年次有給休暇の買上げ

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<年次有給休暇の趣旨>

年次有給休暇とは、一定期間継続勤務した従業員に疲労回復を目的として会社が付与する有給の休暇です。

何か用事があるとか、具合が悪いからとか、必要があって休むというのではなく、休息のために休むわけです。

そして、休んでも欠勤控除によって給与が減る心配が無いので安心して休めるのです。

このことは、労働基準法などに規定があるわけではなく、厚生労働省などがこのような説明をしています。

疲労回復の必要性は、正社員に限らず、パート、アルバイト、嘱託社員、契約社員などあらゆる雇用形態の従業員に共通です。

年次有給休暇付与の条件さえ満たせば、労働基準法の規定により、誰でも年次有給休暇を取得できます。

会社がこれを拒めば罰せられます。1回拒むごとに30万円以下の罰金、悪質なら6箇月以下の懲役です。〔労働基準法119条〕  

 

<買い上げが禁止される理由>

時間給で働くアルバイトなどは、有給休暇をとると給料が増えるという感覚を持つでしょう。

しかし、有給休暇の趣旨は「給料が減らないので安心して休める」というところにあります。

「買い取るから休むのは我慢してください」という年次有給休暇買い上げは、休息を与えるという本来の趣旨に反してしまうので、原則として禁止されるのです。

 

  <例外的に許される買上げ>

年次有給休暇のうちでも、会社が法定の日数を上回って福利厚生的に与えている場合の法定を上回る日数、2年の消滅時効にかかってしまい消えた日数、退職によって使い切れなかった日数については買上げが許されます。

これらの場合、会社は法定の日数分の有給休暇を与えていますし、権利の消滅を救済する意味での買上げは制度の趣旨に反しないからです。

 

  <退職時の買上げ>

特に退職時の買上げは、安心して充分な引継ぎをすることに役立つでしょう。

有給休暇の消化期間だけ、退職日を後ろにずらすことも考えられますが、転職先の入社日よりも後に退職するのは不自然ですし、社会保険料が余計にかかったりしますのでお勧めできません。

退職するにあたって、「退職日までのすべての出勤日に年次有給休暇を取得します」という申し出があった場合、会社はこれを拒めません。

これでは、引継ぎなどできなくなってしまいます。

こんなとき、会社ができる工夫としては、本来の休日に休日出勤を命じて引き継ぎ書の作成や申し送りをさせることでしょうか。

普段から少しずつ年次有給休暇を取得させておけば、突然の退職にあたって会社側が困ることは避けられるのです。

 

 2018.07.05.解決社労士