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<整理解雇>

整理解雇とは、会社の事業継続が困難な場合に、人員整理のため会社側の都合により労働契約を解除することです。

法律上は普通解雇の一種ですが、労働慣例により他の普通解雇と区別するため整理解雇という用語が使われています。

 

<法令の規定>

解雇については、労働契約法に次の規定があります。

 

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

この規定は抽象的ですから、素人判断で解雇の有効・無効を決めつけるのは危険です。

 

<整理解雇の有効要件>

実務的には、判例で示された次の4つの要素から、解雇の有効性を判断することになります。

4つのうち1つでも要件を欠いていたら、解雇が無効になるということではなく、総合的な判断となります。

まず、経営上の人員削減の必要性です。会社の財政状況に問題を抱えていて、新規採用などできない状態であることです。

次に、解雇回避努力の履行です。配置転換や希望退職者の募集などの実施です。

さらに、解雇対象者の人選の合理性です。差別的な人選は許されません。

最後に、手続の相当性です。事前の説明や労働者側との協議など、誠実に行うことが求められます。

 

<地域限定社員の場合>

「そもそも勤務地を限定されていたのだから」という理由だけで、閉店や事業所の閉鎖によって、そこで勤務する地域限定社員を解雇することはできません。

これは、整理解雇の4つの要素のうち、解雇回避努力の履行にかかわることです。

採用の時点で勤務地限定を望んでいた社員であっても、その後事情が変わっている場合もありますし、解雇されるよりは転勤に応じた方が有利ということもあります。

解雇回避努力が求められるということは「なるべく解雇しないように努力したけれども、どうしてもダメでした」という事情がなければ、簡単に解雇はできないということです。

結局、地域限定社員と話し合って、本人がどうしても別の店舗や営業所などでは勤務できないというのであれば、他の社員に優先して解雇を考えざるを得ないということになります。

 

 

整理解雇を含め、解雇の多くは不当解雇となり無効となる危険をはらんでいます。

そして不当解雇は企業に思わぬ損失をもたらします。

「解雇」ということを思いついてしまったなら、迷わず信頼できる国家資格者の社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

 

2018.02.21.解決社労士

<就業規則による労働条件の変更>

年功序列を疑われるような給与制度を改め、成果主義の給与とすることは、有能な若者を採用し定着させるのに必要なことでしょう。

しかし、給与が減ることになる人もいるでしょうし、給与が大きく変動すれば年収が不安定になります。

こうした不都合があっても、成果主義給与制度を導入できる基準とはどんなものでしょうか。

 

労働契約法に、次の規定があります。

 

第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。

 

つまり、就業規則の変更によって、給与などの労働条件を変えた場合には、それが合理的であればその通りの効力が認められるということです。

反対に、合理的でなければ、たとえ就業規則を変えても、それによって一人ひとりの労働条件は変わらないということです。

この中の「合理的」というのは、「労働契約法の趣旨や目的に適合する」という意味だと考えられます。

それでも、この条文を読んだだけでは良く分かりません。

 

<最高裁判所の判例>

労働契約法という法律は、10年余り前に判例法理がまとめられて作られました。判例法理というのは、それぞれの判決を下すのに必要な理論で、判決理由中の判断に含まれているものです。

そして、最高裁は次のように述べています。

 

合理性の有無は、具体的には、就業規則の変更によって労働者が被る不利益の程度、使用者側の変更の必要性の内容・程度、変更後の就業規則の内容自体の相当性、代償措置その他関連する他の労働条件の改善状況、労働組合等との交渉の経緯、他の労働組合又は他の従業員の対応、同種事項に関する我が国社会における一般的状況等を総合考慮して判断すべきである」(最高裁判所昭和43年12月25日大法廷判決)

 

<変更を有効だとした裁判例>

会社が赤字のときには、賃金の増額を期待できないし、8割程度の従業員は賃金が増額しているので、不利益の程度はさほど大きくない。

収益改善のための措置を必要としていたこと、労働組合と合意には至らなかったものの、実施までに制度の説明も含めて8回、その後の交渉を含めれば十数回に及ぶ団体交渉を行っており、労働組合に属しない従業員はいずれも新賃金規程を受け入れていることから、新給与規定への変更は合理性がある。

(ハクスイテック事件 大阪高裁平成13年8月30日判決)

 

<変更を有効だとした裁判例>

主力商品の競争が激化した経営状況の中で、従業員の労働生産性を高めて競争力を強化する高度の必要性があった。

新賃金制度は、従業員に対して支給する賃金原資の配分の仕方をより合理的なものに改めようとするものであって、どの従業員にも自己研鑽による職務遂行能力等の向上により昇格し、昇給することができるという平等な機会を保障している。

人事評価制度についても、最低限度必要とされる程度の合理性を肯定し得るものであることからすれば、上記の必要性に見合ったものとして相当である。

会社があらかじめ従業員に変更内容の概要を通知して周知に努め、一部の従業員の所属する労働組合との団体交渉を通じて、労使間の合意により円滑に賃金制度の変更を行おうと努めていたという労使の交渉の経緯や、それなりの緩和措置としての意義を有する経過措置が採られたことなど諸事情を総合考慮するならば、上記のとおり不利益性があり、現実に採られた経過措置が2年間に限って賃金減額分の一部を補てんするにとどまるものであっていささか性急で柔軟性に欠ける嫌いがないとはいえない点を考慮しても、なお、上記の不利益を法的に受忍させることもやむを得ない程度の、高度の必要性に基づいた合理的な内容のものであるといわざるを得ない。

(ノイズ研究所事件 東京高裁平成18年6月22日判決)

 

<結論として>

このように、具体的な事情によって、裁判所の判断は分かれます。

変更を有効だとしたノイズ研究所事件の判決も、具体的な事情を踏まえたギリギリの判断であったことが伺えます。

結論として、就業規則の変更により成果主義の給与とするには、新しい給与制度そのものの合理性も必要ですし、説明会などの段取りも大事です。

どこまでやれば良いかは、数多くの労働判例を見比べて考えなければなりません。

こうした専門性の高いことは、素人判断で進めてしまわず、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

以上は、就業規則がある会社についての話です。

就業規則が無い会社では、労働契約法の次の規定が適用され、一人ひとりの労働者の同意が必要になりますのでご注意ください。

 

第八条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

 

2018.02.20.解決社労士

<契約期間中の解雇>

労働契約法に、次の規定があります。

 

第十七条 使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

 

この中の「やむを得ない事由」とは、契約期間の約束があるにもかかわらず、期間満了を待つことなく雇用を終了せざるを得ないような特別の重大な事由を指します。

 

<裁判所の判断>

「やむを得ない事由」の有無を最終的に判断するのは裁判所です。

裁判例では、就業規則で副業を禁止しているケースでも、「職場秩序に影響せず、かつ、使用者に対する労務提供に格別の支障を生ぜしめない程度・態様の二重就職については、兼職(二重就職)を禁止した就業規則の条項には実質的には違反しない」という判断が示されています。(上智学院事件 東京地判平成20年12月5日)

 

<判断の理由>

この判決は、判断理由として次のように述べています。

「就業規則は使用者がその事業活動を円滑に遂行するに必要な限りでの規律と秩序を根拠づけるにすぎず、労働者の私生活に対する一般的支配までを生ぜしめるものではない。

兼職(二重就職)は、本来は使用者の労働契約上の権限の及び得ない労働者の私生活における行為であるから、兼職(二重就職)許可制に形式的には違反する場合であっても、職場秩序に影響せず、かつ、使用者に対する労務提供に格別の支障を生ぜしめない程度・態様の二重就職については、兼職(二重就職)を禁止した就業規則の条項には実質的には違反しないものと解するのが相当である」

 

<わかりやすく言うと>

従業員がライバル企業での兼業を始めても、それはプライベートの時間に行っていることなので、原則として禁止できないし、たとえ就業規則に兼業禁止を定めてあっても結論は変わらないということです。

確かに会社としては、「道義的にどうなのか」「裏切り行為ではないか」など、いろいろと不愉快な気持ちにはなります。

しかし、所定の労働時間以外の時間をどのように利用するかは労働者の自由であり、職業選択の自由も保障されています。〔日本国憲法22条1項〕

憲法で保障された権利を、民間企業が否定することは、明らかな人権侵害になってしまうのです。

 

<兼業を禁止できる場合>

先述の上智学院事件の判決でも示されているように、「職場秩序に影響せず、かつ、使用者に対する労務提供に格別の支障を生ぜしめない程度・態様」なら兼業を禁止できないということですから、この条件を満たさない場合には、兼業を禁止できることになります。

そして、裁判で争われ兼業禁止が認められた例として次のものがあります。

・労務提供に支障をきたす程度の長時間の二重就職(小川建設事件 東京地決昭和57年11月19日)

・競業会社の取締役への就任(東京メデカルサービス事件 東京地判平成3年4月8日)

・従業員に特別加算金を支給しつつ残業を廃止し、疲労回復・能率向上に努めていた期間中の同業会社における労働(昭和室内装備事件 福岡地判昭和47年10月20日)

・病気による休業中の自営業経営(ジャムコ立川工場事件 東京地八王子支判平成17年3月16日)

いずれも、「やむを得ない事由」があるといえるケースです。

 

兼業している従業員を解雇することは、多くの場合、不当解雇とされ無効になります。この場合、訴訟になれば、その従業員が働いていなくても、決着がつくまでの間の賃金は企業側に支払い義務が発生します。

こうした専門性の高いことは、問題をこじらせてしまう前に、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

2018.02.19.解決社労士

<無期転換の影響>

平成304月から、有期労働契約で働いている人が無期転換の申込権を使うと、会社側の意思とは無関係に無期労働契約に変更されます。〔労働契約法18条〕

無期労働契約になってからの労働条件は、就業規則や労使の話し合いで決まることになりますから、必ずしも正社員になるわけではありません。

しかし、就業規則の正社員の定義が「期間の定めなく雇用されている従業員」などとなっていれば、無期転換の申し込みをした有期契約労働者は、自動的に正社員になってしまいます。

 

<定義の重要性>

「正社員」というのは、法律用語ではありませんから法令には定義がありません。

各企業が独自の定義を定めていたり、あいまいにされていたり、定義が無かったりというのが実態です。

もし、正社員だけに賞与や退職金を支給している会社で、退職予定のパートさんから「退職金はいくらですか?今までもらえなかった賞与は、まとめてもらえますか?」という質問が出ても、「就業規則の定義により正社員とされていないあなたには支給されません」と説明できます。

しかし、「正社員」の定義がしっかりしていないため、会社が訴えられて、裁判所から過去の賞与や退職金の支給を命じられることもあります。

一人がこれに成功すれば、他の退職者からも請求されることになるでしょう。

退職金請求権の消滅時効期間は5年間ですから、5年近く前の退職者からも訴えられる可能性があります。〔労働基準法115条〕

 

<定義規定の例>

就業規則には、「正社員として採用された従業員、および、正社員以外から正社員に登用された従業員」のような表現で定めておくのが楽だと思います。

こうしておけば、今後、何らかの法改正があったとしても、それによる影響は受けないでしょう。

ただし、就業規則の規定だけだと、「正社員として採用された」かどうかの証拠が残りません。

労働条件通知書の「雇用形態」「社員区分」などの欄に「正社員」「正社員以外」「パート社員」「嘱託社員」のように明示しておくことが必要になります。

労働条件通知書は、入社時と賃金など労働条件の変更時に、従業員に交付される書類ですから、ここで「正社員であること」あるいは「正社員ではないこと」を正式に確認できます。

なお、厚生労働省のホームページでダウンロードできる労働条件通知書には、「雇用形態」「社員区分」などの欄がありませんから、Word形式でダウンロードしたものに手を加えて使用することをお勧めします。

 

就業規則が無かったり、労働条件通知書の交付を怠っていたりは、トラブルの元になります。こうしたことを一気に解消するためには、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

 

2018.02.18.解決社労士

<望ましい社員像>

企画力、実行力、改善力といった能力が高い人は、これらの能力が低い人よりも、良い評価を与えられます。

これらの能力は、業務遂行に必要であり、高いレベルで身に着けていることが望ましいからです。

同様に、責任性、積極性、協調性が優れている人は、これらの態度が見られない人よりも、良い評価を与えられます。

これらの態度は、職場の一員として必要であり、組織全体に良い影響を与えますから望ましいと考えられるのです。

このように、人事考課の基準というのは、職場にとって望ましいものを高く評価し、望ましくないものを低く評価するようにできています。

極論すれば、すべての項目で最高の評価を与えられる社員は、理想的な社員ということになります。

 

<考課基準公開のメリット>

良い評価には、昇給や賞与の増額など、処遇のアップが伴います。

ですから、向上心も欲も無い一部の社員を除けば、良い評価を与えられたいと望んでいます。

しかし、考課基準を秘密事項に設定し、一部の考課者だけが知る情報としていたら、一般の社員は、どうしたら良い評価を得られるのか、努力の方向が見えないことになります。

やはり、具体的な評価基準を社内に公開することによって、理想的な社員像に近づく努力を促した方が、会社にとっても社員にとってもメリットが大きいということになります。

 

<違法な考課基準>

次のような考課基準の例は、すべて違法なものです。たとえ文書化されていないとしても、人事考課の運用基準として、加味してはならない項目ばかりです。

・年次有給休暇を多く取得するほど評価が下がる。

・サービス残業や持ち帰り仕事が多いほど評価が上がる。

・労働組合に入っていると評価が下がる。

・結婚や出産の予定があると評価が下がる。

・パワハラやセクハラの被害にあったと主張すると評価が下がる。

・会社の労働基準法違反の事実を労働基準監督署にチクると評価が下がる。

・法定の権利を主張して育児や介護のために休むと評価が下がる。

このような違法な考課基準があれば、直ちに改善すべきです。こうした項目を含む人事考課基準を公開してしまっては、大問題になるでしょう。

 

人手不足の影響で、社員の出入りが激しくなり、ますます人事考課制度が重要になっています。

今運用している人事考課基準が理想の社員像を示しているのか、基準の中に違法なものは含まれていないかなどの再確認は専門性の高い業務ですから、社内に適任者がいないかもしれません。

人事考課制度の導入や改善、考課者研修など、まとめて委託するのであれば、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

 

2018.02.17.解決社労士

シンガー・ソーイング・メシーン事件判決>

シンガー・ソーイング・メシーン事件は、退職金放棄の有効性について争われたものです。

この判決は、「賃金に当る退職金債権放棄の意思表示は、それが労働者の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、有効である」と述べています。(最高裁第二小法廷 昭和48年1月19日判決)

そして、この判決の趣旨は、有期雇用契約を更新しないという、使用者と労働者との合意について、その有効性を判断する基準としても参考になるものです。

つまり、「雇用契約の不更新についての労使間の合意は、それが労働者の自由な意思に基づくものであると認めるに足りる合理的な理由が客観的に存在するときは、有効である」と考えられます。

 

<「合理的な理由が客観的に存在」とは>

この基準の中の「合理的」というのは、「労働契約法などが有期契約労働者を保護する趣旨や目的に適合する」という意味だと考えられます。

また、「客観的」というのは、「裁判官の判断」を指していると考えられます。

そして、裁判官が判断するには、有期契約労働者の生活が不安定にならないように、労働契約法などの趣旨を踏まえて、会社がどれだけ誠意ある態度を示しているかが重要な要素となります。

 

<労働者の自由な意思>

合意書に労働者の署名捺印があったとしても、それが「労働者の自由な意思」によるものでなければ、有効ではないのです。

そして、「労働者の自由な意思」によるものだと認められるためには、すべての具体的な事情から、強制の要素が無く、労働者が合意するのも自然なことであり、もっともな事情があったと認定される必要があります。

 

<会社の誠意ある態度>

会社の誠意ある態度は、次のような事実から認定されます。

・入社してから不更新の合意までの期間が短いこと

・説明会や面談での説明回数が多いこと

・退職金や慰労金など金銭の支払いがあること

いずれも、有期契約労働者が契約打ち切り後の生活について、十分な準備ができるようにするための配慮です。

 

<具体的な判断方法>

こうすれば確実に契約の不更新が許されるというような、明確な基準はありません。

ここでは、シンガー・ソーイング・メシーン事件で示された最高裁の判断を頼りに一応の基準を示しました。

しかし、無期転換と不更新合意について、現時点では、最高裁の判例が存在しません。

ですから、過去の裁判例のうち、具体的なケースに関連したものを抽出して、論理的に結論を推定するしかないのです。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

 

2018.02.16.解決社労士

<対比誤差>

「あの人と比べてどうか」と評価対象者同士の比較により評価するのは、その会社の人事考課が相対評価であれば当然のことです。

しかし、人事考課制度の主流を占める絶対評価では、評価対象者同士の比較はしません。

どちらの場合でも、考課者が無意識に自分と対比して評価してしまう危険はあります。

この危険を対比誤差といいます。

 

基準を考課者自身に置いてしまえば、経験や実績を積んだ自分と部下とを比べて低く評価することになります。特に、自分の得意分野の仕事については、「なぜこんなこともできないのか」という気持ちを抱きやすくなりますから、厳しい評価になってしまいます。

反対に、考課者の不得意な知識や技能を持っている部下の評価が、不当に高い評価となってしまうこともあります。自分のできないことを行っている部下は、なんとなく優秀に見えてしまうのです。

こうして、自分の得意分野には厳しく、不得意な分野については甘く評価する危険があるのです。

 

<役職者の能力不足と対策>

役職者には、部下の一人ひとりを育てる役目があります。そのためには、部下の具体的な業務内容をしっかり把握する必要があります。

これを怠ってしまうと、特に自分の不得意な知識や技能を持っている部下の業務内容を把握できないことになります。

こうして、自分の得意な仕事を担当している部下の指導は手厚くて、自分がよく解らない仕事を担当している部下のことは指導できないというのでは、部下の成長にも差がついてしまいます。

 

こうした不公平が起こらないように、役職者は、自分の不得意な仕事を抱えている部下に対して、積極的にコミュニケーションを試み、具体的な仕事内容を把握し、その仕事について勉強する必要があります。

役職者個人の努力に期待するだけでなく、会社が実施する役職者を対象とする研修の内容に、部下の仕事を学ぶノウハウなどが含まれていなければなりません。

そして、教育・研修を受けても、部下の仕事を学ぼうとしない人、学べない人は、役職者の適性を欠いているわけですから、異動を検討することになります。

 

人事考課制度の導入や改善、考課者研修など、まとめて委託するのであれば、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

 

2018.02.15.解決社労士

<論理誤差>

考課者が自己流の推論で評価対象者の人格を決めつけ、各評価項目の評価をしてしまうことがあります。

 

・時々遅刻するのはルーズな性格だからだ。

・営業成績が優れているのは押しが強いからだ。

これらは、仕事に関わる事実のほんの一部を手がかりとした推論に過ぎません。

 

・お金持ちの家に育ち甘やかされて育ったので忍耐力が無い。

・小学生の頃から日記を書き続けているので根気強い。

これらは一つの事実、しかも仕事とは無関係な事実から評価を推論しています。

 

論理誤差とは、数多くの事実に基づき客観的に評価せず、主観的な推論で評価してしまうことをいいます。

 

<考課者としての対策>

この論理誤差による弊害を防ぐには、評価項目ごとになるべく多くの事実に基づいた評価をすることが必要です。

つまり考課者は、日々の業務の中で、評価対象者の仕事ぶりに関する事実を数多く拾って記録しておく必要があります。

 

<会社としての対策>

考課者が対象者の働きぶりをコンスタントに記録して評価の実施に備えるというのは、実際にはむずかしいものです。どうしても、サボりがちです。

しかし、考課者が事実に基づかず単なる印象で評価してしまうのでは、適正な人事考課制度の運用はできません。

考課者に対しては、定期的な考課者研修を実施すること、考課表には評価の根拠となる事実を数多く記入する欄を設けることが必要です。

手間のかかることではありますが、評価される側からすると、考課者個人の勝手な印象で評価を決められたのではたまりません。

 

人手不足の影響で、社員の出入りが激しくなり、ますます人事考課制度が重要になっています。

人事考課制度の導入や改善、考課者研修など、まとめて委託するのであれば、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

 

2018.02.14.解決社労士

<期末誤差>

就業規則で昇給時期や賞与支給時期が決まっているのが一般です。

給与の決定には1年間の、賞与の決定には半年程度の人事考課期間が設定されていることでしょう。

考課者にとっては、評価期間の最初の方よりも、評価期間の最後の方が印象が強いため、評価決定に近い時期の働きぶりを重視しすぎてしまう傾向が見られることもあります。これを期末誤差といいます。

評価される社員の中には、このことを期待して、評価の実施時期が近づくと張り切る人もいます。中には、出勤するなり「今日も1日頑張るぞ!」と気合を入れ、勤務終了時に「今日も1日頑張ったなぁ!」と言うような口先だけの人もいます。そして、この時期だけ残業する人も…

 

<考課者としての対策>

期末誤差を防ぐには、考課者が対象者の働きぶりをコンスタントに記録して評価の実施に備えておくこと、評価対象者と定期的に話をして常に働きぶりを見ていることを伝えておくことが必要です。

 

<会社としての対策>

考課者が対象者の働きぶりをコンスタントに記録して評価の実施に備えるというのは、実際にはむずかしいものです。どうしても、後回しにしがちです。

考課者に対しては、毎月、評価対象者の評価を会社に提出させるなど、明確な義務を負わせるのが確実です。

また、人事考課については、定期的な考課者研修が必須ですが、評価される側の一般社員に対しても、人事考課制度についての説明会が必要だと思われます。

評価が適正に行われるようにするためにも、会社は全社員に人事考課制度を理解させなければなりません。

 

人手不足の影響で、社員の出入りが激しくなり、ますます人事考課制度が重要になっています。

人事考課制度の導入や改善、考課者研修など、まとめて委託するのであれば、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

 

2018.02.13.解決社労士

<酷評化傾向(厳格化傾向)>

酷評化傾向というのは、評価がついつい厳しくなる傾向です。

仕事をこなす能力の高い人が、自分を基準にして評価する場合に起こります。

また、実際に能力が高いわけではないのに、自分にかなり自信を持っている人も同じ傾向を示します。

完璧主義者に多く見られ、対象者を追い詰め重箱の隅を突くようなあら探しをしてしまう傾向があります。

評価に差が出ないため人事考課の目的を果たせないこと、評価対象者が絶望してしまい転職を考えることが問題となります。

 

<役職者としての能力不足>

役職者には、部下の一人ひとりを育てる役目もあります。そのためには、部下の具体的な業務内容だけでなく、個性もしっかり把握する必要があります。

部下の全員が自分と同じ個性を持っているかのように振る舞っていては、部下を育てることができません。

そもそも、自分自身の成長や昇進ばかりを考えている役職者では、部下をどう育てるかの指針や目標を立てることも困難です。

 

<酷評化傾向を示す役職者への対応>

人事考課制度を適正に運用するためには、考課者に対する定期的な教育研修の実施が大事です。

そして、酷評化傾向を示す役職者には、人事考課の目的の再確認、部下を育てる能力の開発や役割認識について、重点的な教育研修が必要でしょう。

それでもなお、きちんとした人事評価ができないのであれば、適性を欠くものとして考課者から外すことも考えなければなりません。

そもそも、こうした人物が役職者になってしまうのは、個人的な能力の高さだけで抜擢され、人を育てる能力が評価されていない可能性が高いでしょう。

 

人事考課制度の導入や改善、考課者研修など、まとめて委託するのであれば、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

 

2018.02.12.解決社労士

<寛大化傾向>

寛大化傾向というのは、評価への批判や反発を恐れ、あるいは評価対象者への気遣いから、評価がついつい甘くなる傾向です。

部下に「嫌われたくない」「よく思われたい」という感情に支配されてしまうとこうした傾向が見られます。

評価に差が出ないため人事考課の目的を果たせないこと、評価対象者が甘えてしまい成長しなくなることが問題となります。

 

<役職者としての能力不足>

役職者には、コミュニケーション能力が必要です。人脈を広げる努力も求められます。

また、部下を客観的に評価するためには、世間一般の同業で働く人たちや同一職種の人たちの働きぶりを把握していることが必要です。

「井の中の蛙 大海を知らず」というのでは、部下を広い目で客観的に評価できません。

そもそも、部下をどう育てるかの指針や目標を立てることも困難です。

 

<寛大化傾向を示す役職者への対応>

人事考課制度を適正に運用するためには、考課者に対する定期的な教育研修の実施が大事です。

そして、寛大化傾向を示す役職者には、人事考課の目的の再確認、コミュニケーション能力の強化について、重点的な教育研修が必要でしょう。

一方で会社から、人脈を広げやすくするためのサポートもしてあげたいところです。

それでもなお、きちんとした人事評価ができないのであれば、適性を欠くものとして考課者から外すことも考えなければなりません。

そもそも、こうした人物が役職者になってしまうこと自体、適正な人事考課制度の運用ができていなかったり、人事政策が失敗していたりの可能性があります。

 

制度の導入や改善、考課者研修など、まとめて委託するのであれば、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

 

2018.02.11.解決社労士

<中央化傾向(中心化傾向)>

中央化傾向というのは、極端な評価を避けようとして、評価を真中に集めてしまう傾向があることを意味します。

たとえば、5段階評価で3ばかりつけてしまうのは中央化傾向の典型例です。

平均値で評価しておけば、評価対象者からクレームをつけられないだろうという臆病な考え方をしたり、普段の仕事ぶりをきちんと把握していないために判断できなかったりすると、このような傾向が見られます。

 

<役職者としての能力不足>

部下の意見や提案を聞きながら業務を進めるのは、部下を育てるためにも、モチベーションを維持するためにも、役職者にとって必要なことです。

しかし、部下の考えを吸い上げないまま、あれこれ想像して、部下の批判を恐れているようでは、役職者として能力不足です。

また、部下の具体的な働きぶりを把握していなければ、指導することは困難ですから、やはり役職者に必要な能力を欠いているということになります。

 

<中央化傾向を示す役職者への対応>

人事考課制度を適正に運用するためには、考課者に対する定期的な教育研修の実施が大事です。

そして、中央化傾向を示す役職者には、重点的な教育研修が必要でしょう。

それでもなお、きちんとした人事評価ができないのであれば、適性を欠くものとして考課者から外すことも考えなければなりません。

そもそも、こうした人物が役職者になってしまうこと自体、適正な人事考課制度の運用ができていなかったり、人事政策が失敗していたりの可能性があります。

たとえば、「縁故採用」までは良いとしても、役職者への「縁故登用」をしてしまうと、こうした役職者が増えてしまいます。

 

制度の導入や改善、考課者研修など、まとめて委託するのであれば、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

 

2018.02.10.解決社労士

<ハロー効果>

ハロー効果とは、ある際立った特徴を持っている場合に、それが全体の評価に影響してしまうことです。

英語のハロー(halo)は、日本語では後光(ごこう)といいます。

仏やキリストなどの体から発するとされる光です。仏像の背中に放射状の光として表現されています。

この光がまぶしくて、真の姿が見えなくなってしまうのでしょう。

 

<プラス評価の場合>

たとえば、次のように思い込んでしまう例があげられます。

・〇〇大学を卒業している → 学力だけでなく人格も優れている

・将棋の有段者である → 頭が良くて勝負勘がある

・国体の出場経験がある → 目標を達成する意欲が高い

これらの例では、矢印の左側が根拠となる事実であり、右側が結論なのですが、そもそも仕事に関わる事実ではないものが根拠となっています。

 

<マイナス評価の場合>

たとえば、次のように思い込んでしまう例があげられます。

・太っている → 健康状態が悪い、自己管理能力が低い

・高校を中退している → 忍耐力が乏しい、社会性が欠如している

こちらも仕事に関わる事実ではないものが根拠となっています。

 

<評価項目間の影響>

特定の評価項目の評価が際立っているために、他の評価項目の評価にまで影響してしまうことがあります。

・積極性が高い → 応用力が高い

・責任性が高い → 規律性が高い

 

<実際のハロー効果と対処法>

実際の人事考課では、ある人について「優れている」というレッテルを貼り、あらゆる評価項目について評価が甘くなってしまうことがあります。

「あばたもえくぼ」です。「あばた」というのは、天然痘が治った後に皮膚に残るくぼみのことです。大好きな人の顔にある「あばた」が「えくぼ」に見えてしまうのです。

 

反対に、「劣っている」というレッテルを貼り、あらゆる評価項目について評価が厳しくなってしまうことがあります。

「坊主憎けりゃ袈裟(けさ)まで憎い」です。袈裟というのは、仏教の僧侶が身に着ける衣装のことです。坊主を憎んでしまうと、その坊主が着ている衣装まで憎く思われるということです。

 

人事考課では、人物を評価するのではなく、評価項目ごとに客観的な評価をする必要があります。先入観を捨てる必要があるのです。

人事考課制度を適正に運用するためには、考課者に対する定期的な教育研修の実施が大事です。

制度の導入や改善、考課者研修など、まとめて委託するのであれば、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

 

2018.02.09.解決社労士

<相対評価>

相対評価では、社内の評価対象の社員たちが基準となります。

上位3分の1の成績なら評価A、中位3分の1は評価B、下位3分の1は評価Cというように、評価A~評価Cの割合を予め決めておいて評価を決定します。

この方法では、社内や部署内での順位によって評価が決まることになります。

 

<絶対評価>

絶対評価では、世間一般の同業で働く人たちや同一職種の人たちが基準となります。

この方法では、評価対象の社員が皆優秀であれば全員が評価Aとなることもあり、反対に全員が評価Cとなることもありえます。

 

<社員の努力目標として>

相対評価なら、社員は社内や自部署で1番になることを目指します。

どうしても、「お山の大将」「井の中の蛙」ということになります。

また、社員同士が切磋琢磨すれば良いのですが、足の引っ張り合いも懸念されます。

絶対評価だと、最終目標は日本一や世界一ということになりそうです。

個人の性格にもよりますが、最終目標は高い方が良いのではないでしょうか。

 

<評価の変動>

相対評価で、自分の評価を上げるには、誰かを追い抜かさなければなりません。

下がれば「誰に抜かされたのだろう?」と疑心暗鬼を生じてしまいます。

絶対評価の場合、人事考課制度を導入し始めた頃は、社員たちが評価を意識せずに働いていますから、一般に評価が低くなります。しかし、評価を意識して働くようになると、社員全体の評価が少しずつ向上する傾向が見られます。

こうして一定の期間、社員全体の評価が向上した後は、世間一般のレベルアップを上回って向上した場合に限り評価が上がり、前年と同じ働きぶりを続ける社員の評価は下がっていくことになります。

 

<達成感と危機感>

相対評価では、全員がそろって向上した場合には達成感がありません。反対に、全員がレベルダウンしても気付きにくいという危険があります。

社員に達成感や危機感を持たせるには、絶対評価の方が向いています。

 

<解雇の基準として>

やむを得ず整理解雇をするときは、過去数年間の評価が悪い社員を対象とすることも考えられます。

相対評価でも絶対評価でも、整理解雇の対象者を決める客観的な基準として、一定の合理性が認められるでしょう。

一方、相対評価で一定の期間にわたって成績の悪い社員を能力不足と考えて解雇した場合は、解雇権の濫用であり不当解雇となるので、その解雇は無効であるとされています。

相対評価なら、優秀な社員しかいない会社でも、一定の割合で評価の低い社員は必ずいるわけですから、評価を理由に「仕事ができない」と認定することはできないからです。

 

<人事考課制度導入や改善にあたって>

人事考課制度をどのようにするかの判断は、各企業の裁量の幅が大きいのですが、会社や社員ひとり一人に対する影響だけでなく、そこから生じうる労働法上の問題を踏まえて検討するのなら、社会保険労務士への依頼をお勧めします。

 

2018.02.08.解決社労士

モデル就業規則が平成30年1月31日に改定されました。

 

<モデル就業規則とは>

 

常時10人以上の従業員を使用する使用者は、労働基準法89条の規定により、就業規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出なければならないとされています。

就業規則を変更する場合も同様に、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。

 

これを受けて、厚生労働省は就業規則のひな形を公表しています。これが「モデル就業規則」です。

各事業場は「モデル就業規則」の規程例や解説を参考に、各事業場の実情に応じた就業規則の作成・届出を行うことになります。

 

就業規則は、各事業場の実情に合っていなければ、トラブルの種となってしまうことがあります。

「モデル就業規則」は、規定例だけでなく詳細な解説が施されていますので、これを手がかりにカスタマイズすることになります。

職場にカスタマイズできる専門家がいない場合には、社会保険労務士に依頼するなどして、実情に合った就業規則とする必要があります。

 

<新設規定>

 

マタニティ・ハラスメントの禁止規定(14条)

パワハラ、セクハラに続き、マタハラの禁止規定が新設されました。

政府による少子高齢化対策の継続的な推進に対応しています。

 

その他のハラスメントの禁止規定(15条)

標題は「その他あらゆるハラスメントの禁止」となっていますが、「性的指向・性自認に関する言動によるもの」を示していますので、LGBTへの対応を考えたものと思われます。

ハラスメントは、嫌がらせであり人権侵害ですから、刑法などにより処罰されたり、民法や会社法による損害賠償の対象となったりしますが、就業規則に明示して従業員に周知する必要があります。

 

副業・兼業についての規定(67条)

政府による少子高齢化対策に関連して、働き方改革の推進も行われます。

企業に対しては、副業・兼業の容認が求められていますので、これに関する規定が新設されました。

 

<変更・修正>

 

労働条件の通知(7条)の解説

採用内定に際しては、内定者に労働条件を書面で明示する必要があることの説明が追加されました。

 

人事異動(8条)の解説

育児休業や介護休業への配慮についての説明が追加されました。

 

遵守事項(11条)の一部削除

「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定が削除されました。

企業に対しては、副業・兼業の容認が求められていますので、これに対応した変更です。

 

始業及び終業時刻の記録(17条)の解説

労働時間の「適正把握基準」が、平成29120日に「適正把握ガイドライン」に代わりましたので、これへの対応です。

従業員について、労働時間の把握が厳格化されています。

社外での勤務について、きちんと労働時間を把握していない職場は対応が迫られています。

 

労働時間及び休憩時間(19条)の解説

手待ち時間についての説明を「適正把握ガイドライン」の記載に合わせて修正しています。

 

家族手当(33条)の変更

家族手当から、配偶者手当が削除されています。

これも、政府による少子高齢化対策の継続的な推進に対応しています。

配偶者手当があると、専業主婦は働き手になりにくいので、これをなくして積極的に働きに出るよう促すわけです。

 

2018.02.07.解決社労士

<不正受給とは>

失業手当(求職者給付の基本手当)や雇用継続給付(高年齢雇用継続給付・育児休業給付・介護休業給付)など、失業等給付の支給を受ける権利が無いのに、不正な手段によって支給を受けたり、支給を受けようとしたりすると、不正受給となります。

つまり、実際に給付を受けていなくても不正受給となります。

 

<不正受給の処分>

不正受給があった場合には、次のような処分が行われます。

・不正のあった日から、雇用継続給付、基本手当等の支給を受ける権利がなくなります(支給停止)。

・不正な行為により支給を受けた金額は、全額返還しなければなりません(返還命令)。

・さらに悪質な場合には、不正な行為により支給を受けた金額の最高2倍の金額の納付が命ぜられます(納付命令)。この場合、不正受給した金額の返還と併せて、3倍の金額を納めなければなりません。

これらの支払いを怠った場合は、財産の差し押えが行われる場合があります。

・刑法により処罰されることがあります。詐欺罪(刑法2461項)の場合、10年以下の懲役に処せられます。

 

<事業主との連帯責任>

事業主が虚偽の申請書等を提出した場合は、事業主も連帯して返還命令や納付命令処分を受けることがあります。

また、同一事業所で一定期間に複数回連続して就職、離職、失業等給付の基本手当の受給を繰り返している人(循環的離職者)を再び雇用した場合は、雇用保険の受給資格決定前から再雇用予約があったものとして受給資格者本人だけでなく、事業主も共謀して不正受給したとして連帯して返還命令処分を受ける場合があります。

 

<ハローワークによる調査>

不正受給の疑いがある場合には、ハローワークによる調査が行われます。

失業等給付を受けていた人を採用した場合に、その人を採用した時期の点検等のため、ハローワークが事業主から関係書類を借りる場合があります。

また、循環的離職者を雇用する(雇用していた)事業主へ再雇用予約の有無等について、ハローワークが確認の連絡をする場合もあります。

 

ハローワークには、雇用保険給付調査官が配置され、不正受給者の摘発や実地調査を行なっています。この場合には、企業の訪問調査も行われています。

 

<不正受給のうっかりポイント>

労働者を採用した場合、雇用年月日の理解が不正確なために不正受給につながることがよくあります。

試用期間や見習期間も雇入れのうちですから、この期間の初日が雇用年月日となります。

この期間について失業等給付(基本手当)を受給すると不正受給になります。

 

失業等給付(基本手当)を受給している人が、内職、アルバイト、手伝い等をした場合は、ハローワークへ申告をしなければなりません。

失業中にアルバイトなどをすること自体は違法ではありませんが、必要な申告を怠ると不正受給になります。

 

対象者本人から、雇入年月日、賃金や労働日数、働いていた期間等について、事実と相違する書類が提出されることもあります。しかし、事業主は事実に基づく証明をしなければなりません。万一、偽りの記入を求められても絶対に受け入れないようにしてください。

 

不正受給に関して、事業主の証明が誤っていたり、承知しながら見逃していたりした場合、事業主も連帯責任を問われることがあります。うっかりしないように注意してください。

 

2018.02.06.解決社労士

<事業主が協力しましょう>

高年齢雇用継続給付・育児休業給付・介護休業給付に関する受給資格確認と支給申請の手続は、原則として、その対象者(被保険者)を雇用する事業主を経由して行うよう協力が求められています。

もし、手続きに詳しい人がいなければ、社会保険労務士に依頼するなどして、受給が遅れないようにしましょう。

 

<通知書と申請書>

ハローワークで雇用継続給付についての支給決定が行われると、コンピューターでの処理後、「支給決定通知書」と「次回の支給申請書」が交付されます。

これらの書類には、次の3つの役目がありますので、対象者本人(被保険者)に渡しましょう。

・支給金額を通知する。

・次回の支給対象期間と支給申請の期限を通知する。

・高年齢雇用継続給付の場合には、年金との併給調整手続に使用する。

 

<正しく手続きを>

高年齢雇用継続給付の支給額は、原則として、60 歳到達時(休業開始時)の賃金額と支給対象月(対象期間)に支払われた賃金額とを比較し、その低下に応じて決定されます。

そのため、給付金の支給決定後に、提出済みの賃金月額証明書や支給申請書について、賃金額の記載誤りや一部算入漏れ等があった場合には、正しい金額を計算し改めて支給するので、すでに支給された給付金を回収しなければならないケースが発生します。

 

また、育児休業給付や介護休業給付の支給対象期間中に職場復帰した場合の職場復帰日(介護休業終了日)の申告漏れがあった場合についても、正しく処理を行う必要があるため、上記と同様、すでに支給した給付金を回収しなければならないケースもあります。

 

こうした給付金の回収手続は、わずらわしいだけでなく、多額の給付金を一度に回収される場合もあるので、事業主や対象者(被保険者)に、かなりの負担・不利益を生じさせることもあります。

 

なるべく早く給付を受けられるよう、正確かつスピーディーな手続きを心がけましょう。

 

2018.02.05.解決社労士

<離職票の交付を希望しないとき>

※離職は退職に限られず、週所定労働時間が20時間未満となった場合等を含みます。

・提出書類・・・・・・「雇用保険被保険者資格喪失届」

※被保険者というのは保険の対象者のことです。脱退は、被保険者の資格を失うことなので、資格喪失といいます。

・提出期限・・・・・・被保険者でなくなった日の翌日から10 日以内

※被保険者が転職した場合に、資格喪失が遅れると、転職先での手続きがそれだけ遅れてしまいます。期限にかかわらず、なるべく早く手続きしましょう。

・提出先・・・・・・・・事業所の所在地を管轄するハローワーク

・持参するもの・・労働者名簿、賃金台帳、出勤簿(タイムカード)、雇用契約書など

 

<離職票の交付を希望するとき>

※59歳以上の離職者は本人が希望しなくても必ず離職票の交付が必要です。

・提出書類・・・・・・「雇用保険被保険者資格喪失届」「雇用保険被保険者離職証明書」

※「雇用保険被保険者離職証明書」は31組ですが、1枚ずつ名前(書類のタイトル)が違います。

・提出期日・・・・・・被保険者でなくなった日の翌日から10 日以内

※被保険者でなくなった人が給付を受けるのは、本人がハローワークで手続きをするのが早ければ、それだけ早くなります。手続きには、離職票が必要ですから1日も早く手続きして、離職票を渡しましょう。

・提出先・・・・・・・・事業所の所在地を管轄するハローワーク

・持参するもの・・労働者名簿、出勤簿(タイムカード)、賃金台帳、辞令及び他の社会保険の届出(控)、離職理由の確認できる書類(就業規則、役員会議事録など)。

 

<退職以外のとき>

「資格喪失届」は、次のような場合でも提出が必要です。

・被保険者資格の要件を満たさなくなったとき(週所定労働時間が20時間未満となった場合等)

・被保険者が法人の役員に就任したとき(ハローワークから兼務役員として労働者性が認められた場合を除く)

・被保険者として取り扱われた兼務役員が、従業員としての身分を失ったとき。

・他の事業所へ出向し、出向先から受ける賃金が、出向元の賃金を上回ったとき。

・被保険者が死亡したとき。

 

2018.02.04.解決社労士

<資格取得と喪失>

雇用保険の適用事業所に雇用される労働者は、正社員、準社員、パート・アルバイト等の呼称にかかわらず、原則として被保険者となります。

日常用語では、加入者などといいますが、法律用語では保険の対象となる人という意味で被保険者といいます。

これらの労働者は、原則として、その適用事業所に雇用される日から被保険者資格を取得し、離職等となった日の翌日から被保険者資格を喪失します。

離職は退職に限られず、週所定労働時間が20時間未満となった場合等を含みます。

これら被保険者に関する手続は、すべて適用事業所の所在地を管轄するハローワークで行います。

 

<被保険者となる労働者を新たに雇用したとき>

・提出書類・・・・・「雇用保険被保険者資格取得届」

・提出期限・・・・・雇用した日の属する月の翌月10 日まで

・提出先・・・・・・・事業所の所在地を管轄するハローワーク

※提出期限は、東京都の場合は件数が多いため、雇用した日の属する月の翌月末日までとなっています。

 

<添付書類>

次のいずれかに該当する場合には、賃金台帳、労働者名簿、出勤簿(タイムカード等)、その他社会保険の資格取得関係書類等その労働者を雇用したこと及びその年月日が明らかにするもの、有期契約労働者である場合には、書面により労働条件を確認できる就業規則、雇用契約書等の添付が必要です。

 

・事業主として初めての被保険者資格取得届を行う場合。

・被保険者資格取得届の提出期限を過ぎて提出する場合。

・過去3 年間に事業主の届出に起因する不正受給があった場合。

・労働保険料を滞納している場合。

・著しい不整合がある届出の場合。

・雇用保険法その他労働関係法令に係る著しい違反があった事業主による届出の場合。

 

株式会社等の取締役等であって従業員としての身分を有する人、事業主と同居している親族、在宅勤務者についての届出である場合には、雇用関係を確認

するための書類の提出が必要です。

 

社会保険労務士、労働保険事務組合を通じて提出する場合には、次のいずれかに該当する場合のみ、添付書類が必要となります。

・届出期限を著しく(原則として6か月)徒過した場合

・ハローワークにおいて、届出内容を確認する必要がある場合

 

2018.02.03.解決社労士

<いじめの勘違い>

職場で自分の意見が通らない、同僚から無視されている、自分だけが叱られている、したがって、「私はいじめられている」と感じる人がいます。

しかし、いつも見当外れの意見を言うので受け入れてもらえない、やがて同僚は相手にしなくなる、そして、上司は同じ注意を何度も繰り返すうちに声が大きくなるというように、本人に原因がありそうな事例もあります。

 

<東京地裁 平22年9月14日判決>

訴えを起こした人は、一般事務を担当する正社員でした。

しかし、身体、精神の障害により業務に耐えられないなどとして解雇されてしまいました。

これに対して、解雇権の濫用であり不当解雇なので解雇は無効であること、社長や上司による集団的いじめや嫌がらせを受けて多大な精神的苦痛を被ったので慰謝料などを請求すると主張したのです。

 

裁判で認定されたその人の働きぶりは次の通りです。

 

書類をファイルする場所を間違えることが多かった。

電話対応に問題があり、たびたび助言を受けていた。

仕事に慣れるペースが遅かった。

勤務態度について、上司からかなり厳しい注意を受けていた。

教育指導的観点から少しでも業務遂行能力を身につけさせるために、日報の作成を命じた。ところが、失敗に対する反省を書かないので、上司が業務の反省点や改善点も記入するように指導した。それでも書き漏れが多かった。

顧客から電話応対について感じが悪いとクレームを受けたため、ミーティングを開くなどして、本人に改善を求めたが受け入れなかった。

 

この裁判の判決では、社長や上司たちには、いじめや嫌がらせの動機や目的が無いものとされ、訴えを起こした人の請求は退けられました。

 

<対策として>

訴えを起こした人に対して、上司などが熱心に教育指導していることがわかります。これはこれで大事なことです。

しかし、そもそもこのような人を採用しないことは、教育以上に大事だと思います。採用した会社側にとっても負担が大きいですし、採用された側も自分の能力を超える要求をされて苦しいからです。

また、人事考課制度の適正な運用によって、働き手ひとり一人の能力や適性を明らかにしておくことも必要です。

ただ、こうした専門性の高いことは、社内に専任の担当者を置くことがむずかしいかもしれません。そのような会社では、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命いただくことをご検討ください。

 

2018.02.02.解決社労士

<集団いじめの危険性>

パワハラやセクハラは、加害者も直接の被害者も個人であることが多いものです。

しかし、職場環境や企業風土から、特定の個人が先輩や同僚から集団でいじめられることもありえます。

いじめによる自殺などの被害は、決して学校に限られたものではないのです。

 

加害者側は、ビートたけしのギャグにあるように「赤信号 みんなで渡れば 怖くない」という感覚、つまり、共同責任は無責任という感覚に陥っています。

「私だけが悪いわけではないから」という感覚でいじめに加わった場合、法律上はむしろ重い責任を負わされることになります。

刑法では共同正犯とされ、一部を実行したに過ぎなくても全部の責任を負わされます。〔刑法60条〕

民法では共同不法行為とされ、実際に行為に及んだ人も、手助けした人も、そそのかした人も、すべての損害に対する賠償責任を負わされます。〔民法719条〕

 

<大阪地裁 平成22年6月23日判決>

被害者の女性は、同僚の複数の女性社員たちから集団で、しかも、かなりの長期間継続していじめを受けました。

その内容も、陰湿で常軌を逸した悪質なひどいいじめでしたから、被害者の女性が受けた心理的負荷は強度なものでした。

上司たちは気づかなかったり、気づいた部分についても何ら対応を採らなかったりという無責任な態度でした。

ついに、被害者の女性は上司に相談するのですが、上司が何も防止策を採らなかったために、かえって失望感を深めてしまいました。

こうして、被害者の女性は不安障害と抑うつ状態を発症し、労災と認定されたのです。

 

この被害者女性は、特に弱い人ではなく、同僚の女性社員たちからの集団いじめと、会社の不対応が発症の原因であると裁判所により認定されました。

 

この事件では、労働基準監督署に対する労災保険の給付請求があったのに対して、労働基準監督署長が不支給の処分をしたため、被害者の女性が裁判所に訴えを起こしたのでした。

行政の判断が最終結論ではなく、それに不服があれば、訴訟により決着をつけるという道が残されています。

会社から見れば、こうした事件を予防するためにも、多くの労働裁判例を検討して対策をとる必要があるということです。

「とてもそこまで行う人材を社内で確保できない」ということであれば、労働法に明るい弁護士や社会保険労務士に依頼することも考えなければなりません。

 

2018.02.01.解決社労士

次の各項目にあてはまる労働者は、雇用保険の対象者(被保険者)とはなりません。

反対に、どれにもあてはまらない労働者を、雇い主側の判断で、対象から外し手続きを行わないのは違法となります。

 

(1) 1週間の所定労働時間が20 時間未満である人

「1週間の所定労働時間」とは、就業規則、雇用契約書などにより、その人が通常の週に勤務すべきこととされている時間のことをいいます。

この場合の通常の週とは、祝祭日やその振替休日、年末年始の休日、夏季休暇などの特別休日を含まない週をいいます。

 

1週間の所定労働時間が短期的かつ周期的に変動する場合には、その1周期の所定労働時間の平均を1週間の所定労働時間とします。

また、所定労働時間が複数の週で定められている場合は、各週の平均労働時間で考えます。

1か月単位で定められている場合は、1か月の所定労働時間を12倍して52 で割った時間とします。

1年単位で定められている場合は、1 年の所定労働時間を52 で割った時間とします。

52で割るのは、1年がおよそ52週だからです。

 

所定労働時間は、残業手当の計算や、年次有給休暇取得時の賃金計算に必要です。

そして、基本的な労働条件として、労働条件通知書などの書面により、労働者に通知することが雇い主の法的義務とされています。

ですから、所定労働時間を決めないことは、雇い主にいくつかの罰則が適用される結果をもたらします。

どうしても決め難いのであれば、社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

 

(2) 同一の事業主の適用事業に継続して31 日以上雇用されることが見込まれない人

「31 日以上雇用されることが見込まれる」というのは、次のような場合です。

・正社員など雇用期間を定めずに雇う場合

・有期労働契約で、最初の雇用期間が31日以上である場合

・有期労働契約で、最初の雇用期間は30日以内だが、契約期間の更新が予定されている場合

・有期労働契約で、最初は契約期間の更新を予定していなかったが、途中で更新することになり、結果的に31日以上の契約期間となる場合

・有期労働契約で、最初の雇用期間は30日以内だが、同様の契約で働いている人の多くが契約を更新され、実態として31日以上雇用されることが見込まれる場合

 

(3) 季節的に雇用される人であって、次のどちらかにあてはまる人

・4か月以内の期間を定めて雇用される人

・1週間の所定労働時間が30 時間未満の人

※いわゆる季節雇用の人についての基準です。

 

(4) 学校教育法1条の学校、124 条の専修学校、134 条の各種学校の学生または生徒

昼間の時間帯の授業に出席する学生などです。

通信制、単位制、定時制などの場合には、雇用保険の対象となります。

 

(5) 船員であって、特定漁船以外の漁船に乗り組むために雇用される人(1年を通じて船員として雇用される場合を除く)

 

(6) 国、都道府県、市区町村などの事業に雇用される人のうち、離職した場合に、他の法令、条例、規則等に基づいて支給を受けるべき諸給与の内容が、雇用保険の求職者給付および就職促進給付の内容を超えると認められる人

 

2018.01.31.解決社労士

<雇用保険の手続きの原則と例外>

雇用保険に関する事務処理は、原則として事務所、営業所、出張所、店舗などの事業所ごとに行うことになっています。

 

しかし、事業所の規模が小さくて、雇用保険の手続きを担当する人を置けないなどの事情がある場合には、その事業所の所在地を管轄するハローワークに「雇用保険事業所非該当承認申請書」を提出し承認を受けることによって、本社、支社など上位の事業所が一括して手続きを行えるようになります。

この場合、事業所の規模が小さいというのは、従業員の数が少ないとか、面積が狭いということではなくて、機能的に独立性を保てないことを意味します。

 

あくまでも、申請して承認を受ければ可能になるということですから、申請せずに会社の判断で本社、支店などがまとめて手続きできるわけではありません。

 

<申請が承認されるための条件>

申請が承認されるためには、労働者が働く場所や施設(事務所、営業所、出張所、店舗など)が、次の条件をすべて満たすことが必要です。

ただし労働保険について、継続事業の一括が認可されている施設は、原則として対象外となります。

 

●事業所非該当承認基準

・人事上、経理上、経営上(または業務上)の指揮監督、賃金の計算、支払などに独立性がないこと。

・健康保険、厚生年金保険、労災保険などについても、本社や主たる支社で一括処理されていること。

・労働者名簿、賃金台帳などの法定帳簿類が、本社や主たる支社に備え付けられていること。

 

この3つの条件のうち、1つ目の独立性については判断が微妙となりがちです。不安であれば、社会保険労務士にご相談ください。

 

<申請手続き>

・提出書類・・・・・「雇用保険事業所非該当承認申請書」(41組)

・提出期日・・・・・申請しようとする都度すみやかに

・提出先・・・・・・・非該当承認対象施設の所在地を管轄するハローワーク

 

新たな店舗などで勤務する人について、雇用保険の手続きが遅れてはいけませんから、後回しにせず、なるべく早く手続きしましょう。

 

2018.01.30.解決社労士

<「医療費のお知らせ」とは>

協会けんぽは、加入者が自分の治療等にかかった医療費について確認できるように、年1回「医療費のお知らせ」を発行しています。

今回も、平成302月に「医療費のお知らせ」が勤務先に送付されます。

送付されるのは、本人の分と扶養家族の分です。

ただし、任意継続被保険者は自宅に送付されます。

今回のお知らせは、主に平成2810月から平成2910月の間に医療機関等で受診した分となります。

 

<「医療費のお知らせ」と医療費控除>

「医療費のお知らせ」は、医療費控除の申告手続きに使えるようになりました。

平成29年分の確定申告から、領収書の提出の代わりに、医療費控除の明細書の添付が必要となりましたが、「医療費のお知らせ」を添付すると、明細の記入を省略でき、領収書の保管も不要となります。

 

ただし、「医療費のお知らせ」に記載されていない医療費分は、医療機関からの領収書に基づき作成した「医療費控除の明細書」を確定申告書に添付し、それらの領収書を5年間保存する必要があります

「医療費のお知らせ」は、前年の10月までの分となっていますので、11月分と12月分は「医療費控除の明細書」が必要となります。

 

「医療費のお知らせ」についての問い合わせ先は協会けんぽ、確定申告の医療費控除についての問い合わせ先は税務署となります。

 

2018.01.29.解決社労士

<明らかにおかしいのに>

自分の賃金と勤務時間からすると、最低賃金法違反だと思われるのに、何だか良く分からないので雇い主に何も主張できないという労働者がいます。

きちんと根拠を示して法令違反を主張したいのに、上手く計算できないというわけです。

 

<最低賃金額以上かどうかを確認する方法>

厚生労働省は、ホームページに次の説明を公開しています。

 

支払われる賃金が最低賃金額以上となっているかどうかを調べるには、最低賃金の対象となる賃金額と適用される最低賃金額を以下の方法で比較します。

 

(1) 時間給制の場合

時間給≧最低賃金額(時間額)

 

(2) 日給制の場合

日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

 

ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、

 

日給≧最低賃金額(日額)

 

(3) 月給制の場合

月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

 

(4) 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合

出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金計算期間に出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数で除して時間当たりの金額に換算し、最低賃金額(時間額)と比較します。

 

(5) 上記(1)、(2)、(3)、(4)の組み合わせの場合

例えば、基本給が日給制で、各手当(職務手当など)が月給制などの場合は、それぞれ上記(2)、(3)の式により時間額に換算し、それを合計したものと最低賃金額(時間額)を比較します。

 

<実は別の違法行為が>

自分の給与が最低賃金法違反のような気がするが、良く分からない、上手く計算できないという人の中に、時間給で働いている人はいません。

時間給であれば、それが最低賃金を下回っているかどうかが明らかだからです。

 

計算できないのは、日給や月給の人で、1日の所定労働時間や1か月の所定労働時間が明らかにされていない人たちです。

これではそもそも1時間当たりの賃金は計算できないのですから、当然のことなのです。

 

労働条件のうちの基本的な事項は、労働者に対して書面で通知するのが基本です。新人なら、1回目は雇い入れ通知書で、2回目からは契約更新の時や、時給変更、出勤日変更の時から労働条件通知書というパターンもあります。

 

「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。」〔労働基準法15条〕

 

これが労働基準法の定めです。そして、罰則もあります。

 

「三十万円以下の罰金に処する。」〔労働基準法120条1号〕

 

所定労働時間がわからないので、最低賃金法違反かどうかわからない人は、その前提となる労働条件通知書などの交付を求める必要があるでしょう。

雇い主に「賃金や労働時間などの条件を通知する書類をください」と言えばわかるはずです。

単に忘れているだけであることを期待しますが、「うちはそんなの出してないよ」ということならブラック確定です。

 

所定労働時間がわからないということは、残業手当の計算もできないですから、サービス残業もあると思われます。

 

<最低賃金法違反の罰則と企業名の公表>

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。

仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。

したがって、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。

 

また、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められています。

この罰則は実際に適用されていますし、厚生労働省のホームページで企業名が公表されています。長時間労働削減に向けた取組 ― 長時間労働削減推進本部 というページです。PDFファイルで表示されていますから保存も印刷も簡単です。

こうなると対象企業は、金融機関や取引先そしてお客様からの信頼を失いますし、求人広告を出しても応募者が集まらないのではないでしょうか。

 

2018.01.28.解決社労士

<人事考課制度の導入>

人事考課制度が無ければ、有能な社員ほど評価してもらえないことに対する不満が大きくなりますから退職に向かいます。

反対に、自己啓発をせず会社に貢献する気も無い社員は、人事考課によって不利益な扱いをされませんから居心地が良いわけです。

こんなことでは会社に将来性はありませんから、人事考課制度は会社にとって必須のものといえるでしょう。

しかし、導入による弊害もあるのです。

 

<パワーハラスメントの恐れ>

「職場の優位者が劣位者に対して仕事上接する際に必要以上に人権を侵害しうる行為」

これがパワハラです。

 

考課者は評価対象者よりも優位に立ちます。そのため、偉くなったような気になり、平気で評価対象者の人格を傷付けるような言動に走るようなこともあります。

このことを考課者自身が自覚して慎む必要があります。

 

評価対象者は、自分を評価する人が誰であるかを知っていますから、考課者から気に入ってもらおうとして、妙にへりくだった態度を取ることがあります。

考課制度の導入にあたっては、仕事ぶりを評価しているのであって、考課者の好き嫌いで評価するのではないことを説明しておく必要があります。

 

<改善提案や意見が出なくなる恐れ>

人事考課制度に対して極端に臆病な社員もいます。

「何もしなければ悪い評価はつかないのではないか」「下手に動いて墓穴を掘るのは損だ」と考えてしまいます。

すると、仕事についての改善提案や会社を良くするための意見が出て来なくなる恐れがあります。

 

これを防ぐためには、その内容にかかわらず、改善提案や積極的な意見がプラスに評価される仕組みにすること、提案や意見が無いとマイナス評価になることを評価対象者に説明しておくことが大事です。

 

2018.01.27.解決社労士

<誓約書とは>

誓約書とは、労働者が働くにあたって企業に対して負う義務の内容を確認し、義務に違反しないことを誓約する書面です。

万一義務違反があった場合には、一切の損害を賠償するという内容が含まれるのが一般です。

 

<誓約書の提出義務>

入社にあたって誓約書の提出を求めることは、長年にわたって広く一般化しています。

就業規則や労働条件通知書などに規定を置いて、誓約書の提出を採用条件としたり、採用後に誓約書を提出しないことを理由に採用取消としたりすることは、採用の時点でそのルールが知らされていれば違法ではありません。

ただし、採用の時点で説明が無かったにもかかわらず、採用後に誓約書の提出を求められた場合であれば、提出しないことを理由に解雇を通告するのは不当解雇になると解されます。

 

<誓約書の効力>

就業規則の一部を抜粋して順守を求める内容の誓約書であれば、元々守るべきことを再確認しているだけですから、ほとんど問題になることはないでしょう。

この場合は、誓約書を書かせることによって、労働者に心理的なプレッシャーを与えているだけのことです。つまり、心理的効果しか期待できません。

 

よく問題となるのは、労働者が退職後に同業他社への就職をしない義務を定めた誓約書です。

大前提として、労働者には職業選択の自由があります。〔憲法221項〕

しかし、この自由は絶対無制約ではありません。

そして、競業避止義務の誓約は、合理性を欠き公序良俗に反するときだけ、無効とされます。〔民法90条〕

 

実際の裁判では、次のような厳しい条件を満たす場合に限り、その誓約書は有効だとされています。

・その労働者が営業秘密に関わる業務に就きうること

・正当な目的によるものであること

・「同業他社」の範囲など制限の対象が妥当であること

・地域や期間が妥当に限定されていること

・特別な手当の支給など相当の代償が与えられること

 

2018.01.26.解決社労士

<身元保証とは>

身元保証というのは、労働者が企業に損害を与えた場合に、企業が確実に損害の賠償を得られるよう、労働者本人以外の第三者にも責任を負わせる契約です。

 

企業に大きな損害を与えやすい労働者といえば、正社員が思い浮かびますから、正社員限定で身元保証を求める企業が一般です。

しかし、契約社員、パート、アルバイトなどにも身元保証を求める企業もあります。これは企業の方針によって決めても良いことであって、不当なことではありません。

 

身元保証は、企業が確実に損害の賠償を得られるようにするための契約ですから、責任を負わされる身元保証人が、本人と全く同じ責任を負う連帯保証契約とするのが一般的です。

企業としては、安易に同居の親族を身元保証人にするのではなく、賠償責任を果たせるだけの資力・財産を備えた人物を選ばなければなりません。

一方で、身元保証人になることを依頼された場合には、親類だから、知り合いだからと安易に引き受けるのではなく、慎重に判断する必要があります。

 

<身元保証書の提出義務>

入社にあたって身元保証書の提出を求めることは、長年にわたって広く行われてきた企業一般の習慣です。

就業規則や労働条件通知書などに規定を置いて、身元保証書の提出を採用条件としたり、採用後に身元保証書を提出しないことを理由に採用取消としたりすることは、採用の時点でそのルールが知らされていれば違法ではありません。

ただし、採用の時点で説明が無かったにもかかわらず、採用後に身元保証書の提出を求められた場合であれば、提出しないことを理由に解雇を通告するのは不当解雇になると解されます。

 

<身元保証の法規制>

身元保証契約は連帯保証となっていることが多いため、身元保証人が多額の賠償金支払い義務を負ってしまうことがあります。

そこで、これを法的に規制するため「身元保証ニ関スル法律」によって、身元保証人の責任が軽減されています。

 

まず、身元保証契約は、期間を定めなければ3年間、期間を定めても最長5年間で終了します。

また、労働者に不審な行動や仕事内容の変化があったときは、企業から身元保証人に対して直ちにその事実を通知しなければなりません。これを受けて、身元保証人は契約を解除できます。

 

身元保証をしたからといって、実際に身元保証人が企業の全損害を負担することにはなりません。

企業は、損害の内容と損害額が明らかな限度でしか、身元保証人に責任を負わせることができません。

そして裁判になれば、企業側にも過失が無かったか、身元保証人が保証を引き受けた理由、労働者の仕事の変化など一切の事情を踏まえて、賠償額が決定されることになります。

 

2018.01.25.解決社労士

<業務委託契約の特殊性>

契約について基本的なことを定めている法律は民法です。

ところが民法はおろか、その他の法律にも業務委託契約についての規定はありません。

何か契約を交わす場合には、法律に具体的な規定があった方が、トラブルを避けることができて便利なはずです。

それなのに、あえて法律に規定の無い契約を交わそうとするのは、法律の適用を避け、自分に一方的に有利な取り決めをしようという意図があるのでしょうか。

 

<業務委託契約の内容>

業務委託契約という言葉からは、「業務を他人に委託する契約」ということしかわかりません。

学者たちは業務委託契約を、請負契約〔民法632条〕、委任契約〔民法643条〕、準委任契約〔民法656条〕などの性質をもつ契約だと考えています。

そして、実際の業務委託契約には様々なものがあって、「これは請負契約」「これは委任契約」というように明確に分類することが困難だとしています。

結局、業務委託契約書の条文ひとつ一つを具体的に解き明かさなければ、その内容を把握できないということになります。

わざわざこのような契約を交わそうとするからには、やはり何らかの意図があるものと思われます。

 

<イイトコ取りの契約書>

請負では欠陥の無い完全な成果物を提供しなければならないのに対して、委任ではベストを尽くした結果なら不完全でも責任を問われません。

また、請負では材料や費用を負担するのは業務を引き受けた側ですが、委任なら業務を委託する側の負担となります。

さらに、請負なら簡単には契約の解除ができません。しかし、委任ならいつでも契約を解除できます。

これらをふまえて業務を委託する側が、「業務の結果は完全でなければならない。費用はあなたが負担しなさい。私はいつでも契約を解除できるが、あなたから解除を申し出ることはできない」という内容の業務委託契約書を作ることもできてしまいます。

 

<名ばかり業務委託契約書>

業務を委託する企業と、業務を行う人との契約関係が、実質的には雇用契約〔民法623条〕なのに、契約書のタイトルが業務委託契約書となっていることもあります。

雇用契約(労働契約)であれば、労働基準法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法などの労働法による労働者の保護があります。

これを企業側から見れば、労働者の保護に対応した負担が発生することになります。

ブラックな企業がこの負担を避けるため、実質は雇用契約なのに「業務委託契約書」を交わして「あなたは労働者ではないので、社会保険や雇用保険には入りません。労災保険も対象外です。年次有給休暇も残業手当もありません」と説明することも稀に発生してしまいます。

それでも、雇われている人はクビになることを恐れて「おかしい」とは言えないものです。

このような場合には、あきらめずに行政の相談窓口や近所の社会保険労務士に相談していただけたらと思います。

 

2018.01.24.解決社労士

<国民年金の届出>

会社を退職した時点で20歳から59歳までの人は手続きが必要です。

同様に、退職者に扶養されている20歳から59歳の配偶者も届出が必要です。

 

手続きの窓口は、お住まいの市区町村の国民年金担当窓口です。

年金手帳など基礎年金番号がわかる書類があれば、手続きがスムーズです。

 

退職によって、会社員・公務員など厚生年金の加入者の扶養に入る配偶者は、加入者の勤務先への届出が必要です。

 

<保険料の納付が困難なら>

保険料の納付が困難であることを理由に、国民年金の手続きをしないのは損です。

申請によって、保険料の一部または全額が免除になる制度がありますので、窓口で相談することをお勧めします。

 

退職(失業)の場合は、前年の所得をゼロとして審査されます。

また、免除の割合に応じて一定の年金額が保障されます。手続きをしなければ、この保障が受けられません。

病気や事故で障害が残った場合の障害年金や、遺族年金についても、免除の手続きをしておけば受給の権利が確保されます。

 

手続きは、退職後速やかに行うことをお勧めします。

 

2018.01.23.解決社労士

<給与をもらう人の都合>

税金を給与から差し引くしくみが無かったならば、給与をもらう人が自分で税務署に申告して支払うことになります。

しかし、これはむずかしくて面倒な作業です。

しかも、申告をしなかったり、税金の支払いが遅れたりすれば、財産や給与の差し押さえなど強制的な手続きが行われることもあります。

こうなると、家賃が支払えなくなったり、クレジットカードが使えなくなったり、罰金が科されたりと大変なことになります。

こうしたことを防ぐために、国が法律によって、税金を給与から差し引くしくみを決めて、一部の例外を除き、給与の支払者に強制しているのです。

 

<税金を取り立てる国の都合>

税金を給与から差し引くしくみは、国にとっても都合が良いのです。

給与をもらう人が、自分で申告書を作って税務署に提出すると、その金額などが正しいことの確認や訂正の指導のために、税務署の仕事が大幅に増えてしまいます。

また、税金の申告を個人に任せていると、締め切りまでに正しく申告しない人もいます。これでは、国が確実に税金を集めることができません。

そこで、国の手間を減らし、税金を確実に集めるため、税金を給与から差し引くしくみを作り、給与の支払者に強制しているのです。

 

<給与から差し引く金額>

給与から差し引く所得税の金額は、毎年、国税庁から「源泉徴収税額表」という一覧表が公表され、給与を支払う人は、これに基づいて決められた金額を差し引いています。

 

給与から差し引く金額を計算するために必要となる情報は次の3つです。

・給与の金額

・社会保険料

・扶養親族等の数

 

2018.01.22.解決社労士

<同居していなくても扶養家族となり得る人>

社会保険加入者(被保険者)の収入により生計を維持していることを前提として、次の人は扶養家族になり得ます。

・配偶者(内縁を含む)

・子、孫、兄弟姉妹

・父母、祖父母など(直系尊属)

 

<同居していれば扶養家族となり得る人>

社会保険加入者(被保険者)の収入により生計を維持していることを前提として、次の人は扶養家族になり得ます。

・叔父、叔母、伯父、伯母、甥、姪とその配偶者

・ひ孫

・兄弟姉妹の配偶者

・配偶者の父母

・その他3親等内の親族

・内縁関係の配偶者の父母や子(配偶者の死後を含む)

 

内縁は、入籍していない事実上の夫婦関係です。

一般には、他に入籍している配偶者がいないことや、夫婦としての生活実態があることなどが条件となります。

 

2018.01.21.解決社労士

<原則の基準>

扶養される家族の年間収入が130万円未満で、社会保険加入者(扶養する側の被保険者)の年間収入の半分未満であれば、扶養家族(被扶養者)になるというのが原則の基準です。

ただし、扶養される家族の年間収入が130万円未満であれば、社会保険加入者の年間収入の半分以上であっても、社会保険加入者の収入によって生計を維持していると認められる場合には、扶養家族になることができます。

 

<60歳以上の家族など>

扶養される家族が60歳以上の場合と、障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合には、年間収入の基準が180万円未満となります。

 

<別居の場合>

扶養される家族が社会保険加入者と別居している場合には、年間収入が130万円未満で社会保険加入者からの仕送り額よりも少ない場合に、扶養家族になることができます。

 

<20代から50代の配偶者>

20歳から59歳の配偶者を扶養家族とする場合には、健康保険の手続きと同時に国民年金の手続きが必要です。

社会保険に加入している側の配偶者が、勤務先に「国民年金第3号被保険者関係届」を提出します。

 

2018.01.20.解決社労士

<契約形態と社会保険>

正社員、限定正社員、パート、アルバイト、嘱託社員、契約社員などの労働契約の形態は、勤務先の会社が独自の基準で区分しているに過ぎません。

一方で、社会保険(健康保険と厚生年金保険)の加入基準は法令により定められ、各企業の社内基準によって左右されることはありません。

結論として、アルバイトなどであっても、法令による加入基準を満たせば、各企業の方針や個人の考えとは無関係に社会保険に加入することになり、企業は手続きをする義務を負うことになります。

 

<試用期間と社会保険>

入社後、従業員としての適格性をみるため、一定の試用期間を設けることがあります。

この期間であっても、労働基準法はもちろん、健康保険法や厚生年金保険法の適用がありますから、試用期間の初日から社会保険への加入が義務付けられています。

なお、短期間の契約社員として採用し、その後に適性を判断して正社員に切り替えるような場合でも、最初の契約期間が実質的に見て試用期間に当たる場合には、採用日から社会保険に加入しなければなりません。

 

<外国人と社会保険>

在留資格で就労が認められている外国人は、国籍に関係なく社会保険に入ります。

これは、「日本人が日本の社会保険に入る」というのではなく、「日本に住んでいる人が日本の社会保険に入る」という考え方であることを意味します。

 

2018.01.19.解決社労士

<法人の事業所>

法人であれば強制適用となりますので、手続きが義務付けられます。

これは従業員のいない事業主だけの法人であっても同じです。

また、事業主や従業員の意思とは無関係です。

 

<5人以上の個人事業所>

常時5人以上の従業員を使用している会社、工場、商店、事務所などの個人事業所は、原則として強制適用となります。

しかし、5人未満の個人事業所は強制適用とはなりません。

また、常時5人以上の労働者を使用する事業所であっても、個人事業所であれば、飲食店、接客業、理・美容業、旅館業等 サービス業、法律・会計事務所等の自由業等は強制適用ではありません。

 

<任意適用事業所>

上記のような強制適用事業所を除く事業所は、社会保険の適用が強制されません。

しかし、年金事務所で手続きをすることによって、社会保険の適用を受けることができます。

適用事業所となるためには、その事業所の従業員の半数以上の同意を得る必要があります。

こうして任意適用事業所となった場合には、加入を希望しない従業員も含めて加入することになります。

 

2018.01.18.解決社労士

<適用対象期間の延長>

教育訓練給付金は、教育訓練の受講を開始した時点で、雇用保険の加入者(被保険者)であるか、加入者ではなくなってから1年以内の人が修了等した場合に支給されます。

つまり適用対象期間は、原則として1年間です。

そして、加入者ではなくなってから1年間のうちに、妊娠、出産等の理由により引き続き30日以上教育訓練の受講を開始することができない場合は、ハローワークに申請することにより、その受講を開始できない日数分、延長することができます。

これが、適用対象期間の延長です。

 

<最大20年とは>

適用対象期間については、受講を開始できない日数分、延長し、延長後の期間が4年を超える場合でも、最大4年までしか延長できませんでしたが、平成3011日より、最大20年まで延長が可能となりました。

過去に延長申請を行っている場合でも、平成3011日以後については、適用対象期間を最大20年まで延長する対象となります。

 

2018.01.17.解決社労士

<社会保険の制度>

健康保険や厚生年金保険は、会社などで働く人たちが収入に応じて保険料を出し合い、いざという時の生活の安定を図る目的で作られた制度です。

公的な制度ですから、労働者個人や事業主が自由に契約・加入するものではなく、客観的な基準により法令で加入が義務づけられています。

 

<法定手続きの必要性>

健康保険や厚生年金保険に加入し適用事業所になった場合、事業主は従業員の資格関係や報酬関係の手続きを法令に従い適時適切に行う必要があります。

社内にわかる人がいない場合でも、放置することは許されず、社外の専門家である社会保険労務士に委託するなどして手続きを行う必要があります。

日本年金機構では、社会保険制度の適正な運営を図ることを目的として、事業所調査を実施し、出勤簿や賃金台帳などの法定帳簿を確認しています。

こうした帳簿類の作成・保管や調査への立会いも、社会保険労務士に委託することができます。

 

<手続きが必要となる場合>

次のような場合には、健康保険や厚生年金保険の手続きが必要となります。

・従業員を採用し加入基準を満たす場合

・従業員の退職や死亡などにより加入基準を満たさなくなった場合

・扶養家族の追加や変更があった場合

・加入者の氏名や住所に変更があった場合

・年1回、報酬月額の定時決定を行う場合

・加入者の報酬に大きな変動があって随時改定を行う場合

・賞与を支給した場合

これらの他、加入者が給付を受ける場合にも、事業主は手続きを行ったり、加入者に積極的に協力する義務を負っています。

 

2018.01.16.解決社労士

<追加の書類が必要となる場合>

標準報酬月額の等級が2以上上がって、あるいは、24下がって月額変更届を提出する場合とは異なり、等級が5以上下がる場合には、賃金の変動や支払額の確認を厳密にするため、追加の添付書類が必要となります。

これは、手続きが遅れて、改定月の初日から60日以上経過してしまった場合にも同様です。

 

<法人の役員以外>

固定的賃金の変動があった月の前月分から変動後3か月分(合計4か月分)の賃金台帳のコピー(給与明細書や所得税源泉徴収簿のコピーも可)が必要です。

また、支払基礎日数の確認のため、固定的賃金の変動があった月から3か月分の出勤簿またはタイムカードのコピーが必要です。

 

<株式会社・有限会社の役員>

固定的賃金の変動があった月の前月分から変動後3か月分(合計4か月分)の所得税源泉徴収簿のコピー(報酬・給与明細書や報酬・賃金台帳のコピーも可)が必要です。

また、次のうちどれが1つのコピーも必要です。

・役員報酬の変更がわかる株主総会・役員会などの議事録

・代表者による報酬決定通知書

・役員間の報酬協議書

・役員報酬等債権放棄を証する書類

 

<その他の法人の役員>

株式会社・有限会社の役員の場合と内容が同一の書類を添付する必要があります。

法人の形式が異なることにより、書類の名称が異なっているのは問題ありません。

 

2018.01.15.解決社労士

<社会保険の加入>

資格取得届の取得日が正しいことを確認するため、加入月の賃金台帳のコピーが必要です。

その他、次の書類のコピーのうちどれか1つが必要です。

・出勤簿 ・労働者名簿 ・議事録 ・辞令

 

<社会保険の脱退>

資格喪失届の喪失日が正しいことを確認するため、退職月の賃金台帳のコピーが必要です。

その他、次の書類のコピーのうちどれか1つが必要です。

・退職月の出勤簿 ・離職票(事業主控) ・議事録 ・辞令

なお、退職ではなく所定労働日数や所定労働時間の減少による脱退の場合には、その事実がわかる書類のコピーが必要です。

 

<扶養家族の変更>

被扶養者(異動)届の遡り期間について、収入の条件を確認するための書類が必要です。

その他、次の書類のコピーのうちどれか1つが必要です。

・退職が理由の場合には、離職票、解雇通知書、辞令など

・入学が理由の場合には、入学日のわかる在学証明書

・結婚が理由の場合には、戸籍抄本など

・その他、変更の事実確認が取れる書類

 

以上のような余計な手間がかかることを避けるため、速やかな手続きをお勧めします。

 

2018.01.14.解決社労士

<保険料の免除・猶予>

天災などで被災され、保険料を納付することが著しく困難であるときは、申請により国民年金保険料の免除、厚生年金保険料の猶予を受けることができる制度があります。

 

【国民年金】

震災・風水害・火災その他これらに類する災害により、被保険者の所有に係る住宅、家財その他の財産につき、被害金額がその価格のおおむね2分の1以上の損害を受けたとき、国民年金保険料の納付が困難な場合には、保険料の特例免除、納付猶予、学生納付特例申請などができます。

 

【厚生年金保険】

事業所が災害により、財産に相当な損害を受け、納付者が納付すべき保険料(厚生年金保険料、健康保険料、船員保険料、子ども・子育て拠出金)を一時に納付することが出来ないと認められるとき、厚生年金保険料等の納付が困難な事業所の事業主は納付の猶予を受けることができます。

 

<支給停止の解除>

次の年金・給付金の受給権者・受給資格者で、所得があるために年金の一部または全部が支給停止されている人が対象です。

・20歳前に初診日がある傷病の障害基礎年金の受給権者(年金コード2650・6350)

・老齢福祉年金の受給権者

・特別障害給付金の受給資格者

 

震災・風水害・火災その他これらに類する災害により、住宅、家財またはその他の財産につきおおむね2分の1以上の損害を受けた場合、本人からの申請に基づき、その損害を受けた月から翌年の7月までの支給停止を行いません。

 

なお、翌年7月の所得状況届による前年の所得確認により、前年の所得が所得制限額を超えていたことが判明した場合には、損害を受けた月まで遡って支給停止が行われます。

 

2018.01.13.解決社労士

<健康保険の民営化>

中小企業で働く人やその家族が加入している健康保険は、従来、国が運営し政府管掌健康保険と呼ばれていました。

このときに健康保険を運営していたのは社会保険庁でした。

平成20101日、新たに全国健康保険協会が設立され、ここが健康保険を運営することになりました。

この協会が運営する健康保険の愛称を「協会けんぽ」といいます。

 

<組織や職員>

協会は、非公務員型の法人として新たに設立された健康保険の保険者であり、職員は公務員ではなく民間職員です。

理事長や各都道府県の支部長はすべて民間出身者の登用です。

そして、民間のノウハウを積極的に採り入れています。

 

<サービス>

民間のノウハウやIT・システムを活用し、加入者や事業主などをお客さまと捉え、顧客視点からサービスの向上を図っています。

 

<地域密着>

都道府県ごとに支部を設け、地域の身近な保険者として地域の加入者や事業主の意見に基づき、生活習慣病の予防など地域の実情に応じた事業を展開しています。

 

<仕事の仕方>

民間の法人として職員の意識改革を図り、能力と実績に基づく人事制度の徹底を図るとともに、業務改革を進め、運営の効率化を図っています。

 

<変わらないのは>

医療機関で受診した場合の自己負担の割合や高額な医療費の場合の負担の限度額、傷病手当金などの現金給付の金額や要件など、健康保険の給付の内容は、協会設立後も原則としてこれまでと変わりません。

 

2018.01.12.解決社労士

<配偶者控除と配偶者特別控除の控除額の改正>

配偶者控除の控除額が改正されたほか、給与所得者の合計所得金額が1,000万円を超える場合には、配偶者控除の適用を受けることができないこととされました。

また、配偶者特別控除の控除額が改正されたほか、対象となる配偶者の合計所得金額が38万円超123万円以下とされました。

 

<扶養親族等の数の算定方法の変更>

扶養親族等の数の算定に当たり、配偶者が源泉控除対象配偶者に該当する場合には、扶養親族等の数に1人を加えて計算することとされました。

また、同一生計配偶者が障害者に該当する場合には、扶養親族等の数に1人を加えて計算することとされました。

 

<給与所得者の扶養控除等申告書等の様式変更等>

「給与所得者の配偶者特別控除申告書」が「給与所得者の配偶者控除等申告書」に改められたことから、配偶者控除又は配偶者特別控除の適用を受けようとする給与所得者は、その年の年末調整の時までに給与等の支払者に当該申告書を提出しなければならないこととされました。

以下の申告書についても記載事項の見直しが行われました。

1 給与所得者の扶養控除等申告書

2 公的年金等の受給者の扶養親族等申告書

3 従たる給与についての扶養控除等申告書

 

2018.01.11.解決社労士

<付加年金と付加保険料>

自営業者などの国民年金第1号被保険者と65歳未満の任意加入被保険者は、定額保険料に付加保険料を上乗せして納めることで、受給する年金額を増やせます。

ただし、国民年金基金に加入している人は、付加保険料を納めることができません。

 

定額保険料は、平成29年度で月額16,490円です。

付加保険料は、月額400円です。

 

申込先は、市区役所や町村役場の窓口です。

 

<付加年金の額>

付加年金額は、「200円×付加保険料納付月数」(年額)です。

 

例えば、20歳から60歳までの40年間、付加保険料を納めていた場合の付加年金額は次のとおりとなります。

 

200円 × 480月(40年) = 96,000円

 

計算上、付加保険料を納めた分は、2年間でモトが取れる計算になります。

ただし、物価変動による物価スライド(増額・減額)はありませんので、将来、物価水準が上がり貨幣価値が下がれば、モトが取れないこともあります。

 

<付加保険料納付の注意点>

1.付加保険料の納付は、申し込んだ月分からとなります。

2.付加保険料の納期限は、翌月末日(納期限)と定められています。

3.納期限を経過した場合でも、期限から2年間は付加保険料を納めることができます。

4.付加保険料を納付することを希望しない場合は、付加保険料納付辞退申出書の提出が必要となります。

5.月末が土曜日、日曜日、休日等にあたる場合や年末の納期限は、翌月最初の金融機関等の営業日となります。

 

2018.01.10.解決社労士

<寡婦年金(かふねんきん)の受給者>

国民年金には、日本国内に住む20歳以上60歳未満の人すべてが加入します。このうち自営業者や学生などの加入者を「国民年金第1号被保険者」といいます。

寡婦年金は、国民年金第1号被保険者の保険料納付済期間と保険料免除期間が合わせて10年以上ある夫が死亡したときに、夫によって生計を維持され、かつ、夫との夫婦関係(事実婚を含む)が10年以上継続している妻が、60歳から65歳になるまで受け取ることができます。

 

<年金額>

夫の死亡日前日までの第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3です。

この第1号被保険者期間には、任意加入被保険者期間を含みます。

 

<請求できない場合>

亡くなった夫が、障害基礎年金の受給権者であった場合、老齢基礎年金を受けたことがある場合は支給されません。

妻が繰り上げ支給の老齢基礎年金を受けている場合は支給されません。

 

<他の年金と選択になる場合>

妻が他の年金を受け取っている場合は、その年金との選択になります。

寡婦年金と死亡一時金の両方の受給条件を満たしているときは、どちらか片方の選択になります。

 

<手続き>

寡婦年金の請求書類の提出先は住所地の市区町村役場の窓口になります。お近くの年金事務所または街角の年金相談センターでも手続きできます。

請求できるかどうかの確認は、年金事務所などで行います。

もし、ご自分で手続きできない場合や、迷うことがあれば、信頼できる社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

2018.01.09.解決社労士

<勤務間インターバルとは>

インターバル(interval)とは、間隔、合間、休憩時間のことをいいます。

そして、勤務間インターバルとは、実際の終業時刻から次の始業時刻までの間隔をいいます。

たとえば、仕事を18:00に終えて帰宅し、翌日9:00に勤務を開始すれば、勤務間インターバルは15時間ということになります。

 

<就労条件総合調査では>

平成29 年就労条件総合調査の概況(平成29 12 27 日厚生労働省公表)によると、勤務間インターバルについて、次のような結果が出ています。

 

1年間を通じて実際の終業時刻から始業時刻までの間隔が11 時間以上空いている労働者の状況別の企業割合をみると、「全員」が37.3%と最も多く、次いで「ほとんど全員」が34.3%となっています。

また、「全くいない」が9.2%、「ほとんどいない」が3.5%となっています。

 

勤務間インターバル制度の導入状況別の企業割合をみると、「導入している」が1.4%、「導入を予定又は検討している」が5.1%、「導入の予定はなく、検討もしていない」が92.9%となっています。

 

勤務間インターバル制度の導入の予定はなく、検討もしていない企業についてその理由別の企業割合をみると、「当該制度を知らなかったため」が40.2%と最も多く、次いで、「超過勤務の機会が少なく、当該制度を導入する必要性を感じないため」が38.0%となっています。

 

<休憩時間との違い>

1日の区切りは真夜中の0時だということで、残業が深夜に及んだ場合に、23:50で一度終業とし翌日00:10を始業として、労働時間の計算を23:50までと、翌日00:10からに分けて計算している企業が、労働基準監督署の是正勧告を受けたという報道がありました。

このように労働時間を0時で区切って計算すると、実質的には継続して残業している場合でも、18時間の法定労働時間を超える時間が少なく計算され、割り増しの残業代も少なくなってしまうという不合理が発生します。

こうした不合理な事態の発生を防止するため、通達によって、1日の労働時間を計算する場合には、その人の労働契約上の始業時刻が区切りとされています。

つまり、就業規則や労働条件通知書などによって決まっている日々の始業時刻が、残業代を計算するうえでの1日の労働時間の区切りということになります。

ですから上記の例では、勤務間インターバルが20分ということではなく、23:50から00:10は単なる休憩時間という扱いになります。

 

<勤務間インターバルを考えるべき場合とは>

早番・遅番のように、始業時刻が日々変わる制度を取っている場合には、シフトの組み方によって、極端に短い勤務間インターバルが発生するかもしれません。

こうした可能性がある職場では、働き手の健康維持のため、つまり生産性維持のため、就業規則などに勤務間インターバルの基準を設ける必要があるでしょう。

さらに、長時間の残業が常態化している職場では、過重労働や長時間労働を改善するとともに、勤務間インターバルの基準設定が必要となります。

 

2018.01.08.解決社労士

<健康経営指標>

中小企業が初めて健康経営に取り組むにあたって、特定非営利活動法人 健康経営研究会が定める企業宣言(小規模事業場)健康経営指標が参考になりますので以下に示します。

 

1.経営者の健康経営宣言

健康経営宣言においては特定非営利活動法人健康経営研究会が提唱する健康経営の方針が明確にされていることが必要です。具体的には、経営者が指導力を発揮して、職場全体を巻き込んで従業員の健康づくり活動に取り組むことで、従業員の創造性の向上とともに、職場の生産性ならびに企業イメージの向上を図ることです。

・経営者が健康経営を自ら推進している

・長時間労働対策、メンタルヘルス対策を実施している

 

2.からだの健康づくり

職場における健康管理の基本は、健康診断です。すべての従業員が健康診断を受け、健康づくりに努めることが重要です。健康診断で治療を必要としない医学的異常の段階で、生活習慣を見直すことで健康の確保を図ることが疾病予防の視点から必要です。また、協会けんぽ等の支援で、健康診断後の保健指導などを受けることが効果的です。

・健康診断受診率100%に向けて努力している

・健康診断事後措置を協会けんぽ等に相談して実施している

 

3.こころの健康づくり

労働者の心の健康が大きな社会問題となっています。個々がセルフケアに努めるには、基本的な知識が必要です。そのために資料の配布や研修の実施が必要です。また、職場には労働者が解決できない問題があり、管理職、経営者の支援で解決の糸口が見つかることが多々あります。管理監督者のラインケア研修を実施することがこれからの企業では必要です。

・こころの健康づくり教育を実施している

・管理職に対するラインケア研修を実施している

 

4.職場環境づくり

1日の8時間は職場で過ごすことになりますので、職場環境は労働者の健康に大きな影響を及ぼします。まずは、禁煙職場に取り組んでいただくことになります。また、労働安全衛生の基本として、整理、整頓、清掃のいわゆる3Sがありますので、経営者とともに取り組んでいただくことが重要です。

・職場が禁煙になっている

・3Sなどの快適職場づくりに努めている

 

5.職場コミュニケーションの推進

メンタルヘルスを維持するためには、まず職務がきちんとできることが必須です。従業員が日々元気に出勤する条件として、働き甲斐のある仕事に取り組んでいる、ということが必要です。管理職、経営者が職務について従業員と密にコミュニケーションを図ることが従業員の心身の健康を維持するためにも有用です。さらに職場の人間関係などを含めた職場環境について、管理職や経営者が情報交換することも有用です。

・職場で職務に関する情報交換がなされている

・管理職による職場環境改善にかかわる情報交換がなされている

 

<前提としての法令順守>

上記のうち、健康診断については、一定の条件を満たす従業員について、労働安全衛生法に基づく健康診断の実施義務があります。

しかし、他の項目については、労働関係法令の順守を基礎としたプラスアルファの施策となります。

ですから、中小企業が健康経営に取り組む場合の優先順位は、次のようになるでしょう。

 

1.法令で義務付けられ、罰則をもって強制されていること

2.法令で義務付けられ、罰則は無いが努力が期待されていること

3.法令に規定は無いが、会社が自主的に進めること

 

限られた経営資源と時間の制約の下で、効率よく健康経営を進めつつ、法令違反を指摘され足元をすくわれないようにするには、労働関係法令と実務に精通した社会保険労務士にご相談することをお勧めします。

 

2018.01.07.解決社労士

<職務分析・職務評価のメリット>

パート社員について、その働き・貢献に応じた公正な待遇を実現するため、パートタイム労働法が改正され、平成204月から施行されています。

パート社員と正社員の定義は、就業規則や労働条件通知書などに明確に示されていなければ、トラブルの元になります。

また、こうした形式的な側面とは別に、パート社員と正社員の職務の内容の実質的な違いも明らかにされていなければ、当人たちはその立場や処遇に納得できないものです。

こうした実質的な違いは職務分析・職務評価によって明らかにすることができます。

より具体的なメリットとして、次の3つが挙げられます。

 

1.パート社員と正社員の職務が同じか、異なるかを明確にできる

 

2.職務の内容に応じた待遇になっているか、パート社員と正社員で均衡(バランス)が取れているかを確かめることができる

 

3.パート社員に、正社員との職務の異同を分かりやすく説明でき、パート社員の納得性を高めることができる

 

パート社員と正社員の職務の内容を、明らかにすれば、パート社員から、待遇について説明を求められても、職務の内容に基づく待遇であることを、分かりやすく説明できます。

パート社員が納得して働き、その能力を発揮することは、会社にとって、大きなメリットです。

 

<パートタイム労働法>

パートタイム労働法には、パート社員により一層その能力を有効に発揮してもらうためのポイントが規定されています。

 

1.働きや貢献に見合った待遇にする

パート社員だからというだけで、一律に待遇を決めるのではなく、働きや貢献に応じて待遇を決定しよう、というのがパートタイム労働法のねらいです。

 

2.パート社員と正社員を均衡待遇とする

パート社員の待遇を、正社員との働き方の違いに応じた「均衡(バランス)」待遇とするとき、働き方の違いは、次の3つの要件で比較します。

① 職務の内容(業務の内容と責任の程度)

② 人材活用の仕組みや運用など(転勤や配置変更の有無及び範囲)

③ 契約期間

 

3.パート社員への説明責任を果たす

パートタイム労働法では、事業主は、パート社員から求められたときには、その待遇を決定するに当たって考慮したことを説明しなければならない、としています。

その際、職務分析・職務評価で整理・比較した職務の内容を示せば、職務の内容に基づく根拠のある説明ができます。

 

とはいえ、社内に専任のスタッフがいない会社では、社会保険労務士などの専門家に委託して行わなければなりません。

しかし、これはパート社員の定着率を高めるために必要な投資だと考えられます。

 

2018.01.06.解決社労士

平成31331日までの時限措置として、教育訓練支援給付金の制度があります。

 

<支給対象者>

初めて専門実践教育訓練(通信制、夜間制を除く)を受講する人で、受講開始時に45歳未満など一定の要件を満たす人が、訓練期間中、失業状態にある場合に支給されます。

 

<支給額>

訓練受講中の失業手当(求職者給付の基本手当)の支給が受けられない期間について、失業手当の日額の半額に2か月ごとに失業の認定を受けた日数を掛けた額を支給します。

 

<受講前の手続>

教育訓練支援給付金を受給するためには、原則本人の住所を管轄するハローワークへ、受講前に下記の書類を本人が提出します。

この手続は、専門実践教育訓練の教育訓練給付金と同様に、受講開始日の1か月前までに行う必要があります。

教育訓練支援給付金は、専門実践教育訓練の教育訓練給付金を受給できる人でなければ給付を受けられないため、専門実践教育訓練の教育訓練給付金の手続と同時か後に手続を行います。

・教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格確認票

・離職票(基本手当の受給資格決定を受けている場合は、雇用保険受給資格者証)

・基本手当の受給期間延長手続を取っている場合は、受給期間延長通知書

・本人・住居所確認書類、マイナンバー確認書類

・専門実践教育訓練の教育訓練給付金の手続を先に行ってある場合、教育訓練給付金の受給資格者証(「教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格者証」)

 

<支給申請>

教育訓練支援給付金の支給申請手続は、専門実践教育訓練を受講した本人が受講中と受講終了後、本人の住所を管轄するハローワークに対して、下記の書類を提出することによって行います。

・教育訓練支援給付金の受給資格者証(「教育訓練給付金及び教育訓練支援給付金受給資格者証」)

・教育訓練支援給付金受講証明書

・失業手当(求職者給付の基本手当)の受給資格決定をしている場合、雇用保険受給資格者証

 

<支給申請期間>

教育訓練支援給付金を受けるには、原則として2か月に1回の教育訓練支援給付金の認定日に、ハローワークで失業の認定を受ける必要があります。

 

2018.01.05.解決社労士

<免除の期間>

育児・介護休業法による満3歳未満の子を養育するための育児休業等(育児休業と育児休業に準じる休業)期間について、健康保険・厚生年金保険の保険料は、事業主の申出により、加入者(被保険者)分も事業主分も免除されます。

保険料の徴収が免除される期間は、育児休業等開始月から終了予定日の翌日の月の前月までです。育児休業終了日が月末(月の末日)の場合は育児休業終了月までになります。

 

<手続き>

加入者(被保険者)から育児休業等取得の申出があった場合、事業主が「育児休業等取得者申出書」を日本年金機構へ提出します。

 

この申出は、加入者(被保険者)が次に掲げる育児休業等を取得する度に、事業主が手続きする必要があります。

また、この申出は、現に、申出に係る休業をしている間に行わなければなりません。

 

(ア)1歳に満たない子を養育するための育児休業

(イ)1歳から1歳6か月に達するまでの子を養育するための育児休業

(ウ)1歳6か月から2歳に達するまでの子を養育するための育児休業

(エ)1歳から3歳に達するまでの子を養育するための育児休業の制度に準ずる措置による休業(ただし上記(イ)の場合は1歳6ヶ月から、上記(ウ)の場合は2歳から)

 

加入者(被保険者)の育児休業等期間が予定日前に終了した場合に、事業主は「育児休業等取得者終了届」を日本年金機構へ提出することになります。

 

<効果>

免除期間中も加入者(被保険者)の資格に変更はなく、保険給付には育児休業等取得直前の標準報酬月額が用いられます。

将来受け取る年金の計算にも、育児休業等取得直前の標準報酬月額が用いられます。

 

<最近の法改正>

「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」の改正により、平成29年1月1日から、次のような子についても育児休業等の保険料免除の対象となりました。

1.養親となる者が養子となる者を監護することとされた期間に監護されているその養子となる子(監護期間中の子)

2.里親である労働者に委託されている児童(要保護児童)

 

2018.01.04.解決社労士

<女性の活躍推進企業データベースとは>

平成291225日から、厚生労働省が女性活躍推進法に基づき企業が行動計画や女性の活躍に関する情報公表を行うツール「女性の活躍推進企業データベース」について、スマートフォン版の運用を開始しました。

 

「女性の活躍推進企業データベース」とは、「採用者に占める女性の割合」や「 男女別の育児休業の取得率」など、 企業における女性の活躍状況に関する情報を集約したものです。

このデータベースには8,389社の企業が自社の女性の活躍状況を公表しています(平成2911月末現在)。

今回、運用が開始されたスマホ版では、企業の働き方に関する情報を、地域別、業種別、規模別に簡単に検索することができます。

 

<学生の就職活動では>

休暇は取れるのか、残業の実態はどうかなど、学生が就職活動を行っていく中で、これらの疑問を会社に聞いてみたくても、聞きづらいものです。

「女性の活躍推進企業データベース」のスマホ版なら、気になる会社ではどんな「働き方」をしているのか、移動中や空いた時間に簡単に検索できます。

学生が特に注目する「採用者に占める女性労働者割合」「男女別平均勤続年数」「育児休業取得率」などが容易に閲覧できます。

 

<検索できる項目>

女性活躍推進法に基づき企業が公表した女性活躍に関する次のようなデータを手軽に閲覧できます。

採用者に占める女性の割合

育児休業取得率

月平均残業時間

年次有給休暇取得率

女性管理職の割合

平均勤続年数又は採用10年前後の継続雇用率

採用における男女別の競争倍率又は競争倍率の男女比

労働者に占める女性労働者の割合

係長級にある者に占める女性労働者の割合

役員に占める女性の割合

男女別の職種または雇用形態の転換実績

男女別の再雇用または中途採用の実績

企業認定の有無

 

↓「女性の活躍推進企業データベース」 のパソコン版はこちら

http://positive-ryouritsu.mhlw.go.jp/positivedb/

 

2017.12.31.解決社労士

<法定雇用率の引き上げ(平成3041日)>

民間企業における障害者の法定雇用率が、2.0%から2.2%に引き上げられます。

さらに、平成334月までには2.3%に引き上げとなります。

事業主ごとの障害者雇用率は、次のように計算されます。

障害者の実雇用率 = 障害者である労働者の数 ÷ 労働者の数

 

<精神障害者の特例措置>

平成291222日開催の「第74回 労働政策審議会障害者雇用分科会」で、障害者の雇用の促進等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案が示されました。

これには、精神障害者である短時間労働者に関するカウント方法についての特例措置が含まれています。

 

精神障害者である短時間労働者であって、新規雇入れから3年以内の者または精神障害者保健福祉手帳取得から3年以内の者については、雇用率を計算する場合の障害者数のカウントで、平成35331日までに雇い入れられた者等については、1人をもって1人とみなすこととする。

 

わかりにくいですが、現在は精神障害者である短時間労働者を0.5人とカウントしています。

これを1人とカウントすることにより、計算上の障害者雇用率が上がることになるわけです。

 

<特例措置の例外>

退職後3年以内に、同じ事業主(子会社特例、関係会社特例、関係子会社特例、特定事業主特例の適用を受けている事業主の場合は、これらの特例の適用を受けている、その事業主以外の事業主を含む)に再雇用された場合は、特例の対象とはしません。

 

<発達障害の場合>

発達障害により知的障害があると判定されていた者が、その発達障害により精神障害者保健福祉手帳を取得した場合は、判定の日を、精神保健福祉手帳取得の日とみなします。

 

2017.12.30.解決社労士

<取り組みベスト5

平成291220日に厚生労働省から発表された「労働経済動向調査(平成2911月)」の結果の中に、特別項目として「働き方改革の取組」に関する調査があります。

これによると、実際に行われた取り組みとして多いのは、次のような項目となっています。

第1位 長時間労働削減のための労働時間管理の強化60%)

第2位 休暇取得の促進54%)

第3位 育児・介護中の職員が働きやすいような環境整備46%)

第4位 ノー残業デーの実施41%)

第5位 経営トップのメッセージの発信29%)

 

<笛吹けども踊らず>

「笛吹けども踊らず」とは、躍らせようとして笛を吹いても、誰も踊り出さないということの例えから、人に何かをさせようとしてあれこれと準備を整えても、相手がそれに応じないことをいいます。

新約聖書のマタイ伝十一章に由来するとされています。

企業の中でも、この言葉が良く使われています。経営者や上層部が方針を打ち出しても、中間管理職や一般社員がこれに応えて積極的に動き成果を出そうとしないという意味に使われています。

しかし、この使われ方は本来の意味とは違います。

「笛吹けども踊らず」とは、本来は、きちんと準備を整えてあげたにもかかわらず、相手が動いてくれないことをいいます。

ところが、企業の中では、経営者や上層部が抽象的な指示を出しただけで、成果を出すために必要な準備を整えない場合にも使われてしまいます。

 

<第1位 長時間労働削減のための労働時間管理の強化>

労働時間の適正な把握は経営者の責任です。

そして、労働時間を管理するのは管理監督者や管理職です。

経営者が管理職に対して「労働時間の管理を強化しなさい」と言っただけでは実現できません。

これを実現するには、労働時間管理のための適切なツールの提供、労働時間を管理する社員と管理される社員それぞれに対する教育・研修、就業規則など社内ルールの改定などが必要です。

本気で取り組むには、社会保険労務士(社労士)に相談したり、一部を任せたりする必要があるでしょう。これらのことは、それほど専門性の高いことなのです。

 

<第2位 休暇取得の促進>

大酒飲みに向かって「健康のためお酒を控えましょう」と言っても、これに応じて飲酒量を減らす人はいるのでしょうか?

たくさんお酒を飲むのは、ストレス解消などの理由があるわけで、ストレスを減らしてあげなければ飲酒量は減りません。

これと同じように「年次有給休暇を取得しなさい!」と言っても、これに応じて休暇を取る人は増えないでしょう。

ましてや、休暇の取得を割り当てたり強制したりすれば、持ち帰りの仕事が発生し、営業上の秘密が社外に流出する恐れがあります。

休暇を取るためには、仕事を溜めないようにする仕組みが必要であり、休暇中に仕事を代行できる人材が必要であり、休暇を取りやすい雰囲気や休暇を取っても人事考課での評価が下がらない運用が必要です。

 

<第3位 育児・介護中の職員が働きやすいような環境整備>

政府が少子高齢化対策の強化を継続していますから、法改正が急速に進んでいます。

少なくとも、育児・介護関連の法令を遵守できるようにすることが先決です。

これに取り組まないのは、政府の政策に逆らうことにもなり、いつの間にか会社がブラック化していくことにもなります。

 

<第4位 ノー残業デーの実施>

残業を命じるのは使用者です。つまり、管理監督者や管理職です。

管理職が部下に対して「残業を削減しなさい」というのは責任放棄です。

部下の残業を減らすことができるのは、上司である管理職だからです。

これを実現するには、社員ひとり一人の具体的業務内容の把握、個人ごとの残業実体と発生理由の分析、残業削減目標の適正な設定、残業や時間管理についての教育・研修、適切なツールの準備、効果測定とフィードバック、そして就業規則など社内ルールの改定が必要です。

これらも専門性の高いことですから、社会保険労務士(社労士)の協力が不可欠だと思います。

 

<第5位 経営トップのメッセージの発信>

これはトップの態度を示しているわけですから、かなり効果が期待できます。

パワハラやセクハラの撲滅や労働災害の防止などについても、経営トップのメッセージの発信は効果が大きいものです。

ただ、その後の具体的な施策が出て来なければ、ただ言っただけになってしまい、これが繰り返されれば狼少年になってしまうリスクがあります。

経営トップがメッセージを発信したら、間髪入れずに具体的な施策を展開していくことが成功の秘訣です。

 

2017.12.29.解決社労士

<省令改正案のポイント>

1 平成304月から適用される新たな労災保険率(54業種)を設定します。

  これにより、全業種の平均料率は 4.5/1,000となります。

2 社会復帰促進等事業等に必要な費用の限度額を引き上げます。

3 家事支援業務に従事する方について、労災保険の特別加入制度の対象に追加します。

4 時間外労働の上限規制等の円滑な移行のため、中小企業事業主に対して、助成金の内容を拡充します。

5 「労働者災害補償保険法」に基づく介護(補償)給付と、「炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法」に基づく介護料の最高限度額及び最低保障額を引き上げます。

 

<労災保険率の計算>

上記 1 の労災保険率(54業種)で、「引上げ」は3業種、「据置き」は31業種、「引下げ」は20業種で、引上げ対象の業種は「ガラス又はセメント製造業」「非鉄金属精錬業」「清掃、火葬又はと畜の事業」となっています。

 

労災保険率の決定方法は、現状、次のようになっています。※難しいです。

・業種区分ごとに過去3年間の労災保険の給付等に基づき算定した保険給付に要する費用の予想額を基礎とし、適用を受けるすべての事業の過去3年間の業務災害と通勤災害の災害率、さらに二次健康診断等給付に要する費用、労働福祉事業や事務の執行に要する費用等の予想額その他の事情を考慮して定めることとされています。

・業務災害分の料率の算定は、業務災害の短期給付分と長期給付分について業種別に行うことを基本的な考え方としています。このうち業務災害の短期給付分については一定期間(3年間)の収支が均衡するように賦課する「純賦課方式」を、長期給付分については災害発生時点の事業主集団に年金給付等の将来給付費用を賦課する「充足賦課方式」を採用しています。ただし、給付の一部に相当する費用については、全業種一律に賦課しています。

・その他、非業務災害分(通勤災害分と二次健康診断等給付分)、労働福祉事業と事務の執行に要する費用があり、これらは全業種一律の賦課としています。

・労災保険率は、上記の基本的な考え方に沿って算定される率に基づいて、3年ごとに改定されています。改定に際しては、労災保険率が過大に変動することがないように、また、産業構造の変動等を踏まえて、激変緩和措置等の配慮が行われています。

 

要するに、労災保険の給付が増えた業種では、料率が上がるということになります。「給付」が問題ですから、件数だけでなく重大事故の比率が上がれば、その業種の料率が上がりやすくなります。

「ガラス又はセメント製造業」「非鉄金属精錬業」「清掃、火葬又はと畜の事業」の3業種で料率が上がったということは、この3業種での労災事故による給付が増えたということです。

このことから、この3業種について、労働基準監督署の監督、つまり調査や指導が強化されることは容易に予想がつきます。

 

<時間外労働などの上限規制>

上記 4 で、時間外労働の上限規制等の円滑な移行のため、中小企業事業主に対して、助成金の内容を拡充するとしています。

一方で、時間外労働や休日労働について、罰則付きの上限規制が行われる予定ですから、まさに飴と鞭の施策となっています。

これは、時間外労働等の上限規制を徹底しようという、国の強い態度の現れですから、企業としては今のうちから長時間労働を解消できるように準備しておかなければなりません。

それこそブラック企業として、企業名を公表されたのでは事業の継続が危うくなりますから本気で取り組む必要があります。

「残業を減らせ!」と言うだけでは、サービス残業が発生してしまいます。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

2017.12.28.解決社労士

<会社を守るということの意味>

従業員から労働者としての法的権利を主張されたら、会社の負担が増大するので内緒にしておきたいというブラックな意味での「会社を守る」もあります。

ブラック社員から会社が不当な要求をされたら、まじめに勤務している他の社員の迷惑にもなり、会社の存続も危ういので、ブラック社員から会社を守りたいという意味での「会社を守る」もあります。

 

<ブラックな意味での「会社を守る」>

就業規則には、次の3つの内容が織り込まれています。

・労働条件の共通部分

・職場の規律

・法令に定められた労働者の権利・義務

どの規定が3つのうちのどれにあてはまるのか、一見しただけではわかりません。また、1つの条文に複数の内容が含まれていることもあります。

 

就業規則の由来からすると、その内容は労働条件の共通部分と職場の規律だけで十分なはずです。

しかし会社は労働者に対して、法令に定められた労働者の権利や義務さらには各種制度について、重要なものを周知する義務を負っています。

これを個別に説明していたのでは手間がかかりますから、就業規則の内容に盛り込んで、就業規則の周知として行っています。

 

ですから、従業員から労働者としての法的権利を主張されたくないので、作りたくない、作っても隠しておきたいという気持ちになってしまう経営者もいるのでしょう。

 

実際には、就業規則と個別の労働契約と法令とを比べて、労働者に一番有利なものが有効になります。

もし、就業規則が見当たらないのであれば、個別の労働契約と法令とを比べて、労働者に有利な方が有効になります。

さらに、経営者が法令に違反して労働条件を文書で通知していないような場合には、個別の労働契約の内容も不明確ですから、法令通りの運用であると認定されます。

 

結局、経営者が就業規則を隠して「会社を守る」ことができるのは、労働関係法令の内容を知らない労働者に対してだけということになります。

しかし、その労働者もネットなどの情報で自分の権利を知るようになります。

こうなると、ブラック経営者は「会社を守る」ことができなくなります。

 

<ブラック社員から「会社を守る」>

まじめに働く社員のためにも、経営者はブラック社員から会社を守らなければなりません。

就業規則に次のような規定を入れることによって、ある程度ブラック社員の攻撃を阻止することができます。

・ブラック社員を採用しない規定

・ブラック社員の内定を取り消せる規定

・ブラック社員を解雇できる規定

・ブラック社員の休職がトラブルにならない規定

・ブラック社員の無断欠勤を許さない規定

・ブラック社員からの不当な残業代請求を許さない規定

・ブラック社員のルール違反を許さない規定

・ブラック社員から会社が責任を追及されない規定

こうした規定は、現状の就業規則や社内ルールとの整合性を保ちつつ考える必要があります。

また、規定だけでなく運用も適正に行う必要があります。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

 

2017.12.27.解決社労士

<年次有給休暇の制度趣旨>

年次有給休暇は、労働者が心身の疲労を回復し、明日への活力と創造力を養い、ゆとりある勤労者生活を実現するための制度です。

この趣旨から、対象者は正社員に限られず、国籍や会社の規模に関係なく適用されます。

会社側は、年次有給休暇を取得しやすい職場環境を作り、休暇の取得促進を図ることが求められています。

 

<時季変更権>

とはいえ、たとえば同じ店舗のメンバーが一斉に年次有給休暇を取得するようなことがあれば、通常、その日は閉店せざるを得ません。

こうした不合理なことが起こらないように、従業員が年次有給休暇を請求しても、それを会社側で変更することができる場合があります。

これが時季変更権であり、事業の正常な運営を妨げる場合には、会社側は年次有給休暇の取得そのものは否定できないものの、他の日に変更するよう求める権利が与えられています。〔労働基準法394項但書〕

しかし、客観的に事業の正常な運営を妨げる場合に当たらなければ、会社側が時季変更権を主張しても、それは権利の濫用ですから、年次有給休暇を他の日に変更することはできません。

たとえば同じ店舗のメンバーが一斉に年次有給休暇を取得する場合でも、同じ会社の近隣店舗や本部からの応援で、その日の店舗運営に支障がないのであれば、会社側は時季変更権を使えないことになります。

 

<事業の正常な運営を妨げる場合>

一般的な判断基準としては、その労働者の所属する事業場を基準として事業の規模・内容、その労働者の担当する作業の内容・性質、作業の繁閑、代行者の配置の難易、労働慣行等、諸般の事情を考慮して判断するものとされています。〔電々公社此花電報電話局事件 最高裁判所昭 57318日〕

そして会社側には、労働者が指定した日に年次有給休暇を取得できるように配慮する義務があるとされています。〔弘前電報電話局事件 最高裁判所昭和62710日、横手統制電話中継所事件 最高裁判所昭和62922日〕

少し厳しいですが、人手不足で代行者の調達が難しい場合であっても、年次有給休暇の取得に配慮して十分な人員を確保していなかったような事情があれば、会社側は正当に時季変更権を使えないというのが、これらの判例の考え方です。

つまり、年次有給休暇の取得は労働者の法的権利なので、会社側は取得率100%を想定しての採用計画が求められるということになるのでしょう。

ただ、現在のような人手不足クライシスとまで言われる採用難の状況下で、このような昭和時代の判例理論があてはまるのかは疑問です。

 

<連続して年次有給休暇を取得する場合>

労働者が長期にわたり連続して年次有給休暇を取得しようとする場合は、それが長期のものであればあるほど、会社側が代替勤務者を確保することの困難さが増大するなど、事業の正常な運営に支障を来たす蓋然性が高くなるので、会社側の業務計画、他の労働者の休暇予定等との事前の調整を図る必要が生ずるという判例があります。〔時事通信社事件判決 最高裁判所平成4623日〕

この判例は、労働者がこうした調整を経ることなく長期にわたり連続して年次有給休暇の時季指定をした場合には、これに対する会社側の時季変更権の行使については、それが事業運営にどのような支障をもたらすか、休暇の時季や期間につき、どの程度の修正・変更を行うかに関し、会社側にある程度の合理的な範囲内で裁量的判断の余地を認めざるを得ないとしています。

このように労働者側に落ち度があれば、会社側は時季変更権を行使し、時季の変更や年次有給休暇の分割を求めることができる場合もあるということです。

 

このように法的権利の行使について、具体的な事情に応じて、労働者側の主張が認められたり、会社側の主張が認められたりする場合には、「常識」に頼らず、過去の裁判例やその変化に注意しつつ対応することが必要です。

 

2017.12.26.解決社労士

<労働者の過半数を代表する者とは>

就業規則の新規作成・変更の所轄労働基準監督署長への届出や、「時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)」など労使協定を締結する際に、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合がない場合は、労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)を選出し、労働者側の締結当事者とする必要があります。

 

<正しい選出手続きが必要な理由>

過半数代表者になることができる労働者の範囲は限定されていて、選出手続きにも制限があります。

この過半数代表者の選出が適正に行われていない場合には、たとえば36協定を締結し労働基準監督署長に届け出ても無効となります。

つまり、36協定書の届出をきちんとしてあっても、そもそもその協定書が無効とされれば、残業させたことがすべて違法になってしまうというリスクがあります。

 

<過半数代表者となることができる労働者>

労働基準法412号に規定する管理監督者でないことが必要です。

管理監督者とは、一般的には部長、工場長など、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある人を指します。

しかし、この基準を誤って解釈している会社が多いのが実態です。

過半数代表者の選出に当たっては、役職者は避けた方がよいでしょう。

 

<労働者全員での選出>

選出手続きは、投票、挙手の他に、労働者の話し合いや持ち回り決議などでも構いませんが、労働者の過半数がその人の選任を支持していることが明確になる民主的な手続きがとられていることが必要です。

また、選出に当たっては、パートやアルバイトなどを含めたすべての労働者が手続きに参加できるようにします。

こうした手続きがとられたことの記録を残しておくことをお勧めします。

 

<会社側が関与しない選出>

会社の代表者が特定の労働者を指名したり、候補者を数名指定してその中から選出したりするなど、使用者の意向によって過半数代表者が選出されたと疑われる場合、その過半数代表者選出は無効です。

 

<選出手続きを行うこと>

社員親睦会の幹事などを自動的に過半数代表者にした場合や、社内で特定の立場にある人が自動的に過半数代表者になるというのでは、その人は「選出」されたわけではありませんので、過半数代表者の選出にはなりません。

過半数代表者の選出手続きは、それ自体を独立させて行いましょう。

 

思わぬところで足元をすくわれないよう、専門家の関与は必要です。

労務管理について専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

 

2017.12.25.解決社労士

<なんでも相談ダイヤル>

連合が平成2910月に実施した「なんでも労働相談ダイヤル」の集計結果が発表されています。

10月1日から1031日までの期間に、1,211件の相談があったそうです。

 

1位 最低賃金199件、16.4%)

2位 セクハラ・パワハラ・嫌がらせ148件、12.3%)

3位 解雇・退職強要・契約打切95件、7.8%)

4位 退職金・退職手続84件、6.9%)

5位 雇用契約・就業規則73件、6.0%)

 

<最低賃金の相談>

2017年度の最低賃金が9月末から各都道府県で順次適用されるタイミングに合わせ、1016日・17日に「みんなが対象最低賃金!連合労働相談ホットライン2017年度地域別最低賃金が改定されました~」(最終集計125件)を実施したこともあって、全体件数は1,200件を超えたということだそうです。

最低賃金を主とした相談が多く寄せられたことから、雇用形態別では前年同月と比べパート(20.6%)、アルバイト(8.4)、契約社員(8.5)など非正規労働者からの相談が増加しました。

具体的な相談では、相談者自身の「最低賃金は、アルバイトの更新時期まで適用されないと言われた。」「月間の労働時間の長さから換算すると現在の月給は最低賃金を下回っているのではないか。」といったものや、家族からの「娘が最低賃金で長時間働かされている」などの相談が多く寄せられたそうです。

 

<最低賃金改定への対応>

最低賃金が改定された場合に、いつからどのように対応しないと違法になってしまうのか、自社で最低賃金法違反になっている従業員はいないのか、こうした基本的なことが分かりにくいようです。

また、人手不足クライシスで採用難という現状のもと、違法ではないにせよ最低賃金で働かせることも問題視されつつあります。

つまり適法性だけでなく、妥当性もチェックが必要だということです。

遵法経営で人手不足を解消するにはどうしたら良いのか、こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社労士にご用命ください。

 

2017.12.24.解決社労士

<副業・兼業の推進>

平成293月に政府から「働き方改革実行計画」が示されました。

これを受けて、厚生労働省「柔軟な働き方に関する検討会」で雇用型テレワーク、自営型(非雇用型)テレワーク、副業・兼業に関する新たなガイドライン案、モデル就業規則改定案等が検討されています。

 

<モデル就業規則>

この検討会で「副業・兼業」に関するモデル就業規則の改定案が、次のように修正されました。

 

(副業・兼業)

第65条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。

2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。

3 第1項の業務が次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。

 ① 労務提供上の支障がある場合

 ② 企業秘密が漏洩する場合

 ③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合

 ④ 競業により企業の利益を害する場合

 

<就業規則の改定>

副業・兼業を禁止・制限する場合の根拠は、就業規則に規定することになりますが、その内容が不明確だとトラブルの元になってしまいます。

また、定期的な研修などで繰り返し説明する必要があります。

 

<労務提供上の支障がある場合>

身体の疲労だけでなく、精神的な疲労によっても、本業に集中できないことが想定されます。これをどのように認定するかを、具体的に明らかにしなければなりません。

また、遅刻したり、残業や休日出勤の命令に応じられなかったりすることも考えられます。その原因をどのような基準で認定するかの問題もあります。

 

<企業秘密が漏洩する場合>

モデル就業規則は、「漏洩の恐れがある場合」とせず、「漏洩する場合」として範囲を限定しています。自社としてはどうするか、業種によっても判断が分かれるところでしょう。

さらに前提として、企業秘密の範囲も明確にする必要があります。

 

<会社の名誉や信用を損なう行為>

ただ単に本業の会社の社員であることを示して副業・兼業を行っても、それだけでは名誉や信用を損なうことにはなりません。しかし、いい加減な態度で副業・兼業に臨んでいれば、本業での仕事ぶりについて顧客や取引先から疑われかねません。

また、本業の会社の商品やサービスと類似する粗悪品を提供する場合も、会社の名誉や信用を損なうことになりかねません。

 

<信頼関係を破壊する行為>

会社に対する裏切り行為を想定していると考えられます。

しかし、ここにこの規定を置かなくても、懲戒処分の中に規定を置いても自然だと思われます。

程度によっては、懲戒解雇もありうる行為です。

 

<競業により企業の利益を害する場合>

顧客や売上の減少、取引先との関係悪化などが考えられます。

ただ、ある程度は自由競争の原理が働きますから、わずかな利益侵害を指摘して副業・兼業を禁止するのは行き過ぎでしょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

会社の実情に合わせた現実的な対応は難しいかも知れません。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社労士にご用命ください。

 

2017.12.23.解決社労士

<厚生労働省からの呼びかけ>

平成25年4月1日より改正労働契約法が施行され、多くの企業で平成30年4月から本格的に無期転換への申込みの発生が見込まれます。

無期転換ルールへの対応にあたっては、中長期的な人事労務管理の観点から、①円滑な導入のためにどのようにして労使双方にとって納得性の高い制度を構築するか、②無期転換労働者の役割や責任の範囲について、従来の「正社員」や「有期契約労働者」と比べ、どう設定するか、③就業規則といった既存の規定書類の整備など、様々な検討、対応が必要です。これらの準備には一定の時間を要するため、準備と対応は早期に行いましょう。

 

<無期転換後の労働契約>

パート社員などの有期契約労働者から、無期転換の申し出があると、無期契約に転換されます。

あくまでも、契約期間に区切りが無くなっただけで、その他の労働条件が正社員と同様になるわけではありません。

しかし、正社員とその他の従業員の区分を、無期契約と有期契約の区分で行っている会社では、就業規則にも同様の規定が置かれていることでしょう。

こうした会社では、無期転換への申込みが本格化する前に、就業規則の改定を済ませておく必要があります。

その際に、従業員の区分を正社員とその他の2つにせず、次のように3つにすることをお勧めします。

 

1.雇用期間が変更されるだけの従業員

契約期間のみが有期契約から無期契約へ変更される従業員です。

賃金や労働時間など、その他の労働条件は変更されません。

無期転換前と比べ、職務や処遇を変更する必要はありません。

 

2.多様な正社員

限定正社員とも呼ばれ、一般の正社員と比較して、勤務地や労働時間、職務などの労働条件に制約を設けた正社員です。

多様な正社員では、転勤がない、残業時間に制限を設けるなどにより、働き方に制約がある社員が働き続けやすいなどのメリットがあります。

 

3.一般の正社員

業務内容に制約がなく、入社後定年に達するまで勤務することを想定した、一般に「正社員」「総合職」等と呼ばれる「正社員」への登用です。

キャリアアップを図り、中核的な労働力として会社に貢献したいと考える社員が活躍できます。

 

<契約変更にあたっての配慮>

無期転換を行う場合に、従業員を上の3つの区分のうちのどれにするかは、会社側の考えだけでなく、従業員本人の意向等を踏まえなければなりません。

労働契約も契約の一種ですから、契約内容の変更については、当事者の合意に基づくことが必要です。

その際に、まずは雇用期間が変更されるだけの従業員として一定の期間を過ごし、多様な正社員、そして一般の正社員へと移行していくことも想定したいところです。

 

無期転換は、雇用の安定を考えて設けられたルールです。

無期転換による契約変更について、労使の考えが対立し、従業員が会社を離れていくようでは本末転倒です。

人手不足クライシスとまで言われ、採用難の時代ですから、会社がここでしくじっては悔やまれます。

無期転換のように専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

 

2017.12.22.解決社労士

<労使協定とは>

労使協定とは、各事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者と使用者との書面による協定のことをいいます。

つまり、次のような当事者間に交わされた協定です。

労働組合 ― 使用者  または  労働者の代表 ― 使用者

 

<代表は三六協定>

労働基準法36条は、労使協定を締結し、これを労働基準監督署長に届け出ることによって、労働基準法32条に定められた法定労働時間を超えて労働させ、または労働基準法35条に定められた法定休日に労働をさせることができる旨を定めています。

この三六(さぶろく)協定は、労働基準監督署長に届け出て初めて効力を認められますから、届け出前の期間に法定労働時間を超える残業があれば、使用者に罰則が適用されうることになります。

 

<労働基準法の労使協定>

労働基準法に規定されている労使協定を条文順に挙げると次の通りです。

 

貯蓄金管理協定(18条)

労働者の貯蓄金の使用者による管理を、労使協定の締結と届け出を条件に認めるものです。

 

賃金控除協定(24条)

財形貯蓄の積立金などについて賃金からの控除を認めるものです。

 

1か月単位の変形労働時間制の労使協定(32条の2)。

 

フレックスタイム制の労使協定(32条の3)

フレックスタイム制を導入するためには、労働基準法の他、労働基準法施行規則12条の3に定められた項目について労使協定を締結する必要があります。

 

1年単位の変形労働時間制の労使協定(32条の4)。

 

1週間単位の変形労働時間制の労使協定(32条の5)

常用労働者30人未満の小売業、旅館、飲食店、料理店の事業所に限定された労使協定です。

 

休憩時間の一斉付与を免れるための労使協定(34条2項)

休憩時間の一斉付与は、多くの事業で適用が除外されていますので、除外されていない事業について必要となります。

 

時間外・休日労働に関する労使協定(36条)

 

割増賃金の割増率引き上げ分に相当する有給代替休暇を付与する労使協定(37条3項)

1か月に60時間を超える時間外労働に対して必要な50%以上の割増賃金について、労使協定を締結することにより、60時間を超えかつ割増賃金が引き上げられた部分に対応した部分(25%部分)について、割増賃金の支払いに代えて有給の代替休暇を付与することが可能となります。

 

事業場外労働のみなし労働時間の労使協定(38条の2)

 

専門職型裁量労働制の労使協定(38条の3)

労使委員会が設立されればその決議をもってこの協定に代えることができます。

 

年次有給休暇の分割付与についての労使協定(39条4項)

1年に5日分を限度として、時間単位の年次有給休暇の取得を可能にするものです。

 

計画年休制度の労使協定(39条5項)

各労働者の有する年次有給休暇のうち5日間を超える部分について、計画的に付与するための協定です。

 

年次有給休暇の賃金を標準報酬月額で支払う労使協定(39条7項)

平均賃金や給与計算上の1日当たりの賃金額を使わず、標準報酬月額で支払う場合に必要となります。

 

このほか、育児・介護休業法や雇用保険法などにも労使協定についての規定が見られます。

 

<労使協定の効力>

労使協定の多くは、労働基準法などの最低基準を解除する効力や、罰則の適用を免除する効力を持っています。

労働協約のように、各従業員の労働契約を直接規律する効力は認められませんが、事業場の全従業員との間で効力を持っています。

 

労使協定書の作成・届け出は形式的なものですが、これを怠ると違法となり罰則が適用されうるのです。

労使協定書が不要な会社は稀ですから、遵法経営のために必要なことは、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

 

2017.12.21.解決社労士

<改正の骨子>

当初明示した労働条件が変更される場合は、変更内容について明示しなければなりません。

今回の職業安定法改正により新設されました。

 

<職業安定法に基づく指針等の主な内容>

・明示する労働条件は、虚偽や誇大な内容ではいけません。

・有期労働契約が試用期間としての性質を持つ場合、試用期間となる有期労働契約期間中の労働条件を明示しなければなりません。

・試用期間と本採用が一つの労働契約であっても、試用期間中の労働条件が本採用後の労働条件と異なる場合は、試用期間中と本採用後のそれぞれの労働条件を明示しなければなりません。

・労働条件の水準、範囲等を可能な限り限定するよう配慮が必要です。

・労働条件は、職場環境を含め可能な限り具体的かつ詳細に明示するよう配慮が必要です。

・明示する労働条件が変更される可能性がある場合はその旨を明示し、実際に変更された場合には速やかに知らせるよう、配慮が必要です。

 

<当初明示した労働条件が変更される場合とは>

以下のように、労働条件を引き下げる場合だけでなく、引き上げる場合や、一定の幅をもって示していた条件を確定させる場合も、「労働条件が変更される場合」に該当するものとして扱われます。

 

「当初の明示」と異なる内容の労働条件を提示する場合

例)当初:基本給30万円/月 ⇒ 基本給28万円/月

 

「当初の明示」の範囲内で特定された労働条件を提示する場合

例)当初:基本給25万円~30万円/月 ⇒ 基本給28万円/月

 

「当初の明示」で明示していた労働条件を削除する場合

例)当初:基本給25万円/月、営業手当3万円/月 ⇒ 基本給25万円/月

 

 「当初の明示」で明示していなかった労働条件を新たに提示する場合

  例)当初:基本給25万円/月 ⇒ 基本給25万円/月、営業手当3万円/月

 

<変更内容についての明示方法>

変更明示は、求職者が変更内容を適切に理解できるような方法で行う必要があります。

当初の明示と変更された後の内容を対照表にした書面を交付する方法が適切ですが、当初予定した労働条件通知書と労働契約の内容に沿った労働条件通知書の両方を準備し、変更された事項にマーカーを引いて明示するなどの方法でもかまいません。

 

そもそも労働条件を明示しようにも、具体的な内容が決まらない場合には、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

 

2017.12.20.解決社労士

<企業による採用の自由の原則>

企業が応募者を採用するのは、法的に見れば、労働契約の締結ということになります。

契約については、誰とどのような内容の契約を交わすかについて、当事者の自由に委ねられるという契約自由の原則があります。

ですから、企業側から見れば、応募者の中から誰を選択するかという採用の自由があるということになります。

 

最高裁判所は、誰をどのような条件で雇うかについて、法令などによる特別の制限がない限り、原則として自由に決定することができると判断しています。〔昭48年12月12日 三菱樹脂事件〕

「法令などによる特別の制限がない限り」という条件付きですから、「特別の制限」があれば、企業の採用の自由は制限を受けることになります。

 

<性別による差別>

性別を理由とする募集・採用の差別は法律で禁止されています。〔男女雇用機会均等法5条〕

また、直接的な差別ではなくても、募集・採用にあたって身長、体重、体力に基準を設定することや、転居を伴う転勤を要件とすることは、合理的な理由がなければ間接差別として禁止されます。〔男女雇用機会均等法5条〕

 

<年齢による差別>

募集・採用に年齢制限を設けることは、法律で禁止されています。〔雇用対策法10条〕

かつては努力義務とされていましたが、現在では法改正により法的義務となっています。

それでも、雇用対策法により年齢制限が一切許されないわけではありません。

ただし、法的に許される例外に当たる場合には、求職者に対しその理由を示さなければなりません。〔高年齢者雇用安定法18条の2など〕

 

<思想による差別>

思想や信条を理由に採用しないことは、明確に禁止する法律の規定がありません。したがって、原則として認められることになります。

たしかに、労働基準法は思想・信条等による差別を禁止しています。しかし、これは採用後の労働者に適用されるものと解されています。

 

<障害による差別>

企業には、一定比率以上の障害者の雇用が義務づけられています。〔障害者雇用促進法37条〕

そして、障害者の雇用率がこの一定比率に満たない場合は、その企業から障害者雇用納付金を徴収することになっています。〔障害者雇用促進法53条以下〕

平成30年4月1日から、一般の民間企業の障害者雇用率は、2.0%から2.2%に引き上げられます。さらに、平成33年4月までには2.3%に引き上げられることになっています。

また、平成30年の法定雇用率の変更に伴い、障害者を雇用しなければならない民間企業の範囲が、従業員50人以上から45.5人以上に変わります。

今後も、障害者雇用率の上昇にともない、対象企業の範囲がより小規模な企業へと拡大されていくことでしょう。

 

社会保険労務士は採用についてもプロフェッショナルです。

人手不足クライシスといわれる採用難の中、求人・採用やその後の教育について不安があれば、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.12.19.解決社労士

<違法な就業規則の実在>

労働基準法などで保障された労働者の権利についての規定が無かったり、法令の基準を下回る内容の就業規則が作成されることは、少なくとも社会保険労務士に依頼したのならありえないでしょう。

しかし、就業規則を作成した時には適法だったものの、法改正が繰り返されて違法だらけの就業規則になってしまうということはあります。

この場合、就業規則と個別の労働契約と法令とを比べて、労働者に一番有利なものが有効になりますから、就業規則が法律に違反していたり、個別の労働契約よりも労働者に不利であったりすれば、その規定は無視されます。

結局、形式的にブラックな就業規則というのは、実害をもたらさないということになりそうです。

 

<形式と実質>

上で言う「就業規則」「労働契約」「法令」というのは、文書化されたものをイメージしています。

こうした意味での「就業規則」は各条文が文字で表わされ、ファイルの形になっています。

文書化されているからこそ、社内に周知することも、労働基準監督署長に届出ることも、改定手続きを行うことも可能なわけです。

これは形式的な「就業規則」の話です。

 

形式的な「就業規則」とは別に、その運用実態が問題となります。

「就業規則」の運用実態こそが、実質的な「就業規則」です。

「就業規則」が絵に描いた餅になっていて、つまり「単なる建前」として扱われていて、実際にはブラックな運用がされているということがあります。

これがブラック就業規則の問題です。

 

<就業規則の軽視>

就業規則が作成されたとき、あるいは変更されたとき、それを全従業員が見られるようにしておいたのに、誰も関心を示さず読まれないということがあります。

社会保険労務士に就業規則の作成・変更を委託したのなら、併せて説明会の開催も任せればこうした事態は生じないのですが、通常は別料金なので省略されることもあります。

やがて就業規則に規定されていることについても、法令違反の勝手な解釈が生まれ慣行となり、ブラック就業規則と化すことがあるのです。

 

<ブラック就業規則の実例>

ブラック就業規則、つまり違法な運用の例には次のようなものがあります。

・セクハラは相手が嫌がっていなければ問題にならない。

・パワハラは指導や業務上の指示に伴うものはある程度許される。

・正社員は年次有給休暇を取得できない。特に役職者は無理。

・アルバイトには労災保険が適用されない。

・大ケガでなければ労災保険の適用外。

・本人に過失があれば労災保険は適用されない。

・仕事のやり直しや自己啓発のための残業は無給となる。

・試用期間中は健康保険や厚生年金に加入しない。

・おかしな辞め方をした従業員には最後の給与を支払わない。

 

<就業規則の適法性>

政府が少子高齢化対策の継続的な推進に力を入れていますから、人を巡る法改正は盛んです。これに対応できていない就業規則は多いことでしょう。

しかし、これは形式的な「就業規則」の話です。

社会保険労務士に就業規則の適法性チェックを依頼する場合には、ブラック就業規則になっていないか運用実態を含めた労働条件審査として依頼することをお勧めします。

 

2017.12.18.解決社労士

<知られざる就業規則>

「就業規則の内容を従業員に知られてしまうと権利を主張される」というような理由で、就業規則のファイルを見つからない所に保管している会社もあります。

しかし、就業規則を周知しないのは労働基準法違反ですし、周知しない就業規則というのは、たとえ所轄の労働基準監督署長への届出をしてあっても効力が無いのです。

そのため、会社から従業員に対して就業規則上の義務を果たすように求めることができませんし、不都合な行為に対してペナルティーを科すこともできないのです。

それでいて、就業規則が無くても、労働者に保障された法的な権利は、従業員から主張されたら会社は拒否できません。

 

<わかってもらえない就業規則>

就業規則というのは、なかなか従業員に見てもらえないものですし、条文の意味を説明しないと理解してもらえないことがあるものです。

かつて、自分の勤務先でふざけた写真を撮ったアルバイトがSNSに投稿した結果、閉店に追い込まれるような事件が相次ぎました。

たとえ、「会社の信用を傷付けた時」という規定が就業規則にあったとしても、アルバイトはその規定の存在を知らないかもしれませんし、知っていても自分の行為がその規定に当てはまるという理解が無かったのでしょうか。

入社と退職が盛んな時代ですし、法改正に合わせた就業規則の改定も頻繁でしょうから、少なくとも年に1回は就業規則の勉強会を繰り返す必要があるでしょう。

 

<ポンコツな就業規則>

政府が少子高齢化対策の継続的な推進に力を入れていますから、人を巡る法改正は盛んです。これに対応できていない就業規則は多いことでしょう。

こうした流れとは別に、制服を廃止して長年経った今でも「勤務中は制服着用」という規定があったり、全館禁煙なのに「喫煙は定められた場所で」という規定が残っていたりします。

これでは、会社が本気でルールの整備をしていないことが明確ですから、従業員も就業規則を守る気持ちも薄れてしまいます。

 

<ありえない就業規則>

「セクハラを行ったら懲戒解雇」というありえない規定を見ることがあります。

それでいて、社内にセクハラの定義を定めるルールが無かったり、どのような言動がセクハラに当たるのかについて教育・研修が無かったりします。

セクハラにも程度の差があり、程度の軽いセクハラ行為で一律に懲戒解雇というのは、たとえ就業規則に規定があったとしても無効になります。

「唇、ツヤツヤだね」と言っただけでクビになりうる就業規則というのは恐ろしいです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

3年以上改定していない就業規則があれば、社労士のチェックが必要でしょう。

とりあえず必要な改定と届出をして、社内研修を行えば当面は安心です。

その後のことは、社労士と相談して決めれば良いことです。

 

2017.12.17.解決社労士

<パートタイム労働法などの改正>

平成2741日付でパートタイム労働法、施行規則、指針が改正されています。すでに3年近く経過していますから、知らないでは済まされません。

 

<パートタイム労働者の範囲>

「1週間の所定労働時間が、同一の事業所に雇用される正社員など通常の労働者に比べて短い労働者」のことをいいます。

労働条件は、労働条件通知書などの書面により労働者に通知しておくことが、事業主に義務づけられています。

 

<採用時の説明義務>

パートタイム労働者を雇ったときは、事業主に次のようなことについての説明義務があります。〔パートタイム労働法141項〕

・賃金制度の具体的な内容

・教育訓練の具体的な内容

・利用できる福利厚生施設

・正社員への転換を推進する措置の具体的な内容

 

また採用後も、パートタイム労働者から次のようなことについて質問があれば、事業主はきちんと理解できるように説明する義務があります。〔パートタイム労働法142項〕

・どのような要素をどのように考慮して賃金を決定したか

・参加できる教育訓練の内容がどうしてそのように決まっているのか

・利用できる福利厚生施設の範囲がどうしてそのように決まっているのか

・正社員への転換推進措置は何を考慮してそのように決まったのか

 

小さな会社では、具体的なことが何一つ決まっていないということもありえます。

こうした状態では、法律違反ということとは別に、職場としての魅力が無いため、退職者が多い一方で、新人を採用できないことになりかねません。

 

遵法経営の点からも、人手不足解消の点からも、なるべく経費をかけずに改善を進める必要があります。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2017.12.16.解決社労士

社会保険労務士との契約内容についての疑問

 

Q:社会保険労務士の業務について統一された料金表はあるのか?

A:自由競争の原理を尊重するために、現在は公式の料金表がありません。

それぞれの社会保険労務士事務所ごとに、自由に報酬が設定されています。

自社がよく利用するサービスの質が高くて割安な事務所と契約することをお勧めします。

 

Q:社会保険労務士の業務の範囲は?

A:基本的には、社会保険労務士法に定められた業務のすべてと、これに付帯する業務が社会保険労務士事務所の業務の範囲となります。

しかし、一部の業務に特化した社労士事務所もあります。

具体的な業務範囲は、顧問契約書などで事前に確認することをお勧めします。

 

Q:社会保険労務士の顧問契約とは?

A:多くの顧問契約は、相談・指導・提案などの委任契約と給与計算・社会保険手続き・労働保険手続きなどの請負契約が一体となっています。

定額の顧問料で、どこまでの業務を依頼できるのか、何を依頼したら追加料金が発生するのかは、契約前にきちんと把握しておく必要があります。

契約内容については、遠慮せず納得がいくまでご確認することをお勧めします。

 

Q:社会保険労務士の委任契約とは?

A:相談・指導・提案など、社会保険労務士の専門知識や実務経験により、ベストを尽くす形で提供するサービス業務です。

これは、社会保険労務士(事務所)の能力が反映されやすい業務です。

社会保険労務士(事務所)の得意分野と自社のニーズとが合致するのが望ましいといえます。

 

Q:社会保険労務士の請負業務とは?

A:給与計算、健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険の手続きのように、文書などで形の残る業務が中心です。

基本的には、どの社会保険労務士が行っても、計算結果や給付金額には差が出ないものです。しかし、説明のわかりやすさやアフターフォローなどの面で差が出てきます。

また、就業規則の作成・改定、人事考課制度の構築・運用など、それぞれの会社の実情に合わせて行うべきことは、結果に大きな差が出てきます。

こうした業務は、一般に、顧問契約の基本料金とは別に報酬が必要になります。

 

Q:顧問契約の期間は?解約はむずかしいのか?

A:顧問契約の期間について、特に制限はありませんので、それぞれの顧問契約で自由に定めることができます。

しかし、必要がなくなったとき、あるいは別の顧問先を依頼したいときに、解約がむずかしいのは考えものです。

当初予定した課題が解決した時や、必要なくなった場合に、依頼主側から自由に解約できる契約内容になっていれば安心です。

それでも、社会保険労務士側に契約や契約書についての基本知識が不足していると、契約内容を変えたがらない傾向が見られます。

話し合いによって、契約を柔軟に変更できる社会保険労務士事務所と、納得のいく内容で契約することをお勧めします。

 

Q:社会保険労務士の指導や指示には従わなければならないのか?

A:社会保険労務士には、会社の業務についての決定権がありません。

法令違反の恐れがある部分については、これを発見次第、社会保険労務士から依頼人に改善案を提示します。

しかし、これに応じて是正するかしないかは、会社側の判断に委ねられます。

この場合でも、社会保険労務士には守秘義務がありますから、法令違反の恐れがある事実について、外部に漏らすことはありません。

 

2017.12.15.解決社労士

法令や裁判に出てくる「社会通念上相当」の意味は、「裁判官が認定した社会一般の常識に適っている」という意味だと思います。

 

<法令に出てくる「社会通念上相当」>

労働契約法は、解雇について次のように定めています。

 

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

とても抽象的な表現です。

ですから、具体的に使用者が労働者を解雇しようとしたときに、それがこの規定に触れて無効になってしまうのか、それとも有効になるのかを判断するのは困難です。

使用者自身の判断で解雇に踏み切るのはリスクが大きすぎますから、専門家である社会保険労務士などに具体的な事情を話して判断を求めるのが安全です。

 

辞書の説明

「社会通念」という言葉を辞書で調べると、次のように書かれています。

 

大辞林 第三版

社会一般に行われている考え方

 

デジタル大辞泉

社会一般に通用している常識または見解

 

法令を解釈するときにも、「社会一般の常識」という意味に使われています。

 

また、「相当」という言葉を辞書で調べると、次のように書かれています。

 

大辞林 第三版

状態・程度などが釣り合っていること。ふさわしいこと。相応。

違った尺度や体系上のあるものと等しいこと。対応すること。

物事の程度や状態が釣り合っているさま。ふさわしいさま。

物事の程度が普通よりかなり上であるさま。

程度が普通よりはなはだしいさま。

 

デジタル大辞泉

価値や働きなどが、その物事とほぼ等しいこと。それに対応すること。

程度がその物事にふさわしいこと。また、そのさま。

かなりの程度であること。また、そのさま。

 

法令を解釈するときの「相当」は、「ふさわしい」という意味で使われることが多いようです。

 

<法令や裁判での意味>

労働関係法令を巡っては、使用者の立場と労働者の立場が対立します。

ですから、「社会一般の常識」が必ずしも統一されていない場合には、自分に有利な解釈をしてしまいます。

そして、この対立に決着をつけるのは裁判官の判断です。

結局、この労働契約法16条の「社会通念上相当」というのは、私の解釈では、「裁判官が認定した社会一般の常識に適っている」ということになります。

労働契約法16条で「社会通念上相当であると認め」るのも裁判官です。

 

裁判の結論を出すのに必要な「社会一般の常識」を認定するのは裁判官ですし、その結論が社会一般の常識に照らして「ふさわしい」と判断するのも裁判官です。

 

裁判官の判断が基準ということであれば、法令の条文を読んで辞書を引いても、ほとんどの場合には結論が分からないことになります。

結局、具体的な事例に照らして関連する裁判例を確認して、裁判官がその事例について「社会一般の常識」の内容をどのように認定し、それに「ふさわしい」結論はどうなるのかを確認しなければなりません。

ですから、使用者自身の判断で解雇に踏み切るのはリスクが大きすぎます。

解雇できるのかできないのか、解雇するためには何が必要か、解雇できない場合にはどうしたら良いのか。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社会保険労務士にご相談ください。

 

2017.12.14.解決社労士

法令や裁判に出てくる「客観的」の意味は、その多くが裁判官の判断に適合するという意味だと思います。

 

<法令に出てくる「客観的」>

労働契約法には、「客観的に」という言葉が3回出てきます。〔15条、16条、19条本文〕

いずれも懲戒、解雇、雇い止めという重要な条文です。

しかし、ここでいう「客観的に」という言葉がどういう意味なのかは、労働契約法の中に説明がありません。

法令や裁判に出てくる基本的な用語の意味が確定していないと、私たちが具体的な事実に当てはめて考えることがむずかしくなってしまいます。

 

<辞書の説明>

「客観的」という言葉を辞書で調べると、次のように書かれています。

 

大辞林 第三版

個々の主観の恣意を離れて、普遍妥当性をもっているさま。

 

デジタル大辞泉

主観または主体を離れて独立に存在するさま。

特定の立場にとらわれず、物事を見たり考えたりするさま。

 

辞書ですから、様々な場所で使われている「客観的」に共通する意味を表示しているのでしょう。

法令や裁判を解釈するときには、どうしても自分の立場で解釈してしまいます。

特に労働関係法令であれば、使用者の立場と労働者の立場が対立します。

「客観的に」と言われても困ってしまいます。

 

<たとえば解雇について>

労働契約法は、解雇について次のように定めています。

 

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

とても抽象的な表現です。

ですから、具体的に使用者が労働者を解雇しようとしたときに、それがこの規定に触れて無効になってしまうのか、それとも有効になるのかを判断するのは困難です。

使用者自身の判断で解雇に踏み切るのはリスクが大きすぎますから、専門家である社会保険労務士などに具体的な事情を話して判断を求めるのが安全です。

 

そして、この労働契約法16条の「客観的に」というのは、私の解釈では、「裁判官の判断によれば」ということになります。

裁判官の判断が基準ということであれば、法令の条文を読んで辞書を引いても、ほとんどの場合には分からないことになります。

結局、具体的な事例に照らして関連する裁判例を確認して、その意味するところを確定しなければなりません。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社会保険労務士にご相談ください。

 

2017.12.13.解決社労士

「合理的」とは、法令の趣旨や目的に適合するという意味だと思います。

 

<法令に出てくる「合理的」>

労働契約法には、「合理的な」という言葉が7回出てきます。〔1条、7条、10条、15条、16条、19条本文、192号〕

しかし、ここでいう「合理的な」という言葉がどういう意味なのかは、労働契約法の中に説明がありません。

障害者基本法4条には、「合理的な配慮」という言葉が使われていて、その具体例については議論が活発です。

しかし、そもそも「合理的な配慮」という言葉の意味については、統一されていないように思われます。

法令や裁判に出てくる基本的な用語の意味が確定していないと、私たちが具体的な事実に当てはめて考えることがむずかしくなってしまいます。

 

<辞書の説明>

「合理的」という言葉を辞書で調べると、次のように書かれています。

 

大辞林 第三版

論理にかなっているさま。因習や迷信にとらわれないさま。

目的に合っていて無駄のないさま。

 

デジタル大辞泉

道理や論理にかなっているさま。

むだなく能率的であるさま。

 

辞書ですから、様々な場所で使われている「合理的」に共通する意味を表示しているのでしょう。

法令や裁判に出てくる「合理的」の意味にぴったり当てはまるようには思えません。

 

<たとえば解雇について>

労働契約法は、解雇について次のように定めています。

 

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

とても抽象的な表現です。

ですから、具体的に使用者が労働者を解雇しようとしたときに、それがこの規定に触れて無効になってしまうのか、それとも有効になるのかを判断するのは困難です。

使用者自身の判断で解雇に踏み切るのはリスクが大きすぎますから、専門家である社会保険労務士などに具体的な事情を話して判断を求めるのが安全です。

 

そして、この労働契約法16条の「合理的な理由」というのは、私の解釈では、「労働契約法の趣旨や目的に適合する理由」ということになります。

労働契約法の目的は他の多くの法令と同じように、第1条に書かれています。

これと他の条文全体の趣旨から、「合理的な理由」の意味が確定されるわけです。

 

2017.12.12.解決社労士

あくまでも私個人の経験に基づいた話です。

 

<人前で話すのが下手だと自覚すること>

まず、自分は人前で話すのが下手だということをきちんと自覚します。

そして、いつかはもう少し上手く話せるようになりたいと思います。

こうすることで、上手く話せるようになるための努力を続けます。

また、実際に話し始めれば、聞き手は話が下手なことに気付き、熱心に注意深く聞くこともないでしょう。誰も聞いていないかもしれません。

だから、緊張する必要も無いということになります。

このように考えるわけです。

 

<原稿を用意しないこと>

事前に話の内容を原稿にしておいて、本番でそれを読み上げれば失敗しないだろうと考えがちです。

しかし、実際には読み間違えたり、行を飛ばして読んでしまったりと、失敗はいくらでも起こります。

むしろ、原稿は準備しない方が上手くいきます。

読み間違いや、行を飛ばすということも起こりません。

原稿が無ければ、話の一部を忘れてしまい、頭の中が真っ白になったとしても、誰も気付かないのです。緊張することはありません。

項目だけを書いたメモを持つという考えもあります。しかし、このメモをなくすと大きな痛手になります。メモが読めなかったり、読んでも意味がわからなかったりということもあります。

 

<事前の準備は早めにスタート>

人前で話すことが決まったら、なるべく早く具体的な準備を開始します。

一気に準備することはお勧めできません。

歩きながら、電車の中で、入浴中に少しずつ考えます。

ある程度考えがまとまったらメモを作ります。そしてまた考えます。

新聞を読んだり、テレビを見たり、あるいは日常会話の中で多くのヒントが見つかるものです。

 

<本番では普段よりさらに下手になると覚悟すること>

話の下手な人が、事前にどれほど練習しようとも、本番では練習ほどに上手く話せないものです。

「これは本番だから普段より下手になる」と覚悟しておけば、失敗しても緊張せずに済みます。

 

<反省しないこと>

本番が終わったら、反省せずに、とりあえず終わったことを喜びましょう。

すべては過去のことです。

反省しない方が、次はもっとリラックスできます。

2017.12.11.解決?社労士

<懲戒処分の有効要件>

解雇まではいかなくても、懲戒処分が有効とされるには、多くの条件を満たす必要があります。

条件を1つでも欠けば無効となり、会社としては対象者から慰謝料その他の損害賠償を請求される可能性があるわけです。

法律上の制限として次の規定があります。

 

「使用者が労働者を懲戒できる場合に、その労働者の行為の性質、態様、その他の事情を踏まえて、客観的に合理的な理由を欠いているか、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして無効とする」〔労働契約法15条〕

 

これは、数多くの裁判の積み重ねによって作られた「懲戒権濫用法理」という理論を条文にしたものです。

 

<使用者が労働者を懲戒できる場合>

労働契約法15条には、「使用者が労働者を懲戒できる場合に」とサラッと書いてありますが、この一言には就業規則や労働条件通知書などに懲戒処分の具体的な取り決めがあるという意味が込められています。

ですから、そもそも就業規則や労働条件通知書などに懲戒処分の具体的な取り決めが無ければ、懲戒処分そのものができないことになります。

 

たとえば、厚生労働省のモデル就業規則には、懲戒処分について次のような規定があります。

 

(懲戒の事由)

第62条 労働者が次のいずれかに該当するときは、情状に応じ、けん責、減給又は出勤停止とする。

①正当な理由なく無断欠勤が   日以上に及ぶとき。

②正当な理由なくしばしば欠勤、遅刻、早退をしたとき。

③過失により会社に損害を与えたとき。

④素行不良で社内の秩序及び風紀を乱したとき。

⑤性的な言動により、他の労働者に不快な思いをさせ、又は職場の環境を悪くしたとき。

⑥性的な関心を示し、又は性的な行為をしかけることにより、他の労働者の業務に支障を与えたとき。

⑦第11条、第13条、第14条に違反したとき。

⑧その他この規則に違反し又は前各号に準ずる不都合な行為があったとき。

 

従業員が大人ばかりでしたら、このまま自社の就業規則に使えそうです。

しかし、高校生のアルバイトがいるような職場では、もう少しわかりやすく、中学を卒業したばかりの人にも理解できる表現にするか、定期的に就業規則の学習会を開かないと無理がありそうです。

 

実際に懲戒規定の具体性が争われるのは、「前各号に準ずる不都合な行為があったとき」のような抽象的な表現です。

就業規則は会社が作るものですから、会社が就業規則を根拠として懲戒処分を行い、対象者がその有効性を争ったら、会社側が「前各号に準ずる不都合な行為があった」ことなどを証明しなければなりません。

 

<懲戒処分が無効とされないための規定>

従業員によって行われた不都合な行為が、就業規則の懲戒規定に当てはまるかどうかについて争いが生じたのでは、処分を行うのが難しくなってしまいます。

これを防ぐには、「正当な理由なく」「しばしば」「素行不良」など解釈が分かれそうな表現を具体化する必要があります。

また、「前各号に準ずる不都合な行為があったとき」とはどのような行為なのか、具体的に列挙する必要もあるでしょう。

実際にやってみると、懲戒規定の条文が100を超えてしまいます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

適正な懲戒処分を行うためには、就業規則の内容を自社に合ったものにしておくこと、必要な教育研修を繰り返し行うことなど事前の準備が不可欠です。

また、実際に事件が発生してしまった場合には、適法要件を満たしつつスピーディーに動く必要があります。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.12.10.解決社労士

<AI等の普及・進展の影響>

人の仕事がAI等に取って代わられるため、人手不足の解消が期待できます。

しかし、雇用が大幅に減少すれば、失業者が増えることにもつながります。

確かに全体として見れば、AI等の活用により雇用量が減る方向に動くことが予想されます。

それでも、すべての業務について一律に雇用量が減るとは考えられません。

雇用量が減る業務がある一方で、付加価値の高い業務では雇用量が増えることが見込まれます。

 

<減少する業務と増加する業務>

2017年125日に厚生労働省で開催された「第3回 労働政策審議会労働政策基本部会」の資料が、ホームページに公開されました。

シンクタンクや各省庁等による先行研究の内容がまとめられています。

この中で、AI等の影響で減少する業務、増加する業務が取り上げられています。

 

<今後減少する業務>

労働政策審議会労働政策基本部会の資料には、次のように示されています。

・必ずしも特別の知識やスキルが求められない職業

・バックオフィス等、従来型のミドルスキルのホワイトカラーの仕事

・ルーティンタスク

・定型的業務が中心の職種

・教育水準や所得水準が低い労働者の仕事

 

社会保険労務士の業務のうち、給与計算や社会保険(健康保険と厚生年金保険)・労働保険(雇用保険と労災保険)の手続きのような定型的なものは今後減少していくでしょう。

ただ例外的に、「第三者行為災害」の手続きなどやや専門性の高いものは、社会保険労務士に委託されるのではないでしょうか。

 

<今後増加する業務>

労働政策審議会労働政策基本部会の資料には、次のように示されています。

・他者との協調や、他者の理解、説得、ネゴシエーション、サービス志向性が求められる職業

・上流工程やIT業務における、ミドルスキル・ハイスキルの仕事

・人が直接対応することが質・価値の向上につながるサービスに係る仕事

・新しい付加価値の創出に役立つ技術職

 

社会保険労務士の業務のうち、採用・懲戒・解雇などに伴うトラブルの予防・解決、就業規則および各種規程の作成・変更、労災やハラスメントを防止するために会社が行う教育の代行など、専門家が直接対応しなければならない業務は今後増加していくでしょう。

 

<これからの社会保険労務士>

AI等の活用による手続き業務の指導や、一部の専門的な手続きは社会保険労務士に任されるものの、単純な手続き業務は社会保険労務士の手を離れていくものと考えられます。

しかし、それ以外の業務では、労働者の減少により社内でまかない切れなくなることもあって、専門性の高い国家資格者の社会保険労務士の役割は拡大していくと思います。

それにもかかわらず、社会保険労務士の人数は増えていません。このままでは、社会保険労務士不足になる日も近いでしょう。

今のうち、いざという時に頼れる社会保険労務士を見つけておいてはいかがでしょうか。


2017.12.09.解決社労士

独立行政法人労働政策研究・研修機構が、「イノベーションへの対応状況調査」(企業調査)の結果 と「イノベーションへの対応に向けた働き方のあり方等に関する調査」(労働者調査)の結果を公表しています。

 

こちらです↓

http://www.jil.go.jp/press/documents/20170710.pdf

 

この中で、AIの活用が一般化する時代に従業員に求める能力については、企業調査と労働者調査のどちらでも、次の3つが上位に並んでいます。

 

・チャレンジ精神や主体性、行動力、洞察力などの人間的資質

・コミュニケーション能力やコーチングなどの対人関係能力

・企画発想力や創造性

 

しかし、こうした能力を備えた人を採用したり、従業員にこうした能力を身に着けるよう要求したりというのは、あまり現実的ではないように思われます。

 

こと労務管理関係でこうした能力を必要とするのであれば、従業員を雇うのではなくて、社労士(社会保険労務士)に任せた方が安あがりです。

たとえば、次のようなことは専門家である社労士に任せてしまうということです。

 

・従業員をやる気にさせる仕組みの構築

・従業員ひとり一人の生産性を上げるための社員教育

・従業員の定着率を高めるための施策

・社内ルールの整備によるトラブル防止

・良い人材を採用するための企画

 

こうした専門性の高いことは、従業員に頼るのではなく、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.12.08.解決社労士

<人事考課の必要性>

社内に人事考課の基準がなくて、年齢や経験年数だけで昇給と昇格が決まっている会社からは、将来有望な若者が去っていくものです。

ただクビにならないように気を付けながら、在籍年数を伸ばしていくだけで、それなりの昇給と昇格が期待できるとすれば、危険を冒してまで努力するのはばかばかしくなります。こうして多数派の社員は、本気で業績に貢献しようという意欲を失っていきます。

 

<人事考課は客観的に>

社長や人事権を握っている一部の人が、主観的に判断して社員を評価するのも危険です。

こういう会社では、会社の業績に貢献するよりも、社長や考課権者と仲良くなるのが出世の近道になってしまいます。反対に社長や考課権者に嫌われたら最後、未来は暗くなりますから、優秀な社員でも会社から去っていくことになります。

 

<人事考課と給与>

給与というのは、今後1年間にどれだけ活躍するかを予測して決定するものです。

そうでなければ、新卒や中途採用では初任給が決まりません。

ベテラン社員であっても、これまでの実績を参考にして、今後一年間にどれだけ活躍するかを予測して決定するものです。

 

<人事考課と賞与>

賞与というのは、どれだけ能力があるかとは関係なく、どれだけの実績を上げて会社に貢献したかという結果を評価して設定するものです。

ここで注意したいのは、「結果がすべて」の評価にしないことです。

どれだけ社内外と協力したのか、そのプロセスを含めて評価しなければ、目的のためには手段を選ばない社員ばかりになってしまいます。

 

<一般的な注意点>

人事考課制度の導入にあたっては、相対評価にするのか絶対評価にするのかをあらかじめ決定しておかなければなりません。

評価結果の意味合いが違ってくるからです。

学校の成績表でもこの点は明確にされているものです。

 

考課表は人単位で作成されますが、評価する管理職は項目単位で評価しなければなりません。

そうしないと、人事考課で最も警戒すべきハロー効果の悪影響が出てしまうからです。他にも、中央化傾向、寛大化傾向、酷評化傾向、期末誤差、論理誤差、退避誤差の危険は一般に指摘されています。

 

考課者は、ともするとパワハラに走ります。

誰だって上司が、給与、賞与、昇進に大きくかかわる判断をするとわかっていれば、従順にならざるを得ません。

それなのに上司は自分が偉くなったのだと勘違いして、パワハラを行う危険は大きいのです。

こうなると、意見や改善提案は出にくくなりますから、会社の成長がストップしてしまうという大変な弊害も生じます。

考課者に対しては、くれぐれもパワハラを行わないこと、パワハラを行った管理職の評価は下がり、場合によっては管理職が不適格であると判断されるという警告を発しておかなければなりません。

 

<評価される側もかかわること>

評価項目や評価基準の設定にあたっては、一般担当者の意見も聞かなければなりません。

評価項目の漏れや、評価基準の不合理に気付かせてくれます。また、人事考課制度の構築にあたって、「自分も参加した」ということから納得を得やすくなるのです。

 

また、自分の仕事について、報告を怠ると正しく評価されないということを説明して、報連相を活発化させることも心がけましょう。

 

さらに、評価をして結果を出して終わりではなく、評価結果とその理由は面談できちんと伝えましょう。

これをしないと人事考課の効果は半減してしまいます。

ひとり一人の社員が、会社からどうして欲しいのかを把握することによって、努力の方向性が明確になり生産性の向上が可能となるのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

人事考課制度をどのように導入しレベルアップさせたら良いのか。会社ごと、職場ごとに、最善の方法は異なります。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

2017.12.07.解決社労士

<社会保険の加入基準>

1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数が通常の労働者(正社員など)の4分の3以上であれば社会保険に加入します。

会社の意向や労働者の希望とは無関係な客観的な基準です。

 

さらに、短時間労働者について、平成28101日に基準が変更されました。

1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数が通常の労働者(正社員など)の4分の3未満であっても、次の5つの条件を全て満たす場合には、社会保険が適用されます。

・週の所定労働時間が20時間以上

・勤務期間が1年以上見込まれること

・月額賃金が8.8万円以上

・学生以外

・社会保険の加入者が501人以上の企業に勤務していること

 

このように、社会保険に入る基準は客観的なものであり、事業主が加入手続きをしていなくても、法律上は、基準を満たせば社会保険に加入していることになります。

 

<労働者側が約束した場合>

労働者が社会保険に入る約束をした場合には「加入条件を満たしたならば加入手続きに協力する」「加入条件を満たす労働条件で働く」のいずれかの約束だと理解されます。

加入条件を満たしたのに「私は社会保険料を支払いたくない」と言う労働者がいます。この場合には事業主が期限を区切って、所定労働時間を減らすか、手続きに応じるかの選択を迫ることになります。

 

<事業主側が約束した場合>

事業主が社会保険に入らせる約束をした場合で「加入条件を満たしたならば加入手続きを行う」という約束ならば、適法に運営することの表明に過ぎません。

しかし、「加入条件を満たす労働条件で働かせる」という約束ならば、基準よりも少ない所定労働時間で労働契約をしようとすることは約束違反になります。両者で良く話し合う必要があります。

 

<労働契約は口頭でも成立する>

労働契約は、契約書を交わさなくても口頭で成立します。

しかし、「社会保険に入る約束」というのは、労働契約の成立前でも後でもできることです。

こうしたことで無用な争いが発生することは避けたいところです。

迷った時には、信頼できる国家資格者の社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2017.12.06.解決社労士

<整理解雇の有効要件>

整理解雇は、会社の経営上の理由により行う解雇です。

これには、最高裁判所が「整理解雇の4要件」を示していて、これらの要件を満たしていないと、解雇権の濫用となり無効となる可能性があります。

その4要件とは次の4つです。

1.人員削減の必要性が高いこと

2.解雇回避の努力が尽くされていること

3.解雇対象者の人選に合理性が認められること

4.労働者への説明など適正な手続きが行われていること

これらはそれぞれに厳格な基準があるわけではなく、また、すべての基準を満たしていなければ解雇が無効になるということではありません。

裁判では、4要件を総合的に見て、一定の水準を上回っていれば、整理解雇が有効とされています。

 

<人選の合理性について>

整理解雇対象者の選定については、客観的で合理的な基準を設定し、公正に適用して行う必要があります。

年齢や勤続年数のように、簡単に数値化できるものは、客観的な基準として挙げられやすいものです。

しかし、たとえば比較的転職しやすいだろうという理由で、30歳未満の社員を整理解雇の対象とした場合でも、社内での経歴から転職しやすさに差が出るのは明らかです。会社の判断で配属し異動させているわけですから、転職しやすさに差が出るのは会社側にも責任があります。

また反対に、会社に対する貢献度の割に給与が高いという理由で、50歳以上の社員を整理解雇の対象とした場合でも、年齢とともに昇給する給与体系となっているのは会社がそのようにしているわけですから、これも会社側に責任があります。

 

<人事考課が適正に行われている場合>

協調性が無い、素行不良である、上司の指示に従わない、報連相ができない、身体が虚弱で業務に支障が出ているなど、総合的に評価された結果が、「直近3年間ですべてC評価以下であった」などの基準は、客観的で合理的な基準として使うことができます。

人事考課は、止むを得ず整理解雇を行う場合に備えてのものではありませんが、適正な人事考課の運用は、こうした場合にも役立つということです。

 

<懲戒処分が適正に行われている場合>

過去5年間に、減給処分または1週間以上の出勤停止処分を受けた者という基準も、客観的で合理的な基準として使うことができます。

ただし、解雇権の濫用と同様に、懲戒権の濫用も問題になりますから、あくまでも懲戒処分が適正に行われてきたことが前提となります。

 

今は、人手不足クライシスとまで言われている状況ですから、整理解雇が必要になる可能性は低いのかもしれません。

しかし、このような状況下でこそ、新たな人事考課制度や給与体系を構築しやすいものです。

このチャンスに、人事考課制度の課題に取り組むことをお勧めします。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご用命ください。

 

2017.12.05.解決社労士

<基礎年金番号>

各個人の年金加入記録は、「基礎年金番号」によって管理されています。

これは、〇〇〇〇-〇〇〇〇〇〇(4ケタ-6ケタ)の形の10ケタの数字です。

この基礎年金番号は、正しく記録管理を行うためにも、一人に1つの番号であることが前提となっています。

 

<仮基礎年金番号>

99で始まる基礎年金番号は、仮基礎年金番号と呼ばれています。

この仮基礎年金番号を持っている人は、基礎年金番号を複数持っている可能性があります。

仮基礎年金番号が付けられたのは、年金への加入時に年金手帳が事業主へ提示されず、そのために加入届の基礎年金番号が未記入だったなど、正しく基礎年金番号が確認できなかったため、確認が取れるまでの間、仮基礎年金番号で記録の管理を行うことになっているからです。

 

<起こりうる不都合>

基礎年金番号が複数あると、記録管理上はそれぞれ別人の記録として取り扱われることになり、その結果、本来支払う必要のない保険料の支払案内が届くなど、年金に関する案内が正しく行われない等の問題が発生します。

 

<不都合の解消>

99で始まる基礎年金番号を持っている人には、「基礎年金番号確認のお願い」が郵送されます。

郵送された人が「基礎年金番号確認のお願い」に記入した内容を基に、別の基礎年金番号をダブって持っていないかの確認が行われます。

もし、99で始まる基礎年金番号を持っているのに「基礎年金番号確認のお願い」が届かない場合や、記入して返送する前に紛失してしまった場合には、お近くの年金事務所にご相談ください。

 

2017.12.04.解決社労士

<企業の労災防止>

各企業は、労災事故の発生を防ぐため、安全教育、設備・機械・器具の点検、安全のためのルールの設定と遵守指導に取り組んでいます。

業務災害は、新人とベテランに多いものです。新人はまだ良くわかっていないからですし、ベテランは昔教育されただけで、その後教育されていないこともありますし、本人が油断していることもあります。

また通勤災害は、交通機関や道路の改善などは無理ですが、交通安全教育、通勤経路の危険個所についての情報提供などによって、間接的に防止するよう努めています。

 

<労災防止の効果>

労災防止の効果としては、労災事故の減少・軽減による会社資産の保護、労働力の確保、従業員の安心などがあります。

そして労働者の安心は、定着率の向上、応募者の増加、会社の評判の上昇をもたらしますから、企業は本気で労災防止に取り組むべきなのです。

 

<忘れがちな形式面の対策>

たとえば、所轄の労働基準監督署が企業に調査(臨検監督)に入ったとします。そして、その企業では労災防止策が徹底されていて、数年にわたって労災事故が無かったとします。

対応に当たった社員が、月1回労働安全研修会を行っていることを説明しても、労働基準監督官は証拠が無ければ説明内容を安易に信じるわけにはいきません。監督官が報告書に「毎月研修会を実施していると聞きました」と書くわけにはいかないのです。

同様に、毎日朝礼で安全対策の確認をしていて、従業員は設備・機械・器具の使い方や注意点をしっかり頭に入れていたとしても、証拠が無ければそうした対策が徹底されているとは認定されません。

むしろ、労災保険の給付請求書が提出されないのは、違法な労災隠しが行われているのではないかと疑われかねないのです。

 

またたとえば、不幸にして死亡事故が発生し、遺族から損害賠償を求められたらどうでしょう。

企業としてできる対策をきちんと行い、死亡した被災者にも定期的に十分な教育をしていたにもかかわらず、たまたま本人が想定外の不注意で事故を起こしてしまったような場合でも、証拠が無ければ裁判では企業の労災事故防止に向けた努力を主張できないのです。

こうなると、企業の負う賠償額はかなり高額になってしまいます。企業の存続すら脅かすかもしれません。

 

<証拠を残すとは>

企業が労災事故の発生防止に努めているという証拠を残しておくには、それを意図して行わなければできるものではありません。

 

社内研修を行うのであれば、社内研修の案内・資料・参加者名簿を残す準備が必要です。参加者名簿は、参加者のひとり一人から署名を得ておくのが良いでしょう。

また、マニュアルなど参照しなくても問題なく作業できる従業員ばかりの職場であったとしても、すぐ参照できる所にマニュアルを保管しておくべきです。

「危険!」「熱い!」などの表示は、それ自体が本当に労災防止に役立つものではなくても、労災防止に努めている証拠として積極的に施しておくべきです。

 

また、交通ルール・自転車マナー・危険個所情報の掲示も有効です。通勤災害の防止にも取り組んでいる資料を示しておくことになります。

実際には、通勤災害についてまで企業が責任を負うことは稀です。

しかし、勤務中の自動車・自転車の使用や移動中の歩行でケガをした場合には業務災害になりますから、こうした対策も必要でしょう。

 

労働基準法や労働安全衛生法などにより、作成・保管を義務付けられている書類は多いものですし、上記のように法的義務の無いものであっても、作成・保管が企業防衛に必要なものもあります。

こうしたことを一括してチェックするには、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)に調査をご用命ください。

2017.12.03.解決社労士

<就業規則に規定があれば>

就業規則や人事考課規程の中に、考課期間の途中で人事異動があった場合の規定があれば、それに従い人事考課を行うことになります。

しかし、厚生労働省のモデル就業規則にも、そのような細かい規定はありません。

実際にも、人事異動を想定した規定を持たない会社は多いようです。

 

<考課期間による按分方式>

たとえば、冬の賞与支給額を決定するための考課期間が4月から9月までだったとします。

ある社員が、課長Aの部署から課長Bの部署に6月1日付で異動したならば、課長Aと課長Bの両方が人事考課をして、課長Aの評価の3分の1と課長Bの評価の3分の2を合計するという方法がとれます。

このやり方のメリットは、それぞれの課長が自由に評価できるという点にあります。

ただし、評価が数値化されていないと単純に計算できないので、この方法を使うのは困難です。

 

<協議による評価方式>

上の例で、課長Aと課長Bとで協議しながら評価を決めるという方式も考えられます。

このやり方のメリットは、評価が数値化されない場合や、少しずつ業務を移管していって実質的な異動日を特定できない場合でも問題ないという点にあります。

しかし、課長Aと課長Bとの人間関係や力関係から、どちらか一方だけの意見が強く反映される危険もありますし、そもそも仲が悪くて協議しないという場合まで考えられます。

 

やはり、あらゆることについて、人事異動を想定した明確な規定を備えておくべきです。

また、少子高齢化対策によって、労働関連法令全体に急速な法改正が広がっていますから、会社がこれに応じて就業規則を改定していくのが大変になっています。

この機会に、必要な就業規則の補充と変更をまとめて行ってはいかがでしょうか。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社労士(社会保険労務士)にご用命ください。

2017.12.02.解決社労士

<待期期間の不思議>

健康保険の傷病手当金、労災保険の休業(補償)給付、雇用保険の基本手当(昔の失業手当)には、待期期間があります。

給付の理由があっても、最初の一定の日数は給付されません。しかし、その理由は意外と知られていませんので、ここにご紹介させていただきます。

なお、「待機期間」ではなくて「待期期間」です。

「待機」は、準備を整えてチャンスの到来を待つことです。待機児童、自宅待機、待機電力の「待機」はこの意味で使われています。

「待期」は、約束の時期を待つことです。待期期間の「待期」はこの意味で使われています。

 

<傷病手当金の待期期間>

健康保険の傷病手当金は、ケガや病気で働けなくなっても、最初の継続した3日間は待期期間とされ支給の対象とされません。

これは、仮病による支給申請を防止するためだそうです。

3日間の無給を犠牲にしてまで、嘘のケガや病気で傷病手当金の申請をしないだろうという考えによります。

ただ、年次有給休暇の取得も考えられますから、効果は疑わしいと思います。

 

<休業(補償)給付の待期期間>

労災保険の休業(補償)給付は、ケガや病気で働けなくなっても、最初の継続または断続した3日間は待期期間とされ支給の対象とされません。

仮病による支給申請の防止というのは、傷病手当金と同じです。

しかし、年次有給休暇のこともありますし、通勤災害による休業補償給付ではなくて、業務災害による休業給付ならば、最初の3日間は事業主が労働基準法の規定により休業補償を行うことになりますから、ますます効果は疑わしいものです。

 

<雇用保険の基本手当の待期期間>

ハローワークに離職票を提出し求職の申し込みをした日から7日間は、待期期間とされ基本手当の支給対象期間とされません。

本当に失業状態にあるといえるのかを確認するために設けられているとされます。しかし、失業状態にあることの確認は、待期期間を設けるだけでは不十分でしょう。

なお自己都合退職者には、7日間の待期期間の後、さらに最大3か月の給付制限期間が設けられています。これは、自分の都合で退職しているので、経済的な備えなどができるはずだということで設けられています。

不思議なことに、この給付制限期間のことを「たいききかん」と呼んでいる人もいます。

 

<待期期間の役目>

以下は、私個人の考えですので悪しからず。

火災保険や自動車保険その他の損害保険では、免責金額が設定されているのが一般的です。免責金額以下の損害に対しては保険金が支払われないのです。

保険会社から見ると、少額の損害で保険金を支払ったり、そのための手続きや処理をしたりで経費を使わなくてもよいので助かります。また、保険加入者にとっても、その分だけ保険料が安くなるわけです。

健康保険、労災保険、雇用保険で、1日限りの休業や失業に対してまで給付をするというのでは、手続きにかかわる人々の人件費が大変です。また、ある程度以下の給付は切り捨てて、その分だけ保険料を安くするという要請は公的保険という性質上、大きいものと考えられます。

以上のことから待期期間は、損害保険の免責金額のような役目を果たしているものと思われます。

2017.12.01.解決社労士

<異常行動とは>

インフルエンザにかかった時には、抗インフルエンザウイルス薬の種類や服用の有無にかかわらず、異常行動が報告されています。

具体的には、急に走り出す、部屋から飛び出そうとする、徘徊するなどの行動です。

また、薬と行動との因果関係は不明ですが、抗インフルエンザウイルス薬の服用後に、異常行動と関連すると考えられる転落死等が報告されています。

厚生労働省によると、平成21年4月~平成29年8月末の8シーズンで計8件報告されているそうです。

 

<注意喚起>

厚生労働省では、異常行動による転落等のリスクを低減するための具体的な対策を示し、都道府県等を通じて、医療機関等に注意喚起の徹底を依頼しました。

インフルエンザにかかった時は、抗インフルエンザウイルス薬の種類や服用の有無によらず、異常行動にご注意ください 。

 

<具体的な対策>

これまでにも、小児・未成年者がインフルエンザにかかった時は、抗インフルエンザウイルス薬の種類や服用の有無によらず、少なくとも治療開始後2日間は小児・未成年者を一人にしないようにとの注意喚起が行われてきました。

これに加えて、新たに小児・未成年者が住居外に飛び出ないための追加の対策が示されています。

 

〇 高層階の住居の場合

・玄関や全ての部屋の窓の施錠を確実に行う(内鍵、補助錠がある場合はその活用を含む)

・ベランダに面していない部屋で寝かせる

・窓に格子のある部屋で寝かせる(窓に格子がある部屋がある場合)

 

〇 一戸建ての場合

・上記に加えてできる限り1階で寝かせる

 

上記の内容は、医療関係者から患者や保護者に説明することになっていますが、念のため頭に入れておきましょう。

 

2017.11.30.解決社労士

<モデル就業規則>

就業規則の作成・変更の参考とするため、就業規則の規定例や解説をまとめた「モデル就業規則」が厚生労働省ホームページに掲載されています。

あくまでも規定例ですから、実際の就業規則は、それぞれの職場の実情に合わせて調製します。

現在の最新版は平成28330日版ですから、これよりも古い「モデル就業規則」を参考に作成・変更した就業規則は、最近の法改正に対応できていないかも知れません。

 

<現在の副業・兼業に関する規定>

現在の「モデル就業規則」には、次のような規定があります。

 

(遵守事項)

第11条 労働者は、以下の事項を守らなければならない。

⑥ 許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。

 

(懲戒の事由)

第62条 労働者が次のいずれかに該当するときは、情状に応じ、けん責、減給又は出勤停止とする。

⑦ 第11条、第13条、第14条に違反したとき。

 

つまり、会社の許可を得ないで副業・兼業を行った場合には、始末書をとったり、減給処分や出勤停止処分を行ったりするという内容です。

 

<少子高齢化対策>

政府は少子高齢化対策を急速に進めています。

 

このままだと日本の人口は、2060年には8,674万人、2110年には4,286万人に減少すると試算されています。しかも、高齢者の比率が極端に高いのです。

国の借金が解消するためには人口が増えなければならないのに、このように減少していったのでは、日本が経済的に破たんして外国に身売りしなければならないという議論もあるほどです。

 

そこで、若者の所得と私生活の時間を増やし、結婚・出産・子育てに向かえるようにするためにも、働き方を柔軟にすることが推進されています。

そして、働き方を柔軟にするためには、企業が積極的に副業・兼業を認めるべきだとされるようになっています。

 

<副業・兼業に関する規定の改定案>

今年度中に厚生労働省から公表される予定の新しい「モデル就業規則」案では、副業・兼業の規定が次のように改められています。

 

(副業・兼業)

第65条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。

2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。

3 第1項の業務が第11条第1号から第5号に該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。

 

(遵守事項)

第11条 労働者は、以下の事項を守らなければならない。

① 許可なく職務以外の目的で会社の施設、物品等を使用しないこと。

② 職務に関連して自己の利益を図り、又は他より不当に金品を借用し、若しくは贈与を受ける等不正な行為を行わないこと。

③ 勤務中は職務に専念し、正当な理由なく勤務場所を離れないこと。

④ 会社の名誉や信用を損なう行為をしないこと。

⑤ 在職中及び退職後においても、業務上知り得た会社、取引先等の機密を漏洩しないこと。

 

つまり勤務時間外なら、他の会社で働くことも会社の許可なく行えるということです。ただし、事前の届出を求めることはできます。

「許可」ならば会社がノーと言えば許されないわけですが、「届出」ならば会社はノーと言えません。

そして、会社に実害を与えるような行為が見られたときは、それを禁止・制限できるという規定になっています。

 

<盛んな法改正と対応>

少子高齢化対策や働き方改革などにより法改正が盛んになっていますから、各企業は就業規則の改定や運用の変更が求められます。

今までに例が無いほど急速で大量の変更です。

しかし、これを怠っていると、いつの間にかブラック企業扱いされるようになるかも知れません。

来年は無期転換ルールや派遣労働者の期間制限への対応が必要ですし、それ以降も、時間外労働の上限規制、同一労働同一賃金、中小企業に対する月間60時間超の時間外割増賃金(5割以上)の適用猶予廃止、年次有給休暇の取得促進、フレックスタイム制の見直し、企画業務型裁量労働制の適用拡大、高度プロフェッショナル制度、産業医・産業保健機能の強化、勤務間インターバル制度、治療と職業の両立など多くの法改正が予定されています。

これに対応することは、社内のメンバーだけでは困難でしょう。

専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.11.29.解決社労士

<YOMIURI ONLINE 20171128日の報道>

YOMIURI ONLINE によると、違法残業事件で有罪判決が確定した大手広告会社・電通(東京)への取材で、事実上の未払い残業代として計約23億円を社員に支給することになったそうです。

社員の自己申告に基づいて勤務時間を改めて精査した結果で、20174月から今年3月の間の未払い残業代を一時金として支払うそうです。

自己啓発や情報収集名目で、職場に残る社員が多数いたということです。

 

<勤務時間を改めて精査>

電通が、勤務時間を改めて精査したということは、労働時間の適正な把握ができていなかったことを認めているのでしょう。

2017年120日に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」が策定され公開されました。

各企業は、このガイドラインに沿って労働時間を把握することになります。

 

<20174月から今年3月の間>

電通は、20174月から今年3月の間の未払い残業代を支払うそうですが、何故1年分にしたのかはわかりません。

会社側が独自に調査を進め、自主的に事実上の未払い残業代を支払うので、1年間という期間については、会社としての判断によるのでしょう。

これがもし社員からの請求であれば、過去2年分の請求になると思われます。

なぜなら、賃金の請求権の消滅時効期間は2年間だからです。〔労働基準法115条〕

この2年間というのは、民法が一般の賃金について消滅時効期間を1年間と定めているのに対して、労働者保護のため期間を延長しているものです。〔民法1741号〕

 

<民法改正による影響>

2017年526日、「民法の一部を改正する法律」が参議院で可決・成立し、同年62日に公布されました。

施行日は、原則として公布日から起算して3年を超えない範囲内において政令で定める日とされています。

改正民法は、債権者が権利を行使できることを知った時から5年間、または権利を行使できる時から10年間で時効消滅するという規定になっています。

労働基準法が今のまま、2年間の消滅時効期間を規定していたのでは、労働者保護の趣旨に反しますから、労働基準法115条が削除されて改正民法が適用されるのではないでしょうか。

そうなると、会社は過去5年分から10年分の未払い残業代を請求されるようになるわけです。

あくまでも個人的な見解です。

 

<自己啓発や情報収集名目>

自己啓発や情報収集名目で職場に残っている場合、これを残業時間に含めるべきかというと、どういう名目で残っているかは基準になりません。

労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、使用者の明示または黙示の指示により、労働者が業務に従事する時間です。

また、参加することが業務上義務づけられている研修・教育訓練の受講や、使用者の明示または黙示の指示により、業務に必要な学習等を行っていた時間は労働時間に該当します。

社内に残って行う自己啓発や情報収集は、業務に必要があって行うのではないでしょうか。業務に無関係な自己啓発や情報収集なら、会社の設備や物品を使って行うことを上司が黙認しないでしょう。

結局、自己啓発や情報収集名目であっても、会社側がこれを許している場合には、労働時間に該当する場合が多いことになります。

 

2017.11.28.解決社労士

<事業主編>

 

Q:従業員の少ない小さな会社では、労災保険に入らない方が得?

A:原則として一人でも労働者を使用する事業は、業種の規模の如何を問わず、すべてに労災保険が適用されます。

労働保険(労災保険と雇用保険の総称)は、労働者を1人でも雇用した場合には、事業主は加入に必要な手続を行うことが、法律で義務づけられています。

法律上は、条件を満たせば労災保険が適用されていて、事業主が入っていないつもりになっているのは、手続きを怠っているだけです。

 

Q:労災保険に入る手続きをしなくても簡単にはバレない?

A:厚生労働省が「労働保険適用事業場検索」というサービスを提供しています。これによって、誰でもネットで確認できますので、その会社の求人広告に応募しようとする人やお客様、お取引先、金融機関などが知ることとなります。

http://www2.mhlw.go.jp/topics/seido/daijin/hoken/980916_1a.htm

 

Q:労災保険に入る手続きをしないうちに労災事故が発生したら?

A:労災事故の発生などをきっかけとして、成立手続を行うよう指導を受けたにもかかわらず、自主的に成立手続を行わない事業主に対しては、行政庁の職権による成立手続と労働保険料の認定決定を行うこととなります。

その際は、遡って労働保険料を徴収するほか、併せて追徴金を徴収することとなります。

また、事業主が故意または重大な過失により労災保険の保険関係成立届を提出していない期間中に労災事故が生じ、労災保険給付を行った場合は、事業主から遡って労働保険料を徴収(併せて追徴金を徴収)するほかに、労災保険給付に要した費用の全部又は一部を徴収することになります。

 

手続きや保険料の納付などについて迷ったら、信頼できる国家資格者の社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

<労働者編>

 

Q:家に帰る途中でケガをしても、労災保険で治療を受けられない?

A:労災保険制度は、労働者の業務上の事由または通勤による労働者の傷病等に対して必要な保険給付を行い、あわせて被災労働者の社会復帰の促進等の事業を行う制度です。通勤途中のケガにも適用されます。

 

Q:給料から労災保険料が天引きされていないなら、労災保険に入っていない?

A:労災保険の費用は、原則として事業主の負担する保険料によってまかなわれています。事業主だけが保険料を負担し、労働者の負担はありませんから、給与からの控除もありません。

 

Q:学生のアルバイトなら労災保険は関係ない?

A:労災保険における労働者とは、「職業の種類を問わず、事業に使用される者で、賃金を支払われる者」をいい、労働者であればアルバイトやパートタイマー等の雇用形態は関係ありません。アルバイトでも労災保険が適用されます。

 

労災事故による給付の手続きなどについて迷ったら、信頼できる国家資格者の社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2017.11.28.解決社労士

<解雇一般の有効要件>

解雇権の濫用であれば不当解雇となります。

不当解雇なら、使用者が解雇したつもりになっていても、その解雇は無効です。

一方、従業員は解雇を通告されて、解雇されたつもりになっていますから出勤しません。

しかし従業員が働かないのは、解雇権を濫用した使用者側に原因があるので、従業員は働かなくても賃金の請求権を失いません。

何か月か経ってから、従業員が解雇の無効に気付けば、法的手段に訴えて会社に賃金や賞与を請求することもあります。

これを使用者側から見れば、知らない間に従業員に対する借金が増えていくことになります。

解雇権の濫用による解雇の無効は労働契約法に、次のように規定されています。

 

(解雇)

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

<解雇の予告>

解雇権の濫用とはならず、解雇が有効になる場合であっても、その予告が必要です。

つまり、解雇を行うときには、解雇しようとする従業員に対し、30日前までに解雇の予告をする必要があります。

解雇予告は口頭でも有効ですが、トラブル防止のためには、解雇する日と具体的理由を明記した「解雇通知書」を作成し交付することが必要です。

また、従業員から求められた場合には、解雇理由を記載した書面を作成して本人に渡さなければなりません。

一方、予告を行わずに解雇する場合は、最低30日分の平均賃金(解雇予告手当)を支払う必要があります。

 

<即時解雇が許される場合>

「従業員の責に帰すべき理由による解雇の場合」や「天災地変等により事業の継続が不可能となった場合」には、解雇予告も解雇予告手当の支払いもせずに即時に解雇することができます。

ただし、解雇を行う前に労働基準監督署長の認定(解雇予告除外認定)を受けなければなりません。

また、次のような場合は解雇予告そのものが適用されません。ただし、所定の日数を超えて引き続き働くことになった場合には解雇予告制度の対象となります。

試用期間中の者 14 日間
4 か月以内の季節労働者 その契約期間
契約期間が2 か月以内の者 その契約期間
日雇労働者 1 か月

 

<労働基準監督署長の認定(解雇予告除外認定)>

労働基準監督署では「従業員の責に帰すべき事由」として除外認定申請があったときは、従業員の勤務年数、勤務状況、従業員の地位や職責を考慮し、次のような基準に照らし使用者、従業員の双方から直接事情等を聞いて認定するかどうかを判断します。

① 会社内における窃盗、横領、傷害等刑法犯に該当する行為があった場合

② 賭博や職場の風紀、規律を乱すような行為により、他の従業員に悪影響を及ぼす場合

③ 採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合

④ 他の事業へ転職した場合

⑤ 2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合

⑥ 遅刻、欠勤が多く、数回にわたって注意を受けても改めない場合

 

上記の認定は客観的な基準により行われますので、社内で懲戒解雇とされても、解雇予告除外認定が受けられない場合があります。

また、懲戒解雇が有効か否かは、最終的には裁判所での判断によることになります。

 

さらに、次の期間は解雇を行うことができません(解雇制限期間)。

① 労災休業期間とその後30日間

② 産前産後休業期間とその後30日間

 

解雇してもトラブルにならないケースといえるのか、即時解雇は許されるのかといった専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

2017.11.27.解決社労士

<支払いの約束や慣行が無い場合>

退職金の支給について、就業規則や労働条件通知書などに規定が無く、支給する慣行も無いのであれば、雇い主側に支払いの義務はありません。

しかし規定が無くても、退職金を支給する慣行があれば、その慣行を就業規則や労働条件通知書などに規定することを怠っているだけですから、規定がある場合と同様に支払い義務が発生します。

 

<対象者が限定されている場合>

就業規則などに、「勤続3年を超える正社員に支給する」という規定があれば、パート社員など非正規社員に支給する必要はありません。勤続3年以下の正社員も同様です。

しかし、正社員用の就業規則しか無い、就業規則に正社員の明確な定義が無いなどの不備があれば、本人からの請求によって支払わざるを得ないこともあります。

こうした点を含め、就業規則や労働条件通知書は、社会保険労務士(社労士)のチェックを受けておくことをお勧めします。

 

<不支給の例外規定がある場合>

退職金の不支給について、就業規則や労働条件通知書などに規定があって、客観的に合理的な理由があり社会通念上相当な場合には、例外的に不支給とすることが許される場合もあります。

「規定さえあれば不支給で構わない」ということではありません。

 

「会社の承諾なく退職した者には退職金を支給しない」という規定は、その承諾が会社の主観的な判断ですから、客観的に合理的とはいえないでしょう。

 

「懲戒解雇の場合は退職金を支給しない」という規定があっても、必ずしも不支給が許されるわけではありません。

退職金を不支給としても良いのは「労働者のそれまでの勤続における功労を抹消するほどの信義に反する行為」があった場合に限られます。

それほどの事情があったわけではないのなら、懲戒解雇そのものが不当解雇となり無効である可能性があります。

 

本当に退職金を支払わなくても大丈夫かといった専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2017.11.26.解決社労士

<スタートは法定手続きから>

フレックスタイム制は、労働基準法の次の規定によって認められています。この規定に定められた手続きを省略して、形ばかりフレックスタイム制を導入しても、すべては違法であり無効となります。

 

第三十二条の三 使用者は、就業規則その他これに準ずるものにより、その労働者に係る始業及び終業の時刻をその労働者の決定にゆだねることとした労働者については、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めたときは、その協定で第二号の清算期間として定められた期間を平均し一週間当たりの労働時間が第三十二条第一項の労働時間を超えない範囲内において、同条の規定にかかわらず、一週間において同項の労働時間又は一日において同条第二項の労働時間を超えて、労働させることができる。

一 この条の規定による労働時間により労働させることができることとされる労働者の範囲

二 清算期間(その期間を平均し一週間当たりの労働時間が第三十二条第一項の労働時間を超えない範囲内において労働させる期間をいい、一箇月以内の期間に限るものとする。次号において同じ。)

三 清算期間における総労働時間

四 その他厚生労働省令で定める事項

 

長い条文ですが、ポイントは次のとおりです。

・業務開始時刻と業務終了時刻は労働者が決めることにして、これを就業規則などに定めます。

・一定の事項について、会社側と労働者側とで労使協定を交わし、協定書を保管します。これを労働基準監督署長に提出する必要はありません。

 

<よくある違法な名ばかりフレックス>

上記の法定手続きをせずに、残業時間を8時間分貯めると1日休むことができるというインチキな運用は多いようです。

この残業時間は、割増賃金の対象となる法定時間外労働でしょうから、25%以上の割増が必要です。

つまり、8時間の残業に対しては、10時間分の賃金支払いが必要です。

( 8時間 × 1.25 10時間 )

だからと言って、残業時間を6時間24分貯めると1日休めるという運用も違法です。

( 6時間24分 × 1.25 8時間 )

計算上はこのとおり正しいのですが、労働基準法が認めていないことを勝手にやってもダメなのです。

 

<フレックスタイム制導入後の違法な運用>

せっかく正しい手続でフレックスタイム制を導入しても、次のような違法な運用が見られます。

・残業手当を支払わない。

・残業時間が発生する月は年次有給休暇を取得させない。

・残業時間を翌月の労働時間に繰り越す。

・業務開始時刻や業務終了時刻を上司など使用者が指定してしまう。

・コアタイムではない時間帯に会議を設定し参加を義務づける。

・18歳未満のアルバイトにフレックスタイム制を適用してしまう。

 

<メリットはあるのか>

導入手続きと正しい運用が面倒に感じられるフレックスタイム制ですが、導入手続きは最初に1回だけですし、運用は慣れてしまえば問題ありません。

私生活と仕事との調整がしやすくなりますから、生産性の向上が見込めます。

これを誤解して、人件費を削減する仕組みだと捉えると上手く機能しません。

 

<活用のポイント>

勤務時間の情報を上手く社内外と共有することが大事です。

また、業務開始時刻と業務終了時刻を自由に決められるとはいえ、労働者個人の好みで決めて良いわけではありません。

仕事のスケジュールや、他部署や取引先などとの連動を考えながら、同僚、関連部署の社員、取引先などと相談しながら決めることになります。

しかし、これをすることによって、他部署や社外とのコミュニケーションも良くなりますし、業務の連動も取りやすくなります。

つまり、生産性の向上につながるわけです。

 

人手不足の今、社員数の少ない会社ほど、フレックスタイム制活用のメリットは大きいでしょう。

フレックスタイム制の導入をキッカケに、社員の多機能化を図ることも可能です。

具体的にどうしたら良いのかという専門的なことは、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

2017.11.25.解決社労士

<ブラック企業の特徴>

ブラック企業は、社員を最低の賃金で過重労働させたうえ使い捨てにします。

この特徴が求人広告に反映されています。

優良企業が求人広告を出す場合でも、同じ特徴を備えていると、ブラック企業ではないかと疑われるので注意が必要です。

 

<低賃金で長時間労働だから>

ブラック企業は極端な長時間労働ですから、結果的に最低賃金法違反の給与が発生します。

ところが、ブラック企業も優良企業も、求人広告をザッと見ると給与が高いと感じられます。ブラック企業は、「この仕事でこの給与ならお得だ」と思わせる工夫をしているからです。

区別のポイントは、労働時間、休日出勤、休暇、基本給、手当、残業代のわかりやすさです。

ブラック企業は、実際の労働時間が判断できないような不明確な表現をしています。休日出勤や休暇についてもあやふやです。優良企業ならば、明確な実績を表示できるはずです。

ブラック企業の求人広告には、聞き慣れない名称の手当があったり、残業代が別計算なのか手当に含まれるのかわからなかったりと怪しいのです。優良企業ならば、一般的な用語を使っていますから明確です。

 

<社員を使い捨てにするから>

ブラック企業は、疲れた社員を意図的に退職に追い込むので、いつも大量の退職者が出ています。その一方で、大量の新規採用を行います。

「事業拡大につき大量採用!」という表現が求人広告に入っていたら、優良企業が本当に事業を拡大する予定なのか、それともブラック企業がウソをついているのか、少し調べて判断する必要があります。

 

<本当は魅力が無いから>

優良企業なら、労働者が魅力を感じるポイントがたくさんありますから、具体的な魅力を求人広告にアピールできます。

一方ブラック企業は、アピールできる魅力が無いのでイメージでごまかそうとします。そのため、次のような表現が多く見られます。

 

・一部の人の昇給例の表示

使い捨てにする側の社員は昇給や昇進があるので、これを例示します。

社員の「平均」は表示できません。

 

・年次有給休暇など休暇の「実績」の表示が無い

 制度があるという表示はあるものの、本当に休暇を取れているという実績は無いので表示できないのです。

 

・「和気あいあい」「アットホーム」など人間関係が良いことをアピール

 実際には小規模で、社員が親から叱られるように厳しく扱われているのが現実です。それでいて、親とは違って愛情が感じられません。

 

・精神論的な表現が目立つ

「あなたの熱意を買います」「やる気だけ持ってきてください」「あなたの夢は何ですか」「お客様への感謝の気持が原動力です」など実体の無い表現が多く見られます。

 

<広告がデタラメなら>

求人広告に実際と違うことが書かれていたら、どうしてもダマされてしまいます。

 

求人広告がまともな場合でも、応募の電話を掛けてみたり採用面接に行ってみたりして、採用担当者がとても早口だったら警戒しましょう。面接の時間が短くて、すぐに採用が決まったり、書類の記入をさせられたりするのは怪しいのです。

ブラック企業は、大量退職・大量採用ですから、ひとり一人の応募者に対して丁寧に応対する時間が無いのです。

そのため、じっくり選考する態度は見られず、どうしても大急ぎの対応となります。

 

また、運良く面接会場が会社の中であれば、その会社の社員の姿を見ることができるかも知れません。

採用された場合の数年後の姿が、その社員と重なることでしょう。

無表情だったり、身だしなみが乱れていたりして、疲労感がにじみ出ているようなら、直感的に入社を見送ることになると思います。

 

2017.11.24.解決社労士

<最低賃金の本来の目的>

最低賃金の目的については、最低賃金法の第1条に次のように規定されています。

 

この法律は、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

 

対象者は、賃金の安い労働者です。

賃金の最低額を保障し、労働条件を改善して、次のことを可能にしようとしています。

 

・賃金の安い労働者の生活が経済的に安定する。

経済的な困窮から犯罪に走ること、自分や家族の命を絶つようなことを予防するという目的も含まれているでしょう。

 

・賃金の安い労働者が、質の高い労働力を提供できるようにする。

ある程度環境の整った住宅に住み、体力を維持するのに必要な食事をとることができて、体調が悪ければ医師の診察を受けて治療でき、能力向上のための自発的な学習ができるなどによって、労働力の質を高めることができるようにするわけです。

 

・一部の企業だけが不当に安い賃金で労働者を雇えないようにする。

 本来、賃金は企業と労働者との話し合いで自由に決められるはずです。しかし、一部のブラックな企業がとても安い賃金で雇って荒稼ぎしていたら、まともな賃金で雇っている企業は競争に負けてしまうかもしれません。そこで、賃金の最低額を法律で定めて企業に強制し、企業間の競争を公正にしようというのです。

 

・日本経済の健全な発展にプラスに作用する。

 賃金の安い労働者の収入を増やすことによって、物を買ったりサービスを利用したりが盛んになります。賃金の高い労働者は収入が増えても貯蓄に回す比率が高いのですが、賃金の安い労働者ほど増えた収入を消費に回しやすいのです。こうして、日本経済の発展を下支えすることが期待されるのです。

 

<最低賃金の現在の機能>

東京都の最低賃金は平成29年10月1日から958円、大阪府の最低賃金は平成29年9月30日から909円です。

発効した日の勤務分から新しい最低賃金が適用されています。

これはもう最低賃金法の目的からすると、十分高い水準なのかもしれません。

それでも、来年もまた最低賃金が上昇するだろうと言われています。

 

これは政府の少子高齢化対策の継続的な推進と関係があると思われます。

今、政府は少子高齢化対策を強力に推し進めていて、関連する法改正も盛んです。

企業の就業規則も、改定からたった3年放置しただけで違法だらけになってしまうのが現状です。

 

最低賃金が問題となる賃金の安い労働者というのは、基本的には若い労働者です。

これから結婚して子供を設け育てていく労働者です。

若い労働者が安心して結婚し子供を育てられる賃金水準というと、今の最低賃金ではまだ不十分でしょう。

たとえば東京都の最低賃金の958円で、1日8時間、週5日働くと、年間で200万円弱です。

( 958円 × 8時間 × 5日 × 52週 = 1,992,640円 )

これでは結婚に踏み切れないでしょう。

 

このように少子高齢化対策の側面から見ると、最低賃金は更に上がって当然と言えそうです。

 

<企業の対応策>

人件費を考えると、従業員の数は最低限に抑えたいところです。

その一方で採用難ですから、そもそも新人を採用することは困難です。

機械化する、外注に出す、正社員からパート社員に切り替えるなどの他に、もう一度、教育訓練の強化を考える時期に来ていると思います。

いつの間にか、社員の教育研修を簡素化するようになった企業が多いのではないでしょうか。

生産性を上げるのに人件費を切り詰めてブラックになるよりは、社員の少数精鋭化と多機能化を目指して優良企業となった方が、お客様もお取引先も喜ぶのは目に見えています。

もし自社にぴったりの教育研修について迷うところがあれば、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

2017.11.23.解決社労士

<働き方改革の背景>

政府は少子高齢化対策を推進しています。

働き手が減少し、日本の活力が失われることを心配しています。

これを企業側から見れば、慢性的な人手不足と売上減少ということになります。

 

<企業に求められる努力>

各企業は、次のような努力が求められています。

・若者の賃金水準を上げて、結婚・出産・育児ができるようにする。

・限定正社員(多様な正社員)やテレワークなど柔軟な働き方の仕組みを導入し、子育てしやすく、高齢者が働きやすくする。

・正社員と非正規社員とを形式的に区分して処遇に差を設けるのではなく、賃金だけでなく福利厚生などを含めた処遇の均等を図る。

 

<企業にとってのメリット>

働き方改革によって職場の魅力度が増し、求人広告に対する応募者の増加や定着率の向上が見込まれます。

実は、働き方改革は、法令によって義務付けられてはいません。

企業に対して強制しなくても、取り組まない企業は自然に淘汰されるのかも知れません。

なぜなら、人手不足は中小企業を中心に深刻であり、今回ばかりは構造的なものであって一時的なものではないと言われているため、一定の期間耐えれば何とかなるものではなさそうだからです。

働き方改革に取り組むことのメリットは、人手不足を感じている企業にこそ大きいものといえます。

 

<中小企業の働き方改革>

採用対象者を、30歳以下の正社員などに限定せず、別の年代、障害者、外国人などに広げ、非正規社員、テレワーク、請負なども視野に入れたいところです。

また、お金をかけずに働きやすさと働き甲斐を向上させたり、求人でうまくアピールする工夫をするなど、知恵を絞ることが必要です。

働きやすさのポイントは、コミュニケーション、社内ルール作り、法令順守です。

働き甲斐のポイントは、参加意識、成長できる仕組み、適正な人事評価、公正に競争できる環境です。

 

<改善への近道>

労働者のひとり一人から、働く上での不満や疑問を聞いてとりまとめ、法的観点と実務的観点から改善案を策定しスケジュール化するのが近道です。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

2017.11.22.解決社労士

<名ばかりパートタイマー>

入社した時は、短時間勤務で仕事も定型的な内容だったのに、その後、勤務時間が正社員と同様になり、権限と責任が重くなって正社員並みになるというケースがあります。

労働条件は、労働契約によって決まりますが、その内容を示す労働契約書(雇用契約書)が改定されずに放置されることもあります。

労働契約書が改定されていなくても、勤務の実態により労働契約の内容が変更されて、仕事や責任の内容が正社員と同じになったのであれば、企業はその待遇を改善して、不合理な労働条件格差を解消する義務があります。

 

<企業の法的義務>

パートタイム労働法は、企業に対して、パートタイム労働者の仕事内容に応じた公正な処遇のほか、パートタイム労働者が正社員に転換できる措置と、自分の待遇について説明を受け、相談できる窓口を社内に設けることを義務付けています。

また、説明を求めたことを理由として、その人を不利益に扱うことを禁じています。

 

<労働局への相談>

企業がパートタイム労働法に違反しているのに改善しようとしないとき、あるいは説明に応じなかったり、説明されても納得できなかったりしたときは、国の行政機関(東京労働局雇用環境・均等部など)に相談することになります。

労働局が相談を受けた場合には、パートタイム労働法に関して、当事者に助言、指導、勧告のほか、話合いの場を設ける調停をすることもあります。

また、雇い主が勧告に従わないときは、厚生労働大臣が企業名を公表できることになっています。これは企業にとって大きな打撃となってしまいます。

もちろん、労働局に相談したことを理由に不利益な取扱いをすることは禁止されています。

 

<労働基準監督署への申告>

労働条件が、労働時間、割増賃金、最低賃金などの法律上の最低基準に違反しているのであれば、パートタイム労働者が労働基準監督署に申告することもあります。

労働基準監督署に相談したことを理由として不利益に取り扱うことも禁止されています。

 

<労働組合の利用>

実際には、法律で認められた権利を守るためであっても、上司に説明を求めたり、行政に助けを求めたりしたら、嫌がらせを受ける恐れもあります。

このようなとき、同じ疑問を持つ社内の人と一緒に労働組合を結成したり、外部の労働組合に加入したりした上で、雇い主と交渉することもあります。

労働組合には、法律上の労働条件を守ることだけでなく、よりよい労働条件を求めて交渉することが認められています。

 

<労働訴訟>

より強力な手段として、訴訟を起こすことも考えられます。

訴訟の手続きがわからないときや不安があるときは、法テラス(日本司法支援センター)に相談したり、弁護士会に相談したりすることもあります。

 

こうしてみると、正社員並みに働いているパートタイマーが、その処遇を改善してもらえないときに、権利を実現する手段は豊富だといえます。

一方で、企業がこうした問題の発生を予防するには、労働関連法令の順守が最良の手段です。

とはいえ、少子高齢化対策を中心に法令の改正は急速に進んでいて、現行法の内容や法改正の動向を把握するのは、企業にとって難しいことになっています。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

2017.11.21.解決社労士

<登録型派遣と無期転換>

派遣労働を希望する人をあらかじめ登録しておき、労働者派遣をする時に、その登録している人と有期労働契約を締結し、労働者派遣を行うことを一般に「登録型派遣」といいます。

登録型派遣の場合、派遣する都度、派遣労働者と有期労働契約を締結することとなりますが、この場合も派遣会社との間で無期転換ルールが適用されます。

したがって、同一の派遣会社との間で通算契約期間が5年を超えた場合、無期転換申込権が発生し、派遣労働者は、その契約期間の初日から末日までの間、いつでも無期転換の申込みをすることができます。

派遣労働者から申込みを受けた場合、申込時の有期労働契約が終了する日の翌日から、その労働者との間の契約は無期労働契約に転換されます。

そのため、無期転換後の労働者に対して、どのような労働条件を適用するかを検討し、就業規則等を整備する必要があります。

 

<就業規則の整備>

無期転換ルールによって、派遣会社との契約期間は有期から無期に転換されます。

しかし、無期転換後の給与などの労働条件は、就業規則等で特別な定めがある部分を除き、直前の有期労働契約と同一の労働条件となります。

したがって、無期労働契約に転換された労働者に対して、どのような労働条件を適用するかを検討した上で、特別な定めをする場合には、適用する就業規則にその旨を規定する必要があります。

ただし、無期転換に当たり、職務の内容などが変更されないにもかかわらず、無期転換後の労働条件を低下させることは、無期転換を円滑に進める観点から望ましいものではありません。

また、特に定年など、有期契約労働者には通常定められていない労働条件を適用する必要がある場合には、適切に設定のうえ、あらかじめ明確化しておく必要があります。

 

通常、無期転換の労働者が発生した場合には、就業規則の改定が必要となります。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.11.20.解決社労士

<少子化対策の推進>

少子高齢化が進む現在の日本で、政府は政策として、少子化対策と高齢化対策を強化していますから、育児・介護休業法も、度重なる改正によりその内容が充実してきています。

さらに、労働者が妊娠したことを理由に不利益な扱いを受けるなど、事業主が育児・介護休業法に規定する義務に違反したことが原因で退職した場合には、雇用保険法により特定受給資格者とされ、会社都合で退職させられた人と同じように、失業手当(求職者給付の基本手当)の給付日数が多めに付与されるようになっています。

これは、育児・介護休業法の枠を越えて、政策が推進されている実例の一つです。

 

<厚生労働省からの呼びかけ>

近年の晩婚化等を背景に不妊治療を受ける夫婦が増加しており、働きながら不妊治療を受ける方は増加傾向にあると考えられます。

また、仕事と不妊治療との両立に悩み、やむを得ず退職する場合も多いと言われています。

不妊治療を受ける方は、一定の職務経験を積んだ年齢層の従業員であることも多く、企業の貴重な戦力であると考えられます。

こうした人材を失うことは、企業にとって大きな損失です。

仕事と不妊治療の両立について職場での理解を深め、従業員が働きやすい環境を整えることは、有能な人材の確保という点で企業にもメリットがあるはずです。

 

<不妊治療について>

不妊の原因はさまざまです。

不妊の原因は、女性だけにあるわけではありません。男性に原因があることもありますし、検査をしても原因がわからないこともあります。

女性に原因がなくても、女性の体には、治療に伴う検査や投薬などにより大きな負担がかかります。

 

検査によって、不妊の原因となる疾患があるとわかった場合は、原因に応じて薬による治療や手術を行い、医師の指導のもとで妊娠を目指します。

これらの治療を行っても妊娠しない場合は、卵子と精子を取り出して体の外で受精させてから子宮内に戻す「体外受精」や「顕微授精」へと進みます。

不妊治療は、妊娠・出産まで、あるいは、治療をやめる決断をするまで続きます。

年齢が若いうちに治療を開始したほうが、妊娠に至るまでの治療期間が短くなる傾向がありますが、「いつ終わるのか」を明らかにすることは困難です。

治療を始めてすぐに妊娠する人もいれば、何年も治療を続けている人もいます。

 

体外受精、顕微授精には頻繁な通院が必要となりますが、1回の治療にかかる時間はわずかです。

ですから、職場としては積極的な支援が可能です。

 

<職場の取り組み>

不妊や不妊治療に関することは、その従業員のプライバシーに属することです。

職場ではプライバシーの保護に配慮する必要があります。

また、セクハラ、マタハラのようなハラスメントの防止も強化しなければなりません。

 

そのうえで、次のような仕事と両立しやすくする制度の導入をお勧めします。

・年次有給休暇を時間単位で取得できるようにする

・不妊治療目的で利用できるフレックスタイム制を導入する

・失効した年次有給休暇を積み立てて使用できる「積立(保存)休暇」の使用理由に不妊治療を追加する

・不妊治療を目的とした休暇制度を導入する

 

上記のうち、時間単位年休、フレックスタイム制、積立休暇は、不妊治療を対象としなくても、社員にとっては魅力的な制度です。

 

これらの取り組みは、現在の人手不足クライシスへの対処手段として有効なものとなるでしょう。

何もしない企業とは差がつくはずです。

ただ、会社の現状と体力に見合った制度の導入となると、頭が痛いかもしれません。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.11.19.解決社労士

<連合総研のアンケート結果>

連合総研201710月に実施した「勤労者の仕事と暮らしに関するアンケート調査」から、次の結果が出ています。

 

●正社員の5割超が勤務時間外のメール等の対応、4 割が持ち帰り残業あり

 

勤務時間以外の時間や休日に行った業務・作業について、<ある>と回答した割合は、「メール・電話・SNSの対応」が46.8%、「呼び出しを受けて出勤」が28.5%、「持ち帰り残業」が30.9%でした。

就業形態別に<ある>の割合をみると、いずれも正社員で高く、「メール・電話・SNSの対応」が5 割、「持ち帰り残業」が4 割を超えています。とくに、正社員の2 割超で「メール・電話・SNSの対応」が「常にある」(7.3%)、「よくある」(13.4%)と回答し、相対的に頻度が高くなっています。

 

●長時間労働者は勤務時間外のメール等の対応、持ち帰り残業時間も長い

 

勤務時間以外に行った業務・作業についての1 か月あたり平均時間数は、「メール・電話・SNSの対応」が3.6 時間、「持ち帰り残業」が5.5 時間でした。

週実労働時間別にみると、50 時間以上の層で、「メール・電話・SNSの対応」が6 時間を超え、「持ち帰り残業」が10 時間前後に達しています。

 

●2割超が勤務時間外のメール等の対応、持ち帰り残業は労働時間にあたらないとの認識

 

勤務時間以外に行った業務・作業の時間は労働時間にあたると思うかをたずねたところ、「メール・電話・SNSの対応」については、5 割超が「あたる」、2 割超が「あたらない」と回答、「持ち帰り残業」については、6割弱が「あたる」、2割超が「あたらない」と回答しました。

業務・作業の頻度別にみると、いずれも頻度が多くなるほど「あたる」、頻度が少なくなるほど「あたらない」の割合が高くなっています。

 

●持ち帰り残業を上司にまったく伝えていない人は45

 

勤務時間以外に行う(行った)業務・作業を上司に「まったく伝えていない」割合は、「メール・電話・SNSの対応」が38.7%、「持ち帰り残業」が45.0%でした。

いずれも、業務・作業の頻度が多くなるほど、「すべて伝えている」と「ほとんど伝えている」を合わせた割合は高くなっています。反対に、業務・作業の頻度が少なくなるほど、「まったく伝えていない」割合が高くなっています。

 

<会社はどう対応するか>

「勤務時間外を拘束するメールや持ち帰り残業は、どの会社でもある程度はあるので仕方がない」とは言っていられません。

このアンケートでは、呼び出しを受けての出勤、持ち帰り残業、メール等の対応が常にある人は負担・ストレスを強く感じていることや、メール等の対応、持ち帰り残業時間が長くなるほど負担・ストレスを強く感じていることが明らかにされています。

メンタルヘルス障害が発生すれば、会社は責任を問われますし、戦力ダウンや経済的損失は免れません。

 

欠員が出たらすぐに有能な人材を採用できるような時代ではなくなりました。

人手不足クライシスと言われる今、働き手にとって魅力的な会社でなければ思うように人材が確保できません。

勤務時間外を拘束するメールや持ち帰り残業があるのは、業務内容に見合った人手が確保されていない証拠です。経営者は危機感を持つべきです。

 

少なくとも会社がブラックと言われないように法令を順守すること、会社が経済的な負担を抑えつつ働くことのメリットを増やすこと、生産性を上げるためのルールや仕組みを整備することなどによって人手不足クライシスに対抗しなければなりません。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

2017.11.18.解決社労士

<この助成金の特長>

高年齢者や障害者等の就職困難者をハローワーク等の紹介により、継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れる事業主に対して助成されます。

ハローワークが雇用についての情報を把握していて、そのハローワークを管轄する都道府県労働局から助成金の申請書類が会社宛に届きます。

これを何かの宣伝と同視して捨ててしまったら勿体ないです。

よくわからなければ、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

<主な受給の条件>

この助成金を受給するためには、最低でも次の2つの条件を満たすことが必要です。

・ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること

・雇用保険一般被保険者として雇い入れ、継続して雇用することが確実であると認められること

この他にも、雇用関係助成金共通の条件などいくつかの受給条件があります。

 

<支給額>

この助成金は、対象労働者の類型と企業規模に応じて、1人あたり下表の支給額となります。

対象労働者に支払われた賃金の一部に相当する額として、下表の金額が、支給対象期(6か月)ごとに支給されます。

※( )内は中小企業以外の企業に対する支給額・助成対象期間です。 

対象労働者

支給額

助成対象期間

支給対象期ごとの支給額

短時間労働者以外の者

高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等

60万円
(50万円)

1年
(1年)

30万円 × 2期

(25万円 × 2期)

重度障害者等を除く身体・知的障害者

120万円
(50万円)

2年
(1年)

30万円 × 4期

(25万円 × 2期)

重度障害者等

240万円
(100万円)

3年
(1年6か月)

40万円 × 6期

(33万円× 3期)

※第3期の支給額は34万円

短時間労働者

高年齢者(60歳以上65歳未満)、母子家庭の母等

40万円
(30万円)

1年
(1年)

20万円 × 2期

(15万円 × 2期)

重度障害者等を含む身体・知的・精神障害者

80万円
(30万円)

2年
(1年)

20万円 × 4期

(15万円 × 2期)

 

雇入れ事業主が、対象労働者について最低賃金法第7条の最低賃金の減額の特例の許可を受けている場合は、支給対象期について対象労働者に対して支払った賃金に次の助成率を乗じた額(表の支給対象期ごとの支給額を上限とする)となります。

・対象労働者が重度障害者等以外の者の場合 1/(中小企業事業主以外1/)

・対象労働者が重度障害者等の場合 1/(中小企業事業主以外1/)

 

2017.11.17.解決社労士

 

 

 

<昇進と言われた時の反応>

会社員が昇進を内示され、あるいは異動の発令があった場合に、頭の中は「年収が増えそうだ」「仕事が大変になりそうだ」ということで一杯になります。

人間は、試験の合格、結婚、我が子の誕生など喜ぶべきことからもストレスを感じる生き物です。

ましてや、昇進のように負担の増加を伴うことからは、より多くのストレスを受けてしまいます。

また、よくわからない物、よくわからない事に対しては恐怖を感じます。

お化け、宇宙人、新型ウイルス、死後の世界などがその例です。

昇進と言われても、どのような立場に立たされるのか、仕事の中身はどう変わるのか、給与や賞与はどれだけ増えるのか、これらがわからなければストレスと恐怖で一杯になります。

 

<せっかく昇進しても>

過剰なストレスと恐怖は、次のような弊害をもたらします。

・困っても上司に相談できない

・周囲から孤立する

・業務の進捗管理ができない

・コミュニケーションがとれない

・トラブルを解決できない

こうなると、もう冗談は通じなくなりますし、せっかく昇進しても他の社員に悪意を感じるばかりで、本来の能力を発揮できません。

最悪の場合には、出勤すら難しくなってしまいます。

 

<ストレスを減らし恐怖を無くすには>

昇進した時のストレスの原因はわからないことにあります。

年収、仕事、立場が具体的にどう変わるのか、上司や部下とのかかわりはどのようになるのか、仕事の進め方や人事考課についてはどうしたら良いのか、これらについて予め知っていたら、ストレスや恐怖は大幅に軽減されます。

これを実現するには、給与規程、職務分掌規程、社内決裁規程、人事考課規程などを定めておき、社員研修で内容を具体的に説明しておけば良いのです。

小さな会社であれば、一つひとつの規程を持たなくても、就業規則に関連規定を備えておけば十分です。

 

昇進ひとつをとっても、社員が10人未満の会社にも就業規則が必要です。

ただ、所轄の労働基準監督署長への届出が要らないというだけです。

会社の実情に合わせて就業規則をどうするかという専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.11.16.解決社労士

<ガイドラインの改定>

旧「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」は、平成29年1月20日に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に改められました。

全体としては大きな変更がありません。

ただ、自己申告制で労働時間を把握する場合の取扱いが、きわめて具体的になりました。

これは、社外での勤務が多いこと、営業手当や定額残業代を支給していることを理由に、適正な労働時間の把握を放棄している企業が目立ったからだと聞いています。

 

<自己申告制についての取扱い>

タイトルが「やむを得ず自己申告制で労働時間を把握する場合」となっています。

これは、通常の方法では労働時間が把握できないような例外的な場合に、「やむを得ず」許されるに過ぎないということを、最初に示しているわけです。

ある特定の日に、どうしても勤務終了時刻が把握できないので、その時刻だけは自己申告させるというような運用になるでしょう。

 

・自己申告を行う労働者や、労働時間を管理する者に対しても、自己申告制の適正な運用等ガイドラインに基づく措置等について、十分な説明を行うこと

 

・自己申告により把握した労働時間と、入退場記録やパソコンの使用時間等から把握した在社時間との間に著しい乖離がある場合には実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること

 

・使用者は労働者が自己申告できる時間数の上限を設ける等適正な自己申告を阻害する措置を設けてはならないこと。さらに36協定の延長することができる時間数を超えて労働しているにもかかわらず、記録上これを守っているようにすることが、労働者等において慣習的に行われていないか確認すること

 

<労働時間の把握についての会社の責任>

やむを得ず自己申告制にすることがある場合でも、労働者の十分な教育指導を前提とすること、正しく自己申告をしていない恐れがあれば、実態の調査をしなければならないこと、「残業は月間○時間以内にしなさい」などの指導が許されないことなどが、具体的に示されています。

労働者が「自主的に」労働時間を少なめに申告しても、経営者側は、これを許してはならないことも示されています。

 

ここまで厳しい基準で自己申告制を適正に運用することは困難ですし、あえて自己申告制を使った場合には、その部分について企業の負うリスクは大きくなってしまいます。

たとえば、退職者から会社に対して未払い残業代の請求があった場合には、自己申告による労働時間が否定されやすいということになります。

このガイドラインは、本音では自己申告させて欲しくないと言っているのでしょう。

こうなると、今まで一部に自己申告制を使っていた企業も、これを改めて、タイムカードなどによる一般的な労働時間管理にすることが得策だということになります。

 

具体的にどう切り替えるかは、専門性の高い話になりますから、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

2017.11.15.解決社労士

<地方労働行政運営方針>

労働基準監督署の労働基準監督官は、監督指導実施計画に沿って臨検監督(実地調査)を行っています。

この計画は、毎年各都道府県の労働局が作成している「地方労働行政運営方針」に基づいています。

その内容は公開されていて、各都道府県の労働局のホームページで見ることができます。

労働基準行政で優先順位の高いものほど、重点項目の上のほうに記載されていますから、会社の所轄労働基準監督署が監督(調査)に入るとしたら、何を見られるかが把握しやすいのです。

 

<平成29年度東京労働局の最重点課題と取組>

★「働き方改革」の推進などを通じた労働環境の整備・生産性の向上

▶ 長時間労働の是正による良質な労働環境の確保

○長時間労働の抑制・過重労働解消に向けた取組、ワーク・ライフ・バランスの推進等

▶ 非正規雇用労働者の待遇改善等

○非正規雇用労働者の正社員転換・同一労働同一賃金の実現に向けた待遇改善の推進、最低賃金の周知・履行確保等

▶ 人材確保対策の推進や労働生産性の向上等による労働環境の整備

○労働者のキャリア形成に係る支援策の普及促進、全産業の労働生産性の向上等

▶ 労働者が安心して健康に働くことができる職場づくり

○労働条件確保、労働災害防止対策、メンタルヘルス・健康確保対策、労災補償の迅速・適正処理等

 

★「全員参加の社会」の実現加速

▶ 女性の活躍推進

○改正男女雇用機会均等法及び改正育児・介護休業法の履行確保、女性活躍推進法の実効性確保等

▶ 若者の活躍促進

○適切な職業選択の支援、職業能力の開発・向上に関する措置、青少年の雇用の促進等

▶ 高齢者の活躍促進

○企業における高年齢者の雇用の促進、高年齢者の再就職の促進等

▶ 障害者、難病・がん患者等の活躍推進

○法定雇用率達成指導の徹底、多様な障害特性に応じた就労支援、難病・がん患者等に対する就職支援の推進等

▶ 外国人材の活用

○高度な技術や専門的な知識を持った外国人材の就業推進等

▶ 重層的なセーフティネットの構築

○公共職業訓練、求職者支援制度を活用した就職支援、生活困窮者等に対する就労支援の強化等

 

以上から、東京都では、長時間労働や過重労働、育児休業・介護休業関連の項目がチェックされやすいことがわかります。

サービス残業など、賃金不払いに関する項目が含まれなくなりました。

 

<最近の新しい動き>

こうした労働局の方針とは別に、政府(首相官邸)の主導による働き方改革の動きが強まっています。

働き方改革では、過重労働対策と長時間労働削減ということが最重要課題とされています。

このことから、月間80時間以上の法定外残業がある企業には、都道府県に関係なく監督(調査)が入りやすい状況にあります。

 

<労働時間の適正な把握>

サービス残業が最重点課題から外されたのは、労働局や労働基準監督署による是正や、企業による自主的な改善が進んだためと思われます。

今、サービス残業がある職場というのは、かなり減少していて、発覚すれば強烈な指導が入ることでしょう。

なお、サービス残業や長時間労働のチェックには、労働時間の適正な把握が大前提となります。

社外での勤務が多い、定額残業代や営業手当を支給しているなどの理由で、労働時間の把握を放棄することはできません。

今年の1月20日には「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」が発表され、労働時間の自己申告制の運用もむずかしくなっています。

一部の労働者について、労働時間の把握が不正確な職場では、速やかに是正する必要があります。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

2017.11.14.解決社労士

<管理監督者の特例>

労働基準法41条2号に、管理監督者には休日に関する規定が適用されない旨の規定があります。

 

第四十一条 この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。

一 別表第一第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者

二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者

三 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの

 

<休日に関する規定とは>

労働基準法には、休日に関する規定として次のようなものがあります。

 

第三十五条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。

2 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。

 

この規定は、管理監督者には適用されません。

つまり、管理監督者には週1回の休日を与えなくても良いのです。

ただ、会社は過重労働にならないよう配慮する義務は負っています。

 

<年次有給休暇の規定>

一方で、労働基準法には年次有給休暇の規定があります。

 

第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。(以下省略)

 

この規定は、休日に関する規定ではなくて休暇に関する規定ですから、管理監督者にも適用があります。

 

<休日と休暇>

同じではありません。

 

休日(holiday)は、もともと労働義務のない日です。休むのに、会社に申告したり手続きをしたりは不要です。

休日の前日に会社を出るとき、「すみません。明日は休ませていただきます」などと言ったら、冗談だと思われてしまいます。

 

休暇(vacation)は、もともと労働義務のある日について、届け出などの手続きを行うことによって、労働が免除される日です。

休暇の前日に「明日から休暇をいただきます。よろしくお願いいたします」と上司や同僚に挨拶するのは、良識ある社会人のマナーです。

 

休日と休暇の違いなど、社会保険労務士にとっては基本中の基本なのですが、世間一般では休日と休暇が混同されがちです。

労務管理は専門性の高いことですから、少しでも引っかかるところがあれば、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

2017.11.13.解決社労士