2016年 11月

<最初の対応>

まず電話をかけます。1~2回電話をかけて出ないだけでは、「音信不通」扱いにはできません。家族と同居しているのなら、固定電話や家族の電話にもかけてみます。

何回も電話をかけて出ないようなら、職場の部門長などが自宅を訪問します。自宅の玄関先で、人の気配が無く電気のメーターがほとんど動いていないような状態であれば、中で社員が倒れている可能性もあります。賃貸物件であれば、大家さんや管理会社にも連絡して、中の様子を確認してもらいましょう。

こうして不在が確認された場合には、実家などの連絡先や、職場で仲良くしている社員に心当たりを聞いてみるなどが必要です。

 

<それでも所在不明の場合>

会社に落ち度は無く、本人が出勤して来ないのだから、自己都合退職で処理できないものかと思えてきます。

しかし、本人が何か事故や事件に巻き込まれていて、出勤できず連絡もとれなかったことについて責任が無い場合には、会社が十分な対応をしたかどうかの問題が発生します。ですから、後に紛争とならないよう十分な配慮が必要です。

そして、本当に紛争となった場合には、会社として十分な対応をしたことの証明が必要となります。こうした場合に備えて、電話連絡の日時の記録は重要です。時間帯を変えて、何回も電話することとその記録を残すことが必要です。自宅を訪問した際の記録も正確に残しておきましょう。

 

<退職扱いにはできないのか>

本人からの申し出が無く、会社から退職扱いにするのであれば、「解雇」にあたります。解雇の場合には、会社から社員に解雇を通告しなければなりません。音信不通であれば解雇の通告はできませんし、社員が未成年者でなければ、ご両親が代理人として解雇の通告を受けるわけにもいきません。

こんなときは、就業規則の中に自動退職(自然退職)の規定があれば、それに従って退職扱いとすることもできます。「15日間以上にわたって音信不通で欠勤が続いている場合には退職とする」という規定です。

 

<万一に備えて>

新人の採用にあたっては、本人の連絡先だけではなく、実家や家族など緊急時の連絡先を確認しておく必要があります。

就業規則に自動退職(自然退職)の規定を置き、社員に周知しなければなりません。

店長など部門長には、社員が出勤して来なくなった場合の対応マニュアルを渡して、教育しておくことも必要です。

 

<連絡がとれた場合>

単なる寝坊なら笑って許せます。

しかし、パワハラ、セクハラ、うつ病など、本人がすぐには言い出せない原因が潜んでいることもあります。

突然出勤しなかったという事実があれば、それを重く受け止め、人事担当者はその後の様子について、きちんとフォローしていく必要があります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

新人採用前後の手続きも、就業規則の作成や改善も、例外的な退職手続きも、すべて社労士が専門家として対応する職務です。

万一に備えての準備も、トラブルに発展しうる事実が発生したときにも、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2016.11.30.

<様式変更の内容>

マイナンバー法の施行にともない省令が改正され、平成29年1月から社会保険関係の様式が変更される予定です。

現在は、健康保険・厚生年金保険の資格取得届、氏名変更届、資格喪失届に個人番号の記載欄が追加された様式の案が発表されています。

 

<経過措置>

様式変更による不都合を避けるため、以下の経過措置が設けられる予定となっています。

○健康保険組合の場合

・厚生年金保険について、健康保険組合の加入者の場合は、平成29年3月31日までの間、改正前の様式と改正後の様式のどちらでも使用できます。

・健康保険について、提出先が健康保険組合の場合は、平成29年3月31日までの間、改正前の様式の備考欄等に個人番号を記入することにより使用できます。

○協会けんぽ(全国健康保険協会)または国民健康保険組合の場合

・厚生年金保険について、協会けんぽまたは国民健康保険組合の加入者の場合は、当分の間、改正前の様式を使用します。

・提出先が厚生労働大臣または日本年金機構である場合の健康保険の手続(協会けんぽ加入者の手続)には、当分の間、改正前の様式を使用します。

 

<個人番号(マイナンバー)記入の免除>

以下の健康保険の届出等について、提出先が日本年金機構である場合には、当分の間、個人番号の記入が求められません。

・二以上事業所勤務届

・住所変更届

・給付制限事由該当等の届出

・被保険者所属選択・二以上事業所勤務届

・被扶養者異動届

・育児休業等終了時報酬月額変更届

・産前産後休業終了時報酬月額変更届

・日雇労働者の適用除外申請

・日雇特例被保険者手帳の交付申請

・育児休業等取得者申出書

・産前産後休業取得者申出書

 

2016.11.29.

<受給には手続きが必要>

年金は、年金を受ける資格ができたとき、自動的に支給が始まるものではありません。

年金を受ける資格のある人が、年金を受けるための手続き(年金請求)を行う必要があります。

 

<年金請求書の提出>

日本国外に居住している人は、日本での最終居住地を管轄する年金事務所か街角の年金相談センターに「年金請求書(101号)」を提出します。

受付は支給開始年齢になってからです。支給開始年齢になる前に提出しても受付されませんのでご注意ください。

これに添付する戸籍・住民票などは、受給権発生日以降に交付されたもので、年金請求書の提出日の6か月前までに交付されたものが必要です。

なお、特別支給の老齢厚生年金は「繰下げ制度」はありません。受給権発生日以降に速やかに請求してください。

 

<社会保障協定について>

日本や協定相手国の年金を受け取るための期間を満たしていなかった場合でも、社会保障協定により、協定相手国と日本の年金加入期間を相互に通算し、日本や相手国の年金を受給することができます。

平成28年11月現在、社会保障協定が発効し、加入期間の通算ができる国は以下のとおりです。

 

ドイツ アメリカ ベルギー フランス カナダ オーストラリア オランダ

チェコ スペイン アイルランド ブラジル スイス ハンガリー インド

 

2016.11.28.

<企業側に立つ業務>

助成金・補助金の申請、労働基準監督署や会計検査院などの立入検査対応、社会保険や労働保険の適用開始届などは、労働者にとって直接の利益は無いですから、企業側の立場に立って行っている業務です。

 

<労働者側に立つ業務>

健康保険、労災保険などの給付金等請求は、労働者に支給されることを考えると、労働者側の立場に立って行っている業務です。

 

<依頼者の立場に立つ業務>

労働紛争について、労働局での斡旋の代理人などの業務を行う場合には、企業の依頼を受ければ企業側に立ちますし、労働者の依頼を受ければ労働者側に立ちます。

しかし、「100%経営者の味方」「労働者側の利益を追求」というように、常に一方だけの利益を擁護しているわけではありません。

 

<どちらの立場にも立たない業務>

個人の方から障害年金の手続きを依頼されるなど、企業側・労働者側ということが問題にならない業務もあります。

 

<両方の立場に立つ業務>

企業の顧問の場合でも、依頼主である企業側のことだけを考えているわけではありません。

就業規則の作成・改善、社員研修、労働環境の維持・向上、給与計算、社会保険や労働保険の保険料を確定する手続き、労働トラブルの予防など、多くの業務は会社側の利益と労働者側の利益の微妙なバランスの上に立っています。

「100%経営者の味方」という立場に立てば、社員は会社を去っていくでしょうし、会社の評判も地に落ちます。

「労働者側の利益を追求」という立場に立てば、会社が傾き社員は職を失うでしょう。

会社と社員が、共に成長し利益が得られるようにするには、やはりバランスが大切なのです。

 

<結論として>

「自分は労働者なので労働者側の立場に立つ社労士を探したい」というご希望をお持ちの方がいらっしゃいます。

しかし、「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」という孫子の言葉にもある通り、敵対する相手方についても熟知していなければ、戦いで優位に立つことはできません。

企業側のことを知らずに労働者の権利を守ることはできないのですから、労働者側社労士を探すのではなくて、信頼できる社労士をお勧めします。

 

2016.11.27.

<会社の周知義務>

会社は、労働基準法および同法による命令等の要旨、就業規則、労使協定を従業員に周知しなければなりません。〔労働基準法106条1項〕

労使協定というと三六協定(時間外労働・休日労働に関する協定)が有名です。〔労働基準法36条〕

しかし、傷病手当金は健康保険の制度ですから、会社が従業員に周知する義務を負っていません。

健康保険や年金、労災保険や雇用保険、所得税の還付などについては、国が広報に努めるべき内容です。

 

<会社が説明する必要>

とはいえ、健康保険や年金、労災保険や雇用保険などの給付は、すべて請求手続きをしなければ給付されません。「求めよ、さらば与えられん」という感じです。

健康保険の保険料は、会社と従業員とで折半します。つまり、会社も保険料を負担しています。それなのに、わからないから給付を受けられないというのでは勿体ないです。

会社は、保険料を無駄にせず、従業員が給付を受けられるようにするため、傷病手当金、高額療養費、療養費支給申請など健康保険の給付や、労災保険で受けられる給付について、従業員に説明しておくべきです。少しでも記憶に残っていて「何かお金がもらえる制度があったような…」ということになれば、あとは人事担当者にたずねるなどして、手続きへと結びつくでしょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社労士に給与計算を委託している場合、ある従業員が長期間休んでいれば、会社にその理由を確認します。

健康保険に入っている従業員であれば傷病手当金の手続きに進みますし、勤務中のケガで休んでいれば労災保険の手続きに進みます。わからないから受け取れないということが防げるわけです。

また、様々な仕組みにより従業員が給付を受ける場合について、社労士が会社でレクチャーを行い、従業員からの質問にわかりやすく答えるというサービスもしています。

もし社内でまかなえないことがあれば、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2016.11.26.

<結論>

試用期間中は家族手当を支給せず、本採用となってから支給を開始するという規定や運用は、原則として問題がありません。

ただし、家族手当を支給しないことによって、1時間あたりの賃金が最低賃金の基準を下回ってしまうと、最低賃金法違反となりますから、ここは確認が必要です。

 

<試用期間の法規制>

労働基準法には、「試用期間」という用語は無くて、「試みの使用期間」〔12条3項5号〕、「試の使用期間中の者」〔21条4号〕という用語で2回登場します。

そして、労働基準法の予定する試用期間は14日までです。ですから、会社が試用期間を3か月としても、労働基準法上は15日目からは試用期間として認められません。

認められないとどうなるかと言うと、正当な理由があって辞めてもらう場合にも、解雇予告手当の支払いとともに解雇通告することが必要です。あるいは、30日以上前もって予告するわけです。解雇予告手当20日分と、10日前の予告で、合わせて30日という方法も認められています。〔20条2項〕

たとえ試用期間中であっても、正当な理由があって解雇予告手当を支払わずに即日解雇できるのは、原則として入社14日目までということになります。

 

<試用期間であっても必要な事(法定事項)>

健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険は、試用期間中か本採用後かという区分がありませんので、法定の基準を満たせば入社とともに加入します。

これは、市区役所に出生届を提出しなくても、赤ちゃんが生まれれば、その生まれた事実に変わりはないのと同じです。つまり、加入手続きをしなくても保険料の未払いが発生するだけです。その証拠に、会社に調査が入って手続きもれが発覚すれば、さかのぼって多額の保険料を支払うことになります。

給与について言えば、残業手当、深夜手当、法定休日出勤手当のように、法定のものは試用期間中であっても支給しなければなりません。ただし、役員待遇で入社するなど、いきなり管理監督者の立場に立つ人は例外です。

 

<試用期間であれば必要ない事(会社がプラスアルファで決めた事)>

家族手当の他、精勤手当、賞与など、基本の給与とは別に会社がプラスアルファで支給するものは、試用期間中は支給しない規定と運用でも、原則として問題ありません。ただ、最低賃金法違反に注意するだけです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

正しい給与計算を代行するだけが社労士の仕事ではありません。

適法な給与規定の作成と運用も社労士の仕事です。

さらに、社員が納得してやる気になる給与体系を構築するのも、社労士の仕事です。

もし、やる気のないブラック社員がいたり、新人が定着しないという問題を抱えているのなら、給与体系の見直しが必要かもしれません。

信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.11.25.

※労基署による監督をわかりやすく調査と表示したところがあります。

 

<労働基準監督署が調査に入るケース>

労働基準監督署が企業の調査に入るケースとしては、次の3つが多いでしょう。

・方面(ほうめん)という部署が、労働基準法の順守状況を確認するため。

・安全衛生課という部署が、労働安全衛生や労働環境の状況を確認するため。

・労災課という部署が、労災発生後の再発防止策を確認するため。

 

<方面による調査>

多いのは、サービス残業と過重労働のチェックです。

労働基準法違反は「是正勧告書」で、その他の改善すべき点は「指導票」で指導が行われます。

これに対して、企業は「是正報告書」を提出して、改善したことを報告します。

これにて一件落着となっても、ほとぼりが冷めると元に戻ることもありますから、2~3年後に改善内容が定着していることを確認するため、再調査が入ることは多いものです。

最初の調査で何一つ指摘を受けていなければ、再調査ということもありません。

 

<安全衛生課による調査>

労働安全衛生法などの順守状況が確認されます。

たとえば、機械類の操作がある場合には、現場にマニュアルがあるか、わかりやすい警告表示があるかなどがチェックされます。

また、重量物の取り扱いがある場合には、誰が作業を行っているか、特に女性が制限を超えて重量物を扱っていないかなどがチェックされます。

もし、これらについて是正を求められても、改善することは比較的簡単ですが、2~3年後に改善内容が定着していることを確認するため、再調査が入ることは多いものです。

このときには、安全教育の実施について、実績資料の提示を求められることもあります。

 

<労災課による調査>

同種の労災事故が繰り返され、あるいは重大な労災事故があった場合には、3か月~1年半後に調査が入ることがあります。

このときは、「企業が自主的に行っている労災の再発防止策」を監督署が確認します。きちんと出来ていれば良いのですが、不十分なら「是正勧告書」「指導票」による指導が行われます。そして、この指導があった場合には、2~3年後に改善内容が定着していることを確認するため、再調査が入ることは多いものです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

以上のように、最初の調査で何も指摘されなければ、再調査ということも無いのですが、「何も指摘されない」というのは少数です。

会社の中に、専任の担当者がいない場合には、顧問の社労士が対応することになります。現場任せにしておくと、いつの間にか最初の調査が入った時点の状態に戻ってしまっていることが多いものです。

社労士は、労働基準監督署の調査が入っても指摘事項が最小限になるよう、普段から労働環境の改善や労災発生防止策についてアドバイスします。もちろん、実際に調査が入ることになれば、この調査にも立ち会いますし、その後の監督署からの指導へも対応します。

監督署の担当官にしても、専門家がいれば安心ですから、スムーズに事が進みます。

ぜひ、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.11.24.

<問題となるケース>

天気予報が外れて大雪となり、ほとんどお客様がいらっしゃらない店内に、ヒマそうな店員が数名いたとします。こんなときは、店長が「帰っていいよ」と声をかけることもあるでしょう。

このように会社都合で早退してもらったときに、その時間分の給与を欠勤控除して良いのでしょうか。

 

<法律の規定によると>

働かないなら給与を支払わなくても良いという、ノーワーク・ノーペイの原則があります。これは、労働契約の性質から当然のこととされています。

ところが、会社都合の休業の場合には、給与全額を支払うのが原則です。〔民法536条2項〕

例外的に、就業規則等で別途定めた場合に限り、平均賃金の6割にまで減額することが可能です。〔労働基準法26条〕

厚生労働省のモデル就業規則にも、「臨時休業の賃金」という規定例があります。

やはり就業規則があると無いとでは大きな違いです。

 

<より良い解決法>

急にいつもの仕事が無くなったとしても、やることが無いわけではありません。普段できないことを行うチャンスです。

たとえば、次のような事をあらかじめリストアップしておいて、このチャンスに実施してはいかがでしょうか。

・普段できない所の徹底清掃

・接客トレーニング(ロールプレイイングなど)

・お客様の声を集約するためのミーティング

・競合店についての情報交換と対策協議

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

労働紛争を予防するために、適法経営の推進や就業規則の強化をするだけでなく、より現実的な対策を提案するのも社労士の仕事です。

働く現場に疑問を感じたら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2016.11.23.

<有期労働契約の打ち切り>

会社がパートやアルバイトなど、有期労働契約で雇っている労働者を、期間満了時に契約の更新を行わずに終了させることを「雇い止め」といいます。

 

<法律の規定は?>

一定の場合に「使用者が(労働者からの契約延長の)申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす」という抽象的な規定があります。〔労働契約法19条〕

 

<雇い止めの有効性の判断材料>

そして雇い止めは、次のような事情が多く認められるほど、有効と判断されやすくなります。

業務内容や労働契約上の地位が臨時的なものであること。

契約更新を期待させる制度や上司などの言動が無かったこと。

契約更新回数が少ないこと、また、通算勤続期間が短いこと。

他の労働者も契約更新されていないこと。

雇い止めに合理的な理由が認められること。

 

<どう伝えたら良いか悩む理由>

契約の打ち切りが不当だという法的主張をされないか、また、感情的に納得してもらえないのではないかということで悩みます。

とくに、自分自身が判断したのではなく、上司や人事部門の決定による場合には、自分の気持ちとは関係なく事実を伝えなければなりませんから辛いです。

 

<法的主張についての不安>

ポイントは、合理的な理由の説明です。これには事前の準備が必要です。

雇い入れ通知書、労働条件通知書、雇用契約書といった労働条件を示した書面に、契約を更新しない場合の具体的な理由と、判断するのは会社側であることが明記されていれば、「ここに書いてある通り」という説明で十分です。

 

<感情的な納得>

ポイントは、日頃からのコミュニケーションです。これにも事前の準備が必要です。

当たりさわりのない雑談だけでなく、部門長や人事担当者との定期的な面談が必要です。次回の契約更新の可能性など、重要な話もすることになります。

雇い止めをする場合には、契約期間の終了まで多くの日数を残して話を切り出さなければなりません。そして、十分な説明をすることが大切です。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

雇い止めがトラブルにならないための事前準備は、社労士の業務範囲です。

トラブルにならない雇い入れ通知書、労働条件通知書、雇用契約書の作成と運用、そして部門長や人事担当者に代わって定期的に面談することも行っています。

もし、すでにトラブルになっていたら、労働紛争に詳しい弁護士か信頼できる特定社労士(特定の付記を受けた社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.11.22.

<受給資格期間の短縮>

年金機能強化法の改正により、年金受給資格期間が25年から10年に短縮されます。

受給資格期間というのは、原則65歳から老齢基礎年金を受給するための条件となる期間で、次の3つの期間の合計です。

1.厚生年金保険や国民年金の保険料を納付した期間

2.国民年金の保険料の納付を免除された期間

3.合算対象期間(カラ期間)

 

<1.厚生年金保険や国民年金の保険料を納付した期間>

専業主婦のように勤め人の配偶者として扶養されている場合、正確には国民年金の第3号被保険者の場合、保険料を納付する必要がありません。

しかし、保険料を納付しているものとして扱われますので、この期間は保険料を納付した期間に含まれます。

 

<2.国民年金の保険料の納付を免除された期間>

国民年金の保険料の免除には、法定免除、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除、納付猶予、学生納付特例があります。

 

<3.合算対象期間(カラ期間)>

これには大変多くの種類があります。

ほんの一例として、海外に居住していた期間のうち、20歳以上60歳未満の期間で、任意加入しなかった場合の期間が挙げられます。

 

<法改正の時期変更>

年金受給資格期間の短縮は「消費税の10%への引き上げ時」に実施される予定でしたが、平成29年8月1日に前倒しされました。

平成29年9月支給分(平成29年10月支払い分)からの適用です。

高齢者の方で、法改正によって年金の受給資格を得る方には、平成29年8月に日本年金機構から通知が届きます。

 

通知が来るまで待っていられない方、年金受給開始年齢まで待てない方は、お近くの年金事務所で調べてもらいましょう。ご自分で年金事務所に行きたくない方は、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご依頼ください。

 

2016.11.21.

平成29年1月に改正される育児・介護休業法に対応した就業規則の規定例が厚生労働省ホームページに公開されています。

平成28年8月に簡易版が公開されましたが、こちらは詳細版ともいうべき66ページに及ぶものです。

 

↓規定例のあるページ

http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/33.html

 

↓規定例〔簡易版〕

http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_h28_08_01.pdf

 

<規定例の特長>

・「ハラスメントは許しません!!」という社長の決意表明例が付いています。

・会社の実情に応じてケース①~③などの選択肢が示されています。

・必要となる労使協定の例も示されています。

 

<注意点>

・ハラスメント対策には、社長の決意表明が不可欠です。社長がハラスメント(嫌がらせ)を許さない強い態度を示さなければ失敗します。

・会社の実情によっては、ケース①~③以外のパターンがあてはまる場合もあります。その場合には、オリジナルの規定を考えましょう。

・本当に順守できるか、よく吟味してから周知しましょう。会社の実情に合わない規定にしてしまうと、後になってから就業規則違反の問題が発生します。

・規定だけでなく「育児休業申出書」など必要書類のフォーマットも会社に合ったものを準備して、説明会を開催しましょう。

 

法改正への具体的な対応が遅れている場合には、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.11.20.

<ルールの原則>

個人情報を第三者に提供する時は、原則として本人の同意が必要。

 

<ルールが適用されない場合>

・法令に基づく場合

・人の生命、身体または財産の保護のため(かつ本人の同意を得ることが困難)

・公衆衛生・児童の健全な育成のため(かつ本人の同意を得ることが困難)

・国や地方公共団体等への協力

 

<ルールの例外>

本人の同意を得ない場合には、以下13のオプトアウト手続をする。

ただし、要配慮個人情報については、この手続による提供は禁止。

1.本人の求めに応じて、その本人のデータの提供を停止することとする。

2.以下の内容をホームページに掲載するなど、本人が容易に知ることができる状態にしておく。

・第三者提供を利用目的としていること

・提供される個人データの項目

・提供の方法

・本人の求めに応じて提供を停止すること

・本人の求めを受け付ける方法

・本人に通知した事項を個人情報保護委員会に届け出る。そして、個人情報保護委員会はこれを公表する。

 

<注意事項>

・業務の委託、事業の承継、共同利用は、第三者提供にはあたりません。

・第三者へ提供した時は、受領者の氏名等を記録し、一定期間保存します。

・第三者から個人データを受け取るときは、提供者の氏名等、取得経緯を確認し、受領年月日、確認した事項等を記録し、一定期間保存します。

 

2016.11.19.

<ルールの内容>

1.個人情報を安全に管理するための措置をとる。

・紙の顧客台帳はカギのかかる引き出しで保管

・パソコン上の顧客台帳にはパスワードを設定し定期的に変更する

・顧客台帳を管理するパソコンにウィルス対策ソフトを入れる など

2.正確かつ最新の内容を保ち、必要がなくなったときはデータを消去するよう努める。

3.従業員に対して、必要かつ適切な監督を行う。

・従業員が会社で保有する個人情報や業務上知った個人情報を、私的に使ったり、口外したりしないよう社員教育を行う。

4.個人情報の取扱いを委託する場合、委託先に対して必要かつ適切な監督を行う。

 

<委託先に対する必要かつ適切な監督>

たとえ委託先が専門業者であったとしても、不手際があった場合には、委託した会社の責任が問われます。

個人情報の管理状況を定期的にチェックしたり、経営状況に問題が無いか目を光らせておく必要があります。 

 

2016.11.18.

<ルールの内容>

・どのような目的で個人情報を利用するのかについて、具体的に特定する。

・特定した目的は、個人情報を取得する際に明らかでない限り公表しておく。あらかじめ公表していない場合には、本人に通知、または公表する。

・取得した個人情報は特定した利用目的の範囲内で利用する。

(たとえば、商品を配送するためだけに取得したお客様の住所を使って自社の商品の宣伝はできません。)

・すでに取得した個人情報を他の目的で利用したい場合には、本人の同意を得る。

・要配慮個人情報を取得する時は、本人の同意が必要。

 

<要配慮個人情報とは>

次のいずれかにあたる情報を「要配慮個人情報」といいます。他の個人情報よりも一段高い規律を受けます。

・人種、信条、社会的身分、病歴、前科・前歴、犯罪被害情報

・その他本人に対する不当な差別、偏見が生じないように特に配慮を要するものとして政令で定められるもの

◯身体障害・知的障害・精神障害等があること

◯健康診断その他の検査の結果

◯保健指導、診療・調剤情報

◯本人を被疑者又は被告人として、逮捕、捜索等の刑事事件に関する手続が行われたこと

◯本人を非行少年又はその疑いのある者として、保護処分等の少年の保護事件に関する手続が行われたこと

 

2016.11.17.

<全面施行>

平成29年春から、個人情報を取り扱うすべての事業者に個人情報保護法が適用されます。全面施行です。

 

<事業者が守るべきルール>

1.個人情報を取得・利用する時のルール

→個人情報を取得した場合は、その利用目的を本人に通知、または公表すること(あらかじめ利用目的を公表している場合を除く。)

2.個人情報を保管する時のルール

→情報の漏えい等が生じないように安全に管理すること

3.個人情報を他人に渡す時のルール

→個人情報を本人以外の第三者に渡すときは、原則として、あらかじめ本人の同意を得ること

4.個人情報を外国にいる第三者に渡す時のルール

5.本人から個人情報の開示を求められた時のルール

→本人からの請求に応じて、個人情報を開示、訂正、利用停止等すること

 

2016.11.16.

<改正個人情報保護法2条(下線が改正部分)>

この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。

一 当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録(電磁的方式(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式をいう。次項第二号において同じ。)で作られる記録をいう。第十八条第二項において同じ。)に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号を除く。)をいう。以下同じ。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)

二 個人識別符号が含まれるもの

 

<個人識別符号とは>

個人情報の定義の明確化を図るため、その情報単体でも個人情報に該当する「個人識別符号」の定義が設けられました。

「個人識別符号」は次のどちらかにあたるもので、政令・規則で個別に指定されます。

・身体の一部の特徴を電子計算機のために変換した符号

⇒DNA、顔、虹彩、声紋、歩行の態様、手指の静脈、指紋・掌紋

・サービス利用や書類において対象者ごとに割り振られる符号

⇒公的な番号(旅券番号、基礎年金番号、免許証番号、住民票コード、マイナンバー、各種保険証等)

※他の情報と容易に照合することで特定の個人を識別することができる情報は、現在も改正後も個人情報にあたります。

 

2016.11.15.

<全面施行>

平成29年春から、個人情報を取り扱うすべての事業者に個人情報保護法が適用されます。全面施行です。

 

<個人情報保護法とは>

個人の権利・利益の保護と個人情報の有用性とのバランスを図るための法律です。個人情報は利用価値があるので、利用を制限しすぎるのは考えものですが、制限せずに個人の権利・利益が侵害されることも防がなければなりません。結局は、バランスが大事です。

この法律は、民間事業者の個人情報の取扱いについて規定しています。1年以下の懲役や50万円以下の罰金などの罰則もあります。

 

<改正のポイント>

1.個人情報保護委員会の新設

・個人情報取扱事業者に対する監督権限を各分野の主務大臣から委員会に一元化。

2.個人情報の定義の明確化

・利用と活用に資するグレーゾーン解消のため、個人情報の定義に身体的特徴等が対象となることを明確化。

・本人の人種、信条、病歴など本人に対する不当な差別や偏見が生じる可能性のある個人情報、つまり要配慮個人情報の取得については、原則として本人の同意を得ることを義務化。

3.個人情報を利用・活用するための整備

・特定の個人を識別することができないように個人情報を加工した情報、つまり匿名加工情報の利用と活用の規定を新設。

4.名簿屋対策

・個人データを第三者に提供する場合の確認記録作成等を義務化。具体的には、第三者から個人データの提供を受ける際、提供者の氏名、個人データの取得経緯を確認したうえ、その内容の記録を作成し、一定期間保存することを義務付け、第三者に個人データを提供した際も、提供年月日や提供先の氏名等の記録を作成・保存することを義務付ける。

・個人情報データベース等を不正な利益を図る目的で第三者に提供し、または盗用する行為を「個人情報データベース提供罪」として処罰の対象とする。

5.その他

・取り扱う個人情報の数が5,000以下である事業者を規制の対象外とする制度を廃止し、すべての取扱事業者を規制対象とする。

・本人の求めに応じて、その本人が識別される個人データの第三者への提供を停止する場合には、本人の同意を得ることなく第三者に個人データを提供することができるという規定(オプトアウト規定)を利用する個人情報取扱事業者には、所要事項を委員会に届け出ることを義務づけ、委員会はその内容を公表する。

・外国にいる第三者への個人データの提供の制限、個人情報保護法の国外適用、個人情報保護委員会による外国執行当局への情報提供に係る規定を新設。

 

2016.11.14.

<適用拡大の内容>

平成2911日以降、65歳以上の労働者についても、「高年齢被保険者」として雇用保険の適用の対象となります。

それまでは、「高年齢継続被保険者」となっている場合を除き適用除外です。

「高年齢継続被保険者」というのは、65歳になった日の前日から引き続いて65歳になった日以後も雇用されている被保険者です。

「65歳になった日」は65歳の誕生日の前日ですから、「65歳になった日の前日」というのは65歳の誕生日の前々日です。

 

<平成2911日以降に新たに65歳以上の労働者を雇用した場合>

雇用保険の適用要件にあてはまる場合は、事業所を管轄するハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。

採用した月の翌月10日が提出期限です。

雇用保険の適用要件は、1週間の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上の雇用見込みがあることです。ただし、昼間学校に通う学生は除きます。

所定労働時間は必ず決めて、書面で労働者に通知することが、労働基準法により使用者に義務づけられています。

 

<平成2812月末までに65歳以上の労働者を雇用し平成2911日以降も継続して雇用している場合>

雇用保険の適用要件にあてはまる場合は、平成2911日から雇用保険の適用対象となります。事業所を管轄するハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。

提出期限の特例があり、平成29331日までに提出することになっています。

 

<平成2812月末時点で高年齢継続被保険者である労働者を平成2911日以降も継続して雇用している場合>

ハローワークへの届出は不要です。自動的に高年齢被保険者に区分が変更されます。

 

<平成2911日以降に所定労働時間の変更があり適用要件にあてはまるようになった場合>

所定労働時間の変更があった月の翌月10日までに、事業所を管轄するハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。

所定労働時間の変更があった場合には、書面で労働者に通知することが、労働基準法により使用者に義務づけられています。

 

必要な手続きが良くわからなかったり、手続きの外注を考える場合には、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。 

 

2016.11.13.

<会社からの請求が無い>

産前産後休業や育児休業の期間は、社会保険料が免除されます。

しかし、介護休業その他の休職中の社会保険料は免除されません。

また、住民税はどの休業・休職中も免除されません。

そして、雇用保険料については、特に免除という話も無いまま、会社からは請求されません。

 

<社会保険料のしくみ>

毎年9月に、4月から6月の給与の総支給額を基に、社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)が決まります。

ここで決まった保険料は、給与の大きな増減や保険料率の変更が無ければ、9月から翌年の8月まで変更がありません。

勤務日数が減って給与が減額されたり、休業・休職で給与がゼロになっても、原則として保険料は変動しません。

ただ、産前産後休業や育児休業の期間は、社会保険料が免除されます。

 

<雇用保険料のしくみ>

雇用保険料は、毎月の給与に対して、雇用保険料率を掛けて計算します。

残業手当の増減により、毎月の給与が増減した場合には、雇用保険料も増減します。

そして、給与の総支給額がゼロであれば、ゼロに保険料率を掛けるので、保険料もゼロになります。

ですから給与の支払の無い休業・休職中の雇用保険料は、支払わなくて良いのです。

特に免除でもなく、請求もれでもなく、保険料が発生しないということなのです。 

 

2016.11.12.

<過去の事で懲戒処分を受けるケース>

「過去の事で懲戒処分を受ける」という場合、次のようなパターンが考えられます。

1.過去に一度懲戒処分を受けた事について再び懲戒処分を受ける場合

2.その当時は懲戒処分の対象とならなかった事について蒸し返される場合

 

<懲戒処分を受けた事について重ねて懲戒処分が行われる場合>

「二重処罰の禁止」というのがあります。これは、日本国憲法39条で保障されているものです。

一度処分や処罰を受けた事について、重ねて処分や処罰を受けないということです。

この原則は、社内の懲戒処分についても、基本的にはあてはまるものですから、会社から「二重処罰」されそうになったら、大いに反論の余地があります。

ただし、例外があります。それは常習犯的な場合です。

たとえば、遅刻を繰り返した社員を譴責(けんせき)処分にして、厳重注意をしたうえで、始末書を取ったとします。それにもかかわらず、相変わらず遅刻を繰り返しているという場合、今度は一段重い懲戒処分にするということがあります。きちんと就業規則に「懲戒処分を受けたにもかかわらず同じ過ちを繰り返した場合には」という規定を置くなど、条件を満たしていれば有効です。

 

<懲戒処分にならなかった事について再び懲戒処分が検討される場合>

「一事不再理(いちじふさいり)」というのがあります。これも、日本国憲法39条で保障されているものです。

一度処分や処罰が検討された事について、後になってからもう一度処分や処罰を検討されないということです。

この原則は、社内の懲戒処分についても、基本的にはあてはまるものですから、会社から蒸し返されそうになったら、大いに反論の余地があります。

こうした場合だけでなく、会社に発覚したのに長年懲戒処分を検討されなかった事について、ある時突然懲戒処分を言われるというのは、会社が信義誠実の原則に反していることが多いでしょう。あるいは、退職に追い込むための言い訳として、無理に過去の事を問題にしているのかもしれません。こうしたことも決して許されることではありません。

 

会社から懲戒処分を受けそうになった時、あるいは受けた時、それが有効なのか、それとも懲戒権の濫用であり無効なのか、かなり専門的な判断が必要です。

おかしいと思ったら、労働事件を扱う弁護士や信頼できる特定社労士(特定の付記を受けた社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.11.11.

<お知らせの郵送先>

お住まいのお近くの年金事務所(日本年金機構)から、年金についてのお知らせが郵送で届きます。

このときのあて先は、日本年金機構に登録された住所です。

引っ越して住民票を移した場合、これに連動して日本年金機構に登録された住所も変更になる地域と、連動しない地域があります。

連動しない地域の場合には、市区役所/町村役場で住民票を移す手続きとは別に、年金事務所で住所変更の手続きが必要になります。

 

<郵便物の転送依頼>

郵便物を引越し先に転送してもらう手続きをしてあっても、年金関係のお知らせは転送されません。封筒に「転送不要」と書いてあって、転送しないルールになっているのです。

年金関係の書類の他に、銀行など金融機関からの郵便物や、選挙の投票所の入場券を郵送する封筒には、この「転送不要」の表示があって転送されません。

 

<住民票のある所と違う住所への郵送>

年金事務所で手続きすれば、住民票のある住所とは別の場所に郵送してもらうこともできます。

何らかの事情で必要があれば、この手続きをしておくとよいでしょう。

 

年金についてのお知らせが届かず、自分で調べたり手続きしたりがむずかしいときは、信頼できる社労士(社会保険労務士)にお任せください。届いた書類の内容についてもわかりやすい説明を受けることができます。

 

2016.11.10.

<労災保険の適用対象>

労災保険は年齢制限なく適用されます。

原則として、中学卒業年齢になれば雇われることができますので、15歳になって最初の331日になれば、労災保険の対象となります。

高校生のアルバイトも対象者です。

 

<ではどうして対象外と言われたのか>

労災保険について聞かれた人が、良く知らずに答えたのかもしれません。勤務先で確認するときには、労災保険に限らず、その仕事を担当している人に聞きましょう。

しかし、ウソをついてしまった可能性もあります。手続きを求められても良くわからないとか、どこかの事務所に手続きを依頼すると高い報酬を請求されるとか、正直に答えるのが不都合に思えたかもしれません。

 

<正しいことを確認するには>

労災保険について正確なことを確認するには、勤務先を管轄する労働基準監督署にたずねましょう。たとえ未成年者であっても、親切に回答してくれます。また、希望すれば、会社に話をしてくれます。

 

労災保険の手続きを依頼するとなると、お近くの社労士(社会保険労務士)ということになります。報酬は社労士事務所によってバラバラです。顧問契約を交わしていれば、簡単な手続きは顧問料の範囲内で行う所が多いようです。

柳田事務所の場合には、人事や総務の担当者の方に手続きの仕方を教えるのがメインです。社員が成長すれば会社も成長します。社長がご自分で覚えている会社もあります。

もちろん、担当者がいなかったり、急ぎだったりすれば、手続きを代行します。

 

2016.11.09.

<疑問の内容>

求人雑誌やハローワークの求人票で条件を確認し、入社して最初の給与明細書を見たら、広告よりも少ない金額で計算されていたということがあります。

この場合、差額を会社に請求することができるでしょうか。

 

<労働契約の成立とは>

求人広告は、募集のための広告であって、広告の中身がそのまま労働契約の内容になるわけではありません。

契約は、申込と申込に対する承諾(しょうだく)によって成立します。

もしも、求人広告が申込で応募が承諾ならば、求人広告の内容で労働契約が成立します。しかし、求人広告は申込を誘っている広告に過ぎません。その証拠に、応募したからといって必ず採用されるわけではありませんね。

実際には、応募が申込で採用決定が承諾になります。

 

<裁判になったら>

裁判になった例でも、「求人広告に記載された基本給額は見込額であり、最低額の支給を保障したわけではなく、将来入社時までに確定されることが予定された目標としての金額である」と判断されています。

結局、求人広告に書いてある労働条件と、その後の採用にあたって合意した労働契約の内容が異なる場合には、労働契約の内容が優先されることになります。

 

<どうしたら良いのか>

使用者は、雇い入れ時に、賃金や労働時間などの労働条件について、書面を交付する方法で労働者に明示しなければならず、その明示された労働条件が、事実と異なる場合は、労働者は即時に労働契約を解除できます。〔労働基準法15条2項〕

書面による労働条件の明示が無ければ、労働条件通知書、雇い入れ通知書、雇用契約書など労働条件を示す書類を会社に請求しましょう。忘れていただけならば問題ないのですが、「そんなの無いよ」ということならばブラック企業の可能性が高いです。この場合には採用辞退をお勧めします。

書面が交付されても、求人広告などを見て考えていた内容や、採用面接のときの説明よりも悪い労働条件ならば、やはり辞退すべきです。

 

<労働契約成立の性質>

どの求人広告に応募するかは労働者の自由です。そして、どの応募者を選ぶかは会社の自由です。これが基本です。

ですから、採用されたり採用したりという場面では、慎重な判断が求められます。

「ちょっと変だな」と思ったら、採用しない採用されないのが無難です。

 

<結論として>

初任給が求人広告の表示よりも安くても、差額を会社に請求することはできません。

ただし、書面によって明示された内容よりも安い給与であれば、差額を会社に請求できるのが原則です。

 

給与について会社に話をしても聞いてもらえない場合には、信頼できる特定社労士(特定の付記を受けた社会保険労務士)にご相談ください。

正当な権利がある場合には、都道府県の労働局で「あっせん」の手続きを行い、会社に支払いを約束してもらうよう働きかけることができます。

 

2016.11.08.

<厳しい残業制限>

会社は労働者に、法定労働時間の1日実働8時間を超えて働かせてはなりません。また、日曜日から土曜日までの1週間で、法定労働時間の実働40時間を超えて働かせてはなりません。〔労働基準法32条〕

厳しいですが、これが労働基準法の制限です。この制限に違反すると、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。〔労働基準法119条〕

ですから、基本的にこの法定労働時間を超えて残業させることは「違法残業」ということになります。

残業は、会社が労働者に命じて行わせるものですが、労働者が独断で残業しているのを野放しにしている場合にも、「残業させた」と評価されます。

 

<三六協定の免罰効果>

しかし会社は、労働者の過半数が加入する労働組合や、労働者の過半数を代表する者と書面による協定を交わし、これを労働基準監督署長に届け出た場合には、協定の定めに従って18時間を超え、また週40時間を超えて労働者を働かせても罰せられないのです。

このことが、労働基準法36条に規定されているため、ここで必要とされる協定のことを三六協定と呼んでいます。

ここで「罰せられない」と言い、「適法になる」と言えないのは、適法であるためには残業させる根拠が就業規則などに規定されている必要があるからです。また、法定労働時間を超えた時間も、さらには三六協定の限度を超えた時間も、残業代支払いの対象となります。

 

<三六協定の届出>

労働者の過半数で組織される労働組合が無い場合には、その事業場ごとに労働者の過半数を代表する者を選出します。あくまでも労働者の代表ですから、会社からの指名ではなく従業員同志の話し合いを基本に民主的に選出します。

そして、労働時間の上限や休日出勤について、会社と代表とが書面で協定を交わし、これを労働基準監督署長に届け出ます。

協定書を届け出たときから協定が有効になりますので、手続きをしないで制限を超える残業があれば違法残業となります。

また、協定の期間は最長1年間ですから、毎年届け出が必要となります。

 

<三六協定を届け出ても違法となる場合>

まず、協定に定めた残業の上限時間を超える残業が「違法残業」となります。

つぎに、労働者の代表が民主的に選出されず、会社から指名されていた場合や会社から推薦を受けていた場合には、選出が無効なので協定も無効となり、協定が無い場合と同じように「違法残業」となります。

さらに、協定の届け出前や期限が切れた後の残業も「違法残業」となります。

 

マスコミでは「違法残業」という報道が時々クローズアップされます。その中には、本当に悪質なものもあるのですが、三六協定の有効期限切れに気付かなかっただけというのもあります。それでも違法は違法です。

有効期限切れなど起こさないように、顧問の社労士(社会保険労務士)に管理させることをお勧めします。

 

2016.11.07.

<支給の内容>

業務や通勤が原因となったケガや病気が「治ったとき」、身体に一定以上の障害が残った場合には、業務災害なら障害補償給付、通勤災害なら障害給付が支給されます。

そして、障害の程度は障害等級に区分され、第1級から第7級は、障害(補償)年金、障害特別支給金、障害特別年金が、第8級から第14級は、障害(補償)一時金、障害特別支給金、障害特別一時金が支給されます。

 

<治ったとき>

ケガや病気が「治ったとき」というのは、一般には健康な状態に回復したことをいいます。

しかし、労災保険ではこうした場合だけでなく、ケガや病気の症状が安定して、医学上一般に認められた医療を行っても、その効果が期待できなくなった状態になった場合にも「治ったとき」といいます。

これは「症状固定」「治癒(ちゆ)」とも呼ばれます。

ここで、「医学上一般に認められた医療」とは、労災保険の療養の範囲として認められたものをいいます。したがって、実験段階または研究的過程にあるような治療方法は、ここでいう医療にはあたりません。

 

<アフターケア>

脊髄(せきずい)損傷、頭頚部外傷症候群、慢性肝炎などのケガや病気に対しては、症状固定後でも後遺症が変化したり、後遺症に伴う病気を発症する恐れがあるので、予防や保健上の措置として、診察、保健指導、薬剤の支給などを行う「アフターケア」が実施されています。

このアフターケアは、都道府県労働局長が交付する「健康管理手帳」を労災病院、医療リハビリテーションセンター、総合せき損センター、労災指定医療機関に提示することにより、無料で受けることができます。

 

2016.11.07.

<管理監督者の基準>

管理監督者とは、経営方針の決定に参画し労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者です。

これは、役職とは無関係ですから、部長でも管理監督者ではなかったり、役職者ではなくても管理監督者であったりします。

具体的には、次のような基準から総合的に判断されます。

・労働時間の管理を受けていないこと

  遅刻、早退、欠勤は問題視されず、給与の減額もありません。

・一般従業員と比べて賃金面で優遇されていること

  給与や賞与がその地位にふさわしく優遇されていることが必要ですから、部下が長時間残業すると給与が逆転するとか、本人が最低の評価を受けたとしても部下が最高の評価を受けた場合よりも高額の賞与が支給されるような処遇が基本です。

・労務管理上の指揮権限があって管理的な仕事をしていること

人事考課を行う、年次有給休暇の許可を与える、業務の指示を与える、採用の決定権限があるなど、会社側の立場に立っていることです。

 

<残業手当の支給>

こうした基準で考えてみて、管理監督者といえる社員には残業手当の支給が不要です。

そもそも、時間管理する側の立場であって、自分自身は時間管理されていないのですから、残業手当の計算もできません。

 

<名ばかり管理職?>

上記のことからすると、「名ばかり店長」「名ばかり管理職」という言葉には違和感があります。

店長は確かに店長であり、管理職は確かに管理職であって、労働基準法上の管理監督者ではないので、「形ばかり管理監督者」と呼ぶのがふさわしいのです。

しかし、マスコミ向きではないですね。

 

<隠れ管理監督者>

会社によっては、肩書が課長でありながら、管理監督者の定義にピッタリあてはまる社員がいます。

たとえば、管理監督者の立場にありながら、社内での肩書が人事課長だと、給与規定の作成と運用が任されていて、自分自身に残業手当を支給するルールにしていることもあります。

こうしたおかしな「お手盛り」を防ぐには、社長自身が労働法に強くなるか、信頼できる社労士(社会保険労務士)と顧問契約を結ぶことが必要でしょう。

 

2016.11.06.

※個人情報保護のためメールや電話で確認することはできません。

 

<書類による確認方法>

1.青色の年金手帳 ― 基礎年金番号が印字されています

2.基礎年金番号通知書 ― 青色以外の年金手帳の場合に郵送されました

3.国民年金保険料の口座振替額通知書

4.国民年金保険料の納付書、領収書

5.年金証書

6.各種通知書(年金額改定通知書、年金振込通知書など)

7.「ねんきん定期便」

 

<書類以外による確認方法>

1.勤め人の方は、お勤め先の総務・人事関係の部署にお尋ねください。

2.「ねんきん定期便・ねんきんネット等専用ダイヤル(0570-058-555)」にお電話ください。後日、基礎年金番号が記載された書類が郵送されます。

3.お近くの年金事務所の窓口でご相談ください。

 

2016.11.05.

<事業所検索システム>

全国の事業所の厚生年金保険・健康保険の加入状況を、誰でも簡単に確認することができるようになりました。

これを使えば、求人広告を出している会社の社会保険加入状況がすぐにわかります。

平成2810月からは、同一事業主の適用事業所の加入者数の合計が、常時500人を超える場合「特定適用事業所」とされ、正社員の半分以上の時間働くパート社員など短時間労働者も、社会保険に入るようになりました。この「特定適用事業所」かどうかも確認できます。

週20時間台での勤務を考えている場合、社会保険に入るかどうかは大きな問題です。原則として「特定適用事業所」なら社会保険に入りますし、そうでなければ入りません。

 

<検索の方法>

「漢字で検索する」「カナで検索する」「法人番号で検索する」のうちから1つを選び、「事業所名称」「事業所所在地」「法人番号」のどれかを入力すれば、条件にあてはまる厚生年金保険・健康保険に加入している事業所(適用事業所)や厚生年金保険・健康保険から脱退した事業所(全喪事業所)の情報を、一覧で閲覧することができます。

 

https://www.nenkin.go.jp/do/search_section/

↑こちらが日本年金機構の検索ページです

 

<加入逃れもバレます>

この検索システムを使えば、社会保険の加入逃れをしている事業所もわかります。摘発される前に、自主的に手続きをした方が賢いと思います。

 

手続的なことで迷うようでしたら、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.11.04.

<コミュニケーション>

従業員の間で情報交換が盛んであれば、起きない労働問題もあります。

ある従業員が「何かおかしい」と思ってネットで調べたことを、自分に都合よく解釈し、不満が大きくなったところで、会社にぶつけるというパターンの労働紛争があります。

会社としては、ほとんど言いがかりに感じますが、完全に適法ではない部分もあり、対応に困ってしまいます。

この従業員が「何かおかしい」と思ったとき、ネットで調べるのではなくて、社長、上司、先輩に確認したら、みんなで考えることになります。

一人の従業員と会社が対立する形にはならず、みんなで解決する形になります。

 

<信頼関係>

従業員の間の信頼関係があれば、起きない労働問題もあります。

上司からしかられた部下が、「これは嫌がらせだ。イジメだ。パワハラだ」と思い、労働問題になることがあります。

しかし、「あの上司は親身になってしかってくれてありがたい。よし、頑張ろう!」と思えば、客観的にはパワハラの疑いがあっても、労働問題にはなりません。

むしろ、感謝の気持ちとモチベーションにあふれる結果になります。

 

<やりがい>

従業員が自分の仕事にやりがいを感じていれば、起きない労働問題もあります。

「毎日残業続きで、しかも残業代の一部がカットされているような気がする。言われたからやっているけれど、やる意味が解らない。これじゃうつ病になりそうだ。」こう考える従業員は、メンタルヘルス不調になりがちです。当然、会社の責任問題にもなります。

ところが、仕事にやりがいを感じていれば、「毎日自分の納得がいくまで残業させてもらえる。会社の光熱費負担だけでも大変だろう。何とか貢献度を上げて成果を出さねば。」こう考える従業員は、精神的に充実していますから、多少労働時間が長くても調子が落ちないものです。

この「やりがい」は、コミュニケーションと信頼関係に大きく依存します。自分の仕事が、どこで誰の役に立っているのか、失敗すると誰に迷惑がかかるのかが明確だからです。

 

<就業規則の充実>

上記3つが足りない会社では、就業規則の充実が急務です。会社にピッタリの就業規則は、会社にとって大きな武器になります。

ところが、会社にとって余計なことが書かれている就業規則、会社にとって必要なことが書かれていない就業規則、規定の意味が何とでも受け取れる就業規則、そして法改正に追いついていない就業規則では、会社の武器になるどころかブラック社員の武器になります。特に退職前後のブラック社員にとっては、大変強力な武器です。

これを踏まえれば、就業規則の作成や改定にお金をかけるのは当然です。

 

<相談窓口>

どうしても労働問題を防止できない環境にある会社では、問題が小さいうちに発見して対応することが最大の課題となります。

パワハラ、セクハラ、マタハラについての相談窓口設置は必須です。

病気と同じで早期発見と早期治療は大変有効です。

 

就業規則の作成や変更だけでなく、相談窓口となったり、社内のコミュニケーション、信頼関係、やりがいの改善をすることは、すべて社労士(社会保険労務士)の業務です。

社内で対応し切れない、あるいは、早く対応したいということであれば、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.11.04.

<残業が多い人のイメージ>

入社10年目の正社員Aさんが、毎日午後6時から10時まで残業しているとします。

他部署の管理職や社長から見れば、「Aさんは頑張っているなぁ。プライベートの時間をけずって、会社に貢献している」と見えることでしょう。

一方、Aさんと同期のBさんが毎日定時であがっていたらどうでしょう。「自分だけサッサと帰ってしまって、やる気が無いのか」と見えるかもしれません。

 

<残業が多いAさんの実情>

直属の上司からすると「相変わらずAさんは仕事が遅いなぁ。同じ仕事を与えても、Bさんなら定時であがるのに」という見方かもしれません。

Aさんは帰宅するとバタンキュー。休日は死んだように眠っています。家族は「かわいそうに。こんなになるまで働かせてひどい会社だ。いつか訴えてやる」と感じるものです。

いつも疲れが残っているAさんは、朝から調子が上がらずグダグダしているのではないでしょうか。このAさんの態度は、同僚や後輩にもだらしなく見え、悪影響を及ぼすかもしれません。

直属の上司としては、Aさんに重要な仕事や新しい仕事を任せることができません。何しろ、全く余力が無いのですから。

 

<残業しないBさんの実情>

直属の上司からすると「Bさんには余力がある。一段上の仕事を任せてみようか」ということになります。

Bさんには英会話スクールに通ったり、映画館で楽しんだりする時間があります。休日のプライベートも充実させることができます。それが、仕事に良い影響を与えています。

Bさんの働く姿は、同僚や後輩にも良い影響を与えています。後輩が目標にしているかもしれません。

 

<人件費の配分>

Aさんの残業が、違法なサービス残業であったとしても、Bさんと同じ給与ならもらい過ぎでしょう。ましてや、きっちり残業代が支給されているとしたら、会社に対する貢献度と支払われる給与は逆転しています。

さらに、上級の管理職から良く見えるAさんは、Bさんよりも高い評価を得て、より多額の賞与を支給されるかもしれません。

こうなると人件費の配分が、かなり不合理になってしまいます。

 

<こうしたことを防ぐには>

何となくのイメージではなく、客観的な評価基準に基づいた人事考課が必要です。

賞与の金額を決める人事考課で、残業が多いほど評価を下げる会社があります。方向性としては正しいでしょう。

残業時間の基準を設け、残業時間が基準より少ない社員に対しては、賞与の金額に「浮いた人件費」を上乗せするという会社もあります。

何となくのイメージで評価が決まる会社には、仕事のできない人ばかりが残り、仕事のできる人はあきれて去っていくという現象が見られます。

できる社員を定着させるためにも、みんなのやる気を引き出すためにも、きちんとした人事考課を実施しましょう。

 

本に書いてあったり、ネットで検索できたりする人事考課制度は、一般論に過ぎません。

会社の実情に合った人事考課制度の構築と運用については、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.11.03.

<制裁規定の制限>

減給処分の制限として、次の規定があります。

「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。」〔労働基準法91条〕

就業規則などに具体的な規定が無いのに減給処分をすれば、懲戒権の濫用となり無効とされます。〔労働契約法15条〕

規定があったとしても、何か一つの不都合な事実に対して、減給処分は平均賃金の1日分の半額が限度です。

そして、この平均賃金の計算方法は法定されています。

たとえば、直近の給与の締日までの3か月で、カレンダー上の日数が91日のとき、この間の給与の総合計が91万円であれば、1日分は1万円、その半額は5千円です。これが減給処分の限度です。

 

<具体的に計算すると>

月給30万円で、月間所定労働日数が22日だとすると、1日あたりの給与は、

30万円÷22日=13,636円 と計算されます。

3回遅刻すると、これだけの給与が減額されるわけです。

一方で、月給30万円であれば平均賃金の1日分は約1万円、その半額は約5千円ですから、この5千円を大きく上回る13,636円を減額することは、制裁規定の制限を超えてしまいます。

 

<例外的に欠勤控除として許される場合>

もし1日8時間勤務の場合で、3回の遅刻を合わせて8時間以上になるのなら、

1日分の給与を減額しても制裁の意味を持ちません。

なぜなら、欠勤控除をする場合よりも、給与の減額が少ないからです。

ただし、欠勤控除をしたうえで、それとは別に減給処分として1日分の給与を減額するならば、制裁規定の制限を超えてしまいます。

 

<制度としての合理性>

1分の遅刻を3回でも、3時間の遅刻を3回でも、同じく1日分の給与を減額するルールならば、明らかに不公平です。

出勤の途中で遅刻しそうだと思った社員は、喫茶店でくつろいでから3時間遅刻して出勤するかもしれません。また、病気だとウソをついて年次有給休暇を取得するかもしれません。

遅刻3回で1日分の給与を減額するルールというのは、ブラック社員を生み出す原因となりかねないのです。

 

懲戒処分を適正に規定し運用するというのはむずかしいものです。だからといって、懲戒処分が無ければ問題社員を野放しにしてしまいます。

懲戒処分の役割は、不都合な行為をした社員を懲らしめることよりも、まじめな社員が安心して働ける会社にすることの方が大きいといえます。

会社に合った規定と運用をお考えでしたら、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.11.02.

<労働条件の通知>

アルバイトでも、パートでも、人を雇った使用者は労働条件を書面で交付する義務があります。〔労働基準法15条〕

労働条件通知書、雇い入れ通知書、雇用契約書、労働契約書など名前はいろいろです。

名前はどうであれ、交付しないのは違法で30万円以下の罰金刑が規定されています。〔労働基準法120条〕

30万円の損失で済めばマシですが、マスコミやネットの書き込みの威力で、立ち直れなくなる可能性があります。

というのは労働条件が不明確なら、年次有給休暇の付与日数も取得した場合の給与計算の方法も不明です。月給制なら、残業手当の計算方法もわかりません。こうしたことから、労働条件を書面で交付しないのは、「年次有給休暇も残業手当もありません」と表明しているようなものだからです。

 

<ひな形の活用を!>

厚生労働省のホームページで、この労働条件通知書のひな形をダウンロードできます。契約形態に応じて10種類用意されていますから、各労働者に適合するものを利用しましょう。この時点で面倒に思ったり迷ったりするのであれば、お近くの社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

なお、ひな形はA4サイズ2枚ですが、記載要領もA4サイズ2枚です。ひな形というのは、印刷してすぐに使えるわけではありません。特に労働条件通知書では空欄が多いですから、あらかじめ使用者のほうで案を作成しておいて、労働者に確認しながら修正して完成させるという一手間がかかります。この案を作成する段階と、完成版のチェックの段階で、記載要領と照らし合わせて確認する必要があります。

労働条件通知書は、トラブル防止のために作ることが義務づけられています。ですから、下手な労働条件通知書はトラブルのもとになります。実際には、退職前後の労働者と会社との間で紛争の火種となります。そうならないために、表現の工夫が必要なのです。

 

<表現の工夫>

まず、「よくわからない」「決まっていない」という理由で、法定の項目をカットしてしまうと労働基準法違反となり、罰則が適用されることは、労働条件通知書を交付しないのと同じですから注意しましょう。労働基準法に違反する内容とならないようにすることも大切です。

ここでは、常用、有期雇用型について、特に工夫が必要なポイントをご紹介します。

1.「契約の更新は次により判断する。」

 誰が判断するのか書いておかないと、労働者から「私はそうは思いません」と反論されてしまいますから、「契約の更新は次により使用者が判断する。」あるいは「契約の更新は次により会社が客観的に判断する。」と記載することをお勧めします。

2.始業・終業の時刻等

 勤務形態によっては、毎日バラバラということもあります。

 いくつかのパターンにまとめられるのであれば、標準勤務時間として、いくつかの始業・終業・休憩時間をならべて記入しましょう。

 それも無理であれば、何時から何時までの間で何時間勤務(休憩何分)かを記入します。平均的なことを記入するわけです。

 どちらの場合にも、1日の標準的な所定労働時間を記入しなければなりません。これが無ければ、年次有給休暇を取得しても、その分の賃金が計算できませんから、記入が無ければ「年次有給休暇を取得させるつもりが無い」という解釈になってしまいます。これだけで違法です。

 ここは、始業・終業の時刻等が毎日バラバラのパターンが想定されていないので、記入欄が無く注意が必要です。

3.所定時間外労働の有無

 ここで「有」を選択した場合で、1日8時間、1週40(44)時間を超えて残業することがある場合には、所轄の労働基準監督署長に三六協定書を提出しているわけですから、その範囲内で、「1日何時間まで」「1週何時間まで」などの記入をしておきましょう。

 後になってから、残業が多すぎるなどの不満が出ないように、あらかじめ確認しておく項目です。

 これも記入欄が無いので注意が必要です。

4.休日

 特定の曜日などで決まっていない場合には、「週当たり」または「月当たり」の日数を記入します。

 これが無いと、年次有給休暇を付与する条件としての出勤率が計算できませんから、やはり記入が無ければ「年次有給休暇を取得させるつもりが無い」という解釈になってしまいます。これだけで違法です。

5.自己都合退職の手続

 ひな形では、(退職する  日以上前に届け出ること)となっていますが、言った言わない、取り消したのではないか、などのトラブルを防止するために、(退職する  日以上前に所定の「退職届」で届け出ること)としておくことをお勧めします。もちろん、「退職届」の準備が必要です。

以上、ちょっとした工夫でトラブルを防止できるポイントをご紹介いたしました。

 

2016.11.01.