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<定義変更のお知らせ>

 

厚生労働省は、平成30(2018)420日付で、「毎月勤労統計調査」の平成30(2018)2月分結果確報を公表しました。

これに併せて、「毎月勤労統計調査における平成301月分調査からの常用労働者の定義の変更及び背景について」と「毎月勤労統計調査における平成301月分調査からの部分入替え方式の導入に伴う対応について」の2つのお知らせを公表しました。

 

<変更内容>

 

●変更前 …… 平成29(2017)12月分調査まで

常用労働者とは以下のいずれかに該当するものをいう。

1.期間を定めずに雇われている者

21か月を超える期間を定めて雇われている者

3.臨時または日雇労働者で前2か月の各月にそれぞれ18日以上雇われた者

 

●変更後 …… 平成30(2018)年1月分調査から

常用労働者とは以下のいずれかに該当するものをいう。

1.期間を定めずに雇われている者

21か月以上の期間を定めて雇われている者

 

この変更によって、「臨時または日雇労働者で前2か月の各月にそれぞれ18日以上雇われた者」という複雑な条件の労働者は、常用労働者の定義から外されました。データの提出を求められる企業にとっても、データを活用しようとする企業や団体にとっても、やっかいなカテゴリーが消えたことになります。

また、1か月ちょうどの雇用契約で働いている労働者は、新たに常用労働者のカテゴリーに加わったことになります。

 

<変更の理由>

 

常用労働者と臨時労働者の区分については、事業所・企業を対象とする統計調査と世帯・個人を対象とする統計調査との間で、直接的な比較が困難であったことから、両者で基準を統一しました。

 

<注意すること>

 

「毎月勤労統計調査」を統計データとして活用する場合、以前のものとは常用労働者の定義が異なっていることから、その連続性がやや失われていることに注意が必要です。

調査対象事業所となった場合、前回の経験を踏まえてデータを作成するのではなく、作成の手引きを確認しながら作業する必要があります。

 

2018.04.26.解決社労士

<セクハラの公式定義>

セクシュアルハラスメント(セクハラ)とは、職場において、性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、身体への不必要な接触など、意に反する性的な言動が行われ、拒否したことで不利益を受けたり、職場の環境が不快なものとなることをいいます。

「対価型セクハラ」とは、労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応(拒否や抵抗)により、その労働者が解雇、降格、減給等の不利益を受けることをいいます。

「環境型セクハラ」とは、労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等その労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることをいいます。

 

<定義の修正>

上記の公式定義からは、実害のあったことがセクハラ成立の条件であるかのように思われます。

しかし、企業はセクハラ発生の防止に努めなければなりませんし、セクハラ行為を行った社員に対して懲戒処分を行いたいと思っても、会社が実害の発生を証明できなければ断念せざるを得ません。

このことから、私は「職場の人間関係や職場環境で性について平穏に過ごす自由を侵害しうる行為」という定義を推奨しています。

セクハラの加害者は「本人の受け取り方次第」という言い逃れをしたがりますが、この定義であれば、それはできない話です。被害者の感情とは無関係に客観的に認定されますから。

 

<密室型セクハラの特殊性>

部屋の中に加害者と被害者だけがいる状態で行われたセクハラは、他のハラスメントと同様にその立証が極めて困難です。

セクハラがあったということが、真実であったとしても、これを客観的に認定するのは、ほとんど不可能ではないでしょうか。

反対に、セクハラをでっち上げることも簡単な状況であるといえます。

 

<企業の取るべき対応>

密室型セクハラを防止するためには、それが起こらないためのルールを設定し、社員に教育し、ルールの順守を求めることが必要です。

たとえば、男女1名ずつで会議室や応接室には入らない、自動車に乗車しないなどのルールです。さらに、LGBTに配慮するのであれば、性別にかかわりなく密室に2名でこもることを禁止しなければなりません。

少し厳しいルールのような気もしますが、どうしても2名で密室に入る必要性は、滅多に発生しません。

社員と会社を守るためには、必要なことではないでしょうか。

 

ところで、私の尊敬する飯田弘和先生が、最近のセクハラ報道に一石を投じています。

よろしかったら↓こちらもどうぞ。 

https://ameblo.jp/soudan-iida

 

2018.04.25.解決社労士

社員が社内で、あるいは、お取引先やお客様からセクハラを受けたなら、会社は毅然(きぜん)とした態度を示しましょう。

 

<ハラスメント対策>

セクハラは、ハラスメントの一種ですから、客観的に見れば人権侵害(嫌がらせ)です。そして、直接の相手だけではなく、その行為を見聞きした人にも恐怖感や不快感を与える形で被害を及ぼします。

 

<実質的なハラスメント対策>

目的は、従業員の中から被害者も加害者も出さないことです。

対策の柱は、「ハラスメントは卑劣で卑怯な弱い者いじめ。絶対に許さない。」という経営者の宣言と、社内での定義を明確にして社員教育を繰り返し行うことです。

その効果は、労働力の確保、労働環境の維持、生産性の向上、定着率の向上、応募者の増加、会社の評判の上昇と幅広いものです。

 

<形式面でのハラスメント対策>

目的は、会社がハラスメント防止に取り組んでいることの証拠を残しておくことです。

対策の柱は、就業規則などで定義を明確に文書化しておくこと、教育実績の保管、相談窓口の設置(できれば社外)です。

その効果は、被害者からの損害賠償請求額の減少などです。

 

<社員とは限らない加害者>

多くのセクハラは、社員同士で問題となります。

これを放置することは、会社にとって明らかにマイナスですから、積極的な対応をすることに躊躇する理由はありません。

しかし、お取引先の社員からのセクハラであれば、今後の取引関係を考えて、事なかれ主義に走ってしまう危険があります。

こうした場合には、社長自らお取引先に出向いてセクハラの事実を確認し、事実があれば取引関係を解消する毅然とした態度が必要です。

お取引先も理解を示さざるを得ませんし、社員は会社の態度に共感するでしょうし、こうした情報が外部に漏れても批判は生じにくいものです。

長い目で見れば、会社にとってのプラスが大きいといえます。

このことは、お客様からのセクハラについても、全く同じことが言えます。

むしろ、これを放置することは、他のお客様が離れていく原因となるのではないでしょうか。

 

2018.04.24.解決社労士

「テレワーク」と聞いて、電話を使った仕事を思い浮かべる方がいらっしゃるほど、その認知度は低いのが現状です。

 

<テレワーク・デイズ>

厚生労働省は、総務省、経済産業省、国土交通省、内閣官房、内閣府や、東京都、経済団体と連携し、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機としたテレワーク国民運動プロジェクト「テレワーク・デイズ」を、平成30(2018)723()27()5日間にわたり実施します。

東京大会の開催期間中、首都圏では交通の混雑が予想されます。そこで、東京大会の開催期間に首都圏の企業・団体がテレワークを活用することで、交通混雑の解消につながるよう、平成29(2017)年には、 東京大会の開会式にあたる724日を「テレワーク・デイ」と位置づけて、テレワークの一斉実施を呼び掛けました。

これは、ロンドンオリンピックでテレワークを活用したことによる交通混雑緩和の事例を踏まえてのことです。

平成24(2012) 年に開催されたロンドンオリンピック・パラリンピック競技大会では、交通混雑によりロンドン市内での通勤に支障が生じるとの予測から、市交通局がテレワークなどの活用を呼び掛け、これにロンドン商工会議所をはじめとする企業や市民が賛同する形で、約8割の市内の企業がテレワークを導入しました。結果として、会期中の交通混雑を回避できたことに加え、テレワークを導入した企業では、事業継続体制の確立、生産性や従業員満足の向上、ワークライフバランスの改善などの成果が得られたと報告されています。

今年は、前回の施策を発展させた「テレワーク・デイズ」として、複数日のテレワーク実施を呼び掛けます。また、平成30(2018)626日(火)には、「テレワーク・デイズ」の実施に先立ち、プレイベントを都内で開催します。なお、「テレワーク・デイズ」は、東京都が行っている通勤ラッシュ回避のために通勤時間をずらす働き方改革の施策のひとつ「時差Biz」とも連携しています。

 

<主な実施ポイント>

・テレワーク一斉実施の効果測定を行うため、7 24 日を「コア日」として設定。

・7 23 日~ 27 日の5日間の中で、コア日である 24 日と、その他の日の計2日間以上を「テレワーク・デイズ」として実施。

・参加企業・団体は、「テレワーク実施団体」、「特別協力団体」、「応援団体」の3分類とする。

・初参加の企業・団体は、7 24 日の1日でも参加可能とする。

・2,000 団体、延べ 10 万人の参加を目標とする。

・時差出勤やフレックスタイムなどを組み合わせた、多様な働き方を奨励する。

・首都圏以外、中小規模の企業・団体などにも参加を働きかける。

 

<参加企業・団体の3分類>

 

「テレワーク実施団体」

 参加人数などは問わず、テレワークを実施またはトライアルを行う団体。

 

「特別協力団体」

 交通混雑緩和、消費支出の変化などの効果測定の協力が可能で、724日を含む2日間以上、そして724日に100人以上のテレワークを実施する団体。

 

「応援団体」

 テレワークに関する実施ノウハウ、ワークスペース、ソフトウェアなどを提供する団体。

 

社員の離職を防ぎ、新人を採用しやすくするためにも、可能な限りテレワークの導入にチャレンジしたいものです。

 

2018.04.23.解決社労士

<受給資格期間>

年金を受ける場合は、保険料を納めた期間や加入者であった期間等の合計が一定年数以上必要です。この年金を受けるために必要な加入期間を受給資格期間といいます。

日本の公的年金では、すべての人に支給される老齢基礎年金の受給資格期間である10年間が基本になります。国民年金だけでなく、厚生年金、共済組合の加入期間もすべて含まれます。また、年金額には反映されない合算対象期間や保険料が免除された期間も、受給資格期間になります。

 

<受給権>

上の受給資格期間を満たしていることを前提に、老齢年金を受給できるのは、加入していた国民年金・厚生年金などの区分や、性別・生年月日に応じて決められた支給開始年齢に達してからです。

このように受給開始年齢に達したときに、受給権を取得することになります。

 

<法律上は誕生日の前日に歳をとる>

私たちは日常の生活の中では、誕生日に1つ歳をとるものと考えています。

しかし法律上は、誕生日の前日の「午後12時」(2400秒)に歳をとります。

「前日午後12時」と「当日午前0時」は時刻としては同じですが、日付は違うという屁理屈です。

学校でも、42日生まれから翌年41日生まれまでを1学年としています。41日から翌年331日までの間に○歳になる生徒の集団ということです。

これはおそらく「誕生日に年をとる」だと、229日生まれの人は、4年に1回しか歳をとらないので、不都合だからでしょう。

2月29日生まれの人は、前日の228日に歳をとることにして、救済しているのだと思います。

 

<いつの分から>

たとえば65歳で受給権を取得する場合には、65歳になった月の翌月分から老齢年金をもらえます。

一般には、誕生月の翌月分からですが、各月の1日生まれの人は、前月の末日に65歳になりますから、例外的に65歳の誕生月の分から老齢年金をもらえます。

 

<いつもらえるか>

2月分・3月分は、415日に支給されます。

4月分・5月分は、615日に支給されます。

6月分・7月分は、815日に支給されます。

8月分・9月分は、1015日に支給されます。

10月分・11月分は、1215日に支給されます。

12月分・翌1月分は、215日に支給されます。

15日が金融機関の営業日でなければ、その直前の営業日に支給されます。

しかし、老齢年金をもらうには、年金事務所などで手続きをする必要があります。この手続が遅れれば、その分だけ年金を受け取るのが遅くなります。

また、年金を受け取る権利は、5年間で時効により消滅するのが原則です。

 

年金の受給を繰り上げたり繰り下げたりする制度もあります。

気になることは、お近くの年金事務所でご確認ください。

ただし、大変込み合いますから、事前に電話予約することを強くお勧めします。

 

2018.04.22.解決社労士

<同一労働同一賃金>

 

現在の日本で導入が急がれている「同一労働同一賃金」は、仕事ぶりや能力が適正に評価され、意欲をもって働けるよう、同一企業・団体の正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)との間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。

正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消の取組を通じて、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できるようにすることを目指しています。

しかし現時点でも、同一労働同一賃金に関する法令の規定が存在します。

これらの規定を以下に紹介します。

 

<短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律>

 

第八条(短時間労働者の待遇の原則)

事業主が、その雇用する短時間労働者の待遇を、当該事業所に雇用される通常の労働者の待遇と相違するものとする場合においては、当該待遇の相違は、当該短時間労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

 

基本的に、待遇の相違が労働時間の長短によるものではないことを、雇い主である企業や団体が証明できなければ、この規定に違反するものとされてしまいます。

 

第九条(通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止)事業主は、職務の内容が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一の短時間労働者(第十一条第一項において「職務内容同一短時間労働者」という。)であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるもの(次条及び同項において「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」という。)については、短時間労働者であることを理由として、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的取扱いをしてはならない。

 

<労働契約法>

 

第二十条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)

有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

 

有期契約労働者と無期契約労働者との差別を禁止する規定です。

 

<労働者派遣法>

正式名称=労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

 

第三十条の三(均衡を考慮した待遇の確保)

派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する派遣先に雇用される労働者の賃金水準との均衡を考慮しつつ、当該派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の賃金水準又は当該派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力若しくは経験等を勘案し、当該派遣労働者の賃金を決定するように配慮しなければならない。

2 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する派遣先に雇用される労働者との均衡を考慮しつつ、当該派遣労働者について、教育訓練及び福利厚生の実施その他当該派遣労働者の円滑な派遣就業の確保のために必要な措置を講ずるように配慮しなければならない。

 

派遣社員と派遣先の社員との差別を禁止する規定です。

 

このように、働き方改革関連法の成立前であっても、差別を禁止する法令があることに留意しましょう。

 

2018.04.21.解決社労士

<平成31(2019)年14日は金曜日>

建設業など一部の業界では、年末年始に長期休暇を設ける慣行があります。

しかし、業種や職種にもよりますが、来年の14日をカレンダー通りに出勤日にせず、全社であるいは特定部署で一斉に年次有給休暇を取得すると、前後の土日を合わせて9連休になる可能性があります。

 

<ここを年休にするメリット>

1月4日が、連休の狭間の勤務となる場合、この日の生産性は低くなってしまうのではないでしょうか。

普段、なかなか年次有給休暇を取得できない労働者が、1日だけ年次有給休暇を取得して9連休にできたら、リフレッシュして心身の疲労回復に役立つことでしょう。

年次有給休暇の取得は、従業員の健康と生活に役立つだけでなく、従業員の心身の疲労の回復、生産性の向上など会社にとっても大きなメリットがあります。

また、政府が推進する働き方改革の推進にもなるでしょう。

働き方改革は「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善」と考えられるからです。

 

<取得の請求には不安もある>

年次有給休暇は、正社員、パートタイム労働者、アルバイトなどの雇用形態とは関係なく、労働者に与えられた法定の権利です。

基本的には、労働者から会社に対して取得日を指定して請求するのですが、年次有給休暇の取得を請求するには次のような不安があります。

・みんなに迷惑がかかるのではないか

・休み明けに忙しくなるのではないか

・職場が年次有給休暇を取得できる雰囲気ではない

・上司が嫌な顔をしそうだ

・昇格や人事考課に悪影響がありそうだ

 

<計画的付与制度>

年次有給休暇の付与日数のうち、5日分を除いた残りの日数については、労使協定を結べば、計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度です。

この制度を導入している企業は、導入していない企業よりも年次有給休暇の平均取得率が7.5% 高くなっているという統計もあります。(「就労条件総合調査」による平成27年の統計)

この制度を導入することによって年次有給休暇が取りやすくなると考えられます。

しかも、上に掲げた5つの不安はほとんど解消するでしょう。

「休み明けに忙しくなる」という不安については、計画的な連休であることから、連休を取得する従業員同志ではお互い様になりますし、連休前に前倒しして仕事を進めておくなどの工夫が可能です。

 

仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)のためには、労働時間の削減や休日数の増加、年次有給休暇の取得など、従業員の健康と生活に配慮し、多様な働き方に対応したものへ改善することが重要です。

 

2018.04.20.解決社労士

<働き方改革>

働き方改革の定義は、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善」といえるでしょう。

 

社員は人間ですから、ある程度の時間働き続ければ、肉体的精神的疲労が蓄積して効率が低下してきます。

しかし、休憩や休暇によってリフレッシュできれば、体力と気力が回復して生産性が高まります。

適切な労働時間で働き、ほどよく休暇を取得することは、仕事に対する社員の意識やモチベーションを高めるとともに、業務効率の向上にプラスの効果が期待されます。

 

これに対し、長時間労働や休暇が取れない生活が常態化すれば、メンタルヘルスに影響を及ぼす可能性も高まりますし、生産性は低下します。

また、離職リスクの上昇や、企業イメージの低下など、さまざまな問題を生じることになります。

社員のためだけでなく、そして企業経営の観点からも、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進が得策です。

 

社員の能力がより発揮されやすい労働環境、労働条件、勤務体系を整備することは、企業全体としての生産性を向上させ、収益の拡大ひいては企業の成長・発展につなげることができます。

 

<年次有給休暇取得促進のための具体的施策リスト>

厚生労働省から「働き方・休み方改善指標」が公表されています。

この中から、年次有給休暇取得促進に向けた働き方の改善を進めるための具体的な施策を抽出すると、次のようになります。

 

項目1:方針・目標の明確化

経営トップによるメッセージの発信

経営や人事の方針として年次有給休暇の取得促進を明文化

全社・部署・個人等での年次有給休暇取得日数、取得率等に関する数値目標の設定

 

項目2:改善推進の体制づくり

年次有給休暇の取得促進に向けた社内体制の明確化

休暇取得に関する相談窓口の設置

年次有給休暇取得促進に関する労使の話し合いの機会の設定

 

項目3:改善促進の制度化

業務繁閑に応じた休業日の設定

誕生日・記念日等の決まった日や申告した日を年次有給休暇とする等の休暇制度の設定

ゴールデンウィークや夏季・冬季等、機会を捉えた年次有給休暇の計画的付与制度の導入

時間単位での年次有給休暇制度等の導入

5営業日以上の連続休暇制度の導入

 

項目4:改善促進のルール化

部下の年次有給休暇取得状況を管理職の人事考課に盛り込む

管理職に部下の年次有給休暇の取得状況の把握・管理を義務づける

 

項目5:意識改善

年次有給休暇取得促進に関する社員向けや管理職向けの教育・研修

年次有給休暇取得促進のための周知・啓発

 

項目6:情報提供・相談

各自の年次有給休暇残日数の社員への通知

制度の利用促進のための情報提供

年次有給休暇取得率の低い(残日数の多い)社員に対する個別の休暇取得奨励

 

項目7:仕事の進め方改善

休暇・休業時の業務フォローアップ体制の構築(顧客・取引先情報の共有等)

年次有給休暇の取得促進を目的とした業務プロセスの見直し

業務計画、要員計画、業務内容の見直し

年次有給休暇取得促進を目的とした取引先との関係見直し

 

項目8:実態把握・管理

社員の休暇取得に関する意識や意向の定期的な把握

管理職による年次有給休暇の取得日数の管理

 

中小企業でも、上記の項目のほとんどすべてをクリアしている会社があります。最初から、年次有給休暇、産休、育休、介護休暇などは、法律で決まっていることだから、これらを前提に経営しているという会社です。

正直、会社の成長にとって不利な要素もありますが、人手不足の現状では、このような会社こそが生き残るのかもしれません。

 

<社員も人間ですから>

いきなり年次有給休暇を取得しましょうと言われても、社員ひとり一人の都合があります。

普段から、「たまには家族旅行に連れてって」と言われている社員にとっては大助かりです。会社にとっても、リフレッシュして業務に専念してもらえるのなら、利害が一致します。

それでも、普段から家に帰るのが怖い、年次有給休暇など取得したら、妻や子供から何を要求されるかわからないという社員にとっては深刻です。

また、日常業務をこなすのに一杯一杯の社員は、「年次有給休暇も仕事をさせてもらえるのなら助かる」と思っているかもしれません。ルーチンワークの多い経理の仕事をしている人には多いパターンです。

そこまで考えて、年次有給休暇の取得促進をするのはむずかしい、時間と手間をかけられないというのであれば、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ご用命ください。

 

2018.04.19.解決社労士

<働き方改革>

働き方改革の定義は、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善」といえるでしょう。

 

社員は人間ですから、ある程度の時間働き続ければ、肉体的精神的疲労が蓄積して効率が低下してきます。

しかし、休憩や休暇によってリフレッシュできれば、体力と気力が回復して生産性が高まります。

適切な労働時間で働き、ほどよく休暇を取得することは、仕事に対する社員の意識やモチベーションを高めるとともに、業務効率の向上にプラスの効果が期待されます。

 

これに対し、長時間労働や休暇が取れない生活が常態化すれば、メンタルヘルスに影響を及ぼす可能性も高まりますし、生産性は低下します。

また、離職リスクの上昇や、企業イメージの低下など、さまざまな問題を生じることになります。

社員のためだけでなく、そして企業経営の観点からも、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進が得策です。

 

社員の能力がより発揮されやすい労働環境、労働条件、勤務体系を整備することは、企業全体としての生産性を向上させ、収益の拡大ひいては企業の成長・発展につなげることができます。

 

<長時間労働抑制のための具体的施策リスト>

厚生労働省から「働き方・休み方改善指標」が公表されています。

この中から、長時間労働抑制に向けた働き方の改善を進めるための具体的な施策を抽出すると、次のようになります。

 

項目1:方針・目標の明確化

□経営トップによるメッセージの発信

□経営や人事の方針として長時間労働の抑制を明文化

□全社・部署・個人等での労働時間、残業時間等に関する数値目標の設定

 

項目2:改善推進の体制づくり

□長時間労働の抑制に向けた社内体制の明確化

□労働時間に関する相談窓口の設置

□長時間労働の抑制に関する労使の話し合いの機会の設定

 

項目3:改善促進の制度化

□労働時間・就労場所を柔軟にする制度( フレックスタイム制、朝型の働き方、短時間勤務制度、テレワーク制度、在宅勤務制度等)の導入

□業務繁閑に応じて営業時間を設定

□ノー残業デー、ノー残業ウィーク等、定時退社期間を設定

□勤務間インターバル制度を導入

 

項目4:改善促進のルール化

□残業の多い部下を持つ管理職への指導、改善促進

□部下の長時間労働の抑制を管理職の人事考課に盛り込む

□残業を行う際の手続きを厳格化

 

項目5:意識改善

□長時間労働の抑制に関する社員向けや管理職向けの教育・研修を実施

□長時間労働抑制のための周知・啓発

□退勤時刻の終業呼びかけ、強制消灯

 

項目6:情報提供・相談

□労働時間・残業時間を社員各自に通知

□36協定で結ばれている延長できる労働時間を周知

□労働時間制度紹介のパンフレット等を配布

□定期健康診断以外での長時間労働やストレスに関するカウンセリング機会等を提供

 

項目7:仕事の進め方改善

□長時間労働の抑制を目的とした業務プロセスの見直し

□業務計画、要員計画、業務内容の見直し

□長時間労働の抑制を目的とした取引先との関係見直し

 

項目8:実態把握・管理

□社員の働き方や労働時間に関する意識や意向の定期的な把握

□タイムカードやICカード等の客観的な方法により労働時間を管理・把握

□管理職やみなし労働・裁量労働制等の適用者について労働時間を把握

 

これらは、あくまでもチェックリストですから、実際に施策を進めるにあたっては、この順番で進めるわけではありません。

会社の実情に応じて、順番を考えなければなりませんが、項目1:方針・目標の明確化は最優先でしょう。

次に行うべきは、多くの会社では、項目7:仕事の進め方改善だと思います。

仕事のムリ・ムダ・ムラを排除して、本当に必要な仕事だけを抽出する必要があります。

仕事は減らず、社員は減少しているのに、労働時間削減など無理な話です。

習慣的に行っている仕事の中で必要性の低い仕事をやめる、他部署とダブっている仕事はより得意な部署がまとめて行う、会議はやめて誰かに一任する、あるいは、23人の協議に委ねるなど、仕事の分量を減らす工夫も大事です。

 

<社員も人間ですから>

いきなり労働時間を減らすと言われても、社員ひとり一人の都合があります。

周囲の社員に気を遣って、やむなくダラダラ残業をして、終業時間を合わせていた社員なら、長時間労働抑制は大助かりです。会社にとっても、人件費の削減となりますから、利害が一致します。

それでも、残業代を稼いで生活の糧にしていた社員にとっては深刻です。高級な外車を買うために残業代を稼いでいたのなら、諦めてもらうことは難しくないのかも知れません。しかし、実家の親に仕送りをするためであれば、転職や副業を考えるほど深刻な話になりかねません。

また、自分の仕事の出来栄えにこだわりを持っている社員は、「残業代は要らないから、思う存分、残業させてくれ」と思っているかもしれません。企画やデザインの仕事をしている人には多いパターンです。

そこまで考えて、労働時間の削減をするのはむずかしい、時間と手間をかけられないというのであれば、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ご用命ください。

 

2018.04.18.解決社労士

<調査の趣旨>

申告申請の内容が適正であるかを確認するため、毎年度、一定数の事業主が抽出され、訪問調査が行われます。これには、納付金申告を行っていない事業主の申告義務の有無確認が含まれます。

すべての事業主を対象として、毎年調査することはできないため、数年に分けて行っています。事業主から見れば、数年に1回調査が入るということになります。

この調査は、障害者の雇用の促進等に関する法律に基づくものです。〔障害者雇用促進法52条〕

資料の提出拒否や虚偽の報告等は、罰せられることがありますのでご注意ください。〔障害者雇用促進法86条〕

 

<事業所調査の概要>

原則として、申告申請年度を含む直近3か年の各月における常用雇用労働者数や雇用障害者の雇用を裏付ける資料を確認します。

●常用雇用労働者の総数確認

・常用雇用労働者の範囲

・法定雇用障害者数の算定基礎となる労働者数

●雇用障害者の確認

・障害の種類と程度

(障害者手帳等の写しは退職後も3年間は保管が必要です)

・雇用関係と労働時間数

 

<調査対象となる資料>

・全労働者の労働者名簿、賃金台帳、雇用契約書等

(これらは労働基準法により罰則付きで義務付けられています)

・全労働者の勤務(就労)状況が確認できる出勤簿、タイムカード、勤怠表等

・その他、労働者の雇用に関する資料

 

<調査結果による対応>

調査の結果に基づき、次のような手続きがとられます。

●申告した納付金の額が過少であった場合

独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構が納付金の額を決定し、納入の告知を行います。この場合、その納付すべき額に10%を乗じて得た額の追徴金が加算されます。

●申告した納付金の額が過大であった場合

独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構が納付金の額を決定し、すでに納付した納付金の額のうち、過大となっている額がある場合には、未納の納付金に充当し、なお残余があるとき又は未納の納付金がないときは還付します。

●支給を受けた調整金等の額が過大であった場合

対象事業主は、最大過去10年に遡って支給額の全部または一部を返還することになります。

 

最新情報は、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 のページでご確認ください。

http://www.jeed.or.jp/disability/koyounoufu/

 

2018.04.17.解決社労士

<障害者雇用納付金制度>

障害者の雇用には、事業主の経済的負担が伴います。

障害者を多数雇用している事業主と、障害者をほとんど雇用していない、あるいは、全く雇用していない事業主との経済的負担の格差の調整を図るために、障害者雇用納付金制度が設けられています。

具体的には、法定雇用率未達成の事業主から障害者雇用納付金を徴収し、それを財源とした障害者雇用調整金、報奨金、在宅就業障害者特例調整金、在宅就業障害者特例報奨金、各種助成金を支給する制度です。

 

<障害者雇用納付金>

常用雇用労働者の総数が100人を超える事業主で、法定雇用障害者数を下回っている事業主は、不足1人につき月額50,000円の障害者雇用納付金を納付します。

ただし、常用雇用労働者の総数が200人以下の事業主は、平成323月までの分について、40,000円に減額されています。(減額特例)

 

<障害者雇用調整金>

常用雇用労働者の総数が100人を超える事業主で、雇用障害者数が法定雇用障害者数を超えている場合は、超過1人につき月額27,000円の障害者雇用調整金が支給されます。

 

<報奨金の支給>

常用雇用労働者の総数が100人以下の事業主で、各月の雇用障害者数の年度合計数が一定数を超える場合、超える障害者1人につき月額21,000円の報奨金が支給されます。

ここで一定数とは、常用雇用労働者数の4%、または、各月6人(年間72人)のどちらか多い方をいいます。

 

<在宅就業障害者支援制度・助成金>

在宅就業障害者に仕事を発注する事業主に対する特例調整金・特例報奨金の制度があります。

障害者を雇い入れるための施設の設置、介助者の配置等に支給される助成金があります。

 

最新情報は、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 のページでご確認ください。

http://www.jeed.or.jp/disability/koyounoufu/

 

2018.04.16.解決社労士

<法定雇用率の引き上げ>

平成30(2018)年4月1日、民間企業における障害者の法定雇用率が、2.0%から2.2%に引き上げられました。

さらに、平成33(2021)年4月までには2.3%に引き上げとなります。

事業主ごとの障害者雇用率は、原則として、次のように計算されます。

障害者の実雇用率 = 障害者である労働者の数 ÷ 労働者の数

 

<労働者の数>

障害者の実雇用率を計算するときの「労働者」は、常時雇用している労働者(常用労働者)をいいます。

常用労働者に当てはまるのは、1年以上継続して雇用されている人と、1年以上継続して雇用される見込みの人のうち、1週間の所定労働時間が20時間以上の人です。これには、障害者も含みます。

ただし、1週間の所定労働時間が30時間以上の人は、1人をそのまま1人と数えますが、20時間以上30時間未満の人は、1人を0.5人として数えます。

ここで、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の人を「短時間労働者」と呼びます。

このように、障害者の実雇用率を計算するときには、1年以上の継続雇用を前提として、1週間の所定労働時間で区分しますから、正社員、パート社員、アルバイトなどの区分が当てはまらないことになります。

 

<障害者である労働者の数>

障害者には、身体障害者だけでなく、知的障害者、精神障害者を含めて数えます。

身体障害者と知的障害者のうち重度の人を「重度障害者」と呼びます。

たとえば、身体障害者障害程度等級表の1~2級に該当、もしくは3級に該当する障害を2以上重複していることで2級とされる人は「重度身体障害者」です。

この重度障害者の場合には、短時間労働者なら1人をそのまま1人と数えます。短時間労働者でなければ、1人を2人と数えます。

また、重度障害者ではない障害者の場合には、短時間労働者なら1人を0.5人として数えます。短時間労働者でなければ、1人をそのまま1人と数えます。

 

2018.04.15.解決社労士

<正社員の手当廃止>

次のようなニュースがありました。(2018年4月13日朝日新聞デジタル)

 

日本郵政グループが、正社員のうち約5千人の住居手当を今年10月に廃止することがわかった。この手当は正社員にだけ支給されていて、非正社員との待遇格差が縮まることになる。「同一労働同一賃金」を目指す動きは広がりつつあるが、正社員の待遇を下げて格差の是正を図るのは異例だ。

 

このニュースは、次のように締めくくっています。

 

日本郵政グループの今回の判断で、正社員の待遇を下げて対応する企業が広がる可能性がある。

 

<同一労働同一賃金>

働き方改革関連法案にも、同一労働同一賃金が盛り込まれています。

また、厚生労働省のガイドライン案にも、通勤手当や食事手当といった各種手当の処遇差は認められないことが示されています。

これらは、正社員と非正社員の処遇について差別がある場合に、非正社員の処遇を正社員の水準に引き上げることを原則としています。

ところが、このニュースでは、正社員の手当の一部を廃止することによって、非正社員との処遇の差を解消することが報じられています。

 

<不利益変更の禁止>

コンビニで飲料を買うような売買契約であれ、労働契約であれ、一方の当事者が自分に有利に契約内容を変更するのは自由ではありません。それが許されるなら、そもそも契約そのものが成立しません。

労働条件の不利益変更というのは、使用者から労働者に一方的に変更を申し出る場合を想定していますので、禁止されるのは当然のことといえます。

ただ、コンビニでのお客様とお店との売買契約は1回きりのことです。しかも、商品の引き渡しと代金の支払いが同時です。後から問題になることが少ない性質を持っています。

ところが労働契約は、労働者と使用者との継続的な関係ですし、給与は後払いですから、何かとトラブルが発生しやすく長引きやすいのです。

そこで、労働者の保護という労働関係法令全体の趣旨を踏まえ、特に労働条件の不利益変更禁止の原則が強調されているわけです。

 

<不利益変更が許される場合>

今回のニュースのような、正社員の手当の一部廃止は、一定の条件を満たせば適法に行うことができます。

基本的には、労使の合意によって行うことができるのです。〔労働契約法8条〕

しかし手当の廃止は、給与の減額を意味するのですから、正社員が手当の廃止に合意するような、もっともな事情が無ければ安易に認められません。

また、正社員の合意は、自由な意思による合意であることが必要ですから、「合意しないと○○」「みんな合意しているぞ」など、強い調子で迫られてやむを得ず合意したのでは、合意が有効にはなりません。

日本郵政グループでは、会社側と組合側とで十分に話し合い、手当の廃止後も10年間は一部を支給する経過措置を設けるなどの条件が付いたことで折り合った形です。

労働組合が無い会社で、会社の一方的な説明によって手当を廃止するような乱暴なことは決して許されず、手当の廃止は無効になるのです。

 

 

【参考】労働契約法

 

(労働契約の内容の変更)

第八条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

 

(就業規則による労働契約の内容の変更)

第九条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。

 

第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

 

2018.04.14.解決社労士

平成30(2018)330日に、厚生労働省の「ストレスチェック実施プログラム」が更新されました。

 

<ストレスチェック>

「ストレスチェック」とは、ストレスに関する質問票(選択回答)に労働者が記入し、それを集計・分析することで、自分のストレスがどのような状態にあるのかを調べる簡単な検査です。

労働安全衛生法が改正されて、労働者が50人以上いる事業所では、平成27(2015) 12 月から、毎年1回、この検査をほぼ全ての労働者に対して実施することが義務付けられました。

ただし、契約期間が1年未満の労働者や、労働時間が通常の労働者の所定労働時間の4分の3未満の短時間労働者は義務の対象外です。

 

<ストレスチェック実施プログラム>

厚生労働省では、改正労働安全衛生法に基づき、事業者向けにストレスチェックの受検、結果出力、集団分析などができる「ストレスチェック実施プログラム」をホームページ上でダウンロードできるよう、公開しています。

 

https://stresscheck.mhlw.go.jp/

 

この実施プログラムには、以下のような機能があります。

1. 労働者が画面でストレスチェックを受けることができる

2. 労働者の受検状況を管理できる

3.労働者が入力した情報に基づき、あらかじめ設定した判定基準に基づき、自動的に高ストレス者を判定できる

4. 個人のストレスチェック結果を出力できる

5. あらかじめ設定した集団ごとに、ストレスチェック結果を集計・分析し、仕事のストレス判定図を作成できる

6.集団ごとの集計・分析結果を出力できる

7.労働基準監督署へ報告する情報を表示できる

 

<ストレスチェックの目的>

労働者が自分のストレスの状態を知ることで、ストレスをためすぎないように対処したり、ストレスが高い状態の場合は医師の面接を受けて助言をもらったり、会社側に仕事の軽減などの措置を実施してもらったり、職場の改善につなげたりすることで、鬱(うつ)などのメンタルヘルス不調を未然に防止するための仕組みです。

 

<個人で試したい場合>

個人でストレスチェックを試したい場合は、「こころの耳」に掲載されている「5分でできる職場のストレスセルフチェック」も利用できます。

 

https://kokoro.mhlw.go.jp/check/index.html

 

2018.04.13.解決社労士

<障害者雇用率>

障害者雇用率とは、雇用している障害者数の常用労働者数に対する割合を示したものです。

民間企業も、地方自治体などの行政機関も、法定の障害者雇用率を達成することが義務付けられています。

 

<障害者の法定雇用率>

障害者雇用率制度は、昭和35(1960)年に身体障害者雇用促進法で初めて導入されました。

このとき、民間企業には努力義務として、工場などの現場的事業所が1.1%、事務的事業所が1.3%と定められました。

これが、昭和43(1968)年には、すべての事業所で一律1.3%になりました。

さらに、昭和51(1976)年には1.5%となり、努力義務から法的義務に高められました。

その後、昭和63(1988)年に1.6%、平成9(1997)年に1.8%、そして平成25(2013)年に2.0%へと上昇しています。

平成302018)年4月現在、民間企業は2.2%、特殊法人は2.3%、国や地方公共団体は2.3%、都道府県などの教育委員会は2.2%となっています。

このように法定雇用率は、法改正を重ねるたびに引き上げられ、民間企業では年々障害者の雇用者数が増加し、障害者雇用率も上昇してきています。

今後の予定として、平成30(2018)4月から3年以内に、民間企業の法定雇用率は2.3%になります。国等の機関も0.1%引き上げられる予定です。

 

<法定雇用率が適用される事業主の範囲>

平成30(2018)41日から、現在の法定雇用率となりましたが、障害者を雇用しなければならない民間企業の事業主の範囲も、従業員50人以上から45.5人以上に変わりました。

法定雇用率が2.3%となれば、対象となる事業主の範囲は、従業員43.5人以上に広がります。

また、対象事業主は、毎年61日時点の障害者雇用状況を、ハローワークに報告しなければなりません。

 

<計算の対象となる障害者>

現在の障害者雇用促進法では、以下の障害者を「対象障害者」としています。〔372項〕

・身体障害者

・知的障害者

・精神障害者(精神障害者保健福祉手帳の所持者に限る)

障害者であることの確認は、障害者の種類ごとに定められた方法、たとえば、身体障害者手帳の交付の有無、または知的障害者判定機関の判定書などを用いて行います。

 

2018.04.12.解決社労士

業種や職種にもよりますが、51日と2日に年次有給休暇を取得すると、前後の土日を合わせて9連休になる可能性があります。

 

<ここを年休にするメリット>

5月1日と2日が、連休の狭間の勤務となる場合、この2日間の生産性は低くなってしまうのではないでしょうか。

普段、なかなか年次有給休暇を取得できない労働者が、2日間の年次有給休暇を取得して9連休にできたら、リフレッシュして心身の疲労回復に役立つことでしょう。

年次有給休暇の取得は、従業員の健康と生活に役立つだけでなく、従業員の心身の疲労の回復、生産性の向上など会社にとっても大きなメリットがあります。

また、政府が推進する働き方改革の推進にもなるでしょう。

働き方改革は「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善」と考えられるからです。

 

<取得の請求には不安もある>

年次有給休暇は、正社員、パートタイム労働者、アルバイトなどの雇用形態とは関係なく、労働者に与えられた法定の権利です。

基本的には、労働者から会社に対して取得日を指定して請求するのですが、年次有給休暇の取得を請求するには次のような不安があります。

・みんなに迷惑がかかるのではないか

・休み明けに忙しくなるのではないか

・職場が年次有給休暇を取得できる雰囲気ではない

・上司が嫌な顔をしそうだ

・昇格や人事考課に悪影響がありそうだ

 

<計画的付与制度>

年次有給休暇の付与日数のうち、5日分を除いた残りの日数については、労使協定を結べば、計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度です。

この制度を導入している企業は、導入していない企業よりも年次有給休暇の平均取得率が7.5% 高くなっているという統計もあります。(「就労条件総合調査」による平成27年の統計)

この制度を導入することによって年次有給休暇が取りやすくなると考えられます。

しかも、上に掲げた5つの不安はほとんど解消するでしょう。

「休み明けに忙しくなる」という不安については、計画的な連休であることから、連休を取得する従業員同志ではお互い様になりますし、連休前に前倒しして仕事を進めておくなどの工夫が可能です。

 

仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)のためには、労働時間の削減や休日数の増加、年次有給休暇の取得など、従業員の健康と生活に配慮し、多様な働き方に対応したものへ改善することが重要です。

 

2018.04.11.解決社労士

社長など法人の代表者が替わったからといって、雇用契約を交わし直して、労働条件通知書や雇用契約書を作り直す必要はありません。

 

<社長個人が雇う場合>

社長宅で働くお手伝いさんを、社長個人が雇うのであれば、雇用契約の当事者は社長個人とお手伝いさんということになります。

この社長が会長になったとしても、契約の当事者は会長個人とお手伝いさんのままです。

この場合、雇用契約書には社長や会長といった肩書を使わず、契約書は個人名で作成します。

 

<法人とは>

法人というのは、一定の社会的活動を営む組織体で、法律により特に権利や義務の主体となる能力を認められたものをいいます。

本来、権利や義務の主体となるのは個人です。そして一定の条件を満たした組織だけが、法律によって特別に権利や義務の主体となることを認められます。

法律上、権利や義務の主体となることのできる資格を、法人格(法律上の人格)と呼びます。

法人格を持つのは、個人(自然人)と法人です。

 

<法人の活動>

法人は、生身の人間ではありませんから、身体もありません。

その活動は代表者(代表機関)の行為によって行われます。

そして、代表者が法人の目的の範囲内で行なった行為の効果は、直接法人に帰属します。

また、代表者が事業遂行上、他人に与えた損害については、法人が賠償の義務を負います。

法人は解散によって法人格を失います。

 

<法人との契約>

こうして、個人が法人と契約する場合には、法人の代表者と契約を交わす形をとるのですが、その効果は、直接法人に帰属します。

つまり、法人の代表者が動いて、法人に効果を帰属させるわけです。

ですから、雇用契約を交わした後で、社長などの代表者が交代した場合でも、法人そのものが変わってしまうわけでないので、雇用契約の効果は失われず、その性質も変わらないのです。

 

余談ですが、小学校の入学式で息子から「校長先生がいなくなったら、学校はつぶれるの?」と聞かれました。

もちろん、校長が替わるだけですから、在校生が一斉に転校することにはなりません。

 

2018.04.10.解決社労士

<生まれ変わる脳の神経細胞>

コロンビア大学の研究グループが、科学雑誌「セル・ステムセル」に、常識を覆す研究成果を発表しました。

これまで、脳の神経細胞は大人になると増えることはなく、死滅する一方であると言われてきました。

ところが研究によると、高齢者になっても、認知機能や感情に関わる「海馬」という部分に、新しい細胞が生まれていることが判ったというのです。

 

<働き方改革との関係>

少子高齢化による労働力不足から、働き方改革が急務となっています。

働き方改革の公式定義は見当たりませんが、私は「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善」と把握しています。

高齢者の雇用を継続し再雇用を促すために、機械化を進めたり環境を整えたりすることは、高齢者の必要と欲求に応える対策ですから、労働者の頭数を増やすことに役立ちます。

しかし、こうした物理的な面だけに注目するのではなく、教育や研修によって、ひとり一人の能力を高めることも考えたいものです。

いくつになっても、教育や研修によって、その能力を開発できるということが、コロンビア大学の研究によって明らかにされたといえるでしょう。

 

<人手不足の解消とは>

人手不足となると、労働者ひとり一人の負担が増えますから、長時間労働となる傾向が見られます。

ところが、政府は「働き方改革」の一環として、長時間労働の解消に向け、時間外労働に上限を設けて、違反企業には罰則を科す法案を準備しています。

もし各企業が、これに対応するため、採用を強化して社員数を増やそうとすると、企業間で人材の取り合いとなるため、人件費の高騰が懸念されます。

「人手不足」というのは、「労働力不足」であって、頭数不足ではないのですから、高齢者に限らず、教育や研修に力を入れて生産性を高めるように取り組むのが得策だと思われます。

 

ある仕事を、4人の社員が110時間でこなしていたとします。この仕事は、のべ40時間かかることになります。そこで、同程度の能力をもった人を1人採用して、5人でこなせば18時間でこなせるようになります。この場合、時間外労働が解消して、割増賃金が発生しないので、頭数が25%増えても人件費は増えない計算になります。

しかし、4人の社員に対して積極的に教育と研修を行い、今まで10時間かかっていた仕事を8時間でこなせるようにすれば、新人を採用しなくても良いという計算になります。

人手不足の時代だからこそ「利は教育にあり」といえるでしょう。

 

2018.04.09.解決社労士

<情状とは>

刑事手続では、訴追を行うかどうかの判断や刑の量定に影響を及ぼすべき一切の事情をいいます。犯罪の動機や目的、犯人の年齢・経歴や犯行後の態度などがこれにあたります。〔刑事訴訟法248条、刑法66条〕

しかし、懲戒処分は会社の行う制裁であって、国が行う刑事処分と全く同じではありません。

それでも、故意に行った場合には、その動機や目的が情状にあたります。また、行為者の年齢、社歴、事後の態度などは情状にあたります。

 

<酌量とは>

刑事裁判では、同情すべき犯罪の情状をくみ取って、裁判官の裁量により刑を減軽することをいいます。〔刑法66条〕

懲戒処分の場合にも、事情をくみ取って処分に手心を加えるという意味で使われます。

 

<就業規則の規定>

最新版(平成30(2018)1月版)のモデル就業規則には、次の規定があります。

 

(懲戒の事由)

第64条 2 労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。ただし、平素の服務態度その他情状によっては、第51条に定める普通解雇、前条に定める減給又は出勤停止とすることがある。

 

この規定からも明らかなように、「平素の服務態度」つまり「日頃の勤務態度」は、情状酌量の対象となります。

ただし、これは客観的に認定されなければ、不平等や不公平の問題が発生しますから、勤怠だけでなく人事考課による適正な評価を基準とすべきです。

 

<情状酌量の効果>

モデル就業規則には、他にも「情状に応じ」〔63条本文、641項本文〕、「その情状が悪質と認められるとき」〔6429号〕という言葉が出てきます。

つまり、情状酌量が懲戒処分を軽くする方向に向かう場合だけでなく、懲戒処分を重くする方向に向かう場合にも作用するということになります。

 

懲戒処分を行うこと自体、懲戒権の濫用となり無効となることがあります。〔労働契約法15条〕

この場合には、不本意ながら、懲戒処分を通知した従業員から慰謝料など損害賠償を求められることもあります。

結局、安易な懲戒処分は会社にとって危険ですから、情状酌量をも踏まえて、どの程度の懲戒処分が可能なのかは、刑法に明るい社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

2018.04.08.解決社労士

<平成30(2018)年度予算の公表>

平成30(2018)年3月30日、厚生労働省と国土交通省は、建設業の人材確保・育成に多角的に取り組むため取りまとめた平成30年度予算の概要を公表しました。

建設業の技能者の約3分の1は55歳以上となっています。

これは、他産業と比べて高齢化が進行しています。

このような中、建設業が持続的な成長を果たしていくためには、特に若者や女性の建設業への入職や定着の促進などに重点を置きつつ、働き方改革を着実に実行し、魅力ある職場環境を整備することにより、中長期的に人材確保・育成を進めていくことが重要な課題です。

厚生労働省と国土交通省は、引き続き、連携して関係施策を実施し、建設業の人材の確保・育成に取り組んでいくそうです。

 

<国土交通省と厚生労働省の連携>

国土交通省は、建設産業の健全な発展を図る観点から、建設業者団体や企業と連携し、就労環境の整備や人材確保・育成に向けた取組、建設工事請負契約の適正化等を実施します。

厚生労働省は、建設労働者の確保や雇用の安定を図る観点から、建設業者団体や企業が人材確保・育成等に取り組む際の助成金の支給やハローワークにおいて就職支援を実施します。

そこで、両省で連携して建設業の人材の確保・育成に向けた取組を進めていくわけです。

 

<予算の概要>

●人材確保

・建設業の働き方改革の推進116百万円

・社会保険加入の徹底・定着23百万円

・専門工事企業に関する評価制度の構築に向けた検討19百万円

・建設事業主等に対する助成金による支援53.3億円

・ハローワークにおける人材不足分野に係る就職支援の拡充25.8億円

・高校生に対する地元における職業の理解の促進支援15百万円

●人材育成

・地域建設産業における多能工化の推進60百万円

・建設業の働き方改革の推進 116百万円

・専門工事企業に関する評価制度の構築に向けた検討19百万円

・中小建設事業主等への支援9.2億円

・建設分野におけるハロートレーニング(職業訓練)の実施3.4億円

・ものづくりマイスター制度による若年技能者への実技指導33.9億円

・建設事業主等に対する助成金による支援 53.3億円

●魅力ある職場づくりの推進

・建設職人の安全・健康の確保の推進20百万円

・地方の入札契約改善推進事業96百万円

・建設業の働き方改革の推進116百万円

・社会保険加入の徹底・定着 23百万円

・時間外労働等改善助成金による支援19.2億円

・働き方改革推進支援センターの設置による支援15.5億円

・中小専門工事業者の安全衛生活動支援事業の実施1.1億円

・雇用管理責任者等に対する研修等の実施1.3億円

・労災保険特別加入制度の周知広報等事業の実施56百万円

・建設業における墜落・転落災害等防止対策推進事業59百万円

・建設工事の発注・設計段階における労働災害防止対策の促進事業30百万円

・建設事業主等に対する助成金による支援53.3億円

 

<企業が自主的に行うべきこと>

国が政策を推進してくれるにしても、各企業が放置できない緊急課題もあります。

予算の概要の中でも「建設業の働き方改革の推進」「社会保険加入の徹底・定着」など、複数のカテゴリーで重複しているものは重点項目ですが、企業が主体となって実施しなければ進まないものもあります。

このような項目については、社会保険労務士(社労士)などの専門家と相談しながら計画的に推進しましょう。

 

2018.04.07.解決社労士

<報告書の公表>

平成30(2018)年3月30日、厚生労働省が「仕事と育児の両立支援に係る総合的研究会報告書」を公表しました。

報告書は、育児・介護の負担が依然として女性に偏っている現状を踏まえて、育児・介護と仕事との両立支援策について検討を行ってきた総合的研究会がまとめたものです。

その中で、男女がともに育児をし、女性が輝ける社会を実現するための基本的な考え方が提示されています。

 

<男女で育児をする社会にするための3つの必要>

育児に関わる男性の増加

共働き家庭において、働く上での育児による制約を女性のみが背負わないよう、また、専業主婦家庭において、女性が育児の悩み等を1人で抱え込むこととならないよう、育児に関わる男性を増やす必要。

男性の育児への関わり方の改善

既に育児に関わっている男性について、更なる関わり方の改善や、育児休業期間中のみならず、子育て期間を通して育児への関わりを進める必要。

女性のキャリア形成のための対策

女性自身のキャリア形成に対する意識向上や、企業において男性労働者への両立支援が女性の活躍、継続就業につながるとの意識が醸成されるように取り組む必要。

 

<自治体の先進的な制度>

岡山県には、男性労働者の育休取得や、「孫育て休暇」の制度化・取得に取り組む中小企業に対し、奨励金を支給する制度があり、家族ぐるみで子育てに取り組む従業員をバックアップする企業を応援しています。福井県にも同様の制度があります。

千葉市、新潟市、富山市などにも、男性の育児休業取得奨励金の制度があります。

国が主体となって、祖父母も育児休業をとれるようにしたり、雇用保険の育児休業給付を増額したりの法改正をすれば、少子化対策や働き方改革は、さらに進むのではないでしょうか。

 

2018.04.06.解決社労士

<新聞の報道>

毎日新聞などによると、ルネサスエレクトロニクスの子会社で勤務していた38歳の男性が、昨年1月に急性心筋梗塞で亡くなったのは、時間外労働などによる過重な負荷などが原因だったとして、米沢労働基準監督署が労災認定したそうです。

この男性は、昨年123日深夜に帰宅し、翌24日午前0時ごろ布団に入った直後にうめき声を上げ、約1時間後、搬送先の病院で死亡が確認されたということですが、男性が亡くなる直前の1週間で約25時間、4か月間では1か月平均で約80時間の時間外労働を行っていたと認定されました。なお、達成困難なノルマが課せられ日常的に精神的緊張を伴っており、著しい疲労の蓄積を伴う過剰な業務に就いていたという認定もされています。

 

<過労死ライン>

一般的な過労死ラインとして「1か月の法定外の残業時間が100時間を超えた場合、または、直近26か月の平均残業時間が80時間を超えた場合」という基準が用いられています。

米沢労働基準監督署による労災認定も、基本的にはこの基準によるものと考えられます。

 

<裁判になったら>

民事裁判などでは、裁判所が「事実が不明なので判断できません」と言って、判決を出さないということはできません。

この場合、裁判所が判断をするのに必要な事実について、対立する当事者に証明責任が振り分けられます。

死亡の原因が過重労働による過労だったのか、厳密に考えれば、その真実が明らかになることはありません。

そこで、労働者の勤務が過労死ラインを超えていれば、過労死だったことが推定され、「過労死ではなかった」ことを会社側が証明できなければ、裁判所が過労死であったと認定します。

反対に、労働者の勤務が過労死ラインを下回っていれば、過労死ではなかったことが推定され、「過労死だった」ことを遺族側が証明できなければ、裁判所が過労死ではなかったと認定します。

 

<判断基準の柔軟性>

過労死ラインという基準は絶対的なものではなく、休日の少なさなどを理由に、このラインを下回っているケースについて過労死を認定した裁判もあります。

今回の事件では、裁判所ではなく労働基準監督署の判断なのですが、「4か月間では1か月平均で約80時間の時間外労働」があったという、過労死ラインぎりぎりの認定がされたため、「達成困難なノルマが課せられ日常的に精神的緊張を伴っており、著しい疲労の蓄積を伴う過剰な業務に就いていた」という事実と併せて、過労死を認定したものと考えられます。

企業としては、過労死ラインに達しない働かせ方を基本に、その他の面からも過重労働と言われない配慮が必要になっています。

 

2018.04.05.解決社労士

<キャンペーンの実施>

厚生労働省では、昨年に引き続き全国の大学生等を対象に、特に多くの新入学生がアルバイトを始める4月から7月までの間、労働条件の確認を促すことなどを目的としたキャンペーンを実施します。

過去の調査結果等でも、労働基準法で規定されている労働条件の明示がなかったと回答した学生が多かったことなどを踏まえ、学生向けに身近に必要な知識を得るためのクイズ形式のリーフレットの配布等による周知・啓発などを行うとともに、大学等での出張相談を引き続き行います。

 

<アルバイトの性質>

アルバイトというのは、日常用語であって法律用語ではありません。

どのような雇用形態をアルバイトと考えるかは、各企業が独自の基準で自由に決めています。

法律上は、アルバイトといえども労働者であり、労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法など、すべての労働法が当然に適用されます。

また、外国人のアルバイトであっても、日本国内で働く限り、日本の法律が適用されます。

 

<キャンペーンなどの影響>

かつては「アルバイトだから」と言われれば、「一般の労働者とは違うのだろう」とあきらめる学生も多かったものです。

しかし、国が広報に努めたせいか、ネットの威力なのか、学生であっても働く限りは、労働法上の権利があるのだということが常識として定着しつつあります。

 

<企業としての再確認>

雇い主としての企業は、学生アルバイトについて、最低限、次のことを再確認しておく必要があります。学生は、これらのことを常識として認識しています。

・アルバイトを雇うときは、書面による労働条件の明示が必要です。

・学業とアルバイトが両立できるような勤務時間のシフトを適切に設定しましょう。

・アルバイトも労働時間を適正に把握する必要があります。

・アルバイトに、商品を強制的に購入させることはできません。また、一方的にその代金を賃金から控除することもできません。

・アルバイトの遅刻や欠勤等に対して、あらかじめ損害賠償額等を定めることや労働基準法に違反する減給制裁はできません。

 

アルバイトをだまして安く使うなどもっての外、戦力化して正社員にするのが得。そういう時代になりました。

 

2018.04.04.解決社労士

<企業名公表>

「障害者の雇用の促進等に関する法律」は、民間企業について 、障害者雇入れ計画の適正実施勧告に従わず、障害者の雇用状況に改善が見られない場合、企業名を公表できることとしています。

こうして公表された企業名の一覧は、官製のブラックリストとなってしまうため、知名度の高い企業にとっては大きな打撃となるとされ、また就職活動にあたって学生が参考とするため採用が困難になるともいわれます。

このようなことも影響したのでしょう。平成 29 年度については、「障害者の雇用状況に改善が見られない場合には、企業名を公表する」ということを前提に指導が行われた企業のすべてで、一定の改善が見られたため、企業名の公表対象企業はありませんでした。

 

<障害者雇用促進法の規定>

障害者雇用促進法では、障害者の雇用を促進するため、民間企業に対し、常時雇用する従業員の一定割合以上の障害者の雇用を義務付けています。

この一定割合を「法定雇用率」といい、民間企業では平成30(2018)41日から2.2%となっています。

障害者の雇用状況が一定の水準を満たしていない場合は、厚生労働大臣が「障害者雇入れ計画」の作成命令(第46条第1項)や障害者雇入れ計画の適正な実施に関する勧告(適正実施勧告)(第46条第6項)を行い、勧告に従わない場合は、企業名を公表できることになっています(第47条)。

 

<制裁の行われる場合>

障害者雇用促進法違反による企業名の公表だけでなく、労働基準法や最低賃金法などの違反についても、いきなり企業名が公表されたり、書類送検されたりということは稀です。

一度、行政の指導があって、これに対する対応の仕方がおかしいと、企業名の公表や刑事告訴が行われます。

行政の指導への対応が、素人判断で見当違いであったり、できない事を約束してしまって実現できなかったりがマズいのです。

労働基準監督署など行政から、労働法関係の調査や指導が予告された場合や実施された場合には、慎重に上手に対応する必要があります。

もし社内に専門家がいないのであれば、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご依頼ください。社労士は、調査への立会や、是正勧告書・指導票に対する報告書の作成も行いますし、所轄の労働基準監督署での説明も行います。さらに、社員教育などのアフターフォローまで、幅広い業務をこなしているのです。

 

2018.04.03.解決社労士

<働き方改革関連法案の了承>

日本経済新聞や朝日新聞などで報道されているとおり、自民党厚生労働部会などの合同会議は平成30(2018)329日、厚生労働省が示した働き方改革関連法案を了承しました。政府は来週46日にも閣議決定し、今国会での成立を目指す方針です。

人手不足が深刻な中小企業については、経営悪化が懸念されるという党内の意見を踏まえて、法案では適用時期の延期や指導の配慮規定を設けるなどの修正が行われました。

法案は、残業時間の罰則付き上限規制の導入、正社員と非正規社員の不合理な待遇差を解消する「同一労働同一賃金」の実現、高収入の一部専門職を労働時間規制から外す「脱時間給制度」の3つが柱で、規制の強化と緩和が混在する内容になっています。

 

<裁量労働制についての議論>

当初、この法案には、裁量労働制を一部営業職などにも広げる内容が含まれていました。

しかし、厚生労働省が実施した調査で、不適切なデータが相次ぎ発覚したため、安倍晋三首相が2月末に裁量労働制の拡大に関する部分を全面削除すると表明しました。

この様子は、テレビの国会中継やニュースでも報じられました。

この印象が強いせいか、「働き方改革」と言えば「裁量労働制」を意味するかのようにとらえられてしまう傾向が強まっています。

 

<働き方改革の定義>

首相官邸のホームページの中の「働き方改革の実現」というページには、「働き方改革は、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ。多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいきます」という説明があります。

これは、働き方改革の定義ではなくて、働き方改革を推進することの目的や意義を述べたものです。

たしかに、明確な定義が無くても、法案や首相官邸のホームページをじっくり読めば、その考え方は理解できます。

しかし、各企業がその実態に合わせて「働き方改革」に取り組もうとした場合には、明確な定義があったほうが、方向を見誤らないでしょう。

現時点で、私個人の定義としては、「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善」と考えています。

 

<具体的にどうするか>

ただこうした定義から、企業の実情に合致した取り組みによって、人手不足を解消し生産性を向上させるにはどうしたら良いのか、ピンと来ないかもしれません。

人手不足で、長時間労働が当たり前になり、年次有給休暇も取得できないとなると、疲労によって生産性は低下します。こうなると退職者も出てきます。

政府が言うような、長時間労働の改善、非正規と正社員の格差是正、高齢者の就労促進、在宅勤務、女性の活躍推進、障害者の雇用、ワークライフバランスなどについて、自社が具体的に取り組めるのか、取り組むメリットはあるのか、どうすれば良いのかは、専門家である国家資格者の社会保険労務士(社労士)と相談しながら、計画・推進するのが成功への近道だと思います。

 

2018.04.02.解決社労士

<プロジェクトの趣旨>

厚生労働省は、平成30(2018)年3月29日に、産業政策と一体となって正社員雇用の創出に取り組む都道府県を支援する「地域活性化雇用創造プロジェクト」について平成30年度の採択地域を、秋田県、山形県、福島県、埼玉県、兵庫県、熊本県の6地域に決定したことを発表しました。

地域において魅力的な雇用を効果的に創出していくためには、それぞれの地域の産業構造や地理的要因などの特性を踏まえた対策が必要です。

このプロジェクトは、都道府県が提案した事業構想の中から、正社員雇用の創造効果が高い取組をコンテスト形式で決定するプロジェクトです。

平成30年度の採択地域については、平成29(2017)年11月24日から12月25日まで募集が行われ、外部の有識者からなる評価・選定委員会で審議された結果、応募があった地域の中から6地域が採択されました。

採択された地域では、4月以降、労働局やハローワーク、地域の関係者と協力して事業が実施されます。

 

<応募方式が採られる理由>

今回の採択地域には、福島県、兵庫県、熊本県といった被災地が含まれています。

災害発生時には、被災地に対して国が緊急の救助・支援を行います。これは、緊急のことですから、その地域から「応募」のようなことが無くても、当然のこととして救助・支援が行われます。

しかし、ある程度まで復興が進めば、たとえ被災地であっても、このプロジェクトのように他の都道府県と同じ方式で「応募」しなければ支援を得られないものもあります。

その根底には、日本国憲法の次の理念があると思われます。

 

第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

 

つまり、権利があるからといって安心しないで、その権利の確保に努めなさいと言っています。

第二次世界大戦の時には、国民が命がけで個人の権利を守ろうとしなかったのではないかという反省が込められているようです。

 

現在、生活保護を受けるにも、障害年金を受給するにも、基本的には担当窓口に申し出て、一定の手続きをとることが必要です。困っていても、黙っていたのでは救済されず、行政の窓口や専門家に相談して自分の権利を行使しなければならないのです。

もし、「よく分からないから諦める」という人ばかりになって、生活保護の申請をする人も、障害年金の請求をする人もいなくなってしまえば、これらの制度そのものが無くなってしまうでしょう。

「困ったら一人で悩まず相談する」ということを忘れてはなりません。

 

2018.04.01.解決社労士

平成30(2018)年3月27日、厚生労働省から「労働時間改善指導・援助チーム」の編成について、以下のような発表がありました。

 

厚生労働省では、4月1日から全国の労働基準監督署に、働く方々の労働条件の確保・改善を目的とした「労働時間改善指導・援助チーム」を編成します。

このチームは2つの班で編成されます。「労働時間相談・支援班」では全国の労働基準監督署内に「労働時間相談・支援コーナー」を設置するなどし、主に中小企業の事業主の方に対し、法令に関する知識や労務管理体制についての相談への対応や支援を行います。「調査・指導班」では、任命を受けた労働基準監督官が、長時間労働を是正するための監督指導を行います。

厚生労働省では、こうした取組を通じて労働時間の改善などを促し、働き方改革の推進を図っていきます。

 

1 労働時間相談・支援コーナーを設置 (労働時間相談・支援班)

主に中小企業の事業主の皆さまを対象に、窓口と電話で、以下のような相談を受け付けます。

⑴  時間外・休日労働協定(36協定)を含む労働時間制度全般に関するご相談

⑵ 変形労働時間制などの労働時間に関する制度の導入に関するご相談

⑶ 長時間労働の削減に向けた取組に関するご相談

⑷ 労働時間などの設定についての改善に取り組む際に利用可能な助成金のご案内

[ 受付時間]8時30分~17時15分(平日のみ)

 

2 労働時間改善指導・援助チーム

⑴ 労働時間相談・支援班

 特に中小規模の事業主の皆さまに対して、上記⑴~⑷などのご相談についてきめ細やかな相談・支援などを行います。

⑵  調査・指導班

 長時間労働の抑制と過重労働による健康障害の防止のため、「労働時間改善特別対策監督官」として任命された労働基準監督官が監督指導を行います。

 

マスコミの報道の影響が大きいのでしょう。「働き方改革」の話題になると、「裁量労働制は、低賃金で長時間労働を強いるのでおかしい」といった声が聞かれます。

しかし、上記の取り組みでもわかるように、長時間労働の削減が「働き方改革」の重点課題となっています。単純に考えても、1人で1日12時間働くよりも、仕事を半分ずつ分担して2人で6時間ずつ働いた方が生産性は上がります。人間は機械ではなく生き物ですから、疲労が蓄積されますし、集中力にも限界があります。

それに、1人で1日12時間働いたら、通常、4時間の割増賃金が発生します。これは割増なので、時間単価で考えれば、5時間分の追加人件費が発生します。

裁量労働制も、本来は労働時間削減のための仕組みであるのに、実態としては、長時間労働をもたらしているということが話題になったのです。

「働き方改革」という目新しい言葉に惑わされず、生産性の向上こそ、企業の取り組むべき課題です。

 

では、自社で具体的にどうしたら生産性を向上させることができるのか。これを相談するのが、上記の「労働時間相談・支援コーナー」ということになります。

もし、労働基準監督署は敷居が高いということでしたら、こうしたことの専門家であり国家資格者の社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2018.03.31.解決社労士

平成30(2018)年4月に実施される厚生労働省関係の主な制度変更のうち、特に国民生活に影響を与える事項について、厚生労働省のホームページにお知らせが掲示されました(3月23日)。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198659.html

 

<国民年金保険料>

平成30年度の国民年金保険料は、16,340円(平成29年度16,490円)

 

<老齢基礎年金>

平成30年4月からの年金額は、満額で月64,941円(据え置き)

4月分・5月分が6月15日に支給されます。

 

<診療報酬改定>

平成30年度については、医療機関の経営状況、物価・賃金の動向等を踏まえ、診療報酬本体0.55%のプラス改定となりました。

 

<国民健康保険制度>

財政運営の都道府県単位化と財政支援の拡充による財政基盤の強化を柱とする国保改革が行われます。

市町村による個別の運営から、都道府県が財政運営責任を担うなど中心的役割を果たす形に変わります。

 

<高額療養費>

国民健康保険の被保険者が、同一都道府県内の他市町村へ住所を異動した場合について、被保険者が属する世帯の高額療養費の多数回該当についての該当回数を引き継ぐ規定を設けます。

同一保険者から過去12か月以内に高額療養費が支給されている月数が3月以上ある世帯で、4月目以降、その世帯の自己負担限度額は引き下げられます。これが、多数回該当です。

今までは、同一都道府県内の他市町村へ引っ越すと回数がリセットされていたのですが、法改正により回数が通算されるようになります。

 

<住所異動月の自己負担限度額>

国民健康保険の被保険者が、同一都道府県内の他市町村へ住所を異動した場合、転居月は転出元の市町村と転入先の市町村での自己負担限度額をそれぞれ本来の2分の1に設定します。

 

<賦課(課税)限度額>

平成30年度分の保険料(税)から、国民健康保険・後期高齢者医療の保険料(税)の賦課(課税)限度額について、国民健康保険は89万円から93万円に、後期高齢者医療は57万円から62万円に、引き上げられます。

 

<介護報酬改定>

介護サービス事業者の経営状況、賃金・物価の動向等を踏まえ、0.54%のプラス改定となりました。

 

<障害者雇用率>

事業主に義務付けられている法定雇用率(その雇用する労働者に占める障害者の割合)の計算方法と基準が変わります。

平成30(2018)年4月1日から、障害者雇用義務の対象として、身体障害者、知的障害者に精神障害者が加わり、法定雇用率も次のように変わります。

・民間企業 2.2%(←2.0%)

・国、地方公共団体等 2.5%(←2.3%)

・都道府県等の教育委員会 2.4%(←2.2%)。

 

<労災保険の特別加入対象者>

個人家庭に雇用され、家事、育児等の作業に従事する者についても、特別加入制度の対象とされます。

 

2018.03.30.解決社労士

<遺族年金>

遺族年金は、一家の働き手や年金受給者などが亡くなったときに、残された家族に給付される年金です。

遺族年金を受け取るには、亡くなった人の年金保険料の納付状況に条件があります。また、亡くなった人の年金の加入状況などによって、受け取れる年金の種類が異なってきます。これは、年金をもらう人ではなく、亡くなった人についての条件です。

一方で、年金をもらう人にも、年齢や優先順位などの条件が設けられています。

ここでは、遺族厚生年金について説明します。

 

<亡くなった人の条件>

次のうち少なくとも1つの条件を満たす必要があります。

1.被保険者(厚生年金加入者)が亡くなったとき、または被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に亡くなったとき。加えて、亡くなった人について、保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が国民年金加入期間の3分の2以上あること。

ただし、平成38(2026)41日前の場合は死亡日に65歳未満であれば、死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられます。

2.老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある人が亡くなったとき。

3.1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる人が亡くなったとき。

これらの条件を満たしているかどうかは、年金事務所などで確認する必要があります。ご自分で確認できない場合には、社会保険労務士に委託することもできます。

 

<年金をもらう人の条件>

亡くなった人によって生計を維持されていた、妻、子、孫、55歳以上の夫、父母、祖父母

このうち、子と孫は18歳到達年度の年度末を経過していないか、20歳未満で障害年金の障害等級12級であることが必要です。

また、55歳以上の夫、父母、祖父母の支給開始は60歳からとなります。ただし、夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせて受給できます。

さらに、子のない妻が30歳未満の場合には、5年間の有期給付となります。

なお、上記の条件を満たす子のある配偶者、子は、遺族基礎年金も併せて受けられます。

これらの条件を満たした人が全員年金をもらえるわけではなく、法定の優先順位に従って、実際に受給できる人が決まります。

 

<生計を維持されていたとは>

原則として次の要件を満たす場合をいいます。

1.同居していたこと(別居していても、仕送りしていた、健康保険の扶養親族であった等の事情があれば認められます。)。

2.加給年金額等対象者について、前年の収入が850万円未満であること。または所得が6555千円未満であること。

 

<年金事務所で確認を>

年金の仕組みは複雑ですから、これらの事項には、細かな例外があります。

また、年金受給者が亡くなった場合には、年金が後払いの形で支給されることから、亡くなった人が受け取り切れなかった年金(未支給年金)を遺族が受け取ることになります。

年金受給者が亡くなったことそのものを届け出る必要がありますから、あわせて年金事務所で確認することをお勧めします。

 

2018.03.29.解決社労士

<遺族年金>

遺族年金は、一家の働き手や年金受給者などが亡くなったときに、残された家族に給付される年金です。

遺族年金を受け取るには、亡くなった人の年金保険料の納付状況に条件があります。また、亡くなった人の年金の加入状況などによって、受け取れる年金の種類が異なってきます。これは、年金をもらう人ではなく、亡くなった人についての条件です。

一方で、年金をもらう人にも、年齢などの条件が設けられています。

ここでは、遺族基礎年金について説明します。

 

<亡くなった人の条件>

被保険者(年金加入者)または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある人が死亡したことが条件となります。

そして、その死亡した人について、保険料納付済期間と保険料免除期間を合計して加入期間の3分の2以上あることが必要です。ただし、平成38(2026)41日前の場合は死亡日に65歳未満であれば、死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられます。

これらの条件を満たしているかどうかは、年金事務所などで確認する必要があります。ご自分で確認できない場合には、社会保険労務士に委託することもできます。

 

<年金をもらう人の条件>

亡くなった人によって生計を維持されていた (1)子のある配偶者 (2)子 が年金をもらえます。

ただし、「子」が次のどちらかの条件を満たす場合に限ります。

・18歳到達年度の末日(331)を経過していない子

・20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子

例外的に、「子」に配偶者がいると対象外になります。

 

<生計を維持されていたとは>

原則として次の要件を満たす場合をいいます。

1.同居していたこと(別居していても、仕送りしていた、健康保険の扶養親族であった等の事情があれば認められます。)。

2.加給年金額等対象者について、前年の収入が850万円未満であること。または所得が6555千円未満であること。

 

<年金事務所で確認を>

年金の仕組みは複雑ですから、これらの事項には、細かな例外があります。

また、年金受給者が亡くなった場合には、年金が後払いの形で支給されることから、亡くなった人が受け取り切れなかった年金(未支給年金)を遺族が受け取ることになります。

年金受給者が亡くなったことそのものを届け出る必要がありますから、あわせて年金事務所で確認することをお勧めします。

 

2018.03.28.解決社労士

<通勤時間>

自宅から仕事の現場に直接向かった場合、これは通勤となり労働時間にはなりません。

同様に、仕事の現場から直接帰宅した場合、これも通勤となり労働時間にはなりません。

ただし、会社からの指示により、会社に寄ってから現場に向かう場合には、会社に寄るところまでが通勤時間であり、その後は労働時間となります。

同様に、会社からの指示により、現場での仕事を終えた後、会社に寄ってから帰宅する場合には、会社での勤務終了までが労働時間となります。

ですから、余計な労働時間が発生し、残業手当などが増えないようにするためには、直行直帰を徹底するのが合理的です。

 

<労働時間の適正な把握>

旧「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」は、平成29(2017)年1月20日に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に改められました。

全体としては大きな変更がありません。

しかし、自己申告制で労働時間を把握する場合の取扱いが、極めて具体的になりました。

これにより、現場に直行し直帰する従業員の労働時間を把握する場合にも、安易な自己申告が許されなくなっています。

 

最も確実なのは、使用者が自ら現認することにより、始業時刻、休憩時間、終業時刻を確認することです。

ここで「使用者」というのは、社長などの事業主に限定されてはいません。

このことについて、労働基準法は次のように規定しています。

 

第十条 この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。

 

つまり、労働者であっても、事業主のために他の労働者を管理する者は、その限りにおいて使用者の立場にあるということです。

工事現場などで、会社から労働者の指揮監督を任されている職長は、まさにこの使用者にあたりますから、職長が各従業員の始業時刻、休憩時間、終業時刻を確認し記録すれば、労働時間の適正な把握が可能です。

ただ、会社が職長などに労働時間の管理を任せる場合には、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」の内容を理解させ、必要な研修を行うことが前提になるものと考えられます。

 

2018.03.27.解決社労士

<休職の性質>

休職とは、業務外での病気やケガなど主に労働者側の個人的事情により、長期間にわたり働けない見込みとなった場合に解雇せず、労働者としての身分を保有したまま一定期間就労義務を免除する特別な扱いをいいます。

しかし、これは一般的な説明であって、休職の定義、休職期間の制限、復職等については、労働基準法などに規定がありません。

つまり、法令に違反しない限り、会社は休職制度を自由に定めることができますし、休職制度を設けないこともできます。

 

<モデル就業規則の規定>

平成302018)年1月に厚生労働省から公表された最新のモデル就業規則には、休職について次のように規定されています。

 

(休職)

第9条  労働者が、次のいずれかに該当するときは、所定の期間休職とする。

①業務外の傷病による欠勤が  か月を超え、なお療養を継続する必要があるため勤務できないとき  年以内

②前号のほか、特別な事情があり休職させることが適当と認められるとき 必要な期間

 

第1号が「業務外の傷病による欠勤」に限定しているのは、業務による傷病、つまり労災のうちの業務災害については、解雇制限があるからです。〔労働基準法191項本文〕

休職期間が満了してもなお傷病が治癒せず就業が困難な場合は、休職期間の満了をもって退職とするのですが、業務災害については療養のために休業する期間及びその後30日間は解雇が禁止されているので、これに配慮した規定となっています。

 

モデル就業規則では、「業務外の傷病による欠勤が  か月を超え、なお療養を継続する必要があるため勤務できないとき」は、「所定の期間休職とする」という規定になっています。

休日にスポーツをして大ケガをした場合であっても、酒に酔って階段で転んで大ケガをした場合であっても、年次有給休暇を使い果たし、一定の期間欠勤が続けば自動的に休職となります。

また、会社としては何年でも復帰を待ちたい人材というわけではなく、長く職場を離れるのなら代わりの人を採用したいという本音があったとしても、やはり自動的に休職となります。

「あなたは勤務態度が今一つなので、この規定を適用しません」ということはできないのです。

 

<会社に主導権のある規定>

「労働者が、次のいずれかに該当するときは、所定の期間休職を命ずる場合がある

このような規定にしておけば、会社は具体的な事情に応じて休職を命ずるか、休職を命じないで長期欠勤を理由とする解雇をするかの選択が可能となります。

ただ、不公平な運用をすれば、その合理性を問われて解雇が無効となる余地はあります。

さらに、復帰して欲しい人材に休職を命じたところ、本人から退職の申し出があった場合には、引きとめることができません。

この場合、有能な人材が復帰を拒否したということで、他の社員に与える悪影響もあるでしょう。

 

<合意を前提とする規定>

「労働者が、次のいずれかに該当するときは、所定の期間休職を申し出ることができる。この場合、会社が承認したときは、会社の認めた期間休職を命ずる

つまり、労働者がそのまま退職するのではなく復帰を希望する場合に、会社が認めた範囲内で休職を命ずることができます。

休職について、会社に主導権がある一方で、労使の合意の元に休職制度を利用することになり、円満な運用を可能とします。

 

<規定を置かないという選択>

就業規則に休職の規定が無い場合、あるいは、そもそも就業規則が無い場合であっても、労働者に休職を命ずることができます。

休職を命じなければ、長期欠勤で退職となるところ、休職を命じて救済するわけですから、法令以上に有利な扱いをすることになるからです。

つまり、ある程度、休職の実績が積み重ねられてから、就業規則に休職についての規定を置くという選択も可能です。

ただ、行き当たりばったりの不公平で不合理な運用をすれば、休職扱いとならず解雇された労働者から、解雇の無効を主張される可能性はあります。

 

休職制度ひとつを取っても、就業規則というのは、会社の個性に応じたものでなければならないことが痛感されます。

 

2018.03.26.解決社労士

<労働災害防止計画>

労働災害防止計画は、労働災害を減少させるために国が重点的に取り組む事項を定めた中期計画です。

厚生労働省は、過労死やメンタルヘルス不調への対策の重要性が増していることや、就業構造の変化及び労働者の働き方の多様化を踏まえ、労働災害を少しでも減らし、安心して健康に働くことができる職場の実現に向け、国、事業者、労働者等の関係者が目指す目標や重点的に取り組むべき事項を定めた 2018 4 月から2023 3 月までの 5 年間を計画期間とする「第 13 次労働災害防止計画」を 2018 2 28 日に策定し、 3 19 日に公示しました。

 

<第13次労働災害防止計画が目指す社会>

「一人の被災者も出さないという基本理念の下、働く方々の一人一人がより良い将来の展望を持ち得るような社会」

働く方々の一人一人がかけがえのない存在であり、それぞれの事業場において、日々の仕事が安全で健康的なものとなるよう、不断の努力が必要です。

また、一人一人の意思や能力、そして置かれた個々の事情に応じた、多様で柔軟な働き方を選択する社会への移行が進んでいく中で、従来からある単線型のキャリアパスを前提とした働き方だけでなく、正規・非正規といった雇用形態の違いにかかわらず、副業・兼業、個人請負といった働き方においても、安全や健康が確保されなければなりません。

さらに、就業構造の変化等に対応し、高年齢労働者、非正規雇用労働者、外国人労働者、障害者である労働者の安全と健康の確保を当然のこととして受け入れていく社会を実現しなければなりません。

 

<計画の主な目標>

(a) 死亡者数を2017年と比較して、2022年までに15%以上減少させる。

(b) 死傷災害(休業4日以上の労働災害)については、死傷者数を2017年と比較して、2022年までに5%以上減少させる。

(c) 重点とする業種の目標として、建設業、製造業及び林業については死亡者数を2022年までに15%以上減少、陸上貨物運送事業・小売業・社会福祉施設及び飲食店については、死傷者数を死傷年千人率で5%以上減少させる。

(d) その他の目標として、

・仕事上の不安、悩み又はストレスについて、職場に事業場外資源を含めた相談先がある労働者の割合を90%以上とする。

・メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上とする。

・ストレスチェック結果を集団分析し、その結果を活用した事業場の割合を60%以上とする。

・第三次産業及び陸上貨物運送事業の腰痛による死傷者数を2017年と比較して、2022年までに死傷年千人率で5%以上減少させる。

・職場での熱中症による死亡者数を2013年から2017年までの5年間と比較して、2018年から2022年までの5年間で5%以上減少させる。

 

<目標達成のための重点事項>

(1) 死亡災害の撲滅を目指した対策の推進

(2) 過労死等の防止等の労働者の健康確保対策の推進

(3) 就業構造の変化及び働き方の多様化に対応した対策の推進

(4) 疾病を抱える労働者の健康確保対策の推進

(5) 化学物質等による健康障害防止対策の推進

(6) 企業・業界単位での安全衛生の取組の強化

(7) 安全衛生管理組織の強化及び人材育成の推進

(8) 国民全体の安全・健康意識の高揚等

 

2018.03.25.解決社労士

<諭旨(ゆし)解雇の定義>

従業員が不祥事を起こし、諭旨解雇になったという報道に接することがあります。

しかし、その報道の中で、諭旨解雇の意味について説明されている例は、ほとんど見られません。

実は「諭旨解雇」というのは法律用語ではなく、公式な定義はありません。

そのため、諭旨解雇の取扱いは各企業により異なるため、報道機関も安易に解説できないのです。

それでも、諭旨解雇の多くは、懲戒解雇の一種または退職勧奨による退職であると考えられます。

 

<懲戒解雇の一種>

就業規則や労働条件通知書などに定められた懲戒処分の一つで、解雇予告手当や退職金の全額または一部を支払ったうえで解雇するものです。

懲戒解雇も諭旨解雇も、就業規則などに具体的な定めが無ければできませんし、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められなければ、解雇権の濫用となり無効です。

また、退職金の減額や不支給が就業規則に規定されている場合であっても、客観的に相当と認められる範囲に限り有効となります。

 

<退職勧奨による退職>

従業員の不祥事や非行があった時に、その行為を諭したうえで、従業員自身の意思により退職願を提出させるものです。

これは、退職を勧められたことにより、従業員自身の意思で退職を決めるので、解雇にはあたりません。

しかし、従業員の自由な意思による決定が前提となっていますので、精神的に追い込まれ、その真意に反して退職願を提出させられたような場合には、退職の申し出が無効となることもあります。

本人に十分反省させたうえで、自主的に退職させることが、その本質となります。

 

2018.03.24.解決社労士

<該当する場合と手続内容>

適用事業所が、次のいずれかに該当した場合には、事業主が「適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」を提出します。

・適用事業所が、これまでの年金事務所が管轄する地域外へ住所変更する場合

・上記に併せて名称を変更する場合

 

管轄年金事務所の変更

同一都道府県内の場合…届出日の翌月1日より変更されます。

都道府県外の場合………届出日の翌月1日または翌々月1日より変更されます。

(届書受付日によって異なる場合があります)

 

健康保険料率の変更(協会けんぽ管掌の健康保険の場合)

他の都道府県に事業所が移転する場合、健康保険料率が変更になる場合があります。

この場合、届書に記載された「事業開始年月日」から変更後の健康保険料率が適用されることになり、既に徴収済みの健康保険料に過不足があるときは、年金事務所の管轄変更後に初めて納付する保険料で精算されます。

 

提出時期 事実発生から5日以内

提 出 先 変更前の事業所の所在地を管轄する年金事務所

提出方法 電子申請、郵送、窓口持参

 

<添付書類>

次の1.~3.の場合に応じて、添付書類が必要となります。

 

1.法人事業所の場合(所在地変更・名称変更共通)

法人(商業)登記簿謄本のコピー

 

2.個人事業所の場合(所在地変更)

事業主の住民票のコピー(個人番号の記載がないもの)

 

3.個人事業所の場合(名称変更)

公共料金の領収書のコピー等

 

法人(商業)登記簿謄本のコピー、事業主の住民票のコピー(個人番号の記載がないもの)は、発行から90日以内のものが必要です。

電子申請により提出する場合、添付書類は画像ファイル(JPEG形式またはPDF形式)による添付データとして提出することができます。

事業所の所在地が登記上の所在地等と異なる場合は「賃貸借契約書」のコピーなど事業所所在地の確認できるものを添付します。

 

<その他の留意事項>

この届出は、変更前の事業所の所在地を管轄する年金事務所へ行いますが、変更後の事業所の所在地を管轄する年金事務所へ引き継がれます。

改めて変更後の事業所の所在地を管轄する年金事務所へ届出する必要はありません。

 

協会けんぽ管掌の健康保険の場合で、他の都道府県へ事業所が移転する場合、または名称変更を伴う所在地移転をする場合は、全国健康保険協会(協会けんぽ)支部から新しい被保険者証が事業主あて交付されます。

事業主は、引き換えに従業員から回収した旧被保険者証を全国健康保険協会支部へ返送してください。

全国健康保険協会(協会けんぽ)では、同一都道府県内での事業所所在地の変更の場合は、被保険者証の差し替えは行われません。

 

2018.03.23.解決社労士

<該当する場合と手続内容>

同一の年金事務所管内で、次のいずれかに該当した場合には、事業主が「適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」を提出します。

・同一の年金事務所の管轄地域内で所在地を変更する場合

・会社など適用事業所の名称を変更する場合

・同一の年金事務所の管轄地域内で所在地及び名称を変更する場合

 

提出時期 事実発生から5日以内

提 出 先 郵送で事務センター(事業所の所在地を管轄する年金事務所)

提出方法 電子申請、郵送、窓口持参

 

<添付書類>

次の1.~3.の場合に応じて、添付書類が必要となります。

 

1.法人事業所の場合(所在地変更・名称変更共通)

法人(商業)登記簿謄本のコピー

 

2.個人事業所の場合(所在地変更)

事業主の住民票のコピー(個人番号の記載がないもの)

 

3.個人事業所の場合(名称変更)

公共料金の領収書のコピー等

 

法人(商業)登記簿謄本のコピー、事業主の住民票のコピー(個人番号の記載がないもの)は、発行から90日以内のものが必要です。

電子申請により提出する場合、添付書類は画像ファイル(JPEG形式またはPDF形式)による添付データとして提出することができます。

事業所の所在地が登記上の所在地等と異なる場合は「賃貸借契約書」のコピーなど事業所所在地の確認できるものを添付します。

 

2018.03.22.解決社労士

<個人番号を記入する届書等>

雇用保険の手続きで、マイナンバーを記入する届出・申請書などは次のとおりです。

 

雇用保険被保険者資格取得届

雇用保険被保険者資格喪失届

高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書

育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書

介護休業給付金支給申請書

 

<個人番号の確認>

これらの届出・申請の際に、マイナンバーカードのコピーなど、番号の正しいことを確認する書類の添付は不要です。

しかし、従業員からマイナンバーを取得する際は、なりすまし防止のため、番号確認(正しい番号であることの確認)と、身元(実在)確認(番号の正しい持ち主であることの確認)が必要です。

 

<新規採用者の場合>

雇用保険の資格条件を満たした人は、雇用保険の加入者(被保険者)となります。

しかし、事業主が手続きをしないと資格の確認ができません。この手続が「雇用保険被保険者資格取得届」のハローワークへの提出です。

新規に採用した人が、マイナンバー通知カードを受け取っていない、あるいは、受け取ったけれども番号が不明の場合には、市区役所や町村役場の窓口で手続きしてマイナンバーを確認する必要があります。

速やかな手続きのため、採用決定の段階で、マイナンバーが必要であることを伝えて、準備しておいてもらうことをお勧めします。

 

2018.03.21.解決社労士

<年金手続きとマイナンバー>

平成292017)年1月より、年金分野でのマイナンバーの利用が開始されています。

これにより、年金手帳等によって基礎年金番号を確認できなくても、マイナンバーカードを窓口に持参すれば、相談や照会といったサービスを受けられるようになっています。

また、平成30(2018)35日からは、年金関係の手続きは、原則マイナンバーで提出することとなりました。

 

<個人番号を記入する届書等>

年金手続きで、マイナンバーを記入する届書等は306種類に及びます。

年金加入者(被保険者)や年金受給者が届け出るものと、会社などの事業主が提出するものがあります。

マイナンバー通知カードを受け取っていない、あるいは、受け取ったけれども番号が不明の場合には、市区役所や町村役場の窓口で手続きしてマイナンバーを確認し、できればマイナンバーカードの交付を受けておくことをお勧めします。

 

参考:マイナンバーを記入する届書等一覧

個人番号等登録届

個人番号変更届

年金手帳再交付申請書

基礎年金番号住所変更届

基礎年金番号生年月日訂正届

基礎年金番号性別訂正届

国民年金被保険者関係届書(申出書)

国民年金関係報告書

国民年金被保険者住所変更報告書(転出)・取消報告書

国民年金被保険者資格関係記録訂正・追加・取消報告書

沖縄特別措置対象者該当申出書

国民年金第3号被保険者関係届

国民年金第3号被保険者住所変更届

国民年金第3号被保険者特例措置該当期間登録(取消)届

国民年金保険料免除・納付猶予・学生納付特例期間証明(申請)書

国民年金保険料納付確認(申請)書

国民年金保険料納付証明(申請)書

特定事由申出書(登録)

特定事由申出書(取消)

付加保険料の特例納付申込書

国民年金保険料学生納付特例申請書

国民年金保険料追納申込書

中国残留邦人等の特例措置対象者該当申出書

中国残留邦人等の特例措置追納申出書

国民年金保険料納付申出書(死刑再審無罪者の納付の特例)

中国残留邦人等の特例措置 免除記録訂正・追加・取消報告書(処理票)

中国残留邦人等の特例措置 追納申出記録訂正・追加・取消報告書(処理票)

国民年金保険料免除・納付猶予申請書

国民年金保険料免除・納付猶予取消申請書

国民年金保険料免除期間納付申出書

国民年金保険料免除期間納付申出期間訂正申出書

時効消滅不整合期間に係る特定期間該当届

国民年金後納・特定保険料納付申込書

国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書

国民年金保険料クレジットカード納付辞退申出書

国民年金納付記録訂正・追加・取消報告書(処理票)

国民年金保険料免除・納付猶予・学生納付特例期間の変更申請書

国民年金保険料学生納付特例取消申請書/不該当届

国民年金事務組合事務委託届書

国民年金事務組合事務解約届書

国民年金納付書ソートコード関係報告書

国民年金銀行信託・事務委託関係報告書

国民年金保険料全額免除・納付猶予継続申請取下申出書

国民年金保険料関係記録訂正・追加・取消報告書(処理票)

国民年金保険料2年前納納付書発行事前受付申出書(兼納付書作成処理票)

国民年金保険料免除期間納付申出取消書

国民年金保険料免除・納付猶予申請に係る被災状況届

被保険者資格取得届・70歳以上被用者該当届

被保険者適用除外承認申請書・被保険者資格取得届・70歳以上被用者該当届

被保険者資格喪失届・70歳以上被用者不該当届

被保険者資格喪失届・70歳以上被用者該当届※70歳到達届

被保険者報酬月額算定基礎届・70歳以上被用者算定基礎届

被保険者報酬月額変更届・70歳以上被用者月額変更届

被保険者賞与支払届・70歳以上被用者賞与支払届

被扶養者(異動)(3号)届

育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届

育児休業等終了報酬月額変更届/70歳以上被用者育児休業等終了時報酬月額相

産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届

産前産後休業終了時報酬月額変更届/70歳以上被用者産前産後休業終了時月額相当額変更届

養育期間標準報酬月額特例申出/終了届

特例加入被保険者資格取得申出書

特例加入被保険者資格喪失申出書

高齢任意加入被保険者(船員以外)資格取得 申出・申請書

高齢任意加入被保険者(船員以外)資格喪失 申出・申請書

被保険者 所属選択・二以上事業所勤務届

70歳以上被用者 所属選択・二以上事業所勤務届

被保険者資格確認請求書

資格取得・資格喪失等確認申請書

被保険者生年月日訂正届(処理票)

被保険者氏名変更(訂正)届

被保険者住所変更届

任意単独被保険者資格取得申請書

任意単独被保険者資格喪失申請書

被保険者区分変更届・70歳以上被用者区分変更届

被保険者資格取得届

被扶養者(異動)届

被保険者資格喪失届

被保険者報酬月額変更(基準日)届被保険者報酬月額(基準日)届

被保険者報酬月額変更届(育児休業用)

育児休業等取得者申出書(新規・延長)

育児休業等取得者終了届

育児休業等終了時報酬月額変更届

産前産後休業取得者申出書

産前産後休業取得者変更(終了)届

産前産後休業終了時報酬月額変更届

被保険者報酬月額変更届(産前産後休業用)

養育期間標準報酬月額特例申出書

養育期間標準報酬月額特例終了届

70歳以上被用者該当・不該当届

70歳以上被用者月額変更(基準日)・賞与支払届

70歳以上被用者関連記録取消届

70歳以上被用者育児休業等終了時報酬月額相当額変更届

70歳以上被用者 産前産後休業終了時報酬月額相当額変更届

被保険者種別変更届

被保険者資格記録訂正届

被保険者資格記録取消届

被保険者生年月日訂正届(処理票)

被保険者氏名変更・訂正届

被保険者住所変更届

年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付)

年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付)【ターンアラウンド用】

年金請求書(国民年金障害基礎年金)

年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)

年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)(別紙)

年金請求書(国民年金遺族基礎年金)

年金請求書(国民年金遺族基礎年金)(別紙)

年金請求書(国民年金寡婦年金)

厚生年金保険老齢年金請求書 旧

厚生年金保険通算老齢年金請求書 旧

厚生年金保険特例老齢年金請求書 旧

厚生年金保険遺族年金請求書 旧

厚生年金保険通算遺族年金請求書 旧

厚生年金保険特例遺族年金裁定請求書 旧

厚生年金保険 障害年金・障害手当金請求書

船員保険老齢年金請求書 旧

船員保険通算老齢年金請求書 旧

船員保険特例老齢年金請求書 旧

船員保険脱退手当金請求書

年金請求書(国民年金・厚生年金保険障害給付)

国民年金・厚生年金保険 老齢基礎年金受給権者 老齢厚生年金裁定請求書

老齢基礎・厚生年金年金支給繰下げ請求書

国民年金・厚生年金保険 老齢基礎・厚生年金裁定請求書(65歳支給)

年金(改定)請求書(退職共済年金給付)

年金(改定)請求書(障害共済年金給付)

年金(改定)請求書(遺族共済年金給付)

年金(改定)請求書(退職共済年金給付:農林)

年金(改定)請求書(障害共済年金給付:農林)

年金(改定)請求書(遺族共済年金給付:農林)

退職共済年金支給繰下げ請求書

退職共済年金請求書(65歳支給)

厚生年金保険脱退手当金請求書

年金受給権者現況届

年金受給権者氏名変更届

厚生年金保険老齢・通算老齢・特例老齢年金受給権者支給停止事由消滅届・改定事由該当届(退職)

年金受給選択申出書

老齢・障害給付受給権者支給停止事由消滅届

老齢基礎・厚生年金受給権者厚年被保険者・共済組合等の組合員または加入者資格喪失届(退職)

遺族年金受給権者支給停止事由消滅届

国民年金 厚生年金保険 遺族基礎・厚年年金受給権者の所在不明による支給停止・支給停止解除申請書

国民年金 老齢基礎年金加算額支給停止事由消滅届

老齢・障害・遺族給付支給停止撤回申出書(申出により停止している年金を受けるための届)

障害基礎・厚生年金受給権者共済組合加入者等資格喪失届(退職)

障害による退職・遺族・遺族共済年金の支給停止解除届

特別障害給付金請求書 (特別障害給付金の支給受給資格及び額の認定)

特別障害給付金支給調整額変更届

特別障害給付金受給資格者住所・氏名・支払機関変更届

扶養親族等申告書

租税条約に関する届出書

租税条約に関する源泉徴収税額の還付請求書

年金請求書(国民年金老齢基礎年金)

厚生年金保険 適用証明書交付申請書

厚生年金保険 適用証明期間継続・延長申請書

厚生年金保険 適用証明書再交付申請書

国民年金 適用証明書交付申請書

国民年金 適用証明期間継続・延長申請書

国民年金 適用証明書再交付申請書

船員保険障害年金・障害手当金請求書

船員保険遺族年金請求書

船員保険通算遺族年金請求書

船員保険遺族一時金請求書

船員保険障害差額一時金請求書

船員保険 障害・遺族年金差額一時金請求書

国民年金 老齢年金請求書 旧

国民年金 通算老齢年金裁定請求書 旧

国民年金・厚生年金保険 特別支給の老齢厚生年金受給権者 老齢基礎年金支給繰上げ請求書

国民年金死亡一時金請求書

特別一時金請求書

厚生年金保険・国民年金 老齢厚生年金・老齢基礎年金支給繰上げ請求書

老齢基礎・老齢厚生・退職共済年金支給繰上げ請求書

国民年金・厚生年金保険・船員保険・共済年金未支給【年金・保険給付】請求書

老齢基礎年金・老齢厚生年金 支給繰下げ申出書(様式第103-1)

年金受給権者 住所・支払機関変更届

年金受給権者 住所変更届

年金受給権者 通知書等送付先・受取機関・口座名義変更申出書 住民基本台帳による住所の更新 停止・解除 申出書

遺族年金失権届

国民年金・厚生年金保険・船員保険・共済年金 年金受給権者死亡届

住民基本台帳による住所等の更新 停止・解除 申出書

厚生年金保険加給年金額対象者不該当届 旧

厚生年金保険老齢・通算老齢・特例老齢・障害年金受給権者支給停止事由消滅届

障害給付 額改定請求書

厚生年金保険 障害年金額改定請求書 旧

厚生年金保険 障害年金障害不該当届・老齢年金受給権者支給停止事由該当届

厚生年金保険遺族・通算遺族・特例遺族年金受給権者支給停止事由消滅届

厚生年金保険 老齢・障害年金加給年金額支給停止事由該当届 旧

厚生年金保険 老齢・障害年金加給年金額支給停止事由消滅届 旧

厚生年金保険老齢年金・障害年金受給権者胎児出生届 旧

中国残留邦人等の特別措置に伴う老齢給付の年金額改定請求書 旧

厚生年金保険 遺族年金額改定請求書(胎児の出生による年金額改定の請求)

年金保険遺族・通算遺族・特例遺族年金受給権者支給停止事由該当届 旧

厚生年金保険 通算老齢・特例老齢 年金受給権者改定事由該当届(65)

厚生年金保険 老齢・通算老齢受給権者支給停止事由消滅届・改定事由該当届(70歳喪失)

厚生年金保険 通算老齢・特例老齢 年金受給権者改定事由該当届(70)

遺族年金 寡婦加算額支給停止事由該当届 旧

遺族年金 寡婦加算額支給停止事由消滅届 旧

船員保険 遺族年金受給者の所在不明による支給停止・支給停止解除申請書

船員保険老齢年金・障害年金・遺族年金受給権者胎児出生届 旧

船員保険障害年金改定事由該当届・障害年金の受給権取得届

船員保険通算老齢・特例老齢年金受給権者改定事由該当届 (65)

船員保険老齢・通算老齢・特例老齢年金受給権者改定事由該当届 (70)

船員保険遺族・通算遺族・特例遺族年金受給権者支給停止事由該当届 旧

船員保険老齢・障害年金 加給金支給停止事由該当届 旧

船員保険老齢・障害年金 加給金支給停止事由消滅届 旧

船員保険遺族年金 寡婦加算額支給停止事由該当届 旧

船員保険遺族年金 寡婦加算額支給停止事由消滅届 旧

船員保険加給金額対象者不該当届 旧

船員保険老齢・通算老齢・特例老齢・障害年金受給権者支給停止事由消滅届・改定事由該当届(70歳喪失)

船員保険障害年金額改定請求書 旧

国民年金 老齢年金額改定請求書 旧

厚生年金保険障害者特例・繰上げ調整額請求書(繰上げ調整額停止事由消滅届)

厚生年金保険 年金受給権者障害者特例不該当届 繰上げ調整額停止届

生計維持確認届

年金受給選択申出書(様式第201号)

加算額・加給年金額対象者不該当届

国民年金・厚生年金保険 老齢基礎・厚生年金受給権者支給停止事由該当届

国民年金・厚生年金保険 老齢基礎・厚生年金受給権者厚生年金保険被保険者資格喪失届(退職)

障害基礎・老齢厚生・退職共済年金受給権者胎児出生届

障害給付受給権者 障害不該当届

国民年金・厚生年金 障害基礎・厚生年金受給権者 業務上障害補償の該当届

障害基礎年金・老齢厚生年金・退職共済年金加算額・加給年金額対象者の障害該当届

国民年金 厚生年金保険 遺族基礎・厚生年金額改定請求書

遺族給付受給権者の障害該当届

年金受給権者所在不明届

国民年金 老齢基礎年金額加算開始事由該当届

国民年金 老齢基礎年金加算額不該当届

国民年金 老齢基礎年金加算額支給停止事由該当届

国民年金 遺族基礎年金受給権者支給停止事由該当届

厚生年金保険老齢・障害・遺族厚生年金額改定請求書

老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届

障害給付加算額・加給年金額加算開始事由該当届

老齢厚生年金 加給年金額加算開始事由該当届(生計維持申立書)

老齢・障害給付 加給年金額支給停止事由該当届

老齢・障害給付 加給年金額支給停止事由消滅届

遺族厚生・遺族共済年金受給権者支給停止事由該当届

特別支給の老齢厚生年金受給権者障害者特例不該当届

中国残留邦人等の特例措置に伴う老齢給付の年金額改定請求書

沖縄特例措置特別加算該当届

国民年金老齢基礎年金額改定届(沖縄特別措置該当)

国民年金寡婦年金額改定届(沖縄特別措置該当)

老齢厚生・退職共済年金受給権者 支給停止事由該当届

老齢・障害・遺族給付支給停止申出書(年金の受給を停止するための申出書)

受給権者所得状況届

国民年金受給権者支給停止事由該当届

国民年金 障害基礎・遺族基礎年金受給権者支給停止額変更届

国民年金受給権者支給停止事由消滅届

国民年金受給権者障害業務上の障害・遺族補償の該当届 旧

国民年金障害年金受給権者障害不該当届 旧

国民年金障害年金受給権者支給停止額変更届 旧

国民年金障害年金受給権者支給停止事由消滅届 旧

国民年金母子・準母子年金加算額対象者不該当届 旧

国民年金母子・準母子年金受給権者母子加算額支給停止事由該当届 旧

国民年金母子・準母子年金受給権者支給停止額変更届 旧

国民年金母子・準母子年金受給権者母子加算額支給停止事由消滅届 旧

国民年金遺児年金受給権者の所在不明による支給停止・支給停止解除申請書 旧

国民年金母子・準母子・遺児・寡婦年金受給権者支給停止事由消滅届 旧

国民年金障害年金額改定請求書 旧

年金請求書(国民年金老齢基礎年金)

国民年金 障害基礎年金額改定請求書

退職共済年金加給年金額支給停止事由該当・消滅届

遺族共済年金 中高齢寡婦加算額・経過的寡婦加算額支給停止事由該当届

障害共済年金受給権者 業務上障害補償の該当届

障害共済年金・障害年金受給権者 厚生年金保険被保険者資格取得・喪失届

扶養遺族(公務上)不該当届

遺族年金 寡婦加算額支給停止事由該当届()

遺族年金 寡婦加算額支給停止事由消滅届()

年金証書・改定通知書・振込通知書再交付申請書

源泉徴収票・準確定申告用源泉徴収票交付(再交付)申請書

脱退一時金支給決定通知書 再発行依頼書(本人申請用)

償還請求書

国民年金第3号被保険者加入期間証明請求書

年金分割のための情報提供請求書

年金分割のための情報通知書再交付申請書

標準報酬改定請求書(離婚時の年金分割の請求書)

標準報酬改定通知書再交付申請書

年金分割の合意書

国民年金 老齢福祉年金請求書

国民年金 老齢福祉年金支給停止関係(発生・消滅・額変更)届

国民年金老齢福祉年金所得状況届

国民年金 老齢福祉年金被災状況届

国民年金 老齢福祉年金氏名・住所・支払郵便局・扶養義務者変更届

国民年金 老齢福祉年金支給停止関係申出書

国民年金老齢福祉年金受給権者死亡届・国民年金未支給福祉年金支給請求書

老齢福祉年金受給月確認書

国民年金 国民年金証書再交付申請書・亡失届

特別障害給付金額改定請求書

特別障害給付金所得状況届

特別障害給付金支給調整事由該当届

特別障害給付金被災状況届

特別障害給付金 現況届

特別障害給付金受給資格者証・支給額改定通知書再交付申請書

特別障害給付金受給資格消滅届

特別障害給付金受給資格者死亡届・未払金請求書

厚生年金保険 遺族年金差額支給請求書 旧

国民年金 老齢基礎年金 共済組合員期間等追加申立書 退職

国民年金・厚生年金保険 第三者行為事故状況届

国民年金・厚生年金保険・船員保険・共済年金 時効特例給付支払手続用紙

時効特例給付支払手続用紙(未支給年金用)

国民年金・厚生年金保険・共済年金 遅延特別加算金請求書

国民年金・厚生年金保険・共済年金 遅延特別加算金請求書(未支給年金用)

年金加入期間確認請求書

給与所得報告書

年金受給権者 受取機関変更届

国会議員又は地方公共団体の議会の議員に係る老齢厚生年金在職支給停止(解除)届

国民年金障害基礎年金遺族基礎年金被災状況届

厚生年金保険 老齢・通算老齢・特例老齢 年金受給権者支給停止事由消滅届・改定事由該当届 70歳喪失

厚生年金保険 老齢・通算老齢・特例老齢年金受給権者支給停止事由消滅届

年金受給権者 通知書等送付先・支払機関・口座名義変更申出書、住民基本台帳による住所の更新 停止・解除 申出書(成年後見人等用)

 

2018.03.20.解決社労士

特掲事業

雇用保険では、失業等給付の負担の均衡化を図るために、短期雇用特例被保険者が多く雇用される事業については、雇用保険の保険料の料率を一般の事業と比べて高くしています。

これらの事業を特掲事業といい、次の4つの事業が該当します

(1) 土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業(園芸サービスの事業は除く。)

(2) 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他畜産、養蚕又は水産の事業(牛馬の育成、養鶏、酪農又は養豚の事業及び内水面養殖の事業は除く。)

(3) 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体又はその準備の事業(通常「建設の事業」といっている。)

(4) 清酒の製造の事業

 

<失業等給付>

雇用保険で、労働者の生活及び雇用の安定、求職活動の促進のために支給される給付金をまとめて失業等給付といいます。

失業等給付には、1.求職者給付、2.就職促進給付、3.教育訓練給付、4.雇用継続給付の4種類があり、昔「失業手当」と呼んでいたものは、求職者給付の基本手当に相当します。

 

<短期雇用特例被保険者と特例一時金

季節的に雇用されている者等は、短期雇用特例被保険者として一般の雇用保険加入者(被保険者)と区別されます。

短期雇用特例被保険者は、一定の期間ごとに就職と離職を繰り返すため、一般の被保険者への求職者給付よりも一時金制度とすることのほうが、その生活実態に適合しているといえます。

そのため短期雇用特例被保険者には、一般の被保険者と区別して、特例一時金が給付される仕組みがとられています。

 

<不公平の是正>

特掲事業には、短期雇用特例被保険者の割合が高く、特例一時金の給付も多いのです。

そして、給付と保険料とのバランスを考えたときに、特例一時金は失業等給付の中でも、特に保険料に対する給付の比率が高いものとなっています。

そのため、すべての事業で雇用保険率を一律にしてしまうと不公平が発生してしまいます。

特掲事業を定め、これらの事業だけ雇用保険率を高くすることによって、この不公平を是正しているわけです。

 

2018.03.19.解決社労士

平成30(2018)222日、厚生労働省が「情報通信技術を利用した事業場外勤務(テレワーク)の適切な導入及び実施のためのガイドライン」を策定しました

 

<テレワークのメリット>

労働者にとってのメリットとして、次のものが例示されています。

・通勤時間の短縮

・業務の効率化・時間外労働の削減

・育児や介護と仕事の両立の一助に

・仕事と生活の調和を図ることが可能

 

また、使用者にとってのメリットとして、次のものが例示されています。

・業務効率化による生産性の向上

・育児・介護等による労働者の離職の防止

・遠隔地の優秀な人材の確保

・オフィスコストの削減

 

これらのメリットが期待できないテレワークであれば、その方法を再考すべきですし、無理に導入するものでもないといえます。

 

<テレワークの問題や課題>

テレワークの問題や課題として、次のものが例示されています。

・労働時間の管理が難しい

・仕事と仕事以外の切り分けが難しい

・長時間労働になりやすい

 

テレワークを行う労働者にも、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法等の労働基準関係法令が適用されますから、適切な労務管理の実施は、テレワーク普及の前提となる重要な要素です。

 

<業務を行う場所に応じたテレワーク>

1.在宅勤務

通勤の必要がないため、時間を有効に活用することが可能となり、仕事と家庭生活との両立に繋がります。

 

2.サテライトオフィス勤務

自宅近くや通勤途中の場所などに設けられたサテライトオフィスを利用することで、通勤時間を短縮しつつ、作業環境の整った場所での就労が可能となります。

 

3.モバイル勤務

労働者が自由に働く場所を選択できる、外勤における移動時間を利用できる等、業務の効率化を図ることが可能となります。

 

テレワークはメリットの多い仕組みですが、導入にあたっては、その実効性と適法性を十分に検証する必要があるといえます。

 

2018.03.18.解決社労士

<解雇の意味>

雇い主から「この条件でこの仕事をしてください」という提案があり、労働者がこれに合意すると労働契約が成立します。

労働契約は口頭でも成立します。ただ労働基準法により、一定の重要な労働条件については、雇い主から労働者に対し、原則として書面による通知が必要となっています。

解雇は、雇い主がこの労働契約の解除を労働者に通告することです。

 

<普通解雇>

狭義の普通解雇は、労働者の労働契約違反を理由とする労働契約の解除です。

労働契約違反としては、能力の不足により労働者が労働契約で予定した業務をこなせない場合、労働者が労働契約で約束した日時に勤務しない場合、労働者が業務上必要な指示に従わない場合、会社側に責任の無い理由で労働者が勤務できない場合などがあります。

 

<解雇の制限>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という規定があります。〔労働契約法16条〕

普通解雇は、この制限を受けることになります。

 

<懲戒処分の制限>

「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする」という規定があります。〔労働契約法15条〕

労働契約法の15条と16条は、重複している部分があるものの、15条の方により多くの条件が加わっています。

懲戒処分は、この厳格な制限を受けることになります。

 

<懲戒解雇の有効要件>

懲戒解雇というのは懲戒+解雇ですから、懲戒の有効要件と解雇の有効要件の両方を満たす必要があります。

普通解雇は、解雇の有効要件だけ満たせば良いのですから、懲戒解雇よりも条件が緩いことは明らかです。

 

<懲戒解雇と普通解雇の有効要件の違い>

そして、条文上は不明確な両者の有効要件の大きな違いは次の点にあります。

まず懲戒解雇は、社員の行った不都合な言動について、就業規則などにぴったり当てはまる具体的な規定が無ければできません。しかし普通解雇ならば、そのような規定が無くても、あるいは就業規則が無い会社でも可能です。

また懲戒解雇の場合には、懲戒解雇を通告した後で、他にもいろいろと不都合な言動があったことが発覚した場合にも、後から判明した事実は懲戒解雇の正当性を裏付ける理由にはできません。しかし普通解雇ならば、すべての事実を根拠に解雇の正当性を主張できるのです。

ですから懲戒解雇と普通解雇とで、会社にとっての影響に違いが無いのであれば、普通解雇を考えていただくことをお勧めします。特に、両者で退職金の支給額に差が無い会社では、あえて懲戒解雇を選択する理由は乏しいといえます。

 

<障害者雇用促進法に基づく合理的配慮>

障害者を採用した場合や、健常者である社員が障害者となった場合には、会社が障害者雇用促進法に基づく合理的配慮を求められます。

こうした配慮が不十分であれば、解雇を通告しても、労働契約法16条にいう解雇権の濫用とされ、解雇が無効となる可能性が高くなります。

ましてや、知的障害者や精神障害者の懲戒解雇となれば、そのハードルは更に高くなります。

懲戒処分の対象となる行為の原因が、知的障害や精神障害である可能性もあり、これに対して、戒めて反省を求めるための懲戒処分が無意味なケースもあるからです。

障害者の雇用の促進等に関する法律は、昭和351960)年に障害者の職業の安定を図ることを目的として制定されました。

そして、労働者の募集・採用、均等待遇、能力発揮、相談体制などについて定められ〔36条の236条の4〕、事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針が定められるとしています。〔36条の5

また、平成282016)年4月の改正障害者雇用促進法の施行に先がけて、合理的配慮指針が策定されています。(平成27(2015)325日)

この指針を参考にして、会社が十分な取り組みを行ってきたのでなければ、解雇を有効に行うことはむずかしいのです。

 

<解雇を検討するよりも>

結論としては、会社が一方的に普通解雇や懲戒解雇をするのではなく、障害者本人、家族、主治医、産業医などとよく話し合い、会社が対応しきれないことを説明して、合意による退職を目指すのが現実的です。

会社が誠実に説明すれば、家族が本人の説得に回ってくれることもあります。

それでも合意できない場合には、病状により休職を命じることも考えます。客観的に見て、懲戒解雇の検討対象となるような行動が現れたのなら、医師から病状が重いと判断されることが多いでしょう。

「あの対応で本当に良かったのだろうか」という疑問を残さないよう、慎重に対応しましょう。

 

2018.03.17.解決社労士

<いじめが疑われる場合>

障害者に対する偏見などにより、同僚からいじめられていたり、上司からパワハラを受けていたりすることによって、本来の能力を発揮できないことがあります。

また、求められている能力を発揮して業務をこなしているにもかかわらず、周囲から仕事ぶりについて悪く言われていることもあります。

この場合には、会社のトップや人事担当者が障害者と面談して、いじめの事実が無いか確認する必要があります。

そして、本人がいじめの事実を認めた場合でも、他に被害者がいないか、目撃者はいないかなどの調査を会社が始めると、告げ口したとされて、かえっていじめがエスカレートしてしまう危険があります。

会社が、いじめ、パワハラ、障害者について、きちんとした社内教育をしないうちに、障害者を迎え入れてしまうのは、危険だということです。

それでも、法定の障害者雇用率の段階的な上昇により、障害者の雇用が難しくなりつつありますから、急ぐあまり、態勢が整わないうちに採用してしまうこともあります。

こうした場合には、すぐに犯人探しに走るのではなく、研修などの社内教育をする旨の全社告知をしたうえで、計画的に進めるのが得策です。

 

<メンタルヘルス不調が疑われる場合>

身体障害やいじめなどが原因で、精神疾患にかかっている場合もあります。また、元々あった精神疾患が悪化している場合もあります。

これらの場合には、上司や同僚から不自然な言動についての情報が入ることもあります。会社のトップや人事担当者が障害者と面談して、受け答えや態度に疑問を抱くようであれば、専門医の受診を促すようにします。

程度によっては、ご家族、支援機関、主治医、産業医との連動も必要になります。

精神疾患により、正常に勤務できないのであれば、会社のルールに従い休職などの手続きを取ることになります。

 

<障害者雇用促進法に基づく合理的配慮>

障害者を採用した場合や、健常者である社員が障害者となった場合には、会社が障害者雇用促進法に基づく合理的配慮を求められます。

こうした配慮が無いために、障害者が能力を発揮できないのであれば、会社側に問題があることを素直に認め、合理的な配慮を実施しなければなりません。

障害者の雇用の促進等に関する法律は、昭和351960)年に障害者の職業の安定を図ることを目的として制定されました。

そして、労働者の募集・採用、均等待遇、能力発揮、相談体制などについて定められ〔36条の236条の4〕、事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針が定められるとしています。〔36条の5

また、平成282016)年4月の改正障害者雇用促進法の施行に先がけて、合理的配慮指針が策定されています。(平成27(2015)325日)

この指針を参考にして、会社としての取り組みを進めましょう。

 

<解雇の検討>

以上の問題をクリアしたうえで、尚、障害者が思うように働いてくれない場合には、普通解雇を検討することになります。

しかし、障害者の場合には、会社側の努力が求められている分だけ、能力不足を理由とする解雇が困難です。

採用にあたっては、何をどこまで期待するのかについて、具体的な人材要件を文書化し、本人に説明して交付しておくことをお勧めします。

できれば3か月程度の試用期間を置き、定期的に必要な人材要件と本人の働きぶりとを対照しつつ面談を行って、本採用に至らない場合でも、納得が得られるようにしておくと良いでしょう。

 

2018.03.16.解決社労士

<解雇は無効とされやすい>

社員が障害者になったら、「ある程度面倒は見るけれど、今まで通り働けないのなら、退職を申し出て欲しい」というのが、経営者の本音だと思います。

それでも、本人から退職の申し出が無ければ、説得して退職を申し出てもらうように働きかけるでしょう。これに応じてもらえれば、退職勧奨に応じての退職ということで、その人は失業手当(雇用保険の基本手当)も有利に受給できます。

しかし、本人の愛社精神が強ければ、働きたいと思うはずです。経営者としては、こうした本人の想いに応えたい反面、止むを得ず解雇を考えることでしょう。

しかし解雇については、労働契約法に次の規定があります。

 

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

裁判になれば、この条文の中の「客観的に合理的な理由」「社会通念上相当」というのは、経営者の考え方や世間の常識ではなく、裁判官の解釈が基準になります。

ですから、安易に懲戒解雇を行うのは危険です。実際に発生している具体的な事実に照らして、関連する判例を数多く調べたうえで、懲戒解雇を検討しなければなりません。

多くの中小企業では、社外の専門家の手助けを必要とするでしょう。

 

<障害者雇用促進法に基づく合理的配慮指針>

さらに、障害者については法令による保護が強化されています。

障害者の雇用の促進等に関する法律は、昭和351960)年に障害者の職業の安定を図ることを目的として制定されました。

そして、労働者の募集・採用、均等待遇、能力発揮、相談体制などについて定められ〔36条の236条の4〕、事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針が定められるとしています。〔36条の5

また、平成282016)年4月の改正障害者雇用促進法の施行に先がけて、合理的配慮指針が策定されています。(平成27(2015)325日)

 

※正式名称は、「雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会若しくは待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために事業主が講ずべき措置に関する指針」と長く、具体的な内容を示すものですが、ここでは「合理的配慮指針」と呼びます。

 

<合理的配慮指針の基本的な考え方>

全ての事業主は、障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となっている事情を改善するため、労働者の募集及び採用に当たり障害者からの申出により当該障害者の障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければならないとしています。

また、障害者である労働者について、障害者でない労働者との均等な待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するため、その雇用する障害者である労働者の障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な施設の整備、援助を行う者の配置その他の必要な措置を講じなければならないとしています。

 

<中小企業での対応>

しかし、中小企業で社員が障害者となった場合に、上記のような対応を求められたのでは大変でしょう。

実は、障害者雇用促進法の募集・採用、均等待遇、能力発揮についての規定には、「ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない」という但し書きが添えられています。〔36条の236条の3

これを受けて、合理的配慮指針にも、同様の内容が加えられています。

つまり各企業には、その規模や体力に応じた対応が求められているのであって、決して無理を強いられているのではないということです。

 

中小企業では、何が何でも障害者となった社員を解雇してはならないということではなく、ご本人と親身になって相談したうえで、会社ができる限りのことをしても限界があるのなら、解雇もやむを得ないということになります。

 

2018.03.15.解決社労士

<同じ失言でも>

大臣が失言で罷免されたというニュースは、たびたび報道されています。場合によっては、大臣をクビになるだけでなく、国会議員としても辞職に追い込まれるケースがあります。

しかし、民間企業での社員の失言はほとんど報道されず、じわじわとその影響が現れてくることが多いものです。

 

<たとえばの失言>

上司が部下に対して、「○○くんって彼女はいるのかな?」という失言をしたとします。

これが失言だとピンとくる人は、正しい知識を持っていて実践できているので、問題となる失言はしないでしょう。

 

職場の優位者が劣位者に対して、仕事上接する際に、必要以上に人権を侵害しうる行為をパワハラといいます。

上司が部下を「○○くん」と呼ぶ必要はありません。このように呼ぶのは、客観的に見れば上から目線の態度ですから、パワハラになりうるのです。

 

職場の人間関係や職場環境で、性について平穏に過ごす自由を侵害しうる行為をセクハラといいます。

彼女かいるかどうかは、聞かれるだけでドキドキします。ですからセクハラになるのです。

ましてや、言われた男性が同性愛者であれば、同性愛者であることがバレたのかと、大いに困惑することもあるでしょう。LGBTへの対応は、すべての企業に必須の取り組み課題なのです。

 

<失言で表面化する労働問題>

この例で、言われた部下がパワハラやセクハラを問題にすることは少ないでしょう。ハラスメントについての社員教育が不足していれば尚更です。

しかし、彼女のいない○○くんは、「彼女がいないのは出会いが無いからだ。毎日残業続きだし、休日出勤もあるし、有給休暇も取れないからだ」と思ってしまうかも知れません。

また、彼女がいる○○くんは、「今の年収では結婚もできないし、子供を設けるなんてとても無理だ。それに、家族と過ごす時間も確保できやしない」と考えるキッカケとなります。

 

上司の失言により、「会社のため、自分のため」と頑張ってきた○○くんは、考えを変えてしまう可能性があるのです。

何気ない一言が、人間関係や職場関係を悪化させ、労働問題が表面化します。

この例では、パワハラ、セクハラ、長時間労働、サービス残業、年次有給休暇の取得率、低賃金の問題について、法的に正当な主張を公式の場で展開する可能性が高まります。

 

<中小企業での対応>

社員教育が最善の対策です。

すべての点で、労働法に従った経営というのは困難です。有名な大企業であっても、しばしば労働法違反の報道がされています。あらゆる点で法律上の努力義務まで尽くしているという企業は稀です。

だからといって、法令を無視することはできません。日本は法治国家です。会社は、法律によってその存続が認められでいるのですから、アウトローでは生きていけません。罰則が適用されるようなことは慎まなければなりません。

結局、会社として対応すべきは対応して、社員とのコミュニケーションを密にして、適正な社員教育をすることです。

少なくとも、部下を持つ社員には失言させない教育が必要ですし、すべての社員にブラック企業の疑いを発生させないための教育が必要です。

 

2018.03.14.解決社労士

<障害者雇用促進法に基づく合理的配慮指針>

障害者の雇用の促進等に関する法律は、昭和351960)年に障害者の職業の安定を図ることを目的として制定されました。

そして、労働者の募集・採用、均等待遇、能力発揮、相談体制などについて定められ〔36条の236条の4〕、事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針が定められるとしています。〔36条の5

また、平成282016)年4月の改正障害者雇用促進法の施行に先がけて、合理的配慮指針が策定されています。(平成27(2015)325日)

 

※正式名称は、「雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会若しくは待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために事業主が講ずべき措置に関する指針」と長く、具体的な内容を示すものですが、ここでは「合理的配慮指針」と呼びます。

 

<合理的配慮指針の基本的な考え方>

全ての事業主は、障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となっている事情を改善するため、労働者の募集及び採用に当たり障害者からの申出により当該障害者の障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければならないとしています。

また、障害者である労働者について、障害者でない労働者との均等な待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するため、その雇用する障害者である労働者の障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な施設の整備、援助を行う者の配置その他の必要な措置を講じなければならないとしています。

 

この内容からすると、たとえば視覚障害者に対しては、募集や採用試験にあたって点字や音声等による実施が求められることになります。

また、たとえば精神障害者に対しては、業務の優先順位や目標を明確にし、指示を一つずつ出す、作業手順を分かりやすく示したマニュアルを作成し使用することや、本人の状況を見ながら業務量等を調整することなどが求められます。

 

<中小企業での対応>

人手不足の折、中小企業で障害者の雇用を考えた場合に、上記のような対応を求められたのでは、なかなか採用に踏み切れないでしょう。

実は、障害者雇用促進法の募集・採用、均等待遇、能力発揮についての規定には、「ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない」という但し書きが添えられています。〔36条の236条の3

これを受けて、合理的配慮指針にも、同様の内容が加えられています。

つまり各企業には、その規模や体力に応じた対応が求められているのであって、決して無理を強いられているのではないということです。

 

中小企業では、募集・採用にあたって経費のかかる配慮をしたり、勤務にあたって高額な設備を設けたりということではなく、相談相手を決めて親切に相談に応じるとか、チューター制度を設けてマンツーマンの指導を受けるようにするなどの配慮が求められるのでしょう。

 

2018.03.13.解決社労士

<解雇は無効とされやすい>

解雇については、労働契約法に次の規定があります。

 

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

裁判になれば、この条文の中の「客観的に合理的な理由」「社会通念上相当」というのは、それぞれの会社の方針や世間の常識ではなく、裁判官の解釈が基準になります。

ですから、安易に懲戒解雇を行うのは危険です。実際に発生している事実に照らして、関連する判例を数多く調べたうえで、懲戒解雇を検討しなければなりません。

多くの中小企業では、社外の専門家の手助けを必要とするでしょう。

 

<懲戒解雇の手順>

懲戒解雇が無効とされないためには、一般に次の手順を踏むことが必要になります。

 

1.口頭注意

何か不都合な行為を行った社員に対しては、口頭で注意を行います。

そして、注意の内容を文書化し本人に確認させます。

 

2.文書による注意

本人が口頭注意に従わない場合、反省していない場合には、文書による注意を行います。この文書もきちんと保管します。

 

3.懲戒処分

文書による注意を行っても、本人がこれに従わず、あるいは反省していない場合には、懲戒解雇には至らない軽い懲戒処分を行います。

これを行うには、就業規則や労働条件通知書に解雇の具体的な定めがあることや、本人に弁解の機会を与えるなどの適正な手続きが必要です。

 

4.懲戒解雇

上記の手順を踏んでも、本人が態度を改めず、会社に籍を置いておくことが会社にとって害悪をもたらす場合には、やむを得ず懲戒解雇に踏み切ることになります。

 

<証拠の品質>

上記の1.から4.までについて、きちんと証拠を残しておくことが、会社を守るためには大事なことです。

しかし、ただ証拠を残せば会社が裁判で勝てるというわけではありません。

証拠の品質が問題となります。

 

懲戒解雇の有効性を争う裁判には、民事訴訟法の次の条文が適用されます。

 

(自由心証主義)

第二百四十七条 裁判所は、判決をするに当たり、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して、自由な心証により、事実についての主張を真実と認めるべきか否かを判断する。

 

このことから、証拠の内容は具体的で、確かにそうした事実があったのだということを裁判官に納得させるものでなければなりません。

 

そして、懲戒解雇の有効性が争われた場合、その証拠からうかがわれる会社の態度も裁判官から見透かされてしまいます。

懲戒解雇の有効性を否定される会社の態度としては、次のようなものがあります。

・口頭注意や文書による注意の段階から、問題社員のレッテルを貼り懲戒解雇を決めていた。

・会社が親身になり本人の改善に協力的な態度を示しているとは認められない。

・本人が迷ったとき、相談したり指導を仰いだりする具体的な担当者を決めていなかった。

 

<円満解決>

たしかに、会社が問題社員に対して親身になって指導し、成長させ改善させるというのは現実には厳しい話です。

それでも、本当の問題社員であれば、そこまでされたら退職願を提出することでしょう。

なぜなら問題社員は、きちんと仕事をしようとか、成長して会社に貢献しようなどとは思っていませんから、会社側からこれを求められるのが一番つらいからです。

懲戒解雇の有効性を争われた場合と、退職願が提出された場合とでは、社員全体にもたらす影響に雲泥の差が生じます。もちろん、クチコミによる社外への影響も無視できません。

経営者や人事担当者は、目の前の問題社員の態度に熱くなってはいけません。どのような解決が会社にとってベストなのかを、冷静に見極めることが求められているのです。

 

2018.03.12.解決社労士

<変更の趣旨>

がん対策推進基本計画は、がん対策基本法に基づき策定されるものです。

これは、がん対策の総合的かつ計画的な推進を図るため、がん対策の基本的方向について定めるものです。

また、都道府県がん対策推進計画の基本となります。

 

今回の変更は、閣議決定された「健康増進法の一部を改正する法律案」を踏まえ、受動喫煙に関する個別目標として、「2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて受動喫煙対策を徹底し、本基本計画の計画期間中において、望まない受動喫煙のない社会をできるだけ早期に実現することを目標とする」を、盛り込むものです。

 

<第3期がん対策推進基本計画の概要>

全体目標:がん患者を含めた国民が、がんを知り、がんの克服を目指す。

・科学的根拠に基づくがん予防・がん検診の充実

・患者本位のがん医療の実現

・尊厳を持って安心して暮らせる社会の構築

 

分野別施策

1.がん予防(予防、早期発見、検診)

2.がん医療の充実(手術療法、放射線療法、薬物療法、免疫療法、支持療法や医薬品・医療機器の早期開発・承認等に向けた取組など)

3.がんとの共生(緩和ケア、相談支援、情報提供、がん患者等の就労など)

4.これらを支える基盤の整備(研究、人材育成、教育、普及啓発など)

 

<患者に対する企業の対応の変化>

昭和時代には、従業員から「がんが見つかりました」という話があれば、企業は当然のように「それでは治療に専念するため退職しなさい」という対応でした。そして、その従業員は入院治療を受け、検査と手術を繰り返すということになっていました。

それが、今や医学の発達により、早期発見であれば完治が期待でき、ある程度進行してからでも通院治療が原則となります。そして、治療に必要な時間以外は、通常通りの勤務が可能ということが、当たり前のことになりつつあります。

ですから、従業員から「がんが見つかりました」という話があったとき、企業が「それでは治療に専念するため退職しなさい」という対応をすれば、不当解雇を主張されてしまいます。つまり、解雇は無効となり、損害賠償を請求されることもあります。

 

健康保険だけでも、傷病手当金や高額療養費の制度が利用できます。企業には、他にも雇い主として出来ることがたくさんあります。

できれば、こうした事態に対応できるよう、就業規則の見直しをすることが望まれます。

 

いずれにせよ、がん患者ご本人の話を十分に聞いてから、企業としての対応を真摯に考えることが求められます。

 

2018.03.11.解決社労士

<「ねんきん定期便」の海外送付>

日本年金機構に申し込むことによって、「ねんきん定期便」を海外の住所に送ってもらうことができます。

パソコンまたはスマートフォンから、「ねんきん定期便お申込みページ」にアクセスして、必要事項を入力して送信するだけです。

https://www.nenkin.go.jp/do/reg_service/

 

申し込みに際しては、基礎年金番号の入力が必要になります。不明の場合には、転居前にお近くの年金事務所などで基礎年金番号を確認しておく必要があります。

 

<サービスの利用にあたって>

このサービスを使って、日本国内の住所への送付を申し込むことはできません。

1回申し込むことによって、定期的に郵送されるサービスではなく、1回の手続きで1回限りの送付となります。

申し込んでから「ねんきん定期便」が届くまで、約3か月かかります。また、年金記録の状況や各国の郵便事情などにより、それ以上の期間を要する場合があります。

「ねんきん定期便お申込みページ」には、メールアドレスの入力欄がありますが、メールの返信サービスは行われていません。

「ねんきん定期便お申込みページ」の入力内容に不備があった場合など「ねんきん定期便」を送付できないときは、その旨を記載した「エアメール」が送付されます。この場合には、再度申し込むことによって、送付を受けられるようになります。

 

2018.03.10.解決社労士

<振込口座の名義変更>

国内に住所がある年金受給者の場合、原則として、氏名変更届の提出は不要です。

ただ、氏名の変更に伴い、年金の振込口座名義を変える必要があります。

氏名が変更になった場合は、日本年金機構から「お知らせ」が送付されます。

これに従って、金融機関での振込口座名義の変更手続きを行うことになります。

 

<遺族年金の受給者>

遺族年金の受給権者が結婚(婚姻)または養子縁組(直系血族または直系姻族の養子となった場合を除く)をした場合は、年金を受けられなくなります。

この場合には、日本年金機構から「お知らせ」が送付されます。

これに従って、氏名の変更が結婚(婚姻)または養子縁組による場合は「遺族年金失権届」、それ以外の場合は「遺族年金受給権者氏名変更理由届」の提出をすることになります。

 

2018.03.09.解決社労士

<報道されているニュース>

裁量労働制を全社的に違法に適用していた野村不動産(東京)で、50代の男性社員が過労自殺し労災認定されていた問題が、参院予算委員会で取り上げられました。

 

<2つの裁量労働制>

現行法上、裁量労働制には専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制の2つがあり、どちらもみなし労働時間制の一つです。

適法に運用するための条件は複雑ですから、安易に適用することは避けなければなりません。

 

<専門業務型裁量労働制>

業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分などを大幅に労働者の裁量に任せる必要がある業務として厚生労働省令と厚生労働大臣告示によって定められた業務の中から、対象となる業務を労使で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使であらかじめ定めた時間だけ働いたものとみなす制度です。

みなし労働時間制にすれば、労働時間の算定が楽になりますが、法定の要件と手続きが厳格ですし、休憩、深夜業、休日に関する規定の適用は排除されない点に注意が必要です。

 

<専門業務型裁量労働制の対象業務>

 「専門業務型裁量労働制」は、専門的な19業務に限り、事業場の過半数労働組合または過半数代表者との労使協定を締結することにより導入することができます。

対象業務の例としては、新商品の研究開発、デザイナー、コピーライター、弁護士、税理士などがあり、かなり専門性の高い業務に限定されています。

 

<専門業務型裁量労働制の導入手続>

原則として、対象業務、みなす時間、健康確保措置、対象労働者からの苦情処理方法などの基本事項を労使協定により定めたうえで、所轄労働基準監督署長に届け出ることが必要です。

この労使協定には、対象となる業務遂行の手段や方法、時間配分などに関して労働者に具体的な指示をしないことが含まれています。あくまでも、自律的な専門職として働かせる仕組みなのです。

 

<企画業務型裁量労働制>

事業活動の中枢にある労働者を対象として、創造的な能力を十分に発揮できる環境を実現するため、企業の本社などで企画、立案、調査、分析を行う労働者のために設けられました。

みなし労働時間制にすれば、労働時間の算定が楽になりますが、法定の要件と手続きが厳格ですし、休憩、深夜業、休日に関する規定の適用は排除されない点に注意が必要です。

 

<企画業務型裁量労働制を導入できる事業場>

対象業務が存在する事業場に限定されています。具体的には、本社・本店である事業場の他、次の事業場が該当します。

・企業の事業の運営に大きな影響を及ぼす決定が行われる事業場

・その事業場の事業計画や営業計画の決定を独自に行っている支社・支店

 

<企画業務型裁量労働制の導入手続>

事前・事後のものを含め次の手続きが必要です。

・労使委員会の設置と決議、運営方法の決定

・労働基準監督署長への届出と6か月以内ごとに1回の定期報告

 

<対象労働者の同意>

この制度の適用については、労働者本人の同意を得なければなりません。また、不同意の労働者に対して不利益な取扱いをしてはなりません。

同意は個別でなければならず、就業規則での包括的な同意では足りません。

 

2018.03.08.解決社労士

<マイナンバーによる届出・申請>

社会保険の手続きで、平成30(2018)年3月5日からマイナンバー(個人番号)による届出・申請が開始されました。

年金手続きで、これまで基礎年金番号を記載していた届書には、マイナンバーを記載して届け出ることになりました。

マイナンバーを利用することによって、住所変更届、氏名変更届等の届出は省略となります。

また、今後、マイナンバーによる行政機関間の情報連携の仕組みを活用し、これまで各種申請時に必要としていた住民票などの添付書類提出の省略が行われる予定です。

 

<マイナンバーによる相談・照会>

マイナンバーを利用して年金に関する相談や年金記録に関する照会を行うことができます。

基礎年金番号が分からない場合であっても、マイナンバーを伝えることによって相談・照会が可能です。

マイナンバーによる相談・照会を行う際には、年金事務所の窓口でマイナンバーカードなどの本人確認書類の原本を提示します。

また、電話でもマイナンバーによる相談・照会を行うことができます。

 

<提出する住民票>

年金の請求手続き等で添付書類として提出する住民票については、原則として、マイナンバーが記載されていないものを提出します。

マイナンバーの本人確認(番号確認)書類として提出する場合のみ、マイナンバーの記載がある住民票を提出します。

マイナンバーカードや通知カードを持っている場合には、これらのうちのどれかを提出すれば、マイナンバーの記載がある住民票の提出は不要です。

 

<手続き書類の様式変更>

社会保険の手続きで使用する書類の様式も、平成30(2018)年3月5日から変更になっています。

変更の内容は、マイナンバー欄の追加のほか、様式のA4縦判化、複数の様式の統合などです。

こちらからダウンロードできます↓

http://www.nenkin.go.jp/shinsei/ichiran.html

 

2018.03.07.解決社労士

<不法就労のニュース>

あるラーメンチェーンの大阪・ミナミの店舗で、外国人留学生らを不法に働かせたとして、大阪府警が週内にも、入管難民法違反(不法就労助長)の疑いで、社員らと会社について書類送検する方針を固めたそうです。(平成3034日)

 

<留学生の就労制限>

留学生は、勉強をするために留学生の資格で入国しています。

アルバイトをするというのは、勉強とは違う活動ですから、入国資格との関係では、資格外の活動だということになります。

そこで、留学生がアルバイトをするには、住居地を管轄する地方入国管理官署に資格外活動許可の申請を行い、資格外活動許可書の交付を受けなければなりません。

一方、留学生アルバイトを雇う場合には、この資格外活動許可書に書いてある許可条件を確認し、条件の範囲内で勤務時間などの労働条件を決めることになります。

留学生アルバイトの場合には、通常、週28時間以内の勤務が許されていますが、夏休みなどの長期休暇中は週40時間に延長されます。長期休暇の期間も、資格外活動許可書で確認します。

 

<労働法の遵守>

ニュースになったのは、入管難民法違反(不法就労助長)の点だけです。

しかし、労働基準法違反や労働安全衛生法違反などにも注意する必要があります。

これらの労働法は、国籍にかかわらず日本で働く人に適用されますから、言葉や習慣の違いへの対応が必要になります。

まず、採用にあたって交付する労働条件通知書は、留学生アルバイトが理解できなければなりません。日本語が良くわからなければ、本人のわかる言語で作成したものを交付し、説明する必要があります。

就業規則などのルールも、理解できる言語で作成し、説明する必要があります。

また、労働災害防止のため、「熱い」「入るな」などの表示も、わかる言語で行う必要があります。

さらに、最低賃金法を守ることはもちろん、日本国籍ではないことを理由に、賃金を低く設定することも許されません。

なんとなく、外国人であれば安い賃金で雇えるようなイメージもありますが、これはブラック企業が、ほとんど人身売買に近いことまで行っているために、そうした誤解を与えているに過ぎないのです。

 

2018.03.06.解決社労士

<人件費を考えると>

たとえば、月給20万円の社員を3人雇って、月45時間の残業をさせるよりは、4人雇って残業ゼロにした方が、同じ人件費でも生産性が上がります。

 

********以下は細かい説明です********

 

月給20万円の社員が、月に45時間残業しているとします。

月間所定労働時間が174時間(8時間勤務で週休2日)だとすると、時間単価は、

 

20万円 ÷ 174時間 = 1,150円(円未満切り上げ)

 

法定外残業の割増賃金は、

 

1,150円 × 1.25 1,438円(円未満切り上げ)

 

毎月45時間残業しているとすると、その残業代は、

 

1,438円 × 45時間 = 64,710

 

これが3人だと、

 

64,710円 × 3人 = 194,130

 

これは、ほぼ1人分の月給に相当します。

 

つまり、ある会社に、あるいは、ある部署に3人いて、毎月45時間残業しているのなら、もう一人雇って残業しないことにすれば、同じ人件費で生産性が上がるということです。

 

なぜなら、3人が残業した時間は、

 

45時間 × 3人 = 135時間

 

これは、月間所定労働時間の174時間を大きく下回るわけですから、4人で今までより多くの仕事をこなせますし、疲労も軽減されるので生産性が上がるということになります。

 

もちろん、残業代を不当にカットしていれば、この計算は狂ってきます。

しかし、日本は法治国家です。

「残業代をキッチリ支払っていてはやっていけない」などという会社はやがて消えます。

ですから、上の計算は長期的に見れば正しいと思います。

 

<人間関係を考えると>

社長を含め4人の会社が1人増員して5人にすると、人間関係が66%も複雑になりますから、報連相やコミュニケーションが弱い会社ではギクシャクしてしまいます。

 

********以下は細かい説明です********

 

紙の上に4つの点を打って、そのうちの2つの点を結ぶ線を引くと、全部で6本の線を引くことができます。これは、4人いる場合に人間関係が6通りできることを意味します。

 

紙の上に5つの点を打って、そのうちの2つの点を結ぶ線を引くと、全部で10本の線を引くことができます。これは、5人いる場合に人間関係が10通りできることを意味します。

 

ちなみに、社員がn人の場合の人間関係は、n(n-1)÷2 通りとなります。

 

こうして、4人から5人に1人増えただけで、人間関係は6通りから10通りに66%も増えてしまうことになります。

 

<増員するにあたっては>

物理的な対応も必要です。

机やロッカー、制服など、什器・備品も増やさなければなりません。

社内のルール作りも急がれます。

従業員が10名になれば、就業規則を作成して所轄の労働基準監督署長に届出を行う必要がありますし、安全衛生推進者の選任なども必要になってきます。

こうしてみると、社員を増やすのも気が重いものです。

しかし、事業拡大のためには、人員の増加はやむを得ません。

 

ルール作り、労務管理、労働安全衛生といったことについては、それを専門に行っている国家資格者の社会保険労務士(社労士)がいるわけですから、悩んでいないで委託することをお勧めします。

 

2018.03.05.解決社労士

<運営方針>

日本年金機構のホームページには、次の運営方針が掲げられています。

最終更新は、平成25年(2013年)1128日となっています。

 

1.組織ガバナンスの確立

1.お客様である国民の信頼を得られる組織の実現を目指し、組織改革・意識改革・業務改革を断行する。

2.理事長の強いリーダーシップの下、職員一人ひとりが意欲と使命感をもって自ら変わる、自ら機構をつくり上げていくという意識で改革に取り組み、組織改革を断行する。

3.組織内の対話とコミュニケーションを通じて、目標の共有化を図るとともに、働きやすい職場環境作り、風通しの良い組織作りを進める。

4.リスクの未然防止に重点を置いた厳格な内部統制の仕組みを構築する。

5.理事長に直結した内部監査部門による効果的な内部監査を通じて、機構自らがPDCAサイクルの中で不断の改善努力を行うとともに、外部監査の活用を図ることにより、内部統制の有効性を検証するための体制を整備する。

6.職員に対しコンプライアンス意識を徹底するとともに、コンプライアンス・リスク管理担当部門や外部通報窓口の設置などの体制を整備する。

7.システム開発・管理・運用に係る権限と責任の明確化、CIO(システム担当理事)やPJMO(本部のシステム部門)の設置、システム人材の確保・育成などにより、ITガバナンスの構築を含むIT体制を確立する。

8.お客様本位の立場に立った健全な労使関係を確立する。

 

2.新たな人事方針の確立

組織の一体感を醸成するとともに能力・成果の適正な評価、計画的な人材育成等を実行するための人事方針を確立し、別途定める。

 

3.親切・迅速・正確で効率的なサービスの提供

1.職員全員が年金記録管理や個人情報管理の重要性を再認識するとともに、お客様である国民の信任を受けて年金記録を正確に管理し、正しく年金をお支払いするという使命感と責任感をもって業務にあたる。

2.お客様に対する十分な説明、信頼される対応を旨とし、お客様の立場に立った懇切丁寧なサービスの提供を行う。

3.適用・徴収・給付等の各業務について、法令や業務処理マニュアルに従った迅速・適正な処理を推進する。

4.現行業務についての徹底した見直しを行い合理化・効率化を図るとともに、できる限りの標準化を進める。

5.業務効率化やコスト削減、お客様サービスの向上に資するため、積極的に業務の外部委託を進めるとともに、委託業務の品質の維持・向上のために委託者としての管理責任を果たす。

6.契約の競争性・透明性の確保を図るとともに、公正な契約を担保するための厳格なチェックを実行する。

 

4.国民の意見の反映等

1.広報については、分かりやすく親切な情報提供を効果的に行うとともに、機構の業務目標や成果などについて、年次報告書等により情報公開に向けた取組をより一層充実する。

2.国民のニーズを的確に把握し、業務運営に反映する。このための仕組みとして、充実した機能を有する運営評議会を設置する。

3.被保険者、事業主、受給者、地方公共団体等の協力の下に、事業を適正に運営するとともに、年金事業に対する国民一般の理解を高めるよう努力する。

メンタルヘルス対策(自殺予防対策を含みます)、過重労働対策は、事業者の社会的責任であり、活力ある職場づくりへの第一歩です。

 

<年金事務所の現状>

年金加入者(被保険者)や年金受給者の相談窓口として、年金事務所などが設置されています。

かつては社会保険庁の傘下に、社会保険事務所が設置されていましたが、民営化により年金事務所となり、その機能もほぼ年金に特化されています。

上記の運営方針の中で、「コスト削減」は人員削減によって成果が数値にあらわれます。しかし、「お客様サービスの向上」は数値化が容易ではありません。

現在、人員削減によりサービスが低下しているのではないかと不安を感じています。

年金相談は、原則予約制ですし、その予約は1か月以上先になってしまうことも多いのです。予約なしに相談することも可能ですが、2時間待ちが一般的です。

特に障害年金は、ご本人やご家族が受給できることに気付いていないことも多く、年金事務所に相談に行った時点で、一部の年金請求権が時効消滅していることも稀ではありません。

年金相談が1か月以上先の予約となった場合、1か月分の年金請求権が時効消滅してしまい、救われないという事態も想定されます。

この状況下で、3月末には一層の人員削減が予定されているという話もあります。

「お客様サービスの向上」が実現されなければ、社会保険事務所を年金事務所にした趣旨に反すると思うのですが、どうなのでしょうか。

 

2018.03.04.解決社労士

<基礎年金番号の導入>

かつて年金記録は、国民年金、厚生年金、船員保険それぞれの制度ごとに設定された年金手帳記号番号により管理されていました。

しかし、平成9年1月からすべての記録を一つの基礎年金番号で管理する制度に切り替えられました。

 

<宙に浮いた年金記録>

これによって、従来の年金手帳記号番号の記録は、順次基礎年金番号に結びつけられてきました。

ところが、平成18年6月末時点でもなお、基礎年金番号に統合されていない年金記録が約5,095万件存在することが明らかになりました。

このように基礎年金番号に統合されていない未統合記録は、持ち主が不明の記録であり、宙に浮いた年金記録となってしまいます。

 

<未統合記録の解消>

宙に浮いた年金記録の問題を解消するため、平成19年12月以降、「ねんきん特別便」をはじめとする各種のお知らせが送付され、自分の年金記録の確認をするよう促されてきましたが、いまだに持ち主が確認できない記録が残っています。

このような未統合記録は、本人しか知りえない当時の状況が原因で持ち主が判明しない可能性があるため、年金記録を回復するには本人から心当たりの事柄について申し出る必要があります。

近所の年金事務所に行けば、自分の基礎年金番号に結びつけられた年金記録の他に、「ひょっとしたら自分のものかもしれない年金記録」についての確認をすることができます。

ある期間について、どこで何という名前の会社でどんな仕事をしていたか、覚えていることを話すことによって、確かに自分の年金記録であると認定される場合があります。

これによって、年金の受取額が増えることも多いので、心当たりがあっても無くても、一度は確認することをお勧めします。

 

2018.03.03.解決社労士

<職場環境の重要性>

職場は労働者にとって生活の場の一部です。

暑すぎたり、寒すぎたり、汚れていたり、不自然な姿勢で身体に負担がかかる作業であったり、人間関係が良くない場合には、その人にとって不幸であるだけでなく、生産性の面からも能率の低下をきたします。

そこで、職場の環境について現状を的確に把握し、職場の意見、要望等を聞いて、快適職場の目標を掲げ、計画的に職場の改善を進めることが必要です。

例えば、適切な温度・湿度の管理を行う、力仕事を少なくして作業者の心身の負担を軽減する、疲れた時に身体を横にすることのできる休憩室等を設置するなどの措置が考えられます。

このように職場を疲労やストレスを感じることの少ない快適なものとすることは、職場のモラールの向上、労働災害の防止、健康障害の防止が期待できるだけでなく、事業活動の活性化にも良い影響を及ぼします。

 

<快適職場指針>

労働安全衛生法(安衛法)では、快適職場づくりが事業者の努力義務とされ〔71条の2〕、また、71条の3により「事業者が講ずべき快適な職場環境の形成のための措置に関する指針」(快適職場指針)が厚生労働大臣から公表されています。

この快適職場指針のめざすものは、「仕事による疲労やストレスを感じることの少ない、働きやすい職場づくり」です。

快適職場指針では、「作業環境の管理」、「作業方法の改善」、「労働者の心身の疲労の回復を図るための施設・設備の設置・整備」、「その他の施設・設備の維持管理」の4つの視点から措置を講じることが望ましいとされています。

とはいえ、人が快適と感じるかどうかは、個人差があり、職場の環境という物理的な面のみでは測れません。

しかし、多くの人にとっての快適さをめざすことを基本としつつ、各個人差にも配慮する努力を行うべきです。

さらに、快適化の第一歩は作業環境等のハード面の改善を行い、人が不快と感ずる要因を取り除くことですが、それだけでなく、労働時間、安全衛生管理の水準、職場の人間関係、働きがいなども、人が快適さを感じるための重要な要因です。

 

<受動喫煙防止対策>

平成15年5月1日に健康増進法(平成14年法律第103号)が施行され、事務所その他多数の者が利用する施設を管理するものに対し、受動喫煙防止対策を講ずる努力義務が課せられましたが、快適職場づくりの観点からも職場での喫煙対策は重要な課題であり、「職場における喫煙対策のためのガイドライン」が改正され〔平成15年5月9日基発第0509001号〕、一定の性能を有する喫煙室の設置等による受動喫煙防止対策が求められています。

 

2018.03.02.解決社労士

<休暇の通勤手当>

通勤手当は、労働基準法などにより、企業に支払いが義務付けられているものではありませんが、支払われる場合には、通勤に必要な経費や負担を基準にその金額が決められているのが一般です。

休暇の場合には、出勤しないわけですから、年次有給休暇を取得した場合の賃金に通勤手当が含まれるというのは、矛盾があるように思われます。

 

ここから先は、細かい説明です。「うちの会社のこのケースではどうなるか、どうしたら良いか」と結論を急ぐ場合には、信頼できる国家資格者の社労士(社会保険労務士)にお問い合わせください。

 

<労働基準法の定め>

「就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、それぞれ、平均賃金若しくは所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又はこれらの額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した額の賃金を支払わなければならない」〔労働基準法397項本文〕

 

つまり、解雇予告手当などを計算する場合に用いられる法定の平均賃金、または、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金が原則となります。

 

ただし、労使協定を交わせば、健康保険法401項の標準報酬月額の30分の1を、1日分の年次有給休暇の賃金として支給することもできます。

また、この金額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した金額を支払う旨を定めたときは、これに従います。〔労働基準法397項但し書き〕

 

<労働基準法施行規則>

労働基準法の規定だけでは明確にならない場合は、次の規定が適用されます。

 

労働基準法施行規則

第二十五条 法第三十九条第七項の規定による所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金は、次の各号に定める方法によつて算定した金額とする。

一 時間によつて定められた賃金については、その金額にその日の所定労働時間数を乗じた金額

二 日によつて定められた賃金については、その金額

三 週によつて定められた賃金については、その金額をその週の所定労働日数で除した金額

四 月によつて定められた賃金については、その金額をその月の所定労働日数で除した金額

五 月、週以外の一定の期間によつて定められた賃金については、前各号に準じて算定した金額

六 出来高払制その他の請負制によつて定められた賃金については、その賃金算定期間(当該期間に出来高払制その他の請負制によつて計算された賃金がない場合においては、当該期間前において出来高払制その他の請負制によつて計算された賃金が支払われた最後の賃金算定期間。以下同じ。)において出来高払制その他の請負制によつて計算された賃金の総額を当該賃金算定期間における総労働時間数で除した金額に、当該賃金算定期間における一日平均所定労働時間数を乗じた金額

七 労働者の受ける賃金が前各号の二以上の賃金よりなる場合には、その部分について各号によつてそれぞれ算定した金額の合計額

2 法第三十九条第七項本文の厚生労働省令で定めるところにより算定した額の賃金は、平均賃金若しくは前項の規定により算定した金額をその日の所定労働時間数で除して得た額の賃金とする。

3 法第三十九条第七項ただし書の厚生労働省令で定めるところにより算定した金額は、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第四十条第一項に規定する標準報酬月額の三十分の一に相当する金額(その金額に、五円未満の端数があるときは、これを切り捨て、五円以上十円未満の端数があるときは、これを十円に切り上げるものとする。)をその日の所定労働時間数で除して得た金額とする。

 

<結論として>

年次有給休暇の賃金の計算方法には、次の3つがあるということです。

1.労働基準法12条で定める「平均賃金」

2.所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金

3.健康保険法99条で定める「標準報酬日額」

 

このうち、1.3.に通勤手当が含まれていることは明らかです。

しかし、2.に通勤手当が含まれるか否かは不明確です。

これについては、次の規定があります。

 

「使用者は、年次有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない」〔労働基準法附則136条〕

 

この条文について、通勤手当を支給しないことが「賃金の減額」にあたると解釈すれば、通勤手当を支給しなければなりません。

 

さて最初に戻って、通勤手当は労働基準法などにより企業に支払いが義務付けられているものではありません。

ですから、就業規則に「通勤手当は実際に出勤した日についてのみ支給する」という規定があれば、年次有給休暇の賃金についても、通勤手当を計算に含めなくて良いことになります。

反対に、こうした規定が無ければ、不明確なことは労働者の有利に解釈するのが労働法全体の趣旨ですから、通勤手当を計算に含める必要があるでしょう。

 

2018.03.01.解決社労士

<2つの裁量労働制>

現行法上、裁量労働制には専門業務型裁量労働制と企画業務型裁量労働制の2つがあり、どちらもみなし労働時間制の一つです。

 

<専門業務型裁量労働制>

業務の性質上、業務遂行の手段や方法、時間配分などを大幅に労働者の裁量に任せる必要がある業務として厚生労働省令と厚生労働大臣告示によって定められた業務の中から、対象となる業務を労使で定め、労働者を実際にその業務に就かせた場合、労使であらかじめ定めた時間だけ働いたものとみなす制度です。

みなし労働時間制にすれば、労働時間の算定が楽になりますが、法定の要件と手続きが厳格ですし、休憩、深夜業、休日に関する規定の適用は排除されない点に注意が必要です。

 

<専門業務型裁量労働制の対象業務>

 「専門業務型裁量労働制」は、専門的な19業務に限り、事業場の過半数労働組合または過半数代表者との労使協定を締結することにより導入することができます。

対象業務の例としては、新商品の研究開発、デザイナー、コピーライター、弁護士、税理士などがあり、かなり専門性の高い業務に限定されています。

 

<専門業務型裁量労働制の導入手続>

原則として、対象業務、みなす時間、健康確保措置、対象労働者からの苦情処理方法などの基本事項を労使協定により定めたうえで、所轄労働基準監督署長に届け出ることが必要です。

この労使協定には、対象となる業務遂行の手段や方法、時間配分などに関して労働者に具体的な指示をしないことが含まれています。あくまでも、自律的な専門職として働かせる仕組みなのです。

 

<企画業務型裁量労働制>

事業活動の中枢にある労働者を対象として、創造的な能力を十分に発揮できる環境を実現するため、企業の本社などで企画、立案、調査、分析を行う労働者のために設けられました。

みなし労働時間制にすれば、労働時間の算定が楽になりますが、法定の要件と手続きが厳格ですし、休憩、深夜業、休日に関する規定の適用は排除されない点に注意が必要です。

 

<企画業務型裁量労働制を導入できる事業場>

対象業務が存在する事業場に限定されています。具体的には、本社・本店である事業場の他、次の事業場が該当します。

・企業の事業の運営に大きな影響を及ぼす決定が行われる事業場

・その事業場の事業計画や営業計画の決定を独自に行っている支社・支店

 

<企画業務型裁量労働制の導入手続>

事前・事後のものを含め次の手続きが必要です。

・労使委員会の設置と決議、運営方法の決定

・労働基準監督署長への届出と6か月以内ごとに1回の定期報告

 

<対象労働者の同意>

この制度の適用については、労働者本人の同意を得なければなりません。また、不同意の労働者に対して不利益な取扱いをしてはなりません。

同意は個別でなければならず、就業規則での包括的な同意では足りません。

 

2018.02.28.解決社労士

<変更対象>

平成3025日以降の有期労働契約の更新上限到来による離職の場合、雇用保険の離職証明書(離職票)の記載内容が変更となりました。

契約更新上限(通算契約期間や更新回数)がある有期労働契約の上限が到来したことにより離職した場合で、次の①~③のいずれかに該当する場合が対象です。

 

① 採用当初は無かった契約更新上限がその後追加された場合、または不更新条項が追加された場合

 

② 採用当初の契約更新上限が、その後引き下げられた場合

 

③ 平成24810日またはこれ以降に締結された46か月以上5年以下の契約更新上限が到来したことにより離職した場合(ただし、定年後の再雇用に関し定められた雇用期限の到来の場合と、平成24810日よりも前から、同一事業所の有期雇用労働者に対して、一様に46か月以上5年以下の契約更新上限が設定されていた場合を除く)

 

<離職理由の記載方法>

上記①~③に該当する場合は、離職証明書(離職票)の「⑦離職理由欄」は「3 労働契約期間満了等によるもの」、「()採用又は定年後の再雇用時等にあらかじめ定められた雇用期限到来による離職」を選択します。

 

「(2)労働契約期間満了による離職」中の「1回の契約期間、通算契約期間、契約更新回数」に契約についての事実関係を記載します。

 

最下部の「具体的事情記載欄(事業主用)」には、①~③の場合に応じて、それぞれ以下のとおり記入します。

 

① 上限追加  ② 上限引下げ  ③ 46か月以上5年以下の上限

 

上記①~③には該当しない「契約更新上限が到来したことにより離職された場合」は、従来どおり、3 労働契約期間満了等によるもの、(1)採用又は定年後の再雇用時等にあらかじめ定められた雇用期限到来による離職を選択します。

 

なお、提出にあたっては、採用当初の雇用契約書と最終更新時の雇用契約書など、それぞれの事情がわかる書類の添付が必要です。

 

2018.02.27.解決社労士

<健康保険の対象となる場合>

急性などの外傷性の打撲・捻挫・および挫傷(肉離れなど)・骨折・脱臼には健康保険が適用されます。

ただし、骨折・脱臼については、応急処置を除き医師の同意が必要です。

 

<健康保険の対象とならない場合>

次のような場合には、「健康保険が使える」と説明を受けていても、全額または一部が自己負担となり、接骨院から請求されるか、「協会けんぽ」などの保険者から請求されることがあります。

・単なる肩こり、筋肉疲労

・慰安目的のあん摩・マッサージ代わりの利用

・病気(神経痛・リウマチ・五十肩・関節炎・ヘルニアなど)からくる痛み・こり

・脳疾患後遺症などの慢性病

・過去の交通事故等による後遺症

・症状の改善の見られない長期の治療

・医師の同意のない骨折や脱臼の治療(応急処置を除く)

・仕事中や通勤途上におきた負傷(労災保険が適用される可能性があります)

 

<柔道整復師にかかる場合の注意事項>

負傷原因、治療年月日、治療内容などについて、「協会けんぽ」などの保険者から問い合わせが入ることもありますので、次の点に注意しましょう。

・負傷の原因を正しく伝える

・「療養費支給申請書」は内容をよく確認し自分で署名または捺印する

・領収証をもらう

・治療が長引く場合は医師の診断を受ける

 

2018.02.26.解決社労士

<法律の規定>

社会保険(健康保険と厚生年金保険)の保険料を、従業員の給与から控除(天引き)する形で徴収することについては、健康保険法と厚生年金保険法に次のような規定があります。

 

健康保険法(保険料の源泉控除)

第百六十七条 事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる。

2 事業主は、被保険者に対して通貨をもって賞与を支払う場合においては、被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料に相当する額を当該賞与から控除することができる。

3 事業主は、前二項の規定によって保険料を控除したときは、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない。

 

厚生年金保険法(保険料の源泉控除)

第八十四条 事業主は、被保険者に対して通貨をもつて報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所又は船舶に使用されなくなつた場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる。

2 事業主は、被保険者に対して通貨をもつて賞与を支払う場合においては、被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料に相当する額を当該賞与から控除することができる。

3 事業主は、前二項の規定によつて保険料を控除したときは、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない。

 

どちらも、ほぼ同じ内容です。

 

これらの法律によると、今月支給される給与から、前月分の社会保険料を控除することになります。

そして会社は、従業員から徴収した保険料に会社負担分を加えて、今月末までに前月分の社会保険料を納めることになります。

この仕組みを考える時に、「いつ勤務した分の給与か」は問題にしません。あくまでも、「いつ支給された給与か」だけを考えます。

 

<新規に入社した従業員の場合>

社会保険は、その月の1日に加入(資格取得)しても、月末に加入しても、その月の分の保険料が徴収されます。

入社月に給与が支給されるのであれば、その前月は社会保険に加入していませんから、その給与から社会保険料は控除しません。

入社月の翌月に初めて給与が支給されるのであれば、その前月は社会保険に加入していますから、その給与から社会保険料を控除します。

 

入社月の翌月に初めて給与が支給されるのであれば、社会保険料の控除の都合を考えて、入社日についてのルールを設定しておくことをお勧めします。

たとえば、給与の支給について、月末締切り翌月10日支払いのルールだとすると、28日に入社した場合、最初の給与が少なくて社会保険料を控除できないことも多いでしょう。

この場合には、社会保険料を別に支払ってもらうことになりますが、入社早々の出費は厳しいものがあります。

そこで、「毎月21日以降は入社日としない」などの運用ルールがお勧めなのです。

 

入社月に給与が支給される会社で、最初の給与から社会保険料を控除している場合もあります。

これは、健康保険法や厚生年金保険法の規定とは違うことをしているのですが、労使協定を交わして、そのように運用している限り問題ありません。〔労働基準法241項但書〕

しかし、労使協定を交わさずに行うのは良くありません。

健康保険法や厚生年金保険法には、これについての罰則が無いのですが、賃金を全額支払う義務に違反してしまいます。〔労働基準法241項本文〕

これには、三十万円以下の罰金という罰則があります。〔労働基準法120条〕

 

<退職する従業員の場合>

社会保険の脱退(資格喪失)の場合には、月末に脱退する場合に限り、その月の分の保険料が徴収されます。

月末以外の脱退なら、その月の保険料は徴収されません。

 

退職月に最後の給与が支給される場合、退職日によっては、欠勤控除によって給与が少額となり、社会保険料を控除できないこともあります。

こうした事態を想定して、健康保険法と厚生年金保険法には、退職の場合には例外的に前月と当月の2か月分の保険料を控除できるという規定になっているわけです。

この場合、退職月の給与が少額になる見込みであれば、退職月の前月の給与から2か月分の保険料を控除することになります。

 

退職月の翌月に最後の給与が支給される場合、月末退職を除いては、社会保険料を控除しないのが正しいのですが、うっかり控除してしまった場合には、すぐに返金しましょう。

 

2018.02.25.解決社労士

<社会保険労務士とは>

社会保険労務士制度は、社会保険労務士法に基づく制度です。

 

社会保険労務士とは、社会保険労務士試験の合格者等社会保険労務士となる資格を有する者で、全国社会保険労務士会連合会に備える社会保険労務士名簿に登録された者をいいます。

 

また、平成15年4月1日から、社会保険労務士法に基づき、社会保険労務士が共同して社会保険労務士法人を設立することが可能となりました。社会保険労務士法人は、社員を社会保険労務士に限定した、商法上の合名会社に準ずる特別法人であり、対外的な社員の責任については、連帯無限責任とされています。

 

社会保険労務士及び社会保険労務士法人の業務は次のとおりです。

 

(1) 労働社会保険諸法令に基づく申請書等及び帳簿書類の作成

 

(2) 申請書等の提出代行

 

(3) 申請等についての事務代理

 

(4) 個別労働関係紛争解決促進法に基づき都道府県労働局が行うあっせん手続の代理

 

(5) 個別労働関係紛争について都道府県労働委員会が行うあっせん手続の代理

 

(6) 男女雇用機会均等法並びにパート労働法に基づき都道府県労働局が行う調停手続の代理

 

(7) 個別労働関係紛争について厚生労働大臣が指定する団体が行う裁判外紛争解決手続の代理(紛争価額が120万円を超える事件は弁護士との共同受任が必要)

 

(8) 労務管理その他労働及び社会保険に関する事項についての相談及び指導

 

このうち、(1)~(3)の業務については、社会保険労務士又は社会保険労務士法人でない者は、他人の求めに応じ報酬を得て、業として行ってはならないこととされています。

 

また、社会保険労務士法人は、上記(1)~(3)及び(8)のほか、定款で定めるところにより、賃金の計算に関する事務及び社会保険労務士法人の使用人を派遣の対象とし、かつ、派遣先を開業社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人とする労働者派遣事業を行うことができます。

 

(4)~(7)の業務については、紛争解決手続代理業務試験に合格し、社会保険労務士名簿にその旨の付記を受けた特定社会保険労務士又は特定社会保険労務士が所属する社会保険労務士法人以外の者は、他人の求めに応じ報酬を得て、業として行ってはならないこととされています。

 

<社会保険労務士になるためには>

社会保険労務士になるためには、社会保険労務士試験に合格し、労働社会保険諸法令に関する厚生労働省令で定める事務に2年以上従事した者が、全国社会保険労務士会連合会に備える社会保険労務士名簿に登録を受けることが必要です。社会保険労務士試験の合格者のうち実務経験のない者には、全国社会保険労務士会連合会が行う講習を受けて、社会保険労務士となる資格を得る途も開かれています。

 

社会保険労務士の国家試験は、毎年1回、行われています。

 

受験資格等社会保険労務士試験についての詳細は、社会保険労務士試験の試験事務を行っている全国社会保険労務士会連合会社会保険労務士試験センターのホームページhttp://www.sharosi-siken.or.jpをご覧ください。

 

(厚生労働省ホームページより ※法改正により一部修正)

 

2018.02.24.解決社労士

<日本郵便訴訟の大阪地裁判決>

正社員と同じ仕事をしているのに手当などに格差があるのは違法だとして、男性契約社員が日本郵便を相手に提起していた訴訟の判決が、平成30221日に大阪地裁で下されました。

この判決では、扶養手当、住居手当、年末年始の勤務手当の不支給は不合理な労働条件の相違に当たるとして、日本郵便に賠償金の支払いが命じられています。

 

<法律の規定>

この訴訟で、契約社員が主張の根拠としたのは、主に労働契約法の次の条文です。

 

(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)

第二十条 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して不合理と認められるものであってはならない。

 

有期労働契約であることのみを理由に、契約社員の処遇を正社員と差別してはいけません。

ただし、業務の内容、業務に伴う責任の程度、職務の内容、配置の変更の範囲その他の事情を考慮して不合理でなければ許されます。

 

そして、不合理どうかは「労働契約法の趣旨や目的に適合する」か否かということになるでしょう。

労働契約法の目的は他の多くの法令と同じように、第1条に書かれています。

これと他の条文全体の趣旨から、不合理かどうかが確定されるわけです。

もちろんこれは、各企業に勝手な解釈が許されるわけではなく、最終的には裁判所が判断することになります。

 

<平等と公平>

この判断は、裁判所にとっても決して容易ではないでしょう。

なぜなら、平等と公平のどちらを優先するかの判断となるからです。

 

平等とは、人々の共通する属性に着目して同じ扱いをすることにより、妥当な結論を導く考え方です。

公平とは、人々の異なった属性に着目して違った扱いをすることにより、妥当な結論を導く考え方です。

 

たとえば、賃貸住宅に住んでいる従業員と、住宅を購入してローンの支払いをしている従業員に、住宅手当を支給するとします。

それが、住宅にかかる費用の一部を会社が負担するという目的であれば、契約社員でも正社員でも事情は同じですから、全従業員に支給しなければ不平等であり不合理だという判断に傾きます。

ところが、正社員の全員について転居を伴う異動が定期的にあり、この負担を補うために住宅手当を正社員には支給するが、異動の無い契約社員には支給しないというのは、公平の考え方によるものですから不合理ではないという判断に傾きます。

労働契約法20条の「配置の変更の範囲」という文言も根拠となりえます。

 

<企業のとるべき対応>

まず、正社員と契約社員とで異なる処遇をする場合には、その根拠と共に就業規則に定めることが必要です。その根拠が、「業務の内容、業務に伴う責任の程度、職務の内容、配置の変更の範囲」であれば、より一層合理性が増します。

また、契約社員には、処遇の違いについて、その根拠や目的と共にきちんと説明しておきます。できれば、定期的に繰り返すことが望ましいでしょう。

さらに、関連する裁判の判決が出たら、自社の場合と比較して問題のないことを確認します。ここで、もし不安な部分があれば、就業規則の改定や有期労働契約社員への説明内容の変更が必要となります。

 

これらは手間のかかることですが、政府が働き方改革を進め、同一労働同一賃金を目指している以上、企業も対応せざるを得ないのです。

もし、社内に専門知識とスキルを備えた人材がいないのであれば、社会保険労務士などの専門家に一部を委託することも考えてください。

 

2018.02.23.解決社労士

<基礎年金番号と住民票コードとの「結び付け」>

厚生年金は、厚生年金保険法等に基づいて日本政府が運営することになっていますが、実際の運営業務は、日本年金機構が日本国政府(厚生労働大臣)から委任・委託を受けて行っています。

そして日本年金機構は、サービスの向上、本人確認の徹底、マイナンバー制度の円滑な施行のため、基礎年金番号と住民票コードとの「結び付け」を行っています。

 

<本人確認の徹底>

平成28年9月より、厚生年金保険に加入する際の「被保険者資格取得届」で、基礎年金番号の他に住民票コードを特定し、本人確認を行うことによって、「結び付け」を一層促進しています。

これを徹底するため、届出の氏名・住所等により一致する住民票コードが特定できなかった場合には、事業主宛てに「被保険者資格取得届」を返送し、住民票上の住所等を確認しています。

 

<外国人の本人確認>

外国人であっても、日本国内に住所があれば、日本の公的年金に加入します。

短期在留している外国人の本人確認は、旅券の身分事項のページの写しと、次の3つのうちのいずれかの写しにより行います。

・旅券の資格外活動許可証印のページ

・資格外活動許可書

・就労資格証明書

 

2018.02.22.解決社労士

<整理解雇>

整理解雇とは、会社の事業継続が困難な場合に、人員整理のため会社側の都合により労働契約を解除することです。

法律上は普通解雇の一種ですが、労働慣例により他の普通解雇と区別するため整理解雇という用語が使われています。

 

<法令の規定>

解雇については、労働契約法に次の規定があります。

 

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

この規定は抽象的ですから、素人判断で解雇の有効・無効を決めつけるのは危険です。

 

<整理解雇の有効要件>

実務的には、判例で示された次の4つの要素から、解雇の有効性を判断することになります。

4つのうち1つでも要件を欠いていたら、解雇が無効になるということではなく、総合的な判断となります。

まず、経営上の人員削減の必要性です。会社の財政状況に問題を抱えていて、新規採用などできない状態であることです。

次に、解雇回避努力の履行です。配置転換や希望退職者の募集などの実施です。

さらに、解雇対象者の人選の合理性です。差別的な人選は許されません。

最後に、手続の相当性です。事前の説明や労働者側との協議など、誠実に行うことが求められます。

 

<地域限定社員の場合>

「そもそも勤務地を限定されていたのだから」という理由だけで、閉店や事業所の閉鎖によって、そこで勤務する地域限定社員を解雇することはできません。

これは、整理解雇の4つの要素のうち、解雇回避努力の履行にかかわることです。

採用の時点で勤務地限定を望んでいた社員であっても、その後事情が変わっている場合もありますし、解雇されるよりは転勤に応じた方が有利ということもあります。

解雇回避努力が求められるということは「なるべく解雇しないように努力したけれども、どうしてもダメでした」という事情がなければ、簡単に解雇はできないということです。

結局、地域限定社員と話し合って、本人がどうしても別の店舗や営業所などでは勤務できないというのであれば、他の社員に優先して解雇を考えざるを得ないということになります。

 

 

整理解雇を含め、解雇の多くは不当解雇となり無効となる危険をはらんでいます。

そして不当解雇は企業に思わぬ損失をもたらします。

「解雇」ということを思いついてしまったなら、迷わず信頼できる国家資格者の社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

 

2018.02.21.解決社労士

<就業規則による労働条件の変更>

年功序列を疑われるような給与制度を改め、成果主義の給与とすることは、有能な若者を採用し定着させるのに必要なことでしょう。

しかし、給与が減ることになる人もいるでしょうし、給与が大きく変動すれば年収が不安定になります。

こうした不都合があっても、成果主義給与制度を導入できる基準とはどんなものでしょうか。

 

労働契約法に、次の規定があります。

 

第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。

 

つまり、就業規則の変更によって、給与などの労働条件を変えた場合には、それが合理的であればその通りの効力が認められるということです。

反対に、合理的でなければ、たとえ就業規則を変えても、それによって一人ひとりの労働条件は変わらないということです。

この中の「合理的」というのは、「労働契約法の趣旨や目的に適合する」という意味だと考えられます。

それでも、この条文を読んだだけでは良く分かりません。

 

<最高裁判所の判例>

労働契約法という法律は、10年余り前に判例法理がまとめられて作られました。判例法理というのは、それぞれの判決を下すのに必要な理論で、判決理由中の判断に含まれているものです。

そして、最高裁は次のように述べています。

 

合理性の有無は、具体的には、就業規則の変更によって労働者が被る不利益の程度、使用者側の変更の必要性の内容・程度、変更後の就業規則の内容自体の相当性、代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況、労働組合等との交渉の経緯、他の労働組合又は他の従業員の対応、同種事項に関する我が国社会における一般的状況等を総合考慮して判断すべきである」(最高裁判所昭和43年12月25日大法廷判決)

 

<変更を有効だとした裁判例>

会社が赤字のときには、賃金の増額を期待できないし、8割程度の従業員は賃金が増額しているので、不利益の程度はさほど大きくない。

収益改善のための措置を必要としていたこと、労働組合と合意には至らなかったものの、実施までに制度の説明も含めて8回、その後の交渉を含めれば十数回に及ぶ団体交渉を行っており、労働組合に属しない従業員はいずれも新賃金規程を受け入れていることから、新給与規定への変更は合理性がある。

(ハクスイテック事件 大阪高裁平成13年8月30日判決)

 

<変更を有効だとした裁判例>

主力商品の競争が激化した経営状況の中で、従業員の労働生産性を高めて競争力を強化する高度の必要性があった。

新賃金制度は、従業員に対して支給する賃金原資の配分の仕方をより合理的なものに改めようとするものであって、どの従業員にも自己研鑽による職務遂行能力等の向上により昇格し、昇給することができるという平等な機会を保障している。

人事評価制度についても、最低限度必要とされる程度の合理性を肯定し得るものであることからすれば、上記の必要性に見合ったものとして相当である。

会社があらかじめ従業員に変更内容の概要を通知して周知に努め、一部の従業員の所属する労働組合との団体交渉を通じて、労使間の合意により円滑に賃金制度の変更を行おうと努めていたという労使の交渉の経緯や、それなりの緩和措置としての意義を有する経過措置が採られたことなど諸事情を総合考慮するならば、上記のとおり不利益性があり、現実に採られた経過措置が2年間に限って賃金減額分の一部を補てんするにとどまるものであっていささか性急で柔軟性に欠ける嫌いがないとはいえない点を考慮しても、なお、上記の不利益を法的に受忍させることもやむを得ない程度の、高度の必要性に基づいた合理的な内容のものであるといわざるを得ない。

(ノイズ研究所事件 東京高裁平成18年6月22日判決)

 

<結論として>

このように、具体的な事情によって、裁判所の判断は分かれます。

変更を有効だとしたノイズ研究所事件の判決も、具体的な事情を踏まえたギリギリの判断であったことが伺えます。

結論として、就業規則の変更により成果主義の給与とするには、新しい給与制度そのものの合理性も必要ですし、説明会などの段取りも大事です。

どこまでやれば良いかは、数多くの労働判例を見比べて考えなければなりません。

こうした専門性の高いことは、素人判断で進めてしまわず、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

以上は、就業規則がある会社についての話です。

就業規則が無い会社では、労働契約法の次の規定が適用され、一人ひとりの労働者の同意が必要になりますのでご注意ください。

 

第八条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

 

2018.02.20.解決社労士

<契約期間中の解雇>

労働契約法に、次の規定があります。

 

第十七条 使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

 

この中の「やむを得ない事由」とは、契約期間の約束があるにもかかわらず、期間満了を待つことなく雇用を終了せざるを得ないような特別の重大な事由を指します。

 

<裁判所の判断>

「やむを得ない事由」の有無を最終的に判断するのは裁判所です。

裁判例では、就業規則で副業を禁止しているケースでも、「職場秩序に影響せず、かつ、使用者に対する労務提供に格別の支障を生ぜしめない程度・態様の二重就職については、兼職(二重就職)を禁止した就業規則の条項には実質的には違反しない」という判断が示されています。(上智学院事件 東京地判平成20年12月5日)

 

<判断の理由>

この判決は、判断理由として次のように述べています。

「就業規則は使用者がその事業活動を円滑に遂行するに必要な限りでの規律と秩序を根拠づけるにすぎず、労働者の私生活に対する一般的支配までを生ぜしめるものではない。

兼職(二重就職)は、本来は使用者の労働契約上の権限の及び得ない労働者の私生活における行為であるから、兼職(二重就職)許可制に形式的には違反する場合であっても、職場秩序に影響せず、かつ、使用者に対する労務提供に格別の支障を生ぜしめない程度・態様の二重就職については、兼職(二重就職)を禁止した就業規則の条項には実質的には違反しないものと解するのが相当である」

 

<わかりやすく言うと>

従業員がライバル企業での兼業を始めても、それはプライベートの時間に行っていることなので、原則として禁止できないし、たとえ就業規則に兼業禁止を定めてあっても結論は変わらないということです。

確かに会社としては、「道義的にどうなのか」「裏切り行為ではないか」など、いろいろと不愉快な気持ちにはなります。

しかし、所定の労働時間以外の時間をどのように利用するかは労働者の自由であり、職業選択の自由も保障されています。〔日本国憲法22条1項〕

憲法で保障された権利を、民間企業が否定することは、明らかな人権侵害になってしまうのです。

 

<兼業を禁止できる場合>

先述の上智学院事件の判決でも示されているように、「職場秩序に影響せず、かつ、使用者に対する労務提供に格別の支障を生ぜしめない程度・態様」なら兼業を禁止できないということですから、この条件を満たさない場合には、兼業を禁止できることになります。

そして、裁判で争われ兼業禁止が認められた例として次のものがあります。

・労務提供に支障をきたす程度の長時間の二重就職(小川建設事件 東京地決昭和57年11月19日)

・競業会社の取締役への就任(東京メデカルサービス事件 東京地判平成3年4月8日)

・従業員に特別加算金を支給しつつ残業を廃止し、疲労回復・能率向上に努めていた期間中の同業会社における労働(昭和室内装備事件 福岡地判昭和47年10月20日)

・病気による休業中の自営業経営(ジャムコ立川工場事件 東京地八王子支判平成17年3月16日)

いずれも、「やむを得ない事由」があるといえるケースです。

 

兼業している従業員を解雇することは、多くの場合、不当解雇とされ無効になります。この場合、訴訟になれば、その従業員が働いていなくても、決着がつくまでの間の賃金は企業側に支払い義務が発生します。

こうした専門性の高いことは、問題をこじらせてしまう前に、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

2018.02.19.解決社労士

<無期転換の影響>

平成304月から、有期労働契約で働いている人が無期転換の申込権を使うと、会社側の意思とは無関係に無期労働契約に変更されます。〔労働契約法18条〕

無期労働契約になってからの労働条件は、就業規則や労使の話し合いで決まることになりますから、必ずしも正社員になるわけではありません。

しかし、就業規則の正社員の定義が「期間の定めなく雇用されている従業員」などとなっていれば、無期転換の申し込みをした有期契約労働者は、自動的に正社員になってしまいます。

 

<定義の重要性>

「正社員」というのは、法律用語ではありませんから法令には定義がありません。

各企業が独自の定義を定めていたり、あいまいにされていたり、定義が無かったりというのが実態です。

もし、正社員だけに賞与や退職金を支給している会社で、退職予定のパートさんから「退職金はいくらですか?今までもらえなかった賞与は、まとめてもらえますか?」という質問が出ても、「就業規則の定義により正社員とされていないあなたには支給されません」と説明できます。

しかし、「正社員」の定義がしっかりしていないため、会社が訴えられて、裁判所から過去の賞与や退職金の支給を命じられることもあります。

一人がこれに成功すれば、他の退職者からも請求されることになるでしょう。

退職金請求権の消滅時効期間は5年間ですから、5年近く前の退職者からも訴えられる可能性があります。〔労働基準法115条〕

 

<定義規定の例>

就業規則には、「正社員として採用された従業員、および、正社員以外から正社員に登用された従業員」のような表現で定めておくのが楽だと思います。

こうしておけば、今後、何らかの法改正があったとしても、それによる影響は受けないでしょう。

ただし、就業規則の規定だけだと、「正社員として採用された」かどうかの証拠が残りません。

労働条件通知書の「雇用形態」「社員区分」などの欄に「正社員」「正社員以外」「パート社員」「嘱託社員」のように明示しておくことが必要になります。

労働条件通知書は、入社時と賃金など労働条件の変更時に、従業員に交付される書類ですから、ここで「正社員であること」あるいは「正社員ではないこと」を正式に確認できます。

なお、厚生労働省のホームページでダウンロードできる労働条件通知書には、「雇用形態」「社員区分」などの欄がありませんから、Word形式でダウンロードしたものに手を加えて使用することをお勧めします。

 

就業規則が無かったり、労働条件通知書の交付を怠っていたりは、トラブルの元になります。こうしたことを一気に解消するためには、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

 

2018.02.18.解決社労士

<望ましい社員像>

企画力、実行力、改善力といった能力が高い人は、これらの能力が低い人よりも、良い評価を与えられます。

これらの能力は、業務遂行に必要であり、高いレベルで身に着けていることが望ましいからです。

同様に、責任性、積極性、協調性が優れている人は、これらの態度が見られない人よりも、良い評価を与えられます。

これらの態度は、職場の一員として必要であり、組織全体に良い影響を与えますから望ましいと考えられるのです。

このように、人事考課の基準というのは、職場にとって望ましいものを高く評価し、望ましくないものを低く評価するようにできています。

極論すれば、すべての項目で最高の評価を与えられる社員は、理想的な社員ということになります。

 

<考課基準公開のメリット>

良い評価には、昇給や賞与の増額など、処遇のアップが伴います。

ですから、向上心も欲も無い一部の社員を除けば、良い評価を与えられたいと望んでいます。

しかし、考課基準を秘密事項に設定し、一部の考課者だけが知る情報としていたら、一般の社員は、どうしたら良い評価を得られるのか、努力の方向が見えないことになります。

やはり、具体的な評価基準を社内に公開することによって、理想的な社員像に近づく努力を促した方が、会社にとっても社員にとってもメリットが大きいということになります。

 

<違法な考課基準>

次のような考課基準の例は、すべて違法なものです。たとえ文書化されていないとしても、人事考課の運用基準として、加味してはならない項目ばかりです。

・年次有給休暇を多く取得するほど評価が下がる。

・サービス残業や持ち帰り仕事が多いほど評価が上がる。

・労働組合に入っていると評価が下がる。

・結婚や出産の予定があると評価が下がる。

・パワハラやセクハラの被害にあったと主張すると評価が下がる。

・会社の労働基準法違反の事実を労働基準監督署にチクると評価が下がる。

・法定の権利を主張して育児や介護のために休むと評価が下がる。

このような違法な考課基準があれば、直ちに改善すべきです。こうした項目を含む人事考課基準を公開してしまっては、大問題になるでしょう。

 

人手不足の影響で、社員の出入りが激しくなり、ますます人事考課制度が重要になっています。

今運用している人事考課基準が理想の社員像を示しているのか、基準の中に違法なものは含まれていないかなどの再確認は専門性の高い業務ですから、社内に適任者がいないかもしれません。

人事考課制度の導入や改善、考課者研修など、まとめて委託するのであれば、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

 

2018.02.17.解決社労士

シンガー・ソーイング・メシーン事件判決>

シンガー・ソーイング・メシーン事件は、退職金放棄の有効性について争われたものです。

この判決は、「賃金に当る退職金債権放棄の意思表示は、それが労働者の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、有効である」と述べています。(最高裁第二小法廷 昭和48年1月19日判決)

そして、この判決の趣旨は、有期雇用契約を更新しないという、使用者と労働者との合意について、その有効性を判断する基準としても参考になるものです。

つまり、「雇用契約の不更新についての労使間の合意は、それが労働者の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、有効である」と考えられます。

 

<「合理的な理由が客観的に存在」とは>

この基準の中の「合理的」というのは、「労働契約法などが有期契約労働者を保護する趣旨や目的に適合する」という意味だと考えられます。

また、「客観的」というのは、「裁判官の判断」を指していると考えられます。

そして、裁判官が判断するには、有期契約労働者の生活が不安定にならないように、労働契約法などの趣旨を踏まえて、会社がどれだけ誠意ある態度を示しているかが重要な要素となります。

 

<労働者の自由な意思>

合意書に労働者の署名捺印があったとしても、それが「労働者の自由な意思」によるものでなければ、有効ではないのです。

そして、「労働者の自由な意思」によるものだと認められるためには、すべての具体的な事情から、強制の要素が無く、労働者が合意するのも自然なことであり、もっともな事情があったと認定される必要があります。

 

<会社の誠意ある態度>

会社の誠意ある態度は、次のような事実から認定されます。

・入社してから不更新の合意までの期間が短いこと

・説明会や面談での説明回数が多いこと

・退職金や慰労金など金銭の支払いがあること

いずれも、有期契約労働者が契約打ち切り後の生活について、十分な準備ができるようにするための配慮です。

 

<具体的な判断方法>

こうすれば確実に契約の不更新が許されるというような、明確な基準はありません。

ここでは、シンガー・ソーイング・メシーン事件で示された最高裁の判断を頼りに一応の基準を示しました。

しかし、無期転換と不更新合意について、現時点では、最高裁の判例が存在しません。

ですから、過去の裁判例のうち、具体的なケースに関連したものを抽出して、論理的に結論を推定するしかないのです。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

 

2018.02.16.解決社労士

<対比誤差>

「あの人と比べてどうか」と評価対象者同士の比較により評価するのは、その会社の人事考課が相対評価であれば当然のことです。

しかし、人事考課制度の主流を占める絶対評価では、評価対象者同士の比較はしません。

どちらの場合でも、考課者が無意識に自分と対比して評価してしまう危険はあります。

この危険を対比誤差といいます。

 

基準を考課者自身に置いてしまえば、経験や実績を積んだ自分と部下とを比べて低く評価することになります。特に、自分の得意分野の仕事については、「なぜこんなこともできないのか」という気持ちを抱きやすくなりますから、厳しい評価になってしまいます。

反対に、考課者の不得意な知識や技能を持っている部下の評価が、不当に高い評価となってしまうこともあります。自分のできないことを行っている部下は、なんとなく優秀に見えてしまうのです。

こうして、自分の得意分野には厳しく、不得意な分野については甘く評価する危険があるのです。

 

<役職者の能力不足と対策>

役職者には、部下の一人ひとりを育てる役目があります。そのためには、部下の具体的な業務内容をしっかり把握する必要があります。

これを怠ってしまうと、特に自分の不得意な知識や技能を持っている部下の業務内容を把握できないことになります。

こうして、自分の得意な仕事を担当している部下の指導は手厚くて、自分がよく解らない仕事を担当している部下のことは指導できないというのでは、部下の成長にも差がついてしまいます。

 

こうした不公平が起こらないように、役職者は、自分の不得意な仕事を抱えている部下に対して、積極的にコミュニケーションを試み、具体的な仕事内容を把握し、その仕事について勉強する必要があります。

役職者個人の努力に期待するだけでなく、会社が実施する役職者を対象とする研修の内容に、部下の仕事を学ぶノウハウなどが含まれていなければなりません。

そして、教育・研修を受けても、部下の仕事を学ぼうとしない人、学べない人は、役職者の適性を欠いているわけですから、異動を検討することになります。

 

人事考課制度の導入や改善、考課者研修など、まとめて委託するのであれば、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

 

2018.02.15.解決社労士

<論理誤差>

考課者が自己流の推論で評価対象者の人格を決めつけ、各評価項目の評価をしてしまうことがあります。

 

・時々遅刻するのはルーズな性格だからだ。

・営業成績が優れているのは押しが強いからだ。

これらは、仕事に関わる事実のほんの一部を手がかりとした推論に過ぎません。

 

・お金持ちの家に育ち甘やかされて育ったので忍耐力が無い。

・小学生の頃から日記を書き続けているので根気強い。

これらは一つの事実、しかも仕事とは無関係な事実から評価を推論しています。

 

論理誤差とは、数多くの事実に基づき客観的に評価せず、主観的な推論で評価してしまうことをいいます。

 

<考課者としての対策>

この論理誤差による弊害を防ぐには、評価項目ごとになるべく多くの事実に基づいた評価をすることが必要です。

つまり考課者は、日々の業務の中で、評価対象者の仕事ぶりに関する事実を数多く拾って記録しておく必要があります。

 

<会社としての対策>

考課者が対象者の働きぶりをコンスタントに記録して評価の実施に備えるというのは、実際にはむずかしいものです。どうしても、サボりがちです。

しかし、考課者が事実に基づかず単なる印象で評価してしまうのでは、適正な人事考課制度の運用はできません。

考課者に対しては、定期的な考課者研修を実施すること、考課表には評価の根拠となる事実を数多く記入する欄を設けることが必要です。

手間のかかることではありますが、評価される側からすると、考課者個人の勝手な印象で評価を決められたのではたまりません。

 

人手不足の影響で、社員の出入りが激しくなり、ますます人事考課制度が重要になっています。

人事考課制度の導入や改善、考課者研修など、まとめて委託するのであれば、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

 

2018.02.14.解決社労士

<期末誤差>

就業規則で昇給時期や賞与支給時期が決まっているのが一般です。

給与の決定には1年間の、賞与の決定には半年程度の人事考課期間が設定されていることでしょう。

考課者にとっては、評価期間の最初の方よりも、評価期間の最後の方が印象が強いため、評価決定に近い時期の働きぶりを重視しすぎてしまう傾向が見られることもあります。これを期末誤差といいます。

評価される社員の中には、このことを期待して、評価の実施時期が近づくと張り切る人もいます。中には、出勤するなり「今日も1日頑張るぞ!」と気合を入れ、勤務終了時に「今日も1日頑張ったなぁ!」と言うような口先だけの人もいます。そして、この時期だけ残業する人も…

 

<考課者としての対策>

期末誤差を防ぐには、考課者が対象者の働きぶりをコンスタントに記録して評価の実施に備えておくこと、評価対象者と定期的に話をして常に働きぶりを見ていることを伝えておくことが必要です。

 

<会社としての対策>

考課者が対象者の働きぶりをコンスタントに記録して評価の実施に備えるというのは、実際にはむずかしいものです。どうしても、後回しにしがちです。

考課者に対しては、毎月、評価対象者の評価を会社に提出させるなど、明確な義務を負わせるのが確実です。

また、人事考課については、定期的な考課者研修が必須ですが、評価される側の一般社員に対しても、人事考課制度についての説明会が必要だと思われます。

評価が適正に行われるようにするためにも、会社は全社員に人事考課制度を理解させなければなりません。

 

人手不足の影響で、社員の出入りが激しくなり、ますます人事考課制度が重要になっています。

人事考課制度の導入や改善、考課者研修など、まとめて委託するのであれば、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

 

2018.02.13.解決社労士

<酷評化傾向(厳格化傾向)>

酷評化傾向というのは、評価がついつい厳しくなる傾向です。

仕事をこなす能力の高い人が、自分を基準にして評価する場合に起こります。

また、実際に能力が高いわけではないのに、自分にかなり自信を持っている人も同じ傾向を示します。

完璧主義者に多く見られ、対象者を追い詰め重箱の隅を突くようなあら探しをしてしまう傾向があります。

評価に差が出ないため人事考課の目的を果たせないこと、評価対象者が絶望してしまい転職を考えることが問題となります。

 

<役職者としての能力不足>

役職者には、部下の一人ひとりを育てる役目もあります。そのためには、部下の具体的な業務内容だけでなく、個性もしっかり把握する必要があります。

部下の全員が自分と同じ個性を持っているかのように振る舞っていては、部下を育てることができません。

そもそも、自分自身の成長や昇進ばかりを考えている役職者では、部下をどう育てるかの指針や目標を立てることも困難です。

 

<酷評化傾向を示す役職者への対応>

人事考課制度を適正に運用するためには、考課者に対する定期的な教育研修の実施が大事です。

そして、酷評化傾向を示す役職者には、人事考課の目的の再確認、部下を育てる能力の開発や役割認識について、重点的な教育研修が必要でしょう。

それでもなお、きちんとした人事評価ができないのであれば、適性を欠くものとして考課者から外すことも考えなければなりません。

そもそも、こうした人物が役職者になってしまうのは、個人的な能力の高さだけで抜擢され、人を育てる能力が評価されていない可能性が高いでしょう。

 

人事考課制度の導入や改善、考課者研修など、まとめて委託するのであれば、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

 

2018.02.12.解決社労士

<寛大化傾向>

寛大化傾向というのは、評価への批判や反発を恐れ、あるいは評価対象者への気遣いから、評価がついつい甘くなる傾向です。

部下に「嫌われたくない」「よく思われたい」という感情に支配されてしまうとこうした傾向が見られます。

評価に差が出ないため人事考課の目的を果たせないこと、評価対象者が甘えてしまい成長しなくなることが問題となります。

 

<役職者としての能力不足>

役職者には、コミュニケーション能力が必要です。人脈を広げる努力も求められます。

また、部下を客観的に評価するためには、世間一般の同業で働く人たちや同一職種の人たちの働きぶりを把握していることが必要です。

「井の中の蛙 大海を知らず」というのでは、部下を広い目で客観的に評価できません。

そもそも、部下をどう育てるかの指針や目標を立てることも困難です。

 

<寛大化傾向を示す役職者への対応>

人事考課制度を適正に運用するためには、考課者に対する定期的な教育研修の実施が大事です。

そして、寛大化傾向を示す役職者には、人事考課の目的の再確認、コミュニケーション能力の強化について、重点的な教育研修が必要でしょう。

一方で会社から、人脈を広げやすくするためのサポートもしてあげたいところです。

それでもなお、きちんとした人事評価ができないのであれば、適性を欠くものとして考課者から外すことも考えなければなりません。

そもそも、こうした人物が役職者になってしまうこと自体、適正な人事考課制度の運用ができていなかったり、人事政策が失敗していたりの可能性があります。

 

制度の導入や改善、考課者研修など、まとめて委託するのであれば、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

 

2018.02.11.解決社労士

<中央化傾向(中心化傾向)>

中央化傾向というのは、極端な評価を避けようとして、評価を真中に集めてしまう傾向があることを意味します。

たとえば、5段階評価で3ばかりつけてしまうのは中央化傾向の典型例です。

平均値で評価しておけば、評価対象者からクレームをつけられないだろうという臆病な考え方をしたり、普段の仕事ぶりをきちんと把握していないために判断できなかったりすると、このような傾向が見られます。

 

<役職者としての能力不足>

部下の意見や提案を聞きながら業務を進めるのは、部下を育てるためにも、モチベーションを維持するためにも、役職者にとって必要なことです。

しかし、部下の考えを吸い上げないまま、あれこれ想像して、部下の批判を恐れているようでは、役職者として能力不足です。

また、部下の具体的な働きぶりを把握していなければ、指導することは困難ですから、やはり役職者に必要な能力を欠いているということになります。

 

<中央化傾向を示す役職者への対応>

人事考課制度を適正に運用するためには、考課者に対する定期的な教育研修の実施が大事です。

そして、中央化傾向を示す役職者には、重点的な教育研修が必要でしょう。

それでもなお、きちんとした人事評価ができないのであれば、適性を欠くものとして考課者から外すことも考えなければなりません。

そもそも、こうした人物が役職者になってしまうこと自体、適正な人事考課制度の運用ができていなかったり、人事政策が失敗していたりの可能性があります。

たとえば、「縁故採用」までは良いとしても、役職者への「縁故登用」をしてしまうと、こうした役職者が増えてしまいます。

 

制度の導入や改善、考課者研修など、まとめて委託するのであれば、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

 

2018.02.10.解決社労士

<ハロー効果>

ハロー効果とは、ある際立った特徴を持っている場合に、それが全体の評価に影響してしまうことです。

英語のハロー(halo)は、日本語では後光(ごこう)といいます。

仏やキリストなどの体から発するとされる光です。仏像の背中に放射状の光として表現されています。

この光がまぶしくて、真の姿が見えなくなってしまうのでしょう。

 

<プラス評価の場合>

たとえば、次のように思い込んでしまう例があげられます。

・〇〇大学を卒業している → 学力だけでなく人格も優れている

・将棋の有段者である → 頭が良くて勝負勘がある

・国体の出場経験がある → 目標を達成する意欲が高い

これらの例では、矢印の左側が根拠となる事実であり、右側が結論なのですが、そもそも仕事に関わる事実ではないものが根拠となっています。

 

<マイナス評価の場合>

たとえば、次のように思い込んでしまう例があげられます。

・太っている → 健康状態が悪い、自己管理能力が低い

・高校を中退している → 忍耐力が乏しい、社会性が欠如している

こちらも仕事に関わる事実ではないものが根拠となっています。

 

<評価項目間の影響>

特定の評価項目の評価が際立っているために、他の評価項目の評価にまで影響してしまうことがあります。

・積極性が高い → 応用力が高い

・責任性が高い → 規律性が高い

 

<実際のハロー効果と対処法>

実際の人事考課では、ある人について「優れている」というレッテルを貼り、あらゆる評価項目について評価が甘くなってしまうことがあります。

「あばたもえくぼ」です。「あばた」というのは、天然痘が治った後に皮膚に残るくぼみのことです。大好きな人の顔にある「あばた」が「えくぼ」に見えてしまうのです。

 

反対に、「劣っている」というレッテルを貼り、あらゆる評価項目について評価が厳しくなってしまうことがあります。

「坊主憎けりゃ袈裟(けさ)まで憎い」です。袈裟というのは、仏教の僧侶が身に着ける衣装のことです。坊主を憎んでしまうと、その坊主が着ている衣装まで憎く思われるということです。

 

人事考課では、人物を評価するのではなく、評価項目ごとに客観的な評価をする必要があります。先入観を捨てる必要があるのです。

人事考課制度を適正に運用するためには、考課者に対する定期的な教育研修の実施が大事です。

制度の導入や改善、考課者研修など、まとめて委託するのであれば、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

 

2018.02.09.解決社労士

<相対評価>

相対評価では、社内の評価対象の社員たちが基準となります。

上位3分の1の成績なら評価A、中位3分の1は評価B、下位3分の1は評価Cというように、評価A~評価Cの割合を予め決めておいて評価を決定します。

この方法では、社内や部署内での順位によって評価が決まることになります。

 

<絶対評価>

絶対評価では、世間一般の同業で働く人たちや同一職種の人たちが基準となります。

この方法では、評価対象の社員が皆優秀であれば全員が評価Aとなることもあり、反対に全員が評価Cとなることもありえます。

 

<社員の努力目標として>

相対評価なら、社員は社内や自部署で1番になることを目指します。

どうしても、「お山の大将」「井の中の蛙」ということになります。

また、社員同士が切磋琢磨すれば良いのですが、足の引っ張り合いも懸念されます。

絶対評価だと、最終目標は日本一や世界一ということになりそうです。

個人の性格にもよりますが、最終目標は高い方が良いのではないでしょうか。

 

<評価の変動>

相対評価で、自分の評価を上げるには、誰かを追い抜かさなければなりません。

下がれば「誰に抜かされたのだろう?」と疑心暗鬼を生じてしまいます。

絶対評価の場合、人事考課制度を導入し始めた頃は、社員たちが評価を意識せずに働いていますから、一般に評価が低くなります。しかし、評価を意識して働くようになると、社員全体の評価が少しずつ向上する傾向が見られます。

こうして一定の期間、社員全体の評価が向上した後は、世間一般のレベルアップを上回って向上した場合に限り評価が上がり、前年と同じ働きぶりを続ける社員の評価は下がっていくことになります。

 

<達成感と危機感>

相対評価では、全員がそろって向上した場合には達成感がありません。反対に、全員がレベルダウンしても気付きにくいという危険があります。

社員に達成感や危機感を持たせるには、絶対評価の方が向いています。

 

<解雇の基準として>

やむを得ず整理解雇をするときは、過去数年間の評価が悪い社員を対象とすることも考えられます。

相対評価でも絶対評価でも、整理解雇の対象者を決める客観的な基準として、一定の合理性が認められるでしょう。

一方、相対評価で一定の期間にわたって成績の悪い社員を能力不足と考えて解雇した場合は、解雇権の濫用であり不当解雇となるので、その解雇は無効であるとされています。

相対評価なら、優秀な社員しかいない会社でも、一定の割合で評価の低い社員は必ずいるわけですから、評価を理由に「仕事ができない」と認定することはできないからです。

 

<人事考課制度導入や改善にあたって>

人事考課制度をどのようにするかの判断は、各企業の裁量の幅が大きいのですが、会社や社員ひとり一人に対する影響だけでなく、そこから生じうる労働法上の問題を踏まえて検討するのなら、社会保険労務士への依頼をお勧めします。

 

2018.02.08.解決社労士

モデル就業規則が平成30年1月31日に改定されました。

 

<モデル就業規則とは>

 

常時10人以上の従業員を使用する使用者は、労働基準法89条の規定により、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出なければならないとされています。

就業規則を変更する場合も同様に、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。

 

これを受けて、厚生労働省は就業規則のひな形を公表しています。これが「モデル就業規則」です。

各事業場は「モデル就業規則」の規程例や解説を参考に、各事業場の実情に応じた就業規則の作成・届出を行うことになります。

 

就業規則は、各事業場の実情に合っていなければ、トラブルの種となってしまうことがあります。

「モデル就業規則」は、規定例だけでなく詳細な解説が施されていますので、これを手がかりにカスタマイズすることになります。

職場にカスタマイズできる専門家がいない場合には、社会保険労務士に依頼するなどして、実情に合った就業規則とする必要があります。

 

<新設規定>

 

マタニティ・ハラスメントの禁止規定(14条)

パワハラ、セクハラに続き、マタハラの禁止規定が新設されました。

政府による少子高齢化対策の継続的な推進に対応しています。

 

その他のハラスメントの禁止規定(15条)

標題は「その他あらゆるハラスメントの禁止」となっていますが、「性的指向・性自認に関する言動によるもの」を示していますので、LGBTへの対応を考えたものと思われます。

ハラスメントは、嫌がらせであり人権侵害ですから、刑法などにより処罰されたり、民法や会社法による損害賠償の対象となったりしますが、就業規則に明示して従業員に周知する必要があります。

 

副業・兼業についての規定(67条)

政府による少子高齢化対策に関連して、働き方改革の推進も行われます。

企業に対しては、副業・兼業の容認が求められていますので、これに関する規定が新設されました。

 

<変更・修正>

 

労働条件の通知(7条)の解説

採用内定に際しては、内定者に労働条件を書面で明示する必要があることの説明が追加されました。

 

人事異動(8条)の解説

育児休業や介護休業への配慮についての説明が追加されました。

 

遵守事項(11条)の一部削除

「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定が削除されました。

企業に対しては、副業・兼業の容認が求められていますので、これに対応した変更です。

 

始業及び終業時刻の記録(17条)の解説

労働時間の「適正把握基準」が、平成29120日に「適正把握ガイドライン」に代わりましたので、これへの対応です。

従業員について、労働時間の把握が厳格化されています。

社外での勤務について、きちんと労働時間を把握していない職場は対応が迫られています。

 

労働時間及び休憩時間(19条)の解説

手待ち時間についての説明を「適正把握ガイドライン」の記載に合わせて修正しています。

 

家族手当(33条)の変更

家族手当から、配偶者手当が削除されています。

これも、政府による少子高齢化対策の継続的な推進に対応しています。

配偶者手当があると、専業主婦は働き手になりにくいので、これをなくして積極的に働きに出るよう促すわけです。

 

2018.02.07.解決社労士

<不正受給とは>

失業手当(求職者給付の基本手当)や雇用継続給付(高年齢雇用継続給付・育児休業給付・介護休業給付)など、失業等給付の支給を受ける権利が無いのに、不正な手段によって支給を受けたり、支給を受けようとしたりすると、不正受給となります。

つまり、実際に給付を受けていなくても不正受給となります。

 

<不正受給の処分>

不正受給があった場合には、次のような処分が行われます。

・不正のあった日から、雇用継続給付、基本手当等の支給を受ける権利がなくなります(支給停止)。

・不正な行為により支給を受けた金額は、全額返還しなければなりません(返還命令)。

・さらに悪質な場合には、不正な行為により支給を受けた金額の最高2倍の金額の納付が命ぜられます(納付命令)。この場合、不正受給した金額の返還と併せて、3倍の金額を納めなければなりません。

これらの支払いを怠った場合は、財産の差し押えが行われる場合があります。

・刑法により処罰されることがあります。詐欺罪(刑法2461項)の場合、10年以下の懲役に処せられます。

 

<事業主との連帯責任>

事業主が虚偽の申請書等を提出した場合は、事業主も連帯して返還命令や納付命令処分を受けることがあります。

また、同一事業所で一定期間に複数回連続して就職、離職、失業等給付の基本手当の受給を繰り返している人(循環的離職者)を再び雇用した場合は、雇用保険の受給資格決定前から再雇用予約があったものとして受給資格者本人だけでなく、事業主も共謀して不正受給したとして連帯して返還命令処分を受ける場合があります。

 

<ハローワークによる調査>

不正受給の疑いがある場合には、ハローワークによる調査が行われます。

失業等給付を受けていた人を採用した場合に、その人を採用した時期の点検等のため、ハローワークが事業主から関係書類を借りる場合があります。

また、循環的離職者を雇用する(雇用していた)事業主へ再雇用予約の有無等について、ハローワークが確認の連絡をする場合もあります。

 

ハローワークには、雇用保険給付調査官が配置され、不正受給者の摘発や実地調査を行なっています。この場合には、企業の訪問調査も行われています。

 

<不正受給のうっかりポイント>

労働者を採用した場合、雇用年月日の理解が不正確なために不正受給につながることがよくあります。

試用期間や見習期間も雇入れのうちですから、この期間の初日が雇用年月日となります。

この期間について失業等給付(基本手当)を受給すると不正受給になります。

 

失業等給付(基本手当)を受給している人が、内職、アルバイト、手伝い等をした場合は、ハローワークへ申告をしなければなりません。

失業中にアルバイトなどをすること自体は違法ではありませんが、必要な申告を怠ると不正受給になります。

 

対象者本人から、雇入年月日、賃金や労働日数、働いていた期間等について、事実と相違する書類が提出されることもあります。しかし、事業主は事実に基づく証明をしなければなりません。万一、偽りの記入を求められても絶対に受け入れないようにしてください。

 

不正受給に関して、事業主の証明が誤っていたり、承知しながら見逃していたりした場合、事業主も連帯責任を問われることがあります。うっかりしないように注意してください。

 

2018.02.06.解決社労士

<事業主が協力しましょう>

高年齢雇用継続給付・育児休業給付・介護休業給付に関する受給資格確認と支給申請の手続は、原則として、その対象者(被保険者)を雇用する事業主を経由して行うよう協力が求められています。

もし、手続きに詳しい人がいなければ、社会保険労務士に依頼するなどして、受給が遅れないようにしましょう。

 

<通知書と申請書>

ハローワークで雇用継続給付についての支給決定が行われると、コンピューターでの処理後、「支給決定通知書」と「次回の支給申請書」が交付されます。

これらの書類には、次の3つの役目がありますので、対象者本人(被保険者)に渡しましょう。

・支給金額を通知する。

・次回の支給対象期間と支給申請の期限を通知する。

・高年齢雇用継続給付の場合には、年金との併給調整手続に使用する。

 

<正しく手続きを>

高年齢雇用継続給付の支給額は、原則として、60 歳到達時(休業開始時)の賃金額と支給対象月(対象期間)に支払われた賃金額とを比較し、その低下に応じて決定されます。

そのため、給付金の支給決定後に、提出済みの賃金月額証明書や支給申請書について、賃金額の記載誤りや一部算入漏れ等があった場合には、正しい金額を計算し改めて支給するので、すでに支給された給付金を回収しなければならないケースが発生します。

 

また、育児休業給付や介護休業給付の支給対象期間中に職場復帰した場合の職場復帰日(介護休業終了日)の申告漏れがあった場合についても、正しく処理を行う必要があるため、上記と同様、すでに支給した給付金を回収しなければならないケースもあります。

 

こうした給付金の回収手続は、わずらわしいだけでなく、多額の給付金を一度に回収される場合もあるので、事業主や対象者(被保険者)に、かなりの負担・不利益を生じさせることもあります。

 

なるべく早く給付を受けられるよう、正確かつスピーディーな手続きを心がけましょう。

 

2018.02.05.解決社労士

<離職票の交付を希望しないとき>

※離職は退職に限られず、週所定労働時間が20時間未満となった場合等を含みます。

・提出書類・・・・・・「雇用保険被保険者資格喪失届」

※被保険者というのは保険の対象者のことです。脱退は、被保険者の資格を失うことなので、資格喪失といいます。

・提出期限・・・・・・被保険者でなくなった日の翌日から10 日以内

※被保険者が転職した場合に、資格喪失が遅れると、転職先での手続きがそれだけ遅れてしまいます。期限にかかわらず、なるべく早く手続きしましょう。

・提出先・・・・・・・・事業所の所在地を管轄するハローワーク

・持参するもの・・労働者名簿、賃金台帳、出勤簿(タイムカード)、雇用契約書など

 

<離職票の交付を希望するとき>

※59歳以上の離職者は本人が希望しなくても必ず離職票の交付が必要です。

・提出書類・・・・・・「雇用保険被保険者資格喪失届」「雇用保険被保険者離職証明書」

※「雇用保険被保険者離職証明書」は31組ですが、1枚ずつ名前(書類のタイトル)が違います。

・提出期日・・・・・・被保険者でなくなった日の翌日から10 日以内

※被保険者でなくなった人が給付を受けるのは、本人がハローワークで手続きをするのが早ければ、それだけ早くなります。手続きには、離職票が必要ですから1日も早く手続きして、離職票を渡しましょう。

・提出先・・・・・・・・事業所の所在地を管轄するハローワーク

・持参するもの・・労働者名簿、出勤簿(タイムカード)、賃金台帳、辞令及び他の社会保険の届出(控)、離職理由の確認できる書類(就業規則、役員会議事録など)。

 

<退職以外のとき>

「資格喪失届」は、次のような場合でも提出が必要です。

・被保険者資格の要件を満たさなくなったとき(週所定労働時間が20時間未満となった場合等)

・被保険者が法人の役員に就任したとき(ハローワークから兼務役員として労働者性が認められた場合を除く)

・被保険者として取り扱われた兼務役員が、従業員としての身分を失ったとき。

・他の事業所へ出向し、出向先から受ける賃金が、出向元の賃金を上回ったとき。

・被保険者が死亡したとき。

 

2018.02.04.解決社労士

<資格取得と喪失>

雇用保険の適用事業所に雇用される労働者は、正社員、準社員、パート・アルバイト等の呼称にかかわらず、原則として被保険者となります。

日常用語では、加入者などといいますが、法律用語では保険の対象となる人という意味で被保険者といいます。

これらの労働者は、原則として、その適用事業所に雇用される日から被保険者資格を取得し、離職等となった日の翌日から被保険者資格を喪失します。

離職は退職に限られず、週所定労働時間が20時間未満となった場合等を含みます。

これら被保険者に関する手続は、すべて適用事業所の所在地を管轄するハローワークで行います。

 

<被保険者となる労働者を新たに雇用したとき>

・提出書類・・・・・「雇用保険被保険者資格取得届」

・提出期限・・・・・雇用した日の属する月の翌月10 日まで

・提出先・・・・・・・事業所の所在地を管轄するハローワーク

※提出期限は、東京都の場合は件数が多いため、雇用した日の属する月の翌月末日までとなっています。

 

<添付書類>

次のいずれかに該当する場合には、賃金台帳、労働者名簿、出勤簿(タイムカード等)、その他社会保険の資格取得関係書類等その労働者を雇用したこと及びその年月日が明らかにするもの、有期契約労働者である場合には、書面により労働条件を確認できる就業規則、雇用契約書等の添付が必要です。

 

・事業主として初めての被保険者資格取得届を行う場合。

・被保険者資格取得届の提出期限を過ぎて提出する場合。

・過去3 年間に事業主の届出に起因する不正受給があった場合。

・労働保険料を滞納している場合。

・著しい不整合がある届出の場合。

・雇用保険法その他労働関係法令に係る著しい違反があった事業主による届出の場合。

 

株式会社等の取締役等であって従業員としての身分を有する人、事業主と同居している親族、在宅勤務者についての届出である場合には、雇用関係を確認

するための書類の提出が必要です。

 

社会保険労務士、労働保険事務組合を通じて提出する場合には、次のいずれかに該当する場合のみ、添付書類が必要となります。

・届出期限を著しく(原則として6か月)徒過した場合

・ハローワークにおいて、届出内容を確認する必要がある場合

 

2018.02.03.解決社労士

<いじめの勘違い>

職場で自分の意見が通らない、同僚から無視されている、自分だけが叱られている、したがって、「私はいじめられている」と感じる人がいます。

しかし、いつも見当外れの意見を言うので受け入れてもらえない、やがて同僚は相手にしなくなる、そして、上司は同じ注意を何度も繰り返すうちに声が大きくなるというように、本人に原因がありそうな事例もあります。

 

<東京地裁 平22年9月14日判決>

訴えを起こした人は、一般事務を担当する正社員でした。

しかし、身体、精神の障害により業務に耐えられないなどとして解雇されてしまいました。

これに対して、解雇権の濫用であり不当解雇なので解雇は無効であること、社長や上司による集団的いじめや嫌がらせを受けて多大な精神的苦痛を被ったので慰謝料などを請求すると主張したのです。

 

裁判で認定されたその人の働きぶりは次の通りです。

 

書類をファイルする場所を間違えることが多かった。

電話対応に問題があり、たびたび助言を受けていた。

仕事に慣れるペースが遅かった。

勤務態度について、上司からかなり厳しい注意を受けていた。

教育指導的観点から少しでも業務遂行能力を身につけさせるために、日報の作成を命じた。ところが、失敗に対する反省を書かないので、上司が業務の反省点や改善点も記入するように指導した。それでも書き漏れが多かった。

顧客から電話応対について感じが悪いとクレームを受けたため、ミーティングを開くなどして、本人に改善を求めたが受け入れなかった。

 

この裁判の判決では、社長や上司たちには、いじめや嫌がらせの動機や目的が無いものとされ、訴えを起こした人の請求は退けられました。

 

<対策として>

訴えを起こした人に対して、上司などが熱心に教育指導していることがわかります。これはこれで大事なことです。

しかし、そもそもこのような人を採用しないことは、教育以上に大事だと思います。採用した会社側にとっても負担が大きいですし、採用された側も自分の能力を超える要求をされて苦しいからです。

また、人事考課制度の適正な運用によって、働き手ひとり一人の能力や適性を明らかにしておくことも必要です。

ただ、こうした専門性の高いことは、社内に専任の担当者を置くことがむずかしいかもしれません。そのような会社では、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命いただくことをご検討ください。

 

2018.02.02.解決社労士

<集団いじめの危険性>

パワハラやセクハラは、加害者も直接の被害者も個人であることが多いものです。

しかし、職場環境や企業風土から、特定の個人が先輩や同僚から集団でいじめられることもありえます。

いじめによる自殺などの被害は、決して学校に限られたものではないのです。

 

加害者側は、ビートたけしのギャグにあるように「赤信号 みんなで渡れば 怖くない」という感覚、つまり、共同責任は無責任という感覚に陥っています。

「私だけが悪いわけではないから」という感覚でいじめに加わった場合、法律上はむしろ重い責任を負わされることになります。

刑法では共同正犯とされ、一部を実行したに過ぎなくても全部の責任を負わされます。〔刑法60条〕

民法では共同不法行為とされ、実際に行為に及んだ人も、手助けした人も、そそのかした人も、すべての損害に対する賠償責任を負わされます。〔民法719条〕

 

<大阪地裁 平成22年6月23日判決>

被害者の女性は、同僚の複数の女性社員たちから集団で、しかも、かなりの長期間継続していじめを受けました。

その内容も、陰湿で常軌を逸した悪質なひどいいじめでしたから、被害者の女性が受けた心理的負荷は強度なものでした。

上司たちは気づかなかったり、気づいた部分についても何ら対応を採らなかったりという無責任な態度でした。

ついに、被害者の女性は上司に相談するのですが、上司が何も防止策を採らなかったために、かえって失望感を深めてしまいました。

こうして、被害者の女性は不安障害と抑うつ状態を発症し、労災と認定されたのです。

 

この被害者女性は、特に弱い人ではなく、同僚の女性社員たちからの集団いじめと、会社の不対応が発症の原因であると裁判所により認定されました。

 

この事件では、労働基準監督署に対する労災保険の給付請求があったのに対して、労働基準監督署長が不支給の処分をしたため、被害者の女性が裁判所に訴えを起こしたのでした。

行政の判断が最終結論ではなく、それに不服があれば、訴訟により決着をつけるという道が残されています。

会社から見れば、こうした事件を予防するためにも、多くの労働裁判例を検討して対策をとる必要があるということです。

「とてもそこまで行う人材を社内で確保できない」ということであれば、労働法に明るい弁護士や社会保険労務士に依頼することも考えなければなりません。

 

2018.02.01.解決社労士

次の各項目にあてはまる労働者は、雇用保険の対象者(被保険者)とはなりません。

反対に、どれにもあてはまらない労働者を、雇い主側の判断で、対象から外し手続きを行わないのは違法となります。

 

(1) 1週間の所定労働時間が20 時間未満である人

「1週間の所定労働時間」とは、就業規則、雇用契約書などにより、その人が通常の週に勤務すべきこととされている時間のことをいいます。

この場合の通常の週とは、祝祭日やその振替休日、年末年始の休日、夏季休暇などの特別休日を含まない週をいいます。

 

1週間の所定労働時間が短期的かつ周期的に変動する場合には、その1周期の所定労働時間の平均を1週間の所定労働時間とします。

また、所定労働時間が複数の週で定められている場合は、各週の平均労働時間で考えます。

1か月単位で定められている場合は、1か月の所定労働時間を12倍して52 で割った時間とします。

1年単位で定められている場合は、1 年の所定労働時間を52 で割った時間とします。

52で割るのは、1年がおよそ52週だからです。

 

所定労働時間は、残業手当の計算や、年次有給休暇取得時の賃金計算に必要です。

そして、基本的な労働条件として、労働条件通知書などの書面により、労働者に通知することが雇い主の法的義務とされています。

ですから、所定労働時間を決めないことは、雇い主にいくつかの罰則が適用される結果をもたらします。

どうしても決め難いのであれば、社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

 

(2) 同一の事業主の適用事業に継続して31 日以上雇用されることが見込まれない人

「31 日以上雇用されることが見込まれる」というのは、次のような場合です。

・正社員など雇用期間を定めずに雇う場合

・有期労働契約で、最初の雇用期間が31日以上である場合

・有期労働契約で、最初の雇用期間は30日以内だが、契約期間の更新が予定されている場合

・有期労働契約で、最初は契約期間の更新を予定していなかったが、途中で更新することになり、結果的に31日以上の契約期間となる場合

・有期労働契約で、最初の雇用期間は30日以内だが、同様の契約で働いている人の多くが契約を更新され、実態として31日以上雇用されることが見込まれる場合

 

(3) 季節的に雇用される人であって、次のどちらかにあてはまる人

・4か月以内の期間を定めて雇用される人

・1週間の所定労働時間が30 時間未満の人

※いわゆる季節雇用の人についての基準です。

 

(4) 学校教育法1条の学校、124 条の専修学校、134 条の各種学校の学生または生徒

昼間の時間帯の授業に出席する学生などです。

通信制、単位制、定時制などの場合には、雇用保険の対象となります。

 

(5) 船員であって、特定漁船以外の漁船に乗り組むために雇用される人(1年を通じて船員として雇用される場合を除く)

 

(6) 国、都道府県、市区町村などの事業に雇用される人のうち、離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が、雇用保険の求職者給付および就職促進給付の内容を超えると認められる人

 

2018.01.31.解決社労士

<雇用保険の手続きの原則と例外>

雇用保険に関する事務処理は、原則として事務所、営業所、出張所、店舗などの事業所ごとに行うことになっています。

 

しかし、事業所の規模が小さくて、雇用保険の手続きを担当する人を置けないなどの事情がある場合には、その事業所の所在地を管轄するハローワークに「雇用保険事業所非該当承認申請書」を提出し承認を受けることによって、本社、支社など上位の事業所が一括して手続きを行えるようになります。

この場合、事業所の規模が小さいというのは、従業員の数が少ないとか、面積が狭いということではなくて、機能的に独立性を保てないことを意味します。

 

あくまでも、申請して承認を受ければ可能になるということですから、申請せずに会社の判断で本社、支店などがまとめて手続きできるわけではありません。

 

<申請が承認されるための条件>

申請が承認されるためには、労働者が働く場所や施設(事務所、営業所、出張所、店舗など)が、次の条件をすべて満たすことが必要です。

ただし労働保険について、継続事業の一括が認可されている施設は、原則として対象外となります。

 

●事業所非該当承認基準

・人事上、経理上、経営上(または業務上)の指揮監督、賃金の計算、支払などに独立性がないこと。

・健康保険、厚生年金保険、労災保険などについても、本社や主たる支社で一括処理されていること。

・労働者名簿、賃金台帳などの法定帳簿類が、本社や主たる支社に備え付けられていること。

 

この3つの条件のうち、1つ目の独立性については判断が微妙となりがちです。不安であれば、社会保険労務士にご相談ください。

 

<申請手続き>

・提出書類・・・・・「雇用保険事業所非該当承認申請書」(41組)

・提出期日・・・・・申請しようとする都度すみやかに

・提出先・・・・・・・非該当承認対象施設の所在地を管轄するハローワーク

 

新たな店舗などで勤務する人について、雇用保険の手続きが遅れてはいけませんから、後回しにせず、なるべく早く手続きしましょう。

 

2018.01.30.解決社労士

<「医療費のお知らせ」とは>

協会けんぽは、加入者が自分の治療等にかかった医療費について確認できるように、年1回「医療費のお知らせ」を発行しています。

今回も、平成302月に「医療費のお知らせ」が勤務先に送付されます。

送付されるのは、本人の分と扶養家族の分です。

ただし、任意継続被保険者は自宅に送付されます。

今回のお知らせは、主に平成2810月から平成2910月の間に医療機関等で受診した分となります。

 

<「医療費のお知らせ」と医療費控除>

「医療費のお知らせ」は、医療費控除の申告手続きに使えるようになりました。

平成29年分の確定申告から、領収書の提出の代わりに、医療費控除の明細書の添付が必要となりましたが、「医療費のお知らせ」を添付すると、明細の記入を省略でき、領収書の保管も不要となります。

 

ただし、「医療費のお知らせ」に記載されていない医療費分は、医療機関からの領収書に基づき作成した「医療費控除の明細書」を確定申告書に添付し、それらの領収書を5年間保存する必要があります

「医療費のお知らせ」は、前年の10月までの分となっていますので、11月分と12月分は「医療費控除の明細書」が必要となります。

 

「医療費のお知らせ」についての問い合わせ先は協会けんぽ、確定申告の医療費控除についての問い合わせ先は税務署となります。

 

2018.01.29.解決社労士

<明らかにおかしいのに>

自分の賃金と勤務時間からすると、最低賃金法違反だと思われるのに、何だか良く分からないので雇い主に何も主張できないという労働者がいます。

きちんと根拠を示して法令違反を主張したいのに、上手く計算できないというわけです。

 

<最低賃金額以上かどうかを確認する方法>

厚生労働省は、ホームページに次の説明を公開しています。

 

支払われる賃金が最低賃金額以上となっているかどうかを調べるには、最低賃金の対象となる賃金額と適用される最低賃金額を以下の方法で比較します。

 

(1) 時間給制の場合

時間給≧最低賃金額(時間額)

 

(2) 日給制の場合

日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

 

ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、

 

日給≧最低賃金額(日額)

 

(3) 月給制の場合

月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

 

(4) 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合

出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金計算期間に出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数で除して時間当たりの金額に換算し、最低賃金額(時間額)と比較します。

 

(5) 上記(1)、(2)、(3)、(4)の組み合わせの場合

例えば、基本給が日給制で、各手当(職務手当など)が月給制などの場合は、それぞれ上記(2)、(3)の式により時間額に換算し、それを合計したものと最低賃金額(時間額)を比較します。

 

<実は別の違法行為が>

自分の給与が最低賃金法違反のような気がするが、良く分からない、上手く計算できないという人の中に、時間給で働いている人はいません。

時間給であれば、それが最低賃金を下回っているかどうかが明らかだからです。

 

計算できないのは、日給や月給の人で、1日の所定労働時間や1か月の所定労働時間が明らかにされていない人たちです。

これではそもそも1時間当たりの賃金は計算できないのですから、当然のことなのです。

 

労働条件のうちの基本的な事項は、労働者に対して書面で通知するのが基本です。新人なら、1回目は雇い入れ通知書で、2回目からは契約更新の時や、時給変更、出勤日変更の時から労働条件通知書というパターンもあります。

 

「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。」〔労働基準法15条〕

 

これが労働基準法の定めです。そして、罰則もあります。

 

「三十万円以下の罰金に処する。」〔労働基準法120条1号〕

 

所定労働時間がわからないので、最低賃金法違反かどうかわからない人は、その前提となる労働条件通知書などの交付を求める必要があるでしょう。

雇い主に「賃金や労働時間などの条件を通知する書類をください」と言えばわかるはずです。

単に忘れているだけであることを期待しますが、「うちはそんなの出してないよ」ということならブラック確定です。

 

所定労働時間がわからないということは、残業手当の計算もできないですから、サービス残業もあると思われます。

 

<最低賃金法違反の罰則と企業名の公表>

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。

仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。

したがって、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。

 

また、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められています。

この罰則は実際に適用されていますし、厚生労働省のホームページで企業名が公表されています。長時間労働削減に向けた取組 ― 長時間労働削減推進本部 というページです。PDFファイルで表示されていますから保存も印刷も簡単です。

こうなると対象企業は、金融機関や取引先そしてお客様からの信頼を失いますし、求人広告を出しても応募者が集まらないのではないでしょうか。

 

2018.01.28.解決社労士

<人事考課制度の導入>

人事考課制度が無ければ、有能な社員ほど評価してもらえないことに対する不満が大きくなりますから退職に向かいます。

反対に、自己啓発をせず会社に貢献する気も無い社員は、人事考課によって不利益な扱いをされませんから居心地が良いわけです。

こんなことでは会社に将来性はありませんから、人事考課制度は会社にとって必須のものといえるでしょう。

しかし、導入による弊害もあるのです。

 

<パワーハラスメントの恐れ>

「職場の優位者が劣位者に対して仕事上接する際に必要以上に人権を侵害しうる行為」

これがパワハラです。

 

考課者は評価対象者よりも優位に立ちます。そのため、偉くなったような気になり、平気で評価対象者の人格を傷付けるような言動に走るようなこともあります。

このことを考課者自身が自覚して慎む必要があります。

 

評価対象者は、自分を評価する人が誰であるかを知っていますから、考課者から気に入ってもらおうとして、妙にへりくだった態度を取ることがあります。

考課制度の導入にあたっては、仕事ぶりを評価しているのであって、考課者の好き嫌いで評価するのではないことを説明しておく必要があります。

 

<改善提案や意見が出なくなる恐れ>

人事考課制度に対して極端に臆病な社員もいます。

「何もしなければ悪い評価はつかないのではないか」「下手に動いて墓穴を掘るのは損だ」と考えてしまいます。

すると、仕事についての改善提案や会社を良くするための意見が出て来なくなる恐れがあります。

 

これを防ぐためには、その内容にかかわらず、改善提案や積極的な意見がプラスに評価される仕組みにすること、提案や意見が無いとマイナス評価になることを評価対象者に説明しておくことが大事です。

 

2018.01.27.解決社労士

<誓約書とは>

誓約書とは、労働者が働くにあたって企業に対して負う義務の内容を確認し、義務に違反しないことを誓約する書面です。

万一義務違反があった場合には、一切の損害を賠償するという内容が含まれるのが一般です。

 

<誓約書の提出義務>

入社にあたって誓約書の提出を求めることは、長年にわたって広く一般化しています。

就業規則や労働条件通知書などに規定を置いて、誓約書の提出を採用条件としたり、採用後に誓約書を提出しないことを理由に採用取消としたりすることは、採用の時点でそのルールが知らされていれば違法ではありません。

ただし、採用の時点で説明が無かったにもかかわらず、採用後に誓約書の提出を求められた場合であれば、提出しないことを理由に解雇を通告するのは不当解雇になると解されます。

 

<誓約書の効力>

就業規則の一部を抜粋して順守を求める内容の誓約書であれば、元々守るべきことを再確認しているだけですから、ほとんど問題になることはないでしょう。

この場合は、誓約書を書かせることによって、労働者に心理的なプレッシャーを与えているだけのことです。つまり、心理的効果しか期待できません。

 

よく問題となるのは、労働者が退職後に同業他社への就職をしない義務を定めた誓約書です。

大前提として、労働者には職業選択の自由があります。〔憲法221項〕

しかし、この自由は絶対無制約ではありません。

そして、競業避止義務の誓約は、合理性を欠き公序良俗に反するときだけ、無効とされます。〔民法90条〕

 

実際の裁判では、次のような厳しい条件を満たす場合に限り、その誓約書は有効だとされています。

・その労働者が営業秘密に関わる業務に就きうること

・正当な目的によるものであること

・「同業他社」の範囲など制限の対象が妥当であること

・地域や期間が妥当に限定されていること

・特別な手当の支給など相当の代償が与えられること

 

2018.01.26.解決社労士

<身元保証とは>

身元保証というのは、労働者が企業に損害を与えた場合に、企業が確実に損害の賠償を得られるよう、労働者本人以外の第三者にも責任を負わせる契約です。

 

企業に大きな損害を与えやすい労働者といえば、正社員が思い浮かびますから、正社員限定で身元保証を求める企業が一般です。

しかし、契約社員、パート、アルバイトなどにも身元保証を求める企業もあります。これは企業の方針によって決めても良いことであって、不当なことではありません。

 

身元保証は、企業が確実に損害の賠償を得られるようにするための契約ですから、責任を負わされる身元保証人が、本人と全く同じ責任を負う連帯保証契約とするのが一般的です。

企業としては、安易に同居の親族を身元保証人にするのではなく、賠償責任を果たせるだけの資力・財産を備えた人物を選ばなければなりません。

一方で、身元保証人になることを依頼された場合には、親類だから、知り合いだからと安易に引き受けるのではなく、慎重に判断する必要があります。

 

<身元保証書の提出義務>

入社にあたって身元保証書の提出を求めることは、長年にわたって広く行われてきた企業一般の習慣です。

就業規則や労働条件通知書などに規定を置いて、身元保証書の提出を採用条件としたり、採用後に身元保証書を提出しないことを理由に採用取消としたりすることは、採用の時点でそのルールが知らされていれば違法ではありません。

ただし、採用の時点で説明が無かったにもかかわらず、採用後に身元保証書の提出を求められた場合であれば、提出しないことを理由に解雇を通告するのは不当解雇になると解されます。

 

<身元保証の法規制>

身元保証契約は連帯保証となっていることが多いため、身元保証人が多額の賠償金支払い義務を負ってしまうことがあります。

そこで、これを法的に規制するため「身元保証ニ関スル法律」によって、身元保証人の責任が軽減されています。

 

まず、身元保証契約は、期間を定めなければ3年間、期間を定めても最長5年間で終了します。

また、労働者に不審な行動や仕事内容の変化があったときは、企業から身元保証人に対して直ちにその事実を通知しなければなりません。これを受けて、身元保証人は契約を解除できます。

 

身元保証をしたからといって、実際に身元保証人が企業の全損害を負担することにはなりません。

企業は、損害の内容と損害額が明らかな限度でしか、身元保証人に責任を負わせることができません。

そして裁判になれば、企業側にも過失が無かったか、身元保証人が保証を引き受けた理由、労働者の仕事の変化など一切の事情を踏まえて、賠償額が決定されることになります。

 

2018.01.25.解決社労士

<業務委託契約の特殊性>

契約について基本的なことを定めている法律は民法です。

ところが民法はおろか、その他の法律にも業務委託契約についての規定はありません。

何か契約を交わす場合には、法律に具体的な規定があった方が、トラブルを避けることができて便利なはずです。

それなのに、あえて法律に規定の無い契約を交わそうとするのは、法律の適用を避け、自分に一方的に有利な取り決めをしようという意図があるのでしょうか。

 

<業務委託契約の内容>

業務委託契約という言葉からは、「業務を他人に委託する契約」ということしかわかりません。

学者たちは業務委託契約を、請負契約〔民法632条〕、委任契約〔民法643条〕、準委任契約〔民法656条〕などの性質をもつ契約だと考えています。

そして、実際の業務委託契約には様々なものがあって、「これは請負契約」「これは委任契約」というように明確に分類することが困難だとしています。

結局、業務委託契約書の条文ひとつ一つを具体的に解き明かさなければ、その内容を把握できないということになります。

わざわざこのような契約を交わそうとするからには、やはり何らかの意図があるものと思われます。

 

<イイトコ取りの契約書>

請負では欠陥の無い完全な成果物を提供しなければならないのに対して、委任ではベストを尽くした結果なら不完全でも責任を問われません。

また、請負では材料や費用を負担するのは業務を引き受けた側ですが、委任なら業務を委託する側の負担となります。

さらに、請負なら簡単には契約の解除ができません。しかし、委任ならいつでも契約を解除できます。

これらをふまえて業務を委託する側が、「業務の結果は完全でなければならない。費用はあなたが負担しなさい。私はいつでも契約を解除できるが、あなたから解除を申し出ることはできない」という内容の業務委託契約書を作ることもできてしまいます。

 

<名ばかり業務委託契約書>

業務を委託する企業と、業務を行う人との契約関係が、実質的には雇用契約〔民法623条〕なのに、契約書のタイトルが業務委託契約書となっていることもあります。

雇用契約(労働契約)であれば、労働基準法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法などの労働法による労働者の保護があります。

これを企業側から見れば、労働者の保護に対応した負担が発生することになります。

ブラックな企業がこの負担を避けるため、実質は雇用契約なのに「業務委託契約書」を交わして「あなたは労働者ではないので、社会保険や雇用保険には入りません。労災保険も対象外です。年次有給休暇も残業手当もありません」と説明することも稀に発生してしまいます。

それでも、雇われている人はクビになることを恐れて「おかしい」とは言えないものです。

このような場合には、あきらめずに行政の相談窓口や近所の社会保険労務士に相談していただけたらと思います。

 

2018.01.24.解決社労士

<国民年金の届出>

会社を退職した時点で20歳から59歳までの人は手続きが必要です。

同様に、退職者に扶養されている20歳から59歳の配偶者も届出が必要です。

 

手続きの窓口は、お住まいの市区町村の国民年金担当窓口です。

年金手帳など基礎年金番号がわかる書類があれば、手続きがスムーズです。

 

退職によって、会社員・公務員など厚生年金の加入者の扶養に入る配偶者は、加入者の勤務先への届出が必要です。

 

<保険料の納付が困難なら>

保険料の納付が困難であることを理由に、国民年金の手続きをしないのは損です。

申請によって、保険料の一部または全額が免除になる制度がありますので、窓口で相談することをお勧めします。

 

退職(失業)の場合は、前年の所得をゼロとして審査されます。

また、免除の割合に応じて一定の年金額が保障されます。手続きをしなければ、この保障が受けられません。

病気や事故で障害が残った場合の障害年金や、遺族年金についても、免除の手続きをしておけば受給の権利が確保されます。

 

手続きは、退職後速やかに行うことをお勧めします。

 

2018.01.23.解決社労士

<給与をもらう人の都合>

税金を給与から差し引くしくみが無かったならば、給与をもらう人が自分で税務署に申告して支払うことになります。

しかし、これはむずかしくて面倒な作業です。

しかも、申告をしなかったり、税金の支払いが遅れたりすれば、財産や給与の差し押さえなど強制的な手続きが行われることもあります。

こうなると、家賃が支払えなくなったり、クレジットカードが使えなくなったり、罰金が科されたりと大変なことになります。

こうしたことを防ぐために、国が法律によって、税金を給与から差し引くしくみを決めて、一部の例外を除き、給与の支払者に強制しているのです。

 

<税金を取り立てる国の都合>

税金を給与から差し引くしくみは、国にとっても都合が良いのです。

給与をもらう人が、自分で申告書を作って税務署に提出すると、その金額などが正しいことの確認や訂正の指導のために、税務署の仕事が大幅に増えてしまいます。

また、税金の申告を個人に任せていると、締め切りまでに正しく申告しない人もいます。これでは、国が確実に税金を集めることができません。

そこで、国の手間を減らし、税金を確実に集めるため、税金を給与から差し引くしくみを作り、給与の支払者に強制しているのです。

 

<給与から差し引く金額>

給与から差し引く所得税の金額は、毎年、国税庁から「源泉徴収税額表」という一覧表が公表され、給与を支払う人は、これに基づいて決められた金額を差し引いています。

 

給与から差し引く金額を計算するために必要となる情報は次の3つです。

・給与の金額

・社会保険料

・扶養親族等の数

 

2018.01.22.解決社労士

<同居していなくても扶養家族となり得る人>

社会保険加入者(被保険者)の収入により生計を維持していることを前提として、次の人は扶養家族になり得ます。

・配偶者(内縁を含む)

・子、孫、兄弟姉妹

・父母、祖父母など(直系尊属)

 

<同居していれば扶養家族となり得る人>

社会保険加入者(被保険者)の収入により生計を維持していることを前提として、次の人は扶養家族になり得ます。

・叔父、叔母、伯父、伯母、甥、姪とその配偶者

・ひ孫

・兄弟姉妹の配偶者

・配偶者の父母

・その他3親等内の親族

・内縁関係の配偶者の父母や子(配偶者の死後を含む)

 

内縁は、入籍していない事実上の夫婦関係です。

一般には、他に入籍している配偶者がいないことや、夫婦としての生活実態があることなどが条件となります。

 

2018.01.21.解決社労士

<原則の基準>

扶養される家族の年間収入が130万円未満で、社会保険加入者(扶養する側の被保険者)の年間収入の半分未満であれば、扶養家族(被扶養者)になるというのが原則の基準です。

ただし、扶養される家族の年間収入が130万円未満であれば、社会保険加入者の年間収入の半分以上であっても、社会保険加入者の収入によって生計を維持していると認められる場合には、扶養家族になることができます。

 

<60歳以上の家族など>

扶養される家族が60歳以上の場合と、障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合には、年間収入の基準が180万円未満となります。

 

<別居の場合>

扶養される家族が社会保険加入者と別居している場合には、年間収入が130万円未満で社会保険加入者からの仕送り額よりも少ない場合に、扶養家族になることができます。

 

<20代から50代の配偶者>

20歳から59歳の配偶者を扶養家族とする場合には、健康保険の手続きと同時に国民年金の手続きが必要です。

社会保険に加入している側の配偶者が、勤務先に「国民年金第3号被保険者関係届」を提出します。

 

2018.01.20.解決社労士

<契約形態と社会保険>

正社員、限定正社員、パート、アルバイト、嘱託社員、契約社員などの労働契約の形態は、勤務先の会社が独自の基準で区分しているに過ぎません。

一方で、社会保険(健康保険と厚生年金保険)の加入基準は法令により定められ、各企業の社内基準によって左右されることはありません。

結論として、アルバイトなどであっても、法令による加入基準を満たせば、各企業の方針や個人の考えとは無関係に社会保険に加入することになり、企業は手続きをする義務を負うことになります。

 

<試用期間と社会保険>

入社後、従業員としての適格性をみるため、一定の試用期間を設けることがあります。

この期間であっても、労働基準法はもちろん、健康保険法や厚生年金保険法の適用がありますから、試用期間の初日から社会保険への加入が義務付けられています。

なお、短期間の契約社員として採用し、その後に適性を判断して正社員に切り替えるような場合でも、最初の契約期間が実質的に見て試用期間に当たる場合には、採用日から社会保険に加入しなければなりません。

 

<外国人と社会保険>

在留資格で就労が認められている外国人は、国籍に関係なく社会保険に入ります。

これは、「日本人が日本の社会保険に入る」というのではなく、「日本に住んでいる人が日本の社会保険に入る」という考え方であることを意味します。

 

2018.01.19.解決社労士

<法人の事業所>

法人であれば強制適用となりますので、手続きが義務付けられます。

これは従業員のいない事業主だけの法人であっても同じです。

また、事業主や従業員の意思とは無関係です。

 

<5人以上の個人事業所>

常時5人以上の従業員を使用している会社、工場、商店、事務所などの個人事業所は、原則として強制適用となります。

しかし、5人未満の個人事業所は強制適用とはなりません。

また、常時5人以上の労働者を使用する事業所であっても、個人事業所であれば、飲食店、接客業、理・美容業、旅館業等 サービス業、法律・会計事務所等の自由業等は強制適用ではありません。

 

<任意適用事業所>

上記のような強制適用事業所を除く事業所は、社会保険の適用が強制されません。

しかし、年金事務所で手続きをすることによって、社会保険の適用を受けることができます。

適用事業所となるためには、その事業所の従業員の半数以上の同意を得る必要があります。

こうして任意適用事業所となった場合には、加入を希望しない従業員も含めて加入することになります。

 

2018.01.18.解決社労士