2017年 4月 8日

<疑問点>

同じ会社なのに、昇給のある社員と昇給の無い社員がいても、労働基準法違反にはならないのでしょうか。

 

<労働基準法の規定>

労働基準法には、均等待遇の規定があります。

「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」〔労働基準法3条〕

また、男女同一賃金の原則についての規定もあります。

「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない」〔労働基準法4条〕

これらは、憲法の保障する平等権〔日本国憲法141項〕の趣旨を踏まえた規定で、男女雇用機会均等法をはじめ、多くの労働法にその趣旨が反映されています。

 

<平等と公平>

複数の人々の間に共通する要素があって、その共通する要素に着目して、同じ扱いをすることにより、妥当な結果をもたらそうとするのが、平等の考え方です。

しかし、同じ会社の社員だという理由で、全員が同じ額の給与と賞与では納得できない人が出てきます。会社のために頑張ろうという社員も、ほとんどいなくなってしまいます。これでは、会社が続かないでしょう。

会社の中では、役割に応じて給与の額が設定されたり、貢献度に応じて賞与が支給されたりします。ここには、平等の原理が働きません。公平の原理が働きます。

複数の人々の間に相違する要素があって、その違いに着目し、違いに応じた扱いをすることにより、妥当な結果をもたらそうとするのが、公平の考え方です。

労働基準法の中にも、年少者を保護する規定や、産前産後の女性を保護する規定などがあり、これらは公平の原理に基づくものです。

 

<結論として>

同じ会社で、全く同じ仕事をしているのに、一部の社員だけが昇給無しでは、平等権の侵害となり、労働基準法違反の恐れがあります。「昇給は男性のみ」あるいは「外国人に昇給は無し」という扱いは、明らかに労働基準法違反です。

しかし、きちんとした人事考課が行われ、各社員の成長に応じた昇給を実施している会社でも、たとえば「モデルルーム公開中」の看板を持って国道沿いの歩道に椅子を置き座っている仕事だけをするアルバイトは、昇給が無くても不平等や不公平の問題を生じないでしょう。なぜなら、熟練や生産性の向上ということがほとんど想定しがたいからです。

ですから同じ会社の中に、昇給のある社員と昇給の無い社員がいても、客観的に合理的な理由があり、不平等や不公平の問題が無いのであれば、法的に見ても問題は無いといえます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

実際の労働紛争では、会社が主観的に問題無しと判断したことに対して、退職者などから違法性や不当性を指摘されることが多いのです。

「この条文はこのようにも解釈できる」「今回は例外」のように、会社に都合のよい解釈をして満足するというミスを犯すのです。

本当に大丈夫なものか怪しいときは、信頼できる社労士にご相談ください。外部の第三者である専門家から見たら、驚くほど多くの問題点が見えるものです。

 

2017.04.08.解決社労士