2017年 6月

<経営者の理解>

企業が職場におけるハラスメント防止に取り組むにあたっては、経営者の理解が大前提となります。

これ無くしてハラスメント防止対策を行っても、すべては空回りしてしまうものです。

それほど経営者の意識や姿勢は、企業全体に大きく影響します。

経営者自らが理解を深めるために、セミナーなどに参加することをお勧めします。

 

<実態把握と意識把握>

職場環境の実態や従業員の意識を把握しましょう。

アンケートなどにより把握する場合には、単なる集計ではなく、防止対策のためであることを明確にして実施します。

プライバシーの保護には十分配慮することを明確にして実施しましょう。

 

<従業員の活用>

ハラスメントの問題は、職場環境や従業員の位置づけなどの、企業風土に大きく左右されます。

ハラスメント防止のためには、偏りの無い従業員の活用もポイントとなります。

これには、適正な人事考課制度の運用が必要となります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

そもそも経営者がセミナーに出かけたがらないというのであれば、社労士が社内で研修を行うこともできます。

客観的な実態把握や意識把握がむずかしいというのであれば、これも社労士が承ります。

適正な人事考課制度の構築や運用も、社労士の得意分野です。

ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.30.解決社労士

<守秘義務の認識>

社員は、在職中だけでなく退職後にも、労働契約に付随する義務として当然に守秘義務を負っています。

しかし、このことは必ずしも社員一人ひとりに認識されているとは限りません。就業規則に具体的な規定を置くことはもちろん、守秘義務を負う社員からは、入社や異動の際に誓約書を取っておくことをお勧めします。

 

<賠償請求の困難性>

社員が営業秘密をもらしてしまった場合でも、損害賠償請求は困難ですし、その金額も限定されてしまいます。

賠償を請求する場合には、まず具体的な事実関係を確認する必要があります。ところが、これは大変時間のかかることですから、対象社員から十分に事情を聞く前に退職されてしまうことがあります。

また、事実関係が明らかになったとしても、損害の発生や損害額を証明することが大変困難です。

こうした場合に備えて、会社と社員との間で損害賠償額を予め決めておければ楽なのですが、これは労働基準法で禁止されていて、たとえ決めておいても無効になってしまいます。〔労働基準法16条〕

 

<不正競争防止法>

不正競争防止法には、損害賠償請求の規定があるのですが、この法律が保護の対象としている営業秘密は、範囲が限定されているため簡単には適用されません。

保護されるのは「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」とされています。〔不正競争防止法2条6項〕

実際には、秘密管理性の要件に欠けるとして、この法律の保護が受けられないことが多いのです。なぜなら、秘密管理性の要件を満たすには、次のことが行われている必要があるからです。

・情報に接した者にその情報が営業秘密であると認識させていること

・情報に接する者が制限されていること

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

このように見てくると、営業秘密がもれたかも知れないと気づいてから対応するのではなく、もれないようにするのが得策です。

そのために最も効果的なのは、定期的に社員研修を繰り返すことです。何か問題が発生してから1回だけ研修を行い、その後長く実施しなければ、会社の態度が見透かされてしまいます。少なくとも年1回は実施したいものです。

こうした研修は、社外の講師が行った方が効果的ですし、労働契約の性質、就業規則の意味、誓約書の効果といった深い話から順を追ってきちんと説明することをお考えでしたら、信頼できる社労士にご依頼ください。

 

2017.06.29.解決社労士

<パート社員の試用期間>

たとえば、1年間の有期労働契約にして、最初の3か月間は試用期間とすることが行われます。

会社側は、3か月間の働きぶりを見て、とても勤まらないと判断すれば、そこで解雇しようという意図がうかがえます。

しかし、試用期間中であれ、試用期間終了時であれ、やむを得ない理由が無ければ解雇できません。日常用語で「本採用拒否」などと言われますが、これは解雇です。

このことは、きっちり雇用契約書を交わして本人の了解を得ていたとしても、結論に変わりはありません。

 

<正しい方法>

最初は3か月契約として、契約更新の条件に会社が意図する「本採用」の条件を定めておけば良いのです。

この「本採用」の条件は、正社員に対しても、入社時に文書で明示しておくと労働トラブルの防止に役立ちます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

法令の規定とは違った「常識」や同業他社の「慣行」に頼った対応が、思わぬ結果をもたらしたり、意図した効果が得られなかったりで、労働トラブルとなることがあります。

会社の中で当たり前になっていることも、一度、信頼できる社労士にチェックさせることをお勧めします。

 

〔労働契約法171項〕

使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

 

〔民法628条〕

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。

 

2017.06.28.解決社労士

<週休を増やすとは>

会社の方針により、週休1日から週休2日に変更したら、従業員の休日は倍増しますから、年次有給休暇を多少減らしても良いのではないかという話です。

昔から週休1日で運営してきた会社が、採用難などを理由に、週休2日として応募者を増やそうとすることもあります。

また、事業の成長が見込めず、従業員も高齢化していることから、人員を削減するのではなく、休日を増やして対応することもあります。

要は、休日も休暇も同じ休みなので、合計の日数が増えるなら問題ないのではないかという考え方です。

 

<休日と休暇>

労働基準法の定義によると、休日は労働義務のない日、 休暇は労働義務のある日に労働が免除される日です。

休日は、従業員から会社に対して申請や届出をしなくても、最初から当然に休みです。一方休暇は、従業員から会社に対して申請や届出をして休みます。

そして労働基準法は、休日と休暇のそれぞれに基準を定めて、この基準を下回ることを許しません。

結局、休日を大幅に増やしても、年次有給休暇が基準を下回るのは違法です。

たとえ、年次有給休暇が法定の基準を上回っている会社であっても、これを減らすことは不利益変更となりますから、厳格な条件を満たした場合にのみ許されます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

休日が増えれば、労働時間が減る可能性が高いでしょう。

この場合に、月給を減らすことに問題は無いのか、減らせるとしてどの程度まで可能なのかということは、それぞれの具体的なケースに応じた判断が必要です。これは、かなり専門的な話になります。

また、許される減給であっても、その手続きや手順が誤っていると、月給の変更が無効となり、会社は変更前の月給を支払う義務を負うことになります。

人は変化を嫌います。労働条件の改善であっても、上手に行わなければ従業員の反感を買い、退職者が出てしまいます。また、良かれと思った変更が、実は違法だったということもあり得ます。

労働条件や人事制度の変更は、その検討段階から、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.27.解決社労士

<労災認定の条件>

パワハラ、セクハラ、マタハラなどのハラスメントが精神疾患の原因となった場合には、業務災害として認定されるか、労災保険の給付対象となるかが問題となります。

これを判断するのは、労働基準監督署長や労働局長です。

認定の条件としては、業務遂行性と業務起因性があります。

業務遂行性とは、労働者が労働契約に基づいた事業主の支配下にあったことです。

業務起因性とは、業務と病気との間に因果関係が存在することです。

 

<精神疾患の労災認定>

精神疾患の労災認定の判断は、厚生労働省が平成2312月に「心理的負荷による精神障害の労災認定基準」を定め、これが運用されています。

その主なポイントは次のとおりです。

・認定基準の対象となる精神障害を発病していること

・認定基準の対象となる精神障害の発病前約半年の間に業務による強い心理的負荷が認められること

・業務以外の心理的負荷や個人的な要因により発病したとは認められないこと

 

<業務による強い心理的負荷>

業務による強い心理的負荷が認められるには、業務による具体的な出来事があって、その出来事とその後の状況が、労働者に強い心理的負荷を与えたといえることが必要です。

 

2017.06.26.解決社労士

<退職してもらう方法の選択>

業務上のミスが多く、その程度も重い場合、十分に注意・指導・教育しても改善の見込みが低い場合には、仕方なく会社を辞めてもらうことになります。

その方法としては、退職勧奨や普通解雇があります。

解雇が有効となる条件がそろっているような場合には、会社から対象者に退職を勧め、本人がこれに応じる合意退職が成立しやすいでしょう。

しかし、解雇が有効となる条件が欠けている場合、能力不足などにより転職がむずかしい社員の場合、実力に比べて高額な給与が支給されているような場合には、なかなか本人が退職勧奨に応じないものです。

また、能力不足そのものを理由とする懲戒解雇はできませんので、「このままだと懲戒解雇になる」などの説明をして退職願いを提出させた場合でも、錯誤〔民法95条〕、強迫〔民法96条〕による退職の意思表示の無効が主張され、取り消されてしまう可能性があります。

さらに、反省を示す意図で退職願いが出されたのに対し、会社側がその意図を知りうるのに退職手続きを進めたような場合には、心裡留保〔民法93条〕により退職の意思表示が無効となる可能性もあります。

 

<普通解雇による退職>

こうして、能力不足によるミスの連発が見られる場合には、普通解雇を検討することになります。

普通解雇のつもりで解雇を通告しても、法的な条件を満たしていなければ解雇権の濫用とされ無効となります。これが不当解雇です。不当解雇の場合には、解雇したつもりになっていても、それは無効だということです。

解雇が有効となるためには、次の条件を満たしている必要があります。

・就業規則に定めてある普通解雇の具体的な理由にあたること

・解雇権の濫用〔労働契約法16条〕ではないこと

・解雇予告義務〔労働基準法20条〕が果たされていること

・解雇が法律上の制限に違反していないこと

 

<証拠固め>

退職勧奨に応じた社員や、普通解雇をした社員から、合意退職や解雇の無効を主張されることがあります。これに備えて会社は証拠を保管しておく必要があります。ところが実際には、会社側に証拠が残っていないことが多く、退職者の主張を覆せないことによるトラブルが後を絶ちません。

会社が「十分に注意・指導・教育しても改善の見込みが低い」という証拠を持っていなければ、真実はそうであったとしても、裁判官はその事実を認定できません。注意・指導・教育の日時と内容、そしてその後の対象社員の変化などを、文書に残しておく必要があります。

会社経営者、上司、同僚、部下、取引先などは、基本的に会社の味方ですから、その証言は信頼できる証拠にはなりません。

また、そもそも業務上のミスが多いので辞めてもらいたいわけですから、いつどのようなミスがあったのか、会社はどう対処したのかという基礎的な証拠も必要なわけです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

たとえば、解雇権の濫用とされる基準は、労働契約法16条を読んだだけでは具体的なことがわかりません。具体的な事案に即した専門的な判断が要求されるのです。

社員に退職してもらうことを検討する場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.25.解決社労士

<加入基準>

雇用保険や社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入基準のうち、労働時間については、実労働時間ではなくて所定労働時間が基準となります。

つまり、シフトに多く入っていて実際の労働時間が多くなっていても、雇用契約書や労働条件通知書に書いてある所定労働時間が基準に達していなければ、保険に入れないということになります。

 

<所定労働時間の見直し>

とはいえ、所定労働時間と実労働時間との食い違いが続くというのは、正しい状態ではありません。

従業員から会社の責任者などに「約束通りにシフトに入れてください」と言うか、「実際の勤務に合わせて雇用契約書を作り直してください」と言うべきです。

 

<所定労働時間が無い?>

出勤日や勤務時間は、雇い入れにあたって雇い主が労働者に明示しておくべき労働条件の一つです。

しかし、月や週ごとに、話し合いで出勤日や勤務時間を決めることも違法ではありません。

実際、シフトを組んで勤務予定を立てている場合、基準となる出勤日数が決まっていないことがあります。

さらに、労働者が主体となって、自分の都合に合わせで出勤日を決めるというのも、何ら法令違反にはなりません。

このように所定労働時間が明確に決まっていない場合に限っては、勤務の実態を踏まえて、雇用保険や社会保険の加入を判断せざるを得ません。

社会保険については年金事務所、雇用保険についてはハローワークが相談窓口となります。

まとめて相談するのであれば、信頼できる社労士にご連絡ください。

 

2017.06.24.解決社労士

<制度利用への嫌がらせ>

次に掲げる制度や措置は、育児介護休業法が定めるもので、男女どちらにも適用されます。上司や同僚の言動が、こうした制度や措置に関するもので、人権侵害となれば、就業環境を害することにもなり、制度等の利用への嫌がらせ型のマタハラ(マタニティーハラスメント)となります。

小さな会社を含め、すべての会社の労働者に適用されます。

・育児休業

・子の看護休暇

・所定外労働(早出や残業)の制限

・深夜業の制限

・育児のための所定労働時間の短縮措置

・始業時刻変更等の措置

 

<マタハラとなる言動>

次のような言動が、マタハラの典型例です。

・制度や措置の利用請求などを理由に上司が不利益な取扱いをほのめかす

・制度や措置の利用請求などを上司や同僚が邪魔する

・制度や措置を利用したことを理由に上司や同僚が嫌がらせをする

具体的には、次のような発言がマタハラになります。

「男のくせに育休を取るなんて」

「一人だけ残業しないで帰るなんてずるい」

「いつも社長出勤で偉そうね」

周囲の人たちは、自分の負担が増えるから、ついついこんな発言をしがちです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

「うちの会社は産休や育休なんて関係ない」と言えるうちに、マタハラ対策をするのがお勧めです。

具体的に対象者があらわれてからでは、冷静に判断することができなくなるものです。

労働者の出産前後のルールについて、権利ばかりではなく義務についても、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.23.解決社労士

<パートやアルバイトなどの定義>

正社員、パート、アルバイト、嘱託社員、契約社員などの用語は、法律用語というわけではなくて、それぞれの企業で定義を決めています。そして実際には、明確な定義を決めていない企業も数多くあります。

このように、パートなどが法律用語ではない以上、各企業が特定の従業員をどのような名称で区分しようとも、それを根拠に正社員と違った扱いができることにはならないのです。

 

<パートやアルバイトの解雇>

ところが、パートやアルバイトであればいつでも解雇できるものと誤解されていることがあります。もちろん、全くの誤りです。

むしろ、契約期間の途中で解雇するのは、定年の他に期間を定められていない正社員よりもむずかしいのです。

客観的に「やむを得ない」理由が無ければ、契約期間中に解雇することはできません。〔労働契約法17条1項、民法28条〕

「やむを得ない」理由とは、期間を定めて雇用しているにもかかわらず、その約束を破って、期間満了前に雇用契約を終了しなければならないような特別重大な理由をいいます。

ですから、余程のことがない限り、契約期間の途中で解雇することはできません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

期間満了と共に解雇する場合にも、決して自由に行えるわけではありません。

解雇したつもりになっていても、不当解雇であれば解雇は無効なのです。

その人を採用するかどうかは、基本的に企業側の自由なのですが、採用したからには雇い続ける努力をしなさいというのが、労働法全体の趣旨となっています。

それでもなお、解雇を考えなければならないのなら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.22.解決社労士

<残業の性質>

残業は、会社が命じて社員に行わせるものです。具体的には、上司が業務上の必要から、部下に命じて行わせることになります。

少なくとも、部下が残業の必要性を上司に打診し、これを受けて上司が部下に命ずるという形でなければ、残業は発生しない性質のものです。

そして、いつも上司がいるわけではありませんから、伝票の処理が終わらないときは残業しなさいとか、お客様のクレームがあったときは対応して報告書を作成するまでは残業しなさいという包括的な命令もありえます。

この場合には、ダラダラ残業の危険がありますから、上司は十分な事後チェックをしなければなりません。

 

<上司の怠慢>

ところが実際には、上司の命令が無いままに、部下が自己判断で残業することがあります。上司は、これを発見し、注意し、禁止しなければなりません。そうしなければ、際限なく残業代が発生しますから、人件費の垂れ流しになってしまいます。

このような管理能力を備えていない上司が、部下の残業を野放しにしておくと、上司による黙示の承認があったものとされ、会社は多額の残業代を支払うことになります。支払わなければ、サービス残業とされ、未払い残業代の請求が発生します。

上司には、部下を管理する役目があって、その分給料が高いのですが、上司が給料分働かないうえに、部下の余計な残業代まで負担するのですから、会社はたまったものではありません。

上司の管理能力の有無は、きちんと人事考課によって評価されなければなりません。管理能力の不足する上司が、適正に降格されなければ、会社全体の生産性が低下してしまいます。

 

<就業規則での対処>

業務が終了したら直ちに帰ることを規定しましょう。残業代が発生しなくても、ただそこに社員が残っているだけで、余計な光熱費が発生しますし、雑談などしようものなら、残業している社員の邪魔になります。それだけでなく、使用者の指揮命令下にあるものとされ、タイムカードを打刻した後の時間にも残業代が発生してしまいます。

残業は、上司の命令によって発生することを明記しましょう。上司の命令に応じるのではなく、自己判断で残業することは禁止しましょう。

こうした規定に違反する社員は、人事考課で適正に評価されなければなりません。場合によっては、懲戒処分の対象とする必要もあるでしょう。

 

<残業代を稼ぎたい社員の発見>

仕事の合間に居眠りしたり、軽食をとったり、雑談したり、喫煙したり、仕事に関係ない資料を読んだり、個人的興味でパソコンをいじったり、スマホを操作したりの時間は、本当の労働時間ではありません。

こうした時間の総合計が長い一方で、残業が発生している社員は、上司が注意指導して仕事をさせなければなりません。

これもまた、適正な人事考課と必要に応じた懲戒処分の対象となります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

担当者に対して「残業を減らしなさい」「残業は月20時間まで」などと言うのは、上司のあるいは会社側の責任放棄です。これでは、仕事が回らなくなるか、生産性が低下するか、サービス残業が発生してブラック企業に転落するかでしょう。

社内でうまく残業を減らせないのなら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.21.解決社労士

<マタハラ(マタニティーハラスメント)>

マタハラとは、職場での上司や同僚からの、妊娠・出産したことに関する言動や、育児のための制度の利用に関する言動により、妊娠・出産した女性労働者や育児休業等を申出・取得した男女労働者等の就業環境が害されることをいいます。

対象者は、女性に限られず、父親となった男性も含まれます。

 

<職場>

職場は、労働者が業務を遂行する場所ですから、事務所、店舗などに限られず、出張先や取引先、自動車の中なども含まれます。

また、勤務時間外であっても、職務との関連性や、参加義務などにより、実質的に勤務の延長であれば、職場と見なされる場合があります。

職場で起きた事であれば、企業の使用者責任が問われます。

 

<労働者>

正社員だけでなく、パート、アルバイト、契約社員などを含むすべての労働者をいいます。

また、派遣労働者については、派遣元も派遣先も、直接雇用の労働者と同様に措置を講じる必要があります。

 

<マタハラにあたらない場合>

客観的に見て、業務上の必要に基づく言動は、マタハラにはなりません。

この点、セクハラには業務上の必要に基づくことがありえないのとは異なります。

 

2017.06.20.解決社労士

<基本的な態度として>

パワハラを指摘されたなら、それはそれで十分反省すべきです。

しかし、懲戒解雇というのが行き過ぎた対応ではないかと疑うことも必要です。

パワハラを理由に懲戒解雇を宣告されても、それが法的に有効となるためには、厳格な法的要件を満たす必要があります。

会社に再考を促すべき場合もありますので、冷静に考えてみてください。

 

<懲戒処分の有効要件>

解雇までいかなくても、懲戒処分が有効とされるには、多くの条件を満たす必要があります。条件を1つでも欠けば、無効を主張できるわけです。

法律上の制限としては、次の規定があります。

 

「使用者が労働者を懲戒できる場合に、その労働者の行為の性質、態様、その他の事情を踏まえて、客観的に合理的な理由を欠いているか、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして無効とする」〔労働契約法15条〕

 

これは、数多くの裁判の積み重ねによって作られた「懲戒権濫用法理」という理論を条文にしたものです。

ですから「使用者が労働者を懲戒できる場合」、つまり就業規則や労働条件通知書、雇用契約書などに懲戒処分の具体的な取り決めがあって、その労働者の行為が明らかに懲戒対象となる場合であっても「懲戒権濫用法理」の有効要件を満たしていなければ、裁判ではその懲戒処分が無効とされます。

また、そもそも就業規則や労働条件通知書、雇用契約書などに懲戒処分の具体的な取り決めが無ければ、懲戒処分そのものができないことになります。

 

懲戒権の濫用ではないといえるためには、次の条件を満たす必要があります。

・労働者の行為と懲戒処分とのバランスが取れていること。

・パワハラの問題が起きてから懲戒処分の取り決めができたのではないこと。

・過去に懲戒処分を受けた行為を、再度懲戒処分の対象にしていないこと。

・その労働者に説明や弁解をするチャンスを与えていること。

・嫌がらせや退職に追い込むなど不当な動機目的がないこと。

・社内の過去の例と比べて、不当に重い処分ではないこと。

 

<懲戒規定の明確さ>

実際にパワハラとされた行為が、懲戒処分の対象であることが明確でなければ、従業員としては、何が処分の対象かわからないまま処分されてしまうことになります。これは、やはり懲戒権の濫用となり、懲戒処分は無効となります。

同じパワハラでも、暴行、傷害、名誉棄損など、刑法上の罪に問われる行為であって、懲戒規定に「会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が明らかとなったときは懲戒解雇とする」という規定があれば、他の条件を満たす限り懲戒解雇も有効になります。

しかし、こうした規定が無かったり、パワハラとされた行為が刑罰法規に違反する行為ではないという場合には、パワハラの定義の明確性が問題となります。

 

<パワハラの定義>

法令にパワハラの定義はありません。ですから、職場ごとに明確な定義づけをしなければ、パワハラを理由とした懲戒処分はできません。

つまり、就業規則などの規定を読めば、問題とされた行為がパワハラにあたることは、その行為を行った人にも明らかだと言える場合や、パワハラについての教育研修が十分に行われているので、その行為を行った人にも理解できていたと言える場合でなければ、有効に懲戒処分を行うことはできません。

何を禁止されているかわからないのに、「あれはパワハラだったから処分します」という不合理なことは許されないのです。

ですから、パワハラを指摘され反省してみたものの、本当にパワハラと言えるのかどうか良くわからないならば、パワハラの定義が不明確である可能性が高いのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

パワハラで懲戒解雇になりそうな場合、自分の行為が本当にパワハラだったのか、パワハラだったとして解雇されるほどのことだったのか、という疑問を感じているのなら、なるべく早く信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.19.解決社労士

<繰り下げ受給を選ぶ理由>

65歳から受給する老齢年金を、繰り下げて受給すると、最大70歳までの繰り下げで受給額が増額されます。

65歳以上でもまだまだ元気に働いていて年金に頼る必要が無い、預貯金などの資産が充分にあるという方は、受給額の増額が大きなメリットとなります。

また、働きながら年金を受け取る在職老齢年金の場合、年金額の一部または全額が支給停止されることもありますから、条件によっては、繰り下げ受給を考えたいところです。

 

<どれほど増額されるのか>

繰り下げによる増額の割合は 0.7%×繰り下げた月数 で計算できます。1年につき8.4%の割合ですから、最大5年で42%ということになります。

しかも、この増額が一生続くのです。

たとえば、65歳から年100万円の年金をもらう代わりに、70歳から年142万円の年金をもらうという計算になります。

 

<70歳からの繰り下げ受給が得なのは>

上のケースで、65歳から受け取る場合と、70歳から受け取る場合とでは、年42万円の差額が出ます。

65歳から受け取っていたとしたら、70歳になるまでの5年間で合計500万円の受取額となっていたはずです。

この差を解消するのに必要な年数は、500万円を42万円で割って、11.905…年となります。

 つまり、11年11か月ほどで、70歳から受給した場合の合計額が、65歳から受給した場合の合計額に追いつきます。

 

今の仕組みが続いたとして、81歳11か月までの年金額の総額は、

65歳からだと、100万円×16.905年=1,690万5千円

70歳からだと、142万円×11.905年=1,690万5千円

 

今の仕組みが続くなら、そして、あくまでも受給額の総額だけで考えるならば、82歳以降も長生きする方は、70歳から年金を受けるのが得なのでしょう。反対に、そこまで生き続けなければ損になります。

 

<結論として>

平成27年の日本人の平均寿命は、厚生労働省が5年ごとに公表している「完全生命表」によると、女性が86.99歳、男性が80.75歳だそうです。

82歳まで生きるというのは、特に女性にとって、決して無理な話ではありません。

また、低金利の世の中で、繰り下げ1年につき8.4%の増額というのは、かなり大きなメリットです。

しかし、高齢者になると体力も気力も低下し、お金があってもそれを上手く使えなくなってくるという現実があります。必ずしも、計算上の合計額が多い方が良いというわけでもありません。

もっと詳しく具体的に検討したい場合には、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2017.06.18.解決社労士

<繰り上げ受給を選んだ理由>

65歳から受給する老齢年金を、最大60歳まで繰り上げて、早めに受給を開始することができます。

厚生労働省の平成24年の調査ですが、繰り上げ受給を選んだ理由ベスト3は、次のようになっています。

 

・年金を繰上げないと生活出来なかったため

・生活の足しにしたかったため

・減額されても、早く受給する方が得だと思ったため

 

減額されても、早く受給する方が得だと思った根拠は何なのでしょうか。不幸にして余命宣告された方は、繰り上げ受給に合理性があると考えられます。しかし、短命な家系に生まれたという程度では、理由としては弱いような気もします。

 

<どれほど減額されるのか>

繰り上げによる減額の割合は 0.5%×繰り上げた月数 で計算できます。1年につき6%の割合ですから、最大5年で30%ということになります。

しかも、この減額が一生続くのです。

たとえば、65歳から年100万円の年金をもらう代わりに、60歳から年70万円の年金をもらうという計算になります。

65歳の時点では、すでに5年間で350万円の年金を受け取っている計算になります。70万円×5年です。

 

<60歳からの繰り上げ受給が得なのは>

上のケースで、65歳から受け取る場合と、60歳から受け取る場合とでは、年30万円の差額が出ます。

すでに受け取っている年金350万円を30万円で割ると、11.66…となります。つまり、11年8か月で60歳からの受給者は、65歳からの受給者に、年金額の総額で追いつかれることになります。

 

今の仕組みが続いたとして、76歳8か月までに受け取る年金額の総額は、60歳から受け取っても、65歳から受け取っても、1,166万6千円です。

60歳からだと、 70万円×16年8か月=1,166万6千円

65歳からだと、100万円×11年8か月=1,166万6千円

 

今の仕組みが続くとして、あくまでも受給額の総額だけで考えるならば、76歳半位までに亡くなる方は、60歳から年金を受けて得なのでしょう。反対に、これ以降も生き続ける方は損になります。

あくまでも、計算上の話です。

 

<他にもある繰り上げ受給のデメリット>

繰り上げ受給をすると、年金の上では、65歳になったのと同じ扱いがされますので、次のようなデメリットもあります。

・障害基礎年金を請求することができない。

・寡婦年金が支給されない。既に寡婦年金を受給していても権利がなくなる。

・65歳になるまで遺族厚生年金が併給できない。

これらも踏まえて、繰り上げ受給を慎重に検討する必要があります。

 

<結論として>

長生きする可能性を考えると、早くもらわないと生活できないという方、難病などで余命宣告されている方を除き、繰り上げ受給はお勧めできません。

低金利の世の中で、繰り上げ1年につき6%の減額というのは、かなり大きなデメリットですから。

もっと詳しく具体的に検討したい場合には、信頼できる社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

2017.06.17.解決社労士

<定額残業代の失敗による打撃>

残業が少なくても定額残業代が保障されているのですから、労働者は早く仕事を終わらせてプライベートを充実させようとします。そのためには、自主的に学んだり、仕事の仕方を工夫したり、会社に言われるまでもなく努力します。これによって生産性が向上するのは、会社にとっても大きなメリットです。

もし、こうした結果が得られていないのならば、制度の導入や運用に誤りがあると思われます。

そして、制度の導入や運用に誤りがある場合には、定額残業代の有効性が否定されます。否定されると、基本給など残業代を計算するときのベースとなるはずだった賃金に、定額残業代を加えた金額をベースとして、残業代を計算し定額残業代とは別に支給しなければならなくなります。

これは、複利計算の形で残業代の二重払いが発生することになります。ですから、会社にとっては思わぬ打撃となります。

 

<正しい導入は手間がかかる>

基本給にあたる賃金から、一定の時間(基準時間)に相当する定額残業代を算出します。このとき、割増率が法定の基準を下回らないことと、基本給が最低賃金を下回らないことが必要です。

この基本給から定額残業代を算出した計算方法について、労働者ひとり一人に実額で説明します。文書をもって説明し、制度の導入について同意を得ておくのが基本です。

こうした導入ができていないと、定額残業代は無効となりますから、労働者から別途残業代を請求されたら支払わなければなりません。

 

<正しい運用も手間がかかる>

定額残業代を導入しても、労働時間は適正に把握する必要があります。なぜなら、基準時間を上回る時間の残業手当や、計算に含まれない法定休日出勤手当、深夜手当は、毎月計算して支給しなければならないからです。

もちろん、残業が基準時間を下回っても、その分定額残業代を減額することはできません。そんなことをしては「定額」残業代ではなくなってしまいます。

誤った運用をしてしまった場合のリスクは、誤った導入をした場合と同じです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

定額残業代は、ブラックな制度のように思われがちです。

しかし、正しい制度であれば、会社にも労働者にもメリットが多いはずです。その反面、誤った制度にしてしまうと、会社は何らかの形で労働者から残業代の二重払いを請求されます。

定額残業代を正しく活用し、そのメリットを最大限に活かすには、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.16.解決社労士

<同じ解雇でも>

懲戒解雇は、就業規則や雇用契約書、労働条件通知書などに具体的な規定が無ければできません。

しかし普通解雇は、これらに規定が無い場合でも民法が適用されるので、一定の条件を満たせば可能です。

 

〔民法第627条第1項〕

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

 

〔民法第627条第2項〕

期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。

 

通常、給与計算には締切日がありますので、給与支給が月1回であれば第2項の方が適用されます。

 

<解雇の意味>

雇い主から「これこれの条件でこの仕事をしてください」という提案があり、労働者がこれに合意すると労働契約が成立します。

労働契約は口頭でも成立します。ただ労働基準法により、一定の重要な労働条件については、雇い主から労働者に対し、原則として書面による通知が必要となっています。具体的には、雇用契約書、労働条件通知書などです。

解雇は、雇い主がこの労働契約の解除を労働者に通告することです。

 

<普通解雇>

狭義の普通解雇は、労働者の労働契約違反を理由とする労働契約の解除です。

労働契約違反としては、能力の不足により労働者が労働契約で予定した業務をこなせない場合、労働者が労働契約で約束した日時に勤務しない場合、労働者が業務上必要な指示に従わない場合、会社側に責任の無い理由で労働者が勤務できない場合などがあります。

 

<解雇の制限>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という規定があります。〔労働契約法16条〕

労働者の労働契約違反があった場合でも、雇い主はある程度まで労働契約の維持に向けた努力を示さなければ、解雇権の濫用とされ、解雇を通告しても無効になってしまいます。

能力の不足により労働者が労働契約で予定した業務をこなせない場合でも、雇い主は業務に必要な指導教育を十分に行っていなければ解雇できません。

労働者が業務上必要な指示に従わない場合でも、労働者に指示内容の重要性を説明し、指示に従うよう指導したうえでないと解雇できません。

雇い主は、その労働者を雇わないという選択もできたわけです。それでも雇ったからには、雇ったことに対する責任があるということです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

広義の普通解雇には、労働者の労働契約違反を理由とする解雇の他に、整理解雇が含まれます。

整理解雇とは、雇い主側の経営上の理由による解雇をいいます。

解雇は、解雇権の濫用とされれば無効になるわけですから、具体的なケースで解雇の有効性に疑問がある場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.15.解決社労士

<法改正の動向>

少子高齢化対策は国が力を入れている政策ですから、関連する法令の改正が急速に進んでいます。ついこの間まで大丈夫だったことが、いつの間にか法令違反となっています。

もともと、妊娠、出産、育児、介護などを理由として、事業主が解雇、雇い止め、降格、不当な配置転換その他の不利益扱いをすることは、男女雇用機会均等法と育児介護休業法で禁止されてきました。

平成29年1月からは、職場で妊娠などについての上司や同僚の言動で、労働者の就業環境が害されるのを防止する措置をとることが、事業主に義務付けられるようになりました。

 

<不利益取扱の理由>

妊娠中または産後の女性労働者が、妊娠した、出産した、妊婦健診のため仕事を休んだ、つわりや切迫流産で仕事を休んだ、産休をとったなどを理由に、事業主が不利益取扱いをすることは禁止されています。

また、性別に関係なく労働者が、育休や介護休業をとった、子どもの看護休暇をとった、育児介護のため残業や夜勤の免除を申し出たという場合にも、こうしたことを理由に事業主が不利益取扱いをすることは禁止されています。

ここに示した不利益取扱の理由が消滅しても、消滅から1年以内に、何か労働者に不利なことが行われた場合には、妊娠などを契機としていると判断されます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

少子高齢化対策という国の政策による法規制については、従来の「常識」が通用しません。

事業主が労働者に対する「常識的な」措置だと判断しても、タイミングによっては法令違反となりやすいのです。

妊娠した労働者や配偶者が妊娠した労働者がいる場合には、なるべく早い段階で、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.14.解決社労士

<人事院とは>

人事院は、国家公務員の人事行政に広汎な権限を有する行政委員会です。

国家公務員の人事管理の公正中立と統一を確保すること、ストライキ権など労働基本権制約の代償機能を果たすことの2つを目的としています。

人事院は、給与その他の勤務条件の改善や人事行政の改善に関する勧告、採用試験や任免、給与、研修、分限、懲戒、苦情の処理、職務に係る倫理の保持その他職員に関する人事行政の公正の確保と職員の利益の保護等に関する事務を行います。

 

<人事院規則10-10>

人事行政の公正の確保、職員の利益の保護と職員の能率の発揮を目的として、セクシュアル・ハラスメントの防止と排除のための措置、セクシュアル・ハラスメントに起因する問題が生じた場合に適切に対応するための措置に関し、必要な事項を定める規則です。

 

<運用指針に示されたセクハラ例>

人事院規則10-10の運用指針の中に、セクシュアル・ハラスメントになり得る言動として、次のものが例示されています。ここに無い言動が、セクハラにならないというわけではありません。

 

一 職場内外で起きやすいもの

 

(1) 性的な内容の発言関係

 

ア 性的な関心、欲求に基づくもの

・スリーサイズを聞くなど身体的特徴を話題にすること。

・聞くに耐えない卑猥な冗談を交わすこと。

・体調が悪そうな女性に「今日は生理日か」「もう更年期か」などと言うこと。

・性的な経験や性生活について質問すること。

・性的なうわさを立てたり、性的なからかいの対象とすること。

 

イ 性別により差別しようとする意識等に基づくもの

 

・「男のくせに根性がない」「女には仕事を任せられない」「女性は職場の花でありさえすればいい」などと発言すること。

・「男の子、女の子」「僕、坊や、お嬢さん」「おじさん、おばさん」などと人格を認めないような呼び方をすること。

・性的指向(恋愛・性愛の対象が男女どちらか)や性自認(性別に関する自己意識)をからかいやいじめの対象とすること。

 

(2) 性的な行動関係

 

ア 性的な関心、欲求に基づくもの

・ヌードポスター等を職場に貼ること。

・雑誌等の卑猥な写真・記事等をわざと見せたり、読んだりすること。

・身体を執拗に眺め回すこと。

・食事やデートにしつこく誘うこと。

・性的な内容の電話をかけたり、性的な内容の手紙・Eメールを送ること。

・身体に不必要に接触すること。

・浴室や更衣室等をのぞき見すること。

 

イ 性別により差別しようとする意識等に基づくもの

・女性であるというだけで職場でお茶くみ、掃除、私用等を強要すること。

 

二 主に職場外においで起こるもの

 

ア 性的な関心、欲求に基づくもの

・性的な関係を強要すること。

 

イ 性別により差別しようとする意識等に基づくもの

・カラオケでのデュエットを強要すること。

・酒席で、上司の側に座席を指定したり、お酌やチークダンス等を強要すること。

 

<活用方法>

国家公務員向けに示された指針ではありますが、LGBTへの対応など、時代に合わせて改定されていますし、一般の企業でも参考になります。

ただ、(1)アに示されたような「聞くに耐えない」などの形容詞は、実際に懲戒規定を適用するにあたっては、邪魔となる形容詞かもしれません。

ですから、一種のひな形として利用する場合には、自社の状況に合わせたカスタマイズが必要です。

 

<きちんとした対応のための準備>

まず、就業規則などにセクハラの客観的な定義を明示することです。

これと併行して、セクハラについての社員教育をきちんとすることです。

また、セクハラの相談窓口を設けることです。

この相談窓口は、外部の第三者的な立場であることが望ましいのです。そうでなければ、被害者も加害者も相談しにくいですし、社内の人が担当では客観的に対応できない必然性があります。

就業規則も社員教育も、そして相談窓口も、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談してはいかがでしょうか。

 

2017.06.13.解決社労士

<遅刻の連絡先と連絡手段>

寝坊の場合だけではなく、家族の急病や自宅の水漏れ対応など、個人的な事情で遅刻する場合には、なるべく早く上司に連絡するのが常識でしょう。

上司が休日や休暇のこともありますから、念のため、もう一つ連絡先を設定しておくと安心です。

ところが、連絡手段となると、従業員の個人的な判断に任されていることが多いようです。これでは、不都合が発生することもあります。

 

<就業規則の規定>

たとえば、厚生労働省のモデル就業規則には次のような規定があります。

 

(遅刻、早退、欠勤等)

第16条 労働者は遅刻、早退若しくは欠勤をし、又は勤務時間中に私用で事業場から外出する際は、事前に    に対し申し出るとともに、承認を受けなければならない。ただし、やむを得ない理由で事前に申し出ることができなかった場合は、事後に速やかに届出をし、承認を得なければならない。

 

このように、連絡先の定めがあるだけで、連絡手段は定められていません。

常識的な連絡手段としては電話でしょう。ついで、メールでしょうか。職場によってはLINEかもしれません。

さすがに電報や伝書鳩は無いでしょうけれど、社長の自宅の固定電話に留守電を入れておいたとか、上司にショートメールで連絡を入れておいたところ上司はショートメールの受信を拒否する設定にしていたなどという場合には微妙です。

正当な連絡方法といえるのか、従業員個人の常識と会社の判断とで食い違いがあれば、つまらないことで労働トラブルが発生しかねないのです。

特に無断で遅刻することが、懲戒処分の理由となりうる職場であれば、こうしたトラブルの原因は無くしておかなければなりません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

価値観の多様化している時代ですから、個人の「常識」に頼っていては、労働トラブルを未然に防止することはできません。

就業規則のある会社も無い会社も、会社の統一見解としての「常識」を文書化し、従業員全員に共有させておく必要があります。

それぞれの職場の個性に応じて、どのような「常識」をルール化するのが良いのかは、専門的な判断に従う必要があります。

迷ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.12.解決社労士

<解雇を希望する従業員>

従業員の方から解雇を希望するというのは、それ自体、不自然な話です。解雇という言葉の意味からして、会社から従業員に対して労働契約の解除を申し出るのが解雇ですから。

それでも、全く本人の自由な意思で退職を希望する場合や、会社から退職勧奨があった場合に、「解雇にしてください」という申し出は実際にあるのです。

本人の説明によると、失業手当(雇用保険の求職者給付の基本手当)をもらうのに有利だからと言うのです。

退職勧奨の場合には、すでに労働者に有利になっているので、解雇扱いでさらに有利になることは無いのですが、自己都合退職から解雇への理由変更なら有利になりますし、助成金の受給を予定しないのなら会社に不利益なことはなさそうにも思えます。

しかし、絶対に応じてはいけません。

 

<見えなかった下心>

雇用保険の手続きにあたっては、本当の退職理由を記入しなければ違法になります。会社が退職理由を偽ること自体、コンプライアンスの点で問題があります。

しかし、こんな単純な話ではありません。

今や簡単には解雇が認められず、退職者からの不当解雇の主張が通ってしまうという現実があります。

ということは、本人が希望したにもかかわらず、後から会社に対して不当解雇の主張をして、多額の金銭を要求するというリスクがあるのです。

 

<退職者からの要求>

まず、平均賃金の30日分の解雇予告手当の請求があります。

つぎに、不当解雇であり解雇が無効であったことによる賃金支払の要求があります。不当解雇というのは、会社が解雇したつもりになっていて、実は解雇が無効なわけですから、裁判などで争いが長引けば、その間の賃金支払義務は消えないということになります。

ついでに、未払い残業代や慰謝料の請求まで加わることもあります。

 

<会社の対抗措置>

会社としては、解雇を撤回し「今まで通り勤務してください」と申し出るという作戦をとることも可能です。もちろん、解雇扱いになっていた期間の賃金支払義務は消えません。しかし、本当のところは本人が希望して退職しているわけですから、いまさら仕事に復帰する可能性は低いでしょう。

ただし、最初から弁護士と相談して行動していた場合や、労働組合に支援してもらっている場合には、仕事への復帰も想定されます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

普通とは違った話が従業員から出てきたときに、経営者は自分の中の常識に従って判断しがちです。

そして、これが会社にとって大きな打撃となることもあります。

少しでもおかしいと思ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.11.解決社労士

<被害者への悪影響>

被害者はパワハラを受けたことにより、その職場にいられなくなることがあります。そこまでいかなくても、個人の能力の発揮が妨げられます。

我慢していると、うつ病や対人恐怖症など心理的後遺症が残り、長期にわたって回復しないこともあります。この場合、再就職が困難になります。

企業としては、最終的には金銭解決を図るしかないのですが、被害者の一生を補償できるわけではありません。

 

<企業への悪影響>

パワハラの被害は、直接パワハラ行為を受けている相手だけでなく、その同僚、後輩、部下など広範囲に及びます。こうして従業員の勤労意欲低下と、職場秩序の乱れが生じます。

被害者の退職による戦力ダウンだけでなく、職場全体の生産性低下につながります。組織力が適正に活かされなくなり、効率的な運営ができなくなります。

企業イメージの低下により、顧客も取引先も離れていきますし、金融機関からの評価も下がります。

もちろん被害者への損害賠償による金銭的損失も発生します。

 

<加害者への悪影響>

信用の失墜は職場に留まりません。顧客や取引先に対する信用も失われます。何より、家族からの信頼が失われるのが大きな打撃です。

被害者に取り返しのつかない傷を負わせたことが、被害者にとっても一生の傷となります。

加害者が会社から十分な教育を受けていなかったため、熱心な親身の指導をしているつもりで行為に及んでしまったというケースもあります。こうなると、パワハラの加害者も会社との関係では被害者でもあります。

 

<パワハラの性質>

意図的にパワハラ行為をしてやろうと思っているわけではなく、会社の意向を受けて行った注意指導の中に、パワハラとなる部分が含まれているということが多いのです。

業務上必要な注意指導とパワハラ行為との明確な区分が微妙だというのが、パワハラの特徴です。この点、業務上必要なセクハラ行為というものが無いのとは対照的です。

パワハラになることを恐れて、業務上必要な注意指導ができなくなってしまうのも困りものです。

 

<パワハラの予防>

まず就業規則などに、その職場に応じたパワハラの客観的な定義を明示することです。

これと併行して、パワハラについての社員教育をきちんとすることです。特に、必要な注意指導との区別についての教育は重要です。

また、パワハラの相談窓口を設けることです。

この相談窓口は、外部の第三者的な立場であることが望ましいのです。そうでなければ、被害者も加害者も相談しにくいですし、社内の人が担当では客観的に対応できない必然性があります。

就業規則も社員教育も、そして相談窓口も、まとめて信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談してはいかがでしょうか。

 

2017.06.10.解決社労士

<円卓会議WG報告の基準>

法令にパワーハラスメントの定義があるわけではなく、平成24年3月に公表された厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」の報告に示された定義がよく用いられています。

次に示すパワハラの分類も、すべてのパワハラ行為を網羅しているわけではないので、ここに分類されていない行為がパワハラになることもあります。

 

身体的な攻撃(暴行・傷害)

 たたく、なぐる、蹴る、丸めたポスターで頭をたたくなど。

 これらは、業務に関係するものであっても、業務に直接必要な行為ではないので、業務の適正な範囲に含まれることはありません。

 

精神的な攻撃(脅迫、名誉棄損、侮辱、暴言)

 同僚の目の前での叱責、他の従業員を宛先に含めてメールで罵倒、長時間にわたり繰り返ししつこく叱るなど。

 原則として、業務の適正な範囲を超えています。

 

人間関係からの切り離し(隔離、仲間はずれ、無視)

 1人だけ別の部屋に席を移される、自宅待機を命じられる、送別会に出席させないなど。

 原則として、業務の適正な範囲を超えています。

 

過大な要求(不要なことや不可能なことの強制、業務妨害)

 仕事のやり方がわからない新人に、他の人の仕事まで押し付けて、1人で残業させる。

 

過小な要求(能力や経験に見合わない低レベルの仕事を命じる、仕事を与えない)

 運転手が草むしりだけを命じられる、営業担当者が倉庫番のみを命じられる。

 

個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

 交際相手についてしつこく問われる、配偶者に対する悪口を言われる。

 

このうち、過大な要求、過小な要求、個の侵害は、業務上必要な適正な指導との区別がむずかしい場合もあります。

これらに該当する行為であっても、業務の適正な範囲を超えるかどうかについては、業種や企業文化の影響を受けるうえ、その場の状況や行為の継続性などによっても、判断が異なってくるからです。

ですから、各企業、各職場で認識を統一し、明確化することが求められます。

 

<きちんとした対応のための準備>

まず、就業規則などに各企業、各職場に応じたパワハラの客観的な定義を明示することです。

これと併行して、パワハラについての社員教育をきちんとすることです。

また、パワハラの相談窓口を設けることです。

この相談窓口は、外部の第三者的な立場であることが望ましいのです。そうでなければ、被害者も加害者も相談しにくいですし、社内の人が担当では客観的に対応できない必然性があります。

就業規則も社員教育も、そして相談窓口も、まとめて信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談してはいかがでしょうか。

 

2017.06.09.解決社労士

<被害者への悪影響>

被害者はセクハラを受けたことにより、その職場にいられなくなり退職することになったり、再就職が困難になったりします。対人恐怖症など心理的後遺症が残り、長期にわたって回復しないこともあります。

企業としては、最終的には金銭解決を図るしかないのですが、被害者の一生を補償できるわけではありません。

 

<企業への悪影響>

従業員の勤労意欲低下と、職場秩序の乱れが生じます。

被害者の退職による戦力ダウンだけでなく、職場全体の生産性低下につながります。組織力が適正に活かされなくなり、効率的な運営ができなくなります。

企業イメージの低下により、顧客も取引先も離れていきますし、金融機関からの評価も下がります。

もちろん被害者への損害賠償による金銭的損失も発生します。

 

<加害者への悪影響>

信用の失墜は職場に留まりません。顧客や取引先に対する信用も失われます。何より、家族からの信頼が失われるのが大きな打撃です。

被害者に取り返しのつかない傷を負わせたことが、被害者にとっても一生の傷となります。

加害者が会社から十分な教育を受けていなかったため、軽い気持ちで行為に及んでしまったというケースもあります。こうなると、セクハラの加害者も会社との関係では被害者でもあります。

 

<セクハラの性質>

業務上必要なセクハラ行為というものはありません。

この点、会社の意向を受けて行った注意指導が、パワハラになってしまうことがあるのとは、全く事情が違っています。

仕事をするうえで、全く必要性が認められず、百害あって一利なしというのがセクハラの性質です。

何としても、阻止しなければなりません。

 

<セクハラの予防>

まず、就業規則などにセクハラの客観的な定義を明示することです。

これと併行して、セクハラについての社員教育をきちんとすることです。

また、セクハラの相談窓口を設けることです。

この相談窓口は、外部の第三者的な立場であることが望ましいのです。そうでなければ、被害者も加害者も相談しにくいですし、社内の人が担当では客観的に対応できない必然性があります。

就業規則も社員教育も、そして相談窓口も、まとめて信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談してはいかがでしょうか。

 

2017.06.08.解決社労士

<一般的な規定>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」〔労働契約法16条〕

解雇を通告し、解雇したつもりになっていても、それが不当解雇であって無効であるために、従業員の立場は失われないということですから、働いていなくても賃金の支払いが必要になるなど大変なことになります。

不当解雇というのは、解雇したつもりで、実は解雇できていない状態ですから危険です。

 

<個別的な規定>

解雇を制限する規定としては、次のようなものがあります。

・国籍、信条、社会的身分による差別的取扱いの禁止〔労働基準法3条〕

・公民権行使を理由とする解雇の禁止〔労働基準法7条〕

・業務上の負傷・疾病の休業期間等、産前産後休業期間等の解雇制限〔労働基準法19条〕

・性別を理由とする差別的取扱いの禁止〔男女雇用機会均等法6条4号〕

・婚姻、妊娠、出産、産前産後休業を理由する不利益取扱いの禁止〔男女雇用機会均等法9条〕

・育児休業、介護休業、子の看護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定労働時間の短縮措置の申出等を理由とする解雇その他の不利益取扱いの禁止〔育児介護休業法10条、16条、16条の4、16条の9、18条の2、20条の2、23条の2〕

・通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止〔パートタイム労働法8条〕

・都道府県労働局長に対し個別労働関係紛争解決の援助を求めたこと、あっせんを申請したことを理由とする解雇その他の不利益取扱いの禁止〔個別労働関係紛争解決促進法4条3項、5条2項〕

・法違反を監督官庁(労基署等)に申告したことを理由とする解雇その他の不利益取扱いの禁止〔労働基準法104条2項、最低賃金法34条2項、労働安全衛生法97条2項、賃金確保法14条2項〕

・公益通報したことを理由とする解雇の無効〔公益通報者保護法3条〕

・不当労働行為の禁止〔労働組合法7条〕

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

「常識」に従った解雇は、法的には不当解雇であることが多いものです。

解雇を検討するなら、一度、信頼できる社労士にご相談ください。

何の落ち度もない従業員を退職に追い込むようなことはできませんが、納得して退職していただくためのお手伝いはさせていただきます。

 

2017.06.09.解決社労士

<解雇の意味>

雇い主から「これこれの条件でこの仕事をしてください」という提案があり、労働者がこれに合意すると労働契約が成立します。

労働契約は口頭でも成立します。ただ労働基準法により、一定の重要な労働条件については、雇い主から労働者に対し、原則として書面による通知が必要となっています。

解雇は、雇い主がこの労働契約の解除を労働者に通告することです。

 

<普通解雇>

狭義の普通解雇は、労働者の労働契約違反を理由とする労働契約の解除です。

労働契約違反としては、能力の不足により労働者が労働契約で予定した業務をこなせない場合、労働者が労働契約で約束した日時に勤務しない場合、労働者が業務上必要な指示に従わない場合、会社側に責任の無い理由で労働者が勤務できない場合などがあります。

 

<解雇の制限>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という規定があります。〔労働契約法16条〕

労働者の労働契約違反があった場合でも、雇い主はある程度まで労働契約の維持に向けた努力を示さなければ、解雇権の濫用とされ、解雇を通告しても無効になってしまいます。

能力の不足により労働者が労働契約で予定した業務をこなせない場合でも、雇い主は業務に必要な指導教育を十分に行っていなければ解雇できません。

労働者が業務上必要な指示に従わない場合でも、労働者に指示内容の重要性を説明し、指示に従うよう指導したうえでないと解雇できません。

雇い主は、その労働者を雇わないという選択もできたわけです。それでも雇ったからには、雇ったことに対する責任があるということです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

広義の普通解雇には、労働者の労働契約違反を理由とする解雇の他に、整理解雇が含まれます。

整理解雇とは、雇い主側の経営上の理由による解雇をいいます。

解雇は、解雇権の濫用とされれば無効になるわけですから、具体的なケースで解雇の有効性に疑問がある場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.06.解決社労士

<社会保険への加入拒否>

社会保険への加入基準を満たす労働契約を会社と交わしたら、自動的に社会保険に加入します。

これは、赤ちゃんを産んでおきながら出生届を提出しなくても、生まれなかったことにはならないのと同じです。

ですから、一定以上の週所定労働時間、月間所定労働日数の約束で働き始めておきながら、社会保険への加入を拒否するというのは、法的には意味がありません。

会社は、本人が拒否していても、法令により社会保険加入手続きが義務づけられていますから、その義務に従って加入手続きを行うのが、法的には正しいということになります。

 

<会社が一方的にシフトを減らす行為>

会社は、本人が社会保険への加入手続きに反発したのに対抗して、加入基準を下回る一定未満の週所定労働時間、月間所定労働日数でシフトを組んだのでしょう。

しかし、本人の了解を得ることなく、このようなことをしても無効です。

会社は、社会保険への加入基準を満たす労働契約を交わしたのですから、これに拘束されます。本人との合意なしに労働契約の内容を変えることはできません。

 

<ではどうすれば良かったのか>

会社は、求人広告で所定労働時間や所定労働日数を示し、社会保険への加入も表示していたことでしょう。

そうでなくても、採用にあたって労働条件を再確認しています。

それにも拘わらず、本人が社会保険への加入を拒否するのであれば、社会保険の加入基準は客観的なものであり、本人の意思とは無関係であることを説明したうえで、一定の期限を設けて次のうちから1つを選択してもらうようにします。

・入社を取りやめる

・会社の社会保険加入手続きに合意する

・加入基準を下回る労働契約に変更して勤務する

期限内に回答が無ければ、原則通り社会保険の加入手続きをおこなうこととしておきます。

また、「加入基準を下回る労働契約に変更して勤務する」という選択肢は、会社の自由な意思によりサービスで設けるものですから、無くてもかまいません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

結局、このケースでは直接の法令違反も不法行為も無いので、違法の問題は存在しません。

ところが労働法に明るくない人が、「社会保険への加入を拒否したらシフトを減らされたのは違法ではないか」と問われたら戸惑ってしまいます。

何かおかしいと感じた時は、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.05.解決社労士

<会社が転勤を命ずる権利>

会社の就業規則には、人事異動について、次のような規定が置かれます。

「会社は、業務上必要がある場合に、労働者に対して就業する場所及び従事する業務の変更を命ずることがある。

…労働者は正当な理由なくこれを拒むことはできない。」〔厚生労働省のモデル就業規則8条〕

たとえこのような規定が無くても、会社と社員との間で転勤を想定した労働契約が成立していれば、会社が労働契約に基づいて社員の働く職種や場所を決定できるとされています。

一般的に、会社は正社員に対して、人事権の一つとして配転命令権を持っています。

ただし、近頃増えている「多様な正社員」のうちの勤務地限定正社員のような労働契約が成立している場合には、その契約の性質上、会社は遠方への転勤を命ずる権利を持っていないことになります。

 

<権利の濫用となる場合>

会社に配転命令権がある場合でも、次のような事情がある場合には、権利の濫用となり配転命令が無効となります。ほとんど嫌がらせと思われる場合です。

・業務上の必要が無い場合

・配転命令が不当な動機や目的によるものである場合

・社員の不利益が通常の程度を著しく超える場合

 

<会社が権利の濫用を主張されたら>

「会社には配転命令権があり、社員には従う義務がある」という態度を取り続けたのでは、まさに権利の濫用になってしまいます。

会社の取るべき態度について、参考になる条文としては育児介護休業法26条があります。

「事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない」という規定です。

これは、育児介護休業についてのものですが、その趣旨は、すべての配転命令権に共通する原理です。

つまり、配置転換や転勤について、社員が難色を示した場合には、会社側が具体的な事情を聴き、抱えている問題の解消法を共に考え、どのように対応すべきかを真剣に協議しなければならないということです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

具体的なケースについて、社員の我がままとして片付けて良いのか、権利の濫用として転勤命令が無効となるのか、判断に迷ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.04.解決社労士

<社内でよくあるもの>

社内で従業員からの申し出により労働問題とされやすいのは、パワハラ、セクハラ、労働条件の不利益変更です。

これらは、従業員からの申し出があったとき、経営者が判断に困り、適切な対応ができないでいるうちに、社内で解決しきれない労働問題に発展することがあります。

会社に落ち度が無いという自信があれば、所轄の労働基準監督署に確認して、従業員に説明すれば良いでしょう。

そうでなければ、何かアクションを起こす前に、なるべく早く信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

<訴訟や労働審判になるもの>

退職者からの、残業代請求、不当解雇、退職に伴う請求がメインです。

どう考えても円満退職だった退職者の代理人弁護士から、内容証明郵便が届いてビックリというパターンです。

在職中は会社に遠慮して言えなかった不平不満が、退職後に爆発するのですから意外性があります。

退職者ご本人にその気が無くても、ご家族やお知り合いの中には労働法に詳しい方がいらっしゃいます。そして、この方が労働者の権利を強く主張すると、退職者が同調して会社に請求することもあります。

 

<複合的なもの>

退職者から未払い残業代の請求がある場合、パワハラによる慰謝料請求が加わったりします。

セクハラの被害者が退職させられ、加害者が会社に残り、これを不満とした退職者からの慰謝料請求に、未払い残業代の請求が加わったりします。

パワハラの加害者として退職させられた人から、不当解雇を主張され、賃金、賞与、慰謝料を請求されることもあります。

権利の侵害を感じた退職者が弁護士に依頼すると、弁護士は依頼人に事実を確認し、これを法的に構成し、できる請求をすべてすることになります。

依頼人と弁護士との契約は、委任契約ですから、医師が治療にベストを尽くすのと同じように、弁護士も依頼人の権利実現にベストを尽くすわけです。

 

2017.06.03.解決社労士

<「基準」の意味>

もちろん「最高」の水準を意味するものではありません。しかし、「標準」や「目安」を示しているわけでもないのです。

労働基準法の「基準」とは、この一線を踏み越えると違法になるというギリギリの「最低」水準や「限度」、「禁止事項」のことを言っています。

ですから、会社独自の判断で労働基準法に示された「基準」よりも労働者に有利なことをするのはかまいません。たとえば、入社とともに年次有給休暇を14日付与するなどがその例です。

 

<「基準」の個別性>

労働基準法の「基準」は項目ごとに定められています。

「うちの会社は残業手当を多めに支給しているから、有給休暇は取らせなくてもいいだろう」など、全体のバランスで調整することはできません。

 

<違約金・賠償額の予定禁止>

「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」〔労働基準法16条〕

かつては、中途で退職したり、会社に損害を与えたりした場合は、労働者だけでなくその家族も違約金を払う、損害賠償を行なうなどの契約が見られました。

しかし、これは労働者の退職の自由を奪うことになるので、労働基準法が罰則付きで明確に禁止したのです。

 

<「罰金」のあるブラック企業>

ところが実際には、遅刻したら罰金3千円、お皿を割ったら1枚につき千円など、気軽に労働基準法違反を犯している会社もあります。

そもそも「罰金」というのは、国家権力が科すものですから、民間企業が従業員から罰金を取るというのは明らかにブラックなわけです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社内での「常識」に従って昔から行われていることが、実は労働基準法違反ということだってあります。

労働基準監督署への三六協定書の届出など形式的な面だけでなく、社内で行われていること全体について適法性が確保されているのか、労働条件審査を受けてみてはいかがでしょうか。

人事部では問題ないつもりでいても、思わぬ落とし穴があるかもしれません。

ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.02.解決社労士

<自己中心的と主体的>

採用面接も1,000人以上を経験し、その後の勤務態度や勤続年数を見てくると、応募の段階で人物像が見えるようになってくるものです。

それでも、不慣れな頃は採用面接で自己中心的な人物を見抜くことができず、配属先にご迷惑をお掛けすることもありました。

自己中心的な方は、自分の利益だけを考えて行動しますから、組織の中で働くのには向いていないでしょう。

これに対して主体的な方は、お客様、上司・同僚・後輩、会社全体のことを考えて自発的に行動するので大いに貢献してくれます。

ところが、短時間の採用面接では、自己中心的な応募者を主体的な人だと勘違いしてしまうこともあります。

そこで、採用面接での自己中心派の特徴をまとめてみました。

 

<わかりやすい自己中心派>

「私は」「私が」を多用するのは、自己中心派のわかりやすい特徴です。また、自己中心的であることを隠そうとした場合には、「私も」「うちも」という言葉が増えます。

「私も」「うちも」と聞くと、協調性があるように思えますが、本当に協調性があれば「そうですね」と言ってうなずきます。

 

<わかりにくい自己中心派>

「割と」「思ったよりも」「意外に」「けっこう」を多用するのも、自己中心派の特徴です。

これらの言葉は、話し相手に対して客観的な内容を伝えるのではなくて、「自分が」どう思うかを伝えています。

「割と大変でしたが、けっこう頑張りました」という話をされたときに、具体的な内容を尋ねると黙り込んでしまうので、ただアピールしたいだけなのがバレてしまいます。

 

<応募の動機>

自己中心派は、自分にとっての直接的なメリットしか言いません。

給料が高い、通勤が便利、勤務先の近くに〇〇があって便利というのは、よく聞く言葉です。

さらに、誰にでもできる仕事、自分の都合でシフトに入れる、好きな仕事をさせてもらえそうという話が出てくるなど、自分に都合の良い思い込みも多いものです。

 

<前職を辞めた理由>

自分の落ち度は、退職した理由に出てきません。

自分だけ叱られた、周りの人たちに協調性が無かった、上司がバカだったなど、そのほとんどが露骨な悪口です。

こういう人たちを採用してしまうと、いつか退職していったあと会社の悪口を言われそうで採用する気にはなれません。

 

<不思議な共通点>

自己中心的な応募者は面接者をほめます。

どうでもいいことで、面接者を過剰にほめるのです。

応募者にとっては、採用されることが目的ですから、面接者から悪く思われたくないのは当然です。

しかし、極端にほめられた面接者は単純には喜べません。「変わった人だ」「気味が悪い」と感じてしまいます。

やはり、自己中心的な人は相手の気持ちを考えるのが不得意なのでしょう。

 

2017.06.01.解決社労士