忘れていませんか不当労働行為の禁止

2022/02/01|1,206文字

 

<労働組合>

労働組合とは、労働者が主体となって、自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体およびその連合団体をいいます。

労働組合を結成する権利は、憲法で保障されています。〔日本国憲法第28条〕

労働組合の推定組織率は低迷していて、過去5年間を見ても17%前後で推移しています。

ここで推定組織率とは、雇用者数に占める労働組合員数の割合をいいます。

しかし、労働組合員数は年増加率1%未満で微増の傾向にあります。

 

<不当労働行為>

労働組合法第7条は、使用者の労働組合や労働者に対する次のような行為を「不当労働行為」として禁止しています。

1.組合員であることを理由とする解雇その他の不利益取扱

2.正当な理由のない団体交渉の拒否

3.労働組合の運営等に対する支配介入および経費援助

4.労働委員会への申立等を理由とする不利益取扱

 

<1.組合員であることを理由とする解雇その他の不利益取扱>

具体例としては、次のものが挙げられます。

労働者が、労働組合の組合員であること、労働組合に加入しようとしたこと、労働組合を結成しようとしたこと、労働組合の正当な行為をしたことを理由に、労働者を解雇その他の不利益な取扱をすること。

労働者が労働組合に加入せず、または労働組合から脱退することを雇用条件とすること(いわゆる黄犬契約)。

 

<2.正当な理由のない団体交渉の拒否>

使用者が、雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを、正当な理由なく拒むこと。

使用者が形式的に団体交渉に応じても、実質的に誠実な交渉を行わないこと(不誠実団交)も、これに含まれます。

 

<3.労働組合の運営等に対する支配介入および経費援助>

具体例としては、次のものが挙げられます。

労働者が労働組合を結成しまたは運営することを支配し、またはこれに介入すること。

労働組合の運営のための経費の支払につき経理上の援助を与えること。

 

<4.労働委員会への申立等を理由とする不利益取扱>

労働者が労働委員会に対し、不当労働行為の申立をし、もしくは中央労働委員会に対し再審査の申立をしたこと、または労働委員会がこれらの申立に関し調査もしくは審問をし、もしくは労働争議の調整をする場合に、労働者が証拠を提示し、もしくは発言したことを理由として労働者を解雇し、その他の不利益な取扱をすること。

 

<解決社労士の視点から>

かつては盛んだった労働組合活動が、近年は低調となっていました。

企業がこれに慣れてしまい、不当労働行為の禁止に触れぬよう神経を尖らせるという意識が低下しているようにも思われます。

労働組合を結成しようとした労働者に対する、陰湿な不利益取扱があったとする訴訟や報道も増えてきています。

最近は合同労組の一種であるユニオンの活動が盛んとなっており、経営者や総務人事部門の責任者は、改めて不当労働行為の内容を再確認しておく必要があるでしょう。

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