モデル就業規則の改定(令和3年4月版)

2021/04/27|1,332文字

 

<モデル就業規則とは>

常時10人以上の従業員を使用する使用者は、労働基準法第89条の規定により、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出なければならないとされています。

就業規則を変更する場合も同様に、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。

これを受けて、厚生労働省は就業規則のひな形を公表しています。

これが「モデル就業規則」です。

各企業は「モデル就業規則」の規定例や解説を参考に、各職場の実情に応じた就業規則の作成・変更を行うことができます。

就業規則は、職場の実情に合っていなければ、トラブルの元となってしまうことがあります。

「モデル就業規則」は、規定例だけでなく詳細な解説が施されていますので、これを手がかりにカスタマイズすることになります。

「モデル就業規則」は、法改正などに対応するため、不定期に改定されています。

令和2(2020)年11月には、政府による副業・兼業の推進に応じて改定されました。

このときから、まだ半年も経っていませんが、令和3(2021)年4月に高年齢者雇用安定法の改正を受けて、再び改定版が公開されています。

働き方改革関連法や継続的な少子高齢化対策で、モデル就業規則が頻繁に改定されていることからも明らかなように、企業の就業規則も1年を待たずに改定が必要となっています。

法改正情報を事前に把握して、自社の対応を決定し就業規則に反映させることを怠らないようにしましょう。

 

<高年齢者就業確保措置>

令和3(2021)年4月1日から、事業主には70歳までの高年齢者就業確保措置の努力義務が課されています。〔高年齢者雇用安定法第10条の2〕

したがって、定年を70歳未満に定めている事業主、70歳未満の継続雇用制度を導入している事業主は、次のいずれかの措置を講ずるよう努める必要があります。

一、70歳までの定年引上げ

二、定年制の廃止

三、70歳までの継続雇用制度の導入

四、70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入

五、70歳まで継続的に以下の事業に従事できる制度の導入

・事業主が自ら実施する社会貢献事業

・事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業

このうち、三の継続雇用制度については、特殊関係事業主に加えて、他の事業主によるものが含まれます。

三、四、五の措置をとる場合に、基準を定めて対象者を限定する場合には、労使で十分に話し合うことが求められます。

過半数労働組合があれば、事業主と過半数労働組合との間で十分に協議したうえで、過半数労働組合の同意を得ることが望ましいことになります。

ただし、高年齢者雇用安定法や他の労働関係法令に反する不合理なものは認められません。

特に五の措置をとる場合に、基準を定めて対象者を限定する場合には、事業主の指揮監督を受けることなく業務を適切に遂行する能力や資格、経験があること等、予定される業務に応じて具体的な基準を定めることが必要とされています。

 

<解決社労士の視点から>

高年齢者の活用については、人材不足に悩む中小企業のほうが進んでいる感があります。

大企業においても、働き方改革の趣旨を踏まえつつ、積極的に高年齢者就業確保措置に取り組み社会的な責任を果たすように努めましょう。

 

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