2016年 9月

<始末書の目的>

始末書とは、不都合な事実が発生した場合に、その事実を発生させた人が、事実の内容と原因・責任を明らかにし、再発防止を約束して、反省と謝罪の意思を示す文書です。

顛末(てんまつ)書は、事の顛末を示す文書ですから、事実の内容と原因を明らかにすれば良いのですが、会社によっては始末書と顛末書を混同しているケースも見られます。

 

<事実の内容>

ここは5W1Hを意識して客観的に書く部分です。

感情を入れたり、クドクドとお詫びの言葉を入れたり、長々と書いてしまうと、わかりにくくなって読む人がイライラします。

事実がわかるように簡潔に要領よく書きましょう。

 

<発生の原因>

ここも客観的に書く部分です。

不都合な事実の発生原因には、多くのものが思い浮かびますが、その中でも特に主要な原因をいくつか書きます。

ここも、感情を入れたり、クドクドとお詫びの言葉を入れたり、長々と書いてしまうのは禁物です。

 

<再発防止策の提示>

会社が始末書の提出によって得られる利益としては、不都合な事実の発生に最も深くかかわった本人から、再発防止策を示してもらうことにあるでしょう。

ですから、ここには具体的なことを書く必要があります。「もっと注意すれば…」のような抽象的なことを書いても役に立ちません。

自分と同じ立場に立たされた人が、同様のことをしてしまわないためには、具体的にどうしたら良いのかを書きます。

 

<反省と謝罪>

ここは主観的にお詫びの言葉を書く部分です。どれほど反省しているか、自分自身、再発防止策をどのように実行していくかという内容も必要です。

最後に、「寛大な措置をお願いいたします」「今後は規則に従います」「いかなる処分を受けても異議を申し立てません」など、結びの言葉を添えます。

 

始末書を提出すること自体、注意を受けることと併せて、譴責(けんせき)処分という懲戒処分になります。

これ自体に納得できなかったり、始末書提出後の会社の対応に不満があれば、信頼できる特定社労士(特定社会保険労務士)にご相談ください。自分の思っていることが、客観的に正しいのかどうか、冷静に判断してもらえるでしょう。そのうえで、今後どうすれば良いのか対策を立てることになります。

 

2016.09.30.

<安易な運用>

上司から部下へ「昨日は2時間の残業ごくろうさん。今日は2時間早く上がっていいよ」という話があると、部下はトクした気分になるかもしれません。

しかし、給与の時間単価が2,000円だとすると、2時間の法定外労働では、

2,000円×2時間×1.25=5,000円

となって、会社は5,000円以上の賃金支払い義務を負います。

一方で、2時間の欠勤控除では、

2,000円×2時間=4,000円

となって、残業代と欠勤控除をそれぞれ正しく計算すると、

5,000円-4,000円=1,000円

となって、プラスマイナスゼロではなくて、総支給額がプラス1,000円になるのが正しいということになります。

しかも、会社都合で2時間早退させたとしたら、休業手当も発生します。

2,000円×2時間×0.6=2,400円

これは、労働基準法26条に規定があります。

法律上、労働者は7,400円だけ多くの賃金を受け取れる計算になります。

しかも、労働法ですから「本人が同意」しても結論は変わりません。

 

<相殺の例外1>

きちんと手続きをして、フレックスタイム制を正しく運用していれば、ある日2時間残業して、別の日に2時間早退すると、結果的に相殺されたのと同じ効果が発生します。

これは、労働者が仕事の都合と個人の都合をバランス良く考えて、自由に労働時間を設定できることによる例外です。

 

<相殺の例外2>

中小事業主は当分の間対象外ですが、月60時間を超える時間外労働の割増賃金(割増率5割以上)については、労働者の健康確保の観点から、割増賃金の支払いに代えて有給の休暇(代替休暇)を付与することができます。〔労働基準法37条3項〕

代替休暇制度の導入には、事業場の過半数組合、または労働者の過半数代表者との間で労使協定を結ぶことが必要です。

この協定では、a.代替休暇を与えることができる時間外労働の時間数の算定方法、b.代替休暇の単位、c.代替休暇を与えることができる期間、d.代替休暇の取得日の決定方法および割増賃金の支払い日を定めるべきとされています。

 

残業時間と早退時間の相殺を正しく行いたい場合には、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

柳田事務所にご依頼いただければ、上手に運用するためのツールのご提供や、研修の実施など、よりスムーズに導入するためのサービスも行っております。

 

2016.09.29.

日本年金機構ホームページに、平成28年10月(11月納付分)からの厚生年金保険料額表が掲載されています。

10月分(11月納付分)から、厚生年金保険の標準報酬月額の下限(1等級)が88,000円となりました。

随時改定(月額変更届の提出)などは、この表に基づき期限までに正しく行いましょう。

迷ったら、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

↓厚生年金保険料額表(平成28年10月分~)はこちらからどうぞ

http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo-gaku/gakuhyo/0921.html

 

2016.09.28.

<海外療養費とは>

海外では日本国内の健康保険証をそのまま使うことができません。

海外療養費は、海外旅行中や海外赴任中に急な病気やけがなどにより、やむを得ず現地の医療機関で診療を受けた場合、申請により一部医療費の払い戻しを受けることができるものです。

 

<海外療養費の支給対象>

日本国内で保険診療として認められている医療行為に限られます。そのため、美容整形やインプラントなど、日本国内で保険適用となっていない医療行為や薬が使用された場合は、給付の対象になりません。

また、療養(治療)目的で海外へ渡航し診療を受けた場合は、支給対象となりません。日本で実施できない診療(治療)を行った場合でも、保険給付の対象になりません。

 

<海外療養費の支給金額>

日本国内の医療機関で同じ傷病を治療した場合にかかる治療費を基準に計算した額(実際に海外で支払った額の方が低いときはその額)から、自己負担相当額(患者負担分)を差し引いた額が支給されます。

日本と海外での医療体制や治療方法などが異なるため、海外で支払った総額から自己負担相当額を差し引いた額よりも、支給金額が大幅に少なくなることがあります。

 

<海外療養費支給申請の流れ(協会けんぽ)>

「海外療養費支給申請書」および必要な添付書類を用意

→ 申請書および添付書類を神奈川支部に郵送

→ 神奈川支部で海外療養費の審査

→ 神奈川支部から審査の結果を申請者(被保険者)に通知

 

<窓口一本化の目的など>

海外療養費の審査効率化などを目的としています。

「海外療養費支給申請書」については神奈川支部に提出することとなりますが、各支部に提出した場合は神奈川支部に転送されます。

 

<注意点>

海外療養費の申請書は、平成28年7月から「療養費支給申請書(立替等)」から独立しましたので、海外療養費支給申請書をご使用ください。

海外で治療費の支払いをした翌日から2年を経過すると、権利の時効消滅により申請できなくなりますので、ご注意ください。

 

※協会けんぽ 神奈川支部

〒240-8515 横浜市保土ヶ谷区神戸町134

横浜ビジネスパークイーストタワー2F

海外療養費グループ(電話:045-287-0011)

 

2016.09.27.

<最低賃金の発効日>

平成28年10月1日をもって、東京都の最低賃金時間額は907円から932円に引き上げられます。この日が発効日ですから、この日に勤務した分から932円を下回る時間給は違法になってしまいます。日給でも月給でも、1時間あたりの賃金が932円を下回ってはいけません。

 

<雇用契約書を変更する必要性>

契約期間が平成28年10月1日以降にまたがる雇用契約書(労働契約書)であれば、その人の賃金時間額が932円を下回っている場合に、これ以上の賃金に改定した内容で雇用契約書を交わしなおす必要があります。

賃金という重要項目でもありますし、いつの分からの変更か明らかにする意味でも、また、最低賃金改定の説明をするチャンスでもあることから、修正して訂正印ではなくて、きちんと作り直して説明のうえ交付することをお勧めします。

 

<雇用契約書が複数ある場合の効力>

古い雇用契約書には、まだ契約期間が残っていて、新しい雇用契約書と期間がダブることになります。

そして古い雇用契約書も、その期間の雇用契約を明らかにする重要な文書ですから、回収するわけにもいきません。

実は、雇用契約書を含め契約書には必ず作成年月日が記されています。これは、契約内容が変更され新しい契約書が作成された場合には、作成年月日の新しいものが優先的に効力を持つという約束事があるからです。

ですから期間の重なった複数の雇用契約書があっても、最新のものが適用されるということで安心なのです。ただし、雇用契約書の作成年月日を空欄にしたままではいけません。きちんと契約書を完成させた日の日付を入れておきましょう。

 

最低賃金の引き上げに限らず、有期契約の無期化や、社会保険加入基準の変更などで、雇用契約の管理は少し複雑になってきています。面倒に思えてきたら信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.09.26.

<制裁規定の制限>

減給処分の制限として、次の規定があります。

「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。」〔労働基準法91条〕

就業規則に具体的に規定してあるなど、他の適法要件を備えていたとしても、何か一つの不都合な事実に対して、減給処分は平均賃金の1日分の半額が限度です。この平均賃金の計算方法は、法定されています。

たとえば、直近の給与の締日までの3か月で、カレンダー上の日数が91日のとき、この間の給与の総合計が91万円であれば、1日分は1万円、その半額は5千円です。これが減給処分の限度です。

また、いくつかの不都合な言動があって、まとめて減給処分をする場合に、給与計算後の月給の支給総額が20万円の人に対しては、10分の1の2万円が限度ということになります。

これは、労働者の生活を守るためです。

 

<分割払いの減給処分はどうか>

たとえば1回の遅刻につき、平均賃金の1日分の半額の減給処分が就業規則に規定されていて、適法に運用されているとします。

ある人が、9月に10回遅刻したとすると、

「平均賃金の1日分の半額」×10=「平均賃金の5日分」

の減給処分をしたいところ、それでは月給の10分の1を超えてしまいます。

ご質問者様は、これを10月から翌年2月までの5回に分けて、平均賃金の1日分ずつ減給できるのかという疑問をお持ちです。

これは、できます。なぜなら、分割払いにすれば労働者の生活を守るという法の趣旨に反しないからです。一括だと大変な負担でも、法の制限内の金額での分割なら許されるのです。

 

<しかし現実には>

5か月にわたって、特別な給与計算をするのは面倒です。

また、減給処分の対象者が途中で退職するかもしれません。この場合にも、制限を超えてまとめて減給はできません。

そもそも月に10回も遅刻するというのは異常です。原因を突き止めたうえで、他の懲戒処分、たとえば、出勤停止なり降格処分なりを考えるべきでしょう。もっともこれは、あらかじめ就業規則に定めておく必要があります。

あるいは、人事異動や人事考課で対処するというのが、より現実的でしょう。

 

<結論として>

現在の就業規則の減給処分が、労働基準法違反ではないか、従業員の不都合な言動に対する懲戒処分の規定が適正か、あらためてチェックしておく必要があるでしょう。甘すぎても、厳しすぎてもダメです。

それと、きちんとした人事考課の基準が無ければ、適正な対応ができないケースもあります。

総合的に内容をチェックするには、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.09.25.

<出産手当金とは?>

健康保険に入っている人(被保険者)が、出産のために会社を休み、その間に通常の給与が支給されないときに、申請によって支給される給付金です。

 

<その条件は?>

まず、被保険者の出産であることが必要です。被保険者とは保険料を負担している人のことですから、扶養家族(被扶養者)は対象外となります。

また、妊娠85日以上での出産であることが必要です。流産や死産、人工妊娠中絶も含みます。

法律上は、4か月以上となっていますが、妊娠については1か月28日で計算しますし、3か月を1日でも超えれば4か月以上と考えますので、28日×3か月+1日=85日という計算により、実際の運用では妊娠85日以上が基準となっています。

さらに、給与の支給が無いか、出産手当金の金額より少ないことが条件です。

 

<支給金額は?>

実際の支給金額は、次の計算式によって計算されます。

1日あたりの金額=(支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額)÷30日×2/3

 

<支給期間は?>

出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(双子や三つ子など多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象として出産手当金が支給されます。

出産日は出産の日以前の期間に含まれます。

また、出産が予定日より遅れた場合、その遅れた期間についても出産手当金が支給されます。

 

<資格喪失後の出産手当金>

会社を辞めたり、勤務時間が減少することによって、健康保険の資格を喪失した後の出産でも、出産手当金が支給されることがあります。

資格喪失の日の前日(退職日等)まで被保険者期間が継続して1年以上あり、被保険者の資格喪失の日の前日に、現に出産手当金の支給を受けているか、受けられる状態(出産日以前42日目が加入期間であること、かつ、退職日は出勤していないこと)であれば、資格喪失後も所定の期間の範囲内で引き続き支給を受けることができます。

2016.09.24.

<現在の後納制度>

過去5年以内に、国民年金保険料の納め忘れのあるかたは、申し込みにより、さかのぼって納めることができます。

「納め忘れ」というのは、何も手続きせず、保険料を納める気もないままに、納付の期限を過ぎてしまったという状態です。

 

<保険料納付のメリット>

不足している期間の保険料を納めることにより、年金の受給資格を得られる可能性があります。

また、受給資格のある場合でも、将来受け取る年金額が増額します。

具体的に、どれだけの期間不足しているか、いくら増額するかは、お近くの年金事務所でご確認ください。

年金事務所は混んでいます。しかし、予約できる場合もありますので、お手もとに基礎年金番号のわかるものを用意して、電話で予約できるかの確認をお勧めします。

 

<ここにご注意>

・過去3年度以前の後納保険料には、当時の保険料額に加算額がつきます。

・後納が可能な期間のうち、最も古い分から納めることになります。

・一部免除された期間のうち、未納となっている期間も後納の対象となります。

・申し込みの後に審査があります。これに時間がかかることがあります。

 

年金事務所に行く時間がなかったり、年金事務所に相談してもよくわからなかった場合には、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。代わりに調べたり、手続きを行ったり、納得がいくまでご説明しております。

 

2016.09.23.

<労働基準監督官の任務>

労働基準監督官の基本的任務は、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法などの労働法で定められている労働者の労働条件や安全・健康の確保・改善を図るための各種規定が、工場、事業場等で遵守されるよう、事業者などを監督することにあります。

労働基準監督官は、監督を実施し法令違反が認められた場合には、事業主などに対し文書で指導し是正させるのです。

また、危険性の高い機械・設備等について労働基準監督署長が命ずる使用停止などの行政処分の実行も行っています。

 

<労働基準監督官の権限>

こうした任務を全うするため、労働基準監督官には労働法により臨検(立入調査)権限を始め、帳簿・書類などの検査権限、関係者への尋問権限など多くの権限が与えられています。〔労働基準法101条、103条、労働安全衛生法91条、98条、最低賃金法32条など〕

また、労働基準監督官には、司法警察員としての職務権限があるため、重大・悪質な法令違反を犯した事業者などに対しては、司法警察権限を行使して、刑事事件として犯罪捜査を行うこともあります。〔労働基準法102条、労働安全衛生法92条、最低賃金法33条など〕

 

<立入調査>

労働基準監督官の監督は、各種情報に基づき問題があると考えられる事業場を選定して行われています。

例えば、労働災害発生の情報や労働者からの賃金不払、解雇等の申告・相談をきっかけとして、また、問題が懸念される事業場などをあらかじめ選定した上で計画的に、監督が実施されています。

なお、事業場のありのままの現状を的確に把握するため、原則として予告することなく事業場に監督を行っています。

臨検(立入調査)の拒否・妨害や尋問に対する陳述の拒否・虚偽の陳述、書類の提出拒否・虚偽を記載した書類の提出については、罰則が設けられています。〔労働基準法120条、労働安全衛生法120条、最低賃金法41条など〕

 

2016.09.22.解決社労士

<見直しの必要性>

就業規則の内容は、大きく分けると次の3つです。

・法令の定める労働者の権利・義務のうち自社の従業員に関係する部分

・自社の従業員にある程度共通する労働条件

・自社で独自に定めた職場のルール

このそれぞれについて、見直していく必要が発生します。

おそらく就業規則を1年間放っておくと実情に合わないものになるでしょう。

 

<法令の定める労働者の権利・義務のうち自社の従業員に関係する部分>

これには、法改正への対応を迫られるケースと、今までの対応では足りない新事情が発生するケースがあります。

法改正については、テレビニュースや新聞記事をキッカケに、ネットで情報を検索して、自社内で就業規則の関連部分を手直しすることも可能でしょう。

しかし、新事情への対応となると、その必要性に気づきにくく、イザというとき規定が足りないというケースが発生しやすいのです。

最近では、従業員の親の高齢化による介護休業制度の見直し、メンタルヘルス不調者の発生による休職制度や復職支援制度の見直しの必要性が、クローズアップされています。

 

<自社の従業員にある程度共通する労働条件>

これは従業員の勤務の実態が変化して、対応を迫られるケースです。

事業が拡大して、遠方に支店や新営業所ができれば、転勤や単身赴任のしくみが必要となります。場合によっては、全国エリア社員と勤務地限定社員を区分するしくみが必要となるでしょう。

また、勤務中のポケモンGOが問題となり、賃金の欠勤控除を厳密に行う必要が発生することもあるでしょうし、毎日のように居眠りする社員が疑問視され、新たな懲戒項目を設ける必要が感じられるようになることもあるでしょう。

 

<自社で独自に定めた職場のルール>

これには社内事情の変化への対応と、社会情勢の変化への対応があります。

社内事情の変化には、たとえば事務所の引っ越しがあります。これによって、通勤手当の見直しや、出勤・退勤時のルールや休日出勤のルール見直しが必要になるでしょう。

社会情勢の変化には、たとえば社員が社内でふざけた写真をとりネットに掲示する事件などがあります。この場合には、自社で発生を防止する一方、万一発生した場合の対応についても、ルールを決めておく必要があります。

 

<独特なむずかしさ>

就業規則の一部分だけを見直すことによって、関連する規定との間に矛盾が発生してしまい、これに気づかないという問題は多発します。実際に発覚するのは、何か具体的な問題が発生して、就業規則を調べたときです。このときは、問題が解決できず本当に困ってしまいます。これを防ぐには、就業規則というものの体系的な理解をしている専門家の関与が必要です。

「転ばぬ先の杖」ということで、3年に1回程度は、お近くの社労士(社会保険労務士)のチェックをお勧めします。

 

<柳田事務所にご依頼なら>

顧問契約をお勧めします。

就業規則見直しの必要性について、日常的に多角的にチェックしています。

そして、会社の実情に応じて、無理のない見直しをご提案します。そして社内に定着するまでのフォローをします。

経営者の方や社内のご担当者の方が主体となって就業規則の見直しを行い、柳田事務所が指導・サポートする形であれば、つまり改定案作成の丸投げでなければ、顧問料の範囲内で行うこともできます。

しかも、顧問契約(総合委任契約)の業務範囲は広く、就業規則関係だけでなく、人事制度、労災、雇用保険、健康保険、労働紛争、採用、懲戒、コンプライアンス、労働基準監督署・会計検査院の調査対応、教育など人事業務全般に及びます。

もし必要を感じましたら、まずはご一報ください。このページ右上のお問合せフォームをご利用いただけます。

 

2016.09.21.

<大前提として>

就業規則は従業員に周知することで有効となります。周知というのは「誰でも読もうと思えば読める状態に置くこと」です。

しかし、高校生が読んでもわからない就業規則では威力を発揮できません。ですから、読んでわかる就業規則というのが大前提です。

 

<ひな形の活用>

就業規則を作るとなると、厚生労働省のモデル就業規則や、業界ごとに作られたものをネットで検索して利用することが多いでしょう。

厚生労働省のものは、法改正などに応じて内容が更新されています。最終改定年月日も示されていますので安心して利用することができます。

他のひな形は、どこまで法改正に対応できているか確認するのが大変です。また、知り合いの経営者の方が、その昔専門家に作ってもらったという就業規則をコピーさせてもらっても、何度も行われてきた法改正や社会情勢の変化に対応できていないことが多いので注意しましょう。

 

<自社の個性への対応>

就業規則の内容は、大きく分けると次の3つです。

・法令の定める労働者の権利・義務のうち自社の従業員に関係する部分

・自社の従業員にある程度共通する労働条件

・自社で独自に定めた職場のルール

こうしてみると、自社の就業規則はひな形を丸写しにしてでき上るものではないことがわかります。

厚生労働省のモデル就業規則にも、その最初と各条文のところに、自社に合わせることの重要性と注意点がとても細かく書かれています。

ひな形の規定であっても、自社に無理なことをマネすると苦労します。

「お客様、お取引先、従業員など関係者には自分から進んで明るく元気にあいさつすること」が、社内では当たり前のルールになっていたとしても、これを就業規則に入れておかないと、従業員に対して「ルールを守りなさい」と注意したときに、「何を根拠に?」と反論されたり、反感を抱かれたりします。

こうしたことから、社内規定を十分に理解していない若手事務担当者に作成を任せるのは、不可能を押しつけることになってしまいます。やはり、社内で就業規則を作成するのは、経営者やベテラン社員の仕事ということになります。

 

<柳田事務所にご依頼なら>

新しい会社であれば、経営者の方からご意向をうかがい、会社にマッチした就業規則案を作成し、これをベースに微調整という進め方になります。

設立後ある程度の年数を経過し、労働者数が10人以上になりそうなので就業規則を作成したいというケースもあります。この場合には、従業員の方々にもお話をうかがい、完成形に近い就業規則案を作ってしまいます。

特長的なのは、就業規則の運用に必要な社内の申請書類やチェック表などの準備、さらには従業員の教育研修の実施なども、運用をスムーズにするために役立つことは、すべてご要望に応じてサポートしている点です。

もちろん、就業規則作成にあたって、一部分だけのお手伝いをすることもあります。

もし必要を感じましたら、まずはご一報ください。このページ右上のお問合せフォームをご利用いただけます。

 

2016.09.20.

<助成金の額>

【加速化Aコース】

数値目標の達成に向けた取組目標を達成した場合に支給

受給できる額:30万円(1企業につき1回限り)

►業種に関わりなく、常時雇用する労働者が300人以下の事業主のみを対象としています。

【加速化Nコース】

数値目標の達成に向けた取組目標を達成した上で、その数値目標を達成した場合に支給

受給できる額:30万円(1企業につき1回限り)

► 雇用する労働者数に関わりなく支給対象となります。

 

<受給できる事業主>

以下のすべてに該当する事業主です。

【加速化Aコース】

① 女性活躍推進法に基づく、一般事業主行動計画を策定している。

② 行動計画には、計画期間、数値目標、数値目標の達成に向けた取組目標、取組実施時期を記載している。

③ 長時間労働の是正等働き方の改革に関する取組について、行動計画に盛り込んでいる。

④ ①で策定した行動計画を労働者に周知している。

⑤ ①で策定した行動計画を、「女性の活躍・両立支援総合サイト」内の「女性の活躍推進企業データベース」に公表している。

⑥ 自社の女性の活躍に関する情報を、「女性の活躍推進企業データベース」に公表している。

⑦ ①で策定した行動計画について策定届を本社を管轄する都道府県労働局に届出をしている。

⑧ ①で策定した行動計画の計画期間内に、計画に基づいて取組目標を達成している。

⑨ 常時雇用する労働者が300人以下の事業主である。

【加速化Nコース】

⑩ ①~⑧を実施した上で、数値目標を達成している。

⑪ 数値目標の達成状況を「女性の活躍推進企業データベース」に公表している。

⑫ 常時雇用する労働者が301人以上の企業は、⑩の数値目標の達成に加えて、女性活躍推進法第9条に基づく認定(「えるぼし」)を取得している、または、女性管理職比率を業界平均以上に上昇させている。

 

<助成金のねらい>

女性の活躍推進は各企業に必要であるところ、特に推進を加速化させる事業主を応援するものです。

 

<受給の条件>

■取組目標を達成した=【加速化Aコース】の支給申請が可能です。

■数値目標を達成した=【加速化Nコース】の支給申請が可能です。

 

<変更にご注意>

助成金の内容は変更になることがあります。また、助成金そのものが廃止されることもあります。

このページ右側の「お勧めします」の中から「雇用関係助成金」を選んでいただくと、現在の助成金の内容をご確認いただけます。

 

2016.09.19.

<ストレスチェック制度が導入されて>

企業には健康診断の実施が義務付けられています。しかし、従業員の皆さんは「健康診断さえ受けていれば安心」ではありません。ひとり一人が健康に関心を持ち、それなりの対応をする必要があります。

同じことがストレスチェック制度にもいえます。

「労働安全衛生法」という法律が改正されて、労働者が50 人以上いる事業所では、平成2712 月から、毎年1回、この検査を実施することが義務付けられました。これとは別に、ひとり一人が心の健康に関心を持ち、ストレスをためない暮らしかたを心がける必要があります。

 

<ストレスをためない暮らし方>

ストレスと上手につきあうには、まず毎日の生活習慣を整えることが大切です。バランスの取れた食事や良質な睡眠、適度な運動の習慣を維持することが、健康の基礎固めになります。

「7時間眠らなければダメ」など、自分を追い込むような考え方はやめましょう。睡眠は、その日の過ごし方などによって、深い日もあれば、浅い日もあります。たとえ眠れない夜があっても、そのことにこだわらなければ大丈夫です。翌日にはその分だけ眠りが深くなるものです。1日単位ではなく、1週間、1か月単位で良質な睡眠を心がけましょう。

食事についても、食べ過ぎた後は量を少し控え目にするとか、普段食べないものを食べてみるなどは自然に行えるものです。

また、週に1回激しい運動をするよりも、毎日やや急ぎ足で散歩したほうが効果を期待できます。

 

<ストレスが少したまったら>

ストレスが少したまったときの対策として、日常生活の中にリラックスできる時間をもつことも大切でしょう。

ぼんやりと景色を眺める、ゆったりお風呂に入る、軽くストレッチする、好きな音楽を聴くなど、気軽にできることをやってみましょう。

お酒を飲んでつらさを紛らわせようとするのは、睡眠の質を低下させ、こころの病気を引き寄せます。実際、ストレスがたまるとお酒の量が増えるということがあります。お酒以外の方法でストレスを和らげるようにして、お酒の量を元に戻したいものです。

 

<柔軟に考える>

「7時間眠らなければダメ」など、自分をしばるような考え方をしていると、うまくいかなかったときに強いストレスを感じてしまいます。

困ったことに、私たちはストレスを感じているときほど、物事を固定的に考えて、さらにストレスを発生させてしまっていることがあります。

こうしたことから抜け出すためには、「できたこと」に注意を向けるのがお勧めです。「7時間睡眠」を心がけて、6時間だったら「まずまずの達成率!」と思うことです。

また、何かを失ったストレスから抜け出すには、「残されたもの」に注意を向けることです。大切なものを失うストレスは大きいものです。しかし、それと引き換えに、思い出や教訓、自由な時間など、残されたものは決して少なくないはずです。

 

<さらにストレスがたまったら>

誰かに相談してみましょう。これは、特に男性にお勧めです。女性は、誰かにグチを言ったり話を聴いてもらったりということが上手です。これに対して、男性は他人に弱みを見せるのがイヤで、話さないことが多いようです。

しかし、誰かに話すことで問題点が整理され、自分の中で解決策が見つかることもあります。相談に乗ってもらえたという安心感も、気持ちを落ち着かせるでしょう。友人、家族、同僚、地域や趣味の仲間など、日頃から気軽に話せる人を増やしておきたいものです。

 

<専門家への相談>

症状が続くときは早めに専門家に相談しましょう。医師やカウンセラーなどの専門家や、地域の精神保健福祉センター、保健所、自治体の相談所など、相談できる専門家はたくさんいます。

もし会社の中に、症状が重くて仕事をするのも大変な人がいたら、医師だけでなく労務管理の専門家である社労士(社会保険労務士)にもご相談ください。気になる症状をもった社員がいたら、異動、休職、復帰、あるいは退職についても、早めの検討が必要になるでしょう。そんなとき、信頼できる社労士がお役に立ちます。

 

2016.09.18.

<労災防止の目的>

ケガをした本人は反省しているのに、何かと周囲の人から責められたり、勤務のたびにイヤな記憶がよみがえったりして、残念ながら退職していくケースが散見されます。これは、戦力の喪失です。

たとえ辞めなくても、しばらくの間は100%の力を発揮できないでしょう。また、大ケガであれば休業することもあります。これは戦力の低下です。

さらに、労働基準監督署の調査が入って、労災防止の指導があると、今までやってこなかったことを義務付けられるなど、そちらに戦力を奪われることになります。

労災を防止する大きな目的は、戦力を確保して生産性を維持することにあると思います。

 

<実質面での対策>

ケガ人を出さないための対策です。

従業員の注意力を向上させるというのは、まず無理でしょう。たとえ注意力が低下しても事故が発生しないようにする工夫が必要です。

これには教育が最も有効です。機械・器具の扱い方や、滑りやすい転びやすいポイント、危険な作業について、部門別の朝礼のときに再確認していくのが効果的です。進行係が一方的に説明するだけでなく、参加者に質問して答えをもらってから正解を解説すると、記憶に定着しやすくなります。

 

<形式面での対策>

労災防止策を実施していることの証拠を残して、労働基準監督署の調査が入っても、説明できるようにしておくことです。

当然ですが調査に入った方は、目に見えるものしかチェックできません。「毎朝朝礼で教育しています」と言っても、それが真実かどうかは見えません。

ですから、朝礼で指導した内容は、ノートなどへの記録が必要です。他にも研修を実施すれば、その案内書やレジュメなどに参加者の署名をしてもらって保管するなど、目に見える記録の保管が必要です。

職場に注意喚起のためのポスターやハリガミも必要です。たしかに掲示物で本当に労災防止の効果があるかどうかは疑問です。しかし、形式面での対策としては欠かせないものです。

 

<心がけとして>

他にも設備の更新など、お金をかければできる対策はたくさんあります。しかし、生産性の維持という観点からは一歩後退です。

実質面と形式面の両方での対策をするにあたって、手間のかかることをしてしまっては、生産性が低下してしまいます。より簡単に、より日常的に、そして経費のかからない方法をとっていくことが大事です。

 

それでも具体的に何をどこまでやればいいのか迷ったら、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

「岡目八目」ということばがあります。事の当事者よりも、第三者のほうが情勢や利害得失などを正しく判断できることをいいます。会社の状況に慣れてしまった従業員よりも、客観的に見ることのできる専門家の意見は貴重だと思います。

 

2016.09.17.

<週の労働時間が20時間未満となった場合の原則>

週20時間未満となったことにより、雇用保険の資格を喪失し離職票が発行されます。

これは、週20時間未満の仕事の場合、安定的な就業にはあたらず、働きながら求職活動をすることが想定されるからです。

この場合には、失業手当(雇用保険の基本手当)を受けることができます。ただし、受給中に働いて収入を得た場合には、ハローワークに申告して手当との調整を受けることになります。

 

<週の労働時間が20時間未満となった場合の例外>

1週間の所定労働時間が20時間以上に戻ることを前提として、臨時的一時的に1 週間の所定労働時間が20時間未満となった場合には、雇用保険の資格を喪失させません。

ただ、臨時的一時的の基準は不明確ですから、例外にあたる可能性がある場合には、所轄のハローワークでの確認が必要です。

 

<週の労働時間が20時間未満となった場合の例外の例外>

臨時的一時的であると思っていた労働時間の減少が安定し、臨時的一時的ではなくなったとき、または、その見込みが生じたときは、雇用保険の資格を喪失し離職票が発行されます。

 

労働時間が短縮した場合の、社会保険や雇用保険の資格喪失手続きもれは、多く聞かれます。失敗がないようにするには、顧問の社労士(社会保険労務士)に管理させることをお勧めします。

 

2016.09.16.

平成291月に改正される育児・介護休業法に対応した就業規則の規定例〔簡易版〕が厚生労働省ホームページに公開されています。

 

↓規定例〔簡易版〕

http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/pamphlet/pdf/ikuji_h28_08_01.pdf

 

 第1条(育児休業)

 第2条(介護休業)

 第3条(子の看護休暇)

 第4条(介護休暇)

 第5条(育児・介護のための所定外労働の制限)

 第6条(育児・介護のための時間外労働の制限)

 第7条(育児・介護のための深夜業の制限)

 第8条(育児短時間勤務)

 第9条(介護短時間勤務)

 第10 条(給与等の取扱い)

 第11 条(育児休業等に関するハラスメントの防止)

 第12 条(法令との関係)

 

これをもとに、それぞれの会社で規則と労使協定を整備することになります。

規定例は大変よく考えられています。それでも、それぞれの会社の実情を反映しているわけではありません。会社に合った規定にするには、信頼できる社労士(社会保険労務士)へのご相談をお勧めします。

今現在対象者がいなくても、予め整備しておきましょう。むしろ対象者がいないうちに整備したほうが楽です。労使で話し合って決める内容もありますから。突然、対象者があらわれて、法律上の権利を主張されたときに、あわてなくて済みます。

 

2016.09.15.

<内定者の立場は?>

内定者については、働き始める時期までに、どういう事情が発生したら会社が内定を取り消せるのか、採用内定の時にあらかじめ決まっているのが一般です。

まだ正式に採用していないから自由に取り消せるというものではありません。

そしてまだ決定していない配属先で、業務上自動車の運転をする可能性があり、内定取消理由の一覧に運転免許取消が掲げられている場合には、多くの場合、運転免許取消を理由とする内定取消に合理性が認められます。

 

<内定取消の理由として明示されていない場合>

一般には、運転免許取消が内定取消の合理的な理由になるとは限りません。運転免許を保有していなくても、その職場で普通に勤務している人はたくさんいるハズですから。

ただし、運送会社で配送の仕事に就くことを予定して、あるいはタクシー乗務員として勤務する予定で、採用が内定しているという場合、内定の取消理由として明確に示されていなくても、内定取消に合理性が認められます。

この場合には、採用されてもすぐには勤務できないことになりますから、信義則上、内定取消が認められないと不都合だからです。

つまり、内定者は自動車を運転する仕事に就くにあたって、安全運転を心がけ、万が一にも運転免許の取消など受けることのないよう、最大限の注意を払う道義的な責任を負っているということです

 

しかし、それでも自分の場合には納得がいかないというかたは、信頼できる特定社労士(特定社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.09.14.

<ノーワーク・ノーペイの原則>

たとえば勤務時間中に、スマホを片手にモンスター探しの旅に出ていたら、その時間の賃金はもらえなくて当然です。

働いていなければ賃金は発生しないというノーワーク・ノーペイの原則は、労働契約の性質から当然に導かれます。

つまり、使用者の「働いてください。賃金を支払います。」と労働者の「働きます。賃金をください。」という意思表示が合致して労働契約が成立したのですから、働かなければ賃金が発生しないのは当然なのです。

ただし、欠勤控除をするかしないか、どのように計算するかは、就業規則に定めておくべき事項です。定めておかないと、実際に勤務時間帯に働かなかった場合に、賃金から差し引かれる金額をめぐってトラブルが発生します。

ご質問のかたが仕事をサボって、あとからさかのぼって欠勤控除を受けたというのであれば、労働契約の債務不履行による損害賠償請求〔民法415条〕というより、不当利得の返還〔民法704条〕ということになるでしょう。

 

<拡大損害の場合>

しかし仕事をサボったために、重要なお取引先への納期が守れず、取引を解消されてしまったので、会社の売り上げが安定して2割減少したとか、機械の点検会社の社員が点検を何回かサボったために、機械の故障による死亡事故が発生したという場合には、賃金を削られるだけでは済むはずがありません。

これらは、労働契約上の義務を果たすにあたって発生した拡大損害です。

たとえば、運送屋さんがソファーを個人の家に届ける際、玄関に飾ってあった時価1億円の花瓶を落として割ってしまったという場合、「すみません。配送料をタダにします。」と言われても、「はいそうですか。」とは言えません。

(これは、大学の法学部の講義でよく出てくる例です。個人的には、「花瓶をしまっておきましょうよ」と思う次第です。)

これも、契約関係から拡大して発生する損害なので、債務不履行による損害賠償のケースだとされます。

もし、ご質問のかたが、こうした拡大損害を発生させてしまったのなら、サボりと損害との因果関係(原因と結果の関係)が認められる範囲で、損害賠償を請求されることは十分にありえます。

 

いずれの場合でもなく、納得がいかない場合には、信頼できる特定社労士(特定社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.09.13.

<就業規則に発生する矛盾>

会社が初めて就業規則を作成し、労働基準監督署長に届出る場合には、大変慎重になりますから、厚生労働省のひな形を参考にしたり、社労士(社会保険労務士)に依頼したりで、矛盾のないものを作成しようとします。

ところが、法改正や社会情勢により、あるいは社内の運用が変わって、就業規則を改定する場合には、1か所ばかりに気を取られて、関連する部分のすべてを改定できずに終わってしまうということがありがちです。

こうして、就業規則の中に矛盾が生じてしまいます。

 

<事務的に直してよい矛盾>

部署名や役職名など、変更されたにもかかわらず、一部の表記が古いままという場合には、これを事務的に修正しても問題ありません。

また、矛盾する2つの規定のうち、どちらか片方に統一しても、あらゆるケースを想定した場合に、適用される労働者の誰にも不利益をもたらさない場合には、きちんと就業規則改定の手続きを踏む限り、特に問題はありません。

 

<解消に手間のかかる矛盾>

ある条文によれば会社側に有利、別の条文によれば労働者側に有利という形での矛盾がある場合、これを解消するには慎重になるべきです。

多くの場合、社労士(社会保険労務士)など慣れた専門家が見れば、解釈の問題で解決できる場合が多いものです。この場合には、解釈が分かれないように条文の表現を工夫すればよいだけのことです。もちろん、就業規則改定の手続きは必要です。

困るのは、正しく解釈しても矛盾を含んでいる場合です。この場合には、基本的には労働者側に有利なほうに統一することになります。ただし、時代に合わないとか、運用が困難であるなどの理由があって、会社側に有利なほうに統一するのが合理的といえる場合には、例外的にそうします。このときにも、就業規則改定の手続きが必要です。

このことは労働契約法10条本文に次のように規定されています。

「使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。」

 

2016.09.12.

<追納のメリット>

国民年金保険料の免除(全額免除・一部免除・法定免除)、若年者納付猶予、学生納付特例を受けた期間があると、保険料を全額納めたときに比べて、老齢基礎年金の年金額が少なくなります。

そこで、将来受け取る老齢基礎年金の年金額を増やすために、10年以内であれば、これらの期間の保険料をさかのぼって納めることができます。これを追納といいます。

 

<追納の注意事項>

一部免除を受けた期間に、残りの保険料を納付していない場合には追納できません。

老齢基礎年金を受けられる人は追納できません。

原則として、古い期間の保険料から納めることになります。

「国民年金保険料追納申込書」に必要事項を記入して、近くの年金事務所に提出してください。郵送による提出もできます。

 

<後納制度>

免除や納付猶予を受けていない期間で、保険料を納めていない期間は、通常、2年を経過すると納めることができません。

しかし、平成30年9月までに限り、過去5年分まで納めることができます。

 

手続きについて迷ったら、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.09.11.

<有期契約労働者の無期転換ポータルサイト>

 

労働契約法に基づく「無期転換ルール」への対応を促進するため、厚生労働省のホームページに「有期契約労働者の無期転換ポータルサイト」が開設されました。

 

↓有期契約労働者の無期転換ポータルサイト

http://muki.mhlw.go.jp/

 

次のようなポイントについて解説されています。

・早めの対応が望まれます

・労使のコミュニケーションが重要です

・多様な働き方の仕組みを導入するためのきっかけにもなります

・就業規則、労働契約の見直しが必要です

・具体的な制度設計が大切です

・必要に応じて改善を行うなど、円滑な導入を心がけましょう

・国の支援策を積極的に活用しましょう

 

<具体的な対応は?>

パート社員など、期間を区切って雇われている人のいる会社では、ルールの適用開始まで1年半ですから、そろそろ対応を具体化する必要があります。

一般的なことは、上記のポータルサイトで確認できます。

それでも「うちの会社では必要なのか」「どう対応するのがベストか」という悩みがあれば、早めに信頼できる社労士(社会保険労務士)へのご相談をお勧めします。

 

2016.09.10.

<平成28年9月分の社会保険料額表>

 

↓厚生年金保険料額表(平成28年9月分)は日本年金機構ホームページに

http://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2016/201608/0829.html

 

↓都道府県ごとの健康保険料を含む社会保険の料額表(平成28年9月分)は協会けんぽホームページに

http://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/sb3150/h28/h28ryougakuhyou9gatu

 

<1か月限定の理由>

 

平成28年10月分からは、厚生年金保険の標準報酬月額の下限が88,000円に変更となることから、これらの料額表は平成28年9月分のみの適用となります。

 

↓厚生年金保険の標準報酬月額の下限に新たな等級が追加されます。

http://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2016/0516.files/20160516.pdf

 

2016.09.09.

<変更の理由>

平成28年10月よりパート・アルバイトの社会保険への加入義務が拡大されます。

短時間労働者であっても、次の条件を満たす人は新たに加入対象者となります。

・労働時間が週20時間以上であること

・月額賃金が88,000円以上であること(年収106万円以上)

・勤務期間が1年以上見込まれること

・社会保険に加入している従業員が501人以上いる企業に雇われていること

ただし、学生は適用除外となっています。

こうして新たに加入することとなった人を、区分するために各種届出様式の一部が変更になります。

 

<変更になる様式>

・健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届

・厚生年金保険 70歳以上被用者該当・不該当届

・健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額算定基礎届

・厚生年金保険 70歳以上被用者算定基礎・月額変更・賞与支払届

・健康保険・厚生年金保険 被保険者報酬月額変更届

・健康保険・厚生年金保険 育児休業等終了時報酬月額変更届

・厚生年金保険 70歳以上被用者育児休業等終了時報酬月額変更届

・健康保険・厚生年金保険 産前産後休業終了時報酬月額変更届

・厚生年金保険 70歳以上被用者産前産後休業終了時報酬月額変更届

 

手続きについて法改正へのご対応は信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.09.08.

<助成金の額>

常時使用する労働者の数が31人以上の企業は業務改善に要した経費の2分の1、30人以下の企業は4分の3となります。ただし、上限額は100万円です。

※ 平成27年度以前に業務改善助成金の交付を受けている場合は、交付対象外となります。

 

<助成金のねらい>

中小企業の生産性向上を支援し、事業場内の賃金引上げを促進します。

 

<受給の条件>

以下の3つすべてにあてはまることが、助成金を受給する条件となります。

・事業場内で最も低い時間給800円未満の労働者(雇入れ後6月を経過していること)の賃金を60円以上引き上げる計画を作成し、賃金引上げを行うこと。

・生産性向上のための設備・器具の導入などを行うこと。

※ 単なる経費削減のための経費、職場環境を改善するための経費、パソコン、営業車輌など社会通念上当然に必要となる経費は除きます。

・事業場内で最も低い時間給が改定後の地域別最低賃金額を下回る場合は、賃金引上げは、その発効日の前日までに行うことが必要です。

賃金引上げを地域別最低賃金の発効日以後に行う場合は、改定後の地域別最低賃金額を基礎として、60円以上の賃上げを行うことが必要です。

 

<注意点>

現時点で都道府県別の最低賃金時間額が800円以上の地域にある企業では、事業場内で時間給が800円未満の労働者がいるのは、最低賃金法違反となりえます。

ですから、こうした地域では、原則としてこの助成金を受給することはできません。

生産性の向上を伴わない時給アップは危険です。手続きだけではなく信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2016.09.07.

●平成28年8月5日から緩和された支給要件は次のとおりです。

 

<キャリアアップ計画書の提出期限の緩和>

キャリアアップ計画書の提出期限が「取組実施の前日から起算して1か月前までに」から「取組実施日までに」に変更となりました。

※人材育成コースは、従前のとおり「訓練開始日の前日から1か月前まで」です。

 

<賃金規定等の運用期間の緩和>

「改定前の賃⾦規定等を3か月以上運用していること」を要件とされていたものを、新たに賃⾦規定等を作成した場合でもその内容が、過去3か⽉の賃⾦の実態からみて2%以上増額していることが確認できれば支給対象

 

<最低賃⾦との関係に係る要件緩和>

「最低賃⾦額の公⽰⽇以降、賃⾦規定等の増額分に公示された最低賃⾦額までの増額分は含めないこと」としていたものを、「最低賃⾦額の発効⽇以降、賃⾦規定等の増額分に発効された最低賃⾦額までの増額分は含めないこと」に変更

 

●平成28年10月からは「短時間労働者の労働時間延⻑(処遇改善コース)」が拡充されます。

 

【現行】 短時間労働者の週所定労働時間を25時間未満から30時間以上に延⻑し、社会保険を適用した場合1人当たり20万円(15万円)

 

【変更後】短時間労働者の週所定労働時間を5時間以上延⻑し、社会保険に適用した場合1人当たり 20万円(15万円)

 

2016.09.06.

人材不足の折、まだまだこれからの活躍が期待できる女性の活用は、企業にとって死活問題です。

しかし、いざ着手しようとすると、他社の状況が気になるものです。

厚生労働省では、女性の活躍推進状況に関する情報を一元化した「女性の活躍推進企業データベース」というサイトを開設しています。

 

1.採用した労働者に占める女性労働者の割合

2.採用における男女別の競争倍率、または採用における競争倍率の男女比(男性の倍率を1としたときの女性の倍率)

3.労働者に占める女性労働者の割合

4.男女の平均継続勤務年数の差異または男女別の採用10年前後の継続雇用割合

5.男女別の育児休業取得率

6.1月当たりの労働者の平均残業時間

7.雇用管理区分ごとの1月当たりの労働者の平均残業時間

8.年次有給休暇の取得率

9.係長級にある者に占める女性労働者の割合

10.管理職に占める女性労働者の割合

11.役員に占める女性の割合

12.男女別の職種または雇用形態の転換実績

13.男女別の再雇用または中途採用の実績

14.データの対象

15.データ更新時点

16.備考欄

17.自由記述欄

18.公共調達資格情報

 

↓女性の活躍推進企業データベース

http://www.positive-ryouritsu.jp/positivedb/

 

2016.09.05.

<老齢年金受給者の気持ち>

働きながら老齢年金をもらう場合に、年金の一部がカットされるという話をよく耳にします。

しかも必ずカットされるわけではなく、まるまるもらっている人もいます。

せっかくの年金ですから、基準を理解して1円たりとも削られずにもらいたいというのが、年金受給者の本音でしょう。

 

<社会保険に入らずに働く場合>

60代で社会保険に入らなければ、基本的には給与などと年金との調整はありません。

70歳以上の場合には、70歳未満であったとしても社会保険に入る基準内で働いていれば、基本的に給与などと年金との調整がないのです。

そして、社会保険に入る基準としては、今後1年間を見通して、正社員など正規職員の4分の375分)以上の勤務日数、勤務時間となることですから、これを下回れば社会保険には入りません。

平成28101日からは、社会保険に入っている従業員が500人を超えるような大企業では、所定労働日数、時間が正社員など正規職員の半分以上というのが、社会保険加入の基準となります。

具体的なことは、その勤務先の正規職員の所定労働時間などによって左右されますので、求人広告に対して応募する際に、社会保険に入ることになるのか、入る基準を満たすのか確認しましょう。

 

<社会保険に入って働く60歳以上65歳未満の場合>

1年間で受ける年金の合計額を12で割って「基本月額」を算出します。

つぎに、1年間の賃金と賞与の合計額を12で割って「総報酬月額相当額」を算出します。

この「基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計額が28万円以下であれば、年金は全額支給されます。

 

<この基準を満たしても高年齢雇用継続給付による調整に注意!>

高年齢雇用継続給付というのは、雇用保険の加入期間が5年以上ある60歳から65歳になるまでの加入者に対して、給与が60歳になった時の75%4分の3)未満になった人を対象に、最高で給与の15%にあたる額が支払われるものです。

支給停止される年金額は、社会保険料の基準となる標準報酬月額の0.18%から6%にあたる額です。

 

<社会保険に入って働く65歳以上の場合>

1年間で受ける年金の合計額を12で割って「基本月額」を算出します。

つぎに、1年間の賃金と賞与の合計額を12で割って「総報酬月額相当額」を算出します。

「基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計額が47万円以下であれば、年金は全額支給されます。

 

2016.09.04.

<高額療養費制度とは?>

自己負担額が高額となった場合に、一定の自己負担限度額を超えた部分が払い戻される高額療養費制度があります。また、病院などの窓口での支払を、一定の限度額までにできるしくみもあります。

ただし、健康保険外の診療、食事代、差額ベッド代などは対象外です。先進医療など健康保険が適用されない医療については、生命保険会社でこれらに対応できる保険に入ることをご検討ください。

 

<高額療養費制度の具体的な内容>

重い病気で病院に長期入院したり、治療が長引く場合には、医療費の自己負担額が高額となります。そのため家計の負担を軽減できるように、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される高額療養費制度があります。

ただし、保険外併用療養費の差額部分や入院時食事療養費、入院時生活療養費の自己負担額は対象になりません。

保険加入者本人(被保険者)、扶養家族(被扶養者)ともに同一月内の医療費の自己負担限度額は、年齢および所得に応じて一定の計算式により算出されます。

また、高額療養費の自己負担限度額に達しない場合であっても、同一月内に同一世帯で21,000 円以上の自己負担が複数あるときは、これらを合算して自己負担限度額を超えた金額が支給されます。(世帯合算)

なお、同一人が同一月内に2つ以上の医療機関にかかり、それぞれの自己負担額が21,000 円以上ある場合も同様です。(7074歳の方がいる世帯では算定方法が異なります。)

なお、同一世帯で1年間(診療月を含めた直近12か月)に3回以上高額療養費の支給を受けている場合は、4回目からは自己負担限度額が変わります。(多数該当)

 

<高額療養費の現物給付>

70歳未満であっても、従来の「入院される方」「外来で在宅時医学総合管理料、特定施設入居時等医学総合管理料及び在宅末期医療総合診療料を算定される方」に加え、「外来で療養を受ける方」の高額療養費を現物給付化し、一医療機関ごとの窓口での支払を自己負担限度額までにとどめることができるようになりました。

この制度を利用するには、事前に全国健康保険協会の各都道府県支部に「健康保険限度額適用認定申請書」に健康保険証のコピーを添付して提出し、「健康保険限度額適用認定証」の交付を受け、医療機関の窓口に認定証と健康保険証を提出してください。

病気が徐々に悪化して、計画的に入院する場合には利用しやすい制度ですが、突然の入院の場合には利用がむずかしい場合もあります。

 

<長期高額疾病についての負担軽減>

人工透析を実施している慢性腎不全の患者については、自己負担の限度額は 10,000 円となっています。

これを超える額は現物給付されるので、医療機関の窓口での負担は最大でも10,000 円で済みます。

ただし、診療のある月の標準報酬月額が53万円以上である70歳未満の保険加入者本人(被保険者)またはその扶養家族(被扶養者)については、自己負担限度額は20,000 円となります。

この他、血友病、抗ウイルス剤を投与している後天性免疫不全症候群の人についても、自己負担の限度額は10,000 円となっています。

なお、人工透析患者などについては、医師の意見書等を添えて全国健康保険協会の都道府県支部に申請し、「健康保険特定疾病療養受療証」の交付を受け、医療機関の窓口にその受療証と健康保険証を提出してください。

 

2016.09.03.

<パワハラ加害者の責任>

たとえば、パワハラによって相手にケガをさせれば傷害罪〔刑法204条〕が成立します。これは、最高刑が懲役15年という重い犯罪です。

また、これとは別に、被害者から治療費や慰謝料などの損害賠償を請求されるでしょう。〔民法709条、710条〕

刑事責任と民事責任は別問題ですから、たとえ国家から罰金刑を科されたとしても、これとは無関係に損害賠償責任を負うわけです。

 

<懲戒処分の位置付け>

刑罰は国家との関係、損害賠償は被害者との関係で問題となります。そして、懲戒処分は会社との労働契約にかかわる問題です。

ですから、有罪とされ損害賠償をすることとなっても、必ずしも懲戒処分が有効になるわけではありません。

あくまでも別問題として考える必要があります。

 

<懲戒処分の正当性>

パワハラで懲戒処分を受けたなら、パワハラについてきちんとした知識を身に着けつつ、気を取り直して業務に打ち込み、社内の信頼を回復するのが筋です。

しかし、どうにも納得がいかないという場合には、次の懲戒処分の有効要件を確認してみましょう。

・パワハラに対する懲戒が就業規則などに規定され周知されていること。

 →パワハラの定義と懲戒の規定があって社内に周知されていることです。

・今回の行為が具体的に懲戒規定にあてはまるといえること。

 →10人の社員に聞いてみて、意見が分かれるようではダメです。

・労働者の行為と懲戒処分とのバランスが取れていること。

 →ちょっと厳しくしかったら相手が泣いたので懲戒解雇ではやり過ぎです。

・事件が起きてから懲戒処分の規定ができたのではないこと。

 →問題視されたので会社があわてて規定を変えたというのはダメです。

・過去に懲戒処分の対象とした行為を、再度懲戒処分の対象にしていないこと。

 →何度も始末書を書かせたけれど、効果がないので今回は過去の分も全部合わせて減給処分というやり方はできません。

・その労働者に説明するチャンスを与えていること。

 →ここは大きなポイントです。本人の言い分を聞かずに懲戒処分はできません。

・嫌がらせや退職に追い込むなど不当な動機目的がないこと。

 →元々手を焼いていたので、チャンスとばかりに懲戒処分はできません。

・社内の過去の例と比べて、不当に重い処分ではないこと。

 →誰がやったかによって、処分が違うのは不当です。

これらの条件のほとんどは、数多くの裁判の積み重ねによって作られた「懲戒権濫用法理」という理論の具体的な内容を示したものです。条件を満たしていなければ、懲戒処分は無効となります。〔労働契約法15条〕

それどころか、会社は労働者から損害賠償の請求を受けることにもなります。

ただ、懲戒処分を受けた本人は感情的になっていますから、会社が懲戒権を濫用したのかどうか、弁護士や特定社労士に客観的な判断を求めることが必要でしょう。

 

<人事権との関係>

刑罰を科せられたとか、損害賠償を請求されたからといって、それを理由に降格処分というのは不合理です。

しかし、ひどいパワハラを行った人は、人の上に立つ資格がないと判断されても仕方ありません。

懲戒処分を受けるにあたって、本人には事情を説明するチャンスが与えられますから、このときに懲戒処分の有効性について、淡々と主張することはできます。

しかし、自分の行為に対する反省を示さず、正当性ばかりを主張すると、資質を疑われるのではないでしょうか。

刑事事件として不起訴とされ、民事事件で勝訴し損害賠償を免れ、会社側の手続きの落ち度で懲戒処分が無効になったとしても、これらを通じて人物を疑われれば、会社の中での将来は暗いものとなってしまいます。

是非とも、十分な反省を示したうえで、主張すべきは主張していただきたいものです。

 

2016.09.02.

<失業手当と年金との調整>

65歳になるまでの老齢厚生年金は特別支給を含め、ハローワークで求職の申し込みをしたときは、実際に失業手当(雇用保険の基本手当)を受けなくても、一定の間は加給年金額を含め年金の全額が支給停止されます。

 

<調整の基本的なしくみ>

年金が支給停止される期間(調整対象期間)は、求職の申し込みをした月の翌月から失業手当の受給期間が経過した月まで、または、最後の支給認定日の月までです。

ただし、調整対象期間中に失業手当を受けなかった場合の、その月分の年金の支給や、失業手当の受給期間が経過したときの年金の支給開始は約3か月後となります。

 

<事後精算>

調整対象期間中に、失業手当を受けた日がある場合には、年金の全額が支給停止されます。

このため、失業手当を受けた日数の合計が同じでも、月をまたいで失業手当を受けたかどうかにより、支給停止される月数が違ってきます。

この場合、失業手当の受給期間が経過した日、または、所定給付日数を受け終わった日に調整が行われ、さかのぼって年金が支給されます。

 

2016.09.01.