新着記事

<労働者派遣法の規定>

必ず正社員になれるわけではありませんが、3 年を越えて同じ派遣先で働く見込みがあるときは、派遣元か派遣先で雇用を確保しなければならないことになっています。

また、キャリアアップのための訓練等を実施することが派遣元に義務付けられています。

さらに、派遣先に直接雇われることを前提に、一定期間派遣社員として勤務する紹介予定派遣の制度もあります。

 

<同一の派遣先への派遣は3年まで>

派遣先が、同じ事業所で派遣労働を受入れることは、原則として3年が上限となっています。

ただし、派遣先が一定の手続きをとれば、この制限がなくなります。

また、派遣される人を基準として、派遣先の課を基準とする同一の組織単位が、同じ人を、3年を超えて受け入れてはならず、派遣元も送ってはならないとされています。

例外として、派遣元が契約の期間を定めないで雇用している人や60歳以上の人を派遣するとき、事業の開始、転換、拡大、縮小、廃止のための業務、1か月間の勤務日数が一定日数以下の業務、産前産後・育児・介護休業を取得する社員の代わりとして行う業務などのための派遣については、この上限はありません。

 

<派遣労働者の待遇>

派遣元は、派遣労働者に対して、計画的に教育訓練やキャリア・コンサルティングなどのキャリアアップのための措置を実施することが求められています。また、派遣先の社員との均衡がとれた待遇になるよう配慮しなければなりません。

派遣先も、派遣元への情報提供などの協力をするほか、派遣労働者に必要な教育訓練や福利厚生設備の利用などについて、できるだけ配慮するよう求められています。

 

<雇用終了時の措置>

派遣労働では、期間を定めて派遣元に雇用されているときは、その期間が終了

することで雇用は終了します。

しかし派遣元は、1年以上の派遣が見込まれるときには、その派遣労働者について、できるだけ、①派遣先に直接雇用を依頼する、②新しい派遣先を提供する、③派遣元が無期契約で雇用する、④安定した雇用の継続を図るために必要な措置を実施することが求められています。

また、3年間の派遣が見込まれるときには、これを必ず実施しなければなりません。

派遣先も、1年以上派遣を受けた後、その業務のために人を雇おうとするときは、現に派遣されている社員が希望したときに、できるだけその人を雇うよう努力するほか、1年以上派遣労働者として受け入れている人に対して、自社の新規採用情報を提供することが求められています。

さらに、派遣先が、法律の定める届出や受入の上限などに違反していることを知りながら労働者派遣を受け入れていたときは、その派遣労働者が希望すれば、直接雇用された扱いとなることもあります。

これらは必ず正社員となることを保障するものではありませんが、法律は、できるだけ均衡のとれた処遇にすることを求めています。

 

<紹介予定派遣から直接雇用へ>

紹介予定派遣とは、派遣期間終了後に派遣先の企業に直接雇われることを前提にした派遣スタイルです。派遣期間は最長6か月です。

派遣期間終了時に、派遣社員が直接雇われることを希望し、派遣先が直接雇うことを希望すれば、その後、派遣社員は派遣先の社員となります。

紹介予定派遣を活用することによって、派遣社員は派遣先の仕事の内容や会社の雰囲気を理解した上で就職することができ、派遣先は、派遣社員の適性、能力をじっくり見極めたうえで、その派遣社員を直接雇用するかどうかを判断することができるというメリットがあります。

ただし、正社員として直接雇用されるとは限りませんので、採用時にあらためて確認しましょう。

 

2017.10.22.現在

<年次有給休暇を使わせる義務>

労働基準法には、年次有給休暇について次の規定があります。

 

(年次有給休暇)

第三十九条 5 使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない

 

この規定の中の与えなければならないというのは、文脈からすると、権利を与えるということではなく、使わせるという意味であることが明らかです。

そして、この義務に違反した場合の罰則としては、次の規定があります。

 

第百十九条 次の各号の一に該当する者は、これを六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

 

たとえば、「再来週の水曜日に年休を使いたいのですが」と申し出た従業員に対して、使用者が「有給休暇を使うなんてダメだ」と答えれば、法律上は懲役刑もありうるということになります。

 

しかし、刑罰の存在と、年次有給休暇請求の効力とは別問題です。

刑罰は国家権力と使用者との関係で規定されるもので、年休請求により年休が使えることになるかどうかという使用者と労働者との間の民事的な関係には、直接的には影響しないのです。

 

ということは、「再来週の水曜日に年休を使いたいのですが」と申し出た従業員に対して、使用者が「有給休暇を使うなんてダメだ」と答えた場合、その従業員が当日会社を休んだ場合にどうなるかは別に考える必要があります。

結論としては、年次有給休暇を使ったことにはなりません。無断欠勤になってしまいます。

 

従業員としては、使用者に対して年次有給休暇を取得させるように説得を試み、それでもダメなら、所轄の労働基準監督署やその他の相談機関に相談するしかありません。

 

<年次有給休暇を使った人の解雇>

年次有給休暇を使ったことを理由に解雇するなど、不利益な取扱いをすることは、次の規定によりやんわりと禁止されています。

 

第百三十六条 使用者は、第三十九条第一項から第四項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。

 

この条文の解釈については、最高裁判所が次のような判断を示しています。

 

労基法136条それ自体は会社側の努力義務を定めたものであって、労働者の年休取得を理由とする不利益取扱いの私法上の効果を否定するまでの効力を持つとは解釈されない。

また、先のような措置は、年休を保障した労基法39条の精神に沿わない面を有することは否定できないが、労基法136条の効力については、ある措置の趣旨、目的、労働者が失う経済的利益の程度年休の取得に対する事実上の抑止力の強弱等諸般の事情を総合して、年休を取得する権利の行使を抑制し、労基法が労働者に年休権を保障した趣旨を実質的に失わせるものと認められるものでない限り、公序に反して無効(民法90条)とはならない

沼津交通事件 最二小判平5.6.25

 

年次有給休暇を使ったことを理由に解雇するというのは、解雇により労働者が失う経済的利益の程度、年休の取得に対する事実上の抑止力は甚だしいですし、労基法が労働者に年休権を保障した趣旨を実質的に失わせるものと認められるものですから、公序に反して無効(民法90条)になると思います。

 

それにしても、年次有給休暇を使わせておいて、後から解雇を言い出すのはおかしな話です。

 

<年次有給休暇の使い過ぎを理由とする契約更新の拒否>

下の方に示すように、労働契約法に有期契約労働者の契約更新についての規定があります。

この規定では、何回か契約が更新されている人と、契約更新に対する期待が客観的に是認できる人に限定されていますが、前回と同じ条件での契約更新を権利として認めています。

 

この規定の解釈にも、先ほどの沼津交通事件判決の趣旨が及びます。

たとえば、契約更新にあたって「あなたは年次有給休暇の残日数が少ない。年休の使い過ぎなので、契約は更新できない」などという理由で、契約更新を拒否できないということになるでしょう。

 

(有期労働契約の更新等)

第十九条 有期労働契約であって次の各号のいずれかに該当するものの契約期間が満了する日までの間に労働者が当該有期労働契約の更新の申込みをした場合又は当該契約期間の満了後遅滞なく有期労働契約の締結の申込みをした場合であって、使用者が当該申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす。

一 当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって、その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが、期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められること。

二 当該労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められること。

 

2017.10.21.解決社労士

<解雇は無効とされやすい>

会社が社員に解雇を通告しても、それが解雇権の濫用であれば無効になります。これを不当解雇といいます。解雇したつもりになっているだけで、解雇できていないので、対象者が出勤しなくても、それは会社側の落ち度によるものとされ、賃金や賞与の支払義務が消えません。会社にとっては、恐ろしい事態です。

出来てからまだ10年も経っていない労働契約法という法律に次の規定があります。

 

(解雇)

第十六条   解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

大変抽象的な表現ですから、いかようにも解釈できそうです。しかし、正しい解釈の基準は裁判所の判断です。

そして、裁判所の判断によれば、解雇権の濫用は簡単に認定されます。つまり、多くの場合、不当解雇が認定されます。

 

<「客観的」の落とし穴>

「客観的に合理的な理由」を欠けば、解雇権の濫用となり、解雇は無効となるわけです。

しかし、当事者である会社側と対象社員の言い分は、完全に主観的なものです。会社がそれなりの理由を示して解雇を通告した場合、その解雇理由は主観的な判断により示したものです。また、これに対する対象社員の反論も主観的なものです。ですから、「どちらが正しいか」という議論は、解雇の有効性については無意味です。

あくまでも、「客観的に合理的な理由」が有るか無いかによって、解雇権の濫用となるか否かが決まってきます。

 

<「客観的に合理的な理由」とは>

「客観的に合理的な理由」とは、誰が見ても解雇はやむを得ないという理由です。

なぜなら、誰が見ても正しいというのが、客観的に正しいということだからです。

ただし、当事者である会社側と対象社員は「誰が見ても」の「誰」からは除かれます。当事者は、主観的に考えてしまうからです。

 

結局、バイク通勤の禁止ルールに違反することが、その職場では絶対に許されない背信的行為であるとされる特別な事情が客観的に認定されるのであれば、解雇もやむを得ないということになります。

 

しかし、現実にはそこまで特別な事情は想定できません。

会社がバイク通勤を禁止するのは、事故が多いとか、駐車場が確保できないとか、近隣のお客様に不快感を与えるとかいうのが一般的な理由でしょう。

これらは、可能性があるというに過ぎません。

 

現実に、通勤の途中でバイク事故を起こした場合、違法駐車をした場合、近隣のお客様からバイクの騒音などについてクレームがあった場合に、これらを理由として解雇してしまうのは行き過ぎだと考えられます。これらの行為と解雇とのバランスがとれていないからです。

つまり「客観的に合理的な理由」があるとはいえないでしょう。

 

<会社として取りうる措置>

まず、就業規則で全面的にバイク通勤を禁止するのではなく、「会社の許可なくバイクで通勤することは禁止する」という形にして、特別な理由があれば許可する形にすることです。

そして、許可の条件としては、一定の条件を満たすバイク保険の加入、適正な駐車場の利用、騒音が一定以下であることなどを示す書面を添付して、会社に申請書を提出することなどが考えられます。

 

たとえこの場合でも、無許可でのバイク通勤が解雇の理由となるわけではありません。就業規則の中に会社の手続き違反に対する懲戒規定があって、懲戒処分についての適正な手続きを踏めば、減給や出勤停止程度の処分が有効となるケースもあるといえるに過ぎません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

バイク通勤は危ないから禁止、そして違反したら解雇というような、安易な運用はできません。

解雇が有効になるのは、労働契約法の条件を満たす場合に限られるのです。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.10.20.解決社労士

<雇い入れ時の健康診断>

雇い入れ時の健康診断は、1週間の所定労働時間が正社員の4分の3以上で、1年以上勤続する予定の従業員について法的義務があります。〔労働安全衛生法661項、労働安全衛生規則45条〕

また、1週間の所定労働時間が正社員の半分以上であれば、受診させることが望ましいとされています。努力義務です。

いずれにせよ、雇い入れ時の健康診断実施義務は、採用側の義務ですから、基本的には採用側が実施し、費用も負担するのが法の趣旨に適合します。

とはいえ、費用負担について、法令に明確な規定が無いので、応募者側が費用を負担するルールにしても違法ではありません。また、応募者が自主的に健康診断の結果を提出することも問題ありません。

 

<採用面接時の対応>

以前は、採用面接を行うにあたって、健康診断結果の提出を求め、雇入れ時の健康診断を兼ねていた会社が多かったのです。

ところが、平成5年労働省通知と平成13年厚生労働省通知によれば、「雇い入れ時健康診断は、雇い入れた際における適正配置と入職後の健康管理のためのものであって、採用選考時に採用の可否の決定のための健診を行うことは適切を欠く」とされています。

この背景には、採用側がHIV検査を義務付けるなど、人権侵害の問題がありました。

やはり、法定の項目以外の検査を義務付けるのは避けるべきでしょう。

そもそも、法令の文言を素直に読めば、「雇い入れ時」というのは採用前ではなく採用後のことを言っています。ですから、基本的には採用決定後に、雇い入れ時の健康診断を実施することになります。

 

<健康状態の確認漏れによるトラブル>

健康状態に問題のある応募者を採用してしまっても、採用取消や解雇は簡単にはできません。ほとんどの場合は、採用取消や解雇が無効とされ、損害賠償請求の対象となってしまいます。

トラブルになるのは、入社後に健康不良が発覚したものの、「その点については質問されませんでした」と言ってかわされていまい、採用側は有効な手を打てなくなるというケースです。

ですから、採用面接の段階で応募者の健康状態について、人権侵害にならない範囲で、詳細な情報を申告してもらうのが得策です。これと併せて、就業規則には、採用時の虚偽申告は採用取消や解雇の理由となりうることを規定しておくべきです。

もちろん、応募者本人も把握していなかった病気については、虚偽申告とはいえません。この場合には、その病気が業務の遂行を不可能とするものであるかどうかの問題になります。

 

<健康状態の確認が必要性な範囲>

採用する側は、興味本位で応募者の病気を詮索するわけではなく、予定される業務を行うのに支障のない健康状態であることを確認したいわけです。

応募者も、具体的な業務内容を想定して応募してきているわけですから、自分の今の健康状態で、その業務を遂行できるかどうかを確認したいと考えます。

この利害の一致する範囲で、健康状態や病気、薬の服用や通院などの予定について確認することが許されると考えて良いでしょう。

 

採用側は、業務内容をなるべく具体的に説明します。

そして、応募者側はその業務を行える状態か、何か不安はあるか、雇い主に求めたい配慮はあるかといった情報を提供するということになります。

 

自動車の運転、機械類の操作、高温での調理、高所での作業など、意識が途切れたら危険な業務は、重度の高血圧症や貧血症なら避けるべきです。これらは、通常の健康診断の項目に入っていますから、判断は比較的容易です。

しかし、一定の精神疾患でも同様の危険があり、健康診断では見つからないだけに、応募者の自己申告に頼るしかありません。

 

結局のところ、業務の環境や作業内容など、具体的な事情により確認が必要な範囲は異なります。そして、その必要な範囲内で、健康状態の確認が許されるということになります。

 

<応募者確保のために>

業務内容を良く知っている会社の担当者が面接を行うと、その場の雰囲気や感情に流されて、聞いてはいけないことをストレートに聞いてしまうリスクがあります。

そのリスクというのは、応募者がどこかに申告して行政の介入を許すとか、損害賠償を求められるとかいうことではなく、人手不足クライシスとまでいわれている今、面接を受けた応募者からの口コミ情報で、全体の応募者数が減少してしまうリスクです。特に、ネットを介しての口コミ情報は、思わぬ威力を発揮してしまいます。

 

こうしたことを避けるためには、業務内容ごとの「採用面接シート」を利用するのが便利です。このシートに書かれている項目を漏れなく確認し、書かれていない項目については尋ねないようにするのです。

この作成と効率的な運用には、専門知識と技術が必要ですから、作成にあたっては、ぜひ信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

2017.10.19.解決社労士

<生理休暇取得の権利>

「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」と規定され、これに違反すると30万円以下の罰金という罰則もあります。〔労働基準法68条、120条1号〕

つまり、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を取るのは権利であり、使用者に当たる人がこれを妨げるような発言をすれば、それは違法であるということになります。

ここで「使用者」には、個人事業なら事業主、会社なら会社そのもの、代表者、取締役、理事、人事部長、労務課長などが含まれます。〔労働基準法10条〕

 

<パワハラとは>

パワハラは、力関係に基づく嫌がらせです。

年齢、経験年数、能力、地位、権限、人気などのパワーを持った人が、自分から見てある側面で「劣る」と思える相手に対して、主に指導の名目で嫌がらせをします。

多少不快感や損害を与えたとしても、指導に伴うものはある程度仕方がないという勘違いが多発しています。

 

<パワハラになるかならないかの基準>

生理日の就業が著しく困難な女性が生理休暇を取得しようとした時に、「仕事を優先しろ」「使えない」などの発言をすることは、明らかにパワハラです。

また、無限定に漠然と「お前は生理休暇なんか取るな」と発言した場合には、生理日の就業が著しく困難な場合を含めて生理休暇の取得を妨げる発言ですから、権利の侵害でありパワハラになります。

 

これに対して、普通に勤務することが困難ではない程度の苦痛を伴う生理を理由に生理休暇を取得することや、生理中であることそのものを理由に生理休暇を取得することは、労働基準法も認めていません。

ですから、生理中の女性が朝から普通に勤務していて、お天気が良いので午後から遊びに行くため「生理休暇を取得したい」と言ったのなら、これに対して「今日は生理休暇を取るな」という指導は正当なものであり、パワハラにはならないのが一般です。

 

実際には、生理の苦痛は本人にしかわからないでしょう。

上司としては、女性から「生理休暇を取得したい」という申し出があれば、これを拒否できないことになります。

ただ、生理休暇を取得しておきながら、レジャー施設に出かけて絶叫マシンで楽しんでいる様子がSNSなどにアップされたら、不正に生理休暇を取得したものとして、懲戒処分の対象となりうるというのも事実です。

この辺りについては、女性社員に対する教育指導が必要でしょう。

 

<セクハラにもあたる場合>

セクハラは、性的なことについての嫌がらせです。

職場に限らず、性的なことに対する興味が特に強い人がいます。こうした人が、「いたずら」「からかい」のつもりで「嫌がらせ」をするとセクハラになるのですが、本人は道徳に反しないと思っているので、反省することなく繰り返します。

 

生理休暇について言えば、「生理の周期から考えて今日休暇を取るのはおかしい」「その歳で生理休暇を申し出るのは変だ」などという発言はセクハラになります。

これは、相手の人格の尊厳を無視して、踏み込みすぎた発言となるからです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

生理休暇など労働者の権利についての知識習得は従業員任せにはできません。会社が教育研修を実施する義務を負っています。

また、パワハラ、セクハラ、マタハラについては教育だけでなく、就業規則などにその定義を明らかにし、懲戒処分の対象とすることも必要です。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.10.18.解決社労士

<人事考課と賞与>

賞与というのは、どれだけ能力があるかとは関係なく、どれだけの実績を上げて会社に貢献したかという結果を評価して設定するものです。

 

たとえば、5月から10月までの実績を評価して12月に冬期賞与を支給し、11月から翌年4月までの実績を評価して7月に夏期賞与を支給するという形になります。

上の例では、新卒採用で4月入社であれば、夏期賞与を支給するための十分な考課期間がありませんから、支給しないか金一封などの名目で一律の支給額にするのが一般です。

中途採用でも、考課期間の途中で入社したのであれば、最初の賞与支給については同様な扱いになるでしょう。

 

ここで注意したいのは、「結果がすべて」の評価にしないことです。

どれだけ社内外と協力したのか、そのプロセスを含めて評価しなければ、目的のためには手段を選ばない社員ばかりになってしまいます。

このような社員は、働く仲間である上司、同僚、部下を自分の道具として利用することしか考えません。

まともな神経を持った人ならば、こんな職場には耐えられないでしょう。人格的に円満な社員は退職していきます。

 

また、実績の良し悪しは運に左右されるものです。

何をどのようにしたらその実績が生じたのかというプロセスを重視しなければ、ラッキーで実績が上がった人は多額の賞与をもらい、不運な人の賞与は減額されてしまいます。

これでは、くじ引きで賞与を決めるようなものですから、運の悪かった社員は納得がいきません。

 

賞与を決定するために個人の実績を評価する場合には、社内ルールに則って正しい手順で成果を上げたのか、個人では対処できない運の良し悪しが関与していなかったかということも、十分に加味する必要があるのです。

 

<人事考課のフィードバック>

賞与の支給額は、基本給を基準に会社の業績を反映した支給月数、個人の実績を反映した考課係数を設定して、次のように計算されていれば納得しやすいでしょう。

 

個人の賞与支給額 = その人の基本給×支給月数×考課係数

 

これを個人ごとに面談で伝えることをお勧めします。

支給月数が多ければ「会社は経営状況が良い」とわかりますし、考課係数が高ければ「私は高い評価を得ている」とわかります。

支給月数が少なかったり、考課係数が低かったりしても、「次こそは!」という気持ちになります。

このことが、社員ひとり一人のヤル気に結びつくでしょう。

また、連続して考課係数が低い社員は、大いに努力するか会社を去るかの決断を迫られます。これはこれで、効果が期待できると思います。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

何となく決めた賞与額であっても、上の個人の賞与支給額の計算式で逆算すれば、支給月数と効果係数を求めることができます。

これを各社員に示すことで、大きな効果が期待できますからお勧めします。

 

ところで、その会社に合った人事考課基準の作成、改定、教育、運用は、社労士ではなくてもコンサルタントにもできます。

しかし、就業規則とも連動させ、法令順守を前提とした健全な企業活動を目指すのであれば、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.10.17.解決社労士

<人事考課と給与>

給与というのは、今後1年間にどれだけ活躍するかを予測して設定するものです。

そうでなければ、新卒や中途採用では初任給が決まりません。

ベテラン社員であっても、これまでの実績を参考にして、今後一年間にどれだけ活躍するかを予測して設定するものです。

 

イメージとしては、野球選手の年俸制を思い浮かべると理解しやすいでしょう。

ただ、一般の労働者に年俸制を使うのはメリットが少なく、運用が違法になりがちなのでお勧めできません。その証拠に、厚生労働省のモデル就業規則にも年俸制の規定はありません。

 

活躍を予測する場合、個人的な能力だけを見るのではなく、社内での協調性や社外との連携具合も評価する必要があります。

会社に社員が集まっているのは、チームプレーによって苦難を乗り越え、大きな成果を出すためです。

目立った個人プレーばかりを高く評価していては、社内の協調性が失われてしまうことになります。

 

たとえ個人プレーの能力が高くても、チームプレーの能力が低かったり、社外との関係を良好に保つ能力が低かったりすれば、長期にわたって活躍できません。

会社は可能な限り長続きしたいわけですから、社員に対しても長続きできる能力を求めることになります。

 

社内での協調性や社外との連携具合を見るのに、会社で決められている正しい仕事の仕方や就業規則などの社内ルールを守れるかどうかが、重要な目安となります。

 

<人事考課の前提となる教育訓練>

どんなに優れた人材でも、会社に合った正しい仕事の仕方働く上での社内ルールを知らなければ、その能力を発揮することができません。

会社の常識と、個人の常識とは異なるものですから、会社は会社の常識を社員に教育する必要があります。これを怠っておいて、「常識だろ!」と叫んでも不合理なパワハラと評価されてしまいます。

 

これほど人手不足で採用難ですから、社員には1.5人分も2人分も活躍してもらわなければなりません。

長時間労働をして倒れては本末転倒ですから、生産性を高めることになります。

その手段としては、教育訓練をおいて他にはないでしょう。会社にぴったり適合したカスタマイズされた教育訓練であることが必要です。

 

給与を決めるための人事考課は、この教育訓練が前提となります。

会社として、どのようにして欲しいのかを示さずに、評価だけをするのでは、社員は全く納得がいきません。

会社は学校ではありませんが、もし授業をせずに成績表だけを配布する学校があったなら、その存在価値は疑わしいものです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

その会社に合った人事考課基準の作成、改定、教育、運用は、社労士ではなくてもコンサルタントにもできます。

しかし、就業規則とも連動させ、法令順守を前提とした健全な企業活動を目指すのであれば、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.10.16.解決社労士

<人事考課がないのは論外>

社内に人事考課の基準がなくて、年齢や経験年数だけで昇給と昇格が決まっている会社からは、将来有望な若者が去っていくものです。

ただクビにならないように気を付けながら、在籍年数を伸ばしていくだけで、それなりの昇給と昇格が期待できるとすれば、危険を冒してまで努力するのはばかばかしくなります。こうして多数派の社員は、本気で業績に貢献しようという意欲を失っていきます。

中には、会社に貢献して会社の事業を成長させれば、自分自身も成長できると信じて努力を続ける社員もいます。これは少数派です。それでも、長年にわたって報われなければ、やがて力尽きてしまいます。

 

新卒採用でも中途採用でも、入社当初は意欲に燃えています。その時に、「いつかはあの先輩を越えよう」「いや社長を目指そう」と思える会社ならば、新鮮な意欲を持続することができます。

年齢や経験年数だけで昇給と昇格が決まっている会社では、永遠に先輩を追い抜くことはできません。まるでアキレスと亀のパラドックスのようです。

 

こうして有能な社員が去っていき会社に欠員が出ても、ネット上の情報や口コミが邪魔をして応募者が来ないでしょう。

こんなことでは、人手不足クライシスとまで言われている今、会社の存続は難しくなってしまいます。

 

<主観的な人事考課基準も危険>

社長や人事権を握っている一部の人が、主観的に判断して社員を評価するのも危険です。

こういう会社では、会社の業績に貢献するよりも、社長や考課権者と仲良くなるのが出世の近道になってしまいます。反対に社長や考課権者に嫌われたら最後、未来は暗くなりますから、会社から去っていくことになります。

いわゆる「上を見て仕事をする社員」ばかりになりますから、仕事よりも社長に嫌われないように、社長に気に入られるように努力します。

こういう会社では、社長のまわりに社員が集まって雑談する様子が良く見られます。

本当に会社の業績に貢献している社員は、そんなシーンでも黙々と仕事をこなしているものです。

 

人事考課基準は、具体的で客観的なものにしなければ、社員の努力の方向性が曲がってしまうのです。

何をどれだけしたらどれだけ昇給するのか、どこまでやったら昇格するのか、これが明確であれば社員は言われなくても努力を重ねます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

その会社に合った人事考課基準の作成、改定、教育、運用は、社労士ではなくてもコンサルタントにもできます。

しかし、就業規則とも連動させ、法令順守を前提とした健全な企業活動を目指すのであれば、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.10.15.解決社労士

<想定される具体的なケース>

社員が懲戒規定に触れる行為をしたのは明らかではあるものの、具体的な事情を詳細に調べてみないと、解雇すべきか減給処分で十分なのかなど、処分の内容を決められないという場合もあります。

しかも、社内でうわさになってしまい、本人を出勤させることが職場の混乱を招くというときもあります。

こうした場合に、とりあえず出勤停止処分にしておいて、後から追加で決定された懲戒処分をすることを考えてしまいがちです。

 

<懲戒処分の有効要件>

解雇まではいかなくても、懲戒処分が有効とされるには、多くの条件を満たす必要があります。

条件を1つでも欠けば無効となり、会社としては対象者から慰謝料その他の損害賠償を請求される可能性があるわけです。

法律上の制限として次の規定があります。

 

「使用者が労働者を懲戒できる場合に、その労働者の行為の性質、態様、その他の事情を踏まえて、客観的に合理的な理由を欠いているか、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして無効とする」〔労働契約法15条〕

 

これは、数多くの裁判の積み重ねによって作られた「懲戒権濫用法理」という理論を条文にしたものです。

ですから「使用者が労働者を懲戒できる場合」、つまり就業規則や労働条件通知書、雇用契約書などに懲戒処分の具体的な取り決めがあって、その労働者の行為が明らかに懲戒対象となる場合であっても「懲戒権濫用法理」の有効要件を満たしていなければ、裁判ではその懲戒処分が無効とされます。

また、そもそも就業規則や労働条件通知書、雇用契約書などに懲戒処分の具体的な取り決めが無ければ、懲戒処分そのものができないことになります。

 

そして、懲戒権の濫用ではないといえるためには、次の条件を満たす必要があります。

・労働者の行為と懲戒処分とのバランスが取れていること。

・問題が起きてから懲戒処分の取り決めができたのではないこと。

過去に懲戒処分を受けた行為を、再度懲戒処分の対象にしていないこと。

・その労働者に説明や弁解をするチャンスを与えていること。

・嫌がらせや退職に追い込むなど不当な動機目的がないこと。

・社内の過去の例と比べて、不当に重い処分ではないこと。

 

上の条件に当てはめると「とりあえず出勤停止処分にしておいて、後から追加で決定された懲戒処分をする」というのは、「過去に懲戒処分を受けた行為を、再度懲戒処分の対象にしている」ことになるので、懲戒権の濫用となり懲戒処分は無効となるのです。

 

「過去に懲戒処分を受けた行為を、再度懲戒処分の対象にしてはならない」というルールは、二重処罰の禁止と呼ばれ、憲法にも刑罰について同様のルールが定められています。

 

何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。〔日本国憲法39条〕

 

<それでも出勤停止にはしたい場合>

懲戒処分をするのではなく、出勤停止や自宅待機の業務命令を出すことは可能です。

この場合には、懲戒処分としての出勤停止ではありませんから、原則として出勤停止の間も賃金を支払う必要があります。

 

これを行うためには、就業規則に「懲戒に該当する行為があったと会社が判断した者について、事実調査や職場の混乱回避などのため必要がある場合には、懲戒処分が決定されるまでの間、自宅待機を命ずることがある」という規定を置いておく必要があるでしょう。

また、この規定を適用する場合には、対象者に書面で通知することが望ましいといえます。

 

こうした場合に、何日もかけて事実調査を行っていたのでは、懲戒処分を予定している社員に賃金を支払いながら連休を取らせている形になってしまいます。

これでは、他の社員も納得がいきませんから、事実の確認は急ぐ必要があるのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

適正な懲戒処分を行うためには、事前の準備が不可欠です。

また、実際に事件が発生してしまった場合には、適法要件を満たしつつスピーディーに動く必要があります。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.10.14.解決社労士

<労働時間の定義>

労働時間とは、「労働者が実際に労働に従事している時間だけでなく、労働者の行為が何らかの形で使用者の指揮命令下に置かれているものと評価される時間」と定義されます。

これは、職場ごとに就業規則で決めたり、個人ごとに労働契約で決めたりするのではなく、客観的に決まっている定義です。

労働時間に対しては賃金を支払わなければなりません。

 

<労働時間となるかならないかの判断基準>

就業規則や労働契約で定められている始業時刻よりも早く出社した場合、それが労働時間となり賃金支払いの対象となるかは、具体的な事情によって異なってきます。

早めの出社がどの程度義務付けられていたのか、本来の始業時間前に業務を行っていたのか、時間と場所を拘束されていたのかなどによって、使用者の指揮命令下に置かれているかどうかが決まってきます。

 

<労働時間となり賃金支払いの対象となる例>

業務命令により始業時刻前の朝礼に参加していた場合や、業務命令により始業時刻前に当日の業務の引継ぎをしていた場合であれば、使用者の指揮命令下に置かれていたわけですから、労働時間に該当するのは明らかです。

また、自由参加の朝礼が終わってから自主的に業務を開始している場合や、毎日の始業時刻前に自主的に当日の業務の引継ぎをしている場合であっても、それが習慣化し使用者も知っていて黙認しているような場合には、使用者の指揮命令下に置かれているものと評価され労働時間となることがあります。

 

労働時間とはならず賃金支払いの対象とはならない例>

お子さんを保育園に連れて行くついでにそのまま早めに出勤しているとか、交通機関の遅れが多く遅刻しないために早めに出勤しているだけで、始業時刻前には外出したり仮眠したり軽食をとったりして自由に過ごしているような場合には、労働時間とはならず賃金支払いの対象とはなりません。

この場合には、たとえばタイムカードで労働時間の管理をしている職場では、出勤しても打刻せず業務の準備を開始するときに打刻する運用が適切です。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

早めに出社した場合に、会社が賃金の支払い義務を負うか負わないか、判断が微妙なケースもあります。

また、こうした微妙なケースが発生しないための対策も必要ですが、ここでも難しい判断が必要となります。

なぜなら、法令の条文を読んでも具体的なことは書かれていないので、通達や裁判例などから具体的な基準を探る必要があるからです。

こうした専門性の高いことは、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.10.13.解決社労士

<年金手帳の再交付は郵送が原則>

年金手帳は、お近くの年金事務所で再交付を受けることができます。

年金手帳は原則として、後日ご自宅への郵送となります。

 

<再交付を急ぐ場合>

例外的に急ぎの場合には、年金事務所の窓口で直接手渡しにより、年金手帳の再交付を受けることができます。

これは、緊急性の高いものであって、ご本人が運転免許証などの身分証明等を持参した場合に可能です。

 

また、代理人により行う場合には、次の代理人に限り可能です。

・社会保険労務士、社会保険労務士の代理人

・法定代理人(法定代理人であることがわかる書類の持参が必要)

・事業主、事業主の代理の事務員(事業主を通じて申請書を提出されたもの)

 

急ぎであることを証明する書類が求められるわけではありません。

「転職先に提出しなければならない」など口頭による説明で大丈夫です。

 

<再交付が必要ない場合>

既に年金を受給している人は、年金証書が手もとにあれば、年金手帳は必要ありません。

年金証書を大事に保管してください。

 

2017.10.12.現在

<個人の住民税とは>

個人の税金について、「都道府県民税」と「区市町村民税」をあわせて「住民税」と呼んでいます。

個人の住民税は、前年の所得金額に応じて課税される「所得割」、定額で課税される「均等割」からなっています。

従業員の住民税は、1月1日現在で従業員(納税義務者)の居住する区市町村が、賦課徴収を行っています。

 

<特別徴収と普通徴収>

納付方法には、「特別徴収」と「普通徴収」があります。

給与所得者については、6月から翌年5月までの毎月の給料から徴収されます(特別徴収)。

前年の所得に応じた後払いで分割払いの形になります。

事業主(給与支払者)が従業員(納税義務者)に代わり、毎月給与から住民税を差し引き納入しています。

その他の人については、区市町村から送付される納税通知書で、年4回に分けて納めます(普通徴収)。

 

地方税法では、所得税を源泉徴収している事業主については、従業員の住民税を特別徴収しなければならないことになっています。

現実には、制度の周知が十分でなく、徹底が図れていない場合もあります。

そのため、都道府県と区市町村は、特別徴収制度の広報、周知活動に取り組み、特別徴収の徹底を推進しています。

 

次のようなことは、法令上認められません。

・事務の増加や経理担当者がいないといった理由で特別徴収を行わない

・従業員の希望により普通徴収を選択する

・従業員が少ない事業所だからという理由で特別徴収をしない

・経費がかかるからという理由で特別徴収を行わない

 

<納期の特例>

従業員が常時10人未満の事業所の場合は、区市町村に対して申請して承認を受けることにより、年12回の納期を年2回にする制度(納期の特例)を利用できます。

しかし「納期の特例」は、特別徴収した住民税を半年分まとめて納入することができる制度ですので、毎月の給与からの差し引きは行う必要があります。

給与から差し引きをした住民税を預かっておき、年2回に分け納付することになります。

事業主が特別徴収した徴収金は、従業員からの預り金であり、事業資金ではありません。必ず区市町村に納入してください。

 

<事業主(給与支払者)の納税義務>

地方税法321条の5の規定により、特別徴収義務者は特別徴収税額決定通知書に記載された税額を納期限内に納入する義務があります。

特別徴収義務者として指定された事業主が、従業員から徴収すべき税額を放棄又は滞納した場合は、特別徴収義務者に対して、原則として納期限後20日以内に督促状が発送されます。

督促状が届いても納入されない場合は、事業主に対して地方税法331条に基づく滞納処分が行われることになります。

特別徴収すべき税額に滞納がある場合、従業員が納税証明書を取得できないなどの不利益を被ることがあります。

 

<特別徴収義務者の指定>

東京都の全区市町村で一斉に、平成29年度から特別徴収義務者の指定が実施されます。

ただし、次の理由【普A~普F】に該当する場合は、普通徴収にすることができます。

普A=事業所の総従業員数が2人以下

 (他の区市町村を含む事業所全体の受給者の人数で、以下の普B~普Fの理由に該当して普通徴収とする対象者を除いた従業員数)

普B=他の事業所で特別徴収

普C=給与が少なく税額が引けない

普D=給与の支払が不定期(例:給与の支払が毎月でない)

普E=事業専従者(個人事業主のみ対象)

普F=退職者又は退職予定者(5月末日まで、休職等により4月1日現在で給与の支払を受けていない人を含む)

 

前年中に給与の支払いを受けていて、その年度初日(4月1日)において給与の支払を受けている人は特別徴収の対象となります。

したがって、アルバイトやパートであっても、この条件に当てはまる場合には特別徴収の対象となります。

ただし、上記の普A~普Fに該当するときは、給与支払報告書の提出時に普通徴収切替理由書に記載して提出することによって、普通徴収にすることができます。

 

2017.10.11.現在

労働時間等見直しガイドライン(労働時間等設定改善指針)が改正され、平成29年10月1日から適用されています。

 

<改正点1>

地域の実情に応じ、労働者が子どもの学校休業日や地域のイベント等に合わせて年次有給休暇を取得できるよう配慮することが盛り込まれました。

 

↓これを受けて

 

事業主の皆さんは、子どもの学校休業日や地域のお祭り、イベント等に合わせて労働者が年次有給休暇を取得できるよう配慮することが求められます。

また、平成30年4月から、キッズウィークがスタートします。

分散化された子どもの学校休業日に合わせて子供たちの親を含め、労働者が年次有給休暇を取得できるよう配慮することが求められます。

 

<改正点2>

公民権の行使又は公の職務の執行をする労働者について、公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行する労働者のための休暇制度等を設けることについて検討することが盛り込まれました。

 

↓これを受けて

 

事業主の皆さんは、公民権の行使又は公の職務の執行をする労働者のための休暇制度等を設けることについて検討を迫られることになります。

また、労働者が裁判員として刑事裁判に参画することは「公の職務の執行」に当たり、裁判員法第100条により、労働者が裁判員としての職務を行うため休暇を取得したこと等により、解雇その他不利益な取扱いをすることは禁止されています。

 

<改正点3>

仕事と生活の調和や、労働者が転職により不利にならないようにする観点から、雇入れ後初めて年次有給休暇を付与するまでの継続勤務期間を短縮すること、年次有給休暇の最大付与日数に達するまでの継続勤務期間を短縮すること等について、事業場の実情を踏まえ検討することが盛り込まれました。

 

↓これを受けて

 

労働基準法上、年次有給休暇は、入社6か月後に付与され(8割以上の出勤要件あり。)、その日から起算して6年後に最大付与日数となりますが、事業主の皆さんは、仕事と生活の調和や、労働者が転職により不利にならないようにする観点から、雇入れ後初めて年次有給休暇を付与するまでの継続勤務期間や年次有給休暇の最大付与日数に達するまでの継続勤務期間を短縮すること等について前向きに検討することになります。

 

<罰則はないけれど>

事業主が労働時間等見直しガイドラインに積極的に取り組まなくても、罰則があるわけではありません。

しかし、求人に対する応募者の数と質、労働者の定着率に大きな差が生じることになります。

人手不足クライシスとも言われる今、前向きな取組による費用対効果を考えつつというのでは手遅れになりかねません。

人手不足は嵐のようにやって来て去って行くのではなく、今後も続く見込みです。

自社にとって何をどうするのがベストか迷うところがあれば、ぜひ信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.10.10.解決社労士

<傷病手当金支給申請書>

傷病手当金支給申請書の提出先は、健康保険証に書いてある保険者です。

そして申請書の形式は、保険者が決めています。

たとえば、協会けんぽの申請書であれば、1セット4枚で、次の内容になっています。

1,2枚目 = 申請者情報、申請内容

3枚目 = 事業主の証明 ※事業主とは会社などのことです。

4枚目 = 療養担当者の意見書 ※療養担当者とは医師などのことです。

 

<記入する人>

1,2枚目の申請者情報、申請内容は、仕事を休んだ健康保険加入者(被保険者)自身または、被保険者が亡くなった場合は相続人が記入します。

会社の担当者が、ほとんど代筆してくれることもあります。

3枚目の事業主の証明は、会社の担当者や顧問の社会保険労務士が記入します。

4枚目の療養担当者の意見書は、担当医師が記入します。

 

会社が傷病手当金の書類を書いてくれなくて困るというのは、事業主の証明の部分を書いてくれないということになります。

1,2枚目の書き方がわからないのであれば、保険者に確認することになります。

 

<会社が知らないケース>

会社に傷病手当金のことを知っている人がいないとか、書類の書き方がわからないとかいう理由で、書類を書いてもらえないということがあります。

この場合には、事業主の証明を自分で代筆して、ゴム印と代表印だけもらうのが早いと思います。

自分で書くのが難しければ、書き慣れている人に依頼しましょう。

 

<会社が労災を隠しているケース>

たとえば、パワハラが原因でうつ病になった場合には、本来は労災保険の手続きをとるのが正しいのです。

こんなとき、うつ病になった被害者から傷病手当金の書類を書くように求められると、会社は労災の責任を問われることを恐れて、書類の作成から逃げることも考えられます。

労災の認定をするのは、所轄の労働基準監督署や労働局ですから、少しでも業務に原因がありそうな場合であれば、お近くの労働基準監督署に相談してみると良いでしょう。

労災にあたるケースであれば、労働基準監督署が会社に対して、労災保険の手続きをするように指導してくれます。

 

<会社が社会保険料をごまかしているケース>

会社が社会保険加入者(被保険者)の給料などを過少申告して、社会保険料を少なめに支払っていることがあります。

健康保険も保険ですから、手当金の金額は保険料に見合ったものとなります。

ですから、傷病手当金の手続きをとると、支給額が不当に少ないことがわかってしまい、不正が発覚することになります。

会社の不正が疑われる場合には、お近くの年金事務所などで相談することをお勧めします。

 

<会社が意地悪をしているケース>

会社と申請者が何らかの対立関係にあれば、会社が意地悪をして書類を書いてくれないことも考えられます。

こうしたケースでは、労働組合や議員さんに相談して何とか解決できたという話も聞かれます。

しかし、健康保険法に次の規定があります。

 

(報告等)

第百九十七条 保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者を使用する事業主に、第四十八条に規定する事項以外の事項に関し報告をさせ、又は文書を提示させ、その他この法律の施行に必要な事務を行わせることができる。

2 保険者は、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者(日雇特例被保険者であった者を含む。)又は保険給付を受けるべき者に、保険者又は事業主に対して、この法律の施行に必要な申出若しくは届出をさせ、又は文書を提出させることができる

 

(罰則)

第二百十六条 事業主が、正当な理由がなくて第百九十七条第一項の規定に違反して、報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、文書の提示をせず、又はこの法律の施行に必要な事務を行うことを怠ったときは、十万円以下の過料に処する。

 

これらを根拠に、会社を説得するよう保険者にお願いしてみてはいかがでしょうか。

保険者は「…できる」という規定ですから、保険者に義務付けられているわけではないので、あくまでも熱心にお願いすることになります。

罰則も「十万円以下の過料」と決して重くはないですが、会社に対するプレッシャーにはなるでしょう。

 

<原因がわからないケース>

以上のどれにもあてはまらないケースもあるでしょう。

傷病手当金の書類を会社が書いてくれない理由がさっぱりわからないのであれば、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.10.09.解決社労士

<障害の程度が重くなったときの届出>

障害の程度が重くなり障害の等級が変われば年金額は増額されます。

この場合には、近くの年金事務所または街角の年金相談センターで、年金額の改定請求の手続きを行います。

請求の用紙は、年金事務所または街角の年金相談センターにあります。

請求の用紙に、氏名、生年月日、年金証書に記載されている基礎年金番号と年金コード、けがや病名などを記入して診断書を添えて提出します。

ただし過去1年以内に、障害等級の変更または年金額の改定請求を行っている場合には、この請求ができません。

(省令に定められた障害の程度が増進したことが明らかである場合には、1年を待たずに請求することができます。)

 

<障害の程度が軽くなったときの届出>

障害の年金は、普通、毎年1回、現況届と一緒に提出する診断書によって審査され、障害の程度が軽くなったときは、年金額の変更などが行われます。

障害の程度が年金を受けられないほど良くなったときには、そのことを近くの年金事務所または街角の年金相談センターに届け出ることになります。

届の用紙は年金事務所または街角の年金相談センターにもありますが、「ねんきんダイヤル」に電話すれば、送ってもらうこともできます。

届には障害の程度が良くなった年月日、年金証書に記載されている基礎年金番号と年金コード、生年月日などを記入します。

 

<障害が軽くなって年金が止められていたが重くなって受給できるとき>

障害年金を受けることができる障害の程度に該当すれば、今まで支払いの止まっていた年金が支払われます。

この場合には、近くの年金事務所または街角の年金相談センターに届け出ます。

届には、氏名、生年月日、年金証書に記載されている基礎年金番号と年金コード、けがや病名などを記入して診断書を添えて提出します。

 

※これらの手続きに必要な用紙は、国民年金を受けている人の場合、市区役所または町村役場の国民年金の窓口でも受け取れます。

 

<ねんきんダイヤル>

一般的な年金相談に関する問い合わせや、窓口での相談の予約も受けています。 ねんきんダイヤル 0570-05-1165

( 050で始まる電話からかける場合 03-6700-1165

 

受付時間

月曜日は午前8時半から午後7

火曜日から金曜日は午前8時半から午後515

第2土曜日は午前9時半から午後4

※月曜日が祝日の場合は、翌日以降の開所日初日に午後7時まで相談を受けています。

※第2土曜日を除く祝日及び1229日から13日はお休みです。

 

2017.10.07.現在

<過労死等防止対策白書とは>

平成29年10月6日に、政府が過労死等防止対策推進法に基づき、「過労死等防止対策白書」(正式には「平成29年度 我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況」)を閣議決定しました。

その具体的な内容は、厚生労働省ホームページからダウンロードできます。

政府刊行物センターなどで販売されるのは、10月下旬からの予定となっています。

 

過労死等防止対策推進法(平成26年法律第100号)

(年次報告)

第6条 政府は、毎年、国会に、我が国における過労死等の概要及び政府が過労死等の防止のために講じた施策の状況に関する報告書を提出しなければならない。

 

この条文によると、行政府である内閣が、国民の代表者で構成される国会に対して、我が国における過労死等の状況と政府が講じた対策を報告するものであることがわかります。

 

<過労死等防止対策>

厚生労働省では、「過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会」の実現に向け、引き続き過労死等防止対策に取り組んでいくとしています。

ここで「過労死等」というのは、業務における過重な負荷による脳血管疾患もしくは心臓疾患を原因とする死亡、もしくは業務における強い心理的負荷による精神障害を原因とする自殺による死亡またはこれらの脳血管疾患、心臓疾患、精神障害と定義されています。

マスコミなどで報道されている場合には、「過労死」という言葉が使われていても、必ずしも定義が明確ではないので注意が必要です。

 

<政府の設定した目標>

政府は平成27年7月24日に、過労死等の防止のための対策を効果的に推進するため、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」を閣議決定しました。

その中で、具体的な目標が次のように設定されています。

 

週労働時間60時間以上の雇用者の割合を5%以下にする(平成32年まで)

一般の事業では、法定の週労働時間が40時間ですから、1週間の法定外残業時間を20時間未満にしようということです。

 

・年次有給休暇取得率を70%以上にする(平成32年まで)

労働基準法に定められている年次有給休暇について、付与された日数の70%以上を取得させるということです。

 

・メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上にする(平成29年まで)

大企業では対策が進んでいますが、80%以上というのは頭数が基準ではなく事業場数が基準ですから、中小企業にも対策が求められていることになります。

 

これらの目標が、行政府である内閣から、国民の代表者で構成される国会に対して示されたということは、もし目標が達成できなければ、政府は国民に対して政治責任を負うということです。

 

政府が労働関係の政策を推進する場合、一般には次の手順で行っていると思います。

1. 国民に周知するための広報を強化する。

2. 国会に企業の努力義務を定める法案を提出して成立させる。

3. 罰則付きの法的義務を定める改正法案を提出して成立させる。

4. 指導と取締りを強化し、罰則の適用を厳格にしていく。

 

今回のように目標の期限がタイトな場合には、手順が省略されて急ピッチで進められることもあります。

各企業は法改正の動向に敏感に反応し、ある程度先回りして対応の計画・準備をすることが必要になります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

各企業が法改正に先回りして対応するというのはむずかしいと思います。

現状で、次のような問題を抱えている企業は、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

・月間80時間以上の残業が当たり前になっている社員がいる。

・労働時間の把握が不正確な社員がいる。

・社員が年次有給休暇を取得できていない。

・経営者がメンタルヘルス対策について具体的な宣言をしていない。

 

2017.10.07.解決社労士

<アルバイトを始める前に労働条件を確認>

働き始めてから、「最初に聞いた話と違っていた」ということにならないように、会社から契約書など書面をもらい、労働条件をしっかり確認しましょう。特に次の6項目については必ず確認しましょう。

・契約はいつまでか(労働契約の期間に関すること)

・契約期間の定めがある契約を更新するときのきまり(更新があるか、更新する場合の判断のしかたなど)

・どこでどんな仕事をするのか(仕事をする場所、仕事の内容)

・勤務時間や休みはどうなっているのか(仕事の始めと終わりの時刻、 残業の有無、休憩時間、休日・ 休暇、 交替制勤務のローテーションなど)

・バイト代(賃金)はどのように支払われるのか(バイト代の決め方、計算と支払いの方法、支払日)

・辞めるときのきまり(退職・解雇に関すること)

※労働条件を確認する書類には、雇用契約書、労働契約書の他に、雇い入れ通知書、労働条件通知書などがあります。

 

<バイト代は、毎月、決められた日に、全額支払われるのが原則>

労働基準法では、バイト代などの賃金について「賃金の支払いの5原則」というルールがあります。バイト代は、通貨で、全額を、労働者に直接、毎月1回以上、 一定の期日に 支払われなければなりません。

また、バイト代などの賃金は都道府県単位ごとに「最低賃金」が定められており、これを下回ることはできません。

 

<ペナルティによる減給の制限>

遅刻を繰り返すなどにより職場の秩序を乱すなどの規律違反をしたことを理由に、就業規則に基づいて、制裁として、本来受けるべき賃金の一部が減額されることがあります(これを減給といいます)。

しかし、事業主(会社)は規律違反をした労働者に対して無制限に減給することはできません。

1回の減給金額は平均賃金の1日分の半額を超えてはなりません。

また、複数にわたって規律違反をしたとしても、減給の総額が一賃金支払期における金額(月給制なら月給の金額)の10分の1以下でなくてはなりません。

 

<アルバイトでも残業手当があります>

労働基準法では、法定労働時間を超えて残業をさせる場合、事業主はあらかじめ、労使協定(「36(さぶろく)協定」)を締結し、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。

また、残業に対しては、割増賃金 (残業手当)を次のように支払うよう定めています。

・1日8時間または週40時間を超えた場合は、通常の賃金の25%以上の割増賃金

※ 労働者10人未満の商業、接客娯楽業等は週44時間

・1か月に60時間を超える残業の割増率は50%(ただし、中小企業は猶予)

午後10時から午前5時までに働いた場合は25%以上の割増賃金(深夜手当)が支払われます。

(満18歳になるまでは、午後10時から午前5時までの時間帯に働けません。)

 

<アルバイトでも条件を満たせば有給休暇が取れる>

年次有給休暇とは、あらかじめ働くことになっている日に仕事を休んでも、賃金がもらえる休暇のことで、いわゆる 「有休」や「年休」のことです。

年次有給休暇は、正社員、パート、アルバイトなどの働き方に関係なく、次の条件を満たす場合、取ることができます。

・週1日以上または年間48日以上の勤務

・雇われた日から6か月以上継続勤務

・決められた労働日数の8割以上出勤

 

<アルバイトでも仕事中のけがは労災保険が使える>

正社員、アルバイトなどの働き方に関係なく、また、1日だけの短期のアルバイトも含めて、労災保険の対象です。

仕事が原因の病気やけが、通勤途中の事故で病院に行くときは、健康保険を使えません。※健康保険証を提示しないことになります。

病院で受診するときに、 窓口で労災保険を使うことを申し出てください。

原則として治療費は無料となります。

また、仕事が原因のけがなどで仕事を休み、バイト代をもらえない場合は、休業補償制度があります。

 

<アルバイトでも会社の都合で自由に解雇はできない>

アルバイトだからといって、簡単に解雇できるものではありません。解雇は、会社がいつでも自由に行えるというものではなく、社会の常識に照らして納得が得られる理由が必要なのです。

 

<困ったときの相談窓口>

アルバイトをして労働条件など、労働関係で困った場合は、全国の労働局や労働基準監督署などにある「総合労働 相談コーナー」にご相談ください。

相談は無料です。

また、夜間・土日の相談は、「労働条件相談ほっとライン」 を活用してください。

 

労働条件相談ほっとライン

0120-811-610

月~金:午後5時~午後10時

土・日:午前10時~午後5時

 

2017.10.06.現在

<過重労働解消キャンペーンの実施>

厚生労働省が「過重労働解消キャンペーン」を11月に実施します。

 

実施期間 平成29年11月1日(水)から11月30日(木)までの1か月間

 

平成28年6月に閣議決定された「ニッポン一億総活躍プラン」や平成29年3月に内閣総理大臣を議長とする「働き方改革実現会議」で決定された「働き方改革実行計画」で、働き方改革の実行・実現のため長時間労働の是正に向けた取組を強化する旨が盛り込まれるなど、長時間労働対策の強化が緊急課題となっています。

このため、厚生労働省では、「過労死等防止啓発月間」の一環として「過重労働解消キャンペーン」を11月に実施し、長時間労働の削減等の過重労働解消に向けた取組を推進するため、使用者団体・労働組合への協力要請、リーフレットの配布などによる周知・啓発等の取組を集中的に実施します。

 

<主な実施事項>

 

(1)労使の主体的な取組を促します

キャンペーンの実施に先立ち、使用者団体や労働組合に対し、長時間労働削減に向けた取組に関する周知・啓発等について、厚生労働大臣名による協力要請を行い、労使の主体的な取組を促します。また、都道府県労働局においても同様の取組を行います。

主体的な取組を促すのですから、自主的に行うことが期待されています。

 

(2)労働局長によるベストプラクティス企業への職場訪問を実施します

都道府県労働局長が長時間労働削減に向けた積極的な取組を行っている「ベストプラクティス企業」を訪問し、取組事例をホームページなどを通じて地域に紹介します。

ベスト(best)プラクティス(practice)= 最良の実践 ですから、「ベストプラクティス企業」というのは模範企業です。

 

(3)過重労働が行われている事業場などへの重点監督を実施します

ここでいう「監督」とは、調査して違法な点は是正を勧告し、違法ではないけれど不十分な点は改善を指導することです。

 

ア 監督の対象とする事業場等

 以下の事業場等に対して、重点監督を実施します。

 i 長時間にわたる過重な労働による過労死等に係る労災請求が行われた事業場等

長時間労働の一般的な基準は、法定労働時間を上回る労働時間が労災事故発生の直前1か月で100時間以上または直前2~6か月の平均で80時間以上とされています。

 ii労働基準監督署及びハローワークに寄せられた相談等から、離職率が極端に高いなど若者の「使い捨て」が疑われる企業等

若者の使い捨てを行う企業は、一般的にブラック企業と呼ばれます。

 

イ 重点的に確認する事項

 i  時間外・休日労働が「時間外・休日労働に関する協定届」(いわゆる36協定)の範囲内であるか等について確認し、法違反が認められた場合は是正指導します。

ここでいう時間外・休日労働は、所定労働時間・所定休日ではなくて法定労働時間・法定休日を基準に考えます。36協定の内容も法定労働時間・法定休日を基準としています。

 ii  賃金不払残業が行われていないかについて確認し、法違反が認められた場合は是正指導します。

特に「残業代込み」「年俸制」は適法な運用が難しいので注意が必要です。

iii 不適切な労働時間管理については、労働時間を適正に把握するよう指導します。

平成29年1月20日に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」が新しくなっていますので再確認が必要でしょう。特に自己申告制の運用は簡単ではありません。

iv 長時間労働者に対しては、医師による面接指導等、健康確保措置が確実に講じられるよう指導します。

 

 ウ 書類送検

 重大・悪質な違反が確認された場合は、送検し、公表します。

ここでいう「公表」とは、厚生労働省のホームページで企業名と違反内容を公表することです。

  ※監督指導の結果、公表された場合や、1年間に2回以上同一条項の違反について是正勧告を受けた場合は、ハローワークにおいて、新卒者等を対象とした求人を一定期間受理しません。 また、職業紹介事業者や地方公共団体に対しても、ハローワークと同様の取組を行うようご協力をお願いしています。

 

(4)電話相談を実施します

フリーダイヤルによる全国一斉の「過重労働解消相談ダイヤル」を実施し、都道府県労働局の担当官が、相談に対する指導・助言を行います。

 

 0120-794-713(フリーダイヤル なくしましょう長い残業)

 平成29年10月28日(土)9:00~17:00

 

※「過重労働解消相談ダイヤル」以外にも、常時相談や情報提供を受け付けています。

 

ア 最寄りの都道府県労働局または労働基準監督署

(開庁時間 平日8:30~17:15)

 

 イ 労働条件相談ほっとライン【委託事業】

 0120-811-610(フリーダイヤルはい!労働)

 (相談受付時間:月~金17:00~22:00、土・日10:00~17:00)

 

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000088148.pdf

 

 ウ 労働基準関係情報メール窓口

 労働基準法等の問題がある事業場に関する情報をメールで受け付けています。

 

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/mail_madoguchi.html

 

(5)キャンペーンの趣旨などについて周知・啓発を実施します

使用者等へのリーフレットの配布、広報誌、ホームページの活用により、キャンペーンの趣旨などについて広く国民に周知を図ります。

 

(6)過重労働解消のためのセミナーを開催します

企業における自主的な過重労働防止対策を推進することを目的として、9月から11月を中心に全国で合計66 回、「過重労働解消のためのセミナー」【委託事業】を開催します。

(無料でどなたでも参加できます。)

 

 http://partner.lec-jp.com/ti/overwork/

 

 <ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

企業として心配なのは、このキャンペーン中に労働局や労働基準監督署の監督(調査)が入った場合や、従業員が相談窓口に何か申告した場合に、何を指摘されどんな指導を受けるかということでしょう。

社内の違法な部分や不十分なところについて、キャンペーン期間前にチェックしておいてはいかがでしょうか。

自社で実施するのが難しければ、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.10.05.解決社労士

平成29925日に一般社団法人 日本経済団体連合会が公表した「働き方改革事例集」はこちらです↓

http://www.keidanren.or.jp/policy/2017/072.pdf

 

<働き方改革の始まり>

安倍晋三首相は20169月、内閣官房に「働き方改革実現推進室」を設置し働き方改革の取り組みを提唱しました。

 

このタイミングで一億総活躍社会を目標に設定したのは、生産年齢人口(1564歳)がハイペースで減少しているからです。

一億総活躍社会は「50年後も人口1億人を維持し、職場・家庭・地域で誰しもが活躍できる社会」とされています。

日本の人口は減少傾向にあるのですが、それでも50年後に1億人以上を維持したうえで、ひとり一人が活躍できる、言い換えれば社会に貢献できる社会にしようということです。

 

<働き方改革3つの課題>

働き方改革を実現するためには次の3つの課題があるとされています。

・長時間労働

・非正規と正社員の格差

・労働人口不足(高齢者の就労促進)

 

とはいえ、政府が主導すべき課題もありますから、企業が取り組むべき課題を整理すれば、次の3つに集約されると思います。

・労働条件の改善

・労働環境の改善

・労働生産性の向上

 

労働条件の改善と労働環境の改善は、会社の魅力度を高め求人に対する応募者を増やし、従業員の定着率を高めることに直結します。

労働生産性の向上は、従業員の頭数が少なくても「労働力」の不足が発生しないように、従業員の能力を高めたり、能力の発揮度を高めたりするものです。

 

働き方改革の課題というのは、人手不足解消法の実行ということになるでしょう。

 

<中小企業の働き方改革>

経団連の働き方改革事例集に登場する企業は、大企業やその関連企業ばかりが目立ちます。

ですから、中小企業がこれをこのまま真似できるわけではありません。

中小企業が働き方改革を進めるには、その目的と期待される効果を確認し続けることが必要です。

「人手不足の解消」が目的であり、「人手不足の解消」が期待できない施策では、働き方改革にはなりません。

この目的を見失うと、単なる経費削減であったり、働き方改革を推進する部署の負担を現場に押し付けたりになりかねません。

こんなことでは、その企業で働きたいと思う人は減ってしまうでしょう。

 

社内で担当者や担当部署を決めて働き方改革(人手不足の解消)を進めようと思っても、自分たちの利害を抜きにして、目的に向かって真っすぐ進むことは難しいものです。

働き方改革に着手する前に、ぜひ信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.10.04.解決社労士

<企業が取り組むべき課題>

広い視点から、企業が取り組むべき課題を整理すれば、次の3つに集約されると思います。

 

・労働条件の改善 ・労働環境の改善 ・労働生産性の向上

 

建設業は危機的な人手不足の状態にあります。それは採用が困難だからです。

採用できないのは、応募者がいないからであり、応募者がいないのは労働条件労働環境が他の業界よりも好ましくないからです。

 

貴重な応募者も、働き手としての資質や意欲は企業の期待通りではありません。

他の業界で採用されない人が、建設業界に応募してくるというケースが多くなっています。

その結果、新人が給料に見合った働きをしてくれません。労働生産性が低い新人が多いのです。

 

<たとえば休日は>

労働基準法には、休日について次の規定があります。

 

第三十五条 使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない。

2 前項の規定は、四週間を通じ四日以上の休日を与える使用者については適用しない。

 

ところが、国土交通省の「建設業における働き方改革」という資料によれば、建設工事全体では、約65%が44休以下で就業している状況です。

また工事全体で、4週当たりの休暇日数は平均4.60日だそうです。

これらの数字は、日建協「2015時短アンケート」を基に作成されていますので、実態はもっと深刻なのかもしれません。

週休2日が当り前だと思っている労働者は、あえて建設業界に転職しようとは思わないように思われます。

 

<労働時間の規制>

建設業では、特例により労働時間の規制が緩くなっています。

そこで、政府の働き方改革実行計画では、建設業だけの特別扱いをやめて、他の業界と同じ規制にしようとしています。

 

(現行の適用除外等の取扱)

現行制度で適用除外となっているものの取り扱いについては、働く人の視点に立って働き方改革を進める方向性を共有したうえで、実態を踏まえて対応の在り方を検討する必要がある。

建設事業については、限度基準告示の適用除外とされている。これに対し、今回は、罰則付きの時間外労働規制の適用除外とせず、改正法の一般則の施行期日の5年後に、罰則付き上限規制の一般則を適用する(ただし、復旧・復興の場合については、単月で100時間未満、2か月ないし6か月の平均で80時間以内の条件は適用しない)。併せて、将来的には一般則の適用を目指す旨の規定を設けることとする。5年後の施行に向けて、発注者の理解と協力も得ながら、労働時間の段階的な短縮に向けた取組を強力に推進する。

 

<中小企業での取引条件の改善>

中小企業は、取引関係では弱い立場にありますが、建設業では特に弱い者いじめの危険にさらされています。

そこで、政府の働き方改革実行計画では、建設業の中小企業を支援する取り組みを計画しています。

ただ、何をどれだけ支援してくれるのかは、具体的に明らかになっていません。

 

(取引条件改善など業種ごとの取組の推進)

取引関係の弱い中小企業等は、発注企業からの短納期要請や、顧客からの要求などに応えようとして長時間労働になりがちである。商慣習の見直しや取引条件の適正化を、一層強力に推進する。

建設業については、適正な工期設定や適切な賃金水準の確保、週休2日の推進等の休日確保など、民間も含めた発注者の理解と協力が不可欠であることから、発注者を含めた関係者で構成する協議会を設置するとともに、制度的な対応を含め、時間外労働規制の適用に向けた必要な環境整備を進め、あわせて業界等の取組に対し支援措置を実施する。また、技術者・技能労働者の確保・育成やその活躍を図るため制度的な対応を含めた取組を行うとともに、施工時期の平準化、全面的なICTの活用、書類の簡素化、中小建設企業への支援等により生産性の向上を進める。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

人手不足は今の今問題なのであり、次の3つの課題は、政策の実行を待たずに各企業が独自に取り組まなければ体力がもちません。

 

・労働条件の改善 ・労働環境の改善 ・労働生産性の向上

 

残された体力で何をどうすべきか、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.10.03.解決社労士

<働き方改革の始まり>

安倍晋三首相は20169月、内閣官房に「働き方改革実現推進室」を設置し働き方改革の取り組みを提唱しました。

 

このタイミングで一億総活躍社会を目標に設定したのは、生産年齢人口(1564歳)がハイペースで減少しているからです。

一億総活躍社会は「50年後も人口1億人を維持し、職場・家庭・地域で誰しもが活躍できる社会」とされています。

日本の人口は減少傾向にあるのですが、それでも50年後に1億人以上を維持したうえで、ひとり一人が活躍できる、言い換えれば社会に貢献できる社会にしようということです。

 

<働き方改革3つの課題>

働き方改革を実現するためには次の3つの課題があります。

・長時間労働

・非正規と正社員の格差

・労働人口不足(高齢者の就労促進)

 

企業-労働者間の労働契約の内容は本来自由ですが、弱者である労働者を保護するという要請から、労働基準法などにより企業に様々な制約が課され、労働契約に対して法的な介入がなされています。

働き方改革は、このような労働契約に対する介入ではなく、政府から企業に対する提言の形をとっています。

それは、企業に対して法的義務を課さなくても、企業が積極的に働き方改革を推進しなければ生き残れないので、義務付けるまでもないということなのでしょう。

 

とはいえ、働き方改革には政府が推進すべき内容と企業が取り組むべき内容が混在しています。

より広い視点から、企業が取り組むべき課題を整理すれば、次の3つに集約されると思います。

 

・労働条件の改善 ・労働環境の改善 ・労働生産性の向上

 

これらは、現在の労働市場の実態からすれば、わざわざ政府から言われなくても、企業は積極的に取り組むべき内容です。

 

<労働条件の改善>

給与や賞与が高額であり、労働時間が短くて十分な睡眠が確保でき、休暇も取れるとなれば、働きたい人が押し寄せます。

さらに、教育研修が充実していて人事考課制度が適正であれば、専業主婦やニートも働きたくなって当然です。

これによって、出生率も上がり人口減少にも歯止めがかかるでしょう。

 

<労働環境の改善>

温度、湿度、明るさ、換気、騒音、スペースの広さ、機械化の充実など物理的な環境も大事ですが、パワハラやセクハラがなくて部下から見てもコミュニケーションが十分と思えるような環境であれば、人が集まって当然でしょう。

採用難の時代でも、労働条件と労働環境が良い職場には、就職希望者が途絶えることはないのです。

 

<労働生産性の向上>

労働条件や労働環境の改善は、企業にそれなりの余裕がなければできません。

そのためには、労働生産性を向上させ、企業の収益力を高めなければなりません。

しかし、労働生産性を高めるには、労働条件や労働環境を改善して、良い人材を確保し育てなければなりません。

このように、労働条件や労働環境の改善と労働生産性の向上は、鶏と卵の関係にあるのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

以上のことから、働き方改革が企業の生き残りのために必須であること、できるところから少しずつではなく、総合的に同時進行で行うべきことが明らかになったと思います。

どのように計画し推進すべきか、迷うところがあれば、信頼できる国家資格の社労士にご相談ください。

 

2017.10.02.解決社労士

<年末調整とは>

会社などは、役員や従業員に対して給与を支払う際に、所得税と復興特別所得税の源泉徴収を行っています。

しかし、その年1年間に給与から源泉徴収をした所得税と復興特別所得税の合計額は、必ずしもその人が1年間に納めるべき税額とはなりません。

なぜなら、給与から控除している所得税と復興特別所得税は、概算額であって確定額ではないからです。

このため、1年間に源泉徴収をした所得税と復興特別所得税の合計額と1年間に納めるべき所得税と復興特別所得税額を一致させる必要があります。

この手続を年末調整といいます。

 

<年末調整の手順>

年末調整は、その人に1年間に支払うべきことが確定した給与の額を合計して、次の順序で行います。

1 その年の11日から1231日までの間に支払うべきことが確定した給与の合計額から給与所得控除後の給与の額を求めます。

(給与所得控除後の給与の額は、「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」で求めます。)

2 給与所得控除後の給与の額から扶養控除などの所得控除を差し引きます。

3 この所得控除を差し引いた金額(1,000円未満切捨て)に、所得税の税率を当てはめて税額を求めます。

4 年末調整で住宅借入金等特別控除を行う場合には、この控除額を税額から差し引きます。

5 この控除額を差し引いた税額に102.1%をかけた税額(100円未満切捨て)が、その人が1年間に納めるべき所得税及び復興特別所得税になります。

6 源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税の合計額が1年間に納めるべき所得税及び復興特別所得税額より多い場合には、その差額の税額を還付します。

逆に、源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税の合計額が1年間に納めるべき所得税及び復興特別所得税額より少ない場合には、その差額の税額を徴収します。

年末調整の対象となる人は、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人です。

ただし、2,000万円を超える給与の支払を受ける人は、年末調整の対象になりません。

 

2017.10.01.解決社労士

<東京労働局からのお知らせ>

東京労働局職業安定部から、次のお知らせが出されています。

 

平成29930日以降、平成29年度地域別最低賃金額が順次発効されることから、都内ハローワークにおいて受理する求人については、最低賃金額を下回る(法令違反状態にある)求人の公開を一時停止いたします。

 求人申込みをされている事業主の皆さまには、現在公開中の求人についてご確認いただき、就業場所における最低賃金額を下回る場合につきましては、求人提出先ハローワークにて、賃金額の変更を行っていただきますようお願いいたします。

 

東京都の最低賃金は、平成29年10月1日から958円(時間額)です。

これは時間額で示されていますが、時間給の場合だけでなく、日給、月給、年俸制などすべての労働者に適用されます。

適用されるのは、101日勤務分の給与からとなります。

給与計算の締日が毎月末日でない場合には、日割り計算が大変ですから、前回の締日の翌日にさかのぼって昇給するのが一般でしょう。

 

<最低賃金額以上かどうかを確認する方法>

厚生労働省は、ホームページに次の説明を公開しています。

 

支払われる賃金が最低賃金額以上となっているかどうかを調べるには、最低賃金の対象となる賃金額と適用される最低賃金額を以下の方法で比較します。

 

(1) 時間給制の場合

時間給≧最低賃金額(時間額)

 

(2) 日給制の場合

日給÷1日の所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

 

ただし、日額が定められている特定(産業別)最低賃金が適用される場合には、

 

日給≧最低賃金額(日額)

 

(3) 月給制の場合

月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)

 

(4) 出来高払制その他の請負制によって定められた賃金の場合

出来高払制その他の請負制によって計算された賃金の総額を、当該賃金計算期間に出来高払制その他の請負制によって労働した総労働時間数で除して時間当たりの金額に換算し、最低賃金額(時間額)と比較します。

 

(5) 上記(1)(2)(3)(4)の組み合わせの場合

例えば、基本給が日給制で、各手当(職務手当など)が月給制などの場合は、それぞれ上記(2)、(3)の式により時間額に換算し、それを合計したものと最低賃金額(時間額)を比較します。

 

<最低賃金違反の罰則と企業名の公表>

最低賃金制度とは、最低賃金法に基づき国が賃金の最低限度を定め、使用者は、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならないとする制度です。

仮に最低賃金額より低い賃金を労働者、使用者双方の合意の上で定めても、それは法律によって無効とされ、最低賃金額と同額の定めをしたものとされます。

したがって、最低賃金未満の賃金しか支払わなかった場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。

また、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合には、最低賃金法に罰則(50万円以下の罰金)が定められています。

この罰則は実際に適用されていますし、厚生労働省のホームページで企業名が公表されています。PDFファイルで表示されていますから保存も印刷も簡単です。

こうなると対象企業は、金融機関や取引先そしてお客様からの信頼を失いますし、求人広告を出してもワケアリの応募者しか来ないのではないでしょうか。

 

2017.09.30.解決社労士

<かつて流行った広告>

「社会保険料(厚生年金保険料と健康保険料)を大幅に削減!」

こんな広告が流行っていた時期がありました。

その多くは、社労士(社会保険労務士)が出していたものです。

社会保険料を削減するということは、会社の負担も社会保険に加入している社員の負担も減ります。

社労士に報酬を支払ってでも、社会保険料を削減するのは得だという話でした。

その具体的な手法は、法による規制をかいくぐって行う脱法行為が中心でした。

 

<厚生労働省の対応>

社会保険料(厚生年金保険料と健康保険料)が予定通りに集まらなければ、年金制度や健康保険制度の維持に支障が出るかもしれません。

ですから、脱法行為による社会保険料の削減を厚生労働省が放置するわけがないのです。

結局、脱法行為が増えるたびに、厚生労働省が社会保険料の計算ルールを追加して、その脱法行為ができないようにしていったのです。

こうして「大幅に削減!」の効果は失われていきました。

 

<保険のしくみ>

厚生年金保険も健康保険も「保険」です。

保険というのは、保険料に見合った補償(給付)が行われるものです。

特に、社会保険(厚生年金保険と健康保険)は保険者を選ぶことができません。

保険契約の内容も、制度として法定されています。

保険料を「大幅に削減!」すれば、社会保険に加入している社員への補償(給付)も削減されるわけです。

 

<不当な保険料削減のリスク>

社会保険に加入している社員が将来もらう老齢厚生年金には、支払った保険料が反映されています。

もし、会社が違法なことをして少なめの保険料しか納めていなかったなら、老齢厚生年金も少なめになります。

こうした社員は、老齢厚生年金の受給額が不当に少ないと気付いたら、会社を訴えようとするかもしれません。

しかし、気付くまでに長い年数が経過して時効の壁があるでしょうし、会社が無くなっているかもしれません。

 

厚生年金保険に加入している社員が障害者になってしまい、障害厚生年金を受給するときに、受給額が不当に低いと気付けば、その時点で会社を訴えるかもしれません。

厚生年金保険に加入している社員が万一亡くなって、遺族が遺族厚生年金を受給するようになれば、遺族が会社を訴えるかもしれません。

 

健康保険に加入している社員が、プライベートの病気やケガで入院したような場合には、休業期間の賃金を補償するため傷病手当金が支給されます。

この支給額は、健康保険料が少なければ、それだけ少なくなってしまいます。

健康保険に加入している社員が、産休を取った場合にも、休業期間の賃金を補償するため出産手当金が支給されます。

この支給額も、健康保険料が少なければ、それだけ少なくなってしまいます。

病気、ケガ、出産をきっかけに退職を考える社員もいるでしょう。この場合には、会社を訴えたい気持ちも強くなると思われます。

 

<社会保険料削減の方法>

社会保険料は、入社月について丸々1か月分が徴収されますから、1日に入社しても月末に入社しても保険料は同額です。

中途採用であっても、入社日は1日にするのがお得です。

 

社会保険料は、社会保険の資格を失った月の前月分までが徴収されます。たとえば退職の場合、資格を失うのは退職日の翌日です。

ですから、月末に退職すると翌月1日に資格を失うことになり、退職月の分まで保険料を徴収されることになります。

これが、月末以外の日に退職すれば、その月のうちに資格を失うことになりますから、退職月の保険料は発生しません。

退職は月末の1日前にするのがお得です。

 

社会保険料は、毎年4月から6月の給与支給額をもとに計算するのが原則となっています。

毎年4月から6月に支給される給与の計算期間は残業を減らしましょう。

たとえば、毎月末日締め切り翌月10日支払いの給与であれば、毎年3月から5月までの残業を減らすことになります。

また、昇給は7月支給分からにして、毎年4月から6月に支給される給与の増額を避けるという手もあります。

 

他にも、賞与の一部を退職金の積み立てに回すなど、使える手段は数多くあります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

それでも、次のことを忘れてはいけません。

保険というのは、保険料に見合った補償(給付)が行われるものです。

ですから、保険料の削減は、どうやっても補償(給付)の減少に結びつきます。

このことをよく理解したうえで、会社と社員とがよく話し合い理解したうえで、実行に移すことが大事です。

また、適法に行うには、信頼できる国家資格者の社労士へのご相談をお勧めします。

 

2017.09.29.解決社労士

<税額表とは>

給与等を支払うときに源泉徴収する税額は、その支払の都度、「給与所得の源泉徴収税額表」を使って求めます。

この税額表には、「月額表」「日額表」「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の3種類があります。

 

<月額表を使う場合>

「月額表」を使うのは、給与を毎月支払う場合と月や旬を単位にして支払う場合です。

半月ごとや10日ごと、3か月ごと、半年ごとなどに給与を支払う場合には、「月額表」を使います。

 

<日額表を使う場合>

「日額表」を使うのは、働いたその日ごとに給与を支払う場合と、1週間ごとに支払う場合です。

ただし、給与を日割り計算して支払う場合にも「日額表」を使います。

 

<賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表を使う場合>

「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」は、賞与、ボーナス等を支払うときに使います。

ただし、前月中に支払うべき給与がない場合と賞与、ボーナス等の金額が前月中の給与の金額の10倍を超える場合には「月額表」を使います。

 

<甲欄、乙欄、丙欄>

源泉徴収をする所得税と復興特別所得税は、使う税額表に記載されている「甲欄」「乙欄」「丙欄」のいずれかで税額を求めます。

「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」が提出されている場合には「甲欄」、提出がない場合には「乙欄」で税額を求めます。

また、「丙欄」は「日額表」だけにあり、日雇いの人や短期間雇い入れるアルバイトなどに一定の給与を支払う場合に使います。

 

2017.09.28.解決社労士

<賞与の定義>

賞与とは、定期の給与とは別に支払われるもので、賞与、ボーナス、夏期手当、年末手当、期末手当等の名目で支給されるもの、その他これらに類するものをいいます。

なお、次のようなものは賞与に該当するものとされます。

・純益を基準として支給されるもの

・あらかじめ支給額または支給基準の定めのないもの

・あらかじめ支給期の定めのないもの。(臨時雇いを除く)

・法人税法34条1項2号「事前確定届出給与」に規定する給与

・法人税法34条1項3号に規定する利益連動給与

 

<原則的な計算方法>

賞与から源泉徴収する所得税と復興特別所得税は、「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」の「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している場合は甲欄、提出していない場合は乙欄を使用して次のように計算します。

1. 前月の給与から社会保険料等を差し引きます。

2. 上記1.の金額と扶養親族等の数を「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」に当てはめて税率(賞与の金額に乗ずべき率)を求めます。

3. (賞与から社会保険料等を差し引いた金額)×上記2.の税率

この金額が、賞与から源泉徴収する税額になります。

 

<例外1:賞与が前月の給与の10倍を超える場合>

前月の給与の金額(社会保険料等を差し引いた金額)の10倍を超える賞与(社会保険料等を差し引いた金額)を支払う場合には、月額表を使って次のように計算します。

イ (賞与から社会保険料等を差し引いた金額)÷6

ロ イ+(前月の給与から社会保険料等を差し引いた金額)

ハ ロの金額を「月額表」に当てはめて税額を求める。

ニ ハ-(前月の給与に対する源泉徴収税額)

ホ ニ×6

この金額が賞与から源泉徴収する税額になります。

ただし、賞与の計算期間が半年を超える場合には、賞与から社会保険料等を差し引いた金額を12で割って同じ方法で計算します。

そして、求めた金額を12倍したものが源泉徴収する税額になります。

 

<例外2:前月に給与の支払いがない場合>

前月に給与の支払いがない場合には、月額表を使って次のように計算します。

イ (賞与から社会保険料等を差し引いた金額)÷6

ロ イの金額を「月額表」に当てはめて税額を求める。

ハ ロ×6

この金額が賞与から源泉徴収する税額になります。

ただし、賞与の計算期間が半年を超える場合には、賞与から社会保険料等を差し引いた金額を12で割って同じ方法で計算します。

そして、求めた金額を12倍したものが源泉徴収する税額になります。

 

2017.09.27.解決社労士

<主たる給与と従たる給与>

ダブルワークで2つの会社から給与をもらっている人がいます。

この場合には、その人に支払う給与が主たる給与になるか、従たる給与になるか確認が必要です。

主たる給与とは、税法上は「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人に支払う給与をいいます。

そして、従たる給与とは、主たる給与の支払者以外の給与の支払者が支払う給与をいいます。

 

<従たる給与についての扶養控除等申告書>

「従たる給与についての扶養控除等申告書」は、2つ以上の給与の支払者から給与の支払を受ける人で、主たる給与の支払者から支給されるその年中の給与所得控除後の給与等の金額が、次の1.と2.の金額の合計額に満たないと見込まれる人が、主たる給与の支払者以外の給与の支払者のもとで配偶者控除や扶養控除を受けるために提出するものです。

1.主たる給与の支払者から支給される給与につき控除される社会保険料等の額

2.その人の障害者控除額、寡婦(寡夫)控除額、勤労学生控除額、配偶者控除額、扶養控除額および基礎控除額の合計額

 

<申告替え>

主たる給与の支払者に申告した控除対象配偶者や控除対象扶養親族を、年の中途で従たる給与の支払者に申告替えすることはできます。

しかし、従たる給与の支払者に申告した控除対象配偶者や控除対象扶養親族を年の中途で主たる給与の支払者に申告替えすることはできません。

 

<源泉徴収税額>

主たる給与を支払う場合の源泉徴収税額は、税額表の「甲欄」で求めます。

従たる給与を支払う場合の源泉徴収税額は、税額表の「乙欄」で求めます。

ただし、「従たる給与についての扶養控除等申告書」を提出している人については、「乙欄」で求めた税額から次の金額を差し引きます。

・月額表を使う場合 控除対象扶養親族など一人につき1,610円

・日額表を使う場合 控除対象扶養親族など一人につき50円

なお原則として、従たる給与については年末調整ができませんので、所得者本人が確定申告することにより所得税と復興特別所得税の精算を行う必要があります。

 

2017.09.26.解決社労士

<源泉徴収義務者>

会社や個人が、人を雇って給与を支払ったり、税理士、弁護士、司法書士、社会保険労務士などに報酬を支払ったりする場合には、その支払の都度、支払金額に応じた所得税と復興特別所得税を差し引くことになっています。

そして、差し引いた所得税と復興特別所得税は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月の10日までに国に納めなければなりません。

この所得税と復興特別所得税を差し引いて、国に納める義務のある者を源泉徴収義務者といいます。

 

<個人が源泉徴収義務者にならない場合>

個人のうち、次の2つのどちらかに当てはまる人は、源泉徴収をする必要はありません。

・常時2人以下のお手伝いさんなどのような家事使用人だけに給与や退職金を支払っている人

・ 給与や退職金の支払がなく、社会保険労務士などの報酬・料金だけを支払っている人

たとえば、給与所得者が確定申告をするため税理士に報酬を支払っても、源泉徴収をする必要はありません。

 

<新たに源泉徴収義務者となる場合>

会社や個人が、国内で新たに給与の支払を始めて、源泉徴収義務者になる場合には、「給与支払事務所等の開設届出書」を、給与支払事務所等を開設してから1か月以内に提出することになっています。

この届出書の提出先は、給与を支払う事務所、事業所その他これらに準ずるものなどの所在地を所轄する税務署長です。

ただし、個人が新たに事業を始めたり、事業を行うために事務所を設けたりした場合には、「個人事業の開業等届出書」を提出することになっていますので「給与支払事務所等の開設届出書」を提出する必要はありません。

 

2017.09.25.解決社労士

<解雇は無効とされやすい>

会社が社員に解雇を通告しても、それが解雇権の濫用であれば無効になります。これを不当解雇といいます。解雇したつもりになっているだけで、解雇できていないので、対象者が出勤しなくても、それは会社側の落ち度によるものとされ、賃金や賞与の支払義務が消えません。会社にとっては、恐ろしい事態です。

出来てからまだ10年も経っていない労働契約法という法律に次の規定があります。

 

(解雇)

第十六条   解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

大変抽象的な表現ですから、いかようにも解釈できそうです。しかし、正しい解釈の基準は裁判所の判断です。

そして、裁判所の判断によれば、解雇権の濫用は簡単に認定されます。つまり、多くの場合、不当解雇が認定されます。

 

<解雇の有効性チェックリスト>

過去の裁判所の判断例から、以下にチェックリストを示します。

ほとんどの項目にチェックマークが入るケースならば、解雇の有効性が肯定されやすいといえるでしょう。

 

□ 解雇の理由が労働契約の継続を期待し難いほど重大なものである

□ 労働契約で約束した能力や資質と実際とが大きく食い違う

□ 教育しても労働者の能力の向上が期待できない

□ 配転や降格では対応できない

□ 教育指導を十分に行ってきた

□ 上司や教育担当が十分な対応を行ってきた

□ 解雇までの経緯や動機に隠された意図や恣意が認められない

□ 解雇の手続きは就業規則に定めた通りに行った

□ 対象者と話し合い、言い分も聞いたうえで決定した

□ 対象者の会社に対する功績や貢献度が低い

□ 勤続年数は短い

□ 対象者は解雇されても再就職が容易である

□ 他の従業員に対する処分とのバランスはとれている

□ 対象者に対して、より軽い懲戒処分で対応した過去がある

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

こうして見ると、しろうとでは判断が困難な項目も含まれています。

また、チェックマークを入れられる状態にするには、日頃の準備が必要な項目もあります。

問題社員が増加傾向にある今、会社を守るための準備を進めるには、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.09.24.解決社労士

<厚生労働省による緊急要請>

厚生労働省は、平成29年の労働災害による死亡者数(1月~8月の速報値)が対前年比で増加し、特に8月に急増したことを受け、平成29年9月22日、労働災害防止団体や関係事業者団体に対し、職場における死亡災害撲滅に向けた緊急要請を行いました。

9月20日に公表した、平成29年の労働災害発生状況(1月~8月の速報値)では、死亡者数が対前年比9.6%(49人)の増加、休業4日以上の死傷者数が対前年比0.9%(600人)の増加となりました。また、8月単月の死亡者数は66人となり、対前年同月比57.1%(24人)の大幅な増加となっています。

ここ数年は、労働災害による死亡者数が減少傾向にありました。医学の発達により、以前は救われなかった命が救われるようになったという要因もあります。それにもかかわらず死亡事故が増加するというのは、まさに緊急事態だと思われます。

 

<緊急要請のポイント>

労働災害防止団体、関係事業者団体(約250団体)に対して、厚生労働省労働基準局安全衛生部長名で緊急要請を行いました。

 

(1)産業界全体に対する企業の安全衛生活動の総点検などの要請

労使・関係者が一体となって、基本的な安全管理の取組をはじめとする以下の労働災害防止活動の徹底を要請。

・安全作業マニュアルの遵守状況を確認するなど、職場内の安全衛生活動の総点検を実施すること

・安全管理者、安全衛生推進者、安全推進者等を選任し、その職務を確実に遂行させるなど、事業場の安全管理体制を充実すること

・雇入れ時教育等を徹底するなど、効果的な安全衛生教育を実施すること

 

(2)死亡者数が増加している業種での取組のポイントを明示

 特に死亡者数が増加している業種(建設業、陸上貨物運送事業、林業、製造業)での労働災害防止ための取組のポイントは以下のとおり。

 

(建設業)

・労働者の立ち入り制限や誘導員の配置など、車両系建設機械などとの接触防止対策の実施

・高所作業における作業床の設置、安全帯の着実な使用などの墜落・転落防止対策の実施

・「交通労働災害防止のためのガイドライン」に基づく対策の実施

 

(陸上貨物運送事業)

・「荷役5大災害防止対策チェックリスト」を活用した荷役作業での安全対策の実施

・「交通労働災害防止のためのガイドライン」に基づく対策の実施

 

(林業)

・「チェーンソーによる伐木等作業の安全に関するガイドライン」に基づく対策の実施

 

(製造業)

・リスクアセスメントや機能安全による機械設備の安全対策の実施

・高経年設備に対する優先順位を付けた点検・補修などの実施

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

企業が守るべき労働関係法令は、労働基準法ばかりではありません。

もともと労働基準法の中にあった労働安全と労働衛生の規定が増えたこともあり、独立した労働安全衛生法となって強化されたのです。

その内容も、度重なる改正によりかなり詳細なものとなっています。

厚生労働省の緊急要請を受けて、労働基準監督署の監督(調査)も強化されることでしょう。

もし会社に不安な点があれば、信頼できる国家資格者の社労士にご相談ください。

 

2017.09.23.解決社労士

<国民皆保険>

日本では、すべての人々が公的な医療保険に加入し、病気やケガをした場合に誰でも必要な時に必要な医療を、保険を使って受けることができます。

これを国民皆保険といいます。

所得や健康状態にかかわらず、原則としてすべての人が加入し、所得などに応じて保険料を負担する公的な社会保険制度です。

これは、社会全体でリスクを分担することで、経済的な理由で必要な医療が受けられないことがないように配慮されているのです。

ここで「リスク」というのは、望ましくないことが発生する可能性のことをいっています。

 

<自己負担割合>

病院などの医療機関の窓口で保険証を提示することで、原則として医療費の3割の自己負担で医療を受けることができます。

小学校に入る前の子どもは2割、高齢者のうち70歳から74歳までの人も2割、 75歳以上の人は1割の自己負担となっています。

例外的に、70 歳以上の人のうち現役世代並みの所得がある人は、3割となっています。

また、子どもについては、都道府県や市町村などの地方自治体が、独自に自己負担割合を軽減している場合もあります。

 

<高額療養費制度>

3割の自己負担であっても、医療費が高額になることがあります。

家計で医療費負担が過重にならないよう、月ごとの自己負担額が一定の限度を超えた場合に、その超過分については、医療保険から支給を受けることができます。

これが高額療養費制度です。

一般的な所得の人(70歳未満)の限度額は、たとえば医療費が100万円である場合には、月約87,000円です。

 

2017.09.22.解決社労士

<健康保険証の効力>

会社で交付された健康保険証は、退職したり所定労働時間が減ったりして、健康保険の加入条件を満たさなくなると効力を失います。

この場合、保険証は会社を通じて協会けんぽなどの保険者に返却しなければならないのですが、手元にあったとしても使えません。

乾電池は電池切れの状態になっても、新品の電池と見た目は変わりがないのですが使えません。

これと同じように、退職後に保険証を使うことはできません。

このことは、扶養家族が扶養から外れた場合の、その扶養家族の保険証にも当てはまります。

 

<効力切れの保険証を誤って使ってしまうと>

退職後に誤って保険証を病院などの医療機関で使ってしまうと、後日、健康保険で支払われた医療費を、協会けんぽなどの保険者から資格を失った人に直接返還請求しているのです。

繰り返し請求されても返還しない場合は、裁判所へ支払督促申立てや少額訴訟等の法的手続を経て、強制執行(給与、預貯金等の差押え)による回収が行われます。

この場合、返還請求の対象となるのは自己負担額ではなくて医療費の全額です。

たとえば、5万円の医療費について自己負担3割で1万5千円を支払った場合に、返還請求を受けるのは1万5千円ではなくて5万円ということになります。

 

<返還請求の実態>

健康保険の資格喪失後、保険証を返却せずに医療機関等で使用して、協会けんぽから返還請求を行っているケースが全国で発生しています。

資格を失ったら速やかに保険証を返却しましょう。

 

【協会けんぽの法的手続の実施状況】

平成29年7月末累計 全国47支部で7,691件実施

 平成28年度以前    6,728件

 平成29年4月    169件

 平成29年5月    222件

 平成29年6月    307件

 平成29年7月    265件

 

2017.09.21.解決社労士

<再就職手当とは>

雇用保険の失業手当(求職者給付の基本手当)の受給資格の決定を受けた人が、早期に安定した職業に就いた場合に支給されます。

早期に安定した職業に就いた場合」には、自分で事業を開始した場合を含みます。

失業手当(求職者給付の基本手当)を受給していると、「手当をすべてもらい終わってから再就職した方が得」という気持ちになりがちです。

しかし、これでは失業手当が再就職を妨げていることになります。

そこで、再就職手当の制度により、再就職を促進しようというものです。

 

<再就職手当の額>

 

所定給付日数を3分の2以上残して再就職した場合

支給額 = 基本手当日額 × 失業保険の支給残日数 × 70%

 

所定給付日数を3分の1以上残して再就職した場合

支給額 = 基本手当日額 × 失業保険の支給残日数 × 60%

 

早く再就職したほうが、給付率が高いわけです。

 

<受給の条件で注意すること>

受給のためには、次のような条件のすべてを満たすことが必要です。

かなり多いのですが、赤文字のところは特に注意が必要です。

・ハローワークで受給手続きをした後、7日間の待期期間満了後に就職(事業開始)したこと。

・再就職の前日までで、基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の1以上あること。

・離職前の事業主に再び雇われたものではないこと。離職した事業所と密接に関連する事業所への再就職ではないこと。

・失業手当(求職者給付の基本手当)の手続きをする前に雇われることが約束されていないこと。

・給付制限期間がある場合には、期間が開始してから1か月以内の再就職の場合は、ハローワークなどの紹介で就職したこと。

・過去3年以内の就職について、再就職手当をもらっていないこと。

・1年を超えて勤務することが確実であること。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

再就職手当支給申請書は、再就職から1か月以内に所轄のハローワークに提出することになっています。

再就職先の会社は、必要書類の事業主記入欄に記入し、添付書類と共に新規採用者に渡すのですが、これを速やかに行う必要があります。

その一方で、受給の条件を満たしていない人に、条件を満たしているような書類を渡してしまうのは違法受給への加担となってしまいます。

迷うところがあれば、信頼できる国家資格の社労士にご相談ください。

 

2017.09.20.解決社労士

<サービスの内容>

届書・申請書作成支援サービスは、入力できるPDFファイルをホームページからダウンロードし、届書・申請書をパソコンで作成できるサービスです。

サービスの対象となる届書・申請書は29種類あります。

このサービスでは、ホームページやメールでの申請はできません。

必要事項を入力・記入した申請書を印刷のうえ、郵送等で加入している協会けんぽの各都道府県支部へ郵送します。

 

<便利な点>

・記入する項目の説明を参照しながら入力できます。

・記入漏れ等が自動でチェックされます。

・記入漏れ・記入誤りによる再提出の手間が少なくなります。

 

<注意する点>

手書きで記入する項目があります。

入力できる項目は、申請者が記入する欄のみです。

ただし、申請者が記入する欄のうち「被保険者の氏名欄」、「被扶養者のマイナンバー欄」は手書きでの記入となります。

事業主が記入する欄、医療機関が記入する欄は、手書きで記入します。

また、各申請書に押印が必要な場合があります。

 

<ダウンロードの方法>

 

↓ここをクリックして協会けんぽのホームページを表示します。

http://www.kyoukaikenpo.or.jp/

 

左上のほうにある「申請書ダウンロード」の▼をクリックして、必要な書類を選択して「表示」をクリックします。

申請書様式のうち「入力用」と表示されているPDFデータをクリックしてダウンロードします。

 

2017.09.19.解決社労士

<よくある悪い例>

経営者側が「残業は月20時間までにしなさい」「残業禁止」などと言い放つだけなのは最悪のパターンです。

上司、同僚、部下の能力不足を一人で背負いこんで、毎月無理な長時間労働に追い込まれているスーパー社員は、過労死するか退職するかでしょう。

また、サービス残業が発生します。残業しても会社に申告しなければ、上司は黙認してしまうでしょう。あるいは、労働時間の管理がいい加減で、サービス残業に気付かないパターンもあります。サービス残業に耐えられなくなった社員は、退職後に会社に対して未払い賃金を請求します。一人がこれに成功すれば、みんなが同じことをします。

そして、仕事の持ち帰りも発生します。これによって顧客の個人情報や会社の機密が流出します。ありがちなのは、帰宅途中に過労で居眠りしてパソコンを盗まれるという事件です。マスコミに報道されると、会社は社会の信用を失います。

そもそも、安易な残業削減・残業禁止で会社が躍進したという実例はあるのでしょうか?

 

<残業削減目標の設定>

残業の削減を思いついたら、社員一人ひとりの能力と業務内容を具体的に確認して、無理のない目標を設定しなければ失敗します。

これができるのは、適正な社員教育、人事考課、給与・賞与など処遇への反映が正しくできている会社だけです。

 

<繁閑の差の縮小>

忙しい時間帯や繁忙期というのは、部署により個人により時間的なズレがあります。

その人でなければ、その部署のメンバーでなければできない仕事ばかりではありません。

少しでも手の空いている上司や他部署のメンバーが、忙しいところの応援に入れば良いのです。

これができるのは、社員の長期入院や退職者が出た時にあたふたしない会社だけです。

 

<臨時の異動>

多店舗展開の飲食店では、ある店のシフトに穴が開きそうなときに、他店からパート店員やアルバイト店員を借りてくるということが行われます。

人手の足りない部署に、足りている部署から人員を一時的に貸し出すわけです。

これをするためには、労働条件通知書などでどの範囲のお店までの応援がありうるのか、臨時の転勤もありうるのかなど、明確にしておくことが必要です。

 

<多機能化による対応>

ひとり一人の社員が、営業も、販売も、経理も、採用もできるというように多機能化されていれば、忙しいところに応援に入るのは容易です。

多機能化のためには、特別な研修を行ったり、他部署にイベント的に応援に行ったり、ジョブローテーションやキャリアパスを踏まえた計画的人事異動を行ったりの方法があります。

 

<正しい残業削減>

上手に目標を設定し、これを根拠と共に社員に提示する。社員の多機能化を進め、繁忙部署への応援を促進する。そして、応援に入れる社員は、入れない社員よりも一段高く評価して、それにふさわしい処遇とする。

このように残業削減には大変手間がかかります。

しかし少しでも改善を進めれば、生産性が向上し、強い会社、魅力的な会社へと成長していきます。

具体的なことは、信頼できる国家資格の社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2017.09.18.解決社労士

<パワハラの公式定義>

法令にはパワハラの定義がありません。

「職場でつらい思いしていませんか?(職場のハラスメントの解決を労働局がお手伝いします)」というパンフレットには、パワハラが次のように説明されています。

 

パワーハラスメント(パワハラ)とは … 同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えられたり、職場環境を悪化させられる行為をいいます。

 

パワハラの被害を受けたと感じた人が「客観的に見てパワハラといえる事実があった」と会社に報告しても、それは被害者の考えているパワハラの定義にあてはまる行為にすぎないということになります。

もしその行為が、加害者のパワハラ定義にも、報告を受けた人のパワハラ定義もあてはまるのであれば、確かにパワハラがあったものとして対応してもらえるでしょう。

しかし、これでは対応してもらえる範囲が狭すぎます。

 

<パワハラの社内定義>

就業規則に、その職場独自の具体的な定義が規定されていて、従業員に周知されていれば、被害者はその定義に当てはまる具体的な行為があったことを主張すれば良いのです。あとは事実の存否のみが問題となります。

反対に、社内にパワハラの定義がなければ、何がパワハラに当たるのかは不明確ですから、どのような行為が問題なのかは分かりません。

こうした職場では、必ずパワハラがあるでしょうし、あれば野放しにされがちです。

こうした環境では、採用難だというのに退職者が出やすくなっています。

 

<パワハラの性質>

パワハラは業務上必要な指導・激励・叱責と一体的に行われます。ここがパワハラの厄介なところです。

この点、業務には全く必要のないセクハラとは明確な違いがあります。

ですから、パワハラの理解が浅い人にパワハラ被害を訴えても、「それはお前がちゃんとしないからだ。反省して頑張りなさい」などと言い返されてしまいます。

 

<パワハラ被害の上手な報告>

以上のことを踏まえ、パワハラの定義がない会社で被害にあったなら、受けた行為のうち業務上必要のない行為に焦点を当てて、いつ、どこで、どのような状況で、どういう具体的事実があったのかを客観的に報告しましょう。

決して感情的になってはいけません。感想や気持ちは、たずねられたら答えるようにした方が説得力が増すものです。

内容をメモにまとめて、そのメモを見ながら報告することをお勧めします。

 

2017.09.17.解決社労士

<引上げの終了>

厚生年金の保険料率は、年金制度改正に基づき平成16年から段階的に引き上げられてきましたが、今年9月を最後に引上げが終了し18.3%で固定されることになります。

9月に最後の引上げが行われるということは、保険料が後払いであることから、10月納付分をもって引上げが終了するということです。

 

<これまでの引上げ>

平成16年の年金制度改正で、急速に進行する少子高齢化を見据え、将来にわたり年金制度を持続的で安心できるものとするため、給付と現役世代の負担の両 面にわたる見直しが実施され、上限を決めた上での保険料の引上げや、マクロ経済スライドによって年金の給付水準を自動的に調整する新たな年金財政の仕組みが構築されました。

この仕組みに基づき、厚生年金保険料率は平成16年10月の13.934%から毎年 0.354%ずつ引き上げられてきました。

 

<引上げ終了の影響>

厚生年金保険料率の引上げが終了したことで、基礎年金国庫負担の3分の1から2分の1への引上げと合わせて、収入確保の仕組みは完成しました。

今後は、この「決められた収入の範囲で、年金の給付水準をいかに確保していくか」ということが課題となります。

年金の給付水準については、平成26年に公表された「平成26年財政検証結果」で、「日本経済が再生し、女性や高齢者の方の労働参加が進めば、将来にわたって、年金の給付水準を表す指標である所得代替率は50%を上回る」ということ が確認されています。

つまり、女性や高齢者の活用は、単に女性の地位向上を狙った政策なのではなく、年金の給付水準を維持するためにも必要な政策なのです。

 

<国民年金の保険料>

国民年金保険料は、平成16年度の価格水準を基準として引上げが行われており、今年4月に引上げが終了しています。

具体的な保険料は、平成16年度の価格水準で月額16,900円とされ、名目賃金の変動に応じて毎年度改定されることになっています。(平成29年度の保険料額は月額16,490円)

なお、次世代育成支援のため産前産後期間の保険料免除制度が施行されたことに伴い、平成31年4月から国民年金第1号被保険者(自営業の方など)に対して、平成16年度の価格水準で保険料が月額 100円引き上がります。

 

2017.09.16.解決社労士

<受給資格期間の短縮>

年金機能強化法の改正により、年金受給資格期間が25年から10年に短縮されました(平成29年8月)。

受給資格期間というのは、原則65歳から老齢基礎年金を受給するための条件となる期間で、次の3つの期間の合計です。

A.厚生年金保険や国民年金の保険料を納付した期間

B.国民年金の保険料の納付を免除された期間

C.合算対象期間(カラ期間)

 

<C.合算対象期間(カラ期間)>

上の3つのうち、A.とB.は原則として年金事務所で確認できます。

しかし、C.は一人ひとりが個人的に把握している事実ですから、年金事務所で確認できることはほとんどありません。

ですから、カラ期間は自分で確認するしかないのですが、主なものだけでも次のようにたくさんありますから、すべてを確認するのは大変です。

それでも、「本当に自分は老齢年金をもらえないのか」を知るには、A.とB.の期間が両方ともゼロでない限り、可能性は残されていますので確認するしかありません。

 

●主な合算対象期間(※は20歳以上60歳未満の期間に限ります。)

 

【昭和61年4月1日以降の期間】

1.日本人であって海外に居住していた期間のうち国民年金に任意加入しなかった期間

2.平成3年3月までの学生(夜間制、通信制を除き、年金法上に規定された各種学校を含む)であって国民年金に任意加入しなかった期間

3.第2号被保険者としての被保険者期間のうち20歳未満の期間又は60歳以上の期間

4.国民年金に任意加入したが保険料が未納となっている期間

5.昭和36年5月1日以降に日本国籍を取得した方又は永住許可を受けた方の、海外在住期間のうち、取得又は許可前の期間

 

【昭和36年4月1日から昭和61年3月31日までの期間】

1.厚生年金保険、船員保険及び共済組合の加入者の配偶者で国民年金に任意加入しなかった期間

2.被用者年金制度等から支給される老齢(退職)年金受給権者とその配偶者、老齢(退職)年金の受給資格期間を満たした人とその配偶者、障害年金受給権者とその配偶者、遺族年金受給権者で国民年金に任意加入しなかった期間

3.学生(夜間制、通信制、各種学校を除く)であって国民年金に任意加入しなかった期間

4.昭和36年4月以降の国会議員であった期間(昭和55年4月以降は国民年金に任意加入しなかった期間)

5.昭和37年12月以降の地方議員であった期間で、国民年金に任意加入しなかった期間

6.昭和36年5月1日以降に日本国籍を取得した方又は永住許可を受けた方の、外国籍であるために国民年金の加入が除外されていた昭和56年12月までの在日期間

7.昭和36年5月1日以降に日本国籍を取得した方又は永住許可を受けた方の、海外在住期間のうち、取得又は許可前の期間

8.日本人であって海外に居住していた期間

9.厚生年金保険・船員保険の脱退手当金を受けた期間(昭和61年4月から65歳に達する日の前月までの間に保険料納付済期間(免除期間を含む)がある人に限る)

10.国民年金の任意脱退の承認を受けて、国民年金の被保険者にならなかった期間

11.厚生年金保険、船員保険の被保険者及び共済組合の組合員期間のうち、20歳未満の期間又は60歳以上の期間

12.国民年金に任意加入したが保険料が未納となっている期間

 

【昭和36年3月31日以前の期間】

1.厚生年金保険・船員保険の被保険者期間(昭和36年4月以降に公的年金加入期間がある場合に限る)

2.共済組合の組合員期間(昭和36年4月以降に引き続いている場合に限る)

 

<C.合算対象期間(カラ期間)が長い場合>

10年短縮年金がもらえるかもしれないと思い、カラ期間を確認してみたら、年金受給資格期間が10年どころか25年を超えてしまったという場合もあります。

10年短縮年金であれば、平成29年9月分を10月に受給し始めます。ところが、受給資格期間が長くて通常の老齢年金を受給する権利が判明すると、時効で権利が消滅した分を除き過去の年金もさかのぼって受給できます。

しかも、25年というのは原則で、様々な短縮特例もありますから、カラ期間は思いつく限りかき集めて計算することをお勧めします。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

カラ期間の一覧表を見ても、確かにわかりにくいと思います。また、カラ期間が判明した場合には、年金の受給手続きで証明資料が必要になります。

具体的なことは、お近くの年金事務所か信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.09.15.解決社労士

<就業規則の軽視>

就業規則が作成されたとき、あるいは変更されたとき、それを全従業員が見られるようにしておいたのに、誰も関心を示さず読まれないということがあります。

社労士(社会保険労務士)に就業規則の作成・変更を委託したのなら、併せて説明会の開催も任せればこうした事態は生じないのですが、通常は別料金なので省略されることもあります。

 

<食い違い判明時の対応>

就業規則ができた時点で、従業員から社内の実態と違う部分があることを指摘されることもあります。この場合には、会社は従業員の意見を参考にしつつ、変更を検討すべきでしょう。

就業規則を実態に合わせて改定するか、実態を改めて就業規則に合わせるか、あるいは別のやり方を決めて就業規則に反映させるかということになります。

 

<食い違いが継続した場合>

たとえば、所定労働時間が8時間であるものとして、全従業員がそのように勤務していたとします。この場合には、8時間労働が社内の共通認識であり慣行となっています。

雇い入れ通知書にも、所定労働時間は8時間と記載されているでしょうし、給与計算でも8時間労働が前提となっています。

ところが、退職予定者がふと就業規則を見たところ、所定労働時間は7時間と規定されていたらどうでしょう。

 

<就業規則の効力>

就業規則で定める基準に達しない労働条件は無効となり、就業規則で定める基準が適用されるという規定があります。〔労働契約法12条〕

労働条件のうち所定労働時間は、短い方が労働者に有利ですから、雇い入れ通知書や労働契約書に8時間労働と書かれていても、就業規則の7時間労働の方が有効になります。

これは、8時間労働が長年の慣行となり、全従業員の共通認識となっていたとしても結論は変わりません。

 

<誤りが明らかな場合>

よくよく調べてみたら、就業規則が最初から間違っていた、あるいは昔変更したときに誤って7時間労働にしてしまっていたことが判明したとします。

この場合、月給制であれば1日あたり1時間分の賃金の支払い漏れがあったことになり、従業員から会社に対して未払い賃金の請求をすることができます。

会社は誤った就業規則を周知し、従業員はその就業規則をきちんと読んで誤りを指摘しなかったのですから、責任は半々のような気もしますが、裁判などでは会社が全責任を負うと判断されています。〔「甲商事事件」東京地裁平成27年2月18日判決〕

就業規則を作成・変更する会社側に責任があると認定されるわけです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

就業規則の規定と実態との食い違いを放置しておくことは、それが法令違反ではなくても、会社に大きな損害をもたらす原因となりえます。

就業規則のことは、信頼できる国家資格の社労士にご相談ください。

 

2017.09.14.解決社労士

<会計検査院の存在根拠>

会計検査院については、日本国憲法に次の規定があります。

 

第九十条 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。

2 会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。

 

憲法に規定された組織ですから、国家レベルで重要な組織であることは明らかです。

 

<会計検査院の役割>

そして、会計検査院の組織及び権限は、憲法の規定に従い会計検査院法に定められています。

しかし、会計検査院法の条文を読んでも、その役割は簡単に理解できるものではありません。

むしろ、会計検査院のホームページの最初に記載されている次の説明がわかりやすいと思います。

 

会計検査院は、国の収入支出の決算、政府関係機関・独立行政法人等の会計、国が補助金等の財政援助を与えているものの会計などの検査を行う憲法上の独立した機関です。

 

結局、国に入るべきお金がきちんと入っていること国から出て行くべきではないお金が出て行っていないこと、この2つをチェックしているわけです。

国の財源は税金が中心です。国のお金が不足すれば、増税されることになります。国に入るべきお金がきちんと入らないと、増税に結びつくわけですから、我々国民も企業も大いに迷惑します。

また、国から出て行くべきではないお金が出て行ってしまっても、国のお金が不足することになり、やはり増税に結びつきます。

会計検査院は、こうしたことが起こらないように、国のお金の流れをチェックしているのです。

 

<国に入るべきお金がきちんと入っているかの調査>

たとえば、所轄の労働基準監督と会計検査院が一緒に企業の調査に入ることがあります。

企業が正しく労災保険や雇用保険の対象者を確定し、正しく保険料を納めていないと、国に入るべきお金がきちんと入らない恐れがあります。そこで、労災保険と雇用保険の保険料を納める手続きである労働保険年度更新が正しく行われている必要があります。

ここで、年度更新の手続きを管理しているのは基本的に所轄の労働基準監督署ですから、労働基準監督署が年度更新の内容を再確認するのを会計検査院がチェックするという二段構えになります。

こうした場合、当然ですが一番緊張するのは労働基準監督署の職員の方々です。

またたとえば、所轄の年金事務所と会計検査院が一緒に企業の調査に入る場合もあります。この場合には、社会保険の加入対象者や加入時期が正しいことや、保険料の計算が正しいことについて、定時決定(算定基礎届)の内容などについて再確認が行われます。

 

<国から出て行くべきではないお金が出て行っていないかの調査>

たとえば、所轄のハローワークと会計検査院が一緒に企業の調査に入る場合があります。

就職した後も失業手当(求職者給付の基本手当)を受給している人がいないか、関連企業への転職なのに再就職手当を受給していないかなど、給付すべきではないお金が支給されていないかをハローワークが再確認し、それを会計検査院がチェックするのです。

ここでも、一番緊張するのはハローワークの職員の方々です。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社労士は会計検査院の調査や労働基準監督署の監督に立会うことも、国家資格者としての立場で業務として行っています。

もちろん立会いだけでなく、その後の報告書の作成・提出のフォローや代行も行っています。

きちんと対応しておくと、お世話になっている労働基準監督署、ハローワーク、年金事務所の皆さんに感謝されるわけですから、メリットは大きいと思います。

調査が入るとわかったら、あるいは抜き打ちの調査を受けたら、信頼できる国家資格の社労士にご相談ください。

 

2017.09.13.解決社労士

<求人広告と実際の労働条件との関係>

求人広告は、あくまでも広告に過ぎません。これに応募したからといって、必ず採用されるわけではありません。

また、求人広告に「月給20万円~25万円」などと書いてあって、具体的な金額は採用面接の中で決まるという場合もあります。

さらに、事務職で応募したところ、「他の応募者で採用枠が埋まってしまったけれど、営業職に欠員が1名出たのでいかがでしょうか」と打診されて、これに応じるというのは普通に行われていることです。

このように、求人広告と実際の労働条件とが異なる場合に、採用側が新たな労働条件を明示していれば問題ないのです。そして、職業安定法5条の3第3項も、平成30年1月1日付で、この内容を盛り込む形に改正されます。

 

<説明が不十分なケース>

採用面接の中で、たとえば上記のように「他の応募者で採用枠が埋まってしまったけれど、営業職に欠員が1名出たのでいかがでしょうか」と打診された応募者が、過度の緊張のあまり内容をよく理解しないまま「はい」と生返事してしまうことがあります。

この場合でも、採用側が新たな労働条件を書面で明示していて、応募者が後からその書面を確認していれば問題ないのです。

しかし面接者が「あれだけ具体的に説明したし、理解してもらえただろう」と満足して、説明の内容を書面で交付しないのは危険です。

 

<問題のあるケース>

採用が決まって労働契約を締結する際の労働条件明示義務については、30万円以下の罰金が定められています。〔労働基準法120条〕

労働契約の締結は口頭でもできますが、雇い主は労働者に対して、労働条件を書面で明示する義務を負っているのです。

ところがブラック企業では、最初の給与支払額を見て不審に思った労働者が会社に確認すると「あなたの場合には能力不足だから給与は半分しか支払えない」などの回答が返ってくるケースがあります。

また、求人広告では正社員募集だったのに、後から契約期間6か月の契約社員だと言われたりもします。

これらは、入社にあたって労働条件の明示が無い点で問題があります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

特にブラック企業というわけではないのに、入社にあたって「労働条件通知書」などを交付しない会社もあります。

経営者が労働基準法の規定を知らないだけのこともあります。また、労働条件の決め方に迷っている場合もあります。

しかし、新人から「実際の労働条件が求人広告と違う」という話が出るのは大いに問題です。

つまらないことで罰則を適用されたり、会社の評判が落ちたりしないように、労働条件の決め方、変え方、通知の仕方については、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.09.12.解決社労士

<問題社員の知識レベル>

問題社員というのは「良いことの原因は自分、悪いことの原因は他人」と思い込み、義務は果たさず権利を濫用して退職後に会社を訴えるような社員です。

こうした問題社員は、労働法関連の知識が豊富であるかのように見せることが多いものです。ところが実際には、正しい知識が少なくて、体系的な理解が不足しているようです。

その原因としては、法律関係の知識を吸収する際に、自分に都合よく独自の解釈を加えてしまうこと、コツコツと地道な努力を重ねるのは嫌いなので専門書を通読しないことなどが考えられます。

 

<問題社員から要求があったとき>

問題社員から会社に対して、脅しとも取れるような強烈な要求が出されることもあります。

この要求の中には、正しいこと、誤ったこと、単なる勘違いが含まれ、区別の難しい形で一体化しています。

立場上こうした要求に耳を傾ける人は、事実と主張とを明確に区分して聞き取らなければなりません。

そして、事実については、なるべく具体的に話の内容を明らかにすることと、どのようにしてその事実を認定したのかも聞いておく必要があります。

一方、主張についても具体的な内容を明らかにすることが必要ですが、それ以上に、会社にどうして欲しいのかを明確にしなければなりません。

こうして聞き取りをした人は、その場で結論を出してはいけません。少なくとも、聞き取った事実が真実かどうかの確認はしなければならないのですから、安易に結論を出せないのです。

 

<社労士(社会保険労務士)へのご連絡のタイミング>

問題社員から「話がある」と言われ、それが会社に対する何らかの要求であると判明した場合、話を聞くのは上司や人事部門の責任者の業務であっても、話をするのは問題社員の業務ではありません。

ですから、後日改めて話を聞くことにして日時を指定することもできます。そして、対応方法について社労士と協議するのがベストです。

このタイミングを逃しても、正しく聞き取りができていれば、その後の対応について協議ができます。

事実の真否を確認するのは社内のメンバーで行い、主張の正当性の確認は労働法令の専門家である社労士が行うというように役割を分担することもできます。

もしこのタイミングを外して、会社なりの対応をした結果、問題社員がその対応を不満に思い、労働審判に持ち込んだような場合には、弁護士の先生がメインとなって対応する局面に進んだと判断されます。

もし、まだ法的手段に出ていないような場合なら、会社が主体となって労働局の斡旋(あっせん)を利用することもできます。この場合、特定社労士に委任することが可能です。

 

<問題社員への指導>

勤務態度や他の社員への干渉について、上司などから問題社員に指導をする場合があります。

ここで注意しなければならないのは、注意指導の根拠を明らかにしたうえで行うということです。なんとなく、常識的に、ビジネスマナーとしてというのでは、強い抵抗を受けてしまいます。

根拠としては、就業規則、労働契約、法令、社内ルールとなりますが、文書化されていないものは根拠として弱すぎます。この点、就業規則が無かったり、労働条件通知書の交付を怠っているような会社で、問題社員を採用してしまったり、発生させてしまったりした場合には大きなリスクを抱えることになります。

現時点で会社に存在する就業規則や労働契約で対応しきれないと感じた場合にも、信頼できる国家資格の社労士(社会保険労務士)にご相談ください。本当に対応できないかを確認し対応方法をご提案いたします。

 

2017.09.11.解決社労士

<有効求人倍率の推移>

厚生労働省によると、有効求人倍率は平成21年度に0.5弱で底入れし、平成28年度から平成29年度は1.3から1.5で推移しています。

有効求人倍率というのは、ハローワークに登録されている求職者に対する求人数の割合のことをいいます。「有効」が付いているのは、求人・求職の申し込みに有効期限があって、有効期限内のもの全体で計算しているからです。

計算式で示すと次のようになります。

 

「企業が働いて欲しい人数」÷「働きたいと思って仕事を探している人数」

 

数字が大きいほど「なかなか採用できない」ということで企業側が困ります。

数字が小さいほど「なかなか就職できない」ということで労働者側が困ります。

平成21年度には、採用されることが困難であり就職難でした。

今では、採用することが困難で採用難です

 

<就職困難期の権利主張>

会社から労働者の権利を侵害されて不満を持ったとしても、多少のことであれば労働者は我慢します。なぜなら、不満を示すことによって、会社から悪く思われ労働条件を下げられたら困るからです。なにしろ、転職は困難ですから今の会社に残るしかないからです。

そして、もし解雇を宣告されたら、不当解雇であり解雇は無効であると主張します。社員としての権利を有する地位にあることの確認を求めて、斡旋(あっせん)や労働審判そして労働訴訟を利用するのです。

つまり、会社に残ることを前提に権利の主張をします。これはある意味、愛社精神の現われでもあります。

 

<採用困難期の権利主張>

会社から労働者の権利を侵害されて不満を持てば、会社にぶつけることが当たり前になってきます。なぜなら、会社から反撃されて嫌な思いをしたら辞めればいいのですから。

そして、もし解雇を宣告されたら不当解雇を主張しますが、慰謝料を含めた損害賠償を請求し、職場に戻ることにはこだわりません。あくまでも金銭解決です。

さらに、採用困難期には就職困難期とは異質の労働紛争が発生します。

まず、入社と退職が盛んになりますから、形成された人間関係が簡単に崩壊し、どこかの時点で好ましくない人間関係となって、パワハラやセクハラなどのハラスメントが発生しやすくなります。この人間関係が原因となって、一層、退職者が出やすくなります。

つぎに、転職が容易なため転職に伴うトラブルが増えます。退職者が顧客情報を持ち逃げしたり、ライバル会社に転職したりが発生します。企業機密や個人情報の管理の強化とともに、社員教育やこうした不都合を発生させない仕組みづくりが必要です。

そして、最近急増しているのが、会社を辞めたいのに辞めさせてもらえないという労働相談です。会社側から見ると、強引な引き留めが労働者の権利侵害となり労働紛争になってしまうということです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

このように、現在の採用困難期では労働者が会社を辞める前提で権利を主張し争ってきます。つい数年前の就職困難期には、労働者が会社に戻りたくて争っていたので、同じ争うのでも手加減が感じられました。しかし今は、退職者が会社と争うときには手加減がありません。

こうした労働市場環境で、トラブルが発生したらあわてて弁護士の先生に依頼するというのはどうでしょう。労働紛争がこじれたら会社が失うのは金銭ばかりではありません。

トラブルの小さな火種を発見し未然に防ぐには、信頼できる国家資格の顧問社労士を置いておくのが得策だと思います。

 

2017.09.10.解決社労士

<問題社員とは>

「良いことの原因は自分、悪いことの原因は他人」と思い込み、義務は果たさず権利を濫用して退職後に会社を訴えるような社員です。

 

<問題社員の結果の結果>

こういう社員が上手く立ち回って会社から金銭的な利益を得ると、次から次へと真似をする社員が出てきます。

会社から得る金銭的な利益は、賃上げ、未払い残業代、年次有給休暇の買い上げ、退職金の上乗せ、慰謝料、解決金、和解金、口止め料など多岐にわたります。正当な権利の行使を超えて、恐喝まがい詐欺まがいなものも出てきます。

そして、会社の中の小さな不平等や小さな不公平が原因で、問題社員の真似をしたくなる社員は多いのです。

真面目に働いている社員は、会社から不当な利益を得ようとはしないでしょう。ただ、真面目に働いているのがばかばかしくなります。問題社員が会社の悪い所を徹底的に指摘するので、会社の魅力も低下します。辞めたくなったり、意欲が低下したりは仕方のないことです。

ここまでくると、お客様にも、お取引先にも、近隣にも、金融機関にも評判は良くないはずです。会社の経営は上手くいくはずがありません。

 

<問題社員の原因の原因>

以前いなかった問題社員が入社してくるのは、思ったような応募者が少なくて、究極の選択によって、少し問題を感じる人でも妥協して採用してしまうからです。

こうした採用難の原因は少子高齢化なのですが、一企業が少子高齢化を解消することはできませんので、良い応募者を増やす知恵を絞りたいところです。

まず、仕事の内容を中学生にもわかるように具体的に示すことです。

つぎに、会社や商品・サービスの魅力、仕事のやりがい、交通の便、近隣の環境、社長のキャラクター、長く働いている人の感想やチョッとしたエピソードなど、求職者が応募したくなるメリットを明らかにします。

反対にデメリットも明かします。なぜなら、良いことばかりを並べると信用されないからです。あえて会社の悪い面を少し加えることで、求人に対する信頼がグッと高まるのです。

それでもこうしたアピール情報を公開できないとしたら、それは会社や仕事に魅力が無いからです。上手いこと良い人をひっかけようとするのではなくて、正面から魅力ある会社に変えていく必要があります。

最低でも、労働基準法など労働関係法令に対する違反は解消しないと、ブラック企業のレッテルを貼られる恐れがあります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

採用難の中、即戦力にできる人材を確保するための採用も、万一問題社員を抱えてしまった場合の対応も、信頼できる国家資格の社労士にご相談ください。

 

2017.09.09.解決社労士

<厚生労働省の概算要求>

平成30年度厚生労働省所管予算概算要求関係の資料が発表されました。その中で、働き方改革に関連する戦略的な重点要求(ポイント)は、次のように示されています。

 

同一労働同一賃金など非正規雇用の処遇改善

 ・「同一労働同一賃金導入マニュアル」の作成・周知啓発

 ・ キャリアアップ助成金の新たな加算の仕組み創設

 

長時間労働の是正や柔軟な働き方がしやすい環境整備

 ・ 労働時間の縮減等に積極的な企業等への助成金の拡充

 ・ 医療従事者・トラック運転者・建設業従事者など、業種ごとの取組の支援

 ・ 雇用型・自営型テレワークの就業環境の整備

 ・ 副業・兼業の普及推進

 

生産性向上、賃金引上げのための支援

 ・ 介護や生活衛生の分野における生産性向上のためのガイドライン作成

 ・ 保育・介護事業所におけるICT化の推進や介護ロボットの活用促進

 ・ 生産性向上に資する設備投資への助成など雇用管理改善に対する支援

 

女性・若者の活躍の推進

 ・ 子育て等により離職した正社員女性等の復職の支援

 ・ 男性の育児休業の取得促進

 

人材投資の強化、人材確保対策の推進

 ・ 雇用管理改善に対する助成

 ・ 介護未経験者への入門的研修

 

治療と仕事の両立、障害者・高齢者等の就労支援

 ・ 両立支援コーディネーターの育成・配置の推進

 ・ ハローワークへの専門職員の配置などによる精神障害や発達障害などの支援

 ・ 継続雇用等を行う企業への助成の拡大

 

<働き方改革の特色>

働き方改革は、20168月に安倍政権が閣議決定した経済対策です。働き方の抜本的な改革を行い、企業文化や社会風土をも含めて変えようとするものです。

労働基準法などが、立法権(国会)により制定・改正されて、企業と労働者との間に介入するのとは違い、行政権(内閣)が企業に働きかけ、やがては社会風土をも変革しようとするものです。

それでも、働き方改革が働く人の視点に立ち、企業文化、ライフスタイル、働き方を変革させようとするものである点では、労働基準法などと同じ視点に立っているといえます。

 

<注意したい業種>

「長時間労働の是正や柔軟な働き方がしやすい環境整備」という項目の中に、医療従事者、トラック運転者、建設業従事者が具体的に示されています。

ここの部分は、労働者である医療従事者、トラック運転者、建設業従事者を救うため、行政が介入する意図を示していると考えられます。

 

<医療従事者の労働条件の改善>

医療従事者、特に医師は高給取りであることが多く、残業代など必要ないと勘違いされ、また、人の命を預かる仕事なので、長時間労働もやむを得ないという風潮があります。

たしかに、病院や医師と患者との関係は、患者のためにベストを尽くす委任契約でしょう。しかし、病院と医師との関係は雇用契約です。労働基準法も労働安全衛生法も、その他の労働法も適用されます。

最近になって、若手医師やインターンなどから、病院に対して残業代を請求する訴訟が提起され、最高裁で病院側敗訴の判決が出るようになって注目を集めています。

病院側が医師を労働者として扱わず、労働基準法違反を続けていたのですが、これを不服に思った医師が訴えたら、病院側が敗訴したので全国の病院が驚いたというわけです。

特定の業界や業種の中で、法令違反の慣行が続いていたところ、誰かが訴えを起こして、その慣行が間違いであることが公にされてしまうと、急いで是正しないと経営が危険にさらされてしまいます。

 

<トラック運転者、建設業従事者の労働条件の改善>

トラック運転者や建設業従事者は、1回現場に出ていくらの賃金という扱いをされることが多いのです。会社とこれらの労働者との間に請負契約があるかのように扱われています。しかし、会社の指定した時間に現場に行き、会社の指示に従って働いているのですから雇用契約です。もちろん、労働基準法の適用がありますから、残業手当も、年次有給休暇もあります。

最近になって、過労死の問題が多発したこともきっかけとなり、これらの業界の従事者が自分たちの権利を強く認識するようになりました。退職後に会社に対して多額の未払い残業代を請求することも珍しくなくなりました。一人が上手くいくと、仲間も真似をするというパターンで、会社の経営が危機にさらされることもあります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

近々病院、運送業、建設業に行政のメスが入るのは、厚生労働省の予算関連の情報を見ても明らかです。

働き手の皆さんから一斉に権利を主張される前に、あるべき姿を整えてしまうのが、経営者側にとって大切だと思います。

具体的なことは、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.09.08.解決社労士

<親の口座への振り込み>

アルバイトの親から「バイト代を私の口座に振り込んで欲しい」というご要望があっても、会社は応じることができません。

アルバイト本人から「バイト代が自分の口座に入ると遊びに使ってしまう。将来のために貯金したいので、親の口座に振り込んで欲しい」と言われたら、これには応じたくなるでしょうか。

しかし、本人からの話であっても、親から言わされているだけかもしれません。現実に子どもを食い物にする親はいるのです。

 

<賃金直接払いの原則>

労働基準法に次の規定があります。

 

(賃金の支払)

第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。(以下略)

 

つまり、親子だろうと夫婦だろうと、労働者本人に代わって賃金を受け取らせてはいけないというルールがあるのです。

社員夫婦が会社に現れて、「夫に給料が振り込まれるとすぐにギャンブルで使ってしまうので、妻の口座に振り込んで欲しい」という連名の要望書を提出しようとも、会社は応じることができません。

アルバイトが自分名義の口座を持っていないのなら、現金で支払うか新たに口座を開設してもらうか、いずれにせよ直接本人に支払わなければなりません。

 

<国税滞納処分なら>

賃金直接払いの原則にも例外はあります。

たとえば、労働者が国の税金を滞納し国税徴収法による国税滞納処分を受けた場合や民事執行法に基づく差押えがされた場合には、賃金の一部を国や債権者に支払うということがあります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

労働者の便宜を図っているつもりが、法令違反ということがあります。特に労働関係法令は、労働者保護の要請という原則が強く反映されていますので注意が必要です。

会社が足元をすくわれないように、労働条件審査あるいは簡易な経営労務チェックを受けることをお勧めします。詳しくは、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2017.09.07.解決社労士

<就業規則を作るきっかけ>

会社を設立し、いつか従業員を雇い入れる予定があるのなら、すぐに就業規則を作るようお勧めします。一人でも適用対象者がいるのであれば、不利益変更という厄介な問題が出てきますが、誰も適用対象者がいないのであれば変更は自由です。思い立った時に変更をかけていけば、会社にぴったりの就業規則が完成してから従業員を雇い入れるという理想的な形になります。

 

<ありがちな先送り>

労働基準法には、次の規定があります。

 

(作成及び届出の義務)

第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

一  始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項

二  賃金(臨時の賃金等を除く。以下この号において同じ。)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

三  退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

三の二 退職手当の定めをする場合においては、適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

四  臨時の賃金等(退職手当を除く。)及び最低賃金額の定めをする場合においては、これに関する事項

五  労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項

六  安全及び衛生に関する定めをする場合においては、これに関する事項

七  職業訓練に関する定めをする場合においては、これに関する事項

八 災害補償及び業務外の傷病扶助に関する定めをする場合においては、これに関する事項

九 表彰及び制裁の定めをする場合においては、その種類及び程度に関する事項

十 前各号に掲げるもののほか、当該事業場の労働者のすべてに適用される定めをする場合においては、これに関する事項

 

一目見て就業規則作りをあきらめたくなるような規定です。しかも、最初の方に「十人以上の労働者を使用する使用者」と書いてありますから、「まだいいや」と先送りしてしまうのが人情です。

 

<現実的な就業規則の作成時期>

私は、なるべく早く就業規則作りに取りかかることを強くお勧めしています。

ところが実際には、「そろそろ従業員の人数が二ケタになりそう」「労働基準監督署の監督が入って勧告を受けた」というタイミングで、就業規則の作成を依頼してくるお客様が多いのです。

こうした場合でも、形ばかりの就業規則を作成して労働基準監督署長に届け出るのは、「百害あって一利なし」と言えます。

・従業員が就業規則を守らない。そもそも理解していない。

・経営理念や経営方針が従業員に伝わらない。そもそも就業規則に無い。

・従業員から就業規則について質問されると経営者はお手上げ。

・退職者が就業規則に基づき会社に対して多額の金銭を要求してくる。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社労士は、就業規則のプロフェッショナルですから、会社の実情に合った、経営者の思いを反映した就業規則を作成します。紛争の火種になるような規定は置きません。

「労働基準監督署の監督が入って勧告を受けた」というのであれば、自ら所轄の労働基準監督署に足を運び、作成や届出の計画を説明してきます。

従業員に対する説明会も実施しますし、運用のフォローもします。法改正などにより、就業規則改定の必要が発生すれば、その都度ご案内いたします。

就業規則の作成や変更については、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.09.06.解決社労士

<営業手当の意味>

営業手当は、営業という業務を担当することにより他の業務には無い負担があるため、その負担に応じて支給される所定労働時間内の業務に対する手当です。

ですから、所定労働時間外の残業代の代わりにはなりません。また、営業手当に残業代を含めるということもできません。

 

<よくある言い訳>

会社が営業手当を残業代の代わりに支給する、あるいは残業代を含めて支給するときの言い訳としては、「営業社員は勤務時間を把握できないから」というのが多いでしょう。

しかし、これが本当なら営業社員はサボり放題です。なぜなら、会社は営業社員の勤務時間を把握しないのですし、営業手当を支給しているから把握しなくても良いと思って安心しているからです。きちんと勤務時間を把握し、営業成績を正しく評価し、個人ごとの生産性を人事考課に反映させて、給与や賞与にメリハリをつけなければサボりは防げません。

反対に、過重労働による過労死の危険もあります。営業成績の上がらない社員は、サボりどころか長時間労働に走ります。営業成績の良い社員がたくさん働いているとは限らないのです。万一、営業社員が過労死あるいは自殺したときに、過重労働ではなかったという証拠が無ければ、遺族から慰謝料など多額の損害賠償を請求された場合に反論のしようがありません。

 

<退職者から未払い残業代を請求されたら>

残業代は25%以上の割増賃金なのですが、そのベースとなる賃金には営業手当が含まれます。会社としては、残業代の代わりに営業手当を支給していたつもりでも、その営業手当を加えた賃金の25%以上割増で計算することになるのです。会社にとっては、まるで残業代が複利計算になっているような感じを受けます。

恐ろしいのは、会社側に勤務時間のデータが無いために、退職者の手帳の記録などが証拠となりうることです。退職者の記録が誤っていることを一つひとつ立証するのは、とても無理なことでしょう。

そして、退職者は過去2年分の残業代を請求することになります。労働基準法の規定する消滅時効期間が2年だからです。しかも、すでに民法の改正があったため、消滅時効期間は5年に延長されるかもしれません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

営業社員の誰かが退職して、過去の未払い残業代を請求してきたら、在籍している営業社員の全員が同じことを考えても不思議ではありません。

たしかに、残業代の代わりに営業手当を支給する制度を適法に行う方法もあります。しかし、これは導入も運用もむずかしいのです。詳しいことは、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.09.05.解決社労士

<労働条件の明示>

労働基準法には、次のように定められています。

 

(労働条件の明示)

第十五条  使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。

 

そして賞与については、支給するのであれば明示するというルールです。

厚生労働省の公開している労働条件通知書には次のように示されています。

 

賞与( 有(時期、金額等        ) , 無  )

 

これは「ひな形」ですから、「金額等」と書いてあっても、必ずしも「5万円」とか、「給与の2か月分」などと記入する必要はありません。ただし記入すれば、それが労働契約の内容となりますから守らなければなりません。

「会社の業績と個人の人事考課により決定される額」という記載でも良いわけです。

 

<給与の決定>

給与というのは、一定の期間先までの活躍ぶりを想定して決まるものです。決して過去の実績に応じて決まるものではありません。

そうでなければ、新規に採用した人の給与や、課長から部長に昇格した人、営業職から事務職に異動した人の給与は決まらないことになってしまいます。

会社によっては、過去の実績を評価して将来の給与を決めていることがあります。こうした会社では、過去の実績から将来の活躍を予測している建前になっています。しかし、人事異動には対応できていないわけです。

 

<納得できる賞与の決定>

賞与は、将来の活躍に期待して支給するものではありません。

過去の一定期間の会社の実績、部門実績、個人の会社に対する貢献度、目標の達成度などを評価して支給するものです。

中には、「基本給の2か月分」など計算方法が決まっている会社もあります。しかし、これでは頑張ってもサボっても支給金額に変化はありません。賞与の支給額だけを考えるなら頑張る気にはなりません。むしろ、頑張っただけ賞与が増える会社への転職を考えたくなります。こうした賞与を喜ぶのは、サボっていたい社員だけということになりかねません。

 

<給与と賞与との関係>

給与は将来の活躍を予測して支給します。この予測が外れることもあります。

良い方に外れたのであれば、それだけ高額の賞与を支給して調整できれば良いのです。反対に、悪い方に外れたのであれば、それだけ低い金額の賞与を支給して調整したいところです。

結局、賞与は適正な人事考課に基づき、給与の不足や払い過ぎを調整する役割を持つべきものです。

これを実現するのは、具体的で客観的な人事考課基準の運用です。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

小さな会社では、個人の実績を考慮せず一定の基準で賞与の額を決定するということも行われます。あるいは、支給しない会社も多数あります。

すると結果的に、賞与に見合った働きをしていない社員だけが残ることになります。

なぜなら、賞与以上の貢献をしている社員は、活躍に見合った賞与を支給する会社に転職するからです。

こうして働き以上の賞与をもらえる社員だけが残り、「いい人材が集まらない」という状態になるのは人事考課制度が無いからです。

会社の現状にふさわしい人事考課をお考えでしたら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.09.04.解決社労士

<給与の支払い時期>

民法の雇用の節に、報酬の支払い時期について次の規定があります。

 

(報酬の支払時期)

第六百二十四条 労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。

2 期間によって定めた報酬は、その期間を経過した後に、請求することができる。

 

つまり、給与は後払いが原則です。実際、新人を採用するなり給与を支払うというのはごく少数派でしょう。

時給制や日給月給制ならもちろん、月給制で欠勤控除がある場合には締めてみないと金額が確定しません。

また、そもそも給与は労働の対価ですから、雇い主としては働き振りを見てからでないと納得して支払えないのも事実です。

それでは、まず働いてもらって働きぶりを評価し、その評価に応じて給与を支払うということも許されるのでしょうか。

 

<労働条件の明示>

労働基準法には、次のように定められています。

 

(労働条件の明示)

第十五条  使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。

2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。

 

このように、まず給与を決めて労働者に示したうえで働いてもらうルールだということです。そして、示した給与と支払われる給与が違うなら、労働者はそれを理由に退職できます。

ここで、示した給与と支払われる給与が違うというのは、時間給や基本給などの単価が違っていたり、計算方法が違っていたりということです。

 

<納得のいく給与決定>

このような法的制約のもとで、労使共に納得のいく給与を決定するには、かなり詳細で客観的な人事考課基準が必要でしょう。

入社にあたっては、予測される働きぶりを人事考課基準に当てはめて給与を決定します。

その後は、一定の期間を区切ってその期間の働きぶりを参考に、次の一定の期間の予測される働きぶりを人事考課基準に当てはめて給与を決定します。

ここで注意したいのは、過去の働きぶりをそのまま給与に反映させるのではなく、将来の予測だということです。言い換えれば、社員に対する会社の期待です。

このように考えることで、転勤や昇格などの人事異動にも正しく対応できることになります。

また、働いてみてもらったら給与に見合った働きができなかったとしても、最初の約束をひっくり返して減給できるわけではないことも当然です。それは、働きぶりの予測の精度が低かったということになります。

もちろん、人事考課と給与の決定時期について、予め具体的な説明をしておいて、それを約束通りに運用するのであれば、合理的な仕組の運用である限り許されるわけです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

小さな会社では、ひとり一人の社員の生活に必要な金額を考えて、給与の額を決定するということも行われます。

すると結果的に、給与に見合った働きのできない社員だけが残ることになります。

なぜなら、給与以上の働きをする社員は、働きに見合った給与を支給する会社に転職するからです。

やはり給与は、社員の働きに応じて支給するのが大原則です。

働き以上の給与をもらえる社員だけが残り、「いい人材が集まらない」という感想を抱くのは、人事考課制度が無いからです。

会社の現状にふさわしい人事考課をお考えでしたら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.09.03.解決社労士

<労災の原因>

労災のほとんどは過失により発生し、労災を起こした本人がケガをしても、周囲の人たちからは「本人の不注意だから」と言われることが多いものです。

しかし、ここで話を終わらせず、さらに原因を追及する必要があります。これは本人の責任を明確にし、再発を防止するために不可欠なので手を抜けません。

まずは、会社の安全教育です。業務を行うにあたって予めわかっている危険ポイントごとに、事故を避けるための正しい動作や手順などについて、繰り返し定期的に教育が行われていたでしょうか。事故が発生したということは、教育不足が疑われます。

つぎに、事故防止のための表示です。「手袋着用」「高温注意」など、必要な表示が漏れなく整っていたでしょうか。

さらに、仕事による疲労の蓄積です。個人的な悩みや、プライベートでの疲労で注意力が低下していたのなら、本人の責任が重いといえます。しかし、残業続きの状態で労災が発生した場合には、不注意の責任を本人だけに押しつけるわけにはいきません。そうした勤務を許した会社の責任が問われます。

そして、本人の資質の問題があります。本人の不得意なこと、あるいは、そこまでの注意を期待できない業務を担当させていなかったでしょうか。適材適所ができていなければ、会社の責任も重くなります。

 

<懲戒処分による減給>

安全教育、表示、適材適所ができていて、過重労働が無かったのに事故が発生したのなら、懲戒処分を検討するのにも十分な理由があります。

しかし、この場合でも、懲戒処分により再発防止が期待できない場合には、懲戒処分の目的が果たされず、悪影響だけが残ってしまいます。

結局、上司や会社に対する恨みなどが原因で、故意に労災を発生させたような場合に限定されるのではないでしょうか。故意に事故を発生させたのであれは、減給処分では懲戒処分としては軽すぎるかもしれません。

 

<降格・降職に伴う給与の減額>

労災事故の発生をきっかけに、現在置かれている立場の業務を行うには能力が不足していると判明する場合があります。

この場合には、適正な人事考課により職位や役職を下げて、それに応じた給与にするということもあります。

これは、本人の身の安全を守るという観点からも、正当性の認められる場合が多いでしょう。

 

<職務の転換>

自動車事故を起こした従業員の職務から自動車の運転を外し別の業務を担当させることは、本人の身の安全を守る点では有効な手段です。

この場合には、職務の転換によって給与が下がると、非公式な制裁と見られてしまいます。あくまでも、本人の心からの同意に基づき行うことで、トラブルにならないよう心がけましょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

労災事故を発生させたから給与を下げるというのでは、社長の気が済むだけで会社としては何も解決しません。

こんなとき、労災をきっかけに会社の成長を考えるのであれば、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.09.02.解決社労士

<違法な就業規則の実在>

就業規則を作成した時には適法だったものの、法改正が繰り返されて違法だらけの就業規則になってしまうということはあります。

国際情勢、国内情勢、市場動向は変化していますし、政府が継続的に強化している少子高齢化対策に沿った法改正は、驚くほど頻繁に、そして大幅に進んでいますから、1年間放置した就業規則が適法性を保っていたら、運が良いと感じてしまいます。

 

<違法な就業規則の届出>

うっかり法令違反の就業規則を労働基準監督署長に届け出たとします。

何も指摘されないこともありますし、たまたま法令違反が見つかって指摘を受けることもあります。

違法な規定を含む就業規則であって、それが発見されたとしても「次回は直しておいてくださいね」ということで、そのまま受け付けてもらえるのが通常です。

このとき、きちんと控えを持って行けば、就業規則を届け出たことの証として、「受付」の印を押してもらえます。あくまでも「受付」であって、「受理」や「承認」ではないのです。提出したので受け付けましたというだけのことです。

 

<違法な規定の効力>

労働契約も契約の一種です。契約は、当事者が話し合って自由に内容を決めることができるという原則があります。契約自由の原則と言います。

ところが、労働契約の場合には、使用者の立場が強く労働者は弱者であるというふうに考えられています。実のところはケースバイケースですが、それでも労働関係法令は労働者が弱いという前提に立って法体系ができています。

このことから、本来は自由であるはずの労働契約に法律が介入し、労働者を保護するという役割を担っています。

就業規則は、その会社の労働者に共通な労働条件を定めています。就業規則には、いろいろ定められているのですが、労働者に共通な労働条件の規定は、必ず含まれているといえます。

そして、就業規則と個別の労働契約とを比べた場合に、違う部分があれば、労働者に有利な方が有効とされます。

さらに、その部分が法律より不利ならば、法律の規定が優先されます。

結局、就業規則と個別の労働契約と法令とを比べて、労働者に一番有利なものが有効になるのです。

 

<違法な規定は効力が無い>

このように、就業規則が法律に違反していたり、個別の労働契約よりも労働者に不利であったりすれば、その規定は無視されるわけです。

このことが判っているので、労働基準監督署では就業規則の届出を受け付ける時に、法律違反が無いかじっくりとチェックしなくても問題無いことになります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

このような事情から、「労働基準監督署に受け付けてもらったから安心」とはいえません。

知らないうちに、違法な就業規則を運用し適用しているというリスクがあるのです。

このようなリスクを回避するには、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.09.01.解決社労士

<労働時間の定義>

労働時間とは、「労働者が実際に労働に従事している時間だけでなく、労働者の行為が何らかの形で使用者の指揮命令下に置かれているものと評価される時間」と定義されます。

これは、会社ごとに就業規則で決まったり、個人ごとに労働契約で決まったりするのではなく、客観的に決められている定義です。

労働時間に対しては賃金を支払わなければなりません。

 

<喫煙やおしゃべりの時間は労働時間なのか>

それでは、上の労働時間の定義からすると、喫煙やおしゃべりの時間は労働時間になるのでしょうか?

使用者の指揮命令から離れ、自由に喫煙やおしゃべりを許されている時間は、労働時間にはあたりません。

しかし、本当に使用者の指揮命令から離れていれば、労働者が喫煙のために離席してもおしゃべりしても、使用者側である管理職の皆さんは気付かないはずなのです。

管理職の皆さんが「なんだ、またタバコか」「いつまで、おしゃべりしているんだ」と不快に感じるのは、そうした労働者を指揮命令下に置いているからなのです。

ということは、使用者の指揮命令下にあって、労働時間であるにもかかわらず、使用者が喫煙やおしゃべりを黙認している時間ということになります。

したがって、喫煙やおしゃべりの時間を、労働時間から差し引くこと、給与計算のうえで欠勤控除することには無理があるといえるのです。

 

<管理職失格の証し>

「うちの部下は、何度もタバコを吸いに行ったり、おしゃべりしたりする。ああいう時間は、給料を払わなくてもいいのでは?」と言う管理職がいたら、その人は管理職として不適格です。

なぜなら、部下を指揮命令下に置く能力が不足しているからです。そういう人は、担当者として実績を上げたとしても、管理能力は無いのですから、スーパー担当者としての、あるいは専門職やプロフェッショナルとしての処遇をしてあげるべきなのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

ある管理職から、部下のサボりを相談されたら、人事部門は部下の方に目を向けます。しかし、顧問の社労士であれば、そうした話を持ちかけた管理職に目を向けます。

会社を正しい方向に導くには、第三者である専門家の目が必要であることの一例です。

会社を強くしたい成長させたいと本気で考えるのであれば、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.31.解決社労士

<会社に損害が発生するケース>

従業員が業務上、自動車の運転をしていて、人身事故や物損事故を起こした場合には、使用者責任(民法715条)により、被害者に対して賠償責任を負うことがあります。

その他、自動車の修理代や自動車保険料の増額分、営業上の損失も発生します。

 

<報償責任という考え方>

こうした場合に、会社は事故を起こした従業員に対して、損害のすべてを賠償するよう求めることはできないとされています。

それは、会社は従業員に働いてもらって売上と利益を上げているのだから、損失が発生した場合には、その損失を負担するのが公平だという報償責任の法理が働くからです。

 

<懲戒処分による減給>

就業規則に「過失によって会社に損害を加えた場合」の懲戒規定を置いておけば、減給処分も可能です。厚生労働省のモデル就業規則にも、こうした規定例がありますので参考になります。

しかし、減給処分の金額は限られていて、損害のすべてを回収することはできないでしょう。

むしろ、懲戒処分を受けることはそれ自体が苦痛ですから、懲戒処分を受けた従業員も、懲戒処分があったことを知った従業員も、会社に損害を加えないようにより一層の努力を尽くすことになります。

 

<適正な人事考課による対応>

きちんとした人事考課の仕組みがあって、交通事故を起こしたことの責任を反映させるというのは正しい方法です。

給与について言えば、安全運転ができないという能力の面や、会社に損失を与えたという貢献度の面で適正な評価をすれば、他の従業員よりも昇給額が少ないというのは妥当性のある結果です。

また、賞与の支給率に反映され、支給額が少なくなるのも仕方のないことです。

これらは、あくまでも人事考課の仕組みがあって、適正に運用されることが前提となります。

従業員が給与や賞与を意識して、会社に損害を加えないように注意深くなるのは明らかです。

<交通安全教育>

今更ですが、会社の従業員に対する交通安全教育も重要です。報償責任や懲戒処分の有効性を考えたときには、会社が十分な教育を行っていたことが、損害賠償の請求や懲戒処分の正当性の根拠となります。

ここで注意したいのは、実質面だけでなく形式面にも配慮すべきだということです。

交通事故を減らすために交通安全教育を実施するわけですが、実施したことの証拠を残すことも重要です。

最終的に会社が負担する責任の範囲を狭めるためには、いつどこでどのような内容の教育を行ったのか、資料を残しておく必要があります。

そして、参加者名簿を作成し、参加者の署名を得ておくことをお勧めします。

参加・不参加も人事考課に反映させたいところです。

 

<過重労働の責任>

全く残業していない従業員の事故と、月80時間ペースで残業している従業員の事故とでは、会社と従業員との間の責任割合が変わってきます。

長時間労働であるほど、会社の責任が重くなります。過重労働によって疲労が蓄積したり、注意力が低下したりで事故が発生したと評価されるからです。

人手が足りないのなら、新人を採用する工夫が必要です。

残業手当は25%以上の割増賃金が絡んできますから、長時間労働が発生しているのなら、新人の採用が経営上も有利になります。

ひとり一人の負担を減らすことで、事故の防止を図りたいところです。

 

<スケジュールの見直し>

忙しいとはいえ、そうでもない日もあるはずです。繁閑の差が出ないようにシフトを工夫しましょう。

1か月何件というノルマがある場合でも、1日何件までという上限を設定して、過重労働を防止する工夫ができます。会社がスケジュールの管理を強化することも考えられます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社会保険労務士というと、手続業務を思い浮かべることが多いようです。

しかし、どちらかというと労務管理の専門家ですから、年金、健康保険、雇用保険、労災保険の手続きよりも、労務管理や労働安全衛生のこと、そして就業規則などのルール作りと運用管理が得意です。

また、労働トラブルへの対応や防止が得意な社労士もいます。

守備範囲は広範に及びますから、何か困ったら、とりあえず信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.30.解決社労士

<会社に損害が発生するケース>

従業員が業務上、自動車の運転をしていて、人身事故や物損事故を起こした場合には、使用者責任(民法715条)により、被害者に対して賠償責任を負うことがあります。

その他、自動車の修理代や自動車保険料の増額分、営業上の損失も発生します。

 

<報償責任という考え方>

こうした場合に、会社は事故を起こした従業員に対して、損害のすべてを賠償するよう求めることはできないとされています。

それは、会社は従業員に働いてもらって売上と利益を上げているのだから、損失が発生した場合には、その損失を負担するのが公平だという報償責任の法理が働くからです。

 

<賠償金の給与天引き>

客観的に適正な範囲内の賠償金が確定したとします。この場合でも、賠償金を給与から控除することには、また別の問題があります。

労働基準法には次の規定があります。

 

(賃金の支払)

第二十四条 賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。ただし、法令若しくは労働協約に別段の定めがある場合又は厚生労働省令で定める賃金について確実な支払の方法で厚生労働省令で定めるものによる場合においては、通貨以外のもので支払い、また、法令に別段の定めがある場合又は当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定がある場合においては、賃金の一部を控除して支払うことができる。

 

原則として賃金は全額を支払わなければなりません。法令、労働協約、労使協定に定めがあるものは例外的に控除が許されます。

法令により控除が許されるのは、所得税、住民税、社会保険料、財形貯蓄などです。賠償金は、法令により控除が認められているわけではありません。

労働協約で組合費、労使協定で共済会費、社宅家賃の控除が定められていることは普通にあります。

賠償金も、労使協定などで定められていれば控除が可能です。ただし、会社側からの強制で労使協定を交わしたのなら無効です。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

万一に備えて、規定を整備しておくことは重要です。労使協定も残業がありうるのなら交わして所轄の労働基準監督署長への届出が必要です。届出なしに残業が1分でもあれば違法です。

つまらないことで足元をすくわれることがないように、手続き的なことはきちんと行いましょう。ただ、やるべきことは会社によって違いますので、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.29.解決社労士

<会社に損害が発生するケース>

従業員が業務上、自動車の運転をしていて、人身事故や物損事故を起こした場合には、使用者責任(民法715条)により、被害者に対して賠償責任を負うことがあります。

その他、自動車の修理代や自動車保険料の増額分、営業上の損失も発生します。

 

<報償責任という考え方>

こうした場合に、会社は事故を起こした従業員に対して、損害のすべてを賠償するよう求めることはできないとされています。

それは、会社は従業員に働いてもらって売上と利益を上げているのだから、損失が発生した場合には、その損失を負担するのが公平だという報償責任の法理が働くからです。

 

<懲戒処分による減給>

就業規則に「過失によって会社に損害を加えた場合」の懲戒規定を置いておけば、減給処分も可能です。厚生労働省のモデル就業規則にも、こうした規定例がありますので参考になります。

しかし、減給処分の金額は限られていて、労働基準法に次の規定があります。

 

(制裁規定の制限)

第九十一条  就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

 

つまり、1か月の総支給額が30万円なら、1日分の1万円のさらに半分の5千円しか減給ができません。複数の減給処分が重なった特殊な場合でも、3万円が限度となります。この規定は、「1か月につき」ではなく「全部で」という意味です。

会社としては、わずかな損害しか回収できません。

 

<適正な人事考課による対応>

きちんとした人事考課の仕組みがあって、交通事故を起こしたことの責任を反映させるというのは正しい方法です。

給与について言えば、安全運転ができないという能力の面や、会社に損失を与えたという貢献度の面で適正な評価をすれば、他の従業員よりも昇給額が少ないというのは妥当性のある結果です。

また、賞与の支給率に反映され、支給額が少なくなるのも仕方のないことです。

これらは、あくまでも人事考課の仕組みがあって、適正に運用されることが前提となります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

成果を出しても出さなくても、努力してもしなくても、昇給や賞与はみんな同じならば、できる社員ほど退職しやすくなります。

「悪貨は良貨を駆逐する」というグレシャムの法則が働くのです。

小さな会社でも、評価制度は必要です。生産性を高める適正な人事考課は、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.28.解決社労士

<会社に損害が発生するケース>

従業員が業務上、自動車の運転をしていて、人身事故や物損事故を起こした場合には、使用者責任(民法715条)により、被害者に対して賠償責任を負うことがあります。

その他、自動車の修理代や自動車保険料の増額分、営業上の損失も発生します。

 

<報償責任という考え方>

こうした場合に、会社は事故を起こした従業員に対して、損害のすべてを賠償するよう求めることはできないとされています。

それは、会社は従業員に働いてもらって売上と利益を上げているのだから、損失が発生した場合には、その損失を負担するのが公平だという報償責任の法理が働くからです。

会社ができたばかりのときは、共同経営者だけで運営している場合があります。この場合には、利益も損失も分かち合う関係にあるでしょう。

ところが、誰かを雇う場合には、その従業員に利益のすべてを給与として支払ってしまうわけではありません。会社の取り分があります。このように、利益が出れば会社が一部を得るのに、従業員の過失で損失が出たら、その従業員にすべての損失を押し付けるというのは、正義に反するということなのです。

会社としては、安全運転のできる注意深い人を採用できるし、従業員を教育できるし、保険にも入れるのだから、そのようにして損害を回避すれば良いのです。

 

<損害の何割までなら従業員に賠償を求められるか>

その従業員が故意に事故を起こしたような特殊なケースであれば、会社は損害のほとんどを従業員に賠償させることができそうにも思えます。

しかし、長時間労働で疲労が蓄積し注意力が低下していた、スケジュールがタイトで常に急がねばならない状況だった、不注意な人間であることを承知のうえで運転させていた、会社は交通安全についての教育に熱心ではなく安全運転について本人の自覚に任せていたなどの事情があれば、ある意味、事故を起こした従業員も被害者であって、会社が加害者の性質を帯びてしまいます。

こうした具体的な事情を踏まえて、どれほどの賠償を請求できるのか慎重に検討しなければなりません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

訴訟になってしまえば、どの程度の賠償請求が妥当かを考えるのは、弁護士の仕事になるでしょう。社労士が法廷に立つにしても、補助的な役割を担うに過ぎません。

むしろ、交通事故を防止するための、長時間労働の解消、ノルマやスケジュールの管理の適正化、安全運転のできる従業員の採用・教育、あるいは労災保険の手続きついて、信頼できる社労士にご相談いただきたいと思います。

 

2017.08.27.解決社労士

<会社に損害が発生するケース>

従業員が業務上、自動車の運転をしていて、人身事故や物損事故を起こした場合には、使用者責任(民法715条)により、被害者に対して賠償責任を負うことがあります。

その他、自動車の修理代や自動車保険料の増額分、営業上の損失も発生します。

 

<ルール設定の必要性>

こうした事態に備えて、従業員の会社に対する損害賠償のルールを設定しておかないと、その都度、損害賠償の範囲を検討したり、事故を起こした従業員への説明と交渉をしたりで多大な労力と時間が必要になります。

明確かつ客観的な規定を就業規則に置いておけば、万一の場合に役立つに違いありません。

 

<就業規則の規定>

ところが、厚生労働省のモデル就業規則を見ても、このような規定は見当たりません。交通事故に限らず、従業員の会社に対する損害賠償の規定が無いのです。

実は、予め賠償額や損失の負担割合のルールを決めておくことは、労働基準法違反となり、ルールを定めるだけで最高刑懲役6月の罰則があります。〔労働基準法16条、1191号〕

こうした規定は、労働者を不当に拘束するものとして禁止されているのです。

さらに進んで、「賠償金の支払いが完了するまでは退職を認めない」などということになれば、強制労働の禁止に違反し最高刑懲役10年の罰則があります。〔労働基準法5条、117条〕

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

あれば便利なルールでも、定めること自体が違法ということもあります。

就業規則の作成にあたっては、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.26.解決社労士

<労働基準法の規定>

労働基準法によると、解雇する場合には30日前に予告しなければならないのが原則です。

30日前に予告する代わりに、12日分の解雇予告手当を支払うとともに18日前に予告するなど、足して30日になる方法も取れます。30日分の解雇予告手当を支払うとともに即日解雇も可能です。この場合、「後日支払う」という約束ではなくて、現実に支払っておくことが必要です。

そして、試用期間中の労働者に対しては、最初の14日間に限り、解雇予告も解雇予告手当も不要です。

労働基準法には、こうした規定しかありません。

ですから、入社から14日間は解雇の条件が緩いというのは誤解です。

 

(解雇の予告)

第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となつた場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

 

2 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払つた場合においては、その日数を短縮することができる。

 

3 前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。

 

第二十一条 前条の規定は、左の各号の一に該当する労働者については適用しない。但し、第一号に該当する者が一箇月を超えて引き続き使用されるに至つた場合、第二号若しくは第三号に該当する者が所定の期間を超えて引き続き使用されるに至つた場合又は第四号に該当する者が十四日を超えて引き続き使用されるに至つた場合においては、この限りでない。

一   日日雇い入れられる者

二   二箇月以内の期間を定めて使用される者

三   季節的業務に四箇月以内の期間を定めて使用される者

四   試の使用期間中の者

 

<試用期間についての判例>

試用期間については、最高裁判所が解約権留保付労働契約だと言ったために、何か特別な契約期間であるかのように思われがちです。〔昭和44年12月12日三菱樹脂事件判決〕

しかし、最高裁判所が試用期間について述べたのは、判決を下すのに必要があって述べたわけではなく、ついでに語っただけです。試用期間であれば、本採用後よりも解雇のハードルが低くなる趣旨のことを述べていますが、具体的に、どの項目についてどの程度低くなるのかは語っていません。

結局、試用期間も本採用後も労働契約の期間であることに変わりは無く、両者の違いを明確に説明することはできません。

それでも、試用期間であれば、本採用後とは違った扱いができるという勘違いは、多くの企業に存在しています。

 

<解雇の制限>

試用期間の最初の14日間でも、解雇権濫用であれば不当解雇とされます。

不当解雇なら、使用者が解雇したつもりになっていても、その解雇は無効です。

一方、労働者は解雇を通告されて、解雇されたつもりになっていますから出勤しません。しかしこれは、解雇権を濫用した使用者が悪いのです。

何か月か経ってから、労働者が解雇の無効に気付けば、法的手段に訴えて会社に賃金や賞与を請求することもあります。

これを使用者側から見れば、知らない間に労働者に対する借金が増えていったということになります。

これは労働契約法に、次のように規定されています。

 

(解雇)

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

一部の企業で行われた法令の拡大解釈や、最高裁判所の判決に対する誤解が、いつの間にか「常識」となってしまうこともあるのです。

さらに、昨日まで正しかった常識も、法改正や判例変更によって、不適法になることがあります。

正しいことを確認するのなら、信頼できる社労士にご確認ください。

 

2017.08.25.解決社労士

<労働基準法の規定>

労働基準法は、その5条で強制労働を禁止し、次の罰則規定を置いています。

 

第百十七条  第五条の規定に違反した者は、これを一年以上十年以下の懲役又は二十万円以上三百万円以下の罰金に処する。

 

<強制労働の意味>

「今どき強制労働なんて」と思われてしまうかもしれません。「強制労働」というと、ピラミッド建設に駆り出される奴隷のようなイメージを抱いてしまうのでしょう。

しかし、労働基準法の規定を見ると、次のように書かれています。

 

(強制労働の禁止)

第五条 使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当に拘束する手段によつて、労働者の意思に反して労働を強制してはならない。

 

ここにいう不当に拘束する手段には、長期労働契約(14条)、労働契約不履行に関する賠償予定(16条)、前借金相殺(17条)、強制貯金(18条)などがあります。〔昭和63年3月14日基発第150号通達〕

カッコの中の「〇条」というのは、労働基準法の条文を示しています。

 

<辞めさせてくれない会社>

自分の勤務先がブラック企業であることに気づき、退職を申し出たけれども辞めさせてもらえないという労働相談が増えています。

辞めさせてもらえないというのは、具体的には「辞めるなら違約金を支払え」と本人や身元保証人に迫るようです。

これなどは、労働基準法16条の「労働契約不履行に関する賠償予定」があることを示していて、「退職するな!働き続けろ!」というわけですから、強制労働の禁止に違反していると思われます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

法律は、法律のことを知っている人の味方です。

法律のことを良く知らない人は、良く知っている人を味方に付けて身を守りましょう。

労働関係法令についていえば、信頼できる社労士を味方に付けるのが安心です。不安に思うことがあれば、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.24.解決社労士

<労働基準法の役割>

労働基準法は、労働者が人間らしく生きていけるようにするための、労働条件の最低基準を定めています。

このことは、労働基準法1条に次のように定められています。

 

(労働条件の原則)

第一条  労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。

2 この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

 

労働基準法と聞くと、使用者側にいろいろと罰則をちらつかせて義務付けているイメージを持たれますが、この条文では、「労働関係の当事者」つまり使用者と労働者の両方に、労働条件の維持向上を求めています。

 

<労働条件の決定>

労働条件の決定は、労働者と使用者が対等の立場で決めるべきものだとされています。

このことは、労働基準法2条1項に次のように定められています。

 

(労働条件の決定)

第二条  労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。

 

本来は対等なのでしょうけれども、少子化によって労働者が不足している現状では、労働者側が優位に立っているようにも思われます。

また、入社後は会社に対する貢献度に応じて、優位に立つ労働者と、弱い立場の労働者に分かれてくるでしょう。

 

<労働条件の遵守>

続けて労働基準法2条は2項に次の規定を置いています。

 

2 労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。

 

ここでも「労働者及び使用者は」と規定し、労働条件を守ることについては、労働者も使用者も対等であることを示しています。

 

<労働条件の明示>

とはいえ、労働条件が決まっていなければ守りようがありません。また、文書化されていなくて、口頭で説明されているだけでは不明確です。

そこで、労働基準法は労働条件の明示について、次のように規定しています。

 

(労働条件の明示)

第十五条  使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

 

このように労働条件の明示は、使用者だけに義務付けられています。

ここでいう「厚生労働省で定める方法」というのは基本は書面ですが、電子化された文書によることもできることされています。口頭ではダメです。

そして、明示された労働条件が実際と違っていたら、これを理由に労働者から使用者に対して退職を通知できます。

 

2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。

 

ブラック企業で退職を申し出たら、「退職させてもらえない」とか、「違約金の支払いを求められた」とか、不当なことを言われたという話を耳にします。

しかし大抵のばあいは、この労働基準法15条2項を根拠に退職を通知できるケースでしょう。

 

このように、労働条件の正しい明示は使用者の義務ですから、口頭による説明しか無いのであれば、労働者としては「知りませんでした」「忘れました」という言い訳が許されることになってしまいます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

「労働条件なんてよくわからないから決めない」「労働条件通知書を渡して違法性を指摘されたら困る」という経営者の方は、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.23.解決社労士

<創業直後の会社>

できたばかりの会社では、創業者だけ、あるいは創業者の他は家族だけということもあります。

この場合は、労働条件通知書も就業規則も作られないことが多いでしょう。

すべてはお互いの信頼関係に基づいた口約束で足ります。

創業者に対する尊敬や恩義の気持ちから、大きな問題は発生しないものです。

 

<事業の拡大>

やがて知り合いを採用し、近隣の人たちをパートやアルバイトとして採用します。

法律上は、労災保険や雇用保険の手続きだけでなく、労働条件通知書などの作成交付も必要です。

ところが、家族による事業の運営の延長線上で、これらの手続きが行われないことがあります。もちろん違法です。

違法だとわかっていて手続きをしないよりは、よくわからないから放置することの方が多いようです。

また、労働保険や労務管理の専門家は社会保険労務士なのに、何でもかんでも税理士の先生に確認して済ませていると、違法な状態が解消されません。

 

<創業者の離脱>

事業がこれからという時に、創業者が病に倒れ、配偶者やお子さんたちが後を継ぐという事態は、常に想定しておかなければなりません。

相手のあることであれば、分からないことは相手に聞けば良いのですが、それですべてが分かるわけではありません。

特に、従業員の給料のこと、とりわけ残業代については、労働条件通知書や就業規則、そしてきちんとした給与明細書が無ければ、分からずじまいになってしまうことも多いのです。

創業者に対する尊敬や恩義の気持ちから長く働いていた従業員も、会社から心が離れ、何年分もの残業代を請求してくるかもしれません。また、退職金を要求するかもしれません。

こうした法的紛争になったときに頼れるのは、人ではなくて、書類を中心とする物的証拠なのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

労働関係法令を知らずに他人を雇うリスクは大きなものです。会社が大きくなったら、事業が軌道に乗ったらではなくて、創業の時から信頼できる社労士にご相談ください。

従業員がいないうちに、労働条件や会社のルールを決めておいた方が楽なのは明らかなのですから。

 

2017.08.22.解決社労士

<民法改正>

平成29年5月26日に民法改正案が参議院を通過し、成立した改正民法は、6月2日に公布されました。これによって改正民法は、平成32年6月1日までに施行されることになります。

民法の改正は、労働関係には影響が無いように見えます。しかし、労働契約も契約の一種ですから、民法は労働契約に適用されます。

 

<未払い残業代請求権の消滅時効は2年>

民法167条1項は、債権の消滅時効期間を原則10年と規定しています。しかしこの例外として、民法174条1号が一般的な給与の消滅時効期間を1年と定めています。これでは、未払い賃金がある場合に、一定の手続きを取らなければ、労働者は1年で請求権を失ってしまうことになります。

これを救済するために、労働基準法115条は、賃金などの消滅時効期間を2年と定めています。労働基準法は民法の特別法ですから、矛盾する規定があれば、労働基準法が優先されるというルールです。

こうして、未払い残業代の請求権についての消滅時効期間は、現在2年となっています。実際、労働基準監督署が企業に監督に入った場合でも、未払い残業代の支払いについては、最大2年間まで遡っての指導となっていて、それ以上前の支払いまでは指導していません。

 

<民法改正による矛盾の発生>

改正民法は、債権の消滅時効期間を、権利者が権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使できるときから10年としました。

これは労働基準法の定める2年よりも長いのです。「労働基準法は民法の特別法だから、矛盾する規定があれば労働基準法が優先される」というルールを当てはめてしまうと、労働者が未払い賃金を請求する権利は、一般の債権よりも短期間で時効消滅してしまうことになります。

これでは労働者を保護するための労働基準法は、その役割を十分に果たせません。

 

<矛盾解消のための労働基準法改正?>

あくまでも個人的な予測ですが、労働基準法115条は削除されると思います。

 

労働基準法115条 賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は二年間、この法律の規定による退職手当の請求権は五年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。

 

退職手当というのは退職金のことで、この請求権は現在の消滅時効期間が5年です。

この条文が削除されれば、労働基準法と民法との矛盾は発生しませんし、未払い残業代の請求権についての消滅時効期間は、現在の2年から5年に延長されて労働者の保護も強化されます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

もちろんブラックな話ですが、「未払い残業代が摘発されたら過去2年分を支払えばいい」と考えている経営者の方もいらっしゃるでしょうか。

しかし、この「2年分」が「5年分」に変更されたら、会社は耐えられないかもしれません。

そもそも、未払い残業のある会社では、ごまかすために労働時間の管理がいい加減になっているものです。これが、社員のサボりや手抜きを助長していたり、働き以上の賃金を支給する原因となっていたりもします。

残業代込みの賃金という約束ならば、それを合法的に制度化し正しく運用すれば良いのです。

突然の法改正で困らないためにも、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.20.解決社労士

<民法改正>

平成29526日に民法改正案が参議院を通過し、成立した改正民法は、62日に公布されました。これによって改正民法は、平成3261日までに施行されることになります。

民法の改正は、労働関係には影響が無いように見えます。しかし、労働契約も契約の一種ですから、民法は労働契約に適用されます。

 

<無期契約労働者からの退職申し出>

民法627条の改正により、正社員など無期契約労働者からの退職申し出に、次の変更が発生します。

期間により報酬を定めている場合、たとえば、月給制で末日締切り、翌月15日支払いの場合、月給の計算期間は1日から末日です。30日ある月に、1日から15日までの間に退職を申し出れば当月の月末で退職、16日から月末までの間であれば翌月末日で退職となります。これが法改正により、退職の申し出がいつであっても、その申し出から2週間で退職ということになります。

また、6か月以上の期間により報酬が定められた労働者については、3か月前までに退職の申し出が必要でした。ところが法改正により、2週間前でよいことになります。

 

<具体的な影響>

一般的な月給制の場合、退職申し出のタイミングにかかわらず、給与の締日に退職ということでした。

法改正により、退職日がバラバラになり、就業規則(給与規程)に欠勤控除について、明確な計算方法が無いと困ることになります。

業務の引継ぎについても、引継ぎ期間は最低でも2週間だったのが、原則として2週間になってしまいます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

突然の退職にも対応できるよう、普段からマニュアルを利用した業務遂行と業務改善を当たり前にしておきたいところです。

また、退職時のルールや異動の場合を含めた引継ぎのルールも、具体的に定めて正しく運用することで、生産性の低下を防止したいところです。

具体的に何をすべきか迷ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.19.解決社労士

<有期契約労働者の雇用の安定>

労働契約法18条の規定により、平成30年4月1日以降、無期契約労働者に転換できる権利を取得する有期契約労働者が多数生じます。

定年の他に期限の無い労働契約に転換することによって、雇用が安定するという効果が見込まれています。

ただし、希望しない有期契約労働者は、転換権を使わないことも自由です。

 

<有期契約労働者の賃金の改善>

日本での同一労働同一賃金は、当初は「職務内容が同一である労働者には同一の賃金を支払う」という言葉通りの意味でした。

ところが現在では、非正規労働者の公正評価・処遇の意味に移行してきています。

しかも、労働政策審議会の建議報告書によれば、同一労働同一賃金法案による救済対象から、フルタイムの無期契約労働者が外されています。

 

<予想される事態>

有期契約労働者の無期転換申込に対する企業側の対応は、2018年問題として進められてきました。

しかし、同一労働同一賃金法案がこのまま成立した場合、フルタイムの有期契約労働者が無期転換すると、これらの人にとって不利になってしまう可能性があります。

結局のところ、パートタイムの有期契約労働者のみが無期に転換する傾向が強く現れることになるでしょう。

各企業は、法案の行方を追いつつ、自社の現状をにらんで対応を進めて行かざるを得ない状況にあります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

法改正が行われた後で対応していたのでは、ライバル会社に後れをとってしまいます。

改正案のうちに先取り対応ができる専任者がいない会社では、顧問の社労士を置いて対応に当たらせるのが、確実で安上がりです。

自社での対応に不安があれば、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2017.08.18.解決社労士

<労働基準法11項>

法律の第1条というのは、注目されないものです。しかしその法律の目的や、大原則が規定されていますから、これを踏み外すとお話になりません。

労働基準法11項には、次のように規定されています。

「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」

この規定は、憲法(日本国憲法)251項の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という規定に基づいています。

そもそも労働基準法ができたのは、主に憲法272項に「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」という規定があるからです。

つまり、資本家は労働者から搾取するものであり、国は労働者を資本家から守る義務を負うというところから出発しています。

 

<労働基準法12項>

これもまた注目されていませんが、労働基準法12項には、次のように規定されています。

「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない」

これを踏み外す危険も大きいと思います。

たとえば人手不足の折、会社の偉い人が「うちの会社は週休2日制だけど、労働基準法は1日でOKだと規定しているから、それでいいんじゃねぇの?」と言いかねません。

確かに労働基準法35条には、「使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない」と規定されています。

たしかに、新たに会社を設立した場合には、週休1日制でスタートしても違法ではありません。しかし、週休2日制の会社が労働基準法35条を理由に週休1日に変更したら、労働基準法12項に違反します。

法律というのは、どれか1つの規定に違反していなくても、別の規定に違反すれば違法となることがありますから、木を見て森を見ずというのでは失敗します。

それぞれの法律の目的、あるいはそれを超えて、法律の気持ちというものを捉えていないと、条文一つひとつを見て勘違いしてしまうことは避けられません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社労士は、数多くある労働関係法令一つひとつの気持を把握しています。

経営者が「いいこと考えた!」と思ったときは、落とし穴に落ちたときかも知れません。他社に先駆けて何か工夫しようと思いついたときには、実行に移す前に信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.17.解決社労士

<労働契約法の規定>

労働契約法8条に、「労働者と使用者との合意で労働契約の内容である労働条件を変更できる」と規定されています。

また、その9条と10条に、就業規則の変更によって労働者の不利益に労働条件を変更する場合のことが規定されています。

 

<缶コーヒーなら>

コンビニでいつもの缶コーヒーを買おうとしたら、レジの店員さんから「これは130円の缶コーヒーですが、今月はお店の売上が足りないので、店長から150円で売るように言われています。150円で買っていただけますでしょうか」と言われたとします。これに応じて150円で買う人は少数派でしょう。

「嫌です。130円で売ってください」と言ったり、別のコンビニに買いに行ったりという反応が想定されます。

こんなお店には、レジの店員さんに対して「これは130円の缶コーヒーだが、今月はお店の売上が足りないそうだから、120円にしてくれたら3本買おう」と言うお客様が来るかもしれません。

 

<給与だと>

給与明細書を見たら、支給額が大幅に減額されていたとします。上司から「あなたの基本給は25万円だけれど、最近は会社の利益が減少傾向にあるので、社長から基本給は20万円で我慢するように言われています。今月も頑張って働いてくれるかな」と言われたとします。

「嫌です」と言えば、「それじゃクビだ!」と言われるかもしれません。もちろん、不当解雇なら会社と争うこともできるでしょう。

しかし今日辞めて、明日から別の会社で働き始めるのは、予め準備していなければできることではありません。

反対に労働者の側から「基本給を5万円上げてくれないと、明日から出勤しません」というのも、余程の自信がない限り言えないことです。

 

<不利益変更禁止が強調される理由>

缶コーヒーの売買契約であれ、労働契約であれ、一方の当事者が自分に有利に契約内容を変更するのは自由ではありません。それが許されるなら、そもそも契約が成立しません。

労働条件の不利益変更というのは、使用者から労働者に一方的に変更を申し出る場合を想定していますので、禁止されるのは当然のことと言えます。

ただ、コンビニでのお客様とお店との売買契約は1回きりのことです。しかも、商品の引き渡しと代金の支払いが同時です。後から問題になることが少ない性質を持っています。

ところが労働契約は、労働者と使用者との継続的な関係ですし、給与は後払いですから、何かとトラブルが発生しやすく長引きやすいのです。

そこで、労働者の保護という労働関係法令全体の趣旨を踏まえ、特に労働条件の不利益変更禁止の原則が強調されているわけです。

 

 

【参考】労働契約法

 

(労働契約の内容の変更)

第八条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

 

(就業規則による労働契約の内容の変更)

第九条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。

 

第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

 

2017.08.16.解決社労士

<政府の方針>

政府は、少子高齢化対策を継続的に強化しています。

そして、少子高齢化による労働力不足に対応するため、政府は計画案で副業・兼業を推進する方針です。企業に対しても、副業・兼業を容認するように求めています。

 

<1つの会社でフルに働く場合>

1日8時間、週5日勤務で、月給40万円の人がいるとします。

健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険は勤務先で加入します。

プライベートのケガや病気で長期間働けない場合、働けない期間については、健康保険で月給の3分の2程度の傷病手当金が支給されます。月額27万円弱の支給です。

業務上あるいは通勤途上のケガで働けない場合、労災保険などで月給の8割程度が補償されます。月額32万円程度です。

失業した場合には、雇用保険の失業手当(求職者給付の基本手当)が支給されます。

 

<ダブルワークの場合>

A社で週25時間働き月給25万円、B社で週15時間働き月給15万円という、ダブルワークの人がいるとします。

健康保険と厚生年金は、A社が大きな会社で特定適用事業所の要件にあてはまると、A社で加入することになりますが、そうでなければ、国民健康保険と国民年金に加入することになります。

プライベートのケガや病気で働けない場合、国民健康保険からは傷病手当金の支給がありません。

国民年金は、厚生年金よりも支給額が少なかったり、支給開始年齢が遅かったりの不利があります。

労災保険はA社とB社の両方で入ります。業務上あるいは通勤途上のケガで働けない場合、労災保険などで月給の8割程度が補償されます。A社の方で発生した労災なら月額20万円程度ですし、B社の方で発生した労災なら月額12万円程度です。両方もらえるわけではありません。

雇用保険は、A社の方で入ります。B社では入りません。失業したときの手当は、A社の給与だけが基準となります。

 

<予想される法改正>

政府が副業・兼業を推進するには、ダブルワークについて社会保険・労働保険での明らかな不利を解消するような法改正が不可欠でしょう。

法改正があってから対応したのでは、他社に後れを取ってしまいます。これから出てくるであろう法改正案の情報を踏まえ、会社の仕組み、就業規則、運用を速やかに変えていく必要があります。

こうしたことについて、社内に専任者がいない場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.15.解決社労士

<具体的なトラブル>

円満退社のパート社員が、退職にあたって会社に退職金の支払いを請求する、あるいは、退職後に請求するということがあります。

もちろん、パート社員にも退職金を支払うルールなら問題ないですが、会社としては支払わないつもりだったならトラブルになります。

 

<就業規則が1種類しかない場合>

社員が10人以上になったとき、会社の就業規則が作成され、そのときは正社員しかいなかったのに、やがてパート社員も働くようになっていたとします。

この場合には、将来パート社員も入社してくることを想定して、就業規則が作成されているとは限りません。つまり、正社員用の就業規則しかない状態になりうるのです。

あるいは、就業規則のひな形をそのまま引用して「パートタイム労働者の就業に関する事項については、別に定めるところによる。別に定める規則に定めのない事項は、この規則を適用する」という規定を置きながら、別に定める規則を作っていなければ、パート社員にも正社員用の就業規則が適用されます。

こうして法的には、パート社員にも正社員と共通の唯一の就業規則が適用され、会社に退職金の支払い義務が発生するのです。

 

<定義がない場合>

就業規則に「正社員に退職金を支給する。パート社員には退職金を支給しない」という明確な規定があったとします。

それでも退職するパート社員から「私は残業もしたし、休日出勤もしました。この会社は賞与が出ないけど、誰ももらっていないから我慢しました。でも、退職金が出ないなんておかしいです。私は正社員として働いてきました」と主張されたら、会社は就業規則に示された正社員の定義とパート社員の定義を説明して切り抜けなければなりません。

しかし、就業規則に「正社員とは…」「パート社員とは…」という定義が定められていなければ、説明のしようがありません。「何となくわかるでしょ」というレベルなら、労働者に有利な解釈がとられるのが労働法の世界です。

結局、会社は退職金の請求を拒むことは困難です。

 

<労働条件通知書には「退職金なし」と書かれている場合>

労働条件通知書、雇用契約書、労働契約書などの名称で、個人ごとに労働条件が通知されています。ここに「退職金なし」と書かれている場合でも、労働契約法に次の規定があります。

 

(就業規則違反の労働契約)

第十二条  就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

 

つまり、就業規則には「退職金あり」と書いてあって、労働条件通知書などに「退職金なし」と書かれていたら、労働者に有利な「退職金あり」が有効になるということです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

退職金一つをとっても、法的に争われたら会社が負けてしまうことがあります。

就業規則にトラブルの火種を残さないよう、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.14.解決社労士

<休憩時間の自由な利用>

労働基準法は、休憩時間について、次のように規定しています。

 

(休憩)

第三十四条  使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

 

2  前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。

 

3  使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。

 

このように、労働基準法34条3項は、使用者に対し休憩時間を自由に利用させることを義務づけています。

 

<通達による休憩時間利用の制約>

労働基準法などの法律は、立法府である国会が制定しています。そして、これを具体的に適用する基準として、行政府が次のような通達を発しています。

 

事業場の規律保持上必要な制限を加えることは、休憩の目的を損なわない限り差し支えない。〔昭和22年9月13日基発第17号通達〕

 

休憩時間中の外出について、所属長の許可を受けさせることも、事業場内において自由に休息し得る場合には、必ずしも違法にはならない。〔昭和23年10月30日基発第1575号通達〕

 

<休憩時間利用の制約についての裁判所の判断>

法律の適用について、その合法性(合憲性)が裁判で争われた場合、最終的には最高裁判所が判断を示します。

たとえば、目黒電報電話局事件について、最高裁判所は次のような判断を示しています。

 

一般に、雇用契約に基づき使用者の指揮命令、監督のもとに労務を提供する従業員は、休憩時間中は、労基法三四条三項により、使用者の指揮命令権の拘束を離れ、この時間を自由に利用することができ、もとよりこの時間をビラ配り等のために利用することも自由であつて、使用者が従業員の休憩時間の自由利用を妨げれば労基法三四条三項違反の問題を生じ、休憩時間の自由利用として許される行為をとらえて懲戒処分をすることも許されないことは、当然である。しかしながら、休憩時間の自由利用といつてもそれは時間を自由に利用することが認められたものにすぎず、その時間の自由な利用が企業施設内において行われる場合には、使用者の企業施設に対する管理権の合理的な行使として是認される範囲内の適法な規制による制約を免れることはできない。また、従業員は労働契約上企業秩序を維持するための規律に従うべき義務があり、休憩中は労務提供とそれに直接附随する職場規律に基づく制約は受けないが、右以外の企業秩序維持の要請に基づく規律による制約は免れない。〔最高裁昭和52年12月13日第三小法廷判決〕

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社内で、休憩時間の自由な利用に対する制約があった場合、それが法的に許されるかどうかを判断するには、法律の条文を読んで、自分なりに解釈するという方法では危険なのです。

数多くの通達を確認し、関連する裁判例をよく読んで、具体的な制約に当てはめたうえで、専門的に判断する必要があるのです。

顧問の社労士を置いておくことは、会社がつまらないことで足元をすくわれないようにするため、ぜひ必要なことだと思います。

 

2017.08.13.解決社労士

<平成28年度調査研究結果のポイント>

新たに、過労死等が多く発生しているとの指摘がある自動車運転従事者、外食産業の企業と労働者や、法人役員、自営業者に対する調査が実施されています。

  Ⅰ 平成27年度調査結果の再集計・分析

 

・「労働時間を正確に把握すること」及び「残業手当を全額支給すること」が、「残業時間の減少」、「年次有給休暇の取得日数の増加」、「メンタルヘルスの状態の良好化」に資することが示唆される。

・『残業時間を0時間に近づける』ことが「年次有給休暇の取得日数の増加」、「メンタルヘルスの状態の良好化」に、また、残業を行う場合に『所属長が残業を承認する』ことが、 「残業時間の減少」、「メンタルヘルスの状態の良好化」に資することが示唆される。

・『最長の週の残業時間が30時間以上であること』、『ハラスメントがある職場』は、「メンタルヘルスの状態の悪化」を招く傾向にあるが、『裁量をもって仕事を進めることができる』、『仕事に誇りややりがいを感じる』または『適当な仕事量である』職場環境を構築することは、「メンタルヘルスの状態の良好化」に資することが示唆される。

 

 Ⅱ 企業・労働者調査

 

○自動車運転従事者(バス、タクシー、トラック)に係る調査結果

・企業調査、労働者調査ともに所定外労働が発生する主な理由はほぼ同じで、「バス」では「仕事の特性上、所定外でないとできない仕事があるため」、「人員が足りないため」が多く、「タクシー」では「人員が足りないため」、「予定外の仕事が突発的に発生するため」が多く、「トラック」では「取引先の都合で手待ち時間が発生するため」、「仕事の特性上、所定外でないとできない仕事があるため」が多かった。

・労働者調査において、業務関連のストレスや悩みの内容をみると、「バス運転者」では「長時間労働の多さ」、「タクシー運転者」では「売上・業績等」、「トラック運転者」では「仕事での精神的な緊張・ストレス」がそれぞれ最も多かった。

 

○外食産業に係る調査結果

・企業調査、労働者調査ともに所定外労働が発生する主な理由はほぼ同じで、「スーパーバイザー等(※)」では「人員が足りないため」、「予定外の仕事が突発的に発生するため」が多く、「店長」では「人員が足りないため」、「欠勤した他の従業員の埋め合わせが必要なため」が多く、「店舗従業員」では「人員が足りないため」、「業務の繁閑の差が激しいため」が多かった。

 ※スーパーバイザー等とは、スーパーバイザー・エリアマネージャー(複数の店舗を担当し、売上やレイアウト、在庫管理等の店舗運営について支援・指導を行う者)のことをいう。

・労働者調査において、業務関連のストレスや悩みの内容をみると、「スーパーバイザー等」と「店長」では、「売上げ・業績等」、「店舗従業員」では、「仕事での精神的な緊張・ストレス」がそれぞれ最も多かった。

 

 Ⅲ 自営業者・法人役員調査結果

 

・労働時間が長くなると、疲労蓄積度(仕事による負担度)が高い者や、ストレスを感じている者の割合が高くなる。

・休日における息抜き・趣味活動・家族の団らん等の時間が足りていると感じている者については疲労蓄積度(仕事による負担度)が低くなる傾向であり、労働時間が長い者であっても、自分のペースで仕事ができる者については、疲労蓄積度(仕事による負担度)が低くなる傾向にある。

 

 

<報告書からわかること>

この報告書に示された調査結果や分析が、正しいかどうかはわかりません。

しかし、平成27年度調査結果の再集計・分析の内容から、国(厚生労働省)の方針が次のように見えてきます。

・労働時間の正確な把握を徹底させる

・残業手当を全額支給させる

・残業時間を減少させる

・ハラスメントをなくさせる

今までも、労働基準監督署が労働基準について、企業に監督(調査)に入れば、労働時間の正確な把握と残業手当の全額支給は、必ず対象となっていたところです。

これからは、残業時間の減少とハラスメント対策についても、対象とされるようになることが予想されます。

自社が具体的にどのような対策を講じるか、先手を打って、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談されてはいかがでしょうか。

 

2017.08.12.解決社労士

<厚生労働省の説明>

「職場でつらい思いしていませんか?(職場のハラスメントの解決を労働局がお手伝いします)」というパンフレットには、各ハラスメントが次のように説明されています。

セクシュアルハラスメント(セクハラ)とは … 職場において、性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、身体への不必要な接触など、意に反する性的な言動が行われ、拒否したことで不利益を受けたり、職場の環境が不快なものとなることをいいます。

パワーハラスメント(パワハラ)とは … 同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えられたり、職場環境を悪化させられる行為をいいます。

妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする不利益取扱い、および妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメントとは … 妊娠・出産したこと、育児や介護のための制度を利用したこと等を理由として、事業主が行う解雇、減給、降格、不利益な配置転換、契約を更新しない(契約社員の場合)といった行為を「不利益取扱い」といいます。

また、妊娠・出産したこと、育児や介護のための制度を利用したこと等に関して、上司・同僚が就業環境を害する言動を行うことを「ハラスメント」といいます。

 

<就業規則などの規定>

私もセミナーなどでは、この厚生労働省の説明を使わせていただきます。

しかし、就業規則や社内広報の資料では、高校生アルバイトや高齢者、知的障碍者の方もいらっしゃることから、ハラスメントについて「働く仲間を傷つける嫌がらせは禁止します」という表現にしています。

なぜなら、その目的は上手に説明することではなくて、本気でハラスメントを無くすことだからです。

法的義務だから就業規則を置くのではなくて、効果的な就業規則を作成するのであれば、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.11.解決社労士

<解雇の有効性についての規定>

出来てからまだ10年も経っていない労働契約法という法律に次の規定があります。

 

(解雇)

第十六条  解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

「客観的に」という場合、当事者の「主観的な」判断は除かれます。ここで「主観的な」判断をするのは、解雇通知を出した会社側の人と、解雇通知を受けた労働者です。つまり、労働者が解雇通知に納得がいかないからといって、必ずしも「客観的に」合理的な理由を欠いているとはいえないのです。

では誰が「客観的に」判断するかというと、法的な争いとなり裁判になれば裁判官が判断することになります。

 

「社会通念上」という場合、言葉どおりの意味からすれば、世間一般の人々の判断が基準となります。解雇通知を出した会社側の人も、解雇通知を受けた労働者も、「世間」のほんの一部に過ぎませんから、その意見が世間一般を代表するものとはいえません。しかし、「社会通念」を確認するために、相当多数の人々のアンケートをとるわけにもいきません。

ここでも、「社会通念上」相当であるかどうかは、資料を参考にしつつ最終的には裁判官が判断することになります。

 

<裁判官の判断とは>

「合理的な理由」の存否や「社会通念上相当」の判断は、具体的な裁判の判決理由中の判断に示されます。これは、判決文の全部ではなくて、判決の結論である主文を導き出すのに必要な「判決理由中の判断」の中の必要不可欠な部分です。

たとえば能力不足を理由に解雇する場合に、「合理的な理由」があるか、「社会通念上相当」かについて、裁判官の判断を探るには、関連する裁判例の「判決理由中の判断」を確認すれば良いことになります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

裁判官の判断を探るには、労働法に関する専門的な知識と技術が必要です。素人目線の常識判断では無理です。

「切迫流産」という言葉が、流産の切迫している状態を示すものであるのと同じように、「不当解雇」という言葉は、解雇の通告が不当で解雇が有効に成立していない状態を示しています。これは労働者が働いていなくても、会社が賃金や賞与の支払い義務を負い続けるという、会社にとって極めて不利な状態となります。

会社が解雇を検討する場合にも、労働者が解雇の通知に納得がいかない場合にも、なるべく早く信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.10.解決社労士

<労災保険給付による免責の範囲>

労災保険給付がされた場合、使用者はその事故については、その給付金額の限度で民法上の損害賠償責任を免除されることになります。〔労働基準法842項類推〕

しかし、労災保険給付は慰謝料を対象としていません。また、休業損害を含め失った利益の全額を補償するものではありません。

ですから、労災保険給付がされても、使用者は労働者から慰謝料、休業損害、その他失った利益のうち補償されなかった部分については、別に損害賠償の請求を受ける可能性があります。

なお同じ労災でも、通勤災害については原則として使用者に責任がありませんから、損害賠償責任は問題になりません。

 

<安全配慮義務違反の責任>

労災保険による保険給付は、業務上の事由や通勤による労働者の負傷、疾病、死亡に対して行われます。

このうち、業務上の災害と認められ、労災保険給付が行われた場合には、被災について業務起因性が認められたということですから、使用者が安全配慮義務違反の責任を問われて損害賠償義務を負担する可能性があります。

実際に安全配慮義務違反の責任を負うのは、被災結果を具体的に予見できた可能性があったことと、被災結果を回避できた可能性があったことが必要となります。

そもそも被災結果を予見できる可能性が無かった場合や、予見できたとしても結果の発生を回避できなかったという場合には、使用者の安全配慮義務違反が問われることはありません。

また、結果を回避しなかったことが違法とは言えなかったような場合にも、安全配慮義務違反は否定されます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

労災が発生した時に、使用者がその事実を隠して、労災保険の手続きを全くしないのは、労災隠しであり犯罪です。

中には、手続きが複雑で良くわからないから放置しているというケースもあります。

こんなときは、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.09.解決社労士

<賃金の支払い義務>

健康診断を受ける時間が、労働基準法の労働時間にあたれば、賃金の支払い義務があります。

 

<一般健康診断についての通達>

労働安全衛生法661項に定める一般健康診断について、次のような通達があります。

「健康診断の受診に要した時間についての賃金の支払については、労働者一般に対して行われるいわゆる一般健康診断は、一般的な健康の確保をはかることを目的として事業者にその実施義務を課したものであり、業務遂行との関連において行われるものではないので、その受診のために要した時間については、当然には事業者の負担すべきものではなく、労使協議して定めるべきものであるが、労働者の健康の確保は、事業の円滑な運営の不可欠な条件であることを考えると、その受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましいこと」(昭和47918日基発第602号通達)

結論として、たとえ一般健康診断を受診しなくても、業務に具体的な支障が生じるわけではないことから、実質的に受診義務がないことになり、その受診に必要な時間の賃金を、使用者が負担する義務はないと考えているようです。

 

<例外的に労働時間となる場合>

業務命令により一般健康診断を受診させ、受診しない場合の懲戒処分を定めている場合には、賃金支払いが必要な労働時間に該当すると考えられます。

 

<特殊健康診断についての通達>

労働安全衛生法662項に定める特殊健康診断について、次のような通達があります。

「特定の有害な業務に従事する労働者について行われる健康診断、いわゆる特殊健康診断は、事業の遂行にからんで当然実施されなければならない性格のものであり、それは所定労働時間内に行われるのを原則とすること。また、特殊健康診断の実施に要する時間は労働時間と解されるので当該健康診断が時間外に行われた場合には、当然割増賃金を支払わなければならないものであること」(昭和47918日基発第602号通達)

結論として、特殊健康診断を受ける時間を労働基準法にいう労働時間と捉えているようです。

特殊健康診断は、一般健康診断とは異なり、事業の遂行との関連性が強く、受診しなければ業務に具体的な支障が生じるため、受診義務があり受診に要する時間は労働時間と評価されるということです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

厳密に考えると、自宅や勤務地から受診会場に行き、受診会場から自宅や勤務地に戻る交通費の負担など、会社と労働者との負担区分には複雑なものがあります。

きちんとした区分を設定し、気持よく健康診断を受診できるようにするには、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.08.解決社労士

<無報酬の経営者>

会社の設立直後は利益が出ず、代表者は無報酬で頑張るということがあります。やがて利益が出たら、その利益に見合う報酬をもらうことにしようというわけです。

また、代表者の親族が名目的に役員に名を連ね、形式的に経営者扱いになっていることもあります。そして、この場合にも無報酬のことがあります。

 

<保険料負担の建前>

社会保険(健康保険と厚生年金保険)の保険料は、その会社などで報酬を得て、その報酬の中から負担するというのが建前です。

ですから、無報酬なら保険料を負担することには無理があり、負担できないというのが常識的な判断になります。

 

<不都合の発生>

報酬が無かったり、低額だったりの場合には、健康保険料が国民健康保険料よりも安くて済みます。

また、出産手当金や傷病手当金といった給付を受けることもできます。

特に70歳以上であれば、厚生年金の加入義務がありませんから、保険料は健康保険料だけの負担となります。

こうしたことは、いかにも不公平で不合理に思われます。

 

<実際の運用>

無報酬の経営者は社会保険に加入しない、また、経営者が無報酬となった場合には社会保険の資格を失うというのが実際の取扱いです。

年金事務所でもこのように指導しています。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

中には無理をして社会保険に加入していることにして、損をしている経営者の方もいらっしゃいます。

具体的なことは、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.07.解決社労士

<一斉休憩の原則>

労働基準法の前身は工場法でした。工場では、労働者に一斉に休憩を与えるのが効率的です。

現在、休憩時間は事業場ごとに一斉に与えなければならないというのが、工場だけではなく原則的なルールとなっています。〔労働基準法34条2項本文〕

つまり、労働者に対して交代で休憩時間を与えることは、原則として認められません。

 

<事業の種類による例外>

運送事業、販売・理容の事業、金融・保険・広告の事業、映画・演劇・興業の事業、郵便・電信・電話の事業、保健衛生の事業、旅館・飲食店・娯楽場の事業、官公署等では、労働基準法のこの規定の適用が除外されています。〔労働基準法40条1項、労働基準法施行規則31条〕

つまり、これらの事業では、労働者に一斉に休憩を与える必要がありません。

 

<その他の事業での例外>

上記の例外に含まれない事業でも、労使協定を締結すれば、休憩時間を一斉に与える必要はなくなり、交代で休憩時間を与えることもできるようになります。〔労働基準法34条2項但書き〕

しかも、この労使協定は36協定などと違って、労働基準監督署長への届出が不要です。

それでも、無ければ労働基準監督署の監督(調査)が入ったときには指摘されますから、一斉に休憩を取らせない事業場では、労使協定書を作成して保管しておきましょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

36協定書の届出すらしていない会社もありますが、必要な労使協定が無いのは違法ですから、一度、信頼できる社労士にご相談のうえ、作成して保管しておくことを心からお勧めします。

 

2017.08.06.解決社労士

<就業規則の有効性>

裁判所の判断によると、就業規則はその変更を含め、周知されていないと効力がありません。これは、労働基準監督署長に届出をしていても同じです。

このことから明らかなように、届出は法令により義務づけられているものの、届出で有効になるわけではなく、周知することによって有効になるのです。

 

<周知の意味>

「周知」という言葉は、本来、周(あまね)く=広く知らせるという意味です。しかし、就業規則について求められる周知は、内容について一人ひとりの従業員に知らせることではありません。就業規則ができたこと、変更されたことだけ伝えておいて、あとは見ようと思えば見られる状態にしておけば良いのです。

たとえば、就業規則のファイルを休憩室やロッカー室に置いておくとか、パソコンやスマートフォンで見られるようにしておくのです。ただし、アルバイトやパート社員などを含め、すべての従業員に見られるようにしておく必要があります。

 

<事業の拠点が複数ある場合>

営業所や店舗など、会社の事業の拠点が複数ある場合には、すべての職場で就業規則を周知する必要があります。周知されていない職場の従業員に対しては効力がありません。そうした職場では、たとえば懲戒処分ができないことになります。

印刷した就業規則をファイルの形で置いておく形なら、本社だけでなくすべての営業所や店舗などに置く必要があります。そして、アルバイトでも気軽に見られるよう、休憩室などに置くのが普通です。店長や所長の机の引き出しに入っていたのでは周知になりません。

就業規則をパソコンで見る形になっている場合には、やはりアルバイトでも気軽に見られる状態にしておく必要があります。正社員はパソコンを使えるけれども、アルバイトは触れないというのでは、アルバイトに対して周知になりません。

 

<会社目線の素人判断では>

「就業規則の変更は社員に知らせなくても労働基準監督署長に届け出れば有効」「まず届出をしてから社員に知らせるのが正しい」という誤解は生じやすいものです。

就業規則に限らず、「うちは昔からこれでやっている」ということで、毎回、間違いを繰り返していたり、法改正を知らずに違法な状態から抜け出せずにいたりということもあります。

柳田事務所では、社内に労働法違反の点が無いか、もし労働基準監督署の監督(調査)が入ったらどの部分の違法を指摘されるか、あるいはどのような改善を求められるかというチェック(労働条件審査)も行っております。

いずれにせよ、いつも行っていることが本当に正しいのか、少しでも不安に感じることがあれば、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2017.08.05.解決社労士

<36協定の抜け道のハズが>

新国立工事で自殺した男性が、上限月80時間を超える時間外労働をしたのに、将来代休を取る予定にしてその時間分を差し引くことで、80時間未満と申告していました。この方法は、この職場で長年の慣習だったようです。

本来、会社と労働者との間で適法な36協定を交わし、所轄の労働基準監督署への届け出をしていなければ、法定労働時間を超える残業は1か月に1分でも違法です。

この会社では、時間外労働の上限が月80時間と言われています。この内容での36協定書の届け出があって、手続きは適法なのに運用が違法だったということになるのでしょう。

 

<違法な慣習の発生メカニズム>

社内のある部門で、会社のルール通りにやっていては上手くいかないときに、その部門の部長や事業部長などが「いいこと考えた」とばかりに、少しルールを曲げて運用し、上手くいったつもりになってしまうことがあります。

これが会社目線の素人判断であり、労働法の中のある法令のある規定に違反して違法であったとしても、偉い人の言うことには逆らえませんから、これがその部門での新たな慣習として定着してしまうのです。

もし「いいこと考えた」のが社長であれば、人事部門の責任者も逆らえないという可能性すらあります。

 

<違法な慣習の例>

違法な慣習は、一部の部門だけでなく会社全体に蔓延していて、就業規則に違法な規定が置かれていることもあります。所轄の労働基準監督署は就業規則の届けを受付けているわけですが、細かいチェックまではできないのです。

違法な慣習としては、次のような例があります。

・正社員には年次有給休暇を取得させない。

・臨時アルバイトには労災保険を適用しない。

・軽いケガであれば労災にも健康保険証を使わせる。

・妊娠したら退職するルールがある。

・日給制、日給月給制、年俸制で残業手当を支給しない。

・その日の仕事が終わった時点が終業時刻としている。

・会社で決められた制服への着替え時間が勤務時間外とされている。

・遅刻に対する「罰金」の定めがある。

・会社の備品を壊すと新品を弁償させられる。

まだまだキリがないですね。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

今日まで何も問題が無くても、明日には事件が起きてマスコミが大々的に報じ、違法な慣習があったことについて深く反省させられるかもしれません。

たとえば、国が少子高齢化対策を強化している今、「パパママ育休プラス」「子の看護休暇」を知らない経営者の方は、基本的なことだけでも確認しておくことをお勧めします。

面倒でしたら、信頼できる社労士を顧問に置いておくという手もありますので、お近くの社労士にご相談ください。

 

2017.08.04.解決社労士

<労働基準監督署に相談した場合>

未払い賃金の金額を具体的に示して会社に請求したのに、支払いに応じてもらえなかったという場合には、すぐ相談に乗ってもらえます。

しかし、給与明細書を見て「残業代が付いていません」と会社に申し出ただけでは具体性に欠けます。この場合には、労働基準監督署に相談しても、まず会社にきちんと請求するように言われることが多いのです。

 

<自販機のたとえ話>

自販機にお金を入れて、商品のボタンを押して、商品は出てきたけれど、おつりが出てこないとき、自販機に書いてある連絡先に電話をかけます。

お金をいくら入れて、いくらの商品を買ったのかを話せば、駆けつけた係員が自販機を点検してから、出てこなかったお金を返してくれます。

しかし、「自販機にいくら入れたかは忘れました」「買った商品はすぐに飲んだし、何を買ったかは忘れました」と言えば、たとえそれが真実だったとしても返金できません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

不足する賃金の計算は、ネットで調べればやり方がわかるかもしれません。もしわからなければ、信頼できる社労士にご相談ください。

社労士ならば計算だけではなく、そもそも定額(固定)残業代になっていないか、雇用契約ではなく請負契約扱いになっていないか、労働時間の把握ができていないのではないか、といった広い視点から専門的に検討することになります。

場合によっては、会社の定める労働条件があやふやで、計算できないこともあります。こうした場合には、残業代の未払いよりも一段上の違法がありますから、その点について改めて労働基準監督署に相談したり、会社に適正な対応を要求したりが可能となります。

 

2017.08.03.解決社労士

<解雇の意味>

雇い主から「この条件でこの仕事をしてください」という提案があり、労働者がこれに合意すると労働契約が成立します。

労働契約は口頭でも成立します。ただ労働基準法により、一定の重要な労働条件については、雇い主から労働者に対し、原則として書面による通知が必要となっています。

解雇は、雇い主がこの労働契約の解除を労働者に通告することです。

 

<普通解雇>

狭義の普通解雇は、労働者の労働契約違反を理由とする労働契約の解除です。

労働契約違反としては、能力の不足により労働者が労働契約で予定した業務をこなせない場合、労働者が労働契約で約束した日時に勤務しない場合、労働者が業務上必要な指示に従わない場合、会社側に責任の無い理由で労働者が勤務できない場合などがあります。

 

<解雇の制限>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という規定があります。〔労働契約法16条〕

普通解雇は、この制限を受けることになります。

 

<懲戒処分の制限>

「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする」という規定があります。〔労働契約法15条〕

労働契約法の15条と16条は、重複している部分があるものの、15条の方により多くの条件が加わっています。

懲戒処分は、この厳格な制限を受けることになります。

 

<懲戒解雇の有効要件>

懲戒解雇というのは懲戒+解雇ですから、懲戒の有効要件と解雇の有効要件の両方を満たす必要があります。

普通解雇は、解雇の有効要件だけ満たせば良いのですから、懲戒解雇よりも条件が緩いことは明らかです。

 

<懲戒解雇と普通解雇の有効要件の違い>

そして、条文上は不明確な両者の有効要件の大きな違いは次の点にあります。

まず懲戒解雇は、社員の行った不都合な言動について、就業規則などにぴったり当てはまる具体的な規定が無ければできません。しかし普通解雇ならば、そのような規定が無くても、あるいは就業規則が無い会社でも可能です。

また懲戒解雇の場合には、懲戒解雇を通告した後で、他にもいろいろと不都合な言動があったことが発覚した場合にも、後から判明した事実は懲戒解雇の正当性を裏付ける理由にはできません。しかし普通解雇ならば、すべての事実を根拠に解雇の正当性を主張できるのです。

ですから懲戒解雇と普通解雇とで、会社にとっての影響に違いが無いのであれば、普通解雇を考えていただくことをお勧めします。特に、両者で退職金の支給額に差が無い会社では、あえて懲戒解雇を選択する理由は乏しいといえます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

広義の普通解雇には、労働者の労働契約違反を理由とする解雇の他に、整理解雇が含まれます。

整理解雇とは、雇い主側の経営上の理由による解雇をいいます。

解雇は、解雇権の濫用とされれば無効になるわけですが、会社目線の素人判断ではいけません。具体的なケースで解雇の有効性に疑問がある場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

解雇を検討する最初の段階でご相談いただければ、時間、労力、経費、人件費、精神力を大幅に削減できます。

 

2017.08.02.解決社労士

<かたり調査>

国の調査名をかたって不正に情報を収集する「かたり調査」にはご注意ください。

ネットであれこれ調べてみれば、ニセモノは判断がつきます。心配なら、総務省に確認するのが確実です。

 

<回答の義務>

案内文には、「協力してください」という書き方がしてあります。

しかし、統計法第13条では、国の重要な統計調査である基幹統計調査について、「個人又は法人その他の団体に対し報告を求めることができる」と規定しています(報告義務)。

また、同法第61条では、「報告を拒み、又は虚偽の報告をした者」に対して、「50万円以下の罰金に処する」と規定しています。

これらの規定は、個人情報保護法に優先して適用されます。

罰則の規定はともかく、国の重要な統計調査ですから協力しましょう。

なお、基幹統計調査以外の統計調査はアンケートですから、原則として回答は任意です。

 

<調査対象事業所の選定方法>

すべての事業所を対象とする調査を除き、全国の縮図となるように一定の精度を保つ標本数を確保しつつ、無作為に事業所を選ぶ方法を採っています。

つまり、くじ引きに当たったようなものです。意図的に選ばれるわけではありません。

 

<秘密の保護>

調査対象となった人や法人には調査に回答する義務がある一方、安心して調査に回答できるよう、調査員を始めとする調査関係者に対しては、調査で知り得た内容について秘密を保護することが統計法第41条で規定されています。

また、この法律では、第39条で調査票情報を適正に管理すること、第40条で調査票情報を統計調査の目的以外に使用してはならないことがそれぞれ規定されています。調査関係者に対しては、これらの規定を厳守するよう指導を徹底しています。

ですから、税金徴収の資料として流用されたり、労働基準監督署の監督に利用されたりすることもありません。

 

※基幹統計調査は、現在56あります。

•国民経済計算

•国勢統計

•住宅・土地統計

•労働力統計

•小売物価統計

•家計統計

•個人企業経済統計

•科学技術研究統計

•地方公務員給与実態統計

•就業構造基本統計

•全国消費実態統計

•社会生活基本統計

•経済構造統計

•産業連関表

•人口推計

•法人企業統計

•民間給与実態統計

•学校基本統計

•学校保健統計

•学校教員統計

•社会教育統計

•人口動態統計

•毎月勤労統計

•薬事工業生産動態統計

•医療施設統計

•患者統計

•賃金構造基本統計

•国民生活基礎統計

•生命表

•社会保障費用統計

•農林業構造統計

•牛乳乳製品統計

•作物統計

•海面漁業生産統計

•漁業構造統計

•木材統計

•農業経営統計

•工業統計

•経済産業省生産動態統計

•商業統計

•ガス事業生産動態統計

•石油製品需給動態統計

•商業動態統計

•特定サービス産業実態統計

•経済産業省特定業種石油等消費統計

•経済産業省企業活動基本統計

•鉱工業指数

•港湾統計

•造船造機統計

•建築着工統計

•鉄道車両等生産動態統計

•建設工事統計

•船員労働統計

•自動車輸送統計

•内航船舶輸送統計

•法人土地・建物基本統計

 

2017.08.01.解決社労士

<無断欠勤なら>

多くの会社には、正当な理由なく無断欠勤を続けた場合には懲戒解雇とする旨の規定があります。

こうした規定を置かずに行う懲戒解雇は不当解雇となり、解雇が無効となるので、会社が大きな痛手をこうむります。

たとえ規定があったとしても、実質的な欠勤の有無、回数、理由が問題となります。

 

<年次有給休暇の取得なら>

「きょうは会社休みます」というのが、年次有給休暇取得の意図なのか、欠勤のつもりなのか、どちらとも取れる場合があります。

就業規則などに、年次有給休暇取得の手続きについての具体的な規定があれば、その手続きに従わない申し出はダメだという言い分も、一応は筋が通ります。

しかし、口頭で年次有給休暇取得の申し出を受けている職場では、「きょうは会社休みます」と言ったのが、年次有給休暇取得の意図だったという主張を退けることができません。

ましてや、病欠を後から年次有給休暇に振り替えることができるルールの職場なら、年次有給休暇扱いにせざるを得ないでしょう。

少なくとも、年次有給休暇取得の意図を主張されたら、「正当な理由なく」欠勤したという扱いはむずかしくなります。

 

<年次有給休暇取得の拒否>

同僚や上司の迷惑も顧みず、「きょうは会社休みます」と言って休んでしまう社員に対しては、年次有給休暇取得を拒否したくなるかもしれません。

しかし、ご存知の通り、年次有給休暇は労働基準法が認めた労働者の権利です。〔労働基準法39条〕

週1回しか勤務しないアルバイトにも、この労働基準法に基づく厚生労働省令によって、年次有給休暇が与えられています。

「この日に年次有給休暇を取得します」という申し出に対して、「ダメ」と言ったら1回につき6か月以下の懲役刑または30万円以下の罰金刑が定められています。〔労働基準法1091号〕

これとは別に、社員から慰謝料を請求されることもあります。

結局、会社側は「取らせない!」とは言えないことになります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

従業員が少ない会社でも就業規則を作成し、年次有給休暇のルールを規定しておくべきです。

また、社員教育をきちんとして、労働者の権利を振りかざすことが、場合によっては権利の濫用になることを説明しておくべきです。

就業規則の作成・改定・運用も、社員教育も社労士の得意分野ですから、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.31.解決社労士

<基本的な資質不足>

仕事をサボるような人は、採用しないのが一番です。

採用面接の段階で、次のような傾向が見られる人は、サボり癖のあることが疑われますので、よく観察して怪しければ採用を見送るのが得策です。

・履歴書の文字が乱雑

・履歴書の文字が抜けている

・濁点や半濁点が付いていない

・カタカナのコとユ、シとツ、ナとメ、ソとリとンが書き分けられない

・身だしなみがルーズ

・態度が馴れ馴れしい

履歴書については、作成に制限時間は無いですし、何度でも再確認できるわけですから、ここで手を抜いている人は仕事でも手を抜きます。

 

<労働時間の把握>

労働時間の把握が大雑把な会社でサボるのは簡単です。

そうでなくても、たとえば労働基準法に従い、事業場外労働のみなし労働時間制が適用されている社員については、使用者の指揮監督が十分に及びません。

本当にみなし労働時間制が必要か、再検討の余地があります。

また、労働時間の適正な把握は、使用者に義務付けられています。そして、この義務を果たすため、社員にも協力を求めることができます。

ですから、社員にも一定の義務を課しつつ、労働時間の把握をきちんとしましょう。

具体的には、電話やメールでの定時報告、日報の活用などが考えられます。

 

<適正な人事考課>

たとえサボっていても、十分な営業成績を維持していれば、勤務態度の悪さで他の社員に対する悪影響はあるものの、大目に見ることもできるでしょう。

しかし、サボりは営業成績の低下となって現れることが多いものです。適正な人事考課を行い、給与や賞与などに反映させることができるように、仕組みを整えましょう。

サボってもサボらなくても、成果を上げても上げなくても、給与や賞与に大きな差が出ないのなら、サボりたくなるのは当然です。

 

<人事異動との関係>

営業部門に異動となった時から、開放感や自由を感じてでしょうか、サボり出す社員もいます。

この場合には、再び内勤に戻すことを打診し、改善が見られなければ、実際に異動させるしかないでしょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

GPSを使うなど厳格な管理は、社員の反発を招き、士気が低下するかも知れません。

それぞれの職場に合った仕組みの導入・活用と社員教育については、信頼できる社労士にご相談ください。

サボりを無くして、生産性を向上させましょう。

 

2017.07.30.解決社労士

平成29101日に改正育児・介護休業法が施行されるのに先立ち、厚生労働省から「育児・介護休業等に関する規則の規定例〔簡易版〕」が公開されました。

利用にあたっては、現在の就業規則との整合性や職場の具体的な事情に応じたカスタマイズが不可欠です。

詳しくは、信頼できる社労士にご相談ください。

 

育児・介護休業等に関する規則の規定例[簡易版]

 

第1条(育児休業)

1 育児のために休業することを希望する従業員(日雇従業員を除く)であって、1歳に満たない子と同居し、養育する者は、申出により、育児休業をすることができる。ただし、有期契約従業員にあっては、申出時点において、次のいずれにも該当する者に限り、育児休業をすることができる。

 一 入社1年以上であること

 二 子が1歳6か月(本条第4項の申出にあっては2歳)になるまでに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと

2 配偶者が従業員と同じ日から又は従業員より先に育児休業をしている場合、従業員は、子が1歳2か月に達するまでの間で、出生日以後の産前・産後休業期間と育児休業期間との合計が1年を限度として、育児休業をすることができる。

3 次のいずれにも該当する従業員は、子が1歳6か月に達するまでの間で必要な日数について育児休業をすることができる。なお、育児休業を開始しようとする日は、原則として子の1歳の誕生日に限るものとする。

(1)従業員又は配偶者が原則として子の1歳の誕生日の前日に育児休業をしていること

(2)次のいずれかの事情があること

 (ア)保育所等に入所を希望しているが、入所できない場合

 (イ)従業員の配偶者であって育児休業の対象となる子の親であり、1歳以降育児に当たる予定であった者が、死亡、負傷、疾病等の事情により子を養育することが困難になった場合

4 次のいずれにも該当する従業員は、子が2歳に達するまでの間で必要な日数について、育児休業をすることができる。なお、育児休業を開始しようとする日は、子の1歳6か月誕生日応当日とする。

(1)従業員又は配偶者が子の1歳6か月の誕生日応当日の前日に育児休業をしていること

(2)次のいずれかの事情があること

 (ア)保育所等に入所を希望しているが、入所できない場合

 (イ)従業員の配偶者であって育児休業の対象となる子の親であり、1歳6か月以降育児に当たる予定であった者が死亡、負傷、疾病等の事情により子を養育することが困難になった場合

5 育児休業をすることを希望する従業員は、原則として、育児休業を開始しようとする日の1か月前(3及び4に基づく1歳を超える休業の場合は、2週間前)までに、育児休業申出書を人事担当者に提出することにより申し出るものとする。

6 申出は、次のいずれかに該当する場合を除き、一子につき1回限りとする。ただし、産後休業をしていない従業員が、子の出生日又は出産予定日のいずれか遅い方から8週間以内にした最初の育児休業については、1回の申出にカウントしない。

(1)第1項に基づく休業をした者が第3項又は第4項に基づく休業の申出をしようとする場合又は第3項に基づく休業をした者が第4項に基づく休業の申出をしようとする場合

(2)配偶者の死亡等特別の事情がある場合

7 育児休業申出書が提出されたときは、会社は速やかに当該育児休業申出書を提出した者に対し、育児休業取扱通知書を交付する。

 

  《法に基づき労使協定の締結により除外可能な者を除外する例》

  2 1にかかわらず、労使協定により除外された次の従業員からの休業の申出は拒

むことができる。

   一 入社1年未満の従業員

   二 申出の日から1年以内(3及び4の申出をする場合は、6か月以内)に雇用

関係が終了することが明らかな従業員

   三 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

  ※以下、1項ずつ繰り下げ

 

第2条(介護休業)

1 要介護状態にある家族を介護する従業員(日雇従業員を除く)は、申出により、介護を必要とする家族1人につき、通算93日までの範囲内で3回を上限として介護休業をすることができる。ただし、有期契約従業員にあっては、申出時点において、次のいずれにも該当する者に限り、介護休業をすることができる。

 一 入社1年以上であること

 二 介護休業開始予定日から93日を経過する日から6か月を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと

2 要介護状態にある家族とは、負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態にある次の者をいう。

   配偶者/父母/子/配偶者の父母/祖父母/兄弟姉妹/孫

3 介護休業をすることを希望する従業員は、原則として、介護休業を開始しようとする日の2週間前までに、介護休業申出書を人事担当者に提出することにより申し出るものとする。

4 介護休業申出書が提出されたときは、会社は速やかに当該介護休業申出書を提出した者に対し、介護休業取扱通知書を交付する。

 

  《法に基づき労使協定の締結により除外可能な者を除外する例》

  2 1にかかわらず、労使協定により除外された次の従業員からの休業の申出は拒む

    ことができる。

   一 入社1年未満の従業員

   二 申出の日から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員

   三 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

  ※以下、1項ずつ繰り下げ

 

第3条(子の看護休暇)

1 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員(日雇従業員を除く)は、負傷し、又は疾病にかかった当該子の世話をするために、又は当該子に予防接種や健康診断を受けさせるために、就業規則第○条に規定する年次有給休暇とは別に、当該子が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき10日を限度として、子の看護休暇を取得することができる。この場合の1年間とは、4月1日から翌年3月31日までの期間とする。

2 子の看護休暇は、半日単位で取得することができる。

 


  《法に基づき労使協定の締結により除外可能な者を除外する例》

   1 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員(日雇従業員を除

く)は、負傷し、又は疾病にかかった当該子の世話をするために、又は当

該子に予防接種や健康診断を受けさせるために、就業規則第○条に規定す

る年次有給休暇とは別に、当該子が1人の場合は1年間につき5日、2人

以上の場合は1年間につき10日を限度として、子の看護休暇を取得する

ことができる。この場合の1年間とは、4月1日から翌年3月31日まで

の期間とする。

 ただし、労使協定により除外された次の従業員からの申出は拒むことが

できる。

一 入社6か月未満の従業員

二 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

 

第4条(介護休暇)

1 要介護状態にある家族の介護その他の世話をする従業員(日雇従業員を除く)は、就業規則第○条に規定する年次有給休暇とは別に、当該家族が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき10日を限度として、介護休暇を取得することができる。この場合の1年間とは、4月1日から翌年3月31日までの期間とする。

2 介護休暇は、半日単位で取得することができる。

 


  《法に基づき労使協定の締結により除外可能な者を除外する例》

   1 要介護状態にある家族の介護その他の世話をする従業員(日雇従業員を除く)

は、就業規則第○条に規定する年次有給休暇とは別に、対象家族が1人の場合

は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき10日を限度として、介

護休暇を取得することができる。この場合の1年間とは、4月1日から翌年3

月31日までの期間とする。

     ただし、労使協定により除外された次の従業員からの申出は拒むことが

できる。

一 入社6か月未満の従業員

二 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

 

第5条(育児・介護のための所定外労働の制限)

1 3歳に満たない子を養育する従業員(日雇従業員を除く)が当該子を養育するため、又は要介護状態にある家族を介護する従業員(日雇従業員を除く)が当該家族を介護するために申し出た場合には、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、所定労働時間を超えて労働をさせることはない。

2 申出をしようとする者は、1回につき、1か月以上1年以内の期間について、制限を開始しようとする日及び制限を終了しようとする日を明らかにして、原則として、制限開始予定日の1か月前までに育児・介護のための所定外労働制限申出書を人事担当者に提出するものとする。

 

  《法に基づき労使協定の締結により除外可能な者を除外する例》

  2 1にかかわらず、労使協定によって除外された次の従業員からの所定外労働の

制限の申出は拒むことができる。

   一 入社1年未満の従業員

   二 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

  ※以下、2項を3項に繰り下げ

 

第6条(育児・介護のための時間外労働の制限)

1 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員が当該子を養育するため又は要介護状態にある家族を介護する従業員が当該家族を介護するために申し出た場合には、就業規則第○条の規定及び時間外労働に関する協定にかかわらず、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、1か月について24時間、1年について150時間を超えて時間外労働をさせることはない。

2 1にかかわらず、次の一から三のいずれかに該当する従業員は育児のための時間外労働の制限及び介護のための時間外労働の制限を申し出ることができない。

 一 日雇従業員

 二 入社1年未満の従業員

 三 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

3 申出をしようとする者は、1回につき、1か月以上1年以内の期間について、制限を開始しようとする日及び制限を終了しようとする日を明らかにして、原則として、制限を開始しようとする日の1か月前までに、育児・介護のための時間外労働制限申出書を人事担当者に提出するものとする。

 

第7条(育児・介護のための深夜業の制限)

1 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員が当該子を養育するため又は要介護状態にある家族を介護する従業員が当該家族を介護するために申し出た場合には、就業規則第○条の規定にかかわらず、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、午後10時から午前5時までの間に労働させることはない。

2 1にかかわらず、次のいずれかに該当する従業員は深夜業の制限を申し出ることができない。

 一 日雇従業員

 二 入社1年未満の従業員

 三 申出に係る家族の16歳以上の同居の家族が次のいずれにも該当する従業員

  イ 深夜において就業していない者(1か月について深夜における就業が3日以下の者を含む。)であること

  ロ 心身の状況が申出に係る子の保育又は家族の介護をすることができる者であること

  ハ 6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産予定でなく、かつ産後8週間以内でない者であること

 四 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

 五 所定労働時間の全部が深夜にある従業員

3 申出をしようとする者は、1回につき、1か月以上6か月以内の期間について、制限を開始しようとする日及び制限を終了しようとする日を明らかにして、原則として、制限を開始しようとする日の1か月前までに、育児・介護のための深夜業制限申出書を人事担当者に提出するものとする。

 

第8条(育児短時間勤務)

1 3歳に満たない子を養育する従業員は、申し出ることにより、就業規則第○条の所定労働時間について、以下のように変更することができる。

  所定労働時間を午前9時から午後4時まで(うち休憩時間は、午前12時から午後1時までの1時間とする。)の6時間とする(1歳に満たない子を育てる女性従業員は更に別途30分ずつ2回の育児時間を請求することができる。)。

2 1にかかわらず、次のいずれかに該当する従業員からの育児短時間勤務の申出は拒むことができる。

 一 日雇従業員

 二 1日の所定労働時間が6時間以下である従業員

3 申出をしようとする者は、1回につき、1か月以上1年以内の期間について、短縮を開始しようとする日及び短縮を終了しようとする日を明らかにして、原則として、短縮を開始しようとする日の1か月前までに、短時間勤務申出書により人事担当者に申し出なければならない。

 

  《法に基づき労使協定の締結により除外可能な者を除外する例》

  2 1にかかわらず、次のいずれかに該当する従業員からの育児短時間勤務の申出は

   拒むことができる。

   一 日雇従業員

   二 1日の所定労働時間が6時間以下の従業員

   三 労使協定によって除外された次の従業員

   (ア)入社1年未満の従業員

   (イ)1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

 

第9条(介護短時間勤務)

1 要介護状態にある家族を介護する従業員(日雇従業員を除く)は、申し出ることにより、就業規則第○条の所定労働時間について、以下のように変更することができる。

  所定労働時間を午前9時から午後4時まで(うち休憩時間は、午前12時から午後1時までの1時間とする。)の6時間とする。

2 1にかかわらず、日雇従業員からの介護短時間勤務の申出は拒むことができる。

3 介護のための短時間勤務をしようとする者は、利用開始の日から3年の間で2回までの範囲内で、短縮を開始しようとする日及び短縮を終了しようとする日を明らかにして、原則として、短縮を開始しようとする日の2週間前までに、短時間勤務申出書により人事担当者に申し出なければならない。

 

  《法に基づき労使協定の締結により除外可能な者を除外する例》

  2 1にかかわらず、次のいずれかに該当する従業員からの介護短時間勤務の申出は

   拒むことができる。

   一 日雇従業員

   二 労使協定によって除外された次の従業員

   (ア)入社1年未満の従業員

   (イ)1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

 

第10条(給与等の取扱い)

1 基本給その他の月ごとに支払われる給与の取扱いは次のとおり。

 一 育児・介護休業をした期間については、支給しない

 二 第3条及び第4条の制度の適用を受けた日又は時間については、無給とする

 三 第7条、第8条及び第9条の制度の適用を受けた期間については、別途定める給与規定に基づく労務提供のなかった時間分に相当する額を控除した基本給と諸手当の全額を支給する。

2 定期昇給は、育児・介護休業の期間中は行わないものとし、育児・介護休業期間中に定期昇給日が到来した者については、復職後に昇給させるものとする。第3条~第9条の制度の適用を受けた日又は期間については、通常の勤務をしているものとみなす。

3 賞与については、その算定対象期間に育児・介護休業をした期間が含まれる場合には、出勤日数により日割りで計算した額を支給する。また、その算定対象期間に第8条及び第9条の適用を受ける期間がある場合においては、短縮した時間に対応する賞与は、支給しない。第3条~第7条の制度の適用を受けた日又は期間については、通常の勤務をしているものとみなす。

4 退職金の算定に当たっては、育児・介護休業をした期間は勤務したものとして勤続年数を計算するものとする。また、第3条~第9条の制度の適用を受けた日又は期間については、通常の勤務をしているものとみなす。

5 年次有給休暇の権利発生のための出勤率の算定に当たっては、育児・介護休業をした日は出勤したものとみなす。

 

第11条(育児休業等に関するハラスメントの防止)

1 すべての従業員は第1条~第9条の制度の申出・利用に関して、当該申出・利用する従業員の就業環境を害する言動を行ってはならない。

2 1の言動を行ったと認められる従業員に対しては、就業規則第○条及び第△条に基づき、厳正に対処する。

 

第12条(法令との関係)

 育児・介護休業、子の看護休暇、介護休暇、育児・介護のための所定外労働の制限、時間外労働及び深夜業の制限、育児短時間勤務並びに介護短時間勤務に関して、この規則に定めのないことについては、育児・介護休業法その他の法令の定めるところによる。

 

(附則)本規則は、平成○年○月○日から適用する。

<試用期間とは>

試用期間については、最高裁判所が解約権留保付労働契約だと言ったために、何か特別な契約期間であるかのように思われがちです。〔昭和441212日三菱樹脂事件判決〕

しかし、最高裁判所が試用期間について述べたのは、判決を下すのに必要があって述べたわけではなく、ついでに語っただけです。試用期間であれば、本採用後よりも解雇のハードルが低くなる趣旨のことを述べていますが、具体的に、どの項目についてどの程度低くなるのかは語っていません。

結局、試用期間も本採用後も労働契約の期間であることに変わりは無く、両者の違いを明確に説明することはできません。

それでも、試用期間であれば、本採用後とは違った扱いができるという勘違いは、多くの企業に存在しています。

 

<社会保険の加入基準>

週所定労働時間が正社員(フルタイムで働く正規職員)の4分の3以上で、月間所定労働日数も4分の3以上であれば、社会保険の加入基準を満たします。(特定適用事業所を除きます)

会社によって、正社員の所定労働時間・日数は違いますから、この基準は会社ごとに違うわけです。

加入の手続きを怠っていても、条件を満たすとともに加入したことになります。

そして、試用期間と本採用後とで加入基準の違いはありません。

基準を満たしている限り、試用期間の初日から社会保険に加入していることになります。

 

特定適用事業所とは、同一事業主(法人の場合はマイナンバー制度の法人番号が同一)の社会保険適用事業所の被保険者数(社会保険加入者数)が、1年で6か月以上500人を超えることが見込まれる法人・個人の事業所のことをいいます。 特定適用事業所は、平成2810月の健康保険・厚生年金保険の適用拡大により区分されました。

 

<年金事務所の指導>

算定基礎届提出時の調査の際には、試用期間中に社会保険の加入手続きをせず、本採用時に手続きをしている事業所に対して、試用期間の初日に遡って加入手続きをするよう、年金事務所の職員の方から指導があります。

そして、判明している社員については、遡って手続をするための書類も作成して、代表印の捺印もさせています。

こうして不足する期間の保険料については、他の社員の保険料とまとめて支払うことになります。

「でも、試用期間は社会保険に入れたくないのですが」というお話に対して、年金事務所の職員の方は、「それでは、試用期間中は1日の勤務時間や1か月の勤務日数を少なくして、社会保険の加入基準を満たさないようにしてください。それしかありません」という明快な説明をしています。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社会保険のルールは、基本的に全国統一でなければ不公平が発生してしまいます。ですから、会社オリジナルのルールで運用できる範囲は、極めて限られているのです。

そして、会社オリジナルのルールで運用したことによって、不利益が発生したことに気付いた退職者から申し出があれば、その損失を補てんすることになりかねません。

自社で行っていることに不安を感じたら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.28.解決社労士

<算定基礎届提出時の調査>

6月中旬、会社宛てに算定基礎届の用紙、総括表、総括表附表が郵送されてきます。このとき、提出日時を指定する内容のお手紙が同封されていることがあります。

一般には、算定基礎届関係の書類は事務センターに郵送するのですが、提出日時を指定された場合には、管轄の年金事務所に持参ということになっています。

提出にあたっては、賃金台帳、出勤簿(タイムカード)、源泉所得税領収証書などの書類や事業主印を持参するように案内されています。

そして、お手紙には「調査」という文字が入っていて、驚いてしまうかもしれません。何か不正を疑われているのか、怪しいと思われているのか、なぜ自分の会社が対象となったのかについての説明はありません。

実は、3年から5年に1回の間隔で、すべての事業所が調査対象となっています。無作為抽出なわけで、年金事務所が何かの意図をもって選んでいるわけではありません。

 

<調査の趣旨>

お手紙には、調査の趣旨として「社会保険適用の適正化」とだけ書かれています。

具体的には、次のような点が調査の対象となっています。

・社会保険の加入条件を満たす人について加入の届けがあるか

・社会保険の加入条件を満たしていない人が加入扱いになっていないか

・加入したときの報酬の届け出の金額が正しいか

・算定基礎届の内容が正しいか

・報酬が大きく変動して一定の条件を満たした場合の届け出があるか

これらの手続きについて、税理士などに頼んでしまっている会社もあります。しかし、税理士は年度単位で集計するのに対し、算定基礎届以外の手続きは日常的に発生します。そもそも、税理士の仕事ではなくて、社会保険労務士でなければ業務として行えない手続きなのです。〔社会保険労務士法27条〕

ですから、こうした手続きを顧問の税理士などが、きちんとできなくても仕方が無いですし、そもそも頼んではいけないのです。

 

<不備が見つかった場合>

手続きの誤りや不足を指摘されると、さかのぼって正しい手続きを行うことになります。保険料についても、支払い過ぎは還付されますし、不足はまとめて徴収されます。

社会保険料は高いですから、まとめて徴収されるのは辛いです。反対に還付されるのも、無利子で多額の金銭を貸し付けていたようなものですから喜べません。

社会保険というのは条件を満たせば自動的に加入しています。手続きをしていないのは、手続きをサボっているだけで、加入手続きをしなければ加入しないことになるわけではありません。赤ちゃんが生まれた時、出生届を出さなければ戸籍が無いだけで、赤ちゃんの存在が否定されるわけではないのと似ています。

 

<書類の追加郵送>

調査に必要な書類が不足している場合には、後から管轄の年金事務所に郵送するよう求められます。

そもそも調査の具体的な趣旨が示されていませんので、どのような書類が必要なのか、本当のところはわからなかったわけですから仕方ありません。

もっとも、調査の趣旨を良くわかるようにして案内を出していたら、多くの会社は尻込みしてしまうでしょう。

調査の趣旨を具体的に示さないのは、それなりの意図があるのかもしれません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

算定基礎届の提出日時を指定されたら、相談相手は税理士ではなくて社労士です。

このことは、税理士に確認すればすぐにわかります。ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.27.解決社労士

<解雇は無効とされやすい>

会社が社員に解雇を通告しても、それが解雇権の濫用であれば無効になります。これを不当解雇といいます。解雇したつもりになっているだけで、解雇できていないので、対象者が出勤しなくても、それは会社側の落ち度によるものとされ、賃金や賞与の支払義務が消えません。会社にとっては、恐ろしい事態です。

出来てからまだ10年も経っていない労働契約法という法律に次の規定があります。

 

(解雇)

第十六条   解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

大変抽象的な表現ですから、いかようにも解釈できそうです。しかし、正しい解釈の基準は裁判所の判断です。

そして、裁判所の判断によれば、解雇権の濫用は簡単に認定されます。つまり、多くの場合、不当解雇が認定されます。

 

<「客観的に合理的な理由」とは>

「客観的に合理的な理由」とは、誰が見ても解雇はやむを得ないという理由です。

なぜなら、誰が見ても正しいというのが、客観的に正しいということだからです。

ただし、当事者である会社側と対象社員は「誰が見ても」の「誰」からは除かれます。当事者は、主観的に考えてしまうからです。

ソーシャルメディアに悪質な投稿をした社員の解雇に「客観的に合理的な理由」が認められるためには、次のような条件が必要です。

・投稿された映像の内容が悪質であること

・会社にソーシャルメディアの利用に関するガイドラインが存在すること

・社員にガイドラインを遵守する旨の誓約書を書かせていること

・ガイドラインの遵守義務が就業規則に規定されていること

・ガイドライン違反についての懲戒規定があること

・ガイドライン遵守の重要性について十分な教育研修を行っていること

・ソーシャルメディアの利用に関し管理職が部下に注意指導していること

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社員が何か不都合な行為を行った場合でも、懲戒処分を行うには、それなりの準備が必要だということです。ましてや、懲戒解雇ともなれば用意周到である必要があります。

対象者から争われ、不当解雇とされた場合のダメージは、かなり大きいものがあります。

他のケースを含め、必要に応じて適正な懲戒処分が行えるようにするためには、信頼できる社労士にご相談ください。

 

<ついでに…>

パソコンのデータが消えた時のために、データのバックアップを取っておくことは、多くの会社で行われています。

しかし、パソコンが立ち上がらなくなった時のために、再セットアップディスクなどを作成しておくことは、意外とされていません。

面倒に思われても、予め準備しておくことは大事だと思います。

「備えあれば患いなし」というのは、懲戒処分と共通するものがあります。

 

2017.07.26.解決社労士

<算定基礎届の調査会場で>

年金事務所の会議室にいると「うちは仕事が終わったところが定時です」「日給制なので残業手当はありません」という事業主さんの声が聞こえてきます。

もちろん、これらは違法である可能性が高いのですが、労働基準については年金事務所の管轄外ですから、指導する権限は無く、職員や行政協力で参加している社会保険労務士からの指摘はありません。

しかし、「役所でこの話をしたけれど問題は指摘されなかった」と言いふらされるのも困りものです。

 

<役所と言っても>

「役所」と呼ばれるものにも、いろいろなものがあります。

厚生労働省の管轄下で、社会保険労務士の業務と深い関連のあるものには、次のようなものがあります。

年金事務所 ― 年金の相談、調査、手続きなど

協会けんぽ ― 健康保険の相談、手続きなど

ハローワーク ― 求人、求職、職業訓練、雇用保険の手続きなど

労働基準監督署 ― 労働基準関係の監督、労働安全衛生、労災保険に関すること

それぞれが独立していますし、元々厚生省の管轄下にあった年金・健康保険と、労働省の管轄下にあった雇用保険・労災保険とでは、やり方や考え方に違いが見られます。

ですから、このうちのどこかでOKをもらったとしても、他の保険関係ではダメと言われることもあるのです。

 

<お客様の立場からすると>

お客様にしてみれば、どこか1つの機関で相談すれば、すべて解決するというのが便利です。

しかし、権限外のことについて尋ねられた時に、他の機関に成り代わって無責任な回答をすることは許されないでしょう。ですから、他の機関を紹介することになります。どうしても「たらい回しにされた」という印象を持たれてしまうことは避けられません。

もしすべて一括して相談したいのであれば、信頼できる社会保険労務士にご相談ください。

 

2017.07.25.解決社労士

<労働時間の定義>

労働時間とは、「労働者が実際に労働に従事している時間だけでなく、労働者の行為が何らかの形で使用者の指揮命令下に置かれているものと評価される時間」と定義されます。

これは、会社ごとに就業規則で決まったり、個人ごとに労働契約で決まったりするのではなく、客観的に決められている定義です。

 

<直行直帰の場合の労働時間>

会社に立ち寄らず、直接工事現場などに行き、そこから直接帰宅する場合には、自宅から現場までの移動時間と現場から自宅までの移動時間が、使用者の指揮命令下に置かれない状態のことがあります。

この場合には、現場での勤務時間が労働時間ということになります。

ですから、なんとなく移動時間を労働時間に含めて賃金を計算しているのであれば、会社の人件費負担がその分だけ多めになっている可能性があります。

 

<労働時間となる場合>

直行直帰の移動時間でも、使用者の指揮命令下に置かれているものと評価され、その時間に対する賃金の支払いが必要な場合も多いものです。たとえば、次のような場合には労働時間となります。

・使用者から自宅を何時に出発するかを指示されている場合

・一度会社に立ち寄ってから現場に向かう場合の会社から現場までの移動時間

・移動中に同僚と仕事の打合せをするように使用者から指示されている場合

・一緒に移動するメンバーの中に行動や時間の管理をする者がいる場合

・使用者から移動中に物品の監視をするように指示されている場合

 

<黙認で労働時間となるケース>

たとえば、使用者から移動中の打合せを指示していなくても、それがなんとなく自主的に行われていて、使用者側が見て見ぬふりをしていたら、黙示の指示があったものとみなされ、労働時間になってしまう場合もあります。

複数のメンバーで直行直帰する場合には、「仕事の話などせず趣味の話でもしながらくつろいで過ごしなさい」ということになっていれば、労働時間にはならないわけです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

実際に労働時間に含まれるかどうかは、専門的で客観的な判断が必要になりますから、就業規則に定めるなどルール化する場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

後になってから、未払い賃金を請求されると、一度に予定外の出費が発生しますから注意したいところです。

 

2017.07.24.解決社労士

<解雇は無効とされやすい>

会社が社員に解雇を通告しても、それが解雇権の濫用であれば無効になります。これを不当解雇といいます。解雇したつもりになっているだけで、解雇できていないので、対象者が出勤しなくても、それは会社側の落ち度によるものとされ、賃金や賞与の支払義務が消えません。会社にとっては、恐ろしい事態です。

出来てからまだ10年も経っていない労働契約法という法律に次の規定があります。

 

(解雇)

第十六条   解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

大変抽象的な表現ですから、いかようにも解釈できそうです。しかし、正しい解釈の基準は裁判所の判断です。

そして、裁判所の判断によれば、解雇権の濫用は簡単に認定されます。つまり、多くの場合、不当解雇が認定されます。

 

<「客観的」の落とし穴>

「客観的に合理的な理由」を欠けば、解雇権の濫用となり、解雇は無効となるわけです。

しかし、当事者である会社側と対象社員の言い分は、完全に主観的なものです。会社がそれなりの理由を示して解雇を通告した場合、その解雇理由は主観的な判断により示したものです。また、これに対する対象社員の反論も主観的なものです。ですから、「どちらが正しいか」という議論は、解雇の有効性については無意味です。

あくまでも、「客観的に合理的な理由」が有るか無いかによって、解雇権の濫用となるか否かが決まってきます。

 

<「客観的に合理的な理由」とは>

「客観的に合理的な理由」とは、誰が見ても解雇はやむを得ないという理由です。

なぜなら、誰が見ても正しいというのが、客観的に正しいということだからです。

ただし、当事者である会社側と対象社員は「誰が見ても」の「誰」からは除かれます。当事者は、主観的に考えてしまうからです。

解雇の「客観的に合理的な理由」となりうるものとしては、次のものが挙げられます。

まず、労働者の著しい能力不足や協調性不足です。これは、会社側が十分な教育指導を行っていることが前提となります。教育指導をせずに、会社が能力不足や協調性不足を主張することはできません。

つぎに、労働者が正当な理由なく遅刻や欠勤を繰り返していることです。ただし、長時間労働などで疲労が蓄積しているような場合には、会社に落ち度があるので「客観的に合理的な理由」にはなりません。

さらに、労働者の不法行為や反社会的行為は、「客観的に合理的な理由」となりえます。しかしこれは通常、懲戒解雇でしょうから、就業規則に具体的な規定があることや、対象社員が十分な弁明の機会を与えられるなど、厳格な条件を満たし適切な手順を踏んでいる場合に限り可能です。

そして、会社が解散するような場合には、「客観的な合理性」が認められるのが原則です。会社の経営不振による整理解雇であれば、対象者の選択基準の合理性が問題とされます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

やはり「客観的」というのがネックになって、社内で検討し結論を出すのにはリスクを伴います。

解雇を検討する場合には、なるべく早く、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.23.解決社労士

<常識的な判断>

社員が詐欺や障害などの刑事事件を起こし、警察のお世話になって、テレビのニュースに出たような場合、常識的な判断からは、懲戒解雇が当然であり、解雇にならないのは非常識だと思えるでしょう。

しかしこれは、会社目線の素人判断です。

「ごめんで済めば警察は要らない」のと同じように、「常識で済めば法律は要らない」のです。

そして労働者は、労働基準法をはじめ多くの労働法によって保護されていますから、たとえ犯罪に走った場合でも、簡単には解雇が認められないのです。

この場合、会社が解雇を通告しても、解雇は無効になります。「不当解雇」とされるわけです。

 

<懲戒解雇が有効となる場合>

まず、社員の行為が懲戒事由にあたることが必要です。懲戒事由にあたるといえるためには、就業規則に具体的な規定があるか、労働条件通知書や雇用契約書にその旨が定めてあることが必要です。

会社が法定の就業規則や労働条件通知書などの作成を怠っていれば、そもそも懲戒解雇ができないことになります。

またその懲戒が、労働者の行為の性質や態様その他の事情から、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められることも必要です。〔労働契約法15条〕

さらに、犯罪行為を行ったことの証拠も必要です。マスコミによって報道されても、犯罪の証拠があるとは限りませんから要注意です。

特に、本人が犯行を否認していて、本当に犯罪が行われたかどうかが明らかでない場合には、犯行があったことを前提として懲戒処分を行うことは危険です。懲戒処分は、あくまでも確実な証拠から認定できる事実に基づいて行わなければなりません。

この他、犯罪が軽微なものであり、懲戒処分を行うにしても解雇は行き過ぎという場合もあります。

そして、勤務時間外の犯罪行為であれば、私生活上の行為を理由として懲戒処分を行うことになりますから、懲戒処分が正当化されるのは、会社の名誉や信用などの社会的評価を大きく侵害するような場合に限定されます。

 

<会社によっても違う>

懲戒解雇の有効性について裁判では、会社の事業の種類、態様、規模、経済界に占める地位、経営方針、対象社員の会社での地位や職種など、あらゆる事情から総合的に判断して、犯罪行為による会社の社会的評価に及ぼす悪影響が相当重大であると客観的に評価できるかどうかという観点から判断されています。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

本当に懲戒解雇にしても大丈夫なのか、懲戒解雇にできない場合にはどうするのか、退職金の支給はしなくても大丈夫なのか、後任はどうするのか、社内への説明はどうするのかなど、検討すべきことは多岐にわたります。

会社としての対応を検討する場合には、一刻も早く、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.22.解決社労士

<報告書の負担>

報告書の作成には、個人差はあるものの、それなりの時間がかかります。

報告書の無駄を省くことは、会社にとって人件費の削減となり、生産性が向上し、一方で社員のストレス軽減となります。

つまり、メンタルヘルス対策にもなるのです。

 

<報告書の種類>

日報、週報、月報という時間の区切りにより内容が異なってきます。日報は一番負担が重く、人件費がかかります。月報は負担が軽い一方で、情報の伝達が遅くなる可能性があります。

本当に毎日の報告が必要なのか、毎週の報告が必要なのか、項目ごとに見直しをかけてみましょう。

 

<報告書の内容>

そのタイミングで数字は必要か、翌日ではダメなのか、感想は必要か、事実だけではダメなのか、見直すポイントが最も多いのは報告書の内容です。

その内容が必要だとしても、その報告書の中に必要なのか、別の報告書に移した方が良いのではないかを検討してみましょう。

 

<手書きかパソコンか>

パソコンを使って報告書を作成させるのが主流となっています。

しかし、手書きなら30分で作成できる報告書を、パソコンで3時間かけて作っていたら、おそらく無駄な残業時間が発生しています。なにより、本人のストレスが半端ではありません。

どうしてもパソコンが苦手な社員には、手書きで報告書を作成させましょう。メールで送信する必要があるのなら、誰かがスキャンしてメールに添付すれば良いだけです。

 

<報告書作成の時間帯>

営業社員などが帰社後に報告書を作成するパターンは多いものです。しかし、翌日や翌々日に作成してはダメなのでしょうか。

帰社後に報告書を作成したら、その時間は丸々残業時間になります。「営業手当」を支給しているから残業代を支払わないというのは、ブラック企業のやることです。

持ち帰って自宅で書かせるのも、残業時間となります。その時間に対する割増賃金を支払わないのも、これまたブラック企業のやることです。

しかし、翌日の手空き時間や移動時間に書かせるのなら、残業時間とはなりにくいでしょう。たしかに、仕事の密度が上がって辛いかもしれませんが、本人にとっても長時間労働の予防になりますし、会社にとっては人件費の削減になります。

 

<報告書作成のための教育>

短時間で優れた報告書を作成できるよう、社員教育も大事です。教育にお金と時間をかければ、何倍にもなってかえってきます。

「飢えた人に魚を与えれば、一日の飢えから救うことができる。代わりに魚の釣り方を教えれば、一生の飢えから救うことができる」という名言があります。

人手不足の時代には、どうしても社員教育が後回しになります。しかし、これでは会社の成長が望めません。

人手不足の対策としても、一人ひとりの能力向上は重要です。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

報告書の見直しにしても、社員教育にしても、社内でまかないきれない場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.21.解決社労士

<管理監督者の処遇>

良く知られていることですが、管理監督者には残業代の支給が必要ありません。〔労働基準法41条〕

役職手当や管理職手当などの名目で、一般社員とは一線を画した高額の手当が支給されているので、これを含む固定給をベースに計算した残業手当を支給しなくても、十分な総支給額になるから問題ありません。

 

<責任の重い管理監督者>

管理監督者には強大な権限が与えられている一方で、その役割や責任も重いものです。

しかし、自覚の不十分な新米管理監督者は、「残業手当が出ないから毎日早く帰ろう」「時間管理が無いから遅刻しても大丈夫」「土日は趣味と家族サービスに充てよう」といった甘い考えをもってしまう危険があります。

パートやアルバイトに使われている労働条件通知書をカスタマイズして、管理監督者向けに説明する文書を作成し、これを用いて説明するとともに署名してもらうなどして、自覚を促しておく必要があるでしょう。

そして、もし管理監督者にふさわしくない言動が見られたら、もう一度、この文書を示して問題点を指摘すべきです。

 

<管理監督者の基準>

管理監督者といえるかどうかは、その人の肩書ではなく、職務内容、責任、権限、勤務態様、待遇などの実態により判断されます。

管理監督者といえるための最低限必要な条件は、すべて満たしていることが必要です。

・経営者と一体的な立場で仕事をしていること

・出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていないこと

・その地位にふさわしい待遇がなされていること

実態として、部長という肩書の社員の中でも、これらの条件を満たしているのは極わずかでしょう。

社員でありながら、実質的には取締役のような立場にある人だけが、管理監督者といえるのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

権限ばかりを振りかざし、役割と責任を果たさないブラック管理監督者が出て来ないよう態勢を整えるには、信頼できる社労士にご相談ください。

ただし、権限を与えられず、役割と責任を押し付けられている「名ばかり管理監督者」に、残業代を支給しないのは違法ですので、くれぐれもご注意ください。

 

2017.07.20.解決社労士

<パワハラ教育の充実>

パワハラ防止のための社員教育が、中小企業でも進んできています。そうした中で、昔のことについて「あの行為はパワハラだったのでは?」という疑問も出るようになってきています。

昔のパワハラ行為を、懲戒処分の対象とすることはできるのでしょうか。

 

<刑罰不遡及の原則>

今現在の就業規則に、問題とされる具体的なパワハラ行為についての懲戒規定があるとしても、昔の行為当時に規定が無かったならば、さかのぼって懲戒規定が適用されることはありません。

これは、刑罰不遡及の原則によるものです。〔日本国憲法39条〕

 

<時効の問題>

労働基準法は、賃金などの請求権について2年間、退職金について5年間の消滅時効期間を定めています。〔労働基準法115条〕

これは、民法に規定されている請求権の時効の例外を定めているものです。

しかし、懲戒処分は請求権ではないので、この規定とは無関係です。

また刑事訴訟法には、犯罪が終わった時から一定期間を過ぎると公訴が提起できなくなるという公訴時効についての規定があります。

しかし、これは国家が刑罰を科す場合の規定ですから、民間企業の懲戒処分には適用されません。今でも、遅刻すると罰金3,000円などブラックな話も聞かれますが、民間企業が従業員に罰金を科すということなど、あってはならないことです。

結局、懲戒処分に時効期間の規定は無いのです。

 

<民法の基本原則>

時効が無いのだから、どんなに昔のことでも懲戒処分の対象となりうるというのでは、安心して勤務できません。

労働契約も契約の一種ですから、民法の信義誠実の原則や権利濫用の禁止があてはまります。

権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。〔民法1条2項〕

権利の濫用は、これを許さない。〔民法1条3項〕

ということで、あまりにも昔のことを持ち出して懲戒処分を行うのは、不誠実で懲戒権の濫用となり無効であるというのが結論となります。

 

<裁判では>

最高裁の裁判では、7年前の暴行を理由に懲戒解雇処分を行ったのは、懲戒権の濫用であり無効であるという判決があります。1審では解雇無効、2審では解雇有効、そして最高裁で解雇無効という判断でした。

最高裁は、会社が警察の判断を待っていて懲戒処分のタイミングを見失ったという主張を退け、会社には懲戒処分を行うチャンスがあったのに怠っていたと判断したのです。また、そこまでひどい暴行ではなく、解雇は行き過ぎだとも言っています。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

会社に懲戒規定を置く目的として、次のようなものが挙げられます。

・懲戒対象の社員に反省を求め、その将来の言動を是正する。

・懲戒が行われることで、他の社員は道義感が満たされ安心して働ける。

・懲戒対象となる行為が明確になり、社員全員が伸び伸びと行動できる。

・懲戒規定があることで、社員全員が不正行為を思いとどまる。

一般には、行為者を懲らしめる目的だけがクローズアップされがちですが、他の目的も重要です。

こうした目的からすると、タイムリーな懲戒処分が必要なわけですが、会社としては懲戒権の濫用を指摘されないよう、慎重に行う必要もあります。

懲戒処分を検討するのでしたら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.19.解決社労士

<トラブル解決に不足している3つの力>

経営者が労務管理のプロであるか、人事部門に専門家がいるような会社ではない限り、社内で労働トラブルが発生すると必然的にこじれます。

それは、解決に必要な情報収集力、専門的判断力、情報伝達力の3つが不足しているからです。

 

<情報収集力>

われわれ人間を含め、生物が何か判断するためには情報が必要です。

どんなに優れた経営者でも、社員から正確な情報が得られなければ、経営についての重要な判断を誤ってしまいます。

そして、具体的な労働トラブルの解決に必要な情報が何であるかは、それぞれの内容に応じた専門性の高い判断力が備わっていなければ判らないことです。

やみくもに関係者から事情を聞いても、時間、労力、人件費、経費、精神力が消耗されるだけです。

なるべく早く信頼できる社会保険労務士(社労士)に相談して、社内で集める情報だけでなく、法令やその解釈、通達、裁判例など、必要な情報を確定し速やかに手分けして収集することが必要です。

その集め方も大きなポイントです。社員に対して下手な聞き取り調査をしてしまうと、重要な証拠が消滅したり、人権侵害の問題が発生したりします。これについても、社労士にノウハウを確認しておくべきですし、法令やその解釈、通達、裁判例などは、情報収集を社労士に任せておくべきです。

 

<専門的判断力>

社内で判明した事実を就業規則や法令に当てはめて、経営者や人事部門の責任者が独自の解釈に基づく判断を示すことがあります。

多くの場合には、参照すべき条文が的外れですし、会社に都合の良い解釈をしているものです。「こうも取れるからOKじゃないか」というのが最も危険です。

会社目線の素人判断では、労働トラブルがこじれて当然です。

判断基準は、あくまでも裁判官目線であることが必要ですから、専門知識のある弁護士や社労士に相談する必要があります。

 

<情報伝達力>

適切な情報収集と、適正な専門的判断によって、解決の指針が見えたとします。

しかし、これを会社側から労働者側に上手く伝えることができず、逆にこじれてしまうことがあります。

「会社で改めて事実を確認したところ、あなたを解雇したことに落ち度はありませんでした」ということを上手に伝えることができず、あっせん、労働審判、訴訟へと発展してしまうのです。最終的には、会社側の正当性が認定されるにしても、やはり時間、労力、人件費、経費、精神力の消耗は大変なものです。

これには、会社側の情報伝達力不足よりも、労働者側の情報伝達力不足が大きく関わっています。

労働者から会社に何を伝えたいのか、そもそもどうして欲しいのか、何が不満なのか、どうだったら納得できるのか、この辺りが労働者自身、もやもやしていて上手く表現できないのです。自分自身の強い意志で会社に物申したのではなく、家族や友人の勧めで、思い切って会社に申し出をした場合には、特にこの傾向が強くなります。

こうした場合に、労働者側から何をどのように伝えてもらうべきか、会社をサポートすることによって、労働者側の情報伝達力不足を補うのも社労士の役割です。

 

<予防に優る解決なし>

ひとたび労働トラブルが発生すると、こじれずに解決を見るのは大変です。

保険の意味で顧問社労士を置いておき、トラブルを未然に防止するのが、結局は安上がりですし、会社成長のカギともなるでしょう。

 

2017.07.18.解決社労士

<兼業はバレるのか>

会社が給与から所得税や住民税の徴収手続きを行っている場合に、社員が別に収入を得ていれば、住民税の金額が会社で手続きした金額よりも多いので、別収入があることは判明します。

しかし、その具体的な内容まではわかりません。

本当は別のところでアルバイトをして収入を得ていても、FX(外国為替証拠金取引)によるものだと嘘をついたらバレないかもしれません。

ただ、この場合に、一歩踏み込んで「すごいね!私にも教えて欲しいな。社内ではあなたがアルバイトをしているというウワサがあるけど、その疑いを晴らすために、明日、FXの年間損益報告書を持って来てよ。それで、疑いはスッキリ晴れるから」ということになれば、ウソをウソでごまかしきれなくなる可能性が高くなります。

 

<素人判断では>

会社に無断でアルバイトしている社員がいたら、会社目線の素人判断からは、「うちの会社とアルバイトのどちらを選ぶかハッキリしてもらおう」「アルバイトを辞めないならクビにしよう」などという意見が出てくるものです。

そして、本当にクビだと言ってしまった場合には、その99%が不当解雇になります。その時点では、自分が悪かったと思う社員でも、後から不当解雇であることに気づいて、その後の給与・賞与と慰謝料を請求してくるかもしれません。

 

<不当解雇にはならない条件>

勤務時間外の行動は、基本的に自由です。社員の兼業を禁止するためには、就業規則に兼業禁止を定めて、兼業禁止を労働契約の内容にしておく必要があります。

だからといって、すべての兼業を禁止できるわけではありません。

ましてや、何らかの処分をするのであれば、兼業により十分な休養が取れないために会社での業務遂行に支障を来すとか、会社の名誉や信用を著しく害するとか、ライバル会社での兼業であるためにお客様から不信感を抱かれるなどの特別な事情が必要となります。

こうした特別な事情があって、口頭注意、書面注意をしても、なお兼業を続けるのであれば、懲戒処分を検討することになります。

しかし、この場合でも、懲戒解雇まで許されるケースは極わずかです。

 

<政府の政策>

「働き方改革実現会議」(議長・安倍晋三首相)の会合で、副業・兼業の環境整備を進める方針が打ち出されています。政府は、会社員が副業・兼業をしやすくするための指針づくりに乗り出しています。

つまり、政府は企業に対して副業・兼業の容認を求める態度を明らかにしています。

企業成長のためには、こうした政策を無視できないでしょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

そうは言っても、やはり社員が無断でアルバイトをするのは阻止したい、会社の業務に専念して欲しいという場合には、会社の実情に合った対応が必要です。

こんなときは、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.17.解決社労士

<空欄のある雇用契約書などの有効性>

雇用契約書や労働条件通知書などは、使用者から労働者に対して主要な労働条件を書面で通知するための書類です。そして、労働条件は労働契約の中心的な内容となっています。

しかし、労働契約は、使用者と労働者との口頭による合意で成立しますので、書面に不備があっても労働契約の効力には影響しません。〔民法623条〕

たとえ雇用契約書や労働条件通知書が無くても、労働契約は有効に成立するのです。

 

<書面による通知義務のある法定事項>

しかし労働契約の成否とは別に、労働者を保護するため、労働条件のうち次の法定事項は、使用者から労働者に書面で通知する必要があります。

1. 労働契約の期間(契約の更新の有無、更新がありうる場合の更新の条件)

2. 就業の場所、従事する業務の内容

3. 始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項

4. 賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締切り・支払いの時期に関する事項

5. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

さらに、パートタイマー(短時間労働者)については、パートタイム労働法により、昇給・退職手当・賞与の有無について、文書の交付等による労働条件明示が必要です。

 

<口頭で通知すれば良い事項>

1. 昇給に関する事項

2. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払いの方法、支払いの時期に関する事項

3. 臨時に支払われる賃金、賞与などに関する事項

4. 労働者に負担される食費、作業用品その他に関する事項

5. 安全・衛生に関する事項

6. 職業訓練に関する事項

7. 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項

8. 表彰、制裁に関する事項

9. 休職に関する事項

つまり、これらの事項は労働条件通知書に漏れていても大丈夫です。ただし、パートタイマー(短時間労働者)については、1.~3.の事項がパートタイム労働法により、文書の交付等による労働条件明示が必要な事項とされています。

 

<空欄があることによるトラブル>

労働条件通知書は、使用者の労働者に対する一方的な通知書ですから、1部だけ作成して労働者に交付すれば良い書面です。この点が、雇用契約書とは違うところです。

しかし、もし空欄があった場合、交付を受けた労働者が勝手に空欄を補充するとこれがトラブルの元になります。ですから、使用者もコピーを1部保存するのが良いでしょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

就業規則が無い会社では、就業規則の代わりに雇用契約書や労働条件通知書にかなり詳細な内容を記載する必要があります。

決まっていないからと言って空欄のままにしておくことは、法定の要件を満たしていなかったり、トラブルの火種となったりします。

そうは言っても、決め方がわからないなど迷うことがあれば、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.16.解決社労士

<戸籍とは>

人が、いつ誰の子として生まれて、いつ誰と結婚し、いつ亡くなったかなどの身分関係を登録し、その人が日本人であることを証明する唯一のものです。

 

<戸籍が無いと>

住民票やパスポートは、原則つくられません。

資格を取得するために、戸籍の証明を求められることがあります。

親の遺産を相続する場合に、親子の証明ができないこともあります。

戸籍の無い方が子を産んだ場合に、その生れてきた子もまた無戸籍になってしまうことがあります。

 

<戸籍をつくるには>

まず、各都道府県の法務局の無戸籍相談窓口に電話します。「無戸籍者の相談のことで」と言えばわかります。電話せずに直接行っても大丈夫です。戸籍の無い本人でなくても相談できます。秘密は守られますから、気軽に相談できます。

そして、戸籍を作るために特別な手続きが必要な場合には、そのための案内をしてもらえます。

こうして、戸籍がつくられます。

 

2017.07.15.解決社労士