従業員の感染予防対策費用負担と課税

2021/06/08|1,214文字

 

<国税庁公表のFAQ>

令和3(2021)年5月31日、国税庁が「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」を改定しました。

このFAQは、企業が従業員の感染予防対策費用を負担した場合に、それが給与として課税対象となるか否かの基準を示しています。

企業が、新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応で費用を支出した場合には、過去に例が無いものもあり、従来の基準に無理やり当てはめて判断することは危険です。

給与計算を正しく行うため、給与として課税対象となるもの/ならないものを適正に区別しましょう。

 

<給与として課税対象とならないもの>

給与として課税対象とならないものには、次のようなものがあります。

・企業がマスク、石鹸、消毒液、消毒用ペーパー、手袋などを従業員に配付した現物

・マスク、石鹸、消毒液、消毒用ペーパー、手袋などの消耗品の購入費で、業務のために通常必要な費用を精算する方法により支給する金銭

・テレワークを行う環境を整備するための、従業員の自宅に設置する間仕切り、カーテン、椅子、机、空気清浄機などの備品の購入費であって、これらの備品が従業員に貸与される場合

・感染が疑われる従業員について、ホテル等の利用料・ホテル等までの交通費など、業務のために通常必要な費用を精算する方法または企業の旅費規程等に基づいて支給する金銭

(従業員が立て替えるのではなく、企業がホテル等に利用料等を直接支払う場合も同様)

・業務命令により従業員が受けたPCR検査費用や、テレワークに関連して業務スペースを消毒する必要がある場合の費用などについて、その費用を精算する方法により支給する金銭

(従業員が立て替えるのではなく、企業が検査機関や委託先等に費用を直接支払う場合も同様)

 

<給与として課税対象となるもの>

給与として課税対象となるものには、次のようなものがあります。

・マスク、石鹸、消毒液、消毒用ペーパー、手袋などの消耗品の購入費で、通常必要なもの以外の費用について支給するものや、従業員の家族など従業員以外の者に支給するもの

・マスク、石鹸、消毒液、消毒用ペーパー、手袋などの消耗品の購入費として、あらかじめ従業員に支給した金銭について、業務のために通常必要な費用として使用しなかった場合でも返還する必要がないもの

・テレワークを行う環境を整備するための、従業員の自宅に設置する間仕切り、カーテン、椅子、机、空気清浄機などの備品の購入費であって、これらの備品の所有権が従業員に帰属することとされるもの

・勤務とは関係なく使用する電化製品など

・業務のために通常必要な費用として従業員に支給され、使用しなかった場合でも返還する必要がないもの

・従業員が自己判断でホテル等に宿泊した場合の費用やホテル等までの交通費など

・従業員が自己判断で受けたPCR検査費用や、従業員が自己判断で支出した消毒費用など

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