事務所衛生基準規則・労働安全衛生規則の改正(令和3年12月)

2021/12/09|1,211文字

 

行政通達の性質

 

<省令と通達の発出>

令和3(2021)年12月1日付で、「事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令」(厚生労働省令第188号)が出されました。

また、厚生労働省の施行通達「事務所衛生基準規則及び労働安全衛生規則の一部を改正する省令の施行等について」(基発1201第1号)も発出されています。

主な改正内容は、次のとおりです。

 

<トイレの設置基準>

トイレは男女別に設けることが原則ですが、同時に就業する労働者が常時10人以内である少人数の事務所では、トイレを男女別にすることの例外として、独立個室型のトイレを設ければ良いことになりました。

ただしこれは、トイレを男女別に設置する原則の適用が困難な作業場における例外規定ですから、同時に就業する労働者の数が常時10人以内である場合でも、可能な限り男女別に設置することが望ましいとされます。

また、既に男女別のトイレが設置されている場合に、トイレの一部を廃止し、または倉庫等他の用途に転用することは、趣旨を踏まえれば不適切な対応であり許容されません。

さらに、新たに作業場を設ける場合、その作業場で同時に就業する労働者の数が常時10人以内であっても、あらかじめ男女別のトイレを設置しておくことが望ましいとされます。

 

<独立個室型のトイレ>

男女別のトイレを設置したうえで、バリアフリートイレなど独立個室型のトイレを設置する場合は、男性用個室、男性用小便器および女性用個室をそれぞれ一定程度設置したものとして取り扱えるようになりました。

1個の独立個室型のトイレを男女が共用することに伴う風紀上の問題や心理的な負荷については、消臭や清潔の保持についてのマナー、サニタリーボックスの管理方法、盗撮等の犯罪行為の防止措置、異常事態発生時の措置(防犯ブザーの設置、管理者による外側からの緊急解錠等)など、トイレの使用や維持・管理に関するルール等について、衛生委員会等で調査審議、検討等を行ったうえで定めておくことが望ましいとされます。

これは、非常事態を想定した対応についても同様です。

 

<救急用具>

事業者が備えなければならない救急用具品目を定める規定は削除されました。

事業場で発生することが想定される労働災害等に応じ、応急手当に必要なものを備え付けることになります。

この場合、マスクやビニール手袋、手指洗浄薬等、負傷者などの手当の際の感染防止に必要な用具および材料も併せて備え付けておくことが望ましいとされます。

 

<照度の基準>

作業の区分が「一般的な事務作業」「付随的な事務作業」の2区分に変更されました。

ここで「一般的な事務作業」とは、改正前の「精密な作業」および「普通の作業」に該当する作業を、「付随的な事務作業」とは、改正前の「粗な作業」に該当する作業をいいます。

照度基準については、一般的な事務作業においては300ルクス以上、付随的な事務作業においては150ルクス以上です。

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