フリーランスとの取引で配慮すべき事項

LINEで送る

2021/04/12|1,640文字

 

<ガイドラインの公表>

令和3(2021)年3月26日、内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省の連名で「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」が公表されました。

事業者とフリーランスとの取引について、独占禁止法、下請代金支払遅延等防止法、労働関係法令の適用関係と、事業者が遵守すべき事項を明らかにするものです。

 

<フリーランスの定義>

「フリーランス」は、「正社員」「非正規社員」などと同様に、法令用語ではないので定義は様々です。

ガイドラインでの定義は、「実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者」とされています。

国はフリーランスについて、多様な働き方の拡大、ギグ・エコノミーの拡大による高齢者雇用の拡大、健康寿命の延伸、社会保障の支え手・働き手の増加などに貢献することを期待しています。

ここで、ギグ・エコノミーとは、インターネットを通じて短期・単発の仕事を請負い、個人で働く就業形態をいいます。

 

<優越的地位の濫用規制>

取引条件については、基本的に取引当事者間の自主的な判断に委ねられます。

しかし、フリーランスが受注事業者として行う取引については、企業組織である事業者が発注事業者となることが多く、両者間には情報量や交渉力の面で格差があります。

そのため、取引条件がフリーランスに一方的に不利になりやすいものです。

こうした状況は、公正な競争を阻害する恐れがあることから、不公正な取引方法の一つである「優越的地位の濫用」として独占禁止法により規制されます。

発注事業者が多数のフリーランスに対して組織的に不利益を与える場合には、公正な競争を阻害する恐れがあると認められるでしょう。

また、特定のフリーランスに対してしか不利益を与えていないときであっても、その不利益の程度が強い場合や、その行為を放置すれば他に波及するおそれがある場合には、公正な競争を阻害する恐れがあると認められやすいといえます。

なお、下請法と独占禁止法のいずれも適用可能な行為については、通常、下請法が適用されます。

 

<取引条件を明確にする書面の交付>

発注事業者が役務等を委託するに当たり、発注時の取引条件を明確にする書面を交付しない場合や、フリーランスに交付する書面に発注時の取引条件を明確に記載しない場合には、発注事業者は発注後に取引条件を一方的に変更等しやすくなります。

これらの場合、変更等が行われたことを、フリーランス側で明らかにすることが困難な場合もあります。

これを未然に防止するためには、フリーランスが発注時の取引条件を書面で確認できるように発注事業者側で対応をしておくことが必要です。

なお、下請法の規制の対象となる場合には、発注事業者がフリーランスに対して、下請事業者の役務等の提供内容、下請代金の額、支払期日及び支払方法その他の事項を記載した書面を下請事業者に交付しないときは、下請法第3条で定める親事業者の書面の交付義務違反となります。

 

<独占禁止法(優越的地位の濫用)上問題となる行為類型>

優越的地位の濫用として問題となる行為は、「自己の取引上の地位が相手方に優越していることを利用して、正常な商慣習に照らして不当に」行われる、独占禁止法第2条第9項第5号イからハまでのいずれかに該当する行為です。

具体的には、次に掲げる12の行為ですが、優越的地位の濫用として問題とならないか慎重に検討したうえで実施に移す必要があります。

 

【優越的地位の濫用となりやすい行為類型】

・報酬の支払遅延

・報酬の減額

・著しく低い報酬の一方的な決定

・やり直しの要請

・一方的な発注取消し

・役務の成果物に係る権利の一方的な取扱

・役務の成果物の受領拒否

・役務の成果物の返品

・不要な商品又は役務の購入・利用強制

・不当な経済上の利益の提供要請

・合理的に必要な範囲を超えた秘密保持義務等の一方的な設定

・その他取引条件の一方的な設定・変更・実施

 

解決社労士

アクセスカウンター

月別過去の記事

年月日別過去の記事

2021年10月
« 9月    
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031