2021年 1月

2021/01/31|1,494文字

 

YouTube解決社労士のご紹介

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<就業規則を作るきっかけ>

会社を設立し、いつか従業員を雇い入れる予定があるのなら、すぐに就業規則を作るようお勧めします。

一人でも適用対象者がいるのであれば、不利益変更という厄介な問題が出てきますが、誰も適用対象者がいないのであれば変更は自由です。

思い立った時に変更をかけていけば、会社にぴったりの就業規則が完成してから従業員を雇い入れるという理想的な形になります。

 

<ありがちな先送り>

労働基準法には、次の規定があります。

 

(作成及び届出の義務)

第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

一  始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

二  賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

三  退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

三の二 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

四  臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項

五  労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項

六  安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項

七  職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項

八 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項

九 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項

十 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

 

一目見て就業規則作りをあきらめたくなるような規定です。

しかも、最初の方に「十人以上の労働者を使用する使用者」と書いてありますから、「まだいいや」と先送りしてしまうのが人情です。

 

<現実的な就業規則の作成時期>

しかし、なるべく早く就業規則作りに取りかかることを強くお勧めします。

ところが実際には、「そろそろ従業員の人数が二ケタになりそう」「労働基準監督署の監督が入って勧告を受けた」というタイミングで、就業規則の作成を依頼してくるお客様が多いのです。

こうした場合でも、形ばかりの就業規則を作成して労働基準監督署長に届け出るのは、「百害あって一利なし」といえます。

・従業員が就業規則を守らない。そもそも理解していない。

・経営理念や経営方針が従業員に伝わらない。そもそも就業規則に無い。

・従業員から就業規則について質問されると経営者はお手上げ。

・退職者が就業規則に基づき会社に対して多額の金銭を要求してくる。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

社労士は、就業規則のプロフェッショナルですから、会社の実情に合った、経営者の思いを反映した就業規則を作成します。

紛争の火種になるような規定は置きません。

「労働基準監督署の監督が入って勧告を受けた」というのであれば、社労士自ら所轄の労働基準監督署に足を運び、作成や届出の計画を説明してきます。

従業員に対する説明会も実施しますし、運用のフォローもします。

法改正などにより、就業規則改定の必要が発生すれば、その都度ご案内いたします。

就業規則の作成や変更については、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2021/01/30|1,111文字

 

YouTubeこれって労働時間?

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<営業手当の意味>

営業手当は、営業という業務を担当することにより、他の業務には無い負担があるため、その負担に応じて支給される所定労働時間内の業務に対する手当です。

洋服代や靴代、精神的負担など、その理由は様々です。

ですから、所定労働時間外の残業代の代わりにはなりません。

また、営業手当に残業代を含めるということもできません。

 

<よくある言い訳>

会社が営業手当を残業代の代わりに支給する、あるいは残業代を含めて支給するときの言い訳としては、「営業社員は勤務時間を把握できないから」というのが多いでしょう。

しかし、これが本当なら営業社員はサボり放題です。

なぜなら、会社は営業社員の勤務時間を把握しないのですし、営業手当を支給しているから把握しなくても良いと思って安心しているからです。

きちんと勤務時間を把握し、営業成績を正しく評価し、個人ごとの生産性を人事考課に反映させて、給与や賞与にメリハリをつけなければサボりは防げません。

反対に、過重労働による過労死の危険もあります。

営業成績の上がらない社員は、サボりどころか長時間労働に走ります。

営業成績の良い社員がたくさん働いているとは限らないのです。

万一、営業社員が過労死あるいは自殺したときに、過重労働ではなかったという証拠が無ければ、遺族から慰謝料など多額の損害賠償を請求された場合に反論のしようがありません。

 

<退職者から未払い残業代を請求されたら>

残業代は25%以上の割増賃金なのですが、そのベースとなる賃金には営業手当が含まれます。

会社としては、残業代の代わりに営業手当を支給していたつもりでも、その営業手当を加えた賃金の25%以上割増で計算することになるのです。

会社にとっては、まるで残業代が複利計算になっているような感じを受けます。

恐ろしいのは、会社側に勤務時間のデータが無いために、退職者の手帳の記録などが証拠となりうることです。

退職者の記録が誤っていることを一つひとつ立証するのは、とても無理なことでしょう。

そして、退職者は過去3年分の残業代を請求することになります。

労働基準法の規定する消滅時効期間は2年でしたが、令和2(2020)年4月に民法が改正されたことで、3年に延長されました。

やがて、5年に延長されるかもしれません。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

営業社員の誰かが退職して、過去の未払残業代を請求してきたら、在籍している営業社員の全員が同じことを考えても不思議ではありません。

たしかに、残業代の代わりに営業手当を支給する制度を適法に行う方法もあります。

しかし、これは導入も運用もむずかしいのです。

詳しいことは、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2021/01/29|1,319文字

 

YouTube労働条件を確認しましょう

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<労働条件の明示>

労働基準法には、次の規定があります。

 

(労働条件の明示)

第十五条  使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。

 

そして賞与については、支給するのであれば明示するというルールです。

厚生労働省の公開している労働条件通知書には次のように示されています。

 

賞与( 有(時期、金額等        ) , 無  )

 

これは「ひな形」ですから、「金額等」と書いてあっても、必ずしも「5万円」とか、「給与の2か月分」などと記入する必要はありません。

ただし記入すれば、それが労働契約の内容となりますから守らなければなりません。

「会社の業績と個人の人事考課により決定される額」という記載でも良いわけです。

 

<給与の決定>

給与というのは、これから先、一定の期間の活躍ぶりを想定して決まるものです。

決して過去の実績に応じて決まるものではありません。

そうでなければ、新規に採用した人の給与や、課長から部長に昇格した人、営業職から事務職に異動した人の給与は決まらないことになってしまいます。

会社によっては、過去の実績を評価して将来の給与を決めていることがあります。

こうした会社では、過去の実績から将来の活躍を予測している建前になっています。

しかし、人事異動には対応できていないわけです。

 

<納得できる賞与の決定>

賞与は、将来の活躍に期待して支給するものではありません。

過去の一定期間の会社の実績、部門実績、個人の会社に対する貢献度、目標の達成度などを評価して支給するものです。

中には、「基本給の2か月分」など計算方法が決まっている会社もあります。

しかし、これでは、会社に貢献してもしなくても支給金額に違いはありません。

賞与の支給額だけを考えるなら、工夫して努力して会社に貢献する気にはなりません。

むしろ、貢献しただけ賞与が増える会社への転職を考えたくなります。

こうした賞与を喜ぶのは、サボっていたい社員だけということになりかねません。

 

<給与と賞与との関係>

給与は将来の活躍を予測して支給します。

この予測が外れることもあります。

良い方に外れたのであれば、それだけ高額の賞与を支給して調整すれば良いのです。

反対に、悪い方に外れたのであれば、それだけ低い金額の賞与を支給して調整したいところです。

結局、賞与は適正な人事考課に基づき、給与の不足や払い過ぎを調整する役割を持つべきものです。

これを実現するのは、具体的で客観的な人事考課基準の運用です。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

小さな会社では、個人の実績を考慮せず一定の基準で賞与の額を決定するということも行われます。

あるいは、支給しない会社も多数あります。

すると結果的に、賞与に見合った働きをしていない社員だけが残ることになります。

なぜなら、賞与以上の貢献をしている社員は、活躍に見合った賞与を支給する会社に転職するからです。

こうして、働き以上の賞与をもらえる社員だけが残り、「いい人材が集まらない」という状態になるのは人事考課制度が無いからです。

会社の現状にふさわしい人事考課をお考えでしたら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2021/01/28|1,401文字

 

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<給与の支払時期>

民法の雇用の節に、報酬の支払時期について次の規定があります。

 

(報酬の支払時期)

第六百二十四条 労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。

2 期間によって定めた報酬は、その期間を経過した後に、請求することができる。

 

つまり、給与は後払いが原則です。

実際、新人を採用すると共に給与を支払うというのはごく少数派でしょう。

時給制や日給月給制ならもちろん、月給制で欠勤控除がある場合には締めてみないと金額が確定しません。

また、そもそも給与は労働の対価ですから、雇い主としては働きぶりを見てからでないと納得して支払えないのも事実です。

それでは、まず働いてもらって働きぶりを評価し、その評価に応じて給与を支払うということも許されるのでしょうか。

 

<労働条件の明示>

労働基準法には、次のように定められています。

 

(労働条件の明示)

第十五条  使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。

2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。

 

このように、まず給与を決めて労働者に示したうえで働いてもらうルールだということです。

そして、示した給与と支払われる給与が違うなら、労働者はそれを理由に退職できます。

ここで、示した給与と支払われる給与が違うというのは、時間給や基本給などの単価が違っていたり、計算方法が違っていたりすることです。

 

<納得のいく給与決定>

このような法的制約のもとで、労使共に納得のいく給与を決定するには、かなり詳細で客観的な人事考課基準が必要でしょう。

入社にあたっては、予測される働きぶりを人事考課基準に当てはめて給与を決定します。

その後は、一定の期間を区切ってその期間の働きぶりを参考に、次の一定の期間の予測される働きぶりを人事考課基準に当てはめて給与を決定します。

ここで注意したいのは、過去の働きぶりをそのまま給与に反映させるのではなく、将来の予測だということです。

言い換えれば、社員に対する会社の期待です。

このように考えることで、転勤や昇格などの人事異動にも正しく対応できることになります。

また、働いてみてもらったら給与に見合った働きができなかったとしても、最初の約束をひっくり返して減給できるわけではないことも当然です。

それは、働きぶりの予測の精度が低かったということになります。

もちろん、人事考課と給与の決定時期について予め具体的な説明をしておいて、それを約束通りに運用するのであれば、合理的な仕組の運用である限り許されるわけです。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

小さな会社では、ひとり一人の社員の生活に必要な金額を考えて、給与の額を決定するということも行われます。

すると結果的に、給与に見合った働きのできない社員だけが残ることになります。

なぜなら、給与以上の働きをする社員は、働きに見合った給与を支給する会社に転職するからです。

やはり給与は、社員の働きに応じて支給するのが大原則です。

働き以上の給与をもらえる社員だけが残り、「いい人材が集まらない」という感想を抱くのは、人事考課制度が適正に運用されていないからです。

会社の現状にふさわしい人事考課をお考えでしたら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2021/01/27|1,219

 

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<労災の原因>

労災のほとんどは過失により発生し、労災を起こした本人がケガをしても、周囲の人たちからは「本人の不注意だから」と言われることが多いものです。

しかし、ここで話を終わらせず、さらに原因を追及する必要があります。

これは本人の責任を明確にし、再発を防止するために不可欠なので手を抜けません。

まずは、会社の安全教育です。

業務を行うにあたって予めわかっている危険ポイントごとに、事故を避けるための正しい動作や手順などについて、繰り返し定期的に教育が行われていたでしょうか。

事故が発生したということは、教育不足が疑われます。

つぎに、事故防止のための表示です。

「手袋着用」「高温注意」など、必要な表示が漏れなく整っていたでしょうか。

さらに、仕事による疲労の蓄積です。

個人的な悩みや、プライベートでの疲労で注意力が低下していたのなら、本人の責任が重いといえます。

しかし、残業続きの状態で労災が発生した場合には、不注意の責任を本人だけに押しつけるわけにはいきません。

そうした勤務を許した会社の責任が問われます。

そして、本人の資質の問題があります。

本人の不得意なこと、あるいは、そこまでの注意を期待できない業務を担当させていなかったでしょうか。

適材適所ができていなければ、会社の責任も重くなります。

 

<懲戒処分による減給>

安全教育、表示、適材適所ができていて、過重労働が無かったのに事故が発生したのなら、懲戒処分を検討するのにも十分な理由があります。

しかし、この場合でも、懲戒処分により再発防止が期待できない場合には、懲戒処分の目的が果たされず、悪影響だけが残ってしまいます。

結局、上司や会社に対する恨みなどが原因で、故意に労災を発生させたような場合に限定されるのではないでしょうか。

故意に事故を発生させたのであれは、減給処分では懲戒処分としては軽すぎるかもしれません。

 

<降格・降職に伴う給与の減額>

労災事故の発生をきっかけに、現在置かれている立場の業務を行うには能力が不足していると判明する場合があります。

この場合には、適正な人事考課により職位や役職を下げて、それに応じた給与にするということもあります。

これは、本人の身の安全を守るという観点からも、正当性の認められる場合が多いでしょう。

 

<職務の転換>

自動車事故を起こした従業員の職務から自動車の運転を外し別の業務を担当させることは、本人の身の安全を守る点では有効な手段です。

この場合には、職務の転換によって給与が下がると、非公式な制裁と見られてしまいます。

あくまでも、本人の本心からの同意に基づき行う場合に限定し、トラブルにならないよう心がけましょう。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

労災事故を発生させたから給与を下げるというのでは、社長の気が済むだけで会社としては何も解決しません。

こんなとき、労災をきっかけに会社の成長を考えるのであれば、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2021/01/26|972文字

 

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<通達の発出>

令和3(2021)年1月7日、厚生労働省労働基準局から都道府県労働局に宛てて「労災保険における請求書等に係る押印等の見直しの留意点について」という通達が発出されました。

これまでも、労働基準局が所管する手続のうち、押印または署名を必要としていたものについては、「押印を求める手続きの見直し等のための厚生労働省関係政令の一部を改正する政令等の施行等について」「押印を求める手続きの見直し等のための厚生労働省関係省令の一部を改正する省令等の施行等について」「労働基準行政システムに係る機械処理事務手引(労災)の一部改定について」などの通達が発出されてきました。

今回の通達は、これらを補充・訂正する内容となっています。

社内での押印見直しを進めるにあたって、参考とすべき点が多いことから、以下にその概要を紹介します。

 

<押印等の見直し>

今回の見直しは、令和2(2020)年7月に閣議決定された「規制改革実施計画」を踏まえ、国民や事業者等に対して、押印等を求めてきた手続について、押印等を不要とするために必要な改正を行うものです。

ですから、請求人等の押印等が無くても、記名等があれば受付けられることになります。

また、事業主、請求人等が請求書等を作成するにあたり押印等を行っている場合には、押印等が不要になった旨を説明することになっています。

労災保険の請求書等については、全ての手続で押印等を求めないことになりました。

ただし、記名等をすることについては、引き続き必要とされます。

押印欄のある改正前の様式も、当分の間は、そのままで使用できます。

押印等が不要なので、記載事項を訂正する場合にも訂正印は不要です。

なお、電子申請の電子署名については、今まで通りで変更はありません。

 

<その他>

今回の見直しは、国民等の側について押印等の見直しを行ったもので、行政機関から国民等に対して発出する文書の押印については、今まで通りで変更はありません。

令和2(2020)年12月25日の改正後の様式のうち、受付印欄と決裁印欄は、改正後も今まで通りで変更はありません。

令和2(2020)年12月25日の改正前に受け付けた請求書等のうち、押印等が漏れているものの取扱については、改正日以後は、その他の記載事項に不備が無ければ、不備を理由に返戻されることはありません。

 

解決社労士

2021/01/25|1,182文字

 

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<違法な就業規則は存在する>

就業規則を作成した時には適法だったものの、法改正が繰り返されて違法だらけの就業規則になってしまうということはあります。

国際情勢、国内情勢、市場動向は変化していますし、政府が継続的に強化している少子高齢化対策や働き方改革に沿った法改正は、驚くほど頻繁に、そして大幅に進んでいますから、1年間放置した就業規則が適法性を保っていたら、運が良いと感じてしまいます。

 

<違法な就業規則の届出>

うっかり法令違反の就業規則を労働基準監督署長に届け出たとします。

何も指摘されないこともありますし、たまたま法令違反が見つかって指摘を受けることもあります。

違法な規定を含む就業規則であって、それが発見されたとしても「次回は直しておいてくださいね」ということで、そのまま受け付けてもらえるのが通常です。

このとき、きちんと控えを持って行けば、就業規則を届け出たことの証として、「受付」の印を押してもらえます。

あくまでも「受付」であって、「受理」や「承認」ではないのです。

提出したので受け付けましたというだけのことです。

 

<違法な規定の効力>

労働契約も契約の一種です。

契約は、当事者が話し合って自由に内容を決めることができるという原則があります。

契約自由の原則と言います。

ところが、労働契約の場合には、使用者の立場が強く労働者は弱者であるというふうに考えられています。

実のところはケースバイケースですが、それでも労働関係法令は労働者が弱いという前提に立って法体系ができています。

このことから、本来は自由であるはずの労働契約に法律が介入し、労働者を保護するという役割を担っています。

就業規則は、その会社の労働者に共通な労働条件を定めています。

就業規則には、いろいろ定められているのですが、労働者に共通な労働条件の規定は、必ず含まれているといえます。

そして、就業規則と個別の労働契約とを比べた場合に、違う部分があれば、労働者に有利な方が有効とされます。

さらに、その部分が法律より不利ならば、法律の規定が優先されます。

結局、就業規則と個別の労働契約と法令とを比べて、労働者に一番有利なものが有効になるのです。

 

<違法な規定は効力が無い>

このように、就業規則が法律に違反していたり、個別の労働契約よりも労働者に不利であったりすれば、その規定は無視されるわけです。

このことが判っているので、労働基準監督署では就業規則の届出を受け付ける時に、法律違反が無いかじっくりとチェックしなくても問題無いことになります。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

このような事情から、「労働基準監督署に受け付けてもらったから安心」とはいえません。

知らないうちに、違法な就業規則を運用し適用しているというリスクがあるのです。

このようなリスクを回避するには、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2021/01/24|1,014文字

 

YouTubeこれって労働時間?

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<労働時間の定義>

労働時間とは、「労働者が実際に労働に従事している時間だけでなく、労働者の行為が何らかの形で使用者の指揮命令下に置かれているものと評価される時間」と定義されます。

これは、会社ごとに就業規則で決まったり、個人ごとに労働契約で決まったりするのではなく、客観的に決められている定義です。

労働時間に対しては賃金を支払わなければなりません。

 

<喫煙やおしゃべりの時間は労働時間なのか>

それでは、上の労働時間の定義からすると、喫煙やおしゃべりの時間は労働時間になるのでしょうか。

使用者の指揮命令から離れ、自由に喫煙やおしゃべりを許されている時間は、労働時間にはあたりません。

しかし、本当に使用者の指揮命令から離れていれば、労働者が喫煙のために離席してもおしゃべりしても、使用者側である管理職の皆さんは気付かないはずなのです。

管理職の皆さんが「なんだ、またタバコか」「いつまで、おしゃべりしているんだ」と不快に感じるのは、そうした労働者を指揮命令下に置いているからなのです。

ということは、使用者の指揮命令下にあって、労働時間であるにもかかわらず、使用者が喫煙やおしゃべりを黙認している時間ということになります。

したがって、喫煙やおしゃべりの時間を、労働時間から差し引くこと、給与計算のうえで欠勤控除することには無理があるといえるのです。

 

<管理職失格の証し>

「うちの部下は、何度もタバコを吸いに行ったり、おしゃべりしたりする。ああいう時間は、給料を払わなくてもいいのでは?」と言う管理職がいたら、その人は管理職として不適格です。

なぜなら、部下を指揮命令下に置く能力が不足しているからです。

現在は、テレワークが盛んです。

「部下を直接見ていないから指導できない」「その仕事を評価できない」という管理職は、その職責を果たせていないのです。

そういう人は、担当者として実績を上げたとしても、管理能力は無いのですから、専門職やプロフェッショナルとしての処遇をしてあげるべきなのです。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

ある管理職から部下のサボりを相談されたら、人事部門は部下の方に目を向けます。

しかし、顧問の社労士であれば、そうした話を持ちかけた管理職に目を向けます。

会社を正しい方向に導くには、第三者である専門家の目が必要であることの一例です。

会社を強くしたい成長させたいと本気で考えるのであれば、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2021/01/23|1,891文字

 

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<在宅勤務の経費負担>

在宅勤務の経費負担については、就業規則や個別の労働契約により定められます。

それが適正かどうかは、各企業の判断に任されていることになります。

令和3(2021)年1月15日、国税庁のホームページに、企業がテレワークを行う従業員に対して費用補助を行う場合の課税取扱いに関する「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係) 」が公表されました。

これは、在宅勤務の経費負担について、国の考えを示していることになりますから、自社の定めが適正であるかを確認する際の重要な資料になると考えられます。

以下項目ごとに、その内容をご紹介します。

 

<在宅勤務手当>

・実費相当額を精算する方法により、企業が従業員に対して支給する一定の金銭については、従業員に対する給与として課税する必要はない。

・毎月定額で支給するなど、返還する必要がない金銭を支給した場合は、給与として課税する必要がある。

 

在宅勤務手当として支給する場合には課税対象となりますが、通常必要な費用を実費精算するに過ぎない場合には、課税対象とはならないわけです。

 

<事務用品等>

・企業が所有する事務用品等を従業員に貸与する場合には、従業員に対する給与として課税する必要はない。

・企業が従業員に事務用品等を支給した場合(事務用品等の所有権が従業員に移転する場合)には、従業員に対する現物給与として課税する必要がある。

 

会社の事務用品を従業員が使用している場合、その種類によっては、貸与か支給かが不明確な物もあります。

ここは、貸与であることを再確認しておけば良いでしょう。

また、従業員が立替払で事務用品を購入した後、その購入費用を精算する場合には、事務用品の所有権は会社に帰属しますから、課税対象とはなりません。

 

<電話料金>

・通話明細書等により確認した業務使用分に係る料金を企業が従業員に支給する場合には、従業員に対する給与として課税する必要はない。

・業務のための通話を頻繁に行う業務に従事する従業員については通話明細書等に代えて、FAQで示す算式(基本使用料・通信料等の月額×その月の在宅勤務日数割合×1/2)により算出したものを、業務使用分として差し支えない。

・基本使用料は、上記算式により算出したものを企業が従業員に支給する場合には、給与として課税しなくて差し支えない。

 

業務で利用した通話料金が、通話明細書等により確認できるのであれば、その料金の実費精算については課税対象とはなりません。

また、業務のための通話を頻繁に行う業務に従事する従業員については、通話明細書等に代えて、基本使用料と通信料等の月額をベースに、その期間の在宅勤務日数割合を掛けたものの半額を、業務使用分として実費精算すれば課税対象とはなりません。

ここで、「業務のための通話を頻繁に行う業務」とは、営業担当や出張サポート担当など、顧客や取引先等と電話で連絡を取り合う機会が多い業務と認められるものをいいます。

 

<インターネットのデータ通信料等>

・基本使用料やデータ通信料などについては、FAQに示す算式(基本使用料・通信料等の月額×その月の在宅勤務日数割合×1/2)により算出したものを企業が従業員に支給する場合には、給与として課税しなくて差し支えない。

 

上記に示す算式によって算出した金額を実費として精算する場合には、課税対象とはならないということです。

業務で利用した通信料等が、明細書等により確認できるのであれば、その料金の実費精算をする場合も課税対象とはなりません。

 

<電気料金>

・基本使用料や電気使用料などについては、FAQに示す算式(基本料金・電気使用料の月額×業務使用床面積割合×その月の在宅勤務日数割合×1/2)により算出したものを企業が従業員に支給する場合には、給与として課税しなくて差し支えない。

 

ここで、「業務使用床面積割合」というのは、「業務のために使用した部屋の床面積」÷「自宅の床面積」をいいます。

電気料金については、実費精算をするのが困難ですが、上記の算式で算出したものを実費扱いできるわけです。

 

<レンタルオフィス代等>

・従業員がレンタルオフィス代等を立替払いし、かつ、領収書等を企業に提出して精算されているものについては、給与として課税する必要はない。

・従業員に金銭を仮払いし、レンタルオフィス代等に係る領収証等を企業に提出し精算した場合も同じ。

 

レンタルオフィスの利用料金については、実費精算を認めるに過ぎないと考えられます。

ただ、レンタルオフィスの利用については、会社の事前承認が原則となるでしょう。

 

解決社労士

2021/01/22|1,788文字

 

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<会社に損害が発生するケース>

従業員が業務上、自動車の運転をしていて、人身事故や物損事故を起こした場合には、使用者責任(民法第715条)により、被害者に対して会社も賠償責任を負うことがあります。

その他、自動車の修理代や自動車保険料の増額分、営業上の損失も発生します。

 

<報償責任という考え方>

こうした場合に、会社は事故を起こした従業員に対して、損害のすべてを賠償するよう求めることはできないとされています。

それは、会社は従業員に働いてもらって売上と利益を上げているのだから、損失が発生した場合には、その損失を負担するのが公平だという報償責任の法理が働くからです。

会社に生じた利益のすべてを従業員に分配しているわけではないのに、損害についてだけ従業員にすべてを負担させるのは不合理だというわけです。

 

<懲戒処分による減給>

就業規則に「過失によって会社に損害を加えた場合」の懲戒規定を置いておけば、減給処分も可能です。

厚生労働省のモデル就業規則にも、こうした規定例がありますので参考になります。

しかし、減給処分の金額は限られていて、損害のすべてを回収することはできないでしょう。

むしろ、懲戒処分を受けることはそれ自体が苦痛ですから、懲戒処分を受けた従業員も、懲戒処分があったことを知った従業員も、会社に損害を加えないように一層注意深くなります。

 

<適正な人事考課による対応>

きちんとした人事考課制度があって、交通事故を起こしたことの責任を反映させるというのは正しい方法です。

給与について言えば、安全運転ができないという能力の面や、会社に損失を与えたという貢献度の面で適正な評価をすれば、他の従業員よりも昇給額が少ないというのは妥当性のある結果です。

また、賞与の支給率に反映され、支給額が少なくなるのも仕方のないことです。

これらは、あくまでも人事考課の仕組みがあって、適正に運用されることが前提となります。

従業員が給与や賞与を意識して、会社に損害を加えないように注意深くなるのは明らかです。

 

<交通安全教育>

会社の従業員に対する交通安全教育も重要です。

報償責任や懲戒処分の有効性を考えたときには、会社が十分な教育を行っていたことが、損害賠償の請求や懲戒処分の正当性の根拠となります。

ここで注意したいのは、実質面だけでなく形式面にも配慮すべきだということです。

交通事故を減らすために交通安全教育を実施するわけですが、実施したことの証拠を残すことも重要です。

最終的に会社が負担する責任の範囲を狭めるためには、いつどこでどのような内容の教育を行ったのか、資料を残しておく必要があります。

そして、参加者名簿を作成し、参加者の署名を得ておくことをお勧めします。

参加・不参加も人事考課に反映させたいところです。

 

<過重労働の責任>

全く残業していない従業員の事故と、月80時間ペースで残業している従業員の事故とでは、会社と従業員との間の責任割合が変わってきます。

長時間労働であるほど、会社の責任が重くなります。

過重労働によって疲労が蓄積したり、注意力が低下したりで事故が発生しやすかったと評価されるからです。

人手が足りないのなら、新人を採用する工夫が必要です。

残業手当は25%以上の割増賃金が絡んできますから、長時間労働が発生しているのなら、新人の採用が経営上も有利になります。

ひとり一人の負担を減らすことで、事故の防止を図りたいところです。

 

<スケジュールの見直し>

忙しいとはいえ、そうでもない日もあるはずです。

繁閑の差が出ないようにシフトを工夫しましょう。

1か月何件というノルマがある場合でも、1日何件までという上限を設定して、過重労働を防止する工夫ができます。

会社がスケジュールの管理を強化することも考えられます。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

社会保険労務士というと、手続業務を思い浮かべることが多いようです。

手続型社労士が多いからでしょう。

しかし、社労士は労務管理の専門家ですから、年金、健康保険、雇用保険、労災保険の手続よりも、労務管理や労働安全衛生のこと、そして就業規則などのルール作りと運用管理が得意です。

また、労働トラブルへの対応や防止が得意な社労士もいます。コンサル型社労士です。

守備範囲は広範に及びますから、何か困ったら、とりあえず信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2021/01/21/1,135文字

 

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<会社に損害が発生するケース>

従業員が業務上、自動車の運転をしていて、人身事故や物損事故を起こした場合には、使用者責任(民法第715条)により、会社も被害者に対して賠償責任を負うことがあります。

その他、自動車の修理代や自動車保険料の増額分、営業上の損失も発生します。

 

<報償責任という考え方>

こうした場合に、会社は事故を起こした従業員に対して、損害のすべてを賠償するよう求めることはできないとされています。

それは、会社は従業員に働いてもらって売上と利益を上げているのだから、損失が発生した場合には、その損失を負担するのが公平だという報償責任の法理が働くからです。

会社に生じた利益のすべてが従業員に分配されるわけではないのに、損害についてだけ従業員に負担させるのは不合理だというわけです。

 

<賠償金の給与天引き>

最初から違法な賠償額の予定があったわけではなく、客観的に適正な賠償額が確定したとします。

この場合でも、賠償金を給与から控除するには、また別の問題があります。

労働基準法には次の規定があるからです。

 

(賃金の支払)

第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

 

原則として、賃金は全額を支払わなければなりません。

法令、労働協約、労使協定に定めがあるものは例外的に控除が許されます。

法令により控除が許されるのは、所得税、住民税、社会保険料、財形貯蓄などです。

賠償金は、控除の根拠が法令に規定されていません。

労働協約で組合費、労使協定で共済会費、社宅家賃の控除が定められていることは普通にあります。

賠償金も、労使協定などで定められていれば控除が可能です。

ただし、会社側からの強制で労使協定を交わしたのなら無効です。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

万一に備えて、規定を整備しておくことは重要です。

三六協定と呼ばれる労使協定も、残業がありうるのなら交わして所轄の労働基準監督署長への届出が必要です。

届出なしに残業が1分でもあれば違法です。

つまらないことで足元をすくわれることがないように、手続的なことはきちんと行いましょう。

ただ、やるべきことは会社によって違いますので、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2021/01/20|1,120文字

 

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<会社に損害が発生するケース>

従業員が業務上、自動車の運転をしていて、人身事故や物損事故を起こした場合には、使用者責任(民法第715条)により、会社も被害者に対して賠償責任を負うことがあります。

その他、自動車の修理代や自動車保険料の増額分、営業上の損失も発生します。

 

<報償責任という考え方>

こうした場合に、会社は事故を起こした従業員に対して、損害のすべてを賠償するよう求めることはできないとされています。

従業員に働いてもらって売上と利益を上げているのだから、損失が発生した場合には、その損失を会社も負担するのが公平だという報償責任の法理が働くからです。

会社は、儲かっても利益のすべてを従業員に分配しないのに、従業員の過失で会社に損害が発生したときに、その損害のすべてを従業員に負担させるのは、あまりにも不公平です。

 

<懲戒処分による減給>

就業規則に「過失によって会社に損害を加えた場合」の懲戒規定を置いておけば、減給処分も可能です。

厚生労働省のモデル就業規則にも、こうした規定例がありますので参考になります。

しかし、減給処分の金額は限られていて、労働基準法に次の規定があります。

 

(制裁規定の制限)

第九十一条  就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

 

つまり、1か月の総支給額が30万円なら、1日分の1万円のさらに半分の5千円しか減給ができません。

複数の減給処分が重なった特殊な場合でも、3万円が限度となります。

この規定は、「1か月につき」ではなく「全部で」という意味です。

会社としては、わずかな損害しか回収できません。

 

<適正な人事考課による対応>

きちんとした人事考課の仕組みがあって、交通事故を起こしたことの責任を反映させるというのは正しい方法です。

給与について言えば、安全運転ができないという能力の面や、会社に損失を与えたという貢献度の面で適正な評価をすれば、他の従業員よりも昇給額が少ないというのは妥当な結果です。

また、賞与の支給率に反映され、支給額が少なくなるのも仕方のないことです。

これらは、あくまでも人事考課の仕組みがあって、適正に運用されることが前提となります。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

成果を出しても出さなくても、努力してもしなくても、昇給や賞与が全員同じならば、できる社員ほど退職しやすくなります。

「悪貨は良貨を駆逐する」というグレシャムの法則が働くのです。

小さな会社でも、評価制度は必要です。

生産性を高める適正な人事考課制度は、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2021/01/19|1,140文字

 

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<会社に損害が発生するケース>

従業員が業務上、自動車の運転をしていて、人身事故や物損事故を起こした場合には、使用者責任(民法第715条)により、被害者に対して会社が賠償責任を負うことがあります。

その他、自動車の修理代や自動車保険料の増額分、営業上の損失も発生します。

 

<報償責任という考え方>

こうした場合に、会社は事故を起こした従業員に対して、損害のすべてを賠償するよう求めることはできないとされています。

それは、従業員に働いてもらって売上と利益を上げているのだから、損失が発生した場合には、会社もその損失を負担するのが公平だという報償責任の法理が働くからです。

会社が儲かっても、利益のすべてを従業員に分配するわけではないのに、損害が発生したときに、その損失のすべてを従業員に負担させるのでは不合理だというわけです。

会社ができたばかりのときは、共同経営者だけで運営している場合があります。

この場合には、利益も損失も分かち合う関係にあるでしょう。

ところが、誰かを雇う場合には、その従業員に利益のすべてを給与として支払ってしまうわけではありません。

会社の取り分があります。

このように、利益が出れば会社が一部を得るのに、従業員の過失で損失が出たら、その従業員にすべての損失を押し付けるというのは、正義に反するということなのです。

会社としては、安全運転のできる注意深い人を採用できるし、従業員を教育できるし、保険にも入れるのだから、そのようにして損害を回避すれば良いのです。

 

<損害の何割までなら従業員に賠償を求められるか>

その従業員が故意に事故を起こしたような特殊なケースであれば、会社は損害のほとんどを従業員に賠償させることができそうにも思えます。

しかし、長時間労働で疲労が蓄積し注意力が低下していた、スケジュールがタイトで常に急がねばならない状況だった、不注意な人間であることを承知のうえで運転させていた、会社は交通安全についての教育に熱心ではなく安全運転について本人の自覚に任せていたなどの事情があれば、ある意味、事故を起こした従業員も被害者であって、会社が加害者の性質を帯びてしまいます。

こうした具体的な事情を踏まえて、どれほどの賠償を請求できるのか慎重に検討しなければなりません。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

訴訟になれば、どの程度の賠償請求が妥当かを考えるのは、弁護士の仕事になるでしょう。

社労士が法廷に立つにしても、補助的な役割を担うに過ぎません。

むしろ、交通事故を予防すべきです。

そのための、長時間労働の解消、ノルマやスケジュール管理の適正化、安全運転のできる従業員の採用・教育、あるいは労災保険の手続について、信頼できる社労士にご相談いただきたいと思います。

 

解決社労士

2021/01/18|1,127文字

 

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<労働問題解決の手順>

労働問題の解決は、1.事実の確認、2.問題の抽出、3.解決策の立案、4.解決策の実行 という4つのステップで行うのが基本です。

我々人間だけでなく、すべての生物は事実を頼りに判断しています。

ですから、最初に事実を確認すべきです。

これが不十分なまま、先に進むのは時間の無駄ですし、対応について悩んでしまうことになります。

次に、確認した事実の中から問題を抽出します。

ここでは、法令や判例などの法的知識と、人間関係に関する知識・経験がものをいいます。

知識・経験が不十分なまま問題を抽出しようとしても、やはり悩んでしまうことになります。

そして、解決策の立案では、a.目の前の問題を収束させる即効性のある解決策、b.長期的視点からの改善策、c.再発防止策 の3つを明確に分けて考える必要があります。

この3つのうちの1つでも欠けていると、問題が再燃し悩んでしまうことになります。

あとは、解決策を計画化して実行するだけです。

 

<1.事実の確認>

「おそらくこうだろう」という推測を排除して、客観的な事実の収集と、関係者からの聞き取りを行います。

関係者からの聞き取りでは、事実と感想・意見を明確に分け、あくまでも事実を中心に確認します。

社員に対して下手な聞き取り調査をしてしまうと、重要な証拠を消されてしまったり、人権侵害の問題が発生したりで、悩みの種が増えてしまいます。

慎重かつスピーディーに、効率良く行うことが求められます。

 

<2.問題の抽出>

確認した事実の中から問題を抽出するには、法的知識が必須ですから、人事部門が法務部門と連動して行うべきです。

これが難しいのであれば、労働問題の経験が豊富な弁護士や、特定社会保険労務士の力を借りるのが安全です。

こうした専門家は、法的な問題点を「争点」と呼んで数多く把握しています。

 

<3.解決策の立案>

解決策を考える場合、どうしても目の前の問題を収束させる方法だけに意識が集中してしまいます。

しかし、問題の発生には背景があるわけですから、その背景を改善しなければ、当事者だけの解決に終わってしまい、全社的な解決にはなりません。

同じ背景をベースとする別の問題が発生する危険、同じ問題が別の人に発生する危険を解消できないのです。

また、発生した問題について再発防止策を講じることも大事です。

抽出された問題の一つひとつについて、原因、原因の原因、そのまた原因を追究して、それを消滅させる必要があります。

 

<4.解決策の実行>

長期的視点からの改善策や再発防止策は、ついつい後回しになる傾向にあります。

これでは、いつまで経っても、労使トラブルが減少しません。

どの解決策も、計画を立て、スケジュール通りに実行しましょう。

 

解決社労士

2021/01/17|687文字

 

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<会社に損害が発生するケース>

従業員が業務上、自動車の運転をしていて、人身事故や物損事故を起こした場合には、使用者責任(民法第715条)により、被害者に対して会社が賠償責任を負うこともあります。

その他、自動車の修理代や自動車保険料の増額分、営業上の損失も発生します。

 

<ルール設定の必要性>

こうした事態に備えて、従業員の会社に対する損害賠償のルールを設定しておかないと、その都度、損害賠償の範囲を検討したり、事故を起こした従業員への説明と交渉で多大な労力と時間が必要になります。

明確かつ客観的な規定を就業規則に置いておけば、万一の場合に役立つに違いありません。

 

<就業規則の規定>

ところが、厚生労働省のモデル就業規則を見ても、このような規定は見当たりません。

交通事故に限らず、従業員の会社に対する損害賠償の規定が無いのです。

実は、予め賠償額や損失の負担割合のルールを決めておくことは、労働基準法違反となり、ルールを定めるだけで最高刑懲役6月の罰則があります。〔労働基準法第16条、第119条第1号〕

こうした規定は、労働者を不当に拘束するものとして禁止されているのです。

さらに進んで、「賠償金の支払いが完了するまでは退職を認めない」などということになれば、強制労働の禁止に違反し、これには最高刑懲役10年の罰則があります。〔労働基準法第5条、第117条〕

どちらも、労働基準法違反の犯罪になってしまうわけです。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

あれば便利なルールでも、定めること自体が違法ということもあります。

就業規則の作成にあたっては、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2021/01/16|1,615文字

 

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<労働基準法の規定>

労働基準法によると、解雇する場合には30日前に予告しなければならないのが原則です。

30日前に予告する代わりに、12日分の解雇予告手当を支払うとともに18日前に予告するなど、足して30日になるという方法も取れます。

30日分の解雇予告手当を支払うとともに即日解雇も可能です。

この場合には、「後日支払う」という約束ではなく、現実に支払っておくことが必要です。

そして、試用期間中の労働者に対しては、最初の14日間に限り、解雇予告も解雇予告手当も不要です。

労働基準法には、こうした規定しかありません。

ですから、入社から14日間は解雇の条件が緩いという誤解が生じます。

 

(解雇の予告)

第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

 

2 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。

 

3 前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。

 

第二十一条 前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。但し、第一号に該当する者が一箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第二号若しくは第三号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合又は第四号に該当する者が十四日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない。

一   日日雇い入れられる者

二   二箇月以内の期間を定めて使用される者

三   季節的業務に四箇月以内の期間を定めて使用される者

四   試の使用期間中の者

 

<試用期間についての判例>

試用期間については、最高裁判所が解約権留保付労働契約だと言ったために、何か特別な契約期間であるかのように思われがちです。〔昭和44年12月12日三菱樹脂事件判決〕

しかし、最高裁判所が試用期間について述べたのは、判決を下すのに必要があって述べたわけではなく、傍論として、ついでに語っただけです。

試用期間であれば、本採用後よりも解雇のハードルが低くなる趣旨のことを述べていますが、具体的に、どの項目についてどの程度低くなるのかは語っていません。

結局、試用期間も本採用後も労働契約の期間であることに変わりはなく、両者の違いを明確に説明することはできません。

それでも、試用期間であれば、本採用後とは違った扱いができるという勘違いは、多くの企業に存在しています。

 

<解雇の制限>

試用期間の最初の14日間でも、解雇権濫用であれば不当解雇とされます。

不当解雇なら、使用者が解雇したつもりになっていても、その解雇は無効です。

一方、労働者は解雇を通告されて、解雇されたつもりになっていますから出勤しません。

しかしこれは、解雇権を濫用した使用者が悪いのです。

何か月か経ってから、労働者が解雇の無効に気付けば、法的手段に訴えて会社に賃金や賞与を請求することもあります。

これを使用者側から見れば、知らない間に労働者に対する借金が増えていったということになります。

これは労働契約法に、次のように規定されています。

 

(解雇)

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

一部の企業に端を発した法令の拡大解釈や、最高裁判所の判決に対する誤解が、いつの間にか「常識」となってしまうこともあるのです。

さらに、昨日まで正しかった常識も、法改正や判例変更によって、不適法になることがあります。

正しいことは、信頼できる社労士にご確認ください。

 

解決社労士

2021/01/15|797文字

 

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<労働基準法の規定>

労働基準法は、その第5条で強制労働を禁止し、次の罰則規定を置いています。

 

第百十七条  第五条の規定に違反した者は、これを一年以上十年以下の懲役又は二十万円以上三百万円以下の罰金に処する。

 

<強制労働の意味>

「今どき強制労働なんて」と思われてしまうかもしれません。「強制労働」というと、ピラミッド建設に駆り出される奴隷のようなイメージを抱いてしまうのでしょう。

しかし、労働基準法の規定を見ると、次のように書かれています。

 

(強制労働の禁止)

第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

 

ここにいう不当に拘束する手段には、長期労働契約(第14条)、労働契約不履行に関する賠償予定(第16条)、前借金相殺(第17条)、強制貯金(第18条)などがあります。〔昭和63年3月14日基発第150号通達〕

ここで、カッコの中の「〇条」は、労働基準法の条文を示しています。

 

<辞めさせてくれない会社>

自分の勤務先がブラック企業であることに気づき、退職を申し出たけれども辞めさせてもらえないという労働相談が増えています。

辞めさせてもらえないというのは、具体的には「辞めるなら違約金を支払え」と本人や身元保証人に迫るようです。

これなどは、労働基準法第16条の「労働契約不履行に関する賠償予定」があることを示していて、「退職するな!働き続けろ!」というわけですから、強制労働の禁止に違反していると思われます。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

法律の世界は、法律のことを知っている人の味方です。

法律のことを良く知らない人は、良く知っている人を味方に付けて身を守りましょう。

労働関係法令についていえば、信頼できる社労士を味方に付けるのが安心です。

不安に思うことがあれば、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2021/01/14|1,500文字

 

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<労働基準法の役割>

労働基準法は、労働者が人間らしく生きていけるようにするための、労働条件の最低基準を定めています。

このことは、労働基準法第1条に次のように定められています。

 

(労働条件の原則)

第一条  労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。

2 この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

 

労働基準法と聞くと、使用者側にいろいろと罰則をちらつかせて義務付けているイメージが強いと思います。

しかし、この条文では、「労働関係の当事者」つまり使用者と労働者の両方に、労働条件の維持向上を求めています。

 

<労働条件の決定>

労働条件の決定は、労働者と使用者が対等の立場で決めるべきものとされています。

このことは、労働基準法第2条第1項に次のように規定されています。

 

(労働条件の決定)

第二条  労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。

 

本来は対等なのでしょう。

しかし、少子化によって労働者が不足している現状では、労働者側が優位に立っているようにも思われます。

また、入社後は会社に対する貢献度に応じて、優位に立つ労働者と、弱い立場の労働者に分かれてくるでしょう。

 

<労働条件の遵守>

続けて労働基準法第2条は第2項に次の規定を置いています。

 

2 労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。

 

ここでも「労働者及び使用者は」と規定し、労働条件を守ることについては、労働者も使用者も対等であることを示しています。

 

<労働条件の明示>

とはいえ、労働条件が決まっていなければ守りようがありません。

また、文書化されていなくて、口頭で説明されているだけでは不明確です。

そこで、労働基準法は労働条件の明示について、次のように規定しています。

 

(労働条件の明示)

第十五条  使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

 

このように労働条件の明示は、使用者だけに義務付けられています。

ここでいう「厚生労働省で定める方法」というのは基本は書面ですが、電子化された文書によることもできることされています。

いずれにせよ口頭ではダメです。

そして、明示された労働条件が実際と違っていたら、これを理由に労働者から使用者に対して退職を通知できます。

 

2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。

 

ブラック企業で退職を申し出たら、「退職させてもらえない」とか、「違約金の支払いを求められた」とか、不当なことを言われたという話を耳にします。

しかし大抵のばあいは、この労働基準法第15条第2項を根拠に退職を通知できるケースと考えられます。

 

このように、労働条件の正しい明示は使用者の義務ですから、口頭による説明しか無いのであれば、労働者としては「知りませんでした」「忘れました」という言い訳が許されることになってしまいます。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

「労働条件なんてよくわからないから決めない」「労働条件通知書を渡して違法性を指摘されたら困る」という経営者の方は、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2021/01/13|895文字

 

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<設立直後の会社>

できたばかりの会社では、創業者だけ、あるいは創業者の他は家族だけということもあります。

この場合は、労働条件通知書も就業規則も作られないことが多いでしょう。

すべてはお互いの信頼関係に基づいた口約束で足ります。

創業者に対する尊敬や恩義の気持から、大きな問題は発生しないものです。

 

<事業の拡大>

やがて知り合いを採用し、近隣の人たちをパートやアルバイトとして採用します。

法律上は、労災保険や雇用保険の手続だけでなく、労働条件通知書などの作成交付も必要です。

ところが、家族による事業の運営の延長線上で、これらの手続が行われないことがあります。

もちろん、労働基準法違反の犯罪ですから、罰則の適用もありえます。

違法だと分かっていて手続をしないよりは、よく分からないから放置することの方が多いようです。

また、労働保険や労務管理の専門家は社会保険労務士なのに、何でもかんでも税理士の先生に確認して済ませていると、違法な状態が解消されません。

 

<創業者の離脱>

事業がこれからという時に、創業者が病に倒れ、配偶者やお子さんたちが後を継ぐという事態は、常に想定しておかなければなりません。

相手のあることであれば、分からないことは相手に聞けば良いのですが、それですべてが分かるわけではありません。

特に、従業員の給料のこと、とりわけ残業代については、労働条件通知書や就業規則、そしてきちんとした給与明細書が無ければ、分からずじまいになってしまうことも多いのです。

創業者に対する尊敬や恩義の気持から長く働いていた従業員も、会社から心が離れ、何年分もの残業代を請求してくるかもしれません。

また、退職金を要求するかもしれません。

こうした法的紛争になったときに頼れるのは、人ではなくて、書類を中心とする物的証拠なのです。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

労働関係法令を知らずに他人を雇うリスクは大きなものです。

会社が大きくなったら、事業が軌道に乗ったらではなくて、創業の時から信頼できる社労士にご相談ください。

従業員がいないうちに、労働条件や会社のルールを決めておいた方が楽なのは明らかなのですから。

 

解決社労士

2021/01/12|1,057文字

 

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<労働基準法第1条第1項>

法律の第1条というのは、注目されないものです。

しかし、その法律の目的や、大原則が規定されていますから、これを踏み外すとお話になりません。

労働基準法第1条第1項には、次のように規定されています。

「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」

この規定は、憲法(日本国憲法)第25条第1項の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という規定に基づいています。

そもそも労働基準法ができたのは、主に憲法第27条第2項に「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」という規定があるからです。

つまり、資本家は労働者から搾取するものであり、国は労働者を資本家から守る義務を負うというところから出発しています。

 

<労働基準法第1条第2項>

これもまた注目されていませんが、労働基準法第1条第2項には、次のように規定されています。

「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない」

これを踏み外す危険も大きいと思います。

たとえば人手不足の折、会社の偉い人が「うちの会社は週休2日制だけど、労働基準法は1日でOKだと規定しているから、それでいいんじゃねぇの?」と言いかねません。

労働基準法第35条には、「使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない」と規定されています。

たしかに、新たに会社を設立した場合には、週休1日制でスタートしても違法ではありません。

しかし、週休2日制の会社が労働基準法第35条を根拠に週休1日に変更したら、労働基準法第1条第2項に違反します。

法律というのは、どれか1つの規定に違反していなくても、別の規定に違反すれば違法となることがありますから、木を見て森を見ずというのでは失敗します。

それぞれの法律の目的、あるいはそれを超えて、立法趣旨というものを捉えていないと、条文一つひとつを見て勘違いしてしまうことは避けられません。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

社労士は、数多くある労働関係法令一つひとつの立法趣旨を把握しています。

経営者が「いいこと考えた!」と思ったときは、落とし穴に落ちたときかも知れません。

他社に先駆けて何か工夫しようと思いついたときには、実行に移す前に信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2021/01/11|1,547文字

 

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<労働契約法の規定>

労働契約法第8条に、「労働者と使用者との合意で労働契約の内容である労働条件を変更できる」と規定されています。

また、その第9条と第10条に、就業規則の変更によって労働者の不利益に労働条件を変更する場合のことが規定されています。

 

<缶コーヒーなら>

コンビニでいつもの缶コーヒーを買おうとしたら、レジの店員さんから「これは130円の缶コーヒーですが、今月はお店の売上が足りないので、店長から150円で売るように言われています。150円で買っていただけますでしょうか」と言われたとします。これに応じて150円で買う人は少数派でしょう。

「嫌です。130円で売ってください」と言ったり、別のコンビニに買いに行ったりという反応が想定されます。

こんなお店には、レジの店員さんに対して「これは130円の缶コーヒーだが、今月はお店の売上が足りないそうだから、120円にしてくれたら3本買おう」と言うお客様が来るかもしれません。

 

<給与だと>

給与明細書を見たら、支給額が大幅に減額されていたとします。

上司から「あなたの基本給は25万円だけれど、最近は会社の利益が減少傾向にあるので、社長から基本給は20万円で我慢するように言われています。今月も頑張って働いてくれるかな」と言われたとします。

「嫌です」と言えば、「それじゃクビだ!」と言われるかもしれません。

もちろん、不当解雇なら会社と争うこともできるでしょう。

しかし今日辞めて、明日から別の会社で働き始めるのは、予め準備していなければできることではありません。

反対に労働者の側から「基本給を5万円上げてくれないと、明日から出勤しません」というのも、余程の自信がない限り言えないことです。

 

<不利益変更禁止が強調される理由>

缶コーヒーの売買契約であれ、労働契約であれ、一方の当事者が自分に有利に契約内容を変更するのは自由ではありません。

それが許されるなら、そもそも契約が成立しません。

労働条件の不利益変更というのは、使用者から労働者に一方的に変更を申し出る場合を想定していますので、禁止されるのは当然のことと言えます。

ただ、コンビニでのお客様とお店との売買契約は1回きりのことです。

しかも、商品の引き渡しと代金の支払いが同時です。

後から問題になることが少ない性質を持っています。

ところが労働契約は、労働者と使用者との継続的な関係ですし、給与は後払いですから、何かとトラブルが発生しやすく長引きやすいのです。

そこで、労働者の保護という労働関係法令全体の趣旨を踏まえ、特に労働条件の不利益変更禁止の原則が強調されているわけです。

 

 

【参考】労働契約法

 

(労働契約の内容の変更)

第八条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

 

(就業規則による労働契約の内容の変更)

第九条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。

 

第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

 

解決社労士

2021/01/10|1,222文字

 

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<具体的なトラブル>

円満退社のパート社員が、退職にあたって会社に退職金の支払を請求する、あるいは、退職後に請求するということがあります。

もちろん、パート社員にも退職金を支払うルールなら問題ないですが、会社が支払わないつもりだったならトラブルになります。

 

<就業規則が1種類しか無い場合>

社員が10人以上になったときに会社の就業規則が作成され、そのときは正社員しかいなかったのに、やがてパート社員も働くようになっていたとします。

この場合には、将来パート社員も入社してくることを想定して、就業規則が作成されているとは限りません。

つまり、正社員用の就業規則しか無い状態になりうるのです。

あるいは、就業規則のひな形をそのまま引用して「パートタイム労働者の就業に関する事項については、別に定めるところによる。別に定める規則に定めのない事項は、この規則を適用する」という規定を置きながら、別に定める規則を作っていなければ、パート社員にも正社員用の就業規則が適用されます。

こうして法的には、パート社員にも正社員と共通の唯一の就業規則が適用され、会社に退職金の支払義務が発生するのです。

 

<社員の定義が無い場合>

就業規則に「正社員に退職金を支給する。パート社員には退職金を支給しない」という明確な規定があったとします。

それでも退職するパート社員から「私は残業もしたし、休日出勤もしました。この会社は賞与が出ないけど、誰ももらっていないから我慢しました。でも、退職金が出ないなんておかしいです。私は正社員として働いてきました」と主張されたら、会社は就業規則に示された正社員の定義とパート社員の定義を説明して切り抜けなければなりません。

しかし、就業規則に「正社員とは…」「パート社員とは…」という定義が定められていなければ、説明のしようがありません。

「何となくわかるでしょ」というレベルなら、労働者に有利な解釈がとられるのが労働法の世界です。

結局、会社が退職金の請求を拒むことは困難です。

 

<労働条件通知書に「退職金無し」と書かれている場合>

労働条件通知書、雇用契約書、労働契約書などの名称で、個人ごとに労働条件が通知されています。

ここに「退職金無し」と書かれている場合でも、労働契約法に次の規定があります。

 

(就業規則違反の労働契約)

第十二条  就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

 

つまり、就業規則には「退職金あり」と書いてあって、労働条件通知書などに「退職金無し」と書かれていたら、労働者に有利な「退職金あり」が有効になるということです。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

退職金一つをとっても、法的に争われたら会社が負けてしまうことがあります。

就業規則にトラブルの火種を残さないよう万全を期すため、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2021/01/09|1,380文字

 

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<休憩時間の自由な利用>

労働基準法は、休憩時間について次のように規定しています。

 

(休憩)

第三十四条  使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

 

2  前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。

 

3  使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。

 

このように、労働基準法第34条第3項は、使用者に対し休憩時間を自由に利用させることを義務づけています。

 

<通達による休憩時間利用の制約>

労働基準法などの法律は、立法府である国会が制定しています。

そして、これを具体的に適用する基準として、行政府が次のような通達を発出しています。

 

事業場の規律保持上必要な制限を加えることは、休憩の目的を損なわない限り差し支えない。〔昭和22年9月13日基発第17号通達〕

 

休憩時間中の外出について、所属長の許可を受けさせることも、事業場内において自由に休息し得る場合には、必ずしも違法にはならない。〔昭和23年10月30日基発第1575号通達〕

 

<休憩時間利用の制約についての裁判所の判断>

法律の適用について、その合法性(合憲性)が裁判で争われた場合、最終的には最高裁判所が判断を示します。

たとえば、目黒電報電話局事件について、最高裁判所は次のような判断を示しています。

 

一般に、雇用契約に基づき使用者の指揮命令、監督のもとに労務を提供する従業員は、休憩時間中は、労基法三四条三項により、使用者の指揮命令権の拘束を離れ、この時間を自由に利用することができ、もとよりこの時間をビラ配り等のために利用することも自由であつて、使用者が従業員の休憩時間の自由利用を妨げれば労基法三四条三項違反の問題を生じ、休憩時間の自由利用として許される行為をとらえて懲戒処分をすることも許されないことは、当然である。しかしながら、休憩時間の自由利用といつてもそれは時間を自由に利用することが認められたものにすぎず、その時間の自由な利用が企業施設内において行われる場合には、使用者の企業施設に対する管理権の合理的な行使として是認される範囲内の適法な規制による制約を免れることはできない。また、従業員は労働契約上企業秩序を維持するための規律に従うべき義務があり、休憩中は労務提供とそれに直接附随する職場規律に基づく制約は受けないが、右以外の企業秩序維持の要請に基づく規律による制約は免れない。〔最高裁昭和52年12月13日第三小法廷判決〕

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

社内で、休憩時間の自由な利用に対する制約があった場合、それが法的に許されるかどうかを判断するには、法律の条文を読んで、自分なりに解釈するという方法では危険なのです。

数多くの通達を確認し、関連する裁判例をよく読んで、具体的な制約に当てはめたうえで、専門的に判断する必要があるのです。

顧問の社労士を置いておくことは、会社がつまらないことで足元をすくわれないようにするため、ぜひ必要なことだと思います。

 

解決社労士

2021/01/08|1,839文字

 

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<コミュニケーション不足>

コミュニケーションというのは、人と人との間で行われる知覚・感情・思考の伝達です。

労働問題の原因の大半は、コミュニケーション不足にあると考えられます。

コミュニケーションの良い職場では、労働問題が少ないといえます。

しかし、「コミュニケーションを心がけましょう」と言ってみたところで、それは掛け声に終わってしまいます。

 

<コミュニケーションコスト>

コミュニケーションコストとは、知覚・感情・思考の伝達に必要な、時間・労力・精神的負担のことです。

短時間で手軽に気軽に伝われば、コミュニケーションコストが低いことになりますし、長時間にわたり苦労しないと伝わらないのは、コミュニケーションコストが高い状態です。

 

<伝え手のコミュニケーションコスト>

伝え手のコミュニケーションコストは、受け手に伝えるのに必要な時間・労力・精神的負担です。

主に受け手側に、忙しそう、嫌そうに見える、伝えると怒りそう、反論しそう、理解力が低いなどの問題があると、伝え手のコミュニケーションコストが高くなります。

受け手が、いつも機嫌良く、話しかけると嬉しそうに笑顔になって、反論せずに最後まで聞いて、「ああなるほど」と言ってくれる相手であれば、伝え手のコミュニケーションコストは極めて低くなります。

こういう受け手の所には、情報が集まります。

 

<受け手のコミュニケーションコスト>

受け手のコミュニケーションコストは、伝え手から知覚・感情・思考を受け取るのに必要な時間・労力・精神的負担です。

主に伝え手側に、遠慮している、自信が無い、感情的になっている、言語能力が不足している、論理的でない、話が脱線するなどの問題があると、受け手のコミュニケーションコストが高くなります。

伝え手が、自信を持って堂々と冷静に、分かりやすく論理的に手短に話してくれる人なら、受け手のコミュニケーションコストは極めて低くなります。

こういう伝え手には、協力者が集まります。

 

<職場のコミュニケーションコスト>

職場のコミュニケーションコストは、情報の共有と価値観の統一が進んでいて、メンバーが高い言語能力と理解力を備えていれば、全体に低くなります。

言語能力と理解力は、個人の資質と努力にかかっていますので、職場のコミュニケーションコストを下げるには、情報の共有と価値観の統一を図るのが合理的です。

価値観の統一を図るには話し合いが必要ですから、コミュニケーションコストが低い職場ほど、価値観の統一が進むことになります。

反対に、相手の立場に立って考えることが苦手なメンバーが多いと、価値観の統一を図るのは困難です。

 

<報連相の問題>

ある職場で、報連相不足が認識されたとします。

「報連相を心がけましょう」と言ってみたところで、それは掛け声に終わってしまいます。

もちろん、報連相をする部下の意識が低いだけであれば、こうした掛け声だけで改善されることもあるでしょう。

しかし、多くの場合には、部下のコミュニケーションコストが高くて、報連相がしにくいという実態があります。

つまり上司が、部下の前ではいつも忙しそうで機嫌が悪く、何か伝えても途中で反論しながら怒るというのでは、安心して報告も、連絡も、相談もできる筈がありません。

報連相不足が問題視される職場では、管理職が態度を改めることによって、改善が進みやすくなります。

 

<テレワークの問題>

テレワークでは一般に、コミュニケーションコストが高くなります。

リモート会議のツールを使っても、話し相手の反応にはラグ(遅延)が付き物ですから、コミュニケーションコストが高くなって当然です。

ましてやメールの場合には、相手の様子が分からないまま、文字だけで知覚・感情・思考を伝達するのですから、どうしてもコミュニケーションコストが高くなってしまいます。

当然のマナーともいえますが、メールを打ち終わっても、すぐに送信するのではなく、次のチェックを行いながら何度も推敲すべきです。

 

【メール送信前のチェック】

・可能な限り相手の立場に立って、分かりにくい点は無いか、誤解を招く点は無いか。

・論理矛盾は無いか。

・用件と無関係なことを書いていないか。

・相手がメールを読んで起こすべきアクションは明確か。

・誤字、脱字、誤変換、「てにをは」の誤りは無いか。

 

こうすることによって、コミュニケーションコストを低くすることができます。

もし、感情的になっていたら、一度冷静になってから上記のチェックを行うようお勧めします。

 

解決社労士

2021/01/07|602文字

 

YouTube被保険者 被扶養者「被」とは?

https://youtu.be/TLTo2eFOMfU

 

<無報酬の経営者>

会社の設立直後は利益が出ず、代表者は無報酬で頑張るということがあります。

やがて利益が出たら、その利益に見合う報酬をもらうことにしようというわけです。

また、代表者の親族が名目的に役員に名を連ね、形式的に経営者扱いになっていることもあります。

そして、この場合にも無報酬のことがあります。

 

<保険料負担の建前>

社会保険(健康保険と厚生年金保険)の保険料は、その会社などで報酬を得て、その報酬の中から負担するというのが建前です。

ですから、無報酬なら保険料を負担することには無理があり、負担できないというのが常識的な判断になります。

 

<不都合の発生>

報酬が無かったり、低額だったりの場合には、健康保険料が国民健康保険料よりも安くて済みます。

また、出産手当金や傷病手当金といった給付を受けることもできます。

特に70歳以上であれば、厚生年金の加入義務がありませんから、保険料は健康保険料だけの負担となります。

こうしたことは、いかにも不公平で不合理に思われます。

 

<実際の運用>

無報酬の経営者は社会保険に加入しない、また、経営者が無報酬となった場合には社会保険の資格を失うというのが実際の取扱いです。

年金事務所でもこのように指導しています。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

無理をして社会保険に加入して、損をしている経営者の方もいらっしゃいます。

具体的なことは、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2021/01/06|1,096文字

 

YouTubeこれって労働時間?

https://youtu.be/2UlD66LICBo

 

<賃金の支払義務>

健康診断を受ける時間が、労働基準法の労働時間にあたれば、賃金の支払義務があります。

 

<一般健康診断についての通達>

労働安全衛生法第66条第1項に定める一般健康診断について、次のような通達があります。

「健康診断の受診に要した時間についての賃金の支払については、労働者一般に対して行われるいわゆる一般健康診断は、一般的な健康の確保をはかることを目的として事業者にその実施義務を課したものであり、業務遂行との関連において行われるものではないので、その受診のために要した時間については、当然には事業者の負担すべきものではなく、労使協議して定めるべきものであるが、労働者の健康の確保は、事業の円滑な運営の不可欠な条件であることを考えると、その受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましいこと」(昭和47918日基発第602号通達)

結論として、たとえ一般健康診断を受診しなくても、業務に具体的な支障が生じるわけではないことから、実質的に受診義務が無いことになり、その受診に必要な時間の賃金を、使用者が負担する義務はないと考えているようです。

 

<例外的に労働時間となる場合>

業務命令により一般健康診断を受診させ、受診しない場合の懲戒処分を定めている場合には、賃金支払が必要な労働時間に該当すると考えられます。

 

<特殊健康診断についての通達>

労働安全衛生法第66条第2項に定める特殊健康診断について、次のような通達があります。

「特定の有害な業務に従事する労働者について行われる健康診断、いわゆる特殊健康診断は、事業の遂行にからんで当然実施されなければならない性格のものであり、それは所定労働時間内に行われるのを原則とすること。また、特殊健康診断の実施に要する時間は労働時間と解されるので当該健康診断が時間外に行われた場合には、当然割増賃金を支払わなければならないものであること」(昭和47918日基発第602号通達)

結論として、特殊健康診断を受ける時間を労働基準法にいう労働時間と捉えているようです。

特殊健康診断は、一般健康診断とは異なり、事業の遂行との関連性が強く、受診しなければ業務に具体的な支障が生じうるため、受診義務があり受診に要する時間は労働時間と評価されるということです。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

厳密に考えると、自宅や勤務地から受診会場に行き、受診会場から自宅や勤務地に戻る交通費の負担など、会社と労働者との負担区分には複雑なものがあります。

きちんとした区分を設定し、気持よく健康診断を受診できるようにするには、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2021/01/05|1,450文字

 

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<労働条件>

労働条件は、原則として労働契約の内容です。

ただし、法令、労働協約、就業規則よりも不利な点は、これらによって修正されます。

法令には、労働基準法、最低賃金法、賃金支払確保法、男女雇用機会均等法などが含まれます。

労働協約は、労働組合法に従って締結された、労働組合と使用者(またはその団体)との取り決めをいいます。

 

<労働契約の原則>

労働契約法第3条は、労働契約の原則を次のように定めています。

 

【労働契約の原則】

1 労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。

2 労働契約は、労働者及び使用者が、就業の実態に応じて、均衡を考慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。

3 労働契約は、労働者及び使用者が仕事と生活の調和にも配慮しつつ締結し、又は変更すべきものとする。

4 労働者及び使用者は、労働契約を遵守するとともに、信義に従い誠実に、権利を行使し、及び義務を履行しなければならない。

5 労働者及び使用者は、労働契約に基づく権利の行使に当たっては、それを濫用することがあってはならない。

 

労働基準法は、使用者に多くの義務を課し違反に対して罰則を設けている一方で、労働者に対する罰則はありません。

これに対して、労働契約法は、労働者と使用者の両方に義務を課しているものの、罰則は設けられていません。

違反があった場合には、損害賠償等により民事的に解決されます。

 

<労働条件の決定と明示>

結局、労働条件は、労働契約の内容として労使の合意により決定されるのですが、法令、労働協約、就業規則よりも不利な点は、これらによって修正されます。

労働契約は、口約束でも成立します。〔民法第623条〕

しかし、労働者にとっては生活がかかっていますし、使用者にとっては賃金その他の経費を含め合計数億円に達する大取引ですから、トラブル回避のためにも、使用者が労働者を採用するときは、賃金・労働時間その他の労働条件を書面などで明示しなければなりません。〔労働基準法第15条第1項〕

明示された労働条件が事実と相違する場合には、労働者は、即時に労働契約を解除することができます。〔労働基準法第15条第2項〕

労働条件通知書や労働契約書で、「残業なし」と明示されているのに残業を命じられたら、すぐに退職を申し出ることができるわけです。

 

<労働条件の変更>

労使の合意により、労働契約を変更することによって、労働条件を変更できます。〔労働契約法第3条第1項〕

変更についても、法令、労働協約、就業規則より不利な点は、これらによって修正されます。

労働基準法は、労働者を採用するときだけ、賃金・労働時間その他の労働条件を書面などで明示するよう求めていますが、労働条件を変更する場合にも、トラブル回避のためこれを行っておくべきです。

労働条件の変更のうち、労働者にとって不利益な変更を特に「不利益変更」と呼んでいます。

不利益変更の場合には、労働者の同意の有無が争点となりやすいものです。

しかも、この同意は労働者の「自由な意思による同意」であることが必要です。

使用者は、労働者の真意に基づく同意があったことを証明できるよう、「同意書」のような書面を証拠として残しておくべきです。

この書面には、労働条件の変更内容と同意した旨の他、具体的な変更理由を表示しておくことによって、労働者から「勘違いしていた」「だまされた」などの主張が出されても、納得のうえ同意したことを説明できるようにしておくべきでしょう。

 

解決社労士

2021/01/04|984文字

 

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<残業時間の繰越>

建設業で働くある男性が、月80時間を超える時間外労働をしたのに、将来代休を取る予定にしてその時間分を差し引くことで、80時間未満と申告していました。

この方法は、この職場で長年の慣習だったようです。

本来、適法な三六協定を交わし、かつ、所轄の労働基準監督署長への届出をしていなければ、法定労働時間を超える残業は、たとえ1分間でも違法です。

 

<違法な慣習の発生メカニズム>

社内のある部門で、会社のルール通りにやっていては上手くいかないときに、その部門の部長や事業部長などが「いいこと考えた」とばかりに、少しルールを曲げて運用し、上手くいったつもりになってしまうことがあります。

これが会社目線の素人判断であり、労働法の中のある法令のある規定に違反して違法であったとしても、偉い人の言うことには逆らえませんから、これがその部門での新たな慣習として定着してしまうのです。

もし「いいこと考えた」のが社長であれば、人事部門の責任者も逆らえない可能性があります。

 

<違法な慣習の例>

違法な慣習は、一部の部門だけでなく会社全体に蔓延していて、就業規則に違法な規定が置かれていることもあります。

所轄の労働基準監督署は就業規則の届を受付けているわけですが、細かいチェックまではできないのです。

違法な慣習としては、次のような例があります。

・正社員には年次有給休暇を取得させない。

・臨時アルバイトには労災保険を適用しない。

・軽いケガであれば労災にも健康保険証を使わせる。

・妊娠したら退職するルールがある。

・日給制、年俸制で残業手当を支給しない。

・その日の仕事が終わった時点が終業時刻としている。

・会社で決められた制服への着替え時間が勤務時間外とされている。

・遅刻に対する「罰金」の定めがある。

・会社の備品を壊すと新品を弁償させられる。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

今日までは何事も起こらなくても、明日には事件が起きてマスコミが大々的に報じ、違法な慣習があったことについて深く反省させられるかもしれません。

たとえば、国が少子高齢化対策を強化している今、「パパママ育休プラス」「子の看護休暇」を知らない経営者の方は、基本的なことだけでも確認しておくことをお勧めします。

面倒でしたら、信頼できる社労士を顧問に置いておくという手もありますので、お近くの社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2021/01/03|659文字

 

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<一斉休憩の原則>

労働基準法の前身は工場法でした。

工場では、労働者に一斉に休憩を与えるのが効率的です。

現在、休憩時間は事業場ごとに一斉に与えなければならないというのが、工場だけではなく原則的なルールとなっています。〔労働基準法第34条第2項本文〕

つまり、労働者に対して交代で休憩時間を与えることは、原則として認められません。

 

<事業の種類による例外>

運送事業、販売・理容の事業、金融・保険・広告の事業、映画・演劇・興業の事業、郵便・電信・電話の事業、保健衛生の事業、旅館・飲食店・娯楽場の事業、官公署等では、労働基準法のこの規定の適用が除外されています。〔労働基準法第40条第1項、労働基準法施行規則第31条〕

つまり、これらの事業では、労働者に一斉に休憩を与える必要がありません。

 

<他の事業での例外>

上記の例外に含まれない事業でも、労使協定を締結すれば、休憩時間を一斉に与える必要はなくなり、交代で休憩時間を与えることもできるようになります。〔労働基準法第34条第2項但書〕

しかも、この労使協定は三六協定などと違って、労働基準監督署長への届出が不要です。

それでも、無ければ労働基準監督署の監督(調査)が入ったときには指摘されますから、一斉に休憩を取らせない事業場では、労使協定書を作成して保管しておきましょう。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

三六協定書すら届出していない会社もありますが、必要な労使協定が無いのは違法ですから、一度、信頼できる社労士にご相談のうえ、作成して保管しておくことを強くお勧めします。

 

解決社労士

2021/01/02|1,112文字

 

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<就業規則の有効性>

裁判所の判断によると、就業規則はその変更を含め、周知されていないと効力がありません。

これは、労働基準監督署長に届出をしていても同じです。

このことから明らかなように、届出が法令により義務づけられているものの、就業規則は届出で有効になるわけではなく、周知することによって有効になるのです。

知らないルールは守りようがありませんから、ある意味当然のことです。

 

<周知の意味>

「周知」という言葉は、本来、周(あまね)く=広く知らせるという意味です。

しかし、就業規則を有効にするために求められる周知は、一人ひとりの従業員がそれを読んて理解することではありません。

就業規則ができたこと、変更されたことだけ伝えておいて、あとは見ようと思えば見られる状態にしておけば良いのです。

たとえば、就業規則のファイルを休憩室やロッカー室に置いておくとか、パソコンやスマートフォンで見られるようにしておくのです。

ただし、アルバイトやパート社員などを含め、すべての従業員に見られるようにしておく必要があります。

 

<事業の拠点が複数ある場合>

本部の他に営業所や店舗など、会社の事業の拠点が複数ある場合には、すべての職場で就業規則を周知する必要があります。

周知されていない職場の従業員に対しては効力がありません。

そうした職場では、たとえば懲戒処分ができないことになります。

印刷した就業規則のファイルを置いておくのなら、本部だけでなく、すべての営業所や店舗などに置く必要があります。

そして、アルバイトでも気軽に見られるよう、休憩室などに置くのが普通です。

店長や所長の机の引き出しに入っていたのでは周知になりません。

就業規則をパソコンで見る形になっている場合には、アルバイトでも気軽に見られる状態にしておく必要があります。

正社員はパソコンを使えるけれども、アルバイトは触れないというのでは、アルバイトに対して周知になりません。

 

<会社目線の素人判断では>

「就業規則の変更は社員に知らせなくても労働基準監督署長に届け出れば有効」「まず届出をしてから社員に知らせるのが正しい」という誤解は生じやすいものです。

就業規則に限らず、「うちは昔からこれでやっている」ということで、毎回、間違いを繰り返していたり、法改正を知らずに違法な状態から抜け出せずにいたりということもあります。

顧問社労士は、社内に労働法違反の点が無いか、もし労働基準監督署の監督(調査)が入ったらどの部分の違法を指摘されるか、あるいはどのような改善を求められるかというチェックも行っているはずです。

少しでも不安に感じることがあれば、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2021/01/01/|1,382文字

 

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<「やむを得ない」の意味>

「やむを得ない」の「やむ」は「やめる」、「得ない」は「できない」という意味ですから、「やむを得ない」の意味は、「そうするよりほかに方法がない。しかたがない」という意味になります。

「やむ負えない」「やむ終えない」「やむ追えない」などの誤った表記も見られますが、これらは「やむおえない」ですから、そもそも誤りです。

「やもおえない」「やもうえない」という誤りも、耳にすることがあります。

かつては、「已むを得ない」と表記されていましたが、当用漢字で「止むを得ない」が一般的になりました。

 

<労働基準法の「やむを得ない」>

労働基準法により、解雇の予告や解雇予告手当の支払が無いまま解雇することは、犯罪となり罰則の適用もありえます。

しかし、「やむを得ない」事由のために事業の継続が不可能となった場合には、犯罪にはなりません。

 

【解雇の予告:労働基準法第20条第1項】

使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少なくとも30日前にその予告をしなければならない。30日前に予告をしない使用者は、30日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合または労働者の責に帰すべき事由に基づいて解雇する場合においては、この限りでない。

 

条文には、「やむを得ない」事由の例として、天災事変が示されています。

簡単に「やむを得ない」と判断できないことは明白です。

実際、通達(昭和63年3月14日 基発150号、婦発47号)には、「やむを得ない」場合に該当する例として、次のものが挙げられています。

 

【やむを得ない場合の例】

・事業主の故意や重大な過失に基づかず、事業場が火災により焼失した場合

・震災によって工場、事業場の倒壊、類焼等により事業の継続が不可能となった場合

 

反対に、「やむを得ない」とはいえない場合の例として、次のものが挙げられています。

 

【やむを得ないとはいえない場合の例】

・国税の滞納処分を受け事業廃止となった場合

・取引先が休業状態となり、これが原因で事業が金融難に陥った場合

 

<コロナ禍による場合>

コロナ禍による業績の落ち込みから、正社員の整理解雇や非正規社員の雇い止め等を検討している企業もあります。

事業の継続が不可能となった場合には、コロナ禍が「やむを得ない」事由に該当するといえるのかが問題となります。

しかし、現時点では、厚生労働省などから、コロナ禍により事業の継続が不可能となった場合について、何らかの発表は見られません。

むしろ、助成金・補助金の特例、融資の拡大、税制上の措置、社会保険料の特例軽減などの緊急対応策により、事業の継続を維持するように促している状態です。

少なくとも、これらの緊急対応策を利用し尽くしてもなお、事業主の責任を問われない原因で、事業の継続が不可能となった場合でなければ、解雇の予告や解雇予告手当の支払が無いまま解雇することが許される「やむを得ない」事由があったとは、認められないのではないでしょうか。

さらに、コロナ禍による業績の落ち込みを理由とする解雇は、整理解雇にあたります。

整理解雇が有効となるためには、厳格な要件を満たす必要があります。

まずは、希望退職者の募集や退職勧奨など、労使の合意によって可能な対応を優先することをお勧めします。

 

解決社労士

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