育児休業の個別周知義務

2022/03/16|1,205文字

 

育児休業中の就労請求権

 

<個別周知義務>

令和4(2022)年4月1日の育児・介護休業法改正により、本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して、事業主は育児休業制度等に関する以下の事項の周知と休業の取得意向の確認を、個別に行わなければなりません。

 

1.育児休業・産後パパ育休に関する制度

2.育児休業・産後パパ育休の申し出先

3.育児休業給付に関すること

4.労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い

※産後パパ育休については令和4(2022)年10月1日から対象

 

方法としては、面談や書面の交付によるものとされますが、労働者本人が希望した場合には、FAXや電子メールでも可能です。

面談には、直接の対話だけでなくオンライン面談も含まれますが、電話での会話は含まれません。

 

<育児休業・産後パパ育休に関する制度>

令和4(2022)年10月1日からは、従来の育児休業に加えて、産後パパ育休が新設されます。

これは、従来の育児休業とは別に、子の出生後8週間以内に4週間まで取得できますし、分割して2回取得することもできます。

 

<育児休業・産後パパ育休の申し出先>

育児休業等の申し出先である部署や担当者名を周知します。

「育児休業申出書」のような文書で申し出る運用にすることが多いと思いますが、この文書の宛先として明示することにもなります。

 

<育児休業給付に関すること>

育児休業給付は雇用保険の制度です。

育児休業を取得し、受給資格を満たしていれば、原則として休業開始時の賃金の67%(180日経過後は50%)の育児休業給付を受けることができます。

ここで受給資格とは、育児休業開始日前2年間に、加入期間(被保険者期間)が通算して12か月以上ある場合をいい、原則として賃金の支払の基礎となった日数が月に11日以上ある場合に1か月と計算します。

 

<労働者が育児休業・産後パパ育休期間について負担すべき社会保険料の取り扱い>

一定の要件を満たしていれば、育児休業期間の月給・賞与にかかる社会保険料が本人負担分も事業主負担分も免除されます。

現在は、その月の末日が育児休業期間中である場合に免除されますが、令和4(2022)年10月1日から、育児休業中の社会保険料の免除要件が変わります。

改正後は、育児休業期間に月末を含まない場合でも、14日以上の休業であれば保険料が免除されるようになります。

この一方で、賞与の保険料については、育児休業の取得期間が1か月を超える場合に限り、免除されることとなります。

 

<解決社労士の視点から>

働き方改革関連の法改正の中でも、出産・育児に関するものは特に頻度が高いといえます。

今回の育児・介護休業法の改正では、企業の負担も一段高まっていますが、今後も法改正は繰り返されることが見込まれます。

法改正の度に、継ぎ足しで対応するのではなく、長期的視野に立ち、総合的な施策を推進するようお勧めします。

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