2016年 2月

<繰り越しか消滅か>

退職金の請求権は5年間、その他の請求権は2年間で時効消滅します。〔労働基準法115条〕

パート社員などを正社員に登用した場合、登用前に持っている年次有給休暇も、発生してから2年間で消滅します。正社員登用と共に消滅することはありません。

会社によっては、正社員になると共に年次有給休暇が10日間付与されます。この場合には、未消化の年次有給休暇が40日を超えることもあります。

また、付与日数の計算基準となる勤続年数も通算されます。

正社員に登用されなかった場合よりも、不利にならないように配慮が必要です。

 

<所定労働日数が変化した場合>

正社員登用前は週3日勤務、登用後は週5日勤務という場合、年次有給休暇付与の条件としての出勤率は、次回の年次有給休暇付与の日からさかのぼって1年間で計算します。

登用前が4か月、登用後が8か月であれば、登用前の出勤率の4倍と登用後の出勤率の8倍を合計して、12で割って求めます。これが8割以上なら付与されることになります。

また付与日数は、週5日勤務が基準となります。

ただし就業規則などに、労働者にとってより有利なルールがあれば、それに従います。

 

<給与計算システムとの整合性>

正社員と正社員以外とで、給与計算に異なるシステムを使用している会社もあります。

単純に移動してしまうと、年次有給休暇の勤続年数がリセットされてしまい、せっかく正社員に登用されたのに不利になってしまうことがあります。

これは労働基準法違反にもなりますので、対応できないシステムの場合には、一部手作業で対応することになるでしょう。

特に勤続6年半以上のパートさんなどが、正社員に登用された場合には注意が必要です。

 

2016.02.29.

<解雇予告とは?>

会社が従業員を解雇しようとする場合に、少なくとも30日前には解雇する旨を通知しなくてはならないというものです。

もし30日以上前に解雇予告をしなかった場合には、使用者は平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払う義務が生じます。〔労働基準法20条〕

 

<予告と手当の組み合わせ>

予告期間と解雇予告手当を組み合わせることもできます。

たとえば、17日前に予告して平均賃金の13日分の解雇予告手当を支払うこともできます。併せて30日になれば良いのです。

ただし、解雇予告の当日は24時間ありませんので、1日としてカウントできません。今月30日をもって解雇という場合には、13日に予告すれば17日前の予告となります。

 

<解雇予告手当の支払い時期>

解雇予告手当は解雇の通知とともに支払います。

この手当は、給与ではなく支払うことによって効力が発生する特殊な手当なので、「次の給与と一緒に支払います」ということはできません。

もし給与と一緒に支払ったなら、その日に予告したものとして予告期間が計算されてしまいますので注意しましょう。

 

2016.02.27.

<休職制度とは?>

休職制度とは、労働者の都合で長期間仕事を休む場合に、労働契約を存続させつつ一定の期間労働義務を免除する制度です。

長期の欠勤は労働契約の債務不履行ですが、就業規則などの取り決めで、すぐには労働契約の解除をせずに、復帰を期待して一定の期間様子を見るという恩恵的な制度です。

ですから、休職制度を設けないことは違法ではありません。

 

<法令による制限は?>

休職期間満了の時点で、休職理由が消滅していないときには解雇、あるいは労働契約の自動終了(自動退職)という効果を発生させる規定を置くことがあります。

この場合には、解雇予告期間の趣旨を踏まえ、休職期間は30日以上とすることが必要になるでしょう。〔労働基準法20条1項〕

 

<就業規則の規定は?>

留学や私傷病などの理由毎に、休職期間と期間満了前・満了時の復職・退職、勤続期間への算入の有無などがその内容となります。

なお、会社は労働者の休職中の給与を支払う義務を負っていませんが、反対に社会保険料や住民税などは免除されませんから、労働者の負担額の徴収についての規定も必要でしょう。

 

2016.02.26.

<救急箱を備える義務は?>

救急用具について「事業者は、負傷者の手当に必要な救急用具及び材料を備え、その備付け場所及び使用方法を労働者に周知させなければならない」という定めがあります。〔労働安全衛生規則633条1項〕

会社はそれなりの救急用具を備え、従業員に使い方を指導する義務を負っているのです。

 

<必要な救急用具は?>

その内容についても「事業者は、前条第一項の救急用具及び材料として、少なくとも、次の品目を備えなければならない。 一、ほう帯材料、ピンセツト及び消毒薬 二、高熱物体を取り扱う作業場その他火傷のおそれのある作業場については、火傷薬 三、重傷者を生ずるおそれのある作業場については、止血帯、副木、担架等」と定められています。〔労働安全衛生規則634条〕

つまり、どの職場にも最低限、包帯材料、ピンセット、消毒薬が必要です。

このうち、包帯材料はよく見るガーゼ付きの絆創膏でOKです。また、消毒薬も赤チンなどではなく、無色透明のシュッと吹き付けるタイプのものでかまいません。

これらを保管するには、やはり救急箱が手頃でしょう。

 

<管理もきちんと>

従業員の誰かが気を利かせたつもりで、救急箱の中に医師から処方された胃腸薬の使い残しを入れておいたとします。

これを他の従業員が勝手に服用すると、薬事法違反となりかねません。

ですから、救急箱は中身が不足しないよう、また清潔に保てるよう、担当者を決めてきちんと管理することが大事です。

 

2016.02.25.

特定個人情報保護委員会事務局により、個人番号(マイナンバー)・特定個人情報の基本ルールが4か条にまとめられています。

 

<取得・利用・提供のルール>

・個人番号の取得・利用・提供は、法令で決められた場合だけ。これ以外では、「取れない」「使えない」「渡せない」。

たとえ便利でも、会社がマイナンバーを社員番号として使用することはできません。

 

<保管・廃棄のルール>

・必要がある場合だけ保管。必要がなくなったら廃棄。

マイナンバーの記載された書類が、法定の保存期間を経過し保管の必要がなくなった場合には、できるだけ速やかに廃棄しなければなりません。

 

<委託のルール>

・委託先を「しっかり監督」再委託は「許諾が必要」

会社がマイナンバーの管理を専門業者に委託しても、委託先に対して必要かつ適切な監督を行わなければなりません。

また、委託先が再委託できるのは、最初の委託者の許諾を得た場合だけです。

 

<安全管理措置のルール>

・漏えいなどを起こさないために。

会社は、漏えい、滅失、毀損の防止その他の適切な管理のため、適切な安全管理措置を講じ、従業員に対しても適切な監督を行わなければなりません。

 

2016.02.24.

<出産育児一時金とは?>

出産育児一時金は、健康保険の加入者(被保険者)やその扶養家族(被扶養者)が出産した時に、協会けんぽなどの保険者に申請すると1児につき42万円が支給される一時金です。

たとえば、未婚の娘が出産した場合にも、娘が扶養家族なら家族出産育児一時金として対象となります。

また、「1児につき」ですから双子なら2倍、三つ子なら3倍の金額が支給されます。

ただし、産科医療補償制度に未加入の医療機関等で出産した場合は40万4千円です。この産科医療補償制度というのは医療機関等が加入する制度で、加入医療機関で制度対象となる出産をされ、万一、分娩時の何らかの理由により重度の脳性まひとなった場合、子どもとご家族の経済的負担を補償するものです。

 

<支給の条件は?>

妊娠85日以後の生産(早産)、死産(流産)、人工妊娠中絶であることが必要です。

ですから、会社で出産祝い金の支給対象外となる場合であっても、出産育児一時金の支給対象となることがあります。

 

<特別な支給方法>

出産にかかる費用に出産育児一時金を充てることができるよう、協会けんぽなどの保険者から医療機関等に、直接支払う仕組み(直接支払制度)があります。この場合、出産費用としてまとまった額を事前に用意する必要がないので大変助かります。

もちろん、出産後に健康保険の加入者(被保険者)が直接受け取ることもできます。

 

<出産費貸付制度>

出産費用に充てるため、出産育児一時金の支給までの間、出産育児一時金の8割相当額を限度に資金を無利子で貸し付ける制度があります。

対象者は、出産育児一時金の支給が見込まれる方のうち、出産予定日まで1か月以内の方、または妊娠4か月以上で医療機関等に一時的な支払いを要する方です。

 

<資格喪失後の出産育児一時金>

退職などにより、健康保険の加入者(被保険者)でなくなった場合でも、資格喪失の日の前日(退職日等)まで被保険者期間が継続して1年以上ある方が、資格喪失日から6ヵ月以内に出産したときは、出産育児一時金が支給されます。

たとえば、健康保険に加入していた女性が退職して資格を喪失し、夫の扶養に入ってから出産した場合には、本人の出産育児一時金か、夫の家族出産育児一時金のどちらか一方を選んで支給を受けます。

また、健康保険の加入者(被保険者)の資格喪失後にその被扶養者だった家族が出産しても、家族出産育児一時金は支給されません。

 

2016.02.23.

<傷病手当金とは?>

傷病手当金は、休業中に健康保険の加入者(被保険者)とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、病気やケガのために会社を休み、会社から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。

被保険者は、給与天引きなどにより保険料を支払っている人です。

 

<支給の条件は?>

傷病手当金は、次の4つの条件をすべて満たしたときに支給されます。

・業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること

 業務や通勤によるケガは労災保険で補償されますから対象外です。

・仕事に就くことができないこと

 医師の判断によります。大事をとって休業しても対象外です。

・連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと

 最初の3日が、たまたま年次有給休暇でもOKです。

・休業した期間について給与の支払いがないこと

 給与の支払があって、その給与が傷病手当金の額より少ない場合は、傷病手当金と給与の差額が支給されます。

 

<支給される期間は?>

傷病手当金が支給される期間は、支給開始した日から最長1年6ヵ月です。

これも、医師が労務不能を認めた期間に限ります。

 

<支給される金額は?>

傷病手当金は、1日につき健康保険加入者(被保険者)の標準報酬日額の3分の2に相当する額(1円未満四捨五入)が支給されます。

標準報酬日額は、標準報酬月額の30分の1に相当する額(10円未満四捨五入)です。

標準報酬月額は、原則として4月から6月までの給与の総支給額を基準に、その年9月以降の保険料の計算基準となる月給です。

 

2016.02.22.

有期労働契約の打ち切り>

会社がパートやアルバイトなど、有期労働契約で雇っている労働者を、期間満了時に契約の更新を行わずに終了させることを「雇い止め」といいます。

 

<法律の規定は?>

一定の場合に「使用者が(労働者からの契約延長の)申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす」という抽象的な規定があります。〔労働契約法19条〕

 

<裁判になったら>

これは、数多くの裁判の積み重ねによって作られた「雇い止めに関する法理」という理論を条文にしたものです。

ですから、雇い止めがこの理論による有効要件を満たしていなければ、裁判では無効とされ、有期労働契約が自動的に更新されることになります。

 

<雇い止めに関する法理>

雇い止めは、次のような事情が多く認められるほど、有効と判断されやすくなります。

業務内容や労働契約上の地位が臨時的なものであること。

契約更新を期待させる制度や上司などの言動が無かったこと。

契約更新回数が少ないこと、また、通算勤続期間が短いこと。

他の労働者も契約更新されていないこと。

雇い止めに合理的な理由が認められること。

 

<注意ポイント>

契約期間の終了間際になってから雇い止めの話を切り出したり、事前に充分な説明が無かったりすれば、それだけで「社会通念上相当でない」と判断されます。

ですから、雇い止めをする事情が発生したら、対象者には早く説明してあげることが大切です。

 

2016.02.21.

<まずは源泉徴収>

会社など給与の支払者は、役員または使用人に対して給与を支払うたびに、所得税と復興特別所得税の見込み額を天引きしています。

これを源泉徴収といいます。

源泉徴収した税金は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月10日までに国に納めなければなりません。

こうして国は税金の徴収漏れを防げますし、一種の分割払いになることで一度に多額の税金を納付することも防げます。

 

<つぎに税額の確定>

ところが、その年1年間に給与から源泉徴収をした税金の合計額は、必ずしもその人が1年間に納めるべき税額とはなりません。

そこで、その年の1月1日から12月31日までの間に支払うべきことが確定した給与の合計額に応じ、一覧表により給与所得控除後の給与の額を求めます。

ここから、扶養控除などの所得控除を差し引き、所得税の税率を当てはめて税額を求めます。

 

<最後に年末調整>

源泉徴収をした税金の合計額と、1年間に納めるべき税金には、差額が発生します。この差額をその年最後の給与で精算するのが年末調整です。

一般には、源泉徴収をした金額の方が多いため、徴収しすぎた税額を返金します。これを「年調還付」などと呼んでいます。

反対に、1年間に納めるべき税金の方が多い場合には、追加で差額の税額を徴収します。これを「年調不足」などと呼んでいます。

年末調整の対象となる人は、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人です。

ただし、2,000万円を超える給与の支払を受ける人は、年末調整の対象になりません。

 

2016.02.20.

<定額(固定)残業代とは?>

1か月の残業代を定額で支給するものです。

基本給に含めて支給する方式と、基本給とは別に定額残業手当として支給する方式があります。

 

<そのメリットは?>

残業時間を減らしても給与が減らないので、長時間労働の抑制になります。

会社にとっても、人件費が安定するので予算・計画が立てやすくなります。

 

<合法的に運用するには?>

残業について1か月の基準時間を定めて、これに応じた定額の残業代を設定します。

基準時間を下回る時間しか残業が発生しない月も、定額の残業代は減額せずに支給します。

基準時間を上回る時間の残業が発生した月は、定額の残業代を上回る部分の残業代を給与に加えて支給します。賞与でまとめてということはできません。

深夜労働や休日労働の割増賃金は、別計算で支給します。

深夜労働や休日労働の分も定額(固定)にすることは、理論的には可能です。しかし、計算や運用が難しくなりますし、人件費が割高になるのでお勧めできません。

 

<具体的な計算方法は?>

1日8時間、1週40時間、1か月の勤務日数が22日で月給が設定されている場合を例にとります。

残業の基準時間が30時間で、基本給+定額残業手当=20万円にしたいときは、

定額残業手当=基本給÷(8時間×22日)×1.25×30時間なので、

20万円-基本給=基本給×37.5÷176

基本給×(37.5÷176+1)=20万円

基本給=20万円÷(37.5÷176+1)

これを計算すると、164,871円となります。

定額残業手当は、20万円-164,871円=35,129円です。

164,871円の基本給の場合、1か月の勤務時間が8時間×22日=176時間なら、

30時間分の残業手当は、(164,871円÷176時間)×30時間×1.25=35,129円で計算の正しいことが確認できます。

 

<その他の注意点>

このとき注意したいのは、最低賃金です。計算結果の基本給が、最低賃金×176時間を下回ると最低賃金法違反となります。

なお、基本給に定額残業代を含めたいときは、上記の基本給+定額残業手当を基本給として設定すればOKです。この場合でも、きちんと内訳を表示する必要がありますから、本来の基本給分がいくらで、定額の残業代が何時間分でいくらなのか明示しましょう。

さらに、残業時間が基準時間を超える場合に、残業手当を別途支給するときの基準額も示す必要があります。何も示さないと、定額残業代を含んだ基本給をベースに残業手当を計算することになって、人件費が膨らんでしまうので注意しましょう。

 

2016.02.19.

<公正な採用選考の基本は?>

採用選考に当たっては、応募者の基本的人権を尊重すること、応募者の適性・能力のみを基準として行うことが基本です。

この基本から外れた採用面接を行ってしまうと、応募者からの口コミで会社の評判が落ちてしまうこともあります。

 

<セクハラやパワハラは厳禁>

セクハラやパワハラとなる発言は、確実に避けなければなりません。

応募者に対して、セクハラなどが横行する会社であるという印象を与えることになります。

 

<思想信条にかかわる事項>

宗教、支持政党、人生観、生活信条、尊敬する人物、購読新聞・雑誌・愛読書などに関することは、面接で聞いてはいけません。

 

<応募者に責任のない事項>

応募者の努力で改善できないことを尋ねるのは人権侵害にあたります。

たとえば、本籍・出生地に関すること、家族に関すること(職業、続柄、健康、地位、学歴、収入、資産など)、住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)、生活環境・家庭環境などに関することも、面接で聞いてはいけません。

採用が決まってから、社会保険の手続きなどに必要な範囲内で申告させるようにしましょう。

 

2016.02.18.

<いつまでに取得するのですか?>

マイナンバー(個人番号)を記載した書類を、行政機関などに提出する時までに取得すれば間に合います。

たとえば、給与所得の源泉徴収票であれば、平成28年1月の給与支払からマイナンバー制度が適用されますが、中途退職者を除き、平成29年1月末までに提出する源泉徴収票から記載の必要が生じます。それまでに取得しておきましょう。

 

<マイナンバー取得の際の注意点は?>

マイナンバーを取得する際は、対象者に利用目的を明示するとともに、他人へのなりすましを防止するために厳格な本人確認を行ってください。

たとえば、源泉徴収の目的で取得したマイナンバーを、社会保険の手続で利用することはできません。最初から予定される利用目的を包括的に明示してから取得し、利用するのが良いでしょう。具体的には、就業規則に利用目的を明示しておき、これを周知するのがお勧めです。

また本人確認は、個人番号カードによれば確実です。個人番号カードが無ければ、 通知カードと運転免許証など、あるいは個人番号の記載された住民票の写しなどと運転免許証など、番号確認の書類と身元確認の書類を組み合わせることが必要となります。

 

2016.02.17.

<出来高払制とは?>

出来高払制とは、労働時間に関係なく出来高に応じて賃金を支払うしくみです。

もし給与のすべてが出来高に比例して支払われる完全出来高制なら、会社は売上に比例した給与を支給することになり、無駄な賃金を支払わなくて済むでしょう。

社員にとっても、やればやるだけ実績に応じた給与を獲得できるので、やりがいがあるでしょう。しかし、出来高がゼロなら給与の支給もありません。

考えてみれば、残業手当や年次有給休暇を使った時の計算もしようがありません。

 

<労基法による制限>

これでは労働者の保護に欠けますから、「出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者は、労働時間に応じ一定額の賃金の保障をしなければならない」という規定があります。〔労働基準法27条〕

つまり、基本となる月給、日給、時間給が保障給として設定され、これに加えて出来高に応じた賃金を上乗せするという形でしか、出来高払制は認められていないのです。

完全出来高制は違法だということになります。

 

<最低賃金法による制限>

しかも、出来高払制の保障給は、最低賃金法の基準を満たしていなければなりません。〔最低賃金法施行規則3条1項5号〕

結局、最低賃金を上回る保障給に加えて、出来高に応じた賃金を支払うことになるのです。

会社にとって、必ずしも人件費の節約にはならないしくみです。

 

2016.02.16.

<整理解雇とは?>

整理解雇とは、会社の事業継続が困難な場合に、人員整理のため会社側の都合により労働契約を解除することです。

法律上は普通解雇の一種ですが、労働慣例により他の普通解雇と区別するため整理解雇という用語が使われています。

 

<法律上の制限は?>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という規定があります。〔労働契約法16条〕

しかし、これでは内容が抽象的すぎて、具体的な場合にその解雇が有効なのか無効なのか判断に困ります。

 

<整理解雇の有効要件は?>

そこで実務的には、判例で示された次の4つの要素から、解雇の有効性を判断することになります。4つのうち1つでも要件を欠いていたら、解雇が無効になるということではなく、総合的に判断されます。

まず、経営上の人員削減の必要性です。会社の財政状況に問題を抱えていて、新規採用などできない状態であることです。

次に、解雇回避努力の履行です。配置転換や希望退職者の募集などの実施です。

さらに、解雇対象者の人選の合理性です。差別的な人選は許されません。

最後に、手続の相当性です。事前の説明や労働者側との協議など、誠実に行うことが求められます。

 

2016.02.15.

<ストレスチェックとは?>

ストレスについての質問票に、労働者が選択肢の中から選ぶ形で回答を記入し、それを集計・分析することで、ストレスがどのような状態にあるのかを調べる簡単な検査です。

 

<義務化とは?>

労働者が50 人以上の事業所では、2015 12 月から毎年1回、この検査を労働者に対して実施することが義務付けられました。〔労働安全衛生法66条の10

定期健康診断と同様に、契約期間が1年未満の労働者や、所定労働時間が通常の労働者の4分の3未満の短時間労働者は法的義務の対象外です。

 

<その目的は?>

労働者が自分のストレスの状態を知ることで、ストレスをためすぎないように対処したり、ストレスが高い状態の場合には医師の面接を受けて助言をもらったり、会社側に仕事の軽減などの措置を実施してもらったり、職場の改善につなげたりすることで、「うつ」などのメンタルヘルス不調を未然に防止するのが目的です。

決して、ストレスに弱い労働者を発見して退職を勧奨したり、降格の根拠を見つけたりするためのものではありません。むしろ、こうしたことが無いように、充分な配慮が求められています。

 

2016.02.14.

<ダイバーシティ(Diversity)とは?>

ダイバーシティは「人々の間の違い」「多様性」というのが本来の意味です。

日経連の定義は「異なる属性(性別、年齢、国籍など)や従来から企業内や日本社会において主流をなしてきたものと異なる発想や価値を認め、それらを活かすことで、ビジネス環境の変化に迅速かつ柔軟に対応し利益の拡大につなげようとする経営戦略。また、そのために、異なる属性、異なる発想や価値の活用をはかる人事システムの構築に向けて連続的かつ積極的に企業が取り組むこと。」となっています。

私の理解では「色々な違いのある人々であっても、同じ職場に平等に受け入れ、一緒に働くからには組織の一員として平等に扱う」ということを、ダイバーシティと言っていると感じます。平等の原理のあらわれであるという理解です。

 

<インクルージョン(Inclusion)とは?>

インクルージョンは「包括」「包含」「一体性」というのが本来の意味です。

「組織内の誰にでもビジネスの成功に参画・貢献する機会があり、それぞれに特有の経験やスキル、考え方が認められ、活用されていること」などと説明されています。

インクルージョンは、ダイバーシティをより発展させた新しい人材開発のあり方であるという説明も良く目にします。

私の理解では「色々な違いのある人々を、同じ職場に平等に受け入れた後は、一緒に働くのであっても、一人ひとりの個性が活かされ独自能力を最大限に発揮できるよう、個性に応じて公平に扱う」ということを、インクルージョンと言っていると感じます。公平の原理のあらわれであるという理解です。

 

<平等と公平>

平等とは、人々の共通する属性に着目して同じ扱いをすることにより、妥当な結論を導く考え方です。

公平とは、人々の異なった属性に着目して違った扱いをすることにより、妥当な結論を導く考え方です。

平等な採用をして、公平な処遇をすることによって、一人ひとりが能力を最大限に発揮し企業と共に成長するのは、すばらしいことだと思います。

 

※飯田弘和先生のメルマガを読んで、思っていることを書いてしまいました。

 詳しい説明は、飯田先生のメルマガをご参照ください。

 

2016.02.12.

<介護休業とは?>

介護休業とは、ケガ、病気、身体上・精神上の障害により、2週間以上にわたり常時介護を必要とする状態にある対象家族を介護するためにする休業をいいます。〔育児・介護休業法2条2号〕

年次有給休暇と同様に、法律によって定められた労働者の権利ですから、「うちの会社に介護休業は無い」という話はウソになります。

 

<対象となる労働者>

とはいえ、介護休業の対象となる労働者は限定されています。

まず、要介護状態にある対象家族を介護する男女労働者であることが必要です。

また、日雇い労働者は対象外です。

そして、有期労働契約の労働者の場合には、次のすべての条件を満たしている場合に対象となります。

同一の事業主に引き続き1年以上雇用されていること

介護休業開始予定日から起算して93日を経過する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれること

93日を経過する日から1年を経過する日までの間に、労働契約期間が満了し契約の更新が無いことが明らかでないこと

さらに、労使協定で定められた一定の労働者も介護休業をすることはできません。

 

<対象となる家族>

対象家族の範囲は、配偶者(内縁を含みます)、父母、配偶者の父母、子、労働者と同居し扶養されている祖父母、兄弟姉妹、孫です。

 

<介護休業給付>

雇用保険に入っている方が、介護休業を取得した場合、一定の要件を満たすと介護休業給付金の支給を受けることができます。

これについては、雇用保険法施行規則の一部を改正する省令が2月16日に施行され、介護休業給付など雇用継続給付の申請は、原則として事業主を経由することとなりました。

これにより、介護休業給付の申請を行う事業主は、マイナンバー法上は「個人番号関係事務実施者」として取り扱われることとなり、従業員の個人番号確認や身元確認を行うことが必要となりました。

 

<介護休業制度の趣旨>

対象家族1人につき、介護休業の期間は合計して93日までです。

たったこれだけの期間で、その対象家族が元気になって、もう介護を必要としなくなるとは限りません。

現実的には、親戚が集まって誰が介護をするかを話し合ったり、手頃な介護施設を探したりするために、この介護休業制度を使うことが多いのだといえるでしょう。

 

2016.02.12.

<懲戒処分の目的1

社員を懲戒する目的は、懲戒対象となった社員に反省を求め、その将来の言動を是正しようとすることにあります。

懲戒処分を受けた社員が深く反省し、二度と同じ過ちを犯さないように注意して働くことが期待されています。

ですから、能力はあるのに故意あるいは不注意によって、不都合な結果を発生させたことが前提となっています。

能力不足で不都合な結果が発生した場合には、反省しても結果を防止できません。

会社は、能力不足に対しては、懲戒処分ではなく教育研修で対応する必要があるのです。

 

<懲戒処分の目的2

懲戒対象となった社員ではなく、他の社員一般に対して基準を示し、みんなが安心して就業できる職場環境を維持することをも目的としています。

「社長を怒らせたら懲戒処分」というのでは、社員はいつも不安です。何をしたらどの程度の処分を受けるのか、予め知っておくことにより、伸び伸びと業務を遂行することができるのです。

懲戒規定に無い行為について、懲戒処分をすることはそれ自体違法です。しかし、それ以上に他の社員に対する悪影響が大きくて、会社全体の生産性が低下するという実害が出ますので避けましょう。

 

<就業規則の規定>

就業規則の懲戒関係の規定の最初には、是非とも懲戒処分の目的を明示していただきたいです。

そうすれば、目的を見失って懲戒のための懲戒になってしまうことを避けることができるでしょう。

 

2016.02.11.

<在職老齢年金とは?>

働きながら老齢年金を受けることができます。これを在職老齢年金といいます。

厚生年金保険の適用される会社で勤務する70歳未満の方は、年金を受けていても若い方と同じ条件で厚生年金に加入します。

 

<60歳以上65歳未満の方の支給停止>

年金額の一部または全部が、支給停止されることがあります。

まず、1年間で受ける年金の合計額を12で割って「基本月額」を算出します。

つぎに、1年間の賃金と賞与の合計額を12で割って「総報酬月額相当額」を算出します。

この「基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計額が28万円以下であれば、年金は全額支給されます。

28万円を超えるときは、「基本月額」が28万円以下か超えるか、「総報酬月額相当額」が47万円以下か超えるかの区分に従い、4つの計算式のどれかによって支給停止額が計算されます。

 

<「基本月額」が28万円以下で、「総報酬月額相当額」が47万円以下>

支給停止額

=(「基本月額」+「総報酬月額相当額」-28万円)×6

 

<「基本月額」が28万円以下で、「総報酬月額相当額」が47万円を超える>

支給停止額

=(「基本月額」+19万円)×6+(「総報酬月額相当額」-47万円)×12

 

<「基本月額」が28万円を超え、「総報酬月額相当額」が47万円以下>

支給停止額

=「総報酬月額相当額」×6

 

<「基本月額」が28万円を超え、「総報酬月額相当額」が47万円を超える>

支給停止額

=282万円+(「総報酬月額相当額」-47万円)×12

 

<高年齢雇用継続給付を受ける場合の支給停止>

60歳以上65歳未満の方は、雇用保険の高年齢雇用継続給付を受けることがあります。

この場合には、賃金額の0.18%~6%が支給停止されます。

 

<65歳以上の方の支給停止>

「基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計額が47万円以下であれば、年金は全額支給されます。

47万円を超えるときは、次の金額が支給停止となります。

(「基本月額」+「総報酬月額相当額」-47万円)×6

なお、平成27年10月以降は、70歳以上の方、議員、共済組合加入者も在職支給停止の対象者となります。

 

<加給年金額が加算されている場合>

加給年金額を除く老齢厚生年金が、全額支給停止される場合には、加入年金額も全額支給停止となります。

この他の場合には、加給年金額は全額支給されます。

 

2016.02.10.

<勤続期間が短い場合>

最初から半年以内の契約期間で働く約束であったり、長く勤めてもらう予定だったとしても入社から半年以内に退職すると、年次有給休暇は付与されません。〔労働基準法39条1項〕

 

<休みがちの場合>

就業規則や雇用契約で決まっている全労働日の8割以上出勤しなければ、年次有給休暇は付与されません。〔同上〕

 

<出勤回数が少ない場合>

隔週1日の出勤というように、出勤日数が年48日未満の雇用契約で働く場合にも、年次有給休暇は付与されません。〔労働基準法39条3項、厚生労働省令〕

 

<就業規則による修正>

法律上は上記のとおりですが、その会社の就業規則に「入社とともに10日の年次有給休暇を付与する」など、労働者に有利な規定があれば法律に優先して適用されます。

 

<やってはならないこと>

勤続期間は、試用期間を設けた場合であっても、試用期間の初日から計算しなければなりません。本採用になってから半年後に、年次有給休暇を付与するのでは違法です。

また懲戒処分で、年次有給休暇を減らしたり付与しなかったりするのも、無効とされますので注意しましょう。

 

2016.02.09.

<平均賃金とは?>

平均賃金というのは、給料の相場などという意味ではなく、労働基準法等で定められている手当や補償、減俸処分の制限額を算定するときなどの基準となる金額です。

 

<平均賃金の計算方法>

原則として事由の発生した日の前日までの3か月間に、その労働者に支払われた賃金の総額を、その期間の総日数(暦日数)で割った金額です。〔労働基準法12条〕

法律の条文には、「算定すべき事由の発生した日以前三箇月間」と書いてありますが、「事由の発生した日」は、労災事故にあった日など丸々1日分の給料が支払われないことがあるので、実際の運用では前日までの期間で計算します。

 

<使われるケース>

労働者を解雇する場合の解雇予告手当=平均賃金の30日分以上〔労働基準法20条〕

使用者の都合により休業させる場合に支払う休業手当=1日につき平均賃金の6割以上〔労働基準法26条〕

年次有給休暇を取得した日について平均賃金で支払う場合の賃金〔労働基準法39条〕

労働者が業務上負傷し、もしくは疾病にかかり、または死亡した場合の災害補償等〔労働基準法76条から82条、労災保険法〕

減給制裁の制限額=1回の額は平均賃金の半額まで、何回も制裁する際は支払賃金総額の1割まで〔労働基準法91条〕

 

<実際の計算では>

賃金の締日がある場合には、事由の発生した日の直前の締日までの3か月について、通勤手当、皆勤手当、時間外手当など諸手当を含み税金などの控除をする前の額(賃金総額)の合計額を算出します。これを3か月の暦上の日数で割って、銭(1円の100分の1)未満を切り捨てます。

例外として、賃金が日額や出来高給で決められ労働日数が少ない場合には、総額を労働日数で割った金額の6割に当たる額が高い場合にはその額を適用します。(最低保障額)

 

 

2016.02.07.

<みなし労働時間制が必要なケース>

出張や外回りの営業のように事業場外で行われる業務は、使用者の具体的な指揮監督が及ばず、労働時間の算定が困難になる場合が発生します。

こうした場合に労働時間を適正に算定するため、みなし労働時間制が必要となります。

 

<みなし労働時間の算定方法>

労働者が労働時間の全部または一部について、事業場外で業務に従事した場合に、労働時間を算定するのが困難なときには、所定労働時間だけ労働したものとみなされます。〔労働基準法38条の2第1項〕

ただし、その業務を遂行するため通常の場合、所定労働時間を超えて労働することが必要になる場合には、その業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなされます。〔労働基準法38条の2第1項但書〕

この場合、業務の遂行に通常必要とされる時間は、会社と労働者代表などとの労使協定により定めることができます。〔労働基準法38条の2第2項〕

 

<みなし労働時間の注意点>

労働の一部が事業場外で行われ、残りが事業場内で行われる場合は、事業場外での労働についてのみ、みなし労働時間が算定されます。

また、労働時間の算定が困難かどうかは、使用者の具体的な指揮監督や時間管理が及ぶか否かなどにより客観的に判断されます。現在では、携帯電話などで随時指示が出されるケースが多く、こうした場合には原則として適用対象となりません。

 

2016.02.06.

<出産手当金とは?>

健康保険に入っている人が、出産のために仕事を休み給料がもらえないときに、申請によって支給される給付金です。

 

<その条件は?>

まず、被保険者の出産であることが必要です。被保険者とは保険料を負担している人で、扶養家族は対象外となります。

また、妊娠85日以上での出産であることが必要です。流産や死産、人工妊娠中絶も含みます。

法律上は、4か月以上となっていますが、妊娠については1か月28日で計算しますし、3か月を1日でも超えれば4か月以上と考えますので、28×3+1=85という計算により、実際の運用は妊娠85日以上で行われています。

さらに、給料の支払いが無いか、出産手当金の金額より少ないことが条件です。

 

<支給金額は?>

〔平成28年3月31日までの支給金額〕

1日あたりの金額=(休んだ日の標準報酬月額)÷30日×2/3

〔平成28年4月1日からの支給金額〕

1日あたりの金額=(支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額)÷30日×2/3

 

<注意したいこと>

出産手当金と同様に、出産にあたってもらえる給付金には、「出産育児一時金」があります。

こちらの方は、被保険者だけでなく扶養家族の出産も含まれます。扶養に入っている未婚の娘が出産した場合などにも支給されます。

 

2016.02.05.

<傷病手当金とは?>

健康保険に入っている人が、業務外の病気やケガで仕事ができず、給料がもらえないときに、申請によって支給される給付金です。

 

<その条件は?>

まず、業務外の病気やケガで仕事ができない期間について、医師の証明が必要です。仕事ができないわけではないけれど、大事をとってお休みするというのは対象外となります。

また、4日以上連続して仕事を休んでいることが必要です。最初の3日間を「待期期間」といって、ここに公休や有給休暇が含まれていてもかまいません。

さらに、給料の支払いが無いか、傷病手当金の金額より少ないことが条件です。

医師が証明した期間と、実際に仕事を休んだ期間とで、重なる日について支給されます。

 

<支給金額は?>

〔平成28年3月31日までの支給金額〕

1日あたりの金額=(休んだ日の標準報酬月額)÷30日×2/3

〔平成28年4月1日からの支給金額〕

1日あたりの金額=(支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額)÷30日×2/3

 

<注意したいこと>

たとえば4日間の休業だと、もらえる傷病手当金は1日分です。「傷病手当金支給申請書」に医師の証明を書いてもらうのに、3千円から1万円の文書料がかかります。交通費などの経費や手間を考えると、申請を見送った方が良い場合もあるでしょう。

 

2016.02.04.

<転倒災害の現状>

転倒災害は、いま最も多い労働災害で、しかも年々その割合が増えています。

長期の休業につながることも多いので、まずは転びにくい靴を選びましょう。

 

<サイズ>

小さすぎても大きすぎても踏ん張りがきかず、バランスを崩しやすくなります。

妥協しないで足にフィットする大きさの靴を選びましょう。

 

<屈曲性>

靴の底が硬くて曲がりにくいと、すり足になりやすく、つまずく原因となります。

かかととつま先を持ち、力を入れても曲がりにくい靴は避けましょう。

 

<重量>

重すぎると足が上がりにくくなり、つまずきやすくなります。

特につま先に重量が偏っていると、歩行中につま先が下がり、つまずきの原因となります。

 

<つま先の高さ>

つま先の高さが低いと、ちょっとした段差にも対応できません。

つま先の上がっている靴を選びましょう。

 

<靴底のすべりやすさ>

すべりやすい床では、すべりにくい靴底の靴が良いのは当然です。

しかし、こうした靴底は、特にすべりやすくない床では、摩擦が強くなりすぎてかえってつまずきの原因となります。

床の状態に合わせて選びましょう。

 

2016.02.03.

<効力の優先順位は?>

就業規則が労働契約に優先します。〔労働基準法93条、労働契約法12条〕

労働契約は、会社と各労働者との個別契約です。

一方、就業規則に定めてあることは、その就業規則が適用される労働者に共通するのが原則です。

そして、就業規則に定めきれない各労働者に特有のことは、労働契約に定められます。

 

<例外的に労働契約が優先の場合>

就業規則が優先という法律の規定は、労働契約が就業規則よりも低い労働条件を定めて、労働者に不利となる場合には、その部分を無効にして就業規則に従うという意味なのです。

逆に、労働契約の中に就業規則よりも有利な部分があれば、その部分については労働契約が有効となります。

 

<労働法の理念による修正>

労働法全体の基本理念として「労働者の保護」があります。

就業規則と労働契約の優先順位について「就業規則が優先」と法定しても、この「労働者の保護」という基本理念により、解釈が修正されることになります。

 

<結論としては?>

就業規則と労働契約を比べて、違いがある部分については、労働者に有利な方が有効となります。

とはいえ、これが簡単ではないのです。

たとえば、午後1時から3時の間はお客様が少なくてお店が暇だとします。

就業規則には、休憩時間が1時間と書かれているけれども、店長がパートさんとの労働契約更新にあたって「これからは休憩を2時間にします」と一方的に説明して、そういう契約にしたらどうでしょう?

多くの方にとっては、拘束時間が変わらないのに収入が減るので不利になるでしょう。

ところが、自宅が職場の隣にあって「ラッキー!昼休みに洗濯が済ませられるわ」と喜ぶパートさんがいるかもしれません。

労働法全体の考え方からすると、労働者にとって、休憩時間は長い方が有利となりそうなのですが、ここは会社と労働者との話し合いで解決したいところです。

 

2016.02.02.

<所得税計算のしくみ>

所得税は、所得金額に税率を掛けるのではなく、所得金額から扶養控除などを差し引いて課税所得を計算し、この課税所得に税率を掛けて算出します。

ですから扶養控除が多いほど、課税所得が減り税金は安くなります。

 

<扶養控除の意味>

所得税や個人住民税の納税者に、控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。これを扶養控除といいます。

ここで、控除対象扶養親族とは、扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が16歳以上の人をいいます。

 

<扶養親族の範囲>

扶養親族とは、その年の12月31日の時点で、次の4つの要件すべてに当てはまる人です。

ただし、納税者が年の途中で死亡・出国する場合は、その時点が基準となります。

1.配偶者以外の親族(6親等内の血族と3親等内の姻族)または都道府県知事から養育を委託された児童や市町村長から養護を委託された老人であること。

2.納税者と生計を一にしていること。

3.年間の合計所得金額が38万円以下であること。

(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)

4.青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと。

 

<扶養控除の金額>(平成27年4月現在)

たとえば、控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の人、つまり特定扶養親族の場合には、所得税で63万円、住民税で45万円となっています。

 

2016.02.01.