2021年 2月 24日

2021/02/24|1,618

 

YouTube情報漏洩の防止

https://youtu.be/nnTZG2FyG8w

 

<悪ふざけ写真の拡散>

6年ほど前、アルバイト社員がSNSに悪ふざけの写真を投稿し、これが拡散されて会社に損害をもたらす事件が多発しました。

自分の友だち限定で、ウケを狙って配信したところ、その友達がコピーして一般公開してしまい、拡散されて会社が信用を失うことになったわけです。

こうした事件は、店舗で発生することが多く、お客様の信用を失って、休業や閉店などを余儀なくされることもありました。

不正な情報拡散の威力を思い知った事件でした。

 

<情報漏えいの問題>

店舗よりも、むしろ本部など事務部門の方が、重要な機密情報を多く保有しています。

営業上の秘密が漏洩すると、会社は直接的な打撃を受けます。

顧客の個人情報などが漏洩すると、信用が失われ、信用回復のために多額の費用を投じても、回復までの間、売上が相当に減少してしまいます。

社員の中に、こうした情報を漏洩している者がいると疑われた場合には、迅速で徹底的な対応を迫られることになります。

 

<懲戒処分の検討>

社内に情報漏えいの疑われる社員がいる場合、まず会社は事実の確認をします。

情報漏えいの事実が確認された場合、就業規則にこれを懲戒の対象とする具体的な規定があれば、適正な手続に従って、懲戒処分を検討することになります。

しかし、就業規則の中に情報漏えいに対応できる規定が無ければ、情報漏えいを理由に処分することは困難です。

 

<秘密保持誓約書>

情報漏えいの事実が確認できないものの、その疑いがある場合には、対象社員に就業規則の内容を説明したうえで、それを再確認する形での秘密保持誓約書に署名してもらうなどの対応を考えるでしょう。

これなら、対象社員も署名することに抵抗を示さないかも知れません。

ところが、就業規則に規定の無い内容を含む誓約書に署名させることは、新たに義務を課すことになりますから、署名を強要できませんし、署名しないことをもって情報漏えいの可能性が高まったと判断するわけにもいきません。

対象労働者は、誓約書への署名を強要されたことが原因で、会社に対する反感から、意図的な情報漏えいに走るかも知れないのです。

対象労働者の神経を逆なでしないためにも、また他にも情報漏えいの恐れがある社員がいる可能性をも考えて、その部署全員に説明し誓約書に署名を求めるのが得策です。

 

<就業規則の規定>

秘密保持について、就業規則に規定が無いのであれば、「遵守事項」の項目に次の内容を加えておきましょう。

「在職中および退職後においても、業務上知り得た会社、取引先、顧客等の機密を漏洩しないこと」

また懲戒項目には、これに対応する次のものを加えておきましょう。

「正当な理由なく会社の業務上重要な秘密を外部に漏洩して会社に損害を与え、または業務の正常な運営を阻害したとき」

 

<解決社労士の視点から>

就業規則や誓約書で情報漏えいを防止しようとするのは、ルールで社員を縛ろうとするものです。

ですから、就業規則の内容を説明し、誓約書に署名させても、これらに反感を覚える社員は一定数存在します。

そもそも社員は、労働契約上、信義則により業務上の秘密を守る義務を負っています。

この義務に違反して情報を漏洩し会社に損害を加えれば、労働契約上の債務不履行責任により、あるいは不法行為責任により、社員は会社に対して損害賠償責任を負うこともあります。

その金額は、かなり多額になるでしょうから、その後の人生を棒に振ることにもなりかねません。

この辺りを、社員に教育しておくことが情報漏えいの防止には必要ではないでしょうか。

 

【参考:古河鉱業事件判決(東京高判昭和55年2月18日)】

労働者は労働契約に基づき労務を提供するほか、信義則により使用者の業務上の秘密を守る義務を負うとしたうえで、会社が機密漏洩防止に特段の配慮を行っていた長期経営計画の基本方針である計画基本案を謄写版刷りで複製・配布した労働者に対する懲戒解雇を有効と判断した事案。
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