2016年 8月

<労災保険適用の判断>

基本的に、業務災害や通勤災害による傷病の治療費は労災保険の適用により無料となります。

そして、労災にあたるかどうかは、所轄の労働基準監督署や労働局が判断します。被災者が判断するのではなく、会社が判断するのでもありません。

労災が発生したときに「労災保険を使うべきか?」と会社が考えるのは、適法に処理しようか、それとも違法に処理しようかという選択をしていることになり、違法な労災隠しにつながります。

 

<労災病院や労災指定医療機関に支払う保証金>

労災で病院にかかった場合には、「保証金」のようなものを仮に支払っておいて、「保証金の預かり証」と労災の手続き書類を提出したときに返金されるのが通常です。

この「保証金」は、万一、病院などに労災の手続き書類が提出されなかった場合に、病院が治療費を受け取れなくなることを防ぐために支払いを求めてくるものですから、その金額は病院などによって、1,000円だったり20,000円だったりとバラバラです。

なにしろ、患者が労災だと言っていても、必ずしも労災だとは限りません。また、労災であっても会社がすぐに労災の手続き書類を提出してくれるとは限りません。これに備えての対策なのです。

いずれにせよ、この「保証金」は、なるべく早く被災者に返金されることが望ましいので、会社は書類の作成と被災者への交付を急ぎたいものです。

また、会社が「保証金」を負担した場合には、「保証金の預かり証」も会社が受領しておくとよいでしょう。こうしないと、会社が負担して被災者に返金されるケースもありトラブルのもとです。

 

2016.08.31.

<過労死認定のむずかしさ>

過労死の可能性が疑われる場合でも、次のような疑問がわいてきます。

・本当に過労が原因で亡くなったのだろうか

・仕事ではなくプライベートに疲労の原因があったのではないか

・平均的な人ならば耐えられる労働なのに弱かったのではないか

ですから、過労死が疑われる労働時間の基準が全くないのでは、企業は対策に悩んでしまいます。また、亡くなった人の遺族も過労死を主張できるか迷ってしまいます。

 

<残業時間の基準>

「1か月の残業時間が100時間を超えた場合、または、直近2~6か月の平均残業時間が80時間を超えた場合」という基準が、次のように多く用いられています。

・「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について」(平成13年12月12日付基発第1063号厚生労働省労働基準局長通達)

・「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(平成23年12月26日付基発1226第1号厚生労働省労働基準局長通達)

・ハローワークで雇用保険給付手続きをした場合に自己都合退職ではなく会社都合退職として特定受給資格者となる基準

 

<労働時間の基準>

ここで「残業時間」というのは、法定労働時間である1日8時間、1週40時間を基準としています。

ですから、1か月30日で計算すると、

30日÷7日=4.28週

40時間×4.28週=171時間

これを超える時間が「残業時間」となります。

ということは、1か月271時間の労働時間(171時間+100時間)が過労死ラインとなります。

また、直近2~6か月で平均251時間の労働時間(171時間+80時間)も過労死ラインとなります。

 

2016.08.30.

<最低賃金の意味>

「最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、最低賃金と同様の定をしたものとみなす」というのが法令の規定です。〔最低賃金法4条2項〕

最低賃金を下回る賃金しか支払わない場合、最低賃金との差額は、サービス残業と同様に未払い賃金となります。

ここで「最低賃金の適用を受ける労働者」の例外は、一定の条件を満たす人について、労働局長の許可を受けた場合のみです。〔最低賃金法7条〕

最低賃金は時間額で示されていますが、日給や月給にも適用があります。

日給は、最低賃金時間額×1日の所定労働時間 を下回ってはいけません。

月給は、最低賃金時間額×1か月の所定労働時間 を下回ってはいけません。

そして、1日や1か月の所定労働時間は、書面で労働者に示されなければ違法です。〔労働基準法15条1項〕

この場合の書面とは、労働条件通知書、雇い入れ通知書、雇用契約書、労働契約書などの名称で作成され、労働者に交付されているものです。

 

<最低賃金の発効>

最低賃金は都道府県ごとに決められますが、発効年月日も都道府県ごとにバラバラで、平成27年は10月1日から18日までの間に発効しています。この発効年月日に勤務した分の賃金から、最低賃金を下回る賃金は強制的に最低賃金に引き上げられます。

たとえば京都府では、平成27年10月7日をもって最低賃金時間額が789円から807円に引き上げられました。時間給790円で働いていた人も、10月7日の勤務分からは強制的に807円に引き上げられたのです。そして、賃金計算の締日が月末であれば、期間の途中での変更となり、計算が複雑となって手間がかかり、シフト変更などがあった場合には間違えやすくなります。

 

<結論としてお勧めなのは>

こうした不都合を避けるためには、改定された最低賃金時間額の発効日の直前の賃金計算締日までは従来の賃金、締日の翌日からは最低賃金時間額以上の賃金に改めて運用するということになります。そしてこの期間の労働に対する賃金支払い日の給与から、変更が反映されることになります。

たとえば、平成27年10月の京都府の例でいえば、あらかじめ10月1日からの勤務は時間給810円などと決めておいて、1か月同じ時間給で計算できるようにします。そして、10月勤務分の賃金支払い日から支給額が変更となります。

こうした措置をとらずに、最低賃金時間額の発効日から新たな最低賃金に合わせて賃金が変わるとなると、働き手の皆さんは「自分は最低の賃金で働かされているのだ」という思いが強くなってしまいます。これを避けるため、5円単位、できれば10円単位で端数を切り上げて賃金を支給したいものです。モチベーションの低下を防ぐための費用として、これくらいの人件費アップは必要でしょう。

 

2016.08.29.

<正しいフレックスタイム制の前提>

「残業時間が8時間たまると1日休める」というような、労働者に不利な「名ばかりフレックス」も横行しています。

しかしここでは、きちんと労使協定を交わして適法に運用されているフレックスタイム制を前提として考えます。

 

<不足する労働時間を年休で埋める場合>

清算期間の労働時間が基準の総労働時間に達しない場合、このままでは欠勤控除が発生しうるので、これを防ぐために事後的に年次有給休暇の取得を認めるのは、よい運用だと思います。

ただし、就業規則や労使協定に運用ルールを定めておくことが必要でしょう。

また、つじつま合わせで、出勤日に年次有給休暇を重ねて、形式的に基準の総労働時間を超えるように計算するというのは、明らかに不合理な運用です。仕事を休んだ日に年次有給休暇を取得する形にしましょう。

 

<残業時間が多すぎるので年休を取り消す場合>

清算期間の最初のほうで年次有給休暇を取得したところ、その後の期間で想定外の残業が発生したために、労働時間が基準の総労働時間を大きく上回ってしまうことがあります。

この場合に、労働者のほうから年休の取得を取り消して、別の機会に使うことを申し出た場合に、これを認めるのもよい運用だと思います。

ただし、就業規則や労使協定に運用ルールを定めておくことが必要でしょう。

しかし、「今回は残業時間が多いから取り消しなさい」という話を、使用者である上司のほうから言うのは、労働者の年次有給休暇を取得する権利を侵害することになるのでダメです。

 

2016.08.28.

<職場で求められる協調性とは>

職場では、上司、同僚、部下、他部門との関係で、次のような協調性が求められます。

上司との連携は円滑か、報・連・相は適切か、上司の指示に忠実か、上司のミスをカバーしたか、上司の話に傾聴しているか、上司を批判していないか、上司に感謝しているか、などが問われます。

同僚との連携は円滑か、同僚のことも考えて業務を推進しているか、同僚のミスをカバーしたか、などが問われます。

部下との連携は円滑か、部下の誰をどこまで育てたか、部下をほめているか、部下からの相談に対し親身に取り組んでいるか、部下から感謝されているか、などが問われます。

他部門の業務に干渉していないか、自部門・他部門の改善提案は正しいルートで行っているか、などが問われます。

 

<譴責処分とは>

本人から会社へ始末書を提出させ、反省させる処分です。懲戒処分の中では軽いほうでしょう。

始末書には、不都合な事実の内容、そうした事実を生じたことに対する反省、再発防止策の提示、再発防止に向け努力することの約束を書きます。お詫びだけを長々と書くのでは、条件を満たしません。

 

<譴責処分の正当性>

譴責処分を受けたなら、始末書で約束した努力を続けつつ、気を取り直して業務に打ち込み、社内の信頼を回復するのが筋です。

しかし、どうにも納得がいかないという場合には、次の懲戒処分の有効要件を確認してみましょう。もちろん、就業規則や労働条件通知書などに具体的な規定があることは大前提です。

・労働者の行為と懲戒処分とのバランスが取れていること。

・事件が起きてから懲戒処分の規定ができたのではないこと。

・過去に懲戒処分の対象とした行為を、再度懲戒処分の対象にしていないこと。

・その労働者に説明するチャンスを与えていること。

・嫌がらせや退職に追い込むなど不当な動機目的がないこと。

・社内の過去の例と比べて、不当に重い処分ではないこと。

これらの条件は、数多くの裁判の積み重ねによって作られた「懲戒権濫用法理」という理論の具体的な内容を示したものです。条件を満たしていなければ、懲戒処分は無効となります。〔労働契約法15条〕

それどころか、会社は労働者から損害賠償の請求を受けることにもなります。

ただ、譴責処分を受けた本人は感情的になっていますから、会社が懲戒権を濫用したのかどうか、弁護士や特定社労士に客観的な判断を求めることが必要でしょう。

 

<人事考課との関係>

人事考課と懲戒処分とでは目的が違います。懲戒処分を受けたことを理由に、人事考課で一段低い評価を受けるというのは不合理です。

ただ、懲戒規定に協調性についてのものがあり、人事考課の基準にも協調性の有無が入っていると、それぞれ効力が認められます。

懲戒処分を受けるにあたって、本人には事情を説明するチャンスが与えられますから、このときに人事考課との関係も確認できるかもしれません。ただ、あまりこだわりを示すと心証を悪くしてしまいますので注意が必要です。

 

2016.08.27.

<面接シートの利用>

採用面接を実施するときには、確認もれを防いだり、聞いてはいけないことを聞かないようにして、効率よく行うことが必要です。

効率の悪い面接をしてしまうと、面接に時間がかかり、面接を担当する社員の人件費が余計にかかったり、応募者の印象を悪くしたりと、何もよいことはありません。

また、聞いてはいけないことを聞いてしまい、応募者が労基署に相談するようなことは防ぎたいものです。

やはり面接には、質問事項を列挙し回答欄を設けた面接シートが不可欠です。

 

<採用側の思惑>

企業としては、社会的責任を果たすためにも、障害者の採用には積極的でありたいものです。しかし、採用したならば平成284月に改正された障害者雇用促進法の趣旨に沿い、責任をもって様々な配慮をしなければなりません。

特に常用労働者数が100人を超える企業では、障害者雇用納付金の制度が適用されるため、障害者雇用率2.0%の達成も必要となってきます。

それでも、きちんと対応しきれない障害者を雇用することは、かえって無責任なことになってしまいます。

 

<応募側の期待>

一方で、障害のある応募者の企業に対する期待は様々です。障害を知られたくない応募者、すべてを明らかにして配慮を求めてくる応募者、どの程度の情報を示したら採用されやすくなるか探ってくる応募者、それぞれの思いがあるのです。

 

<応募側の権利>

基本的に、障害者であること、障害の内容・程度は、保護されるべき個人情報です。ですから応募者に対して、これらの情報を明らかにすることを義務付けるわけにはいきません。話の流れの中で、自然にこうした情報が示されるか、あるいは教えていただけるようにお願いすることになります。

 

<障害者採用時の面接シート>

応募者が予め障害者であることを告げてきて、了解のうえで採用面接をする場合には、専用の面接シートを作ることも考えられます。しかし、こうしたケースは例外的ですし、人事関連の業務では場合分けを多くすればするほど、効率が低下しミスも増えてしまいます。

応募の段階では障害のあることを示さない応募者が大半であることを考えると、面接シートは1種類に統一したいものです。

面接シートの終わりのほうに、「働くにあたって必要な配慮」の欄を設け、すべての応募者に対して「たとえば毎月特定の日に病院に行くためのお休みが必要であるとか、一緒に働く仲間に知っておいてほしいことなどありませんか?」という自然な質問を投げかけて、情報を引き出すようにしてはいかがでしょうか。

もちろん、面接の途中でご本人から話があった場合には、この欄に情報を書きとめておきます。

採用面接にあたっては、採用側の配慮が応募者に悟られないよう、さりげなく行うという一段上の配慮を心がけたいものです。

 

2016.08.26.

<助成金の額>

中小企業50万円 中小企業以外25万円

 

<受給できる事業主>

以下のすべてに該当する事業主です。

・雇用保険適用事業所の事業主であること。

・事業内職業能力開発計画を作成し、従業員に周知していること。

・職業能力開発推進者を選任していること。

・制度導入適用計画の提出日前6か月の間に雇用保険加入者を会社都合で退職させていないこと。

 

<助成金のねらい>

・職業能力を計画的に評価することにより、従業員の仕事のやりがいや向上心を高める。

・従業員が自分の持つ職業能力への理解を深めることにより、創意工夫して仕事に取り組む意識を高める。

・職業能力の評価を給与などの処遇に反映させることにより、従業員の評価に対する納得度を高める。

・職業能力の評価結果を活用して従業員の配置や処遇を決定することにより、適材適所や公正な処遇を実現できる。

 

<受給の条件>

従業員に対するジョブ・カードを活用した職業能力評価を計画的に行う制度を導入し実施すること。

ただし、雇用保険加入者の1割以上(小数点以下切り捨て)を適用対象とすること。

 

<変更にご注意>

助成金の内容は変更になることがあります。また、助成金そのものが廃止されることもあります。

このページ右側の「お勧めします」の中から「雇用関係助成金」を選んでいただくと、現在の助成金の内容をご確認いただけます。

 

2016.08.25.

<国籍にかかわらず日本に住んでいれば>

日本国内に居住している20歳以上60歳未満の人は、国民年金の被保険者(加入者)となります。

20歳になれば、厚生年金保険加入者や共済組合加入者、またはその配偶者に扶養されている人を除き、国民年金第1号の加入手続きをすることが必要です。

手続きは、居住地の市区役所または町村役場で行います。

また、国民年金第1号被保険者は毎月、保険料を納めることが必要です。

保険料を納めることが難しいときは、納付猶予制度や免除制度などがあります。この手続きをするとしないとでは、将来年金を受け取れるかどうか、また受給額に大きな差が出てきます。「払えないから放置」ではなくて、「払えないなら相談」を強くお勧めします。

 

<まずは「国民年金被保険者資格取得届書」を提出>

20歳の誕生月の前月に日本年金機構から送られる「国民年金被保険者資格取得届書」に必要事項を明記し、市区役所や町村役場または年金事務所に提出します。

このとき、保険料の納付猶予制度や学生納付特例制度の申請書を同時に提出することもできます。

 

<「年金手帳」が届きます>

保険料納付の確認や将来年金を受け取る際に必要です。大切に保管してください。

「年金手帳」は一人一冊を一生使います。厚生年金保険の被保険者(加入者)だった人、共済組合に加入していた人、障害・遺族年金を受給している人には送られません。

 

<「国民年金保険料納付書」が届きます>

納付書で保険料を納めてください。

ご自身の生年月日の前日が含まれる月の分からの保険料を納めることになります。法律上は、誕生日の前日に1歳年をとるので、法律上20歳になった月の分からということです。

保険料は金融機関のほか、コンビニエンスストアでの納付、電子納付もできます。また、口座振替やクレジット納付も可能です。

納付書は保険料の納付猶予などを申請した人にも送られています。

 

2016.08.24.

<必要な場合>

保険証や高齢受給者証を紛失したときだけでなく、印字が見にくくなったときも、「健康保険被保険者証再交付申請書」や「健康保険高齢受給者証再交付申請書」を保険者に提出することで、新しく発行してもらえます。

ここで保険者とは、協会けんぽなど健康保険を運営している機関のことで、保険証に表示されています。

なお、外出時の紛失や盗難の場合は、保険証の再交付よりもまずは警察署へ届け出ることを強くお勧めします。

 

<会社など事業所で働く人とその家族の場合>

勤務先を通じて「健康保険被保険者証再交付申請書」・「健康保険高齢受給者証再交付申請書」を保険者に提出します。

この用紙には、被保険者(保険加入者)記入欄と事業所記入欄の両方があります。

再交付した保険証等は、勤務先に郵送されます。

 

<任意継続で加入の人とその家族の場合>

勤務先を退職後、任意継続で健康保険に入っている場合には、加入者から保険者へ直接、「健康保険被保険者証再交付申請書」・「健康保険高齢受給者証再交付申請書」を郵送します。

その後、保険者から加入者に保険証が郵送されます。

 

2016.08.23.

<パワハラとは>

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係など職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与え、または職場環境を悪化させる行為をいいます。

 

<会社の立場から>

上記の定義によると、パワハラの加害者は「職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性」がある人です。つまり、会社の上司が加害者となって部下を攻撃したり、先輩が後輩に苦痛を与えるというのが、パワハラの基本的な構造となります。

会社としては、上司と部下、先輩と後輩との間にトラブルが発生すれば、ついつい会社に対する貢献度や経験年数を考えて、上司や先輩にあたる加害者の肩を持つ傾向が強くなってしまいます。

しかし、世間のパワハラに対する目は、年々厳しくなってきています。会社が加害者の味方を続ければ、マスコミやネット上の評判の低下から、定着率は低下し、そもそも求人広告に対する応募者が来なくなるでしょう。

会社としては、会社に対する貢献度や経験への評価はきちんとする一方で、加害者としての責任も追及する態度が求められます。

 

<パワハラの抽象性>

パワハラの定義は抽象的です。

一方で、加害者を処分するには、就業規則や労働条件通知書などに具体的な懲戒規定が必要です。つまり、懲戒規定がなかったり、抽象的すぎて具体的な言動がパワハラにあたるかどうか判断できなければ、加害者が処分されることはありません。注意されることすらないのです。

会社がパワハラ対策をきちんとするには、懲戒規定を読めばパワハラの具体的な定義と具体例がすぐわかるようにしておく必要があります。パワハラについての具体的な定義がない職場には、必ずパワハラがあると言っても過言ではないでしょう。

 

<被害者のとるべき行動>

パワハラ対策は会社の責任です。被害者としては、加害者が上司であれば、まず会社の担当部署に相談すべきです。また、加害者が先輩であれば上司に相談すべきです。基本的にパワハラの問題は、社内できちんと解決すべきだからです。一足飛びに労基署などに相談すると、会社も対応に困ってしまいます。

とはいえ、会社がきちんと対応できない場合には、会社が責任を負えないわけですから、労基署の総合労働相談コーナー、労働委員会、法テラスなどの機関や、弁護士、社労士などの専門家に相談することをお勧めします。

 

2016.08.22.

<労働条件の明示>

人を雇うときには、使用者が労働者に労働条件を明示することが必要です。労働契約は口約束でも成立するのですが、特に重要な項目については、口約束だけではなく、きちんと書面を交付する必要があります。〔労働基準法15条〕

書面の名称としては、労働条件通知書、雇い入れ通知書、雇用契約書、労働契約書などが一般的です。

ここで使用者とは、事業主または事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいいます。

 

<書面の交付による明示が必要な事項>

・契約はいつまでか(労働契約の期間に関すること)

期間の定めがある契約の更新についての決まり(更新があるかどうか、更新する場合の判断のしかたなど)

・どこでどんな仕事をするのか(仕事をする場所、仕事の内容)

・仕事の時間や休みはどうなっているのか(仕事の始めと終わりの時刻、残業の有無、休憩時間、休日・休暇、就業時転換〔交替制〕勤務のローテーションなど)

・賃金をどのように支払うのか(賃金の決定、計算と支払いの方法、締切りと支払いの時期)

・辞めるときのきまり(退職に関すること(解雇の事由を含む))

※労働契約を締結するときに、期間を定める場合と、期間を定めない場合があります。一般的に、正社員は長期雇用を前提として特に期間を定めず、アルバイトやパートタイマーなど短時間労働者は期間の定めがあることが多いです。

※これら以外の労働契約の内容についても、労働者と使用者はできる限り書面で確認する必要があると定められています。〔労働契約法42項〕

 

<労働契約の禁止事項>

労働法では、労働者が不当に会社に拘束されることのないように、労働契約を結ぶときに、会社が契約に盛り込んではならないことも定められています。

その主なものとしては、次の例があります。

・労働者が労働契約に違反した場合に違約金を支払わせることや、その額をあらかじめ決めておくこと。〔労働基準法16条〕

たとえば、「1年未満で会社を退職したときは、ペナルティとして罰金10万円」「会社の備品を壊したら1万円」などとあらかじめ決めてはなりません。これはあらかじめ賠償額について定めておくことを禁止するもので、労働者が故意や不注意で、現実に会社に損害を与えてしまった場合に損害賠償請求を免れるという訳ではありません。

・労働することを条件として労働者にお金を前貸しし、毎月の給料から一方的に天引きする形で返済させること。〔労働基準法17条〕

労働者が会社からの借金のために、辞めたくても辞められなくなるのを防止するためのものです。

・労働者に強制的に会社にお金を積み立てさせること〔労働基準法18条〕

社員旅行費など労働者の福祉のためでも、強制的に積み立てさせることは、その理由に関係なく禁止されています。ただし、社内預金制度がある場合など、労働者の意思に基づいて、会社に賃金の一部を委託することは厳格な法定の要件のもと許されています。

 

<採用内定>

採用内定により労働契約が成立したと認められる場合には、採用内定取消しは解雇に当たるとされています。

したがって、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上認められない場合は、採用内定取消しは無効となります。〔労働契約法16条〕

内定取消しが認められる場合には、通常の解雇と同様、労働基準法20条(解雇の予告)、22条(退職時等の証明)などの規定が適用されますので、使用者は解雇予告など解雇手続きを適正に行う必要があります。採用内定者が内定取消しの理由について証明書を請求した場合には、速やかにこれを交付する必要があります。

 

2016.08.21.

<職業病リスト>

労災保険制度は、労働者の業務上の理由によるケガ・病気、通勤に伴うケガ・病気に対して、必要な保険給付を行います。

ケガであれば業務によること通勤途上だったことが明確であるのに対して、病気となると業務や通勤によって発生したといえるかが判断しにくいものです。

そこで労災保険制度による補償の対象となる病気は「職業病リスト」にまとめられています。

この「職業病リスト」には、病気の範囲を明確にすることにより、被災者の労災補償請求を容易にし、事業主が災害補償義務を果たすようにする役割があります。

 

<職業病の選定基準>

業務と病気との間に客観的な因果関係が確立しているものが列挙されています。

これは、新しい医学的知見や病気の発生状況を踏まえ、定期的に見直しが行われています。最新のものは、平成25101日施行です。このときの改正で、新たに21の病気が追加されています。

 

<労災補償の対象となる病気>

「職業病リスト」にある病気については、業務に起因することが明らかな病気とされます。これによって、被災者は業務と病気との因果関係の証明の負担を軽減されるわけです。

「職業病リスト」にない病気については、被災者が困難な証明責任を負うことになります。しかし、業務と病気との因果関係が証明できれば、労災補償の対象となります。

 

<現在の「職業病リスト」>

〔労働基準法施行規則(昭和二十二年厚生省令第二十三号) 別表第一の二)

一 業務上の負傷に起因する疾病

二 物理的因子による次に掲げる疾病

1 紫外線にさらされる業務による前眼部疾患又は皮膚疾患

2 赤外線にさらされる業務による網膜火傷、白内障等の眼疾患又は皮膚疾患

3 レーザー光線にさらされる業務による網膜火傷等の眼疾患又は皮膚疾患

4 マイクロ波にさらされる業務による白内障等の眼疾患

5 電離放射線にさらされる業務による急性放射線症、皮膚潰瘍等の放射線皮膚障害、白内障等の放射線眼疾患、放射線肺炎、再生不良性貧血等の造血器障害、骨壊死その他の放射線障害

6 高圧室内作業又は潜水作業に係る業務による潜函病又は潜水病

7 気圧の低い場所における業務による高山病又は航空減圧症

8 暑熱な場所における業務による熱中症

9 高熱物体を取り扱う業務による熱傷

10 寒冷な場所における業務又は低温物体を取り扱う業務による凍傷

11 著しい騒音を発する場所における業務による難聴等の耳の疾患

12 超音波にさらされる業務による手指等の組織壊死

13 1から12までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他物理的因子にさらされる業務に起因することの明らかな疾病

三 身体に過度の負担のかかる作業態様に起因する次に掲げる疾病

1 重激な業務による筋肉、腱、骨若しくは関節の疾患又は内臓脱

2 重量物を取り扱う業務、腰部に過度の負担を与える不自然な作業姿勢により行う業務その他腰部に過度の負担のかかる業務による腰痛

3 さく岩機、鋲打ち機、チェーンソー等の機械器具の使用により身体に振動を与える業務による手指、前腕等の末梢循環障害、末梢神経障害又は運動器障害

4 電子計算機への入力を反復して行う業務その他上肢に過度の負担のかかる業務による後頭部、頸部、肩甲帯、上腕、前腕又は手指の運動器障害

5 1から4までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他身体に過度の負担のかかる作業態様の業務に起因することの明らかな疾病

四 化学物質等による次に掲げる疾病

1 厚生労働大臣の指定する単体たる化学物質及び化合物(合金を含む。)にさらされる業務による疾病であつて、厚生労働大臣が定めるもの

2 弗素樹脂、塩化ビニル樹脂、アクリル樹脂等の合成樹脂の熱分解生成物にさらされる業務による眼粘膜の炎症又は気道粘膜の炎症等の呼吸器疾患

3 すす、鉱物油、うるし、テレビン油、タール、セメント、アミン系の樹脂硬化剤等にさらされる業務による皮膚疾患

4 蛋白分解酵素にさらされる業務による皮膚炎、結膜炎又は鼻炎、気管支喘息等の呼吸器疾患

5 木材の粉じん、獣毛のじんあい等を飛散する場所における業務又は抗生物質等にさらされる業務によるアレルギー性の鼻炎、気管支喘息等の呼吸器疾患

6 落綿等の粉じんを飛散する場所における業務による呼吸器疾患

7 石綿にさらされる業務による良性石綿胸水又はびまん性胸膜肥厚

8 空気中の酸素濃度の低い場所における業務による酸素欠乏症

9 1から8までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他化学物質等にさらされる業務に起因することの明らかな疾病

五 粉じんを飛散する場所における業務によるじん肺症又はじん肺法(昭和三十五年法律第三十号)に規定するじん肺と合併したじん肺法施行規則(昭和三十五年労働省令第六号)第一条各号に掲げる疾病

六 細菌、ウイルス等の病原体による次に掲げる疾病

1 患者の診療若しくは看護の業務、介護の業務又は研究その他の目的で病原体を取り扱う業務による伝染性疾患

2 動物若しくはその死体、獣毛、革その他動物性の物又はぼろ等の古物を取り扱う業務によるブルセラ症、炭疽病等の伝染性疾患

3 湿潤地における業務によるワイル病等のレプトスピラ症

4 屋外における業務による恙虫病

5 1から4までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他細菌、ウイルス等の病原体にさらされる業務に起因することの明らかな疾病

七 がん原性物質若しくはがん原性因子又はがん原性工程における業務による次に掲げる疾病

1 ベンジジンにさらされる業務による尿路系腫瘍

2 ベーターナフチルアミンにさらされる業務による尿路系腫瘍

3 四―アミノジフェニルにさらされる業務による尿路系腫瘍

4 四―ニトロジフェニルにさらされる業務による尿路系腫瘍

5 ビス(クロロメチル)エーテルにさらされる業務による肺がん

6 ベリリウムにさらされる業務による肺がん

7 ベンゾトリクロライドにさらされる業務による肺がん

8 石綿にさらされる業務による肺がん又は中皮腫

9 ベンゼンにさらされる業務による白血病

10 塩化ビニルにさらされる業務による肝血管肉腫又は肝細胞がん

11 1,2-ジクロロプロパンにさらされる業務による胆管がん

12 ジクロロメタンによりさらされる業務による胆管がん

13 電離放射線にさらされる業務による白血病、肺がん、皮膚がん、骨肉腫、甲状腺がん、多発性骨髄腫又は非ホジキンリンパ腫

14 オーラミンを製造する工程における業務による尿路系腫瘍

15 マゼンタを製造する工程における業務による尿路系腫瘍

16 コークス又は発生炉ガスを製造する工程における業務による肺がん

17 クロム酸塩又は重クロム酸塩を製造する工程における業務による肺がん又は上気道のがん

18 ニッケルの製錬又は精錬を行う工程における業務による肺がん又は上気道のがん

19 砒素を含有する鉱石を原料として金属の製錬若しくは精錬を行う工程又は無機砒素化合物を製造する工程における業務による肺がん又は皮膚がん

20 すす、鉱物油、タール、ピッチ、アスファルト又はパラフィンにさらされる業務による皮膚がん

21 1から20までに掲げるもののほか、これらの疾病に付随する疾病その他がん原性物質若しくはがん原性因子にさらされる業務又はがん原性工程における業務に起因することの明らかな疾病

八 長期間にわたる長時間の業務その他血管病変等を著しく増悪させる業務による脳出血、くも膜下出血、脳梗塞、高血圧性脳症、心筋梗塞、狭心症、心停止(心臓性突然死を含む。)若しくは解離性大動脈瘤又はこれらの疾病に付随する疾病

九 人の生命にかかわる事故への遭遇その他心理的に過度の負担を与える事象を伴う業務による精神及び行動の障害又はこれに付随する疾病

十 前各号に掲げるもののほか、厚生労働大臣の指定する疾病

十一 その他業務に起因することの明らかな疾病

 

2016.08.20.

<原因の違いによる症状の違い>

食中毒の原因は、食中毒菌、ウイルス、化学物質などです。それぞれ種類が多く、食中毒の症状が出るまでの時間、日数は、この原因により異なります。短い場合には30分後ということもあり、長い場合には7日以上後ということもあります。

症状の違いは原因の違いによりますが、食中毒の一般的な症状としては、吐き気、嘔吐(おうと)、腹痛、下痢、発熱です。これらの症状すべてが出るとは限らず、このうち1つか2つの場合もあります。

食中毒が疑われる場合には、ためらわずに医師の診察を受けましょう。脱水状態になってしまうなど症状が激しい場合には、救急車を呼ぶことも考えましょう。

 

<ウイルスによる場合>

 最近では特に、ノロウイルスとカンピロバクターによる食中毒が増えています。ノロウイルスでは症状が出るまでに24時間~48時間、カンピロバクターでは25日と潜伏期間がやや長いのが特徴です。

 

<すぐに症状が出る場合>

黄色ブドウ球菌が産生するエンテロトキシンなど、細菌が増殖する際に作られる毒素による食中毒では、飲食したあとすぐに症状が出ることもあります。毒素は加熱しても減りませんから注意が必要です。また、炎天下に置き去りにされた牛乳が冷蔵庫で冷やされ、臭いや味の変化に気づきにくい状態で飲まれ、激しい症状が出るケースもあります。

フグや毒キノコなどの自然毒による食中毒では、摂取してからすぐに嘔吐などを発症する可能性があります。また、自然毒の場合には、麻痺(まひ)などの神経症状が出ることもあります。

 

<アレルギー体質の場合>

アレルギー体質のかたは、ヒスタミンに弱いので注意が必要です。

マグロやカツオなどの赤身の魚にはヒスチジンが含まれます。これはアミノ酸の一種ですが、細菌によりヒスタミンに変えられます。

ヒスタミンを多量に含んだ赤身の魚を食べると、頭痛や発疹、発熱などの症状が出る場合があります。

 

2016.08.19.

<労働条件の通知>

アルバイトでも、パートでも、人を雇った使用者は労働条件を書面で交付する義務があります。〔労働基準法15条〕

労働条件通知書、雇い入れ通知書、雇用契約書、労働契約書など名前はいろいろです。

名前はどうであれ、交付しないのは違法で30万円以下の罰金刑が規定されています。〔労働基準法120条〕

30万円の損失で済めばマシですが、マスコミやネットの書き込みの威力で、立ち直れなくなる可能性があります。

というのは労働条件が不明確なら、年次有給休暇の付与日数も取得した場合の給与計算の方法も不明です。月給制なら、残業手当の計算方法もわかりません。こうしたことから、労働条件を書面で交付しないのは、「年次有給休暇も残業手当もありません」と表明しているようなものだからです。

 

<就業規則>

労働者が10人以上になったら、労基署に届出が必要です。このことは、よく知られています。

しかし就業規則がないと、どんなに細かいことでも労働条件通知書などに記載しておかなければ効力がありません。労働者が知らないのに、これは会社のルールだと言っても通用しないのです。口頭で説明しても「聞いていません」「忘れました」と言われればアウトです。

また、就業規則や労働条件通知書に書いてなくても「法律通り」にすればよいと思う経営者の方々も多いようです。ところが、最近の法改正により「労使で協議して決める」とか、「3つの中から会社の実情に合わせて決める」という規定も増えてきました。ですから「法律通り」と言っても何も決まっていないことがあります。

特に懲戒処分については、何をやらかしたら、どんな懲戒処分になるかなどは、重要なのに法令には何も規定されていません。

こうしたことから、すべてを労働条件通知書などに書いておくことは、現実的ではありません。やはり一人でも人を雇ったら、就業規則が必要でしょう。

 

<三六協定>

会社は従業員に、1日実働8時間を超えて働かせてはなりません。また、日曜日から土曜日までの1週間で、実働40時間を超えて働かせてはなりません。〔労働基準法32条〕

この制限に違反すると、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金に処せられます。〔労働基準法119条〕

しかし会社は、労働組合や労働者の過半数を代表する者と書面による協定を交わし、これを労働基準監督署に届け出た場合には、協定の定めに従って18時間を超え、また週40時間を超えて従業員に働かせても罰せられないのです。

このことが、労働基準法36条に規定されているため、ここで必要とされる協定のことを三六協定と呼んでいます。

たとえば、ある会社の正社員の所定労働日数が週4日で、1日の所定労働時間が6時間ならば、1週間の所定労働時間は24時間です。すると、どの日も2時間以上の残業はありえず、どの週も16時間以上の残業はありえないというのなら、三六協定は不要です。なぜなら、この協定は法定労働時間を超える場合に必要となるので、所定労働時間を超える場合でも法定労働時間以内なら必要がないということになるからです。

とはいえ、ほとんどの会社がそうであるように、18時間週5日勤務の社員がいる会社では、三六協定書の作成と労基署への届出は必須です。

 

2016.08.18.

<事件として報道されるキッカケ>

飲食店の素直なアルバイトAくんが店長に呼ばれます。

店長「売り上げが下がっているのでキミには辞めてもらうことになった」

Aくん「はい、わかりました」

翌日、Aくんは親戚のおじさんに、アルバイトをクビになった話をします。

おじさん「解雇予告手当は?もらっていないなら労基署に相談だな」

Aくん「はい、わかりました」

Aくんが労基署の監督官に事情を話します。

監督官「時給は?1日と1週間の所定労働時間は?書類をもらったでしょ」

Aくん「時給はたしか950円です。所定…とか、書類とかはありません」

こうして、労基署はアルバイト先の店舗に連絡し、さらに調査に入ります。

この飲食店がチェーン店だと、本社や各店舗に調査が入り、報道機関の知るところとなる可能性があります。

キッカケは、こんなものです。アルバイトのAくんが無知で素直でも、家族や親戚までがすべてそうだとは限りません。

 

<なぜそんなことになるのか?>

アルバイトでも、パートでも、人を雇った使用者は労働条件を書面で交付する義務があります。〔労働基準法15条〕

労働条件通知書、雇い入れ通知書、雇用契約書、労働契約書など名前はいろいろです。

名前はどうであれ、交付しないのは違法で30万円以下の罰金刑が規定されています。〔労働基準法120条〕

30万円の損失で済めばマシです。マスコミやネットの書き込みの威力で、1店舗だけでなく会社全体が立ち直れなくなる可能性があります。

 

<なぜバレるのか?おおごとになるのか?>

所定労働時間が決まっていなければ、解雇予告手当だけでなく、年次有給休暇を取得した場合の賃金計算や、残業した時の割増賃金の計算ができません。

つまり、所定労働時間が決まっていないアルバイトについては、会社が有給休暇を与える気もなく、残業手当を払う気もないのだということが、労基署にはバレバレなのです。調査に入るのは当然でしょう。

 

<どうしたらよいのか?>

飲食店では、アルバイトが2時間勤務の日もあれば10時間勤務の日もあるというシフトのことがあります。アルバイトやお店の都合で、1週間全く勤務しないことも週6日勤務することもあります。

このような場合には、固定した所定労働時間を決めることができません。

しかし、実態に合わせて平均値で規定しても、有給休暇や残業手当の計算は可能となります。

たとえば、「9:00から21:00の間で実働平均5時間」「週平均3.5日勤務」としておき、実態と大きく離れたら、書面を作り直して交付すればよいのです。

これで、アルバイトの年次有給休暇の付与日数についても、迷うことはありません。有給休暇の取得については、労働基準法の改正も予定されています。1週間の所定勤務日数と所定労働時間が決まっていないので、付与日数すらわからないという危険な状況は解消しておきたいものです。

A4判で両面印刷すれば、1人の労働者に交付する書面は、たったの1枚で済みます。これを怠るのは、そのリスクを考えると得策ではないでしょう。

 

2016.08.17.

<助成金の額>

対象労働者に支払われた賃金の一部に相当する額として、支給対象期(6か月)ごとに支給されます。

※ 平成28年3月31日までに雇い入れた場合は、支給額が異なります。

※( )内は中小企業以外の企業に対する支給額です。

対象労働者

支給額

支給対象期ごとの支給額

短時間労働者以外

70(60)万円

35(30)万円 × 2期

短時間労働者

50(40)万円

25(20)万円 × 2期

 

<受給できる事業主>

以下のすべてに該当する事業主です。

・雇用保険の適用事業主であること

・対象労働者をハローワーク、地方運輸局、適正な運用を期することのできる有料・無料職業紹介事業者または無料船員職業紹介事業者の紹介により、1週間の所定労働時間が20時間以上の労働者として雇い入れる事業主であること

・対象労働者を1年以上継続して雇用(期間の定めのない雇用または1年以上の契約期間の雇用)することが確実であると認められる事業主であること

・対象労働者の雇入れ日の前後6か月間(以下「基準期間」という)に事業主の都合による従業員の解雇(勧奨退職を含む)をしていないこと

・基準期間に倒産や解雇など特定受給資格者となる離職理由の被保険者数が対象労働者の雇入れ日における被保険者数の6%を超えていない(特定受給資格者となる離職理由の被保険者が3人以下の場合を除く)こと

・対象労働者の出勤状況および賃金の支払い状況等を明らかにする書類(労働者名簿、賃金台帳、出勤簿など)を整備・保管し、管轄労働局長の求めに応じ提出または提示する、管轄労働局が行う実地調査に協力するなど、助成金の支給または不支給の決定に係る審査に協力する事業主であること

・対象労働者の雇入れ日よりも前に特定就職困難者雇用開発助成金の支給決定の対象となった者のうち、雇入れ日から起算して1年を経過する日(以下「確認日A」という)が基準期間内にある者が5人以上いる場合であって、それらの者が、確認日Aの時点で離職している割合が50%を超えていないこと

・対象労働者の雇入れ日よりも前に特定就職困難者雇用開発助成金の支給決定の対象となった者のうち、助成対象期間の末日の翌日から起算して1年を経過する日(以下「確認日B」という)が基準期間内にある者が5人以上いる場合であって、それらの者が、確認日Bの時点で離職している割合が50%を超えていないこと

・対象労働者の雇入れ日よりも前に高年齢者雇用開発特別奨励金の支給決定の対象となった者のうち、確認日Aが基準期間内にある者が5人以上いる場合であって、それらの者が、確認日Aの時点で離職している割合が50%を超えていないこと

・対象労働者の雇入れ日よりも前に被災者雇用開発助成金の支給決定の対象となった者のうち、確認日Aが基準期間内にある者が5人以上いる場合であって、それらの者が、確認日Aの時点で離職している割合が50%を超えていないこと

 

<助成金のねらい>

高年齢者の雇用を促すものです。

 

<受給の条件>

以下のいずれにも該当しないことが受給するための条件となります。

・ハローワーク等の紹介以前に雇用の予約があった対象労働者を雇い入れる場合

・助成金の支給対象期間の途中または支給決定までに、対象労働者を事業主の都合により離職(解雇、勧奨退職、事業縮小や賃金大幅低下、事業所移転などによる正当理由自己都合退職など)させた場合

・雇入れ日の前日から過去3年間に、その雇入れに係る事業所と雇用、請負、委任の関係にあった者、または出向、派遣、請負、委任の関係により当該雇入れに係る事業所において就労したことのある者を雇い入れる場合

・雇入れ日の前日から過去3年間に、その雇入れに係る事業所において、通算して3か月を超えて訓練・実習等を受講等したことがある者を雇い入れる場合

・雇入れ日の前日から過去3年間に、対象労働者と雇用、請負、委任の関係にあった事業主、出向、派遣、請負、委任の関係により対象労働者を事業所において就労させたことがある事業主、対象労働者が通算して3か月を超えて受講等したことがある訓練・実習等を行っていた事業主と、資本的・経済的・組織的関連性などからみて密接な関係にある事業主がその対象労働者を雇い入れる場合

・対象労働者が、雇入れ事業主の事業所の代表者または取締役の3親等以内の親族(配偶者、3親等以内の血族及び姻族)である場合

・雇入れ日の前日から過去3年間に職場適応訓練(短期の職場適応訓練を除く)を受けたことのある者をその職場適応訓練を行った事業主が雇い入れる場合

・支給対象期における対象労働者の労働に対する賃金を、支払期日を超えて支払っていない場合(時間外手当、休日出勤手当など基本給以外の手当などを支払っていない場合を含む)

・ハローワークなどの紹介時点と異なる条件で雇い入れた場合で、対象労働者に対し労働条件に関する不利益、または違法行為があり、かつ、当該対象労働者から求人条件が異なることについての申し出があった場合

・奨励金の申請を行う際に、雇入れに係る事業所において成立する保険関係に基づく前年度より前のいずれかの年度に係る労働保険料を滞納している場合

・偽りその他の不正行為により本来受けることのできない助成金などを受け、または受けようとしたことにより3年間にわたる不支給措置が取られている場合

・労働関係法令の違反を行っていることにより助成金を支給することが適切でないものと認められる場合

・高年齢者雇用確保措置を講ずべきことの勧告を受けた場合

・性風俗関連営業、接待を伴う飲食など営業またはこれらの営業の一部を受託する営業を行っており、接待業務などに従事する労働者として雇い入れる場合

・暴力団に関係している場合

・支給申請日または支給決定日の時点で倒産している場合

 

<変更にご注意>

助成金の内容は変更になることがあります。また、助成金そのものが廃止されることもあります。

このページ右側の「お勧めします」の中から「雇用関係助成金」を選んでいただくと、現在の助成金の内容をご確認いただけます。

 

2016.08.16.

<受給資格が確認できた人には>

65歳から老齢基礎年金、老齢厚生年金(厚生年金保険・船員保険の加入期間がある人)の受給権(年金を受け取る権利)が発生する人に対して、60歳到達月の3か月前に、年金の受給資格がある旨および特別支給の老齢厚生年金の受給権について記載した「年金に関するお知らせ」というハガキが日本年金機構からご本人あてに郵送されます。

 

<受給資格が確認できない人には>

日本年金機構が基礎年金番号で管理する年金加入記録のみでは、老齢基礎年金の受給資格(期間要件)が確認できない人に対し、60歳到達月の3か月前に、年金加入期間の確認、年金請求の手続きなどをお知らせする「年金に関するお知らせ」というハガキが日本年金機構からご本人あてに郵送されます。

 

<ハガキが届かない場合には>

60歳になる人には、60歳に到達する3か月前に日本年金機構から「年金請求書(事前送付用)」または「年金に関するお知らせ(ハガキ)」が郵送されます。

どちらも届かない場合、日本年金機構に登録されている住所地が現住所と異なるなどの理由から、届いていない可能性があります。

届かない場合には、お近くの年金事務所にお問い合わせください。

 

2016.08.15.

<退職後の健康保険>

職場で健康保険に入っていた人が退職すると、次のいずれかに加入する手続きが必要です。

1.任意継続健康保険

加入していた健康保険の保険者(協会けんぽなど)が窓口です。

2.国民健康保険 

お住まいの市区町村の国民健康保険担当窓口で手続きします。

3.家族の健康保険の被扶養者(扶養家族)

家族が加入する健康保険の保険者(保険証に書いてあります)にお尋ねください。

 

<健康保険の任意継続>

退職や労働時間の短縮などによって健康保険(全国健康保険協会管掌健康保険)の被保険者の資格を喪失したときに、一定条件のもとに個人の希望(意思)により、個人で継続して加入できる制度です。

任意継続の保険料は、退職時の標準報酬月額に基づいて決定され、保険料は原則2年間変わりません。また、被扶養者(扶養家族)の保険料はかかりません。

 

<国民健康保険の保険料(保険税)>

国民健康保険の世帯人員数や前年の所得などに応じて決定されます。また、保険料の減免制度があります。

市区町村によって保険料(保険税)の算定方法が異なります。お住まいの市区町村の国民健康保険担当窓口にお問い合わせください。

 

<健康保険の任意継続の保険給付>

傷病手当金と出産手当金を除き、原則として在職中に受けられる保険給付と同様の給付を受けることができます。

※傷病手当金と出産手当金は、任意継続の加入とは関係なく、在職中からの継続給付の要件を満たす場合に限り給付対象となります。

 

2016.08.14.

<労働法は労働者の味方>

労働基準法には労働者に対する罰則がないことからもわかるように、労働基準法をはじめとする労働法は労働者の保護を徹底しています。

したがって、その解釈にあたっても、労働者に明らかな権利濫用があったとか、世間の反感を買うような不誠実な態度が見られたとか、特別な事情がない限りは「労働者は悪くない」という解釈になります。

 

<労働者が勝手に残業している場合>

残業というのは、使用者の命令に応える形で行われるものです。ですから、労働者が勝手に行った残業に対して、使用者が賃金の支払義務を負うというのでは、人件費のコントロールはむずかしくなります。

ところが、労働者が勝手に残業したのに対して、「自分の勝手な判断で残業してはならない」ということを徹底的に指導しなければ、「会社が残業を黙認した」ということになり、残業代を支払わなければなりません。

これを防ぐには、就業規則に「自分の勝手な判断で残業してはならない」ということをきちんと規定し、違反した場合には、始末書をとって反省してもらう譴責(けんせき)処分などの懲戒規定が必要となることもあるでしょう。あるいは、人事考課の対象とすることも考えられます。

また、どのような場合に残業が必要か、包括的な基準と具体的な基準を書面化して労働者に示し教育しておく必要があります。これをしておかないと、上司の命令がなければ一切残業できないということになり不都合だからです。

 

<労働者がタイムカードの打刻を怠っているとき>

労基署はタイムカードなどの出勤退出の時刻を基準に、労働時間を正しく計算し直すよう求めてきます。ですから、労働者がきちんと打刻していなければ、計算できません。これは、労働者の自業自得であるようにも思えます。

ところが、きちんとタイムカードを打刻するように指導し、打刻もれがあれば、その都度正しい時刻を確認するのが、会社の責任だとされます。そして、労働者から「この日は23時頃まで残業した」「先月の日曜日はいつも4時間程度休日出勤した」という申し出があれば、基本的にはこれを信じて計算しなければなりません。

これを防ぐには、打刻の指導と、就業規則に打刻義務を規定し、必要に応じて懲戒処分についても規定を置き、人事考課の対象とすることも考えられます。

一般に、残業手当をきちんと支払わない職場では打刻もれが目立ちます。ですから、打刻もれが多いという点については、労基署の監督官も注目します。これは大きな注意ポイントでしょう。

 

<労働者がタイムカードを不正に打刻しているとき>

労働者が出勤直後にタイムカードを打刻せず、しばらく働いてから本来の出勤時刻に打刻するという不正があります。また、タイムカードを打刻してから残業するという不正もあります。

場合によっては、ミスの多い社員や加齢によって生産性の低下した社員が、能力不足をカバーするために自主的に行っていることもあるでしょう。

ところが客観的に見ると、これは会社が得をして、労働者が損をする行為です。そのため労基署の監督官は、会社が労働者に対して不正な打刻を強要しているのではないかと疑ってしまいます。

これを防ぐには、打刻を怠っている場合の対応に加えて、きちんとした評価基準の設定と、正しい人事考課が必要です。生産性の低い労働者については、同期の社員よりも基本給や時給が低いのは当然なことなのです。厳しい話ですが、これをきちんとしないと本人も苦しいですし、労基署からは違法行為を指摘されてしまいます。

 

<労働者に落ち度があって未払い賃金の支払が不要な場合とは>

残業が必要となる場合の基準を明確に示し教育して、労働者の個人的な判断による勝手な残業や休日出勤を禁止し、違反者に対する懲戒や人事考課の評価を落とすことも行っている会社で、教育されても注意されても懲戒処分を繰り返されても、身勝手な自主残業をやめない労働者に対しては、その部分の賃金支払い義務が発生しない場合もあるでしょう。

タイムカードを打刻しなかったり不正に打刻したりの場合にも、同様に考えてよいでしょう。

ただ、こうした社員を会社が放置しておくというのは、いかにも不自然です。解雇の対象になると思われるからです。

こうしてみると、解雇されずに働いている社員について、労基署から賃金未払いを指摘されたら、会社としては支払わねばならないのが当然ともいえます。

 

2016.08.13.

<基本手当日額とは>

厚生労働省は、81日(月)から雇用保険の「基本手当日額」を変更しました。

雇用保険の基本手当(昔の失業手当)は、労働者が離職(退職)した場合に、失業中の生活を心配することなく再就職活動ができるように支給するものです。

「基本手当日額」は、離職前の賃金を基に算出した1日あたりの支給額をいい、給付日数は離職理由や年齢などに応じて決められています。

 

<変更の理由>

今回の変更は、平成27年度の平均給与額(「毎月勤労統計調査」による毎月決まって支給する給与の平均額)が平成26年度と比べて約0.43%低下したことに伴うものです。

この見直しは、基本的に毎年81日に行われます。

 

<具体的な変更内容>

基本手当日額の最高額が引き下げられ年齢ごとに以下のようになりました。

年齢

変更前

変更後

引き下げ額

60歳以上65歳未満

6,714 円

6,687 円

-27円

45歳以上60歳未満

7,810円

7,775 円

-35円

30歳以上45歳未満

7,105 円

7,075 円

-30円

30歳未満

6,395 円

6,370 円

-25円

基本手当日額の最低額も引き下げられ年齢に関係なく以下のようになりました。

最低額 1,840円 → 1,832円(-8円)

 

2016.08.12.

<健康保険より有利な労災保険>

労災保険では、労働者が業務または通勤が原因で負傷したり、病気にかかった場合に、労働者の請求に基づき、治療費の給付などを行っています。

しかし、業務または通勤が原因と考えられるにもかかわらず、労災保険による請求を行わず、健康保険を使って治療を受けるケースがあります。

これは、労働者に不利です。

健康保険では、被災者が原則として治療費の3割を負担しますが、労災保険なら、被災者の自己負担は原則としてありません。

また、負傷や病気で休んだ場合、健康保険の傷病手当金では賃金の約67%の補償となりますが、労災扱いならば賃金の80%が補償されます。

さらに、業務災害であれば、休業の3日目まで事業主が賃金の60%以上を補償します。

 

<労災保険に切り替え可能な場合>

受診した病院の締め日などの関係で、健康保険から労災保険への切り替えが簡単にできる場合には、次の手順によります。

・病院の窓口で支払った金額が返還

・労災保険の様式第5号または様式第16号の3の請求書を受診した病院に提出

 

<労災保険への切り替えができない場合>

受診した病院の締め日などの関係で、健康保険から労災保険への切り替えが簡単にできない場合には、次の手順によります。

・一度、医療費の全額を自己負担した上で労災保険に請求

・全国健康保険協会などへ業務災害または通勤災害である旨を申し出る

・「負傷原因報告書」の記入・提出(不要な場合もあり)

・全国健康保険協会などから医療費返納の通知と納付書が届く

・近くの金融機関で返納金を支払う

(健康保険が使えないのに使ってしまったため返金が必要となります)

・返納金の領収書と病院に支払った窓口一部負担金の領収書を添えて、労災保険の様式第7号または第16号の5を記入のうえ、労働基準監督署へ医療費を請求

 

<結論として>

間違った手続をやり直すのは、大変になってしまうことが多いものです。最初から必要な手続きをきちんと確認しましょう。

また、事業主の都合で、労災なのに健康保険の手続きを進めようとすることがあります。これ自体もちろん犯罪です。

そして、ケガが悪化して長く入院するような場合には、労働者の負担がとても大きくなります。

困ったときは、早めに所轄の労働基準監督署か社労士などに相談しましょう。

 

2016.08.11.

<特定保健指導とは>

生活習慣病予防健診(健康保険加入者向け)や特定健康診査(扶養家族向け)の結果から、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)のリスクが高いと判断された40歳以上の人に、保健師などが生活習慣改善のアドバイスを行うものです。

あくまでもメタボ予備軍に対する指導です。すでにメタボと認定された人には治療が必要です。予備軍からメタボに転落しないように指導するわけです。

ですから、この指導を受けるのは恥ずかしいことではありません。指導を受けずにメタボになってしまうことのほうが恥ずかしいのです。

 

<特定保健指導を受けるときの費用>

健康保険加入者(被保険者)は無料です。

扶養家族(被扶養者)については実施機関によって異なります。

費用については、協会けんぽ支部ホームページの「特定保健指導実施機関一覧(ご家族)」で確認できます。

 

<特定保健指導を受ける手続き>

健康保険加入者(被保険者)は、勤務先を通じて協会けんぽに申し込みます。

勤務先によって、マンツーマンの指導であったり、講義形式であったりします。

扶養家族(被扶養者)には、特定保健指導の対象となる場合に限り、自宅に「特定保健指導利用券」が郵送されます。届いたら、近所の特定保健指導実施機関に申し込みます。

 

2016.08.10.

<両者の優劣>

ノーワーク・ノーペイの原則は、法令には直接の根拠がないものの、労働契約の性質から当然のこととして認められています。つまり、労働者が働かなければ雇う側に賃金の支払義務は発生しないということです。

ところがこの原則をそのまま就業規則にとり入れず、たとえば生理休暇を有給にするとか、欠勤控除をしないルールとすることは、労働者に有利となりますので、労働基準法などに違反するものではありません。

そして就業規則に、法令の基準よりも労働者に有利な内容を定めた場合には、法令の基準を理由に労働条件を低下させることが許されなくなります。〔労働基準法12項〕

以上のことから、就業規則が優先されるということになります。

 

<就業規則に定めた基準の引き下げ>

しかし、一度就業規則に定めたなら、その条件を引き上げることはできても、引き下げることは一切許されないというのでは困ります。

なぜなら、その規定が時代に合わなくなったり、運用が不合理になったりということは現実に起こりうるからです。

たとえば就業規則上、生理休暇を有給にして、その取得にあたっては事後の口頭による申し出でもOKというルールだったとします。

年々生理休暇の取得が増え、今では月平均1人あたり10日も使われているとしたらどうでしょう。50代、60代の女性でも月5日程度なら普通に生理休暇が認められているとしたら、男性社員との間で不平等が生じているといえるでしょう。

この場合、休暇の取得にあたって業務に耐えないという医師の証明を必要とするとか、口頭ではなく申請書を提出するとか、合理的な範囲内での制約を検討する余地はあるでしょう。

同様にたとえば就業規則上、欠勤控除がない職場で遅刻・早退・欠勤が多かったらどうでしょう。まじめに皆勤している社員は、士気が低下してしまうかもしれません。

こうした状況に陥るのを防ぐため、新たに欠勤控除の規定を設けることも検討する余地はあるでしょう。

 

<不利益変更のルール>

とはいえ、会社の都合で自由に就業規則を変更できるわけではありません。

使用者は原則として、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできません。〔労働契約法9条〕

たしかに、就業規則を労働者に不利益に変更するのであれば、ひとり一人にきちんと説明したうえで、合意を得るのが理想でしょう。

そうもいかない場合であれば、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであることが客観的に認められることが必要です。〔労働契約法10条〕

この場合であっても、労働者にもれなく説明し、期間的な余裕をもって変更したいものです。

 

2016.08.09.

<契約更新可能性の明示義務>

使用者が新人を期間を定めて雇用する場合、つまり有期労働契約で採用する場合、その契約の更新可能性の有無を明示しなければなりません。

完全に期間限定で、延長することがあり得ないのであれば「契約更新の可能性なし」と明示すればOKです。

しかし、契約期間を延長する可能性がある場合には「契約更新の可能性あり」と明示したうえで、契約を更新する場合またはしない場合の判断基準を明示しなければなりません。

 

<判断基準の明示>

厚生労働省は、明示すべき「判断の基準」の具体的な内容として、次の例を参考にするよう指導しています。

・契約期間満了時の業務量により判断する

・労働者の勤務成績、態度により判断する

・労働者の能力により判断する

・会社の経営状況により判断する

・従事している業務の進捗状況により判断する

 

<労働条件通知書の場合>

使用者は労働者の雇い入れにあたって、労働条件を書面で通知しなければなりません。

使用者が労働者に対して一方的に通知する書面として「労働条件通知書」があります。厚生労働省から「モデル労働条件通知書」も公表されています。

これは、使用者から労働者に対する通知の形をとっていますから、契約更新の有無を判断する基準として、たとえば「労働者の能力により判断する」と明示してある場合には、労働者の能力を判断するのは、この文書を作成した使用者側であるといえます。

さらにトラブルを避けようとするのであれば、「会社が労働者の能力を評価して判断する」と明示すればよいでしょう。

 

<労働契約書(雇用契約書)の場合>

会社によっては、労働契約書を交わして労働条件を明示しています。

契約書は、当事者の意思表示の合致を書面にしたものです。

ですから、労働契約書の契約更新の条件のところに「労働者の能力により判断する」と書いてある場合には、契約書には使用者と労働者双方の名前が入っていて、この文書は共同で作成したという形式をとっているので、必ずしも使用者が単独で判断するのが当然ということにはならず、労働者の意見も反映されるべきではないかという疑問が出されうることになります。

特に労働者が契約更新を期待していたのに、会社が更新しなかった場合には、能力の評価について意見の対立が生じうることになります。

ですから、労働条件の明示に契約書の形式をとるのであれば、「会社が労働者の能力を評価して判断する」というように、判断者を明示することが必須となります。

ちょっとしたことですが、紛争の発生を予防するための大きなポイントといえるでしょう。

 

2016.08.08.

<助成金の額>

助成内容と受給できる金額

大企業

中小企業

 休業を実施した場合の休業手当または教育訓練を実施した場合の賃金相当額、出向を行った場合の出向元事業主の負担額に対する助成(率)

※ 対象労働者1人あたり 7,810円が上限(平成27年8月1日現在)

1/2

2/3

 教育訓練を実施したときの加算(額)

1人1日当たり1,200円

※ 支給限度日数は1年間で100日、3年間で150

 

<受給できる事業主>

雇用調整助成金は、景気の変動、産業構造の変化などに伴う経済上の理由によって事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、一時的に休業等(休業および教育訓練)または出向を行って労働者の雇用の維持を図る場合に、休業手当、賃金などの一部を助成するものです。

教育訓練を実施した場合には、教育訓練費が加算されます。

 

<助成金のねらい>

やむをえず事業活動を縮小した事業主が、労働者の雇用を維持するために、労働者に休業手当を支払い、教育訓練を行い、または出向を行うことを促すものです。

 

<主な受給の条件>

・最近3か月の生産量、売上高などの生産指標が前年同期と比べて10%以上減少していること。

・雇用保険被保険者数および受け入れている派遣労働者数の最近3か月間の月平均値の雇用指標が前年同期と比べ、大企業の場合は5%を超えてかつ6人以上、中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上増加していないこと。

・実施する休業などおよび出向が労使協定に基づくものであること。(計画届とともに協定書の提出が必要)

・過去に雇用調整助成金または中小企業緊急雇用安定助成金の支給を受けたことがある事業主が新たに対象期間を設定する場合、直前の対象期間の満了の日の翌日から起算して1年を超えていること。

 

<変更にご注意>

助成金の内容は変更になることがあります。また、助成金そのものが廃止されることもあります。

このページ右側の「お勧めします」の中から「雇用関係助成金」を選んでいただくと、現在の助成金の内容をご確認いただけます。

 

2016.08.07.

<保険料の納付期限>

厚生年金保険料、健康保険料、船員保険料、児童手当拠出金は、翌月末が納付期限となっています。

口座振替または納入告知書により納付することになっています。

 

<納付期限までに納付されない場合>

電話や文書によって年金事務所などへの来所を求め、また、事業所を訪問し、納付督励を行い早期の完納を促します。

さらに、厚生年金保険料などを納付期限までに納めない事業所に対しては、督促状を送付するとともに、電話などによる納付督励を行います。督促状で指定した期限までに完納されない場合、滞納保険料などを回収するための滞納処分に入ります。

なお、事業所の実情によっては、分割納付による完納を認め、早期に完納される場合は、指定した期限を過ぎても滞納処分は猶予されます。

しかし、納付督励によって完納の見込が立たない場合には、財産調査を行い、必要に応じ滞納処分(差押え・換価)を行います。

なお、滞納額が高額で悪質な滞納事業所については、国税庁に徴収を委任する仕組みがあります。

 

<滞納処分の流れ1 納付指導>

納付指導により作成する納付計画は、原則として毎月分の保険料の納付と、滞納している保険料の分割納付により、できるだけ早期に滞納が解消されるような計画とします。分割の金額については、事業の経営状況などを踏まえ、適切と考えられる金額に設定するようにしています。

 

<滞納処分の流れ2 財産調査>

財産調査は、取引先金融機関に預金残高の確認を行うほか、必要に応じ取引先企業全般に対し売掛金などの債権の有無を調査します。

また、滞納事業所の不動産など、財産全般についても調査を行います。

 

<滞納処分の流れ3 差押え・換価>

財産調査の結果把握した不動産、預金、売掛金債権などについて、必要に応じ差押えを行います。

預金や売掛などの債権類については速やかに取り立てて収納し、不動産などで換価が必要なものは、公売によって金銭化した後に保険料などとして収納します。

 

<滞納処分の流れ4 滞納整理の国税庁委任>

納付指導に従わないなど悪質な滞納事業所については、国税庁に保険料などの徴収を委任することができるようになっています。

 

<延滞金>

厚生年金保険料などを滞納し、督促状の指定期限日までに完納しないときは、納期限の翌日から完納の日の前日までの期間の日数に応じ、保険料額(保険料額に1,000円未満の端数があるときは、その端数を切捨て)に一定の割合を乗じて計算した延滞金が徴収されます。

最初の3か月:年利2.8%(平成27年)

3か月超の期間:年利9.1%( 〃 )

 

2016.08.06.

<現物給付とは>

健康保険では、保険医療機関の窓口に保険証を提示して診療を受ける現物給付が原則ですが、やむを得ない事情で現物給付を受けることができないときや、治療のために装具が必要になったときなどは、かかった医療費の全額を一時立替払いし、あとで請求して療養費(被扶養者の場合は家族療養費)として、払い戻しを受けることができます。

保険証を提示して診療を受けると3割負担で済むというのが実感ですが、健康保険で7割は現物の診療が給付されたと考えます。

父親が母親の外出中に子供の発熱に気づき、あわてて病院につれて行って保険証を忘れた場合、かかった医療費の全額を一時立替払いし、あとで家族療養費を請求します。

腰痛のため医師が必要を認めてコルセットを使うことになった場合、コルセットを作り販売する業者に、直接には健康保険が適用されません。この場合にも、かかった医療費の全額を一時立替払いし、あとで請求して療養費として、払い戻しを受けることができます。

 

<払い戻される療養費の範囲>

療養費は、必ずしも支払った医療費の全額が払い戻されるわけではありません。被保険者(保険加入者)や被扶養者(扶養家族)が保険医療機関で保険診療を受けた場合を基準に計算した額(実際に支払った額が保険診療基準の額より少ないときは、実際に支払った額)から一部負担金相当額を差し引いた額が払い戻されます。また、健康保険で認められない費用は除外されます。

 

2016.08.05.

<対象となるケース>

上司からパワハラを受け、精神的に参ってまともに出勤できない状態にされ、退職を迫られてやむなく応じ、自己都合退職扱いにされるという場合の上手な闘い方です。

あってはならないケースですが、パワハラの定義すら就業規則にない会社では、誰もパワハラを止めることができず犠牲者が後を絶ちません。

 

<最初に思いつくのは>

こんなとき被害者が精神的に回復すると、あのパワハラ上司を訴えてやろうという気持ちになりがちです。

パワハラそのものを理由に、損害賠償を請求しようと思うと、労働者の側でパワハラの存在と、それによってこうむった損害額を証明しなければなりません。

 

<証明責任(挙証責任)>

裁判で訴える側がAという事実の存在を主張し、訴えられた側がその存在を否定したとします。裁判所は、どちらが真実か証明がつかないからといって、裁判を拒否できません。

そこで、あらかじめ法令やその解釈によって、Aという事実の証明について、訴える側と訴えられた側のどちらが責任を負うかが決まっています。

そして、その責任を負う人が証明に失敗すると、自分の主張が通らないという不利な扱いを受けるのです。

 

<パワハラを証明することの困難>

パワハラで損害賠償を請求するというのは、法律上は加害者に対する不法行為責任の追及ということになります。

そして、その証明責任は被害者である労働者にあるのです。

上司が人前で殴ったり蹴とばしたりすれば、証人がいるでしょう。しかし目撃者が、退職した労働者のために証言してくれるとは限りません。

ましてや電話でのやり取りや、会議室で二人きりで話していてどなられたことなどは、とうてい証明できないでしょう。

 

<視点を変えれば>

このケースでは、パワハラの問題もあるのですが、不当解雇の側面もあります。

労働者が不当解雇を主張し、解雇は無効であって会社に行けなかった間の賃金の補償や慰謝料を会社に求めた場合には、少なくとも不当解雇ではなかったことについて、会社が証明責任を負います。

具体的には、解雇が客観的に合理的な理由を欠いていたり、社会通念上相当であると認められない場合には、会社がその権利を濫用したものとして、その解雇を無効とするという規定があります。〔労働契約法16条〕

ですから、労働者が不当解雇を主張すれば、会社はその解雇に客観的に見て合理的な理由があったことを証明しなければなりません。また、世間一般の常識から考えて、解雇したのもやむを得ないといえるケースだったことを証明しなければなりません。会社は両方の証明に成功しなければ、裁判で負けてしまうのです。

 

<結論として>

訴えるにしても訴えられるにしても、やり方次第で損得が出てしまいます。また、紛争解決の手段は訴訟だけではありません。

何を主張して、どう戦ったらよいのか、報酬を支払ってでも弁護士や社労士に相談する意味はここにあります。

 

2016.08.04.

<労災手続きを担当すると>

労災は突然に起こります。得てして担当者が忙しいときに限って起きやすいような気もします。

特に不慣れな場合には、労基署や病院に提出する書類の書式はどれを使ったらよいのやら、似たものが多過ぎます。こんなときは、とにかく正確に遅れないように書類の作成に集中するものです。

一方、ベテランともなると、必要な情報を迅速かつ正確にそろえてサッサと書類を完成させてしまいます。

しかし、これでは2つの重要な視点が欠けてしまいます。

 

<再発防止>

ヒヤリハット運動というのがあります。事故の危険を感じて、ヒヤリとした経験、ハッとした経験があったら、これをキッカケに事故防止の対策を打とうという運動です。

実際に労災が発生してしまったなら、より一層強い意味で再発防止に取り組まなければなりません。

労災が発生すると、会社には一定のフォーマットが用意されていて、被災者や同僚・上司などがその各欄を埋める形で報告書を作成し、労災手続きを担当する部門に提出するということが多いようです。

そのフォーマットの中に、「再発防止策」の欄はあるでしょうか。簡単にできる対策であれば、「何月何日にこの対策を実施済み」と記入することになりますが、関連部門への要望という形になるかも知れません。

 

<被災者へのアプローチ>

その労災事故について、一番よくわかっているのは被災者本人です。それなのに、書類だけのやりとりで本人への取材がないのはもったいないです。本人の率直な意見は、今後の労災防止に大いに役立ちます。

このとき、「まだ痛みますか?」「大変でしたね」と声をかければ、本音も引き出すことができるでしょう。こうした言葉をかけることなく、サッサと用件だけ済ませようとすれば、被災者の心は凍りつきます。なぜなら、被災者は周囲の人からは「お前の不注意だ」「会社にとって迷惑だ」などと言われてしまっていることもあるからです。

再発防止に効率よく取り組むには、被災者本人の要望を聴くのが一番です。会社として、どうしていれば今回の事故が防げたかがわかるのです。たとえば、器具の正しい使い方を指導されていなかったとか、このところ長時間残業が続いていて注意力が低下していたとか、中には妻がまさに出産中のそのときに仕事を休めず上の空で働いていてケガをするというケースもあります。

 

<手続きを委託している場合>

スピーディーに労災手続きを済ませるには、社労士や労働保険事務組合に委託するのが便利です。

しかし、これだと再発防止や被災者への適切なアプローチという2つの重要な視点が欠けてしまいます。

どうせ委託するのであれば、親身に被災者の声に耳を傾け、真剣に再発防止を考える顧問社労士に頼むのがお勧めです。

手続きだけの商売をしていると、再発防止は考えないものです。なにしろ労災が減れば、自分たちの仕事も減るわけですから。

 

2016.08.03.

<法令の規定>

労働者は事業者が行う健康診断を受けなければなりません。〔労働安全衛生法66条5項〕

しかし、この義務に違反しても罰則はありません。

ということで、のらりくらりと健康診断から逃げようとする人もいます。

 

<逃げる人の言い分>

健康診断を嫌がる人に理由をたずねたら、次のような答えが返ってきました。

・血を採られたり、レントゲンを撮られたりが、何となくイヤ。

・何か病気が見つかると怖いから受けたくない。

・健康体ではないことが会社にバレると上司から叱られる。

・かなり健康状態が悪いので、会社から退職を迫られるかもしれない。

 

<労働基準監督署に相談したら>

健康診断をサボる社員への対応について、労働基準監督署に相談したことがあります。

「きちんと健康診断が受けられる準備を整え、社員ひとり一人への案内もしていることを示す証拠をきちんと残しておけば、会社が責任を問われることはありません。もし、労基署が調査に入ったら、そうした書類などを提示できるようにしておいてください。」という回答でした。

いや、会社が責任を負わないようにしたかったのではなくて、心から社員の健康が心配で相談したのですが…

 

<ペナルティーを科す>

総務や人事など健康診断の担当部門ではなくて、サボる社員の上司から注意してもらうのも手です。小さな会社なら、社長から直々に注意してもらうのも効果があります。

また、就業規則に健康診断の受診義務を明記し、ついでにかかわる人の守秘義務や個人情報の保護についても規定しておくとよいでしょう。

これを前提として、始末書を書かせ反省を求める譴責(けんせき)処分程度までなら、懲戒処分を行っても客観的合理性や社会的妥当性はあると思います。

10人未満の会社では、就業規則の作成は義務づけられていませんが、健康診断についてまで労働条件通知書(雇い入れ通知書)あるいは雇用契約書(労働契約書)といった労働者への交付義務がある書類に書いておくのは、細かすぎて面倒です。就業規則を作ったほうが便利でしょう。

 

<教育の強化>

健康診断をサボる社員が1人や2人なら、ある程度の説得によって、しぶしぶでも受けるようになるでしょう。

しかし、対象者の1割以上が受けないようであれば、サボるにしても気が楽です。サボっているのは自分だけでないですし目立ちませんから。

この状態は、会社から社員への健康診断の重要性や受診義務についての教育不足を反映しているといえるでしょう。

会社には健康状態の悪い人を働かせないように注意する義務があります。この義務を果たすには、社員全員が健康診断を受けることが前提となっています。

社員は、労働者として、これに協力する義務があるわけです。つまり、労働契約に付随する義務です。

 

<人事考課への反映>

健康診断の結果が悪いから賞与の金額が少なくなるとか、役職を外されるというのは不当です。

健康診断後の精密検査などを加味して、産業医の先生が異動を勧めたとか、本人から異動の希望が出されたとか、現に業務をこなせない状態であるとか、特別なことがない限り、健康診断の結果だけで本人に不利な扱いはいけません。

なぜなら、仕事のストレスや過労で健康を害しているケースも多く、この場合には会社にも大きな責任があるのですから。

ただ、健康診断をサボるという客観的な事実を理由に、マイナス評価することは程度の問題もありますが、ある程度許されることです。

たとえば、直近3回の健康診断を正当な理由なく受診していない場合には、課長昇格の候補者には入らないなどの基準を設けることは可能です。健康管理に無関心で、会社に非協力的な社員を課長に昇格させるのも適切ではないでしょう。

 

<結論として>

「サボるのは本人が悪い」というのも確かです。しかし、本人を責めるだけに終わらせず、会社にできることはきちんとしましょう。会社にも責任があるのですから。

 

2016.08.02.

平成28年8月1日から再就職支援奨励金の内容は次のようになります。

 

<助成金の額>

○委託開始申請分

中小企業事業主のみ 100,000円

○再就職実現申請分

下表1.~3.の合計額から委託開始申請分の額を引いた額を支給。

(1.~3.の合計額は、委託費用または60万円のうち低い方を上限とします)

1.

中小企業事業主

中小企業事業主以外

通常 ( 「委託費用」-訓練加算-グループワーク加算 )× 1/2

対象者が45歳以上の場合 2/3

通常 ( 「委託費用」-訓練加算-グループワーク加算 )× 1/4

対象者が45歳以上の場合 1/3

特例

区分

「委託費用」-訓練加算-グループワーク加算 )× 2/3

対象者が45歳以上の場合 4/5

特例

区分

( 「委託費用」-訓練加算-グループワーク加算 )× 1/3

対象者が45歳以上の場合 2/5

2. 訓練加算…6万円/月、3か月が上限。

3. グループワーク加算…3回以上実施で1万円を上乗せ。

※特例区分は、次の①、②の条件のいずれにも該当する場合に適用されます。

① 申請事業主が、労働者の再就職支援の実施について委託する職業紹介事業者との委託契約において次のいずれにも該当する契約を締結していること。

ア 職業紹介事業者に支払う委託料について、委託開始時の支払額が委託料の2分の1未満であること。

イ 職業紹介事業者が支給対象者に対して訓練を実施した場合に、その経費の全部または一部を負担するものであること。

ウ 委託に係る労働者の再就職が実現した場合の条件として、当該労働者の雇用形態が期間の定めのないもの(パートタイムを除く)であり、かつ、再就職先での賃金が離職時の賃金の8割以上である場合に委託料について5%以上を多く支払うこと。

② 支給対象者の再就職先における雇用形態が、期間の定めのない雇用(パートタイム労働者を除く。)であり、かつ、再就職先での賃金が離職時の賃金の8割以上であること。

 

<受給できる事業主>

事業規模の縮小などにより離職を余儀なくされる労働者などに対する再就職支援を職業紹介事業者に委託したり、求職活動のための休暇を付与する事業主。

 

<助成金のねらい>

事業規模の縮小などにより、やむをえず退職してもらう労働者に対して、事業者が再就職の支援をするよう促すものです。

 

<受給の条件の変更点>

・再就職支援を実施する職業紹介事業者と退職コンサルティングを実施する会社等との連携の場合は不支給となります。

・支給対象者の希望に応じた再就職支援を実施する職業紹介事業者の選定が必要となります。

・「再就職支援計画届」「再就職支援対象者一覧表」の作成・届出が必要となります。

・人員削減のあった組織において生産量が低下しているか赤字であることが必要となります。

・委託する対象者数が30人以上であることが必要となります。(中小企業事業主以外のみ)

 

<変更にご注意>

助成金の内容は変更になることがあります。また、助成金そのものが廃止されることもあります。

このページ右側の「お勧めします」の中から「雇用関係助成金」を選んでいただくと、現在の助成金の内容をご確認いただけます。

 

2016.08.01.