2020年 11月 11日

2020/11/11|1,436文字

 

<大阪医科大学事件>

大阪医科大学事件(令和2年10月13日最高裁判決)では、アルバイト職員が、「正職員と同じ仕事をしていながら、不合理な差別を受けた」として大学側を訴えました。

賞与が支給されないなど、不合理な差別を受けたので、経済的な損害を被っていたとして賠償金を請求したのです。

 

<アルバイト職員の目線>

しかし、正職員の業務のうち難度の高いものについては、アルバイト職員の目に触れない所で行われていた可能性があります。

正職員の業務の中でも難度の高いものは、経営に関わるもの、人事秘に属するものなど、機密性の高い情報を扱う業務が多いため、意図的にアルバイト職員の目を避けて行われていたのではないでしょうか。

 

<小売業では>

他の業種でも、例えば小売業で、売場での正社員の業務は、商品の補充、在庫チェック、発注、お客様のご案内、レジ打ち、ゴミの整理、清掃など、非正規社員とほぼ同じ内容だと思われます。

しかし、売場を離れて、売上や利益を確認しつつ、売場の変更を考え、店舗や部門の方針を策定し、人員配置を協議し、また、他店舗との連携や他店舗への応援など、非正規社員には見えていない業務について責任を負っています。

非正規社員からすると、正社員が売場を離れて働いている時間は、何の仕事をしているか分からない時間、あるいは、働いていない時間と受け取られかねません。

契約社員が、「正社員と同じ仕事をしていながら、退職金が支給されないなど、不合理な差別を受けた」として会社側を訴えたメトロコマース事件(令和2年10月13日最高裁判決)でも、同じような事情があったと考えられます。

 

<説明不足>

大阪医科大学事件では賞与が、メトロコマース事件では退職金が、非正規社員に支払われないことが不合理ではないと判断されました。

もちろん、これらの法人が賞与や退職金を支給することの目的や趣旨も、最高裁の判断の理由となっています。

しかしこれは、職務の内容(業務の内容と責任の程度)、職務内容と配置の変更の範囲、その他の事情に違いがあることを前提とした判断です。

日頃から、あるいは定期的に、会社や上司から正社員の職務内容について、非正規社員に説明していたならば、訴訟そのものが提起されなかったのではないでしょうか。

 

<説明の内容>

上司からの説明で、正社員には非正規社員とは異なる業務があって、それは難度がより高く、責任がより重いものであるということが伝わる必要があります。

次に、売場の仕事を離れるときの、声掛けの具体例を示します。

 

【小売業の場合】

伝わらない例

伝わる例

事務室にいます。 事務室で、販促計画を立てています。

事務室で、新しい棚割りを考えてきます。

応接室にいます。 応接室で、評価の面談をしています。

応接室で、採用面接をしています。

応接室で、業者との商談をしています。

マネージャー会議に行ってきます。 マネージャー会議で、部門売上・利益の進捗確認と改善策の検討をしてきます。
明日はお店に来ません。 明日は、終日○○店の応援です。

明日は本社で、終日アンガーマネジメント研修を受けています。

 

また、会社からの説明は、パートタイム・有期雇用労働法(短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律)の内容を踏まえ、正社員だけが担当する職務の内容(業務の内容と責任の程度)、正社員の職務内容と配置の変更の範囲(職種の変更、昇進、転勤など)、その他の事情(正社員登用制度の実績など)が主な内容となります。

 

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