2021年 6月

2021/06/30|1,904文字

 

<法律の規定>

社会保険(健康保険と厚生年金保険)の保険料を、従業員の給与から控除(天引き)する形で徴収することについては、健康保険法と厚生年金保険法に次のような規定があります。

 

健康保険法(保険料の源泉控除)

第百六十七条 事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる。

2 事業主は、被保険者に対して通貨をもって賞与を支払う場合においては、被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料に相当する額を当該賞与から控除することができる。

3 事業主は、前二項の規定によって保険料を控除したときは、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない。

 

厚生年金保険法(保険料の源泉控除)

第八十四条 事業主は、被保険者に対して通貨をもつて報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所又は船舶に使用されなくなつた場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる。

2 事業主は、被保険者に対して通貨をもつて賞与を支払う場合においては、被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料に相当する額を当該賞与から控除することができる。

3 事業主は、前二項の規定によつて保険料を控除したときは、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない。

 

どちらも、ほぼ同じ内容です。

 

これらの法律によると、今月支給される給与から、前月分の社会保険料を控除することになります。

そして会社は、従業員から徴収した保険料に会社負担分を加えて、今月末までに前月分の社会保険料を納めることになります。

「いつ勤務した分の給与か」は問題にしません。あくまでも、「いつ支給された給与か」だけを考えます。

 

<新規に入社した従業員の場合>

社会保険は、その月の1日に加入(資格取得)しても、月末に加入しても、その月の分の保険料が徴収されます。

入社月に給与が支給されるのであれば、その前月は社会保険に加入していませんから、その給与から社会保険料は控除しません。

入社月の翌月に初めて給与が支給されるのであれば、その前月は社会保険に加入していますから、その給与から社会保険料を控除します。

 

入社月の翌月に初めて給与が支給されるのであれば、社会保険料の控除の都合を考えて、入社日についてのルールを設定しておくことをお勧めします。

たとえば、給与の支給について、月末締切り翌月10日支払いのルールだとすると、28日に入社した場合、最初の給与が少なくて社会保険料を控除できないことも多いでしょう。

この場合には、社会保険料を別に支払ってもらうことになりますが、入社早々の出費は厳しいものがあります。

そこで、「毎月21日以降は入社日としない」などの運用ルールがお勧めなのです。

 

入社月に給与が支給される会社で、最初の給与から社会保険料を控除している場合もあります。

これは、健康保険法や厚生年金保険法の規定とは違うことをしているのですが、労使協定を交わして、そのように運用している限り問題ありません。〔労働基準法第24条第1項但書〕

しかし、労使協定を交わさずに行うのは良くありません。

健康保険法や厚生年金保険法には、これについての罰則が無いのですが、賃金を全額支払う義務に違反してしまいます。〔労働基準法第24条第1項本文〕

これには、三十万円以下の罰金という罰則があります。〔労働基準法第120条〕

 

労使協定の役割https://youtu.be/Nkt306ptvUg

 

<退職する従業員の場合>

社会保険の脱退(資格喪失)の場合には、月末に脱退する場合に限り、その月の分の保険料が徴収されます。

月末以外の脱退なら、その月の保険料は徴収されません。

 

退職月に最後の給与が支給される場合、退職日によっては、欠勤控除によって給与が少額となり、社会保険料を控除できないこともあります。

こうした事態を想定して、健康保険法と厚生年金保険法には、退職の場合には例外的に前月と当月の2か月分の保険料を控除できるという規定になっているわけです。

この場合、退職月の給与が少額になる見込みであれば、退職月の前月の給与から2か月分の保険料を控除することになります。

 

退職月の翌月に最後の給与が支給される場合、月末退職を除いては、社会保険料を控除しないのが正しいのですが、うっかり控除してしまった場合には、すぐに返金しましょう。

2021/06/29|1,385文字

 

<祝日の移動>

令和3(2021)年のカレンダーの大半は、前年の11月に作成され祝日が誤ったまま出荷されています。

祝日の変更が、令和2(2020)年11月27日の臨時国会で決定され、令和3(2021)年に限り、海の日が東京五輪の開会式前日に当たる7月22日に、スポーツの日が開会式当日の7月23日に、山の日が閉会式当日の8月8日に移動したためです。

この影響で、8月9日が振替休日となり、例年の海の日(7月第3月曜日)、スポーツの日(10月第2月曜日)、山の日(8月11日)が平日になりました。

祝日移動の目的は、新型コロナウイルス感染拡大を踏まえ、東京五輪開催に伴う交通混雑の緩和にあります。

 

<給与支給日への影響>

たとえば、令和3(2021)年7月20日は火曜日ですが、木曜日の22日が海の日、金曜日の23日がスポーツの日ですから、22日から25日までが連休です。

毎月20日締切、当月25日支払としている企業で、就業規則が「支払日が休日に当たる場合は、その前日に繰り上げて支払う」と規定していれば、給与支給日は締日の翌日の7月21日ということになります。

 

<労働基準法の規制>

賃金は毎月一定の期日を定めて、定期的に支払わなければならないという、賃金の一定期日払の原則があります。〔労働基準法第24条〕

賃金の支払日が毎月変動すると、労働者の生活が不安定になるからです。

それでも、その日が休日で賃金の振込みができないこともあります。

この場合に、民法の規定によればその支払日は繰下げとなります。〔民法第142条〕

しかし、就業規則で繰上げるものとすることも可能で、実際に多くの企業が繰上げとしています。

いずれにせよ、賃金の支払日は就業規則の絶対的必要記載事項です。

 

<債務不履行による損害賠償>

給与の支払が遅れたことによる損害賠償については、民法第415条に規定があります。

 

【債務不履行による損害賠償】

債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。

 

給与については、会社が債務者、従業員が債権者ということになります。

現在の法定利率が年3%ですから、月給30万円の場合の損害額は約25円となります。

( 300,000円 × 3% ÷ 365日 = 24.7円 )

もっとも、急な祝日の変更によって、給与の支払が遅れるのは「取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるもの」と言えるでしょう。

そうであれば、そもそも会社の損害賠償責任は無いことになります。

 

<解決社労士の視点から>

給与の支払が遅れるというのは、本来はあってはならないことで、厳密には一定期日払の原則(労働基準法第24条)に反しています。

これには30万円以下の罰金も規定されています。〔労働基準法第120条第1項〕

しかし今回の祝日移動は、コロナ下のオリンピック対応のため、国により急遽行われた臨時のものです。

就業規則の規定通りに給与を支給できず1日遅れになったとしても、企業の刑事責任・民事責任を問えないケースが多いのではないでしょうか。

2021/06/28|766文字

 

人事考課制度の弊害https://youtu.be/ekxvgzcbfbo

 

<論理誤差>

考課者が自己流の推論で評価対象者の人格を決めつけ、各評価項目の評価をしてしまうことがあります。

 

・時々遅刻するのはルーズな性格だからだ。

・営業成績が優れているのは押しが強いからだ。

これらは、仕事に関わる事実のほんの一部を手がかりとした推論に過ぎません。

 

・お金持ちの家に育ち甘やかされて育ったので忍耐力が無い。

・小学生の頃から日記を書き続けているので根気強い。

これらは一つの事実、しかも仕事とは無関係な事実から評価を推論しています。

 

論理誤差とは、数多くの事実に基づき客観的に評価せず、主観的な推論で評価してしまうことをいいます。

 

<考課者としての対策>

この論理誤差による弊害を防ぐには、評価項目ごとになるべく多くの事実に基づいた評価をすることが必要です。

つまり考課者は、日々の業務の中で、評価対象者の仕事ぶりに関する事実を数多く拾って記録しておく必要があります。

 

<解決社労士の視点から>

考課者が対象者の働きぶりをコンスタントに記録して評価の実施に備えるというのは、実際にはむずかしいものです。どうしても、サボりがちです。

しかし、考課者が事実に基づかず単なる印象で評価してしまうのでは、適正な人事考課制度の運用はできません。

考課者に対しては、定期的な考課者研修を実施すること、考課表には評価の根拠となる事実を数多く記入する欄を設けることが必要です。

手間のかかることではありますが、評価される側からすると、考課者個人の勝手な印象で評価を決められたのではたまりません。

 

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、社員の出入りが激しくなり、ますます人事考課制度が重要になっています。

人事考課制度の導入や改善、考課者研修など、まとめて委託するのであれば、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

2021/06/27|1,901文字

 

<休暇の通勤手当>

通勤手当は、労働基準法などにより、企業に支払が義務付けられているものではありませんが、支払われる場合には、通勤に必要な経費や負担を基準にその金額が決められているのが一般です。

休暇の場合には、出勤しないわけですから、年次有給休暇を取得した場合の賃金に通勤手当が含まれるというのは、矛盾があるようにも思われます。

  

<労働基準法の定め>

「就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、それぞれ、平均賃金若しくは所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又はこれらの額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した額の賃金を支払わなければならない」〔労働基準法第39条第7項本文〕

つまり、解雇予告手当などを計算する場合に用いられる法定の平均賃金、または、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金が原則となります。

ただし、労使協定を交わせば、健康保険法第40条第1項の標準報酬月額の30分の1を、1日分の年次有給休暇の賃金として支給することもできます。

また、この金額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した金額を支払う旨を定めたときは、これに従います。〔労働基準法第39条第7項但書〕

 

<労働基準法施行規則>

労働基準法の規定だけでは明確にならない場合は、次の規定が適用されます。

 

労働基準法施行規則

第二十五条 法第三十九条第七項の規定による所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金は、次の各号に定める方法によつて算定した金額とする。

一 時間によつて定められた賃金については、その金額にその日の所定労働時間数を乗じた金額

二 日によつて定められた賃金については、その金額

三 週によつて定められた賃金については、その金額をその週の所定労働日数で除した金額

四 月によつて定められた賃金については、その金額をその月の所定労働日数で除した金額

五 月、週以外の一定の期間によつて定められた賃金については、前各号に準じて算定した金額

六 出来高払制その他の請負制によつて定められた賃金については、その賃金算定期間(当該期間に出来高払制その他の請負制によつて計算された賃金がない場合においては、当該期間前において出来高払制その他の請負制によつて計算された賃金が支払われた最後の賃金算定期間。以下同じ。)において出来高払制その他の請負制によつて計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における総労働時間数で除した金額に、当該賃金算定期間における一日平均所定労働時間数を乗じた金額

七 労働者の受ける賃金が前各号の二以上の賃金よりなる場合には、その部分について各号によつてそれぞれ算定した金額の合計額

2 法第三十九条第七項本文の厚生労働省令で定めるところにより算定した額の賃金は、平均賃金若しくは前項の規定により算定した金額をその日の所定労働時間数で除して得た額の賃金とする。

3 法第三十九条第七項ただし書の厚生労働省令で定めるところにより算定した金額は、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第四十条第一項に規定する標準報酬月額の三十分の一に相当する金額(その金額に、五円未満の端数があるときは、これを切り捨て、五円以上十円未満の端数があるときは、これを十円に切り上げるものとする。)をその日の所定労働時間数で除して得た金額とする。

 

<解決社労士の視点から>

年次有給休暇の賃金の計算方法には、次の3つがあるということです。

1.労働基準法第12条で定める「平均賃金」

2.所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金

3.健康保険法第99条で定める「標準報酬日額」

 

このうち、1.3.に通勤手当が含まれていることは明らかです。

しかし、2.に通勤手当が含まれるか否かは不明確です。

これについては、次の規定があります。

 

「使用者は、年次有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない」〔労働基準法附則第136条〕

 

この条文について、通勤手当を支給しないことが「賃金の減額」にあたると解釈すれば、通勤手当を支給しなければなりません。

 

さて基本に戻って、通勤手当は労働基準法などにより企業に支払が義務付けられているものではありません。

ですから、就業規則に「通勤手当は実際に出勤した日についてのみ支給する」という規定があれば、年次有給休暇の賃金についても、通勤手当を計算に含めなくて良いことになります。

反対に、こうした規定が無ければ、不明確なことは労働者の有利に解釈するのが労働法全体の趣旨ですから、通勤手当を計算に含める必要があるでしょう。

2021/06/26|1,029文字

 

ブラック就業規則https://youtu.be/fUVYZrve4OU

 

<通常の場合>

年次有給休暇を取得する場合には、労働者から取得する日を指定するのが原則です(時季指定権)。

一方、労働者が指定した日の年次有給休暇取得が、事業の正常な運営を妨げる場合には、会社からその日の取得を拒むことができます(時季変更権)。

労働者から、いきなり「今日休みます」と言われたのでは、会社は時季変更権を使う余地がありません。

ですから、前もっての指定が必要なのです。

 

<円満退職の場合>

転職先が決まっている、家族と共に転居するなど、労働者の都合により、退職日が決まっていて変更できない場合があります。

この場合、退職日より後の日に年次有給休暇を取得することはできませんから、一般には退職日までの間の出勤予定日に取得することになります。

しかし、会社に長い間貢献した人が退職していくにあたって、それが円満退社であれば、せめて最後に残った年次有給休暇をすべて取得させてあげたいところです。

この場合、残った年次有給休暇の日数が多ければ、日付を遡って取得させることもありえます。

ただし、前年度にさかのぼると、労働保険料の計算や税金の計算などがやり直しになりますので注意が必要です。

場合によっては、社会保険料の計算もやり直しとなります。

そこで、お勧めしたいのは、年次有給休暇の買上げです。

通常は、買上げは許されないのですが、退職にあたって買上げることは、休暇取得の妨げにならないので許されています。

それでも、年次有給休暇の取得は労働者の権利ですから、退職者と会社とで話し合って決めることが必要です。

 

<円満ではない退職の場合>

会社と感情的に対立していて、退職にあたって様々な要求をしてくる労働者がいます。

年次有給休暇については、「普段あまり取得できなかったので、退職にあたっては、残さずすべてを取得させてほしい」「残った年次有給休暇を買い取ってほしい」という話が出てきます。

年次有給休暇をすべて取得し尽くすというのは、退職日との関係で日程的に

無理が無ければ可能な話ですし、労働者としての正当な権利を行使するに過ぎません。

しかし、年次有給休暇の買上げは、「会社が残日数の一部または全部の買上げを行うことができる」に過ぎず、労働者の側から権利として主張することはできません。

ただ、引継ぎをきちんと終わらせない恐れがある、あるいは未払残業代やパワハラを理由とする慰謝料を請求してくる可能性が高いなどの事情があれば、経営判断で年次有給休暇の買上げをすることも考えられます。

2021/06/25|552文字

 

被保険者 被扶養者「被」とは?https://youtu.be/TLTo2eFOMfU

 

<健康保険の対象となる場合>

急性などの外傷性の打撲・捻挫・および挫傷(肉離れなど)・骨折・脱臼には健康保険が適用されます。

ただし、骨折・脱臼については、応急処置を除き医師の同意が必要です。

 

<健康保険の対象とならない場合>

次のような場合には、「健康保険が使える」と説明を受けていても、全額または一部が自己負担となり、接骨院から請求されるか、「協会けんぽ」などの保険者から請求されることがあります。

・単なる肩こり、筋肉疲労

・慰安目的のあん摩・マッサージ代わりの利用

・病気(神経痛・リウマチ・五十肩・関節炎・ヘルニアなど)からくる痛み・こり

・脳疾患後遺症などの慢性病

・過去の交通事故等による後遺症

・症状の改善の見られない長期の治療

・医師の同意のない骨折や脱臼の治療(応急処置を除く)

・仕事中や通勤途上におきた負傷(労災保険が適用される可能性があります)

 

<柔道整復師(整骨院・接骨院)にかかる場合の注意事項>

負傷原因、治療年月日、治療内容などについて、「協会けんぽ」などの保険者から問い合わせが入ることもありますので、次の点に注意しましょう。

・負傷の原因を正しく伝える

・「療養費支給申請書」は内容をよく確認し自分で署名または捺印する

・領収証をもらう

・治療が長引く場合は医師の診断を受ける

2021/06/24|1,313文字

 

社会保険労務士の顧問契約https://youtu.be/XcBLsc-tOiQ

 

<社会保険労務士とは>

社会保険労務士制度は、社会保険労務士法に基づく制度です。

 

社会保険労務士とは、社会保険労務士試験の合格者等社会保険労務士となる資格を有する者で、全国社会保険労務士会連合会に備える社会保険労務士名簿に登録された者をいいます。

 

また、平成15(2003)年4月1日から、社会保険労務士法に基づき、社会保険労務士が共同して社会保険労務士法人を設立することが可能となりました。社会保険労務士法人は、社員を社会保険労務士に限定した、商法上の合名会社に準ずる特別法人であり、対外的な社員の責任については、連帯無限責任とされています。

 

社会保険労務士及び社会保険労務士法人の業務は次のとおりです。

 

(1) 労働社会保険諸法令に基づく申請書等及び帳簿書類の作成

 

(2) 申請書等の提出代行

 

(3) 申請等についての事務代理

 

(4) 個別労働関係紛争解決促進法に基づき都道府県労働局が行うあっせん手続の代理

 

(5) 個別労働関係紛争について都道府県労働委員会が行うあっせん手続の代理

 

(6) 男女雇用機会均等法並びにパート労働法に基づき都道府県労働局が行う調停手続の代理

 

(7) 個別労働関係紛争について厚生労働大臣が指定する団体が行う裁判外紛争解決手続の代理(紛争価額が120万円を超える事件は弁護士との共同受任が必要)

 

(8) 労務管理その他労働及び社会保険に関する事項についての相談及び指導

 

このうち、(1)~(3)の業務については、社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、業として行ってはならないこととされています。

 

また、社会保険労務士法人は、上記(1)~(3)及び(8)のほか、定款で定めるところにより、賃金の計算に関する事務及び社会保険労務士法人の使用人を派遣の対象とし、かつ、派遣先を開業社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人とする労働者派遣事業を行うことができます。

 

(4)~(7)の業務については、紛争解決手続代理業務試験に合格し、社会保険労務士名簿にその旨の付記を受けた特定社会保険労務士又は特定社会保険労務士が所属する社会保険労務士法人以外の者は、他人の求めに応じ報酬を得て、業として行ってはならないこととされています。

 

<社会保険労務士になるためには>

社会保険労務士になるためには、社会保険労務士試験に合格し、労働社会保険諸法令に関する厚生労働省令で定める事務に2年以上従事した者が、全国社会保険労務士会連合会に備える社会保険労務士名簿に登録を受けることが必要です。社会保険労務士試験の合格者のうち実務経験のない者には、全国社会保険労務士会連合会が行う講習を受けて、社会保険労務士となる資格を得る途も開かれています。

 

社会保険労務士の国家試験は、毎年1回、行われています。

 

受験資格等社会保険労務士試験についての詳細は、社会保険労務士試験の試験事務を行っている全国社会保険労務士会連合会社会保険労務士試験センターのホームページhttp://www.sharosi-siken.or.jpをご覧ください。

 

(厚生労働省ホームページより ※法改正により一部修正)

2021/06/23|1,479文字

 

労働条件を確認しましょうhttps://youtu.be/QzMHmif7cgY

 

<労働条件通知書>

使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければなりません。〔労働基準法第15条第1項〕

そして、厚生労働省令で定める事項について、使用者が漏れなく明示できるよう、厚生労働省は労働条件通知書の様式をWordとPDFで公表しています。

常に最新の様式をダウンロードして利用していれば、法令の改正にも対応できます。

「労働条件通知書」という文書名からも、「明示」が目的であることからも、使用者から労働者への一方的な通知であることは明らかです。

労働者の氏名は、宛名として表示されていますが、署名・捺印欄はありません。

使用者は、これを1部だけ作成して労働者に交付すれば足りるわけです。

この通知書に記載された内容について、労働者が疑問を抱けば、使用者に説明を求めることになります。

 

<雇用契約書>

労働契約(雇用契約)は口頭でも成立しますから、契約書の作成は義務ではありません。

ただ、使用者が労働者に労働条件通知書を交付しても、紛失されたり、知らないと言われたりしたら困るので、契約書を作成したほうが安心とも言われます。

契約書は2部作成し、労使双方が署名(記名)・捺印して、1部ずつ保管するのが通常です。

雇用契約書には、労使双方の意思表示が合致した内容が記載されています。

ですから、契約書が交わされた後、記載内容について疑問が生じるのは困るのですが、この場合には、労使双方が誠意をもって協議し内容を確定することになります。

 

<労働条件通知書兼雇用契約書>

労働条件通知書と雇用契約書の両方を作成するのは面倒ですから、法令によって明示が義務付けられている項目をすべて含む形で雇用契約書を作成し、労働条件通知書を兼ねるということも行われます。

しかし、一方的な通知と合意の内容を1つにまとめるというのは、論理的な矛盾をはらみます。

書類の内容について疑問が発生した場合には、使用者側が説明すれば足りるのか、労使で協議が必要なのかは不明確です。

ここに紛争の火種を抱えることになりそうです。

 

<労働条件通知書を用いる場合の不都合解消>

労働条件通知書には、労働者の署名欄は無いのですが、これを設けたら無効になるというわけではありません。

末尾に「上記について理解しました。疑義があれば本日より2週間以内に申し出ます」という欄を設け、日付、住所、氏名を自署してもらうこともできます。

そしてコピーを会社の控えとする旨を説明し、原本をご本人に渡せば、後から「知らない。忘れた」という話も出てこなくなるでしょう。

ついでに、就業規則のある場所も明示しておくこともお勧めします。

 

<雇用契約書を用いる場合の不都合解消>

この場合の不都合としては、契約書内の記載について疑問が発生した場合には、労使が相談して内容を確定することになるという煩わしさです。

このことが紛争の火種ともなってしまいます。

ですから、判断が必要な項目については、「会社の判断により」という言葉を加えておく必要があるでしょう。

たとえば、試用期間中に「しばしば遅刻・欠勤があった場合には本採用しない」という内容があれば、「しばしば」に判断の幅が発生してしまいます。

ここは「しばしば遅刻・欠勤があったと会社が判断した場合には本採用しない」といった文言にしておき、不合理な解釈でない限りは、本採用の基準を会社のイニシアティブで決定できるようにしておくのです。

 

労働条件通知書を使用するにせよ、雇用契約書を使用するにせよ、紛争の火種を抱えないよう、ひな形に一手間加えることをお勧めします。

<就業規則による労働条件の変更>

年功序列を疑われるような給与制度を改め、成果主義の給与とすることは、有能な若者を採用し定着させるのに必要なことでしょう。

しかし、給与が減ることになる人もいるでしょうし、給与が大きく変動すれば年収が不安定になります。

こうした不都合があっても、成果主義給与制度を導入できる基準とはどんなものでしょうか。

 

労働契約法に、次の規定があります。

 

第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。

 

つまり、就業規則の変更によって、給与などの労働条件を変えた場合には、それが合理的であればその通りの効力が認められるということです。

反対に、合理的でなければ、たとえ就業規則を変えても、それによって一人ひとりの労働条件は変わらないということです。

この中の「合理的」というのは、「労働契約法の趣旨や目的に適合する」という意味だと考えられます。

それでも、この条文を読んだだけでは良く分かりません。

 

「合理的」の意味https://youtu.be/E-BgYSjxLZI

 

<最高裁判所の判例>

労働契約法という法律は、10年余り前に判例法理がまとめられて作られました。

判例法理というのは、それぞれの判決を下すのに必要な理論で、判決理由中の判断に含まれているものです。

そして、最高裁は次のように述べています。

 

合理性の有無は、具体的には、就業規則の変更によって労働者が被る不利益の程度、使用者側の変更の必要性の内容・程度、変更後の就業規則の内容自体の相当性、代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況、労働組合等との交渉の経緯、他の労働組合又は他の従業員の対応、同種事項に関する我が国社会における一般的状況等を総合考慮して判断すべきである」(最高裁判所昭和43年12月25日大法廷判決)

 

<変更を有効だとした裁判例>

会社が赤字のときには、賃金の増額を期待できないし、8割程度の従業員は賃金が増額しているので、不利益の程度はさほど大きくない。

収益改善のための措置を必要としていたこと、労働組合と合意には至らなかったものの、実施までに制度の説明も含めて8回、その後の交渉を含めれば十数回に及ぶ団体交渉を行っており、労働組合に属しない従業員はいずれも新賃金規程を受け入れていることから、新給与規定への変更は合理性がある。

(ハクスイテック事件 大阪高裁平成13年8月30日判決)

 

<変更を有効だとした裁判例>

主力商品の競争が激化した経営状況の中で、従業員の労働生産性を高めて競争力を強化する高度の必要性があった。

新賃金制度は、従業員に対して支給する賃金原資の配分の仕方をより合理的なものに改めようとするものであって、どの従業員にも自己研鑽による職務遂行能力等の向上により昇格し、昇給することができるという平等な機会を保障している。

人事評価制度についても、最低限度必要とされる程度の合理性を肯定し得るものであることからすれば、上記の必要性に見合ったものとして相当である。

会社があらかじめ従業員に変更内容の概要を通知して周知に努め、一部の従業員の所属する労働組合との団体交渉を通じて、労使間の合意により円滑に賃金制度の変更を行おうと努めていたという労使の交渉の経緯や、それなりの緩和措置としての意義を有する経過措置が採られたことなど諸事情を総合考慮するならば、上記のとおり不利益性があり、現実に採られた経過措置が2年間に限って賃金減額分の一部を補てんするにとどまるものであっていささか性急で柔軟性に欠ける嫌いがないとはいえない点を考慮しても、なお、上記の不利益を法的に受忍させることもやむを得ない程度の、高度の必要性に基づいた合理的な内容のものであるといわざるを得ない。

(ノイズ研究所事件 東京高裁平成18年6月22日判決)

 

<解決社労士の視点から>

このように、具体的な事情によって、裁判所の判断は分かれます。

変更を有効だとしたノイズ研究所事件の判決も、具体的な事情を踏まえたギリギリの判断であったことが伺えます。

結論として、就業規則の変更により成果主義の給与とするには、新しい給与制度そのものの合理性も必要ですし、説明会などの段取りも大事です。

どこまでやれば良いかは、数多くの労働判例を見比べて考えなければなりません。

こうした専門性の高いことは、素人判断で進めてしまわず、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

以上は、就業規則がある会社についての話です。

就業規則が無い会社では、労働契約法の次の規定が適用され、一人ひとりの労働者の同意が必要になりますのでご注意ください。

 

第八条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

2021/06/21|651文字

 

人事考課制度の弊害https://youtu.be/ekxvgzcbfbo

 

<寛大化傾向>

寛大化傾向というのは、評価への批判や反発を恐れ、あるいは評価対象者への気遣いから、評価がついつい甘くなる傾向です。

部下に「嫌われたくない」「よく思われたい」という感情に支配されてしまうとこうした傾向が見られます。

評価に差が出ないため人事考課の目的を果たせないこと、評価対象者が甘えてしまい成長しなくなることが問題となります。

 

<役職者としての能力不足>

役職者には、コミュニケーション能力が必要です。

人脈を広げる努力も求められます。

また、部下を客観的に評価するためには、世間一般の同業で働く人たちや同一職種の人たちの働きぶりを把握していることが必要です。

「井の中の蛙 大海を知らず」というのでは、部下を広い目で客観的に評価できません。

そもそも、部下をどう育てるかの指針や目標を立てることも困難です。

 

<寛大化傾向を示す役職者への対応>

人事考課制度を適正に運用するためには、考課者に対する定期的な教育研修の実施が大事です。

そして、寛大化傾向を示す役職者には、人事考課の目的の再確認、コミュニケーション能力の強化について、重点的な教育研修が必要でしょう。

一方で会社から、人脈を広げやすくするためのサポートもしてあげたいところです。

それでもなお、きちんとした人事評価ができないのであれば、適性を欠くものとして考課者から外すことも考えなければなりません。

そもそも、こうした人物が役職者になってしまうこと自体、適正な人事考課制度の運用ができていなかったり、人事政策が失敗していたりの可能性があります。

2021/06/20|1,545文字

 

<育児・介護休業法の改正>

育児・介護休業法が改正されました。

令和4(2022)年4月1日から段階的に施行されます。

「えっ?また?!」という反応は正常たと思います。

知ってる。知ってる」と思っていたら、過去の法改正だったなんていうことが多いのです。

しかもこの手の法改正は、会社の規模には関係ありません。

知らないうちに会社がブラック化していく要因の筆頭に数えられると思います。

 

<男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設>(施行日:公布後1年6か月以内の政令で定める日)

改正法施行後は、現行の制度に加えて、新制度による育児休業の取得が可能となります。

 

 

新制度(現行制度とは別に取得可能)

対象期間と取得可能日数 子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能
申出期限 原則休業の2週間前まで
分割取得 分割して2回取得可能
休業中の就業 労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲で休業中に就業することが可能

 

申出期限は、原則として休業の2週間前までとなっていますが、職場環境の整備などについて、今回の改正で義務付けられる内容を上回る取組の実施を労使協定で定めている場合は、1か月前までとすることができます。

休業中の就業について、労使協定を交わす場合の具体的な手続の流れは、次の1.~3.のとおりです。

1.労働者が就業してもよい場合は事業主にその条件を申出

2.事業主は、労働者が申し出た条件の範囲内で候補日・時間を提示

3.労働者が同意した範囲で就業

なお、就業可能日等の上限(休業期間中の労働日・所定労働時間の半分)を厚生労働省令で定める予定です。

 

<育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け>(施行日:令和4年4月1日)

育児休業を取得しやすい雇用環境の整備(研修、相談窓口設置等)の具体的内容については、複数の選択肢からいずれかを選択して措置することになる予定ですので、就業規則に「法令の定めによる」などと規定されている場合には、内容を確定する規定を置く必要があります。

妊娠・出産(本人または配偶者)の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置についても、省令によって、面談での制度説明、書面による制度の情報提供等の複数の選択肢からいずれかを選択して措置することになる予定ですので、同様のことが言えます。

なお、妊娠・出産(本人または配偶者)の申出をした労働者に対する休業取得意向の確認は、事業主が労働者に対し、育児休業の取得を控えさせるような形での実施を認めない予定です。

 

<育児休業の分割取得>(施行日:公布後1年6か月以内の政令で定める日)

育児休業(新制度除く)を分割して2回まで取得可能となります。

また、保育所に入所できない等の理由により1歳以降に延長する場合には、開始日を柔軟化することで、各期間途中でも夫婦交代が可能(途中から取得可能)となります。

 

<有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和>(施行日:令和4年4月1日)

「引続き雇用された期間が1年以上」の要件が廃止され、「1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない」という要件のみになります。

ただし、引続き雇用された期間が1年未満の労働者は、労使協定の締結により除外することが可能です。

 

<育児休業の取得の状況の公表の義務付け>(施行日:令和5年4月1日)

従業員数1,000人超の企業は、育児休業等の取得の状況を公表することが義務付けられます。

 

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、出生数の一時的な落ち込みが確実です。

今後とも、少子化対策が強力かつ継続的に行われることでしょう。

2021/06/19|1,010文字

 

解雇予告の効力https://youtu.be/oB35mJkVccQ

 

<整理解雇>

整理解雇とは、会社の事業継続が困難な場合に、人員整理のため会社側の都合により労働契約を解除することです。

法律上は普通解雇の一種ですが、労働慣例により他の普通解雇と区別するため整理解雇という用語が使われています。

 

<法令の規定>

解雇については、労働契約法に次の規定があります。

 

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

この規定は抽象的ですから、素人判断で解雇の有効・無効を決めつけるのは危険です。

 

<整理解雇の有効要件>

実務的には、判例で示された次の4つの要素から、解雇の有効性を判断することになります。

4つのうち1つでも要件を欠いていたら、解雇が無効になるということではなく、総合的な判断となります。

まず、経営上の人員削減の必要性です。会社の財政状況に問題を抱えていて、新規採用などできない状態であることです。

次に、解雇回避努力の履行です。配置転換や希望退職者の募集などの実施です。

さらに、解雇対象者の人選の合理性です。差別的な人選は許されません。

最後に、手続の相当性です。事前の説明や労働者側との協議など、誠実に行うことが求められます。

 

<地域限定社員の場合>

「そもそも勤務地を限定されていたのだから」という理由だけで、閉店や事業所の閉鎖によって、そこで勤務する地域限定社員を解雇することはできません。

これは、整理解雇の4つの要素のうち、解雇回避努力の履行にかかわることです。

採用の時点で勤務地限定を望んでいた社員であっても、その後事情が変わっている場合もありますし、解雇されるよりは転勤に応じた方が有利ということもあります。

解雇回避努力が求められるということは「なるべく解雇しないように努力したけれども、どうしてもダメでした」という事情がなければ、簡単に解雇はできないということです。

結局、地域限定社員と話し合って、本人がどうしても別の店舗や営業所などでは勤務できないというのであれば、他の社員に優先して解雇を考えざるを得ないということになります。

 

 <解決社労士の視点から>

整理解雇を含め、解雇の多くは不当解雇となり無効となる危険をはらんでいます。

そして不当解雇は企業に思わぬ損失をもたらします。

「解雇」ということを思いついてしまったなら、迷わず信頼できる国家資格者の社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

2021/06/18|1,035文字

 

<無期転換の影響>

平成30(2018)4月から、有期労働契約で働いている人が無期転換の申込権を使うと、会社側の意思とは無関係に無期労働契約に変更されます。〔労働契約法第18条〕

無期労働契約になってからの労働条件は、就業規則や労使の話し合いで決まることになりますから、必ずしも正社員になるわけではありません。

しかし、就業規則の正社員の定義が「期間の定めなく雇用されている従業員」などとなっていれば、無期転換の申し込みをした有期契約労働者は、自動的に正社員になってしまいます。

 

<定義の重要性>

「正社員」というのは、法律用語ではありませんから法令には定義がありません。

各企業が独自の定義を定めていたり、あいまいにされていたり、定義が無かったりというのが実態です。

もし、正社員だけに賞与や退職金を支給している会社で、退職予定のパートさんから「退職金はいくらですか?今までもらえなかった賞与は、まとめてもらえますか?」という質問が出ても、「就業規則の定義により正社員とされていないあなたには支給されません」と説明できます。

しかし、「正社員」の定義がしっかりしていないため、会社が訴えられて、裁判所から過去の賞与や退職金の支給を命じられることもあります。

誰か1人がこれに成功すれば、他の退職者からも請求されることになるでしょう。

退職金請求権の消滅時効期間は5年間ですから、5年近く前の退職者からも訴えられる可能性があります。〔労働基準法第115条〕

 

<定義規定の例>

就業規則には、「正社員として採用された従業員、および、正社員以外から正社員に登用された従業員」のような表現で定めておくのが楽だと思います。

こうしておけば、今後、何らかの法改正があったとしても、それによる影響は受けないでしょう。

ただし、就業規則の規定だけだと、「正社員として採用された」かどうかの証拠が残りません。

労働条件通知書の「雇用形態」「社員区分」などの欄に「正社員」「正社員以外」「パート社員」「嘱託社員」のように明示しておくことが必要になります。

労働条件通知書は、入社時と賃金など労働条件の変更時に、従業員に交付される書類ですから、ここで「正社員であること」あるいは「正社員ではないこと」を正式に確認できます。

なお、厚生労働省のホームページでダウンロードできる労働条件通知書には、「雇用形態」「社員区分」などの欄がありませんから、Word形式でダウンロードしたものに手を加えて使用することをお勧めします。

2021/06/17|1,170文字

 

バラバラに取る昼休みhttps://youtu.be/ngjJ_i4-1JE

 

<政府の感染症対策方針にも>

令和3(2021)年5月28日、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策本部は「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」の一部を変更し、職場における感染防止のための取組として、事業者に対して昼休みの交代制などを促すこととしました。

休憩室や食堂などでの密を避けるため、交代制の昼休みは手軽で有効な手段ではありますが、一定の配慮と手続が必要となります。

 

<一斉付与の原則>

【労働基準法第34条第2項本文:休憩の一斉付与】

前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。

この根拠としては、一斉でなければ心理的に休憩を取りづらいとか、会社が管理しにくいとか、労働基準法の前身である工場法の名残であるとか言われています。

しかし、一斉付与でなくてもよい業種が、労働基準法施行規則第31条に定められています。

運輸交通業、商業、金融保険業、興業の事業、通信業、保健衛生業、接客娯楽業、官公署の事業がこれに該当し、一斉に休憩を取ったのでは、お客様にご迷惑をお掛けするということのようです。

ですから、これらの業種に該当する企業では、昼休みの時差取得をするのに特別な手続は不要です。

 

<労使協定の締結>

【労働基準法第34条第2項但書:一斉付与の免除】

ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。

このように、休憩の一斉付与を免除されていない業種であっても、労使協定の締結によって、一斉付与の義務を免れることができます。

この労使協定は、所轄の労働基準監督署長に届け出なくてもよいものです。

 

<同一労働同一賃金への配慮>

食堂や休憩室の利用について、正社員は午前11時から午後2時、非正規社員はこれ以外の時間帯などと定めるのは、こうすることに合理的な理由がなければ、同一労働同一賃金の観点から問題ありです。

「同一労働同一賃金」は、「賃金」という文字が入っているものの、休暇や福利厚生にも及ぶ原理ですから、昼休みの時差取得にあたっては、同一労働同一賃金の趣旨に反しないように配慮する必要があります。

 

<公平性の確保や業務への配慮>

結局、部署毎に交代で休憩を取得することになると思われますが、休憩時間が固定では部署間の不公平が発生してしまいます。

そこで、毎月のローテーションで休憩時間が変更になる仕組を考えることになります。

しかし、あまり早い時間帯、あるいは遅い時間帯に昼休みを取ったのでは、業務に支障が出る部署もあり、この辺の調整が難しいかもしれません。

昼休みの交代制について仕組を考える部署は、各部署からの聞き取りを行い、よく考えてローテーションを組む必要があるでしょう。

2021/06/16|888文字

 

✕失業保険⚪雇用保険https://youtu.be/y9JHiGhCtmQ

 

<離職票の交付を希望しないとき>

※離職は退職に限られず、週所定労働時間が20時間未満となった場合等を含みます。

・提出書類・・・・・・「雇用保険被保険者資格喪失届」

※被保険者というのは保険の対象者のことです。脱退は、被保険者の資格を失うことなので、資格喪失といいます。

・提出期限・・・・・・被保険者でなくなった日の翌日から10 日以内

※被保険者が転職した場合に、資格喪失が遅れると、転職先での手続がそれだけ遅れてしまいます。期限にかかわらず、なるべく早く手続しましょう。

・提出先・・・・・・・・事業所の所在地を管轄するハローワーク

・持参するもの・・労働者名簿、賃金台帳、出勤簿(タイムカード)、雇用契約書など

 

<離職票の交付を希望するとき>

※59歳以上の離職者は本人が希望しなくても必ず離職票の交付が必要です。

・提出書類・・・・・・「雇用保険被保険者資格喪失届」「雇用保険被保険者離職証明書」

※「雇用保険被保険者離職証明書」は31組ですが、1枚ずつ名前(書類のタイトル)が違います。

・提出期日・・・・・・被保険者でなくなった日の翌日から10 日以内

※被保険者でなくなった人が給付を受けるのは、本人がハローワークで手続をするのが早ければ、それだけ早くなります。手続には、離職票が必要ですから1日も早く手続して、離職票を渡しましょう。

・提出先・・・・・・・・事業所の所在地を管轄するハローワーク

・持参するもの・・労働者名簿、出勤簿(タイムカード)、賃金台帳、辞令及び他の社会保険の届出(控)、離職理由の確認できる書類(就業規則、役員会議事録など)。

 

<退職以外のとき>

「資格喪失届」は、次のような場合でも提出が必要です。

・被保険者資格の要件を満たさなくなったとき(週所定労働時間が20時間未満となった場合等)

・被保険者が法人の役員に就任したとき(ハローワークから兼務役員として労働者性が認められた場合を除く)

・被保険者として取り扱われた兼務役員が、従業員としての身分を失ったとき。

・他の事業所へ出向し、出向先から受ける賃金が、出向元の賃金を上回ったとき。

・被保険者が死亡したとき。

 

所定労働時間と予定労働時間https://youtu.be/aCypDM4IvvA

2021/06/15|685文字

 

人事考課制度の弊害https://youtu.be/ekxvgzcbfbo

 

<中央化傾向(中心化傾向)>

中央化傾向というのは、極端な評価を避けようとして、評価を真中に集めてしまう傾向があることを意味します。

たとえば、5段階評価で3ばかりつけてしまうのは中央化傾向の典型例です。

平均値で評価しておけば、評価対象者からクレームをつけられないだろうという臆病な考え方をしたり、普段の仕事ぶりをきちんと把握していないために判断できなかったりすると、このような傾向が見られます。

 

<役職者としての能力不足>

部下の意見や提案を聞きながら業務を進めるのは、部下を育てるためにも、モチベーションを維持するためにも、役職者にとって必要なことです。

しかし、部下の考えを吸い上げないまま、あれこれ想像して、部下の批判を恐れているようでは、役職者として能力不足です。

また、部下の具体的な働きぶりを把握していなければ、指導することは困難ですから、やはり役職者に必要な能力を欠いているということになります。

 

<中央化傾向を示す役職者への対応>

人事考課制度を適正に運用するためには、考課者に対する定期的な教育研修の実施が大事です。

そして、中央化傾向を示す役職者には、重点的な教育研修が必要でしょう。

それでもなお、きちんとした人事評価ができないのであれば、適性を欠くものとして考課者から外すことも考えなければなりません。

そもそも、こうした人物が役職者になってしまうこと自体、適正な人事考課制度の運用ができていなかったり、人事政策が失敗していたりの可能性があります。

たとえば、「縁故採用」までは良いとしても、役職者への「縁故登用」をしてしまうと、こうした役職者が増えてしまいます。

2021/06/14|1,092文字

 

<役員が労働保険の対象外とされる理由>

雇用保険は、労働者の雇用を守るのが主な目的です。

労災保険は、労働者を労災事故から保護するのが主な目的です。

会社と役員との関係は、委任契約であって雇用契約ではないため、役員は労働者ではないということで、雇用保険も労災保険も適用されないというのが原則です。

 

<労働者か否かの判断基準>

「役員」という肩書が付いたり、商業登記簿に取締役として表示されたりは、形式上、役員であることの基準になります。

しかし、法律関係では形式ではなく実質で判断されることが多く、労働保険の適用についても役員が実質的に労働者であるか否かが基準となります。

 

<雇用保険の労働者>

雇用保険の適用対象となる「労働者」とは、雇用保険の適用事業に雇用される労働者で、1週間の所定労働時間が20時間未満であるなどの適用除外に該当しない者をいいます。

この「適用除外」の中に役員は含まれていません。

役員であっても、実質的に会社に雇われ、賃金を受けていれば、その限度で雇用保険の対象者となるわけです。

 

<労災保険の労働者>

労災保険の適用対象となる「労働者」とは、職業の種類にかかわらず事業に使用される者で、労働の対価として賃金が支払われる者をいいます。

正社員、契約社員、パート、アルバイト、日雇、臨時などすべての労働者が、労災保険の対象となります。

役員であっても、労働の対価として賃金が支払われている部分があれば、その限度で労災保険の対象者となりうるわけです。

 

労災保険の勘違い(事業主編)https://youtu.be/lBEXjn2TbSA

 

<兼務役員>

役員でありながら労働者でもあるという、労働保険の対象となる役員の典型です。

取締役工場長、常務取締役本店営業本部長など、取締役かつ労働者という立場の人は、役員報酬と賃金の両方を受け取っています。

雇用保険では、ハローワークに兼務役員である旨を届出ておく必要があります。

雇用保険料は、賃金だけをベースに計算され徴収されることになりますし、失業手当(求職者給付の基本手当)も賃金だけをベースに計算され支給されます。

労災保険も、賃金をベースとした保険料・休業(補償)給付となります。

 

<執行役員>

名称に「役員」の文字が入っているものの、実際には従業員(労働者)であることも多いです。

雇用契約に基づいて企業に雇われ、取締役会などの決定に基づいて業務を執行し、役員報酬ではなく給与として賃金が支払われているなどの事情があれば、労働者と判断され、雇用保険と労災保険が適用されることになります。

常務執行役員、専務執行役員という名称でも、実質的には労働者ということもあります。

あくまでも、実質的な権限や役割を踏まえて判断することが必要です。

2021/06/13|777文字

 

人事考課制度の弊害https://youtu.be/ekxvgzcbfbo

 

<期末誤差>

就業規則で昇給時期や賞与支給時期が決まっているのが一般です。

給与の決定には1年間の、賞与の決定には半年程度の人事考課期間が設定されていることでしょう。

考課者にとっては、評価期間の最初の方よりも、評価期間の最後の方が印象が強いため、評価決定に近い時期の働きぶりを重視しすぎてしまう傾向が見られることもあります。

これを期末誤差といいます。

評価される社員の中には、このことを期待して、評価の実施時期が近づくと張り切る人もいます。

中には、出勤するなり「今日も1日頑張るぞ!」と気合を入れ、勤務終了時に「今日も1日頑張ったなぁ!」と言うような口先だけの人もいます。

そして、この時期だけ残業する人がいるのではないでしょうか。

 

<考課者としての対策>

期末誤差を防ぐには、考課者が対象者の働きぶりをコンスタントに記録して評価の実施に備えておくこと、評価対象者と定期的に話をして常に働きぶりを見ていることを伝えておくことが必要です。

 

<会社としての対策>

考課者が対象者の働きぶりをコンスタントに記録して評価の実施に備えるというのは、実際にはむずかしいものです。

どうしても、後回しにしがちです。

考課者に対しては、毎月、評価対象者の評価を会社に提出させるなど、明確な義務を負わせるのが確実です。

また、人事考課については、定期的な考課者研修が必須ですが、評価される側の一般社員に対しても、人事考課制度についての説明会が必要だと思われます。

評価が適正に行われるようにするためにも、会社は全社員に人事考課制度を理解させなければなりません。

 

新型コロナウイルスの影響で、社員の出入りが激しくなり、ますます人事考課制度が重要になっています。

人事考課制度の導入や改善、考課者研修など、まとめて委託するのであれば、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

2021/06/12|1,028文字

 

人事考課制度の弊害https://youtu.be/ekxvgzcbfbo

 

<ハロー効果>

ハロー効果とは、ある際立った特徴を持っている場合に、それが全体の評価に影響してしまうことです。

英語のハロー(halo)は、日本語では後光(ごこう)といいます。

仏やキリストなどの体から発するとされる光です。

仏像の背中に放射状の光として表現されています。

この光がまぶしくて、真の姿が見えなくなってしまうのでしょう。

 

<プラス評価の場合>

たとえば、次のように思い込んでしまう例があげられます。

・〇〇大学を卒業している → 学力だけでなく人格も優れている

・将棋の有段者である → 頭が良くて勝負勘がある

・国体の出場経験がある → 目標を達成する意欲が高い

これらの例では、矢印の左側が根拠となる事実であり、右側が結論なのですが、そもそも仕事に関わる事実ではないものが根拠となっています。

 

<マイナス評価の場合>

たとえば、次のように思い込んでしまう例があげられます。

・太っている → 健康状態が悪い、自己管理能力が低い

・高校を中退している → 忍耐力が乏しい、社会性が欠如している

こちらも仕事に関わる事実ではないものが根拠となっています。

 

<評価項目間の影響>

特定の評価項目の評価が際立っているために、他の評価項目の評価にまで影響してしまうことがあります。

・積極性が高い → 応用力が高い

・責任性が高い → 規律性が高い

 

<実際のハロー効果と対処法>

実際の人事考課では、ある人について「優れている」というレッテルを貼り、あらゆる評価項目について評価が甘くなってしまうことがあります。

「あばたもえくぼ」です。

「あばた」というのは、天然痘が治った後に皮膚に残るくぼみのことです。

大好きな人の顔にある「あばた」が「えくぼ」に見えてしまうのです。

 

反対に、「劣っている」というレッテルを貼り、あらゆる評価項目について評価が厳しくなってしまうことがあります。

「坊主憎けりゃ袈裟(けさ)まで憎い」です。

袈裟というのは、仏教の僧侶が身に着ける衣装のことです。

坊主を憎んでしまうと、その坊主が着ている衣装まで憎く思われるということです。

 

人事考課では、人物を評価するのではなく、評価項目ごとに客観的な評価をする必要があります。

先入観を捨てる必要があるのです。

人事考課制度を適正に運用するためには、考課者に対する定期的な教育研修の実施が大事です。

制度の導入や改善、考課者研修など、まとめて委託するのであれば、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

2021/06/11|990文字

 

<規制改革>

政府の規制改革推進会議では、次のような項目について、規制改革の具体的な計画が策定されています。

・行政手続の書面・押印・対面の見直し

・オンライン利用の促進

・キャッシュレス化の促進

・地方税等の収納の効率化・電子化

・民間の書面・押印・対面の見直し

・会社設立時の定款認証に係る公証人手数料の引下げ

・雇用保険給付金申請の添付書類の見直し

・居住地以外のハローワークでの給付金手続

 

<雇用・教育の変化>

働き方改革関連でも、次のステップへの方向性が示されています。

現役の労働者の戦力化だけでなく、次世代の労働力の担い手である学生に対する教育改革も策定されています。

 

<オンライン授業・リカレント教育>

・オンライン授業の普及や今後期待されるリカレント教育の実施に向けた観点から、校舎等の施設の在り方・面積等を定めている設置基準について、大学の独自性を考慮した上で、柔軟な対応ができるよう見直しを実施する。(令和3年度検討・結論、結論を得次第速やかに措置)

カレント(current)は英語で「現在通用している」、リカレント(recurrent)は「再発する」「周期的に起こる」という意味です。

リカレント教育は、就業後に必要に応じて行う「社会人の学び直し」で、新しい知識を身に付けることにより、キャリアアップや転職の武器にすることができます。

 

<大学の卒業要件見直し>

・学生が海外大学院等へ進学しやすくできるよう、必要単位を取得した場合には、4年未満であっても卒業できるよう、大学の卒業要件を見直す。(令和3年度検討・結論、結論を得次第速やかに措置)

日本の学校の入学・卒業時期が海外とは異なるため、これに配慮した措置です。

 

<教師の登用>

・多様な外部人材を教師として登用する際の「特別免許状」の発行件数は、いまだ年間200件程度にとどまる。利用促進のため、手続面・要件の見直しを行う。

 

<キャリア形成の促進>

・正社員にとどまらない多様な働き手の自律的・主体的なキャリア形成の促進を主眼に置き、働き手・企業が取り組む事項や人材開発施策に係る諸制度を体系的に示した「リカレントガイドライン」の策定を行う。

キャリア形成が正社員中心となり、非正規社員が置き去りとなる傾向がありました。

同一労働同一賃金の流れもあり、改めて多様な働き手を視野に入れた「リカレントガイドライン」の策定が提言されています。

2021/06/10|1,361文字

 

<不正受給とは>

失業手当(求職者給付の基本手当)や雇用継続給付(高年齢雇用継続給付・育児休業給付・介護休業給付)など、失業等給付の支給を受ける権利が無いのに、不正な手段によって支給を受けたり、支給を受けようとしたりすると、不正受給となります。

つまり、実際に給付を受けていなくても不正受給となります。

 

<不正受給の処分>

不正受給があった場合には、次のような処分が行われます。

・不正のあった日から、雇用継続給付、基本手当等の支給を受ける権利がなくなります(支給停止)。

・不正な行為により支給を受けた金額は、全額返還しなければなりません(返還命令)。

・さらに悪質な場合には、不正な行為により支給を受けた金額の最高2倍の金額の納付が命ぜられます(納付命令)。

この場合、不正受給した金額の返還と併せて、3倍の金額を納めなければなりません。

これらの支払を怠った場合は、財産の差し押えが行われる場合があります。

・刑法により処罰されることがあります。詐欺罪(刑法第246条第1項)の場合、10年以下の懲役に処せられます。

 

<事業主との連帯責任>

事業主が虚偽の申請書等を提出した場合は、事業主も連帯して返還命令や納付命令処分を受けることがあります。

また、同一事業所で一定期間に複数回連続して就職、離職、失業等給付の基本手当の受給を繰り返している人(循環的離職者)を再び雇用した場合は、雇用保険の受給資格決定前から再雇用予約があったものとして受給資格者本人だけでなく、事業主も共謀して不正受給したとして連帯して返還命令処分を受ける場合があります。

 

<ハローワークによる調査>

不正受給の疑いがある場合には、ハローワークによる調査が行われます。

失業等給付を受けていた人を採用した場合に、その人を採用した時期の点検等のため、ハローワークが事業主から関係書類を借りる場合があります。

また、循環的離職者を雇用する(雇用していた)事業主へ再雇用予約の有無等について、ハローワークが確認の連絡をする場合もあります。

 

ハローワークには、雇用保険給付調査官が配置され、不正受給者の摘発や実地調査を行なっています。この場合には、企業の訪問調査も行われています。

 

<不正受給のうっかりポイント>

労働者を採用した場合、雇用年月日の理解が不正確なために不正受給につながることがよくあります。

試用期間や見習期間も雇入れのうちですから、この期間の初日が雇用年月日となります。

この期間について失業等給付(基本手当)を受給すると不正受給になります。

 

失業等給付(基本手当)を受給している人が、内職、アルバイト、手伝等をした場合は、ハローワークへ申告をしなければなりません。

失業中にアルバイトなどをすること自体は違法ではありませんが、必要な申告を怠ると不正受給になります。

 

対象者本人から、雇入年月日、賃金や労働日数、働いていた期間等について、事実と相違する書類が提出されることもあります。

しかし、事業主は事実に基づく証明をしなければなりません。

万一、偽りの記入を求められても絶対に受け入れないようにしてください。

 

不正受給に関して、事業主の証明が誤っていたり、承知しながら見逃していたりした場合、事業主も連帯責任を問われることがあります。

うっかりしないように注意してください。

2021/06/09|1,235文字

 

人事考課制度の弊害https://youtu.be/ekxvgzcbfbo

 

<相対評価>

相対評価では、社内の評価対象の社員たちが基準となります。

上位3分の1の成績なら評価A、中位3分の1は評価B、下位3分の1は評価Cというように、評価A~評価Cの割合を予め決めておいて評価を決定します。

この方法では、社内や部署内での順位によって評価が決まることになります。

 

<絶対評価>

絶対評価では、世間一般の同業で働く人たちや同一職種の人たちが基準となります。

この方法では、評価対象の社員が皆優秀であれば全員が評価Aとなることもあり、反対に全員が評価Cとなることもありえます。

 

<社員の努力目標として>

相対評価なら、社員は社内や自部署で1番になることを目指します。

どうしても、「お山の大将」「井の中の蛙」ということになります。

また、社員同士が切磋琢磨すれば良いのですが、足の引っ張り合いも懸念されます。

絶対評価だと、最終目標は日本一や世界一ということになりそうです。

個人の性格にもよりますが、最終目標は高い方が良いのではないでしょうか。

 

<評価の変動>

相対評価で、自分の評価を上げるには、誰かを追い抜かさなければなりません。

下がれば「誰に抜かされたのだろう?」と疑心暗鬼になります。

絶対評価の場合、人事考課制度を導入し始めた頃は、社員たちが評価を意識せずに働いていますから、一般に評価が低くなります。

しかし、評価を意識して働くようになると、社員全体の評価が少しずつ向上する傾向が見られます。

こうして一定の期間、社員全体の評価が向上した後は、世間一般のレベルアップを上回って向上した場合に限り評価が上がり、前年と同じ働きぶりを続ける社員の評価は下がっていくことになります。

ここのところは、人事考課制度導入時に社員にきちんと説明しておかないと、不満が出やすいポイントでもあります。

 

<達成感と危機感>

相対評価では、全員がそろって向上した場合には達成感がありません。

反対に、全員がレベルダウンしても気付きにくいという危険があります。

社員に達成感や危機感を持たせるには、絶対評価の方が向いています。

 

<解雇の基準として>

やむを得ず整理解雇をするときは、過去数年間の評価が悪い社員を対象とすることも考えられます。

相対評価でも絶対評価でも、整理解雇の対象者を決める客観的な基準として、一定の合理性が認められるでしょう。

一方、相対評価で一定の期間にわたって成績の悪い社員を能力不足と考えて解雇した場合は、解雇権の濫用であり不当解雇となるので、その解雇は無効であるとされています。

相対評価なら、優秀な社員しかいない会社でも、一定の割合で評価の低い社員は必ずいるわけですから、評価を理由に「仕事ができない」と認定することはできないからです。

 

<解決社労士の視点から>

人事考課制度をどのようにするかの判断は、各企業の裁量の幅が大きいのですが、会社や社員ひとり一人に対する影響だけでなく、そこから生じうる労働法上の問題を踏まえて検討するのなら、社会保険労務士への依頼をお勧めします。

2021/06/08|1,214文字

 

<国税庁公表のFAQ>

令和3(2021)年5月31日、国税庁が「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」を改定しました。

このFAQは、企業が従業員の感染予防対策費用を負担した場合に、それが給与として課税対象となるか否かの基準を示しています。

企業が、新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応で費用を支出した場合には、過去に例が無いものもあり、従来の基準に無理やり当てはめて判断することは危険です。

給与計算を正しく行うため、給与として課税対象となるもの/ならないものを適正に区別しましょう。

 

<給与として課税対象とならないもの>

給与として課税対象とならないものには、次のようなものがあります。

・企業がマスク、石鹸、消毒液、消毒用ペーパー、手袋などを従業員に配付した現物

・マスク、石鹸、消毒液、消毒用ペーパー、手袋などの消耗品の購入費で、業務のために通常必要な費用を精算する方法により支給する金銭

・テレワークを行う環境を整備するための、従業員の自宅に設置する間仕切り、カーテン、椅子、机、空気清浄機などの備品の購入費であって、これらの備品が従業員に貸与される場合

・感染が疑われる従業員について、ホテル等の利用料・ホテル等までの交通費など、業務のために通常必要な費用を精算する方法または企業の旅費規程等に基づいて支給する金銭

(従業員が立て替えるのではなく、企業がホテル等に利用料等を直接支払う場合も同様)

・業務命令により従業員が受けたPCR検査費用や、テレワークに関連して業務スペースを消毒する必要がある場合の費用などについて、その費用を精算する方法により支給する金銭

(従業員が立て替えるのではなく、企業が検査機関や委託先等に費用を直接支払う場合も同様)

 

<給与として課税対象となるもの>

給与として課税対象となるものには、次のようなものがあります。

・マスク、石鹸、消毒液、消毒用ペーパー、手袋などの消耗品の購入費で、通常必要なもの以外の費用について支給するものや、従業員の家族など従業員以外の者に支給するもの

・マスク、石鹸、消毒液、消毒用ペーパー、手袋などの消耗品の購入費として、あらかじめ従業員に支給した金銭について、業務のために通常必要な費用として使用しなかった場合でも返還する必要がないもの

・テレワークを行う環境を整備するための、従業員の自宅に設置する間仕切り、カーテン、椅子、机、空気清浄機などの備品の購入費であって、これらの備品の所有権が従業員に帰属することとされるもの

・勤務とは関係なく使用する電化製品など

・業務のために通常必要な費用として従業員に支給され、使用しなかった場合でも返還する必要がないもの

・従業員が自己判断でホテル等に宿泊した場合の費用やホテル等までの交通費など

・従業員が自己判断で受けたPCR検査費用や、従業員が自己判断で支出した消毒費用など

2021/06/07|791文字

 

<事業主の協力>

高年齢雇用継続給付、育児休業給付、介護休業給付に関する受給資格確認と支給申請の手続は、原則として、その対象者(被保険者)を雇用する事業主を経由して行うよう協力が求められています。

もし、手続に詳しい人がいなければ、社会保険労務士に依頼するなどして、受給が遅れないようにしましょう。

 

<通知書と申請書>

ハローワークで雇用継続給付についての支給決定が行われると、コンピューターでの処理後、「支給決定通知書」と「次回の支給申請書」が交付されます。

これらの書類には、次の3つの役目がありますので、対象者本人(被保険者)に渡しましょう。

・支給金額を通知する。

・次回の支給対象期間と支給申請の期限を通知する。

・高年齢雇用継続給付の場合には、年金との併給調整手続に使用する。

 

<正しく手続を>

高年齢雇用継続給付の支給額は、原則として、60 歳到達時(休業開始時)の賃金額と支給対象月(対象期間)に支払われた賃金額とを比較し、その低下に応じて決定されます。

そのため、給付金の支給決定後に、提出済みの賃金月額証明書や支給申請書について、賃金額の記載誤りや一部算入漏れ等があった場合には、正しい金額を計算し改めて支給するので、すでに支給された給付金を回収しなければならないケースが発生します。

 

また、育児休業給付や介護休業給付の支給対象期間中に職場復帰した場合の職場復帰日(介護休業終了日)の申告漏れがあった場合についても、正しく処理を行う必要があるため、上記と同様、すでに支給した給付金を回収しなければならないケースもあります。

 

こうした給付金の回収手続は、わずらわしいだけでなく、多額の給付金を一度に回収される場合もあるので、事業主や対象者(被保険者)に、かなりの負担・不利益を生じさせることもあります。

 

なるべく早く給付を受けられるよう、正確かつスピーディーな手続を心がけましょう。

2021/06/06|979文字

 

<集団いじめの危険性>

パワハラやセクハラは、加害者も直接の被害者も個人であることが多いものです。

しかし、職場環境や企業風土によっては、特定の個人が先輩や同僚から集団でいじめられることもありえます。

いじめによる自殺などの被害は、決して学校に限られたものではないのです。

 

加害者側は「赤信号 みんなで渡れば 怖くない」という感覚、つまり、共同責任は無責任という感覚に陥っています。

「私だけが悪いわけではないから」という感覚でいじめに加わった場合、法律上はむしろ重い責任を負わされることになります。

刑法では共同正犯とされ、一部を実行したに過ぎなくても全部の責任を負わされます。〔刑法第60条〕

民法では共同不法行為とされ、実際に行為に及んだ人も、手助けした人も、そそのかした人も、ひとり一人が全ての損害に対する賠償責任を負わされます。〔民法第719条〕

 

<大阪地裁 平成22(2010)年6月23日判決>

被害者の女性は、同僚の複数の女性社員たちから集団で、しかも、かなりの長期間継続していじめを受けました。

その内容も、陰湿で常軌を逸した悪質なひどいいじめでしたから、被害者の女性が受けた心理的負荷は強度なものでした。

上司たちは気づかなかったり、気づいた部分についても何ら対応を採らなかったりという無責任な態度でした。

ついに、被害者の女性は上司に相談するのですが、上司が何も防止策を採らなかったために、かえって失望感を深めてしまいました。

こうして、被害者の女性は不安障害と抑うつ状態を発症し、労災と認定されたのです。

 

この被害者女性は、特に弱い人ではなく、同僚の女性社員たちからの集団いじめと、会社の不対応が発症の原因であると裁判所により認定されました。

 

この事件では、労働基準監督署に対する労災保険の給付請求があったのに対して、労働基準監督署長が不支給の処分をしたため、被害者の女性が裁判所に訴えを起こしたのでした。

行政の判断が最終結論ではなく、それに不服があれば、訴訟により決着をつけるという道が残されています。

会社から見れば、こうした事件を予防するためにも、多くの労働裁判例を検討して対策をとる必要があるということです。

「とてもそこまで行う人材を社内で確保できない」ということであれば、労働法に明るい弁護士や社会保険労務士に依頼することも考えなければなりません。

2021/06/05|1,562文字

 

<人への投資の強化>

令和3(2021)年6月2日、政府の第11回成長戦略会議が開催され、今年度の成長戦略実行計画案と成長戦略フォローアップ案が示されました。

このうち実行計画案の中の第5章「人への投資の強化」には8項目が示され、フォローアップ案ではそれぞれの具体的施策が示されています。

 

1.フリーランス保護制度の在り方

2.テレワークの定着に向けた取組

3.兼業・副業の解禁や短時間正社員の導入促進などの新しい働き方の実現

4.女性・外国人・中途採用者の登用などの多様性の推進

5.人事評価制度の見直しなど若い世代の雇用環境の安定化

6.労働移動の円滑化

7.ギガスクール構想の推進による個別最適な学びや協働的な学びの充実

8.全世代型社会保障改革の方針の実施

 

<テレワークの定着に向けた取組>

ここでは、最も注目される「2.テレワークの定着に向けた取組」について見ていこうと思います。

新型コロナウイルス感染症拡大に伴ってテレワークの導入が一気に進んだものの、労働法違反の事態が多発し、またテレワークを取りやめる企業も少なくないことから、適正な導入・運用・定着を後押しするものです。

フォローアップ案は、次の内容となっています。

 

成長戦略実行計画に基づき、同計画に記載する施策のほか、以下の具体的施策を講じる。

 ・時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方として、テレワークなど新たな働き方の導入・定着を図ることが重要である。政府としては、テレワークの定着に向けて、2021年3月にテレワークガイドラインを改定し、労働時間の把握・管理、健康確保について、

-テレワーク時における労働者の自己申告による労働時間の把握・管理については、自己申告された労働時間が実際の労働時間と異なることを客観的な事実により使用者が認識している場合を除き、労働基準法との関係で、使用者は責任を問われないことを明確化する。

-(中抜け時間があったとしても、)労働時間について、少なくとも始業時刻と終業時刻を適正に把握・管理すれば、労働基準法の規制との関係で、問題はないことを確認する。

-テレワーク時には原則禁止であるとの理解があるテレワークガイドラインの「時間外、休日、深夜労働」について、テレワーク以外の場合と同様の取扱いとする。

-長時間労働者・高ストレス者に対する医師の面接指導については、リモートでの面接指導も企業が柔軟に選択することができる。

こと等の方向性の下、記述を大幅に刷新したところであり、本ガイドラインの内容を分かりやすく紹介したパンフレット等により丁寧な周知を図っていく。

・新型コロナウイルス感染症の感染拡大の防止の観点からも、テレワーク相談センターの設置・運営やテレワーク導入に係る助成等による導入支援を強力に推進する。

・多くの企業が新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを経験したことを踏まえ、良質なテレワークの定着・加速に向けて、テレワーク導入企業に対する評価の仕組みについて新たに検討を行う。また、全国的な導入支援体制の整備、中小企業に対する専門家による無料相談といった支援策を継続するとともに、コミュニケーションやマネジメントといった課題を解決するための ICT ツールの積極的な活用の推進やテレワークを円滑に行うことができる超高速ブロードバンド基盤の整備支援等を行う。

 

令和3(2021)年3月に改定されたテレワークガイドラインは、中抜け時間を含めた労働時間の自己申告を尊重し、時間外・休日・深夜労働を通常勤務と同様に認め、医師のリモート面接指導を可としています。

この周知を図る他、導入支援の協力推進、ICTツールや超高速ブロードバンド基盤の整備支援を行うとしています。

企業に対して、質の高いテレワークの定着を求めていくことになります。

2021/06/04|1,287文字

 

次の各項目のどれかに当てはまる労働者は、雇用保険の対象者(被保険者)とはなりません。

反対に、どれにも当てはまらない労働者を、雇い主側の判断で、対象から外し手続を行わないのは違法となります。

 

<1週間の所定労働時間が20 時間未満である人>

「1週間の所定労働時間」とは、就業規則、雇用契約書などにより、その人が通常の週に勤務すべきこととされている時間のことをいいます。

この場合の通常の週とは、祝日やその振替休日、年末年始の休日、夏季休暇などの特別休日を含まない週をいいます。

1週間の所定労働時間が短期的かつ周期的に変動する場合には、その1周期の所定労働時間の平均を1週間の所定労働時間とします。

また、所定労働時間が複数の週を単位として定められている場合は、各週の平均労働時間で考えます。

1か月単位で定められている場合は、1か月の所定労働時間を12倍して52 で割った時間とします。

1年単位で定められている場合は、1 年の所定労働時間を52 で割った時間とします。

52で割るのは、1年がおよそ52週だからです。

所定労働時間は、残業手当の計算や、年次有給休暇取得時の賃金計算に必要です。

そして、基本的な労働条件として、労働条件通知書などの書面により、労働者に通知することが雇い主の法的義務とされています。

ですから、所定労働時間を決めないことは、雇い主に複数の罰則が重ねて適用される結果をもたらします。

どうしても決め難いのであれば、社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

 

▷YouTube所定労働時間と予定労働時間https://youtu.be/aCypDM4IvvA

 

<同一の事業主の適用事業に継続して31 日以上雇用されることが見込まれない人>

「31 日以上雇用されることが見込まれる」というのは、次のような場合です。

・正社員など雇用期間を定めずに雇う場合

・有期労働契約で、最初の雇用期間が31日以上である場合

・有期労働契約で、最初の雇用期間は30日以内だが、契約期間の更新が予定されている場合

・有期労働契約で、最初は契約期間の更新を予定していなかったが、途中で更新することになり、結果的に31日以上の契約期間となる場合

・有期労働契約で、最初の雇用期間は30日以内だが、同様の契約で働いている人の多くが契約を更新され、実態として31日以上雇用されることが見込まれる場合

 

 <季節的に雇用される人であって次のどちらかにあてはまる人>

・4か月以内の期間を定めて雇用される人

・1週間の所定労働時間が30 時間未満の人

※いわゆる季節雇用の人についての基準です。

 

<学校教育法1条の学校、124 条の専修学校、134 条の各種学校の学生または生徒>

昼間の時間帯の授業に出席することの多い学生などです。

通信制、単位制、定時制などの場合には、雇用保険の対象となります。

 

<船員であって、特定漁船以外の漁船に乗り組むために雇用される人>(1年を通じて船員として雇用される場合を除く)

 

<国、都道府県、市区町村などの事業に雇用される人のうち、離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が、雇用保険の求職者給付および就職促進給付の内容を超えると認められる人>

2021/06/03|860文字

 

<雇用保険の手続の原則と例外>

雇用保険に関する事務処理は、原則として事務所、営業所、出張所、店舗などの事業所ごとに行うことになっています。

 しかし、事業所の規模が小さくて、雇用保険の手続を担当する人が置けないなどの事情がある場合には、その事業所の所在地を管轄するハローワークに「雇用保険事業所非該当承認申請書」を提出し承認を受けることによって、本社、支社など上位の事業所が一括して手続を行えるようになります。

この場合、事業所の規模が小さいというのは、従業員の数が少ないとか、面積が狭いということではなくて、機能的に独立性を保てないことを意味します。

あくまでも、申請して承認を受ければ可能になるということですから、申請せずに会社の判断で本社、支店などがまとめて手続できるわけではありません。

 

<申請が承認されるための条件>

申請が承認されるためには、労働者が働く場所や施設(事務所、営業所、出張所、店舗など)が、次の条件をすべて満たすことが必要です。

ただし労働保険について、継続事業の一括が認可されている施設は、原則として条件を満たさなくても大丈夫です。

 

●事業所非該当承認基準

・人事上、経理上、経営上(または業務上)の指揮監督、賃金の計算、支払などに独立性が無いこと。

・健康保険、厚生年金保険、労災保険などについても、本社や主たる支社で一括処理されていること。

・労働者名簿、賃金台帳などの法定帳簿類が、本社や主たる支社に備え付けられていること。

 

この3つの条件のうち、1つ目の独立性については判断が微妙となりがちです。

不安があり、直接ハローワークに確認しにくい場合には、社会保険労務士にご相談ください。

 

<申請手続>

・提出書類・・・・・「雇用保険事業所非該当承認申請書」(41組)

・提出期日・・・・・申請しようとする都度すみやかに

・提出先・・・・・・・非該当承認対象施設の所在地を管轄するハローワーク

 

新たな店舗などで勤務する人について、雇用保険の手続が遅れてはいけませんから、後回しにせず、なるべく早く手続しましょう。

2021/06/02|693文字

 

被保険者 被扶養者「被」とは?https://youtu.be/TLTo2eFOMfU

 

<退職後の健康保険>

退職後の健康保険には、今までの健康保険の任意継続、健康保険加入家族の扶養に入る、国民健康保険に入るといった選択肢があります。

多くの人は、任意継続と国民健康保険とで、保険料の安い方を選択します。

国民健康保険では、会社都合など非自発的離職をした人について、保険料(税)が減額される制度がありますので、対象者には会社から説明しておくのが良いでしょう。

 

<非自発的離職者の国民健康保険料(税)の軽減制度>

非自発的離職者の負担の軽減のため、国民健康保険料(税)の算定をする際に、前年の給与所得金額(他の所得は対象外)を100分の30の金額とみなして計算します。

これは、自己都合によらず離職した人の負担軽減措置であり、国の政策による制度です。

 

<対象者>

次の全てに当てはまる人が対象になります。

・離職日が平成21(2009)年3月31日以降

・離職時点で65歳未満

・ハローワークで失業の認定を受け次の事由に該当

雇用保険の特定受給資格者(例:倒産・解雇などによる離職)…離職理由欄が11、12、21、22、31、32

雇用保険の特定理由離職者(例:雇い止めなどによる離職)…離職理由欄が23、33、34

 

<軽減制度の対象期間>

軽減制度の対象期間は、雇用保険受給資格者証に記載されている離職日の翌日の属する月から翌年度末までです。

失業手当(雇用保険の基本手当)を受ける期間とは異なります。

 

<届出の方法>

健康保険証、雇用保険受給資格者証、マイナンバー(個人番号)確認書類、身元確認書類を用意のうえ、区市役所・町村役場で届出をします。

届出には、離職者のマイナンバーの記入が必要となります。

2021/06/01|955文字

 

<資格取得と喪失>

雇用保険の適用事業所に雇用される労働者は、正社員、準社員、契約社員、パート、アルバイト等の呼称にかかわらず、原則として被保険者となります。

ただし、週所定労働時間が20時間未満などの例外があります。

日常用語では、加入者などといいますが、法律用語では保険の対象となる人という意味で被保険者といいます。

これらの労働者は、原則として、その適用事業所に雇用される日から被保険者資格を取得し、離職等となった日の翌日から被保険者資格を喪失します。

離職は退職に限られず、週所定労働時間が20時間未満となった場合等を含みます。

これら被保険者に関する手続は、すべて適用事業所の所在地を管轄するハローワークで行います。

 

<被保険者となる労働者を新たに雇用したとき>

・提出書類・・・・・「雇用保険被保険者資格取得届」

・提出期限・・・・・雇用した日の属する月の翌月10 日まで

・提出先・・・・・・・事業所の所在地を管轄するハローワーク

※提出期限は、東京都の場合は件数が多いため、雇用した日の属する月の翌月末日までとなっています。

 

<添付書類>

次のいずれかに該当する場合には、賃金台帳、労働者名簿、出勤簿(タイムカード等)、その他社会保険の資格取得関係書類等その労働者を雇用したこと及びその年月日が明らかにするもの、有期契約労働者である場合には、書面により労働条件を確認できる就業規則、雇用契約書等の添付が必要です。

 

・事業主として初めての被保険者資格取得届を行う場合。

・被保険者資格取得届の提出期限を過ぎて提出する場合。

・過去3 年間に事業主の届出に起因する不正受給があった場合。

・労働保険料を滞納している場合。

・著しい不整合がある届出の場合。

・雇用保険法その他労働関係法令に係る著しい違反があった事業主による届出の場合。

 

株式会社等の取締役等であって従業員としての身分を有する人、事業主と同居している親族、在宅勤務者についての届出である場合には、雇用関係を確認するための書類の提出が必要です。

 

社会保険労務士、労働保険事務組合を通じて提出する場合には、次のいずれかに該当する場合のみ、添付書類が必要となります。

・届出期限を著しく(原則として6か月)徒過した場合

・ハローワークにおいて、届出内容を確認する必要がある場合

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