2017年 9月

<東京労働局からのお知らせ>

東京労働局職業安定部から、次のお知らせが出されています。

 

平成29930日以降、平成29年度地域別最低賃金額が順次発効されることから、都内ハローワークにおいて受理する求人については、最低賃金額を下回る(法令違反状態にある)求人の公開を一時停止いたします。

 求人申込みをされている事業主の皆さまには、現在公開中の求人についてご確認いただき、就業場所における最低賃金額を下回る場合につきましては、求人提出先ハローワークにて、賃金額の変更を行っていただきますようお願いいたします。

 

東京都の最低賃金は、平成29年10月1日から958円(時間額)です。

これは時間額で示されていますが、時間給の場合だけでなく、日給、月給、年俸制などすべての労働者に適用されます。

適用されるのは、101日勤務分の給与からとなります。

給与計算の締日が毎月末日でない場合には、日割り計算が大変ですから、前回の締日の翌日にさかのぼって昇給するのが一般でしょう。

 

<最低賃金額以上かどうかを確認する方法>

厚生労働省は、ホームページに次の説明を公開しています。

 

支払われる賃金が最低賃金額以上となっているかどうかを調べるには、最低賃金の対象となる賃金額と適用される最低賃金額を以下の方法で比較します。

 

(1) 時間給制の場合

時間給≧最低賃金額(時間額)

 

(2) 日給制の場合

日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

 

ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、

 

日給≧最低賃金額(日額)

 

(3) 月給制の場合

月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

 

(4) 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合

出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金計算期間に出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数で除して時間当たりの金額に換算し、最低賃金額(時間額)と比較します。

 

(5) 上記(1)(2)(3)(4)の組み合わせの場合

例えば、基本給が日給制で、各手当(職務手当など)が月給制などの場合は、それぞれ上記(2)、(3)の式により時間額に換算し、それを合計したものと最低賃金額(時間額)を比較します。

 

<最低賃金違反の罰則と企業名の公表>

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。

仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。

したがって、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。

また、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められています。

この罰則は実際に適用されていますし、厚生労働省のホームページで企業名が公表されています。PDFファイルで表示されていますから保存も印刷も簡単です。

こうなると対象企業は、金融機関や取引先そしてお客様からの信頼を失いますし、求人広告を出してもワケアリの応募者しか来ないのではないでしょうか。

 

2017.09.30.解決社労士

<かつて流行った広告>

「社会保険料(厚生年金保険料と健康保険料)を大幅に削減!」

こんな広告が流行っていた時期がありました。

その多くは、社労士(社会保険労務士)が出していたものです。

社会保険料を削減するということは、会社の負担も社会保険に加入している社員の負担も減ります。

社労士に報酬を支払ってでも、社会保険料を削減するのは得だという話でした。

その具体的な手法は、法による規制をかいくぐって行う脱法行為が中心でした。

 

<厚生労働省の対応>

社会保険料(厚生年金保険料と健康保険料)が予定通りに集まらなければ、年金制度や健康保険制度の維持に支障が出るかもしれません。

ですから、脱法行為による社会保険料の削減を厚生労働省が放置するわけがないのです。

結局、脱法行為が増えるたびに、厚生労働省が社会保険料の計算ルールを追加して、その脱法行為ができないようにしていったのです。

こうして「大幅に削減!」の効果は失われていきました。

 

<保険のしくみ>

厚生年金保険も健康保険も「保険」です。

保険というのは、保険料に見合った補償(給付)が行われるものです。

特に、社会保険(厚生年金保険と健康保険)は保険者を選ぶことができません。

保険契約の内容も、制度として法定されています。

保険料を「大幅に削減!」すれば、社会保険に加入している社員への補償(給付)も削減されるわけです。

 

<不当な保険料削減のリスク>

社会保険に加入している社員が将来もらう老齢厚生年金には、支払った保険料が反映されています。

もし、会社が違法なことをして少なめの保険料しか納めていなかったなら、老齢厚生年金も少なめになります。

こうした社員は、老齢厚生年金の受給額が不当に少ないと気付いたら、会社を訴えようとするかもしれません。

しかし、気付くまでに長い年数が経過して時効の壁があるでしょうし、会社が無くなっているかもしれません。

 

厚生年金保険に加入している社員が障害者になってしまい、障害厚生年金を受給するときに、受給額が不当に低いと気付けば、その時点で会社を訴えるかもしれません。

厚生年金保険に加入している社員が万一亡くなって、遺族が遺族厚生年金を受給するようになれば、遺族が会社を訴えるかもしれません。

 

健康保険に加入している社員が、プライベートの病気やケガで入院したような場合には、休業期間の賃金を補償するため傷病手当金が支給されます。

この支給額は、健康保険料が少なければ、それだけ少なくなってしまいます。

健康保険に加入している社員が、産休を取った場合にも、休業期間の賃金を補償するため出産手当金が支給されます。

この支給額も、健康保険料が少なければ、それだけ少なくなってしまいます。

病気、ケガ、出産をきっかけに退職を考える社員もいるでしょう。この場合には、会社を訴えたい気持ちも強くなると思われます。

 

<社会保険料削減の方法>

社会保険料は、入社月について丸々1か月分が徴収されますから、1日に入社しても月末に入社しても保険料は同額です。

中途採用であっても、入社日は1日にするのがお得です。

 

社会保険料は、社会保険の資格を失った月の前月分までが徴収されます。たとえば退職の場合、資格を失うのは退職日の翌日です。

ですから、月末に退職すると翌月1日に資格を失うことになり、退職月の分まで保険料を徴収されることになります。

これが、月末以外の日に退職すれば、その月のうちに資格を失うことになりますから、退職月の保険料は発生しません。

退職は月末の1日前にするのがお得です。

 

社会保険料は、毎年4月から6月の給与支給額をもとに計算するのが原則となっています。

毎年4月から6月に支給される給与の計算期間は残業を減らしましょう。

たとえば、毎月末日締め切り翌月10日支払いの給与であれば、毎年3月から5月までの残業を減らすことになります。

また、昇給は7月支給分からにして、毎年4月から6月に支給される給与の増額を避けるという手もあります。

 

他にも、賞与の一部を退職金の積み立てに回すなど、使える手段は数多くあります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

それでも、次のことを忘れてはいけません。

保険というのは、保険料に見合った補償(給付)が行われるものです。

ですから、保険料の削減は、どうやっても補償(給付)の減少に結びつきます。

このことをよく理解したうえで、会社と社員とがよく話し合い理解したうえで、実行に移すことが大事です。

また、適法に行うには、信頼できる国家資格者の社労士へのご相談をお勧めします。

 

2017.09.29.解決社労士

<税額表とは>

給与等を支払うときに源泉徴収する税額は、その支払の都度、「給与所得の源泉徴収税額表」を使って求めます。

この税額表には、「月額表」「日額表」「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の3種類があります。

 

<月額表を使う場合>

「月額表」を使うのは、給与を毎月支払う場合と月や旬を単位にして支払う場合です。

半月ごとや10日ごと、3か月ごと、半年ごとなどに給与を支払う場合には、「月額表」を使います。

 

<日額表を使う場合>

「日額表」を使うのは、働いたその日ごとに給与を支払う場合と、1週間ごとに支払う場合です。

ただし、給与を日割り計算して支払う場合にも「日額表」を使います。

 

<賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表を使う場合>

「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」は、賞与、ボーナス等を支払うときに使います。

ただし、前月中に支払うべき給与がない場合と賞与、ボーナス等の金額が前月中の給与の金額の10倍を超える場合には「月額表」を使います。

 

<甲欄、乙欄、丙欄>

源泉徴収をする所得税と復興特別所得税は、使う税額表に記載されている「甲欄」「乙欄」「丙欄」のいずれかで税額を求めます。

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」が提出されている場合には「甲欄」、提出がない場合には「乙欄」で税額を求めます。

また、「丙欄」は「日額表」だけにあり、日雇いの人や短期間雇い入れるアルバイトなどに一定の給与を支払う場合に使います。

 

2017.09.28.解決社労士

<賞与の定義>

賞与とは、定期の給与とは別に支払われるもので、賞与、ボーナス、夏期手当、年末手当、期末手当等の名目で支給されるもの、その他これらに類するものをいいます。

なお、次のようなものは賞与に該当するものとされます。

・純益を基準として支給されるもの

・あらかじめ支給額または支給基準の定めのないもの

・あらかじめ支給期の定めのないもの。(臨時雇いを除く)

・法人税法34条1項2号「事前確定届出給与」に規定する給与

・法人税法34条1項3号に規定する利益連動給与

 

<原則的な計算方法>

賞与から源泉徴収する所得税と復興特別所得税は、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している場合は甲欄、提出していない場合は乙欄を使用して次のように計算します。

1. 前月の給与から社会保険料等を差し引きます。

2. 上記1.の金額と扶養親族等の数を「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめて税率(賞与の金額に乗ずべき率)を求めます。

3. (賞与から社会保険料等を差し引いた金額)×上記2.の税率

この金額が、賞与から源泉徴収する税額になります。

 

<例外1:賞与が前月の給与の10倍を超える場合>

前月の給与の金額(社会保険料等を差し引いた金額)の10倍を超える賞与(社会保険料等を差し引いた金額)を支払う場合には、月額表を使って次のように計算します。

イ (賞与から社会保険料等を差し引いた金額)÷6

ロ イ+(前月の給与から社会保険料等を差し引いた金額)

ハ ロの金額を「月額表」に当てはめて税額を求める。

ニ ハ-(前月の給与に対する源泉徴収税額)

ホ ニ×6

この金額が賞与から源泉徴収する税額になります。

ただし、賞与の計算期間が半年を超える場合には、賞与から社会保険料等を差し引いた金額を12で割って同じ方法で計算します。

そして、求めた金額を12倍したものが源泉徴収する税額になります。

 

<例外2:前月に給与の支払いがない場合>

前月に給与の支払いがない場合には、月額表を使って次のように計算します。

イ (賞与から社会保険料等を差し引いた金額)÷6

ロ イの金額を「月額表」に当てはめて税額を求める。

ハ ロ×6

この金額が賞与から源泉徴収する税額になります。

ただし、賞与の計算期間が半年を超える場合には、賞与から社会保険料等を差し引いた金額を12で割って同じ方法で計算します。

そして、求めた金額を12倍したものが源泉徴収する税額になります。

 

2017.09.27.解決社労士

<主たる給与と従たる給与>

ダブルワークで2つの会社から給与をもらっている人がいます。

この場合には、その人に支払う給与が主たる給与になるか、従たる給与になるか確認が必要です。

主たる給与とは、税法上は「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人に支払う給与をいいます。

そして、従たる給与とは、主たる給与の支払者以外の給与の支払者が支払う給与をいいます。

 

<従たる給与についての扶養控除等申告書>

「従たる給与についての扶養控除等申告書」は、2つ以上の給与の支払者から給与の支払を受ける人で、主たる給与の支払者から支給されるその年中の給与所得控除後の給与等の金額が、次の1.と2.の金額の合計額に満たないと見込まれる人が、主たる給与の支払者以外の給与の支払者のもとで配偶者控除や扶養控除を受けるために提出するものです。

1.主たる給与の支払者から支給される給与につき控除される社会保険料等の額

2.その人の障害者控除額、寡婦(寡夫)控除額、勤労学生控除額、配偶者控除額、扶養控除額および基礎控除額の合計額

 

<申告替え>

主たる給与の支払者に申告した控除対象配偶者や控除対象扶養親族を、年の中途で従たる給与の支払者に申告替えすることはできます。

しかし、従たる給与の支払者に申告した控除対象配偶者や控除対象扶養親族を年の中途で主たる給与の支払者に申告替えすることはできません。

 

<源泉徴収税額>

主たる給与を支払う場合の源泉徴収税額は、税額表の「甲欄」で求めます。

従たる給与を支払う場合の源泉徴収税額は、税額表の「乙欄」で求めます。

ただし、「従たる給与についての扶養控除等申告書」を提出している人については、「乙欄」で求めた税額から次の金額を差し引きます。

・月額表を使う場合 控除対象扶養親族など一人につき1,610円

・日額表を使う場合 控除対象扶養親族など一人につき50円

なお原則として、従たる給与については年末調整ができませんので、所得者本人が確定申告することにより所得税と復興特別所得税の精算を行う必要があります。

 

2017.09.26.解決社労士

<源泉徴収義務者>

会社や個人が、人を雇って給与を支払ったり、税理士、弁護士、司法書士、社会保険労務士などに報酬を支払ったりする場合には、その支払の都度、支払金額に応じた所得税と復興特別所得税を差し引くことになっています。

そして、差し引いた所得税と復興特別所得税は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月の10日までに国に納めなければなりません。

この所得税と復興特別所得税を差し引いて、国に納める義務のある者を源泉徴収義務者といいます。

 

<個人が源泉徴収義務者にならない場合>

個人のうち、次の2つのどちらかに当てはまる人は、源泉徴収をする必要はありません。

・常時2人以下のお手伝いさんなどのような家事使用人だけに給与や退職金を支払っている人

・ 給与や退職金の支払がなく、社会保険労務士などの報酬・料金だけを支払っている人

たとえば、給与所得者が確定申告をするため税理士に報酬を支払っても、源泉徴収をする必要はありません。

 

<新たに源泉徴収義務者となる場合>

会社や個人が、国内で新たに給与の支払を始めて、源泉徴収義務者になる場合には、「給与支払事務所等の開設届出書」を、給与支払事務所等を開設してから1か月以内に提出することになっています。

この届出書の提出先は、給与を支払う事務所、事業所その他これらに準ずるものなどの所在地を所轄する税務署長です。

ただし、個人が新たに事業を始めたり、事業を行うために事務所を設けたりした場合には、「個人事業の開業等届出書」を提出することになっていますので「給与支払事務所等の開設届出書」を提出する必要はありません。

 

2017.09.25.解決社労士

<解雇は無効とされやすい>

会社が社員に解雇を通告しても、それが解雇権の濫用であれば無効になります。これを不当解雇といいます。解雇したつもりになっているだけで、解雇できていないので、対象者が出勤しなくても、それは会社側の落ち度によるものとされ、賃金や賞与の支払義務が消えません。会社にとっては、恐ろしい事態です。

出来てからまだ10年も経っていない労働契約法という法律に次の規定があります。

 

(解雇)

第十六条   解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

大変抽象的な表現ですから、いかようにも解釈できそうです。しかし、正しい解釈の基準は裁判所の判断です。

そして、裁判所の判断によれば、解雇権の濫用は簡単に認定されます。つまり、多くの場合、不当解雇が認定されます。

 

<解雇の有効性チェックリスト>

過去の裁判所の判断例から、以下にチェックリストを示します。

ほとんどの項目にチェックマークが入るケースならば、解雇の有効性が肯定されやすいといえるでしょう。

 

□ 解雇の理由が労働契約の継続を期待し難いほど重大なものである

□ 労働契約で約束した能力や資質と実際とが大きく食い違う

□ 教育しても労働者の能力の向上が期待できない

□ 配転や降格では対応できない

□ 教育指導を十分に行ってきた

□ 上司や教育担当が十分な対応を行ってきた

□ 解雇までの経緯や動機に隠された意図や恣意が認められない

□ 解雇の手続きは就業規則に定めた通りに行った

□ 対象者と話し合い、言い分も聞いたうえで決定した

□ 対象者の会社に対する功績や貢献度が低い

□ 勤続年数は短い

□ 対象者は解雇されても再就職が容易である

□ 他の従業員に対する処分とのバランスはとれている

□ 対象者に対して、より軽い懲戒処分で対応した過去がある

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

こうして見ると、しろうとでは判断が困難な項目も含まれています。

また、チェックマークを入れられる状態にするには、日頃の準備が必要な項目もあります。

問題社員が増加傾向にある今、会社を守るための準備を進めるには、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.09.24.解決社労士

<厚生労働省による緊急要請>

厚生労働省は、平成29年の労働災害による死亡者数(1月~8月の速報値)が対前年比で増加し、特に8月に急増したことを受け、平成29年9月22日、労働災害防止団体や関係事業者団体に対し、職場における死亡災害撲滅に向けた緊急要請を行いました。

9月20日に公表した、平成29年の労働災害発生状況(1月~8月の速報値)では、死亡者数が対前年比9.6%(49人)の増加、休業4日以上の死傷者数が対前年比0.9%(600人)の増加となりました。また、8月単月の死亡者数は66人となり、対前年同月比57.1%(24人)の大幅な増加となっています。

ここ数年は、労働災害による死亡者数が減少傾向にありました。医学の発達により、以前は救われなかった命が救われるようになったという要因もあります。それにもかかわらず死亡事故が増加するというのは、まさに緊急事態だと思われます。

 

<緊急要請のポイント>

労働災害防止団体、関係事業者団体(約250団体)に対して、厚生労働省労働基準局安全衛生部長名で緊急要請を行いました。

 

(1)産業界全体に対する企業の安全衛生活動の総点検などの要請

労使・関係者が一体となって、基本的な安全管理の取組をはじめとする以下の労働災害防止活動の徹底を要請。

・安全作業マニュアルの遵守状況を確認するなど、職場内の安全衛生活動の総点検を実施すること

・安全管理者、安全衛生推進者、安全推進者等を選任し、その職務を確実に遂行させるなど、事業場の安全管理体制を充実すること

・雇入れ時教育等を徹底するなど、効果的な安全衛生教育を実施すること

 

(2)死亡者数が増加している業種での取組のポイントを明示

 特に死亡者数が増加している業種(建設業、陸上貨物運送事業、林業、製造業)での労働災害防止ための取組のポイントは以下のとおり。

 

(建設業)

・労働者の立ち入り制限や誘導員の配置など、車両系建設機械などとの接触防止対策の実施

・高所作業における作業床の設置、安全帯の着実な使用などの墜落・転落防止対策の実施

・「交通労働災害防止のためのガイドライン」に基づく対策の実施

 

(陸上貨物運送事業)

・「荷役5大災害防止対策チェックリスト」を活用した荷役作業での安全対策の実施

・「交通労働災害防止のためのガイドライン」に基づく対策の実施

 

(林業)

・「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」に基づく対策の実施

 

(製造業)

・リスクアセスメントや機能安全による機械設備の安全対策の実施

・高経年設備に対する優先順位を付けた点検・補修などの実施

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

企業が守るべき労働関係法令は、労働基準法ばかりではありません。

もともと労働基準法の中にあった労働安全と労働衛生の規定が増えたこともあり、独立した労働安全衛生法となって強化されたのです。

その内容も、度重なる改正によりかなり詳細なものとなっています。

厚生労働省の緊急要請を受けて、労働基準監督署の監督(調査)も強化されることでしょう。

もし会社に不安な点があれば、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.09.23.解決社労士

<国民皆保険>

日本では、すべての人々が公的な医療保険に加入し、病気やケガをした場合に誰でも必要な時に必要な医療を、保険を使って受けることができます。

これを国民皆保険といいます。

所得や健康状態にかかわらず、原則としてすべての人が加入し、所得などに応じて保険料を負担する公的な社会保険制度です。

これは、社会全体でリスクを分担することで、経済的な理由で必要な医療が受けられないことがないように配慮されているのです。

ここで「リスク」というのは、望ましくないことが発生する可能性のことをいっています。

 

<自己負担割合>

病院などの医療機関の窓口で保険証を提示することで、原則として医療費の3割の自己負担で医療を受けることができます。

小学校に入る前の子どもは2割、高齢者のうち70歳から74歳までの人も2割、 75歳以上の人は1割の自己負担となっています。

例外的に、70 歳以上の人のうち現役世代並みの所得がある人は、3割となっています。

また、子どもについては、都道府県や市町村などの地方自治体が、独自に自己負担割合を軽減している場合もあります。

 

<高額療養費制度>

3割の自己負担であっても、医療費が高額になることがあります。

家計で医療費負担が過重にならないよう、月ごとの自己負担額が一定の限度を超えた場合に、その超過分については、医療保険から支給を受けることができます。

これが高額療養費制度です。

一般的な所得の人(70歳未満)の限度額は、たとえば医療費が100万円である場合には、月約87,000円です。

 

2017.09.22.解決社労士

<健康保険証の効力>

会社で交付された健康保険証は、退職したり所定労働時間が減ったりして、健康保険の加入条件を満たさなくなると効力を失います。

この場合、保険証は会社を通じて協会けんぽなどの保険者に返却しなければならないのですが、手元にあったとしても使えません。

乾電池は電池切れの状態になっても、新品の電池と見た目は変わりがないのですが使えません。

これと同じように、退職後に保険証を使うことはできません。

このことは、扶養家族が扶養から外れた場合の、その扶養家族の保険証にも当てはまります。

 

<効力切れの保険証を誤って使ってしまうと>

退職後に誤って保険証を病院などの医療機関で使ってしまうと、後日、健康保険で支払われた医療費を、協会けんぽなどの保険者から資格を失った人に直接返還請求しているのです。

繰り返し請求されても返還しない場合は、裁判所へ支払督促申立てや少額訴訟等の法的手続を経て、強制執行(給与、預貯金等の差押え)による回収が行われます。

この場合、返還請求の対象となるのは自己負担額ではなくて医療費の全額です。

たとえば、5万円の医療費について自己負担3割で1万5千円を支払った場合に、返還請求を受けるのは1万5千円ではなくて5万円ということになります。

 

<返還請求の実態>

健康保険の資格喪失後、保険証を返却せずに医療機関等で使用して、協会けんぽから返還請求を行っているケースが全国で発生しています。

資格を失ったら速やかに保険証を返却しましょう。

 

【協会けんぽの法的手続の実施状況】

平成29年7月末累計 全国47支部で7,691件実施

 平成28年度以前    6,728件

 平成29年4月    169件

 平成29年5月    222件

 平成29年6月    307件

 平成29年7月    265件

 

2017.09.21.解決社労士

<再就職手当とは>

雇用保険の失業手当(求職者給付の基本手当)の受給資格の決定を受けた人が、早期に安定した職業に就いた場合に支給されます。

早期に安定した職業に就いた場合」には、自分で事業を開始した場合を含みます。

失業手当(求職者給付の基本手当)を受給していると、「手当をすべてもらい終わってから再就職した方が得」という気持ちになりがちです。

しかし、これでは失業手当が再就職を妨げていることになります。

そこで、再就職手当の制度により、再就職を促進しようというものです。

 

<再就職手当の額>

 

所定給付日数を3分の2以上残して再就職した場合

支給額 = 基本手当日額 × 失業保険の支給残日数 × 70%

 

所定給付日数を3分の1以上残して再就職した場合

支給額 = 基本手当日額 × 失業保険の支給残日数 × 60%

 

早く再就職したほうが、給付率が高いわけです。

 

<受給の条件で注意すること>

受給のためには、次のような条件のすべてを満たすことが必要です。

かなり多いのですが、赤文字のところは特に注意が必要です。

・ハローワークで受給手続きをした後、7日間の待期期間満了後に就職(事業開始)したこと。

・再就職の前日までで、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること。

・離職前の事業主に再び雇われたものではないこと。離職した事業所と密接に関連する事業所への再就職ではないこと。

・失業手当(求職者給付の基本手当)の手続きをする前に雇われることが約束されていないこと。

・給付制限期間がある場合には、期間が開始してから1か月以内の再就職の場合は、ハローワークなどの紹介で就職したこと。

・過去3年以内の就職について、再就職手当をもらっていないこと。

・1年を超えて勤務することが確実であること。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

再就職手当支給申請書は、再就職から1か月以内に所轄のハローワークに提出することになっています。

再就職先の会社は、必要書類の事業主記入欄に記入し、添付書類と共に新規採用者に渡すのですが、これを速やかに行う必要があります。

その一方で、受給の条件を満たしていない人に、条件を満たしているような書類を渡してしまうのは違法受給への加担となってしまいます。

迷うところがあれば、信頼できる国家資格の社労士にご相談ください。

 

2017.09.20.解決社労士

<サービスの内容>

届書・申請書作成支援サービスは、入力できるPDFファイルをホームページからダウンロードし、届書・申請書をパソコンで作成できるサービスです。

サービスの対象となる届書・申請書は29種類あります。

このサービスでは、ホームページやメールでの申請はできません。

必要事項を入力・記入した申請書を印刷のうえ、郵送等で加入している協会けんぽの各都道府県支部へ郵送します。

 

<便利な点>

・記入する項目の説明を参照しながら入力できます。

・記入漏れ等が自動でチェックされます。

・記入漏れ・記入誤りによる再提出の手間が少なくなります。

 

<注意する点>

手書きで記入する項目があります。

入力できる項目は、申請者が記入する欄のみです。

ただし、申請者が記入する欄のうち「被保険者の氏名欄」、「被扶養者のマイナンバー欄」は手書きでの記入となります。

事業主が記入する欄、医療機関が記入する欄は、手書きで記入します。

また、各申請書に押印が必要な場合があります。

 

<ダウンロードの方法>

 

↓ここをクリックして協会けんぽのホームページを表示します。

http://www.kyoukaikenpo.or.jp/

 

左上のほうにある「申請書ダウンロード」の▼をクリックして、必要な書類を選択して「表示」をクリックします。

申請書様式のうち「入力用」と表示されているPDFデータをクリックしてダウンロードします。

 

2017.09.19.解決社労士

<よくある悪い例>

経営者側が「残業は月20時間までにしなさい」「残業禁止」などと言い放つだけなのは最悪のパターンです。

上司、同僚、部下の能力不足を一人で背負いこんで、毎月無理な長時間労働に追い込まれているスーパー社員は、過労死するか退職するかでしょう。

また、サービス残業が発生します。残業しても会社に申告しなければ、上司は黙認してしまうでしょう。あるいは、労働時間の管理がいい加減で、サービス残業に気付かないパターンもあります。サービス残業に耐えられなくなった社員は、退職後に会社に対して未払い賃金を請求します。一人がこれに成功すれば、みんなが同じことをします。

そして、仕事の持ち帰りも発生します。これによって顧客の個人情報や会社の機密が流出します。ありがちなのは、帰宅途中に過労で居眠りしてパソコンを盗まれるという事件です。マスコミに報道されると、会社は社会の信用を失います。

そもそも、安易な残業削減・残業禁止で会社が躍進したという実例はあるのでしょうか?

 

<残業削減目標の設定>

残業の削減を思いついたら、社員一人ひとりの能力と業務内容を具体的に確認して、無理のない目標を設定しなければ失敗します。

これができるのは、適正な社員教育、人事考課、給与・賞与など処遇への反映が正しくできている会社だけです。

 

<繁閑の差の縮小>

忙しい時間帯や繁忙期というのは、部署により個人により時間的なズレがあります。

その人でなければ、その部署のメンバーでなければできない仕事ばかりではありません。

少しでも手の空いている上司や他部署のメンバーが、忙しいところの応援に入れば良いのです。

これができるのは、社員の長期入院や退職者が出た時にあたふたしない会社だけです。

 

<臨時の異動>

多店舗展開の飲食店では、ある店のシフトに穴が開きそうなときに、他店からパート店員やアルバイト店員を借りてくるということが行われます。

人手の足りない部署に、足りている部署から人員を一時的に貸し出すわけです。

これをするためには、労働条件通知書などでどの範囲のお店までの応援がありうるのか、臨時の転勤もありうるのかなど、明確にしておくことが必要です。

 

<多機能化による対応>

ひとり一人の社員が、営業も、販売も、経理も、採用もできるというように多機能化されていれば、忙しいところに応援に入るのは容易です。

多機能化のためには、特別な研修を行ったり、他部署にイベント的に応援に行ったり、ジョブローテーションやキャリアパスを踏まえた計画的人事異動を行ったりの方法があります。

 

<正しい残業削減>

上手に目標を設定し、これを根拠と共に社員に提示する。社員の多機能化を進め、繁忙部署への応援を促進する。そして、応援に入れる社員は、入れない社員よりも一段高く評価して、それにふさわしい処遇とする。

このように残業削減には大変手間がかかります。

しかし少しでも改善を進めれば、生産性が向上し、強い会社、魅力的な会社へと成長していきます。

具体的なことは、信頼できる国家資格の社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2017.09.18.解決社労士

<パワハラの公式定義>

法令にはパワハラの定義がありません。

「職場でつらい思いしていませんか?(職場のハラスメントの解決を労働局がお手伝いします)」というパンフレットには、パワハラが次のように説明されています。

 

パワーハラスメント(パワハラ)とは … 同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えられたり、職場環境を悪化させられる行為をいいます。

 

パワハラの被害を受けたと感じた人が「客観的に見てパワハラといえる事実があった」と会社に報告しても、それは被害者の考えているパワハラの定義にあてはまる行為にすぎないということになります。

もしその行為が、加害者のパワハラ定義にも、報告を受けた人のパワハラ定義もあてはまるのであれば、確かにパワハラがあったものとして対応してもらえるでしょう。

しかし、これでは対応してもらえる範囲が狭すぎます。

 

<パワハラの社内定義>

就業規則に、その職場独自の具体的な定義が規定されていて、従業員に周知されていれば、被害者はその定義に当てはまる具体的な行為があったことを主張すれば良いのです。あとは事実の存否のみが問題となります。

反対に、社内にパワハラの定義がなければ、何がパワハラに当たるのかは不明確ですから、どのような行為が問題なのかは分かりません。

こうした職場では、必ずパワハラがあるでしょうし、あれば野放しにされがちです。

こうした環境では、採用難だというのに退職者が出やすくなっています。

 

<パワハラの性質>

パワハラは業務上必要な指導・激励・叱責と一体的に行われます。ここがパワハラの厄介なところです。

この点、業務には全く必要のないセクハラとは明確な違いがあります。

ですから、パワハラの理解が浅い人にパワハラ被害を訴えても、「それはお前がちゃんとしないからだ。反省して頑張りなさい」などと言い返されてしまいます。

 

<パワハラ被害の上手な報告>

以上のことを踏まえ、パワハラの定義がない会社で被害にあったなら、受けた行為のうち業務上必要のない行為に焦点を当てて、いつ、どこで、どのような状況で、どういう具体的事実があったのかを客観的に報告しましょう。

決して感情的になってはいけません。感想や気持ちは、たずねられたら答えるようにした方が説得力が増すものです。

内容をメモにまとめて、そのメモを見ながら報告することをお勧めします。

 

2017.09.17.解決社労士

<引上げの終了>

厚生年金の保険料率は、年金制度改正に基づき平成16年から段階的に引き上げられてきましたが、今年9月を最後に引上げが終了し18.3%で固定されることになります。

9月に最後の引上げが行われるということは、保険料が後払いであることから、10月納付分をもって引上げが終了するということです。

 

<これまでの引上げ>

平成16年の年金制度改正で、急速に進行する少子高齢化を見据え、将来にわたり年金制度を持続的で安心できるものとするため、給付と現役世代の負担の両 面にわたる見直しが実施され、上限を決めた上での保険料の引上げや、マクロ経済スライドによって年金の給付水準を自動的に調整する新たな年金財政の仕組みが構築されました。

この仕組みに基づき、厚生年金保険料率は平成16年10月の13.934%から毎年 0.354%ずつ引き上げられてきました。

 

<引上げ終了の影響>

厚生年金保険料率の引上げが終了したことで、基礎年金国庫負担の3分の1から2分の1への引上げと合わせて、収入確保の仕組みは完成しました。

今後は、この「決められた収入の範囲で、年金の給付水準をいかに確保していくか」ということが課題となります。

年金の給付水準については、平成26年に公表された「平成26年財政検証結果」で、「日本経済が再生し、女性や高齢者の方の労働参加が進めば、将来にわたって、年金の給付水準を表す指標である所得代替率は50%を上回る」ということ が確認されています。

つまり、女性や高齢者の活用は、単に女性の地位向上を狙った政策なのではなく、年金の給付水準を維持するためにも必要な政策なのです。

 

<国民年金の保険料>

国民年金保険料は、平成16年度の価格水準を基準として引上げが行われており、今年4月に引上げが終了しています。

具体的な保険料は、平成16年度の価格水準で月額16,900円とされ、名目賃金の変動に応じて毎年度改定されることになっています。(平成29年度の保険料額は月額16,490円)

なお、次世代育成支援のため産前産後期間の保険料免除制度が施行されたことに伴い、平成31年4月から国民年金第1号被保険者(自営業の方など)に対して、平成16年度の価格水準で保険料が月額 100円引き上がります。

 

2017.09.16.解決社労士

<受給資格期間の短縮>

年金機能強化法の改正により、年金受給資格期間が25年から10年に短縮されました(平成29年8月)。

受給資格期間というのは、原則65歳から老齢基礎年金を受給するための条件となる期間で、次の3つの期間の合計です。

A.厚生年金保険や国民年金の保険料を納付した期間

B.国民年金の保険料の納付を免除された期間

C.合算対象期間(カラ期間)

 

<C.合算対象期間(カラ期間)>

上の3つのうち、A.とB.は原則として年金事務所で確認できます。

しかし、C.は一人ひとりが個人的に把握している事実ですから、年金事務所で確認できることはほとんどありません。

ですから、カラ期間は自分で確認するしかないのですが、主なものだけでも次のようにたくさんありますから、すべてを確認するのは大変です。

それでも、「本当に自分は老齢年金をもらえないのか」を知るには、A.とB.の期間が両方ともゼロでない限り、可能性は残されていますので確認するしかありません。

 

●主な合算対象期間(※は20歳以上60歳未満の期間に限ります。)

 

【昭和61年4月1日以降の期間】

1.日本人であって海外に居住していた期間のうち国民年金に任意加入しなかった期間

2.平成3年3月までの学生(夜間制、通信制を除き、年金法上に規定された各種学校を含む)であって国民年金に任意加入しなかった期間

3.第2号被保険者としての被保険者期間のうち20歳未満の期間又は60歳以上の期間

4.国民年金に任意加入したが保険料が未納となっている期間

5.昭和36年5月1日以降に日本国籍を取得した方又は永住許可を受けた方の、海外在住期間のうち、取得又は許可前の期間

 

【昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの期間】

1.厚生年金保険、船員保険及び共済組合の加入者の配偶者で国民年金に任意加入しなかった期間

2.被用者年金制度等から支給される老齢(退職)年金受給権者とその配偶者、老齢(退職)年金の受給資格期間を満たした人とその配偶者、障害年金受給権者とその配偶者、遺族年金受給権者で国民年金に任意加入しなかった期間

3.学生(夜間制、通信制、各種学校を除く)であって国民年金に任意加入しなかった期間

4.昭和36年4月以降の国会議員であった期間(昭和55年4月以降は国民年金に任意加入しなかった期間)

5.昭和37年12月以降の地方議員であった期間で、国民年金に任意加入しなかった期間

6.昭和36年5月1日以降に日本国籍を取得した方又は永住許可を受けた方の、外国籍であるために国民年金の加入が除外されていた昭和56年12月までの在日期間

7.昭和36年5月1日以降に日本国籍を取得した方又は永住許可を受けた方の、海外在住期間のうち、取得又は許可前の期間

8.日本人であって海外に居住していた期間

9.厚生年金保険・船員保険の脱退手当金を受けた期間(昭和61年4月から65歳に達する日の前月までの間に保険料納付済期間(免除期間を含む)がある人に限る)

10.国民年金の任意脱退の承認を受けて、国民年金の被保険者にならなかった期間

11.厚生年金保険、船員保険の被保険者及び共済組合の組合員期間のうち、20歳未満の期間又は60歳以上の期間

12.国民年金に任意加入したが保険料が未納となっている期間

 

【昭和36年3月31日以前の期間】

1.厚生年金保険・船員保険の被保険者期間(昭和36年4月以降に公的年金加入期間がある場合に限る)

2.共済組合の組合員期間(昭和36年4月以降に引き続いている場合に限る)

 

<C.合算対象期間(カラ期間)が長い場合>

10年短縮年金がもらえるかもしれないと思い、カラ期間を確認してみたら、年金受給資格期間が10年どころか25年を超えてしまったという場合もあります。

10年短縮年金であれば、平成29年9月分を10月に受給し始めます。ところが、受給資格期間が長くて通常の老齢年金を受給する権利が判明すると、時効で権利が消滅した分を除き過去の年金もさかのぼって受給できます。

しかも、25年というのは原則で、様々な短縮特例もありますから、カラ期間は思いつく限りかき集めて計算することをお勧めします。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

カラ期間の一覧表を見ても、確かにわかりにくいと思います。また、カラ期間が判明した場合には、年金の受給手続きで証明資料が必要になります。

具体的なことは、お近くの年金事務所か信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.09.15.解決社労士

<就業規則の軽視>

就業規則が作成されたとき、あるいは変更されたとき、それを全従業員が見られるようにしておいたのに、誰も関心を示さず読まれないということがあります。

社労士(社会保険労務士)に就業規則の作成・変更を委託したのなら、併せて説明会の開催も任せればこうした事態は生じないのですが、通常は別料金なので省略されることもあります。

 

<食い違い判明時の対応>

就業規則ができた時点で、従業員から社内の実態と違う部分があることを指摘されることもあります。この場合には、会社は従業員の意見を参考にしつつ、変更を検討すべきでしょう。

就業規則を実態に合わせて改定するか、実態を改めて就業規則に合わせるか、あるいは別のやり方を決めて就業規則に反映させるかということになります。

 

<食い違いが継続した場合>

たとえば、所定労働時間が8時間であるものとして、全従業員がそのように勤務していたとします。この場合には、8時間労働が社内の共通認識であり慣行となっています。

雇い入れ通知書にも、所定労働時間は8時間と記載されているでしょうし、給与計算でも8時間労働が前提となっています。

ところが、退職予定者がふと就業規則を見たところ、所定労働時間は7時間と規定されていたらどうでしょう。

 

<就業規則の効力>

就業規則で定める基準に達しない労働条件は無効となり、就業規則で定める基準が適用されるという規定があります。〔労働契約法12条〕

労働条件のうち所定労働時間は、短い方が労働者に有利ですから、雇い入れ通知書や労働契約書に8時間労働と書かれていても、就業規則の7時間労働の方が有効になります。

これは、8時間労働が長年の慣行となり、全従業員の共通認識となっていたとしても結論は変わりません。

 

<誤りが明らかな場合>

よくよく調べてみたら、就業規則が最初から間違っていた、あるいは昔変更したときに誤って7時間労働にしてしまっていたことが判明したとします。

この場合、月給制であれば1日あたり1時間分の賃金の支払い漏れがあったことになり、従業員から会社に対して未払い賃金の請求をすることができます。

会社は誤った就業規則を周知し、従業員はその就業規則をきちんと読んで誤りを指摘しなかったのですから、責任は半々のような気もしますが、裁判などでは会社が全責任を負うと判断されています。〔「甲商事事件」東京地裁平成27年2月18日判決〕

就業規則を作成・変更する会社側に責任があると認定されるわけです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

就業規則の規定と実態との食い違いを放置しておくことは、それが法令違反ではなくても、会社に大きな損害をもたらす原因となりえます。

就業規則のことは、信頼できる国家資格の社労士にご相談ください。

 

2017.09.14.解決社労士

<会計検査院の存在根拠>

会計検査院については、日本国憲法に次の規定があります。

 

第九十条 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。

2 会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。

 

憲法に規定された組織ですから、国家レベルで重要な組織であることは明らかです。

 

<会計検査院の役割>

そして、会計検査院の組織及び権限は、憲法の規定に従い会計検査院法に定められています。

しかし、会計検査院法の条文を読んでも、その役割は簡単に理解できるものではありません。

むしろ、会計検査院のホームページの最初に記載されている次の説明がわかりやすいと思います。

 

会計検査院は、国の収入支出の決算、政府関係機関・独立行政法人等の会計、国が補助金等の財政援助を与えているものの会計などの検査を行う憲法上の独立した機関です。

 

結局、国に入るべきお金がきちんと入っていること国から出て行くべきではないお金が出て行っていないこと、この2つをチェックしているわけです。

国の財源は税金が中心です。国のお金が不足すれば、増税されることになります。国に入るべきお金がきちんと入らないと、増税に結びつくわけですから、我々国民も企業も大いに迷惑します。

また、国から出て行くべきではないお金が出て行ってしまっても、国のお金が不足することになり、やはり増税に結びつきます。

会計検査院は、こうしたことが起こらないように、国のお金の流れをチェックしているのです。

 

<国に入るべきお金がきちんと入っているかの調査>

たとえば、所轄の労働基準監督と会計検査院が一緒に企業の調査に入ることがあります。

企業が正しく労災保険や雇用保険の対象者を確定し、正しく保険料を納めていないと、国に入るべきお金がきちんと入らない恐れがあります。そこで、労災保険と雇用保険の保険料を納める手続きである労働保険年度更新が正しく行われている必要があります。

ここで、年度更新の手続きを管理しているのは基本的に所轄の労働基準監督署ですから、労働基準監督署が年度更新の内容を再確認するのを会計検査院がチェックするという二段構えになります。

こうした場合、当然ですが一番緊張するのは労働基準監督署の職員の方々です。

またたとえば、所轄の年金事務所と会計検査院が一緒に企業の調査に入る場合もあります。この場合には、社会保険の加入対象者や加入時期が正しいことや、保険料の計算が正しいことについて、定時決定(算定基礎届)の内容などについて再確認が行われます。

 

<国から出て行くべきではないお金が出て行っていないかの調査>

たとえば、所轄のハローワークと会計検査院が一緒に企業の調査に入る場合があります。

就職した後も失業手当(求職者給付の基本手当)を受給している人がいないか、関連企業への転職なのに再就職手当を受給していないかなど、給付すべきではないお金が支給されていないかをハローワークが再確認し、それを会計検査院がチェックするのです。

ここでも、一番緊張するのはハローワークの職員の方々です。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社労士は会計検査院の調査や労働基準監督署の監督に立会うことも、国家資格者としての立場で業務として行っています。

もちろん立会いだけでなく、その後の報告書の作成・提出のフォローや代行も行っています。

きちんと対応しておくと、お世話になっている労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所の皆さんに感謝されるわけですから、メリットは大きいと思います。

調査が入るとわかったら、あるいは抜き打ちの調査を受けたら、信頼できる国家資格の社労士にご相談ください。

 

2017.09.13.解決社労士

<求人広告と実際の労働条件との関係>

求人広告は、あくまでも広告に過ぎません。これに応募したからといって、必ず採用されるわけではありません。

また、求人広告に「月給20万円~25万円」などと書いてあって、具体的な金額は採用面接の中で決まるという場合もあります。

さらに、事務職で応募したところ、「他の応募者で採用枠が埋まってしまったけれど、営業職に欠員が1名出たのでいかがでしょうか」と打診されて、これに応じるというのは普通に行われていることです。

このように、求人広告と実際の労働条件とが異なる場合に、採用側が新たな労働条件を明示していれば問題ないのです。そして、職業安定法5条の3第3項も、平成30年1月1日付で、この内容を盛り込む形に改正されます。

 

<説明が不十分なケース>

採用面接の中で、たとえば上記のように「他の応募者で採用枠が埋まってしまったけれど、営業職に欠員が1名出たのでいかがでしょうか」と打診された応募者が、過度の緊張のあまり内容をよく理解しないまま「はい」と生返事してしまうことがあります。

この場合でも、採用側が新たな労働条件を書面で明示していて、応募者が後からその書面を確認していれば問題ないのです。

しかし面接者が「あれだけ具体的に説明したし、理解してもらえただろう」と満足して、説明の内容を書面で交付しないのは危険です。

 

<問題のあるケース>

採用が決まって労働契約を締結する際の労働条件明示義務については、30万円以下の罰金が定められています。〔労働基準法120条〕

労働契約の締結は口頭でもできますが、雇い主は労働者に対して、労働条件を書面で明示する義務を負っているのです。

ところがブラック企業では、最初の給与支払額を見て不審に思った労働者が会社に確認すると「あなたの場合には能力不足だから給与は半分しか支払えない」などの回答が返ってくるケースがあります。

また、求人広告では正社員募集だったのに、後から契約期間6か月の契約社員だと言われたりもします。

これらは、入社にあたって労働条件の明示が無い点で問題があります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

特にブラック企業というわけではないのに、入社にあたって「労働条件通知書」などを交付しない会社もあります。

経営者が労働基準法の規定を知らないだけのこともあります。また、労働条件の決め方に迷っている場合もあります。

しかし、新人から「実際の労働条件が求人広告と違う」という話が出るのは大いに問題です。

つまらないことで罰則を適用されたり、会社の評判が落ちたりしないように、労働条件の決め方、変え方、通知の仕方については、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.09.12.解決社労士

<問題社員の知識レベル>

問題社員というのは「良いことの原因は自分、悪いことの原因は他人」と思い込み、義務は果たさず権利を濫用して退職後に会社を訴えるような社員です。

こうした問題社員は、労働法関連の知識が豊富であるかのように見せることが多いものです。ところが実際には、正しい知識が少なくて、体系的な理解が不足しているようです。

その原因としては、法律関係の知識を吸収する際に、自分に都合よく独自の解釈を加えてしまうこと、コツコツと地道な努力を重ねるのは嫌いなので専門書を通読しないことなどが考えられます。

 

<問題社員から要求があったとき>

問題社員から会社に対して、脅しとも取れるような強烈な要求が出されることもあります。

この要求の中には、正しいこと、誤ったこと、単なる勘違いが含まれ、区別の難しい形で一体化しています。

立場上こうした要求に耳を傾ける人は、事実と主張とを明確に区分して聞き取らなければなりません。

そして、事実については、なるべく具体的に話の内容を明らかにすることと、どのようにしてその事実を認定したのかも聞いておく必要があります。

一方、主張についても具体的な内容を明らかにすることが必要ですが、それ以上に、会社にどうして欲しいのかを明確にしなければなりません。

こうして聞き取りをした人は、その場で結論を出してはいけません。少なくとも、聞き取った事実が真実かどうかの確認はしなければならないのですから、安易に結論を出せないのです。

 

<社労士(社会保険労務士)へのご連絡のタイミング>

問題社員から「話がある」と言われ、それが会社に対する何らかの要求であると判明した場合、話を聞くのは上司や人事部門の責任者の業務であっても、話をするのは問題社員の業務ではありません。

ですから、後日改めて話を聞くことにして日時を指定することもできます。そして、対応方法について社労士と協議するのがベストです。

このタイミングを逃しても、正しく聞き取りができていれば、その後の対応について協議ができます。

事実の真否を確認するのは社内のメンバーで行い、主張の正当性の確認は労働法令の専門家である社労士が行うというように役割を分担することもできます。

もしこのタイミングを外して、会社なりの対応をした結果、問題社員がその対応を不満に思い、労働審判に持ち込んだような場合には、弁護士の先生がメインとなって対応する局面に進んだと判断されます。

もし、まだ法的手段に出ていないような場合なら、会社が主体となって労働局の斡旋(あっせん)を利用することもできます。この場合、特定社労士に委任することが可能です。

 

<問題社員への指導>

勤務態度や他の社員への干渉について、上司などから問題社員に指導をする場合があります。

ここで注意しなければならないのは、注意指導の根拠を明らかにしたうえで行うということです。なんとなく、常識的に、ビジネスマナーとしてというのでは、強い抵抗を受けてしまいます。

根拠としては、就業規則、労働契約、法令、社内ルールとなりますが、文書化されていないものは根拠として弱すぎます。この点、就業規則が無かったり、労働条件通知書の交付を怠っているような会社で、問題社員を採用してしまったり、発生させてしまったりした場合には大きなリスクを抱えることになります。

現時点で会社に存在する就業規則や労働契約で対応しきれないと感じた場合にも、信頼できる国家資格の社労士(社会保険労務士)にご相談ください。本当に対応できないかを確認し対応方法をご提案いたします。

 

2017.09.11.解決社労士

<有効求人倍率の推移>

厚生労働省によると、有効求人倍率は平成21年度に0.5弱で底入れし、平成28年度から平成29年度は1.3から1.5で推移しています。

有効求人倍率というのは、ハローワークに登録されている求職者に対する求人数の割合のことをいいます。「有効」が付いているのは、求人・求職の申し込みに有効期限があって、有効期限内のもの全体で計算しているからです。

計算式で示すと次のようになります。

 

「企業が働いて欲しい人数」÷「働きたいと思って仕事を探している人数」

 

数字が大きいほど「なかなか採用できない」ということで企業側が困ります。

数字が小さいほど「なかなか就職できない」ということで労働者側が困ります。

平成21年度には、採用されることが困難であり就職難でした。

今では、採用することが困難で採用難です

 

<就職困難期の権利主張>

会社から労働者の権利を侵害されて不満を持ったとしても、多少のことであれば労働者は我慢します。なぜなら、不満を示すことによって、会社から悪く思われ労働条件を下げられたら困るからです。なにしろ、転職は困難ですから今の会社に残るしかないからです。

そして、もし解雇を宣告されたら、不当解雇であり解雇は無効であると主張します。社員としての権利を有する地位にあることの確認を求めて、斡旋(あっせん)や労働審判そして労働訴訟を利用するのです。

つまり、会社に残ることを前提に権利の主張をします。これはある意味、愛社精神の現われでもあります。

 

<採用困難期の権利主張>

会社から労働者の権利を侵害されて不満を持てば、会社にぶつけることが当たり前になってきます。なぜなら、会社から反撃されて嫌な思いをしたら辞めればいいのですから。

そして、もし解雇を宣告されたら不当解雇を主張しますが、慰謝料を含めた損害賠償を請求し、職場に戻ることにはこだわりません。あくまでも金銭解決です。

さらに、採用困難期には就職困難期とは異質の労働紛争が発生します。

まず、入社と退職が盛んになりますから、形成された人間関係が簡単に崩壊し、どこかの時点で好ましくない人間関係となって、パワハラやセクハラなどのハラスメントが発生しやすくなります。この人間関係が原因となって、一層、退職者が出やすくなります。

つぎに、転職が容易なため転職に伴うトラブルが増えます。退職者が顧客情報を持ち逃げしたり、ライバル会社に転職したりが発生します。企業機密や個人情報の管理の強化とともに、社員教育やこうした不都合を発生させない仕組みづくりが必要です。

そして、最近急増しているのが、会社を辞めたいのに辞めさせてもらえないという労働相談です。会社側から見ると、強引な引き留めが労働者の権利侵害となり労働紛争になってしまうということです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

このように、現在の採用困難期では労働者が会社を辞める前提で権利を主張し争ってきます。つい数年前の就職困難期には、労働者が会社に戻りたくて争っていたので、同じ争うのでも手加減が感じられました。しかし今は、退職者が会社と争うときには手加減がありません。

こうした労働市場環境で、トラブルが発生したらあわてて弁護士の先生に依頼するというのはどうでしょう。労働紛争がこじれたら会社が失うのは金銭ばかりではありません。

トラブルの小さな火種を発見し未然に防ぐには、信頼できる国家資格の顧問社労士を置いておくのが得策だと思います。

 

2017.09.10.解決社労士

<問題社員とは>

「良いことの原因は自分、悪いことの原因は他人」と思い込み、義務は果たさず権利を濫用して退職後に会社を訴えるような社員です。

 

<問題社員の結果の結果>

こういう社員が上手く立ち回って会社から金銭的な利益を得ると、次から次へと真似をする社員が出てきます。

会社から得る金銭的な利益は、賃上げ、未払い残業代、年次有給休暇の買い上げ、退職金の上乗せ、慰謝料、解決金、和解金、口止め料など多岐にわたります。正当な権利の行使を超えて、恐喝まがい詐欺まがいなものも出てきます。

そして、会社の中の小さな不平等や小さな不公平が原因で、問題社員の真似をしたくなる社員は多いのです。

真面目に働いている社員は、会社から不当な利益を得ようとはしないでしょう。ただ、真面目に働いているのがばかばかしくなります。問題社員が会社の悪い所を徹底的に指摘するので、会社の魅力も低下します。辞めたくなったり、意欲が低下したりは仕方のないことです。

ここまでくると、お客様にも、お取引先にも、近隣にも、金融機関にも評判は良くないはずです。会社の経営は上手くいくはずがありません。

 

<問題社員の原因の原因>

以前いなかった問題社員が入社してくるのは、思ったような応募者が少なくて、究極の選択によって、少し問題を感じる人でも妥協して採用してしまうからです。

こうした採用難の原因は少子高齢化なのですが、一企業が少子高齢化を解消することはできませんので、良い応募者を増やす知恵を絞りたいところです。

まず、仕事の内容を中学生にもわかるように具体的に示すことです。

つぎに、会社や商品・サービスの魅力、仕事のやりがい、交通の便、近隣の環境、社長のキャラクター、長く働いている人の感想やチョッとしたエピソードなど、求職者が応募したくなるメリットを明らかにします。

反対にデメリットも明かします。なぜなら、良いことばかりを並べると信用されないからです。あえて会社の悪い面を少し加えることで、求人に対する信頼がグッと高まるのです。

それでもこうしたアピール情報を公開できないとしたら、それは会社や仕事に魅力が無いからです。上手いこと良い人をひっかけようとするのではなくて、正面から魅力ある会社に変えていく必要があります。

最低でも、労働基準法など労働関係法令に対する違反は解消しないと、ブラック企業のレッテルを貼られる恐れがあります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

採用難の中、即戦力にできる人材を確保するための採用も、万一問題社員を抱えてしまった場合の対応も、信頼できる国家資格の社労士にご相談ください。

 

2017.09.09.解決社労士

<厚生労働省の概算要求>

平成30年度厚生労働省所管予算概算要求関係の資料が発表されました。その中で、働き方改革に関連する戦略的な重点要求(ポイント)は、次のように示されています。

 

同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善

 ・「同一労働同一賃金導入マニュアル」の作成・周知啓発

 ・ キャリアアップ助成金の新たな加算の仕組み創設

 

長時間労働の是正や柔軟な働き方がしやすい環境整備

 ・ 労働時間の縮減等に積極的な企業等への助成金の拡充

 ・ 医療従事者・トラック運転者・建設業従事者など、業種ごとの取組の支援

 ・ 雇用型・自営型テレワークの就業環境の整備

 ・ 副業・兼業の普及推進

 

生産性向上、賃金引上げのための支援

 ・ 介護や生活衛生の分野における生産性向上のためのガイドライン作成

 ・ 保育・介護事業所におけるICT化の推進や介護ロボットの活用促進

 ・ 生産性向上に資する設備投資への助成など雇用管理改善に対する支援

 

女性・若者の活躍の推進

 ・ 子育て等により離職した正社員女性等の復職の支援

 ・ 男性の育児休業の取得促進

 

人材投資の強化、人材確保対策の推進

 ・ 雇用管理改善に対する助成

 ・ 介護未経験者への入門的研修

 

治療と仕事の両立、障害者・高齢者等の就労支援

 ・ 両立支援コーディネーターの育成・配置の推進

 ・ ハローワークへの専門職員の配置などによる精神障害や発達障害などの支援

 ・ 継続雇用等を行う企業への助成の拡大

 

<働き方改革の特色>

働き方改革は、20168月に安倍政権が閣議決定した経済対策です。働き方の抜本的な改革を行い、企業文化や社会風土をも含めて変えようとするものです。

労働基準法などが、立法権(国会)により制定・改正されて、企業と労働者との間に介入するのとは違い、行政権(内閣)が企業に働きかけ、やがては社会風土をも変革しようとするものです。

それでも、働き方改革が働く人の視点に立ち、企業文化、ライフスタイル、働き方を変革させようとするものである点では、労働基準法などと同じ視点に立っているといえます。

 

<注意したい業種>

「長時間労働の是正や柔軟な働き方がしやすい環境整備」という項目の中に、医療従事者、トラック運転者、建設業従事者が具体的に示されています。

ここの部分は、労働者である医療従事者、トラック運転者、建設業従事者を救うため、行政が介入する意図を示していると考えられます。

 

<医療従事者の労働条件の改善>

医療従事者、特に医師は高給取りであることが多く、残業代など必要ないと勘違いされ、また、人の命を預かる仕事なので、長時間労働もやむを得ないという風潮があります。

たしかに、病院や医師と患者との関係は、患者のためにベストを尽くす委任契約でしょう。しかし、病院と医師との関係は雇用契約です。労働基準法も労働安全衛生法も、その他の労働法も適用されます。

最近になって、若手医師やインターンなどから、病院に対して残業代を請求する訴訟が提起され、最高裁で病院側敗訴の判決が出るようになって注目を集めています。

病院側が医師を労働者として扱わず、労働基準法違反を続けていたのですが、これを不服に思った医師が訴えたら、病院側が敗訴したので全国の病院が驚いたというわけです。

特定の業界や業種の中で、法令違反の慣行が続いていたところ、誰かが訴えを起こして、その慣行が間違いであることが公にされてしまうと、急いで是正しないと経営が危険にさらされてしまいます。

 

<トラック運転者、建設業従事者の労働条件の改善>

トラック運転者や建設業従事者は、1回現場に出ていくらの賃金という扱いをされることが多いのです。会社とこれらの労働者との間に請負契約があるかのように扱われています。しかし、会社の指定した時間に現場に行き、会社の指示に従って働いているのですから雇用契約です。もちろん、労働基準法の適用がありますから、残業手当も、年次有給休暇もあります。

最近になって、過労死の問題が多発したこともきっかけとなり、これらの業界の従事者が自分たちの権利を強く認識するようになりました。退職後に会社に対して多額の未払い残業代を請求することも珍しくなくなりました。一人が上手くいくと、仲間も真似をするというパターンで、会社の経営が危機にさらされることもあります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

近々病院、運送業、建設業に行政のメスが入るのは、厚生労働省の予算関連の情報を見ても明らかです。

働き手の皆さんから一斉に権利を主張される前に、あるべき姿を整えてしまうのが、経営者側にとって大切だと思います。

具体的なことは、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.09.08.解決社労士

<親の口座への振り込み>

アルバイトの親から「バイト代を私の口座に振り込んで欲しい」というご要望があっても、会社は応じることができません。

アルバイト本人から「バイト代が自分の口座に入ると遊びに使ってしまう。将来のために貯金したいので、親の口座に振り込んで欲しい」と言われたら、これには応じたくなるでしょうか。

しかし、本人からの話であっても、親から言わされているだけかもしれません。現実に子どもを食い物にする親はいるのです。

 

<賃金直接払いの原則>

労働基準法に次の規定があります。

 

(賃金の支払)

第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。(以下略)

 

つまり、親子だろうと夫婦だろうと、労働者本人に代わって賃金を受け取らせてはいけないというルールがあるのです。

社員夫婦が会社に現れて、「夫に給料が振り込まれるとすぐにギャンブルで使ってしまうので、妻の口座に振り込んで欲しい」という連名の要望書を提出しようとも、会社は応じることができません。

アルバイトが自分名義の口座を持っていないのなら、現金で支払うか新たに口座を開設してもらうか、いずれにせよ直接本人に支払わなければなりません。

 

<国税滞納処分なら>

賃金直接払いの原則にも例外はあります。

たとえば、労働者が国の税金を滞納し国税徴収法による国税滞納処分を受けた場合や民事執行法に基づく差押えがされた場合には、賃金の一部を国や債権者に支払うということがあります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

労働者の便宜を図っているつもりが、法令違反ということがあります。特に労働関係法令は、労働者保護の要請という原則が強く反映されていますので注意が必要です。

会社が足元をすくわれないように、労働条件審査あるいは簡易な経営労務チェックを受けることをお勧めします。詳しくは、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2017.09.07.解決社労士

<就業規則を作るきっかけ>

会社を設立し、いつか従業員を雇い入れる予定があるのなら、すぐに就業規則を作るようお勧めします。一人でも適用対象者がいるのであれば、不利益変更という厄介な問題が出てきますが、誰も適用対象者がいないのであれば変更は自由です。思い立った時に変更をかけていけば、会社にぴったりの就業規則が完成してから従業員を雇い入れるという理想的な形になります。

 

<ありがちな先送り>

労働基準法には、次の規定があります。

 

(作成及び届出の義務)

第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

一  始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

二  賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

三  退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

三の二 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

四  臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項

五  労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項

六  安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項

七  職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項

八 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項

九 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項

十 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

 

一目見て就業規則作りをあきらめたくなるような規定です。しかも、最初の方に「十人以上の労働者を使用する使用者」と書いてありますから、「まだいいや」と先送りしてしまうのが人情です。

 

<現実的な就業規則の作成時期>

私は、なるべく早く就業規則作りに取りかかることを強くお勧めしています。

ところが実際には、「そろそろ従業員の人数が二ケタになりそう」「労働基準監督署の監督が入って勧告を受けた」というタイミングで、就業規則の作成を依頼してくるお客様が多いのです。

こうした場合でも、形ばかりの就業規則を作成して労働基準監督署長に届け出るのは、「百害あって一利なし」と言えます。

・従業員が就業規則を守らない。そもそも理解していない。

・経営理念や経営方針が従業員に伝わらない。そもそも就業規則に無い。

・従業員から就業規則について質問されると経営者はお手上げ。

・退職者が就業規則に基づき会社に対して多額の金銭を要求してくる。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社労士は、就業規則のプロフェッショナルですから、会社の実情に合った、経営者の思いを反映した就業規則を作成します。紛争の火種になるような規定は置きません。

「労働基準監督署の監督が入って勧告を受けた」というのであれば、自ら所轄の労働基準監督署に足を運び、作成や届出の計画を説明してきます。

従業員に対する説明会も実施しますし、運用のフォローもします。法改正などにより、就業規則改定の必要が発生すれば、その都度ご案内いたします。

就業規則の作成や変更については、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.09.06.解決社労士

<営業手当の意味>

営業手当は、営業という業務を担当することにより他の業務には無い負担があるため、その負担に応じて支給される所定労働時間内の業務に対する手当です。

ですから、所定労働時間外の残業代の代わりにはなりません。また、営業手当に残業代を含めるということもできません。

 

<よくある言い訳>

会社が営業手当を残業代の代わりに支給する、あるいは残業代を含めて支給するときの言い訳としては、「営業社員は勤務時間を把握できないから」というのが多いでしょう。

しかし、これが本当なら営業社員はサボり放題です。なぜなら、会社は営業社員の勤務時間を把握しないのですし、営業手当を支給しているから把握しなくても良いと思って安心しているからです。きちんと勤務時間を把握し、営業成績を正しく評価し、個人ごとの生産性を人事考課に反映させて、給与や賞与にメリハリをつけなければサボりは防げません。

反対に、過重労働による過労死の危険もあります。営業成績の上がらない社員は、サボりどころか長時間労働に走ります。営業成績の良い社員がたくさん働いているとは限らないのです。万一、営業社員が過労死あるいは自殺したときに、過重労働ではなかったという証拠が無ければ、遺族から慰謝料など多額の損害賠償を請求された場合に反論のしようがありません。

 

<退職者から未払い残業代を請求されたら>

残業代は25%以上の割増賃金なのですが、そのベースとなる賃金には営業手当が含まれます。会社としては、残業代の代わりに営業手当を支給していたつもりでも、その営業手当を加えた賃金の25%以上割増で計算することになるのです。会社にとっては、まるで残業代が複利計算になっているような感じを受けます。

恐ろしいのは、会社側に勤務時間のデータが無いために、退職者の手帳の記録などが証拠となりうることです。退職者の記録が誤っていることを一つひとつ立証するのは、とても無理なことでしょう。

そして、退職者は過去2年分の残業代を請求することになります。労働基準法の規定する消滅時効期間が2年だからです。しかも、すでに民法の改正があったため、消滅時効期間は5年に延長されるかもしれません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

営業社員の誰かが退職して、過去の未払い残業代を請求してきたら、在籍している営業社員の全員が同じことを考えても不思議ではありません。

たしかに、残業代の代わりに営業手当を支給する制度を適法に行う方法もあります。しかし、これは導入も運用もむずかしいのです。詳しいことは、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.09.05.解決社労士

<労働条件の明示>

労働基準法には、次のように定められています。

 

(労働条件の明示)

第十五条  使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。

 

そして賞与については、支給するのであれば明示するというルールです。

厚生労働省の公開している労働条件通知書には次のように示されています。

 

賞与( 有(時期、金額等        ) , 無  )

 

これは「ひな形」ですから、「金額等」と書いてあっても、必ずしも「5万円」とか、「給与の2か月分」などと記入する必要はありません。ただし記入すれば、それが労働契約の内容となりますから守らなければなりません。

「会社の業績と個人の人事考課により決定される額」という記載でも良いわけです。

 

<給与の決定>

給与というのは、一定の期間先までの活躍ぶりを想定して決まるものです。決して過去の実績に応じて決まるものではありません。

そうでなければ、新規に採用した人の給与や、課長から部長に昇格した人、営業職から事務職に異動した人の給与は決まらないことになってしまいます。

会社によっては、過去の実績を評価して将来の給与を決めていることがあります。こうした会社では、過去の実績から将来の活躍を予測している建前になっています。しかし、人事異動には対応できていないわけです。

 

<納得できる賞与の決定>

賞与は、将来の活躍に期待して支給するものではありません。

過去の一定期間の会社の実績、部門実績、個人の会社に対する貢献度、目標の達成度などを評価して支給するものです。

中には、「基本給の2か月分」など計算方法が決まっている会社もあります。しかし、これでは頑張ってもサボっても支給金額に変化はありません。賞与の支給額だけを考えるなら頑張る気にはなりません。むしろ、頑張っただけ賞与が増える会社への転職を考えたくなります。こうした賞与を喜ぶのは、サボっていたい社員だけということになりかねません。

 

<給与と賞与との関係>

給与は将来の活躍を予測して支給します。この予測が外れることもあります。

良い方に外れたのであれば、それだけ高額の賞与を支給して調整できれば良いのです。反対に、悪い方に外れたのであれば、それだけ低い金額の賞与を支給して調整したいところです。

結局、賞与は適正な人事考課に基づき、給与の不足や払い過ぎを調整する役割を持つべきものです。

これを実現するのは、具体的で客観的な人事考課基準の運用です。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

小さな会社では、個人の実績を考慮せず一定の基準で賞与の額を決定するということも行われます。あるいは、支給しない会社も多数あります。

すると結果的に、賞与に見合った働きをしていない社員だけが残ることになります。

なぜなら、賞与以上の貢献をしている社員は、活躍に見合った賞与を支給する会社に転職するからです。

こうして働き以上の賞与をもらえる社員だけが残り、「いい人材が集まらない」という状態になるのは人事考課制度が無いからです。

会社の現状にふさわしい人事考課をお考えでしたら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.09.04.解決社労士

<給与の支払い時期>

民法の雇用の節に、報酬の支払い時期について次の規定があります。

 

(報酬の支払時期)

第六百二十四条 労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。

2 期間によって定めた報酬は、その期間を経過した後に、請求することができる。

 

つまり、給与は後払いが原則です。実際、新人を採用するなり給与を支払うというのはごく少数派でしょう。

時給制や日給月給制ならもちろん、月給制で欠勤控除がある場合には締めてみないと金額が確定しません。

また、そもそも給与は労働の対価ですから、雇い主としては働き振りを見てからでないと納得して支払えないのも事実です。

それでは、まず働いてもらって働きぶりを評価し、その評価に応じて給与を支払うということも許されるのでしょうか。

 

<労働条件の明示>

労働基準法には、次のように定められています。

 

(労働条件の明示)

第十五条  使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。

2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。

 

このように、まず給与を決めて労働者に示したうえで働いてもらうルールだということです。そして、示した給与と支払われる給与が違うなら、労働者はそれを理由に退職できます。

ここで、示した給与と支払われる給与が違うというのは、時間給や基本給などの単価が違っていたり、計算方法が違っていたりということです。

 

<納得のいく給与決定>

このような法的制約のもとで、労使共に納得のいく給与を決定するには、かなり詳細で客観的な人事考課基準が必要でしょう。

入社にあたっては、予測される働きぶりを人事考課基準に当てはめて給与を決定します。

その後は、一定の期間を区切ってその期間の働きぶりを参考に、次の一定の期間の予測される働きぶりを人事考課基準に当てはめて給与を決定します。

ここで注意したいのは、過去の働きぶりをそのまま給与に反映させるのではなく、将来の予測だということです。言い換えれば、社員に対する会社の期待です。

このように考えることで、転勤や昇格などの人事異動にも正しく対応できることになります。

また、働いてみてもらったら給与に見合った働きができなかったとしても、最初の約束をひっくり返して減給できるわけではないことも当然です。それは、働きぶりの予測の精度が低かったということになります。

もちろん、人事考課と給与の決定時期について、予め具体的な説明をしておいて、それを約束通りに運用するのであれば、合理的な仕組の運用である限り許されるわけです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

小さな会社では、ひとり一人の社員の生活に必要な金額を考えて、給与の額を決定するということも行われます。

すると結果的に、給与に見合った働きのできない社員だけが残ることになります。

なぜなら、給与以上の働きをする社員は、働きに見合った給与を支給する会社に転職するからです。

やはり給与は、社員の働きに応じて支給するのが大原則です。

働き以上の給与をもらえる社員だけが残り、「いい人材が集まらない」という感想を抱くのは、人事考課制度が無いからです。

会社の現状にふさわしい人事考課をお考えでしたら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.09.03.解決社労士

<労災の原因>

労災のほとんどは過失により発生し、労災を起こした本人がケガをしても、周囲の人たちからは「本人の不注意だから」と言われることが多いものです。

しかし、ここで話を終わらせず、さらに原因を追及する必要があります。これは本人の責任を明確にし、再発を防止するために不可欠なので手を抜けません。

まずは、会社の安全教育です。業務を行うにあたって予めわかっている危険ポイントごとに、事故を避けるための正しい動作や手順などについて、繰り返し定期的に教育が行われていたでしょうか。事故が発生したということは、教育不足が疑われます。

つぎに、事故防止のための表示です。「手袋着用」「高温注意」など、必要な表示が漏れなく整っていたでしょうか。

さらに、仕事による疲労の蓄積です。個人的な悩みや、プライベートでの疲労で注意力が低下していたのなら、本人の責任が重いといえます。しかし、残業続きの状態で労災が発生した場合には、不注意の責任を本人だけに押しつけるわけにはいきません。そうした勤務を許した会社の責任が問われます。

そして、本人の資質の問題があります。本人の不得意なこと、あるいは、そこまでの注意を期待できない業務を担当させていなかったでしょうか。適材適所ができていなければ、会社の責任も重くなります。

 

<懲戒処分による減給>

安全教育、表示、適材適所ができていて、過重労働が無かったのに事故が発生したのなら、懲戒処分を検討するのにも十分な理由があります。

しかし、この場合でも、懲戒処分により再発防止が期待できない場合には、懲戒処分の目的が果たされず、悪影響だけが残ってしまいます。

結局、上司や会社に対する恨みなどが原因で、故意に労災を発生させたような場合に限定されるのではないでしょうか。故意に事故を発生させたのであれは、減給処分では懲戒処分としては軽すぎるかもしれません。

 

<降格・降職に伴う給与の減額>

労災事故の発生をきっかけに、現在置かれている立場の業務を行うには能力が不足していると判明する場合があります。

この場合には、適正な人事考課により職位や役職を下げて、それに応じた給与にするということもあります。

これは、本人の身の安全を守るという観点からも、正当性の認められる場合が多いでしょう。

 

<職務の転換>

自動車事故を起こした従業員の職務から自動車の運転を外し別の業務を担当させることは、本人の身の安全を守る点では有効な手段です。

この場合には、職務の転換によって給与が下がると、非公式な制裁と見られてしまいます。あくまでも、本人の心からの同意に基づき行うことで、トラブルにならないよう心がけましょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

労災事故を発生させたから給与を下げるというのでは、社長の気が済むだけで会社としては何も解決しません。

こんなとき、労災をきっかけに会社の成長を考えるのであれば、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.09.02.解決社労士

<違法な就業規則の実在>

就業規則を作成した時には適法だったものの、法改正が繰り返されて違法だらけの就業規則になってしまうということはあります。

国際情勢、国内情勢、市場動向は変化していますし、政府が継続的に強化している少子高齢化対策に沿った法改正は、驚くほど頻繁に、そして大幅に進んでいますから、1年間放置した就業規則が適法性を保っていたら、運が良いと感じてしまいます。

 

<違法な就業規則の届出>

うっかり法令違反の就業規則を労働基準監督署長に届け出たとします。

何も指摘されないこともありますし、たまたま法令違反が見つかって指摘を受けることもあります。

違法な規定を含む就業規則であって、それが発見されたとしても「次回は直しておいてくださいね」ということで、そのまま受け付けてもらえるのが通常です。

このとき、きちんと控えを持って行けば、就業規則を届け出たことの証として、「受付」の印を押してもらえます。あくまでも「受付」であって、「受理」や「承認」ではないのです。提出したので受け付けましたというだけのことです。

 

<違法な規定の効力>

労働契約も契約の一種です。契約は、当事者が話し合って自由に内容を決めることができるという原則があります。契約自由の原則と言います。

ところが、労働契約の場合には、使用者の立場が強く労働者は弱者であるというふうに考えられています。実のところはケースバイケースですが、それでも労働関係法令は労働者が弱いという前提に立って法体系ができています。

このことから、本来は自由であるはずの労働契約に法律が介入し、労働者を保護するという役割を担っています。

就業規則は、その会社の労働者に共通な労働条件を定めています。就業規則には、いろいろ定められているのですが、労働者に共通な労働条件の規定は、必ず含まれているといえます。

そして、就業規則と個別の労働契約とを比べた場合に、違う部分があれば、労働者に有利な方が有効とされます。

さらに、その部分が法律より不利ならば、法律の規定が優先されます。

結局、就業規則と個別の労働契約と法令とを比べて、労働者に一番有利なものが有効になるのです。

 

<違法な規定は効力が無い>

このように、就業規則が法律に違反していたり、個別の労働契約よりも労働者に不利であったりすれば、その規定は無視されるわけです。

このことが判っているので、労働基準監督署では就業規則の届出を受け付ける時に、法律違反が無いかじっくりとチェックしなくても問題無いことになります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

このような事情から、「労働基準監督署に受け付けてもらったから安心」とはいえません。

知らないうちに、違法な就業規則を運用し適用しているというリスクがあるのです。

このようなリスクを回避するには、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.09.01.解決社労士