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<労働基準法の役割>

労働基準法は、労働者が人間らしく生きていけるようにするための、労働条件の最低基準を定めています。

このことは、労働基準法1条に次のように定められています。

 

(労働条件の原則)

第一条  労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない。

2 この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。

 

労働基準法と聞くと、使用者側にいろいろと罰則をちらつかせて義務付けているイメージを持たれますが、この条文では、「労働関係の当事者」つまり使用者と労働者の両方に、労働条件の維持向上を求めています。

 

<労働条件の決定>

労働条件の決定は、労働者と使用者が対等の立場で決めるべきものだとされています。

このことは、労働基準法2条1項に次のように定められています。

 

(労働条件の決定)

第二条  労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。

 

本来は対等なのでしょうけれども、少子化によって労働者が不足している現状では、労働者側が優位に立っているようにも思われます。

また、入社後は会社に対する貢献度に応じて、優位に立つ労働者と、弱い立場の労働者に分かれてくるでしょう。

 

<労働条件の遵守>

続けて労働基準法2条は2項に次の規定を置いています。

 

2 労働者及び使用者は、労働協約、就業規則及び労働契約を遵守し、誠実に各々その義務を履行しなければならない。

 

ここでも「労働者及び使用者は」と規定し、労働条件を守ることについては、労働者も使用者も対等であることを示しています。

 

<労働条件の明示>

とはいえ、労働条件が決まっていなければ守りようがありません。また、文書化されていなくて、口頭で説明されているだけでは不明確です。

そこで、労働基準法は労働条件の明示について、次のように規定しています。

 

(労働条件の明示)

第十五条  使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

 

このように労働条件の明示は、使用者だけに義務付けられています。

ここでいう「厚生労働省で定める方法」というのは基本は書面ですが、電子化された文書によることもできることされています。口頭ではダメです。

そして、明示された労働条件が実際と違っていたら、これを理由に労働者から使用者に対して退職を通知できます。

 

2 前項の規定によつて明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。

 

ブラック企業で退職を申し出たら、「退職させてもらえない」とか、「違約金の支払いを求められた」とか、不当なことを言われたという話を耳にします。

しかし大抵のばあいは、この労働基準法15条2項を根拠に退職を通知できるケースでしょう。

 

このように、労働条件の正しい明示は使用者の義務ですから、口頭による説明しか無いのであれば、労働者としては「知りませんでした」「忘れました」という言い訳が許されることになってしまいます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

「労働条件なんてよくわからないから決めない」「労働条件通知書を渡して違法性を指摘されたら困る」という経営者の方は、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.23.解決社労士

<創業直後の会社>

できたばかりの会社では、創業者だけ、あるいは創業者の他は家族だけということもあります。

この場合は、労働条件通知書も就業規則も作られないことが多いでしょう。

すべてはお互いの信頼関係に基づいた口約束で足ります。

創業者に対する尊敬や恩義の気持ちから、大きな問題は発生しないものです。

 

<事業の拡大>

やがて知り合いを採用し、近隣の人たちをパートやアルバイトとして採用します。

法律上は、労災保険や雇用保険の手続きだけでなく、労働条件通知書などの作成交付も必要です。

ところが、家族による事業の運営の延長線上で、これらの手続きが行われないことがあります。もちろん違法です。

違法だとわかっていて手続きをしないよりは、よくわからないから放置することの方が多いようです。

また、労働保険や労務管理の専門家は社会保険労務士なのに、何でもかんでも税理士の先生に確認して済ませていると、違法な状態が解消されません。

 

<創業者の離脱>

事業がこれからという時に、創業者が病に倒れ、配偶者やお子さんたちが後を継ぐという事態は、常に想定しておかなければなりません。

相手のあることであれば、分からないことは相手に聞けば良いのですが、それですべてが分かるわけではありません。

特に、従業員の給料のこと、とりわけ残業代については、労働条件通知書や就業規則、そしてきちんとした給与明細書が無ければ、分からずじまいになってしまうことも多いのです。

創業者に対する尊敬や恩義の気持ちから長く働いていた従業員も、会社から心が離れ、何年分もの残業代を請求してくるかもしれません。また、退職金を要求するかもしれません。

こうした法的紛争になったときに頼れるのは、人ではなくて、書類を中心とする物的証拠なのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

労働関係法令を知らずに他人を雇うリスクは大きなものです。会社が大きくなったら、事業が軌道に乗ったらではなくて、創業の時から信頼できる社労士にご相談ください。

従業員がいないうちに、労働条件や会社のルールを決めておいた方が楽なのは明らかなのですから。

 

2017.08.22.解決社労士

休日の振替が許される場合>

労働契約で休日の振替が認められている場合には、事前振り替わる休日と労働日を特定することにより休日を変更することができます。

労働契約で休日の振替が認められていると言えるためには、就業規則や労働条件通知書に休日の振替「有り」と記載されていることが必要です。単に口約束では証拠がありませんから、争いになれば労働者に有利な解釈が優先されます。

また、事前休日であることが予定されていた出勤日(労働日)と、その代わりに休日となる日が決まっていることが必要です。

 

代休となる場合>

とりあえず休みの日に出勤してもらって、後日、代わりの日を休みにした場合には、休日の振替ではなくて代休となります。

代休は、労働者の生活の予定が立ちやすい休日の振替とは違い、いつ休めるのかわからずスケジュールが立てにくい点で労働者の負担となります。

そのため、休日出勤となり35%以上の割増賃金が発生します。

それ以前に、休日出勤が許されるのは、労働基準監督署に届け出た三六協定書の日数の範囲内で可能です。三六協定書の届け出が無かったり協定の限度を超えていれば違法な休日出勤となります。

 

休日の振替でも発生する割増賃金>

休日の振替により、もともと休日だった日は休日ではなくなります。この日に働かせても休日労働にはならず35%以上の休日割増賃金は不要です。

しかし休日を振り替えた結果、週40時間(原則)の法定労働時間を超えて働かせた時間は、時間外労働となりますので25%以上割増の残業代(時間外割増賃金)の支払が必要となります。

休日の日数の適法性と割増賃金の適法性は、それぞれ別の問題ですから注意しましょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

給与計算を正しく行うのは、実は簡単ではありません。

休日の振替代休が区別されていなかったり、休日の振替をしたときに発生する残業代を無視していたりすることも見受けられます。

給与計算の委託までいかなくても、現在の給与計算が正しいのか、信頼できる社労士にチェックさせることをお勧めします。

 

2017.08.21.解決社労士

<民法改正>

平成29年5月26日に民法改正案が参議院を通過し、成立した改正民法は、6月2日に公布されました。これによって改正民法は、平成32年6月1日までに施行されることになります。

民法の改正は、労働関係には影響が無いように見えます。しかし、労働契約も契約の一種ですから、民法は労働契約に適用されます。

 

<未払い残業代請求権の消滅時効は2年>

民法167条1項は、債権の消滅時効期間を原則10年と規定しています。しかしこの例外として、民法174条1号が一般的な給与の消滅時効期間を1年と定めています。これでは、未払い賃金がある場合に、一定の手続きを取らなければ、労働者は1年で請求権を失ってしまうことになります。

これを救済するために、労働基準法115条は、賃金などの消滅時効期間を2年と定めています。労働基準法は民法の特別法ですから、矛盾する規定があれば、労働基準法が優先されるというルールです。

こうして、未払い残業代の請求権についての消滅時効期間は、現在2年となっています。実際、労働基準監督署が企業に監督に入った場合でも、未払い残業代の支払いについては、最大2年間まで遡っての指導となっていて、それ以上前の支払いまでは指導していません。

 

<民法改正による矛盾の発生>

改正民法は、債権の消滅時効期間を、権利者が権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使できるときから10年としました。

これは労働基準法の定める2年よりも長いのです。「労働基準法は民法の特別法だから、矛盾する規定があれば労働基準法が優先される」というルールを当てはめてしまうと、労働者が未払い賃金を請求する権利は、一般の債権よりも短期間で時効消滅してしまうことになります。

これでは労働者を保護するための労働基準法は、その役割を十分に果たせません。

 

<矛盾解消のための労働基準法改正?>

あくまでも個人的な予測ですが、労働基準法115条は削除されると思います。

 

労働基準法115条 賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は二年間、この法律の規定による退職手当の請求権は五年間行わない場合においては、時効によつて消滅する。

 

退職手当というのは退職金のことで、この請求権は現在の消滅時効期間が5年です。

この条文が削除されれば、労働基準法と民法との矛盾は発生しませんし、未払い残業代の請求権についての消滅時効期間は、現在の2年から5年に延長されて労働者の保護も強化されます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

もちろんブラックな話ですが、「未払い残業代が摘発されたら過去2年分を支払えばいい」と考えている経営者の方もいらっしゃるでしょうか。

しかし、この「2年分」が「5年分」に変更されたら、会社は耐えられないかもしれません。

そもそも、未払い残業のある会社では、ごまかすために労働時間の管理がいい加減になっているものです。これが、社員のサボりや手抜きを助長していたり、働き以上の賃金を支給する原因となっていたりもします。

残業代込みの賃金という約束ならば、それを合法的に制度化し正しく運用すれば良いのです。

突然の法改正で困らないためにも、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.20.解決社労士

<民法改正>

平成29526日に民法改正案が参議院を通過し、成立した改正民法は、62日に公布されました。これによって改正民法は、平成3261日までに施行されることになります。

民法の改正は、労働関係には影響が無いように見えます。しかし、労働契約も契約の一種ですから、民法は労働契約に適用されます。

 

<無期契約労働者からの退職申し出>

民法627条の改正により、正社員など無期契約労働者からの退職申し出に、次の変更が発生します。

期間により報酬を定めている場合、たとえば、月給制で末日締切り、翌月15日支払いの場合、月給の計算期間は1日から末日です。30日ある月に、1日から15日までの間に退職を申し出れば当月の月末で退職、16日から月末までの間であれば翌月末日で退職となります。これが法改正により、退職の申し出がいつであっても、その申し出から2週間で退職ということになります。

また、6か月以上の期間により報酬が定められた労働者については、3か月前までに退職の申し出が必要でした。ところが法改正により、2週間前でよいことになります。

 

<具体的な影響>

一般的な月給制の場合、退職申し出のタイミングにかかわらず、給与の締日に退職ということでした。

法改正により、退職日がバラバラになり、就業規則(給与規程)に欠勤控除について、明確な計算方法が無いと困ることになります。

業務の引継ぎについても、引継ぎ期間は最低でも2週間だったのが、原則として2週間になってしまいます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

突然の退職にも対応できるよう、普段からマニュアルを利用した業務遂行と業務改善を当たり前にしておきたいところです。

また、退職時のルールや異動の場合を含めた引継ぎのルールも、具体的に定めて正しく運用することで、生産性の低下を防止したいところです。

具体的に何をすべきか迷ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.19.解決社労士

<有期契約労働者の雇用の安定>

労働契約法18条の規定により、平成30年4月1日以降、無期契約労働者に転換できる権利を取得する有期契約労働者が多数生じます。

定年の他に期限の無い労働契約に転換することによって、雇用が安定するという効果が見込まれています。

ただし、希望しない有期契約労働者は、転換権を使わないことも自由です。

 

<有期契約労働者の賃金の改善>

日本での同一労働同一賃金は、当初は「職務内容が同一である労働者には同一の賃金を支払う」という言葉通りの意味でした。

ところが現在では、非正規労働者の公正評価・処遇の意味に移行してきています。

しかも、労働政策審議会の建議報告書によれば、同一労働同一賃金法案による救済対象から、フルタイムの無期契約労働者が外されています。

 

<予想される事態>

有期契約労働者の無期転換申込に対する企業側の対応は、2018年問題として進められてきました。

しかし、同一労働同一賃金法案がこのまま成立した場合、フルタイムの有期契約労働者が無期転換すると、これらの人にとって不利になってしまう可能性があります。

結局のところ、パートタイムの有期契約労働者のみが無期に転換する傾向が強く現れることになるでしょう。

各企業は、法案の行方を追いつつ、自社の現状をにらんで対応を進めて行かざるを得ない状況にあります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

法改正が行われた後で対応していたのでは、ライバル会社に後れをとってしまいます。

改正案のうちに先取り対応ができる専任者がいない会社では、顧問の社労士を置いて対応に当たらせるのが、確実で安上がりです。

自社での対応に不安があれば、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2017.08.18.解決社労士

<労働基準法11項>

法律の第1条というのは、注目されないものです。しかしその法律の目的や、大原則が規定されていますから、これを踏み外すとお話になりません。

労働基準法11項には、次のように規定されています。

「労働条件は、労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充たすべきものでなければならない」

この規定は、憲法(日本国憲法)251項の「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」という規定に基づいています。

そもそも労働基準法ができたのは、主に憲法272項に「賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める」という規定があるからです。

つまり、資本家は労働者から搾取するものであり、国は労働者を資本家から守る義務を負うというところから出発しています。

 

<労働基準法12項>

これもまた注目されていませんが、労働基準法12項には、次のように規定されています。

「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない」

これを踏み外す危険も大きいと思います。

たとえば人手不足の折、会社の偉い人が「うちの会社は週休2日制だけど、労働基準法は1日でOKだと規定しているから、それでいいんじゃねぇの?」と言いかねません。

確かに労働基準法35条には、「使用者は、労働者に対して、毎週少くとも一回の休日を与えなければならない」と規定されています。

たしかに、新たに会社を設立した場合には、週休1日制でスタートしても違法ではありません。しかし、週休2日制の会社が労働基準法35条を理由に週休1日に変更したら、労働基準法12項に違反します。

法律というのは、どれか1つの規定に違反していなくても、別の規定に違反すれば違法となることがありますから、木を見て森を見ずというのでは失敗します。

それぞれの法律の目的、あるいはそれを超えて、法律の気持ちというものを捉えていないと、条文一つひとつを見て勘違いしてしまうことは避けられません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社労士は、数多くある労働関係法令一つひとつの気持を把握しています。

経営者が「いいこと考えた!」と思ったときは、落とし穴に落ちたときかも知れません。他社に先駆けて何か工夫しようと思いついたときには、実行に移す前に信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.17.解決社労士

<労働契約法の規定>

労働契約法8条に、「労働者と使用者との合意で労働契約の内容である労働条件を変更できる」と規定されています。

また、その9条と10条に、就業規則の変更によって労働者の不利益に労働条件を変更する場合のことが規定されています。

 

<缶コーヒーなら>

コンビニでいつもの缶コーヒーを買おうとしたら、レジの店員さんから「これは130円の缶コーヒーですが、今月はお店の売上が足りないので、店長から150円で売るように言われています。150円で買っていただけますでしょうか」と言われたとします。これに応じて150円で買う人は少数派でしょう。

「嫌です。130円で売ってください」と言ったり、別のコンビニに買いに行ったりという反応が想定されます。

こんなお店には、レジの店員さんに対して「これは130円の缶コーヒーだが、今月はお店の売上が足りないそうだから、120円にしてくれたら3本買おう」と言うお客様が来るかもしれません。

 

<給与だと>

給与明細書を見たら、支給額が大幅に減額されていたとします。上司から「あなたの基本給は25万円だけれど、最近は会社の利益が減少傾向にあるので、社長から基本給は20万円で我慢するように言われています。今月も頑張って働いてくれるかな」と言われたとします。

「嫌です」と言えば、「それじゃクビだ!」と言われるかもしれません。もちろん、不当解雇なら会社と争うこともできるでしょう。

しかし今日辞めて、明日から別の会社で働き始めるのは、予め準備していなければできることではありません。

反対に労働者の側から「基本給を5万円上げてくれないと、明日から出勤しません」というのも、余程の自信がない限り言えないことです。

 

<不利益変更禁止が強調される理由>

缶コーヒーの売買契約であれ、労働契約であれ、一方の当事者が自分に有利に契約内容を変更するのは自由ではありません。それが許されるなら、そもそも契約が成立しません。

労働条件の不利益変更というのは、使用者から労働者に一方的に変更を申し出る場合を想定していますので、禁止されるのは当然のことと言えます。

ただ、コンビニでのお客様とお店との売買契約は1回きりのことです。しかも、商品の引き渡しと代金の支払いが同時です。後から問題になることが少ない性質を持っています。

ところが労働契約は、労働者と使用者との継続的な関係ですし、給与は後払いですから、何かとトラブルが発生しやすく長引きやすいのです。

そこで、労働者の保護という労働関係法令全体の趣旨を踏まえ、特に労働条件の不利益変更禁止の原則が強調されているわけです。

 

 

【参考】労働契約法

 

(労働契約の内容の変更)

第八条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

 

(就業規則による労働契約の内容の変更)

第九条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。

 

第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

 

2017.08.16.解決社労士

<政府の方針>

政府は、少子高齢化対策を継続的に強化しています。

そして、少子高齢化による労働力不足に対応するため、政府は計画案で副業・兼業を推進する方針です。企業に対しても、副業・兼業を容認するように求めています。

 

<1つの会社でフルに働く場合>

1日8時間、週5日勤務で、月給40万円の人がいるとします。

健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険は勤務先で加入します。

プライベートのケガや病気で長期間働けない場合、働けない期間については、健康保険で月給の3分の2程度の傷病手当金が支給されます。月額27万円弱の支給です。

業務上あるいは通勤途上のケガで働けない場合、労災保険などで月給の8割程度が補償されます。月額32万円程度です。

失業した場合には、雇用保険の失業手当(求職者給付の基本手当)が支給されます。

 

<ダブルワークの場合>

A社で週25時間働き月給25万円、B社で週15時間働き月給15万円という、ダブルワークの人がいるとします。

健康保険と厚生年金は、A社が大きな会社で特定適用事業所の要件にあてはまると、A社で加入することになりますが、そうでなければ、国民健康保険と国民年金に加入することになります。

プライベートのケガや病気で働けない場合、国民健康保険からは傷病手当金の支給がありません。

国民年金は、厚生年金よりも支給額が少なかったり、支給開始年齢が遅かったりの不利があります。

労災保険はA社とB社の両方で入ります。業務上あるいは通勤途上のケガで働けない場合、労災保険などで月給の8割程度が補償されます。A社の方で発生した労災なら月額20万円程度ですし、B社の方で発生した労災なら月額12万円程度です。両方もらえるわけではありません。

雇用保険は、A社の方で入ります。B社では入りません。失業したときの手当は、A社の給与だけが基準となります。

 

<予想される法改正>

政府が副業・兼業を推進するには、ダブルワークについて社会保険・労働保険での明らかな不利を解消するような法改正が不可欠でしょう。

法改正があってから対応したのでは、他社に後れを取ってしまいます。これから出てくるであろう法改正案の情報を踏まえ、会社の仕組み、就業規則、運用を速やかに変えていく必要があります。

こうしたことについて、社内に専任者がいない場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.15.解決社労士

<具体的なトラブル>

円満退社のパート社員が、退職にあたって会社に退職金の支払いを請求する、あるいは、退職後に請求するということがあります。

もちろん、パート社員にも退職金を支払うルールなら問題ないですが、会社としては支払わないつもりだったならトラブルになります。

 

<就業規則が1種類しかない場合>

社員が10人以上になったとき、会社の就業規則が作成され、そのときは正社員しかいなかったのに、やがてパート社員も働くようになっていたとします。

この場合には、将来パート社員も入社してくることを想定して、就業規則が作成されているとは限りません。つまり、正社員用の就業規則しかない状態になりうるのです。

あるいは、就業規則のひな形をそのまま引用して「パートタイム労働者の就業に関する事項については、別に定めるところによる。別に定める規則に定めのない事項は、この規則を適用する」という規定を置きながら、別に定める規則を作っていなければ、パート社員にも正社員用の就業規則が適用されます。

こうして法的には、パート社員にも正社員と共通の唯一の就業規則が適用され、会社に退職金の支払い義務が発生するのです。

 

<定義がない場合>

就業規則に「正社員に退職金を支給する。パート社員には退職金を支給しない」という明確な規定があったとします。

それでも退職するパート社員から「私は残業もしたし、休日出勤もしました。この会社は賞与が出ないけど、誰ももらっていないから我慢しました。でも、退職金が出ないなんておかしいです。私は正社員として働いてきました」と主張されたら、会社は就業規則に示された正社員の定義とパート社員の定義を説明して切り抜けなければなりません。

しかし、就業規則に「正社員とは…」「パート社員とは…」という定義が定められていなければ、説明のしようがありません。「何となくわかるでしょ」というレベルなら、労働者に有利な解釈がとられるのが労働法の世界です。

結局、会社は退職金の請求を拒むことは困難です。

 

<労働条件通知書には「退職金なし」と書かれている場合>

労働条件通知書、雇用契約書、労働契約書などの名称で、個人ごとに労働条件が通知されています。ここに「退職金なし」と書かれている場合でも、労働契約法に次の規定があります。

 

(就業規則違反の労働契約)

第十二条  就業規則で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については、無効とする。この場合において、無効となった部分は、就業規則で定める基準による。

 

つまり、就業規則には「退職金あり」と書いてあって、労働条件通知書などに「退職金なし」と書かれていたら、労働者に有利な「退職金あり」が有効になるということです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

退職金一つをとっても、法的に争われたら会社が負けてしまうことがあります。

就業規則にトラブルの火種を残さないよう、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.14.解決社労士

<休憩時間の自由な利用>

労働基準法は、休憩時間について、次のように規定しています。

 

(休憩)

第三十四条  使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。

 

2  前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。

 

3  使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。

 

このように、労働基準法34条3項は、使用者に対し休憩時間を自由に利用させることを義務づけています。

 

<通達による休憩時間利用の制約>

労働基準法などの法律は、立法府である国会が制定しています。そして、これを具体的に適用する基準として、行政府が次のような通達を発しています。

 

事業場の規律保持上必要な制限を加えることは、休憩の目的を損なわない限り差し支えない。〔昭和22年9月13日基発第17号通達〕

 

休憩時間中の外出について、所属長の許可を受けさせることも、事業場内において自由に休息し得る場合には、必ずしも違法にはならない。〔昭和23年10月30日基発第1575号通達〕

 

<休憩時間利用の制約についての裁判所の判断>

法律の適用について、その合法性(合憲性)が裁判で争われた場合、最終的には最高裁判所が判断を示します。

たとえば、目黒電報電話局事件について、最高裁判所は次のような判断を示しています。

 

一般に、雇用契約に基づき使用者の指揮命令、監督のもとに労務を提供する従業員は、休憩時間中は、労基法三四条三項により、使用者の指揮命令権の拘束を離れ、この時間を自由に利用することができ、もとよりこの時間をビラ配り等のために利用することも自由であつて、使用者が従業員の休憩時間の自由利用を妨げれば労基法三四条三項違反の問題を生じ、休憩時間の自由利用として許される行為をとらえて懲戒処分をすることも許されないことは、当然である。しかしながら、休憩時間の自由利用といつてもそれは時間を自由に利用することが認められたものにすぎず、その時間の自由な利用が企業施設内において行われる場合には、使用者の企業施設に対する管理権の合理的な行使として是認される範囲内の適法な規制による制約を免れることはできない。また、従業員は労働契約上企業秩序を維持するための規律に従うべき義務があり、休憩中は労務提供とそれに直接附随する職場規律に基づく制約は受けないが、右以外の企業秩序維持の要請に基づく規律による制約は免れない。〔最高裁昭和52年12月13日第三小法廷判決〕

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社内で、休憩時間の自由な利用に対する制約があった場合、それが法的に許されるかどうかを判断するには、法律の条文を読んで、自分なりに解釈するという方法では危険なのです。

数多くの通達を確認し、関連する裁判例をよく読んで、具体的な制約に当てはめたうえで、専門的に判断する必要があるのです。

顧問の社労士を置いておくことは、会社がつまらないことで足元をすくわれないようにするため、ぜひ必要なことだと思います。

 

2017.08.13.解決社労士

<平成28年度調査研究結果のポイント>

新たに、過労死等が多く発生しているとの指摘がある自動車運転従事者、外食産業の企業と労働者や、法人役員、自営業者に対する調査が実施されています。

 

 Ⅰ 平成27年度調査結果の再集計・分析

 

・「労働時間を正確に把握すること」及び「残業手当を全額支給すること」が、「残業時間の減少」、「年次有給休暇の取得日数の増加」、「メンタルヘルスの状態の良好化」に資することが示唆される。

・『残業時間を0時間に近づける』ことが「年次有給休暇の取得日数の増加」、「メンタルヘルスの状態の良好化」に、また、残業を行う場合に『所属長が残業を承認する』ことが、 「残業時間の減少」、「メンタルヘルスの状態の良好化」に資することが示唆される。

・『最長の週の残業時間が30時間以上であること』、『ハラスメントがある職場』は、「メンタルヘルスの状態の悪化」を招く傾向にあるが、『裁量をもって仕事を進めることができる』、『仕事に誇りややりがいを感じる』または『適当な仕事量である』職場環境を構築することは、「メンタルヘルスの状態の良好化」に資することが示唆される。

 

 Ⅱ 企業・労働者調査

 

○自動車運転従事者(バス、タクシー、トラック)に係る調査結果

・企業調査、労働者調査ともに所定外労働が発生する主な理由はほぼ同じで、「バス」では「仕事の特性上、所定外でないとできない仕事があるため」、「人員が足りないため」が多く、「タクシー」では「人員が足りないため」、「予定外の仕事が突発的に発生するため」が多く、「トラック」では「取引先の都合で手待ち時間が発生するため」、「仕事の特性上、所定外でないとできない仕事があるため」が多かった。

・労働者調査において、業務関連のストレスや悩みの内容をみると、「バス運転者」では「長時間労働の多さ」、「タクシー運転者」では「売上・業績等」、「トラック運転者」では「仕事での精神的な緊張・ストレス」がそれぞれ最も多かった。

 

○外食産業に係る調査結果

・企業調査、労働者調査ともに所定外労働が発生する主な理由はほぼ同じで、「スーパーバイザー等(※)」では「人員が足りないため」、「予定外の仕事が突発的に発生するため」が多く、「店長」では「人員が足りないため」、「欠勤した他の従業員の埋め合わせが必要なため」が多く、「店舗従業員」では「人員が足りないため」、「業務の繁閑の差が激しいため」が多かった。

 ※スーパーバイザー等とは、スーパーバイザー・エリアマネージャー(複数の店舗を担当し、売上やレイアウト、在庫管理等の店舗運営について支援・指導を行う者)のことをいう。

・労働者調査において、業務関連のストレスや悩みの内容をみると、「スーパーバイザー等」と「店長」では、「売上げ・業績等」、「店舗従業員」では、「仕事での精神的な緊張・ストレス」がそれぞれ最も多かった。

 

 Ⅲ 自営業者・法人役員調査結果

 

・労働時間が長くなると、疲労蓄積度(仕事による負担度)が高い者や、ストレスを感じている者の割合が高くなる。

・休日における息抜き・趣味活動・家族の団らん等の時間が足りていると感じている者については疲労蓄積度(仕事による負担度)が低くなる傾向であり、労働時間が長い者であっても、自分のペースで仕事ができる者については、疲労蓄積度(仕事による負担度)が低くなる傾向にある。

 

 

<報告書からわかること>

この報告書に示された調査結果や分析が、正しいかどうかはわかりません。

しかし、平成27年度調査結果の再集計・分析の内容から、国(厚生労働省)の方針が次のように見えてきます。

・労働時間の正確な把握を徹底させる

・残業手当を全額支給させる

・残業時間を減少させる

・ハラスメントをなくさせる

今までも、労働基準監督署が労働基準について、企業に監督(調査)に入れば、労働時間の正確な把握と残業手当の全額支給は、必ず対象となっていたところです。

これからは、残業時間の減少とハラスメント対策についても、対象とされるようになることが予想されます。

自社が具体的にどのような対策を講じるか、先手を打って、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談されてはいかがでしょうか。

 

2017.08.12.解決社労士

<厚生労働省の説明>

「職場でつらい思いしていませんか?(職場のハラスメントの解決を労働局がお手伝いします)」というパンフレットには、各ハラスメントが次のように説明されています。

セクシュアルハラスメント(セクハラ)とは … 職場において、性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、身体への不必要な接触など、意に反する性的な言動が行われ、拒否したことで不利益を受けたり、職場の環境が不快なものとなることをいいます。

パワーハラスメント(パワハラ)とは … 同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えられたり、職場環境を悪化させられる行為をいいます。

妊娠・出産・育児休業・介護休業等を理由とする不利益取扱い、および妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメントとは … 妊娠・出産したこと、育児や介護のための制度を利用したこと等を理由として、事業主が行う解雇、減給、降格、不利益な配置転換、契約を更新しない(契約社員の場合)といった行為を「不利益取扱い」といいます。

また、妊娠・出産したこと、育児や介護のための制度を利用したこと等に関して、上司・同僚が就業環境を害する言動を行うことを「ハラスメント」といいます。

 

<就業規則などの規定>

私もセミナーなどでは、この厚生労働省の説明を使わせていただきます。

しかし、就業規則や社内広報の資料では、高校生アルバイトや高齢者、知的障碍者の方もいらっしゃることから、ハラスメントについて「働く仲間を傷つける嫌がらせは禁止します」という表現にしています。

なぜなら、その目的は上手に説明することではなくて、本気でハラスメントを無くすことだからです。

法的義務だから就業規則を置くのではなくて、効果的な就業規則を作成するのであれば、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.11.解決社労士

<解雇の有効性についての規定>

出来てからまだ10年も経っていない労働契約法という法律に次の規定があります。

 

(解雇)

第十六条  解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

「客観的に」という場合、当事者の「主観的な」判断は除かれます。ここで「主観的な」判断をするのは、解雇通知を出した会社側の人と、解雇通知を受けた労働者です。つまり、労働者が解雇通知に納得がいかないからといって、必ずしも「客観的に」合理的な理由を欠いているとはいえないのです。

では誰が「客観的に」判断するかというと、法的な争いとなり裁判になれば裁判官が判断することになります。

 

「社会通念上」という場合、言葉どおりの意味からすれば、世間一般の人々の判断が基準となります。解雇通知を出した会社側の人も、解雇通知を受けた労働者も、「世間」のほんの一部に過ぎませんから、その意見が世間一般を代表するものとはいえません。しかし、「社会通念」を確認するために、相当多数の人々のアンケートをとるわけにもいきません。

ここでも、「社会通念上」相当であるかどうかは、資料を参考にしつつ最終的には裁判官が判断することになります。

 

<裁判官の判断とは>

「合理的な理由」の存否や「社会通念上相当」の判断は、具体的な裁判の判決理由中の判断に示されます。これは、判決文の全部ではなくて、判決の結論である主文を導き出すのに必要な「判決理由中の判断」の中の必要不可欠な部分です。

たとえば能力不足を理由に解雇する場合に、「合理的な理由」があるか、「社会通念上相当」かについて、裁判官の判断を探るには、関連する裁判例の「判決理由中の判断」を確認すれば良いことになります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

裁判官の判断を探るには、労働法に関する専門的な知識と技術が必要です。素人目線の常識判断では無理です。

「切迫流産」という言葉が、流産の切迫している状態を示すものであるのと同じように、「不当解雇」という言葉は、解雇の通告が不当で解雇が有効に成立していない状態を示しています。これは労働者が働いていなくても、会社が賃金や賞与の支払い義務を負い続けるという、会社にとって極めて不利な状態となります。

会社が解雇を検討する場合にも、労働者が解雇の通知に納得がいかない場合にも、なるべく早く信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.10.解決社労士

<労災保険給付による免責の範囲>

労災保険給付がされた場合、使用者はその事故については、その給付金額の限度で民法上の損害賠償責任を免除されることになります。〔労働基準法842項類推〕

しかし、労災保険給付は慰謝料を対象としていません。また、休業損害を含め失った利益の全額を補償するものではありません。

ですから、労災保険給付がされても、使用者は労働者から慰謝料、休業損害、その他失った利益のうち補償されなかった部分については、別に損害賠償の請求を受ける可能性があります。

なお同じ労災でも、通勤災害については原則として使用者に責任がありませんから、損害賠償責任は問題になりません。

 

<安全配慮義務違反の責任>

労災保険による保険給付は、業務上の事由や通勤による労働者の負傷、疾病、死亡に対して行われます。

このうち、業務上の災害と認められ、労災保険給付が行われた場合には、被災について業務起因性が認められたということですから、使用者が安全配慮義務違反の責任を問われて損害賠償義務を負担する可能性があります。

実際に安全配慮義務違反の責任を負うのは、被災結果を具体的に予見できた可能性があったことと、被災結果を回避できた可能性があったことが必要となります。

そもそも被災結果を予見できる可能性が無かった場合や、予見できたとしても結果の発生を回避できなかったという場合には、使用者の安全配慮義務違反が問われることはありません。

また、結果を回避しなかったことが違法とは言えなかったような場合にも、安全配慮義務違反は否定されます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

労災が発生した時に、使用者がその事実を隠して、労災保険の手続きを全くしないのは、労災隠しであり犯罪です。

中には、手続きが複雑で良くわからないから放置しているというケースもあります。

こんなときは、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.09.解決社労士

<賃金の支払い義務>

健康診断を受ける時間が、労働基準法の労働時間にあたれば、賃金の支払い義務があります。

 

<一般健康診断についての通達>

労働安全衛生法661項に定める一般健康診断について、次のような通達があります。

「健康診断の受診に要した時間についての賃金の支払については、労働者一般に対して行われるいわゆる一般健康診断は、一般的な健康の確保をはかることを目的として事業者にその実施義務を課したものであり、業務遂行との関連において行われるものではないので、その受診のために要した時間については、当然には事業者の負担すべきものではなく、労使協議して定めるべきものであるが、労働者の健康の確保は、事業の円滑な運営の不可欠な条件であることを考えると、その受診に要した時間の賃金を事業者が支払うことが望ましいこと」(昭和47918日基発第602号通達)

結論として、たとえ一般健康診断を受診しなくても、業務に具体的な支障が生じるわけではないことから、実質的に受診義務がないことになり、その受診に必要な時間の賃金を、使用者が負担する義務はないと考えているようです。

 

<例外的に労働時間となる場合>

業務命令により一般健康診断を受診させ、受診しない場合の懲戒処分を定めている場合には、賃金支払いが必要な労働時間に該当すると考えられます。

 

<特殊健康診断についての通達>

労働安全衛生法662項に定める特殊健康診断について、次のような通達があります。

「特定の有害な業務に従事する労働者について行われる健康診断、いわゆる特殊健康診断は、事業の遂行にからんで当然実施されなければならない性格のものであり、それは所定労働時間内に行われるのを原則とすること。また、特殊健康診断の実施に要する時間は労働時間と解されるので当該健康診断が時間外に行われた場合には、当然割増賃金を支払わなければならないものであること」(昭和47918日基発第602号通達)

結論として、特殊健康診断を受ける時間を労働基準法にいう労働時間と捉えているようです。

特殊健康診断は、一般健康診断とは異なり、事業の遂行との関連性が強く、受診しなければ業務に具体的な支障が生じるため、受診義務があり受診に要する時間は労働時間と評価されるということです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

厳密に考えると、自宅や勤務地から受診会場に行き、受診会場から自宅や勤務地に戻る交通費の負担など、会社と労働者との負担区分には複雑なものがあります。

きちんとした区分を設定し、気持よく健康診断を受診できるようにするには、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.08.解決社労士

<無報酬の経営者>

会社の設立直後は利益が出ず、代表者は無報酬で頑張るということがあります。やがて利益が出たら、その利益に見合う報酬をもらうことにしようというわけです。

また、代表者の親族が名目的に役員に名を連ね、形式的に経営者扱いになっていることもあります。そして、この場合にも無報酬のことがあります。

 

<保険料負担の建前>

社会保険(健康保険と厚生年金保険)の保険料は、その会社などで報酬を得て、その報酬の中から負担するというのが建前です。

ですから、無報酬なら保険料を負担することには無理があり、負担できないというのが常識的な判断になります。

 

<不都合の発生>

報酬が無かったり、低額だったりの場合には、健康保険料が国民健康保険料よりも安くて済みます。

また、出産手当金や傷病手当金といった給付を受けることもできます。

特に70歳以上であれば、厚生年金の加入義務がありませんから、保険料は健康保険料だけの負担となります。

こうしたことは、いかにも不公平で不合理に思われます。

 

<実際の運用>

無報酬の経営者は社会保険に加入しない、また、経営者が無報酬となった場合には社会保険の資格を失うというのが実際の取扱いです。

年金事務所でもこのように指導しています。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

中には無理をして社会保険に加入していることにして、損をしている経営者の方もいらっしゃいます。

具体的なことは、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.08.07.解決社労士

<一斉休憩の原則>

労働基準法の前身は工場法でした。工場では、労働者に一斉に休憩を与えるのが効率的です。

現在、休憩時間は事業場ごとに一斉に与えなければならないというのが、工場だけではなく原則的なルールとなっています。〔労働基準法34条2項本文〕

つまり、労働者に対して交代で休憩時間を与えることは、原則として認められません。

 

<事業の種類による例外>

運送事業、販売・理容の事業、金融・保険・広告の事業、映画・演劇・興業の事業、郵便・電信・電話の事業、保健衛生の事業、旅館・飲食店・娯楽場の事業、官公署等では、労働基準法のこの規定の適用が除外されています。〔労働基準法40条1項、労働基準法施行規則31条〕

つまり、これらの事業では、労働者に一斉に休憩を与える必要がありません。

 

<その他の事業での例外>

上記の例外に含まれない事業でも、労使協定を締結すれば、休憩時間を一斉に与える必要はなくなり、交代で休憩時間を与えることもできるようになります。〔労働基準法34条2項但書き〕

しかも、この労使協定は36協定などと違って、労働基準監督署長への届出が不要です。

それでも、無ければ労働基準監督署の監督(調査)が入ったときには指摘されますから、一斉に休憩を取らせない事業場では、労使協定書を作成して保管しておきましょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

36協定書の届出すらしていない会社もありますが、必要な労使協定が無いのは違法ですから、一度、信頼できる社労士にご相談のうえ、作成して保管しておくことを心からお勧めします。

 

2017.08.06.解決社労士

<就業規則の有効性>

裁判所の判断によると、就業規則はその変更を含め、周知されていないと効力がありません。これは、労働基準監督署長に届出をしていても同じです。

このことから明らかなように、届出は法令により義務づけられているものの、届出で有効になるわけではなく、周知することによって有効になるのです。

 

<周知の意味>

「周知」という言葉は、本来、周(あまね)く=広く知らせるという意味です。しかし、就業規則について求められる周知は、内容について一人ひとりの従業員に知らせることではありません。就業規則ができたこと、変更されたことだけ伝えておいて、あとは見ようと思えば見られる状態にしておけば良いのです。

たとえば、就業規則のファイルを休憩室やロッカー室に置いておくとか、パソコンやスマートフォンで見られるようにしておくのです。ただし、アルバイトやパート社員などを含め、すべての従業員に見られるようにしておく必要があります。

 

<事業の拠点が複数ある場合>

営業所や店舗など、会社の事業の拠点が複数ある場合には、すべての職場で就業規則を周知する必要があります。周知されていない職場の従業員に対しては効力がありません。そうした職場では、たとえば懲戒処分ができないことになります。

印刷した就業規則をファイルの形で置いておく形なら、本社だけでなくすべての営業所や店舗などに置く必要があります。そして、アルバイトでも気軽に見られるよう、休憩室などに置くのが普通です。店長や所長の机の引き出しに入っていたのでは周知になりません。

就業規則をパソコンで見る形になっている場合には、やはりアルバイトでも気軽に見られる状態にしておく必要があります。正社員はパソコンを使えるけれども、アルバイトは触れないというのでは、アルバイトに対して周知になりません。

 

<会社目線の素人判断では>

「就業規則の変更は社員に知らせなくても労働基準監督署長に届け出れば有効」「まず届出をしてから社員に知らせるのが正しい」という誤解は生じやすいものです。

就業規則に限らず、「うちは昔からこれでやっている」ということで、毎回、間違いを繰り返していたり、法改正を知らずに違法な状態から抜け出せずにいたりということもあります。

柳田事務所では、社内に労働法違反の点が無いか、もし労働基準監督署の監督(調査)が入ったらどの部分の違法を指摘されるか、あるいはどのような改善を求められるかというチェック(労働条件審査)も行っております。

いずれにせよ、いつも行っていることが本当に正しいのか、少しでも不安に感じることがあれば、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2017.08.05.解決社労士

<36協定の抜け道のハズが>

新国立工事で自殺した男性が、上限月80時間を超える時間外労働をしたのに、将来代休を取る予定にしてその時間分を差し引くことで、80時間未満と申告していました。この方法は、この職場で長年の慣習だったようです。

本来、会社と労働者との間で適法な36協定を交わし、所轄の労働基準監督署への届け出をしていなければ、法定労働時間を超える残業は1か月に1分でも違法です。

この会社では、時間外労働の上限が月80時間と言われています。この内容での36協定書の届け出があって、手続きは適法なのに運用が違法だったということになるのでしょう。

 

<違法な慣習の発生メカニズム>

社内のある部門で、会社のルール通りにやっていては上手くいかないときに、その部門の部長や事業部長などが「いいこと考えた」とばかりに、少しルールを曲げて運用し、上手くいったつもりになってしまうことがあります。

これが会社目線の素人判断であり、労働法の中のある法令のある規定に違反して違法であったとしても、偉い人の言うことには逆らえませんから、これがその部門での新たな慣習として定着してしまうのです。

もし「いいこと考えた」のが社長であれば、人事部門の責任者も逆らえないという可能性すらあります。

 

<違法な慣習の例>

違法な慣習は、一部の部門だけでなく会社全体に蔓延していて、就業規則に違法な規定が置かれていることもあります。所轄の労働基準監督署は就業規則の届けを受付けているわけですが、細かいチェックまではできないのです。

違法な慣習としては、次のような例があります。

・正社員には年次有給休暇を取得させない。

・臨時アルバイトには労災保険を適用しない。

・軽いケガであれば労災にも健康保険証を使わせる。

・妊娠したら退職するルールがある。

・日給制、日給月給制、年俸制で残業手当を支給しない。

・その日の仕事が終わった時点が終業時刻としている。

・会社で決められた制服への着替え時間が勤務時間外とされている。

・遅刻に対する「罰金」の定めがある。

・会社の備品を壊すと新品を弁償させられる。

まだまだキリがないですね。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

今日まで何も問題が無くても、明日には事件が起きてマスコミが大々的に報じ、違法な慣習があったことについて深く反省させられるかもしれません。

たとえば、国が少子高齢化対策を強化している今、「パパママ育休プラス」「子の看護休暇」を知らない経営者の方は、基本的なことだけでも確認しておくことをお勧めします。

面倒でしたら、信頼できる社労士を顧問に置いておくという手もありますので、お近くの社労士にご相談ください。

 

2017.08.04.解決社労士

<労働基準監督署に相談した場合>

未払い賃金の金額を具体的に示して会社に請求したのに、支払いに応じてもらえなかったという場合には、すぐ相談に乗ってもらえます。

しかし、給与明細書を見て「残業代が付いていません」と会社に申し出ただけでは具体性に欠けます。この場合には、労働基準監督署に相談しても、まず会社にきちんと請求するように言われることが多いのです。

 

<自販機のたとえ話>

自販機にお金を入れて、商品のボタンを押して、商品は出てきたけれど、おつりが出てこないとき、自販機に書いてある連絡先に電話をかけます。

お金をいくら入れて、いくらの商品を買ったのかを話せば、駆けつけた係員が自販機を点検してから、出てこなかったお金を返してくれます。

しかし、「自販機にいくら入れたかは忘れました」「買った商品はすぐに飲んだし、何を買ったかは忘れました」と言えば、たとえそれが真実だったとしても返金できません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

不足する賃金の計算は、ネットで調べればやり方がわかるかもしれません。もしわからなければ、信頼できる社労士にご相談ください。

社労士ならば計算だけではなく、そもそも定額(固定)残業代になっていないか、雇用契約ではなく請負契約扱いになっていないか、労働時間の把握ができていないのではないか、といった広い視点から専門的に検討することになります。

場合によっては、会社の定める労働条件があやふやで、計算できないこともあります。こうした場合には、残業代の未払いよりも一段上の違法がありますから、その点について改めて労働基準監督署に相談したり、会社に適正な対応を要求したりが可能となります。

 

2017.08.03.解決社労士

<解雇の意味>

雇い主から「この条件でこの仕事をしてください」という提案があり、労働者がこれに合意すると労働契約が成立します。

労働契約は口頭でも成立します。ただ労働基準法により、一定の重要な労働条件については、雇い主から労働者に対し、原則として書面による通知が必要となっています。

解雇は、雇い主がこの労働契約の解除を労働者に通告することです。

 

<普通解雇>

狭義の普通解雇は、労働者の労働契約違反を理由とする労働契約の解除です。

労働契約違反としては、能力の不足により労働者が労働契約で予定した業務をこなせない場合、労働者が労働契約で約束した日時に勤務しない場合、労働者が業務上必要な指示に従わない場合、会社側に責任の無い理由で労働者が勤務できない場合などがあります。

 

<解雇の制限>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という規定があります。〔労働契約法16条〕

普通解雇は、この制限を受けることになります。

 

<懲戒処分の制限>

「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする」という規定があります。〔労働契約法15条〕

労働契約法の15条と16条は、重複している部分があるものの、15条の方により多くの条件が加わっています。

懲戒処分は、この厳格な制限を受けることになります。

 

<懲戒解雇の有効要件>

懲戒解雇というのは懲戒+解雇ですから、懲戒の有効要件と解雇の有効要件の両方を満たす必要があります。

普通解雇は、解雇の有効要件だけ満たせば良いのですから、懲戒解雇よりも条件が緩いことは明らかです。

 

<懲戒解雇と普通解雇の有効要件の違い>

そして、条文上は不明確な両者の有効要件の大きな違いは次の点にあります。

まず懲戒解雇は、社員の行った不都合な言動について、就業規則などにぴったり当てはまる具体的な規定が無ければできません。しかし普通解雇ならば、そのような規定が無くても、あるいは就業規則が無い会社でも可能です。

また懲戒解雇の場合には、懲戒解雇を通告した後で、他にもいろいろと不都合な言動があったことが発覚した場合にも、後から判明した事実は懲戒解雇の正当性を裏付ける理由にはできません。しかし普通解雇ならば、すべての事実を根拠に解雇の正当性を主張できるのです。

ですから懲戒解雇と普通解雇とで、会社にとっての影響に違いが無いのであれば、普通解雇を考えていただくことをお勧めします。特に、両者で退職金の支給額に差が無い会社では、あえて懲戒解雇を選択する理由は乏しいといえます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

広義の普通解雇には、労働者の労働契約違反を理由とする解雇の他に、整理解雇が含まれます。

整理解雇とは、雇い主側の経営上の理由による解雇をいいます。

解雇は、解雇権の濫用とされれば無効になるわけですが、会社目線の素人判断ではいけません。具体的なケースで解雇の有効性に疑問がある場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

解雇を検討する最初の段階でご相談いただければ、時間、労力、経費、人件費、精神力を大幅に削減できます。

 

2017.08.02.解決社労士

<かたり調査>

国の調査名をかたって不正に情報を収集する「かたり調査」にはご注意ください。

ネットであれこれ調べてみれば、ニセモノは判断がつきます。心配なら、総務省に確認するのが確実です。

 

<回答の義務>

案内文には、「協力してください」という書き方がしてあります。

しかし、統計法第13条では、国の重要な統計調査である基幹統計調査について、「個人又は法人その他の団体に対し報告を求めることができる」と規定しています(報告義務)。

また、同法第61条では、「報告を拒み、又は虚偽の報告をした者」に対して、「50万円以下の罰金に処する」と規定しています。

これらの規定は、個人情報保護法に優先して適用されます。

罰則の規定はともかく、国の重要な統計調査ですから協力しましょう。

なお、基幹統計調査以外の統計調査はアンケートですから、原則として回答は任意です。

 

<調査対象事業所の選定方法>

すべての事業所を対象とする調査を除き、全国の縮図となるように一定の精度を保つ標本数を確保しつつ、無作為に事業所を選ぶ方法を採っています。

つまり、くじ引きに当たったようなものです。意図的に選ばれるわけではありません。

 

<秘密の保護>

調査対象となった人や法人には調査に回答する義務がある一方、安心して調査に回答できるよう、調査員を始めとする調査関係者に対しては、調査で知り得た内容について秘密を保護することが統計法第41条で規定されています。

また、この法律では、第39条で調査票情報を適正に管理すること、第40条で調査票情報を統計調査の目的以外に使用してはならないことがそれぞれ規定されています。調査関係者に対しては、これらの規定を厳守するよう指導を徹底しています。

ですから、税金徴収の資料として流用されたり、労働基準監督署の監督に利用されたりすることもありません。

 

※基幹統計調査は、現在56あります。

•国民経済計算

•国勢統計

•住宅・土地統計

•労働力統計

•小売物価統計

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•科学技術研究統計

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•ガス事業生産動態統計

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•商業動態統計

•特定サービス産業実態統計

•経済産業省特定業種石油等消費統計

•経済産業省企業活動基本統計

•鉱工業指数

•港湾統計

•造船造機統計

•建築着工統計

•鉄道車両等生産動態統計

•建設工事統計

•船員労働統計

•自動車輸送統計

•内航船舶輸送統計

•法人土地・建物基本統計

 

2017.08.01.解決社労士

<無断欠勤なら>

多くの会社には、正当な理由なく無断欠勤を続けた場合には懲戒解雇とする旨の規定があります。

こうした規定を置かずに行う懲戒解雇は不当解雇となり、解雇が無効となるので、会社が大きな痛手をこうむります。

たとえ規定があったとしても、実質的な欠勤の有無、回数、理由が問題となります。

 

<年次有給休暇の取得なら>

「きょうは会社休みます」というのが、年次有給休暇取得の意図なのか、欠勤のつもりなのか、どちらとも取れる場合があります。

就業規則などに、年次有給休暇取得の手続きについての具体的な規定があれば、その手続きに従わない申し出はダメだという言い分も、一応は筋が通ります。

しかし、口頭で年次有給休暇取得の申し出を受けている職場では、「きょうは会社休みます」と言ったのが、年次有給休暇取得の意図だったという主張を退けることができません。

ましてや、病欠を後から年次有給休暇に振り替えることができるルールの職場なら、年次有給休暇扱いにせざるを得ないでしょう。

少なくとも、年次有給休暇取得の意図を主張されたら、「正当な理由なく」欠勤したという扱いはむずかしくなります。

 

<年次有給休暇取得の拒否>

同僚や上司の迷惑も顧みず、「きょうは会社休みます」と言って休んでしまう社員に対しては、年次有給休暇取得を拒否したくなるかもしれません。

しかし、ご存知の通り、年次有給休暇は労働基準法が認めた労働者の権利です。〔労働基準法39条〕

週1回しか勤務しないアルバイトにも、この労働基準法に基づく厚生労働省令によって、年次有給休暇が与えられています。

「この日に年次有給休暇を取得します」という申し出に対して、「ダメ」と言ったら1回につき6か月以下の懲役刑または30万円以下の罰金刑が定められています。〔労働基準法1091号〕

これとは別に、社員から慰謝料を請求されることもあります。

結局、会社側は「取らせない!」とは言えないことになります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

従業員が少ない会社でも就業規則を作成し、年次有給休暇のルールを規定しておくべきです。

また、社員教育をきちんとして、労働者の権利を振りかざすことが、場合によっては権利の濫用になることを説明しておくべきです。

就業規則の作成・改定・運用も、社員教育も社労士の得意分野ですから、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.31.解決社労士

<基本的な資質不足>

仕事をサボるような人は、採用しないのが一番です。

採用面接の段階で、次のような傾向が見られる人は、サボり癖のあることが疑われますので、よく観察して怪しければ採用を見送るのが得策です。

・履歴書の文字が乱雑

・履歴書の文字が抜けている

・濁点や半濁点が付いていない

・カタカナのコとユ、シとツ、ナとメ、ソとリとンが書き分けられない

・身だしなみがルーズ

・態度が馴れ馴れしい

履歴書については、作成に制限時間は無いですし、何度でも再確認できるわけですから、ここで手を抜いている人は仕事でも手を抜きます。

 

<労働時間の把握>

労働時間の把握が大雑把な会社でサボるのは簡単です。

そうでなくても、たとえば労働基準法に従い、事業場外労働のみなし労働時間制が適用されている社員については、使用者の指揮監督が十分に及びません。

本当にみなし労働時間制が必要か、再検討の余地があります。

また、労働時間の適正な把握は、使用者に義務付けられています。そして、この義務を果たすため、社員にも協力を求めることができます。

ですから、社員にも一定の義務を課しつつ、労働時間の把握をきちんとしましょう。

具体的には、電話やメールでの定時報告、日報の活用などが考えられます。

 

<適正な人事考課>

たとえサボっていても、十分な営業成績を維持していれば、勤務態度の悪さで他の社員に対する悪影響はあるものの、大目に見ることもできるでしょう。

しかし、サボりは営業成績の低下となって現れることが多いものです。適正な人事考課を行い、給与や賞与などに反映させることができるように、仕組みを整えましょう。

サボってもサボらなくても、成果を上げても上げなくても、給与や賞与に大きな差が出ないのなら、サボりたくなるのは当然です。

 

<人事異動との関係>

営業部門に異動となった時から、開放感や自由を感じてでしょうか、サボり出す社員もいます。

この場合には、再び内勤に戻すことを打診し、改善が見られなければ、実際に異動させるしかないでしょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

GPSを使うなど厳格な管理は、社員の反発を招き、士気が低下するかも知れません。

それぞれの職場に合った仕組みの導入・活用と社員教育については、信頼できる社労士にご相談ください。

サボりを無くして、生産性を向上させましょう。

 

2017.07.30.解決社労士

平成29101日に改正育児・介護休業法が施行されるのに先立ち、厚生労働省から「育児・介護休業等に関する規則の規定例〔簡易版〕」が公開されました。

利用にあたっては、現在の就業規則との整合性や職場の具体的な事情に応じたカスタマイズが不可欠です。

詳しくは、信頼できる社労士にご相談ください。

 

育児・介護休業等に関する規則の規定例[簡易版]

 

第1条(育児休業)

1 育児のために休業することを希望する従業員(日雇従業員を除く)であって、1歳に満たない子と同居し、養育する者は、申出により、育児休業をすることができる。ただし、有期契約従業員にあっては、申出時点において、次のいずれにも該当する者に限り、育児休業をすることができる。

 一 入社1年以上であること

 二 子が1歳6か月(本条第4項の申出にあっては2歳)になるまでに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと

2 配偶者が従業員と同じ日から又は従業員より先に育児休業をしている場合、従業員は、子が1歳2か月に達するまでの間で、出生日以後の産前・産後休業期間と育児休業期間との合計が1年を限度として、育児休業をすることができる。

3 次のいずれにも該当する従業員は、子が1歳6か月に達するまでの間で必要な日数について育児休業をすることができる。なお、育児休業を開始しようとする日は、原則として子の1歳の誕生日に限るものとする。

(1)従業員又は配偶者が原則として子の1歳の誕生日の前日に育児休業をしていること

(2)次のいずれかの事情があること

 (ア)保育所等に入所を希望しているが、入所できない場合

 (イ)従業員の配偶者であって育児休業の対象となる子の親であり、1歳以降育児に当たる予定であった者が、死亡、負傷、疾病等の事情により子を養育することが困難になった場合

4 次のいずれにも該当する従業員は、子が2歳に達するまでの間で必要な日数について、育児休業をすることができる。なお、育児休業を開始しようとする日は、子の1歳6か月誕生日応当日とする。

(1)従業員又は配偶者が子の1歳6か月の誕生日応当日の前日に育児休業をしていること

(2)次のいずれかの事情があること

 (ア)保育所等に入所を希望しているが、入所できない場合

 (イ)従業員の配偶者であって育児休業の対象となる子の親であり、1歳6か月以降育児に当たる予定であった者が死亡、負傷、疾病等の事情により子を養育することが困難になった場合

5 育児休業をすることを希望する従業員は、原則として、育児休業を開始しようとする日の1か月前(3及び4に基づく1歳を超える休業の場合は、2週間前)までに、育児休業申出書を人事担当者に提出することにより申し出るものとする。

6 申出は、次のいずれかに該当する場合を除き、一子につき1回限りとする。ただし、産後休業をしていない従業員が、子の出生日又は出産予定日のいずれか遅い方から8週間以内にした最初の育児休業については、1回の申出にカウントしない。

(1)第1項に基づく休業をした者が第3項又は第4項に基づく休業の申出をしようとする場合又は第3項に基づく休業をした者が第4項に基づく休業の申出をしようとする場合

(2)配偶者の死亡等特別の事情がある場合

7 育児休業申出書が提出されたときは、会社は速やかに当該育児休業申出書を提出した者に対し、育児休業取扱通知書を交付する。

 

  《法に基づき労使協定の締結により除外可能な者を除外する例》

  2 1にかかわらず、労使協定により除外された次の従業員からの休業の申出は拒

むことができる。

   一 入社1年未満の従業員

   二 申出の日から1年以内(3及び4の申出をする場合は、6か月以内)に雇用

関係が終了することが明らかな従業員

   三 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

  ※以下、1項ずつ繰り下げ

 

第2条(介護休業)

1 要介護状態にある家族を介護する従業員(日雇従業員を除く)は、申出により、介護を必要とする家族1人につき、通算93日までの範囲内で3回を上限として介護休業をすることができる。ただし、有期契約従業員にあっては、申出時点において、次のいずれにも該当する者に限り、介護休業をすることができる。

 一 入社1年以上であること

 二 介護休業開始予定日から93日を経過する日から6か月を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかでないこと

2 要介護状態にある家族とは、負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態にある次の者をいう。

   配偶者/父母/子/配偶者の父母/祖父母/兄弟姉妹/孫

3 介護休業をすることを希望する従業員は、原則として、介護休業を開始しようとする日の2週間前までに、介護休業申出書を人事担当者に提出することにより申し出るものとする。

4 介護休業申出書が提出されたときは、会社は速やかに当該介護休業申出書を提出した者に対し、介護休業取扱通知書を交付する。

 

  《法に基づき労使協定の締結により除外可能な者を除外する例》

  2 1にかかわらず、労使協定により除外された次の従業員からの休業の申出は拒む

    ことができる。

   一 入社1年未満の従業員

   二 申出の日から93日以内に雇用関係が終了することが明らかな従業員

   三 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

  ※以下、1項ずつ繰り下げ

 

第3条(子の看護休暇)

1 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員(日雇従業員を除く)は、負傷し、又は疾病にかかった当該子の世話をするために、又は当該子に予防接種や健康診断を受けさせるために、就業規則第○条に規定する年次有給休暇とは別に、当該子が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき10日を限度として、子の看護休暇を取得することができる。この場合の1年間とは、4月1日から翌年3月31日までの期間とする。

2 子の看護休暇は、半日単位で取得することができる。

 


  《法に基づき労使協定の締結により除外可能な者を除外する例》

   1 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員(日雇従業員を除

く)は、負傷し、又は疾病にかかった当該子の世話をするために、又は当

該子に予防接種や健康診断を受けさせるために、就業規則第○条に規定す

る年次有給休暇とは別に、当該子が1人の場合は1年間につき5日、2人

以上の場合は1年間につき10日を限度として、子の看護休暇を取得する

ことができる。この場合の1年間とは、4月1日から翌年3月31日まで

の期間とする。

 ただし、労使協定により除外された次の従業員からの申出は拒むことが

できる。

一 入社6か月未満の従業員

二 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

 

第4条(介護休暇)

1 要介護状態にある家族の介護その他の世話をする従業員(日雇従業員を除く)は、就業規則第○条に規定する年次有給休暇とは別に、当該家族が1人の場合は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき10日を限度として、介護休暇を取得することができる。この場合の1年間とは、4月1日から翌年3月31日までの期間とする。

2 介護休暇は、半日単位で取得することができる。

 


  《法に基づき労使協定の締結により除外可能な者を除外する例》

   1 要介護状態にある家族の介護その他の世話をする従業員(日雇従業員を除く)

は、就業規則第○条に規定する年次有給休暇とは別に、対象家族が1人の場合

は1年間につき5日、2人以上の場合は1年間につき10日を限度として、介

護休暇を取得することができる。この場合の1年間とは、4月1日から翌年3

月31日までの期間とする。

     ただし、労使協定により除外された次の従業員からの申出は拒むことが

できる。

一 入社6か月未満の従業員

二 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

 

第5条(育児・介護のための所定外労働の制限)

1 3歳に満たない子を養育する従業員(日雇従業員を除く)が当該子を養育するため、又は要介護状態にある家族を介護する従業員(日雇従業員を除く)が当該家族を介護するために申し出た場合には、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、所定労働時間を超えて労働をさせることはない。

2 申出をしようとする者は、1回につき、1か月以上1年以内の期間について、制限を開始しようとする日及び制限を終了しようとする日を明らかにして、原則として、制限開始予定日の1か月前までに育児・介護のための所定外労働制限申出書を人事担当者に提出するものとする。

 

  《法に基づき労使協定の締結により除外可能な者を除外する例》

  2 1にかかわらず、労使協定によって除外された次の従業員からの所定外労働の

制限の申出は拒むことができる。

   一 入社1年未満の従業員

   二 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

  ※以下、2項を3項に繰り下げ

 

第6条(育児・介護のための時間外労働の制限)

1 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員が当該子を養育するため又は要介護状態にある家族を介護する従業員が当該家族を介護するために申し出た場合には、就業規則第○条の規定及び時間外労働に関する協定にかかわらず、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、1か月について24時間、1年について150時間を超えて時間外労働をさせることはない。

2 1にかかわらず、次の一から三のいずれかに該当する従業員は育児のための時間外労働の制限及び介護のための時間外労働の制限を申し出ることができない。

 一 日雇従業員

 二 入社1年未満の従業員

 三 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

3 申出をしようとする者は、1回につき、1か月以上1年以内の期間について、制限を開始しようとする日及び制限を終了しようとする日を明らかにして、原則として、制限を開始しようとする日の1か月前までに、育児・介護のための時間外労働制限申出書を人事担当者に提出するものとする。

 

第7条(育児・介護のための深夜業の制限)

1 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する従業員が当該子を養育するため又は要介護状態にある家族を介護する従業員が当該家族を介護するために申し出た場合には、就業規則第○条の規定にかかわらず、事業の正常な運営に支障がある場合を除き、午後10時から午前5時までの間に労働させることはない。

2 1にかかわらず、次のいずれかに該当する従業員は深夜業の制限を申し出ることができない。

 一 日雇従業員

 二 入社1年未満の従業員

 三 申出に係る家族の16歳以上の同居の家族が次のいずれにも該当する従業員

  イ 深夜において就業していない者(1か月について深夜における就業が3日以下の者を含む。)であること

  ロ 心身の状況が申出に係る子の保育又は家族の介護をすることができる者であること

  ハ 6週間(多胎妊娠の場合にあっては、14週間)以内に出産予定でなく、かつ産後8週間以内でない者であること

 四 1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

 五 所定労働時間の全部が深夜にある従業員

3 申出をしようとする者は、1回につき、1か月以上6か月以内の期間について、制限を開始しようとする日及び制限を終了しようとする日を明らかにして、原則として、制限を開始しようとする日の1か月前までに、育児・介護のための深夜業制限申出書を人事担当者に提出するものとする。

 

第8条(育児短時間勤務)

1 3歳に満たない子を養育する従業員は、申し出ることにより、就業規則第○条の所定労働時間について、以下のように変更することができる。

  所定労働時間を午前9時から午後4時まで(うち休憩時間は、午前12時から午後1時までの1時間とする。)の6時間とする(1歳に満たない子を育てる女性従業員は更に別途30分ずつ2回の育児時間を請求することができる。)。

2 1にかかわらず、次のいずれかに該当する従業員からの育児短時間勤務の申出は拒むことができる。

 一 日雇従業員

 二 1日の所定労働時間が6時間以下である従業員

3 申出をしようとする者は、1回につき、1か月以上1年以内の期間について、短縮を開始しようとする日及び短縮を終了しようとする日を明らかにして、原則として、短縮を開始しようとする日の1か月前までに、短時間勤務申出書により人事担当者に申し出なければならない。

 

  《法に基づき労使協定の締結により除外可能な者を除外する例》

  2 1にかかわらず、次のいずれかに該当する従業員からの育児短時間勤務の申出は

   拒むことができる。

   一 日雇従業員

   二 1日の所定労働時間が6時間以下の従業員

   三 労使協定によって除外された次の従業員

   (ア)入社1年未満の従業員

   (イ)1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

 

第9条(介護短時間勤務)

1 要介護状態にある家族を介護する従業員(日雇従業員を除く)は、申し出ることにより、就業規則第○条の所定労働時間について、以下のように変更することができる。

  所定労働時間を午前9時から午後4時まで(うち休憩時間は、午前12時から午後1時までの1時間とする。)の6時間とする。

2 1にかかわらず、日雇従業員からの介護短時間勤務の申出は拒むことができる。

3 介護のための短時間勤務をしようとする者は、利用開始の日から3年の間で2回までの範囲内で、短縮を開始しようとする日及び短縮を終了しようとする日を明らかにして、原則として、短縮を開始しようとする日の2週間前までに、短時間勤務申出書により人事担当者に申し出なければならない。

 

  《法に基づき労使協定の締結により除外可能な者を除外する例》

  2 1にかかわらず、次のいずれかに該当する従業員からの介護短時間勤務の申出は

   拒むことができる。

   一 日雇従業員

   二 労使協定によって除外された次の従業員

   (ア)入社1年未満の従業員

   (イ)1週間の所定労働日数が2日以下の従業員

 

第10条(給与等の取扱い)

1 基本給その他の月ごとに支払われる給与の取扱いは次のとおり。

 一 育児・介護休業をした期間については、支給しない

 二 第3条及び第4条の制度の適用を受けた日又は時間については、無給とする

 三 第7条、第8条及び第9条の制度の適用を受けた期間については、別途定める給与規定に基づく労務提供のなかった時間分に相当する額を控除した基本給と諸手当の全額を支給する。

2 定期昇給は、育児・介護休業の期間中は行わないものとし、育児・介護休業期間中に定期昇給日が到来した者については、復職後に昇給させるものとする。第3条~第9条の制度の適用を受けた日又は期間については、通常の勤務をしているものとみなす。

3 賞与については、その算定対象期間に育児・介護休業をした期間が含まれる場合には、出勤日数により日割りで計算した額を支給する。また、その算定対象期間に第8条及び第9条の適用を受ける期間がある場合においては、短縮した時間に対応する賞与は、支給しない。第3条~第7条の制度の適用を受けた日又は期間については、通常の勤務をしているものとみなす。

4 退職金の算定に当たっては、育児・介護休業をした期間は勤務したものとして勤続年数を計算するものとする。また、第3条~第9条の制度の適用を受けた日又は期間については、通常の勤務をしているものとみなす。

5 年次有給休暇の権利発生のための出勤率の算定に当たっては、育児・介護休業をした日は出勤したものとみなす。

 

第11条(育児休業等に関するハラスメントの防止)

1 すべての従業員は第1条~第9条の制度の申出・利用に関して、当該申出・利用する従業員の就業環境を害する言動を行ってはならない。

2 1の言動を行ったと認められる従業員に対しては、就業規則第○条及び第△条に基づき、厳正に対処する。

 

第12条(法令との関係)

 育児・介護休業、子の看護休暇、介護休暇、育児・介護のための所定外労働の制限、時間外労働及び深夜業の制限、育児短時間勤務並びに介護短時間勤務に関して、この規則に定めのないことについては、育児・介護休業法その他の法令の定めるところによる。

 

(附則)本規則は、平成○年○月○日から適用する。

<試用期間とは>

試用期間については、最高裁判所が解約権留保付労働契約だと言ったために、何か特別な契約期間であるかのように思われがちです。〔昭和441212日三菱樹脂事件判決〕

しかし、最高裁判所が試用期間について述べたのは、判決を下すのに必要があって述べたわけではなく、ついでに語っただけです。試用期間であれば、本採用後よりも解雇のハードルが低くなる趣旨のことを述べていますが、具体的に、どの項目についてどの程度低くなるのかは語っていません。

結局、試用期間も本採用後も労働契約の期間であることに変わりは無く、両者の違いを明確に説明することはできません。

それでも、試用期間であれば、本採用後とは違った扱いができるという勘違いは、多くの企業に存在しています。

 

<社会保険の加入基準>

週所定労働時間が正社員(フルタイムで働く正規職員)の4分の3以上で、月間所定労働日数も4分の3以上であれば、社会保険の加入基準を満たします。(特定適用事業所を除きます)

会社によって、正社員の所定労働時間・日数は違いますから、この基準は会社ごとに違うわけです。

加入の手続きを怠っていても、条件を満たすとともに加入したことになります。

そして、試用期間と本採用後とで加入基準の違いはありません。

基準を満たしている限り、試用期間の初日から社会保険に加入していることになります。

 

特定適用事業所とは、同一事業主(法人の場合はマイナンバー制度の法人番号が同一)の社会保険適用事業所の被保険者数(社会保険加入者数)が、1年で6か月以上500人を超えることが見込まれる法人・個人の事業所のことをいいます。 特定適用事業所は、平成2810月の健康保険・厚生年金保険の適用拡大により区分されました。

 

<年金事務所の指導>

算定基礎届提出時の調査の際には、試用期間中に社会保険の加入手続きをせず、本採用時に手続きをしている事業所に対して、試用期間の初日に遡って加入手続きをするよう、年金事務所の職員の方から指導があります。

そして、判明している社員については、遡って手続をするための書類も作成して、代表印の捺印もさせています。

こうして不足する期間の保険料については、他の社員の保険料とまとめて支払うことになります。

「でも、試用期間は社会保険に入れたくないのですが」というお話に対して、年金事務所の職員の方は、「それでは、試用期間中は1日の勤務時間や1か月の勤務日数を少なくして、社会保険の加入基準を満たさないようにしてください。それしかありません」という明快な説明をしています。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社会保険のルールは、基本的に全国統一でなければ不公平が発生してしまいます。ですから、会社オリジナルのルールで運用できる範囲は、極めて限られているのです。

そして、会社オリジナルのルールで運用したことによって、不利益が発生したことに気付いた退職者から申し出があれば、その損失を補てんすることになりかねません。

自社で行っていることに不安を感じたら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.28.解決社労士

<算定基礎届提出時の調査>

6月中旬、会社宛てに算定基礎届の用紙、総括表、総括表附表が郵送されてきます。このとき、提出日時を指定する内容のお手紙が同封されていることがあります。

一般には、算定基礎届関係の書類は事務センターに郵送するのですが、提出日時を指定された場合には、管轄の年金事務所に持参ということになっています。

提出にあたっては、賃金台帳、出勤簿(タイムカード)、源泉所得税領収証書などの書類や事業主印を持参するように案内されています。

そして、お手紙には「調査」という文字が入っていて、驚いてしまうかもしれません。何か不正を疑われているのか、怪しいと思われているのか、なぜ自分の会社が対象となったのかについての説明はありません。

実は、3年から5年に1回の間隔で、すべての事業所が調査対象となっています。無作為抽出なわけで、年金事務所が何かの意図をもって選んでいるわけではありません。

 

<調査の趣旨>

お手紙には、調査の趣旨として「社会保険適用の適正化」とだけ書かれています。

具体的には、次のような点が調査の対象となっています。

・社会保険の加入条件を満たす人について加入の届けがあるか

・社会保険の加入条件を満たしていない人が加入扱いになっていないか

・加入したときの報酬の届け出の金額が正しいか

・算定基礎届の内容が正しいか

・報酬が大きく変動して一定の条件を満たした場合の届け出があるか

これらの手続きについて、税理士などに頼んでしまっている会社もあります。しかし、税理士は年度単位で集計するのに対し、算定基礎届以外の手続きは日常的に発生します。そもそも、税理士の仕事ではなくて、社会保険労務士でなければ業務として行えない手続きなのです。〔社会保険労務士法27条〕

ですから、こうした手続きを顧問の税理士などが、きちんとできなくても仕方が無いですし、そもそも頼んではいけないのです。

 

<不備が見つかった場合>

手続きの誤りや不足を指摘されると、さかのぼって正しい手続きを行うことになります。保険料についても、支払い過ぎは還付されますし、不足はまとめて徴収されます。

社会保険料は高いですから、まとめて徴収されるのは辛いです。反対に還付されるのも、無利子で多額の金銭を貸し付けていたようなものですから喜べません。

社会保険というのは条件を満たせば自動的に加入しています。手続きをしていないのは、手続きをサボっているだけで、加入手続きをしなければ加入しないことになるわけではありません。赤ちゃんが生まれた時、出生届を出さなければ戸籍が無いだけで、赤ちゃんの存在が否定されるわけではないのと似ています。

 

<書類の追加郵送>

調査に必要な書類が不足している場合には、後から管轄の年金事務所に郵送するよう求められます。

そもそも調査の具体的な趣旨が示されていませんので、どのような書類が必要なのか、本当のところはわからなかったわけですから仕方ありません。

もっとも、調査の趣旨を良くわかるようにして案内を出していたら、多くの会社は尻込みしてしまうでしょう。

調査の趣旨を具体的に示さないのは、それなりの意図があるのかもしれません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

算定基礎届の提出日時を指定されたら、相談相手は税理士ではなくて社労士です。

このことは、税理士に確認すればすぐにわかります。ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.27.解決社労士

<解雇は無効とされやすい>

会社が社員に解雇を通告しても、それが解雇権の濫用であれば無効になります。これを不当解雇といいます。解雇したつもりになっているだけで、解雇できていないので、対象者が出勤しなくても、それは会社側の落ち度によるものとされ、賃金や賞与の支払義務が消えません。会社にとっては、恐ろしい事態です。

出来てからまだ10年も経っていない労働契約法という法律に次の規定があります。

 

(解雇)

第十六条   解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

大変抽象的な表現ですから、いかようにも解釈できそうです。しかし、正しい解釈の基準は裁判所の判断です。

そして、裁判所の判断によれば、解雇権の濫用は簡単に認定されます。つまり、多くの場合、不当解雇が認定されます。

 

<「客観的に合理的な理由」とは>

「客観的に合理的な理由」とは、誰が見ても解雇はやむを得ないという理由です。

なぜなら、誰が見ても正しいというのが、客観的に正しいということだからです。

ただし、当事者である会社側と対象社員は「誰が見ても」の「誰」からは除かれます。当事者は、主観的に考えてしまうからです。

ソーシャルメディアに悪質な投稿をした社員の解雇に「客観的に合理的な理由」が認められるためには、次のような条件が必要です。

・投稿された映像の内容が悪質であること

・会社にソーシャルメディアの利用に関するガイドラインが存在すること

・社員にガイドラインを遵守する旨の誓約書を書かせていること

・ガイドラインの遵守義務が就業規則に規定されていること

・ガイドライン違反についての懲戒規定があること

・ガイドライン遵守の重要性について十分な教育研修を行っていること

・ソーシャルメディアの利用に関し管理職が部下に注意指導していること

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社員が何か不都合な行為を行った場合でも、懲戒処分を行うには、それなりの準備が必要だということです。ましてや、懲戒解雇ともなれば用意周到である必要があります。

対象者から争われ、不当解雇とされた場合のダメージは、かなり大きいものがあります。

他のケースを含め、必要に応じて適正な懲戒処分が行えるようにするためには、信頼できる社労士にご相談ください。

 

<ついでに…>

パソコンのデータが消えた時のために、データのバックアップを取っておくことは、多くの会社で行われています。

しかし、パソコンが立ち上がらなくなった時のために、再セットアップディスクなどを作成しておくことは、意外とされていません。

面倒に思われても、予め準備しておくことは大事だと思います。

「備えあれば患いなし」というのは、懲戒処分と共通するものがあります。

 

2017.07.26.解決社労士

<算定基礎届の調査会場で>

年金事務所の会議室にいると「うちは仕事が終わったところが定時です」「日給制なので残業手当はありません」という事業主さんの声が聞こえてきます。

もちろん、これらは違法である可能性が高いのですが、労働基準については年金事務所の管轄外ですから、指導する権限は無く、職員や行政協力で参加している社会保険労務士からの指摘はありません。

しかし、「役所でこの話をしたけれど問題は指摘されなかった」と言いふらされるのも困りものです。

 

<役所と言っても>

「役所」と呼ばれるものにも、いろいろなものがあります。

厚生労働省の管轄下で、社会保険労務士の業務と深い関連のあるものには、次のようなものがあります。

年金事務所 ― 年金の相談、調査、手続きなど

協会けんぽ ― 健康保険の相談、手続きなど

ハローワーク ― 求人、求職、職業訓練、雇用保険の手続きなど

労働基準監督署 ― 労働基準関係の監督、労働安全衛生、労災保険に関すること

それぞれが独立していますし、元々厚生省の管轄下にあった年金・健康保険と、労働省の管轄下にあった雇用保険・労災保険とでは、やり方や考え方に違いが見られます。

ですから、このうちのどこかでOKをもらったとしても、他の保険関係ではダメと言われることもあるのです。

 

<お客様の立場からすると>

お客様にしてみれば、どこか1つの機関で相談すれば、すべて解決するというのが便利です。

しかし、権限外のことについて尋ねられた時に、他の機関に成り代わって無責任な回答をすることは許されないでしょう。ですから、他の機関を紹介することになります。どうしても「たらい回しにされた」という印象を持たれてしまうことは避けられません。

もしすべて一括して相談したいのであれば、信頼できる社会保険労務士にご相談ください。

 

2017.07.25.解決社労士

<労働時間の定義>

労働時間とは、「労働者が実際に労働に従事している時間だけでなく、労働者の行為が何らかの形で使用者の指揮命令下に置かれているものと評価される時間」と定義されます。

これは、会社ごとに就業規則で決まったり、個人ごとに労働契約で決まったりするのではなく、客観的に決められている定義です。

 

<直行直帰の場合の労働時間>

会社に立ち寄らず、直接工事現場などに行き、そこから直接帰宅する場合には、自宅から現場までの移動時間と現場から自宅までの移動時間が、使用者の指揮命令下に置かれない状態のことがあります。

この場合には、現場での勤務時間が労働時間ということになります。

ですから、なんとなく移動時間を労働時間に含めて賃金を計算しているのであれば、会社の人件費負担がその分だけ多めになっている可能性があります。

 

<労働時間となる場合>

直行直帰の移動時間でも、使用者の指揮命令下に置かれているものと評価され、その時間に対する賃金の支払いが必要な場合も多いものです。たとえば、次のような場合には労働時間となります。

・使用者から自宅を何時に出発するかを指示されている場合

・一度会社に立ち寄ってから現場に向かう場合の会社から現場までの移動時間

・移動中に同僚と仕事の打合せをするように使用者から指示されている場合

・一緒に移動するメンバーの中に行動や時間の管理をする者がいる場合

・使用者から移動中に物品の監視をするように指示されている場合

 

<黙認で労働時間となるケース>

たとえば、使用者から移動中の打合せを指示していなくても、それがなんとなく自主的に行われていて、使用者側が見て見ぬふりをしていたら、黙示の指示があったものとみなされ、労働時間になってしまう場合もあります。

複数のメンバーで直行直帰する場合には、「仕事の話などせず趣味の話でもしながらくつろいで過ごしなさい」ということになっていれば、労働時間にはならないわけです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

実際に労働時間に含まれるかどうかは、専門的で客観的な判断が必要になりますから、就業規則に定めるなどルール化する場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

後になってから、未払い賃金を請求されると、一度に予定外の出費が発生しますから注意したいところです。

 

2017.07.24.解決社労士

<解雇は無効とされやすい>

会社が社員に解雇を通告しても、それが解雇権の濫用であれば無効になります。これを不当解雇といいます。解雇したつもりになっているだけで、解雇できていないので、対象者が出勤しなくても、それは会社側の落ち度によるものとされ、賃金や賞与の支払義務が消えません。会社にとっては、恐ろしい事態です。

出来てからまだ10年も経っていない労働契約法という法律に次の規定があります。

 

(解雇)

第十六条   解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

大変抽象的な表現ですから、いかようにも解釈できそうです。しかし、正しい解釈の基準は裁判所の判断です。

そして、裁判所の判断によれば、解雇権の濫用は簡単に認定されます。つまり、多くの場合、不当解雇が認定されます。

 

<「客観的」の落とし穴>

「客観的に合理的な理由」を欠けば、解雇権の濫用となり、解雇は無効となるわけです。

しかし、当事者である会社側と対象社員の言い分は、完全に主観的なものです。会社がそれなりの理由を示して解雇を通告した場合、その解雇理由は主観的な判断により示したものです。また、これに対する対象社員の反論も主観的なものです。ですから、「どちらが正しいか」という議論は、解雇の有効性については無意味です。

あくまでも、「客観的に合理的な理由」が有るか無いかによって、解雇権の濫用となるか否かが決まってきます。

 

<「客観的に合理的な理由」とは>

「客観的に合理的な理由」とは、誰が見ても解雇はやむを得ないという理由です。

なぜなら、誰が見ても正しいというのが、客観的に正しいということだからです。

ただし、当事者である会社側と対象社員は「誰が見ても」の「誰」からは除かれます。当事者は、主観的に考えてしまうからです。

解雇の「客観的に合理的な理由」となりうるものとしては、次のものが挙げられます。

まず、労働者の著しい能力不足や協調性不足です。これは、会社側が十分な教育指導を行っていることが前提となります。教育指導をせずに、会社が能力不足や協調性不足を主張することはできません。

つぎに、労働者が正当な理由なく遅刻や欠勤を繰り返していることです。ただし、長時間労働などで疲労が蓄積しているような場合には、会社に落ち度があるので「客観的に合理的な理由」にはなりません。

さらに、労働者の不法行為や反社会的行為は、「客観的に合理的な理由」となりえます。しかしこれは通常、懲戒解雇でしょうから、就業規則に具体的な規定があることや、対象社員が十分な弁明の機会を与えられるなど、厳格な条件を満たし適切な手順を踏んでいる場合に限り可能です。

そして、会社が解散するような場合には、「客観的な合理性」が認められるのが原則です。会社の経営不振による整理解雇であれば、対象者の選択基準の合理性が問題とされます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

やはり「客観的」というのがネックになって、社内で検討し結論を出すのにはリスクを伴います。

解雇を検討する場合には、なるべく早く、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.23.解決社労士

<常識的な判断>

社員が詐欺や障害などの刑事事件を起こし、警察のお世話になって、テレビのニュースに出たような場合、常識的な判断からは、懲戒解雇が当然であり、解雇にならないのは非常識だと思えるでしょう。

しかしこれは、会社目線の素人判断です。

「ごめんで済めば警察は要らない」のと同じように、「常識で済めば法律は要らない」のです。

そして労働者は、労働基準法をはじめ多くの労働法によって保護されていますから、たとえ犯罪に走った場合でも、簡単には解雇が認められないのです。

この場合、会社が解雇を通告しても、解雇は無効になります。「不当解雇」とされるわけです。

 

<懲戒解雇が有効となる場合>

まず、社員の行為が懲戒事由にあたることが必要です。懲戒事由にあたるといえるためには、就業規則に具体的な規定があるか、労働条件通知書や雇用契約書にその旨が定めてあることが必要です。

会社が法定の就業規則や労働条件通知書などの作成を怠っていれば、そもそも懲戒解雇ができないことになります。

またその懲戒が、労働者の行為の性質や態様その他の事情から、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められることも必要です。〔労働契約法15条〕

さらに、犯罪行為を行ったことの証拠も必要です。マスコミによって報道されても、犯罪の証拠があるとは限りませんから要注意です。

特に、本人が犯行を否認していて、本当に犯罪が行われたかどうかが明らかでない場合には、犯行があったことを前提として懲戒処分を行うことは危険です。懲戒処分は、あくまでも確実な証拠から認定できる事実に基づいて行わなければなりません。

この他、犯罪が軽微なものであり、懲戒処分を行うにしても解雇は行き過ぎという場合もあります。

そして、勤務時間外の犯罪行為であれば、私生活上の行為を理由として懲戒処分を行うことになりますから、懲戒処分が正当化されるのは、会社の名誉や信用などの社会的評価を大きく侵害するような場合に限定されます。

 

<会社によっても違う>

懲戒解雇の有効性について裁判では、会社の事業の種類、態様、規模、経済界に占める地位、経営方針、対象社員の会社での地位や職種など、あらゆる事情から総合的に判断して、犯罪行為による会社の社会的評価に及ぼす悪影響が相当重大であると客観的に評価できるかどうかという観点から判断されています。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

本当に懲戒解雇にしても大丈夫なのか、懲戒解雇にできない場合にはどうするのか、退職金の支給はしなくても大丈夫なのか、後任はどうするのか、社内への説明はどうするのかなど、検討すべきことは多岐にわたります。

会社としての対応を検討する場合には、一刻も早く、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.22.解決社労士

<報告書の負担>

報告書の作成には、個人差はあるものの、それなりの時間がかかります。

報告書の無駄を省くことは、会社にとって人件費の削減となり、生産性が向上し、一方で社員のストレス軽減となります。

つまり、メンタルヘルス対策にもなるのです。

 

<報告書の種類>

日報、週報、月報という時間の区切りにより内容が異なってきます。日報は一番負担が重く、人件費がかかります。月報は負担が軽い一方で、情報の伝達が遅くなる可能性があります。

本当に毎日の報告が必要なのか、毎週の報告が必要なのか、項目ごとに見直しをかけてみましょう。

 

<報告書の内容>

そのタイミングで数字は必要か、翌日ではダメなのか、感想は必要か、事実だけではダメなのか、見直すポイントが最も多いのは報告書の内容です。

その内容が必要だとしても、その報告書の中に必要なのか、別の報告書に移した方が良いのではないかを検討してみましょう。

 

<手書きかパソコンか>

パソコンを使って報告書を作成させるのが主流となっています。

しかし、手書きなら30分で作成できる報告書を、パソコンで3時間かけて作っていたら、おそらく無駄な残業時間が発生しています。なにより、本人のストレスが半端ではありません。

どうしてもパソコンが苦手な社員には、手書きで報告書を作成させましょう。メールで送信する必要があるのなら、誰かがスキャンしてメールに添付すれば良いだけです。

 

<報告書作成の時間帯>

営業社員などが帰社後に報告書を作成するパターンは多いものです。しかし、翌日や翌々日に作成してはダメなのでしょうか。

帰社後に報告書を作成したら、その時間は丸々残業時間になります。「営業手当」を支給しているから残業代を支払わないというのは、ブラック企業のやることです。

持ち帰って自宅で書かせるのも、残業時間となります。その時間に対する割増賃金を支払わないのも、これまたブラック企業のやることです。

しかし、翌日の手空き時間や移動時間に書かせるのなら、残業時間とはなりにくいでしょう。たしかに、仕事の密度が上がって辛いかもしれませんが、本人にとっても長時間労働の予防になりますし、会社にとっては人件費の削減になります。

 

<報告書作成のための教育>

短時間で優れた報告書を作成できるよう、社員教育も大事です。教育にお金と時間をかければ、何倍にもなってかえってきます。

「飢えた人に魚を与えれば、一日の飢えから救うことができる。代わりに魚の釣り方を教えれば、一生の飢えから救うことができる」という名言があります。

人手不足の時代には、どうしても社員教育が後回しになります。しかし、これでは会社の成長が望めません。

人手不足の対策としても、一人ひとりの能力向上は重要です。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

報告書の見直しにしても、社員教育にしても、社内でまかないきれない場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.21.解決社労士

<管理監督者の処遇>

良く知られていることですが、管理監督者には残業代の支給が必要ありません。〔労働基準法41条〕

役職手当や管理職手当などの名目で、一般社員とは一線を画した高額の手当が支給されているので、これを含む固定給をベースに計算した残業手当を支給しなくても、十分な総支給額になるから問題ありません。

 

<責任の重い管理監督者>

管理監督者には強大な権限が与えられている一方で、その役割や責任も重いものです。

しかし、自覚の不十分な新米管理監督者は、「残業手当が出ないから毎日早く帰ろう」「時間管理が無いから遅刻しても大丈夫」「土日は趣味と家族サービスに充てよう」といった甘い考えをもってしまう危険があります。

パートやアルバイトに使われている労働条件通知書をカスタマイズして、管理監督者向けに説明する文書を作成し、これを用いて説明するとともに署名してもらうなどして、自覚を促しておく必要があるでしょう。

そして、もし管理監督者にふさわしくない言動が見られたら、もう一度、この文書を示して問題点を指摘すべきです。

 

<管理監督者の基準>

管理監督者といえるかどうかは、その人の肩書ではなく、職務内容、責任、権限、勤務態様、待遇などの実態により判断されます。

管理監督者といえるための最低限必要な条件は、すべて満たしていることが必要です。

・経営者と一体的な立場で仕事をしていること

・出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていないこと

・その地位にふさわしい待遇がなされていること

実態として、部長という肩書の社員の中でも、これらの条件を満たしているのは極わずかでしょう。

社員でありながら、実質的には取締役のような立場にある人だけが、管理監督者といえるのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

権限ばかりを振りかざし、役割と責任を果たさないブラック管理監督者が出て来ないよう態勢を整えるには、信頼できる社労士にご相談ください。

ただし、権限を与えられず、役割と責任を押し付けられている「名ばかり管理監督者」に、残業代を支給しないのは違法ですので、くれぐれもご注意ください。

 

2017.07.20.解決社労士

<パワハラ教育の充実>

パワハラ防止のための社員教育が、中小企業でも進んできています。そうした中で、昔のことについて「あの行為はパワハラだったのでは?」という疑問も出るようになってきています。

昔のパワハラ行為を、懲戒処分の対象とすることはできるのでしょうか。

 

<刑罰不遡及の原則>

今現在の就業規則に、問題とされる具体的なパワハラ行為についての懲戒規定があるとしても、昔の行為当時に規定が無かったならば、さかのぼって懲戒規定が適用されることはありません。

これは、刑罰不遡及の原則によるものです。〔日本国憲法39条〕

 

<時効の問題>

労働基準法は、賃金などの請求権について2年間、退職金について5年間の消滅時効期間を定めています。〔労働基準法115条〕

これは、民法に規定されている請求権の時効の例外を定めているものです。

しかし、懲戒処分は請求権ではないので、この規定とは無関係です。

また刑事訴訟法には、犯罪が終わった時から一定期間を過ぎると公訴が提起できなくなるという公訴時効についての規定があります。

しかし、これは国家が刑罰を科す場合の規定ですから、民間企業の懲戒処分には適用されません。今でも、遅刻すると罰金3,000円などブラックな話も聞かれますが、民間企業が従業員に罰金を科すということなど、あってはならないことです。

結局、懲戒処分に時効期間の規定は無いのです。

 

<民法の基本原則>

時効が無いのだから、どんなに昔のことでも懲戒処分の対象となりうるというのでは、安心して勤務できません。

労働契約も契約の一種ですから、民法の信義誠実の原則や権利濫用の禁止があてはまります。

権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。〔民法1条2項〕

権利の濫用は、これを許さない。〔民法1条3項〕

ということで、あまりにも昔のことを持ち出して懲戒処分を行うのは、不誠実で懲戒権の濫用となり無効であるというのが結論となります。

 

<裁判では>

最高裁の裁判では、7年前の暴行を理由に懲戒解雇処分を行ったのは、懲戒権の濫用であり無効であるという判決があります。1審では解雇無効、2審では解雇有効、そして最高裁で解雇無効という判断でした。

最高裁は、会社が警察の判断を待っていて懲戒処分のタイミングを見失ったという主張を退け、会社には懲戒処分を行うチャンスがあったのに怠っていたと判断したのです。また、そこまでひどい暴行ではなく、解雇は行き過ぎだとも言っています。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

会社に懲戒規定を置く目的として、次のようなものが挙げられます。

・懲戒対象の社員に反省を求め、その将来の言動を是正する。

・懲戒が行われることで、他の社員は道義感が満たされ安心して働ける。

・懲戒対象となる行為が明確になり、社員全員が伸び伸びと行動できる。

・懲戒規定があることで、社員全員が不正行為を思いとどまる。

一般には、行為者を懲らしめる目的だけがクローズアップされがちですが、他の目的も重要です。

こうした目的からすると、タイムリーな懲戒処分が必要なわけですが、会社としては懲戒権の濫用を指摘されないよう、慎重に行う必要もあります。

懲戒処分を検討するのでしたら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.19.解決社労士

<トラブル解決に不足している3つの力>

経営者が労務管理のプロであるか、人事部門に専門家がいるような会社ではない限り、社内で労働トラブルが発生すると必然的にこじれます。

それは、解決に必要な情報収集力、専門的判断力、情報伝達力の3つが不足しているからです。

 

<情報収集力>

われわれ人間を含め、生物が何か判断するためには情報が必要です。

どんなに優れた経営者でも、社員から正確な情報が得られなければ、経営についての重要な判断を誤ってしまいます。

そして、具体的な労働トラブルの解決に必要な情報が何であるかは、それぞれの内容に応じた専門性の高い判断力が備わっていなければ判らないことです。

やみくもに関係者から事情を聞いても、時間、労力、人件費、経費、精神力が消耗されるだけです。

なるべく早く信頼できる社会保険労務士(社労士)に相談して、社内で集める情報だけでなく、法令やその解釈、通達、裁判例など、必要な情報を確定し速やかに手分けして収集することが必要です。

その集め方も大きなポイントです。社員に対して下手な聞き取り調査をしてしまうと、重要な証拠が消滅したり、人権侵害の問題が発生したりします。これについても、社労士にノウハウを確認しておくべきですし、法令やその解釈、通達、裁判例などは、情報収集を社労士に任せておくべきです。

 

<専門的判断力>

社内で判明した事実を就業規則や法令に当てはめて、経営者や人事部門の責任者が独自の解釈に基づく判断を示すことがあります。

多くの場合には、参照すべき条文が的外れですし、会社に都合の良い解釈をしているものです。「こうも取れるからOKじゃないか」というのが最も危険です。

会社目線の素人判断では、労働トラブルがこじれて当然です。

判断基準は、あくまでも裁判官目線であることが必要ですから、専門知識のある弁護士や社労士に相談する必要があります。

 

<情報伝達力>

適切な情報収集と、適正な専門的判断によって、解決の指針が見えたとします。

しかし、これを会社側から労働者側に上手く伝えることができず、逆にこじれてしまうことがあります。

「会社で改めて事実を確認したところ、あなたを解雇したことに落ち度はありませんでした」ということを上手に伝えることができず、あっせん、労働審判、訴訟へと発展してしまうのです。最終的には、会社側の正当性が認定されるにしても、やはり時間、労力、人件費、経費、精神力の消耗は大変なものです。

これには、会社側の情報伝達力不足よりも、労働者側の情報伝達力不足が大きく関わっています。

労働者から会社に何を伝えたいのか、そもそもどうして欲しいのか、何が不満なのか、どうだったら納得できるのか、この辺りが労働者自身、もやもやしていて上手く表現できないのです。自分自身の強い意志で会社に物申したのではなく、家族や友人の勧めで、思い切って会社に申し出をした場合には、特にこの傾向が強くなります。

こうした場合に、労働者側から何をどのように伝えてもらうべきか、会社をサポートすることによって、労働者側の情報伝達力不足を補うのも社労士の役割です。

 

<予防に優る解決なし>

ひとたび労働トラブルが発生すると、こじれずに解決を見るのは大変です。

保険の意味で顧問社労士を置いておき、トラブルを未然に防止するのが、結局は安上がりですし、会社成長のカギともなるでしょう。

 

2017.07.18.解決社労士

<兼業はバレるのか>

会社が給与から所得税や住民税の徴収手続きを行っている場合に、社員が別に収入を得ていれば、住民税の金額が会社で手続きした金額よりも多いので、別収入があることは判明します。

しかし、その具体的な内容まではわかりません。

本当は別のところでアルバイトをして収入を得ていても、FX(外国為替証拠金取引)によるものだと嘘をついたらバレないかもしれません。

ただ、この場合に、一歩踏み込んで「すごいね!私にも教えて欲しいな。社内ではあなたがアルバイトをしているというウワサがあるけど、その疑いを晴らすために、明日、FXの年間損益報告書を持って来てよ。それで、疑いはスッキリ晴れるから」ということになれば、ウソをウソでごまかしきれなくなる可能性が高くなります。

 

<素人判断では>

会社に無断でアルバイトしている社員がいたら、会社目線の素人判断からは、「うちの会社とアルバイトのどちらを選ぶかハッキリしてもらおう」「アルバイトを辞めないならクビにしよう」などという意見が出てくるものです。

そして、本当にクビだと言ってしまった場合には、その99%が不当解雇になります。その時点では、自分が悪かったと思う社員でも、後から不当解雇であることに気づいて、その後の給与・賞与と慰謝料を請求してくるかもしれません。

 

<不当解雇にはならない条件>

勤務時間外の行動は、基本的に自由です。社員の兼業を禁止するためには、就業規則に兼業禁止を定めて、兼業禁止を労働契約の内容にしておく必要があります。

だからといって、すべての兼業を禁止できるわけではありません。

ましてや、何らかの処分をするのであれば、兼業により十分な休養が取れないために会社での業務遂行に支障を来すとか、会社の名誉や信用を著しく害するとか、ライバル会社での兼業であるためにお客様から不信感を抱かれるなどの特別な事情が必要となります。

こうした特別な事情があって、口頭注意、書面注意をしても、なお兼業を続けるのであれば、懲戒処分を検討することになります。

しかし、この場合でも、懲戒解雇まで許されるケースは極わずかです。

 

<政府の政策>

「働き方改革実現会議」(議長・安倍晋三首相)の会合で、副業・兼業の環境整備を進める方針が打ち出されています。政府は、会社員が副業・兼業をしやすくするための指針づくりに乗り出しています。

つまり、政府は企業に対して副業・兼業の容認を求める態度を明らかにしています。

企業成長のためには、こうした政策を無視できないでしょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

そうは言っても、やはり社員が無断でアルバイトをするのは阻止したい、会社の業務に専念して欲しいという場合には、会社の実情に合った対応が必要です。

こんなときは、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.17.解決社労士

<空欄のある雇用契約書などの有効性>

雇用契約書や労働条件通知書などは、使用者から労働者に対して主要な労働条件を書面で通知するための書類です。そして、労働条件は労働契約の中心的な内容となっています。

しかし、労働契約は、使用者と労働者との口頭による合意で成立しますので、書面に不備があっても労働契約の効力には影響しません。〔民法623条〕

たとえ雇用契約書や労働条件通知書が無くても、労働契約は有効に成立するのです。

 

<書面による通知義務のある法定事項>

しかし労働契約の成否とは別に、労働者を保護するため、労働条件のうち次の法定事項は、使用者から労働者に書面で通知する必要があります。

1. 労働契約の期間(契約の更新の有無、更新がありうる場合の更新の条件)

2. 就業の場所、従事する業務の内容

3. 始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項

4. 賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締切り・支払いの時期に関する事項

5. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

さらに、パートタイマー(短時間労働者)については、パートタイム労働法により、昇給・退職手当・賞与の有無について、文書の交付等による労働条件明示が必要です。

 

<口頭で通知すれば良い事項>

1. 昇給に関する事項

2. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払いの方法、支払いの時期に関する事項

3. 臨時に支払われる賃金、賞与などに関する事項

4. 労働者に負担される食費、作業用品その他に関する事項

5. 安全・衛生に関する事項

6. 職業訓練に関する事項

7. 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項

8. 表彰、制裁に関する事項

9. 休職に関する事項

つまり、これらの事項は労働条件通知書に漏れていても大丈夫です。ただし、パートタイマー(短時間労働者)については、1.~3.の事項がパートタイム労働法により、文書の交付等による労働条件明示が必要な事項とされています。

 

<空欄があることによるトラブル>

労働条件通知書は、使用者の労働者に対する一方的な通知書ですから、1部だけ作成して労働者に交付すれば良い書面です。この点が、雇用契約書とは違うところです。

しかし、もし空欄があった場合、交付を受けた労働者が勝手に空欄を補充するとこれがトラブルの元になります。ですから、使用者もコピーを1部保存するのが良いでしょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

就業規則が無い会社では、就業規則の代わりに雇用契約書や労働条件通知書にかなり詳細な内容を記載する必要があります。

決まっていないからと言って空欄のままにしておくことは、法定の要件を満たしていなかったり、トラブルの火種となったりします。

そうは言っても、決め方がわからないなど迷うことがあれば、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.16.解決社労士

<戸籍とは>

人が、いつ誰の子として生まれて、いつ誰と結婚し、いつ亡くなったかなどの身分関係を登録し、その人が日本人であることを証明する唯一のものです。

 

<戸籍が無いと>

住民票やパスポートは、原則つくられません。

資格を取得するために、戸籍の証明を求められることがあります。

親の遺産を相続する場合に、親子の証明ができないこともあります。

戸籍の無い方が子を産んだ場合に、その生れてきた子もまた無戸籍になってしまうことがあります。

 

<戸籍をつくるには>

まず、各都道府県の法務局の無戸籍相談窓口に電話します。「無戸籍者の相談のことで」と言えばわかります。電話せずに直接行っても大丈夫です。戸籍の無い本人でなくても相談できます。秘密は守られますから、気軽に相談できます。

そして、戸籍を作るために特別な手続きが必要な場合には、そのための案内をしてもらえます。

こうして、戸籍がつくられます。

 

2017.07.15.解決社労士

<弁護士のアドバイス>

うつ病で休職していた社員が復職する場合、弁護士に相談すると、負担の軽い部署に配置転換して復職させるようアドバイスされる傾向にあるようです。

これは、会社として何かしらの対策を取らないまま、ただ単純に元の部署に同じ仕事で復職させたのでは、会社が責任を問われかねないと考えるからです。

休職していた社員に配慮し、何かアクションを起こすことによって、会社の責任は軽減されると考えるわけです。

 

<社労士(社会保険労務士)のアドバイス>

ところが、同様のケースを社労士に相談すると、元の部署に復職させるようアドバイスされる傾向にあるようです。

これは、良く知った上司や同僚の中で慣れた仕事をする方が、別の仕事に移るよりも精神的な負担が軽いから、うつ病が再発しにくいと考えるからです。

うつ病が再発したり、悪化したりすれば、会社は責任を問われうるので、余計なアクションを起こさない方が、会社の責任は重くならないと考えるわけです。

 

<鳥取県米子市中学校教諭事件>(鳥取地裁平成16330日判決)

うつ病で休職していた女性教諭が復職するに際して、中学校側が勤務の負担を軽減させる意図で、本校から分教室への配置転換をしました。

この分教室は、県の設置する児童自立支援施設の中にあり、生徒数が少なく教諭2人で運営している小さな教室です。

この女性教諭は、「配置転換の当時、精神疾患、精神障害が完治しておらず、以前の勤務状況を続けるべきであったにもかかわらず、配転を受けた結果、精神的、肉体的苦痛を被ったもので、これは中学校長、米子市、鳥取県による不法行為であるから、損害賠償を請求する」として、鳥取地方裁判所に民事訴訟を提起しました。

その結果、「中学校長、米子市、鳥取県は各自33万円を女性教諭に支払うように」との判決が下されました。

 

<どうすべきだったのか>

この中学校長は、女性教諭本人と配置転換について相談していませんでした。また、過去に分教室での生徒指導が負担となり、退職した女性講師がいたという事実を見落としていました。さらに、専門医の意見を改めて確認することも怠っていました。

本当に女性教諭の事を考えるのであれば、第一に本人の考えを確認しておくべきでした。ただ、職場の責任者が、うつ病で休職している人と会話することで、さらに病状を悪化させるリスクもありますから、できれば、専門医、弁護士、社労士などの第三者が間に入って話し合いを持つべきでした。

もし、職場にメンタルヘルス不調の従業員がいたら、なるべく早く信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.14.解決社労士

<法定雇用率の引き上げ>

民間企業における障害者の法定雇用率が、2.0%から2.2%に引き上げられます。

さらに、平成33年4月までには2.3%に引き上げとなります。

事業主ごとの障害者雇用率は、次のように計算されます。

障害者の実雇用率 = 障害者である労働者の数 ÷ 労働者の数

 

<対象事業主の範囲拡大>

今回の法定雇用率の変更に伴い、障害者を雇用しなければならない民間企業の事業主の範囲が、従業員50人以上から45.5人以上に変わります。また、その事業主には、以下の義務があります。

・毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告しなければなりません。

・障害者の雇用の促進と継続を図るための「障害者雇用推進者」を選任するよう努めなければなりません。

 

<端数の意味>

45.5人以上」と基準の従業員数に端数が入っています。これは、週所定労働時間が30時間以上の従業員は1人としてカウントしますが、短時間労働者(週所定労働時間が20時間以上30時間未満の従業員)は0.5人としてカウントするからです。

身体障害者または知的障害者である短時間労働者(週所定労働時間20時間以上30時間未満の従業員)も0.5人としてカウントします。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

どうやって採用対象となる障害者を探したら良いのかについては、所轄のハローワークで相談できます。

障害者を新たに迎え入れるにあたって、必要な就業規則の変更や、従業員の教育・研修、雇用開発助成金の活用については、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.13.解決社労士

<事実の確認>

ある社員から、いじめられている、嫌がらせを受けているという申し出があった場合、あるいは、第三者からいじめの報告があった場合、安易に対応すると、いじめを行っているとされた社員の人権侵害となることもあります。

こうした人権侵害を回避しつつ、いじめを救済するためには、何よりもまず、事実の確認が必要です。

まず、いじめを受けているとされる社員から、十分な聞き取りをすることです。先入観を持たず、示された行為の評価はせず、淡々と事実の確認を行います。

つぎに、いじめをしているという社員からも、十分な聞き取りをします。このとき、「Aさんから、あなたにいじめられているという申し出があった」と言うのではなく、「Aさんから、あなたの行為について相談があった」と言うべきです。最初から加害者扱いしてはいけません。熱心に仕事を教え、時には厳しい口調となってしまうこともあるというのが、判明する事実かもしれないのです。それでも、本人に意図的ないじめの意識があったのであれば、途中でお詫びの言葉が出てくることでしょう。

さらに周囲の社員からも、十分な聞き取りを行います。そうすることによって、より一層、客観的な事実が浮かび上がるものです。

 

<記録の作成>

事実の確認にあたっては、聞き流してはいけません。きちんと記録を残す必要があります。何月何日の何時に、どこでどういうことがあったのか、詳細に記録します。

こうすることで、聞き取り調査が正式なものであり、真剣に対応している姿を聞き取りの相手に示すことができます。これによって、話し手もよく考えて、真剣に話してくれるものです。

また、法的な紛争となった場合にも、正式な証拠として役立てることができます。

 

<事実の評価>

得られた事実から、行為者の各行為について、人格権の侵害や就業規則違反が無かったか公平に評価します。

また、当事者に能力不足や適性の欠如が無いかも検討します。

 

<注意・指導>

この段階で、行為者がいじめを自覚していれば、すでに反省していることでしょう。だからと言って、「許してあげよう」では被害者も周囲の社員も納得できませんし、安心して働けません。

正式に注意・指導し、その内容を書面にまとめ、上司とそのまた上司までは署名を得ておき、最後に行為者の署名を得て会社が保管します。

もし、行為を繰り返すようであれば、次回は書面による注意、そしてさらに重い処分へと進むことになります。

 

<配置転換>

ただ単に、問題となった社員同士の相性が悪いということであれば、その片方または両方を配置転換することも検討したいものです。

 

<退職勧奨>

重大ないじめが発覚した場合、注意・指導をしても改まらない場合、配置転換をしてもなお追いかけていじめるような場合には、行為者に対して、自主的に退職してもらうよう働きかけることも考えられます。

もっとも,本人が反省しておらず、退職することに合意しない場合には、合意するよう強制することはできません。

 

<普通解雇>

いじめを行わずにはいられない性格であれば、業務上必要な協調性が欠けているわけですから、組織の一員として勤務することは困難です。

しかも、これを指導によって改善することは、個人の性格を変えるという話になってしまい、およそ無理なことです。

結局、改善できない能力不足であれば、普通解雇が妥当ということになります。

 

<懲戒解雇>

就業規則に具体的な規定があることが大前提ですが、いじめが激しいものでなければ、それが懲戒解雇の客観的に合理的な理由とはならないケースが多いでしょう。

軽い懲戒処分の対象とすることから始めて、どうしても改まらないために、懲戒解雇にまで行きついてしまったということは想定できます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

もし会社に顧問の社労士がいれば、事実の確認から対応できます。社外の第三者としての立場から、客観的な事実を確認するには適任でしょう。

その後の対応についても、就業規則や労働法に照らして適切なアドバイスを行うことができます。

何かトラブルが発生してからではなく、保険のつもりで顧問社労士を置いておき、会社の実情を把握させておくのが得策でしょう。

 

2017.07.12.解決社労士

<長期の音信不通と解雇>

長期間にわたって無断欠勤が続いた場合には、普通解雇の理由になることが多いですし、ほとんどの就業規則で懲戒解雇の対象にしていることでしょう。

しかし解雇の意思表示は、解雇の通知が対象者に到達しないと効力が発生しません。〔民法97条1項〕

その社員が自宅にいて、ただ単に出社しない状態であれば、社員の自宅に解雇の通知が届くことによって、解雇の意思表示が到達したことになります。

しかし、本人が不在で家族も居場所を知らないような場合には、自宅に解雇通知を届けても効力が発生しません。

ましてや、その社員がいつの間にか転居していたような場合には、解雇の通知の届け先すらわからないことがあります。

こうした場合には、解雇の通知ができずに、解雇できないことになってしまいます。

 

<メールによる解雇通知>

電子メールでの解雇通知は、本人からの返信が無ければ、通知を読める状態にあったとは言い難いので、やはり解雇の意思表示が到達したとはいえないでしょう。

もし、解雇を了解する内容の返信があれば、解雇の意思表示が到達したことになります。しかし、この場合には、そもそも音信不通という判断が間違っていて、解雇権の濫用になってしまい、解雇が無効になる可能性が高まってしまいます。〔労働契約法16条〕

 

<公示による解雇通知>

全く連絡の取れない社員に対して、解雇の通知をするには、簡易裁判所で公示による意思表示を行うこともできます。〔民法98条〕

これによって、解雇の意思表示が行方不明の社員に到達したものとみなされ、解雇を有効とすることができるのです。

 

<就業規則の備え>

無断欠勤と音信不通が一定の期間続いた場合には、就労の意思が無いものとして、自然退職にするという規定を置いておくことをお勧めします。

多くの場合には、この規定により自然退職扱いにすれば問題が解決します。

こうした規定は、必ずしも就業規則のひな形に入っているものではありません。

会社の実情に応じた適法な就業規則にするには、信頼できる社労士にご相談ください。

 

201707.11.解決社労士

<期限付きにする会社のメリット>

会社や店舗の業績に大きな波があって、その傾向が比較的わかりやすければ、必要な時期に限定して人手を増やすために、有期労働契約は便利です。

たとえば、春から秋にかけてはパチンコ店の店員をしていて、冬場だけスノーボードのインストラクターとして働くという例もあります。

 

<メリットの無い有期労働契約>

「何かあったときに」簡単に人員を調整して人件費を抑えるため、有期労働契約の従業員を採用しておくという会社もあります。昔は労働契約法も無かったですし、労働法に対する人々の関心も薄かったですから、会社の思惑通りに事が運んでいました。

しかし、パートやアルバイトであればいつでも解雇できるという誤解は解消されつつあります。

むしろ、契約期間の途中で解雇するのは、定年の他に期間を定められていない正社員よりもむずかしいのです。

客観的に「やむを得ない」理由が無ければ、契約期間中に解雇することはできません。〔労働契約法17条1項、民法28条〕

「やむを得ない」理由とは、期間を定めて雇用しているにもかかわらず、その約束を破って、期間満了前に雇用契約を終了しなければならないような特別重大な理由をいいます。

ですから、余程のことがない限り、契約期間の途中で解雇することはできません。

 

<期間満了での解雇(雇い止め)>

この雇い止めについてのトラブルは非常に多いものです。

その原因は、期間満了と共に解雇するのであれば何の問題も無いハズという会社側の感覚と、契約更新に期待を寄せている従業員の感覚との食い違いです。

そして法律上、一定の場合には解雇が認められやすく、その他の場合には不当解雇となりやすいという複雑さがあります。

解雇したつもりになっていても、不当解雇であれば解雇は無効なのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

雇い止めのトラブルを無くすには、最初の契約内容をきちんとすることと、採用時、契約更新時に労働条件を書面で示すことが必要です。

正社員以外の従業員がいる場合には、トラブル防止のため、また助成金制度を活用するためにも、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.10.解決社労士

<転勤命令の根拠の確認>

会社が労働者に転勤を命ずることができる根拠は、「業務の都合により転勤を命ずることがある」のような就業規則の規定です。

こうした規定は、就業規則のひな形には入っていないこともありますから、漏れていることも多いのです。

会社に転勤命令権が無かったら、必要な配置転換ができないのだから、規定が無ければ転勤命令が自由にできないというのは、「常識」で考えておかしいと考える経営者もいらっしゃるでしょう。しかし、裁判などでは規定の存在が重視されます。

配置転換の多くは、同一事業場内での担当業務等の異動ですが、転勤は勤務地の変更を伴う所属部門の異動ですから、労働者の不安と負担が大きく、必ずしも会社の自由ではないのです。

常用労働者が10人未満の事業場では、就業規則が無くても違法ではありません。10人以上になったタイミングで、会社の営業拠点が1か所であれば転勤も想定していませんから、転勤の規定が無くても、何も問題は無かったはずです。ところが、会社の規模が拡大し営業所ができたりすると、転勤の規定が必要になるのですが、気がつかなければそのままになっています。

結局、どこにも規定が見当たらない場合には、転勤命令の根拠が無いかもしれません。

 

<転勤命令が無効になる場合>

労働契約法には、転勤命令権の濫用による転勤命令の無効を定めた規定はありません。しかし、出向、懲戒、解雇についての規定に示された基準は、裁判の積み重ねによってできた基準です。ですから、実際の裁判では、同様の基準で転勤命令が権利の濫用として無効になる場合が判断されています。

たとえば、業務上の必要性を欠く場合、労働者に通常我慢すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合、不当な動機や目的がある場合には、権利の濫用として転勤命令が無効とされています。〔最高裁昭和61714日東亜ペイント事件判決〕

 

<説明しにくい転勤の理由>

今の担当業務では成果が出ていない、同僚との関係もうまく行っていないという場合には、会社が能力の発揮を期待して転勤させることもあります。しかし、こうした場合に転勤させると、本人にしてみれば能力不足や協調性不足を疑われているのではないかと、落ち込んでしまう可能性もあります。やはり、ストレートに転勤の理由を説明すべきでしょう。

元の職場でケンカしてしまった、セクハラやパワハラをしてしまったという理由での転勤の場合、これが公になっているのであれば、本人への説明は簡単でしょう。

しかし、これが確信の持てるものではなく、疑いに留まっているのであれば、転勤した後に、そうした疑いがかからなくなるのであれば、疑いが晴れることになります。反対に、転勤先でも同じ問題が起こるのであれば、転勤前の職場でも問題があった可能性が高いといえます。

この話をして、転勤対象者に転勤を打診すれば、拒否する可能性は低くなるでしょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

転勤の前後で悩みを抱えてしまった場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.09.解決社労士

<サボりが発覚したら>

「勤務時間中に営業社員が仕事をサボっている」という情報が入ったら、まずは事実を確認しましょう。

その営業社員がサボっていた日時と時間帯、場所、行動、服装、一緒にいた人、手荷物など、人違いであるなどの言い逃れができないようにしましょう。押さえられる証拠があれば、それも集めて保管しておきます。

 

<本人への事情聴取>

あくまでも、就業規則に具体的に違反するようなサボりであった場合や、欠勤控除をすべき長時間のサボりであったことが前提ですが、その営業社員と面談して事実確認をします。

本人が事実を認め反省していれば、口頭で注意し、注意の内容を文書にして、社長あるいは担当役員まで確認の署名をもらい、本人の署名も得ておきます。この文書を会社で保管します。ちょっと面倒に思われますが、サボりを繰り返した場合には、懲戒処分をするにあたって必要な手順となります。

本人が事実を認めない場合には、営業日報の内容などを手掛かりに事実を確認します。また、他の社員やお客様などからも情報を集めます。こうしてサボりの事実が確認できた場合には、本人の反省が無い分だけ、懲戒処分を検討する必要性が高まります。

反対に、人違いや勘違いなどが判明した場合には、丁重にお詫びし、情報収集の相手となった社員やお客様の誤解も解いてあげなければなりません。

 

<サボりを繰り返すなら>

口頭注意から、文書による注意へと切り替えます。それでも繰り返すなら、さらに重い懲戒処分、そして退職勧奨や懲戒解雇へと進むこともあるでしょう。

こうしたことを正しく行うのは、骨の折れることです。

失敗すると、本人が反省するどころか、会社に対して慰謝料を含め損害の賠償を求めてくることもあります。

最初にサボりが発見された時点で、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.08.解決社労士

<転勤命令の根拠>

会社が労働者に転勤を命ずることができる根拠は、「業務の都合により転勤を命ずることがある」のような就業規則の規定です。

こうした規定は、就業規則のひな形には入っていないこともありますから、漏れていることも多いのです。

会社に転勤命令権が無かったら、必要な配置転換ができないのだから、規定が無ければ転勤命令が自由にできないというのは、「常識」で考えておかしいと考える経営者もいらっしゃるでしょう。しかし、裁判などでは規定の存在が重視されます。

配置転換の多くは、同一事業場内での担当業務等の異動ですが、転勤は勤務地の変更を伴う所属部門の異動ですから、労働者の不安と負担が大きく、必ずしも会社の自由ではないのです。

常用労働者が10人未満の事業場では、就業規則が無くても違法ではありません。この場合には、雇用契約書や労働条件通知書に転勤命令の規定があれば、それを根拠に転勤命令が行われます。

しかし、どこにも規定が見当たらない場合には、転勤命令の根拠が無いかもしれません。

 

<転勤命令が無効になる場合>

労働契約法には、転勤命令権の濫用による転勤命令の無効を定めた規定はありません。しかし、出向、懲戒、解雇についての規定に示された基準は、裁判の積み重ねによってできた基準です。ですから、実際の裁判では、同様の基準で転勤命令が権利の濫用として無効になる場合が判断されています。

たとえば、業務上の必要性を欠く場合、労働者に通常我慢すべき程度を著しく超える不利益を負わせる場合、不当な動機や目的がある場合には、権利の濫用として転勤命令が無効とされています。〔最高裁昭和61年7月14日東亜ペイント事件判決〕

 

<転勤命令を拒否したら>

転勤命令を無効だと考えて、これを拒否し、元の職場で勤務を続けたら、明らかな業務命令違反です。会社の就業規則に具体的な懲戒規定があって、これが適用されれば、場合によっては懲戒解雇となることもあり得ます。

このような場合には、「転勤命令に異議をとどめて」転勤先で勤務を開始するということが可能です。つまり、転勤命令は無効だと考え争う姿勢を示しつつ、業務命令違反にならないよう、転勤先で働くというやり方です。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

「転勤命令に異議をとどめて」転勤先で勤務を開始した場合であっても、その勤務が長く続けば、支障なく転勤に応じることができているという実績ができてしまうだけです。

本気で転勤命令を不当と考え拒否したいのなら、転勤を打診された時点で、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.07.解決社労士

<ハードルの低い不当解雇>

不当解雇というのは、会社が労働者に対して一方的に解雇を通告したものの、それが法的には無効とされて、実際には解雇できていないことをいいます。

不当解雇については、次の規定があります。

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」〔労働契約法16条〕

この法律は、平成2031日施行ですから、労働基準法とは違って馴染みが無い方も多いでしょう。

もともと裁判で形成されてきた理論が、立法化されたわけですが、世間の「常識」からすると、解雇が権利の濫用とされ無効とされるハードルはかなり低いといえます。

 

<予防は採用にあり>

いよいよ解雇を検討する段階になると、苦労するのは目に見えています。これを予防するには、解雇したくなるような社員を採用しないのが一番です。

経営者は人手不足になると多忙になります。そして、新人の採用を考えます。このときは、じっくりと手間暇かけて採用を行う余裕がありませんから、とりあえず頭数をそろえたくて、納得のいかない人物を採用しがちです。

採用面接で経歴詐称があったり、能力の不足を隠していたりのケースは少数派で、経営者の方が問題に薄々気付きながらも、かなり妥協して採用してしまったということが多いものです。

ついつい「あまり良い人材とは思えないが、実際に働いてもらったら優れた人材なのかもしれない」という期待を抱いて採用してしまうわけです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

経営者が多忙なために、社員に採用を任せることもあります。しかし、小さな会社では、任された社員が会社に貢献しそうな人材を選考するとは限らず、自分の味方になりそうな都合の良い人材を採用したがるかもしれません。

こうしたリスクを回避するには、ぜひ、信頼できる社労士にお任せください。社労士であれば、求人の手配から、採用手続き、採用後の研修まで、一貫してお任せいただけますのでお勧めします。

 

2017.07.06.解決社労士

<入社日と初出勤>

入社日は勤務先に籍を置くこととなった日です。そして、初出勤は初めて出勤した日です。

正社員であれ、パートやアルバイトであれ、必ずしも入社日に初出勤するわけではありません。

たとえば、平成29年の4月は1日が土曜日でしたから、新卒採用の入社日が41日で、初出勤が月曜日の43日というのが多数派でした。

 

<労務管理上の基準日>

健康保険、厚生年金、雇用保険などの保険関係は、入社日に加入することになります。かつては、試用期間が終わって本採用の時に加入するという誤った運用も見られましたが、基準を満たしている限り、試用期間の初日に加入するのが正しいわけです。後から修正するには、保険料もまとめて納付しなければならず、これが大きな負担となりますから遅れずに手続きしましょう。

年次有給休暇は、法定通りであれば入社日から6か月後に付与されます。これも、試用期間があれば、試用期間の初日から6か月後に付与されることになります。

 

<入社日と初出勤が離れている場合>

入社日に社会保険(健康保険・厚生年金)に加入して、その月の保険料も発生します。ところが、入社してから初出勤までの日が空いてしまうと、就業規則により、その間の欠勤控除が発生する場合があります。その結果、社会保険料を給与から控除すると、マイナスになってしまうことがあります。これは違法なことではありませんが、別途支払ってもらうなど、予めルールを定めておくと良いでしょう。

年次有給休暇は法定通りであれば、入社日から6か月間の出勤率が8割以上の場合に付与されます。入社してから初出勤までの日が空いてしまい、この間を欠勤扱いにしてしまうと、出勤率の点で不利になってしまいます。会社側の都合でこうした現象が発生するのであれば、入社日から初出勤まで、出勤率の計算のうえでは出勤扱いにするなどのルールを設けておくと良いでしょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

入社して何年も経てば当り前の事でも、新人にとっては首をかしげるような事であったりします。せっかく入社した新人が気持よくスタートを切れるよう、会社に合った仕組みづくりのアドバイスをして、適切に運用できるよう支えるのも、顧問社労士の重要な役割です。

ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.05.解決社労士

<存在について>

入社したばかりの新人やアルバイトにとって、そもそも会社に就業規則があるのかどうか不明なこともあります。

労働基準法では、「常時十人以上の労働者を使用する使用者は、…就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。…変更した場合においても、同様とする」となっているので、臨時で働く人を除き、従業員が10人未満の会社では、就業規則が存在しないこともあります。〔労働基準法89条〕

こうした小さな会社では、就業規則の存否については、直接社長に確認すれば良いでしょう。

 

<保管場所について>

使用者は、就業規則を周知する義務を負っています。〔労働基準法1061項〕

「周知」というのは、従業員が見ようと思えば見られる状態にしておくことです。こうしておかなければ、たとえ所轄の労働基準監督署に届け出た就業規則であっても、無効ということになってしまいます。

ですから、少なくとも就業規則をどこでどうやって読んだら良いのかわからない従業員に対しては、会社は就業規則の効力を主張できません。

この場合でも、年次有給休暇、産休、育休など法定の権利については、従業員に与えられています。

就業規則の保管場所については、直属の上司や、総務・人事の担当者に確認すると良いでしょう。

 

<どこを読んだら良いのか>

自分が疑問に思った点について、就業規則のどこを読んだら良いのかわからないことがあります。

この場合には、総務・人事の担当者に相談することになります。ただ、就業規則が作られただけで、法改正や会社の状況に応じた変更が無い会社では、社内に詳しい人がいないという困った状態もありえます。

社労士(社会保険労務士)に就業規則をチェックさせて、運用できる内容に改善したり、社内研修を実施したりが必要になります。

 

<読んでも意味がわからないとき>

必要な部分を読んでみたものの、その意味がわからないということがあります。

この場合にも、総務・人事の担当者に相談することになります。それでもわからないことがあります。

特に法令やひな形を丸写しにしただけの規定であれば、会社の実情に合っているかどうかのチェックもされていませんので、会社にとってどういう意味があるのか、誰にもわからないということも稀ではありません。

こんなときも、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.07.04.解決社労士

<解決の困難さ>

精神疾患を発症した労働者から、その原因が長時間労働やパワハラが原因であるとして、会社に損害賠償を求めてくることがあります。

そうではないことを会社側が証明するのは困難ですし、きっぱりと否定したのに対して訴訟を提起されても時間、労力、人件費、経費、精神力の無駄が発生します。

そもそも精神疾患を発症している労働者を相手に、あれこれ議論を重ねても有効な解決策は見つかりにくいでしょう。

 

<労災保険の利用>

訴訟や労働審判にならないうちに、その労働者と協力する形で、労働基準監督署に労災の申請をすることをお勧めします。

たしかに、責任を追及してきた労働者と協力して、しかも敵視しがちな労働基準監督署を利用してというのは、抵抗を感じるかもしれません。

しかし、当事者同士で議論しても解決は困難であり、労働基準監督署(労働局)の判断を仰いだ結果、労災として認定されなければ、責任を追及してきた労働者も、会社側に責任は無いものと納得するしかないでしょう。

反対に、労災として認定されれば、労働者に一定の給付がなされますから、会社はその価額の限度で民法上の損害賠償の責任を免れることになります。〔労働基準法84条2項類推〕

つまり、慰謝料など労災保険でまかなわれない損害についてのみ、賠償すれば良いことになります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

とはいえ、会社の担当者が精神疾患の労働者と協力しながら、労働基準監督署や医師とも打ち合わせを行いつつ、労災申請手続を進めるのは困難かもしれません。

こんなときは、信頼できる社労士に依頼した方が、スムーズに解決できることでしょう。

 

2017.07.03.解決社労士

<解雇はむずかしい>

解雇には、懲戒解雇、普通解雇、整理解雇、諭旨解雇があります。

解雇とは、雇い主が労働契約の解除を行うことです。

これは、労働者の同意なく、雇い主から労働者への一方的な通告によって成立します。

解雇を通告しても、有効要件を満たさない不当解雇であれば、解雇は無効となり、労働契約がそのまま続くことになります。

その有効要件を端的に示しているのが次の条文です。

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」〔労働契約法16条〕

驚くほど抽象的な条文です。具体的なことは、数多くの労働審判や裁判の例を確認して初めてわかることになります。ですから、労働基準法をはじめとする数多くの労働法の専門家でなければ、とても判断できるものではありません。

 

<たとえば懲戒解雇なら>

懲戒解雇は、懲戒処分としての解雇ですから、懲戒処分の有効要件と解雇の有効要件との両方を満たしていなければ無効になります。

懲戒処分が無効になる場合を示しているのが次の条文です。

「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする」〔労働契約法15条〕

ここで、「使用者が労働者を懲戒することができる場合」というのは、労働者の行為が就業規則の懲戒規定に具体的にあてはまり、労働者の言い分を良く聞き、事実関係を客観的に明らかにするなどの適正な手順を踏んでいる場合をいいます。

こうした場合であって、行為と処分とのバランス、一事不再理、二重処罰の禁止、刑罰不遡及、手続保障、平等主義、不当な動機目的の不存在などの条件をクリアして初めて懲戒処分としての有効性が認められます。

 

<解雇を通告するタイミング>

経営者や上司の目から見て、客観的に解雇は当然と思える場合であっても、安易に解雇を通告するのは避けるべきです。

なぜなら、本人が解雇されることに反論しない場合でも、親戚や友人に強く勧められて、法的手段に出ることがあるからです。

やはり、解雇する場合には、その正当性を裏付ける証拠をきちんとそろえ、そうした証拠をもって解雇するのだということを、対象者に説明したうえで解雇しないと危険なのです。

「解雇」「クビ」という言葉が頭をよぎったら、なるべく早く信頼できる社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

2017.07.02.解決社労士

 

<労働条件の通知>

アルバイトでも、パートでも、人を雇った使用者は労働条件を書面で交付する義務があります。〔労働基準法15条〕

労働条件通知書、雇い入れ通知書、雇用契約書、労働契約書など名前はいろいろです。

名前はどうであれ、交付しないのは違法で30万円以下の罰金刑が規定されています。〔労働基準法120条〕

この場合、1人あたり30万円の罰金を科せられたうえに、マスコミやネットの書き込みの威力で、立ち直れなくなる可能性があります。

というのは労働条件が不明確なら、年次有給休暇の付与日数も取得した場合の給与計算の方法も不明です。月給制なら、残業手当の計算方法もわかりません。こうしたことから、労働条件を書面で交付しないのは、「年次有給休暇も残業手当もありません」と表明しているようなものだからです。

 

<契約の更新>

有期労働契約であれば、こうした書類に契約期間が明記されています。

ところが、契約期間の終了が迫っているのに、なかなか契約更新の話が無いのでは、雇われの身としては不安で仕方がありません。

ついに、契約期間が過ぎても何の話も無ければ、このまま働いていて大丈夫なのか疑問に感じてしまいます。

こういう場合に備えて、民法には次の規定があります。

「雇用の期間が満了した後労働者が引き続きその労働に従事する場合において、使用者がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の雇用と同一の条件で更に雇用をしたものと推定する」〔民法629条1項〕

つまり、契約切れなのに勝手に働いているのだから、賃金支払義務は無いなどということはないのです。

(このほか労働契約法19条にも一定の場合の契約更新が規定されています)

 

<契約更新期が近づいたら>

とはいえ、遅くとも契約期間満了の1か月前になったら、使用者からでも労働者からでも、気づいた方が契約更新の話をもちかけるべきです。

必ず前回と同じ内容で更新というわけではなく、出勤日や勤務時間の変更、賃金の改定など検討する余地があるかも知れません。

そして、「こういう風にしても問題ないか?」という疑問があれば、信頼できる社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

2017.07.01.解決社労士

<経営者の理解>

企業が職場におけるハラスメント防止に取り組むにあたっては、経営者の理解が大前提となります。

これ無くしてハラスメント防止対策を行っても、すべては空回りしてしまうものです。

それほど経営者の意識や姿勢は、企業全体に大きく影響します。

経営者自らが理解を深めるために、セミナーなどに参加することをお勧めします。

 

<実態把握と意識把握>

職場環境の実態や従業員の意識を把握しましょう。

アンケートなどにより把握する場合には、単なる集計ではなく、防止対策のためであることを明確にして実施します。

プライバシーの保護には十分配慮することを明確にして実施しましょう。

 

<従業員の活用>

ハラスメントの問題は、職場環境や従業員の位置づけなどの、企業風土に大きく左右されます。

ハラスメント防止のためには、偏りの無い従業員の活用もポイントとなります。

これには、適正な人事考課制度の運用が必要となります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

そもそも経営者がセミナーに出かけたがらないというのであれば、社労士が社内で研修を行うこともできます。

客観的な実態把握や意識把握がむずかしいというのであれば、これも社労士が承ります。

適正な人事考課制度の構築や運用も、社労士の得意分野です。

ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.30.解決社労士

<守秘義務の認識>

社員は、在職中だけでなく退職後にも、労働契約に付随する義務として当然に守秘義務を負っています。

しかし、このことは必ずしも社員一人ひとりに認識されているとは限りません。就業規則に具体的な規定を置くことはもちろん、守秘義務を負う社員からは、入社や異動の際に誓約書を取っておくことをお勧めします。

 

<賠償請求の困難性>

社員が営業秘密をもらしてしまった場合でも、損害賠償請求は困難ですし、その金額も限定されてしまいます。

賠償を請求する場合には、まず具体的な事実関係を確認する必要があります。ところが、これは大変時間のかかることですから、対象社員から十分に事情を聞く前に退職されてしまうことがあります。

また、事実関係が明らかになったとしても、損害の発生や損害額を証明することが大変困難です。

こうした場合に備えて、会社と社員との間で損害賠償額を予め決めておければ楽なのですが、これは労働基準法で禁止されていて、たとえ決めておいても無効になってしまいます。〔労働基準法16条〕

 

<不正競争防止法>

不正競争防止法には、損害賠償請求の規定があるのですが、この法律が保護の対象としている営業秘密は、範囲が限定されているため簡単には適用されません。

保護されるのは「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」とされています。〔不正競争防止法2条6項〕

実際には、秘密管理性の要件に欠けるとして、この法律の保護が受けられないことが多いのです。なぜなら、秘密管理性の要件を満たすには、次のことが行われている必要があるからです。

・情報に接した者にその情報が営業秘密であると認識させていること

・情報に接する者が制限されていること

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

このように見てくると、営業秘密がもれたかも知れないと気づいてから対応するのではなく、もれないようにするのが得策です。

そのために最も効果的なのは、定期的に社員研修を繰り返すことです。何か問題が発生してから1回だけ研修を行い、その後長く実施しなければ、会社の態度が見透かされてしまいます。少なくとも年1回は実施したいものです。

こうした研修は、社外の講師が行った方が効果的ですし、労働契約の性質、就業規則の意味、誓約書の効果といった深い話から順を追ってきちんと説明することをお考えでしたら、信頼できる社労士にご依頼ください。

 

2017.06.29.解決社労士

<パート社員の試用期間>

たとえば、1年間の有期労働契約にして、最初の3か月間は試用期間とすることが行われます。

会社側は、3か月間の働きぶりを見て、とても勤まらないと判断すれば、そこで解雇しようという意図がうかがえます。

しかし、試用期間中であれ、試用期間終了時であれ、やむを得ない理由が無ければ解雇できません。日常用語で「本採用拒否」などと言われますが、これは解雇です。

このことは、きっちり雇用契約書を交わして本人の了解を得ていたとしても、結論に変わりはありません。

 

<正しい方法>

最初は3か月契約として、契約更新の条件に会社が意図する「本採用」の条件を定めておけば良いのです。

この「本採用」の条件は、正社員に対しても、入社時に文書で明示しておくと労働トラブルの防止に役立ちます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

法令の規定とは違った「常識」や同業他社の「慣行」に頼った対応が、思わぬ結果をもたらしたり、意図した効果が得られなかったりで、労働トラブルとなることがあります。

会社の中で当たり前になっていることも、一度、信頼できる社労士にチェックさせることをお勧めします。

 

〔労働契約法171項〕

使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

 

〔民法628条〕

当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。

 

2017.06.28.解決社労士

<週休を増やすとは>

会社の方針により、週休1日から週休2日に変更したら、従業員の休日は倍増しますから、年次有給休暇を多少減らしても良いのではないかという話です。

昔から週休1日で運営してきた会社が、採用難などを理由に、週休2日として応募者を増やそうとすることもあります。

また、事業の成長が見込めず、従業員も高齢化していることから、人員を削減するのではなく、休日を増やして対応することもあります。

要は、休日も休暇も同じ休みなので、合計の日数が増えるなら問題ないのではないかという考え方です。

 

<休日と休暇>

労働基準法の定義によると、休日は労働義務のない日、 休暇は労働義務のある日に労働が免除される日です。

休日は、従業員から会社に対して申請や届出をしなくても、最初から当然に休みです。一方休暇は、従業員から会社に対して申請や届出をして休みます。

そして労働基準法は、休日と休暇のそれぞれに基準を定めて、この基準を下回ることを許しません。

結局、休日を大幅に増やしても、年次有給休暇が基準を下回るのは違法です。

たとえ、年次有給休暇が法定の基準を上回っている会社であっても、これを減らすことは不利益変更となりますから、厳格な条件を満たした場合にのみ許されます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

休日が増えれば、労働時間が減る可能性が高いでしょう。

この場合に、月給を減らすことに問題は無いのか、減らせるとしてどの程度まで可能なのかということは、それぞれの具体的なケースに応じた判断が必要です。これは、かなり専門的な話になります。

また、許される減給であっても、その手続きや手順が誤っていると、月給の変更が無効となり、会社は変更前の月給を支払う義務を負うことになります。

人は変化を嫌います。労働条件の改善であっても、上手に行わなければ従業員の反感を買い、退職者が出てしまいます。また、良かれと思った変更が、実は違法だったということもあり得ます。

労働条件や人事制度の変更は、その検討段階から、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.27.解決社労士

<労災認定の条件>

パワハラ、セクハラ、マタハラなどのハラスメントが精神疾患の原因となった場合には、業務災害として認定されるか、労災保険の給付対象となるかが問題となります。

これを判断するのは、労働基準監督署長や労働局長です。

認定の条件としては、業務遂行性と業務起因性があります。

業務遂行性とは、労働者が労働契約に基づいた事業主の支配下にあったことです。

業務起因性とは、業務と病気との間に因果関係が存在することです。

 

<精神疾患の労災認定>

精神疾患の労災認定の判断は、厚生労働省が平成2312月に「心理的負荷による精神障害の労災認定基準」を定め、これが運用されています。

その主なポイントは次のとおりです。

・認定基準の対象となる精神障害を発病していること

・認定基準の対象となる精神障害の発病前約半年の間に業務による強い心理的負荷が認められること

・業務以外の心理的負荷や個人的な要因により発病したとは認められないこと

 

<業務による強い心理的負荷>

業務による強い心理的負荷が認められるには、業務による具体的な出来事があって、その出来事とその後の状況が、労働者に強い心理的負荷を与えたといえることが必要です。

 

2017.06.26.解決社労士

<退職してもらう方法の選択>

業務上のミスが多く、その程度も重い場合、十分に注意・指導・教育しても改善の見込みが低い場合には、仕方なく会社を辞めてもらうことになります。

その方法としては、退職勧奨や普通解雇があります。

解雇が有効となる条件がそろっているような場合には、会社から対象者に退職を勧め、本人がこれに応じる合意退職が成立しやすいでしょう。

しかし、解雇が有効となる条件が欠けている場合、能力不足などにより転職がむずかしい社員の場合、実力に比べて高額な給与が支給されているような場合には、なかなか本人が退職勧奨に応じないものです。

また、能力不足そのものを理由とする懲戒解雇はできませんので、「このままだと懲戒解雇になる」などの説明をして退職願いを提出させた場合でも、錯誤〔民法95条〕、強迫〔民法96条〕による退職の意思表示の無効が主張され、取り消されてしまう可能性があります。

さらに、反省を示す意図で退職願いが出されたのに対し、会社側がその意図を知りうるのに退職手続きを進めたような場合には、心裡留保〔民法93条〕により退職の意思表示が無効となる可能性もあります。

 

<普通解雇による退職>

こうして、能力不足によるミスの連発が見られる場合には、普通解雇を検討することになります。

普通解雇のつもりで解雇を通告しても、法的な条件を満たしていなければ解雇権の濫用とされ無効となります。これが不当解雇です。不当解雇の場合には、解雇したつもりになっていても、それは無効だということです。

解雇が有効となるためには、次の条件を満たしている必要があります。

・就業規則に定めてある普通解雇の具体的な理由にあたること

・解雇権の濫用〔労働契約法16条〕ではないこと

・解雇予告義務〔労働基準法20条〕が果たされていること

・解雇が法律上の制限に違反していないこと

 

<証拠固め>

退職勧奨に応じた社員や、普通解雇をした社員から、合意退職や解雇の無効を主張されることがあります。これに備えて会社は証拠を保管しておく必要があります。ところが実際には、会社側に証拠が残っていないことが多く、退職者の主張を覆せないことによるトラブルが後を絶ちません。

会社が「十分に注意・指導・教育しても改善の見込みが低い」という証拠を持っていなければ、真実はそうであったとしても、裁判官はその事実を認定できません。注意・指導・教育の日時と内容、そしてその後の対象社員の変化などを、文書に残しておく必要があります。

会社経営者、上司、同僚、部下、取引先などは、基本的に会社の味方ですから、その証言は信頼できる証拠にはなりません。

また、そもそも業務上のミスが多いので辞めてもらいたいわけですから、いつどのようなミスがあったのか、会社はどう対処したのかという基礎的な証拠も必要なわけです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

たとえば、解雇権の濫用とされる基準は、労働契約法16条を読んだだけでは具体的なことがわかりません。具体的な事案に即した専門的な判断が要求されるのです。

社員に退職してもらうことを検討する場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.25.解決社労士

<加入基準>

雇用保険や社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入基準のうち、労働時間については、実労働時間ではなくて所定労働時間が基準となります。

つまり、シフトに多く入っていて実際の労働時間が多くなっていても、雇用契約書や労働条件通知書に書いてある所定労働時間が基準に達していなければ、保険に入れないということになります。

 

<所定労働時間の見直し>

とはいえ、所定労働時間と実労働時間との食い違いが続くというのは、正しい状態ではありません。

従業員から会社の責任者などに「約束通りにシフトに入れてください」と言うか、「実際の勤務に合わせて雇用契約書を作り直してください」と言うべきです。

 

<所定労働時間が無い?>

出勤日や勤務時間は、雇い入れにあたって雇い主が労働者に明示しておくべき労働条件の一つです。

しかし、月や週ごとに、話し合いで出勤日や勤務時間を決めることも違法ではありません。

実際、シフトを組んで勤務予定を立てている場合、基準となる出勤日数が決まっていないことがあります。

さらに、労働者が主体となって、自分の都合に合わせで出勤日を決めるというのも、何ら法令違反にはなりません。

このように所定労働時間が明確に決まっていない場合に限っては、勤務の実態を踏まえて、雇用保険や社会保険の加入を判断せざるを得ません。

社会保険については年金事務所、雇用保険についてはハローワークが相談窓口となります。

まとめて相談するのであれば、信頼できる社労士にご連絡ください。

 

2017.06.24.解決社労士

<制度利用への嫌がらせ>

次に掲げる制度や措置は、育児介護休業法が定めるもので、男女どちらにも適用されます。上司や同僚の言動が、こうした制度や措置に関するもので、人権侵害となれば、就業環境を害することにもなり、制度等の利用への嫌がらせ型のマタハラ(マタニティーハラスメント)となります。

小さな会社を含め、すべての会社の労働者に適用されます。

・育児休業

・子の看護休暇

・所定外労働(早出や残業)の制限

・深夜業の制限

・育児のための所定労働時間の短縮措置

・始業時刻変更等の措置

 

<マタハラとなる言動>

次のような言動が、マタハラの典型例です。

・制度や措置の利用請求などを理由に上司が不利益な取扱いをほのめかす

・制度や措置の利用請求などを上司や同僚が邪魔する

・制度や措置を利用したことを理由に上司や同僚が嫌がらせをする

具体的には、次のような発言がマタハラになります。

「男のくせに育休を取るなんて」

「一人だけ残業しないで帰るなんてずるい」

「いつも社長出勤で偉そうね」

周囲の人たちは、自分の負担が増えるから、ついついこんな発言をしがちです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

「うちの会社は産休や育休なんて関係ない」と言えるうちに、マタハラ対策をするのがお勧めです。

具体的に対象者があらわれてからでは、冷静に判断することができなくなるものです。

労働者の出産前後のルールについて、権利ばかりではなく義務についても、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.23.解決社労士

<パートやアルバイトなどの定義>

正社員、パート、アルバイト、嘱託社員、契約社員などの用語は、法律用語というわけではなくて、それぞれの企業で定義を決めています。そして実際には、明確な定義を決めていない企業も数多くあります。

このように、パートなどが法律用語ではない以上、各企業が特定の従業員をどのような名称で区分しようとも、それを根拠に正社員と違った扱いができることにはならないのです。

 

<パートやアルバイトの解雇>

ところが、パートやアルバイトであればいつでも解雇できるものと誤解されていることがあります。もちろん、全くの誤りです。

むしろ、契約期間の途中で解雇するのは、定年の他に期間を定められていない正社員よりもむずかしいのです。

客観的に「やむを得ない」理由が無ければ、契約期間中に解雇することはできません。〔労働契約法17条1項、民法28条〕

「やむを得ない」理由とは、期間を定めて雇用しているにもかかわらず、その約束を破って、期間満了前に雇用契約を終了しなければならないような特別重大な理由をいいます。

ですから、余程のことがない限り、契約期間の途中で解雇することはできません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

期間満了と共に解雇する場合にも、決して自由に行えるわけではありません。

解雇したつもりになっていても、不当解雇であれば解雇は無効なのです。

その人を採用するかどうかは、基本的に企業側の自由なのですが、採用したからには雇い続ける努力をしなさいというのが、労働法全体の趣旨となっています。

それでもなお、解雇を考えなければならないのなら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.22.解決社労士

<残業の性質>

残業は、会社が命じて社員に行わせるものです。具体的には、上司が業務上の必要から、部下に命じて行わせることになります。

少なくとも、部下が残業の必要性を上司に打診し、これを受けて上司が部下に命ずるという形でなければ、残業は発生しない性質のものです。

そして、いつも上司がいるわけではありませんから、伝票の処理が終わらないときは残業しなさいとか、お客様のクレームがあったときは対応して報告書を作成するまでは残業しなさいという包括的な命令もありえます。

この場合には、ダラダラ残業の危険がありますから、上司は十分な事後チェックをしなければなりません。

 

<上司の怠慢>

ところが実際には、上司の命令が無いままに、部下が自己判断で残業することがあります。上司は、これを発見し、注意し、禁止しなければなりません。そうしなければ、際限なく残業代が発生しますから、人件費の垂れ流しになってしまいます。

このような管理能力を備えていない上司が、部下の残業を野放しにしておくと、上司による黙示の承認があったものとされ、会社は多額の残業代を支払うことになります。支払わなければ、サービス残業とされ、未払い残業代の請求が発生します。

上司には、部下を管理する役目があって、その分給料が高いのですが、上司が給料分働かないうえに、部下の余計な残業代まで負担するのですから、会社はたまったものではありません。

上司の管理能力の有無は、きちんと人事考課によって評価されなければなりません。管理能力の不足する上司が、適正に降格されなければ、会社全体の生産性が低下してしまいます。

 

<就業規則での対処>

業務が終了したら直ちに帰ることを規定しましょう。残業代が発生しなくても、ただそこに社員が残っているだけで、余計な光熱費が発生しますし、雑談などしようものなら、残業している社員の邪魔になります。それだけでなく、使用者の指揮命令下にあるものとされ、タイムカードを打刻した後の時間にも残業代が発生してしまいます。

残業は、上司の命令によって発生することを明記しましょう。上司の命令に応じるのではなく、自己判断で残業することは禁止しましょう。

こうした規定に違反する社員は、人事考課で適正に評価されなければなりません。場合によっては、懲戒処分の対象とする必要もあるでしょう。

 

<残業代を稼ぎたい社員の発見>

仕事の合間に居眠りしたり、軽食をとったり、雑談したり、喫煙したり、仕事に関係ない資料を読んだり、個人的興味でパソコンをいじったり、スマホを操作したりの時間は、本当の労働時間ではありません。

こうした時間の総合計が長い一方で、残業が発生している社員は、上司が注意指導して仕事をさせなければなりません。

これもまた、適正な人事考課と必要に応じた懲戒処分の対象となります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

担当者に対して「残業を減らしなさい」「残業は月20時間まで」などと言うのは、上司のあるいは会社側の責任放棄です。これでは、仕事が回らなくなるか、生産性が低下するか、サービス残業が発生してブラック企業に転落するかでしょう。

社内でうまく残業を減らせないのなら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.21.解決社労士

<マタハラ(マタニティーハラスメント)>

マタハラとは、職場での上司や同僚からの、妊娠・出産したことに関する言動や、育児のための制度の利用に関する言動により、妊娠・出産した女性労働者や育児休業等を申出・取得した男女労働者等の就業環境が害されることをいいます。

対象者は、女性に限られず、父親となった男性も含まれます。

 

<職場>

職場は、労働者が業務を遂行する場所ですから、事務所、店舗などに限られず、出張先や取引先、自動車の中なども含まれます。

また、勤務時間外であっても、職務との関連性や、参加義務などにより、実質的に勤務の延長であれば、職場と見なされる場合があります。

職場で起きた事であれば、企業の使用者責任が問われます。

 

<労働者>

正社員だけでなく、パート、アルバイト、契約社員などを含むすべての労働者をいいます。

また、派遣労働者については、派遣元も派遣先も、直接雇用の労働者と同様に措置を講じる必要があります。

 

<マタハラにあたらない場合>

客観的に見て、業務上の必要に基づく言動は、マタハラにはなりません。

この点、セクハラには業務上の必要に基づくことがありえないのとは異なります。

 

2017.06.20.解決社労士

<基本的な態度として>

パワハラを指摘されたなら、それはそれで十分反省すべきです。

しかし、懲戒解雇というのが行き過ぎた対応ではないかと疑うことも必要です。

パワハラを理由に懲戒解雇を宣告されても、それが法的に有効となるためには、厳格な法的要件を満たす必要があります。

会社に再考を促すべき場合もありますので、冷静に考えてみてください。

 

<懲戒処分の有効要件>

解雇までいかなくても、懲戒処分が有効とされるには、多くの条件を満たす必要があります。条件を1つでも欠けば、無効を主張できるわけです。

法律上の制限としては、次の規定があります。

 

「使用者が労働者を懲戒できる場合に、その労働者の行為の性質、態様、その他の事情を踏まえて、客観的に合理的な理由を欠いているか、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして無効とする」〔労働契約法15条〕

 

これは、数多くの裁判の積み重ねによって作られた「懲戒権濫用法理」という理論を条文にしたものです。

ですから「使用者が労働者を懲戒できる場合」、つまり就業規則や労働条件通知書、雇用契約書などに懲戒処分の具体的な取り決めがあって、その労働者の行為が明らかに懲戒対象となる場合であっても「懲戒権濫用法理」の有効要件を満たしていなければ、裁判ではその懲戒処分が無効とされます。

また、そもそも就業規則や労働条件通知書、雇用契約書などに懲戒処分の具体的な取り決めが無ければ、懲戒処分そのものができないことになります。

 

懲戒権の濫用ではないといえるためには、次の条件を満たす必要があります。

・労働者の行為と懲戒処分とのバランスが取れていること。

・パワハラの問題が起きてから懲戒処分の取り決めができたのではないこと。

・過去に懲戒処分を受けた行為を、再度懲戒処分の対象にしていないこと。

・その労働者に説明や弁解をするチャンスを与えていること。

・嫌がらせや退職に追い込むなど不当な動機目的がないこと。

・社内の過去の例と比べて、不当に重い処分ではないこと。

 

<懲戒規定の明確さ>

実際にパワハラとされた行為が、懲戒処分の対象であることが明確でなければ、従業員としては、何が処分の対象かわからないまま処分されてしまうことになります。これは、やはり懲戒権の濫用となり、懲戒処分は無効となります。

同じパワハラでも、暴行、傷害、名誉棄損など、刑法上の罪に問われる行為であって、懲戒規定に「会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が明らかとなったときは懲戒解雇とする」という規定があれば、他の条件を満たす限り懲戒解雇も有効になります。

しかし、こうした規定が無かったり、パワハラとされた行為が刑罰法規に違反する行為ではないという場合には、パワハラの定義の明確性が問題となります。

 

<パワハラの定義>

法令にパワハラの定義はありません。ですから、職場ごとに明確な定義づけをしなければ、パワハラを理由とした懲戒処分はできません。

つまり、就業規則などの規定を読めば、問題とされた行為がパワハラにあたることは、その行為を行った人にも明らかだと言える場合や、パワハラについての教育研修が十分に行われているので、その行為を行った人にも理解できていたと言える場合でなければ、有効に懲戒処分を行うことはできません。

何を禁止されているかわからないのに、「あれはパワハラだったから処分します」という不合理なことは許されないのです。

ですから、パワハラを指摘され反省してみたものの、本当にパワハラと言えるのかどうか良くわからないならば、パワハラの定義が不明確である可能性が高いのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

パワハラで懲戒解雇になりそうな場合、自分の行為が本当にパワハラだったのか、パワハラだったとして解雇されるほどのことだったのか、という疑問を感じているのなら、なるべく早く信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.19.解決社労士

<繰り下げ受給を選ぶ理由>

65歳から受給する老齢年金を、繰り下げて受給すると、最大70歳までの繰り下げで受給額が増額されます。

65歳以上でもまだまだ元気に働いていて年金に頼る必要が無い、預貯金などの資産が充分にあるという方は、受給額の増額が大きなメリットとなります。

また、働きながら年金を受け取る在職老齢年金の場合、年金額の一部または全額が支給停止されることもありますから、条件によっては、繰り下げ受給を考えたいところです。

 

<どれほど増額されるのか>

繰り下げによる増額の割合は 0.7%×繰り下げた月数 で計算できます。1年につき8.4%の割合ですから、最大5年で42%ということになります。

しかも、この増額が一生続くのです。

たとえば、65歳から年100万円の年金をもらう代わりに、70歳から年142万円の年金をもらうという計算になります。

 

<70歳からの繰り下げ受給が得なのは>

上のケースで、65歳から受け取る場合と、70歳から受け取る場合とでは、年42万円の差額が出ます。

65歳から受け取っていたとしたら、70歳になるまでの5年間で合計500万円の受取額となっていたはずです。

この差を解消するのに必要な年数は、500万円を42万円で割って、11.905…年となります。

 つまり、11年11か月ほどで、70歳から受給した場合の合計額が、65歳から受給した場合の合計額に追いつきます。

 

今の仕組みが続いたとして、81歳11か月までの年金額の総額は、

65歳からだと、100万円×16.905年=1,690万5千円

70歳からだと、142万円×11.905年=1,690万5千円

 

今の仕組みが続くなら、そして、あくまでも受給額の総額だけで考えるならば、82歳以降も長生きする方は、70歳から年金を受けるのが得なのでしょう。反対に、そこまで生き続けなければ損になります。

 

<結論として>

平成27年の日本人の平均寿命は、厚生労働省が5年ごとに公表している「完全生命表」によると、女性が86.99歳、男性が80.75歳だそうです。

82歳まで生きるというのは、特に女性にとって、決して無理な話ではありません。

また、低金利の世の中で、繰り下げ1年につき8.4%の増額というのは、かなり大きなメリットです。

しかし、高齢者になると体力も気力も低下し、お金があってもそれを上手く使えなくなってくるという現実があります。必ずしも、計算上の合計額が多い方が良いというわけでもありません。

もっと詳しく具体的に検討したい場合には、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2017.06.18.解決社労士

<繰り上げ受給を選んだ理由>

65歳から受給する老齢年金を、最大60歳まで繰り上げて、早めに受給を開始することができます。

厚生労働省の平成24年の調査ですが、繰り上げ受給を選んだ理由ベスト3は、次のようになっています。

 

・年金を繰上げないと生活出来なかったため

・生活の足しにしたかったため

・減額されても、早く受給する方が得だと思ったため

 

減額されても、早く受給する方が得だと思った根拠は何なのでしょうか。不幸にして余命宣告された方は、繰り上げ受給に合理性があると考えられます。しかし、短命な家系に生まれたという程度では、理由としては弱いような気もします。

 

<どれほど減額されるのか>

繰り上げによる減額の割合は 0.5%×繰り上げた月数 で計算できます。1年につき6%の割合ですから、最大5年で30%ということになります。

しかも、この減額が一生続くのです。

たとえば、65歳から年100万円の年金をもらう代わりに、60歳から年70万円の年金をもらうという計算になります。

65歳の時点では、すでに5年間で350万円の年金を受け取っている計算になります。70万円×5年です。

 

<60歳からの繰り上げ受給が得なのは>

上のケースで、65歳から受け取る場合と、60歳から受け取る場合とでは、年30万円の差額が出ます。

すでに受け取っている年金350万円を30万円で割ると、11.66…となります。つまり、11年8か月で60歳からの受給者は、65歳からの受給者に、年金額の総額で追いつかれることになります。

 

今の仕組みが続いたとして、76歳8か月までに受け取る年金額の総額は、60歳から受け取っても、65歳から受け取っても、1,166万6千円です。

60歳からだと、 70万円×16年8か月=1,166万6千円

65歳からだと、100万円×11年8か月=1,166万6千円

 

今の仕組みが続くとして、あくまでも受給額の総額だけで考えるならば、76歳半位までに亡くなる方は、60歳から年金を受けて得なのでしょう。反対に、これ以降も生き続ける方は損になります。

あくまでも、計算上の話です。

 

<他にもある繰り上げ受給のデメリット>

繰り上げ受給をすると、年金の上では、65歳になったのと同じ扱いがされますので、次のようなデメリットもあります。

・障害基礎年金を請求することができない。

・寡婦年金が支給されない。既に寡婦年金を受給していても権利がなくなる。

・65歳になるまで遺族厚生年金が併給できない。

これらも踏まえて、繰り上げ受給を慎重に検討する必要があります。

 

<結論として>

長生きする可能性を考えると、早くもらわないと生活できないという方、難病などで余命宣告されている方を除き、繰り上げ受給はお勧めできません。

低金利の世の中で、繰り上げ1年につき6%の減額というのは、かなり大きなデメリットですから。

もっと詳しく具体的に検討したい場合には、信頼できる社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

2017.06.17.解決社労士

<定額残業代の失敗による打撃>

残業が少なくても定額残業代が保障されているのですから、労働者は早く仕事を終わらせてプライベートを充実させようとします。そのためには、自主的に学んだり、仕事の仕方を工夫したり、会社に言われるまでもなく努力します。これによって生産性が向上するのは、会社にとっても大きなメリットです。

もし、こうした結果が得られていないのならば、制度の導入や運用に誤りがあると思われます。

そして、制度の導入や運用に誤りがある場合には、定額残業代の有効性が否定されます。否定されると、基本給など残業代を計算するときのベースとなるはずだった賃金に、定額残業代を加えた金額をベースとして、残業代を計算し定額残業代とは別に支給しなければならなくなります。

これは、複利計算の形で残業代の二重払いが発生することになります。ですから、会社にとっては思わぬ打撃となります。

 

<正しい導入は手間がかかる>

基本給にあたる賃金から、一定の時間(基準時間)に相当する定額残業代を算出します。このとき、割増率が法定の基準を下回らないことと、基本給が最低賃金を下回らないことが必要です。

この基本給から定額残業代を算出した計算方法について、労働者ひとり一人に実額で説明します。文書をもって説明し、制度の導入について同意を得ておくのが基本です。

こうした導入ができていないと、定額残業代は無効となりますから、労働者から別途残業代を請求されたら支払わなければなりません。

 

<正しい運用も手間がかかる>

定額残業代を導入しても、労働時間は適正に把握する必要があります。なぜなら、基準時間を上回る時間の残業手当や、計算に含まれない法定休日出勤手当、深夜手当は、毎月計算して支給しなければならないからです。

もちろん、残業が基準時間を下回っても、その分定額残業代を減額することはできません。そんなことをしては「定額」残業代ではなくなってしまいます。

誤った運用をしてしまった場合のリスクは、誤った導入をした場合と同じです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

定額残業代は、ブラックな制度のように思われがちです。

しかし、正しい制度であれば、会社にも労働者にもメリットが多いはずです。その反面、誤った制度にしてしまうと、会社は何らかの形で労働者から残業代の二重払いを請求されます。

定額残業代を正しく活用し、そのメリットを最大限に活かすには、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.16.解決社労士

<同じ解雇でも>

懲戒解雇は、就業規則や雇用契約書、労働条件通知書などに具体的な規定が無ければできません。

しかし普通解雇は、これらに規定が無い場合でも民法が適用されるので、一定の条件を満たせば可能です。

 

〔民法第627条第1項〕

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

 

〔民法第627条第2項〕

期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。

 

通常、給与計算には締切日がありますので、給与支給が月1回であれば第2項の方が適用されます。

 

<解雇の意味>

雇い主から「これこれの条件でこの仕事をしてください」という提案があり、労働者がこれに合意すると労働契約が成立します。

労働契約は口頭でも成立します。ただ労働基準法により、一定の重要な労働条件については、雇い主から労働者に対し、原則として書面による通知が必要となっています。具体的には、雇用契約書、労働条件通知書などです。

解雇は、雇い主がこの労働契約の解除を労働者に通告することです。

 

<普通解雇>

狭義の普通解雇は、労働者の労働契約違反を理由とする労働契約の解除です。

労働契約違反としては、能力の不足により労働者が労働契約で予定した業務をこなせない場合、労働者が労働契約で約束した日時に勤務しない場合、労働者が業務上必要な指示に従わない場合、会社側に責任の無い理由で労働者が勤務できない場合などがあります。

 

<解雇の制限>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という規定があります。〔労働契約法16条〕

労働者の労働契約違反があった場合でも、雇い主はある程度まで労働契約の維持に向けた努力を示さなければ、解雇権の濫用とされ、解雇を通告しても無効になってしまいます。

能力の不足により労働者が労働契約で予定した業務をこなせない場合でも、雇い主は業務に必要な指導教育を十分に行っていなければ解雇できません。

労働者が業務上必要な指示に従わない場合でも、労働者に指示内容の重要性を説明し、指示に従うよう指導したうえでないと解雇できません。

雇い主は、その労働者を雇わないという選択もできたわけです。それでも雇ったからには、雇ったことに対する責任があるということです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

広義の普通解雇には、労働者の労働契約違反を理由とする解雇の他に、整理解雇が含まれます。

整理解雇とは、雇い主側の経営上の理由による解雇をいいます。

解雇は、解雇権の濫用とされれば無効になるわけですから、具体的なケースで解雇の有効性に疑問がある場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.15.解決社労士

<法改正の動向>

少子高齢化対策は国が力を入れている政策ですから、関連する法令の改正が急速に進んでいます。ついこの間まで大丈夫だったことが、いつの間にか法令違反となっています。

もともと、妊娠、出産、育児、介護などを理由として、事業主が解雇、雇い止め、降格、不当な配置転換その他の不利益扱いをすることは、男女雇用機会均等法と育児介護休業法で禁止されてきました。

平成29年1月からは、職場で妊娠などについての上司や同僚の言動で、労働者の就業環境が害されるのを防止する措置をとることが、事業主に義務付けられるようになりました。

 

<不利益取扱の理由>

妊娠中または産後の女性労働者が、妊娠した、出産した、妊婦健診のため仕事を休んだ、つわりや切迫流産で仕事を休んだ、産休をとったなどを理由に、事業主が不利益取扱いをすることは禁止されています。

また、性別に関係なく労働者が、育休や介護休業をとった、子どもの看護休暇をとった、育児介護のため残業や夜勤の免除を申し出たという場合にも、こうしたことを理由に事業主が不利益取扱いをすることは禁止されています。

ここに示した不利益取扱の理由が消滅しても、消滅から1年以内に、何か労働者に不利なことが行われた場合には、妊娠などを契機としていると判断されます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

少子高齢化対策という国の政策による法規制については、従来の「常識」が通用しません。

事業主が労働者に対する「常識的な」措置だと判断しても、タイミングによっては法令違反となりやすいのです。

妊娠した労働者や配偶者が妊娠した労働者がいる場合には、なるべく早い段階で、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.14.解決社労士

<人事院とは>

人事院は、国家公務員の人事行政に広汎な権限を有する行政委員会です。

国家公務員の人事管理の公正中立と統一を確保すること、ストライキ権など労働基本権制約の代償機能を果たすことの2つを目的としています。

人事院は、給与その他の勤務条件の改善や人事行政の改善に関する勧告、採用試験や任免、給与、研修、分限、懲戒、苦情の処理、職務に係る倫理の保持その他職員に関する人事行政の公正の確保と職員の利益の保護等に関する事務を行います。

 

<人事院規則10-10>

人事行政の公正の確保、職員の利益の保護と職員の能率の発揮を目的として、セクシュアル・ハラスメントの防止と排除のための措置、セクシュアル・ハラスメントに起因する問題が生じた場合に適切に対応するための措置に関し、必要な事項を定める規則です。

 

<運用指針に示されたセクハラ例>

人事院規則10-10の運用指針の中に、セクシュアル・ハラスメントになり得る言動として、次のものが例示されています。ここに無い言動が、セクハラにならないというわけではありません。

 

一 職場内外で起きやすいもの

 

(1) 性的な内容の発言関係

 

ア 性的な関心、欲求に基づくもの

・スリーサイズを聞くなど身体的特徴を話題にすること。

・聞くに耐えない卑猥な冗談を交わすこと。

・体調が悪そうな女性に「今日は生理日か」「もう更年期か」などと言うこと。

・性的な経験や性生活について質問すること。

・性的なうわさを立てたり、性的なからかいの対象とすること。

 

イ 性別により差別しようとする意識等に基づくもの

 

・「男のくせに根性がない」「女には仕事を任せられない」「女性は職場の花でありさえすればいい」などと発言すること。

・「男の子、女の子」「僕、坊や、お嬢さん」「おじさん、おばさん」などと人格を認めないような呼び方をすること。

・性的指向(恋愛・性愛の対象が男女どちらか)や性自認(性別に関する自己意識)をからかいやいじめの対象とすること。

 

(2) 性的な行動関係

 

ア 性的な関心、欲求に基づくもの

・ヌードポスター等を職場に貼ること。

・雑誌等の卑猥な写真・記事等をわざと見せたり、読んだりすること。

・身体を執拗に眺め回すこと。

・食事やデートにしつこく誘うこと。

・性的な内容の電話をかけたり、性的な内容の手紙・Eメールを送ること。

・身体に不必要に接触すること。

・浴室や更衣室等をのぞき見すること。

 

イ 性別により差別しようとする意識等に基づくもの

・女性であるというだけで職場でお茶くみ、掃除、私用等を強要すること。

 

二 主に職場外においで起こるもの

 

ア 性的な関心、欲求に基づくもの

・性的な関係を強要すること。

 

イ 性別により差別しようとする意識等に基づくもの

・カラオケでのデュエットを強要すること。

・酒席で、上司の側に座席を指定したり、お酌やチークダンス等を強要すること。

 

<活用方法>

国家公務員向けに示された指針ではありますが、LGBTへの対応など、時代に合わせて改定されていますし、一般の企業でも参考になります。

ただ、(1)アに示されたような「聞くに耐えない」などの形容詞は、実際に懲戒規定を適用するにあたっては、邪魔となる形容詞かもしれません。

ですから、一種のひな形として利用する場合には、自社の状況に合わせたカスタマイズが必要です。

 

<きちんとした対応のための準備>

まず、就業規則などにセクハラの客観的な定義を明示することです。

これと併行して、セクハラについての社員教育をきちんとすることです。

また、セクハラの相談窓口を設けることです。

この相談窓口は、外部の第三者的な立場であることが望ましいのです。そうでなければ、被害者も加害者も相談しにくいですし、社内の人が担当では客観的に対応できない必然性があります。

就業規則も社員教育も、そして相談窓口も、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談してはいかがでしょうか。

 

2017.06.13.解決社労士

<遅刻の連絡先と連絡手段>

寝坊の場合だけではなく、家族の急病や自宅の水漏れ対応など、個人的な事情で遅刻する場合には、なるべく早く上司に連絡するのが常識でしょう。

上司が休日や休暇のこともありますから、念のため、もう一つ連絡先を設定しておくと安心です。

ところが、連絡手段となると、従業員の個人的な判断に任されていることが多いようです。これでは、不都合が発生することもあります。

 

<就業規則の規定>

たとえば、厚生労働省のモデル就業規則には次のような規定があります。

 

(遅刻、早退、欠勤等)

第16条 労働者は遅刻、早退若しくは欠勤をし、又は勤務時間中に私用で事業場から外出する際は、事前に    に対し申し出るとともに、承認を受けなければならない。ただし、やむを得ない理由で事前に申し出ることができなかった場合は、事後に速やかに届出をし、承認を得なければならない。

 

このように、連絡先の定めがあるだけで、連絡手段は定められていません。

常識的な連絡手段としては電話でしょう。ついで、メールでしょうか。職場によってはLINEかもしれません。

さすがに電報や伝書鳩は無いでしょうけれど、社長の自宅の固定電話に留守電を入れておいたとか、上司にショートメールで連絡を入れておいたところ上司はショートメールの受信を拒否する設定にしていたなどという場合には微妙です。

正当な連絡方法といえるのか、従業員個人の常識と会社の判断とで食い違いがあれば、つまらないことで労働トラブルが発生しかねないのです。

特に無断で遅刻することが、懲戒処分の理由となりうる職場であれば、こうしたトラブルの原因は無くしておかなければなりません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

価値観の多様化している時代ですから、個人の「常識」に頼っていては、労働トラブルを未然に防止することはできません。

就業規則のある会社も無い会社も、会社の統一見解としての「常識」を文書化し、従業員全員に共有させておく必要があります。

それぞれの職場の個性に応じて、どのような「常識」をルール化するのが良いのかは、専門的な判断に従う必要があります。

迷ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.12.解決社労士

<解雇を希望する従業員>

従業員の方から解雇を希望するというのは、それ自体、不自然な話です。解雇という言葉の意味からして、会社から従業員に対して労働契約の解除を申し出るのが解雇ですから。

それでも、全く本人の自由な意思で退職を希望する場合や、会社から退職勧奨があった場合に、「解雇にしてください」という申し出は実際にあるのです。

本人の説明によると、失業手当(雇用保険の求職者給付の基本手当)をもらうのに有利だからと言うのです。

退職勧奨の場合には、すでに労働者に有利になっているので、解雇扱いでさらに有利になることは無いのですが、自己都合退職から解雇への理由変更なら有利になりますし、助成金の受給を予定しないのなら会社に不利益なことはなさそうにも思えます。

しかし、絶対に応じてはいけません。

 

<見えなかった下心>

雇用保険の手続きにあたっては、本当の退職理由を記入しなければ違法になります。会社が退職理由を偽ること自体、コンプライアンスの点で問題があります。

しかし、こんな単純な話ではありません。

今や簡単には解雇が認められず、退職者からの不当解雇の主張が通ってしまうという現実があります。

ということは、本人が希望したにもかかわらず、後から会社に対して不当解雇の主張をして、多額の金銭を要求するというリスクがあるのです。

 

<退職者からの要求>

まず、平均賃金の30日分の解雇予告手当の請求があります。

つぎに、不当解雇であり解雇が無効であったことによる賃金支払の要求があります。不当解雇というのは、会社が解雇したつもりになっていて、実は解雇が無効なわけですから、裁判などで争いが長引けば、その間の賃金支払義務は消えないということになります。

ついでに、未払い残業代や慰謝料の請求まで加わることもあります。

 

<会社の対抗措置>

会社としては、解雇を撤回し「今まで通り勤務してください」と申し出るという作戦をとることも可能です。もちろん、解雇扱いになっていた期間の賃金支払義務は消えません。しかし、本当のところは本人が希望して退職しているわけですから、いまさら仕事に復帰する可能性は低いでしょう。

ただし、最初から弁護士と相談して行動していた場合や、労働組合に支援してもらっている場合には、仕事への復帰も想定されます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

普通とは違った話が従業員から出てきたときに、経営者は自分の中の常識に従って判断しがちです。

そして、これが会社にとって大きな打撃となることもあります。

少しでもおかしいと思ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.11.解決社労士

<被害者への悪影響>

被害者はパワハラを受けたことにより、その職場にいられなくなることがあります。そこまでいかなくても、個人の能力の発揮が妨げられます。

我慢していると、うつ病や対人恐怖症など心理的後遺症が残り、長期にわたって回復しないこともあります。この場合、再就職が困難になります。

企業としては、最終的には金銭解決を図るしかないのですが、被害者の一生を補償できるわけではありません。

 

<企業への悪影響>

パワハラの被害は、直接パワハラ行為を受けている相手だけでなく、その同僚、後輩、部下など広範囲に及びます。こうして従業員の勤労意欲低下と、職場秩序の乱れが生じます。

被害者の退職による戦力ダウンだけでなく、職場全体の生産性低下につながります。組織力が適正に活かされなくなり、効率的な運営ができなくなります。

企業イメージの低下により、顧客も取引先も離れていきますし、金融機関からの評価も下がります。

もちろん被害者への損害賠償による金銭的損失も発生します。

 

<加害者への悪影響>

信用の失墜は職場に留まりません。顧客や取引先に対する信用も失われます。何より、家族からの信頼が失われるのが大きな打撃です。

被害者に取り返しのつかない傷を負わせたことが、被害者にとっても一生の傷となります。

加害者が会社から十分な教育を受けていなかったため、熱心な親身の指導をしているつもりで行為に及んでしまったというケースもあります。こうなると、パワハラの加害者も会社との関係では被害者でもあります。

 

<パワハラの性質>

意図的にパワハラ行為をしてやろうと思っているわけではなく、会社の意向を受けて行った注意指導の中に、パワハラとなる部分が含まれているということが多いのです。

業務上必要な注意指導とパワハラ行為との明確な区分が微妙だというのが、パワハラの特徴です。この点、業務上必要なセクハラ行為というものが無いのとは対照的です。

パワハラになることを恐れて、業務上必要な注意指導ができなくなってしまうのも困りものです。

 

<パワハラの予防>

まず就業規則などに、その職場に応じたパワハラの客観的な定義を明示することです。

これと併行して、パワハラについての社員教育をきちんとすることです。特に、必要な注意指導との区別についての教育は重要です。

また、パワハラの相談窓口を設けることです。

この相談窓口は、外部の第三者的な立場であることが望ましいのです。そうでなければ、被害者も加害者も相談しにくいですし、社内の人が担当では客観的に対応できない必然性があります。

就業規則も社員教育も、そして相談窓口も、まとめて信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談してはいかがでしょうか。

 

2017.06.10.解決社労士

<円卓会議WG報告の基準>

法令にパワーハラスメントの定義があるわけではなく、平成24年3月に公表された厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」の報告に示された定義がよく用いられています。

次に示すパワハラの分類も、すべてのパワハラ行為を網羅しているわけではないので、ここに分類されていない行為がパワハラになることもあります。

 

身体的な攻撃(暴行・傷害)

 たたく、なぐる、蹴る、丸めたポスターで頭をたたくなど。

 これらは、業務に関係するものであっても、業務に直接必要な行為ではないので、業務の適正な範囲に含まれることはありません。

 

精神的な攻撃(脅迫、名誉棄損、侮辱、暴言)

 同僚の目の前での叱責、他の従業員を宛先に含めてメールで罵倒、長時間にわたり繰り返ししつこく叱るなど。

 原則として、業務の適正な範囲を超えています。

 

人間関係からの切り離し(隔離、仲間はずれ、無視)

 1人だけ別の部屋に席を移される、自宅待機を命じられる、送別会に出席させないなど。

 原則として、業務の適正な範囲を超えています。

 

過大な要求(不要なことや不可能なことの強制、業務妨害)

 仕事のやり方がわからない新人に、他の人の仕事まで押し付けて、1人で残業させる。

 

過小な要求(能力や経験に見合わない低レベルの仕事を命じる、仕事を与えない)

 運転手が草むしりだけを命じられる、営業担当者が倉庫番のみを命じられる。

 

個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

 交際相手についてしつこく問われる、配偶者に対する悪口を言われる。

 

このうち、過大な要求、過小な要求、個の侵害は、業務上必要な適正な指導との区別がむずかしい場合もあります。

これらに該当する行為であっても、業務の適正な範囲を超えるかどうかについては、業種や企業文化の影響を受けるうえ、その場の状況や行為の継続性などによっても、判断が異なってくるからです。

ですから、各企業、各職場で認識を統一し、明確化することが求められます。

 

<きちんとした対応のための準備>

まず、就業規則などに各企業、各職場に応じたパワハラの客観的な定義を明示することです。

これと併行して、パワハラについての社員教育をきちんとすることです。

また、パワハラの相談窓口を設けることです。

この相談窓口は、外部の第三者的な立場であることが望ましいのです。そうでなければ、被害者も加害者も相談しにくいですし、社内の人が担当では客観的に対応できない必然性があります。

就業規則も社員教育も、そして相談窓口も、まとめて信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談してはいかがでしょうか。

 

2017.06.09.解決社労士

<被害者への悪影響>

被害者はセクハラを受けたことにより、その職場にいられなくなり退職することになったり、再就職が困難になったりします。対人恐怖症など心理的後遺症が残り、長期にわたって回復しないこともあります。

企業としては、最終的には金銭解決を図るしかないのですが、被害者の一生を補償できるわけではありません。

 

<企業への悪影響>

従業員の勤労意欲低下と、職場秩序の乱れが生じます。

被害者の退職による戦力ダウンだけでなく、職場全体の生産性低下につながります。組織力が適正に活かされなくなり、効率的な運営ができなくなります。

企業イメージの低下により、顧客も取引先も離れていきますし、金融機関からの評価も下がります。

もちろん被害者への損害賠償による金銭的損失も発生します。

 

<加害者への悪影響>

信用の失墜は職場に留まりません。顧客や取引先に対する信用も失われます。何より、家族からの信頼が失われるのが大きな打撃です。

被害者に取り返しのつかない傷を負わせたことが、被害者にとっても一生の傷となります。

加害者が会社から十分な教育を受けていなかったため、軽い気持ちで行為に及んでしまったというケースもあります。こうなると、セクハラの加害者も会社との関係では被害者でもあります。

 

<セクハラの性質>

業務上必要なセクハラ行為というものはありません。

この点、会社の意向を受けて行った注意指導が、パワハラになってしまうことがあるのとは、全く事情が違っています。

仕事をするうえで、全く必要性が認められず、百害あって一利なしというのがセクハラの性質です。

何としても、阻止しなければなりません。

 

<セクハラの予防>

まず、就業規則などにセクハラの客観的な定義を明示することです。

これと併行して、セクハラについての社員教育をきちんとすることです。

また、セクハラの相談窓口を設けることです。

この相談窓口は、外部の第三者的な立場であることが望ましいのです。そうでなければ、被害者も加害者も相談しにくいですし、社内の人が担当では客観的に対応できない必然性があります。

就業規則も社員教育も、そして相談窓口も、まとめて信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談してはいかがでしょうか。

 

2017.06.08.解決社労士

<一般的な規定>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」〔労働契約法16条〕

解雇を通告し、解雇したつもりになっていても、それが不当解雇であって無効であるために、従業員の立場は失われないということですから、働いていなくても賃金の支払いが必要になるなど大変なことになります。

不当解雇というのは、解雇したつもりで、実は解雇できていない状態ですから危険です。

 

<個別的な規定>

解雇を制限する規定としては、次のようなものがあります。

・国籍、信条、社会的身分による差別的取扱いの禁止〔労働基準法3条〕

・公民権行使を理由とする解雇の禁止〔労働基準法7条〕

・業務上の負傷・疾病の休業期間等、産前産後休業期間等の解雇制限〔労働基準法19条〕

・性別を理由とする差別的取扱いの禁止〔男女雇用機会均等法6条4号〕

・婚姻、妊娠、出産、産前産後休業を理由する不利益取扱いの禁止〔男女雇用機会均等法9条〕

・育児休業、介護休業、子の看護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定労働時間の短縮措置の申出等を理由とする解雇その他の不利益取扱いの禁止〔育児介護休業法10条、16条、16条の4、16条の9、18条の2、20条の2、23条の2〕

・通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止〔パートタイム労働法8条〕

・都道府県労働局長に対し個別労働関係紛争解決の援助を求めたこと、あっせんを申請したことを理由とする解雇その他の不利益取扱いの禁止〔個別労働関係紛争解決促進法4条3項、5条2項〕

・法違反を監督官庁(労基署等)に申告したことを理由とする解雇その他の不利益取扱いの禁止〔労働基準法104条2項、最低賃金法34条2項、労働安全衛生法97条2項、賃金確保法14条2項〕

・公益通報したことを理由とする解雇の無効〔公益通報者保護法3条〕

・不当労働行為の禁止〔労働組合法7条〕

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

「常識」に従った解雇は、法的には不当解雇であることが多いものです。

解雇を検討するなら、一度、信頼できる社労士にご相談ください。

何の落ち度もない従業員を退職に追い込むようなことはできませんが、納得して退職していただくためのお手伝いはさせていただきます。

 

2017.06.09.解決社労士

<解雇の意味>

雇い主から「これこれの条件でこの仕事をしてください」という提案があり、労働者がこれに合意すると労働契約が成立します。

労働契約は口頭でも成立します。ただ労働基準法により、一定の重要な労働条件については、雇い主から労働者に対し、原則として書面による通知が必要となっています。

解雇は、雇い主がこの労働契約の解除を労働者に通告することです。

 

<普通解雇>

狭義の普通解雇は、労働者の労働契約違反を理由とする労働契約の解除です。

労働契約違反としては、能力の不足により労働者が労働契約で予定した業務をこなせない場合、労働者が労働契約で約束した日時に勤務しない場合、労働者が業務上必要な指示に従わない場合、会社側に責任の無い理由で労働者が勤務できない場合などがあります。

 

<解雇の制限>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という規定があります。〔労働契約法16条〕

労働者の労働契約違反があった場合でも、雇い主はある程度まで労働契約の維持に向けた努力を示さなければ、解雇権の濫用とされ、解雇を通告しても無効になってしまいます。

能力の不足により労働者が労働契約で予定した業務をこなせない場合でも、雇い主は業務に必要な指導教育を十分に行っていなければ解雇できません。

労働者が業務上必要な指示に従わない場合でも、労働者に指示内容の重要性を説明し、指示に従うよう指導したうえでないと解雇できません。

雇い主は、その労働者を雇わないという選択もできたわけです。それでも雇ったからには、雇ったことに対する責任があるということです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

広義の普通解雇には、労働者の労働契約違反を理由とする解雇の他に、整理解雇が含まれます。

整理解雇とは、雇い主側の経営上の理由による解雇をいいます。

解雇は、解雇権の濫用とされれば無効になるわけですから、具体的なケースで解雇の有効性に疑問がある場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.06.解決社労士

<社会保険への加入拒否>

社会保険への加入基準を満たす労働契約を会社と交わしたら、自動的に社会保険に加入します。

これは、赤ちゃんを産んでおきながら出生届を提出しなくても、生まれなかったことにはならないのと同じです。

ですから、一定以上の週所定労働時間、月間所定労働日数の約束で働き始めておきながら、社会保険への加入を拒否するというのは、法的には意味がありません。

会社は、本人が拒否していても、法令により社会保険加入手続きが義務づけられていますから、その義務に従って加入手続きを行うのが、法的には正しいということになります。

 

<会社が一方的にシフトを減らす行為>

会社は、本人が社会保険への加入手続きに反発したのに対抗して、加入基準を下回る一定未満の週所定労働時間、月間所定労働日数でシフトを組んだのでしょう。

しかし、本人の了解を得ることなく、このようなことをしても無効です。

会社は、社会保険への加入基準を満たす労働契約を交わしたのですから、これに拘束されます。本人との合意なしに労働契約の内容を変えることはできません。

 

<ではどうすれば良かったのか>

会社は、求人広告で所定労働時間や所定労働日数を示し、社会保険への加入も表示していたことでしょう。

そうでなくても、採用にあたって労働条件を再確認しています。

それにも拘わらず、本人が社会保険への加入を拒否するのであれば、社会保険の加入基準は客観的なものであり、本人の意思とは無関係であることを説明したうえで、一定の期限を設けて次のうちから1つを選択してもらうようにします。

・入社を取りやめる

・会社の社会保険加入手続きに合意する

・加入基準を下回る労働契約に変更して勤務する

期限内に回答が無ければ、原則通り社会保険の加入手続きをおこなうこととしておきます。

また、「加入基準を下回る労働契約に変更して勤務する」という選択肢は、会社の自由な意思によりサービスで設けるものですから、無くてもかまいません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

結局、このケースでは直接の法令違反も不法行為も無いので、違法の問題は存在しません。

ところが労働法に明るくない人が、「社会保険への加入を拒否したらシフトを減らされたのは違法ではないか」と問われたら戸惑ってしまいます。

何かおかしいと感じた時は、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.05.解決社労士

<会社が転勤を命ずる権利>

会社の就業規則には、人事異動について、次のような規定が置かれます。

「会社は、業務上必要がある場合に、労働者に対して就業する場所及び従事する業務の変更を命ずることがある。

…労働者は正当な理由なくこれを拒むことはできない。」〔厚生労働省のモデル就業規則8条〕

たとえこのような規定が無くても、会社と社員との間で転勤を想定した労働契約が成立していれば、会社が労働契約に基づいて社員の働く職種や場所を決定できるとされています。

一般的に、会社は正社員に対して、人事権の一つとして配転命令権を持っています。

ただし、近頃増えている「多様な正社員」のうちの勤務地限定正社員のような労働契約が成立している場合には、その契約の性質上、会社は遠方への転勤を命ずる権利を持っていないことになります。

 

<権利の濫用となる場合>

会社に配転命令権がある場合でも、次のような事情がある場合には、権利の濫用となり配転命令が無効となります。ほとんど嫌がらせと思われる場合です。

・業務上の必要が無い場合

・配転命令が不当な動機や目的によるものである場合

・社員の不利益が通常の程度を著しく超える場合

 

<会社が権利の濫用を主張されたら>

「会社には配転命令権があり、社員には従う義務がある」という態度を取り続けたのでは、まさに権利の濫用になってしまいます。

会社の取るべき態度について、参考になる条文としては育児介護休業法26条があります。

「事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない」という規定です。

これは、育児介護休業についてのものですが、その趣旨は、すべての配転命令権に共通する原理です。

つまり、配置転換や転勤について、社員が難色を示した場合には、会社側が具体的な事情を聴き、抱えている問題の解消法を共に考え、どのように対応すべきかを真剣に協議しなければならないということです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

具体的なケースについて、社員の我がままとして片付けて良いのか、権利の濫用として転勤命令が無効となるのか、判断に迷ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.04.解決社労士

<社内でよくあるもの>

社内で従業員からの申し出により労働問題とされやすいのは、パワハラ、セクハラ、労働条件の不利益変更です。

これらは、従業員からの申し出があったとき、経営者が判断に困り、適切な対応ができないでいるうちに、社内で解決しきれない労働問題に発展することがあります。

会社に落ち度が無いという自信があれば、所轄の労働基準監督署に確認して、従業員に説明すれば良いでしょう。

そうでなければ、何かアクションを起こす前に、なるべく早く信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

<訴訟や労働審判になるもの>

退職者からの、残業代請求、不当解雇、退職に伴う請求がメインです。

どう考えても円満退職だった退職者の代理人弁護士から、内容証明郵便が届いてビックリというパターンです。

在職中は会社に遠慮して言えなかった不平不満が、退職後に爆発するのですから意外性があります。

退職者ご本人にその気が無くても、ご家族やお知り合いの中には労働法に詳しい方がいらっしゃいます。そして、この方が労働者の権利を強く主張すると、退職者が同調して会社に請求することもあります。

 

<複合的なもの>

退職者から未払い残業代の請求がある場合、パワハラによる慰謝料請求が加わったりします。

セクハラの被害者が退職させられ、加害者が会社に残り、これを不満とした退職者からの慰謝料請求に、未払い残業代の請求が加わったりします。

パワハラの加害者として退職させられた人から、不当解雇を主張され、賃金、賞与、慰謝料を請求されることもあります。

権利の侵害を感じた退職者が弁護士に依頼すると、弁護士は依頼人に事実を確認し、これを法的に構成し、できる請求をすべてすることになります。

依頼人と弁護士との契約は、委任契約ですから、医師が治療にベストを尽くすのと同じように、弁護士も依頼人の権利実現にベストを尽くすわけです。

 

2017.06.03.解決社労士

<「基準」の意味>

もちろん「最高」の水準を意味するものではありません。しかし、「標準」や「目安」を示しているわけでもないのです。

労働基準法の「基準」とは、この一線を踏み越えると違法になるというギリギリの「最低」水準や「限度」、「禁止事項」のことを言っています。

ですから、会社独自の判断で労働基準法に示された「基準」よりも労働者に有利なことをするのはかまいません。たとえば、入社とともに年次有給休暇を14日付与するなどがその例です。

 

<「基準」の個別性>

労働基準法の「基準」は項目ごとに定められています。

「うちの会社は残業手当を多めに支給しているから、有給休暇は取らせなくてもいいだろう」など、全体のバランスで調整することはできません。

 

<違約金・賠償額の予定禁止>

「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」〔労働基準法16条〕

かつては、中途で退職したり、会社に損害を与えたりした場合は、労働者だけでなくその家族も違約金を払う、損害賠償を行なうなどの契約が見られました。

しかし、これは労働者の退職の自由を奪うことになるので、労働基準法が罰則付きで明確に禁止したのです。

 

<「罰金」のあるブラック企業>

ところが実際には、遅刻したら罰金3千円、お皿を割ったら1枚につき千円など、気軽に労働基準法違反を犯している会社もあります。

そもそも「罰金」というのは、国家権力が科すものですから、民間企業が従業員から罰金を取るというのは明らかにブラックなわけです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社内での「常識」に従って昔から行われていることが、実は労働基準法違反ということだってあります。

労働基準監督署への三六協定書の届出など形式的な面だけでなく、社内で行われていること全体について適法性が確保されているのか、労働条件審査を受けてみてはいかがでしょうか。

人事部では問題ないつもりでいても、思わぬ落とし穴があるかもしれません。

ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.02.解決社労士

<自己中心的と主体的>

採用面接も1,000人以上を経験し、その後の勤務態度や勤続年数を見てくると、応募の段階で人物像が見えるようになってくるものです。

それでも、不慣れな頃は採用面接で自己中心的な人物を見抜くことができず、配属先にご迷惑をお掛けすることもありました。

自己中心的な方は、自分の利益だけを考えて行動しますから、組織の中で働くのには向いていないでしょう。

これに対して主体的な方は、お客様、上司・同僚・後輩、会社全体のことを考えて自発的に行動するので大いに貢献してくれます。

ところが、短時間の採用面接では、自己中心的な応募者を主体的な人だと勘違いしてしまうこともあります。

そこで、採用面接での自己中心派の特徴をまとめてみました。

 

<わかりやすい自己中心派>

「私は」「私が」を多用するのは、自己中心派のわかりやすい特徴です。また、自己中心的であることを隠そうとした場合には、「私も」「うちも」という言葉が増えます。

「私も」「うちも」と聞くと、協調性があるように思えますが、本当に協調性があれば「そうですね」と言ってうなずきます。

 

<わかりにくい自己中心派>

「割と」「思ったよりも」「意外に」「けっこう」を多用するのも、自己中心派の特徴です。

これらの言葉は、話し相手に対して客観的な内容を伝えるのではなくて、「自分が」どう思うかを伝えています。

「割と大変でしたが、けっこう頑張りました」という話をされたときに、具体的な内容を尋ねると黙り込んでしまうので、ただアピールしたいだけなのがバレてしまいます。

 

<応募の動機>

自己中心派は、自分にとっての直接的なメリットしか言いません。

給料が高い、通勤が便利、勤務先の近くに〇〇があって便利というのは、よく聞く言葉です。

さらに、誰にでもできる仕事、自分の都合でシフトに入れる、好きな仕事をさせてもらえそうという話が出てくるなど、自分に都合の良い思い込みも多いものです。

 

<前職を辞めた理由>

自分の落ち度は、退職した理由に出てきません。

自分だけ叱られた、周りの人たちに協調性が無かった、上司がバカだったなど、そのほとんどが露骨な悪口です。

こういう人たちを採用してしまうと、いつか退職していったあと会社の悪口を言われそうで採用する気にはなれません。

 

<不思議な共通点>

自己中心的な応募者は面接者をほめます。

どうでもいいことで、面接者を過剰にほめるのです。

応募者にとっては、採用されることが目的ですから、面接者から悪く思われたくないのは当然です。

しかし、極端にほめられた面接者は単純には喜べません。「変わった人だ」「気味が悪い」と感じてしまいます。

やはり、自己中心的な人は相手の気持ちを考えるのが不得意なのでしょう。

 

2017.06.01.解決社労士

<ブラックな経営方針>

「うちの会社はブラックでいこう!」という経営者など、いないものと信じたいです。少なくとも、ブラック企業では長続きできないことはわかります。

 

<ありそうな事例>

新しく入ったパート社員から会社に「うちの子が熱を出したのでお休みをいただけませんか?」という電話があったとします。

このとき、会社の責任者はどのように応対するでしょうか。

もし、この電話が入社1か月のパート社員からのもので、同様の電話が3回目だったらどうでしょうか。

 

<子の看護休暇>

小学校就学前の子を養育する労働者は、申し出ることにより、1年に5日まで、病気・けがをした子の看護のために、休暇を取得することができます。平成22年6月30日からは、対象となる子が2人以上なら、1年に10日まで休暇を取得できるようになりました。〔育児・介護休業法16条の2、16条の3〕

申出は口頭でも認められます。

事業主は、業務の繁忙等を理由に、子の看護休暇の申出を拒むことはできません。

ただし、勤続6か月未満の労働者や週の所定労働日数が2日以下の労働者については、労使協定の締結により対象外とすることができます。この他の労働者を対象外とすることはできません。

子の看護休暇は、法によって労働者の権利とされているものですから、残業手当の支払いや年次有給休暇と同じように、「うちの会社はムリだから無し」ということはできないのです。

 

<いつの間にかブラック企業となる危険>

上の事例で、電話を受けた会社の責任者は、子の看護休暇のことを知らなければいけませんし、勤続6か月未満の労働者や週の所定労働日数が2日以下の労働者について、労使協定の締結により対象外としているのであれば、そのことも知らなければいけません。

「そんなに休んでばかりじゃ採用取り消しだ」などと言ってしまったら、ブラック企業だと言われても反論できません。

労働基準法その他の労働法は、たびたび改正されます。特に少子高齢化対策に関連する法令の改正は頻繁です。

数年前に完全に適法にしたハズの就業規則とその運用が、いつの間にかブラックになっていても不思議ではありません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

自覚症状の無いままにブラック企業となってしまわないためには、社内に専任の担当者を置いて、常に最新の教育を施して任に当たらせる必要があります。

これがむずかしいのであれば、会社に合った方法について、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.31.解決社労士

<ブラック疑惑>

マスコミやネットで、ブラック企業の話題が一般化し、自分の勤務先もブラックではないかという疑いを持つ従業員が増えてしまいました。

 

<疑惑のポイント>

ブラック企業の疑いを抱かれるのは、次のようなポイントです。

・賞与が支給されない

・退職金の制度が無い

・通勤手当が一部または全く支給されない

・慶弔休暇が無い

・週休二日制ではない

さらには、次のようなことまで…

・休職の制度が無い

・半日や時間単位の年次有給休暇取得ができない

・病欠を後から年次有給休暇に振り替えることができない

これらは、法令によって労働者の権利とされているものではありません。比較的多くの会社で、事実上行われているにすぎません。

つまり、これらのことを実施するかどうかは、それぞれの会社の判断に任されていて、法令によって強制されているわけではないのです。

たとえば「賞与が支給されない会社はブラック企業」などとは言えません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

会社がブラックの疑いを晴らすためには、労働条件審査と教育・研修が役立ちます。

専門家による客観的な労働条件審査により、労務管理上のあらゆる観点からの適法性がチェックできます。

また、就業規則や社内ルールと労働法について、従業員をきちんと教育すれば、会社が正しいことを理解してもらえるでしょう。

具体的なことは、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.30.解決社労士

<定額残業代のメリット>

定額残業代は良い仕組みです。

労働者にとっては、残業が少なくても定額残業代が保障されていますし、会社にとっては人件費が安定します。

しかし、それだけではありません。

残業が少なくても定額残業代が保障されているのですから、労働者は早く仕事を終わらせてプライベートを充実させようとします。そのためには、自主的に学んだり、仕事の仕方を工夫したり、会社に言われるまでもなく努力します。これによって生産性が向上するのは、会社にとっても大きなメリットです。

もし、こうした結果が得られていないのならば、制度の導入や運用に誤りがあると思われます。

 

<定額残業代の正しい導入>

基本給にあたる賃金から、一定の時間(基準時間)に相当する定額残業代を算出します。このとき、割増率が法定の基準を下回らないことと、基本給が最低賃金を下回らないことが必要です。

この基本給から定額残業代を算出した計算方法について、労働者ひとり一人に実額で説明します。文書をもって説明し、制度の導入について同意を得ておくのが基本です。

 

<誤った導入をすると>

定額残業代の計算が誤っていたり、割増率が法定の基準を下回っていたり、最低賃金法違反があったり、労働者への説明が不十分であったりすると、制度そのものが無効とされます。

この場合、労働基準監督署の監督が入ったり、労働審判が行われたりすると、基本給にあたる賃金に定額残業代を加えた金額を基本給として残業代を計算し、さかのぼって支払うことになるでしょう。

これは、実質的には残業手当の二重払いですから、会社にとって予定外の出費となります。このように、導入の失敗は大きなリスクとなります。

 

<定額残業代の正しい運用>

定額残業代を導入しても、労働時間は適正に把握する必要があります。なぜなら、基準時間を上回る時間の残業手当や、計算に含まれない法定休日出勤手当、深夜手当は、毎月計算して支給しなければならないからです。

もちろん、残業が基準時間を下回っても、その分定額残業代を減額することはできません。そんなことをしては「定額」残業代ではなくなってしまいます。

誤った運用をしてしまった場合のリスクは、誤った導入をした場合と同じです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

定額残業代は、ブラックな制度のように思われがちです。ハローワークで求人票に定額残業代の表示をすることについては、窓口で慎重すぎる態度を示されてしまいます。

これは、誤った制度導入や運用があまりにも多いため、悪い印象を持たれてしまっているからでしょう。

定額残業代を正しく活用し、そのメリットを最大限に活かすには、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.29.解決社労士

<国の政策に対する無知>

産前産後休業というのは、労働基準法による国全体の制度です。また、育児休業というのは、育児介護休業法による国全体の制度です。ですから、会社の状況に左右されません。むしろ、会社は従業員が産休や育休を取得する前提で、人材を確保しておかなければなりません。

たとえ就業規則や社内ルールに、産休や育休についての定めが無くても、その会社には法令通りに産休や育休の規定が適用されます。

日本で少子高齢化が深刻化し、出産や育児に対する法的配慮が強化されています。このことを知らずに会社を経営しているというのは危険です。

当たり前ですが、産休や育休に対応できない会社の評判は口コミ情報で低下していきます。

経営者が、国の政策を踏まえて経営していかなければ、その会社の未来はありません。

 

<解雇が困難であることに対する無知>

産休・育休を取らせないということは、そのまま勤務させるということではありません。退職を迫るということです。これは不当解雇にあたります。

妊娠や出産を理由として解雇するのが不当解雇にあたるということについては、法令に具体的な定めがあります。〔男女雇用機会均等法9条3項〕

不当解雇になるということは、解雇が無効になるということです。経営者は解雇したつもりになっていても、その従業員には従業員としての権利が続くということです。

そして実際に勤務していなくても、勤務できないことについて会社側に責任があるわけですから、会社には賃金支払義務が残ります。それだけでなく、会社はその従業員に辛い思いをさせたのですから、慰謝料も支払うことになるでしょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

「ブラック」を経営理念に掲げる経営者はいないでしょう。ブラック企業というのは、経営者が意図せずに、いつの間にかブラックになっているものです。

その昔は、結婚退職が働く女性のハッピーエンドだったかもしれません。しかし、それは遥か昔のことです。

経営者は、時代の流れに乗らなければ生き残れません。会社が流れに乗り切れず、ブラックな方向に向かっていないかのチェックには、労働条件審査が役立ちます。信頼できる社労士にご相談してみてはいかがでしょうか。

 

2017.05.28.解決社労士

<所定労働日数が不明>

年次有給休暇の付与日数は、原則として1週間の所定労働日数によって決まります。これが何日なのか不明であれば、そもそも年次有給休暇が何日付与されるのかも決まりません。

また年次有給休暇は、入社後最初の半年間、その後は1年ごとの出勤率が8割以上の場合に付与されます。この出勤率というのは、予め決まっている労働日に対する実際に出勤した日の割合です。しかし、所定労働日数が不明であれば、出勤率を計算することはできません。つまり、付与する/しないの判断がつかないのです。

所定労働日数などの労働条件は、入社時と変更の都度、会社から従業員に書面で通知されていなければ違法です。それでも、年次有給休暇を取得させる気の無い会社では、「労働条件通知書」などを交付していません。

 

<人件費の削減>

年次有給休暇を取得させないというのは、不当に人件費を削りたいわけです。ですから、従業員の数もギリギリあるいは不足しています。

「人手が足りないから有給休暇を取得させられない」という言い訳が聞かれます。しかし、年次有給休暇は労働基準法による国全体の制度ですから、会社の状況に左右されません。むしろ、会社は従業員が100%年次有給休暇を取得する前提で、人材を確保しておかなければなりません。

インフルエンザの流行などに備えて、多めに人員を確保しておくという、会社独自の政策的な配慮は、その会社に任されていることです。しかし、年次有給休暇を取得させるのに十分な人員を確保しておくことは、事業を展開する以上、会社に法的に義務付けられていることです。

人件費を削りたいのは経営者です。お客様、従業員、取引先、出資者、金融機関は喜びません。ライバル会社は少し喜ぶかもしれません。

当たり前ですが、会社の評判は口コミ情報で低下していきます。

経営者が、人件費を削減するのではなく、売上を伸ばす努力を進めるべきだと気付かなければ、その会社の未来はありません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

「ブラック」を経営理念に掲げる経営者はいないでしょう。ブラック企業というのは、経営者が意図せずに、いつの間にかブラックになっているものです。

会社がブラックな方向に向かっていないかのチェックには、労働条件審査が役立ちます。信頼できる社労士にご相談してみてはいかがでしょうか。

 

2017.05.27.解決社労士

<労働時間を把握しない>

残業手当を支払うには、従業員の労働時間を適正に把握する必要があります。

支払う気の無い会社では、タイムカードなどの打刻をきちんとさせていません。

 

<所定労働時間・日数が不明>

時間給ならば、1時間当たりの賃金は明確ですから、残業手当の計算が可能です。

しかし、日給制や日給月給制の場合には、1日の所定労働時間が不明なら、1時間当たりの賃金がわからないので、残業手当の計算ができません。

さらに、月給制ならば、月間所定労働時間が不明なら、やはり1時間当たりの賃金がわからないので、残業手当の計算ができません。

こうした労働条件は、入社時と変更の都度、会社から従業員に書面で通知されていなければ違法です。それでも、残業手当を支払う気の無い会社では、「労働条件通知書」などを交付していません。

 

<人件費の削減>

残業手当を支払わないというのは、不当に人件費を削りたいわけです。ですから、従業員の数もギリギリあるいは不足しています。

一部の元気な従業員は、忙しくてバタバタしています。しかし、それよりも長時間労働で疲れた従業員が目立ちます。中には「どうせ残業代が出ないので」のんびりマイペースでやっている従業員もいます。全体として見れば、人件費を削った以上に、従業員の働きが低下しています。

人件費を削りたいのは経営者です。お客様、従業員、取引先、出資者、金融機関は喜びません。ライバル会社は少し喜ぶかもしれません。

当たり前ですが、会社の評判は口コミ情報で低下していきます。

経営者が、人件費を削減するのではなく、売上を伸ばす努力を進めるべきだと気付かなければ、その会社の未来はありません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

「ブラック」を経営理念に掲げる経営者はいないでしょう。ブラック企業というのは、経営者が意図せずに、いつの間にかブラックになっているものです。

会社がブラックな方向に向かっていないかのチェックには、労働条件審査が役立ちます。信頼できる社労士にご相談してみてはいかがでしょうか。

 

2017.05.26.解決社労士

<労働条件審査の横糸>

審査項目としては、大項目が次のようになります。この下に中項目と小項目が付きますから、実際にはチェック項目が100を超えます。

 

A 採用 雇用

B 労働時間 休日 休暇

C 賃金

D 退職 解雇

E 懲戒

F 労働安全衛生

G 育児 介護 母性保護 性差別

H ハラスメント

I 高齢者

J 非正規社員

K 就業規則 労使協定

L 労働関係基本帳簿類

M 労働社会保険

 

<労働条件審査の縦糸>

1. 形式=規定などが調っていること

2. 実態=規定通りに実施されていること

3. 手続=届出等が行われていること

4. 維持=途中で立ち消えしないようになっていること

5. 回復=ルール違反が発生した場合のリカバリー

6. 記録=法定の期間、あるいは必要な期間、記録が保管されていること

 

<お問合せ先>

公契約のための労働条件審査であれば、その内容が厳密に規定されていますから、それに従って行われます。各都道府県の社会保険労務士会へのお問合せをお勧めします。

これ以外の労働条件審査は、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。健康診断に、人間ドックや特定健康診査があるように、詳細なものから簡易なものまであります。ニーズに合わせて、審査内容をカスタマイズできるわけです。

 

2017.05.25.解決社労士

<極めて限定されている管理監督者>

管理監督者といえるかどうかは、その人の肩書ではなく、職務内容、責任、権限、勤務態様、待遇などの実態により判断されます。

管理監督者といえるための最低限必要な条件はすべて満たしていることが必要です。

・経営者と一体的な立場で仕事をしていること

・出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていないこと

・その地位にふさわしい待遇がなされていること

実態として、部長という肩書の社員でも、これらの条件を満たしているのは極わずかでしょう。

 

<労働時間等に関する規定の適用除外>

労働基準法には、次のような規定があります。

「第41条 この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。

第2号 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者」

管理監督者には、第四章の労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇、第六章の年少者、第六章の二の妊産婦等の中の労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用されないということです。

 

<使用者の立場での労基法適用>

労働基準法の規定からすると、管理監督者は明らかに使用者です。

「第10条 この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう」

管理監督者は、労働者としての保護規定の一部が適用されないうえ、使用者としての義務を負っています。

 

<深夜手当の支払>

最高裁判所の判決に、「管理監督者については、深夜手当を支払う必要はあるけれども、管理監督者に該当する労働者の所定賃金が労働協約、就業規則その他によって一定額の深夜割増賃金を含める趣旨で定められていることが明らかな場合には、深夜手当を支払う必要がない場合もある」というのがあります。〔最二小判平成21年12月18日〕

これを受けて、管理監督者であっても深夜手当の支払いは必要であるといわれます。

しかし厚生労働省は、管理監督者の条件に「出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていないこと」を掲げていますから、この条件を満たす本当の管理監督者であれば、午後10時から翌日午前5時の間に何時間働いたかを集計することは困難です。

結局、厳密な意味での深夜手当を計算して支給することはできず、概算でこれに代わる手当を支給する形になります。

 

<名ばかり管理監督者>

管理監督者扱いされていて残業手当も支給されていないような社員が、自分の判断で出勤したり休んだり、遅く出勤したり早退したり、また、取締役と同レベルで経営に口出ししたときに、懲戒処分や降格が検討されるようであれば、その人は「名ばかり管理監督者」です。

こうしたことを理由に不当解雇をしてしまうと、会社は過去2年分の残業手当などの他に慰謝料の請求をされても仕方がないのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社内で管理監督者扱いされている社員が、本当の管理監督者なのか、それとも「名ばかり」なのかは、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.24.解決社労士

<社会保険の加入基準>

社会保険の加入基準のうち、労働時間・日数については、労働契約によって定められた所定労働時間・所定労働日数が基準になります。

かつては、今後1年間の見込や勤務の実態が基準とされていたのですが、平成28101日に、基準のあいまいさが解消され明確化されました。

労働契約の内容は、雇用契約書や労働条件通知書などに記載されたものですから、実態として妊婦さんの早退が多く勤務時間が減少したとしても、それだけで加入基準を満たさなくなるわけではありません。

 

<産前産後の社会保険加入者の権利>

少子高齢化の傾向から、社会保険にも少子化対策が反映され、産前産後の加入者(被保険者)の権利は強化されています。

まず、産休(産前産後休業)と育休(育児休業)の間は、社会保険料が免除されます。かつては、育休中だけでしたが、産休中にも拡大されました。

また、産休中の生活保障のため健康保険から出産手当金が支給されます。かつては、賃金の60%の保障でしたが、66.6%に引き上げられました。

さらに、出産費用補てんのため、健康保険から1児につき原則として42万円が支給されます。この出産育児一時金も、最初は30万円でしたが数次にわたり増額されてきましたし、さらに増額が検討されています。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

妊婦さんについて、社会保険から抜けることが検討されるなど、国の政策に反するような動きが出た場合、それが適法なのか妥当なのかについて、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.23.解決社労士

<相談窓口への連絡>

まずは、市区役所または町村役場の「高齢者支援課」などの相談窓口に電話連絡しましょう。

すると、お住まいの近くの地域包括支援センターを案内されますので、そこに電話連絡しましょう。

 

<要介護認定の申請>

つぎに、要介護認定の申請をします。

要介護認定とは、どのくらい介護を必要とするかを判定するものです。

認定の結果にとって、使えるサービスの種類が決まります。

 

<ケアマネージャーの訪問調査>

市区町村から調査員が家庭に派遣され、対象者の普段の様子や心身の状態について聞き取り調査を行います。

この訪問調査の結果と、主治医の意見書に基づき、介護認定審査会で要介護認定が行われます。

 

<申請結果の到着>

原則として申請日から30日以内に、認定通知書と保険証(被保険者証)が自宅に郵送されます。

認定通知書の要介護度区分に応じて、利用できるサービスや利用限度額などが異なります。

自立、要支援12と認定された場合には、地域包括支援センターへ連絡します。

要介護15と認定された場合には、居宅介護支援事業所へ連絡します。

 

<プランの作成>

介護保険サービスを利用するための、ケアプランまたは介護予防ケアプランをケアマネージャーと相談しながら作成します。

 

<サービス事業者との契約>

ケアマネージャーにサービス利用開始を依頼します。

介護サービス利用料の自己負担は、原則として1割です。

 

2017.05.22.解決社労士

<介護保険の加入者>

介護保険の加入者(被保険者)は、2つに区分されます。

第一号被保険者=65歳以上の人

第二号被保険者=40歳から64歳までの医療保険加入者

 

<実際に介護保険サービスを受ける人>

第一号被保険者=介護や支援を必要とする人

第二号被保険者=初老期認知症、脳血管障害などの老化による病気または特定疾病(末期がんなど)により介護を必要とする人

 

<要支援・要介護度認定区分>

要支援・要介護認定の結果に応じて、介護保険給付額や使えるサービスの種類が決まります 。

認定区分は、要支援1が一番軽く、要介護5が一番重く、次のようになっています。

 

要支援1

基本的な日常生活を送る能力はあります。

しかし、身の回りのことについて一部介助が必要です。

 

要支援2

立ち上がる時や歩くときに、よろめくなどの不安定な様子が見られます。

そのため、入浴などで介助が必要とされます。

しかし、物忘れなどがあっても、生活に支障ある程ではありません。

 

要介護1

立ち上がる時や歩くときに、よろめくなどの不安定な様子が見られます。

そのため、排泄や入浴などで転倒防止等のため介助が必要とされます。

さらに、物忘れの他、思考や感情的な障害が認められる部分があり、理解力の欠如などが見られます。

 

要介護2

立ち上がることや歩くことが自力では困難です。

そのため、排泄、入浴、着替えなどで介助が必要です。

さらに、生活のリズムがわからない、記憶があいまい、他人とのスムーズな会話が困難という状態です。

 

要介護3

自分だけでは、立ち上がることや歩くことができません。

そのため、排泄、入浴、着替えなどすべてに介助が必要です。

自分の名前や生年月日もわからなくなる状態です。

 

要介護4

日常生活に必要な能力全般について低下が見られます。

そのため、排泄、入浴、着替えなどすべてに介助が必要です。

さらに、意思の疎通が困難となるなど、しばしば日常生活に支障を生じます。

 

要介護5

寝たきりの状態です。

そのため、すべての日常生活に全面的な介助が必要です。

さらに、理解力に全般的な低下が見られ、意思の疎通が困難です。

 

2017.05.21.解決社労士

<労働条件審査とは>

その企業における労務管理の実態を、労働基準法などの労働法令や通達・判例に照らして総合的・網羅的に精査し、コンプライアンス(法令順守・社会的責任)を確認する手続きのことです。

これによって判明した違法な部分を早急に是正し、不安のある部分を改善することによって、良い企業、強い企業を目指します。

 

<会社の健康診断>

私たちは定期的に健康診断を受けています。この健康診断によって、病気が治るわけではありません。しかし、病気を発見し早期治療を可能にしますし、不安な部分について生活習慣を改善し病気の予防に努めることができます。

労働条件審査は、まさに会社の健康診断です。

 

<今だからこそ必要な理由>

人手不足が深刻な今、優秀な人材の確保は企業にとって最大の課題です。好ましい人材の採用にも、失いたくない人材の定着にも、職場の適法性・社会性・環境が大きく影響します。セクハラ、パワハラ、メンタルヘルス障害などの危険が大きな企業では人材が確保できません。

労使トラブルも急増しています。個々の労働者が手軽に情報を得て、権利を主張するようになりました。不当解雇、未払い残業代、雇用契約の不更新に対する損害賠償の請求も手軽にできるようになっています。これらには多額の慰謝料も含まれます。

世間一般から、企業のコンプライアンス(法令順守・社会的責任)が問われる時代になりました。マスコミは、企業の労使トラブルを大々的に取り上げますし、厚生労働省も平成29510日から労働法違反のあった企業名を公表するようになりました。こうした形で企業名が世間にさらされると、取引先や顧客が離れていき、企業の死活問題ともなりかねないのです。

今まさに、企業が足元をすくわれないようにするため、労働条件審査が必要となっています。

 

<労働条件審査の内容>

労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法、高年齢者雇用安定法、育児・介護休業法、パート労働法、健康保険法、厚生年金保険法、雇用保険法、労災保険法など関連法令との整合性について、社内規定類の書類調査、職場調査、聞き取り調査などを行い、経営者の方や総務・人事部門の方々と打合せを行って、労働条件審査報告書を作成いたします。

これには、具体的な是正案・改善案も含まれますので、すぐにご活用いただけます。

 

労働条件審査についてのお問合せは、右上の「お問合せフォーム」をご利用いただけます。

 

2017.05.20.解決社労士

<国民年金の対象者と加入手続き>

国籍に関係なく、日本国内に居住している20歳以上60歳未満の人は、国民年金の加入者(被保険者)となります。

勤め人で厚生年金や共済組合の加入者である人や、その人に扶養されている配偶者を除き、国民年金第1号の加入手続きをすることが必要です。

手続きは、市区役所または町村役場で行います。

 

<国民年金被保険者資格取得届書>

20歳の誕生月の前月か誕生月の上旬に日本年金機構から「国民年金被保険者資格取得届書」が郵送されます。

これに必要事項を記入し、市区役所か町村役場または年金事務所に提出します。

保険料をすぐに納付し始めるのが難しい場合には、保険料の納付猶予制度や学生納付特例制度の申請書を同時に提出することもできます。

 

<年金手帳>

上の手続きをすると、年金手帳が届きます。保険料納付の確認や将来年金を受け取る際に必要です。大切に保管してください。

ただし、勤め人や障害・遺族年金を受給している人などは、すでに年金手帳を持っていますから届きません。

年金手帳は、1人1冊を一生使うものです。

 

<国民年金保険料納付書>

納付書が届きますので、保険料を納めてください。

法律上は、20歳の誕生日の前日に20歳となりますから、誕生日の前日が含まれる月の分からの保険料を納付することになります。つまり、1日生まれの人は、誕生日の前月分からの納付が必要です。

保険料は、銀行などやコンビニでの納付の他、電子納付もできます。また、口座振替やクレジット納付も可能です。

 

<ここに注意!>

保険料が納められないからという理由で、何も手続きをしないのは驚くほど損です。

具体的な理由は、市区役所か町村役場または年金事務所でご確認ください。

それでも納得できない場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.19.解決社労士

<雇い止めとは>

会社がパートやアルバイトなど、有期労働契約で雇っている労働者を、期間満了時に契約の更新を行わずに終了させることをいいます。

契約更新の繰り返しにより、一定の期間雇用を継続したにもかかわらず、会社が期間満了時に突然退職させるなどの場合にはトラブルとなりがちです。

 

<雇い止めが無効とされる場合>

労働者から契約更新の申出があった場合に、会社がこれを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときには、今までと同じ条件で、契約が更新されることがあります。〔労働契約法19条〕

雇い止めが無効とされないためには、具体的にどうしたら良いのか、以下にポイントを示します。

 

<正社員との違いの明確化>

正社員用の就業規則とは別に、専用の就業規則を備え、労働時間は正社員よりも短く、採用手順も簡略なものを定めておきましょう。

 

<業務内容の臨時性>

業務内容を、特定の臨時的なものに限定し、負担も責任も正社員より軽いことを明確にします。

 

<更新への期待>

雇い入れの時に、労働条件通知書の内容を具体的に説明し、契約更新について誤解が生じないようにしておきます。

 

<契約更新の手続き>

契約の更新にあたっては、労働者と個別に面談し、これを踏まえて更新後の労働条件通知書を渡します。なんとなくの更新にしてはいけません。

 

<契約不更新の実績を作る>

職場の人間関係を悪くしたり、新人をいじめたり、勤務成績の悪い労働者について、契約を更新しない実績を作っておきましょう。

会社側が、我慢したり、人情に流されたりしていては、イザというときに困ります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

会社の状況を踏まえて、具体的にどうすれば良いのか迷ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.18.解決社労士

<求人広告の内容についての法規制>

ハローワークの求人票や求人情報誌の求人広告には、求職者の知りたい情報が詳しく明確に記載されていることが重要です。

このため、求人の申込みや労働者の募集を行う際に書面や電子メールなどで明示すべき労働条件が、次のように定められています。〔職業安定法5条の3

・労働者が従事すべき業務の内容に関する事項

・労働契約の期間に関する事項

・就業の場所に関する事項

・始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間及び休日に関する事項

・賃金の額に関する事項

・健康保険、厚生年金、労働者災害補償保険及び雇用保険の適用に関する事項

なお、労働契約を締結する際に明示すべき労働条件と明示の方法についても法定されています。〔労働基準法15条〕

また、労使当事者は労働契約の内容について、できる限り書面により確認するものとされています。〔労働契約法4条〕

 

<求人広告と実際の労働条件との関係>

求人広告は、あくまでも広告に過ぎません。これに応募したからといって、必ず採用されるわけではありません。

また、求人広告に「月給20万円~25万円」などと書いてあって、具体的な金額は採用面接の中で決まるという場合もあります。

さらに、事務職で応募したところ、「他の応募者で採用枠が埋まってしまったけれど、営業職に欠員が1名出たのでいかがでしょうか」と打診されて、これに応じるというのは普通に行われていることです。

このように、求人広告と実際の労働条件とが異なる場合に、採用側が新たな労働条件を明示していれば問題無いのです。そして、職業安定法5条の33項も、平成3011日付で、この内容を盛り込む形に改正されます。

 

<問題のあるケース>

採用が決まって労働契約を締結する際の労働条件明示義務については、30万円以下の罰金が定められています。〔労働基準法120条〕

労働契約の締結は口頭でもできますが、雇い主は労働者に対して、労働条件を書面で明示する義務を負っているのです。

ところがブラック企業では、最初の給与支払額を見て不審に思った労働者が会社に確認すると「あなたの場合には能力不足だから給与は半分しか支払えない」などの回答が返ってくるケースがあります。

また、求人広告では正社員募集だったのに、後から契約期間6か月の契約社員だと言われたりもします。

これらは、入社にあたって労働条件の明示が無いわけです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

特にブラック企業というわけではないのに、入社にあたって「労働条件通知書」などを交付しない会社もあります。

経営者が労働基準法の規定を知らないだけのこともあります。また、労働条件の決め方に迷っている場合もあります。

つまらないことで罰則を適用されたり、会社の評判が落ちたりしないように、労働条件の通知については、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.17.解決社労士