2016年 6月

<手続きの必要性>

国民年金や厚生年金などと同じように、雇用保険の失業等給付も、すでに経過した期間について給付が行われます。つまり、後払いです。

そのため、給付を受けていた方が亡くなると、もらえる給付を残したままになってしまいます。

これを、ご遺族の中の権利者が請求する手続きが必要となるのです。

 

<雇用保険法の規定>

失業等給付の支給を受けられる者が死亡した場合に、未支給分があるときは、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹であって、死亡当時に生計を同じくしていた者は、自分の名義で、その未支給分を請求できます。〔雇用保険法10条の3〕

 

<法定相続人との違い>

まず、生計を同じくしていることが条件となります。

また、優先順位が、配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹となっていて、優先順位の高い人が100%受け取ります。法定相続分のような考え方ではありません。

そして、同順位の人が複数いる場合、たとえば父母が受け取る場合、どちらかが請求の手続きをすれば、全額について請求したことになります。

 

<請求の手続き>

未支給の失業等給付を請求する人は、本来の受給者が亡くなってから6か月以内に、「未支給失業等給付請求書」に「雇用保険受給資格者証」等をそえて、受給の手続きをしていたハローワーク(公共職業安定所長)に提出します。

 

2016.06.30.

<労働基準監督官の権限>

労働基準監督官は、労働基準法違反を是正するだけではありません。

労働安全衛生法を施行するため必要があると認めるときは、事業場に立ち入り、関係者に質問し、帳簿、書類その他の物件を検査し、作業環境測定を行い、または検査に必要な限度で無償で製品、原材料、器具を持ち去ることができます。〔労働安全衛生法91条1項〕

ここで、作業環境測定というのは、温度、湿度、騒音、照度、一酸化炭素濃度、二酸化炭素濃度、チリの密度など、職場の客観的な労働環境を測定する検査のことをいいます。

 

<法違反に対する使用停止命令>

都道府県労働局長または労働基準監督署長は、事業者の講ずべき措置など労働安全衛生法の規定に違反する事実があるときは、その違反した事業者、注文者、機械等貸与者または建築物貸与者に対し、作業の全部または一部の停止、建設物等の全部または一部の使用の停止または変更その他労働災害を防止するため必要な事項を命ずることができます。〔労働安全衛生法98条1項〕

労働災害発生の差し迫った危険がある場合には、この他、必要な応急措置を講ずることを命ずることができます。〔労働安全衛生法99条1項〕

つまり、営業停止や労働者の職場への立ち入り禁止を命令できるのです。

 

<講習の指示>

都道府県労働局長は、労働災害が発生した場合には、その再発を防止するため必要があると認めるときは、その事業者に対し、期間を定めて、その労働災害が発生した事業場の総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、統括安全衛生責任者その他労働災害の防止のための業務に従事する者に都道府県労働局長の指定する者が行う講習を受けさせるよう指示することができます。〔労働安全衛生法99条の2第1項〕

なにより労働災害の発生防止に努めることが大切ですが、安全管理者や衛生管理者など法定の労働災害防止業務従事者をきちんと選任し、労働基準監督署長に選任報告書を提出しておくことも必要です。

 

2016.06.29.

<法定休日の原則>

使用者は、労働者に対して、毎週少なくとも1日の休日を与えます。〔労働基準法35条1項〕

これが原則です。

毎週というのは、特に就業規則などに定めがなければ、カレンダーどおり日曜日から土曜日までの7日間をいいます。ですから、この7日間に1日も休みがないというのは、労働基準法違反です。

ただし、三六協定を交わしていれば、その範囲内で法定休日に出勤しても、使用者が罰せられることはありません。

 

<法定休日の例外>

前項の規定には、4週間を通じて4日以上の休日を与える使用者については適用しないという例外規定があります。〔労働基準法35条2項〕

これが4週間に4日以上の休日を与える変形休日制です。

この制度を採用するには、就業規則などで4日以上の休日を与える4週間の起算日を定めておかなければなりません。ここで起算日というのは、4週間(28日間)を数えるときの最初の日をいいます。これが決まっていなければ、どの4週間で4日以上の休日にするのかわからないので不都合です。

労働基準法の規定は、どの4週間を区切っても4日の休日が与えられていなければならない趣旨ではありません。〔昭和29年9月20日基発第1384号通達〕

 

<この制度を採用した場合の賃金計算の注意点>

これは休日についての合法性の話ですから、賃金計算とは別問題です。

出勤日数が多い週には、労働時間の合計が1週間の法定労働時間を超えることになります。この場合、1日での時間外労働とは別に、1週間での時間外労働が発生しますので、25%以上の割増賃金が必要です。

結論として、休日については融通の利く制度なのですが、割増賃金が増える可能性があるのです。

 

2016.06.28.

<業務災害>

業務災害とは、労働者の負傷、疾病(しっぺい)、死亡のうち、業務が原因となったものをいいます。労働者の業務としての行為の他に、事業場の施設・設備の管理状況などが原因となって発生するものがあります。

「業務上」という用語は、業務と傷病などとの間に、一般的な原因と結果の関係があることをいいます。

業務災害に対する保険給付は、労働者が事業場で雇われて、事業主の支配下にあるときに、業務が原因となって発生した災害に対して行われます。

ただし、労働者が労災保険の適用されない事業場に雇われていた場合は対象外となります。

 

<労災とはならないケガ>

・労働者が勤務時間帯に、仕事とは関係のないことを行ったり、仕事の範囲を超える勝手なことをしていて、それが原因でケガをした場合。

・労働者がわざとケガをした場合。

・労働者がプライベートな恨みなどを理由に第三者から暴行を受けてケガをした場合。

・大地震や台風など自然災害によってケガをした場合。ただし、落雷しやすい現場で作業していて落雷でやけどを負うなど、立地条件や作業環境などによっては労災と認められる場合があります。

・休憩時間や勤務の前後など、実際に業務に従事していない時間帯にケガをして、しかも事業場の施設・設備や管理状況に原因がない場合。ただし、トイレに行くなどの生理的行為については、事業主の支配下で業務に付随する行為として取り扱われますので、このときに生じたケガは労災となります。

 

2016.06.27.

<業務災害>

業務災害とは、労働者の負傷、疾病(しっぺい)、死亡のうち、業務が原因となったものをいいます。労働者の業務としての行為の他に、事業場の施設・設備の管理状況などが原因となって発生するものがあります。

「業務上」という用語は、業務と傷病などとの間に、一般的な原因と結果の関係があることをいいます。

業務災害に対する保険給付は、労働者が事業場で雇われて、事業主の支配下にあるときに、業務が原因となって発生した災害に対して行われます。

ただし、労働者が労災保険の適用されない事業場に雇われていた場合は対象外となります。

 

<業務上の疾病とは?>

業務との間に一般的な原因と結果の関係にある疾病(病気)は、労災保険給付の対象となります。

業務上疾病は、必ずしも労働者が事業主の支配下で発症することを条件とせず、事業主の支配下で有害な原因にさらされたことによって発症すれば認められます。

たとえば、ある労働者が勤務中に心臓病を発症しても、その労働者の業務の中に原因が見当たらなければ、業務と疾病との間に一般的な原因と結果の関係は成立しません。

反対に、勤務時間外に発症した場合でも、その労働者の業務の中に有害な原因があって発症したものであれば、業務上の疾病とされます。

 

<業務上の疾病とされる3つの条件>

・その労働者の業務の中に有害な原因があったこと。例として、化学物質、身体に過度の負担がかかる作業、病原体など。

・健康障害を起こすだけの原因にさらされたこと。つまり、有害な原因の強さ、量、回数、期間が健康障害を起こしうるものだったこと。

・発症の原因から健康障害の結果が発生するまでの経過が、医学的に見て不自然ではないこと。中には、労働者が有害な原因に接してから、相当な長期間を経過した後に健康障害が発生するパターンも認められます。

 

2016.06.26.

<1か月単位の変形労働時間制の狙い>

会社としては、割増賃金支払いの基準が変わることで人件費の削減が期待できます。

また、労働者としては、日々の勤務時間数に変化が出ることでメリハリができ、勤務時間の短い日にプライベートを充実させたりリフレッシュしたりできます。

 

<基本的なしくみ>

1か月単位の変形労働時間制では、1か月以内の期間を平均して1週間当たりの労働時間が40時間(特例措置対象事業場は44時間)以内となるように、労働日と労働日ごとの労働時間を設定します。そのようにシフトを組むわけです。

こうすることにより、労働時間が特定の日に8時間を超えたり、特定の週に40時間(特例措置対象事業場は44時間)を超えたりしても、条件を満たすシフトの範囲内では、時間外割増賃金が発生しない制度です。〔労働基準法32条の2〕

ここで特例措置対象事業場とは、常時使用する労働者数が10人未満の商業、映画・演劇業(映画の製作の事業を除く)、保健衛生業、接客娯楽業をいいます。

 

<必要な手続き>

労使協定または就業規則に必要な事項を定め、締結した労使協定や作成・変更した就業規則を、所轄労働基準監督署に届け出ます。

常時使用する労働者が10人以上の事業場は、就業規則の作成・届出となります。

これは簡単な手続きで済みます。

 

<定めることが必要な事項>

・対象労働者の範囲

法令上、対象労働者の範囲について制限はありませんが、その範囲は明確に定める必要があります。

・対象期間と起算日

対象期間と起算日は、具体的に定める必要があります。たとえば、毎月1日を起算日として、1か月平均で1週間あたり40時間以内とするなどです。

・労働日と労働日ごとの労働時間

シフト表などで、対象期間すべての労働日ごとの労働時間をあらかじめ具体的に定める必要があります。

一度定めたら、特定した労働日や労働日ごとの労働時間を任意に変更することはできません。

・労使協定の場合にはその有効期間

労使協定を定める場合、労使協定の有効期間は対象期間より長くなります。適切に運用するためには、見直しの機会を考えて、3年以内にすることが望ましいでしょう。

 

<1か月単位の変形労働時間制がうまくいく条件>

メリットの多い制度ですが、導入する意味があるのは「少なくとも月1回は8時間を下回る勤務時間の日があること」です。

実態として、毎日少なくとも8時間は勤務し、日によっては8時間を超えて勤務することがあるというのであれば、この制度を導入しても、会社にも労働者にもメリットがありません。

スーパーマーケットなどの小売業や、カラオケ店などの接客娯楽業では、正社員について、この制度を導入するメリットがない実態が見られます。前提として、正社員の仕事をパート社員やアルバイト社員にも割り振ることができるよう、教育に力を入れる必要があります。

「1か月単位の変形労働時間制を導入するため」という目的で、正社員による正社員以外への教育を強化すれば、それ自体が生産性の向上になるのですから、ぜひ取り組むことをお勧めします。

 

2016.06.25.

<高齢任意加入の意義>

国民年金では、20歳から60歳になるまでが、強制加入期間となっています。

しかし、この強制加入期間のすべてに加入して、満額の老齢基礎年金を受給できる人ばかりではありません。

それどころか、未加入の期間があるなどにより、加入期間が不足しているために老齢基礎年金の受給資格期間を満たすことができない人もいます。

そこで、60歳以上65歳未満の期間において任意加入できることとし、加入期間を増やす道が開かれています。

 

<保険料の支払い過ぎ防止策>

老齢基礎年金が受けられる480月を超えて保険料が納付されることを防止するために、平成17年(2005年)4月から、任意加入被保険者については、480月に達した時点で、強制的に任意加入被保険者の資格を喪失することとなりました。

これにより、仮に480月を超えて保険料が納付された場合でも、その超過分の保険料は本人に返金されます。

 

<高齢者の特例>

さらに、年金受給権の確保の観点から、加入期間が不足しているために老齢基礎年金を受給できない人で、昭和40年(1965年)4月1日以前に生まれた人については、65歳以上70歳未満の期間も任意加入できる道が開かれています。

厚生年金保険の加入者は、会社に勤めていても、70歳になると加入者の資格を失いますが、70歳になっても老齢年金の受給資格期間を満たせないまま在職中の人は、申し出てその期間を満たすまで任意加入することができます。

保険料は原則として全額本人が負担しますが、事業主が同意すれば労使折半にすることもできます。

 

2016.06.24.

<労働基準法施行規則32条>

あまり知られていないと思いますが、休憩時間を与えなくてもよい職種があります。

運輸交通業または郵便・信書便の事業に使用される労働者のうち列車、気動車、電車、自動車、船舶、航空機に乗務する機関手、運転手、操縦士、車掌、列車掛、荷扱手、列車手、給仕、暖冷房乗務員、電源乗務員で長距離にわたり継続して乗務する者には休憩時間を与えないことができます。

乗務員でこれらに該当しない者については、その者の従事する業務の性質上、休憩時間を与えることができないと認められる場合において、その勤務中における停車時間、折返しによる待合せ時間その他の時間の合計が「一般の休憩時間」に相当するときは、休憩時間を与えないことができます。

郵便・信書便、電気通信の事業に使用される労働者で屋内勤務者30人未満の郵便窓口業務を行う日本郵便株式会社の営業所(郵便局)で郵便の業務に従事する者には休憩時間を与えないことができます。

 

<一般の休憩時間>

こうした特殊な業務の労働者を除き、「一般の休憩時間」を与えなければなりません。

「一般の休憩時間」とは、「労働時間が6時間を超える場合には少くとも45分、8時間を超える場合には少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与える」というものです。〔労働基準法34条1項〕

使用者としては、労働者から「休憩なんて要りませんよ」と言われていたので与えなかったところ、退職してから「休憩を与えられていませんでした」と訴えられたら、反論の余地がないということです。

労働法が保障する労働者の権利の中には、労働者が放棄できないものがあるのです。ですから、安易に「本人が同意しているから」「念書を書いてもらったから」大丈夫とはいえないこともあるのです。

 

2016.06.23.

<保険料免除制度とは>

所得が少なく本人・世帯主・配偶者の前年所得(1月から6月までに申請の場合は前々年所得)が一定額以下の場合や失業した場合など、国民年金保険料を納めることが経済的に困難な場合は、本人から申請書を提出し、申請後に承認されると保険料の納付が免除になります。

経済的な状況は、個人単位ではなく世帯全体で判断されます。

これは、自営業者など国民年金第1号の被保険者のための制度ですから、勤め人などの厚生年金保険には利用できません。

 

<保険料免除の所得の基準>

○全額免除

前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること

(扶養親族などの数+1)×35万円+22万円

○4分の3免除

前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること

78万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額など

○半額免除

前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること

118万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額など

○4分の1免除

前年所得が以下の計算式で計算した金額の範囲内であること

158万円+扶養親族等控除額+社会保険料控除額など

 

<手続きのメリット>

保険料免除になった期間は、年金の受給資格を得るための期間(25年間)にカウントされます。

ただし、年金額を計算するときは、保険料の全額免除の場合には、保険料を納めたときに比べて2分の1(平成21年3月までの免除期間は3分の1)になります。

免除される額は、全額の他に、4分の3、半額、4分の1があります。

4分の1納付の場合は「5/8」が年金額に反映されます(21年3月分までは1/2)。

2分の1納付の場合は「6/8」が年金額に反映されます(21年3月分までは2/3)。

4分の3納付の場合は「7/8」が年金額に反映されます(21年3月分までは5/6)。

 

<追納制度>

保険料免除は10年以内であれば、後から追納して老齢基礎年金の受給額を満額に近づけることが可能です。

ただし、保険料免除を受けた期間の翌年度から起算して3年度目以降は、当時の保険料に一定の金額が加算されます。

なお、追納した場合のその期間は「納付」期間として取扱われます。

 

<未納のままにしておくと…>

障害や死亡といった不慮の事態が発生すると、障害基礎年金・遺族基礎年金が受けられない場合があります。

また、老齢基礎年金を将来的に受けられない場合があります。

 

<申請方法>

住民登録をしている市区役所・町村役場の国民年金担当窓口へ申請書を提出します。

保険料免除申請書は、年金事務所または市区役所・町村役場の国民年金担当窓口に備え付けてあります。

問い合わせ先は、お近くの年金事務所となっています。

 

2016.06.22.

下の表に示した端数処理は、賃金計算の便宜上の取り扱いとして、労働基準法違反にならないとされています。〔昭和63年3月14日基発150号通達〕

1か月の賃金支払い額 1か月の賃金支払い額に100円未満の端数が生じた場合 50円未満を切り捨てそれ以上を100円に切り上げる
1か月の賃金支払い額に1,000円未満の端数が生じた場合 翌月の賃金支払い日に繰り越す
1か月の労働時間数 時間外労働、休日労働、深夜業の各々の時間の合計に1時間未満の端数がある場合 30分未満の端数を切り捨てそれ以上を1時間に切り上げる
1時間あたりの賃金額 1時間あたりの賃金額に1円未満の端数が生じた場合 50銭未満の端数を切り捨てそれ以上を1円に切り上げる
1時間あたりの割増賃金額 1時間あたりの割増賃金額に1円未満の端数が生じた場合
1か月の割増賃金総額 1か月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額

反対に、これ以外の労働者に不利益な取り扱いはできません。

よく問題にされるものとしては、毎日5分未満の残業時間を切り捨ててしまうなどがあります。

 

2016.06.21.

<ケガをさせられた場合の追加の手続き>

通勤途上でひき逃げされたり、居酒屋でアルバイトをしていてお客様に殴られたり、休日に道を歩いていて自転車にぶつかられたりしてケガをすると、通常とは違う手続きが必要となります。

具体的には、労災では「第三者行為災害届」、私傷では「第三者行為による傷病届」という書類が必要になるのです。

 

<「第三者行為」とは?>

もともと保険というのは、保険料の負担があって、負担した人やその関係者に給付があるわけです。

労災保険では会社が保険料を負担して、従業員が治療を受けると労災保険から給付が行われて、従業員は治療費を負担しなくても済みます。

健康保険では会社と従業員が保険料を折半して、従業員や扶養家族が治療を受けると健康保険から給付が行われて、治療費の3割を負担するだけで済みます。

ところが無関係な第三者からケガをさせられて、治療費に保険が使われると、ケガをさせた第三者は、治療費の負担が減ったり負担がなくなったりして得してしまうのです。

こうした不都合が起こらないように、保険者である政府や協会けんぽなどが、加害者に費用の負担を求めるのです。

 

<万一ケガをさせられたら>

可能な限りケガをさせた人に逃げられないようにしたいです。周囲の人に助けを求めることもできるでしょう。少なくとも、氏名と連絡先ぐらいは把握しましょう。その場で示談してはいけません。

また、なるべく正確な日時や場所、状況など記憶が新鮮なうちに記録を残しておきましょう。

そして、会社の労災保険や健康保険の手続き担当者に連絡して指示を仰ぎましょう。

 

<書類の内容>

交通事故の場合と、それ以外の場合とで内容が異なります。

しかし、共通する内容で主なものは、事故の発生状況を説明した書類、負傷原因の報告書、加害者と示談しませんという念書(示談していたら示談書)、加害者からの損害賠償金の納付を確約する書類などです。

 

<書類作成ご担当のかたへ>

実際に書類を作成する会社の担当者は、被害者からの情報が頼りとなります。

すべての情報がそろっていても、慣れていないと数時間かかってしまいます。

必要な書式は、労基署や協会けんぽなどで入手しますから、ついでに必要な添付書類の確認をするとよいでしょう。

交通事故の場合には、警察に「交通事故証明書」の発行を依頼するのですが、手続きが遅れると人身事故でも物損扱いとなるなど不都合が起こります。

大変ですが落ち着いて急ぎましょう。

 

2016.06.20.

<年金関係法令の規定>

この法律において、「配偶者」、「夫」および「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。〔国民年金法5条7項、厚生年金保険法3条2項〕

つまり事実上夫婦であれば、国民年金・厚生年金のどちらでも、夫婦と同様に扱われるということです。

 

<事実婚(内縁)>

事実上の夫婦と認められるためには、婚姻届を出していないだけで実態は夫婦であるという事情が必要です。

まず形式的に、婚姻届を出そうと思えば出せること、つまり原則として、事実上の夫婦のどちらにも戸籍上の配偶者がいないことが必要です。法律上の正式な配偶者がいれば、重ねて結婚することはできないからです。

また実質的に、お互いに結婚する意思をもって、夫婦としての共同生活を営み、生計を同じくしているという事実が必要です。

 

<実際の手続き>

法律上の夫婦とは異なり、住民票の写しなどで夫婦であることは確認できません。それぞれに法律上の配偶者がいないことを示す書類と、同居の事実を示す書類を添付して、年金関係の手続きを行うことになります。

また、事実婚状態にありながら別居しているような場合には、たとえば遺族年金や加給年金では「事実婚関係及び生計同一関係に関する申立書」という書式があって、これに記入のうえ第三者による証明を書いてもらう必要があります。

さらに事実婚状態にあって、勤め人である内縁の夫が、内縁の妻を扶養している場合には、会社を通じて国民年金の第3号被保険者とすることができ、保険料の免除を受けることもできるのですが、事実婚をどうしても会社に知られたくないために手続きできずにいるということもあります。

 

2016.06.19.

<消滅時効の制度>

賃金の請求権は2年間、退職金の請求権は5年間で時効消滅します。〔労働基準法115条〕

たとえば、給与支給日に指定口座への入金がないのに、放置したまま2年間が経過して会社から時効だと言われれば、その給与は請求できなくなります。

これは、「請求できるのに何もしないで放っておくような、権利の上に眠る者は保護しない」という消滅時効の制度によるものです。

この場合、支払義務のある側からすれば、一方的に得をすることになり道義的な違和感を生ずることもあります。ですから、時効の利益を受ける者が、時効であることを主張することによってその効果が発生します。この主張を時効の援用(えんよう)といいます。〔民法145条〕

 

<時効の中断>

たとえば、給与支給日に指定口座への入金がないので社長に確認したとします。そして、社長から「ごめん、少し待って」といわれて、しばらく待ってから催促することを繰り返していたら、いつの間にか2年たったので請求できなくなったというのではお話になりません。

そこで、社員の側から請求の意思が明確にされた場合や、会社の側から支払の意思が明確にされた場合には、時効期間の進行がリセットされます。これを時効の中断といいます。

時効の中断には、請求(裁判上の請求、裁判外の請求)、差押え・仮差押え・仮処分、債務者の承認の3つがあります。〔民法147条〕

もし給与の未払いが続いて裁判になったとしたら「ときどき催促していました」といっても証拠がなければ負けてしまいます。ですから、内容証明郵便などによる催促が必要になります。

しかも、催促というのは時効中断の効力が制限されていて、6か月以内に裁判で請求するなど一段突っ込んだアクションをしないと、効力を生じないことになっています。〔民法153条〕

お勧めなのは「少しでもいいから支払ってください」と催促して、振り込んでもらうことです。これも「債務者の承認」となって時効中断の効力があります。

 

2016.06.18.

<休憩時間の長さ>

使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては少くとも45分、8時間を超える場合においては少くとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。〔労働基準法34条1項〕

したがって、出社したらすぐに休憩とか、休憩してからすぐに退社というのはできません。また、8時間勤務で全く残業がないのなら休憩時間は45分と定めてもOKです。

若いアルバイトの中には、休憩時間をけずって働きたいという人もいます。しかし、休憩には心身の疲労を回復して、業務効率の低下を防いだり、労災の発生を予防する意味もありますから、本人の希望で短縮することはできないのです。

では、反対に延長はどうでしょうか。実働8時間休憩4時間という労働契約でも、その休憩時間が実際に仕事から離れて自由に使える時間であれば、法的な問題にはならないでしょう。ただ、そうした条件で採用を希望する人はまれでしょうし、途中でこういう労働条件とすることが本人にとって不都合であれば、労働条件の不利益変更の問題となりえます。

 

<休憩時間の分割>

たとえば、1時間の休憩時間を40分1回と10分2回に分けて与えることは許されます。禁煙のオフィスで働く喫煙者などは、このほうが助かります。

しかし、3分の休憩を20回与えるなど、実質的に見て休憩時間とはいえないような与えかたはできません。そこは常識の範囲内で、疲労回復という休憩時間の趣旨にそって考えましょう。

 

<休憩時間の一斉付与>

休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、その事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。〔労働基準法34条2項〕

ただし、お店などでは誰かしら接客する人がいないと不都合ですから、この労使協定がなくても、次の業種では一斉付与の例外が認められています。

運送業(旅客または貨物)、商業、金融・広告業、映画・演劇業、郵便・信書便・電気通信業、保健衛生業、接客娯楽業、官公署の事業

反対に、これ以外の業種ではきちんと労使協定を交わしておきましょう。書類作成をサボるだけで、労働基準法違反というのはばかばかしいです。

 

<休憩時間の自由な利用>

使用者は、休憩時間を自由に利用させなければならない。〔労働基準法34条3項〕

「何かの必要に備えて自分の席にいなさい」ということであれば、これは休憩時間にはなりません。待機時間は労働時間です。

使用者が休憩中の外出を制約できるかについては、事業場内において自由に休憩できるかぎりは、外出許可制をとっても差しつかえないとされています。〔昭23年10月30日基発1575号通達〕

 

2016.06.17.

<常識的に考えてみて>

たとえば、会社で30年以上使われてきたホッチキスを、たまたま自分が使っていたら壊れたとします。

こんなとき、乱暴に扱ったわけでもないのに「あなたが使っていて壊れたのだから自分のお金で新しいのを買ってきなさい」と言われたら、決して納得できません。

法律上も、こうした常識に反する解決にはなりません。

 

<労働者の会社に対する損害賠償責任>

労働者が故意や過失によって、会社に損害を与えた場合には、損害賠償責任が発生します。〔民法709条〕

物を壊すなど財産上の損害だけでなく、名誉や信用といった形のないものに対する損害や、お客様に損害を与えたために会社が損害賠償をした場合も含まれます。

それでも、会社は労働者の働きによって利益をあげていて、危機管理の義務もありますから、リスクをすべて労働者に負わせるのは不公平です。

そこで裁判になれば、多くのケースで損害の全額を労働者に負担させることはできないとされています。

具体的には、労働者本人の責任の程度、違法性の程度、会社が教育訓練や保険で損害を防止しているかなどの事情を考慮して、労働者が負担すべき賠償額が判断されます。

 

<弁償額の給与天引き>

労働者が、会社に損害賠償責任を負う場合であっても、会社が一方的に賠償金の分を差し引いて給与を支給することは禁止されています。〔労働基準法24条1項〕

したがって、会社は給与を全額支払い、そのうえで労働者に損害賠償を請求する必要があります。

また、労働契約を結ぶ際に「備品の破損は1回5,000円を労働者が弁償する」など、労働者が会社に与えた損害について、あらかじめ賠償額を決めておくこともできません。〔労働基準法16条〕

 

2016.06.16.

<基礎年金番号とは>

基礎年金番号は、国民年金・厚生年金保険・共済組合といったすべての公的年金制度で共通して使用する「1人に1つの番号」です。

基礎年金番号は10ケタの数字で表示され、4ケタと6ケタの組み合わせとなっています。0000-000000という形です。

 

<基礎年金番号導入前>

公的年金制度では、平成8年(1996年)12月までは、年金制度ごとに異なる番号により年金加入記録を管理していました。

そのため、転職等により加入する制度を移り変わった場合、国民年金または厚生年金保険の「年金手帳の記号番号」、共済組合の組合員番号等、一人で複数の年金番号を持っていました。

このため、年金を請求する際には制度ごと番号ごとに照会が必要となり、調査のために時間を要していました。

この不都合を解消するために、平成9年(1997年)1月から基礎年金番号が導入されました。

 

<基礎年金番号についての注意点>

正しく運用されていれば、基礎年金番号と同様に年金手帳も「1人1冊」です。複数の年金手帳があったり、基礎年金番号が不明の場合には、お近くの年金事務所などで確認しておくことをお勧めします。

 

2016.06.15.

<性別による差別>

募集・採用の際、次のような差別的取扱いは、男女雇用機会均等法違反となります。

・募集または採用で男女のどちらかを排除すること。

・募集または採用の条件を男女で異なるものにすること。

・能力や資質を判断する場合に、その方法や基準について男女で異なる取扱いをすること。

・募集または採用で男女のどちらかを優先すること。

・求人の内容の説明など、募集または採用の情報提供で、男女で異なる取扱いをすること。

・合理的な理由なく、身長・体重・体力の条件を付け、または、コース別採用で転勤に応じることを条件とすること。

 

<年齢による差別>

募集・採用では、原則として年齢を不問としなければなりません。

年齢制限の禁止は、ハローワークを利用する場合だけでなく、民間の職業紹介事業者や求人広告などを通じて募集・採用をする場合や、雇い主が直接募集・採用する場合を含めて広く適用されます。

ただし、長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、正社員を募集・採用する場合など、一定の場合については、例外的に年齢制限が認められます。

しかし、例外的に年齢制限を設ける場合であっても、求職者、職業紹介事業者などに対して、制限を設ける理由を提示することが会社に義務付けられています。

 

<その他の差別>

このほか、労働組合に入っていることや、労働組合の正当な活動を理由として不利益に取り扱うことは、労働組合法で禁止されています。

また、法律で明確に禁止されていない場合でも、基本的人権を傷つけ、社会常識の上で相当とはいえないような差別をすれば、損害賠償責任が発生することがあります。

 

2016.06.14.

<労働保険の保険料>

雇用保険と労災保険の保険料は、あわせて労働保険の保険料として、毎年4月1日から翌年3月31日までの保険年度を単位として計算されます。

その額は、雇用保険と労災保険のそれぞれについて、対象となる従業員に支払われる賃金の総額に、その事業ごとに定められた保険料率を掛けて算定されます。

ただし、建設の事業で賃金総額を正確に算定することが困難な場合には、請負金額に労務比率を掛けて保険料を算定します。

 

<年度更新とは?>

労働保険では、翌年度の保険料を概算で納付し、年度末に賃金総額が確定してから精算するという方法がとられています。〔労働保険徴収法15条・17条〕

したがって事業主は、前年度の保険料を精算するための確定保険料の申告・納付と、新年度の概算保険料を納付するための申告・納付の手続きを同時に行うことになります。これが「年度更新」の手続きです。

また、石綿健康被害救済法に基づく一般拠出金も、年度更新の際に労働保険料とあわせて申告・納付することとなっています。

 

<労働保険対象者の範囲>

労働保険の対象者ということは、労災保険の適用対象者と雇用保険の適用対象者ということになります。その範囲は重なりますが、同じではありません。

労災保険の対象者については次の点に注意しましょう。

・正社員、嘱託、契約社員、パート、アルバイト、日雇い、派遣など、名称や雇用形態にかかわらず、賃金を受けるすべての人が対象となります。

・代表権・業務執行権のある役員は対象外です。

・事業主と同居している親族でも就労の実態が他の労働者と同じなら対象となります。就業規則が普通に適用されているなら対象となります。

雇用保険の対象者については次の点に注意しましょう。

・1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがあれば原則として対象者です。雇い入れ通知書、労働条件通知書、雇用契約書などが基準となります。これらの書類が1つも無いのは、それ自体違法ですから注意しましょう。

・昼間に通学する学生、65歳以上で新たに雇われた人などは対象外です。

複数の会社などで同時には雇用保険に入れません。主な賃金を受けているところで対象者となります。

両方の保険に共通の注意点としては、次のものがあります。

・代表権も業務執行権も無く、役員報酬と賃金の両方を受け取っている役員は、賃金についてのみ計算対象となります。

・派遣社員は派遣元で保険に入ります。派遣先での手続きはありません。

・出向社員は賃金を支払っている会社などで雇用保険に入り、実際に勤務している会社などで労災保険に入って、そこでの料率が適用されます。出向先の会社は、年度更新のために出向元から賃金などのデータをもらう必要があります。

 

2016.06.13.

<第3号被保険者とは>

第3号被保険者は、会社員や公務員など国民年金の第2号被保険者に扶養される配偶者(20歳以上60歳未満)が対象です。夫が妻の扶養に入っている場合も対象となります。

夫婦のうち、扶養している側は、会社員など厚生年金等の加入者ですが、同時に国民年金の第2号被保険者でもあります。

しかし、第3号被保険者は、国民年金にのみ加入し、厚生年金等には加入しません。

 

<保険料の免除>

第3号被保険者である期間は、保険料をご自身で納付する必要はないのですが、保険料納付済期間として将来の年金額に反映されます。

 

<第3号被保険者になったときの届出>

配偶者に扶養されることになった場合には、第3号被保険者になりますので、第3号被保険者に該当する旨の届出を配偶者の勤務する会社(事業主)に提出してください。

 

<第3号被保険者でなくなったときの届出>

配偶者の扶養から外れた場合には、第2号被保険者になりますので、住所地の市区町村に第1号被保険者への種別変更届を提出してください。

60歳未満の場合、ご本人の年収見込みが130万円以上になると、社会保険の扶養から外れます。所得税の扶養とは基準が異なりますので注意しましょう。

 

2016.06.12.

<雇用保険の被保険者(対象者)>

次の要件を満たせば、会社や労働者の意思にかかわらず、雇用保険に入り被保険者となるのが原則です。

・1週間の所定労働時間が20 時間以上であること

・31日以上引き続き雇用されることが見込まれること

パート、アルバイト、契約社員、派遣社員などの雇用形態とは関係なく、同じ基準です。

これらの条件は、会社から労働者に交付が義務づけられている雇用契約書、雇い入れ通知書、労働条件通知書といった書面で確認できます。

 

<雇用保険の失業給付(基本手当)>

雇用保険の失業給付とは、雇用保険の被保険者が、倒産、定年、自己都合などにより離職(退職)し、失業中の生活を心配しないで新しい仕事を探し、再就職するために支給されるものです。

一定の要件を満たせば、給料の5割~8割程度の手当が支給されます。

また、支給される期間は、被保険者期間、年齢、離職理由、障害の有無などにより異なり、90日~360日となっています。

 

<受給に必要な要件>

そして、雇用保険の被保険者が失業給付を受給するには、次の要件を満たす必要があります。

・ハローワークに行って求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても就職できない「失業」の状態にあること。

・離職前の2年間に、11日以上働いた月が12か月以上あること。ただし、会社側の理由により離職した場合、会社側の都合またはやむを得ない理由で契約の更新がされなかった場合は、離職前1年間に11日以上働いた月が6か月以上あること。

 

<受給に必要な手続き>

失業給付の手続きは、勤めていた会社がすべてを行うものではなく、本人との共同作業となります。

会社は所轄のハローワークで、離職者の雇用保険の資格喪失手続きをします。このとき離職証明書をハローワークに提出するのですが、これは3枚1セットで、1枚目が離職証明書(事業主控)、2枚目が離職証明書(安定所提出用)、3枚目が離職票-2となっています。手続きをすると、ハローワークから会社に1枚目と3枚目が渡され、これとは別に離職票-1などが渡されます。このうち離職者には離職票-1と-2を渡すのです。

離職者は、会社から渡された雇用保険被保険者証、離職票-1、-2などの必要書類を持って、本人の住所を管轄しているハローワークに行きます。

 

<加入もれの場合>

要件を満たしているのに、会社が雇用保険に加入させておらず、被保険者になっていなかったといったトラブルがしばしば起こっています。

このような場合、被保険者の要件を満たしている証拠があれば、遡って雇用保険が適用される制度があります。具体的なことは、管轄のハローワークや社会保険労務士に相談してください。

 

2016.06.11.

<国民年金について>

日本国内に住んでいる20歳から60歳になるまでの人は、国籍にかかわりなく国民年金の対象者になっています。

国民年金は、老後の生活だけでなく、障害者になった場合の生活や、本人が死亡した後に残された家族の生活を保障するために、一定の生活費が支給される公的な制度です。

国民年金の保険料を納めていないと、自分の身にもしものことが起こっても、年金が支給されなかったり、減額されたりします。

経済的な事情などで保険料を払えないときは、保険料の免除や減額、延納の制度もあります。この手続きをしておけば、払っていない期間があっても、年金の減額などの不利益が小さくなります。住んでいる場所の市区役所・町村役場の国民年金担当窓口で申請をしてください。

 

<厚生年金について>

勤め人の場合、国民年金の上乗せ部分としてプラスアルファの保障を受けることができる厚生年金の制度があります。

厚生年金は、原則として1日または1週間の所定労働時間、および1か月の所定労働日数が正社員のおおむね4分の3以上であれば、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員などの雇用形態にかかわらず加入することになります。会社や労働者の意思は関係ありません。

厚生年金に一定期間加入していると、国民年金だけの場合よりも有利な年金を受け取ることができます。

しかも、厚生年金の保険料は、給料(標準報酬月額と標準賞与額)の約18%を会社と労働者で半分ずつ負担します。この保険料には、国民年金の保険料も含まれています。

 

<保険料負担額>

平成28年度の国民年金保険料は、月額16,260円です。

厚生年金保険料は、標準となる月給が175,000円以上185,000円未満なら、月額16,045円です(働いている人の負担額)。

ですから、月給が約18万円で賞与などが無ければ、働いている人の負担は、国民年金よりも厚生年金のほうが少なくて、万一の場合の保障も手厚いということがいえます。

 

2016.06.10.

<原則の法定労働時間>

使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはなりません。〔労働基準法32条1項〕

もちろん、三六協定を交わし労基署に届け出れば、協定の範囲内での時間外労働は処罰の対象となりません。

ただし、法定労働時間を超える労働に対しては、時間外割増賃金の支払いが必要です。

ここで1週間というのは、就業規則などで取り決めがなければ、カレンダーどおり日曜日から土曜日までの7日間をいいます。

 

<労働基準法施行規則による特例>

公衆の不便を避けるために必要なもの、その他特殊な必要があるものについては、その必要かつ労働者の健康・福祉を害しない範囲で、厚生労働省令による例外を設けることができることとされています。〔労働基準法施行規則25条の2第1項〕

こうして例外とされた特例措置対象事業場の法定労働時間は、平成13年4月1日から、1日8時間、1週44時間に改正されました。これが、時間外割増賃金の基準となります。

 

<特例措置対象事業場>

次に掲げる業種に該当する常時10人未満の労働者を使用する事業場が対象です。

 商業 卸売業、小売業、理美容業、倉庫業、その他の商業
 映画・演劇業 映画の映写、演劇、その他興業の事業
 保健衛生業 病院、診療所、社会福祉施設、浴場業、その他の保健衛生業
 接客娯楽業 旅館、飲食店、ゴルフ場、公園・遊園地、その他の接客娯楽業

事業場の規模(人数)は、企業全体の規模をいうのではなく、工場、支店、営業所等の個々の事業場の規模をいいます。

 

2016.06.09.

<国民年金の加入期間>

国民年金の加入期間は、原則として20歳から60歳になるまでの40年間です。

40年間、国民年金の保険料を納付していれば、65歳から満額の老齢基礎年金が受給できるということになります。

また、老齢基礎年金の受給資格期間である25年間以上、国民年金の保険料を納付していれば、納付期間に応じて老齢基礎年金を受給することができます。

これが原則です。

 

<任意加入とは>

60歳になるまでに老齢基礎年金の受給資格期間25年間を満たしていない場合や、40年間の納付済期間がないため老齢基礎年金を満額受給できない場合であって、厚生年金・共済組合に加入していないときは、60歳以降(申出された月以降)でも国民年金に加入することができます。

ただし、さかのぼって加入することはできません。

これは、義務として加入するのではなく、希望すれば加入できるということで「任意加入」といいます。

 

<任意加入の期間>

・年金額を増やしたい人は65歳になるまでの間

・受給資格期間を満たしていない人は70歳になるまでの間

・外国に居住する日本人は20歳以上65歳未満の間

なお、平成20年4月1日から、外国に居住する日本人を除き、保険料の納付方法は、口座振替が原則となりました。

日本国内に住んでいる人が、任意加入の申し込みをするための窓口は、お住まいの市区役所・町村役場です。

 

2016.06.08.

<会社を辞めるのは労働者の権利?自由?>

正当な理由によって、労働契約の期間途中で辞めたり、期間満了時に辞めたりしたことで、会社の業務に何らかの支障が生じたとしても、突き詰めれば、それは会社側の人事管理に原因があるのですから、労働者に法的な責任は生じません。

ただし、期間を定めて働いている契約の途中で、自分側の都合で一方的に辞めると、損害賠償責任が発生することはあります。

その場合の賠償額は、残りの期間働かなかったことによって、実際に会社が失った利益にとどまります。さらにその後のことまで、責任を負うことはありません。

また、期間を定めずに働いていたときは、就業規則などに規定された予告期間さえ守れば、理由は何であれ、辞めることによって法的な責任が生じることはありません。

 

<強制労働の禁止>

暴行、脅迫、監禁その他精神または身体の自由を不当に拘束する手段によって就労を強制することは禁止されています。〔労働基準法5条〕

この違反には、10年以下の懲役または300万円以下の罰金という重い罰則が設けられています。〔労働基準法117条〕

退職を思いとどまらせるための説得が禁止されているわけではありませんが、繰り返し長時間にわたって取り囲んだり、拒否しているのに繰り返し家に押しかけたりするなど、社会的相当性を超える威圧的な方法・手段で行えば違法な監禁や強要となります。〔刑法220条、223条〕

また、会社が辞めたいという労働者に、損害賠償請求や告訴することを告げることは、労働者に実際にそのような責任を発生させる事情があったのならば別ですが、具体的な事実や根拠もなく行ったときは、違法な恐喝や脅迫となります。〔刑法222条、249条〕

不当な脅しには毅然とした対応が必要ですが、こうしたことは犯罪ですから、もし身の危険を感じるようならば、最寄りの警察署に相談しましょう。

 

2016.06.07.

<全く支払わないケース>

厚生年金の加入基準を満たしている従業員について、加入手続きを行わなければ、会社は従業員分と会社分の両方について、保険料を不正に免れることになります。

この場合、年金事務所や会計検査院の調査が入れば、不正がバレて会社が是正を求められます。今後、マイナンバーの社会保険への導入が行われれば、手間のかかる調査をしなくても手軽に不正をあばけるようになります。

また、加入基準を満たす従業員が、年金事務所に労働時間/日数の資料を持参して相談すれば、勤務先の会社に調査が入ります。

 

<金額をごまかすケース>

従業員の給与から控除する保険料は正しい金額でも、その一部を会社が着服して、残りを納付するということがあります。

たとえば、従業員の月給が30万円で、これに応じた保険料を給与から控除しておきながら、日本年金機構に月給20万円で届を出しておけば、月給20万円を基準に計算した保険料の納付で済みます。

この場合、年金事務所や会計検査院の調査が入れば、不正がバレて会社が是正を求められます。

また、日本年金機構から毎年1回、誕生月に厚生年金保険の加入者(被保険者)にも、年金加入記録を確認してもらうため「ねんきん定期便」が郵送されています。これを見れば、保険料の基準となっている給与や賞与が正しいか確認できます。

 

<もしもごまかされていたら>

労働時間/日数や給与・賞与、保険料として天引きされている金額などの資料をきちんと保管しましょう。退職直後に、厚生労働省や総務省に調査してもらいましょう。在職中に調査が入ると、会社から退職に追い込まれることがありえます。

また、会社の手続きに社会保険労務士が関与しているようでしたら、都道府県の社会保険労務士会にもご相談ください。こちらも退職後がお勧めです。

 

2016.06.06.

<本来の申請期限>

雇用継続給付の支給申請期限は「ハローワークの通知する支給単位期間の初日から起算して4か月を経過する日の属する月の末日」とされていました。〔雇用保険法施行規則〕

実際にこの期限を過ぎてしまってからハローワークの窓口に書類を提出しても、受け付けてもらえませんでした。

これは、迅速な給付を行い受給者を保護する趣旨とされていましたが、実際の手続きは会社と受給者の共同作業となることが多く、どちらかがウッカリすると提出期限を過ぎてしまい、受給できなくなるという不都合がありました。

 

<施行規則改正後>

平成27年4月に、この施行規則が改正され、期限を過ぎた場合でも2年間の消滅時効期間が経過するまでは、申請できるようになりました。

また、社会保険や労働保険の手続きでは、本来の期限を過ぎて手続きをする場合には、手続きが遅れた理由を示しす「遅延理由書」という書類の添付が求められることも多いのですが、消滅時効完成前の手続きには「遅延理由書」が不要とされるのが一般です。

 

<施行規則改正の影響範囲>

雇用保険の給付金は、2年間の消滅時効期間内であれば、支給申請が可能とされましたが、この扱いは多くの給付にあてはまります。

具体的には、雇用保険の各給付のうち、就業手当、再就職手当、就業促進定着手当、常用就職支度手当、移転費、広域求職活動費、一般教育訓練に係る教育訓練給付金、専門実践教育訓練に係る教育訓練給付金、教育訓練支援給付金、高年齢雇用継続基本給付金、高年齢再就職給付金、育児休業給付金、介護休業給付金です。

 

<心がけること>

本来の期限を過ぎても、あきらめずに申請の可能性を確認することをお勧めします。

ただ、「2年以内なら大丈夫」と考えるのではなく、同じ金額なら1日でも早く給付を受けられたほうが助かるのですから、手続きは速やかに行いましょう。

 

2016.06.05.

<初診日証明の見直し>

平成27年10月1日の省令改正により、医師からの初診日証明がなくても、参考資料や第三者証明の添付によって、初診日が認められうるようになりました。

子どもの頃に発症し、大人になってから治療を開始した場合に、20歳前の障害基礎年金を請求しようとしても、病院がなくなってしまうなどにより医師からの初診日証明が得られないことが多く、あきらめてしまうことがありました。

こうした方々を含め、請求の可能性について再検討をお勧めします。

 

<参考資料による初診日証明>

参考資料とは、2番目以降の医療機関の医師からの初診日証明、前にかかっていた医師の紹介状、母子手帳、学校での健康診断結果票、身体障害者手帳などをいいます。

20歳前の受診が明らかとなれば、初診日証明が認められることがあります。

これは、省令改正により、障害年金一般について新たに認められました。

 

<第三者証明による初診日証明>

初診日証明が第三者証明のみであっても、その内容を総合的に判断して、初診日証明が認められることがあります。

第三者は医療従事者などであって、本人の受診状況を見聞きしていた人や、本人・家族から受診状況を聞いていた人です。ただし、三親等以内の親族は除きます。

これは、従来20歳前障害について、複数の第三者証明が添付できれば初診日証明に使えるという扱いを拡大したものです。

 

2016.06.04.

<よくある計算方法>

就業規則のひな形によくあるパターンですが、退職時の基本給に勤続年数に応じた係数をかけて退職金の金額を算出することが多いようです。

これだと若いころ、あるいは働き盛りのころの基本給は関係なくて、退職間際になってから頭角をあらわし大きく昇給した人が有利です。

反対に、若いころに大変な努力をして出世し、基本給も役員並みになったあと、働きすぎて体を壊し基本給が大幅にダウンして退職していった社員は、報われないということになってしまいます。

 

<退職功労金>

退職金については、基本給×係数で一律に支給し、これとは別に、個人の会社に対する功績の度合いに応じた退職功労金を支給するというのが、もっとも単純なやり方でしょう。

ただし、これだと金額を客観的に決めるのは難しいでしょうし、その時々の会社のふところ具合に大きく左右されそうです。

 

<ポイント制>

たとえば、毎年4月の基本給1か月分の累計を退職金の金額にすることも考えられます。しかし、物価の変動が大きいと不公平になる可能性もあります。

そこで、担当者は1ポイント、係長は2ポイント、課長は3ポイント、部長は5ポイントなどと、1か月間在籍すると累計されるポイントを決めておき、物価の変動を踏まえて、1ポイントいくらにするかという方式もあります。

 

<退職金の性格>

退職金の性格として、退職後の生活保障的性格、賃金後払い的性格、功労報償的性格があげられます。

このうち、退職後の生活保障は在籍中に給与・賞与に応じた厚生年金保険料を支払っていて、老後の年金額に反映されると考えれば、重視しなくてもよいでしょう。

また、賃金後払い性格については、終身雇用制の崩れた現在では、退職までプールしておかないでタイムリーに給与・賞与に反映してほしいという社員の本音があります。

こう考えると、退職金のメインの性格は、功労報償的性格でしょうから、退職金を会社に対する功績の度合いで決めるというのは、合理的であると考えられます。

 

2016.06.03.

<合意分割制度とは?>

平成19年4月1日以後に離婚等をした人が、結婚期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を元夫婦間で分割することができる制度です。

 

<その効果は?>

この分割制度により,厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を当事者間で分割した場合は、当事者それぞれの老齢厚生年金等の年金額は、分割後の記録に基づき計算されます。

 

<その条件は?>

次の3つです。

・結婚期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)があること。

・元夫婦双方の合意または裁判手続により按分割合を定めたこと。

※合意がまとまらない場合は、元夫婦の一方の求めにより、裁判所が按分割合を定めることができます。

・原則として離婚等から2年以内の請求期限を経過していないこと。

※裁判、審判、調停があった場合など請求期限の例外もあります。

ここで、按分割合(あんぶんわりあい)というのは、分割対象となる結婚期間中の元夫婦双方の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)合計額のうち、分割を受けることによって増額される側の、分割後の持ち分割合をいいます。

 

<情報提供の請求>

按分割合を定めるためには、分割の対象となる期間や、その期間の元夫婦それぞれの標準報酬月額・標準賞与額、また、按分割合を定めることができる範囲などの情報を、正確に把握する必要があります。

このため、元夫婦双方または一方からの請求により、日本年金機構(年金事務所)が合意分割を行うために必要な情報を提供しています。

この請求は、合意分割の請求期限内に行う必要があります。

 

<合意分割と3号分割が同時に行われる場合>

合意分割の請求が行われた場合、結婚期間中に3号分割の対象となる期間が含まれるときは、合意分割と同時に3号分割の請求があったものとみなされます。

したがって、3号分割の対象となる期間は、3号分割による標準報酬の分割に加え、合意分割による標準報酬の分割も行われます。

 

2016.06.02.

<3号分割制度とは?>

平成20年5月1日以後に離婚等をした人で、離婚前に「国民年金の第3号被保険者」であった人からの請求により行われます。

正確には「離婚時の第3号被保険者期間の厚生年金の分割制度」といいます。

ここで、「国民年金の第3号被保険者」というのは、配偶者が会社などの勤務先で厚生年金に加入していて、その配偶者の扶養に入っていたために、年金保険料を支払わずに国民年金の加入者となっている人をいいます。

 

<その効果は?>

この制度によって、平成20年4月1日以後の「国民年金の第3号被保険者」期間の元配偶者の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)を2分の1ずつ、元夫婦間で分割することができます。

元夫婦それぞれの老齢厚生年金等の年金額は,分割後の記録に基づき計算されます。年金額が分割されるということではありません。

離婚せずに夫婦であり続けた場合の年金額は、離婚してそれぞれが受け取る年金額よりも多いのが一般です。

 

<その条件は?>

次の2つです。

・夫婦だった期間中に、平成20年4月1日以後の国民年金の第3号被保険者期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)があること。

・原則として離婚等から2年以内に請求すること。

 

<ここに注意!>

・年金分割の効果は、厚生年金の報酬比例部分(厚生年金基金が国に代行して支給する部分を含む)に限られ、国民年金の老齢基礎年金等には影響はありません。

・現に老齢厚生年金を受けている場合は、年金分割の請求をした月の翌月から年金額が変更されます。

・元配偶者を扶養していた人が、障害厚生年金の受給権者で、この分割請求の対象となる期間を年金額の基礎としている場合は、「3号分割」請求は認められません。

・分割の対象となるのは、夫婦だった期間中の記録のみです。

・老齢基礎年金を受給するための支給要件は、その人自身の年金記録によって判断されます。

・離婚後、同じ相手と再婚した場合、請求期限は、それぞれの夫婦だった期間ごとに判断されます。

・裁判、審判、調停があった場合など、請求期限が離婚等から2年以内ではないこともあります。

 

2016.06.01.