2020年 10月

2020/10/31|1,043文字

 

<一般的な規定>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」〔労働契約法第16条〕

解雇を通告し、解雇したつもりになっていても、それが不当解雇であって無効なら、従業員の立場は失われないということですから、働いていなくても賃金の支払が必要になるなど大変なことになります。

不当解雇というのは、解雇したつもりで、実は解雇できていない状態ですから危険です。

 

<個別的な規定>

解雇を制限する規定としては、次のようなものがあります。

・国籍、信条、社会的身分による差別的取扱の禁止〔労働基準法第3条〕

・公民権行使を理由とする解雇の禁止〔労働基準法第7条〕

・業務上の負傷・疾病の休業期間等、産前産後休業期間等の解雇制限〔労働基準法第19条〕

・性別を理由とする差別的取扱の禁止〔男女雇用機会均等法第6条第4号〕

・婚姻、妊娠、出産、産前産後休業を理由とする不利益取扱の禁止〔男女雇用機会均等法第9条〕

・育児休業、介護休業、子の看護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定労働時間の短縮措置の申出等を理由とする解雇その他の不利益取扱の禁止〔育児介護休業法第10条、第16条、第16条の4、第16条の9、第18条の2、第20条の2、第23条の2〕

・短時間・有期雇用労働者が、事業主に対して、通常の労働者との間の待遇の相違の内容及び理由などについて、説明を求めたことを理由とする解雇その他の不利益取扱の禁止〔パート・有期労働法第14条第3項〕

・都道府県労働局長に対し個別労働関係紛争解決の援助を求めたこと、あっせんを申請したことを理由とする解雇その他の不利益取扱の禁止〔個別労働関係紛争解決促進法第4条第3項、第5条第2項〕

・法違反を監督官庁(労基署等)に申告したことを理由とする解雇その他の不利益取扱の禁止〔労働基準法第104条第2項、最低賃金法第34条第2項、労働安全衛生法第97条第2項、賃金確保法第14条第2項〕

・公益通報したことを理由とする解雇の無効〔公益通報者保護法第3条〕

・不当労働行為の禁止〔労働組合法第7条〕

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

「常識」に従った解雇は、法的には不当解雇であることが多いものです。

解雇を検討するなら、一度、信頼できる社労士にご相談ください。

何の落ち度もない従業員を退職に追い込むようなことはできませんが、納得して退職していただくためのお手伝いはさせていただきます。

 

解決社労士

2020/10/30|1,375文字

 

<アナログな方法による資格確認>

退職や転職などにより、受診者の保険証(健康保険の保険者)に変更があった場合、このことが医療機関に正しく伝わらないと、医療機関は診療報酬のうちの健康保険適用部分を正しく受け取ることができません。

この場合、電話や文書で受診者などに確認をして、正しい保険者に再申請する等の、医療機関での業務負担が発生しています。

保険者の食い違いが発生するのは、受診者が会社を退職して健康保険の資格を失ったのに、保険証を会社に返却することを怠り、無効な保険証を医療機関に提示した場合などが考えられます。

医療機関が気付かずに、その保険証を有効なものとして手続してしまうと、医療機関も受診者も、手続のやり直しを求められることになってしまいます。

保険証が無効であることを知りながら、あえて不正使用をする受診者がいると、医療機関の収入は、保険証の不正使用者から「自己負担分」として受け取った金額だけになってしまい、本来は不正使用者が全額負担するはずであった金額との差額だけ、損失が発生してしまうことになります。

また、月の途中で保険者が変わる等の異動があった場合、窓口での資格確認にタイムラグが生じる可能性があります。

 

<資格確認オンライン化>

こうした不都合を解消するため、令和3(2021)年3月から、オンラインによる加入者(被保険者)資格と扶養家族(被扶養者)資格の確認が行われるようになる予定です。

オンライン資格確認が開始されると、被保険者や被扶養者が医療機関で受診した際に、その場で最新の資格情報を確認できるようになります。

月の途中で保険者が変わった場合にも、審査支払機関でのオンライン資格確認システムでの資格確認により、レセプトを分割してその保険者に送付する等が行えるようになります。

 

<保険証の記載事項追加>

オンライン資格確認の開始にあたっては、資格の確認を個人単位で行えるようにするため、被保険者記号・番号の個人単位化が必要になります。

このため、令和2(2020)年10月19日以降、協会けんぽで新たに発行される保険証には、記号・番号の右隣に2桁の枝番が印字されるようになっています。

この変更に伴い、プライバシー保護の観点から、健康保険事業とこれに関連する事務以外に、被保険者記号・番号の告知を要求することを制限する「告知要求制限」が設けられています。

なお、この変更により令和2(2020)年10月18日以前に発行された保険証の差替えは、不要です。

 

<マイナンバーカードの保険証利用>

マイナンバーカードによる資格確認も、令和元(2019)年5月成立の改正健康保険法で規定され、令和3(2021)年3月に導入される予定です。

これは、マイナンバーカードのICチップの電子証明書を用いて行うもので、マイナンバーは使いません。

保険医療機関・薬局でのシステム導入の支援のため、「医療情報化支援基金」が創設され、令和5(2023)年3月末までに、概ね全ての医療機関・薬局での導入を目指すものとされています。

転職した場合にも、新しい保険証の発行を待たずに、マイナンバーカードで受診ができるなど便利になります。

医療機関は、マイナンバーカードの顔写真を確認し、窓口では預からないという運用が予定されています。

顔認証付き端末で確認する運用も検討されています。

 

解決社労士

2020/10/29|861文字

 

<解雇の意味>

雇い主から「これこれの条件でこの仕事をしてください」という提案があり、労働者がこれに合意すると労働契約が成立します。

労働契約は口頭でも成立します。

ただ労働基準法により、一定の重要な労働条件については、雇い主から労働者に対し、原則として書面による通知が必要となっています。

解雇は、雇い主がこの労働契約の解除を労働者に通告することです。

 

<普通解雇>

狭義の普通解雇は、労働者の労働契約違反を理由とする労働契約の解除です。

労働契約違反としては、能力の不足により労働者が労働契約で予定した業務をこなせない場合、労働者が労働契約で約束した日時に勤務しない場合、労働者が業務上必要な指示に従わない場合、会社側に責任の無い理由で労働者が勤務できない場合などがあります。

 

<解雇の制限>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という規定があります。〔労働契約法第16条〕

労働者の労働契約違反があった場合でも、雇い主はある程度まで労働契約の維持に向けた努力を示さなければ、解雇権の濫用とされ、解雇を通告しても無効になってしまいます。

能力の不足により労働者が労働契約で予定した業務をこなせない場合でも、雇い主は業務に必要な指導教育を十分に行っていなければ解雇できません。

労働者が業務上必要な指示に従わない場合でも、労働者に指示内容の重要性を説明し、指示に従うよう指導したうえでないと解雇できません。

雇い主は、その労働者を雇わないという選択もできたわけです。

それでも雇ったからには、雇ったことに対する責任があるということです。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

広義の普通解雇には、労働者の労働契約違反を理由とする解雇の他に、整理解雇が含まれます。

整理解雇とは、雇い主側の経営上の理由による解雇をいいます。

解雇は、解雇権の濫用とされれば無効になるわけですから、具体的なケースで解雇の有効性に疑問がある場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2020/10/28|961文字

 

<社会保険への加入拒否>

社会保険への加入基準を満たす労働契約を会社と交わしたら、自動的に社会保険に加入します。

契約書が作成されなくても、口約束でも同様です。

これは、赤ちゃんが生まれたときに、出生届を提出しなくても、生まれなかったことにはならないのと同じです。

一定以上の週所定労働時間、月間所定労働日数の約束で働き始めておきながら、社会保険への加入を拒否するというのは、法的には意味がありません。

会社は、本人が拒否していても、法令により社会保険加入手続が義務づけられていますから、その義務に従って加入手続を行うのが、法的には正しいことになります。

 

<会社が一方的にシフトを減らす行為>

会社は、本人が社会保険への加入手続に反発したのに対抗して、加入基準を下回る一定未満の週所定労働時間、月間所定労働日数でシフトを組むことがあります。

しかし、本人の了解を得ることなく、このようなことをしても無効です。

会社は、社会保険への加入基準を満たす労働契約を交わしたのですから、これに拘束されます。

本人との合意なしに労働契約の内容を変えることはできません。

 

<正しい対応>

会社は、求人広告で所定労働時間や所定労働日数を示し、社会保険への加入も表示していたことでしょう。

そうでなくても、採用にあたって労働条件を再確認しています。

それにも拘わらず、本人が社会保険への加入を拒否するのであれば、社会保険の加入基準は客観的なものであり、本人の意思とは無関係であることを説明したうえで、一定の期限を設けて次のうちから1つを選択してもらうようにします。

・入社を取りやめる

・会社の社会保険加入手続に協力する

・加入基準を下回る労働契約に変更して勤務する

期限内に回答が無ければ、原則通り社会保険の加入手続をとることとしておきます。

また、「加入基準を下回る労働契約に変更して勤務する」という選択肢は、会社の自由な意思によりサービスで設けるものですから、無くてもかまいません。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

上記の対応をしていれば、法令違反も不法行為も発生しません。

労働法に明るくない人が、「社会保険への加入を拒否したらシフトを減らされたのは違法ではないか」と問われたら戸惑ってしまいます。

何かおかしいと感じた時は、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2020/10/27|1,429文字

 

<Society5.0>

Society(ソサエティー)5.0とは、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)をいいます。

第1段階の狩猟社会(Society1.0)、第2段階の農耕社会(Society2.0)、第3段階の工業社会(Society3.0)、第4段階の情報社会(Society4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において、日本が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されました。

内閣府は、Society5.0の社会を次のように想定しています。

 

<新たな社会>

Society5.0で実現する社会では、IoT(Internet of Things)で全ての人とモノがつながり、知識や情報が共有され、今までに無い新たな価値を生み出すことで、多くの課題や困難が克服されるでしょう。

また、人工知能(AI)により、必要な情報が必要な時に提供されるようになり、ロボットや自動走行車などの技術で、少子高齢化、地方の過疎化、貧富の格差などの課題が克服されるでしょう。

 

<Society5.0のしくみ>

Society5.0では、フィジカル空間のセンサーからの膨大な情報が、ビッグデータとしてサイバー空間に集積されます。

このビッグデータを人間の能力を超えた人工知能(AI)が解析し、その解析結果がフィジカル空間の人間に様々な形でフィードバックされることで、これまでには出来なかった新たな価値が産業や社会にもたらされることになります。

 

<人間中心の社会へ>

Society5.0では、ビッグデータを踏まえたAIやロボットが、今まで人間が行っていた作業や調整を代行・支援するため、日々の煩雑で不得手な作業などから解放され、誰もが快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることができるようになるでしょう。

これは、ひとり一人の人間が中心となる社会であり、決してAIやロボットに支配され、監視されるような未来ではありません。

先端技術をあらゆる産業や社会生活に取り入れ、イノベーションから新たな価値が創造されることにより、誰もが快適で活力に満ちた質の高い生活を送ることのできる人間中心の社会が実現されると考えられます。

 

<これから求められる人材>

厚生労働省の、「今後の人材開発政策の在り方に関する研究会」でも、その報告書の中で、新型コロナウイルス感染症の存在を前提とした職業訓練の構築とともに、Society5.0の実現に向けた社会実装や第4次産業革命(IoT、AI、ビッグデータ等)に伴う技術革新の進展等に対応したデジタル利活用人材の育成が進み、国際競争力の維持・向上を実現している社会を目指すべきだとされています。

また、人生100年時代の到来による職業人生の長期化を見据え、労働者が在職中・離職中を問わず、若年のうちから主体的に自らの職業能力開発を継続的に行い、自身のライフステージに応じて、希望する職場で活躍し続けることができる社会になるべきだとしています。

つまり、Society4.0からSociety5.0への変革の中で、求められる職業能力が大きく変容するため、労働者自身が継続的に能力開発をする必要があり、国家も企業もその手助けをしなければならないということです。

これは、企業での教育訓練を優先課題とすべき時期が到来したことを意味します。

 

解決社労士

2020/10/26|992文字

 

<会社が転勤を命ずる権利>

会社の就業規則には、人事異動について、次のような規定が置かれます。

「会社は、業務上必要がある場合に、労働者に対して就業する場所及び従事する業務の変更を命ずることがある。

…労働者は正当な理由なくこれを拒むことはできない。」〔厚生労働省のモデル就業規則第8条〕

たとえこのような規定が無くても、会社と社員との間で転勤を想定した労働契約が成立していれば、会社が労働契約に基づいて社員の働く職種や場所を決定できるとされています。

一般的に、会社は正社員に対して、人事権の一つとして配転命令権を持っています。

ただし、近頃増えている「多様な正社員」のうちの勤務地限定正社員のような労働契約が成立している場合には、その契約の性質上、会社は遠方への転勤を命ずる権利を持っていないことになります。

 

<権利の濫用となる場合>

会社に配転命令権がある場合でも、次のような事情がある場合には、権利の濫用となり配転命令が無効となります。

ほとんど嫌がらせと思われる場合です。

・業務上の必要が無い場合

・配転命令が不当な動機や目的によるものである場合

・社員の不利益が通常の程度を著しく超える場合

 

<権利の濫用だと言われたら>

「会社には配転命令権があり、社員には従う義務がある」という態度を取り続けたのでは、まさに権利の濫用になってしまいます。

会社の取るべき態度について、参考になる条文としては育児介護休業法第26条があります。

「事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない」という規定です。

これは、育児介護休業についてのものですが、その趣旨は、すべての配転命令権に共通する原理です。

つまり、配置転換や転勤について、社員が難色を示した場合には、会社側が具体的な事情を聴き、抱えている問題の解消法を共に考え、どのように対応すべきかを真剣に協議しなければならないということです。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

具体的なケースについて、社員の我がままとして片付けて良いのか、権利の濫用として転勤命令が無効となるのか、判断に迷ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2020/10/25|778文字

 

<従業員から>

従業員からの申し出により労働問題とされやすいのは、パワハラ、セクハラ、労働条件の不利益変更です。

これらは、従業員からの申し出があったとき、経営者が判断に困り、適切な対応ができないでいるうちに、社内で解決しきれない労働問題に発展することがあります。

会社に落ち度が無いという自信があれば、所轄の労働基準監督署に確認して、従業員に説明すれば良いでしょう。

そうでなければ、何かアクションを起こす前に、なるべく早く信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

<訴訟や労働審判への発展>

退職者からの、残業代請求、不当解雇、退職に伴う請求がメインです。

どう考えても円満退職だった退職者の代理人弁護士から、内容証明郵便が届いてビックリというパターンです。

在職中は会社に遠慮して言えなかった不平不満が、退職後に爆発するのですから意外性があります。

退職者ご本人にその気が無くても、ご家族やお知り合いの中には労働法に詳しい方がいらっしゃいます。

そして、この方が労働者の権利を強く主張すると、退職者が同調して会社に請求することもあります。

 

<複合的な形になるもの>

退職者から未払残業代の請求がある場合、パワハラによる慰謝料請求が加わったりします。

セクハラの被害者が退職させられ、加害者が会社に残り、これを不満とした退職者からの慰謝料請求に、未払残業代の請求が加わったりします。

パワハラの加害者として退職させられた人から、不当解雇を主張され、賃金、賞与、慰謝料を請求されることもあります。

権利の侵害を感じた退職者が弁護士に依頼すると、弁護士は依頼人に事実を確認し、これを法的に構成し、できる請求をすべてすることになります。

依頼人と弁護士との契約は、委任契約ですから、医師が治療にベストを尽くすのと同じように、弁護士も依頼人の権利実現にベストを尽くすわけです。

 

解決社労士

2020/10/24|1,340文字

 

<付加金の規定>

付加金は、労働基準法に規定されています。

 

【労働基準法第114条:付加金の支払】

第百十四条 裁判所は、第二十条、第二十六条若しくは第三十七条の規定に違反した使用者又は第三十九条第九項の規定による賃金を支払わなかつた使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあつた時から五年以内にしなければならない。

 

このような形で規定されていますから、ついつい具体的な内容を確認せず、見逃してしまいがちです。

第二十条(解雇予告手当)、第二十六条(休業手当)、三十七条(割増賃金)、第三十九条第九項(年次有給休暇の賃金)と書いてあれば、大変わかりやすいと思います。

解雇予告手当、残業代などの割増賃金、年次有給休暇の賃金は、退職者から会社に対して請求されることがあったのに加えて、最近では新型コロナウイルスの影響による休業の影響で、休業手当の請求が増えてきています。

特に休業手当は、支払実績がほとんど無いことから、会社側が計算方法を誤ってしまい、退職者から不足分を請求される恐れがあります。

 

<支払義務の発生>

条文の本文が「裁判所は」から始まり、「命ずることができる」で終わっています。

このことから、付加金が登場するのは、訴訟となったときに限定されることが分かります。

また、必ず付加金の支払が命ぜられるわけではなく、命ずる場合があるという規定になっています。

さらに、「労働者の請求により」という規定ですから、労働者が請求しなければ、裁判所は付加金の支払を命ずることができません。

 

<付加金の性質>

付加金は「使用者が支払わなければならない金額についての未払金」について発生しますから、全く支払われない場合だけでなく、金額が不足する場合にも支払が命ぜられます。

そして、その金額は未払金と「同一額」です。

労働基準法によって、労働者の権利が100%守られるというレベルを超えて、会社側に支払義務が生じてしまうことから、付加金は会社に課せられた義務の違背に対する制裁であると解されます。

 

<支払わずに済ませる方法>

裁判の口頭弁論が終結する前に、会社側が未払金と遅延損害金を支払ってしまえば、会社の未払は解消してしまいますから、裁判所が付加金の支払を命ずることはできなくなります。

また、第1審の判決を不服として、会社が控訴した場合には、控訴審の口頭弁論終結時までに、会社側が未払金と遅延損害金を支払ってしまえば、会社の未払は解消してしまいますから、やはり裁判所が付加金の支払を命ずることはできなくなります。

ただし、この場合には、遅延損害金が増額しますから、第1審が確定した場合よりも、訴訟費用や人件費などと合わせて、会社の負担が増えてしまうことがあります。

 

<実務的には>

付加金の制度は、「付加金を支払うくらいなら、残業手当や休業手当をきちんと支払ったほうが得だ」と思わせるために存在すると考えられます。

退職者が身勝手な態度をとることもあります。

会社の経営が苦しいこともあります。

それでも、付加金の趣旨を思い出して、正しく支払っていただきたいものです。

 

解決社労士

2020/10/23|971文字

 

<「基準」の意味>

労働基準法の「基準」は、「最高」の水準を意味するものではありません。

そして、「標準」や「目安」を示しているわけでもないのです。

労働基準法の「基準」とは、この一線を踏み越えると違法になるというギリギリの「最低」水準や「限度」、「禁止事項」のことを言っています。

ですから、会社独自の判断で労働基準法に示された「基準」よりも労働者に有利なことをするのはかまいません。

たとえば、入社とともに年次有給休暇を14日付与するなどがその例です。

 

<「基準」の個別性>

労働基準法の「基準」は項目ごとに定められています。

「うちの会社は残業手当を多めに支給しているから、年次有給休暇は取らせなくてもいいだろう」など、全体のバランスで調整することはできません。

 

<違約金・賠償額の予定禁止>

「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」〔労働基準法第16条〕

かつては、中途で退職したり、会社に損害を与えたりした場合は、労働者だけでなくその家族も違約金を払う、損害賠償を行なうなどの契約が見られました。

しかし、これは労働者の退職の自由を奪うことになるので、労働基準法が罰則付きで明確に禁止したのです。

 

<「罰金」のあるブラック企業>

ところが実際には、遅刻したら罰金3千円、お皿を割ったら1枚につき千円など、気軽に労働基準法違反を犯している会社もあります。

そもそも「罰金」というのは、国家権力が科すものですから、民間企業が従業員から罰金を取るというのは明らかにブラックなわけです。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

社内での「常識」に従って昔から行われていることが、実は労働基準法違反ということがあります。

不幸にして、客観的な第三者からの指摘が無いままに、違反を繰り返している状態です。

仕事ができる人は、常に自分の中の常識を疑っています。

経営者が、自分の中の常識を疑わなくなれば、会社は社会の変化についていけません。

労働基準監督署への三六協定書の届出など形式的な面だけでなく、社内で行われていること全体について適法性が確保されているのか、労働条件審査を受けてみてはいかがでしょうか。

経営者や人事部が問題を感じていなくても、思わぬ落とし穴があるかもしれません。

ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2020/10/22|1,140文字

 

<自己中心的と主体的>

採用面接も1,000人以上を経験し、その後の勤務態度や勤続年数を見てくると、応募の段階で人物像が見えるようになってくるものです。

それでも、不慣れな頃は採用面接で自己中心的な人物を見抜くことができず、配属先にご迷惑をお掛けすることもありました。

自己中心的な方は、自分の利益だけを考えて行動しますから、組織の中で働くのには向いていないでしょう。

これに対して主体的な方は、お客様、上司・同僚・後輩、会社全体のことを考えて自発的に行動するので大いに貢献してくれます。

ところが、短時間の採用面接では、自己中心的な応募者を主体的な人だと勘違いしてしまうこともあります。

そこで、採用面接での自己中心派の特徴をまとめてみました。

 

<わかりやすい自己中心派>

「私は」「私が」を多用するのは、自己中心派のわかりやすい特徴です。

また、自己中心的であることを隠そうとした場合には、「私も」「うちも」という言葉が増えます。

「私も」「うちも」と聞くと、協調性があるように思えますが、本当に協調性があれば「そうですね」と言ってうなずきます。

 

<わかりにくい自己中心派>

「割と」「思ったよりも」「意外に」「けっこう」を多用するのも、自己中心派の特徴です。

これらの言葉は、話し相手に対して客観的な内容を伝えるのではなくて、「自分が」どう思うかを伝えています。

「割と大変でしたが、けっこう頑張りました」という話をされたときに、具体的な内容を尋ねると黙り込んでしまうので、ただアピールしたいだけなのがバレてしまいます。

 

<応募の動機>

自己中心派は、応募の動機について、自分にとっての直接的なメリットしか言いません。

給料が高い、通勤が便利、勤務先の近くに〇〇があって便利というのは、よく聞く言葉です。

さらに、誰にでもできる仕事、自分の都合でシフトに入れる、好きな仕事をさせてもらえそうという話が出てくるなど、自分に都合の良い思い込みも多いものです。

 

<前職を辞めた理由>

自分の落ち度は、退職した理由に出てきません。

自分だけ叱られた、周りの人たちに協調性が無かった、上司がバカだったなど、そのほとんどが露骨な悪口です。

こういう人たちを採用してしまうと、いつか退職していったあと会社の悪口を言われそうで採用する気にはなれません。

 

<不思議な共通点>

自己中心的な応募者は面接担当者をほめます。

どうでもいいことで、面接担当者を過剰にほめるのです。

応募者にとっては、採用されることが目的ですから、面接担当者から悪く思われたくないのは当然です。

しかし、極端にほめられた面接担当者は単純には喜べません。

「変わった人だ」「気味が悪い」と感じてしまいます。

自己中心的な人は相手の気持ちを考えるのが不得意なのでしょう。

 

解決社労士

2020/10/21|1,379文字

 

<標準報酬月額の特例措置>

新型コロナウイルス感染症の影響による休業に伴い報酬が急減した人のため、健康保険・厚生年金保険料の標準報酬月額の特例措置がとられています。

この特例措置は、一定の条件を満たす人に限定されています。

また、報酬が著しく下がった期間によって、特例の内容が異なっています。

 

<対象者の条件>

令和2(2020)年8月から12月までの間に、新たに休業により報酬が著しく下がった人と、4月または5月に休業により著しく報酬が下がり特例改定を受けている人とでは、条件が異なっています。

それぞれ、下記に掲げる条件のすべてを満たした人が対象となります。

 

【令和2(2020)年8月から12月までの間に新たに休業により報酬が著しく下がった人】

・新型コロナウイルス感染症の影響による休業があったことにより、令和2年8月から12月までの間に、報酬が著しく下がった月が生じたこと

・著しく報酬が下がった月に支払われた報酬の総額(1か月分)が、既に設定されている標準報酬月額に比べて2等級以上下がったこと

・特例措置による改定内容に本人が書面により同意していること

 

ただし、休業のあった月とその前2か月のいずれか1月でも支払基礎日数が17日未満(特定適用事業所等の短時間労働者は11日未満)の場合、対象とはなりません。

 

【4月または5月に休業により著しく報酬が下がり特例改定を受けている人】

・新型コロナウイルス感染症の影響による休業があったことにより、令和2年4月または5月に報酬が著しく下がり、5月または6月に特例改定を受けたこと

・8月に支払われた報酬の総額(1か月分)が、9月の定時決定で決定された標準報酬月額に比べて2等級以上下がったこと

・特例措置による改定内容に本人が書面により同意していること

 

この特例は、次のすべてに該当する方を対象としています。

 

<一般の随時改定と異なる点>

固定的賃金(基本給、日給等単価等)の変動がない場合でも、特例改定の対象となります。

また、報酬が支払われていない場合でも、特例改定の対象となります。

この場合は、最低の標準報酬月額(健康保険は5.8万円、厚生年金保険は8.8万円)として改定・決定されます。

新型コロナウイルス感染症対応休業支援金を受ける場合でも、特例改定の対象となり、休業支援金は給与支給額に含まれません。

新型コロナウイルス感染症の影響で事業主から休業命令や自宅待機指示などによって休業となった場合は、休業した日に報酬が支払われなくても、給与計算の基礎日数として取り扱われます。

 

<留意点>

届出にあたって、傷病手当金、出産手当金、年金への影響など、加入者(被保険者)本人の十分な理解に基づく事前の同意が必要です。

一度特例改定の届出をした人が、重ねて複数回届出を行うことや、届出後に取下げ・変更を行うことはできません。

なお、特例改定を受けた人は、休業から回復した月に受けた報酬の総額を基にした標準報酬月額が、特例改定により決定した標準報酬月額と比較して2等級以上上がった場合には、その翌月から標準報酬月額を改定することになります。

この場合には、通常の月額変更届の提出が必要です。

 

<手続の方法>

特例用の月額変更届に申立書を添付し、所轄の年金事務所へ郵送または窓口に直接提出します。

届出期限は、令和3(2021)年2月末です。

 

解決社労士

2020/10/20|1,061文字

 

<ブラックな経営方針>

「うちの会社はブラックでいこう!」という経営者など、いないと信じたいものです。

少なくとも、ブラック企業では長続きできないことは分かります。

 

<ありがちな事例>

新しく入ったパート社員から会社に「うちの子が熱を出したのでお休みをいただけませんか?」という電話があったとします。

このとき、会社の責任者はどのように応対するでしょうか。

もし、この電話が入社1か月のパート社員からのもので、同様の電話が3回目だったらどうでしょうか。

 

<子の看護休暇>

小学校就学前の子を養育する労働者は、申し出ることにより、1年に5日まで、病気・けがをした子の看護などのために、休暇を取得することができます。

対象となる子が2人以上なら、1年に10日まで休暇を取得できます。〔育児・介護休業法第16条の2、第16条の3〕

申出は口頭でも、また当日でも認められます。

事業主は、業務の繁忙等を理由に、子の看護休暇の申出を拒むことはできません。

ただし、勤続6か月未満の労働者や週の所定労働日数が2日以下の労働者については、労使協定の締結により対象外とすることができます。

この他の労働者を対象外とすることはできません。

所定労働日数があやふやであったり、一部の労働者を除外する労使協定が未締結であれば、対象外とはできません。

子の看護休暇は、法によって労働者の権利とされているものですから、残業手当の支払や年次有給休暇と同じで、「うちの会社はムリだから無し」ということはできないのです。

 

<いつの間にかブラック企業となる危険>

上の事例で、電話を受けた会社の責任者は、子の看護休暇のことを知らなければいけませんし、勤続6か月未満の労働者や週の所定労働日数が2日以下の労働者について、労使協定の締結により対象外としているのであれば、そのことも知らなければいけません。

「そんなに休んでばかりじゃ採用取り消しだ」などと言ってしまったら、ブラック企業だと言われても反論できません。

労働基準法その他の労働法は、たびたび改正されます。

特に少子高齢化対策に関連する法令の改正は頻繁です。

数年前に完全に適法にしたハズの就業規則とその運用が、いつの間にかブラックになっていても不思議ではありません。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

自覚症状の無いままにブラック企業となってしまわないためには、社内に専任の担当者を置いて、常に最新の教育を施して任に当たらせる必要があります。

これがむずかしいのであれば、会社に合った方法について、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2020/10/19|724文字

 

<ブラック企業の疑い>

マスコミやネットでは、新型コロナウイルス感染症拡大のニュースが大きなウエイトを占めています。

次いで、政治のニュースが多いでしょうか。

働き方改革やブラック企業の問題は、後回しにされている感があります。

情報が減ったことで、自分の勤務先もブラックではないかという疑いを持つ従業員が増えてしまいました。

 

<疑惑のポイント>

ブラック企業の疑いを抱かれるのは、次のようなポイントです。

・賞与が支給されない

・退職金の制度が無い

・通勤手当が一部または全く支給されない

・慶弔休暇が無い

・週休二日制ではない

さらには、次のようなことまで…

・休職の制度が無い

・半日や時間単位の年次有給休暇取得ができない

・病欠を後から年次有給休暇に振り替えることができない

これらは、法令によって労働者の権利とされているものではありません。

比較的多くの会社で、事実上行われているにすぎません。

つまり、これらのことを実施するかどうかは、それぞれの会社の判断に任されていて、法令によって強制されているわけではないのです。

たとえば「賞与が支給されない会社はブラック企業」などとは言えません。

もちろん、就業規則に規定されているものは、従業員の権利として確立しているものです。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

会社がブラックの疑いを晴らすためには、従業員の待遇を改善する他、労働条件審査と教育・研修が役立ちます。

専門家による客観的な労働条件審査により、労務管理上のあらゆる観点からの適法性がチェックできます。

また、就業規則や社内ルールと労働法について、従業員をきちんと教育すれば、会社が正しいことを理解してもらえるでしょう。

具体的なことは、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2020/10/18|2,067文字

 

<ダブルワークと労働基準法>

労働基準法には、次の規定があります。

 

【労働基準法第38条第1項:時間計算】

労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。

 

ここで、「事業場を異にする場合」には、事業主を異にする場合をも含む(昭和23(1948)年5月14日付基発第769号通達)とされています。

つまり、労働時間は通算されるのが原則です。

しかし、ダブルワークについては、この規定の解釈について、さまざまな疑義が出されていました。

令和2(2020)年9月1日付で、厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長に宛てられた通達(基発0901第3号)は、こうした疑義のいくつかに答えるものです。

 

<簡便な労働時間管理の方法>

ダブルワーク労働者の時間管理は、理論は分かっていても、具体的にどうすれば良いのか悩んでしまいます。

通達では、こうした疑問に答えるべく、簡便な労働時間管理の方法を示しています。

まず、使用者の悩みを次のように把握しています。

「副業・兼業の場合の労働時間管理の在り方については、上記のとおりですが、例えば、副業・兼業の日数が多い場合や、自らの事業場および他の使用者の事業場の双方で所定外労働がある場合等には、労働時間の申告等や通算管理について、労使双方に手続上の負担が伴うことが考えられます」

 

<管理モデルの枠組み>

通達では、労働時間の申告等や通算管理での労使双方の手続上の負担を軽減し、法に定める最低労働条件が遵守されやすくなる簡便な労働時間管理の方法を「管理モデル」と呼んでいます。

「管理モデルは、副業・兼業の開始前に、その副業・兼業を行う労働者と時間的に先に労働契約を締結していた使用者(以下「使用者A」という)の事業場での法定外労働時間と時間的に後から労働契約を締結した使用者(以下「使用者B」という)の事業場での労働時間(所定労働時間と所定外労働時間)とを合計した時間数が単月100時間未満、複数月平均80時間以内となる範囲内で、各々の使用者の事業場での労働時間の上限をそれぞれ設定し、各々の使用者がそれぞれその範囲内で労働させることにするものです。

また、使用者Aは自らの事業場での法定外労働時間の労働について、使用者Bは自らの事業場での労働時間の労働について、それぞれ自らの事業場での36協定の延長時間の範囲内とし、割増賃金を支払うことにするものです。

これにより、使用者Aも使用者Bも、副業・兼業の開始後には、それぞれあらかじめ設定した労働時間の範囲内で労働させる限り、他の使用者の事業場での実労働時間の把握をせずに法を遵守することが可能となります」

 

<管理モデルの具体的な導入手順>

通達では、管理モデルを導入するにあたっての設定が、次のように規定されています。

「管理モデルは、一般的には、副業・兼業を行おうとする労働者に対して、使用者Aが管理モデルにより副業・兼業を行うことを求め、労働者と使用者Bがこれに応じることによって導入されることが想定されています。

使用者Aの事業場での1か月の法定外労働時間と、使用者Bの事業場での1か月の労働時間とを合計した時間数が単月100時間未満、複数月平均80時間以内となる範囲内で、各々の使用者の事業場での労働時間の上限をそれぞれ設定します。

月の労働時間の起算日が、使用者Aの事業場と使用者Bの事業場とで異なる場合には、各々の使用者は、各々の事業場の労働時間制度での起算日を基に、そこから起算した1か月の労働時間の上限をそれぞれ設定することにしてもかまいません」

 

<管理モデルでの時間外労働の割増賃金の取扱い>

使用者Aは自らの事業場での法定外労働時間の労働について、使用者Bは自らの事業場での労働時間の労働について、それぞれ割増賃金を支払うことになります。

使用者Aが、法定外労働時間に加え、所定外労働時間についても割増賃金を支払うことにしている場合には、使用者Aは、自らの事業場での所定外労働時間の労働について割増賃金を支払うことになります。

時間外労働の割増賃金の率は、自らの事業場での就業規則等で定められた率(2割5分以上の率。ただし、使用者Aの事業場での法定外労働時間の上限に使用者Bの事業場での労働時間を通算して、自らの事業場の労働時間制度における法定労働時間を超える部分が1か月について60時間を超えた場合には、その超えた時間の労働のうち自らの事業場において労働させた時間については、5割以上の率。)としなければなりません。

 

<その他の例外的なことへの対応>

通達には、複数の事業場での法定外労働時間の合計が1か月で80時間を超える場合や、管理モデルの導入後に労働時間の上限を変更する場合、労働者が事業主を異にする3以上の事業場で労働する場合などについても、対応方法が示されています。

しかし、ダブルワーク労働者の過労や混乱を避けるべきことからすると、こうした例外を発生しないように心がけることも、使用者の責務であるといえるでしょう。

 

解決社労士

2020/10/17|4,293文字

 

<判例の効力>

判決の先例としての効力は、「判決理由中の判断であって結論を出すのに不可欠なもの」に生じます。

決して、結論部分に効力が生じるものではありません。

最高裁が、特定の判決の中で、「契約社員にも、夏期冬期休暇手当、年末年始勤務手当、有給の病気休暇、祝日給、扶養手当を支給しなければならない」と述べたとしても、すべての企業で、すべての契約社員に対して、そうしなければならないと判断されたわけではありません。

 

<事件の争点>

改正前の労働契約法第20条は、次のように定めていました。

 

有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

 

改正前労働契約法第20条は、民事的効力のある規定です。

法の趣旨から、有期契約労働者と無期契約労働者の労働条件を比較したときに、職務の内容、配置の変更の範囲、その他の事情を考慮して、バランスが取れていなければなりません。

「不合理と認められる」相違のある労働条件の定めは無効とされ、不法行為(故意・過失による権利侵害)として損害賠償請求の対象となり得ます。

3つの日本郵便事件は、内容的に重なり合うので、まとめて考えると、夏期冬期休暇手当、年末年始勤務手当、有給の病気休暇、祝日給、扶養手当の相違が、バランスを欠き不合理ではないかが争点となりました。

 

<最高裁の基本的な考え方>

有期労働契約を締結している労働者と、無期労働契約を締結している労働者との、個々の賃金項目の労働条件の相違が、改正前労働契約法第20条にいう「不合理」であるか否かを判断するに当たっては、両者の賃金の総額を比較するだけではなく、それぞれの賃金項目の趣旨を個別に考慮すべきである。

また、賃金以外の労働条件の相違についても、同様に、個々の労働条件の趣旨を個別に考慮すべきである。

 

<「職務の内容」>

正社員は、管理職、総合職、地域基幹職及び一般職(以下「新一般職」という。)の各コースに区分され、このうち郵便局における郵便の業務を担当するのは地域基幹職及び新一般職である。

時給制契約社員は、郵便局等での一般的業務に従事し、月給制契約社員は、高い知識・能力を発揮して郵便局等での一般的業務に従事する。

 

<「配置の変更の範囲」>

正社員には、原則として配置転換が予定されており、一部の正社員には、転居を伴わない範囲において人事異動が命ぜられる可能性がある。

本事件の契約社員は、職場と職務内容を限定して採用されており、正社員のような人事異動は行われず、郵便局を移る場合には、個別の同意に基づき、元の郵便局での雇用契約を終了させたうえで、新たに別の郵便局での勤務に関して雇用契約を締結し直している。

 

<「その他の事情」(人事評価)>

正社員の人事評価では、業務の実績に加え、部下の育成指導状況、組織全体に対する貢献等の項目によって業績が評価されるほか、自己研さん、状況把握、論理的思考、チャレンジ志向等の項目によって正社員に求められる役割を発揮した行動が評価される。

これに対し、本事件の契約社員は、郵便外務事務または郵便内務事務のうち、特定の業務のみに従事し、これら各事務について幅広く従事することは想定されておらず、昇任や昇格は予定されていない。

時給制契約社員の人事評価では、上司の指示や職場内のルールの遵守等の基本的事項に関する評価が行われるほか、担当する職務の広さとその習熟度についての評価が行われる。

月給制契約社員の人事評価では、業務を適切に遂行していたかなどの観点によって業績が評価されるほか、上司の指示の理解、上司への伝達等の基本的事項や、他の期間雇用社員への助言等の観点により、月給制契約社員に求められる役割を発揮した行動が評価される。

本事件の契約社員の人事評価では、正社員とは異なり、組織全体に対する貢献によって業績が評価されること等はない。

 

<「その他の事情」(正社員登用)>

本事件の契約社員に対しては、正社員に登用される制度が設けられており、人事評価や勤続年数等に関する応募要件を満たす応募者について、適性試験や面接等により選考される。

 

<夏期冬期休暇手当の性質・目的と結論>

郵便の業務を担当する正社員に対して夏期冬期休暇が与えられているのは、年次有給休暇や病気休暇等とは別に、労働から離れる機会を与えることにより、心身の回復を図るという目的によるものであると解され、夏期冬期休暇の取得の可否や取得し得る日数は、それぞれの正社員の勤続期間の長さに応じて定まるものとはされていない。

そして、郵便の業務を担当する時給制契約社員は、契約期間が6か月以内とされるなど、繁忙期に限定された短期間の勤務ではなく、業務の繁閑に関わらない勤務が見込まれているのであって、夏期冬期休暇を与える趣旨は、時給制契約社員にも妥当するというべきである。

正社員には夏期冬期休暇が与えられ、時給制契約社員には与えられないという労働条件の相違は、改正前労働契約法第20条にいう「不合理」と認められる。

 

<年末年始勤務手当の性質・目的と結論>

年末年始勤務手当は、正社員が従事した業務の内容やその難度等に関わらず、年末年始に実際に勤務したこと自体を支給要件とするものであり、その支給金額も、実際に勤務した時期と時間に応じて一律である。

年末年始は、郵便の業務についての最繁忙期であり、多くの労働者が休日として過ごしている期間に、同業務に従事したことに対し、その勤務の特殊性から基本給に加えて支給される対価としての性質を有するものであるといえる。

こうした支給の趣旨は、本事件の契約社員にも妥当するものである。

したがって、郵便の業務を担当する正社員に対して年末年始勤務手当を支給する一方で、本事件の契約社員に対してこれを支給しないという労働条件の相違は、改正前労働契約法第20条にいう「不合理」と認められる。

 

<有給の病気休暇の性質・目的と結論>

私傷病により勤務することができなくなった郵便の業務を担当する正社員に対して、有給の病気休暇が与えられているのは、こうした正社員が長期にわたり継続して勤務することが期待されることから、その生活保障を図り、私傷病の療養に専念させることを通じて、その継続的な雇用を確保するという目的によるものと考えられる。

この目的に照らせば、郵便の業務を担当する時給制契約社員についても、相応に継続的な勤務が見込まれるのであれば、私傷病による有給の病気休暇を与える趣旨は妥当する。

本事件の時給制契約社員には、契約期間が6か月以内とされており、有期労働契約の更新を繰り返して勤務する者が存するなど、相応に継続的な勤務が見込まれている。

そうすると、私傷病による病気休暇の日数につき相違を設けることはともかく、これを有給とするか無給とするかにつき労働条件の相違があることは不合理である。

したがって、私傷病による病気休暇として、郵便の業務を担当する正社員に対して有給休暇を与える一方で、時給制契約社員に対して無給の休暇のみを与えるという労働条件の相違は、改正前労働契約法第20条にいう「不合理」と認められる。

 

<祝日給の性質・目的と結論>

祝日給は、正社員に祝日のほか年始期間の勤務に対しても支給されるものである。

年始期間における勤務の代償として祝日給を支給する趣旨は、本事件の契約社員にも妥当する。

したがって、郵便の業務を担当する正社員に対して年始期間の勤務に対する祝日給を支給する一方で、本事件の契約社員に対してこれに対応する祝日割増賃金を支給しないという労働条件の相違は、改正前労働契約法第20条にいう「不合理」と認められる。

 

<扶養手当の性質・目的と結論>

郵便の業務を担当する正社員に対して扶養手当が支給されているのは、正社員が長期にわたり継続して勤務することが期待されることから、その生活保障や福利厚生を図り、扶養親族のある者の生活設計等を容易にさせることを通じて、その継続的な雇用を確保するという目的によるものと考えられる。

この目的に照らせば、契約社員についても、扶養親族があり、かつ、相応に継続的な勤務が見込まれるのであれば、扶養手当を支給することとした趣旨は妥当する。

そして、本事件の契約社員には、有期労働契約の更新を繰り返して勤務する者が存するなど、相応に継続的な勤務が見込まれている。

したがって、郵便の業務を担当する正社員に対して扶養手当を支給する一方で、本事件の契約社員に対して、扶養手当を支給しないという労働条件の相違は、改正前労働契約法第20条にいう「不合理」と認められる。

 

<2日前の2つの判決との関係>

結論だけを見ると、令和2年10月13日の2つの最高裁判決と、令和2年10月15日の3つの最高裁判決とでは、食い違いがあるかのように思われかねません。

しかし、大阪医科大学の賞与は、正職員としての職務を遂行し得る人材の確保やその定着を図るなどの目的から支給されているので、正社員限定で支給されていても、改正前労働契約法第20条にいう「不合理」と認められないとしています。

また、メトロコマースでの退職金は、正社員の職務を遂行し得る人材の確保やその定着を図るなどの目的から、様々な部署等で継続的に就労することが期待される正社員に対し支給されているので、改正前労働契約法第20条にいう「不合理」と認められないとしています。

これらの賞与や退職金は、それぞれの法人で、「正社員(正職員)としての職務を遂行しうる人材の確保や定着を図る目的」で支給されているので、正社員限定でも「不合理」ではないと判断されています。

これに対して、日本郵便の夏期冬期休暇手当、年末年始勤務手当、有給の病気休暇、祝日給、扶養手当は、それぞれの性質や目的が正社員限定のものではなく、非正規社員にも妥当するものなのに、正社員に限定してしまうのは「不合理」だとしています。

結局、賞与、退職金、手当、休暇に共通して、その性質や目的が、非正規社員にも妥当するものか否かによって、「不合理」か否かが判断されているのであって、決して矛盾するものではないのです。

 

解決社労士

2020/10/17|2,045文字

 

<ダブルワークと労働基準法>

労働基準法には、次の規定があります。

 

【労働基準法第38条第1項:時間計算】

労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。

 

ここで、「事業場を異にする場合」には、事業主を異にする場合をも含む(昭和23(1948)年5月14日付基発第769号通達)とされています。

つまり、労働時間は通算されるのが原則です。

しかし、ダブルワークについては、この規定の解釈について、さまざまな疑義が出されていました。

令和2(2020)年9月1日付で、厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長に宛てられた通達(基発0901第3号)は、こうした疑義のいくつかに答えるものです。

 

<副業・兼業の確認>

通達は、使用者による副業・兼業の確認について、次のように説明しています。

「使用者は、労働者からの申告等により、副業・兼業の有無・内容を確認します。

その方法としては、就業規則、労働契約等に副業・兼業に関する届出制を定め、既に雇い入れている労働者が新たに副業・兼業を開始する場合の届出や、新たに労働者を雇い入れる際の労働者からの副業・兼業についての届出に基づくこと等が考えられます。

使用者は、副業・兼業に伴う労務管理を適切に行うため、届出制など副業・兼業の有無・内容を確認するための仕組みを設けておくことが望ましいです」

 

<労働時間を通算管理する使用者>

副業・兼業を行う労働者を使用する使用者は、法第38条第1項の規定により、それぞれ、自らの事業場における労働時間と他の使用者の事業場における労働時間とを通算して管理する必要があります。

しかし、他所の事業場における労働時間を、確実に把握することは困難であることから、通達は次のように行うことを説明しています。

「労働時間の通算管理は、自らの事業場における労働時間と労働者からの申告等により把握した他の使用者の事業場における労働時間とを通算することによって行います。

労働者からの申告等がなかった場合には、労働時間の通算は要せず、また、労働者からの申告等により把握した他の使用者の事業場における労働時間が、事実と異なっていた場合でも、労働者からの申告等により把握した労働時間によって通算していれば問題ありません」

つまり、労働者からの申告等により得られる情報の範囲内で管理すれば良いのであって、それ以上に自ら事実を探知してまで確認する必要は無いということです。

 

<基礎となる労働時間制度>

ダブルワーク労働者が働いている他所の事業場の労働時間制度が、自社のものと異なる場合について、通達は次のようにするよう説明しています。

「法第38条第1項の規定による労働時間の通算は、自らの事業場における労働時間制度を基に、労働者からの申告等により把握した他の使用者の事業場における労働時間と通算することによって行います。

週の労働時間の起算日または月の労働時間の起算日が、自らの事業場と他の使用者の事業場とで異なる場合についても、自らの事業場の労働時間制度における起算日を基に、そこから起算した各期間における労働時間を通算します」

 

<通算して時間外労働となる部分>

この部分は、従来からの変更は無く、通達では次のように説明されています。

「原則として、自らの事業場における所定労働時間と他の使用者の事業場における所定労働時間とを通算して、自らの事業場の労働時間制度における法定労働時間を超える部分がある場合は、時間的に後から労働契約を締結した使用者におけるその超える部分が時間外労働となり、その使用者における36協定で定めるところによって計算することになります。

例外的に、原則の所定労働時間の通算に加えて、自らの事業場における所定外労働時間と他の使用者の事業場における所定外労働時間とをその所定外労働が行われる順に通算して、自らの事業場の労働時間制度における法定労働時間を超える部分がある場合は、その超える部分が時間外労働となります」

つまり、原則として、後から雇った使用者が時間外割増賃金を負担しますが、先に雇った使用者でも例外的に時間外割増賃金を負担することがあるわけです。

そして、「各々の使用者は、通算して時間外労働となる時間のうち、自らの事業場において労働させる時間については、自らの事業場における36協定の延長時間の範囲内とする必要があります。

また、各々の使用者は、通算して時間外労働となる時間によって、時間外労働と休日労働の合計で単月100時間未満、複数月平均80時間以内の要件を遵守するよう、1か月単位で労働時間を通算管理する必要があります」

 

<割増賃金の支払>

上記のように労働時間の通算管理を行う主な目的は、時間外割増賃金の支払を適正に行うことにあります。

通達は、割増賃金の支払について、次のように説明しています。

「各々の使用者は、自らの事業場における労働時間制度を基に、他の使用者の事業場における所定労働時間・所定外労働時間についての労働者からの申告等により、

・ まず労働契約の締結の先後の順に所定労働時間を通算し、

・ 次に所定外労働の発生順に所定外労働時間を通算することによって、

それぞれの事業場での所定労働時間・所定外労働時間を通算した労働時間を把握し、その労働時間について、自らの事業場の労働時間制度における法定労働時間を超える部分のうち、自ら労働させた時間について、時間外労働の割増賃金(法第37条第1項)を支払う必要があります。

時間外労働の割増賃金の率は、自らの事業場における就業規則等で定められた率(2割5分以上の率。ただし、所定外労働の発生順によって所定外労働時間を通算して、自らの事業場の労働時間制度における法定労働時間を超える部分が1か月について60時間を超えた場合には、その超えた時間の労働のうち自ら労働させた時間については、5割以上の率。)となります(法第37条第1項)。

 

<実務上のポイント>

ダブルワーク労働者の割増賃金の計算は、やや複雑に思われるかもしれません。

それだけに、未払い賃金が発生する恐れも大きいものです。

通達の内容を踏まえて、適正な賃金支払を行っていただきたいと思います。

 

解決社労士

2020/10/10/16|2,396文字

 

<判例の効力>

判決の先例としての効力は、「判決理由中の判断であって結論を出すのに不可欠なもの」に生じます。

決して、結論部分に効力が生じるものではありません。

最高裁が、特定の判決の中で、「契約社員に退職金を支給しなくても良い」と述べたとしても、すべての企業で契約社員に退職金を支給する必要が無いと判断されたわけではありません。

 

<事件の争点>

改正前の労働契約法第20条は、次のように定めていました。

 

有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

 

改正前労働契約法第20条は、民事的効力のある規定です。

法の趣旨から、有期契約労働者と無期契約労働者の労働条件を比較したときに、職務の内容、配置の変更の範囲、その他の事情を考慮して、バランスが取れていなければなりません。

「不合理と認められる」相違のある労働条件の定めは無効とされ、不法行為(故意・過失による権利侵害)として損害賠償請求の対象となり得ます。

この事件では、退職金の相違が、バランスを欠き不合理ではないかが争点となりました。

 

<最高裁の基本的な考え方>

改正前労働契約法第20条は、有期契約労働者と無期契約労働者の労働条件の格差が問題となっていたこと等を踏まえ、有期契約労働者の公正な処遇を図るため、その労働条件につき、期間の定めがあることにより不合理なものとすることを禁止したものである。

退職金の支給についても、不合理か否かの判断に当たっては、他の労働条件の相違と同様に、その法人での退職金の性質や支給の目的を踏まえて、同条所定の諸事情を考慮することにより、その労働条件の相違が不合理と評価できるか否かを検討すべきである。

 

<「職務の内容」>

本事件の労働者は、契約社員Bという名称の雇用形態であり、一時的、補完的な業務に従事するものとされ、東京メトロの駅構内の売店での販売業務に従事していた。

正社員は、売店での販売業務に従事することもあったが、職務の限定は無かった。

売店での業務の内容は、売店の管理、接客販売、商品の管理、準備・陳列、伝票・帳票類の取扱、売上金等の金銭取扱、その他付随する業務であり、これらは正社員と契約社員Bとで相違することはなかった。

正社員は、休暇や欠勤で不在になった販売員に代わって、早番や遅番の業務を行う代務業務を行っていたほか、複数の売店を統括し、売上向上のための指導、改善業務や売店の事故対応等の売店業務のサポートやトラブル処理、商品補充に関する業務等を行うエリアマネージャー業務に従事することがあった。

これに対し、契約社員Bは、原則として代務業務を行わず、エリアマネージャー業務に従事することもなかった。

 

<「配置の変更の範囲」>

正社員は、業務の必要により配置転換、職種転換、出向を命ぜられることがあり、正当な理由なく、これを拒むことはできなかった。

契約社員Bは、業務の場所の変更を命ぜられることはあったが、業務の内容に変更はなく、配置転換や出向を命ぜられることはなかった。

 

<「その他の事情」>

契約社員Bから契約社員A、契約社員Aから正社員への登用制度が運用されていた。

契約社員Bは、契約期間が1年以内の有期契約労働者であり、原則として契約が更新され、定年が65歳と定められており、本事件の契約社員Bは、定年により契約が終了するまで10年前後の長期間にわたって勤務した。

 

<退職金の性質・目的と結論>

この法人での退職金は,職務遂行能力や責任の程度等を踏まえた労務の対価の後払いや、継続的な勤務等に対する功労報償等の複合的な性質を有するものである。

この法人では、正社員の職務を遂行し得る人材の確保やその定着を図るなどの目的から、様々な部署等で継続的に就労することが期待される正社員に対し退職金を支給している。

本事件の契約社員Bに退職金が支給されなかったのは、不合理であるとまで評価することはできず、改正前労働契約法第20条に反しない。

 

<住宅手当について>

住宅手当については、本事件の契約社員Bの主張が正当であり、法人は支払われなかった住宅手当に相当する損害金の支払が必要である。

 

<実務の視点から>

同一労働同一賃金への対応で、最初に行うべきことは、自社の現状の賞与、退職金、各手当などの支給の趣旨や目的を明らかにすることです。

たとえば、就業規則の中の賞与の規定には、「会社の業績および労働者の勤務成績などを考慮して各社員の支給額を決定する」というような、簡単な説明しか記述されていないことが多いものです。

「当社の賞与は、○○の趣旨で、××を目的として支給する」という規定があって、これにより賞与支給の対象者が正社員に限定されていたり、正社員以外には少ない額の賞与が支給されていたりの実態が、合理的に説明できるのであれば、制度をいじる必要は無いのです。

現行のパートタイム・有期雇用労働法適用下では、使用者がパートタイム労働者などから尋ねられたら、正社員との労働条件の違いを説明しなければなりません。

就業規則に規定しなくても、Q&A集を作成し、問われたら具体的に説明できるようにしておく必要はあります。

できれば、Q&A集を配布・公開して、説明の手間を省きたいところです。

そして、待遇の相違を合理的に説明できる趣旨や目的が、どうしても見当たらない場合には、待遇のバランスを整えるため、制度の変更が求められることになります。

 

解決社労士

2020/10/16|1,614文字

 

<ダブルワークと労働基準法>

労働基準法には、次の規定があります。

 

【労働基準法第38条第1項:時間計算】

労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。

 

ここで、「事業場を異にする場合」には、事業主を異にする場合をも含む(昭和23(1948)年5月14日付基発第769号通達)とされています。

つまり、労働時間は通算されるのが原則です。

しかし、ダブルワークについては、この規定の解釈について、さまざまな疑義が出されていました。

令和2(2020)年9月1日付で、厚生労働省労働基準局長から都道府県労働局長に宛てられた通達(基発0901第3号)は、こうした疑義のいくつかに答えるものです。

 

<労働時間が通算されない場合>

今回の通達では、労働基準法第38条第1項の規定による労働時間の通算が行われない場合について、そもそも法が適用されない場合と、法は適用されるが労働時間規制が適用されない場合を、次のように確認しています。

 

・法が適用されない場合

フリーランス、独立、起業、共同経営、アドバイザー、コンサルタント、顧問、理事、監事等

 

・法は適用されるが労働時間規制が適用されない場合(法第41条と第41条の2)

農業・畜産業・養蚕業・水産業、管理監督者・機密事務取扱者、監視・断続的労働者、高度プロフェッショナル制度

 

<労働時間が通算して適用される規定>

通達は、労働時間が通算される規定について、次のように説明しています。

「法定労働時間(法第32条・第40条)について、その適用において自らの事業場における労働時間および他の使用者の事業場における労働時間が通算されます。

時間外労働(法第36条)のうち、時間外労働と休日労働の合計で単月100時間未満、複数月平均80時間以内の要件(同条第6項第2号および第3号)については、労働者個人の実労働時間に着目し、その個人を使用する使用者を規制するものであって、その適用にあたっては、自らの事業場における労働時間および他の使用者の事業場における労働時間が通算されます。

時間外労働の上限規制(法第36条第3項から第5項までおよび第6項(第2号および第3号に関する部分に限る))が適用除外(同条第11項)または適用猶予(法第139条第2項、第140条第2項、第141条第4項または第142条)される業務・事業についても、法定労働時間(法第32条・第40条)についてはその適用において自らの事業場における労働時間および他の使用者の事業場における労働時間が通算されます」

 

<通算されない規定>

通達は、労働時間が通算されない規定について、次のように説明しています。

「時間外労働(法第36条)のうち、法第36条第1項の協定(以下「36協定」という)により延長できる時間の限度時間(同条第4項)、36協定に特別条項を設ける場合の1年についての延長時間の上限(同条第5項)については、個々の事業場における36協定の内容を規制するものであって、それぞれの事業場における延長時間を定めることになります。

また、36協定において定める延長時間が、事業場ごとの時間で定められていることから、それぞれの事業場における時間外労働が36協定に定めた延長時間の範囲内であるか否かについては、自らの事業場における労働時間と他の使用者の事業場における労働時間とは通算されません。

休憩(法第34条)、休日(法第35条)、年次有給休暇(法第39条)については、労働時間に関する規定ではなく、その適用において自らの事業場における労働時間および他の使用者の事業場における労働時間は通算されません」

 

<実務でのポイント>

ダブルワークにおける労働時間の通算は、当事者である労働者から不満が出やすいものです。

労働者から、通達とは異なる見解が主張された場合には、会社から通達の内容を丁寧に説明する必要があります。

 

解決社労士

2020/10/15|2,182文字

 

<判例の効力>

判決の先例としての効力は、「判決理由中の判断であって結論を出すのに不可欠なもの」に生じます。

決して、結論部分に効力が生じるものではありません。

最高裁が、特定の判決の中で、「アルバイト職員に賞与を支給しなくても良い」と述べたとしても、すべての企業でアルバイトに賞与を支給する必要が無いと判断されたわけではありません。

 

<事件の争点>

改正前の労働契約法第20条は、次のように定めていました。

 

有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

 

改正前労働契約法第20条は、民事的効力のある規定です。

法の趣旨から、有期契約労働者と無期契約労働者の労働条件を比較したときに、職務の内容、配置の変更の範囲、その他の事情を考慮して、バランスが取れていなければなりません。

「不合理と認められる」相違のある労働条件の定めは無効とされ、不法行為(故意・過失による権利侵害)として損害賠償請求の対象となり得ます。

この事件では、賞与、私傷病による欠勤中の賃金、夏期特別有給休暇の相違が、バランスを欠き不合理ではないかが争点となりました。

 

<最高裁の基本的な考え方>

その法人での賞与等の性質や支給の目的を踏まえて、改正前労働契約法第20条に規定されていた諸事情を考慮することにより、その労働条件の相違が不合理と評価できるか否かを検討すべきである。

 

<「職務の内容」>

正職員は、大学や附属病院等のあらゆる業務に携わり、定型的で簡便な作業等ではない業務が大半を占め、中には法人全体に影響を及ぼすような重要な施策も含まれ、業務に伴う責任は大きい。

アルバイト職員の業務は、定型的で簡便な作業が中心であり、相当に軽易であることが窺われる。

両者の職務の内容に、一定の相違があったことは否定できない。

 

<「配置の変更の範囲」>

正職員は、業務の内容の難度や責任の程度が高く、人材の育成や活用を目的とした人事異動が行われていた。

アルバイト職員の人事異動は、例外的かつ個別的な事情によるものに限られていた。

 

<「その他の事情」>

アルバイト職員には、契約職員、正職員へ段階的に職種を変更するための試験による登用制度が設けられていた。

 

<賞与の性質・目的と結論>

この法人の賞与は、正職員としての職務を遂行し得る人材の確保やその定着を図るなどの目的から支給されている。

この賞与には、労務の対価の後払いや一律の功労報奨の趣旨が含まれる。

本事件のアルバイト職員に賞与が支給されなかったのは、不合理であるとまで評価することはできず、改正前労働契約法第20条に反しない。

 

<私傷病による欠勤中の賃金の性質・目的と結論>

正職員が私傷病で欠勤した場合、6か月間は給与全額が支払われ、その後は休職が命ぜられて、給与の2割が支払われていた。

これは、正職員が長期にわたり継続して就労し、または将来にわたって継続して就労することが期待されることに照らし、正職員の生活保障を図るとともに、その雇用を維持し確保するという目的によるものである。

アルバイト職員は、契約期間を1年以内とし、更新される場合はあるものの、長期雇用を前提とした勤務を予定しているものとは言い難い。

本事件のアルバイト職員も、勤務開始後2年余りで欠勤扱いとなり、欠勤期間を含む在籍期間も3年余りに留まる。また、有期労働契約が当然に更新され契約期間が継続する状況にあったという事情も無い。

よって、本事件のアルバイト職員に、私傷病による欠勤中の賃金が支払われなかったことは、不合理であるとまで評価することはできず、改正前労働契約法第20条に反しない。

 

<夏期特別有給休暇について>

夏期特別有給休暇については、本事件のアルバイト職員の主張が正当であり、法人は日数分の賃金に相当する損害金の支払が必要である。

 

<実務の視点から>

訴訟を提起したアルバイト職員は、「正職員と同じ仕事をしていながら、不合理な差別を受けていた」と考えたわけです。

しかし、正職員の業務のうち難度の高いものについては、アルバイト職員の目に触れない所で行われていた可能性があります。

また、人事異動の実態など、労働条件のバランスの妥当性を考える材料について、アルバイト職員がさほど意識していなかったかもしれません。

現行のパートタイム・有期雇用労働法適用下では、使用者がパートタイム労働者などから尋ねられたら、正社員との労働条件の違いを説明しなければなりません。

この事件でも、アルバイト職員に対して、正職員との職務の内容、配置の変更の範囲、その他の事情についての相違点を積極的に説明していたならば、訴訟提起に至らなかったように思えます。

管理職は、部下に対して、さまざまな説明義務を負っているのですが、これが疎かにされていると、無用なトラブルを生む火種となります。

会社は、管理職が説明義務を果たせるように教育する必要もあるのです。

 

解決社労士

2020/10/15|1,166文字

 

<定額残業代のメリット>

定額残業代は良い仕組みです。

労働者にとっては、残業が少なくても定額残業代が保障されていますし、会社にとっては人件費が安定します。

しかし、それだけではありません。

残業が少なくても定額残業代が保障されているのですから、労働者は早く仕事を終わらせてプライベートを充実させようとします。

そのためには、自主的に学んだり、仕事の仕方を工夫したり、会社に言われるまでもなく努力します。

これによって生産性が向上するのは、会社にとっても大きなメリットです。

もし、こうした結果が得られていないのならば、制度の導入や運用に誤りがあると思われます。

 

<定額残業代の正しい導入>

基本給にあたる賃金から、一定の時間(基準時間)に相当する定額残業代を算出します。

このとき、割増率が法定の基準を下回らないことと、基本給が最低賃金を下回らないことが必要です。

この基本給から定額残業代を算出した計算方法について、労働者ひとり一人に実額で説明します。

文書をもって説明し、制度の導入について同意を得ておくのが基本です。

人間は変化を嫌います。

良い制度を導入する場合でも同じです。

定額残業代には、悪いイメージもありますからなおさらです。

 

<誤った導入をすると>

定額残業代の計算が誤っていたり、割増率が法定の基準を下回っていたり、最低賃金法違反があったり、労働者への説明が不十分であったりすると、制度そのものが無効とされます。

この場合、労働基準監督署の監督が入ったり、労働審判が行われたりすると、基本給にあたる賃金に定額残業代を加えた金額を基本給として残業代を計算し、さかのぼって支払うことになるでしょう。

これは、実質的には残業代の二重払いですから、会社にとって想定外の出費となります。

このように、導入の失敗は大きなリスクとなります。

 

<定額残業代の正しい運用>

定額残業代を導入しても、労働時間は適正に把握する必要があります。

なぜなら、基準時間を上回る時間の残業手当や、計算に含まれない法定休日出勤手当、深夜手当は、毎月計算して支給しなければならないからです。

もちろん、残業が基準時間を下回っても、その分定額残業代を減額することはできません。

そんなことをしては「定額」残業代ではなくなってしまいます。

誤った運用をしてしまった場合のリスクは、誤った導入をした場合と同じです。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

定額残業代は、ブラックな制度のように思われがちです。

ハローワークで求人票に定額残業代の表示をすることについては、窓口で慎重すぎる態度を示されてしまいます。

これは、誤った制度導入や運用があまりにも多いため、悪い印象を持たれてしまっているからでしょう。

定額残業代を正しく活用し、そのメリットを最大限に活かすには、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2020/10/14|986文字

 

<国の政策に対する無知>

産前産後休業というのは、労働基準法による国全体の制度です。

また、育児休業というのは、育児介護休業法による国全体の制度です。

どちらも、会社の規模にも状況にも左右されません。

大企業では十分な産休・育休が与えられるでしょうから、法令の基準は中小企業に対して最低のものとして設定されたものといえます。

会社は従業員が産休や育休を取得する前提で、人材を確保しておかなければなりません。

たとえ就業規則や社内ルールに、産休や育休についての定めが無くても、その会社には法令通りに産休や育休の規定が適用されます。

日本で少子高齢化が深刻化し、出産や育児に対する法的配慮が強化されています。

このことを知らずに、昭和の感覚で会社を経営している経営者は危険です。

当たり前ですが、産休や育休に対応できない会社の評判は口コミ情報で低下していきます。

経営者が、国の政策を踏まえて経営していかなければ、その会社の未来はありません。

 

<解雇が困難であることに対する無知>

産休・育休を取らせないということは、そのまま勤務させるということではありません。

退職を迫るということです。

これは不当解雇にあたります。

妊娠や出産を理由として解雇するのが不当解雇にあたるということについては、法令に具体的な定めがあります。〔男女雇用機会均等法第9条第3項〕

不当解雇になるということは、解雇が無効になるということです。

経営者は解雇したつもりになっていても、その従業員には従業員としての権利が続くということです。

そして実際に勤務していなくても、勤務できないことについて会社側に責任があるわけですから、会社には賃金支払義務が残ります。

それだけでなく、会社はその従業員に辛い思いをさせたのですから、慰謝料も支払うことになるでしょう。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

「ブラック」を経営理念に掲げる経営者はいないでしょう。

ブラック企業というのは、経営者が意図せずに、いつの間にかブラックになっているものです。

その昔は、結婚退職が働く女性のハッピーエンドだったかもしれません。

しかし、それは遥か昔のことです。

経営者は、時代の流れに乗らなければ生き残れません。

会社が流れに乗り切れず、ブラックな方向に向かっていないかのチェックには、労働条件審査が役立ちます。

信頼できる社労士にご相談してみてはいかがでしょうか。

 

解決社労士

2020/10/13|1,483文字

 

<上昇傾向の最低賃金>

最低賃金の第1の落とし穴は、急速な上昇傾向にあります。

 

【過去10年間の最低賃金の上昇率】

 

2010年改定

2020年改定

上昇率

全国平均

730円

902円

23.6%

東京都

821円

1,013円

23.4%

 

最低賃金を上昇させる狙いには、少子化対策もあります。

2020年度は、新型コロナウイルスによる企業への影響などを踏まえ、東京都などでは前年の金額のまま据え置かれ、全国平均で1円の上昇に留まりました。

しかし長期的には、中小企業で働く若者が、安心して結婚し子供を育てるのに十分な賃金を得られる水準になるまで、急速な上昇傾向が続くものと思われます。

 

<改定時期>

最低賃金の第2の落とし穴は、10月に改定されることです。

多くの企業では、毎年4月に賃金改定が行われています。

この賃金改定の時点では、社内に最低賃金を下回る従業員がいなくても、10月になると最低賃金の上昇により、最低賃金法違反が発生しうるということです。

 

<企業規模>

最低賃金の第3の落とし穴は、企業規模に関係なく適用されることです。

大企業で最低賃金を下回る現象は見られないものの、子会社や関連会社で最低賃金法違反が発生することはありえます。

中小企業では、月給制や日給制の場合や、例外となる労働者、計算に含まれない手当などについて、誤解している場合があります。

子会社や関連会社の賃金について、直接確認が必要となることもあるでしょう。

 

<月給制などの場合>

最低賃金の第4の落とし穴は、それが時間額で示されることです。

時間額で示されていることから、月給制、日給制、出来高払制の場合には、ひと目で判断できず、また最低賃金が適用されないという誤解を招いていることすらあります。

賃金の支払制度に関わらず、最低賃金が適用されますので、正しく計算してチェックする必要があります。

 

<学生や外国人>

最低賃金の第5の落とし穴は、対象者の範囲です。

学生、外国人、試用期間中について、最低賃金の対象外という誤解を生じている企業があります。

しかし、学生、外国人も、試用期間中の従業員も、雇用形態に関わらず最低賃金法の対象者です。

 

<計算に含まれない手当>

最低賃金の第6の落とし穴は、計算に含まれない手当があることです。

最低賃金の対象となる賃金は、毎月支払われる基本的な賃金です。

具体的には、実際に支払われる賃金から次の賃金を除外したものが最低賃金の対象となります。

 

【除外される賃金】

・臨時に支払われる賃金(結婚手当など)

・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)

・所定労働時間を超える時間の労働に対して支払われる賃金(残業代など)

・所定労働日以外の日の労働に対して支払われる賃金(休日割増賃金など)

・午後10時から午前5時までの間の労働に対して支払われる深夜割増賃金のうち、通常の労働時間の賃金の計算額を超える部分

・精皆勤手当、通勤手当、家族手当

 

最低賃金の対象となる賃金を総労働時間で割って時間額を算出し、これが最低賃金を下回らないかチェックする必要があります。

 

<時効期間の延長>

最低賃金の第7の落とし穴は、時効期間が延長されていることです。

民法改正により、賃金債権の消滅時効期間は、2年間から3年間に延長されています。

最低賃金を下回る賃金支払があって、従業員からの指摘があれば、過去3年分についての差額分を支払わなければなりません。

また、所轄の労働基準監督署からの指摘があれば、すぐに計算して支払うことになります。

会社は、一度に多額の出費を余儀なくされます。

最低賃金法違反の発生は未然に防ぎましょう。

 

解決社労士

2020/10/12|1,004文字

 

<所定労働日数が不明>

年次有給休暇の付与日数は、原則として、1週間の所定労働日数と勤続期間によって決まります。

所定給付日数が何日なのか不明であれば、そもそも年次有給休暇が何日付与されるのかも決まりません。

また年次有給休暇は、入社後最初の半年間、その後は1年ごとの出勤率が8割以上の場合に付与されます。

この出勤率というのは、予め決まっている労働日に対する実際に出勤した日の割合です。

しかし、所定労働日数が不明であれば、出勤率を計算することはできません。

つまり、付与する/しないの判断がつかないのです。

所定労働日数などの労働条件は、入社時に、会社から従業員に書面で通知されていなければ違法です。

これは、会社の規模とは無関係です。

それでも、年次有給休暇を取得させる気の無い会社では、「労働条件通知書」などを交付していません。

 

<人件費の削減>

年次有給休暇を取得させないというのは、不当に人件費を削りたいわけです。

ですから、従業員の数もギリギリあるいは不足しています。

「人手が足りないから有給休暇を取得させられない」という言い訳が聞かれます。

しかし、年次有給休暇は労働基準法による国全体の制度ですから、会社の状況に左右されて内容が変わることはありません。

むしろ、会社は従業員が100%年次有給休暇を取得する前提で、人材を確保しておかなければなりません。

ウイルス感染症の流行などに備えて、多めに人員を確保しておくという会社独自の政策的な配慮は、その会社に任されていることです。

しかし、年次有給休暇を取得させるのに十分な人員を確保しておくことは、事業を展開する以上、会社に法的に義務付けられていることです。

人件費を削りたいのは経営者です。

お客様、従業員、取引先、出資者、金融機関は喜びません。

ライバル会社は少し喜ぶかもしれません。

当たり前ですが、会社の評判は口コミ情報によって低下していきます。

経営者が、人件費を削減するのではなく、売上を伸ばす努力を進めるべきだと気付かなければ、その会社の未来はありません。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

「ブラック」を経営理念に掲げる経営者はいないでしょう。

ブラック企業というのは、経営者が意図せずに、いつの間にかブラックになっているものです。

会社がブラックな方向に向かっていないかのチェックには、労働条件審査が役立ちます。

信頼できる社労士にご相談してみてはいかがでしょうか。

 

解決社労士

2020/10/11|1,061文字

 

<労働時間を把握しない>

残業代を払うには、従業員の労働時間を適正に把握する必要があります。

払う気の無い会社では、タイムカードなどの打刻をきちんとさせていません。

しかし、政府が継続的かつ熱心に進めている働き方改革により、労働安全衛生法が改正され、平成31(2019)年4月から各企業には従業員の労働時間の把握が義務化されました。

残業代が支給されない管理監督者を含め、労働時間を客観的に把握し記録を保管する義務を負うようになりました。

現時点でまだ労働時間の把握をしていないなら、これは労働安全衛生法に違反し違法ですから、早急に適切な対処をする必要があります。 

 

<所定労働時間・日数が不明確>

時間給ならば、1時間当たりの賃金は明確ですから、残業代の計算が可能です。

しかし、日給制や日給月給制の場合には、1日の所定労働時間が不明なら、1時間当たりの賃金がわからないので、残業代の計算ができません。

さらに、月給制ならば、月間所定労働時間が不明なら、やはり1時間当たりの賃金がわからないので、残業代の計算ができません。

こうした労働条件は、入社時に会社から従業員に書面で通知されていなければ、会社の規模に関係なく違法です。

それでも、残業代を払う気の無い会社では、「労働条件通知書」などを交付していません。

 

<人件費の削減>

残業代を払わないというのは、不当に人件費を削りたいわけです。

ですから、従業員の数もギリギリあるいは不足しています。

一部の元気な従業員は、忙しくてバタバタしています。

しかし、それよりも長時間労働で疲れた従業員が目立ちます。

中には「どうせ残業代が出ないので」のんびりマイペースでやっている従業員もいます。

全体として見れば、人件費を削った以上に、従業員の働きが低下しています。

つまり、生産性が低いのです。

人件費を削りたいのは経営者です。

お客様、従業員、取引先、出資者、金融機関は喜びません。

ライバル会社は少し喜ぶかもしれません。

当たり前ですが、会社の評判は口コミ情報によって低下していきます。

経営者が、人件費を削減するのではなく、売上を伸ばす努力を進めるべきだと気付かなければ、その会社の未来はありません。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

「ブラック」を経営理念に掲げる経営者はいないでしょう。

ブラック企業というのは、経営者が意図せずに、いつの間にかブラックになっているものです。

会社がブラックな方向に向かっていないかのチェックには、労働条件審査が役立ちます。

信頼できる社労士にご相談してみてはいかがでしょうか。

 

解決社労士

2020/10/10|1,064文字

 

<初診日の確認>

障害年金は、初診日が国民年金加入中の期間にあれば障害基礎年金の対象となり、厚生年金加入中の期間にあれば障害厚生年金の対象となります。

ですから、初診日が確認できなければ、原則として、障害基礎年金と障害厚生年金のどちらの手続をすることもできないことになってしまいます。

一般に、初診日の確認は、初診時の医療機関の証明により行います。

しかし、初診時の医療機関の証明が添付できない場合であっても、初診日を合理的に推定できるような一定の書類により、本人が申し立てた日を初診日と確認することができます。

社内に、初診日の証明ができずに、障害年金の請求を諦めた社員がいる場合、以下を参考に、再度、請求の可否を検討するようお勧めします。

 

<第三者による証明>

隣人、友人、民生委員などの第三者が見たり聞いたりした初診日の頃の受診状況を証明できる場合は、この第三者証明書類と本人申立ての初診日についての参考資料により、本人の申し立てた初診日を確認します。

第三者証明書類の他に、本人申立ての初診日についての参考資料が必要です。

また、原則として、複数の第三者による証明が必要です。

 

<初診日が一定の期間内にあると確認できる場合>

参考資料により、初診日が一定の期間内にあると確認された場合で、この期間について、継続して障害年金を受けるための保険料納付要件を満たしているときは、一定の期間の始期と終期を示す参考資料と本人申立ての初診日についての参考資料により、審査の上、本人の申し立てた初診日を確認します。

 

<20歳前に初診日がある場合>

初診日を具体的に特定しなくとも、審査の上、本人の申し立てた初診日が認められる措置がとられるようになっています。

2番目以降に受診した医療機関の受診日から、障害認定日が20歳到達日以前であることが確認できる場合や、その受診日前に厚生年金の加入期間がない場合には、この措置がとられます。

2番目以降に受診した医療機関の受診日から、障害認定日が20歳到達日以前であることが確認できる場合というのは、具体的には、2番目以降に受診した医療機関の受診日が、18歳6か月前である場合や、18歳6か月~20歳到達日以前にあって、20歳到達日以前に、その障害の原因となった病気やけがが治った(症状が固定した)場合が該当します。

また、初診日より後の受診しか証明できない場合であっても、それが20歳到達日以前であって厚生年金加入期間が無い場合であり、障害認定日が20歳到達日以前であることが確認できれば、初診の病院の証明は不要です。

 

解決社労士

2020/10/09|530文字

 

<労働条件審査の横糸>

審査項目としては、大項目が次のようになります。

この下に中項目と小項目が付きますから、実際にはチェック項目が100を超えます。 

A 採用 雇用

B 労働時間 休日 休暇

C 賃金

D 退職 解雇

E 懲戒

F 労働安全衛生

G 育児 介護 母性保護 性差別

H ハラスメント

I 高齢者

J 非正規社員

K 就業規則 労使協定

L 労働関係基本帳簿類

M 労働社会保険

 

<労働条件審査の縦糸>

1. 形式=規定などが調っていること

2. 実態=規定通りに実施されていること

3. 手続=届出等が行われていること

4. 維持=途中で立ち消えしないようになっていること

5. 回復=ルール違反が発生した場合のリカバリー

6. 記録=法定の期間、あるいは必要な期間、記録が保管されていること

 

<お問合せ先>

公契約のための労働条件審査であれば、その内容が厳密に規定されていますから、それに従って行われます。

各都道府県の社会保険労務士会へのお問合せをお勧めします。

これ以外の労働条件審査は、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

健康診断に、人間ドックや特定健康診査があるように、詳細なものから簡易なものまであります。

ニーズに合わせて、審査内容をカスタマイズできるわけです。

 

解決社労士

2020/10/08|1,279文字

 

<極めて限定されている管理監督者>

管理監督者といえるかどうかは、その人の肩書ではなく、職務内容、責任、権限、勤務態様、待遇などの実態により判断されます。

就業規則に「当社の管理監督者は課長職以上をいう」などと規定しても、そのようになるわけではありません。

管理監督者は、社内ルールで自由に決定できるものではなく、客観的に決まってくるものだからです。

管理監督者といえるための最低限必要な条件はすべて満たしていることが必要です。

・経営者と一体的な立場で仕事をしていること

・出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていないこと

・その地位にふさわしい待遇がなされていること

実態として、部長という肩書の社員でも、これらの条件を満たしているのは極わずかでしょう。

 

<労働時間等に関する規定の適用除外>

労働基準法には、次のような規定があります。

「第41条 この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。

第2号 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者」

管理監督者には、第四章の労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇、第六章の年少者、第六章の二の妊産婦等の中の労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用されないということです。

 

<使用者の立場での労基法適用>

労働基準法の規定からすると、管理監督者は明らかに使用者です。

「第10条 この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう」

管理監督者は、労働者としての保護規定の一部が適用されないうえ、使用者としての義務を負っています。

 

<深夜手当の支払>

最高裁判所の判決に、「管理監督者については、深夜手当を支払う必要はあるけれども、管理監督者に該当する労働者の所定賃金が労働協約、就業規則その他によって一定額の深夜割増賃金を含める趣旨で定められていることが明らかな場合には、深夜手当を支払う必要がない場合もある」というのがあります。〔最二小判平成21年12月18日〕

これを受けて、管理監督者であっても深夜手当の支払いは必要であるといわれます。

現在では、管理監督者であっても、健康管理上の必要から労働時間の把握が必須とされています。

午後10時から午前5時までの労働時間を把握していないという言い訳はできなくなっています。

 

<名ばかり管理監督者>

管理監督者扱いされていて残業手当も支給されていないような社員が、自分の判断で出勤したり休んだり、遅く出勤したり早退したり、また、取締役と同レベルで経営に口出ししたときに、懲戒処分や降格が検討されるようであれば、その人は「名ばかり管理監督者」です。

こうしたことを理由に不当解雇をしてしまうと、会社は過去3年分の残業手当などの他に慰謝料の請求をされても仕方がないのです。

社内で管理監督者扱いされている社員が、本当の管理監督者なのか、それとも「名ばかり」なのかは、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2020/10/07|1,385文字

 

<退職者からの文書>

退職者から会社に宛てて、様々な主張、要求、金銭的請求などが書かれた文書が郵送されてくることがあります。

代理人弁護士名義で届いた文書であれば、退職者が弁護士に相談し、弁護士が退職者の委任を受けて発信していますから、事実関係の認定は不確かなものの、退職者の主張する事実を前提とした法的主張の部分は正当なはずです。

しかし、退職者が自分自身の想いで作成し、会社に対して主張をぶつけてきた文書は、かなり主観に傾いたものであることが多く、その趣旨が不明確なことも多いものです。

大企業では、こうした文書の内容に対して寛大な態度がとられることもあり、言った者勝ちの不公平が発生する恐れがあります。

一方で、中小企業の経営者は立腹し、その内容を全否定しようとする危険があります。

 

<退職者の心境>

毎日のように出勤し、余計なことを考えずに生活していたところ、退職して自分の時間を持て余すようになった退職者は、あれこれと余計なことを考える傾向にあります。

思いを巡らせるうちに、ネットサーフィンで得た不確かな情報を拡大解釈、類推解釈して、会社に物申したくなることもあります。

転職先の決まっている退職者や、事業を立ち上げる準備を開始した退職者は、毎日が忙しく充実していますから、余計なことを考え、ネットでつまらない情報を探索する時間はありません。

会社に文書を送りつけてくる退職者は、次の仕事が決まっていない場合が多いのです。

すぐに転職先が決まるつもりでいたところ、なかなか決まらないとなれば、精神的にも経済的にも追い詰められてきますから、会社に金銭的請求をしようと考えても不思議ではありません。

 

<会社に対する主張>

在職中に、大変な目に遭っていたという主張は多く見られます。

セクハラやパワハラのような嫌がらせがあったという、不平・不満・恨みが支離滅裂に書き連ねられているのです。

その中に、一部感謝の気持が述べられていることもあります。

感情を爆発させたいという欲求を満たしているかのような文書となります。

文書に対する回答は、文書で行うのが社会のルールです。

しかし、ただ単に感情をぶちまけているだけの文書であれば、これに文書で回答するのは、冷たくあしらっているように受け取られます。

人事部門の担当者などが直接面会して親身になって話を聞くのが良いでしょう。

そして、職場環境の改善に努めたいという話をすれば、納得して帰ることが多いものです。

 

<会社に対する要求>

具体的な根拠となる事実関係の主張がなく、ただ単に金銭を要求している内容であれば、「事実関係と計算根拠を示して請求してください」という内容の文書で回答すれば良いでしょう。これに対して、それなりの根拠を示したうえで、会社に対する謝罪の要求や、未払い賃金の請求、慰謝料などの賠償請求を含む内容であれば、文書の中に記された事実関係を確認する必要があります。

会社から回答する文書の内容としては、会社が認定した事実関係と会社の見解の2点に限られます。

回答するまでの期間が長くなってしまうと、退職者が労働基準監督署などに相談して、余計な労力と時間を費やす結果を招くことになりかねませんので、事実関係の確認は、なるべくスピーディーに行いましょう。

退職者の主張する事実関係が信じられないからといって、放置することだけは避けなければなりません。

 

解決社労士

2020/10/06|646文字

 

<社会保険の加入基準>

社会保険の加入基準のうち、労働時間・日数については、労働契約によって定められた所定労働時間・所定労働日数が基準になります。

かつては、今後1年間の見込や勤務の実態が基準とされていたのですが、平成28(2016)101日に、基準のあいまいさが解消され明確化されました。

労働契約の内容は、雇用契約書や労働条件通知書などに記載されたものですから、実態として妊婦さんの早退が多く勤務時間が減少したとしても、それだけで加入基準を満たさなくなるわけではありません。

 

<産前産後の社会保険加入者の権利>

少子高齢化の傾向から、社会保険にも少子化対策が反映され、産前産後の加入者(被保険者)の権利は強化されています。

まず、産休(産前産後休業)と育休(育児休業)の間は、社会保険料が免除されます。

かつては、育休中だけでしたが、産休中にも拡大されました。

また、産休中の生活保障のため健康保険から出産手当金が支給されます。

かつては、賃金の60%の保障でしたが、66.6%に引き上げられました。

さらに、出産費用補てんのため、健康保険から1児につき原則として42万円が支給されます。

この出産育児一時金も、最初は30万円でしたが数次にわたり増額されてきましたし、さらに増額が検討されています。

 

<社労士(社会保険労務士)の立場から>

妊婦さんについて、社会保険から抜けることが検討されるなど、国の政策に反するような動きが出た場合、それが適法なのか妥当なのかについて、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2020/10/05|586文字

 

<相談窓口への連絡>

まずは、市区役所または町村役場の「高齢者支援課」などの相談窓口に電話連絡しましょう。

すると、お住まいの近くの地域包括支援センターを案内されますので、そこに電話連絡しましょう。

 

<要介護認定の申請>

つぎに、要介護認定の申請をします。

要介護認定とは、どのくらい介護を必要とするかを判定するものです。

認定の結果によって、使えるサービスの種類が決まります。

 

<ケアマネージャーの訪問調査>

市区町村から調査員が家庭に派遣され、対象者の普段の様子や心身の状態について聞き取り調査を行います。

この訪問調査の結果と、主治医の意見書に基づき、介護認定審査会で要介護認定が行われます。

 

<申請結果の到着>

原則として申請日から30日以内に、認定通知書と保険証(被保険者証)が自宅に郵送されます。

認定通知書の要介護度区分に応じて、利用できるサービスや利用限度額などが異なります。

自立、要支援12と認定された場合には、地域包括支援センターへ連絡します。

要介護15と認定された場合には、居宅介護支援事業所へ連絡します。

 

<プランの作成>

介護保険サービスを利用するための、ケアプランまたは介護予防ケアプランをケアマネージャーと相談しながら作成します。

 

<サービス事業者との契約>

ケアマネージャーにサービス利用開始を依頼します。

介護サービス利用料の自己負担は、原則として1割です。

 

解決社労士

2020/10/04|1,126文字

 

<押印・署名の省略>

令和2(2020)年9月29日、協会けんぽは、「協会けんぽへの届書等の取扱いについて」を公表し、届書等への押印または署名の当面の取扱いを明らかにしました。

これは、厚生労働省保険局保険課より同年8月3日付で「新型コロナウイルス感染症の感染防止の観点からの適用事業所等が書面で提出する届出等の取扱いに係る緊急対応について(事務連絡)」が発出されたことを受けたものです。

具体的には、次の届書等について、事業主もしくは被保険者の押印または署名を省略して差し支えないこととされました。

 

□限度額適用認定申請書

□限度額適用・標準負担額認定申請書

□特定疾病療養受療証交付申請書

□埋葬料(費)支給申請書

□負傷原因届

□任意継続被保険者資格取得申出書

□任意継続被保険者資格喪失申出書

□任意継続被保険者資格取得申出・保険料納付遅延理由申出書

□任意継続被保険者氏名 住所 性別 生年月日 電話番号変更(訂正)届

□任意継続被保険者被扶養者(異動)届

□任意継続被扶養者変更(訂正)届

□保険料預金口座振替依頼書・自動払込利用申込書

□任意継続被保険者保険料口座振替・自動払込辞退(取消)届

□健康保険法第118条第1項該当・非該当届

□被保険者証回収不能届

□被保険者証再交付申請書

□高齢受給者証再交付申請書

□高齢受給者証基準収入額適用申請書

□医療費のお知らせ依頼書

□第三者行為による傷病届

 

<押印・署名を省略できない場合>

次の届書等については、特に慎重に届出等の真正性を確認する必要があることから、事業主もしくは被保険者の押印または署名が省略できません。

 

□療養費支給申請書(受領委任方式による柔整、はりきゅう、あんまマッサージ療養費は除く)

□高額療養費支給申請書(貸付含む)

□年間の高額療養費支給申請書兼自己負担額証明書交付申請書

□高額介護合算療養費支給申請書兼自己負担額証明書交付申請書

□傷病手当金支給申請書

□出産手当金支給申請書

□出産育児一時金内払依頼書・差額申請書

□出産育児一時金支給申請書(貸付含む)(受取代理は除く)

□被保険者資格喪失等証明書交付申請書

□埋葬料(費)支給申請書

□移送費支給申請書

□健康保険料還付請求書

 

ただし、次の方法により届出の真正であることが確認できる場合、は省略して差し支えありません。

 

【事業主の押印または署名】

・法人の印鑑証明書(写し可)または印鑑カードの写しを届出等に添付する場合

・事業主の代理選任の届出の写しを届出等に添付する場合

 

【加入者(被保険者)の押印または署名】

届出等の記載により給付金の振込口座が被保険者様のものであることが確認できる場合(給付金を代理人が受け取る場合は、従来どおり被保険者様の押印または署名が必要)

 

解決社労士

2020/10/03|877文字

 

<介護保険の加入者>

介護保険の加入者(被保険者)は、2つに区分されます。

第一号被保険者 = 65歳以上の人

第二号被保険者 = 40歳から64歳までの医療保険加入者

 

<実際に介護保険サービスを受ける人>

第一号被保険者 = 介護や支援を必要とする人

第二号被保険者 = 初老期認知症、脳血管障害などの老化による病気または特定疾病(末期がんなど)により介護を必要とする人

 

<要支援・要介護度認定区分>

要支援・要介護認定の結果に応じて、介護保険給付額や使えるサービスの種類が決まります 。

認定区分は、要支援1が一番軽く、要介護5が一番重く、次のようになっています。

 

要支援1

基本的な日常生活を送る能力はあります。

しかし、身の回りのことについて一部介助が必要です。

 

要支援2

立ち上がる時や歩くときに、よろめくなどの不安定な様子が見られます。

そのため、入浴などで介助が必要とされます。

しかし、物忘れなどがあっても、生活に支障ある程ではありません。

 

要介護1

立ち上がる時や歩くときに、よろめくなどの不安定な様子が見られます。

そのため、排泄や入浴などで転倒防止等のため介助が必要とされます。

さらに、物忘れの他、思考や感情的な障害が認められる部分があり、理解力の欠如などが見られます。

 

要介護2

立ち上がることや歩くことが自力では困難です。

そのため、排泄、入浴、着替えなどで介助が必要です。

さらに、生活のリズムがわからない、記憶があいまい、他人とのスムーズな会話が困難という状態です。

 

要介護3

自分だけでは、立ち上がることや歩くことができません。

そのため、排泄、入浴、着替えなどすべてに介助が必要です。

自分の名前や生年月日もわからなくなる状態です。

 

要介護4

日常生活に必要な能力全般について低下が見られます。

そのため、排泄、入浴、着替えなどすべてに介助が必要です。

さらに、意思の疎通が困難となるなど、しばしば日常生活に支障を生じます。

 

要介護5

寝たきりの状態です。

そのため、すべての日常生活に全面的な介助が必要です。

さらに、理解力に全般的な低下が見られ、意思の疎通が困難です。

 

解決社労士

2020/10/02|1,032文字

 

<労働条件審査とは>

その企業における労務管理の実態を、労働基準法などの労働法令や通達・判例に照らして総合的・網羅的に精査し、コンプライアンス(法令順守・社会的責任)を確認する手続のことです。

これによって判明した違法な部分を早急に是正し、不安のある部分を改善することによって、良い企業、強い企業を目指します。

 

<会社の健康診断>

私たちは定期的に健康診断を受けています。

この健康診断によって、病気が治るわけではありません。

しかし、身体の中の弱っている部分を発見して、早期治療を可能にしますし、生活習慣を改善し病気の予防に努めることができます。

労働条件審査は、まさに会社の健康診断です。

 

<今だからこそ必要な理由>

新型コロナウイルス感染症拡大による混乱の最中、優秀な人材の確保は企業にとって最大の課題です。

好ましい人材の採用にも、失いたくない人材の定着にも、職場の適法性・社会性・環境が大きく影響します。

セクハラ、パワハラ、メンタルヘルス障害などの危険が大きな企業では人材が確保できません。

労使トラブルも急増しています。

個々の労働者が手軽に情報を得て、権利を主張するようになりました。

不当解雇、未払残業代、雇用契約の不更新に対する損害賠償の請求も手軽にできるようになっています。

これらには多額の慰謝料も含まれます。

世間一般から、企業のコンプライアンス(法令順守・社会的責任)が問われる時代になりました。

マスコミは、企業の労使トラブルを大々的に取り上げますし、厚生労働省も平成29(2017)510日から労働法違反のあった企業名を公表するようになりました。

こうした形で企業名が世間にさらされると、取引先や顧客が離れていき、企業の死活問題ともなりかねないのです。

今まさに、企業が足元をすくわれないようにするため、労働条件審査が必要となっています。

 

<労働条件審査の内容>

労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法、高年齢者雇用安定法、育児・介護休業法、パートタイム・有期雇用労働法、健康保険法、厚生年金保険法、雇用保険法、労災保険法など関連法令との整合性について、社内規定類の書類調査、職場調査、聞き取り調査などを行い、経営者の方や総務・人事部門の方々と打合せを行って、労働条件審査報告書を作成いたします。

これには、具体的な是正案・改善案も含まれますので、すぐにご活用いただけます。

 

労働条件審査についてのお問い合わせは、右上の「お問い合わせフォーム」をご利用いただけます。

 

解決社労士

2020/10/01|610文字

 

<基礎控除の改正>

令和2年分については、下の表の旧基礎控除額から新基礎控除額へと改正されます。

合計所得金額が2,400万円以下の所得者については、基礎控除額が10万円増額されます。

一方で、合計所得金額が2,400万円台の所得者については減額され、2,500万円を超える所得者については、所得控除の適用を受けることができません。

 

【基礎控除額】

合計所得金額

新基礎控除額

旧基礎控除額

2,400万円以下

48万円

38万円

(所得制限なし)

2,400万円超 2,450万円以下

32万円

2,450万円超 2,500万円以下

16万円

 

<子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の創設>

給与の収入金額が850万円を超える所得者で、特別障害者、23歳未満の扶養家族のある人、特別障害者の同一生計配偶者のある人、特別障害者の扶養家族のある人の総所得金額を計算する場合には、給与の収入金額から850万円を控除した金額の10%に相当する金額を、給与所得の金額から控除することになりました。

ただし、給与の収入金額が1,000万円を超える場合には、15万円が控除されます(上限額)。

 

<申告書の新設>

上記2つの改正に伴い、それぞれ「給与所得者の基礎控除申告書」「所得金額調整控除申告書」が新設されました。

これらの控除の適用を受けるためには、その年最後の給与支払を受ける日の前日までに、該当する申告書を給与の支払者に提出しなければなりません。

 

解決社労士

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