会社による年次有給休暇の希望日変更

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<従業員の時季指定権>

会社は、従業員が請求する「時季」に、年次有給休暇を取得させなければなりません。請求する「時季」というのは、請求する日という意味です。海外では、長期休暇をとる場合が多いので、日本の法律でも「時季」という言葉が使われます。

とはいうものの、「来月の最初の日曜日は、全員でバーベキュー大会だ!」ということで、店長を除く全員が同じ日に有給休暇を使おうとしたのでは、お店の営業ができません。これでは、権利の濫用になってしまいます。

 

<使用者の時季変更権>

そこで、請求された日に年次有給休暇を取得させることが事業の正常な運営を妨げる場合には、会社から従業員に対して「有給休暇は、別の日にしなさい。」と言えることになっています。

「時季変更権」とはいいますが、「では、明日にしなさい。」というように指定するのではなくて、従業員から別の日を指定してもらうことになります。

 しかし、「人手不足で有給休暇なんてとても」という状況であったとしても、従業員から年次有給休暇を使いたいという申し出があったとき、慢性的な人手不足を理由に拒むことはできないというのが法律の建前です。

これが許されるのであれば、会社側は有給休暇を全く使えないようなギリギリの人員で運営すれば、従業員の権利を正当に否定できることになってしまいます。

こうして会社には、年次有給休暇の取得率100%を前提とした人員確保が、義務付けられているわけです。

 

<法改正の動き>

現状では、従業員が年次有給休暇を使おうとしない限り、会社の方から積極的に使わせる義務はありませんでした。

ところが年5日については、従業員に年次有給休暇を取得させる義務が会社に課される方向で法案が準備されています。

これは、国の政策ですから逆らっても仕方がありません。

法改正の動きとは別に、「退職するにあたっては、残りの年次有給休暇をまとめて取得する権利がある」という情報が、労働者の共通認識となりつつあります。

今まで年次有給休暇の取得がむずかしかった職場でも、少しずつ年次有給休暇を消化できる体制を整えていく必要があるでしょう。

これも働き方改革の一つだと考えられます。

 

2018.06.27.解決社労士