2021/11/24|902文字
整理解雇の有効要件https://youtu.be/CazrPD2pm8Q
<整理解雇とは>
整理解雇とは、会社の事業継続が困難な場合に、人員整理のため会社側の都合により労働契約を解除することです。
法律上は普通解雇の一種ですが、労働慣例により他の普通解雇と区別するため整理解雇という用語が使われています。
<法律上の制限>
「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という規定があります。〔労働契約法第16条〕
しかし、これでは内容が抽象的すぎて、具体的な場合にその解雇が有効なのか無効なのか判断に困ります。
会社が解雇を通告し、その通告を受け入れた退職者が、退職後数か月経過してから専門家に相談したところ「不当解雇であり解雇は無効だった可能性がある」と言われて、会社に異議を申し立てるということもあります。
退職の時点では、「早く転職先を見つけよう」など前向きな気持ちになっていたところ、なかなか仕事が見つからず経済的な不安も大きくなって、「あの解雇はおかしいのではないか」という疑問も膨らむようです。
<整理解雇の有効要件>
整理解雇の具体的な有効要件は、次の4つの要素が最高裁判決の中で示されています。
4つのうち1つでも要件を欠いていたら、解雇が無効になるということではなく総合的に判断されます。
まず、経営上の人員削減の必要性です。会社の財政状況に問題を抱えていて、新規採用などできない状態であることです。
これは法的な判断というよりは、経営上の判断ですから、一応の必要性が認められればクリアできる基準です。
次に、解雇回避努力の履行です。配置転換や希望退職者の募集などの実施です。
これはかなり大きなウエイトを占めています。解雇に踏み切らなくても事業が継続できるのであれば、解雇は回避しなければなりません。
さらに、解雇対象者の人選の合理性です。差別的な人選は許されません。
ここは、人選基準を具体的に示して労働者全体に説明しなければならないところです。
最後に、手続の相当性です。事前の説明や労働者側との協議など、誠実に行うことが求められます。
説明や協議は、回数が多く期間が長ければ誠実さも認められやすくなります。