準法の特別法である労働安全衛生法が定められています。

この法律は事業者に、仕事が原因で労働者が事故にあったり、病気になったりしないようにする義務を定めています。

一方、労働者に対しては、労働災害を防止するために必要な事項を守り、事業者が行う措置に協力するように定めています。

ただし、労働者がこれを行うのに必要な教育は、事業者が行わなければなりません。

 

<定期健康診断などの実施義務>

事業者は、労働者を雇い入れた際とその後年1回、医師による健康診断を行わなければなりません。

労働者はその健康診断を受ける必要があります。〔労働安全衛生法第66条〕

また最近では、仕事のストレスによるうつ病など、労働者のメンタルヘルスも大きな問題となっており、快適な職場環境形成のためには、事業者が、作業方法の改善や疲労回復のための措置だけでなく、メンタルヘルス対策を行うことも重要となっています。

 

<労働者災害補償保険法>

労働者が仕事や通勤によって病気やけがをした場合には、労災保険給付の対象になります。

労災保険給付を受けるためには、病院や労働基準監督署に、各種の請求書を提出する必要があります。

会社が被災労働者から災害の原因など必要な証明を求められたときは、速やかに証明をしなければなりません。

なお、仕事が原因の病気には、長期間にわたる長時間の業務による脳・心臓疾患や人の生命にかかわる事故への遭遇などを原因とする精神障害なども含まれますので、ご留意ください。

社会保険や雇用保険は、従業員一人ひとりについて、個人ごとに手続をしないと保険に加入しません。

しかし、労災保険は雇われると同時に保険に加入しますので、個人ごとの手続は要りませんし、保険料は雇い主側の全額負担となります。

 

<パワーハラスメント>

パワ―ハラスメント(パワハラ)とは、「同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係など職場内の優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為」を指します。

パワハラは内容によっては刑法などに触れる犯罪となります(名誉毀損罪、侮辱罪、暴行罪、傷害罪、強要罪など)。

また、会社には快適な職場環境を整える義務があることから、会社も責任を問われる場合があります。〔民法第715条〕

さらに、社長以下取締役が責任を追及される裁判も増えています。〔会社法第429条1項〕

 

PAGE TOP