新型コロナウイルス感染症拡大の影響を踏まえた自殺防止対策の推進

2022/10/29|1,255文字

 

<自殺総合対策大綱>

令和4(2022)年10月14日、政府は自殺対策の指針として新たな「自殺総合対策大綱~誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指して~」を閣議決定しました。

自殺総合対策大綱は、平成18(2006)年に成立した自殺対策基本法に基づき、政府が推進すべき自殺対策の指針として定めるものです。

この中で、これまでの取り組みの成果と、近年の傾向について、次のように述べられています。

平成18(2006)年と令和元(2019)年の自殺者数を比較すると、男性は38%、女性は35%減少しており、これまでの取り組みに一定の成果があったと考えられます。

一方で、依然として自殺者は年間2万人を超える水準で推移しており、コロナ禍で女性は2年連続の増加、小中高生は過去最多の水準になるなど、今後対応すべき新たな課題も顕在化してきました。

 

<新型コロナウイルス感染症拡大の影響を踏まえた対策の推進>

自殺総合対策大綱には、新型コロナウイルス感染症拡大と自殺との関係・対策について、次のように述べられています。

社会全体のつながりが希薄化している中で、新型コロナウイルス感染症拡大により人との接触機会が減り、それが長期化することで、人との関わり合いや雇用形態を始めとした様々な変化が生じている。その中で女性や子ども・若者の自殺が増加し、また、自殺につながりかねない問題が深刻化するなど、今後の影響も懸念される。しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響は現在も継続しており、その影響について確定的なことは分かっていない。そこで引き続き、新型コロナウイルス感染症拡大の自殺への影響について情報収集・分析を行う必要がある。

また、今回のコロナ禍において、様々な分野でICTが活用される状況となった。今回の経験を生かし、今後、感染症の感染拡大が生じているか否かを問わず、国及び地域において必要な自殺対策を実施することができるよう、ICTの活用を推進する。

新型コロナウイルス感染症の感染拡大下では、特に、自殺者数の増加が続いている女性を含め、無業者、非正規雇用労働者、ひとり親や、フリーランスなど雇用関係によらない働き方の者に大きな影響を与えていると考えられることや、不規則な学校生活を強いられたり行事や部活動が中止や延期となったりすることなどによる児童生徒たちへの影響も踏まえて対策を講じる必要がある。

さらに、新型コロナウイルス感染症罹患後の実態把握を進める。

 

<解決社労士の視点から>

新型コロナウイルス感染症の影響について、確定的なことは分かっていません。

しかし、感染症拡大防止対策の影響により、メンタルヘルス不調者や自殺者が増加したのではないかという推測が言われています。

コロナ関連の直接・間接のストレスに、業務によるストレスが重なって、メンタルヘルス不調となる従業員が増加していることも、容易に推測できます。

会社としては、メンタルヘルスを含めた健康チェックと、過重労働などによるストレス増加の防止に努める他ありません。

 

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