2021年 2月

2021/02/28|2,044文字

 

YouTube年次有給休暇と出勤率

https://youtu.be/UHsJHrJymP0

 

<妊娠中や出産前後のルール>

働く女性が妊娠したときは、一定の危険有害な業務に従事させることが禁止されるほか、本人が希望した場合に軽い業務への転換をしたり、時間外・深夜労働をさせなかったりが義務付けられています。

ただし、軽い業務については、社内の通勤可能な職場に軽い業務が無く、新たに軽い業務を作るのがむずかしい場合にまで、企業に義務付けるものではありません。

 

また企業には、妊娠中や産後の女性が、保健指導や健康診査を受診するために必要な時間を確保できるようにすること、医師の指導に応じて勤務時間を短縮したり、特別な休憩時間を設けたりすることなど、必要な措置をとることも求められています。

 

そして出産にあたっては、出産予定日の6週間(双子など多胎妊娠のときは14週間)前から、本人が希望したときは、休むことを認めなければなりません。

ここで、出産予定日当日は産前にカウントされますので、出産予定日を含めて6週間(14週間)となります。

 

出産後は8週間の間、本人が希望しても就労させてはいけません。

ただし7週目以降は、本人が希望し、医師が支障がないと認めた業務については可能です。

 

なお、妊娠・出産に伴う休業の場合、企業がその間の給与を保障することは義務付けられていませんが、健康保険の加入者(被保険者)になっているときは、出産手当金が支給されます。

 

以上は、会社の規模に関係なく、法令により統一的に定められたルールです。

「うちは小さな会社だから対応できない」というわけにはいきません。

 

<妊娠・出産を理由とする不利益な取扱>

女性が上記の休業をしている間とその後30日間、企業はその女性を解雇することが禁止されています。

ただし、あらかじめ定められた契約の終了や、本人が望んで退職することは、もちろん認められます

また、妊娠中または出産後1年を経過しない女性を解雇しようとするときは、解雇をする正当な理由があると証明できない限り無効とされます。

この場合、妊娠や出産を理由として解雇するのではないということが、客観的に証明されなければなりません。

これも会社の規模に関係のない統一ルールです。

 

このように法律で認められた産前、産後の休業をしようとしたことや、実際に休業したことについて、欠勤した分の給料を支払わないことを超えて、解雇や職位を下げるなどの不利益な取扱いをすることは許されないのはもちろんのこと、結婚、妊娠、出産を理由に退職を求めること、解雇することなどの不利益な取扱いをすること全般が禁止されています。

基本的には、結婚、妊娠のタイミングや、出産1年未満の期間に、不利益な取扱いがあった場合には、結婚、妊娠、出産を理由にしているのではないという証明がむずかしいといえます。

 

さらに男性を含め、育児のための長期休業、子の看護のための短期休暇などの法律で認められた権利を使おうとしたこと、実際に使ったことを理由に、解雇や不利益な取扱いをすることも許されません。

 

<環境の整備は企業の責任>

妊娠、出産や育児のため休んだり、勤務時間を短縮したりすることによって、結果的に職場の同僚たちの仕事が増えたり、忙しくなることはもちろんありうるでしょう。 

しかし、だからといって休んだり勤務時間を短縮した人の責任にしてしまうのは不当です。

企業は、妊娠、出産、育児を理由にその対象者を不利益に扱ってはならないというだけでなく、働く人たちが誰でも当たり前に出産、育児に関する権利を使えるよう環境を整備する責任があります。

休業や勤務時間短縮によって業務の運営に支障が生じるのであれば、企業の責任で解消すべきです。

 

あわせて、管理職や同僚らの理解の促進を図る必要があります。

妊娠、出産を理由とする嫌がらせは、マタニティハラスメント(マタハラ)と呼ばれています。

妊娠や出産をした人が、上司や同僚からマタハラを受けることがないよう、企業は、あらかじめ環境を整備することが求められています。

万一、嫌がらせを受けたとの申し出があったときは、当事者から十分に事情を聴取し、再発防止のための措置をとることが求められます。

悪質な嫌がらせが認められたときは、加害者に対して懲戒処分をもって対処することも求められています。

こうした義務を怠った企業や加害者は、被害者に対する損害賠償責任を負うこともあります。

 

<解決社労士の視点から>

作りっ放しで法改正に対応しきれていない就業規則には、子の看護休暇やパパママ育休プラスなどの規定が無いかもしれません。

たとえ、「この規則に定めた事項のほか、就業に関する事項については、労基法その他の法令の定めによる」という規定があったとしても、実際にこうした休暇の申し出があった場合には、速やかな対応がむずかしくなってしまいます。

今はまだ、対象者がいない状態であっても、将来困らないように就業規則を整備しておくことをお勧めします。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

2021/02/22|1,739文字

 

YouTubeこれって労働時間?

https://youtu.be/2UlD66LICBo

 

<労働時間の定義>

「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に、労働時間の定義が示されています。

これは、厚生労働省が平成29(2017)年1月20日に策定したものです。

企業が労働時間を管理する場合には、このガイドラインを参考にして行うことになります

これによると「労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、使用者の明示または黙示の指示により、労働者が業務に従事する時間である」とされています。

最高裁判決にも、労働時間の概念が示されています。

三菱重工長崎造船所事件の判決です。

ガイドラインの定義は、この最高裁判決を参考にしたものです。

こうした定義は、公的なものとして、すでに確定しています。

ですから、各企業で自由に定義を定めるわけにはいかないのです。

 

<黙示の指示>

この労働時間の定義の中の「黙示の指示」とは、一体どのような場合を指すのでしょうか。

黙示(もくし、もくじ)という言葉は、暗黙のうちに意思や考えを表すことをいいます。

具体的に、どのような行為が「暗黙のうちに指示を出した」と評価されるのか、その判断がむずかしいのです。

特に、労働者が「自主的に」残業しているように見える場合の、残業代支払義務について争われます。

労使でこの点が争われた場合には、最終的には司法判断によって決着がつくことになります。

 

<裁判で黙示の指示があったとされたもの>

まず、労働者の残業を使用者が黙認しているような分かりやすい黙示の指示の他、残業することを前提とする業務命令が出された場合、時間外に会議が予定される場合など、間接的に残業を指示している場合には、黙示の指示があったものとされます。

これは、労働者が休日に出勤をしていることを知りながら、使用者が注意を与えなかった場合にも認められます。

また、労働者が所定労働時間ではこなし切れない量の業務を抱えていること、所定労働時間の労働だけでは締切に間に合わないことなどを、使用者が把握しておきながら、こうした事情の解消について具体的な指示を出していない場合も、残業することについて、黙示の指示があったものとされます。

また、タイムカード、出勤簿、日報などにより、使用者が労働時間の把握をしておきながら、労働者に対して抑制的な態度を示さず、自己判断での残業などを止めるように指導していない場合には、黙示の指示があったものとされます。

これらの場合には、使用者から明示の指示がなく、労働者から残業の申告などがなければ、残業代の支払は不要であるという勘違いが生ずる危険があります。

 

<裁判で黙示の指示が無かったとされたもの>

労働者が職場にいるのは、労働に就く目的であることが推定されます。

それだけに、黙示の指示の存在が否定されるのは、むしろ例外であると考えた方が安全でしょう。

ただ、次のような例外的な場合には、裁判例でも黙示の指示が否定されています。

まず、残業禁止の業務命令が発せられ徹底されていた場合、使用者が定時に労働者の帰宅を促していた場合、残業には事前申請を必要とする規定が運用されているにもかかわらず事前申請無く時間外労働に就いていた場合など、残業について厳格な管理が実施されている場合には、黙示の指示が否定されます。

また、客観的に見て時間外労働を必要とするだけの業務を抱えていない場合、業務に就く意思がなく習慣的に早く職場に来てくつろいでいた場合など、時間外労働の指示が想定できない場合にも、黙示の指示が否定されます。

さらに、実習中の労働者が業務の下調べをしていた時間や、仕事に慣れるため自発的に出勤した時間も、それが期待されていることではなかったため、黙示の指示が否定されています。

これらは裁判例ですから、それぞれの具体的な事実に即して判断されているわけであり、一般化することはできませんから注意が必要です。

 

<解決社労士の視点から>

管理監督者や、その代行者は、無駄な人件費の発生を抑制しなければなりませんし、長時間労働による健康被害の発生防止に努めなければなりません。

「黙示の指示」が発生しないように、部下の動向に目を向け、想定外の勤務に気付けば、声を掛けるということが管理職に期待されているわけです。

2021/02/26|1,624文字

 

YouTube解決社労士のご紹介

https://youtu.be/qUAFJ0sjnDg

 

<働き方改革の始まり>

安倍晋三前首相は平成28(2016)9月、内閣官房に「働き方改革実現推進室」を設置し働き方改革の取り組みを提唱しました。

 

このタイミングで一億総活躍社会を目標に設定したのは、生産年齢人口(1564歳)がハイペースで減少しているからです。

一億総活躍社会は「50年後も人口1億人を維持し、職場・家庭・地域で誰しもが活躍できる社会」とされています。

日本の人口は減少傾向にあるのですが、それでも50年後に1億人以上を維持したうえで、ひとり一人が活躍できる、言い換えれば社会に貢献できるようにしようということです。

 

<働き方改革3つの課題>

働き方改革を実現するためには次の3つの課題があります。

・長時間労働

・非正規と正社員の格差

・労働人口不足(高齢者の就労促進)

 

企業-労働者間の労働契約の内容は本来自由ですが、弱者である労働者を保護するという要請から、労働基準法などにより企業に様々な制約が課され、労働契約に対して法的な介入がなされています。

働き方改革は、このような労働契約に対する介入ではなく、政府から企業に対する提言の形をとっています。

それは、企業に対して法的義務を課さなくても、企業が積極的に働き方改革を推進しなければ生き残れないので、義務付けるまでもないということなのでしょう。

 

とはいえ、働き方改革には政府が推進すべき内容と企業が取り組むべき内容が混在しています。

より広い視点から、企業が取り組むべき課題を整理すれば、次の3つに集約されると思います。

 

・労働条件の改善 ・労働環境の改善 ・労働生産性の向上

 

これらは、現在の労働市場の実態からすれば、わざわざ政府から言われなくても、企業は積極的に取り組むべき内容です。

 

<労働条件の改善>

給与や賞与が高額であり、労働時間が短くて十分な睡眠が確保でき、休暇も取れるとなれば、働きたい人が押し寄せます。

さらに、教育研修が充実していて人事考課制度が適正であれば、専業主婦やニートも働きたくなって当然です。

これによって、出生率も上がり人口減少にも歯止めがかかるでしょう。

今は、新型コロナウイルスの影響で、期せずして労働時間の減少が生じています。

将来に対する不安も増大していますから、安心して結婚・子育てを考えるどころか、安眠すらできない人々が増えてしまいました。

これから新型コロナウイルスの終息に向かう中で、労働時間の増加を伴わない回復が期待されます。

 

<労働環境の改善>

温度、湿度、明るさ、換気、騒音、スペースの広さ、機械化の充実など物理的な環境も大事ですが、パワハラやセクハラがなくて部下から見てもコミュニケーションが十分と思えるような環境であれば、人が集まって当然でしょう。

採用難の時代でも、労働条件と労働環境が良い職場には、就職希望者が途絶えることはないのです。

新型コロナウイルスの影響で、在宅勤務を中心とするテレワーク導入が進行しました。

必ずしも、自宅の労働環境が良いとは限りませんが、生活とのバランスは取りやすくなっています。

今後も、労働者にとっては通勤の負担がなく、会社にとっては固定費の負担が少ないテレワークは定着することでしょう。

 

<労働生産性の向上>

労働条件や労働環境の改善は、企業にそれなりの余裕がなければできません。

そのためには、労働生産性を向上させ、企業の収益力を高めなければなりません。

しかし、労働生産性を高めるには、労働条件や労働環境を改善して、良い人材を確保し育てなければなりません。

このように、労働条件や労働環境の改善と労働生産性の向上は、鶏と卵の関係にあるのです。

 

<解決社労士の視点から>

以上のことから、働き方改革が企業の生き残りのために必須であること、できるところから少しずつではなく、総合的に同時進行で行うべきことが明らかになったと思います。

どのように計画し推進すべきか、迷うところがあれば、信頼できる国家資格の社労士にご相談ください。

2021/02/25|1,054文字

 

YouTube解決社労士のご紹介

https://youtu.be/qUAFJ0sjnDg

 

<障害の程度が重くなったときの届出>

障害の程度が重くなり、障害の等級が変われば、手続することによって年金額は増額されます。

この場合には、近くの年金事務所または街角の年金相談センターで、年金額の改定請求の手続を行います。

請求の用紙は、年金事務所または街角の年金相談センターにあります。

請求の用紙に、氏名、生年月日、年金証書に記載されている基礎年金番号と年金コード、けがや病名などを記入して診断書を添えて提出します。

ただし過去1年以内に、障害等級の変更または年金額の改定請求を行っている場合には、この請求ができません。

(省令に定められた障害の程度が増進したことが明らかである場合には、1年を待たずに請求することができます。)

 

<障害の程度が軽くなったときの届出>

障害年金は、普通、毎年1回、現況届と一緒に提出する診断書によって審査され、障害の程度が軽くなったときは、年金額の変更などが行われます。

障害の程度が年金を受けられないほど良くなったときには、そのことを近くの年金事務所または街角の年金相談センターに届け出ることになります。

届の用紙は年金事務所または街角の年金相談センターにもありますが、「ねんきんダイヤル」に電話すれば、送ってもらうこともできます。

届には障害の程度が良くなった年月日、年金証書に記載されている基礎年金番号と年金コード、生年月日などを記入します。

 

<障害が軽くなって年金が止められていたが重くなって受給できるとき>

障害年金を受けることができる障害の程度に該当すれば、今まで支払の止まっていた年金が支払われます。

この場合には、近くの年金事務所または街角の年金相談センターに届け出ます。

届には、氏名、生年月日、年金証書に記載されている基礎年金番号と年金コード、けがや病名などを記入して診断書を添えて提出します。

 

※これらの手続に必要な用紙は、国民年金を受けている人の場合、市区役所または町村役場の国民年金の窓口でも受け取れます。

 

<ねんきんダイヤル>

一般的な年金相談に関する問い合わせや、窓口での相談の予約も受けています。 ねんきんダイヤル 0570-05-1165

( 050で始まる電話からかける場合 03-6700-1165

 

受付時間

月曜日は午前8時半から午後7

火曜日から金曜日は午前8時半から午後515

第2土曜日は午前9時半から午後4

※月曜日が祝日の場合は、翌日以降の開所日初日に午後7時まで相談を受けています。

※第2土曜日を除く祝日及び1229日から13日はお休みです。

 

解決社労士

2021/02/24|1,618

 

YouTube情報漏洩の防止

https://youtu.be/nnTZG2FyG8w

 

<悪ふざけ写真の拡散>

6年ほど前、アルバイト社員がSNSに悪ふざけの写真を投稿し、これが拡散されて会社に損害をもたらす事件が多発しました。

自分の友だち限定で、ウケを狙って配信したところ、その友達がコピーして一般公開してしまい、拡散されて会社が信用を失うことになったわけです。

こうした事件は、店舗で発生することが多く、お客様の信用を失って、休業や閉店などを余儀なくされることもありました。

不正な情報拡散の威力を思い知った事件でした。

 

<情報漏えいの問題>

店舗よりも、むしろ本部など事務部門の方が、重要な機密情報を多く保有しています。

営業上の秘密が漏洩すると、会社は直接的な打撃を受けます。

顧客の個人情報などが漏洩すると、信用が失われ、信用回復のために多額の費用を投じても、回復までの間、売上が相当に減少してしまいます。

社員の中に、こうした情報を漏洩している者がいると疑われた場合には、迅速で徹底的な対応を迫られることになります。

 

<懲戒処分の検討>

社内に情報漏えいの疑われる社員がいる場合、まず会社は事実の確認をします。

情報漏えいの事実が確認された場合、就業規則にこれを懲戒の対象とする具体的な規定があれば、適正な手続に従って、懲戒処分を検討することになります。

しかし、就業規則の中に情報漏えいに対応できる規定が無ければ、情報漏えいを理由に処分することは困難です。

 

<秘密保持誓約書>

情報漏えいの事実が確認できないものの、その疑いがある場合には、対象社員に就業規則の内容を説明したうえで、それを再確認する形での秘密保持誓約書に署名してもらうなどの対応を考えるでしょう。

これなら、対象社員も署名することに抵抗を示さないかも知れません。

ところが、就業規則に規定の無い内容を含む誓約書に署名させることは、新たに義務を課すことになりますから、署名を強要できませんし、署名しないことをもって情報漏えいの可能性が高まったと判断するわけにもいきません。

対象労働者は、誓約書への署名を強要されたことが原因で、会社に対する反感から、意図的な情報漏えいに走るかも知れないのです。

対象労働者の神経を逆なでしないためにも、また他にも情報漏えいの恐れがある社員がいる可能性をも考えて、その部署全員に説明し誓約書に署名を求めるのが得策です。

 

<就業規則の規定>

秘密保持について、就業規則に規定が無いのであれば、「遵守事項」の項目に次の内容を加えておきましょう。

「在職中および退職後においても、業務上知り得た会社、取引先、顧客等の機密を漏洩しないこと」

また懲戒項目には、これに対応する次のものを加えておきましょう。

「正当な理由なく会社の業務上重要な秘密を外部に漏洩して会社に損害を与え、または業務の正常な運営を阻害したとき」

 

<解決社労士の視点から>

就業規則や誓約書で情報漏えいを防止しようとするのは、ルールで社員を縛ろうとするものです。

ですから、就業規則の内容を説明し、誓約書に署名させても、これらに反感を覚える社員は一定数存在します。

そもそも社員は、労働契約上、信義則により業務上の秘密を守る義務を負っています。

この義務に違反して情報を漏洩し会社に損害を加えれば、労働契約上の債務不履行責任により、あるいは不法行為責任により、社員は会社に対して損害賠償責任を負うこともあります。

その金額は、かなり多額になるでしょうから、その後の人生を棒に振ることにもなりかねません。

この辺りを、社員に教育しておくことが情報漏えいの防止には必要ではないでしょうか。

 

【参考:古河鉱業事件判決(東京高判昭和55年2月18日)】

労働者は労働契約に基づき労務を提供するほか、信義則により使用者の業務上の秘密を守る義務を負うとしたうえで、会社が機密漏洩防止に特段の配慮を行っていた長期経営計画の基本方針である計画基本案を謄写版刷りで複製・配布した労働者に対する懲戒解雇を有効と判断した事案。

2021/02/23|1,936文字

 

YouTube労働条件を確認しましょう

https://youtu.be/QzMHmif7cgY

 

<アルバイトを始める前に労働条件を確認>

働き始めてから、「最初に聞いた話と違っていた」ということにならないように、会社から契約書など書面をもらい、労働条件をしっかり確認しましょう。

特に次の6項目については必ず確認しましょう。

・契約はいつまでか(労働契約の期間に関すること)

・契約期間の定めがある契約を更新するときのきまり(更新があるか、更新する場合の判断のしかたなど)

・どこでどんな仕事をするのか(仕事をする場所、仕事の内容)

・勤務時間や休みはどうなっているのか(仕事の始めと終わりの時刻、 残業の有無、休憩時間、休日・ 休暇、 交替制勤務のローテーションなど)

・バイト代(賃金)はどのように支払われるのか(バイト代の決め方、計算と支払いの方法、支払日)

・辞めるときのきまり(退職・解雇に関すること)

※労働条件を確認する書類には、雇用契約書、労働契約書の他に、雇い入れ通知書、労働条件通知書などがあります。

 

<バイト代は、毎月、決められた日に、全額支払われるのが原則>

労働基準法では、バイト代などの賃金について「賃金の支払の5原則」というルールがあります。

バイト代は、通貨で、全額を、労働者に直接、毎月1回以上、 一定の期日に 支払われなければなりません。

また、バイト代などの賃金は都道府県ごとに「最低賃金」が定められており、これを下回ることはできません。

 

<ペナルティによる減給の制限>

遅刻を繰り返すなどにより職場の秩序を乱すなどの規律違反をしたことを理由に、就業規則に基づいて、制裁として本来受けるべき賃金の一部が減額されることがあります(これを減給といいます)。

しかし、事業主(会社)は規律違反をした労働者に対して無制限に減給することはできません。

1回の減給金額は平均賃金の1日分の半額を超えてはなりません。

また、複数にわたって規律違反をしたとしても、減給の総額が一賃金支払期における金額(月給制なら月給の金額)の10分の1が上限です。

 

<アルバイトでも残業手当があります>

労働基準法では、法定労働時間を超えて残業をさせる場合、事業主はあらかじめ、労使協定(「36(さぶろく)協定」)を締結し、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。

また、残業に対しては、割増賃金 (残業手当)を次のように支払うよう定めています。

・1日8時間または週40時間を超えた場合は、通常の賃金の25%以上の割増賃金

※ 労働者10人未満の商業、接客娯楽業等は週44時間

・1か月に60時間を超える残業の割増率は50%(ただし、中小企業は猶予)

午後10時から午前5時までに働いた場合は25%以上の割増賃金(深夜手当)が支払われます。

(満18歳になるまでは、午後10時から午前5時までの時間帯に働けません。)

※「残業」と言っていますが、正確には「時間外労働」です。早出も「時間外労働」ですから、「残業代」が支払われます。

 

<アルバイトでも条件を満たせば有給休暇が取れる>

年次有給休暇とは、あらかじめ働くことになっている日に仕事を休んでも、賃金がもらえる休暇のことで、いわゆる 「有休」や「年休」のことです。

年次有給休暇は、正社員、パート、アルバイトなどの働き方に関係なく、次の条件を満たす場合、取ることができます。

・週1日以上または年間48日以上の勤務

・雇われた日から6か月以上継続勤務

・決められた労働日数の8割以上出勤

 

<アルバイトでも仕事中のけがは労災保険が使える>

正社員、アルバイトなどの働き方に関係なく、また、1日だけの短期のアルバイトも含めて、労災保険の対象です。

仕事が原因の病気やけが、通勤途中の事故で病院に行くときは、健康保険を使えません。※健康保険証を提示しないことになります。

病院で受診するときに、 窓口で労災保険を使うことを申し出てください。

原則として治療費は無料となります。

また、仕事が原因のけがなどで仕事を休み、バイト代をもらえない場合は、休業補償制度があります。

 

<アルバイトでも会社の都合で自由に解雇はできない>

アルバイトだからといって、簡単に解雇できるものではありません。

解雇は、会社がいつでも自由に行えるというものではなく、社会の常識に照らして納得が得られる理由が必要なのです。

 

<困ったときの相談窓口>

アルバイトをして労働条件など、労働関係で困った場合は、全国の労働局や労働基準監督署などにある「総合労働 相談コーナー」にご相談ください。

相談は無料です。

また、夜間・土日の相談は、「労働条件相談ほっとライン」 を活用してください。

 

労働条件相談ほっとライン

0120-811-610

月~金:午後5時~午後10時

土・日:午前10時~午後5時

 

解決社労士

2021/02/22|1,215文字

 

YouTube被保険者 被扶養者「被」とは?

https://youtu.be/TLTo2eFOMfU

 

<保険証>

皆さんは、病院に行くと受付で「保険証」を提示すると思います。

この「保険証」という名前は通称です。

正式には「被保険者証」という言いにくい名前です。

お手元の「保険証」を見ていただくと「被保険者証」と書いてあるはずです。

 

<「被」という漢字の意味>

「被」という漢字には、受け身の意味があります。

「受け身」というのは、行動の主体からの動作・作用を受ける人を主人公にして話す話し方です。

 

Aさんから見て「AさんがBさんをほめた」というのは、

Bさんから見ると、「BさんがAさんからほめられた」となります。

この「BさんがAさんからほめられた」というのが受け身です。

 

受け身は、英語の授業では受動態として習いました。

漢文の授業では、「被」という字を「る」「らる」という受け身の助動詞として習いました。

 

<社会保険で「被」が付くことば>

「被保険者」は、保険について受け身の人のことをいいます。

保険者は、保険を運用する人のことをいいます。

健康保険の保険者は、保険証に書かれています。

協会けんぽであったり、健康保険組合であったりです。

国民健康保険では、市町村が保険者です。

そして、保険が適用され給付を受ける人が「被保険者」ということになります。

日常用語では「保険加入者」とも言いますね。

 

「被扶養者」は、扶養について受け身の人のことをいいます。

誰かを扶養する人を、わざわざ「扶養者」ということは少ないでしょう。

誰かに扶養されている人のことを「被扶養者」といいます。

日常用語では「扶養家族」ですね。

特に被扶養者のうち配偶者を「被扶養配偶者」といいます。

厚生年金で勤め人が第二号被保険者、その被扶養配偶者が20歳から59歳までであれば、第三号被保険者ということになっています。

 

<労働保険で「被」が付くことば>

雇用保険や労災保険でも、保険が適用される人は「被保険者」ということになります。

労災保険では、保険事故に遭った人のことを「被災者」といいます。

業務災害や通勤災害という災害に遭った人ということです。

 

<その他「被」が付くことば>

「被相続人」というのは亡くなった人です。

「相続人」は、相続する人、相続を受ける人のことですから、相続される人は亡くなった人ということになります。

 

「被害者」は害を受ける人です。相手は「加害者」です。

 

「被告人」は、犯罪の嫌疑を受けて公訴を提起された人です。

「告訴された人」が語源ですが、その意味は「起訴された人」です。

告訴は、犯罪の被害者などが、捜査機関に犯罪事実を申告し、犯人の訴追を求めることですから、起訴とは意味が違っています。

なお「被告」は、民事裁判で訴えを提起された人のことを指しますから、犯罪者というわけではありません。

日常用語では、「被告人」と「被告」が混同されています。

テレビニュースでも、正しく区別されていません。

 

話が脱線しましたが、「被◯◯」という言葉が出てきたら、思い出してみてください。

 

解決社労士

2021/02/21|2,152文字

 

YouTube傷病手当金の書類を会社が書いてくれない

https://youtu.be/cuSdiy6H6Mg

 

<傷病手当金支給申請書>

傷病手当金支給申請書の提出先は、健康保険証に書いてある保険者です。

そして申請書の形式は、保険者が決めています。

たとえば、協会けんぽの申請書であれば、1セット4枚で、次の内容になっています。

1,2枚目 = 申請者情報、申請内容

3枚目 = 事業主の証明 ※事業主とは会社などのことです。

4枚目 = 療養担当者の意見書 ※療養担当者とは医師などのことです。

 

<記入する人>

1,2枚目の申請者情報、申請内容は、仕事を休んだ健康保険加入者(被保険者)自身または、被保険者が亡くなった場合は相続人が記入します。

会社の担当者が、ほとんど代筆してくれることもあります。

3枚目の事業主の証明は、会社の担当者や顧問の社会保険労務士が記入します。

4枚目の療養担当者の意見書は、担当医師が記入します。

 

会社が傷病手当金の書類を書いてくれなくて困るというのは、事業主の証明の部分を書いてくれないということになります。

1,2枚目の書き方がわからないのであれば、保険者に確認することになります。

 

<会社が知らないケース>

会社に傷病手当金のことを知っている人がいないとか、書類の書き方がわからないとかいう理由で、書類を書いてもらえないということがあります。

傷病手当金は、業務災害や通勤災害を除く病気やケガで働けないとき、賃金の一部を健康保険が支払ってくれるもので、これを利用しても、保険料が上がったりしないと説明すれば、書いてもらえるかもしれません。

会社が記入する内容は、勤務状況と支給した賃金の内訳です。

勤務状況は、「出勤した」「休んだ」「公休だった」「年次有給休暇だった」という区分だけですから、勤務開始時刻や勤務終了時刻など細かい数字は要りません。

賃金の内訳も大まかな内容です。

ただ、会社が賃金計算を外部に委託していると面倒に思うのかもしれません。

このような説明をしても分かってもらえない場合には、事業主の証明を自分で代筆して、ゴム印と代表印だけもらうのが早いと思います。

自分で書くのが難しければ、書き慣れている人に代筆してもらうこともできます。

 

<会社が労災を隠しているケース>

たとえば、パワハラが原因でうつ病になった場合には、本来は労災保険の手続をとるのが正しいのです。

こんなとき、うつ病になった被災者から傷病手当金の書類を書くように求められると、会社は労災の責任を問われることを恐れて、書類の作成から逃げることも考えられます。

労災の認定をするのは、所轄の労働基準監督署や労働局ですから、少しでも業務に原因がありそうな場合であれば、お近くの労働基準監督署に相談してみると良いでしょう。

労災にあたるケースであれば、労働基準監督署が会社に対して、労災保険の手続をするように指導してくれます。

この場合には、そもそも健康保険の傷病手当金は対象外です。

 

<会社が社会保険料をごまかしているケース>

会社が社会保険加入者(被保険者)の給料などを過少申告して、社会保険料を少なめに支払っていることがあります。

健康保険も保険ですから、手当金の金額は保険料に見合ったものとなります。

ですから、傷病手当金の手続をとると、支給額が不当に少ないことがわかってしまい、不正が発覚することになります。

会社の不正が疑われる場合には、健康保険証に書いてある保険者に相談することをお勧めします。

 

<会社が意地悪をしているケース>

会社と申請者が何らかの対立関係にあれば、会社が意地悪をして書類を書いてくれないことも考えられます。

こうしたケースでは、労働組合や議員さんに相談して何とか解決できたという話も聞かれます。

しかし、健康保険法に次の規定があります。

 

(報告等)

第百九十七条 保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者を使用する事業主に、第四十八条に規定する事項以外の事項に関し報告をさせ、又は文書を提示させ、その他この法律の施行に必要な事務を行わせることができる。

2 保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む。)又は保険給付を受けるべき者に、保険者又は事業主に対して、この法律の施行に必要な申出若しくは届出をさせ、又は文書を提出させることができる

 

(罰則)

第二百十六条 事業主が、正当な理由がなくて第百九十七条第一項の規定に違反して、報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、文書の提示をせず、又はこの法律の施行に必要な事務を行うことを怠ったときは、十万円以下の過料に処する。

 

これらを根拠に、会社を説得するよう保険者にお願いしてみてはいかがでしょうか。

保険者は「…できる」という規定ですから、保険者に義務付けられているわけではないので、あくまでも熱心にお願いすることになります。

罰則も「十万円以下の過料」と決して重くはないですが、会社に対するプレッシャーにはなるでしょう。

 

<なかなか書いてもらえないケース>

会社としては書く気が無いのではなく、遅いだけということもあります。

傷病手当金の請求書は、最長3か月分をまとめて記入できますから、まとめて書くつもりのこともあります。

しかし、「なるべく早くお金が欲しい」という申し出をしてみたら、急いで書いてくれるかもしれません。

 

解決社労士

2021/02/20|961文字

 

YouTube労働条件を確認しましょう

https://youtu.be/QzMHmif7cgY

 

<最低賃金以上であることを確認する方法>

厚生労働省は、ホームページに次の説明を公開しています。

 

支払われる賃金が最低賃金額以上となっているかどうかを調べるには、最低賃金の対象となる賃金額と適用される最低賃金額を以下の方法で比較します。

 

(1)時間給制の場合

時間給 ≧ 最低賃金額(時間額)

 

(2)日給制の場合

日給 ÷ 1日の所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)

 

ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、

 

日給 ≧ 最低賃金額(日額)

 

(3)月給制の場合

月給 ÷ 1箇月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金額(時間額)

 

(4)出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合

出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金計算期間に出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数で除して時間当たりの金額に換算し、最低賃金額(時間額)と比較します。

 

(5)上記(1)、(2)、(3)、(4)の組み合わせの場合

例えば、基本給が日給制で、各手当(職務手当など)が月給制などの場合は、それぞれ上記(2)、(3)の式により時間額に換算し、それを合計したものと最低賃金額(時間額)を比較します。

 

<最低賃金違反の罰則と企業名の公表>

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。

仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。

したがって、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。

また、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められています。

これは、過料のような行政罰ではなく罰金であり刑罰です。

刑罰の定められている行為を行うのは犯罪です。

罰則は実際に適用されていますし、厚生労働省のホームページで企業名が公表されています。

PDFファイルで表示されていますから保存も印刷も簡単です。

こうなると対象企業は、金融機関や取引先、お客様からの信頼を失いますし、求人広告を出しても人材の獲得は困難でしょう。

 

解決社労士

2021/02/19|1,856文字

 

YouTube社会保険料を減らす意味

https://youtu.be/Yz-6Sg9b3UI

 

<かつて流行った広告>

「社会保険料(厚生年金保険料と健康保険料)を減額できます」

こんな広告が流行っていた時期がありました。

その多くは、社労士(社会保険労務士)が出していたものです。

社会保険料を減額するということは、会社の負担も社会保険に加入している社員の負担も減ります。

社労士に報酬を支払ってでも、社会保険料を減額するのは得だという話でした。

その具体的な手法は、法による規制をかいくぐって行う脱法行為が中心でした。

 

<厚生労働省の対応>

社会保険料(厚生年金保険料と健康保険料)が予定通りに集まらなければ、年金制度や健康保険制度の維持に支障が出るかもしれません。

ですから、脱法行為による社会保険料の減額を厚生労働省が放置するわけがないのです。

結局、脱法行為が増えるたびに、厚生労働省が社会保険料の計算ルールを追加して、その脱法行為ができないようにしていったのです。

こうして社会保険料を減額する効果は失われていきました。

 

<保険のしくみ>

厚生年金保険も健康保険も「保険」です。

保険というのは、保険料に見合った補償(給付)が行われるものです。

特に、社会保険(厚生年金保険と健康保険)は保険者を選ぶことができません。

保険契約の内容も、制度として法定されています。

保険料を減額すれば、社会保険に加入している社員への補償(給付)も減額されるわけです。

 

<不当な保険料減額のリスク>

社会保険に加入している社員が将来もらう老齢厚生年金には、支払った保険料が反映されています。

もし、会社が違法なことをして少なめの保険料しか納めていなかったなら、老齢厚生年金も少なめになります。

こうした社員は、老齢厚生年金の受給額が不当に少ないと気付いたら、会社を訴えようとするかもしれません。

しかし、気付くまでに長い年数が経過して時効の壁があるでしょうし、会社が無くなっているかもしれません。

 

厚生年金保険に加入している社員が障害者になってしまい、障害厚生年金を受給するときに、受給額が不当に低いと気付けば、その時点で会社を訴えるかもしれません。

厚生年金保険に加入している社員が万一亡くなって、遺族が遺族厚生年金を受給するようになれば、遺族が会社を訴えるかもしれません。

 

健康保険に加入している社員が、プライベートの病気やケガで入院したような場合には、休業期間の賃金を補償するため傷病手当金が支給されます。

この支給額は、健康保険料が少なければ、それだけ少なくなってしまいます。

健康保険に加入している社員が、産休を取った場合にも、休業期間の賃金を補償するため出産手当金が支給されます。

この支給額も、健康保険料が少なければ、それだけ少なくなってしまいます。

病気、ケガ、出産をきっかけに退職を考える社員もいるでしょう。この場合には、会社を訴えたい気持ちも強くなると思われます。

 

<社会保険料を減額する方法>

社会保険料は、入社月について丸々1か月分が徴収されますから、1日に入社しても月末に入社しても保険料は同額です。

中途採用であっても、入社日は1日にするのがお得です。

 

社会保険料は、社会保険の資格を失った月の前月分までが徴収されます。

たとえば退職の場合、資格を失うのは退職日の翌日です。

ですから、月末に退職すると翌月1日に資格を失うことになり、退職月の分まで保険料を徴収されることになります。

これが、月末以外の日に退職すれば、その月のうちに資格を失うことになりますから、退職月の保険料は発生しません。

退職は月末の1日前にするのがお得です。

 

社会保険料は、毎年4月から6月の給与支給額をもとに計算するのが原則となっています。

毎年4月から6月に支給される給与の計算期間は残業を減らしましょう。

たとえば、毎月末日締め切り翌月10日支払いの給与であれば、毎年3月から5月までの残業を減らすことになります。

また、昇給は7月支給分からにして、毎年4月から6月に支給される給与の増額を避けるという手もあります。

 

他にも、賞与の一部を退職金の積み立てに回すなど、使える手段は数多くあります。

 

<解決社労士の視点から>

それでも、次のことを忘れてはいけません。

保険というのは、保険料に見合った補償(給付)が行われるものです。

ですから、保険料の減額は、どうやっても補償(給付)の減額に結びつきます。

このことをよく理解したうえで、会社と社員とがよく話し合い理解したうえで、実行に移すことが大事です。

また、適法に行うには、信頼できる国家資格者の社労士へのご相談をお勧めします。

2021/02/18|1,662文字

 

YouTubeコロナハラスメント

https://youtu.be/Y0ga4SznnTM

 

<コロナハラスメント>

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、コロナ関連のハラスメントが発生しています。

これは、コロナハラスメントと呼ばれています。

コロハラは私生活の場でも発生しますが、職場で発生するコロハラは会社が見過ごすわけにはいきません。

ハラスメントは、どれも嫌がらせであり人権侵害です。

これを会社が放置すると、生産性の低下や退職者の増加をもたらします。

 

<発生のシーン>

勤務中にマスクを着用していない従業員に怒りがぶつけられます。

東京や外国の感染拡大地域から帰ってきた従業員が、出勤しないように強く求められます。

会議の席で、マスクを着用していない取締役が、大声で発言するのを他の従業員が制止できずにいます。

会社の飲み会では、会場が十分な感染拡大防止策をとっていて、参加者全員がマナーを守るのでなければ、感染を恐れる従業員にとってはコロハラとなりえます。

運悪く感染した従業員は、なかなか職場に復帰させてもらえませんし、復帰後も「いつ、どこで、どのように感染したのか」と、プライバシーを詮索されてしまいます。

従業員の家族が感染した場合にも、その従業員は家族の感染を責められます。

 

<感染防止ハラスメント>

誰しも、新型コロナウイルスに感染することを恐れています。

その一方で、「こうすれば絶対に感染しない」と言い切れる予防法はありません。

手指や机・椅子のアルコール消毒、マスクやフェイスシールドの着用、自宅や会社での検温と体調管理など、やるべきことは多岐に渡ります。

こうした対策を徹底している従業員の「常識」から見れば、感染防止対策をあまりしない従業員の行動は許せないものに感じ、嫌がらせをしてしまいがちです。

故意にアルコールを吹きかけるなどの暴挙も聞かれます。

 

<感染疑いハラスメント>

繰り返し咳込んだり、額に手を当ててぼんやりしたりすると、周囲から新型コロナウイルスに感染したのではないかと、疑いの目を向けられます。

喘息持ちであったり、額に手を当てのるが癖だったりしても、疑いが晴れることはありません。

周囲の従業員は、ソーシャルディスタンスを遥かに超える距離をとったり、帰宅を促したりと、本人からすれば嫌がらせと感じる行動をとることがあります。

特にこうした様子が見られなくても、東京への出張から帰ってきたばかりとなると、出勤せずに在宅で勤務することや、年次有給休暇を取得することを迫られたりすることもあります。

 

<感染者へのハラスメント>

運悪く新型コロナウイルスに感染し、隔離され、PCR検査で陽性反応が出なくなり、さらに一定の期間自宅療養してから出勤しても、バイキン扱いされてしまうことがあります。

また、周囲への感染リスクが無いことが分かっても、どこでどうやって感染したのか詮索されます。

感染者の多い場所に出掛けていたことが判明すれば、それを非難の対象とされることもあります。

 

<コロハラの防止>

コロハラは、被害者の「常識」と加害者の「常識」とが食い違っているために発生します。

「常識」というのは、各個人に固有のものですから、食い違うのが当たり前です。

会社でコロハラの発生を防止するには、全従業員が各個人の「常識」ではなく、社内ルールに従って行動することにすれば良いのです。

ここで、社内ルールとして定めておくことが必要なのは、次のようなものです。

 

・従業員が社内外で講ずる感染防止策のルール・従業員が体調不良で感染が疑われるときの行動ルール・従業員の家族が体調不良で感染が疑われるときの行動ルール

・従業員や家族が感染したときの行動ルール

・従業員が濃厚接触者とされたときのルール

 

注意したいのは、「本人」に当たる従業員のルールだけでなく、周囲の従業員が取るべき行動のルールも必要だということです。

 

<解決社労士の視点から>

上記に掲げたルールの中には、新型コロナウイルスに特有のものもありますが、多くはインフルエンザなどの感染症にも共通するものです。

納得できるルールを定められるよう、社内でよく話し合って策定することが大切です。

2021/02/17|673文字

 

YouTube解決社労士のご紹介

https://youtu.be/qUAFJ0sjnDg

 

<源泉徴収義務者>

会社や個人が、人を雇って給与を支払ったり、税理士、弁護士、司法書士、社会保険労務士などに報酬を支払ったりする場合には、その支払の都度、支払金額に応じた所得税と復興特別所得税を差し引くことになっています。

そして、差し引いた所得税と復興特別所得税は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月の10日までに国に納めなければなりません。

この所得税と復興特別所得税を差し引いて、国に納める義務のある者を源泉徴収義務者といいます。

 

<個人が源泉徴収義務者にならない場合>

個人のうち、次の2つのどちらかに当てはまる人は、源泉徴収をする必要はありません。

・常時2人以下のお手伝いさんなどのような家事使用人だけに給与や退職金を支払っている人

・給与や退職金の支払がなく、社会保険労務士などの報酬・料金だけを支払っている人

たとえば、給与所得者が確定申告をするため税理士に報酬を支払っても、源泉徴収をする必要はありません。

 

<新たに源泉徴収義務者となる場合>

会社や個人が、国内で新たに給与の支払を始めて、源泉徴収義務者になる場合には、「給与支払事務所等の開設届出書」を、給与支払事務所等を開設してから1か月以内に提出することになっています。

この届出書の提出先は、給与を支払う事務所、事業所その他これらに準ずるものなどの所在地を所轄する税務署長です。

ただし、個人が新たに事業を始めたり、事業を行うために事務所を設けたりした場合には、「個人事業の開業等届出書」を提出することになっていますので「給与支払事務所等の開設届出書」を提出する必要はありません。

 

解決社労士

2021/02/16|905文字

 

YouTube「社会通念上相当」の意味

https://youtu.be/z4rMrTt-cn8

 

<解雇は無効とされやすい>

会社が社員に解雇を通告しても、それが解雇権の濫用であれば無効になります。

これを不当解雇といいます。

解雇したつもりになっているだけで解雇できていないので、対象者が出勤しなくても、それは会社側の落ち度によるものとされ賃金や賞与の支払義務が消えません。

会社にとっては、恐ろしい事態です。

出来てから10年余りの労働契約法という法律に次の規定があります。

 

(解雇)

第十六条   解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

大変抽象的な表現ですから、いかようにも解釈できそうです。

しかし、正しい解釈の基準は裁判所の判断です。

そして、裁判所の判断によれば、解雇権の濫用は簡単に認定されます。

つまり、多くの場合、不当解雇が認定されます。

 

<解雇のチェックリスト>

過去の裁判所の判断例から、以下にチェックリストを示します。

ほとんどの項目にチェックマークが入るケースならば、解雇の有効性が肯定されやすいといえるでしょう。

 

□ 解雇の理由が労働契約の継続を期待し難いほど重大なものである

□ 労働契約で約束した能力や資質と実際とが大きく食い違う

□ 教育しても労働者の能力の向上が期待できない

□ 配転や降格では対応できない

□ 教育指導を十分に行ってきた

□ 上司や教育担当が十分な対応を行ってきた

□ 解雇までの経緯や動機に隠された意図や恣意が認められない

□ 解雇の手続は就業規則に定めた通りに行った

□ 対象者と話し合い、言い分も聞いたうえで決定した

□ 対象者の会社に対する功績や貢献度が低い

□ 勤続年数は短い

□ 対象者は解雇されても再就職が容易である

□ 他の従業員に対する処分とのバランスはとれている

□ 対象者に対して、より軽い懲戒処分で対応した過去がある

 

<解決社労士の視点から>

こうして見ると、しろうとでは判断が困難な項目も含まれています。

また、チェックマークを入れられる状態にするには、日頃の準備が必要な項目もあります。

問題社員が増加傾向にある今、会社を守るための準備を進めるには、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

2021/02/15|1,344文字

 

YouTube「合理的」の意味

https://youtu.be/E-BgYSjxLZI

 

<2つの最高裁判決>

令和2(2020)年10月13日、大阪医科薬科大学事件とメトロコマース事件の最高裁判決が出されました。

大阪医科薬科大学事件ではアルバイト職員の賞与が、メトロコマース事件では契約社員の退職金が争われ、どちらも原告に支給する必要は無いという判断が下されました。

この結論については、マスコミが大々的に取り上げましたから、印象に残っている方も多いことでしょう。

しかし、これらの結論は一般論ではなく、どちらも正社員登用制度があり、実際に運用され、登用実績があったという事情が重要な判断要素とされています。

どちらの訴訟でも原告は、正社員の1段階前への登用にチャレンジする試験を受験し、失敗して諦めていたという事情があります。

つまり、正社員登用のチャンスが与えられていたことになります。

 

<均衡待遇・均等待遇>

上記の最高裁判決では、改正前の労働契約法第20条が焦点となりました。

現在は、パート有期労働法(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)が、その内容を引き継ぎ、フルタイムの有期雇用労働者に適用対象が拡大されています。

同法第8条では均衡待遇(不合理な待遇差の禁止)について、1.職務の内容、2.職務の変更の範囲、3.その他の事情が判断要素とされ、待遇の不合理性が判断されます。

また、同法第9条では均等待遇(差別的取扱の禁止)について、1.職務の内容と2.職務の変更の範囲が同じであれば、同等の待遇であることが求められ、差別的取扱が禁止されています。

「1.職務の内容」は、業務内容と責任の程度を指します。

「2.職務の変更の範囲」は、将来にわたって職務内容や配置の変更の範囲を指します。

水平的な職務や部署の変更だけでなく、垂直的な役職の変更なども含まれます。

「3.その他の事情」には、労使慣行や労働組合との折衝内容などが含まれます。

上記2つの最高裁判決では、正社員登用制度の存在や運用実績が、3.その他の事情として考慮されたことになります。

 

<正社員への転換>

パート有期労働法第13条は、通常の労働者への転換について規定しています。

「正社員」という言葉は法律用語ではなく、その定義は各企業に任されています。

このこともあって、パート有期労働法では「通常の労働者」と言っていますが、「正社員」とほぼ同義です。

そして、同法第13条は「事業主は、通常の労働者への転換を推進するため、その雇用する短時間・有期雇用労働者について、次の各号のいずれかの措置を講じなければならない」と規定しています。

その措置とは次の4つです。

1.正社員を募集するときに、募集内容を短時間・有期雇用労働者に周知すること。

2.正社員の配置を新たに行うときに、短時間・有期雇用労働者に応募機会を与えること。

3.短時間・有期雇用労働者向けに、試験制度など正社員登用の措置を講ずること。

4.その他の正社員への転換推進措置を講ずること。

4つの中では、1.の正社員募集内容の周知が最も手軽です。

しかし、同一労働同一賃金との絡みでは、3.の正社員登用制度の構築が有効です。

制度はあるものの形骸化している状態では、会社側に有利に働きませんので、定期的に正社員登用の告知を行い、記録を残しておくなど、その制度が有効であることを示す資料の保管を心がけましょう。

 

解決社労士

2021/02/14|766文字

 

YouTube被保険者 被扶養者「被」とは?

https://youtu.be/TLTo2eFOMfU

 

<健康保険証の効力>

会社で交付された健康保険証は、退職したり所定労働時間が減ったりして、健康保険の加入条件を満たさなくなると効力を失います。

この場合、保険証は会社を通じて協会けんぽなどの保険者に返却しなければならないのですが、たとえ手元に残しておいたとしても使えません。

乾電池は電池切れの状態になっても、新品の電池と見た目は変わりがないのですが使えません。

これと同じように、退職後に保険証を使うことはできません。

このことは、扶養家族が扶養から外れた場合の、その扶養家族の保険証にも当てはまります。

 

<効力切れの保険証を使うと>

退職後に誤って保険証を病院などの医療機関で使ってしまうと、後日、健康保険で支払われた医療費を、協会けんぽなどの保険者から資格を失った人に直接返還請求しているのです。

繰り返し請求されても返還しない場合は、裁判所へ支払督促申立てや少額訴訟等の法的手続を経て、強制執行(給与、預貯金等の差押え)による回収が行われます。

この場合、返還請求の対象となるのは自己負担額ではなくて医療費の全額です。

たとえば、5万円の医療費について自己負担3割で1万5千円を支払った場合に、返還請求を受けるのは1万5千円ではなくて5万円ということになります。

 

<返還請求の実態>

健康保険の資格喪失後、保険証を返却せずに医療機関等で使用して、協会けんぽから返還請求を行っているケースが全国で発生しています。

資格を失ったら速やかに保険証を返却しましょう。

 

<解決社労士の視点から>

無効な保険証を使って治療を受けるのは、一種の詐欺です。

こうした不正なことをする人がいれば、保険料も上がってしまいます。

経済的な理由から、医療費の支払が困難な人に対しては、様々な救済措置が採られます。

困ったときは、総合病院の窓口、市町村役場などに相談してください。

2021/02/13|948文字

 

YouTube解決社労士のご紹介

https://youtu.be/qUAFJ0sjnDg

 

<再就職手当>

雇用保険の失業手当(求職者給付の基本手当)の受給資格の決定を受けた人が、早期に安定した職業に就いた場合に支給されます。

早期に安定した職業に就いた場合」には、自分で事業を開始した場合を含みます。

失業手当(求職者給付の基本手当)を受給していると、「手当をすべてもらい終わってから再就職した方が得」という気持になりがちです。

しかし、これでは失業手当が再就職を妨げていることになります。

そこで、再就職手当の制度により、再就職を促進しようというものです。

 

<再就職手当の額>

 

所定給付日数を3分の2以上残して再就職した場合

支給額 = 基本手当日額 × 失業保険の支給残日数 × 70%

 

所定給付日数を3分の1以上残して再就職した場合

支給額 = 基本手当日額 × 失業保険の支給残日数 × 60%

 

早く再就職したほうが、給付率が高いわけです。

 

<受給条件の注意>

受給のためには、次のような条件のすべてを満たすことが必要です。

かなり多いのですが、赤文字のところは特に注意が必要です。

・ハローワークで受給手続をした後、7日間の待期期間満了後に就職(事業開始)したこと。

・再就職の前日までで、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること。

・離職前の事業主に再び雇われたものではないこと。離職した事業所と密接に関連する事業所への再就職ではないこと。

・失業手当(求職者給付の基本手当)の手続をする前に雇われることが約束されていないこと。

・給付制限期間がある場合には、期間が開始してから1か月以内の再就職の場合は、ハローワークなどの紹介で就職したこと。

・過去3年以内の就職について、再就職手当をもらっていないこと。

・1年を超えて勤務することが確実であること。

 

<解決社労士の視点から>

再就職手当支給申請書は、再就職から1か月以内に所轄のハローワークに提出することになっています。

再就職先の会社は、必要書類の事業主記入欄に記入し、添付書類と共に新規採用者に渡すのですが、これを速やかに行う必要があります。

その一方で、受給の条件を満たしていない人に、条件を満たしているような書類を渡してしまうのは違法受給への加担となってしまいます。

迷うところがあれば、信頼できる国家資格の社労士にご相談ください。

2021/02/12|1,239文字

 

YouTubeこれって労働時間?

https://youtu.be/2UlD66LICBo

 

<失敗例>

経営者側が「残業は月20時間までにしなさい」「残業禁止」などと言い放つだけなのは最悪のパターンです。

上司、同僚、部下の能力不足を一人で背負いこんで、毎月無理な長時間労働に追い込まれているスーパー社員もいます。

この社員は、過労死するか退職するかの選択に迫られるでしょう。

サービス残業も発生します。

残業しても会社に申告しなければ、上司は黙認してしまうでしょう。

あるいは、労働時間の管理がいい加減で、サービス残業に気付かないパターンもあります。

サービス残業に耐えられなくなった社員は、退職後に会社に対して未払い賃金を請求します。

一人がこれに成功すれば、みんなが同じことをします。

さらに、仕事の持ち帰りも発生します。

これによって顧客の個人情報や会社の機密が流出します。

ありがちなのは、帰宅途中に過労で居眠りして、パソコンを盗まれるという事件です。

マスコミに報道されると、会社は社会の信用を失います。

そもそも、安易な残業削減・残業禁止で会社が躍進したという実例は見られません。

 

<目標の設定>

残業の削減を思いついたら、社員一人ひとりの能力と業務内容を具体的に確認して、無理のない目標を設定しなければ失敗します。

これができるのは、適正な社員教育と人事考課で、給与・賞与など処遇への評価の反映が正しくできている会社だけです。

 

<繁閑の差の縮小>

忙しい時間帯や繁忙期というのは、部署により個人により時間的なズレがあります。

その人でなければ、その部署のメンバーでなければできない仕事ばかりではありません。

少しでも手の空いている上司や他部署のメンバーが、忙しいところの応援に入れば良いのです。

これができる会社は、社員の長期入院や退職者が出た時にあたふたしません。

 

<臨時の異動>

多店舗展開の飲食店では、ある店のシフトに穴が開きそうなときに、他店からパート店員やアルバイト店員を借りてくるということが行われます。

人手の足りない部署に、足りている部署から人員を一時的に貸し出すわけです。

これをするためには、労働条件通知書などでどの範囲のお店までの応援がありうるのか、臨時の転勤もありうるのかなど、明確にしておくことが必要です。

 

<多機能化による対応>

ひとり一人の社員が、営業も、販売も、経理も、採用もできるというように多機能化されていれば、忙しいところに応援に入るのは容易です。

多機能化のためには、特別な研修を行ったり、他部署にイベント的に応援に行ったり、ジョブローテーションやキャリアパスを踏まえた計画的人事異動を行ったりの方法があります。

 

<解決社労士の視点から>

上手に目標を設定し、これを根拠と共に社員に提示する。

社員の多機能化を進め、繁忙部署への応援を促進する。

そして、応援に入れる社員は、入れない社員よりも一段高く評価して、それにふさわしい処遇とする。

このように残業削減には大変手間がかかります。

しかし少しでも改善を進めれば、生産性が向上し、強い会社、魅力的な会社へと成長していきます。

2021/02/11|1,174文字

 

YouTube解決社労士のご紹介

https://youtu.be/qUAFJ0sjnDg

 

<産業雇用安定助成金の創設>

新型コロナウイルス感染症の影響により、事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、在籍型出向により労働者の雇用を維持する場合に、出向元と出向先の双方の事業主に対して助成する「産業雇用安定助成金」が創設されました。

この助成金は、令和3(2021)年2月5日から施行されましたが、同年1月1日からの出向に遡って助成を受けることができます。

 

<対象事業主>

1. 出向元事業主

新型コロナウイルス感染症の影響により、事業活動の一時的な縮小を余儀なくされたため、労働者の雇用維持を目的として出向により労働者(雇用保険被保険者)を送り出す事業主

2. 出向先事業主

当該労働者を受け入れる事業主

 

<助成金の対象となる出向>

雇用調整を目的とする出向が対象です。

具体的には、新型コロナウイルス感染症の影響により、事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図ることを目的に行う出向を指します。

雇用維持を図るための助成ですから、出向期間終了後は元の事業所に戻って働くことが前提となります。

 

<助成金の対象とはならない出向>

出向元と出向先が、親会社と子会社の間の出向である場合や、代表取締役が同一人物である企業間の出向である場合など、資本的・経済的・組織的関連性などからみて独立性が認められない場合は助成金の対象とはなりません。

出向先で別の人を離職させるなど、玉突き出向を行っている場合にも、助成金の対象とはなりません。

 

<出向運営経費の助成率・助成額>

出向元事業主および出向先事業主が負担する賃金、教育訓練および労務管理に関する調整経費など、出向中に要する経費の一部が助成されます。

 

 

中小企業

中小企業以外

出向元が労働者の解雇などを行っていない場合

9/10

3/4

出向元が労働者の解雇などを行っている場合

4/5

2/3

上限額(出向元・先の計)

12,000円/日

 

<出向初期経費の助成率・助成額>

就業規則や出向契約書の整備費用、出向元事業主が出向に際して予め行う教育訓練、出向先事業主が出向者を受け入れるための機器や備品の整備など、出向の成立に要する措置を行った場合に助成されます。

 

 

出向元

出向先

助成額

各10万円/1人当たり(定額)

加算額

各5万円/1人当たり(定額)

 

上の表で「加算額」は、出向元事業主が雇用過剰業種の企業や生産性指標要件が一定程度悪化した企業である場合、出向先事業主が労働者を異業種から受け入れる場合について、助成額の加算が行われるものです。

 

<助成対象となる経費>

■出向開始日が令和3(2021)年1月1日以降の場合、

出向開始日以降の出向運営経費および1月1日以降の出向初期経費が助成対象となります。

■出向開始日が令和3(2021)年1月1日より前の場合、

1月1日以降の出向運営経費のみが助成対象となります。

 

解決社労士

2021/02/10|1,849文字

 

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<受給資格期間の短縮>

年金機能強化法の改正により、年金受給資格期間が25年から10年に短縮されました(平成29(2017)年8月)。

受給資格期間というのは、原則65歳から老齢基礎年金を受給するための条件となる期間で、次の3つの期間の合計です。

A.厚生年金保険や国民年金の保険料を納付した期間

B.国民年金の保険料の納付を免除された期間

C.合算対象期間(カラ期間)

 

<C.合算対象期間(カラ期間)>

上の3つのうち、A.とB.は原則として年金事務所で年金記録を見れば確認できます。

しかし、C.は一人ひとりが個人的に把握している事実ですから、年金事務所で確認できることはほとんどありません。

このカラ期間は自分で確認するしかないのです。

ところが、主なものだけでも次のようにたくさんありますから、すべてを確認するのは大変です。

それでも、「本当に自分は老齢年金をもらえないのか」を知るには、A.とB.の期間が両方ともゼロでない限り、可能性は残されていますので確認するしかありません。

 

●主な合算対象期間(※は20歳以上60歳未満の期間に限ります。)

 

【昭和61年4月1日以降の期間】

1.日本人であって海外に居住していた期間のうち国民年金に任意加入しなかった期間

2.平成3年3月までの学生(夜間制、通信制を除き、年金法上に規定された各種学校を含む)であって国民年金に任意加入しなかった期間

3.第2号被保険者としての被保険者期間のうち20歳未満の期間又は60歳以上の期間

4.国民年金に任意加入したが保険料が未納となっている期間

5.昭和36年5月1日以降に日本国籍を取得した方又は永住許可を受けた方の、海外在住期間のうち、取得又は許可前の期間

 

【昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの期間】

1.厚生年金保険、船員保険及び共済組合の加入者の配偶者で国民年金に任意加入しなかった期間

2.被用者年金制度等から支給される老齢(退職)年金受給権者とその配偶者、老齢(退職)年金の受給資格期間を満たした人とその配偶者、障害年金受給権者とその配偶者、遺族年金受給権者で国民年金に任意加入しなかった期間

3.学生(夜間制、通信制、各種学校を除く)であって国民年金に任意加入しなかった期間

4.昭和36年4月以降の国会議員であった期間(昭和55年4月以降は国民年金に任意加入しなかった期間)

5.昭和37年12月以降の地方議員であった期間で、国民年金に任意加入しなかった期間

6.昭和36年5月1日以降に日本国籍を取得した方又は永住許可を受けた方の、外国籍であるために国民年金の加入が除外されていた昭和56年12月までの在日期間

7.昭和36年5月1日以降に日本国籍を取得した方又は永住許可を受けた方の、海外在住期間のうち、取得又は許可前の期間

8.日本人であって海外に居住していた期間

9.厚生年金保険・船員保険の脱退手当金を受けた期間(昭和61年4月から65歳に達する日の前月までの間に保険料納付済期間(免除期間を含む)がある人に限る)

10.国民年金の任意脱退の承認を受けて、国民年金の被保険者にならなかった期間

11.厚生年金保険、船員保険の被保険者及び共済組合の組合員期間のうち、20歳未満の期間又は60歳以上の期間

12.国民年金に任意加入したが保険料が未納となっている期間

 

【昭和36年3月31日以前の期間】

1.厚生年金保険・船員保険の被保険者期間(昭和36年4月以降に公的年金加入期間がある場合に限る)

2.共済組合の組合員期間(昭和36年4月以降に引き続いている場合に限る)

 

<C.合算対象期間(カラ期間)が長い場合>

10年短縮年金がもらえるかもしれないと思い、カラ期間を確認してみたら、年金受給資格期間が10年どころか25年を超えてしまったという場合もあります。

10年短縮年金であれば、平成29(2017)年9月分を10月に受給し始めます。

ところが、受給資格期間が長くて通常の老齢年金を受給する権利が判明すると、時効で権利が消滅した分を除き過去の年金もさかのぼって受給できます。

しかも、25年というのは原則で、様々な短縮特例もありますから、カラ期間は思いつく限りかき集めて計算することをお勧めします。

 

<解決社労士の視点から>

カラ期間の一覧表を見ても、確かに分かりにくいと思います。

また、カラ期間が判明した場合には、年金の受給手続で証明資料が必要になります。

具体的なことは、お近くの年金事務所か信頼できる社労士にご相談ください。

2021/02/09|1,134文字

 

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<就業規則の軽視>

就業規則が作成されたとき、あるいは変更されたとき、それを全従業員が見られるようにしておいたのに、誰も関心を示さず読まれないということがあります。

社労士(社会保険労務士)に就業規則の作成・変更を委託したのなら、併せて説明会の開催も任せればこうした事態は生じないのですが、通常は別料金なので省略されることもあります。

 

<食い違い判明時の対応>

就業規則ができた時点で、従業員から社内の実態と違う部分があることを指摘されることもあります。

この場合には、会社は従業員の意見を参考にしつつ、変更を検討すべきでしょう。

就業規則を実態に合わせて改定するか、実態を改めて就業規則に合わせるか、あるいは別のやり方を決めて就業規則に反映させるかということになります。

 

<食い違いが継続した場合>

たとえば、所定労働時間が8時間であるものとして、全従業員がそのように勤務していたとします。

この場合には、8時間労働が社内の共通認識であり慣行となっています。

労働条件通知書にも、所定労働時間は8時間と記載されているでしょうし、給与計算でも8時間労働が前提となっています。

ところが、退職予定者がふと就業規則を見たところ、所定労働時間は7時間と規定されていたらどうでしょう。

 

<就業規則の効力>

就業規則で定める基準に達しない労働条件は無効となり、就業規則で定める基準が適用されるという規定があります。〔労働契約法第12条〕

労働条件のうち所定労働時間は、短い方が労働者に有利ですから、労働条件通知書や労働契約書に8時間労働と書かれていても、就業規則の7時間労働の方が有効になります。

これは、8時間労働が長年の慣行となり、全従業員の共通認識となっていたとしても結論は変わりません。

 

<誤りが明らかな場合>

よくよく調べてみたら、就業規則が最初から間違っていた、あるいは昔変更したときに誤って7時間労働にしてしまっていたことが判明したとします。

この場合、月給制であれば1日あたり1時間分の賃金の支払い漏れがあったことになり、従業員から会社に対して未払い賃金の請求をすることができます。

会社は誤った就業規則を周知し、従業員はその就業規則をきちんと読んで誤りを指摘しなかったのですから、責任は半々のような気もしますが、裁判などでは会社が全責任を負うと判断されています。〔「甲商事事件」東京地裁平成27年2月18日判決〕

就業規則を作成・変更する会社側に責任があると認定されるわけです。

 

<解決社労士の視点から>

就業規則の規定と実態との食い違いを放置しておくことは、それが法令違反ではなくても、会社に大きな損害をもたらす原因となりえます。

就業規則のことは、信頼できる国家資格の社労士にご相談ください。

2021/02/08|1,499文字

 

YouTube被保険者 被扶養者「被」とは?

https://youtu.be/TLTo2eFOMfU

 

<施行規則の改正>

令和3(2021)年3月に、健康保険のオンライン資格確認が開始されることを受け、同年1月29日、厚生労働省が健康保険法施行規則等の一部を改正する省令(令和3年1月29日厚生労働省令第16号)を発出しました。

健康保険のオンライン資格確認というのは、医療機関等で健康保険資格(被保険者資格)をオンラインで確認でき、マイナンバーカードを健康保険証(被保険者証)として利用できるようにするものです。

改正内容は、医療保険制度で被保険者のマイナンバーの取扱いの適正化等を図るためのものです。

以下に、主な内容を示します。

 

<被保険者証等の記載事項の改正>

オンライン資格確認の開始にあたっては、資格の確認を個人単位で行えるようにするため、被保険者記号・番号の個人単位化が必要になります。

このため、令和2(2020)年10月19日以降、協会けんぽで新たに発行される保険証には、記号・番号の右隣に2桁の枝番が印字されるようになっています。

この変更に伴い、プライバシー保護の観点から、健康保険事業とこれに関連する事務以外に、被保険者記号・番号の告知を要求することを制限する「告知要求制限」が設けられています。

なお、この変更により令和2(2020)年10月18日以前に発行された保険証の差替えは、不要です。

 

<マイナンバー(個人番号)変更時の保険者に対する届出>

被保険者がマイナンバー変更時に、医療保険者に対して変更された旨を届け出ることになりました。

マイナンバーは、原則として、生涯同じ番号を利用するものです。

ただし、マイナンバーカード(個人番号カード)が盗まれた場合などで、個人番号が漏えいして不正に用いられる恐れがあると認められる場合には、個人番号の変更を請求することができます。

 

<マイナンバーの取扱の適正化>

埋葬料等の支給申請を行う際、被保険者からの生前の届出でのマイナンバー情報を活用することができるので、支給申請の際のマイナンバーの記載は不要となるなどの取扱が行われます。

 

<健康保険証(被保険者証)の交付>

現在、被保険者証は、事業主または船舶所有者を経由して、被保険者に交付されています。

しかし、保険者が被保険者証を被保険者に対して直接交付することについて支障がないと認めた場合には、保険者から被保険者に対して直接送付することも可能となります。

 

【参考:改正健康保険法施行規則(抜粋)】

(被保険者の個人番号変更の届出)

第27条の2 事業主は、第35条の2の規定による申出を受けたときは、遅滞なく、次に掲げる事項を記載した届書を厚生労働大臣又は健康保険組合に提出しなければならない。 一 事業所整理記号及び被保険者整理番号

 二 被保険者の氏名及び生年月日

 三 被保険者の住所(当該被保険者が協会が管掌する健康保険の被保険者であって、厚生労働大臣が当該被保険者に係る機構保存本人確認情報(住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)第30条の9に規定する機構保存本人確認情報をいう。以下同じ。)の提供を受けることができるとき又は当該被保険者が健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者であって、健康保険組合が当該被保険者の住所に係る情報を求めないときを除く。)

 四 変更前の個人番号及び変更後の個人番号並びに変更の年月日

 五 事業所の名称及び所在地並びに事業主の氏名又は名称

2 第24条第4項の規定は、前項の届出について準用する。

 

(被保険者の個人番号変更の申出)

第35条の2 被保険者は、その個人番号を変更したときは、速やかに、変更後の個人番号及び変更の年月日を事業主に申し出なければならない。

 

解決社労士

2021/02/07|1,487文字

 

YouTube解決社労士のご紹介

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<会計検査院の存在根拠>

会計検査院については、日本国憲法に次の規定があります。

 

第九十条 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。

2 会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。

 

憲法に規定された組織ですから、国家レベルで重要な組織であることは明らかです。

 

<会計検査院の役割>

会計検査院の組織及び権限は、憲法の規定に従い会計検査院法に定められています。

その中の条文を読んでも、会計検査院の役割は簡単に理解できるものではありません。

会計検査院のホームページの最初に記載されている次の説明がわかりやすいと思います。

 

会計検査院は、国の収入支出の決算、政府関係機関・独立行政法人等の会計、国が補助金等の財政援助を与えているものの会計などの検査を行う憲法上の独立した機関です。

 

結局、国に入るべきお金がきちんと入っていること国から出て行くべきではないお金が出て行っていないこと、この2つをチェックしているわけです。

国の財源は税金が中心です。

国のお金が不足すれば、増税されることになります。

国に入るべきお金がきちんと入らないと、増税に結びつくわけですから、我々国民も企業も大いに迷惑します。

また、国から出て行くべきではないお金が出て行ってしまっても、国のお金が不足することになり、やはり増税に結びつきます。

会計検査院は、こうしたことが起こらないように、国のお金の流れをチェックしているのです。

 

<国に入るべきお金がきちんと入っているかの調査>

たとえば、所轄の労働基準監督と会計検査院が一緒に企業の調査に入ることがあります。

企業が正しく労災保険や雇用保険の対象者を確定し、正しく保険料を納めていないと、国に入るべきお金がきちんと入らない恐れがあります。

そこで、労災保険と雇用保険の保険料を納める手続である労働保険年度更新が正しく行われている必要があります。

年度更新の手続を監督しているのは、基本的に所轄の労働基準監督署ですから、労働基準監督署が年度更新の内容を再確認するのを会計検査院がチェックするという二段構えになります。

こうした場合、当然ですが一番緊張するのは労働基準監督署の職員の方々です。

所轄の年金事務所と会計検査院が一緒に企業の調査に入る場合もあります。

社会保険の加入対象者や加入時期が正しいこと、保険料の計算が正しいこと、定時決定(算定基礎届)の内容などについて再確認が行われます。

 

<国から出て行くべきではないお金が出て行っていないかの調査>

所轄のハローワークと会計検査院が一緒に企業の調査に入る場合があります。

就職した後も失業手当(求職者給付の基本手当)を受給している人がいないか、関連企業への転職なのに再就職手当を受給していないかなど、給付すべきではないお金が支給されていないかをハローワークが再確認し、それを会計検査院がチェックするのです。

ここでも、一番緊張するのはハローワークの職員の方々です。

 

<解決社労士の視点から>

社労士は会計検査院の調査や労働基準監督署の監督に立会うことも、国家資格者としての立場で業務として行っています。

もちろん立会いだけでなく、その後の報告書の作成・提出のフォローや代行も行っています。

きちんと対応しておくと、お世話になっている労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所の皆さんに感謝されるわけですから、メリットは大きいと思います。

調査が入るとわかったら、あるいは抜き打ちの調査を受けたら、信頼できる国家資格の社労士にご相談ください。

2021/02/06|1,126文字

 

YouTube労働条件を確認しましょう

https://youtu.be/QzMHmif7cgY

 

<求人広告と労働条件との関係>

求人広告は、あくまでも広告に過ぎません。

これに応募したからといって、必ず採用されるわけではありません。

また、求人広告に「月給20万円~25万円」などと書いてあって、具体的な金額は採用面接の中で決まるという場合もあります。

さらに、事務職で応募したところ、「他の応募者で採用枠が埋まってしまったけれど、営業職に欠員が1名出たのでいかがでしょうか」と打診されて、これに応じるというのは普通に行われていることです。

このように、求人広告と実際の労働条件とが異なる場合に、採用側が新たな労働条件を明示していれば問題ないのです。

そして、職業安定法第5条の3第3項も、平成30(2018)年1月1日付で、この内容を盛り込む形に改正されました。

 

<説明が不十分なケース>

採用面接の中で、たとえば上記のように「他の応募者で採用枠が埋まってしまったけれど、営業職に欠員が1名出たのでいかがでしょうか」と打診された応募者が、過度の緊張のあまり内容をよく理解しないまま「はい」と生返事してしまうことがあります。

この場合でも、採用側が新たな労働条件を書面で明示していて、応募者が後からその書面を確認していれば問題ないのです。

しかし面接者が「あれだけ具体的に説明したし、理解してもらえただろう」と満足して、説明の内容を書面で交付しないのはいけません。

 

<問題のあるケース>

採用が決まって労働契約を締結する際の労働条件明示義務については、30万円以下の罰金が定められています。〔労働基準法第120条〕

これは、労働基準法違反の犯罪なのです。

労働契約の締結は口頭でもできますが、雇い主は労働者に対して、労働条件を書面で明示する義務を負っているのです。

ところが、最初の給与支払額を見て不審に思った労働者が会社に確認すると「あなたの場合には能力不足だから給与は半分しか支払えない」などの回答が返ってくるケースがあります。

また、求人広告では正社員募集だったのに、後から契約期間6か月の契約社員だと言われたりもします。

これらは、入社にあたって労働条件の明示が無いので犯罪なのです。

 

<解決社労士の視点から>

特にブラック企業というわけではないのに、入社にあたって「労働条件通知書」などを交付しない会社もあります。

経営者が労働基準法の規定を知らないだけのこともあります。

また、労働条件の決め方に迷っている場合もあります。

しかし、新人から「実際の労働条件が求人広告と違う」という話が出るのは大いに問題です。

つまらないことで罰則を適用されたり、会社の評判が落ちたりしないように、労働条件の決め方、変え方、通知の仕方については、信頼できる社労士にご相談ください。

2021/02/05|1,456文字

 

YouTube解決社労士のご紹介

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<問題社員の知識レベル>

問題社員というのは「良いことの原因は自分、悪いことの原因は他人」と思い込み、義務は果たさず権利を濫用して退職後に会社を訴えるような社員です。

こうした問題社員は、労働法関連の知識が豊富であるかのように見えることが多いものです。

ところが実際には、正しい知識が少なくて、体系的な理解が不足しているようです。

その原因としては、法律関係の知識を吸収する際に、自分に都合よく独自の解釈を加えてしまうこと、コツコツと地道な努力を重ねるのは嫌いなので専門書を通読しないことなどが考えられます。

 

<問題社員から要求があったとき>

問題社員から会社に対して、脅しとも取れるような強烈な要求が出されることもあります。

この要求の中には、正しいこと、誤ったこと、単なる勘違いが含まれ、区別の難しい形で一体化しています。

立場上こうした要求に耳を傾ける役割の人は、事実と主張とを明確に区分して聞き取らなければなりません。

そして、事実については、なるべく具体的に話の内容を明らかにすることと、どのようにしてその事実を認定したのかも聞いておく必要があります。

一方、主張についても具体的な内容を明らかにすることが必要ですが、それ以上に、会社にどうして欲しいのかを明確にしなければなりません。

こうして聞き取りをした人は、その場で結論を出してはいけません。

少なくとも、聞き取った内容が事実かどうかの確認はしなければならないのですから、安易に結論を出せないのです。

 

<社労士(社会保険労務士)へのご連絡>

問題社員から「話がある」と言われ、それが会社に対する何らかの要求であると判明した場合、話を聞くのは上司や人事部門の責任者の業務であっても、話をするのは問題社員の業務ではありません。

ですから、後日改めて話を聞くことにして日時を指定することもできます。

そして、対応方法について社労士と協議するのがベストです。

このタイミングを逃しても、正しく聞き取りができていれば、その後の対応について協議ができます。

事実を確認するのは社内のメンバーで行い、主張の正当性の確認は労働法令の専門家である社労士が行うというように役割を分担することもできます。

もしこのタイミングを外して、会社なりの対応をした結果、問題社員がその対応を不満に思い、労働審判に持ち込んだような場合には、弁護士の先生がメインとなって対応する局面に進んだと判断されます。

まだ法的手段に出ていないような場合なら、会社が主体となって労働局の斡旋(あっせん)を利用することもできます。

この場合、特定社労士に委任することが可能です。

 

<問題社員への指導>

勤務態度や他の社員への干渉について、上司などから問題社員に指導をする場合があります。

ここで注意しなければならないのは、注意指導の根拠を明らかにしたうえで行うことです。

なんとなく常識的に、あるいは、ビジネスマナーとしてというのでは、強い抵抗を受けてしまいます。

根拠としては、就業規則、労働契約、法令、社内ルールとなりますが、文書化されていないものは根拠として弱すぎます。

この点、就業規則が無かったり、労働条件通知書の交付を怠っているような会社で、問題社員を採用してしまったり、発生させてしまったりした場合には大きなリスクを抱えることになります。

 

<解決社労士の視点から>

現時点で会社に存在する就業規則や労働契約で対応しきれないと感じた場合にも、信頼できる国家資格の社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

本当に対応できないかを確認し対応方法をご提案いたします。

2021/02/04|1,606文字

 

YouTubeコロナハラスメント

https://youtu.be/Y0ga4SznnTM

 

<労災保険の手続>

従業員が勤務中に新型コロナウイルスに感染したと思われる場合には、労災保険の適用が考えられますので、会社はその手続に協力する義務を負います。

労災認定を行うのは労働基準監督署(労働局)の権限ですから、会社側で安易に判断することは避けなければなりません。

新型コロナウイルス感染症の労災認定に関する判断はむずかしいですから、所轄の労働基準監督署と相談しながら手続を進めるのが得策です。

 

<新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の労災認定基準>

「医師、看護師、介護従事者等の医療従事者等が新型コロナウイルスに感染した場合は、業務外で感染したことが明らかな場合を除き、原則として労災保険給付の対象となる」という基準があります。

この基準は、「新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱い」(令和2年4月 28 日基補発0428第1号通達)に示されているものです。

医療従事者が、新型コロナウイルスに感染した場合には、一般に「業務上」である可能性が高いですから、こうした基準が適用されるわけです。

一方で、医療従事者以外の人が新型コロナウイルスに感染した場合には、一般に「業務上」である可能性が低いですから、同じ基準は適用されません。

医療従事者以外の人については、この通達で「感染源が業務に内在していることが明らかな場合は、労災保険給付の対象となる」という基準が設けられています。

原則と例外が逆になっているわけです。

また、この通達では「感染経路が特定されない場合であっても、感染リスクが相対的に高いと考えられる業務(複数の感染者が確認された労働環境下での業務や顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務など)に従事し、業務により感染した蓋然性が高いものと認められる場合は、労災保険給付の対象となる」という基準が設けられていて、医療従事者以外であっても、感染リスクが高い環境下での業務については、中間的な基準が適用されることになっています。

 

<安全配慮義務>

労働契約法には、安全配慮義務について次の規定があります。

 

【労働者の安全への配慮】

第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

 

労働契約法は、最高裁判所の判決の理由中に示された判断を中心にまとめられた法律です。

ですから、この法律ができる前から、安全配慮義務は認められていたことになります。

そもそも信義則上、債権者(使用者)は債務者(労働者)がうまく債務を履行できるよう(働けるよう)配慮する義務を負っています。

ここで、「信義則」というのは、民法第1条第2項に定められた「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない」という原則のことです。

こうして債権者(使用者)は、債務者(労働者)に対して、安全配慮義務などを負うことになります。

 

<新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に関する安全配慮義務の内容>

従業員に感染拡大予防のための教育指導を行う必要があります。

正しい手洗い、うがいの励行、正しいマスクの着用、顔に手で触れない、三密を避けるなどを指導し、守れない従業員には個別指導を行います。

また、在宅勤務を拡大する、座席の間隔を空ける、アクリル板などで飛沫の飛散を防止するなど職場環境への配慮も必要です。

会社が安全配慮義務を尽くしていれば、感染者が発生した場合に、本人や家族から不法行為責任や債務不履行責任を問われても、反証は容易になります。

 

<解決社労士の視点から>

速やかで正しい労災保険の手続や、感染拡大防止に向けて安全配慮義務を尽くすことは、会社が損害賠償責任を負わないという消極目的だけでなく、お客様やお取引先の信頼を高め、従業員の定着率を高めるなど積極目的でも行うべきです。

是非とも、前向きに取り組んでいただきたいと思います。

2021/02/03|1,072文字

 

YouTube解決社労士のご紹介

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<問題社員>

「良いことの原因は自分、悪いことの原因は他人」と思い込み、義務は果たさず権利を濫用して退職後に会社を訴えるような社員です。

 

<問題社員の結果の結果>

こういう社員が上手く立ち回って、会社から金銭的な利益を得ると、次から次へと真似をする社員が出てきます。

会社から得る金銭的な利益は、賃上げ、未払い残業代、年次有給休暇の買い上げ、退職金の上乗せ、慰謝料、解決金、和解金、口止め料など多岐にわたります。

正当な権利の行使を超えて、恐喝まがい詐欺まがいなものも出てきます。

そして、会社の中の小さな不平等や小さな不公平が原因で、問題社員の真似をしたくなる社員は多いのです。

真面目に働いている社員は、会社から不当な利益を得ようとはしないでしょう。

ただ、真面目に働いているのがばかばかしくなります。

問題社員が会社の悪い所を徹底的に指摘するので、会社の魅力も低下します。

辞めたくなったり、意欲が低下したりは仕方のないことです。

ここまでくると、お客様にも、お取引先にも、近隣にも、金融機関にも評判は良くないはずです。

会社の経営は上手くいくはずがありません。

 

<問題社員の原因の原因>

以前いなかった問題社員が入社してくるのは、思ったような応募者が少なくて、究極の選択によって、少し問題を感じる人でも妥協して採用してしまうからです。

こうした採用難の原因は少子高齢化なのですが、一企業が少子高齢化を解消することはできませんので、良い応募者を増やす知恵を絞りたいところです。

まず、仕事の内容を中学生にもわかるように具体的に示すことです。

つぎに、会社や商品・サービスの魅力、仕事のやりがい、交通の便、近隣の環境、社長のキャラクター、長く働いている人の感想やチョッとしたエピソードなど、求職者が応募したくなるメリットを明らかにします。

反対にデメリットも明かします。

なぜなら、良いことばかりを並べると信用されないからです。

あえて会社の悪い面を少し加えることで、求人に対する信頼がグッと高まるのです。

それでも、こうしたアピール情報を公開できないとしたら、それは会社や仕事に魅力が無いからです。

上手いこと良い人をひっかけようとするのではなくて、正面から魅力ある会社に変えていく必要があります。

最低でも、労働基準法など労働関係法令に対する違反は解消しないと、ブラック企業のレッテルを貼られる恐れがあります。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

即戦力にできる人材を確保するための採用も、万一問題社員を抱えてしまった場合の対応も、信頼できる国家資格の社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2021/02/02|788文字

 

YouTube労働条件を確認しましょう

https://youtu.be/QzMHmif7cgY

 

<親の口座への振込>

アルバイトの親から「バイト代を私の口座に振り込んで欲しい」というご要望があっても、会社は応じることができません。

アルバイト本人から「バイト代が自分の口座に入ると遊びに使ってしまう。将来のために貯金したいので、親の口座に振り込んで欲しい」と言われたら、これには応じたくなるでしょうか。

しかし、本人からの話であっても、親から言わされているだけかもしれません。

世の中には、子どもを食い物にする親もいるのです。

 

<賃金直接払いの原則>

労働基準法に次の規定があります。

 

(賃金の支払)

第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。(以下略)

 

つまり、親子だろうと夫婦だろうと、労働者本人に代わって賃金を受け取らせてはいけないというルールがあるのです。

社員夫婦が会社に現れて、「夫に給料が振り込まれるとすぐにギャンブルで使ってしまうので、妻の口座に振り込んで欲しい」という連名の要望書を提出しようとも、会社は応じることができません。

アルバイトが自分名義の口座を持っていないのなら、現金で支払うか新たに口座を開設してもらうか、いずれにせよ直接本人に支払わなければなりません。

 

<国税滞納処分なら>

賃金直接払いの原則にも例外はあります。

たとえば、労働者が国の税金を滞納し国税徴収法による国税滞納処分を受けた場合や民事執行法に基づく差押えがされた場合には、賃金の一部を国や債権者に支払うということがあります。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

労働者の便宜を図っているつもりが、法令違反ということがあります。

特に労働関係法令は、労働者保護の要請という原則が強く反映されていますので注意が必要です。

会社が足元をすくわれないように、労働条件審査あるいは簡易な経営労務チェックを受けることをお勧めします。

詳しくは、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2021/02/01|1,270文字

 

YouTube解決社労士のご紹介

https://youtu.be/qUAFJ0sjnDg

 

<北風と太陽>

「北風と太陽」は、有名なイソップ寓話のひとつです。

ウィキペディア(Wikipedia)によると、そのあらすじは次のとおりです。

 

ある時、北風と太陽が力比べをしようとする。そこで、旅人の上着を脱がせることができるか、という勝負をする。まず、北風が力いっぱい吹いて上着を吹き飛ばそうとする。しかし寒さを嫌った旅人が上着をしっかり押さえてしまい、北風は旅人の服を脱がせることができなかった。

次に、太陽が燦燦と照りつけた。すると旅人は暑さに耐え切れず、今度は自分から上着を脱いでしまった。

これで、勝負は太陽の勝ちとなった。

 

この寓話の内容から、「北風と太陽」という言葉は、物事に対して厳罰で臨む態度と、寛容的に対応する態度の対比を表すのに使われます。

 

<北風社長>

うちの社員は、報告・連絡・相談がなっとらん。全社員に、「正しい報連相研修」「効果的な報連相研修」を受けさせよう。

人事考課の評価基準では、「上手な報連相」を重点項目に据えよう。

そして、下手な報連相、間違った報連相は、懲戒処分の対象にしよう。

 

ここまでいかなくとも、報告・連絡・相談のスキルアップを社員に求める会社は多いものです。

社員ひとり一人が、報連相の能力をアップすれば、会社全体の風通しが良くなり、生産性がアップするに違いないと考えるのでしょう。

 

<太陽社長>

社内の報告・連絡・相談が上手くいっていないようだ。社員ひとり一人が、もっと気楽に報告・連絡・相談できたら良いのだが。

私を含め役員全員と管理職に、「正しい報連相の受け方研修」「喜ばれる報連相の受け方研修」を受講していただきましょう。

管理職の評価基準では、「聞き上手」を重点項目に据えましょう。

そして、優れた報連相を行っている部門や社員を表彰しましょう。

 

報告・連絡・相談を受ける側のスキルアップを図ることは、コミュニケーションの改善に不可欠です。

しかし、あまり行われていないのが残念です。

またたとえば、遅刻や欠勤に対して懲戒処分を行うのと、無遅刻無欠勤を表彰するのとでは、その効果に大きな違いはありません。

就業規則に表彰規定があっても、永年勤続以外では、ほとんど表彰が無いというのは、よく聞く話です。

もっと表彰を活用しても良いのではないでしょうか。

 

<実務的な観点から>

ここまで読むと、「太陽方式のほうが優れているということか」と思われるかもしれません。

しかし、コミュニケーション不足は労働問題の原因の大半を占めますし、報告・連絡・相談の不足は会社にとって致命的な欠陥です。

上の例で、北風社長と太陽社長が相談して、会社の施策を検討したならどうなったでしょうか。

おそらく、「報連相するスキル」「報連相を受けるスキル」両方の研修を導入するでしょう。

人事考課では、報連相をする/される両面の評価が行われます。

また、虚偽の報連相や、報連相の遅れは、懲戒処分の対象とされる一方で、手本となった部門や社員は全社で表彰されることでしょう。

報告を受けて、いきなり怒り出す管理職がいる会社では、早急に取り組むことをお勧めします。

 

解決社労士

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