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<大阪北部の地震で>

平成30(2018)618日午前8時前に、大阪府の北部で震度6弱の地震が発生しました。

「京セラドーム大阪の屋根に亀裂」「京阪電車が脱線」「シマウマが脱走」「箕面市全域で断水」などのデマが流れ、住民の不安をあおりました。

地域の住民にとっては大変な迷惑なのですが、これを取り締まるのは困難ですし、犯罪として立件するのも至難の業です。

一方、これが特定の会社の中で起こった場合には、犯人捜しは割と楽かも知れません。

会社の中で社員についての噂を流し、これが社内に広まった場合には、たとえその噂が真実であったとしても、刑法には次のように規定されていて、名誉棄損罪が成立しうるので注意したいものです。

「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する」〔刑法2301項〕

 

<誰も傷付かない噂>

特定の店舗や営業所に、就業規則の運用について間違った噂が流れることがあります。

これ自体、誰の名誉も傷付けることは無いのですが、会社全体で考えたときは不公平が生じますし、内容によっては労働法違反となることもあります。

社長も人事部門の社員も知らないうちに、会社の一部門で違法なことが行われていても、なかなか気づかないものです。

実際、次のような噂は立ちやすいものです。

・入社して14日目までは自由に解雇できる。

・試用期間中は社会保険に入らなくてもよい。

・予め本人の承諾があればセクハラやパワハラは問題にならない。

・仕事のやり直しによる残業は本人に責任があるので残業代は出ない。

・残業を8時間貯めると1日休める。

・本人の不注意による労災は、自己責任なので労災保険の対象外となる。

・過失で会社の物品を壊したら全額弁償しなければならない。

どれもこれも職場の責任者に都合の良い嘘ですが、真に受けると罰則が適用されうる危険な作り話です。

 

<就業規則は有効であっても>

就業規則は、社内に周知すれば有効です。この場合の周知というのは、読もうと思えば社員の誰でも読める状態にしておくことです。

しかし、社員が就業規則のルールに従って行動できるようにするためには、定期的な教育研修が必要です。特に部門長以上に対しては、会社のルールをきちんと理解させ記憶させておかなければ、いつの間にか自分に都合のよいルールを作りかねません。

店長などの部門長が、何か困り事があって人事部門に相談したところ、「これは例外に当たるので…」という説明を受けても、それが店長にとって都合のよい話であれば、すべてに類推解釈や拡張解釈して運用することもあるのです。

 

会社を守るため、就業規則を含め会社のルールについては、定期的な研修会の実施を怠りたくないものです。

 

2018.06.19.解決社労士

<同一労働同一賃金>

日本の「同一労働同一賃金」は、仕事ぶりや能力が適正に評価され、意欲をもって働けるよう、同じ企業内で正規雇用労働者(正社員、無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。

欧米で普及している同一労働同一賃金の考え方を日本に普及させるにあたっては、日本の労働市場全体の構造に応じた政策とすることが重要であり、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇の不均衡に焦点が当てられています。

平成28(2016)12月には、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇差がどのような場合に不合理とされるかを事例等で示す「 同一労働同一賃金ガイドライン案 」が「 働き方改革実現会議 」に提示されました。

 

<手当の性質を踏まえて>

同一労働同一賃金の考え方からすると、それぞれの手当ごとに支給の趣旨、支給の理由が、就業規則などで明らかになっている必要があります。

本音のところで、「正社員の賃金を非正規社員より高くするため」適当な名目の手当を設定したとしても、こうした説明では明らかにアウトです。正社員の賃金を高く設定しようとしたのには必ず理由があり、その理由をもとに手当の支給の趣旨と理由を明確にすれば良いのです。

同じ名称の手当であっても、支給の趣旨や理由は企業によって異なります。最高裁判所が、「皆勤手当を契約社員に支給しないのはダメ。住宅手当を支給しないのはOK」という判決を出したからといって、「皆勤手当に住宅手当という名前を付けて支給すれば良い」ということにはなりません。

やはり手当の名称ではなくて、それぞれの企業でそれぞれの手当の趣旨と支給理由が明らかにされなければなりません。これが不明確な企業では、労働者から「同一労働同一賃金に反する」と主張された場合に、反論の手がかりすらありません。

説明不足が原因で、企業への貢献度が高い労働者が転職を考えるようになってしまうのは残念なことです。

 

<役職手当の性質をもつ手当>

役職の内容、責任の範囲・程度に応じて支給する手当です。

非正規社員は役職に就かないというルールであれば、非正規社員にこの手当を支給しないのは当然のことでもあります。

しかし、役職に就くことがあるのなら支給しなければなりませんし、役職の内容、責任の範囲・程度に一定の違いがある場合には、その相違に応じた支給をしなければなりません。

 

<日曜出勤手当・深夜勤務手当などの性質をもつ手当>

特殊勤務手当のように、出勤日や勤務時間帯など勤務形態に応じて支給される手当は、正規雇用労働者も非正規雇用労働者も同じ基準で支給されなければなりません。

日曜日や深夜に勤務できる人材はなかなか採用できないので、少し手当を上乗せして採用しやすくすることは問題ありません。

カレンダー上の休日が、必ずしも労働契約上の休日ではありませんから、日曜出勤手当と労働基準法の割増賃金とは別の話です。

一方、午後10時から翌日午前5時までの勤務には、労働基準法に定められた割増賃金が発生しますので、この割増賃金と深夜出勤手当との関係についても明確にしなければなりません。

 

<精皆勤手当の性質をもつ手当>

基本的には、正規雇用労働者も非正規雇用労働者も同じ基準で支給されなければなりません。

ただ、週5日出勤の契約で勤務する労働者には皆勤手当を支給するものの、欠勤に対しては欠勤控除に加えてマイナス査定があり、週4日以下出勤の労働条件で働く非正規雇用労働者には皆勤手当を支給しないが、欠勤に対してマイナス査定も無いという運用は、均衡が取れているので許されると考えられます。

 

<その他その性質上同様に支給されるべき手当>

特殊作業手当のように、業務の危険度や作業環境に応じて支給される手当は、正規雇用労働者も非正規雇用労働者も同じ基準で支給されなければなりません。

通勤手当、出張旅費手当、食事手当、単身赴任手当、地域手当の性質をもつ手当なども、正規雇用労働者も非正規雇用労働者も同じ基準で支給されなければなりません。ただし、採用圏を近隣に限定しているパートタイム労働者が、採用圏外に転居した場合に、採用圏内の交通費を基準に通勤手当を支給しても問題とはなりません。

時間外、深夜、休日の割増賃金を、労働基準法の最低基準を上回る割増率で支給する場合には、正規雇用労働者も非正規雇用労働者も同じ割増率で支給されなければなりません。

 

現在の自社の各手当は、何を基準に決められているのか、それは同一労働同一賃金の考え方に反していないのかという分析は、社会保険労務士などの専門家を交えて行うことをお勧めします。

 

2018.06.18.解決社労士

<同一労働同一賃金>

日本の「同一労働同一賃金」は、仕事ぶりや能力が適正に評価され、意欲をもって働けるよう、同じ企業内で正規雇用労働者(正社員、無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。

欧米で普及している同一労働同一賃金の考え方を日本に普及させるにあたっては、日本の労働市場全体の構造に応じた政策とすることが重要であり、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇の不均衡に焦点が当てられています。

平成28(2016)12月には、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の待遇差がどのような場合に不合理とされるかを事例等で示す「 同一労働同一賃金ガイドライン案 」が「 働き方改革実現会議 」に提示されました。

 

<基本給の性質>

現実の基本給は、複合的な性質を備えているものですし、企業によっても異なっています。また、特に基本給の性質ということを考えることなく、世間相場から設定しているに過ぎない企業もあります。

しかし、何を基準に基本給を設定しているのか不明確な企業では、労働者から「同一労働同一賃金に反する」と主張された場合に、反論の手がかりすらありません。昇給についても同様で、世間相場を参考に昇給を考えていたのでは、企業への貢献度が高い労働者は転職を考えやすくなってしまいます。

主な基本給の考え方としては、次のようなものがあります。

・労働者の職業経験・能力に応じて支給

・労働者の業績・成果に応じて支給

・労働者の勤続年数に応じて支給

 

<職業経験・能力に応じて支給する場合>

企業の実施する教育研修について、すべての従業員が本人の希望により自由に参加できる機会を与えられ、習得が認定された能力に応じて基本給が設定されるならば問題がありません。しかし、参加者が正規雇用労働者(正社員、無期雇用フルタイム労働者)に限定されているのであれば、同一労働同一賃金の考え方に反する恐れがあります。

また、同一労働同一賃金の考え方からすると、基本給の基準となる職業経験や能力は、現在の業務について判断することになります。たとえば配置転換によって、経験の浅い業務に移ってしまうと、理屈の上では基本給も下がることになりますから、本人の同意のもとに行う必要があります。

 

<業績・成果に応じて支給する場合>

単純に考えると、業績・成果が5割多い人の基本給は、他の人よりも5割多いということになります。ここで業績・成果を計る場合に、全員一律の目標を設定してその達成率に応じた基本給にすると、出勤日数が少ない、あるいは、1日の労働時間が短い労働者は、達成率が低く計算されるため同一労働同一賃金の考え方に反してしまいます。目標を設定する場合には、月間労働時間に比例した内容にするなどの工夫が必要となります。

また、店長が店舗の業績に責任を負っていて、店舗の業績・成果が低いとマイナス評価されるような場合には、この責任を加味した適度に高い基本給設定は問題ありません。

 

<勤続年数に応じて支給する場合>

契約の更新がある有期雇用労働者の勤続年数は、最初の雇用契約開始時から通算して計算することになります。

その時点の雇用契約の期間のみを勤続年数として計算すると、同一労働同一賃金の考え方に反してしまいます。

 

<基本給の複合的な性質を踏まえて>

実際には、上の3つの考え方のうち、どれか1つだけを基準に基本給が設定されることは稀です。いくつかの基準が複合的に絡み合って設定されているものです。その場合でも、それぞれの基準についての考え方を応用することになります。

ただ、基本給の性質をどのように設定しようとも、「無期雇用フルタイム労働者と有期雇用労働者またはパートタイム労働者は将来の役割期待が異なるため、賃金の決定基準・ルールが異なる」という抽象的な話では説明不足になり、同一労働同一賃金の考え方に反するという主張に対して、反論のしようがありません。

主観的・抽象的説明では足りず、賃金の決定基準・ルールの違いについて、職務内容、職務内容・配置の変更範囲、その他の事情の客観的・具体的な実態に照らして不合理なものであってはならないのですから、基本給を設定した側だけが理解できて、労働者が理解できない説明では困ります。

 

現在の自社の基本給は、何を基準に決められているのか、それは同一労働同一賃金の考え方に反していないのかという分析は、社会保険労務士などの専門家を交えて行うことをお勧めします。

 

2018.06.17.解決社労士

<契約自由の原則>

契約自由の原則は、契約を当事者の自由にまかせ、国家はこれに干渉してはならないとする近代法の原則です。

これには、契約をする/しない自由、契約の相手方選択の自由、契約内容決定の自由、口頭か書面によるのかなど方式の自由、契約内容変更・契約解消の自由が含まれます。

契約に関する基本事項を規定している民法に、契約自由の原則を直接規定する条文は無いのですが、90条(公序良俗違反の法律行為の無効)や91条(任意規定と異なる意思表示)などにその趣旨があらわれています。

 

<労働契約法の規定>

労働契約も契約の一種であり、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立します。〔労働契約法6条〕

つまり、労働者の「働きますから賃金をください」という意思表示と、雇い主の「賃金を支払いますから働いてください」という意思表示が合致することによって、労働契約が成立します。

そもそも、労働契約法が制定された目的は、労働者および使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、または変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定または変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することにあります。〔労働契約法1条〕

このことからすると、どのような労働契約にするかは当事者の自由であって、複数の労働者が同じ価値の労働を提供する場合に、一人ひとり異なる賃金にしてもかまわないということになります。

 

<同一労働同一賃金の趣旨>

ところが現在、同一労働同一賃金という考え方が主張され、ガイドライン案が作成されたり、この考え方に関わる最高裁判決(ハマキョウレックス事件、長澤運輸事件)が下されたりということで、話題に上ることが多くなっています。

これは、契約自由の原則の趣旨を踏まえて、労働契約の締結を自由に任せておいたところ、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で、不合理と見られる待遇差が増えてしまったという不都合が問題視されているためです。

原因としては、非正規雇用労働者が雇い主との間で労働契約の内容を決定する場合に、かなり弱い立場にあって、自由な交渉が大きく制限されているという実態が浮かび上がります。

つまり、当事者の対等な立場での交渉を前提とする契約自由の原則は、非正規雇用労働者には当てはまらないのに、当てはまるものとして放置されてきたことに対する反省があります。

ただ、日本国内で言われている同一労働同一賃金は、同一企業内での話に留まっていますし、完全に同一や均等までは求められていません。

正規雇用労働者と非正規雇用労働者との区分がある以上、その間の格差は当然に存在するものであることは認め、不合理な差別とならないように均衡を求める趣旨となっています。

労働契約法20条も、次のように規定しています。

 

「有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。」

 

この条文の解釈については、平成30(2018)61日の2つの最高裁判決(ハマキョウレックス事件、長澤運輸事件)にも示されています。

 

<企業のとるべき対応>

基本給、手当、退職金、休暇などについて、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との不合理な格差があるのであれば、均衡するように改める必要があります。

また、不合理な内容ではなくても、両者で異なる取扱いをしている場合には、就業規則に具体的な趣旨や合理性を説明しておくことが必要です。

たとえば、正社員だけに住宅手当を支給しているのであれば、「契約社員については就業場所の変更が予定されていないのに対し、正社員については転居を伴う配転が予定されているため、契約社員と比較して住宅に要する費用が多額となり得るから」という理由の明示が必要となるのです。

 

2018.06.16.解決社労士

<障害者手帳>

障害のある人が取得できる手帳全体を障害者手帳と呼んでいます。

この手帳を取得することで、各種福祉サービスを受けることができます。

大まかに分類すると、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳に分かれます。

取得するには、市区町村への申請が必要であり、申請の方法が市区町村によって異なっていたり、手続きが複雑であったりします。

そして、手帳の名称も全国で統一されているわけではありません。

 

<障害年金>

障害年金は、病気やケガによって生活や仕事などが制限されるようになった場合に、受け取ることができる年金です。

障害年金には「障害基礎年金」「障害厚生年金」があり、病気やケガで初めて医師の診療を受けたとき(初診日)に国民年金に加入していた場合は「障害基礎年金」、厚生年金に加入していた場合は「障害厚生年金」が請求できます。

このことから、障害年金を受け取ろうとする場合には、初診日を証明する必要があります。

障害年金は障害の程度により、障害基礎年金が1級と2級、障害厚生年金が1級から3級に区分されて支給されます。

また、障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときは、障害手当金(一時金)を受け取ることができる制度があります。

さらに、障害年金を受け取るには、年金の納付状況などの条件(保険料納付要件)が設けられています。

このように障害年金には、初診日の証明や保険料納付要件がありますので、障害者手帳を取得できたとしても、障害年金を受給できないことがあるのです。

 

<障害基礎年金の保険料納付要件>

国民年金に加入している間、または20歳前(年金制度に加入していない期間)、もしくは60歳以上65歳未満(年金制度に加入していない期間で日本に住んでいる間)に、初診日(障害の原因となった病気やケガについて、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日)のある病気やケガで、法令により定められた障害等級表(1級・2級)による障害の状態にあるときは障害基礎年金が支給されます。

この障害基礎年金を受けるためには、初診日の前日において、次のいずれかの要件を満たしていること(保険料納付要件)が必要です。ただし、20歳前の年金制度に加入していない期間に初診日がある場合は、納付要件はありません。

(1)初診日のある月の前々月までの公的年金の加入期間の3分の2以上の期間について、保険料が納付または免除されていること

(2)初診日において65歳未満であり、初診日のある月の前々月までの1年間に保険料の未納がないこと

 

<障害厚生年金の支給>

厚生年金に加入している間に初診日のある病気やケガで障害基礎年金の1級または2級に該当する障害の状態になったときは、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金が支給されます。

また、障害の状態が2級に該当しない程度の軽い障害のときは3級の障害厚生年金が支給されます。

なお、初診日から5年以内に病気やケガが治り、障害厚生年金を受けるよりも軽い障害が残ったときには障害手当金(一時金)が支給されます。

この障害厚生年金・障害手当金を受けるためには、障害基礎年金の保険料納付要件を満たしていることが必要です。

 

2018.06.15.解決社労士

<加入者と事業主の取組が料率に反映>

協会けんぽでは、平成30(2018)年度からインセンティブ(報奨金)制度が導入されています。ただし、保険料率への反映は平成32(2020)年度からとなっています。

この制度は、協会けんぽの各都道府県支部の加入者と事業主の取組に応じて、インセンティブ(報奨金)を付与し、それを健康保険料率に反映させるものです。

 

<反映のさせ方>

まず、制度の財源となる保険料率として、新たに全支部の保険料率の中に段階的に一定の割合を盛り込みます。

 

平成30年度(平成32年度保険料率):0.004%

平成31年度(平成33年度保険料率):0.007%

平成32年度(平成34年度保険料率):0.01%

 

そして、特定健診・保健指導の実施率やジェネリック医薬品の使用割合などの評価指標に基づき、全支部をランクづけし、ランキングで上位過半数に該当した支部については、支部ごとの得点数に応じた報奨金によって保険料率を引き下げます。

 

<具体的な評価指標>

1.生活習慣病予防検診や特定健診の受診率

2.特定保健指導の実施率

3.特定保健指導対象者の減少率

4.医療機関への受診勧奨を受けた要治療者の医療機関受診率

5.後発(ジェネリック)医薬品の使用割合

これらに取り組むと、医療費の削減が期待されるわけですから、その努力に応じて都道府県支部単位で保険料率を下げるという、公平をはかる制度だと考えられます。

 

2018.06.14.解決社労士

<残業の性質>

残業は、会社が社員に命じて行わせるものです。具体的には、上司が業務上の必要から、部下に命じて行わせることになります。

少なくとも、部下が残業の必要性を上司に打診し、これを受けて上司が部下に命ずるという形でなければ、残業は発生しない性質のものです。

そして、いつも上司がいるわけではありませんから、伝票の処理が終わらないときは残業しなさい、お客様のクレームがあったときは対応して報告書を作成するまでは残業しなさいという包括的な命令もありえます。

この場合には、ダラダラ残業の危険がありますから、上司は十分な事後チェックをしなければなりません。

ところが、社員がこの原則に違反して残業してしまった場合、タイムカードなどに出退勤の記録が残っている以上、会社は残業代を支払わざるを得ません。

 

<残業代を稼ぎたい社員の行動>

仕事の合間に居眠りしたり、軽食をとったり、雑談したり、喫煙したり、仕事に関係ない資料を読んだり、個人的興味でパソコンをいじったり、スマホを操作したりの時間は、本当の労働時間ではありません。

こうした時間の総合計が長い一方で、残業が発生している社員は、人件費の割に仕事が進んでいないことになります。

つまり、生産性が低いわけですから、これを人事考課に反映させて評価を低くし、賞与の金額を下げたり昇給を抑えたりということは、人事考課制度本来の目的にかなっています。

 

<残業したがらない社員の行動>

早く会社を出て、家に帰りたい、飲みに行きたい、パチンコをしたいなど、個人的な欲求から残業したがらない社員もいます。

残業の本来の性質からすれば、周囲の雰囲気を察して自発的に残業を打診しないからといって評価を下げてしまうのは、人事考課制度の適切な運用ではありません。

しかし、上司から残業命令が出ても、これを無視して業務を離れてしまうのは、評価を下げる正当な理由となりますし、しばしば行われれば懲戒処分の対象ともなりえます。

 

<残業と人事考課との関係>

このように、残業時間の多寡と評価との関係は単純ではありません。

残業が多い理由、あるいは、少ない理由を踏まえて評価を考えることが必要で

す。

単純に考えれば、自己都合の身勝手な残業と残業拒否は評価を下げるといえるでしょう。

 

<大前提として>

法定労働時間を超える残業は、所轄労働基準監督署長への三六協定書の届出が無ければ違法になってしまいます。

そもそも、就業規則に残業を命じる場合がある旨を規定しておかなければ、残業を命じる根拠がありません。

こうした手続き的なことは、残業の大前提となりますから、足元をすくわれないよう、しっかりと行っておきましょう。

 

2018.06.13.解決社労士

<注目の最高裁判決>

平成30(2018)61日、最高裁判所第二小法廷でハマキョウレックス事件判決と長澤運輸事件判決が下されました。

労働契約法20条が禁じる不合理な格差について、最高裁判所が初めて判断を示したものとして注目されました。

裁判長・裁判官はどちらの判決も同じで、裁判官全員一致の意見となっています。

 

<労働契約法20条とは>

労働契約法20条は、期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止について次のように定めています。

 

第二十条 有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

 

対象者は、雇用期間に期限のある有期契約労働者です。

同じ企業の中で、この有期契約労働者の待遇が、無期契約労働者(主に正社員)の待遇と均衡していなければならないということを定めています。

手当など待遇に差異がある場合には、次のような正当な理由が求められます。

・業務内容の違い

・責任の程度の違い

・職務の内容の違い

・配置転換の有無やその範囲の違い

・その他の事情の違い

これらの理由は、相当程度、具体的なものであることが必要です。

 

<最高裁の判断>

最高裁判所は2つの判決で、無期契約労働者(主に正社員)に支給されている手当が、有期契約労働者に支給されず、または減額されている場合について、正当な理由の有無を検討しています。

まず、手当ごとに支給の趣旨を確認し、つぎに、その趣旨からすると差異を設けていることが不合理ではないかということを検討し、結論を下すという手法です。

この2つの判決で示されたのは、このような手法により労働契約法20条違反の有無を判断するということです。

 

<企業に求められる対応>

有期契約労働者の待遇が、無期契約労働者(主に正社員)の待遇とは異なることを前提として、その待遇が均衡していることが求められます。

手当に差があるのであれば、各手当について支給の趣旨を就業規則などに具体的に規定しておく必要があります。

手当の趣旨が抽象的であれば、有期契約労働者や有期契約労働者であった退職者から、労働契約法20条違反を主張され、一定の金銭を請求されるリスクが発生します。

 

<今後予想される展開>

労働者の働きぶりに応じて、処遇に差異を設けようとすると、いきおい手当の種類が増えてきます。

また企業の多くは、賞与を算定する場合に、基本給の何か月分という形をとっています。賞与の金額を抑えるために、基本給に含まれない手当が増える傾向も見られます。

今回の最高裁判決では、手当に含まれる問題点がクローズアップされました。

そこでリスク低減のため、手当の種類を減らし、なるべく基本給に一本化していく動きが出てくるものと予想されます。

しかし、これは安易な手法であり、「逃げ」の態度を示すことに他なりません。

企業の経営者の皆さんには、有期契約労働者の待遇が、無期契約労働者(主に正社員)の待遇と均衡するよう、制度の改善を期待したいところです。

 

2018.06.12.解決社労士

<年次有給休暇取得権の保護>

使用者が、年次有給休暇の取得を妨害する措置をとっても構わないのであれば、労働者の権利は容易に侵害されてしまいます。

こうした事態を防ぐため、労働基準法には次の規定が置かれています。

 

第百三十六条 使用者は、第三十九条第一項から第四項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。

 

この規定の最後の「しないようにしなければならない」という言い回しが曲者(くせもの)です。

こうした言い回しは、使用者の「努力義務」を規定しているものとされます。違反しても、刑事罰や過料等の法的制裁を受けない程度の義務であって、一定の努力を示せば良いとされるものです。

ですから、正面から年次有給休暇の取得を妨害するような露骨な措置をとれば、この努力義務違反となりうるのですが、全く別の目的からとられた措置であって、年次有給休暇の取得を抑制する効果が小さければ、許されることもあるのです。

 

<「努力義務」違反の例>

年次有給休暇を取得した日について欠勤扱いとし、給与計算で欠勤控除とする措置は、労働基準法136条に違反します。給与計算のうえで、年次有給休暇を取得しても、欠勤した場合と同じ効果しか無いのであれば、年次有給休暇を労働者の権利とした意味がありません。

また、賞与の査定の際に、年次有給休暇の取得日数に応じたマイナス評価をして、取得日数分の給与に相当する金額を賞与から控除するような措置も、同様の理由から労働基準法136条に違反します。

 

<「努力義務」違反にはならない例>

労働基準法136条違反が争われた沼津交通事件では、最高裁判所が次のような判断を示しています。(平成5625日)

 

タクシー会社では、乗務員の出勤率が低下して自動車の実働率が下がることを防止する目的で、皆勤手当の制度を採用することがある。

この会社では、年次有給休暇と欠勤を合わせて1日であれば減額した皆勤手当てを支給し、2日以上であれば支給しないという運用をしていたが、皆勤手当の金額は最大でも給与の1.85%に過ぎなかった。

このように、この会社の皆勤手当は年次有給休暇の取得を抑制する目的を持たず、また、その金額からも年次有給休暇の取得を抑制する効果を持つものではないので、労働基準法136条に違反しない。

 

労働者の権利である年次有給休暇の取得を抑制しうる措置の導入を考える場合には、その目的と効果を具体的に検証したうえで実施する必要があるということです。

 

2018.06.11.解決社労士

<70歳以上被用者の算定基礎届>

70歳以上の被用者の標準報酬月額相当額は、4月~6月に受けた報酬の平均月額に合わせて毎年改定されます。

事業主は、「算定基礎届」に各被用者の報酬を記入し、69歳以下の算定基礎届と共に提出します。

昨年までは、70歳以上の被用者だけ別の用紙で届出を行っていましたが、今年からは69歳以下の算定基礎届の用紙を使います。

この場合、備考欄の「1.70歳以上被用者算定」に○を付け、マイナンバー(個人番号)を記入します。ただし、マイナンバーは健康保険組合への届出には不要です。

 

<70歳以上被用者とは>

70歳以上の被用者は、70歳以上であって厚生年金保険の適用事業所に新たに雇用された人、または被保険者が70歳到達後も継続して使用される場合で、次のすべてに該当する人をいいます。

 

・70歳以上であること

・過去に厚生年金保険の被保険者期間があること

・厚生年金保険適用事業所に使用される人、または法人事業所の事業主であって、週の所定労働時間と月の所定労働日数が社会保険加入の条件を満たしていること

 

<老齢厚生年金の支給調整>

平成19(2007)4月から、適用事業所に就労して稼得能力のある70歳以上の年金受給者については、60歳台後半の在職老齢年金と同様の仕組みが適用されています。

このため、70歳以上の人が、厚生年金保険の適用事業所に使用される場合、事業主は、70歳以上の従業員(被用者)の雇用、退職、報酬額についての届出が必要となります。

70歳以上の被用者は、70歳になると厚生年金保険の資格を喪失するため、在職中であっても、厚生年金保険の保険料を納付する必要はありません。

しかし、届出により、老齢厚生年金の全部または一部が支給停止となる場合があります。

具体的には、基本月額と総報酬月額相当額の合計額が46万円以下の場合は、年金の全額が支給されますが、基本月額と総報酬月額相当額の合計額が46万円を超える場合は、超えた額の2分の1が支給停止されます。

さらに支給停止額が基本月額を超えるときは、加給年金額も停止されます。

ここで「停止」というのは、一時的に支給が止まり後から支払われるという意味ではなく、支払われないという意味です。

 

2018.06.10.解決社労士

<対象となる人>

定時決定(算定基礎届)は原則として、その年の71日現在、社会保険の加入者(被保険者)である人全員が対象になります。

・531日までに加入(資格取得)した人で、71日現在も加入者(被保険者)である人

・71日かこれ以降に、退職や勤務時間の減少などにより脱退(資格喪失)する人(資格喪失日でいうと72日かこれ以降)

・休職中、育児休業中、介護休業中、欠勤中の人

・刑事施設や労役場などに拘禁中の人

なお、定時決定という手続きのために提出する届を算定基礎届といいます。

 

<対象とならない人>

・61日かこれ以降に、加入(資格取得)した人

・630日かこれ以前に、退職や勤務時間の減少などにより脱退(資格喪失)した人(資格喪失日でいうと71日かこれ以前)

・7月~9月に月額変更届、産前産後休業終了時変更届、育児休業等終了時変更届を提出する予定の人

なお、随時改定という手続きのために提出する届を月額変更届といいます。

 

<見込みや予定が変わった人>

・算定基礎届を提出する時点では、8月か9月に月額変更届を提出する見込みだったが、その後、残業代や通勤手当などの変動により、月額変更届を提出しないことになった場合には、遅れて算定基礎届を提出することになります。

・算定基礎届を提出する時点では、8月か9月に月額変更届を提出する見込みではなかったが、その後、残業代や通勤手当などの変動により、月額変更の条件を満たすことになった場合には、算定基礎届の提出とは別に算定基礎届を提出することになります。

 

2018.06.09.解決社労士

<定時決定(算定)での特例>

従来から業務の性質上、4月~6月の3か月間の報酬をもとに算出した標準報酬月額と、前年7月~当年6月までの1年間の報酬の月平均額によって算出した標準報酬月額との間に2等級以上の差があり、この差が業務の性質上、例年発生することが見込まれる場合には、申し立てにより、過去1年間の月平均報酬月額により標準報酬月額を算定することができるようになっています。

社会保険料の定時決定(算定)では、4月~6月の3か月間の報酬をもとに標準報酬月額を算出するのが原則ですが、この3か月間だけ極端に残業代が多かったり少なかったりすると、著しく不当な標準報酬月額となるため、これを避けるために年平均の額で計算することができるわけです。

これは、事業主の申立書と本人の同意等を提出することによって行います。

 

<随時改定(月変)での特例>

こうした定時決定(算定)でのやり方が、通達により平成30(2018)年10月以降の随時改定(月変)にも適用されることとなりました。

これにより業務の性質上、繁忙期に残業代の増加が著しく、この時期に昇給したような場合で、通常の随時改定(月変)では著しく不当になる場合には、年間平均によることができるようになります。

年間平均で随時改定(月変)を行うには、次の条件を満たす必要があります。

・現在(改定前)の標準報酬月額と、通常の随時改定による報酬月額に2等級以上の差がある。

・非固定的賃金を年間平均した場合の3か月の報酬月額の平均が、通常の随時改定による報酬月額と2等級以上差がある。

・現在の標準報酬月額と、年間平均した場合の報酬月額との差が1等級以上ある。

・繁忙期に残業が集中するなどの傾向が、業務の性質上、例年見込まれる。

 

2018.06.08.解決社労士

<熱中症とは>

熱中症とは、高温多湿な環境下で、体内の水分と塩分(ナトリウムなど)のバランスが崩れたり、体内の調整機能が破綻したりなどにより発症する障害の総称です。

具体的な症状としては、めまい・失神、筋肉痛・筋肉の硬直、大量の発汗、頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感、意識障害・痙攣(けいれん)・手足の運動障害、高体温などが見られます。

 

<昨年の熱中症>

厚生労働省によると、平成29(2017)年の職場での熱中症による死傷者(死亡・休業4日以上)は544人と、平成28(2016)年よりも82人増加し、うち死亡者は14人と、前年より2人増加しました。

熱中症による死傷者は、平成23(2011)年以降、毎年400500人台で高止まりの状態にあります。平成29(2017)年の業種別の死亡者をみると、建設業が全体の約6割(8人)と、最も多く発生しています。

また、熱中症で死亡した14人の状況をみると、WBGT値(暑さ指数)の測定を行っていなかった(13人)、計画的な熱への順化期間が設定されていなかった(13人)、事業者が水分や塩分の準備をしていなかった(4人)、健康診断を行っていなかった(5人)など、基本的な対策が取られていなかったことが分かります。

WBGT値というのは、気温に加え、湿度、風速、輻射(放射)熱を考慮した暑熱環境によるストレスの評価を行う暑さの指数です。

 

<クールワークキャンペーン>

厚生労働省では、職場における熱中症予防対策として、平成30(2018)51日から930日まで「STOP!熱中症 クールワークキャンペーン」を実施しています。

キャンペーンでは、個々の労働者に水分・塩分の摂取を呼び掛けるだけでなく、事業場として、予防管理者の選任など管理体制の確立を含めた対策の徹底を図るため、労働災害防止団体などとの連携や、関係業界団体などへの関連情報の周知・提供、協賛団体による支援などの取組を重点的に推進しています。

また、WBGT値による作業管理などを中心とした「職場での熱中症予防に関する講習会」を、6月~7月に全国7か所で実施します。

 

WBGT値の測定には、JIS規格「JIS B 7922」に適合した暑さ指数計を準備しましょう。

 

2018.06.07.解決社労士

<労災事故の増加>

平成30(2018)530日、厚生労働省が平成29(2017)年の労働災害発生状況を取りまとめ、公表しました。

平成29(2017)年については、死亡災害、休業4日以上の死傷災害の発生件数はともに前年を上回り、それぞれ978人(5.4%増)、120,460人(2.2%増)となりました。死亡災害は3年ぶり、死傷災害は2年連続で増加しました。

医学の発達とともに、死亡事故は減少の傾向を示してきていますが、ここに来て増加に転じてしまいました。

 

<業種別の労災発生状況>

建設業では、依然として「墜落・転落」が占める割合が大きく、死亡災害で「交通事故(道路)」や「はさまれ・巻き込まれ」が増加し、死亡災害、死傷災害ともに前年を上回りました。

陸上貨物運送事業では、死亡災害で、依然として「交通事故(道路)」が占める割合が大きく、「はさまれ・巻き込まれ」や「墜落・転落」が大幅に増加し、死亡災害、死傷災害ともに前年を大きく上回りました。

第三次産業では、引き続き「転倒」と腰痛などの「動作の反動・無理な動作」が増加傾向にあり、死傷災害が前年を上回りました。

厚生労働省の発表したデータは次の通りです。

 

【平成29(2017)年の労働災害発生状況の概要】

※通勤災害(通勤中に発生した災害)は含まれていません。

 

1 死亡災害発生状況

 

労働災害による死亡者数は978人で、平成28年の928人に比べ50人(5.4%)の増加となり、3年ぶりに増加となった。死亡者数が多い業種は、建設業が323人(前年比29人・9.9%増)、製造業が160人(同17人・9.6%減)、陸上貨物運送事業が137人(同38人・38.4%増)となった。

 

2 死傷災害発生状況

 

労働災害による死傷者数(死亡・休業4日以上)は120,460 人で、平成28年の117,910人に比べ2,550人(2.2%)の増加となった。

死傷者数が多い業種は、製造業が26,674 人(前年比220人・0.8%増)、建設業が15,129人(同71 人・0.5%増)、陸上貨物運送事業が14,706人(同729人・5.2%増)、小売業13,881人(同437人・3.3%増)となった。

 

3 事故の型別による死亡災害・死傷災害発生状況 (P.2)

 

⑴    死亡災害

 

高所からの「墜落・転落」が258人(前年比26人・11.2%増)、「交通事故(道路)」が202人(同16人・7.3%減)、機械などによる「はさまれ・巻き込まれ」が140人(同8人・6.1%増)となった。

 

⑵   死傷災害

 

つまずきなどによる「転倒」が28,310人(前年比1,158人・4.3%増)、高所からの「墜落・転落」が20,374人(同280人・1.4%増)、腰痛などの「動作の反動・無理な動作」が16,177人(同1,096人・7.3%増)となった。

 

2018.06.06.解決社労士

<配属部署が向いていない?>

入社にあたって会社に伝えた希望の部署とは違う部署に配属されることの方が多いのではないでしょうか。

どの部署が向いているかは、自分自身の判断、会社の判断、真の適性の3つが食い違うこともあります。

自分や会社が向いていると判断した部署が、実は向いていない部署の場合もあります。

また、会社の判断では希望通りの部署について適性を認めたものの、その前に今の部署の仕事を経験させておこうというキャリア設計があるかもしれません。もしそうであれば、今の部署である程度の実績を上げなければ、希望の部署への異動は遠のいてしまいます。

それに、いきなり希望の部署に配属されて、思ったほど仕事が進められなければ、自分に失望してしまいます。これは大きな挫折となりますから、希望の部署に配属されないのは一種のリスク回避でもあるのです。

 

<会社が向いていない?>

もう少し視野を広げて考えてみれば、配属された部署の仕事が向いていないのではなくて、その会社が向いていないのかも知れません。

経営方針に共鳴していたとしても、企業風土や職場の雰囲気が自分に合っていない可能性もあります。

そうだとすれば、たとえ別の部署に異動になっても、それが希望の部署であったとしても、会社が向いていないのであれば、これから先、自分の思い描いていた仕事はできないのかもしれません。

 

<サラリーマンが向いていない?>

さらに視野を広げて考えてみると、会社が向いていないのではなくて、会社という組織の中で、会社に雇われて働くことが向いていないのかも知れません。

決められた日の決められた時刻に出勤して、最低限、決められた時刻までは働かなければなりません。

自分のやりたいように仕事を進められるわけではありません。

上司もいれば先輩もいますから、その指導やアドバイスも受け入れなければなりません。理不尽と思える話でも、拒否するわけにはいきません。

新人のうちは、注意を受け、叱られることも多いでしょう。

それで、仕事のやり直しによる残業も発生します。予定通りの時刻に帰宅できないことも当たり前になります。

こうした生活が向いていない、つまり、そもそもサラリーマンが向いていないという可能性は、決して低くはないのです。

 

<働くことが向いていない?>

では、会社勤めが向いていないとして、どうやって生計を立てれば良いのでしょうか。あるいは、再び親の扶養に入るのでしょうか。

自分で何とかしようと思うのであれば、個人で事業を立ち上げるとか、会社を設立するとか、雇われない形で働くことを考えることになります。

企業風土とか職場の雰囲気は、自分自身で作れば良いのですし、誰かの指示に従う必要もありません。始めたいときに仕事を始め、終わりたいときに仕事を終了することも自由です。

こうしたことが「大変だなぁ」と感じるのであれば、そもそも働くことが向いていないのかも知れません。

 

<どうしたら良いのか?>

働くことが向いていない、サラリーマンが向いていないということであれば、転職しても上手くいくはずがありません。

大人として、社会人として、まともな生活をしようと思うのであれば、まずは自分に与えられた仕事を誠実にこなしていくことをお勧めします。

自分に合っていない仕事をこなしているうちに、自分自身が変わっていきます。また、自分がきちんと仕事をこなすことで、その部署の雰囲気もルールも変わってきます。

こうして、最初は「自分に合っていない」と思っていても、やがて自分がその部署に近付き、その部署が自分に近付いてくるのです。

たとえ不本意な仕事であっても、誠意をもってこなすことは、これから先、今の会社で働くにせよ、転職するにせよ、独立するにせよ、決して無駄にはなりません。

今の環境から安易に飛び出すよりは、まず熱心に取り組んでみて、自分自身を成長させ変革させていくことを強くお勧めします。

 

2018.06.05.解決社労士

<就業規則の規定>

厚生労働省が公表しているモデル就業規則の最新版(平成30(2018)年1月版)では、定年を満60歳とし、その後希望者を継続雇用する例として、次のような規定が示されています。

 

(定年等) 

第49条  労働者の定年は、満60歳とし、定年に達した日の属する月の末日をもって退職とする。

2 前項の規定にかかわらず、定年後も引き続き雇用されることを希望し、解雇事由又は退職事由に該当しない労働者については、満65歳までこれを継続雇用する。

 

定年後の再雇用については、多くの企業で似たような規定を置いていると思われます。

 

<本人の希望>

「定年後も引き続き雇用されることを希望」の部分にトラブルの原因が隠れています。

定年退職後に、退職者から「再雇用を希望していたのに退職させられた。これは不当解雇である」と主張されることがあります。

具体的には、再雇用されていれば得られたはずの賃金と慰謝料の支払いを、会社に対して求めてくるわけです。

このとき、会社が「離職票に署名してある」と主張しても、退職者は「ハローワークで手続きできなくなると脅されて不本意ながら署名したに過ぎない」と反論するでしょう。

また、健康保険証の返却についても、退職者が「返却しなくても紛失扱いで手続きすると言われたので不本意ながら返却した」と主張するかもしれません。

 

このような言った/言わないのトラブルを防ぐために、再雇用の希望を書面で提出するルールにしている会社もあります。

しかし、退職者が提出したと言い、会社側が提出を受けていないと言うのでは、結局トラブルになってしまいます。

 

こうしたトラブルを防ぐためには、「再雇用確認書」のような書式を準備しておき、定年の2か月前までに希望の有無を記入して提出してもらうなどの運用にする必要があります。つまり、希望しても希望しなくても、定年を迎える社員から所定の書面を提出してもらい、再雇用の希望の有無がわかるようにしておくわけです。

 

<再雇用できない理由>

たとえ本人が希望しても、「解雇事由又は退職事由に該当」する労働者であれば、会社は再雇用を拒めるという部分にも、トラブルの火種が隠れています。

そもそも、定年を迎える直前になって解雇事由が発生することは稀ですし、このタイミングで退職事由が発生するというのは、本人が再雇用されずに退職したいという希望を表明している場合ではないでしょうか。

 

実際には、定年の数年前から解雇事由があって、会社側がこれを放置しているというケースがあります。「あと少しで定年を迎えるから」ということで我慢しているわけです。

たとえば、健康状態が不良でたびたび欠勤しているが治療を受けていない、ルール違反が多くて同じ部署のメンバーに迷惑をかけ続けている、新しい仕事を覚えられず会社が必要としている業務をこなせないといった事情を、会社側が我慢してしまうのです。

こうした場合に、定年と共に普通解雇や懲戒解雇を言い渡すというのは不合理です。本人にしてみれば、今まで不問に付されていたのに、定年のタイミングで解雇されるというのは納得できません。

 

「あと少しで定年を迎える」社員も、若い社員と同じように、問題点があれば注意・指導し改善が見られなければ、普通解雇や懲戒解雇を検討すべきです。

少し厳しいようにも思われますが、再雇用トラブルを防ぐには必要なことなのです。

 

2018.06.04.解決社労士

<一般的な説明>

就業規則に記載する内容には、必ず記載しなければならない事項(絶対的必要記載事項)と、その事業場で定めをする場合に記載しなければならない事項(相対的必要記載事項)があります。〔労働基準法89条〕

 

【絶対的必要記載事項】

① 始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに交替制の場合には就業時転換に関する事項

② 賃金の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項

③ 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

 

【相対的必要記載事項】

① 退職手当に関する事項

② 臨時の賃金(賞与)、最低賃金額に関する事項

③ 食費、作業用品などの負担に関する事項

④ 安全衛生に関する事項

⑤ 職業訓練に関する事項

⑥ 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項

⑦ 表彰、制裁に関する事項

⑧ その他全労働者に適用される事項

 

<絶対的必要記載事項>

重要な労働条件なので、必ず決めなければなりません。

就業規則が無い会社であっても、労働条件通知書で必ず示さなければならない事項です。

ですから、決まっていない会社では、きちんと決めたうえで記載しなければならない事項です。

 

<相対的必要記載事項>

特にルールが無ければ、無理して決める必要が無い事項です。

ただし、ルールが決まっていたならば、就業規則に記載しなければなりません。

たとえば、①の「退職手当」というのは退職金のことですが、ルールが無ければ書きようが無いので、就業規則に書かなくても良いのです。

⑦の「制裁に関する事項」というのは、懲戒処分のことですが、特にルールが無ければ就業規則に記載しなくてもかまいません。ただし、就業規則に具体的な記載が無い懲戒処分を行っても無効になります。それだけでなく、対象者から慰謝料など損害賠償を請求されるかも知れません。

 

相対的記載事項は、「記載してもしなくても良い事項」と解釈されがちですが、その意味を勘違いしないように注意しましょう。

 

2018.06.03.解決社労士

<ものづくり白書>

政府は、平成30(2018)529日、「平成29年度ものづくり基盤技術の振興施策」(「ものづくり白書」)を閣議決定し国会に報告しました。

「ものづくり白書」は、「ものづくり基盤技術振興基本法」第8条に基づき国会に毎年報告する年次報告書で、政府がものづくり基盤技術の振興に関して講じた施策を取りまとめたものです。

 

<ものづくり人材の育成>

2部構成の「ものづくり白書」の第1部は、「第1章 我が国ものづくり産業が直面する課題と展望」、「第2章 ものづくり人材の確保と育成 」、「第3章 ものづくりの基盤を支える教育・研究開発」の3章立てとなっています。

厚生労働省が担当の第2章では、労働生産性の向上に向けた人材育成の取組と課題を分析し、ものづくり人材の育成に関する厚生労働省の施策について記述しています。

 

【第1部「第2章 ものづくり人材の確保と育成」に関する取組と課題のポイント】(厚生労働省ホームページより抜粋)

 

第1節 労働生産性の向上に向けた人材育成の取組と課題

 

1 人材育成の取組の成果と労働生産性

 

・企業の意識調査では、ほとんどのものづくり企業が何らかの人材育成の取組を行っている。一方、人材育成の取組の成果があがっている企業(「成果あり企業」)と成果があがっていない企業(「成果なし企業」)は、ほぼ二分化しており、半数の企業が人材育成の「成果があがっていない」と考えている。3年前と比べて「生産性が向上した」、他社と比べて「生産性が高い」と回答した企業では、人材育成の「成果があがっている」と回答した企業の割合が高い。

 

人材育成の具体的な成果として、労働者個人の理解・知識の高まりや、作業スピードの向上といった「技術や技能の向上」だけでなく、社員同士の教え合いやチームワークの改善などの「組織力の向上」もみられる。「生産性が向上した」、「生産性が高い」とする企業においては、人材育成の成果が、社員一人ひとりや、組織全体としての生産性の向上により多くつながっているものと考えられる。

 

2 人材育成で成果があがっていると回答した企業の傾向

 

・ものづくり人材の特徴は「熟練技能者集団に近い」割合が高く、過去5年間の人材の定着率が「よくなった」の割合が高い。

 

・中長期的な視野を持ち計画的・段階的に人材育成を進めており、その方針が社内に浸透している割合が高い。

 

・人材育成の取組については、「現場の課題について解決策を検討させる」、「個々の従業員の教育訓練の計画の作成」、「身につけるべき知識や技能を示す」、「研修などのOFF-JTの実施」、「資格や技能検定等の取得奨励」、「技能伝承のための仕組み整備」といった取組を挙げる割合がより高い。

 

・自己啓発支援については、「受講料等の金銭的支援」、「資格等を取得した際の手当等の支給」の実施割合が高い。

 

・IT人材過不足状況については、人材育成の成果の有無による違いはみられないが、「成果あり企業」は自社でIT人材を育成する割合が高く、IT人材の育成の取組は「会社の指示による社外機関での研修・講習会への参加」の実施割合が高い。

 

3 人材育成における課題

 

・「若年ものづくり人材を十分に確保できない」が最も高いが、「成果なし企業」の方が、「指導する側の能力や意欲が不足している」、「育成ノウハウがない」、「指導する側の人材が不足している」を挙げる割合が高い。

 

 

2018.06.02.解決社労士

<外国人労働者問題啓発月間>

厚生労働省では、毎年6月を「外国人労働者問題啓発月間」と定めています。

今年は「外国人雇用はルールを守って適正に~外国人が能力を発揮できる適切な人事管理と就労環境を!~」を標語に、事業主団体などの協力のもと、労働条件などルールに則った外国人雇用や高度外国人材の就職促進について、事業主や国民を対象とした集中的な周知・啓発活動を行います。

 

<外国人と法令の適用>

労働基準法や最低賃金法、社会保険や労働保険に関する法律は、労働者の国籍とは関係なく、日本国内の事業所や現場で働く外国人にも適用されます。

日本人ではないことを理由に、年次有給休暇や産休・育休を取得させない、厚生年金や雇用保険に加入させない、労災の手続きをしないというのは明らかに違法です。

 

「外国人労働者問題啓発月間」概要 (厚生労働省ホームページより)

 

1 実施期間

   平成30年6月1日(金)から6月30日(土)までの1か月間

 

2 主な内容

 

(1)ポスター・パンフレット の作成・配布

 

厚生労働省が作成した「外国人労働者問題啓発月間」についてのポスターを、ハローワークなどに掲示します。また、パンフレットなどを関係機関や事業主団体を通じて事業主などへ配布します。

 

(2)事業主団体などを通じた周知・啓発、協力要請

 

厚生労働省、都道府県労働局、労働基準監督署、ハローワークは、事業主団体などに対し、外国人労働者問題に関する積極的な周知・啓発を行うよう協力要請を行います。特に、外国人の雇入れと離職の際にすべての事業主に義務付けている「外国人雇用状況」の届出がより徹底されるよう、事業主への周知に努めます。

 

(3)個々の事業主などに対する周知・啓発、指導

 

都道府県労働局、労働基準監督署、ハローワークは、事業主などに対し、あらゆる機会を利用して外国人の雇用・労働条件に関する取扱いの基本ルールについて情報提供や積極的な周知・啓発、指導を行います。

特にハローワークでは、「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」に基づき、事業所を訪問して雇用管理の改善指導を集中的に実施します。

 

(4) 技能実習生受入れ事業主などへの周知・啓発、指導

 

都道府県労働局、労働基準監督署、ハローワークは、技能実習制度に基づいて技能実習生を受け入れている事業主、事業主団体または監理団体に対し、技能実習生についても、外国人雇用の基本ルールの遵守が求められることや、労働基準法や最低賃金法などの労働関係法令 が適用されること について、外国人技能実習機構をはじめとする関係機関と連携を図りつつ、あらゆる機会を通じて周知・啓発、指導を行います 。

 

なお、法務省入国管理局作成の不法就労防止に関するリーフレットの配布を通じ、実習先から失踪した技能実習生が実習先以外で就労する場合を含め、入国管理局から認められた範囲を超えて就労するなどの不法就労活動をさせた事業主は、「出入国管理及び難民認定法」に違反することについても周知、啓発を行います。

 

また、不適切な解雇などの予防に関する周知・啓発および指導を行うほか、ハローワークでは、関係機関の協力などにより、適切な雇用管理を行っていない事例を把握した場合には、厳格に指導を行います。

 

さらに、労働基準監督署では、労働基準関係法令違反が疑われる技能実習生受入れ事業主に対して監督指導を実施するとともに、悪質な事業主に対しては、送検を行うなど厳正に対応します。また、 労働基準監督機関が出入国管理機関及び外国人技能実習機構との間にそれぞれ設けた相互通報制度の適切な運用に努める。特に、人権侵害が疑われる事案については、出入国管理機関及び外国人技能実習機構との合同監督・調査を行い、労働基準関係法令違反が認められ、かつ、悪質性が認められるものなどについては、積極的に送検を行います。

 

(5)各種会合における事業主などに対する周知・啓発などの実施

 

都道府県労働局、ハローワークは、この月間中に開催される外国人雇用管理セミナー、学卒の求人説明会など、事業主が集まる会合で外国人雇用対策に関する資料を配布し、周知・啓発に努めます。

 

(6)留学生をはじめとする「専門的・技術的分野」の外国人の就職支援の実施

 

東京・愛知・大阪に設置している「外国人雇用サービスセンター」と、北海道・宮城・埼玉・千葉・東京・神奈川・石川・愛知・三重・京都・大阪・兵庫・岡山・広島・福岡・長崎の「新卒応援ハローワーク」内に設置している留学生コーナーにおいて、それぞれの専門性をいかして留学生の就職支援を行っていることについて、周知します。

 

(7)労働条件等の相談窓口の周知

 

外国人労働者の方からの相談に的確に対応するため、「外国人労働者向け相談ダイヤル」などにおいて、6言語(英語、中国語、ポルトガル語、スペイン語、タガログ語、ベトナム語)により、労働条件等の相談を受け付けていることについて周知します。

 

2018.06.01.解決社労士

<障害者の職業紹介状況の概要>

平成30(2018)525日、厚生労働省から平成29(2017)年度の障害者の職業紹介状況が公表されました。

ハローワークを通じた障害者の就職件数は97,814件で、対前年度比4.9%の増となりました。

また、対前年比の就職件数では身体障害者が減少し、知的障害者・精神障害者は増加していますが、就職率は低下しています。

 

<数値データ>

・新規求職申込件数は202,143件で、対前年度比5.4%の増となり、また、就職件数は97,814件で、対前年度比4.9%の増となりました。

このうち、精神障害者の新規求職申込件数は93,701件で、対前年度比9.0%の増となり、また、就職件数は45,064 件で、対前年度比8.9%の増となりました。

・就職率(就職件数/新規求職申込件数)は48.4%で、対前年度差0.2 ポイントの減となりました。

・産業別の就職件数は、多い順に、「医療,福祉」(35,566 件、構成比36.4%)、「製造業」(13,595件、同13.9%)、「卸売業,小売業」(12,412件、同12.7%)、「サービス業」(10,288件、同10.5%)などとなりました。

・障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和35年法律第123号)第81条第1項の規定により、ハローワークに届出のあった障害者の解雇者数は、2,272人であった(平成28年度は1,335人)。

 

障害者雇用について、ハローワークの機能も強化されてきているようです。

障害者雇用をサポートする会社も多数ありますが、ハローワークの活用を忘れないようにしたいものです。

 

2018.05.31.解決社労士

<協定の発効>

平成30(2018)年525日に「社会保障に関する日本国とフィリピン共和国との間の協定(日・フィリピン社会保障協定)」(平成27(2015)1119日署名)の効力発生のための外交上の公文の交換が、マニラで行われました。

これにより、この協定は、平成30(2018)81日に効力が生じることになります。

 

<問題の解決>

現在、日本とフィリピン両国の企業等からそれぞれ相手国に一時的に派遣される従業員(被用者)等(企業駐在員など)には、日本とフィリピン両国で年金制度への加入が義務付けられているため、社会保険料の二重払いの問題が生じています。

この協定は、このような問題を解決することを目的としていて、この協定の規定により、派遣期間が5年以内の一時派遣被用者等は、原則として、派遣元国の年金制度にのみ加入することになります。

また、両国での保険期間を通算して、それぞれの国で年金受給権を得られることになります。

 

<交流の促進>

この協定が発効することにより、企業、駐在員等の負担が軽減され、日本とフィリピン両国の経済交流及び人的交流が一層促進されることが期待されます。

平成28(2016)10月現在、フィリピンで暮らす日本人は、永住者を除き11,770名です。このうち、民間企業関係者は6,253 名です。

 

<年金加入年齢>

フィリピンの年金制度では、強制加入が60歳未満の全ての被用者及び自営業者とされていいますが、フィリピン社会保障機構によれば、60歳以降も被用者又は自営業者として就労を継続する場合、その就労を終えるまで又は65歳までは保険料を支払うことが義務づけられています。

任意加入ではありませんので注意が必要です。

 

2018.05.30.解決社労士

<ノーワーク・ノーペイの原則>

「ノーワーク・ノーペイ」とは、「労働者の労務提供がなければ会社は賃金を支払わなくてよい」という原則のことです。

これを直接規定した法令はありませんが、労働契約法には次の規定があります。

 

(労働契約の成立)

第六条 労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。

 

つまり、労働者の労働に対して使用者が賃金を支払う約束だということです。

裏を返せば、労働者が労働しなければ使用者に賃金支払い義務は無いのです。

もちろん、使用者側に何か落ち度があれば、賃金の全額または一部の支払義務が生ずることはあります。

 

それでも、電車の遅れに対して、一般には使用者側に落ち度が無いので、やはり賃金の支払い義務は無いのです。

つまり、電車が遅れて勤務できなかった時間の賃金について、会社が欠勤控除をせず、全額支払うというのは、法令によるものではなく、会社の恩恵的な取扱いだということになります。

ただ、電車の遅れによる遅刻について欠勤控除をしない会社の比率は高いですから、欠勤控除をするルールの会社では社員の不満が生じやすいでしょう。

 

<証明を求める会社>

遅刻の報告書に遅延証明書を添えれば、証明された遅延時間の範囲内で、欠勤控除をしないというルールの会社が多数派でしょう。

遅延証明書は、多くの鉄道会社でネット交付のサービスがありますから、ずいぶんお手軽になってきました。

 

<証明を求めない会社>

遅延証明書が無くても、本人が申し出れば欠勤控除をしないというルールの会社もあります。

改札口で遅延証明書をもらうための列に並ぶよりは、1分でも早く業務を開始してもらった方が、会社にとって得かもしれません。

また電車遅延の情報は、ネットで容易に得られるようになりましたから、社員のひとり一人から遅延証明書をもらうよりも、人事部門で一括して情報を把握し処理した方が、人件費の節減になります。

 

<問題社員のケース>

欠勤控除をしない会社の場合、次のような不正行為がありえます。

本当は寝坊してタクシーで駆けつけたのに、ネットで検索して、たまたま電車の遅延情報を見つけたから、遅延証明書をダウンロードして使用するということはありえます。

大雪などで、早朝から電車の大幅遅延が見込まれているのに、いつも通りの時刻に自宅を出発し、遅延証明書の範囲で賃金が得られるなら良しとする社員もいます。

このあたりは、教育研修や人事考課の適正な運用で対応すべきことでしょう。

 

<鉄道会社の賠償義務>

さて、電車の遅れによって賃金が減ったら、社員は減った分の賃金を損害として鉄道会社に請求できるのでしょうか。

直感的に無理だというのはわかります。

鉄道会社と乗客との間には旅客運送契約があります。読んだことがなくても有効なのは、電気会社やガス会社などとの契約と同様です。

この旅客運送契約に関して、各鉄道会社は営業規則を定めていて、鉄道会社は運行不能や2時間以上の遅延の場合などに料金の払い戻しはするものの、それ以上の損害等について責任を負わないことになっています。

 

2018.05.29.解決社労士

<労働条件の決定>

労働条件の決定は、労働者と使用者が対等の立場で決めるべきものだとされています。

このことは、労働基準法21項に次のように定められています。

 

(労働条件の決定)

第二条  労働条件は、労働者と使用者が、対等の立場において決定すべきものである。

 

本来は対等なのでしょうけれども、少子化によって労働者が不足している現状では、労働者側が優位に立っているようにも思われます。

また、入社後は会社に対する貢献度に応じて、優位に立つ労働者と、弱い立場の労働者に分かれてくるでしょう。

 

いずれにせよ、労働者と使用者が対等の立場で話し合い、制服代やそのクリーニング代、筆記用具などについて労働者の負担とすることは、そのような内容の労働契約になるのであって、法令の規定に触れることはありません。

 

<労働条件の明示>

とはいえ、制服代や備品代の負担も労働条件の一つです。

労働条件を口頭で説明されただけでは不明確ですから、主なものは文書にして労働者に交付することが使用者に求められています。

そこで、労働基準法は労働条件の明示について、次のように規定しています。

 

(労働条件の明示)

第十五条  使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

 

明示すべき事項は労働基準法施行規則第5条第1項に規定されています。

次に示すのがその内容ですが、制服代や備品の負担は、(8)労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項 に含まれます。

労働者に対して制服代や備品の負担について明示しないまま雇い入れてしまったなら、これらを負担させることは労働条件の明示義務違反になります。

 

(1)労働契約の期間に関する事項 (2)就業の場所及び従業すべき業務に関する事項 (3)始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて就業させる場合における就業時点転換に関する事項 (4)賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く。)の決定、計算及び支払いの方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項 (5)退職に関する事項(解雇の事由を含む。) (6)退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払いの方法並びに退職手当の支払いの時期に関する事項 (7)臨時に支払われる賃金(退職手当を除く。)、賞与及びこれらに準ずる賃金並びに最低賃金額に関する事項 (8)労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項 (9)安全及び衛生に関する事項 (10)職業訓練に関する事項 (11)災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項 (12)表彰及び制裁に関する事項 (13)休職に関する事項

 

<就業規則の項目にも>

「労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項」が就業規則に規定する事項として法定されています。〔労働基準法895号〕

「負担をさせる定めをする場合」には、就業規則に規定を置かなければなりませんし、定めをしない場合には、就業規則に規定を置きようがありません。

就業規則に規定が無いにもかかわらず、うっかり労働者に負担させてしまうと、労働基準法違反になってしまいます。

 

労働者の負担になることは、法令で規制されている可能性を考えて、社会保険労務士などの専門家に確認してから行うようにすることをお勧めします。

 

2018.05.28.解決社労士

<パワハラの定義からすると>

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係など「職場内での優位性」を背景に、「業務の適正な範囲」を超えて、精神的・身体的苦痛を与え、または、職場環境を悪化させる行為をいいます。これが厚生労働省による説明です。

これによると、パワハラを行う者が、直接被害者に働きかけることは条件に含まれていません。

厚生労働省が公表しているモデル就業規則の最新版(平成30(2018)年1月版)では、次のように規定されています。

 

(職場のパワーハラスメントの禁止)

第12条  職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景にした、業務の適正な範囲を超える言動により、他の労働者に精神的・身体的な苦痛を与えたり、就業環境を害するようなことをしてはならない。

 

これらのことからすると、直接被害者に向けられた行為でなくてもパワハラとなりうることが分かります。

 

<パワハラの構造からすると>

パワハラは、次の2つが一体となって同時に行われるものです。

・業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛など

・業務上不要な人権侵害行為(犯罪行為、不法行為)

行為者は、パワハラをしてやろうと思っているわけではなく、会社の意向を受けて行った注意指導などが、無用な人権侵害を伴っているわけです。

こうして見ると、ただ単に陰口を叩くような場合、業務上必要の無い雑談の中で悪口を言っているに過ぎない場合には、パワハラには該当しないといえそうです。

 

<業務上不要な人権侵害行為>

パワハラで問題となる「業務上不要な人権侵害行為」には、次のようなものがあります。

・犯罪行為 = 暴行、傷害、脅迫、名誉棄損、侮辱、業務妨害など

・不法行為 = 暴言、不要なことや不可能なことの強制、隔離、仲間はずれ、無視、能力や経験に見合わない低レベルの仕事を命じる、仕事を与えない、私的なことに過度に立ち入るなど

これらの人権侵害行為は、業務と無関係に行われれば、パワハラの定義にはあてはまらなくても、国家により刑罰を科され、被害者から損害賠償を請求されることがあります。

 

<悪口を言うと成立しうる犯罪>

名誉棄損罪〔刑法230条〕は、公然と事実を摘示して名誉を毀損することで成立します。「適示」というのは、あばくこと、示すことです。示した事実は、原則として、真実であっても嘘であってもかまいません。しかし、「公然と適示」するのが条件ですから、他の人には知られないように、直接の相手だけに事実を適示した場合には成立しません。また、「事実を適示」しないで名誉を棄損すると侮辱罪〔刑法231条〕となります。

結局、本人がいない所で悪口を言うのは、パワハラにならなくても犯罪になりうるということです。

 

2018.05.27.解決社労士

<年次有給休暇は事前の請求が原則>

労働者が年次有給休暇を取得するときには、休む日を指定します。これが、労働者の時季指定権の行使です。〔労働基準法395項本文〕

休む日を指定して取得するということは、事前に請求するということになります。

そして、事業の正常な運営を妨げる場合には、会社は労働者に対して、休む日を変更するように請求できます。つまり、会社は時季変更権を行使することができます。〔労働基準法395項但書〕

労働者が会社の時季変更権を侵害しないようにするためにも、年次有給休暇の取得は事前請求が原則です。

しかし、会社側は時季指定権を持っていませんから、休む日を勝手に決めることはできません。ただし労使の合意によって、次の「計画的付与制度」を使うことはできます。

 

<計画的付与制度>

年次有給休暇の付与日数のうち、5日分を除いた残りの日数については、労使協定を結べば、計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度です。

この制度を導入している企業は、導入していない企業よりも年次有給休暇の平均取得率が7.5% 高くなっているという統計もあります。(「就労条件総合調査」による平成27年の統計)

この制度を導入することによって年次有給休暇が取りやすくなると考えられます。

 

<実際の対応>

給与明細書を見てみたら、勝手に年次有給休暇を取得した扱いになっていたという場合、労働者が異議を申し出なければ、事後的な合意で年次有給休暇が取得されたものと考えて良いでしょう。

しかし、年次有給休暇は別の機会に取得する予定であったとか、何か必要が発生したときのために残しておきたかったとか、労働者の意思に反する場合には、労働者から会社に対して「間違い」の是正を求めることができます。実際に、給与処理上のミスだったということもありえます。

この場合には、年次有給休暇の残日数が減らなかったことになり、年次有給休暇を取得した扱いによって過剰に計算された賃金は、労働者から会社に返金することになります。

 

<働き方改革との関係で>

仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)のためには、労働時間の削減や休日数の増加、年次有給休暇の取得など、従業員の健康と生活に配慮し、多様な働き方に対応したものへ改善することが重要です。

会社が労働者に対して一方的に年次有給休暇を取得させるというのは、年次有給休暇の取得促進にはなるものの、法的に認められることではありません。

また、何の予告も無く行われれば、労働者の会社に対する不信感も強まります。

内容は同じであっても、労使で話し合って決めていけば、従業員満足度が高まり、定着率は上がるし、会社の評判も向上するでしょう。

 

2018.05.26.解決社労士

<年次有給休暇は事前の請求が原則>

労働者が年次有給休暇を取得するときには、休む日を指定します。これが、労働者の時季指定権の行使です。〔労働基準法395項本文〕

休む日を指定して取得するということは、事前に請求するということになります。

そして、事業の正常な運営を妨げる場合には、会社は労働者に対して、休む日を変更するように請求できます。つまり、会社は時季変更権を行使することができます。〔労働基準法395項但書〕

労働者が会社の時季変更権を侵害しないようにするためにも、年次有給休暇の取得は事前請求が原則です。

 

<恩恵としての年次有給休暇への振り替え>

例外的に、事後の申請により私傷病欠勤を年次有給休暇に振り替える規定を就業規則に置いている会社もあります。

これは、労働基準法の定めを上回る権利を労働者に認める規定ですから、このような規定を置く/置かないは会社の自由です。

そして、どのような手続きによって振り替えを認めるか、また会社の承認を必要とするかしないかも、会社の判断で自由に定めることができます。

 

<申請だけで振り替えができる規定の場合>

労働者が所定の用紙に必要事項を記入して会社に提出すれば、欠勤を年次有給休暇に振り替えることができるという規定ならば、花粉症であれ腹痛であれ、それなりの理由があれば振り替えることができてしまいます。

会社としては、無断で年次有給休暇を使われたという印象を受けるかもしれません。

しかし、就業規則の規定に従って年次有給休暇の振り替えを行った以上、会社がこれを否定したり、非難したり、マイナスに評価するということはできません。

 

<会社の承認を得て振り替えができる規定の場合>

私傷病欠勤が、やむを得ない欠勤であると認められる場合に限り、年次有給休暇に振り替えることができるという規定にしておけば、インフルエンザや急性胃腸炎を理由に上司の承認を得て振り替えが認められるし、花粉症や単なる腹痛であれば、勤務不能とまではいえない欠勤なので、年次有給休暇に振り替えることはできないという運用が可能です。

 

<嘆いたり批判するのではなく>

就業規則の規定に従って、労働者が無断で年次有給休暇を取得してしまったと嘆いたり批判したりではなく、就業規則の不備を反省すべきです。

就業規則の規定は、労働契約の内容となります。

会社が就業規則に定めたことは、会社の労働者に対する約束になります。

想定外の運用をされてしまったと嘆く前に、社会保険労務士などの専門家のアドバイスを受けたうえで、就業規則の具体的な内容を決定してはいかがでしょうか。

 

2018.05.25.解決社労士

<転倒災害の現状>

労働災害のうち、休業4日以上の死傷災害の中で最も件数が多いのは転倒災害です。実に全体の4分の1を占めています。

 

<滑って転ぶ危険の解消>

床にこぼれた液体で滑って転倒する場合があります。

床に水や油などがこぼれていたらすぐに拭き取れる道具を常備しておき、実際にすぐに拭き取るルールにしておく必要があります。

また、どうしても水や油などのたまりやすい場所には、マットを敷くなどして危険の発生を未然に防ぎましょう。

もちろん、自分でこぼした水は自分で拭くなどは常識として徹底しましょう。どうせ後で清掃業者が来るからと放置しておくと、危険が増してしまいます。

 

<つまずいて転ぶ危険の解消>

床の上に置いたものやコード類につまずく危険も大きいものです。

一時的にせよ、床の上に物品を置くことは危険です。人事異動に伴う席替えの際は、ほんの短時間という気の緩みから、書籍やファイルを床の上に置いてしまうことがあります。普段は無い物が床の上にあると、これにつまずいて転倒する危険は想定外に大きいものです。

また、コード類は通路を横断しないように配線するのが基本です。

レイアウトの変更に伴い配線を変えられるよう、コード類を床の下に置くフリーアクセスにしておけば安全です。

これができない場合には、モールというカバーをコードの上に設置することがお勧めです。

ただ、このモールは蹴飛ばされているうちに外れたり破損したりしますから、予備の部材を置いておき、適宜補修することをお勧めします。

 

<階段で転ぶ危険の解消>

階段で足を踏み外して転ぶことがあります。

この場合、打撲や骨折、場合によっては死亡事故になることもあります。

予防には、物理的な対策と安全のためのルール順守が有効です。

・急勾配の階段は設置を避ける

・滑り止めを設ける

・手すりを設ける

・十分な照明を設置する

・昇降する際は手すりを使用する

・必ず片手は空けておく

・ポケットに手を入れない

 

<凍結した水たまりや雪で転ぶ危険の解消>

冬になると、凍結した路面での転倒が多発します。時間帯は朝に集中します。

凍結する場所や雪が積もる通路は特定できますので、その部分に重点的に対策を施すのが効果的です。

・凍結しやすい路面に凍結防止用の砂を撒く

・凍結しやすい出入口には凍結防止のマット類を敷く

・滑りやすい靴の使用を避ける

・必ず片手は空けておく

・ポケットに手を入れない

・危険な場所を歩行する際は、小さな歩幅で、靴の裏全体を着け、急がずにゆっくりと歩行する

・万一に備えて手袋を着用する

 

ちょっとした経費と手間で、戦力ダウンを防ぎ、安心して働ける職場環境にしましょう。

 

2018.05.24.解決社労士

<犯罪による被害>

犯罪には侵害される「利益」があり、刑法などはその「利益」を守るために刑罰を規定しています。この「利益」は、保護法益などと呼ばれています。

しかし、犯罪によって侵害される利益は、法令によって保護が予定されている利益にとどまりません。

たとえば、窃盗罪の被害者は財産上の利益を奪われるだけでなく、盗まれたものに対する愛着心や、被害に遭ったショックなどにより、精神的な被害も受けています。

 

<二次被害>

このように犯罪の被害者は、二次被害を受けています。

犯罪の被害者となったことによる精神的ショックや身体の不調、医療費の負担や失業による経済的損失、捜査協力や裁判に関わることによる精神面や時間の負担、うわさ話などによる精神的な被害など、その範囲は広範に及びます。

こうしたことにより、欠勤が発生したり、仕事の能率が低下することは、容易に想定されるのですが、こうした不利益から社員を守れるのは会社しかありません。

 

<犯罪被害者休暇の必要性>

犯罪被害者の方々が仕事を続けられるようにするため、被害回復のための休暇制度の導入が求められます。

年次有給休暇の取得だけでは日数が足りないかもしれませんし、入社後半年未満などで年次有給休暇が無い社員は欠勤になってしまいます。

実際に出勤できなくなる事情としては、警察への届出、事情聴取、証拠提出、病院での受診、弁護士との相談・打合せ、裁判への出廷・傍聴などがあります。特に裁判となると、年に10回以上法廷が開かれるなど、被害者の負担は大きいものです。

なにより、本人に責任の無いことで、たまたま犯罪の被害者となり、勤務が困難となったことにより、会社が貴重な人材を失うというのは避けなければなりません。

会社に犯罪被害者休暇の制度を設けて、こうした事態を防ぎましょう。

 

<就業規則の規定例>

(犯罪被害者休暇)

第●条 会社は、犯罪の被害を受けた従業員の心身の回復を図り、早期に通常の業務に専念できるようにすることを目的として、  日を限度に有給の休暇を与える。

2 前項の休暇は、従業員が次の理由により止むを得ず勤務できない場合に、これを与えるものとする。

・犯罪の被害を受けたことによる心身の治療のための通院

・犯罪被害者としての警察からの事情聴取、裁判への出廷・傍聴

 

上記の例では「有給の休暇」としていますが、無給とする場合であっても、年次有給休暇を付与する場合の出勤率の計算にあたって出勤扱いにするとか、人事考課にあたって欠勤扱いにしないとか、退職金の計算にあたって勤続期間から控除されないなどの利益がありますから、決して無意味ではありません。

 

2018.05.23.解決社労士

<会社のパワハラ対策>

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係など「職場内での優位性」を背景に、「業務の適正な範囲」を超えて、精神的・身体的苦痛を与え、または、職場環境を悪化させる行為をいいます。

会社は、就業規則にパワハラの禁止規定と懲戒規定を置き、パワハラ防止対策のための社員教育を行う義務を負っています。これは、労働契約上の雇い主としての義務です。

こうした義務を果たさない会社で勤務する管理職は、パワハラの加害者とされ被害者や遺族から訴えられる危険にさらされています。

部下が「上司のパワハラに絶望しました」といった遺書を残して自殺を図るようなことがあれば、何がパワハラに該当するのか教育研修が行われていない会社では、事実の確認も無いままパワハラの責任を取らされることになりかねません。

不幸にしてこうした会社で働いている管理職は、自分の身を守るため、最低限、以下のことを頭に入れておきましょう。

 

<パワハラの構造>

パワハラは、次の2つが一体となって同時に行われるものです。

・業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛など

・業務上不要な人権侵害行為(犯罪行為、不法行為)

行為者は、パワハラをしてやろうと思っているわけではありません。

会社の意向を受けて行った叱責、指導、注意、教育、激励、称賛などは、業務上必要な行為です。行為者の意識としては、これらの行為を熱心に行った結果、パワハラ呼ばわりされたということになりがちです。

しかし、パワハラが問題なのは、必要の無い人権侵害を伴っているからです。

 

<パワハラで問題となる人権侵害行為>

業務上必要な行為と同時に行われる「業務上不要な人権侵害行為」には、次のようなものがあります。

・犯罪行為 = 暴行、傷害、脅迫、名誉棄損、侮辱、業務妨害など

・不法行為 = 暴言、不要なことや不可能なことの強制、隔離、仲間はずれ、無視、能力や経験に見合わない低レベルの仕事を命じる、仕事を与えない、私的なことに過度に立ち入るなど

 

<典型的な犯罪行為>

暴行罪〔刑法208条〕の「暴行」とは、人の身体に向けられた有形力の行使をいいます。有形力とは物理的な力のことで、たとえば石を投げつければ当たらなくても暴行になります。服を引っ張る、近くで刀を振り回す、耳元で大きな音を立てるというのも暴行です。

傷害罪〔刑法204条〕の「傷害」とは、ケガをさせることです。ケガをさせる意図が無く暴行を行った結果、ケガをさせてしまった場合でも傷害罪になります。頭を叩こうとしたところ、相手が避けようとして転び腰を傷めた場合にも、頭を叩くという暴行の故意があった以上、傷害罪になってしまいます。

脅迫罪〔刑法222条〕は、相手や親族の生命、身体、自由、名誉または財産に対し害を加える旨を告知して脅迫すると成立します。口頭でも、文書でも、メールでも、あるいは態度でも脅迫になりますし、相手が実際に怖がらなくても成立します。

名誉棄損罪〔刑法230条〕は、公然と事実を摘示して名誉を毀損することで成立します。「適示」というのは、あばくこと、示すことです。示した事実は、原則として、真実であっても嘘であってもかまいません。しかし、「公然と適示」するのが条件ですから、他の人には知られないように、直接の相手だけに事実を適示した場合には成立しません。また、「事実を適示」しないで名誉を棄損すると侮辱罪〔刑法231条〕となります。

 

<典型的な不法行為>

上記のような犯罪行為に対しては、国家により刑罰として懲役刑や罰金刑が科されうるのですが、同時に不法行為でもありますから、被害者に対しては損害賠償の責任を負います。両者は別物ですから、どちらか片方だけで済むというものではありません。

暴言、隔離、仲間はずれ、無視、能力や経験に見合わない低レベルの仕事を命じる、仕事を与えない、私的なことに過度に立ち入るなどの程度が軽くて、名誉棄損罪などの犯罪が成立しない場合には、一般に不法行為のみが成立します。

不要なことや不可能なことの強制が強要罪や業務妨害罪にはあたらない程度の場合にも、一般に不法行為のみが成立します。

つまり、人権侵害行為ではあっても犯罪が成立しない場合には、不法行為のみが成立しうるということです。

 

<身を守るだけではない知識>

パワハラ行為とされ、犯罪者になったり損害賠償を求められたりするのはどのような行為なのか、正しい知識を身に着けることは、自分の身を守るのに必要なことです。

しかし、それだけではなく、自信をもって業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛などを行えるようになるのですから、管理職としての指導力を最大限に発揮できるようになるというメリットもあります。

 

2018.05.22.解決社労士

<トップからの情報発信>

トップから、長時間労働の削減や休暇の取得促進など働き方改革の推進について、明確な情報発信を定期的に行う必要があります。

働き方改革は、管理職が中心となって推進しなければ進みません。ところが、管理職の中に「労働時間の削減や休暇の増加で業務が滞るのではないか。その場合には、自分が責任を問われたり、負担が増えたりするのではないか」という疑念があったのでは、消極的にならざるを得ません。

トップが、会社の経営課題の一つとして働き方改革を掲げ、朝礼、社内報、電子掲示板など、あらゆるチャネルを活用して発信する必要があります。

また1回だけ発信しても、時間が経てば、社員の中に「まだトップはその気になっているのだろうか。気が変わっていないだろうか」と不安になります。

このことから、情報発信は繰り返し定期的に行わなければなりません。

 

<経営幹部からの情報発信>

トップが働き方改革の推進に向けたメッセージを繰り返し発信していても、役員など経営幹部の意識が変わらなければ、社内に浸透しません。

経営幹部が、中期経営計画など全社の経営計画を策定する時に、トップからの情報発信を受けての内容を盛り込み、目標を数値化したうえで全社員に発信する必要があります。

トップの立場からすると、経営幹部にこうした情報発信をさせることで、自ら推進することに対する責任を負わせるということになります。

 

<社外に向けた情報発信>

所定外労働の削減や年次有給休暇の取得増加によって、お取引先やお客様など社外にも影響が出てきます。

こうした影響の原因が働き方改革の推進にあること、働き方改革にどのようなメリットを期待して推進するのかを社外にも示す必要があります。

お取引先に対しては、人手不足・採用難が続いている環境下にありますから、有能な人材の確保ということが、最も説得力を帯びてくるでしょう。

また、お客様に対しては、社員の生活を大切にしたいという思いをアピールすることができます。

働き方改革は、多くの企業が同時に推進し、社会全体で盛り上げなければなりません。

社外に向けた情報発信は、企業の社会的責任を果たすうえでも必要なものです。

 

2018.05.21.解決社労士

<発覚するということは>

飲み会のお誘いメールが送られた事実は、受信した相手なら確実に知ることができます。この社員が第三者に話し、上司や人事部門などに伝われば問題視されることもあるでしょう。

これとは別に、ネット管理者など権限のある社員がチェックしたことにより発覚した場合には、プライバシーの侵害となるのではないかが問題となります。

会社のパソコンがどのように使用されているかを、会社側が把握することは、完全に会社の自由というわけではありません。

特に、メールの内容については、就業規則の規定・周知、監視の必要性、手段の相当性が調っていないと、プライバシーの侵害とされることがあります。

 

<モニタリング規定>

勤務時間中は、労働者は使用者の指揮命令下に置かれています。これを使用者の側から見れば、労働者の業務を監視するという関係にあります。ですから、本来、会社は使用者を通じて、端末内のデータを確認する権限をもっているわけです。

とはいえ、会社が端末内のデータを確認するとまでは思っていない労働者が、端末内にプライベートなデータを残すかもしれません。この場合に、会社に権限があるということで、プライバシーをあばいてしまったら、会社の方が責任を問われることがあります。

そうならないように、就業規則には、会社が端末内のデータを閲覧できる旨を規定し、きちんと周知しておきましょう。

ここでの周知は、就業規則の有効要件としての周知ではなくて、その内容の説明までしておくことが必要と考えられます。

 

<監視の必要性>

監視の必要性では、例えば、メールの私的利用の防止、個人情報や機密情報漏洩の防止、漏洩原因の追及、ウイルス調査などは許されます。

また、これとは別に懲戒処分の対象となりうる行為の証拠が、メールなどに残っている可能性が高い場合には、調査の対象となりえます。

しかし、権限を持っている社員が個人的な好奇心で監視を行えば、この要件は満たされません。

 

<手段の相当性>

手段の相当性では、事前に社員の電子メールを監督等することがあり得るということが周知されていたかということや、件名や送信先を確認すれば足りるのに本文まで閲覧していないかということ、上司やネットワーク管理者などではない無関係な人が閲覧をしていないか、というようなことが問題になります。

 

<懲戒処分の対象とするか>

たとえ懲戒処分の条件をすべて満たしたとしても、会社に与えた損害は軽微ですし、その程度は厳重注意まででしょう。

懲戒処分をするため、これに関わる社員たちの人件費や精神的な負担を考えれば、懲戒ではなく上司からの注意で済ませた方が良さそうです。

また、プライベートなメールを送るのに必要な時間もわずかですから、欠勤控除をするというのも現実的ではありません。

 

<防止策は?>

会社の貸与するパソコンは、会社の所有物であり業務のみに使うものであるという、当たり前のことを繰り返し教育しましょう。

これだけの研修を行うというのではなく、就業規則についての研修会を実施してはいかがでしょうか。

また、会社の備品を私的なことに使ったり、業務効率が低下している点については、人事考課制度の適正な運用によって防止することができます。

懲戒を考える前に、まず教育と人事考課の適正化を考えましょう。

 

2018.05.20.解決社労士

<両者の定義>

「配置転換」と「人事異動」は、法令によって明確な定義付けがされていません。

そのため、「配置転換」「人事異動」の意味については、会社ごとに解釈が分かれています。

とはいえ、会社の就業規則に「配置転換」と「人事異動」の両方の用語があり、異同について疑義が発生した場合や、これから就業規則に規定を置くにあたって一般的な意味を確認しておきたい場合には、以下を参考にしてください。

 

<配置転換>

配置転換とは、従業員の担当職務や勤務地などを変更することを指します。

配置転換は大きく分けると、企業内の配置転換と企業間の配置転換の2つです。

企業内の配置転換には、昇進・昇格、職種変更、勤務地変更などがあります。営業所・店舗など複数の事業所間にまたがる配置転換を特に転勤と呼びます。

狭義の配置転換は、この企業内の配置転換のみを指します。

一方、企業間の配置転換には、子会社や関連会社への転籍、出向などがあります。

広義の配置転換には、企業内の配置転換と企業間の配置転換の両方が含まれます。

 

<人事異動>

人事異動とは、従業員が企業の命令によって、配置・地位や勤務状態などが変更されること全般を指します。

人事異動は、配置転換よりも広い概念で、配置転換のすべてを含む意味に使われることが多い用語です。

 

<就業規則の規定>

このように解釈が分かれる用語については、就業規則の中に定義規定を置いて、トラブルの発生を予防することが必要です。

 

2018.05.19.解決社労士

今から10年以上も前、平成192007)年1218日に、関係閣僚、経済界・労働界・地方公共団体の代表等からなる「官民トップ会議」で、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章」が策定されました。

改めて読み返してみると、政府が推進してきたことの意図、これからさらに強化していく政策が読み取れます。

政府の方針に逆らった経営は、どの企業にとっても得策ではありません。

今一度、この内容を確認してみてはいかがでしょうか。

 

 

仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)憲章

 

我が国の社会は、人々の働き方に関する意識や環境が社会経済構造の変化に必ずしも適応しきれず、仕事と生活が両立しにくい現実に直面している。

 

誰もがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たす一方で、子育て・介護の時間や、家庭、地域、自己啓発等にかかる個人の時間を持てる健康で豊かな生活ができるよう、今こそ、社会全体で仕事と生活の双方の調和の実現を希求していかなければならない。

 

仕事と生活の調和と経済成長は車の両輪であり、若者が経済的に自立し、性や年齢などに関わらず誰もが意欲と能力を発揮して労働市場に参加することは、我が国の活力と成長力を高め、ひいては、少子化の流れを変え、持続可能な社会の実現にも資することとなる。

 

そのような社会の実現に向けて、国民一人ひとりが積極的に取り組めるよう、ここに、仕事と生活の調和の必要性、目指すべき社会の姿を示し、新たな決意の下、官民一体となって取り組んでいくため、政労使の合意により本憲章を策定する。

 

仕事は、暮らしを支え、生きがいや喜びをもたらす。同時に、家事・育児、近隣との付き合いなどの生活も暮らしには欠かすことはできないものであり、その充実があってこそ、人生の生きがい、喜びは倍増する。

 

しかし、現実の社会には、

•安定した仕事に就けず、経済的に自立することができない、

•仕事に追われ、心身の疲労から健康を害しかねない、

•仕事と子育てや老親の介護との両立に悩む

など仕事と生活の間で問題を抱える人が多く見られる。

 

その背景としては、国内外における企業間競争の激化、長期的な経済の低迷や産業構造の変化により、生活の不安を抱える正社員以外の労働者が大幅に増加する一方で、正社員の労働時間は高止まりしたままであることが挙げられる。他方、利益の低迷や生産性向上が困難などの理由から、働き方の見直しに取り組むことが難しい企業も存在する。

 

さらに、人々の生き方も変化している。かつては夫が働き、妻が専業主婦として家庭や地域で役割を担うという姿が一般的であり、現在の働き方は、このような世帯の姿を前提としたものが多く残っている。

 

しかしながら、今日では、女性の社会参加等が進み、勤労者世帯の過半数が、共働き世帯になる等人々の生き方が多様化している一方で働き方や子育て支援などの社会的基盤は必ずしもこうした変化に対応したものとなっていない。また、職場や家庭、地域では、男女の固定的な役割分担意識が残っている。

 

このような社会では、結婚や子育てに関する人々の希望が実現しにくいものになるとともに、「家族との時間」や「地域で過ごす時間」を持つことも難しくなっている。こうした個人、家族、地域が抱える諸問題が少子化の大きな要因の1つであり、それが人口減少にも繋がっているといえる。

 

また、人口減少時代にあっては、社会全体として女性や高齢者の就業参加が不可欠であるが、働き方や生き方の選択肢が限られている現状では、多様な人材を活かすことができない。

 

一方で働く人々においても、様々な職業経験を通して積極的に自らの職業能力を向上させようとする人や、仕事と生活の双方を充実させようとする人、地域活動への参加等をより重視する人などもおり、多様な働き方が模索されている。

 

また、仕事と生活の調和に向けた取組を通じて、「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」の実現に取り組み、職業能力開発や人材育成、公正な処遇の確保など雇用の質の向上につなげることが求められている。ディーセント・ワークの推進は、就業を促進し、自立支援につなげるという観点からも必要である。

 

加えて、労働者の健康を確保し、安心して働くことのできる職場環境を実現するために、長時間労働の抑制、年次有給休暇の取得促進、メンタルヘルス対策等に取り組むことが重要である。

 

いま、我々に求められているのは、国民一人ひとりの仕事と生活を調和させたいという願いを実現するとともに、少子化の流れを変え、人口減少下でも多様な人材が仕事に就けるようにし、我が国の社会を持続可能で確かなものとする取組である。

 

働き方や生き方に関するこれまでの考え方や制度の改革に挑戦し、個々人の生き方や子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な働き方の選択を可能とする仕事と生活の調和を実現しなければならない。

 

個人の持つ時間は有限である。仕事と生活の調和の実現は、個人の時間の価値を高め、安心と希望を実現できる社会づくりに寄与するものであり、「新しい公共」の活動等への参加機会の拡大などを通じて地域社会の活性化にもつながるものである。また、就業期から地域活動への参加など活動の場を広げることは、生涯を通じた人や地域とのつながりを得る機会となる。

 

(「新しい公共」とは、行政だけでなく、市民やNPO、企業などが積極的に公共的な財・サービスの提供主体となり、教育や子育て、まちづくり、介護や福祉などの身近な分野で活躍することを表現するもの。)

 

仕事と生活の調和の実現に向けた取組は、人口減少時代において、企業の活力や競争力の源泉である有能な人材の確保・育成・定着の可能性を高めるものである。とりわけ現状でも人材確保が困難な中小企業において、その取組の利点は大きく、これを契機とした業務の見直し等により生産性向上につなげることも可能である。こうした取組は、企業にとって「コスト」としてではなく、「明日への投資」として積極的にとらえるべきである。

 

以上のような共通認識のもと、仕事と生活の調和の実現に官民一体となって取り組んでいくこととする。

 

1 仕事と生活の調和が実現した社会とは、「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」である。

具体的には、以下のような社会を目指すべきである。

 

1. 就労による経済的自立が可能な社会

 経済的自立を必要とする者とりわけ若者がいきいきと働くことができ、かつ、経済的に自立可能な働き方ができ、結婚や子育てに関する希望の実現などに向けて、暮らしの経済的基盤が確保できる。

 

2. 健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会

 働く人々の健康が保持され、家族・友人などとの充実した時間、自己啓発や地域活動への参加のための時間などを持てる豊かな生活ができる。

 

3. 多様な働き方・生き方が選択できる社会

 性や年齢などにかかわらず、誰もが自らの意欲と能力を持って様々な働き方や生き方に挑戦できる機会が提供されており、子育てや親の介護が必要な時期など個人の置かれた状況に応じて多様で柔軟な働き方が選択でき、しかも公正な処遇が確保されている。

 

2 このような社会の実現のためには、まず労使を始め国民が積極的に取り組むことはもとより、国や地方公共団体が支援することが重要である。既に仕事と生活の調和の促進に積極的に取り組む企業もあり、今後はそうした企業における取組をさらに進め、社会全体の運動として広げていく必要がある。

 

そのための主な関係者の役割は以下のとおりである。また、各主体の具体的取組については別途、「仕事と生活の調和推進のための行動指針」で定めることとする。

 

取組を進めるに当たっては、女性の職域の固定化につながることのないように、仕事と生活の両立支援と男性の子育てや介護への関わりの促進・女性の能力発揮の促進とを併せて進めることが必要である。

 

(1)企業とそこで働く者は、協調して生産性の向上に努めつつ、職場の意識や職場風土の改革とあわせ働き方の改革に自主的に取り組む。

 

(2)国民の一人ひとりが自らの仕事と生活の調和の在り方を考え、家庭や地域の中で積極的な役割を果たす。また、消費者として、求めようとするサービスの背後にある働き方に配慮する。

 

(3)国民全体の仕事と生活の調和の実現は、我が国社会を持続可能で確かなものとする上で不可欠であることから、国は、国民運動を通じた気運の醸成、制度的枠組みの構築や環境整備などの促進・支援策に積極的に取り組む。

 

(4)仕事と生活の調和の現状や必要性は地域によって異なることから、その推進に際しては、地方公共団体が自らの創意工夫のもとに、地域の実情に応じた展開を図る。

 

 

2018.05.18.解決社労士

ハローワークは、刑務所出所者等に職業相談や職業紹介等を行う「刑務所出所者等就労支援事業」を行っています。

厚生労働省は、平成30(2018)515日に報告書を取りまとめ公表しました。

 

<支援の理由>

現実的な問題として、無職の出所者が再び罪を犯しやすい、つまり再犯率が高いということがあります。

このことからハローワークでは、出所者の就労を通じた生活の基盤づくりを進めるとともに、安心して暮らせる社会の実現に取り組んでいます。

 

<ハローワークの主な取組例>

・出所直後から就労と住居を確保できる寮のある事業所を紹介

・刑務所入所歴を開示し、更生の意欲を伝え対象者と事業所の信頼関係を構築

・就職面接会の実施、内定通知書の発出で出所へのモチベーションを向上

・公共職業訓練や農林漁業就職支援を活用した就職を実現

 

<事業所における雇用の取組例>

・採用に際して「更生への思い」や「戦力になる人材」であることを重視

・「出所者等就労奨励金」、「身元保証制度」などの各制度を利用し負担を軽減

・所持金が少ない出所直後は給料を日払いで対応

・雇用主として対象者の就労を通じ、更生に寄り添うとともに再犯防止を支援

 

<働き方改革との関係>

働き方改革の定義は、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善」といえるでしょう。

刑務所出所者の働き手としての必要と欲求は、一般の労働者よりも明確な点が多々あります。

採用難の中、人材不足に悩む企業にとって、働き方改革の一環としても、刑務所出所者の採用は一考に値するといえるでしょう。

 

2018.05.17.解決社労士

<モデル就業規則の改定>

厚生労働省が公表しているモデル就業規則は、かつて副業・兼業に消極的な態度を示していました。

ところが、「働き方改革実行計画」(平成29(2017)328日働き方改革実現会議決定)を踏まえ、厚生労働省が副業・兼業の普及促進を図るようになりました。

これを受けて、モデル就業規則の最新版(平成30(2018)年1月版)は、次のように規定しています。

 

(副業・兼業)

第67条  労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。

2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。

3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。

① 労務提供上の支障がある場合

② 企業秘密が漏洩する場合

③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合

④ 競業により、企業の利益を害する場合

 

<届出制か許可制か>

第2項は、会社への事前届出制を規定しています。

一方で、第3項が禁止・制限を規定しています。

届出さえすれば自由に副業・兼業できるとしておきながら、後から禁止・制限すると混乱を生じますから、事前許可制として、一定の条件を満たす場合にだけ許可する方が労働者にとっても会社にとっても安心でしょう。

第2項に事前許可制を定めても、第3項に禁止・制限の規定を置くことは必要です。許可の当時明らかではなかった事実や事後に発生した事実に対応するためです。

 

<労務提供上の支障がある場合(第1号)>

本業の方の労務提供に支障が生ずるため、会社が制限し、場合によっては禁止しなければならないことがあります。

たとえば、次のような場合です。

・副業・兼業の日時によって、本業の残業や休日出勤に対応できない場合

・副業・兼業の身体的・精神的負担が大き過ぎて、本業の方で生産性が低下してしまう場合

 

<企業秘密が漏洩する場合(第2号)>

本業の方で、その労働者が企業秘密を扱う立場にないのであれば、この規定は適用されることがありません。

また、単純に「企業秘密が漏洩する場合」という規定であれば、「漏洩の恐れ」を理由に副業・兼業を禁止・制限できません。

会社の業種に応じて、「企業秘密が漏洩する恐れが大きな場合」「企業秘密が漏洩する恐れがある場合」といった規定も考えられます。

 

<会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合(第3号)>

副業・兼業は、勤務時間外に行うものですから、本来的には労働者が自由に行えるものです。

一方で、たとえ完全に私的な行為であっても、会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為は、就業規則によって禁止され懲戒対象とされることについては、十分な合理性があります。

このことから、法的にあるいは倫理的に問題のある副業・兼業は、禁止・制限について合理性が認められます。

 

<競業により、企業の利益を害する場合(第4項)>

お客様を取ってしまい、会社の売り上げを減少させる場合には、明らかに当てはまるでしょう。

また、その恐れがある場合でも、第3号の「信頼関係を破壊する行為」になりえます。

ただ、多少競合する副業・兼業であっても、そこから得られたノウハウを本業に活かせるのであれば良しとする考えも成り立ちます。

 

<自社の就業規則をどうするか>

このように会社のリスクを減らそうとすると、どうしても副業・兼業を制限する方向に向かってしまうのは仕方がないことかも知れません。

そもそも、副業・兼業は本業で手一杯の労働者に強制するものではありません。厚生労働省が副業・兼業の普及促進をするというのは、本業の業務に余裕があって副業・兼業を希望する労働者を支えるものだと考えるのが合理的です。

自社の就業規則にある副業・兼業の規定を改定する場合には、社内の実態と従業員の必要や欲求を把握したうえで検討したいものです。

 

2018.05.16.解決社労士

<本来は自由な退職勧奨>

「勧奨」は、勧めて励ますことです。「勧告」は、ある事をするように説いて勧めることです。

「退職勧奨」の例としては、「あなたには、もっと能力があると思います。たまたま、この会社は向いていないようです。転職したら実力を発揮できるでしょう。退職について真剣に考えてみてください」といった内容になります。

「退職勧告」の例としては、「入社以来ミスが多いことは、あなた自身も残念に思っているでしょう。まわりの社員も、ずいぶん親切に丁寧な指導をしてきましたが、これ以上はむずかしいと思われます。退職を考えていただけますか」といった内容になります。

通常、「退職勧奨」と「退職勧告」は厳密に区別されず同視されています。

いずれにせよ退職勧奨は、会社側から社員に退職の申し出をするよう誘うことです。これに応じて、社員が退職願を提出するなど退職の意思表示をして、会社側が了承すれば、労働契約(雇用契約)の解除となります。

もちろん、退職勧奨を受けた社員が、実際に退職の申し出をするかしないかは完全に自由です。

このように、退職勧奨は社員の意思を拘束するものではないので、会社が自由に行えるはずのものです。しかし、社会的に相当な範囲を逸脱した場合には違法とされます。違法とされれば、退職が無効となりますし、会社に対して慰謝料の支払い請求が行われたりします。

会社から社員に退職勧奨を行い、これに快く応じてもらって円満退職になったと思っていたところ、代理人弁護士から内容証明郵便が会社に届き、不当解雇を主張され損害賠償請求が行われるということは少なくありません。

 

<安全な退職勧奨>

会社側としては退職勧奨のつもりであったところ、退職してもらうという目的意識が強いあまり、ついつい「勧奨」の範囲を超えてしまい、法的解釈としては「解雇の通告」と同視されてしまうことがあります。

こうしたリスクは、退職勧奨には付き物です。

退職が無効とされたり、慰謝料が発生したりのリスクが無い退職勧奨とは、次のようなものです。

・1人の社員に対して2名以内で行う。ただし、男性が女性に1人で退職勧奨を行うのは、セクハラなどを主張される恐れがあるので避ける。

・パワハラ、セクハラなど、人格を傷つける発言はしない。

・大声を出したり、机をたたいたりしない。脅さない。だまさない。

・長時間行わない。何度も繰り返さない。

・きっぱりと断られたら、それ以上の退職勧奨は行わない。

・他人に話を聞かれる場所で行わない。明るく窓のある個室が望ましい。

・家族など本人以外の人に働きかけない。

結局、本人の自由な本心による退職の申し出が必要なので、後になってから本心ではなかったとか、脅された、だまされたなどの主張がありえない退職勧奨であることが必要となります。

 

<会社側の好ましい対応>

退職勧奨の前であっても、ミスの連発を責めるのではなく、心配する態度を示しましょう。

「入社以来ミスが多いですね。採用面接でも履歴書の内容からしても、あなたがミスを繰り返すというのは想定外です。まわりの仲間たちも、あなたのことを心配しています。個人的な事情があるとか、働く上での不安があるとか、何なりと教えてください」という問いかけをしましょう。

この問いかけには、対象社員に対する思いやりも示されていますが、採用面接の対話でも履歴書の記述にも、注意力が乏しくミスを連発しやすい人物だと推定できるようなことは示されていなかったという主張が含まれています。

会社は採用にあたって、応募者から必要な情報を引き出しているわけですから、その時点で注意力散漫な人物であることを承知のうえで採用しておいて、採用後に「ミスが多いから解雇します」とは言い難いわけです。

多くの場合、セクハラ、パワハラ、プライベートを含めて環境に慣れていない、上司や同僚からの指導不足など、問題点が浮かびあがることでしょう。これらへの対応は頭の痛いことですが、むやみに退職勧奨を行うことを防げただけでも儲けものです。

このような面談を、当事者である会社側の人間が冷静に客観的に行うというのはむずかしいものです。顧問の社会保険労務士がいれば、任せてしまえば良いのですか…

こうした面談を経て、会社側には問題が無いということを確信できたなら、自信をもって退職勧奨を行えますし、さらに普通解雇を検討することもできるわけです。

 

2018.05.15.解決社労士

<雇い止めとは>

会社がパートやアルバイトなど有期労働契約で雇っている労働者を、期間満了時に契約の更新を行わずに終了させることを「雇い止め」といいます。

一定の場合に「使用者が(労働者からの契約延長の)申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす」という抽象的な規定があります。〔労働契約法19条〕

これは、数多くの裁判の積み重ねによって作られた「雇い止めに関する法理」という理論を条文にしたものです。ですから、雇い止めがこの理論による有効要件を満たしていなければ、裁判では無効とされ、有期労働契約が自動的に更新されることになります。

 

<雇い止めの有効性の判断要素>

雇い止めは、次のような事情が多く認められるほど、有効と判断されやすくなります。

1.業務内容や労働契約上の地位が臨時的なものであること。

2.契約更新を期待させる制度や上司などの言動が無かったこと。

3.契約更新回数が少ないこと、また、通算勤続期間が短いこと。

4.他の労働者も契約更新されていないこと。

5.雇い止めに合理的な理由が認められること。

 

<会社の義務>

契約期間の終了間際になってから雇い止めの話を切り出したり、事前に充分な説明が無かったりすれば、それだけで「社会通念上相当でない」と判断されます。

ですから、雇い止めをする事情が発生したら、対象者には早く説明してあげることが大切です。

上記1.については、労働条件通知書や就業規則の規定を示せば足りることが多いでしょう。万一、就業規則が無く労働条件通知書の交付を忘れていたような場合には、説明のしようがありません。口頭で伝えてあったとしても、労働条件を書面で労働者に通知することは法的義務なので、裁判になったら負けてしまいます。

上記2.については、有期契約労働者から契約更新の期待について話があれば、その範囲内で事実を確認すれば足ります。

上記3.4.については、事実を確認して有期契約労働者に示せば良いことです。

問題となるのは、上記5.の合理的な理由です。ここでいう「合理的」とは、法令の趣旨や目的に適合するという意味だと考えられます。法令の趣旨や目的は、法令の条文と裁判所の解釈が基準となります。会社側の解釈も労働者側の解釈も基準とはなりません。

判断が分かれた場合には、早い段階で社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

会社は以上のような説明義務を負っていますが、有期契約労働者が納得することまでは求められていません。そのため、説明文書を用意しこれを交付して説明するのが得策です。説明義務を果たしたことの証拠となるからです。

 

<労働者が雇い止めに納得しない場合>

会社側が上記のような説明をしない場合には、きちんと説明するよう求めましょう。

それでも説明が無い場合や、説明の内容がおかしいと感じたら、不当解雇を疑って、社会保険労務士などの専門家にご相談ください。

 

2018.05.14.解決社労士

<年次有給休暇の取得促進>

労働者の心身の疲労を回復させ、労働力の維持を図るための年次有給休暇は、その取得率が50%を下回る水準で推移しています。

こうした現状を踏まえ、有給休暇取得促進のため、1日単位にこだわらない取得が認められるようになってきています。

 

<半日単位の取得>

労働者が希望し、会社が同意した場合であれば、半日単位で有給休暇を消化することが認められています。

ただし、「午前中で終わる用事のためなら、1日休まなくても半日有給でいいですね」と会社側から働きかけるような、1日単位での有給休暇の消化を阻害する行為は認められません。

 

<1時間単位の取得>

現在では、5日以内なら労使協定を交わすことによって、1時間単位の年次有給休暇取得も可能です。〔平成22(2010)年4月施行の改正労働基準法39条4項〕

また、労使協定の定めによって、対象者の範囲を限定することもできます。

この場合には、異動などによって対象者から外れた場合の取り扱いについて、あらかじめ労使で取り決めておく必要があります。

 

<1時間単位なら不安も少ない>

年次有給休暇の取得を請求するには、労働者の側に次のような不安があります。

・みんなに迷惑がかかるのではないか

・休み明けに忙しくなるのではないか

・職場が年次有給休暇を取得できる雰囲気ではない

・上司が嫌な顔をしそうだ

1時間単位で希望の時間だけ年次有給休暇を取得する場合には、こうした不安も軽減されるでしょう。

 

<働き方改革との関係で>

年次有給休暇を1時間単位で取得できるようにする/しないは、それぞれの会社の自由ですが、法的権利であると思い込んでいる労働者が多いのも事実です。

それほど労働者のニーズが高い一方で、この制度の導入は会社の負担が大きくありません。

働き方改革は、企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善だと考えられますから、1時間単位の年次有給休暇の導入は優先順位が高いといえるでしょう。

 

2018.05.13.解決社労士

<セクハラの公式定義>

セクシュアルハラスメント(セクハラ)とは、職場において、性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、身体への不必要な接触など、意に反する性的な言動が行われ、拒否したことで不利益を受けたり、職場の環境が不快なものとなることをいいます。

対価型セクハラとは、労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応(拒否や抵抗)により、その労働者が解雇、降格、減給等の不利益を受けることをいいます。

セクハラ行為に拒否の態度を示したら不利益を受けたという形です。

環境型セクハラとは、労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等その労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることをいいます。

セクハラ行為があったため落ち着いて仕事ができず生産性が低下したという形です。

 

<労働者の意に反する性的言動>

セクハラの加害者は相手の受け取り方次第という言い逃れをしたがります。

たしかに、セクハラの定義の中の「労働者の意に反する性的言動」のうちの「意に反する」というのが、相手の主観だけを基準に認定されるのであれば、この主張は正しいことになります。

しかし、相手の感覚を基準にすれば、「声がセクハラだった」「目つきがセクハラだった」など、セクハラとなりうる行為の範囲が不当に広がってしまいます。これでは、相手の目を見て話すこともむずかしく、業務に支障を来してしまいます。

そこで実際には、相手の被害者意識も参考としつつ、具体的な事情から、相手の性格は抜きにして、年齢や立場などが同じ人であれば、「意に反する性的言動」であったかどうかを考えます。

つまり、相手の主観と客観的な事情の両方を基礎として、セクハラの成否を判断するのです。

たとえば相手が、性的言動について極端に敏感であったり、鈍感であったりすれば、これを修正して平均的なところで判断します。

ただし、相手が敏感であることを知りつつ、あえて性的言動に及んだような場合には、「意に反する性的言動」であったと認定されます。このように考えないと、被害者は救われませんし、加害者は故意に行っているわけですから言い訳できる立場にないからです。

このように、セクハラ行為の有無を認定するには、行為者とその相手との関係や、それぞれの性格も把握する必要があります。

結論として、セクハラは相手の受け取り方次第という言い逃れは許されないことになります。

 

<会社のセクハラ対応>

こうして見てくると、セクハラの成否を判断するのは簡単ではないことが分かります。

それにもかかわらず、就業規則にセクハラの禁止規定があり懲戒規定があることを理由に、安易に懲戒処分まで行われてしまうのは、行為者本人にとっても会社にとっても不幸です。

反対に、セクハラ被害があったにもかかわらず、会社がきちんと対応しないのでは、社員からの信頼を失い退職者が増えたり、会社の評判が落ちたりします。

会社が本気でセクハラを防止するには、就業規則にきちんとした規定を設け、充実した社員教育を実施することが必要となります。社員教育では、セクハラの定義・構造の理解、具体例を踏まえた理解の深化を図りましょう。

この他、人事考課制度の適正な運用や、適性を踏まえた人事異動が、セクハラから社員と会社を守ってくれます。

そして、具体的な事例が発生したとき、その対応に迷ったら、守秘義務を負った専門家である社会保険労務士へのご相談をお勧めします。

 

2018.05.12.解決社労士

<計算上の不利益>

ある日2時間残業して、翌日2時間早退して、これで相殺したことにすると賃金の面で問題があります。

労働基準法371項には次の規定があって、法定労働時間を超える労働には25分以上の割増賃金を支払わなければなりません。

 

(時間外、休日及び深夜の割増賃金)

第三十七条 使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。

 

ある日、法定労働時間を超えて2時間残業した場合、その2時間の賃金は、就業規則や労働条件通知書などに示された25分以上割増の賃金です。

2時間 × 1.25 2.5時間

ですから、2.5時間分以上の賃金支払いが必要です。

これと、早退による2時間分の賃金のマイナス(欠勤控除)とで相殺すると、0.5時間分以上の賃金が消えてしまうのです。

 

これでは割増賃金を支払わないことになりますから、労働基準法371項に違反し、「六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する」という罰則適用の対象になってしまいます。〔労働基準法119条〕

 

<不利益が無い場合>

ある人の所定労働時間が毎日4時間であれば、2時間残業しても法定労働時間の範囲内ですから、割増賃金は発生しません。翌日2時間早退して、これで相殺したことにしても、賃金計算上の不利益はありません。

また、割増賃金を就業規則や労働条件通知書などに25分と規定し、4時間の残業と5時間の早退とで相殺するという運用ならば、賃金計算上の不利益はありません。

4時間 × 1.25 5時間

こうした計算で、労働者に不利益が無いのなら違法ではないようにも思われます。

しかし、労働基準法により、残業代は残業代、早退による欠勤控除は欠勤控除として、それぞれ別項目で賃金台帳に示さなければなりません。

労働基準法108条には次の規定があります。

 

(賃金台帳)

第百八条 使用者は、各事業場ごとに賃金台帳を調製し、賃金計算の基礎となる事項及び賃金の額その他厚生労働省令で定める事項を賃金支払の都度遅滞なく記入しなければならない。

 

そして、労働基準法施行規則54条により、次の事項を記入することになります。

・氏名

・性別

・賃金計算期間

・労働日数

・労働時間数

・時間外労働、休日労働および深夜労働の時間数

・基本給、手当その他賃金の種類ごとにその金額

・労使協定により賃金の一部を控除した場合はその金額

 

こうしたことから、たとえ賃金計算上の不利益が無い場合でも、残業時間と早退時間はそれぞれ集計して賃金台帳に記入しなければなりません。

 

<フレックスタイム制の運用>

きちんと手続きをして、フレックスタイム制を正しく運用していれば、ある日2時間残業して、別の日に2時間早退すると、結果的に相殺されたのと同じ効果が発生します。〔労働基準法32条の3

これは、1か月間など労使協定で定められた清算期間内の総労働時間と、実際の勤務時間の合計との比較で、時間外労働や欠勤の時間を集計する仕組みだからです。

労働者が仕事の都合と個人の都合をバランス良く考えて、自由に労働時間を設定できることによる例外です。

就業規則の規定や労使協定が無いのに、フレックスタイム制に似せた運用をしてしまわないように注意しましょう。

 

<月60時間を超える時間外労働>

中小事業主は当分の間対象外ですが、月60時間を超える時間外労働の割増賃金(割増率5割以上)については、労働者の健康確保の観点から、割増賃金の支払いに代えて有給の休暇(代替休暇)を付与することができます。〔労働基準法373項〕

代替休暇制度の導入には、事業場の過半数組合、または労働者の過半数代表者との間で労使協定を結ぶことが必要です。

この協定では、a.代替休暇を与えることができる時間外労働の時間数の算定方法、b.代替休暇の単位、c.代替休暇を与えることができる期間、d.代替休暇の取得日の決定方法および割増賃金の支払い日を定めるべきとされています。

これは、残業時間と早退時間との相殺ではなくて、残業時間と休暇との相殺になります。

中小企業の場合はもちろん、大企業であっても労使協定の無いまま、「8時間残業したら1日休んでよし」といった乱暴な運用は違法ですから注意しましょう。

 

2018.05.11.解決社労士

<就業規則の規定>

マタニティーハラスメント(マタハラ)とは「子を設け育てることに対する職場での支援拒否の態度」と表現できます。

また、特に経営者が行うものは「不利益な取扱い」と呼ばれ、マタハラとは別の概念とされています。

厚生労働省が公表しているモデル就業規則の最新版(平成30(2018)年1月版)では、マタハラが次のように規定されています。

 

(妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関するハラスメントの禁止)

第14条  妊娠・出産等に関する言動及び妊娠・出産・育児・介護等に関する制度又は措置の利用に関する言動により、他の労働者の就業環境を害するようなことをしてはならない。

 

マタハラという用語が、比較的新しいものであるために、敢えて日本語で明確に示されているのでしょう。

ただ、就業規則にこのような規定を置いた場合でも、何が「妊娠・出産・育児・介護等に関する制度又は措置の利用」にあたるのかについて、別に社員教育が必要となります。

少子高齢化に対応して、ここに言う「制度又は措置」の内容も、法改正により充実してきていますので、研修などの内容もアップデートしながら繰り返さなければなりません。

また、小規模会社で就業規則が無い場合であっても、妊娠・出産・育児休業・介護休業等に関する法令は適用されますから、マタハラへの対応を怠ることはできません。

 

<制度又は措置の利用への嫌がらせ>

次に掲げる制度や措置は、育児介護休業法が定めるもので、男女どちらにも適用されます。上司や同僚の言動が、こうした制度や措置に関するもので、人権侵害となれば、就業環境を害することにもなり、制度等の利用への嫌がらせ型のマタハラとなります。

・育児休業

・子の看護休暇

・所定外労働(早出や残業)の制限

・深夜業の制限

・育児のための所定労働時間の短縮措置

・始業時刻変更等の措置

 

<マタハラとなる言動>

次のような言動が、マタハラの典型例です。

・制度や措置の利用請求などを理由に上司が不利益な取扱いをほのめかす

・制度や措置の利用請求などを上司や同僚が邪魔する

・制度や措置を利用したことを理由に上司や同僚が嫌がらせをする

具体的には、次のような発言がマタハラになります。

「男のくせに育休を取るなんて」

「一人だけ残業しないで帰るなんてずるい」

「いつも社長出勤で偉そうね」

周囲の人たちは、自分の負担が増えるから、ついついこんな発言をしがちです。

 

<マタハラ防止に必要な知識>

さて、就業規則を読んだだけでは、自分の行為がパワハラにあたるのかどうかを判断できない場合があります。育児介護休業法などの内容についての具体的な知識が無ければ、判断することは不可能だからです。

また、他の社員の行為に対しても、自信を持って「それはマタハラだから止めなさい」と注意することもできません。

セクハラやパワハラであれば、関連するニュースも多いですし、感覚的に理解できる点もあるのですが、マタハラについては、知識が無ければ対応のしようがありません。

こうしてみると、社内でマタハラを防止するのに必要な知識のレベルというのは、かなり高度なものであることがわかります。

 

<知識不足によるパワハラの防止には>

こうした事情があるにもかかわらず、就業規則にマタハラの禁止規定があり懲戒規定があることを理由に懲戒処分が行われてしまうのは、加害者本人にとっても会社にとっても不幸です。

加害者は、マタハラの意識が無いままに加害者とされ、会社と共に損害賠償を求められる他、両当事者とも評判が落ちてしまいます。

会社が本気でマタハラを防止するには、就業規則にきちんとした規定を設け、充実した社員教育を実施することが必要となります。

社員教育では、育児介護休業法の具体的な内容の理解が中心となります。少しでも社員の記憶に残っていれば、何か疑問が生じたときに法令の内容を確認することによって、マタハラの被害を最小限に食い止めることができます。

一般に、社員教育は生産性を高めるものですが、マタハラについての社員教育は社員と会社を守るために必要なものだといえるでしょう。

 

2018.05.10.解決社労士

<能力不足によるパワハラ>

会社の就業規則にパワハラの具体的な定義を定め、これを禁止する規定や懲戒規定を置いて、パワハラに関する社員研修を行っていても、社員個人の能力不足によるパワハラが発生します。

ここで不足する能力とは、説明能力が中心です。

 

<就業規則の規定>

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係など「職場内での優位性」を背景に、「業務の適正な範囲」を超えて、精神的・身体的苦痛を与え、または、職場環境を悪化させる行為をいいます。これが厚生労働省による説明です。

これによると、「精神的・身体的苦痛を与えこと」あるいは「職場環境を悪化させる行為」という実害の発生が、パワハラ成立の条件のようにも見えます。しかし、企業としてはパワハラを未然に防止したいところです。

ですから、就業規則にパワハラの定義を定めるときは、「精神的・身体的苦痛を与えうる言動」「職場環境を悪化させうる言動」という表現が良いでしょう。

厚生労働省が公表しているモデル就業規則の最新版(平成30(2018)年1月版)では、次のように規定されています。

 

(職場のパワーハラスメントの禁止)

第12条  職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景にした、業務の適正な範囲を超える言動により、他の労働者に精神的・身体的な苦痛を与えたり、就業環境を害するようなことをしてはならない。

 

<パワハラの構造>

パワハラは、次の2つが一体となって同時に行われるものです。

・業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛など

・業務上不要な人権侵害行為(犯罪行為、不法行為)

行為者は、パワハラをしてやろうと思っているわけではなく、会社の意向を受けて行った注意指導などが、無用な人権侵害を伴っているわけです。

 

<業務上不要な人権侵害行為>

業務上必要な行為と同時に行われる「業務上不要な人権侵害行為」には、次のようなものがあります。

・犯罪行為 = 暴行、傷害、脅迫、名誉棄損、侮辱、業務妨害など

・不法行為 = 暴言、不要なことや不可能なことの強制、隔離、仲間はずれ、無視、能力や経験に見合わない低レベルの仕事を命じる、仕事を与えない、私的なことに過度に立ち入るなど

刑事上は犯罪となる行為が、同時に民事上は不法行為にもなります。つまり、刑罰の対象となるとともに、損害賠償の対象ともなります。

 

<パワハラ防止に必要な知識>

さて、就業規則を読んだだけでは、自分の行為がパワハラにあたるのかどうかを判断できない場合もあるでしょう。

また、他の社員の行為に対しても、自信を持って「それはパワハラだから止めなさい」と注意するのはむずかしいでしょう。

ましてや、暴行罪〔刑法208条〕や名誉棄損罪〔刑法230条〕の成立条件(構成要件該当性)などは、「物を投げつけても当たらなければ成立しない」「真実を言ったのなら名誉棄損にはならない」などの誤解があるものです。

こうしてみると、社内でパワハラを防止するのに必要な知識のレベルというのは、かなり高度なものであることがわかります。

 

<知識があっても行われるパワハラ>

しかし、高度な知識があるのに、ついついパワハラに走ってしまう社員がいます。もちろん、怒りっぽい、キレやすい性格というのもあります。

そして、カッとなってパワハラ行為に出てしまう原因を見てみると、相手が自分の思い通りに動いてくれない、自分の言ったことを理解してくれないということにあります。

さらに、その原因を追究すると、要領を得ない説明で相手に趣旨が伝わらないということがあります。

1人か2人の相手に伝わらないというのであれば、相手の理解力に問題がありそうです。しかし、「どいつもこいつも解かってくれない」という感想を持つようであれば、その人の説明能力に問題があるのでしょう。

こうして、部下に説明する → 伝わらない → ボーッと聞いている、とんちんかんな質問をしてくる、同じ過ちを繰り返す → 再度説明する → 伝わらない → 感情的になって怒鳴ったり机を叩いたりのパワハラに走る という構造が出来上がってしまいます。

 

<不足する説明能力とは>

一口に「説明能力」と言っても複雑です。

前提として、相手の性格・経験・理解力の把握、相互理解があります。異動したての役職者には、この前提を欠いていることがあり、パワハラ発生の危険が高まります。

次に、相手が落ち着いて傾聴できる態度・環境・雰囲気作り、そして、本人の語彙力・表現力、相手の理解度を探る観察力なども必要です。

こうしてみると、本人の持つ雰囲気、語彙力・表現力、観察力など、会社の教育研修をもってしても容易には醸成できない項目を含んでいます。これらは、その個人の資質に依存する能力です。

 

<具体的な対策>

説明能力が不足する社員は、優位な立場に立たせないのが得策です。

会社に対する貢献度が高い社員に説明能力が不足していたら、説明能力を十分身に着けるまでは、部下を持たせるのではなく、専門職的な立場で会社に貢献してもらうようにしてはいかがでしょうか。

専門職制度など適性を踏まえた人事異動を可能にする仕組みと、その前提となる人事考課制度の適正な運用が、パワハラから社員と会社を守ってくれます。

 

2018.05.09.解決社労士

<就業規則の規定>

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係など「職場内での優位性」を背景に、「業務の適正な範囲」を超えて、精神的・身体的苦痛を与え、または、職場環境を悪化させる行為をいいます。これが厚生労働省による説明です。

これによると、「精神的・身体的苦痛を与えこと」あるいは「職場環境を悪化させる行為」という実害の発生が、パワハラ成立の条件のようにも見えます。しかし、企業としてはパワハラを未然に防止したいところです。

ですから、就業規則にパワハラの定義を定めるときは、「精神的・身体的苦痛を与えうる言動」「職場環境を悪化させうる言動」という表現が良いでしょう。

厚生労働省が公表しているモデル就業規則の最新版(平成30(2018)年1月版)では、次のように規定されています。

 

(職場のパワーハラスメントの禁止)

第12条  職務上の地位や人間関係などの職場内の優位性を背景にした、業務の適正な範囲を超える言動により、他の労働者に精神的・身体的な苦痛を与えたり、就業環境を害するようなことをしてはならない。

 

<パワハラの構造>

パワハラは、次の2つが一体となって同時に行われるものです。

・業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛など

・業務上不要な人権侵害行為(犯罪行為、不法行為)

行為者は、パワハラをしてやろうと思っているわけではなく、会社の意向を受けて行った注意指導などが、無用な人権侵害を伴っているわけです。

 

<業務上不要な人権侵害行為>

業務上必要な行為と同時に行われる「業務上不要な人権侵害行為」には、次のようなものがあります。

・犯罪行為 = 暴行、傷害、脅迫、名誉棄損、侮辱、業務妨害など

・不法行為 = 暴言、不要なことや不可能なことの強制、隔離、仲間はずれ、無視、能力や経験に見合わない低レベルの仕事を命じる、仕事を与えない、私的なことに過度に立ち入るなど

刑事上は犯罪となる行為が、同時に民事上は不法行為にもなります。つまり、刑罰の対象となるとともに、損害賠償の対象ともなります。

 

<パワハラ防止に必要な知識>

さて、就業規則を読んだだけでは、自分の行為がパワハラにあたるのかどうかを判断できない場合もあるでしょう。

また、他の社員の行為に対しても、自信を持って「それはパワハラだから止めなさい」と注意するのはむずかしいでしょう。

ましてや、暴行罪〔刑法208条〕や名誉棄損罪〔刑法230条〕の成立条件(構成要件該当性)などは、「物を投げつけても当たらなければ成立しない」「真実を言ったのなら名誉棄損にはならない」などの誤解があるものです。

こうしてみると、社内でパワハラを防止するのに必要な知識のレベルというのは、かなり高度なものであることがわかります。

 

<知識不足によるパワハラの防止には>

こうした事情があるにもかかわらず、就業規則にパワハラの禁止規定があり懲戒規定があることを理由に懲戒解雇まで行われてしまうのは、行為者本人にとっても会社にとっても不幸です。

行為者と家族の人生は台無しになりますし、会社は損害賠償を求められる他、両当事者とも評判が落ちてしまいます。

会社が本気でパワハラを防止するには、就業規則にきちんとした規定を設け、充実した社員教育を実施することが必要となります。社員教育では、パワハラの定義・構造の理解、具体例を踏まえた理解の深化を図りましょう。

この他、人事考課制度の適正な運用や、適性を踏まえた人事異動が、パワハラから社員と会社を守ってくれます。

 

2018.05.08.解決社労士

<本人が同意しているのなら>

労働契約というのは、使用者と労働者との合意によって成立します。ですから、労働条件も基本的には両者の合意によって決定されます。

このことからすれば、労働基準法の規定とは違う労働条件とすることについて、労働者本人が同意しているのであれば問題なさそうに思えます。

しかし、採用されたいがために「残業代はいただきません」「年次有給休暇は取得しません」「5年間は退職しません」というような同意書に労働者が署名・捺印したとしても、本心かどうかは怪しいものです。

では、本人が心の底から同意していれば、その労働条件でかまわないのでしょうか。

 

<任意規定と強行規定>

法令の規定には、任意規定と強行規定とがあります。

任意規定とは、契約の中のある項目について当事者の合意が何も無い場合に、法令の規定が適用されてその空白が埋められるように設けられたものです。ですから、契約の当事者が任意規定とは違う合意をすれば、その合意の方が優先されて法的効力が認められます。

強行規定とは、当事者の合意があっても排除できない法律の規定です。つまり、強行規定とは違う合意をしても、この合意に法的効力はありません。

しかし、任意規定なのか、それとも強行規定なのかは、法令そのものに書いてありません。その規定の趣旨から、解釈によって判断されます。そして最終的な判断は、裁判所が行います。

一般に、契約書に関する法律の規定は、任意規定が多いとされています。

労働基準法の中の労働契約に関する規定も、任意規定なのでしょうか。

 

<労働基準法の性質>

憲法は労働者の保護をはかるため、賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定めることにしました。〔日本国憲法272項〕

こうして定められた法律が労働基準法です。

労働基準法の目的は、使用者にいろいろな基準を示して守らせることによって、労働者の権利を守らせることです。

労働者の同意によって、この基準がくずされてしまったのでは、労働者の権利を守ることはできません。

労働基準法は使用者に対し、とても多くの罰則を設けて、基準を守らせようとしています。

一方で、労働者に対する罰則はありません。労働者が労働基準法違反で逮捕されることもありません。

こうしたことから、労働基準法の規定は、原則として強行規定であるというのが裁判所の判断です。

 

<思わぬしっぺ返し>

退職予定の正社員から「引継ぎ書と業務マニュアルを完成させたいので残業させてください。これは、私が納得のいくものを作成したいという我がままですから、残業代は要りません」という申し出を受けて、会社側がOKを出したとします。

この退職予定者が、毎日残業し休日出勤までして、見事な引継ぎ書と業務マニュアルを残して退職していったとします。

この場合でも、退職後に残業代の支払を求められたら会社は拒めません。

社員は、退職すれば心理的に自由になります。そして、労働者としての権利を最大限に主張できるのです。

退職した時点では、残業代を放棄するつもりだったのに、その後経済的に困って会社に請求してくるというのは、典型的なパターンになっています。

円満退社の場合でも、決して油断はできないということです。

 

2018.05.07.解決社労士

<周知の意味>

周知(しゅうち)というのは、広く知れ渡っていること、または、広く知らせることをいいます。

「周知の事実」といえば、みんなが知っている事実という意味です。

会社で「周知」という場合には、社内の従業員に広く知らせるという意味です。

 

<就業規則についての義務>

労働基準法には、次のように規定されています。

 

第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。

 

つまり、従業員が10名以上の会社では、就業規則を作成し所轄の労働基準監督署長に届け出る義務があります。

しかし、従業員が10名未満の会社が就業規則を作成し届け出るのは任意です。

 

<会社の周知義務>

会社は、労働基準法および同法による命令等の要旨、就業規則、労使協定を従業員に周知しなければなりません。〔労働基準法1061項〕

従業員が10名以上の会社で、就業規則を作成して労働基準監督署長に届け出たとしても、周知しなければ効力が発生しません。ここは重要なポイントです。

 

<労使協定の周知義務>

よくある勘違いに、「うちには労働組合が無いので労使協定は関係ない」というのがあります。しかし、労働組合が無い会社では、「労働者の過半数を代表する者」が選出され、この過半数代表者との間で労使協定が交わされます。

労使協定というと、三六協定(時間外労働・休日労働に関する協定)が特に有名です。〔労働基準法36条〕

この協定書を作成して、所轄の労働基準監督署長に届け出なければ、法定労働時間を超える残業は1分たりともできません。無届での残業は違法残業となってしまいます。

労働基準法には、他にも多くの労使協定が規定されています。特別なことを何もしなければ、これらの労使協定は要りません。しかし、必要に応じて協定を交わし、周知することが会社に義務付けられています。

 

<周知の方法>

周知の方法には、常時各作業場の見やすい場所に掲示/備え付ける、書面で交付する、磁気テープ/磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し各作業場に労働者がその記録の内容を常時確認できる機器を設置するというのがあります。

 

<労働基準法の要旨の周知>

会社は、労働基準法の要旨も就業規則も周知しなければなりません。

たとえば、就業規則に「年次有給休暇は法定通り」と定めたならば、別に労働基準法の年次有給休暇の定めの内容を周知することになります。

就業規則や労働基準法に基づく労使協定ならば、会社が作成するのですから、それをそのまま周知すれば良いので、何も迷うことはありません。

しかし、「法令の要旨」となると、まさか『労働法全書』や『六法全書』を休憩室に置いて、従業員の皆さんに見ていただくというわけにはいきません。しかも、労働基準法106条は、法令そのものではなく「法令の要旨」としていますから悩んでしまいます。

 

厚生労働省のホームページには、パンフレット、リーフレット、ポスターが豊富に収録されています。パンフレットは数ページにまとめられたもので、リーフレットは基本的に1枚でまとめられたものです。

たとえばネットで「厚生労働省 パンフレット マタハラ」で検索すると、「妊娠したから解雇は違法です」というページが検索され、そこに「パンフレット:働きながらお母さんになるあなたへ」という項目が見つかります。

厚生労働省とパンフレットの間に空白(スペース)を入れ、パンフレットとマタハラの間にも空白(スペース)を入れて検索すると、3つの言葉を含んだページが表示されますので、この検索方法を活用しましょう。

それでもなお、自社の従業員に合った上手い説明が見つからない場合には、国家資格者の社労士(社会保険労務士)にご相談ご用命ください。

 

2018.05.06.解決社労士

<懲戒規定の目的1>

社員を懲戒する目的の第一は、懲戒対象となった社員に反省を求め、その将来の言動を是正しようとすることにあります。

懲戒処分を受けた社員に対しては、深く反省し二度と同じ過ちを犯さないように注意して働くことが期待されています。

これは、不都合な結果の発生を予見して回避する能力はあるのに、故意あるいは明らかな不注意によって、不都合な結果を発生させたことが前提となっています。

しかし、能力不足で不都合な結果が発生した場合には、反省しても結果を防止できません。会社は、能力不足に対しては、懲戒処分ではなく教育研修で対応する必要があるのです。

 

<懲戒規定の目的2>

社員を懲戒する目的の第二は、会社に損害を加えるなど不都合な行為があった場合に、会社がこれを放置せず懲戒処分や再教育を行う態度を示すことによって、他の社員が納得して働けるようにすることにあります。

たとえば、明らかなパワハラやセクハラがあって、会社がその事実を知りながら放置しているようでは、社員が落ち着いて安心して働くことができません。一般の道義感や正義感に反しますし、自分も被害者となる恐怖を感じるからです。これでは、会社に対する不信感で一杯になってしまいます。

 

<懲戒規定の目的3>

具体的でわかりやすい懲戒規定を設けることは、社員一般に対して基準を示し、みんなが安心して就業できる職場環境を維持することを目的としています。

何をしたらどの程度の処分を受けるのか、予め知っておくことにより、伸び伸びと業務を遂行することができるのです。

これは、罪刑法定主義の考え方です。ある行為を処罰するためには、禁止される行為の内容と処罰の内容を具体的かつ明確に規定しておかなければならないとする原則です。これは、日本国憲法31条と39条にもその趣旨が示されています。

対置される概念は罪刑専断主義です。たとえば「社長を怒らせたら懲戒処分」という考え方です。こんなことでは、社員はいつも不安です。

懲戒規定に定めの無い行為について、懲戒処分をすることはそれ自体違法です。しかし、それ以上に他の社員に対する悪影響が大きくて、会社全体の生産性が低下します。

たとえば、ある社員が作業の問題点を指摘し、改善提案をしたとします。これを不快に思った会社側が、不当に懲戒処分を行ったならば、その職場での改善は進まなくなってしまいます。

やはり、懲戒規定に具体的な定めのない行為を行っても、懲戒処分の対象とされることはないのだという安心感に基づいて、伸び伸びと勤務できる環境が会社の成長を促すのです。

 

2018.05.05.解決社労士

<法定の通院休暇>

妊婦自身やお腹の中の赤ちゃんの健康のため、妊婦は定期的に健康診査等を受ける必要があります。

そこで、妊婦や産後1年を経過していない妊産婦の労働者が、会社に申請すれば、母子健康法に定める保健指導または健康診査を受けるのに必要な「通院休暇」を取得できます。〔男女雇用機会均等法12条〕

その回数は、原則として次の通りですが、医師等がこれと異なる指示をした場合には、指示された回数となります。

 妊娠23週まで  4週間に1回
 妊娠24週から35週まで  2週間に1回
 妊娠36週から出産まで  1週間に1回
 産後1年以内  医師等が指示する回数

 

<会社のルールとの関係>

通院休暇は法定の休暇です。会社の就業規則に記載されていない場合、会社に就業規則が無い場合、前例が無い場合でも利用できます。

部下から通院休暇の利用について申し出があった場合に、上司が知識不足で断ってしまうと、会社の教育不足によるマタハラ(マタニティーハラスメント)になってしまいます。

また、社員に通院休暇の説明をする場合に、一定の年齢を超えた女性社員を対象外とすることは、セクハラになる恐れがあります。

 

<通院休暇の給与>

通院休暇を有給とするか無給とするかは、会社の規定によります。就業規則が無かったり、就業規則に「労基法その他の法令の定めによる」という規定があるだけだったりすると、トラブルの元になりますから、予め就業規則に規定しておくことをお勧めします。

通院休暇は、勤務時間内に健康診断等受診のための時間を確保するという趣旨で設けられるものです。事業主が一方的に年次有給休暇を通院休暇に充てるよう女性労働者に対して指示することは認められません。

ただし、通院休暇が無給とされる場合に、女性労働者が自ら希望して年次有給休暇を取得して通院することは問題ありません。

 

<通院休暇の申請>

申請は、原則として事前に行います。出産予定日、次回通院日は決まり次第、事業主に知らせるのがマナーでしょう。

申請事項は、通院の日時、医療機関等の名称・所在地、妊娠週数などとなります。

事業主は、必要があればその女性労働者の了承を得て、診断書などの提出を求めることができます。

 

2018.05.04.解決社労士

社会保険料の免除、健康保険の出産手当金や出産育児一時金の請求、会社からの出産祝金の支給、雇用保険の育児休業給付の請求などの手続き的なことは、夫婦それぞれの勤務先に出産予定日と実際の出産日を伝えれば、滞りなく行われるはずです。

こうしたこととは別に、夫には夫の役割があります。

どうぞ以下のことを参考にして準備を進めてください。

 

<出産前の準備>

・より多くの時間、妻に付き添えるよう、休暇取得などの準備を整えておきましょう。なかなか年次有給休暇を取得できない職場であっても、この時ばかりは何とかしてもらいたいものです。

・夫婦それぞれの実家など連絡先を確認し、事前の連絡をしておきます。

・生まれてくる赤ちゃんのことばかり気にかけていると、上の子が孤独を感じて不安になってしまいます。しっかりフォローしましょう。

・陣痛が起こったら、腰をさすったり、楽な姿勢をとらせたり配慮しましょう。

・水分を補給するための飲み物や、消化の良い食べ物も用意しておきましょう。

・妻がリラックスできるよう、環境を整えたり会話をしたりしましょう。

 

<赤ちゃんが生まれたら>

・妻には感謝とねぎらいの気持ちを伝えましょう。

・夫婦それぞれの実家など、必要な連絡先に知らせましょう。

・出産と同時に、注目の的が妻から赤ちゃんに移ります。妻が寂しい気持ちにならないよう、積極的に会話しましょう。欲しい物、して欲しいことなどは、できるだけ対応しましょう。

・上の子は、赤ちゃんばかりが可愛がられて焼きもちを焼くことがあります。しっかりフォローしましょう。

・妻と話し合って赤ちゃんの名前を決めます。そのためにも、できるだけ面会に行くようにしましょう。

 

<退院の準備>

・自宅の掃除など、赤ちゃんを迎える準備を整えておきます。

・退院時に入院費用の精算がありますので、その準備をします。

・退院時の荷物の整理は、妻の指示に従う形で行いましょう。

・荷物を持つことや、車の手配もお忘れなく。

 

2018.05.03.解決社労士

<ニュースになった企業秘密持ち出し>

京セラ創業者の稲盛和夫氏が考案した「アメーバ経営」に関する企業秘密を不正に持ち出したとして、京都府警は1日、京セラの子会社「京セラコミュニケーションシステム」(京都市伏見区)元幹部の男(42)=大津市=を不正競争防止法違反(営業秘密の領得)容疑で書類送検した。(5月1日毎日新聞)

 

<守秘義務の認識>

社員は、在職中だけでなく退職後にも、労働契約に付随する義務として当然に守秘義務を負っています。

しかし、このことは必ずしも社員一人ひとりに認識されているとは限りません。就業規則に具体的な規定を置くことはもちろん、守秘義務を負う社員からは、入社や異動の際に誓約書を取っておくことをお勧めします。

 

<賠償請求の困難性>

社員が営業秘密をもらしてしまった場合でも、損害賠償請求は困難ですし、その金額も限定されてしまいます。

賠償を請求する場合には、まず具体的な事実関係を確認する必要があります。ところが、これは大変時間のかかることですから、対象社員から十分に事情を聞く前に退職されてしまうことがあります。

また、事実関係が明らかになったとしても、損害の発生や損害額を証明することが大変困難です。

こうした場合に備えて、会社と社員との間で損害賠償額を予め決めておければ楽なのですが、これは労働基準法で禁止されていて、たとえ決めておいても無効になってしまいます。〔労働基準法16条〕

 

<不正競争防止法>

不正競争防止法には、損害賠償請求の規定があるのですが、この法律が保護の対象としている営業秘密は、範囲が限定されているため簡単には適用されません。

保護されるのは「秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの」とされています。〔不正競争防止法2条6項〕

実際には、秘密管理性の要件に欠けるとして、この法律の保護が受けられないことが多いのです。なぜなら、秘密管理性の要件を満たすには、次のことが行われている必要があるからです。

・情報に接した者にその情報が営業秘密であると認識させていること

・情報に接する者が制限されていること

 

<刑事責任と民事責任>

企業機密を持ち出した社員が書類送検されたということは、国家権力による刑事責任の追及が始まったということです。

このことによって、企業の犯人に対する損害賠償の請求が可能になったわけではありません。

刑事責任と民事責任とは、必ずしも連動しないのです。

やはり、秘密がもれたかも知れないと気づいてから対応するのではなく、もれないようにするのが得策です。

そのために最も効果的なのは、定期的に社員研修を繰り返すことです。何か問題が発生してから1回だけ研修を行い、その後長く実施しなければ、会社の態度が見透かされてしまいます。ですから、少なくとも年1回は実施したいものです。

こうした研修は、社外の講師が行った方が効果的ですし、労働契約の性質、就業規則の意味、誓約書の効果といった深い話から順を追ってきちんと説明することが大事です。

 

2018.05.02.解決社労士

<厚生年金や国民年金などの遺族年金の場合>

厚生年金や国民年金などの加入者(被保険者)であった人が亡くなったときは、遺族の方に対して遺族年金が支給されます。

また、恩給を受けていた人が亡くなった場合には、遺族の方に対して遺族恩給が支給されます。

次の法律に基づいて遺族の方に支給される遺族年金や遺族恩給は、所得税も相続税も課税されません。

 

国民年金法、厚生年金保険法、恩給法、旧船員保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法、旧農林漁業団体職員共済組合法

 

<未支給年金の受給>

これらの法律に基づいて支払を受ける年金の受給権者が死亡した場合に、その死亡した人に支給される年金給付のうちまだ支給されていなかったもの(未支給年金)があるときには、その受給権者の遺族で一定の条件に該当する人がその人の名前でその未支給年金の支給を請求することができます。

未支給年金は、2月分・3月分の年金が415日に支給されるというように、後払いであるために発生するものです。

遺族が支払を受ける未支給年金は、その遺族の固有の権利に基づいて支払を受けるものですので、その遺族の一時所得の収入金額に該当します。

ただし、これらの法律の規定により課税されないものとされているものを除きます。

 

<確定給付企業年金法などに基づく遺族年金>

遺族の方に支給される以下の年金などは、相続税の課税の対象になりますが、毎年受け取る年金には所得税が課税されません。

(1) 確定給付企業年金法第3条第1項に規定する確定給付企業年金に係る規約に基づいて支給される年金

(2) 所得税法施行令第73条第1項に規定する特定退職金共済団体が行う退職金共済に関する制度に基づいて支給される年金

(3) 法人税法附則第20条第3項に規定する適格退職年金契約に基づいて支給を受ける退職年金

 

2018.05.01.解決社労士

<年金振込通知書>

年金振込通知書は、原則として、年16月に郵送されます。年度の最初となる4月分の年金は6月に支給されます。6月が年度の最初の月分の振込月となることから、6月に年金振込通知書が郵送されるのです。

年金振込通知書は、2か月に1回の各支払期の年金振込額を知らせるものです。2つ以上の年金を受けている人には、年金種類ごとの年金振込通知書が封書で届くこともあります。

振込額や振込口座に変更がなければ、6月から先の支払月には年金振込通知書は送付されません。もちろん、年金振込通知書が送付されない月でも年金は支払われます。

なお、年金振込通知書に記載されている金額は、あくまでも予定額です。各支払期に支払額の変更があれば、その都度、年金振込通知書が郵送されます。

 

<税金が急に高くなる場合>

年金振込通知書を見て、税金が急に高くなっていることを知り、驚いて年金事務所に問い合わせるというケースが見られます。

年金から差し引かれる税金(所得税および復興特別所得税)は、所得税法の規定により、支払う年金額から各種控除を行い、残りの額に税率を掛けた額となります。

年金から各種の控除を受けるためには、年金を受けている人に送られている扶養親族等申告書に必要事項を記入して、提出期限までに出すことになっています。

しかし、扶養親族等申告書が提出されない場合には、年金の支給額から25%に相当する公的年金等控除額を差し引いた額の10.21%が所得税および復興特別所得税となります。

昨年と比べて急に高額の税金が徴収されている場合、扶養親族等申告書の提出を忘れている可能性があります。

個別に原因を確認したい場合は、ねんきんダイヤルまたは年金事務所等にお問い合わせください。

 

2018.04.30.解決社労士

<療養・就労両立支援指導料>

平成30(2018)35日付の厚生労働省告示第43号「診療報酬の算定方法の一部を改正する件」により、治療と仕事の両立支援に関する診療報酬として「療養・就労両立支援指導料」が新設されました。

この診療報酬は、がんと診断された患者について、保険医療機関の医師が就労の状況を考慮して療養上の指導を行い、患者本人の同意を得て、産業医に対し、症状、治療計画、就労上の措置に関する意見等の患者の就労と仕事の両立に必要な情報を文書により提供したうえで、産業医からの助言を得て、治療計画の見直しを行った場合に、6か月に1回に限り算定するものです。

この診療報酬による評価は、医療機関の主治医と事業場の産業医の連携のもとで、がん患者の治療と仕事の両立に向けた支援を充実させることを目指したものです。

点数は、1000(10,000)で、相談支援体制が整備されている保険医療機関の場合には、500(5,000)が上乗せされます。

 

<現状の条件>

対象疾患は、がんに限られています。

また対象患者は、産業医が選任されている事業場で就労している労働者に限られます。産業医というのは、労働者が健康で快適な作業環境のもとで仕事が行えるよう、専門的立場から指導・助言を行う医師のことをいいます。従業員が50名以上の企業では、産業医を選任して所轄の労働基準監督署長に届け出ることが義務とされています。小さな企業では、産業医が選任されていません。

さらに、次のことが算定要件とされています。

・主治医(保険医)が、産業医に対して治療と仕事の両立に関する意見書を作成する。

・産業医は、主治医(保険医)に対して治療と仕事の両立に関して必要な配慮等について文書で助言する。

・主治医(保険医)は、産業医の助言を踏まえ、治療計画の再評価を行う。

 

<会社の責任>

従業員が、がんにかかったことを理由に、会社から労働契約解除通知など出したら不当解雇になります。ご本人にも生活がありますし、治療費を負担するためにも働き続けたいのです。

かつては、がんについて、入院治療が当然の時代もありました。しかし、今や医学の発達によって、通院治療が主流となっています。つまり、通院の日には休んだり早退したりが必要になっても、普段の日は通常通り勤務できるということです。

ですから、ご本人と今後の勤務について良く話し合うことが大切です。勤務の継続に無理が感じられるようでしたら、医師などと相談のうえ、再度、ご本人と話し合うことになります。

これと併行して、労働安全衛生法などの規定を参考に、会社として取るべき措置を実施することも大切です。

ここまでやって初めて、会社は責任を果たしたことになります。

 

2018.04.29.解決社労士

平成30(2018)年4月27日、厚生労働省が平成 29(2017)年度第4四半期(1~3月)「再就職援助計画」の認定状況の集計結果(速報値)を公表しました。

 

<再就職援助計画とは>

「事業主は、事業規模の縮小等に伴い離職を余儀なくされる労働者について、当該労働者が行う求職活動に対する援助その他の再就職の援助を行うことにより、その職業の安定を図るように努めなければならない」という規定があります。〔雇用対策法6条〕

このため事業主が、一の事業所において30人以上の労働者が離職を余儀なくされることが見込まれる事業規模の縮小等を行おうとするとき、離職を余儀なくされる労働者のために作成しなければならないものが「再就職援助計画」です。〔雇用対策法24条1項〕

再就職援助計画は、最初の離職者の生ずる日の1か月前までに作成し、公共職業安定所長(ハローワーク)の認定を受けなければなりません。

ただし、これは30人以上の離職者を生じさせる事業規模の縮小等を行う場合であって、30人未満の離職者を生じさせる場合には、再就職援助計画の作成は任意です。

 

<再就職援助計画の内容>

再就職援助計画には、以下の内容を記載する必要があります。

・申請事業主の現状及び計画を作成する事業所の現状

・計画作成に至る経緯

・計画対象労働者の人数、計画期間

・対象労働者の氏名、生年月日、年齢、雇用保険被保険者番号、離職予定日、再就職援助希望の有無、雇用形態

・再就職援助のための措置

・労働組合等の意見(労働組合がある場合)

 

【平成 29年度第4四半期(1~3月)の集計結果(速報値)】

「再就職援助計画」の認定事業所数:159事業所(前年同期比63事業所の減少)

            離職者数:  8,105人    ( 同2,970人の減少)
平成29年度「再就職援助計画」の認定事業所数は527事業所、離職者数は25,415人となり、前年度から124事業所の減少、2,331人の減少となりました。
また、公表を開始した平成25年度以降では、平成29年度の認定事業所数、離職者数ともに過去最少となりました。

 

認定事業所数(事業所)

離職者数(人)

平成25年度

1,075

54,671

平成26年度

1,154

48,634

平成27年度

1,018

45,994

平成28年度

651

27,746

平成29年度

527

25,415

 

2018.04.28.解決社労士

<過重労働解消キャンペーン>

平成30(2018)年4月23日に、厚生労働省から「過重労働解消キャンペーン」での重点監督の実施結果について取りまとめた資料が公表されました。これは、平成29(2017)年11月に行われたキャンペーンの結果です。

この重点監督は、長時間の過重労働による過労死等に関する労災請求のあった事業場や、若者の「使い捨て」が疑われる事業場などを含め、労働基準関係法令の違反が疑われる7,635事業場に対して集中的に実施されたものです。

その結果、5,029事業場(全体の65.9%)で労働基準関係法令違反が確認され、そのうち 2,848 事業場(37.3%)で違法な時間外労働が認められたため、それらの事業場に対して、是正に向けた指導が行われました。

 

<重点監督結果のポイント>

⑴  監督指導の実施事業場:7,635 事業場

このうち、5,029事業場(全体の65.9%)で労働基準関係法令違反あり。

⑵  主な違反内容

ア 違法な時間外労働があったもの:2,848 事業場(37.3%)

 うち、時間外・休日労働の実績が最も長い労働者の時間数が月80時間を超えるもの:1,694事業場(59.5%)

 うち、月100時間を超えるもの:1,102事業場(38.7%)

 うち、月150時間を超えるもの:  222事業場( 7.8%)

 うち、月200時間を超えるもの:   45事業場( 1.6%)

イ 賃金不払残業があったもの:   536 事業場( 7.0%)

ウ 過重労働による健康障害防止措置が未実施のもの:778 事業場(10.2%)

⑶  主な健康障害防止に係る指導の状況 [(1)のうち、健康障害防止のため指導票を交付した事業場]

ア 過重労働による健康障害防止措置が不十分なため改善を指導したもの:5,504 事業場(72.1%)

うち、時間外・休日労働を月80時間以内に削減するよう指導したもの: 3,075事業場(55.9%)

イ 労働時間の把握が不適正なため指導したもの:1,232 事業場(16.1%)

 

※上記のうち、80時間・100時間という基準は「過労死ライン」と呼ばれるものです。脳・心臓疾患の発症前1か月間におおむね100時間または発症前2か月間ないし6か月間にわたって、1か月当たりおおむね80時間を超える時間外・休日労働が認められる場合は、業務と発症との関連性が強いとの医学的知見があるためにこの基準が設けられています。

 

<監督(調査)が入ったら>

以上の結果を見てどのように感じるかは、各人各様だと思います。

ただ、社会保険労務士の立場からすると、専門知識が無いために、無意識のうちに法令違反を招いている経営者の方々が多いように思われます。

監督(調査)が入ると、違法な部分を是正するように「是正勧告書」が交付され指導を受けます。これは、「勧告書」という名称なのに、「違法なのですぐに是正しなさい」という趣旨ですから、放置すると再度監督(調査)が入って検挙されかねません。

似た書類として「指導票」というのもあります。こちらは、「違法ではないけれど改善をお勧めします」という趣旨ですから、計画的な改善に努めれば良いわけです。

いずれにせよ、監督(調査)が入っても、何ら指摘を受けないのがベストですし、何か指摘を受けても適切な対応をすれば問題ありません。

もし、社内に専門職の社員を確保できないのであれば、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご相談ご用命ください。

 

2018.04.27.解決社労士

<定義変更のお知らせ>

 

厚生労働省は、平成30(2018)420日付で、「毎月勤労統計調査」の平成30(2018)2月分結果確報を公表しました。

これに併せて、「毎月勤労統計調査における平成301月分調査からの常用労働者の定義の変更及び背景について」と「毎月勤労統計調査における平成301月分調査からの部分入替え方式の導入に伴う対応について」の2つのお知らせを公表しました。

 

<変更内容>

 

●変更前 …… 平成29(2017)12月分調査まで

常用労働者とは以下のいずれかに該当するものをいう。

1.期間を定めずに雇われている者

21か月を超える期間を定めて雇われている者

3.臨時または日雇労働者で前2か月の各月にそれぞれ18日以上雇われた者

 

●変更後 …… 平成30(2018)年1月分調査から

常用労働者とは以下のいずれかに該当するものをいう。

1.期間を定めずに雇われている者

21か月以上の期間を定めて雇われている者

 

この変更によって、「臨時または日雇労働者で前2か月の各月にそれぞれ18日以上雇われた者」という複雑な条件の労働者は、常用労働者の定義から外されました。データの提出を求められる企業にとっても、データを活用しようとする企業や団体にとっても、やっかいなカテゴリーが消えたことになります。

また、1か月ちょうどの雇用契約で働いている労働者は、新たに常用労働者のカテゴリーに加わったことになります。

 

<変更の理由>

 

常用労働者と臨時労働者の区分については、事業所・企業を対象とする統計調査と世帯・個人を対象とする統計調査との間で、直接的な比較が困難であったことから、両者で基準を統一しました。

 

<注意すること>

 

「毎月勤労統計調査」を統計データとして活用する場合、以前のものとは常用労働者の定義が異なっていることから、その連続性がやや失われていることに注意が必要です。

調査対象事業所となった場合、前回の経験を踏まえてデータを作成するのではなく、作成の手引きを確認しながら作業する必要があります。

 

2018.04.26.解決社労士

<セクハラの公式定義>

セクシュアルハラスメント(セクハラ)とは、職場において、性的な冗談やからかい、食事やデートへの執拗な誘い、身体への不必要な接触など、意に反する性的な言動が行われ、拒否したことで不利益を受けたり、職場の環境が不快なものとなることをいいます。

「対価型セクハラ」とは、労働者の意に反する性的な言動に対する労働者の対応(拒否や抵抗)により、その労働者が解雇、降格、減給等の不利益を受けることをいいます。

「環境型セクハラ」とは、労働者の意に反する性的な言動により労働者の就業環境が不快なものとなったため、能力の発揮に重大な悪影響が生じる等その労働者が就業する上で看過できない程度の支障が生じることをいいます。

 

<定義の修正>

上記の公式定義からは、実害のあったことがセクハラ成立の条件であるかのように思われます。

しかし、企業はセクハラ発生の防止に努めなければなりませんし、セクハラ行為を行った社員に対して懲戒処分を行いたいと思っても、会社が実害の発生を証明できなければ断念せざるを得ません。

このことから、私は「職場の人間関係や職場環境で性について平穏に過ごす自由を侵害しうる行為」という定義を推奨しています。

セクハラの加害者は「本人の受け取り方次第」という言い逃れをしたがりますが、この定義であれば、それはできない話です。被害者の感情とは無関係に客観的に認定されますから。

 

<密室型セクハラの特殊性>

部屋の中に加害者と被害者だけがいる状態で行われたセクハラは、他のハラスメントと同様にその立証が極めて困難です。

セクハラがあったということが、真実であったとしても、これを客観的に認定するのは、ほとんど不可能ではないでしょうか。

反対に、セクハラをでっち上げることも簡単な状況であるといえます。

 

<企業の取るべき対応>

密室型セクハラを防止するためには、それが起こらないためのルールを設定し、社員に教育し、ルールの順守を求めることが必要です。

たとえば、男女1名ずつで会議室や応接室には入らない、自動車に乗車しないなどのルールです。さらに、LGBTに配慮するのであれば、性別にかかわりなく密室に2名でこもることを禁止しなければなりません。

少し厳しいルールのような気もしますが、どうしても2名で密室に入る必要性は、滅多に発生しません。

社員と会社を守るためには、必要なことではないでしょうか。

 

ところで、私の尊敬する飯田弘和先生が、最近のセクハラ報道に一石を投じています。

よろしかったら↓こちらもどうぞ。 

https://ameblo.jp/soudan-iida

 

2018.04.25.解決社労士

社員が社内で、あるいは、お取引先やお客様からセクハラを受けたなら、会社は毅然(きぜん)とした態度を示しましょう。

 

<ハラスメント対策>

セクハラは、ハラスメントの一種ですから、客観的に見れば人権侵害(嫌がらせ)です。そして、直接の相手だけではなく、その行為を見聞きした人にも恐怖感や不快感を与える形で被害を及ぼします。

 

<実質的なハラスメント対策>

目的は、従業員の中から被害者も加害者も出さないことです。

対策の柱は、「ハラスメントは卑劣で卑怯な弱い者いじめ。絶対に許さない。」という経営者の宣言と、社内での定義を明確にして社員教育を繰り返し行うことです。

その効果は、労働力の確保、労働環境の維持、生産性の向上、定着率の向上、応募者の増加、会社の評判の上昇と幅広いものです。

 

<形式面でのハラスメント対策>

目的は、会社がハラスメント防止に取り組んでいることの証拠を残しておくことです。

対策の柱は、就業規則などで定義を明確に文書化しておくこと、教育実績の保管、相談窓口の設置(できれば社外)です。

その効果は、被害者からの損害賠償請求額の減少などです。

 

<社員とは限らない加害者>

多くのセクハラは、社員同士で問題となります。

これを放置することは、会社にとって明らかにマイナスですから、積極的な対応をすることに躊躇する理由はありません。

しかし、お取引先の社員からのセクハラであれば、今後の取引関係を考えて、事なかれ主義に走ってしまう危険があります。

こうした場合には、社長自らお取引先に出向いてセクハラの事実を確認し、事実があれば取引関係を解消する毅然とした態度が必要です。

お取引先も理解を示さざるを得ませんし、社員は会社の態度に共感するでしょうし、こうした情報が外部に漏れても批判は生じにくいものです。

長い目で見れば、会社にとってのプラスが大きいといえます。

このことは、お客様からのセクハラについても、全く同じことが言えます。

むしろ、これを放置することは、他のお客様が離れていく原因となるのではないでしょうか。

 

2018.04.24.解決社労士

「テレワーク」と聞いて、電話を使った仕事を思い浮かべる方がいらっしゃるほど、その認知度は低いのが現状です。

 

<テレワーク・デイズ>

厚生労働省は、総務省、経済産業省、国土交通省、内閣官房、内閣府や、東京都、経済団体と連携し、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会を契機としたテレワーク国民運動プロジェクト「テレワーク・デイズ」を、平成30(2018)723()27()5日間にわたり実施します。

東京大会の開催期間中、首都圏では交通の混雑が予想されます。そこで、東京大会の開催期間に首都圏の企業・団体がテレワークを活用することで、交通混雑の解消につながるよう、平成29(2017)年には、 東京大会の開会式にあたる724日を「テレワーク・デイ」と位置づけて、テレワークの一斉実施を呼び掛けました。

これは、ロンドンオリンピックでテレワークを活用したことによる交通混雑緩和の事例を踏まえてのことです。

平成24(2012) 年に開催されたロンドンオリンピック・パラリンピック競技大会では、交通混雑によりロンドン市内での通勤に支障が生じるとの予測から、市交通局がテレワークなどの活用を呼び掛け、これにロンドン商工会議所をはじめとする企業や市民が賛同する形で、約8割の市内の企業がテレワークを導入しました。結果として、会期中の交通混雑を回避できたことに加え、テレワークを導入した企業では、事業継続体制の確立、生産性や従業員満足の向上、ワークライフバランスの改善などの成果が得られたと報告されています。

今年は、前回の施策を発展させた「テレワーク・デイズ」として、複数日のテレワーク実施を呼び掛けます。また、平成30(2018)626日(火)には、「テレワーク・デイズ」の実施に先立ち、プレイベントを都内で開催します。なお、「テレワーク・デイズ」は、東京都が行っている通勤ラッシュ回避のために通勤時間をずらす働き方改革の施策のひとつ「時差Biz」とも連携しています。

 

<主な実施ポイント>

・テレワーク一斉実施の効果測定を行うため、7 24 日を「コア日」として設定。

・7 23 日~ 27 日の5日間の中で、コア日である 24 日と、その他の日の計2日間以上を「テレワーク・デイズ」として実施。

・参加企業・団体は、「テレワーク実施団体」、「特別協力団体」、「応援団体」の3分類とする。

・初参加の企業・団体は、7 24 日の1日でも参加可能とする。

・2,000 団体、延べ 10 万人の参加を目標とする。

・時差出勤やフレックスタイムなどを組み合わせた、多様な働き方を奨励する。

・首都圏以外、中小規模の企業・団体などにも参加を働きかける。

 

<参加企業・団体の3分類>

 

「テレワーク実施団体」

 参加人数などは問わず、テレワークを実施またはトライアルを行う団体。

 

「特別協力団体」

 交通混雑緩和、消費支出の変化などの効果測定の協力が可能で、724日を含む2日間以上、そして724日に100人以上のテレワークを実施する団体。

 

「応援団体」

 テレワークに関する実施ノウハウ、ワークスペース、ソフトウェアなどを提供する団体。

 

社員の離職を防ぎ、新人を採用しやすくするためにも、可能な限りテレワークの導入にチャレンジしたいものです。

 

2018.04.23.解決社労士

<受給資格期間>

年金を受ける場合は、保険料を納めた期間や加入者であった期間等の合計が一定年数以上必要です。この年金を受けるために必要な加入期間を受給資格期間といいます。

日本の公的年金では、すべての人に支給される老齢基礎年金の受給資格期間である10年間が基本になります。国民年金だけでなく、厚生年金、共済組合の加入期間もすべて含まれます。また、年金額には反映されない合算対象期間や保険料が免除された期間も、受給資格期間になります。

 

<受給権>

上の受給資格期間を満たしていることを前提に、老齢年金を受給できるのは、加入していた国民年金・厚生年金などの区分や、性別・生年月日に応じて決められた支給開始年齢に達してからです。

このように受給開始年齢に達したときに、受給権を取得することになります。

 

<法律上は誕生日の前日に歳をとる>

私たちは日常の生活の中では、誕生日に1つ歳をとるものと考えています。

しかし法律上は、誕生日の前日の「午後12時」(2400秒)に歳をとります。

「前日午後12時」と「当日午前0時」は時刻としては同じですが、日付は違うという屁理屈です。

学校でも、42日生まれから翌年41日生まれまでを1学年としています。41日から翌年331日までの間に○歳になる生徒の集団ということです。

これはおそらく「誕生日に年をとる」だと、229日生まれの人は、4年に1回しか歳をとらないので、不都合だからでしょう。

2月29日生まれの人は、前日の228日に歳をとることにして、救済しているのだと思います。

 

<いつの分から>

たとえば65歳で受給権を取得する場合には、65歳になった月の翌月分から老齢年金をもらえます。

一般には、誕生月の翌月分からですが、各月の1日生まれの人は、前月の末日に65歳になりますから、例外的に65歳の誕生月の分から老齢年金をもらえます。

 

<いつもらえるか>

2月分・3月分は、415日に支給されます。

4月分・5月分は、615日に支給されます。

6月分・7月分は、815日に支給されます。

8月分・9月分は、1015日に支給されます。

10月分・11月分は、1215日に支給されます。

12月分・翌1月分は、215日に支給されます。

15日が金融機関の営業日でなければ、その直前の営業日に支給されます。

しかし、老齢年金をもらうには、年金事務所などで手続きをする必要があります。この手続が遅れれば、その分だけ年金を受け取るのが遅くなります。

また、年金を受け取る権利は、5年間で時効により消滅するのが原則です。

 

年金の受給を繰り上げたり繰り下げたりする制度もあります。

気になることは、お近くの年金事務所でご確認ください。

ただし、大変込み合いますから、事前に電話予約することを強くお勧めします。

 

2018.04.22.解決社労士

<同一労働同一賃金>

 

現在の日本で導入が急がれている「同一労働同一賃金」は、仕事ぶりや能力が適正に評価され、意欲をもって働けるよう、同一企業・団体の正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)との間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。

正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差の解消の取組を通じて、どのような雇用形態を選択しても納得が得られる処遇を受けられ、多様な働き方を自由に選択できるようにすることを目指しています。

しかし現時点でも、同一労働同一賃金に関する法令の規定が存在します。

これらの規定を以下に紹介します。

 

<短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律>

 

第八条(短時間労働者の待遇の原則)

事業主が、その雇用する短時間労働者の待遇を、当該事業所に雇用される通常の労働者の待遇と相違するものとする場合においては、当該待遇の相違は、当該短時間労働者及び通常の労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

 

基本的に、待遇の相違が労働時間の長短によるものではないことを、雇い主である企業や団体が証明できなければ、この規定に違反するものとされてしまいます。

 

第九条(通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止)事業主は、職務の内容が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一の短時間労働者(第十一条第一項において「職務内容同一短時間労働者」という。)であって、当該事業所における慣行その他の事情からみて、当該事業主との雇用関係が終了するまでの全期間において、その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるもの(次条及び同項において「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」という。)については、短時間労働者であることを理由として、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的取扱いをしてはならない。

 

<労働契約法>

 

第二十条(期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止)

有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

 

有期契約労働者と無期契約労働者との差別を禁止する規定です。

 

<労働者派遣法>

正式名称=労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律

 

第三十条の三(均衡を考慮した待遇の確保)

派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する派遣先に雇用される労働者の賃金水準との均衡を考慮しつつ、当該派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する一般の労働者の賃金水準又は当該派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力若しくは経験等を勘案し、当該派遣労働者の賃金を決定するように配慮しなければならない。

2 派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の従事する業務と同種の業務に従事する派遣先に雇用される労働者との均衡を考慮しつつ、当該派遣労働者について、教育訓練及び福利厚生の実施その他当該派遣労働者の円滑な派遣就業の確保のために必要な措置を講ずるように配慮しなければならない。

 

派遣社員と派遣先の社員との差別を禁止する規定です。

 

このように、働き方改革関連法の成立前であっても、差別を禁止する法令があることに留意しましょう。

 

2018.04.21.解決社労士

<平成31(2019)年14日は金曜日>

建設業など一部の業界では、年末年始に長期休暇を設ける慣行があります。

しかし、業種や職種にもよりますが、来年の14日をカレンダー通りに出勤日にせず、全社であるいは特定部署で一斉に年次有給休暇を取得すると、前後の土日を合わせて9連休になる可能性があります。

 

<ここを年休にするメリット>

1月4日が、連休の狭間の勤務となる場合、この日の生産性は低くなってしまうのではないでしょうか。

普段、なかなか年次有給休暇を取得できない労働者が、1日だけ年次有給休暇を取得して9連休にできたら、リフレッシュして心身の疲労回復に役立つことでしょう。

年次有給休暇の取得は、従業員の健康と生活に役立つだけでなく、従業員の心身の疲労の回復、生産性の向上など会社にとっても大きなメリットがあります。

また、政府が推進する働き方改革の推進にもなるでしょう。

働き方改革は「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善」と考えられるからです。

 

<取得の請求には不安もある>

年次有給休暇は、正社員、パートタイム労働者、アルバイトなどの雇用形態とは関係なく、労働者に与えられた法定の権利です。

基本的には、労働者から会社に対して取得日を指定して請求するのですが、年次有給休暇の取得を請求するには次のような不安があります。

・みんなに迷惑がかかるのではないか

・休み明けに忙しくなるのではないか

・職場が年次有給休暇を取得できる雰囲気ではない

・上司が嫌な顔をしそうだ

・昇格や人事考課に悪影響がありそうだ

 

<計画的付与制度>

年次有給休暇の付与日数のうち、5日分を除いた残りの日数については、労使協定を結べば、計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度です。

この制度を導入している企業は、導入していない企業よりも年次有給休暇の平均取得率が7.5% 高くなっているという統計もあります。(「就労条件総合調査」による平成27年の統計)

この制度を導入することによって年次有給休暇が取りやすくなると考えられます。

しかも、上に掲げた5つの不安はほとんど解消するでしょう。

「休み明けに忙しくなる」という不安については、計画的な連休であることから、連休を取得する従業員同志ではお互い様になりますし、連休前に前倒しして仕事を進めておくなどの工夫が可能です。

 

仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)のためには、労働時間の削減や休日数の増加、年次有給休暇の取得など、従業員の健康と生活に配慮し、多様な働き方に対応したものへ改善することが重要です。

 

2018.04.20.解決社労士

<働き方改革>

働き方改革の定義は、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善」といえるでしょう。

 

社員は人間ですから、ある程度の時間働き続ければ、肉体的精神的疲労が蓄積して効率が低下してきます。

しかし、休憩や休暇によってリフレッシュできれば、体力と気力が回復して生産性が高まります。

適切な労働時間で働き、ほどよく休暇を取得することは、仕事に対する社員の意識やモチベーションを高めるとともに、業務効率の向上にプラスの効果が期待されます。

 

これに対し、長時間労働や休暇が取れない生活が常態化すれば、メンタルヘルスに影響を及ぼす可能性も高まりますし、生産性は低下します。

また、離職リスクの上昇や、企業イメージの低下など、さまざまな問題を生じることになります。

社員のためだけでなく、そして企業経営の観点からも、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進が得策です。

 

社員の能力がより発揮されやすい労働環境、労働条件、勤務体系を整備することは、企業全体としての生産性を向上させ、収益の拡大ひいては企業の成長・発展につなげることができます。

 

<年次有給休暇取得促進のための具体的施策リスト>

厚生労働省から「働き方・休み方改善指標」が公表されています。

この中から、年次有給休暇取得促進に向けた働き方の改善を進めるための具体的な施策を抽出すると、次のようになります。

 

項目1:方針・目標の明確化

経営トップによるメッセージの発信

経営や人事の方針として年次有給休暇の取得促進を明文化

全社・部署・個人等での年次有給休暇取得日数、取得率等に関する数値目標の設定

 

項目2:改善推進の体制づくり

年次有給休暇の取得促進に向けた社内体制の明確化

休暇取得に関する相談窓口の設置

年次有給休暇取得促進に関する労使の話し合いの機会の設定

 

項目3:改善促進の制度化

業務繁閑に応じた休業日の設定

誕生日・記念日等の決まった日や申告した日を年次有給休暇とする等の休暇制度の設定

ゴールデンウィークや夏季・冬季等、機会を捉えた年次有給休暇の計画的付与制度の導入

時間単位での年次有給休暇制度等の導入

5営業日以上の連続休暇制度の導入

 

項目4:改善促進のルール化

部下の年次有給休暇取得状況を管理職の人事考課に盛り込む

管理職に部下の年次有給休暇の取得状況の把握・管理を義務づける

 

項目5:意識改善

年次有給休暇取得促進に関する社員向けや管理職向けの教育・研修

年次有給休暇取得促進のための周知・啓発

 

項目6:情報提供・相談

各自の年次有給休暇残日数の社員への通知

制度の利用促進のための情報提供

年次有給休暇取得率の低い(残日数の多い)社員に対する個別の休暇取得奨励

 

項目7:仕事の進め方改善

休暇・休業時の業務フォローアップ体制の構築(顧客・取引先情報の共有等)

年次有給休暇の取得促進を目的とした業務プロセスの見直し

業務計画、要員計画、業務内容の見直し

年次有給休暇取得促進を目的とした取引先との関係見直し

 

項目8:実態把握・管理

社員の休暇取得に関する意識や意向の定期的な把握

管理職による年次有給休暇の取得日数の管理

 

中小企業でも、上記の項目のほとんどすべてをクリアしている会社があります。最初から、年次有給休暇、産休、育休、介護休暇などは、法律で決まっていることだから、これらを前提に経営しているという会社です。

正直、会社の成長にとって不利な要素もありますが、人手不足の現状では、このような会社こそが生き残るのかもしれません。

 

<社員も人間ですから>

いきなり年次有給休暇を取得しましょうと言われても、社員ひとり一人の都合があります。

普段から、「たまには家族旅行に連れてって」と言われている社員にとっては大助かりです。会社にとっても、リフレッシュして業務に専念してもらえるのなら、利害が一致します。

それでも、普段から家に帰るのが怖い、年次有給休暇など取得したら、妻や子供から何を要求されるかわからないという社員にとっては深刻です。

また、日常業務をこなすのに一杯一杯の社員は、「年次有給休暇も仕事をさせてもらえるのなら助かる」と思っているかもしれません。ルーチンワークの多い経理の仕事をしている人には多いパターンです。

そこまで考えて、年次有給休暇の取得促進をするのはむずかしい、時間と手間をかけられないというのであれば、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ご用命ください。

 

2018.04.19.解決社労士

<働き方改革>

働き方改革の定義は、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善」といえるでしょう。

 

社員は人間ですから、ある程度の時間働き続ければ、肉体的精神的疲労が蓄積して効率が低下してきます。

しかし、休憩や休暇によってリフレッシュできれば、体力と気力が回復して生産性が高まります。

適切な労働時間で働き、ほどよく休暇を取得することは、仕事に対する社員の意識やモチベーションを高めるとともに、業務効率の向上にプラスの効果が期待されます。

 

これに対し、長時間労働や休暇が取れない生活が常態化すれば、メンタルヘルスに影響を及ぼす可能性も高まりますし、生産性は低下します。

また、離職リスクの上昇や、企業イメージの低下など、さまざまな問題を生じることになります。

社員のためだけでなく、そして企業経営の観点からも、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進が得策です。

 

社員の能力がより発揮されやすい労働環境、労働条件、勤務体系を整備することは、企業全体としての生産性を向上させ、収益の拡大ひいては企業の成長・発展につなげることができます。

 

<長時間労働抑制のための具体的施策リスト>

厚生労働省から「働き方・休み方改善指標」が公表されています。

この中から、長時間労働抑制に向けた働き方の改善を進めるための具体的な施策を抽出すると、次のようになります。

 

項目1:方針・目標の明確化

□経営トップによるメッセージの発信

□経営や人事の方針として長時間労働の抑制を明文化

□全社・部署・個人等での労働時間、残業時間等に関する数値目標の設定

 

項目2:改善推進の体制づくり

□長時間労働の抑制に向けた社内体制の明確化

□労働時間に関する相談窓口の設置

□長時間労働の抑制に関する労使の話し合いの機会の設定

 

項目3:改善促進の制度化

□労働時間・就労場所を柔軟にする制度( フレックスタイム制、朝型の働き方、短時間勤務制度、テレワーク制度、在宅勤務制度等)の導入

□業務繁閑に応じて営業時間を設定

□ノー残業デー、ノー残業ウィーク等、定時退社期間を設定

□勤務間インターバル制度を導入

 

項目4:改善促進のルール化

□残業の多い部下を持つ管理職への指導、改善促進

□部下の長時間労働の抑制を管理職の人事考課に盛り込む

□残業を行う際の手続きを厳格化

 

項目5:意識改善

□長時間労働の抑制に関する社員向けや管理職向けの教育・研修を実施

□長時間労働抑制のための周知・啓発

□退勤時刻の終業呼びかけ、強制消灯

 

項目6:情報提供・相談

□労働時間・残業時間を社員各自に通知

□36協定で結ばれている延長できる労働時間を周知

□労働時間制度紹介のパンフレット等を配布

□定期健康診断以外での長時間労働やストレスに関するカウンセリング機会等を提供

 

項目7:仕事の進め方改善

□長時間労働の抑制を目的とした業務プロセスの見直し

□業務計画、要員計画、業務内容の見直し

□長時間労働の抑制を目的とした取引先との関係見直し

 

項目8:実態把握・管理

□社員の働き方や労働時間に関する意識や意向の定期的な把握

□タイムカードやICカード等の客観的な方法により労働時間を管理・把握

□管理職やみなし労働・裁量労働制等の適用者について労働時間を把握

 

これらは、あくまでもチェックリストですから、実際に施策を進めるにあたっては、この順番で進めるわけではありません。

会社の実情に応じて、順番を考えなければなりませんが、項目1:方針・目標の明確化は最優先でしょう。

次に行うべきは、多くの会社では、項目7:仕事の進め方改善だと思います。

仕事のムリ・ムダ・ムラを排除して、本当に必要な仕事だけを抽出する必要があります。

仕事は減らず、社員は減少しているのに、労働時間削減など無理な話です。

習慣的に行っている仕事の中で必要性の低い仕事をやめる、他部署とダブっている仕事はより得意な部署がまとめて行う、会議はやめて誰かに一任する、あるいは、23人の協議に委ねるなど、仕事の分量を減らす工夫も大事です。

 

<社員も人間ですから>

いきなり労働時間を減らすと言われても、社員ひとり一人の都合があります。

周囲の社員に気を遣って、やむなくダラダラ残業をして、終業時間を合わせていた社員なら、長時間労働抑制は大助かりです。会社にとっても、人件費の削減となりますから、利害が一致します。

それでも、残業代を稼いで生活の糧にしていた社員にとっては深刻です。高級な外車を買うために残業代を稼いでいたのなら、諦めてもらうことは難しくないのかも知れません。しかし、実家の親に仕送りをするためであれば、転職や副業を考えるほど深刻な話になりかねません。

また、自分の仕事の出来栄えにこだわりを持っている社員は、「残業代は要らないから、思う存分、残業させてくれ」と思っているかもしれません。企画やデザインの仕事をしている人には多いパターンです。

そこまで考えて、労働時間の削減をするのはむずかしい、時間と手間をかけられないというのであれば、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ご用命ください。

 

2018.04.18.解決社労士

<調査の趣旨>

申告申請の内容が適正であるかを確認するため、毎年度、一定数の事業主が抽出され、訪問調査が行われます。これには、納付金申告を行っていない事業主の申告義務の有無確認が含まれます。

すべての事業主を対象として、毎年調査することはできないため、数年に分けて行っています。事業主から見れば、数年に1回調査が入るということになります。

この調査は、障害者の雇用の促進等に関する法律に基づくものです。〔障害者雇用促進法52条〕

資料の提出拒否や虚偽の報告等は、罰せられることがありますのでご注意ください。〔障害者雇用促進法86条〕

 

<事業所調査の概要>

原則として、申告申請年度を含む直近3か年の各月における常用雇用労働者数や雇用障害者の雇用を裏付ける資料を確認します。

●常用雇用労働者の総数確認

・常用雇用労働者の範囲

・法定雇用障害者数の算定基礎となる労働者数

●雇用障害者の確認

・障害の種類と程度

(障害者手帳等の写しは退職後も3年間は保管が必要です)

・雇用関係と労働時間数

 

<調査対象となる資料>

・全労働者の労働者名簿、賃金台帳、雇用契約書等

(これらは労働基準法により罰則付きで義務付けられています)

・全労働者の勤務(就労)状況が確認できる出勤簿、タイムカード、勤怠表等

・その他、労働者の雇用に関する資料

 

<調査結果による対応>

調査の結果に基づき、次のような手続きがとられます。

●申告した納付金の額が過少であった場合

独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構が納付金の額を決定し、納入の告知を行います。この場合、その納付すべき額に10%を乗じて得た額の追徴金が加算されます。

●申告した納付金の額が過大であった場合

独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構が納付金の額を決定し、すでに納付した納付金の額のうち、過大となっている額がある場合には、未納の納付金に充当し、なお残余があるとき又は未納の納付金がないときは還付します。

●支給を受けた調整金等の額が過大であった場合

対象事業主は、最大過去10年に遡って支給額の全部または一部を返還することになります。

 

最新情報は、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 のページでご確認ください。

http://www.jeed.or.jp/disability/koyounoufu/

 

2018.04.17.解決社労士

<障害者雇用納付金制度>

障害者の雇用には、事業主の経済的負担が伴います。

障害者を多数雇用している事業主と、障害者をほとんど雇用していない、あるいは、全く雇用していない事業主との経済的負担の格差の調整を図るために、障害者雇用納付金制度が設けられています。

具体的には、法定雇用率未達成の事業主から障害者雇用納付金を徴収し、それを財源とした障害者雇用調整金、報奨金、在宅就業障害者特例調整金、在宅就業障害者特例報奨金、各種助成金を支給する制度です。

 

<障害者雇用納付金>

常用雇用労働者の総数が100人を超える事業主で、法定雇用障害者数を下回っている事業主は、不足1人につき月額50,000円の障害者雇用納付金を納付します。

ただし、常用雇用労働者の総数が200人以下の事業主は、平成323月までの分について、40,000円に減額されています。(減額特例)

 

<障害者雇用調整金>

常用雇用労働者の総数が100人を超える事業主で、雇用障害者数が法定雇用障害者数を超えている場合は、超過1人につき月額27,000円の障害者雇用調整金が支給されます。

 

<報奨金の支給>

常用雇用労働者の総数が100人以下の事業主で、各月の雇用障害者数の年度合計数が一定数を超える場合、超える障害者1人につき月額21,000円の報奨金が支給されます。

ここで一定数とは、常用雇用労働者数の4%、または、各月6人(年間72人)のどちらか多い方をいいます。

 

<在宅就業障害者支援制度・助成金>

在宅就業障害者に仕事を発注する事業主に対する特例調整金・特例報奨金の制度があります。

障害者を雇い入れるための施設の設置、介助者の配置等に支給される助成金があります。

 

最新情報は、独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構 のページでご確認ください。

http://www.jeed.or.jp/disability/koyounoufu/

 

2018.04.16.解決社労士

<法定雇用率の引き上げ>

平成30(2018)年4月1日、民間企業における障害者の法定雇用率が、2.0%から2.2%に引き上げられました。

さらに、平成33(2021)年4月までには2.3%に引き上げとなります。

事業主ごとの障害者雇用率は、原則として、次のように計算されます。

障害者の実雇用率 = 障害者である労働者の数 ÷ 労働者の数

 

<労働者の数>

障害者の実雇用率を計算するときの「労働者」は、常時雇用している労働者(常用労働者)をいいます。

常用労働者に当てはまるのは、1年以上継続して雇用されている人と、1年以上継続して雇用される見込みの人のうち、1週間の所定労働時間が20時間以上の人です。これには、障害者も含みます。

ただし、1週間の所定労働時間が30時間以上の人は、1人をそのまま1人と数えますが、20時間以上30時間未満の人は、1人を0.5人として数えます。

ここで、1週間の所定労働時間が20時間以上30時間未満の人を「短時間労働者」と呼びます。

このように、障害者の実雇用率を計算するときには、1年以上の継続雇用を前提として、1週間の所定労働時間で区分しますから、正社員、パート社員、アルバイトなどの区分が当てはまらないことになります。

 

<障害者である労働者の数>

障害者には、身体障害者だけでなく、知的障害者、精神障害者を含めて数えます。

身体障害者と知的障害者のうち重度の人を「重度障害者」と呼びます。

たとえば、身体障害者障害程度等級表の1~2級に該当、もしくは3級に該当する障害を2以上重複していることで2級とされる人は「重度身体障害者」です。

この重度障害者の場合には、短時間労働者なら1人をそのまま1人と数えます。短時間労働者でなければ、1人を2人と数えます。

また、重度障害者ではない障害者の場合には、短時間労働者なら1人を0.5人として数えます。短時間労働者でなければ、1人をそのまま1人と数えます。

 

2018.04.15.解決社労士

<正社員の手当廃止>

次のようなニュースがありました。(2018年4月13日朝日新聞デジタル)

 

日本郵政グループが、正社員のうち約5千人の住居手当を今年10月に廃止することがわかった。この手当は正社員にだけ支給されていて、非正社員との待遇格差が縮まることになる。「同一労働同一賃金」を目指す動きは広がりつつあるが、正社員の待遇を下げて格差の是正を図るのは異例だ。

 

このニュースは、次のように締めくくっています。

 

日本郵政グループの今回の判断で、正社員の待遇を下げて対応する企業が広がる可能性がある。

 

<同一労働同一賃金>

働き方改革関連法案にも、同一労働同一賃金が盛り込まれています。

また、厚生労働省のガイドライン案にも、通勤手当や食事手当といった各種手当の処遇差は認められないことが示されています。

これらは、正社員と非正社員の処遇について差別がある場合に、非正社員の処遇を正社員の水準に引き上げることを原則としています。

ところが、このニュースでは、正社員の手当の一部を廃止することによって、非正社員との処遇の差を解消することが報じられています。

 

<不利益変更の禁止>

コンビニで飲料を買うような売買契約であれ、労働契約であれ、一方の当事者が自分に有利に契約内容を変更するのは自由ではありません。それが許されるなら、そもそも契約そのものが成立しません。

労働条件の不利益変更というのは、使用者から労働者に一方的に変更を申し出る場合を想定していますので、禁止されるのは当然のことといえます。

ただ、コンビニでのお客様とお店との売買契約は1回きりのことです。しかも、商品の引き渡しと代金の支払いが同時です。後から問題になることが少ない性質を持っています。

ところが労働契約は、労働者と使用者との継続的な関係ですし、給与は後払いですから、何かとトラブルが発生しやすく長引きやすいのです。

そこで、労働者の保護という労働関係法令全体の趣旨を踏まえ、特に労働条件の不利益変更禁止の原則が強調されているわけです。

 

<不利益変更が許される場合>

今回のニュースのような、正社員の手当の一部廃止は、一定の条件を満たせば適法に行うことができます。

基本的には、労使の合意によって行うことができるのです。〔労働契約法8条〕

しかし手当の廃止は、給与の減額を意味するのですから、正社員が手当の廃止に合意するような、もっともな事情が無ければ安易に認められません。

また、正社員の合意は、自由な意思による合意であることが必要ですから、「合意しないと○○」「みんな合意しているぞ」など、強い調子で迫られてやむを得ず合意したのでは、合意が有効にはなりません。

日本郵政グループでは、会社側と組合側とで十分に話し合い、手当の廃止後も10年間は一部を支給する経過措置を設けるなどの条件が付いたことで折り合った形です。

労働組合が無い会社で、会社の一方的な説明によって手当を廃止するような乱暴なことは決して許されず、手当の廃止は無効になるのです。

 

 

【参考】労働契約法

 

(労働契約の内容の変更)

第八条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

 

(就業規則による労働契約の内容の変更)

第九条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。

 

第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

 

2018.04.14.解決社労士

平成30(2018)330日に、厚生労働省の「ストレスチェック実施プログラム」が更新されました。

 

<ストレスチェック>

「ストレスチェック」とは、ストレスに関する質問票(選択回答)に労働者が記入し、それを集計・分析することで、自分のストレスがどのような状態にあるのかを調べる簡単な検査です。

労働安全衛生法が改正されて、労働者が50人以上いる事業所では、平成27(2015) 12 月から、毎年1回、この検査をほぼ全ての労働者に対して実施することが義務付けられました。

ただし、契約期間が1年未満の労働者や、労働時間が通常の労働者の所定労働時間の4分の3未満の短時間労働者は義務の対象外です。

 

<ストレスチェック実施プログラム>

厚生労働省では、改正労働安全衛生法に基づき、事業者向けにストレスチェックの受検、結果出力、集団分析などができる「ストレスチェック実施プログラム」をホームページ上でダウンロードできるよう、公開しています。

 

https://stresscheck.mhlw.go.jp/

 

この実施プログラムには、以下のような機能があります。

1. 労働者が画面でストレスチェックを受けることができる

2. 労働者の受検状況を管理できる

3.労働者が入力した情報に基づき、あらかじめ設定した判定基準に基づき、自動的に高ストレス者を判定できる

4. 個人のストレスチェック結果を出力できる

5. あらかじめ設定した集団ごとに、ストレスチェック結果を集計・分析し、仕事のストレス判定図を作成できる

6.集団ごとの集計・分析結果を出力できる

7.労働基準監督署へ報告する情報を表示できる

 

<ストレスチェックの目的>

労働者が自分のストレスの状態を知ることで、ストレスをためすぎないように対処したり、ストレスが高い状態の場合は医師の面接を受けて助言をもらったり、会社側に仕事の軽減などの措置を実施してもらったり、職場の改善につなげたりすることで、鬱(うつ)などのメンタルヘルス不調を未然に防止するための仕組みです。

 

<個人で試したい場合>

個人でストレスチェックを試したい場合は、「こころの耳」に掲載されている「5分でできる職場のストレスセルフチェック」も利用できます。

 

https://kokoro.mhlw.go.jp/check/index.html

 

2018.04.13.解決社労士

<障害者雇用率>

障害者雇用率とは、雇用している障害者数の常用労働者数に対する割合を示したものです。

民間企業も、地方自治体などの行政機関も、法定の障害者雇用率を達成することが義務付けられています。

 

<障害者の法定雇用率>

障害者雇用率制度は、昭和35(1960)年に身体障害者雇用促進法で初めて導入されました。

このとき、民間企業には努力義務として、工場などの現場的事業所が1.1%、事務的事業所が1.3%と定められました。

これが、昭和43(1968)年には、すべての事業所で一律1.3%になりました。

さらに、昭和51(1976)年には1.5%となり、努力義務から法的義務に高められました。

その後、昭和63(1988)年に1.6%、平成9(1997)年に1.8%、そして平成25(2013)年に2.0%へと上昇しています。

平成302018)年4月現在、民間企業は2.2%、特殊法人は2.3%、国や地方公共団体は2.3%、都道府県などの教育委員会は2.2%となっています。

このように法定雇用率は、法改正を重ねるたびに引き上げられ、民間企業では年々障害者の雇用者数が増加し、障害者雇用率も上昇してきています。

今後の予定として、平成30(2018)4月から3年以内に、民間企業の法定雇用率は2.3%になります。国等の機関も0.1%引き上げられる予定です。

 

<法定雇用率が適用される事業主の範囲>

平成30(2018)41日から、現在の法定雇用率となりましたが、障害者を雇用しなければならない民間企業の事業主の範囲も、従業員50人以上から45.5人以上に変わりました。

法定雇用率が2.3%となれば、対象となる事業主の範囲は、従業員43.5人以上に広がります。

また、対象事業主は、毎年61日時点の障害者雇用状況を、ハローワークに報告しなければなりません。

 

<計算の対象となる障害者>

現在の障害者雇用促進法では、以下の障害者を「対象障害者」としています。〔372項〕

・身体障害者

・知的障害者

・精神障害者(精神障害者保健福祉手帳の所持者に限る)

障害者であることの確認は、障害者の種類ごとに定められた方法、たとえば、身体障害者手帳の交付の有無、または知的障害者判定機関の判定書などを用いて行います。

 

2018.04.12.解決社労士

業種や職種にもよりますが、51日と2日に年次有給休暇を取得すると、前後の土日を合わせて9連休になる可能性があります。

 

<ここを年休にするメリット>

5月1日と2日が、連休の狭間の勤務となる場合、この2日間の生産性は低くなってしまうのではないでしょうか。

普段、なかなか年次有給休暇を取得できない労働者が、2日間の年次有給休暇を取得して9連休にできたら、リフレッシュして心身の疲労回復に役立つことでしょう。

年次有給休暇の取得は、従業員の健康と生活に役立つだけでなく、従業員の心身の疲労の回復、生産性の向上など会社にとっても大きなメリットがあります。

また、政府が推進する働き方改革の推進にもなるでしょう。

働き方改革は「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善」と考えられるからです。

 

<取得の請求には不安もある>

年次有給休暇は、正社員、パートタイム労働者、アルバイトなどの雇用形態とは関係なく、労働者に与えられた法定の権利です。

基本的には、労働者から会社に対して取得日を指定して請求するのですが、年次有給休暇の取得を請求するには次のような不安があります。

・みんなに迷惑がかかるのではないか

・休み明けに忙しくなるのではないか

・職場が年次有給休暇を取得できる雰囲気ではない

・上司が嫌な顔をしそうだ

・昇格や人事考課に悪影響がありそうだ

 

<計画的付与制度>

年次有給休暇の付与日数のうち、5日分を除いた残りの日数については、労使協定を結べば、計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度です。

この制度を導入している企業は、導入していない企業よりも年次有給休暇の平均取得率が7.5% 高くなっているという統計もあります。(「就労条件総合調査」による平成27年の統計)

この制度を導入することによって年次有給休暇が取りやすくなると考えられます。

しかも、上に掲げた5つの不安はほとんど解消するでしょう。

「休み明けに忙しくなる」という不安については、計画的な連休であることから、連休を取得する従業員同志ではお互い様になりますし、連休前に前倒しして仕事を進めておくなどの工夫が可能です。

 

仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)のためには、労働時間の削減や休日数の増加、年次有給休暇の取得など、従業員の健康と生活に配慮し、多様な働き方に対応したものへ改善することが重要です。

 

2018.04.11.解決社労士

社長など法人の代表者が替わったからといって、雇用契約を交わし直して、労働条件通知書や雇用契約書を作り直す必要はありません。

 

<社長個人が雇う場合>

社長宅で働くお手伝いさんを、社長個人が雇うのであれば、雇用契約の当事者は社長個人とお手伝いさんということになります。

この社長が会長になったとしても、契約の当事者は会長個人とお手伝いさんのままです。

この場合、雇用契約書には社長や会長といった肩書を使わず、契約書は個人名で作成します。

 

<法人とは>

法人というのは、一定の社会的活動を営む組織体で、法律により特に権利や義務の主体となる能力を認められたものをいいます。

本来、権利や義務の主体となるのは個人です。そして一定の条件を満たした組織だけが、法律によって特別に権利や義務の主体となることを認められます。

法律上、権利や義務の主体となることのできる資格を、法人格(法律上の人格)と呼びます。

法人格を持つのは、個人(自然人)と法人です。

 

<法人の活動>

法人は、生身の人間ではありませんから、身体もありません。

その活動は代表者(代表機関)の行為によって行われます。

そして、代表者が法人の目的の範囲内で行なった行為の効果は、直接法人に帰属します。

また、代表者が事業遂行上、他人に与えた損害については、法人が賠償の義務を負います。

法人は解散によって法人格を失います。

 

<法人との契約>

こうして、個人が法人と契約する場合には、法人の代表者と契約を交わす形をとるのですが、その効果は、直接法人に帰属します。

つまり、法人の代表者が動いて、法人に効果を帰属させるわけです。

ですから、雇用契約を交わした後で、社長などの代表者が交代した場合でも、法人そのものが変わってしまうわけでないので、雇用契約の効果は失われず、その性質も変わらないのです。

 

余談ですが、小学校の入学式で息子から「校長先生がいなくなったら、学校はつぶれるの?」と聞かれました。

もちろん、校長が替わるだけですから、在校生が一斉に転校することにはなりません。

 

2018.04.10.解決社労士

<生まれ変わる脳の神経細胞>

コロンビア大学の研究グループが、科学雑誌「セル・ステムセル」に、常識を覆す研究成果を発表しました。

これまで、脳の神経細胞は大人になると増えることはなく、死滅する一方であると言われてきました。

ところが研究によると、高齢者になっても、認知機能や感情に関わる「海馬」という部分に、新しい細胞が生まれていることが判ったというのです。

 

<働き方改革との関係>

少子高齢化による労働力不足から、働き方改革が急務となっています。

働き方改革の公式定義は見当たりませんが、私は「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善」と把握しています。

高齢者の雇用を継続し再雇用を促すために、機械化を進めたり環境を整えたりすることは、高齢者の必要と欲求に応える対策ですから、労働者の頭数を増やすことに役立ちます。

しかし、こうした物理的な面だけに注目するのではなく、教育や研修によって、ひとり一人の能力を高めることも考えたいものです。

いくつになっても、教育や研修によって、その能力を開発できるということが、コロンビア大学の研究によって明らかにされたといえるでしょう。

 

<人手不足の解消とは>

人手不足となると、労働者ひとり一人の負担が増えますから、長時間労働となる傾向が見られます。

ところが、政府は「働き方改革」の一環として、長時間労働の解消に向け、時間外労働に上限を設けて、違反企業には罰則を科す法案を準備しています。

もし各企業が、これに対応するため、採用を強化して社員数を増やそうとすると、企業間で人材の取り合いとなるため、人件費の高騰が懸念されます。

「人手不足」というのは、「労働力不足」であって、頭数不足ではないのですから、高齢者に限らず、教育や研修に力を入れて生産性を高めるように取り組むのが得策だと思われます。

 

ある仕事を、4人の社員が110時間でこなしていたとします。この仕事は、のべ40時間かかることになります。そこで、同程度の能力をもった人を1人採用して、5人でこなせば18時間でこなせるようになります。この場合、時間外労働が解消して、割増賃金が発生しないので、頭数が25%増えても人件費は増えない計算になります。

しかし、4人の社員に対して積極的に教育と研修を行い、今まで10時間かかっていた仕事を8時間でこなせるようにすれば、新人を採用しなくても良いという計算になります。

人手不足の時代だからこそ「利は教育にあり」といえるでしょう。

 

2018.04.09.解決社労士

<情状とは>

刑事手続では、訴追を行うかどうかの判断や刑の量定に影響を及ぼすべき一切の事情をいいます。犯罪の動機や目的、犯人の年齢・経歴や犯行後の態度などがこれにあたります。〔刑事訴訟法248条、刑法66条〕

しかし、懲戒処分は会社の行う制裁であって、国が行う刑事処分と全く同じではありません。

それでも、故意に行った場合には、その動機や目的が情状にあたります。また、行為者の年齢、社歴、事後の態度などは情状にあたります。

 

<酌量とは>

刑事裁判では、同情すべき犯罪の情状をくみ取って、裁判官の裁量により刑を減軽することをいいます。〔刑法66条〕

懲戒処分の場合にも、事情をくみ取って処分に手心を加えるという意味で使われます。

 

<就業規則の規定>

最新版(平成30(2018)1月版)のモデル就業規則には、次の規定があります。

 

(懲戒の事由)

第64条 2 労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。ただし、平素の服務態度その他情状によっては、第51条に定める普通解雇、前条に定める減給又は出勤停止とすることがある。

 

この規定からも明らかなように、「平素の服務態度」つまり「日頃の勤務態度」は、情状酌量の対象となります。

ただし、これは客観的に認定されなければ、不平等や不公平の問題が発生しますから、勤怠だけでなく人事考課による適正な評価を基準とすべきです。

 

<情状酌量の効果>

モデル就業規則には、他にも「情状に応じ」〔63条本文、641項本文〕、「その情状が悪質と認められるとき」〔6429号〕という言葉が出てきます。

つまり、情状酌量が懲戒処分を軽くする方向に向かう場合だけでなく、懲戒処分を重くする方向に向かう場合にも作用するということになります。

 

懲戒処分を行うこと自体、懲戒権の濫用となり無効となることがあります。〔労働契約法15条〕

この場合には、不本意ながら、懲戒処分を通知した従業員から慰謝料など損害賠償を求められることもあります。

結局、安易な懲戒処分は会社にとって危険ですから、情状酌量をも踏まえて、どの程度の懲戒処分が可能なのかは、刑法に明るい社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

2018.04.08.解決社労士

<平成30(2018)年度予算の公表>

平成30(2018)年3月30日、厚生労働省と国土交通省は、建設業の人材確保・育成に多角的に取り組むため取りまとめた平成30年度予算の概要を公表しました。

建設業の技能者の約3分の1は55歳以上となっています。

これは、他産業と比べて高齢化が進行しています。

このような中、建設業が持続的な成長を果たしていくためには、特に若者や女性の建設業への入職や定着の促進などに重点を置きつつ、働き方改革を着実に実行し、魅力ある職場環境を整備することにより、中長期的に人材確保・育成を進めていくことが重要な課題です。

厚生労働省と国土交通省は、引き続き、連携して関係施策を実施し、建設業の人材の確保・育成に取り組んでいくそうです。

 

<国土交通省と厚生労働省の連携>

国土交通省は、建設産業の健全な発展を図る観点から、建設業者団体や企業と連携し、就労環境の整備や人材確保・育成に向けた取組、建設工事請負契約の適正化等を実施します。

厚生労働省は、建設労働者の確保や雇用の安定を図る観点から、建設業者団体や企業が人材確保・育成等に取り組む際の助成金の支給やハローワークにおいて就職支援を実施します。

そこで、両省で連携して建設業の人材の確保・育成に向けた取組を進めていくわけです。

 

<予算の概要>

●人材確保

・建設業の働き方改革の推進116百万円

・社会保険加入の徹底・定着23百万円

・専門工事企業に関する評価制度の構築に向けた検討19百万円

・建設事業主等に対する助成金による支援53.3億円

・ハローワークにおける人材不足分野に係る就職支援の拡充25.8億円

・高校生に対する地元における職業の理解の促進支援15百万円

●人材育成

・地域建設産業における多能工化の推進60百万円

・建設業の働き方改革の推進 116百万円

・専門工事企業に関する評価制度の構築に向けた検討19百万円

・中小建設事業主等への支援9.2億円

・建設分野におけるハロートレーニング(職業訓練)の実施3.4億円

・ものづくりマイスター制度による若年技能者への実技指導33.9億円

・建設事業主等に対する助成金による支援 53.3億円

●魅力ある職場づくりの推進

・建設職人の安全・健康の確保の推進20百万円

・地方の入札契約改善推進事業96百万円

・建設業の働き方改革の推進116百万円

・社会保険加入の徹底・定着 23百万円

・時間外労働等改善助成金による支援19.2億円

・働き方改革推進支援センターの設置による支援15.5億円

・中小専門工事業者の安全衛生活動支援事業の実施1.1億円

・雇用管理責任者等に対する研修等の実施1.3億円

・労災保険特別加入制度の周知広報等事業の実施56百万円

・建設業における墜落・転落災害等防止対策推進事業59百万円

・建設工事の発注・設計段階における労働災害防止対策の促進事業30百万円

・建設事業主等に対する助成金による支援53.3億円

 

<企業が自主的に行うべきこと>

国が政策を推進してくれるにしても、各企業が放置できない緊急課題もあります。

予算の概要の中でも「建設業の働き方改革の推進」「社会保険加入の徹底・定着」など、複数のカテゴリーで重複しているものは重点項目ですが、企業が主体となって実施しなければ進まないものもあります。

このような項目については、社会保険労務士(社労士)などの専門家と相談しながら計画的に推進しましょう。

 

2018.04.07.解決社労士

<報告書の公表>

平成30(2018)年3月30日、厚生労働省が「仕事と育児の両立支援に係る総合的研究会報告書」を公表しました。

報告書は、育児・介護の負担が依然として女性に偏っている現状を踏まえて、育児・介護と仕事との両立支援策について検討を行ってきた総合的研究会がまとめたものです。

その中で、男女がともに育児をし、女性が輝ける社会を実現するための基本的な考え方が提示されています。

 

<男女で育児をする社会にするための3つの必要>

育児に関わる男性の増加

共働き家庭において、働く上での育児による制約を女性のみが背負わないよう、また、専業主婦家庭において、女性が育児の悩み等を1人で抱え込むこととならないよう、育児に関わる男性を増やす必要。

男性の育児への関わり方の改善

既に育児に関わっている男性について、更なる関わり方の改善や、育児休業期間中のみならず、子育て期間を通して育児への関わりを進める必要。

女性のキャリア形成のための対策

女性自身のキャリア形成に対する意識向上や、企業において男性労働者への両立支援が女性の活躍、継続就業につながるとの意識が醸成されるように取り組む必要。

 

<自治体の先進的な制度>

岡山県には、男性労働者の育休取得や、「孫育て休暇」の制度化・取得に取り組む中小企業に対し、奨励金を支給する制度があり、家族ぐるみで子育てに取り組む従業員をバックアップする企業を応援しています。福井県にも同様の制度があります。

千葉市、新潟市、富山市などにも、男性の育児休業取得奨励金の制度があります。

国が主体となって、祖父母も育児休業をとれるようにしたり、雇用保険の育児休業給付を増額したりの法改正をすれば、少子化対策や働き方改革は、さらに進むのではないでしょうか。

 

2018.04.06.解決社労士

<新聞の報道>

毎日新聞などによると、ルネサスエレクトロニクスの子会社で勤務していた38歳の男性が、昨年1月に急性心筋梗塞で亡くなったのは、時間外労働などによる過重な負荷などが原因だったとして、米沢労働基準監督署が労災認定したそうです。

この男性は、昨年123日深夜に帰宅し、翌24日午前0時ごろ布団に入った直後にうめき声を上げ、約1時間後、搬送先の病院で死亡が確認されたということですが、男性が亡くなる直前の1週間で約25時間、4か月間では1か月平均で約80時間の時間外労働を行っていたと認定されました。なお、達成困難なノルマが課せられ日常的に精神的緊張を伴っており、著しい疲労の蓄積を伴う過剰な業務に就いていたという認定もされています。

 

<過労死ライン>

一般的な過労死ラインとして「1か月の法定外の残業時間が100時間を超えた場合、または、直近26か月の平均残業時間が80時間を超えた場合」という基準が用いられています。

米沢労働基準監督署による労災認定も、基本的にはこの基準によるものと考えられます。

 

<裁判になったら>

民事裁判などでは、裁判所が「事実が不明なので判断できません」と言って、判決を出さないということはできません。

この場合、裁判所が判断をするのに必要な事実について、対立する当事者に証明責任が振り分けられます。

死亡の原因が過重労働による過労だったのか、厳密に考えれば、その真実が明らかになることはありません。

そこで、労働者の勤務が過労死ラインを超えていれば、過労死だったことが推定され、「過労死ではなかった」ことを会社側が証明できなければ、裁判所が過労死であったと認定します。

反対に、労働者の勤務が過労死ラインを下回っていれば、過労死ではなかったことが推定され、「過労死だった」ことを遺族側が証明できなければ、裁判所が過労死ではなかったと認定します。

 

<判断基準の柔軟性>

過労死ラインという基準は絶対的なものではなく、休日の少なさなどを理由に、このラインを下回っているケースについて過労死を認定した裁判もあります。

今回の事件では、裁判所ではなく労働基準監督署の判断なのですが、「4か月間では1か月平均で約80時間の時間外労働」があったという、過労死ラインぎりぎりの認定がされたため、「達成困難なノルマが課せられ日常的に精神的緊張を伴っており、著しい疲労の蓄積を伴う過剰な業務に就いていた」という事実と併せて、過労死を認定したものと考えられます。

企業としては、過労死ラインに達しない働かせ方を基本に、その他の面からも過重労働と言われない配慮が必要になっています。

 

2018.04.05.解決社労士

<キャンペーンの実施>

厚生労働省では、昨年に引き続き全国の大学生等を対象に、特に多くの新入学生がアルバイトを始める4月から7月までの間、労働条件の確認を促すことなどを目的としたキャンペーンを実施します。

過去の調査結果等でも、労働基準法で規定されている労働条件の明示がなかったと回答した学生が多かったことなどを踏まえ、学生向けに身近に必要な知識を得るためのクイズ形式のリーフレットの配布等による周知・啓発などを行うとともに、大学等での出張相談を引き続き行います。

 

<アルバイトの性質>

アルバイトというのは、日常用語であって法律用語ではありません。

どのような雇用形態をアルバイトと考えるかは、各企業が独自の基準で自由に決めています。

法律上は、アルバイトといえども労働者であり、労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法など、すべての労働法が当然に適用されます。

また、外国人のアルバイトであっても、日本国内で働く限り、日本の法律が適用されます。

 

<キャンペーンなどの影響>

かつては「アルバイトだから」と言われれば、「一般の労働者とは違うのだろう」とあきらめる学生も多かったものです。

しかし、国が広報に努めたせいか、ネットの威力なのか、学生であっても働く限りは、労働法上の権利があるのだということが常識として定着しつつあります。

 

<企業としての再確認>

雇い主としての企業は、学生アルバイトについて、最低限、次のことを再確認しておく必要があります。学生は、これらのことを常識として認識しています。

・アルバイトを雇うときは、書面による労働条件の明示が必要です。

・学業とアルバイトが両立できるような勤務時間のシフトを適切に設定しましょう。

・アルバイトも労働時間を適正に把握する必要があります。

・アルバイトに、商品を強制的に購入させることはできません。また、一方的にその代金を賃金から控除することもできません。

・アルバイトの遅刻や欠勤等に対して、あらかじめ損害賠償額等を定めることや労働基準法に違反する減給制裁はできません。

 

アルバイトをだまして安く使うなどもっての外、戦力化して正社員にするのが得。そういう時代になりました。

 

2018.04.04.解決社労士

<企業名公表>

「障害者の雇用の促進等に関する法律」は、民間企業について 、障害者雇入れ計画の適正実施勧告に従わず、障害者の雇用状況に改善が見られない場合、企業名を公表できることとしています。

こうして公表された企業名の一覧は、官製のブラックリストとなってしまうため、知名度の高い企業にとっては大きな打撃となるとされ、また就職活動にあたって学生が参考とするため採用が困難になるともいわれます。

このようなことも影響したのでしょう。平成 29 年度については、「障害者の雇用状況に改善が見られない場合には、企業名を公表する」ということを前提に指導が行われた企業のすべてで、一定の改善が見られたため、企業名の公表対象企業はありませんでした。

 

<障害者雇用促進法の規定>

障害者雇用促進法では、障害者の雇用を促進するため、民間企業に対し、常時雇用する従業員の一定割合以上の障害者の雇用を義務付けています。

この一定割合を「法定雇用率」といい、民間企業では平成30(2018)41日から2.2%となっています。

障害者の雇用状況が一定の水準を満たしていない場合は、厚生労働大臣が「障害者雇入れ計画」の作成命令(第46条第1項)や障害者雇入れ計画の適正な実施に関する勧告(適正実施勧告)(第46条第6項)を行い、勧告に従わない場合は、企業名を公表できることになっています(第47条)。

 

<制裁の行われる場合>

障害者雇用促進法違反による企業名の公表だけでなく、労働基準法や最低賃金法などの違反についても、いきなり企業名が公表されたり、書類送検されたりということは稀です。

一度、行政の指導があって、これに対する対応の仕方がおかしいと、企業名の公表や刑事告訴が行われます。

行政の指導への対応が、素人判断で見当違いであったり、できない事を約束してしまって実現できなかったりがマズいのです。

労働基準監督署など行政から、労働法関係の調査や指導が予告された場合や実施された場合には、慎重に上手に対応する必要があります。

もし社内に専門家がいないのであれば、信頼できる国家資格者の社会保険労務士(社労士)にご依頼ください。社労士は、調査への立会や、是正勧告書・指導票に対する報告書の作成も行いますし、所轄の労働基準監督署での説明も行います。さらに、社員教育などのアフターフォローまで、幅広い業務をこなしているのです。

 

2018.04.03.解決社労士

<働き方改革関連法案の了承>

日本経済新聞や朝日新聞などで報道されているとおり、自民党厚生労働部会などの合同会議は平成30(2018)329日、厚生労働省が示した働き方改革関連法案を了承しました。政府は来週46日にも閣議決定し、今国会での成立を目指す方針です。

人手不足が深刻な中小企業については、経営悪化が懸念されるという党内の意見を踏まえて、法案では適用時期の延期や指導の配慮規定を設けるなどの修正が行われました。

法案は、残業時間の罰則付き上限規制の導入、正社員と非正規社員の不合理な待遇差を解消する「同一労働同一賃金」の実現、高収入の一部専門職を労働時間規制から外す「脱時間給制度」の3つが柱で、規制の強化と緩和が混在する内容になっています。

 

<裁量労働制についての議論>

当初、この法案には、裁量労働制を一部営業職などにも広げる内容が含まれていました。

しかし、厚生労働省が実施した調査で、不適切なデータが相次ぎ発覚したため、安倍晋三首相が2月末に裁量労働制の拡大に関する部分を全面削除すると表明しました。

この様子は、テレビの国会中継やニュースでも報じられました。

この印象が強いせいか、「働き方改革」と言えば「裁量労働制」を意味するかのようにとらえられてしまう傾向が強まっています。

 

<働き方改革の定義>

首相官邸のホームページの中の「働き方改革の実現」というページには、「働き方改革は、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ。多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいきます」という説明があります。

これは、働き方改革の定義ではなくて、働き方改革を推進することの目的や意義を述べたものです。

たしかに、明確な定義が無くても、法案や首相官邸のホームページをじっくり読めば、その考え方は理解できます。

しかし、各企業がその実態に合わせて「働き方改革」に取り組もうとした場合には、明確な定義があったほうが、方向を見誤らないでしょう。

現時点で、私個人の定義としては、「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善」と考えています。

 

<具体的にどうするか>

ただこうした定義から、企業の実情に合致した取り組みによって、人手不足を解消し生産性を向上させるにはどうしたら良いのか、ピンと来ないかもしれません。

人手不足で、長時間労働が当たり前になり、年次有給休暇も取得できないとなると、疲労によって生産性は低下します。こうなると退職者も出てきます。

政府が言うような、長時間労働の改善、非正規と正社員の格差是正、高齢者の就労促進、在宅勤務、女性の活躍推進、障害者の雇用、ワークライフバランスなどについて、自社が具体的に取り組めるのか、取り組むメリットはあるのか、どうすれば良いのかは、専門家である国家資格者の社会保険労務士(社労士)と相談しながら、計画・推進するのが成功への近道だと思います。

 

2018.04.02.解決社労士

<プロジェクトの趣旨>

厚生労働省は、平成30(2018)年3月29日に、産業政策と一体となって正社員雇用の創出に取り組む都道府県を支援する「地域活性化雇用創造プロジェクト」について平成30年度の採択地域を、秋田県、山形県、福島県、埼玉県、兵庫県、熊本県の6地域に決定したことを発表しました。

地域において魅力的な雇用を効果的に創出していくためには、それぞれの地域の産業構造や地理的要因などの特性を踏まえた対策が必要です。

このプロジェクトは、都道府県が提案した事業構想の中から、正社員雇用の創造効果が高い取組をコンテスト形式で決定するプロジェクトです。

平成30年度の採択地域については、平成29(2017)年11月24日から12月25日まで募集が行われ、外部の有識者からなる評価・選定委員会で審議された結果、応募があった地域の中から6地域が採択されました。

採択された地域では、4月以降、労働局やハローワーク、地域の関係者と協力して事業が実施されます。

 

<応募方式が採られる理由>

今回の採択地域には、福島県、兵庫県、熊本県といった被災地が含まれています。

災害発生時には、被災地に対して国が緊急の救助・支援を行います。これは、緊急のことですから、その地域から「応募」のようなことが無くても、当然のこととして救助・支援が行われます。

しかし、ある程度まで復興が進めば、たとえ被災地であっても、このプロジェクトのように他の都道府県と同じ方式で「応募」しなければ支援を得られないものもあります。

その根底には、日本国憲法の次の理念があると思われます。

 

第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

 

つまり、権利があるからといって安心しないで、その権利の確保に努めなさいと言っています。

第二次世界大戦の時には、国民が命がけで個人の権利を守ろうとしなかったのではないかという反省が込められているようです。

 

現在、生活保護を受けるにも、障害年金を受給するにも、基本的には担当窓口に申し出て、一定の手続きをとることが必要です。困っていても、黙っていたのでは救済されず、行政の窓口や専門家に相談して自分の権利を行使しなければならないのです。

もし、「よく分からないから諦める」という人ばかりになって、生活保護の申請をする人も、障害年金の請求をする人もいなくなってしまえば、これらの制度そのものが無くなってしまうでしょう。

「困ったら一人で悩まず相談する」ということを忘れてはなりません。

 

2018.04.01.解決社労士

平成30(2018)年3月27日、厚生労働省から「労働時間改善指導・援助チーム」の編成について、以下のような発表がありました。

 

厚生労働省では、4月1日から全国の労働基準監督署に、働く方々の労働条件の確保・改善を目的とした「労働時間改善指導・援助チーム」を編成します。

このチームは2つの班で編成されます。「労働時間相談・支援班」では全国の労働基準監督署内に「労働時間相談・支援コーナー」を設置するなどし、主に中小企業の事業主の方に対し、法令に関する知識や労務管理体制についての相談への対応や支援を行います。「調査・指導班」では、任命を受けた労働基準監督官が、長時間労働を是正するための監督指導を行います。

厚生労働省では、こうした取組を通じて労働時間の改善などを促し、働き方改革の推進を図っていきます。

 

1 労働時間相談・支援コーナーを設置 (労働時間相談・支援班)

主に中小企業の事業主の皆さまを対象に、窓口と電話で、以下のような相談を受け付けます。

⑴  時間外・休日労働協定(36協定)を含む労働時間制度全般に関するご相談

⑵ 変形労働時間制などの労働時間に関する制度の導入に関するご相談

⑶ 長時間労働の削減に向けた取組に関するご相談

⑷ 労働時間などの設定についての改善に取り組む際に利用可能な助成金のご案内

[ 受付時間]8時30分~17時15分(平日のみ)

 

2 労働時間改善指導・援助チーム

⑴ 労働時間相談・支援班

 特に中小規模の事業主の皆さまに対して、上記⑴~⑷などのご相談についてきめ細やかな相談・支援などを行います。

⑵  調査・指導班

 長時間労働の抑制と過重労働による健康障害の防止のため、「労働時間改善特別対策監督官」として任命された労働基準監督官が監督指導を行います。

 

マスコミの報道の影響が大きいのでしょう。「働き方改革」の話題になると、「裁量労働制は、低賃金で長時間労働を強いるのでおかしい」といった声が聞かれます。

しかし、上記の取り組みでもわかるように、長時間労働の削減が「働き方改革」の重点課題となっています。単純に考えても、1人で1日12時間働くよりも、仕事を半分ずつ分担して2人で6時間ずつ働いた方が生産性は上がります。人間は機械ではなく生き物ですから、疲労が蓄積されますし、集中力にも限界があります。

それに、1人で1日12時間働いたら、通常、4時間の割増賃金が発生します。これは割増なので、時間単価で考えれば、5時間分の追加人件費が発生します。

裁量労働制も、本来は労働時間削減のための仕組みであるのに、実態としては、長時間労働をもたらしているということが話題になったのです。

「働き方改革」という目新しい言葉に惑わされず、生産性の向上こそ、企業の取り組むべき課題です。

 

では、自社で具体的にどうしたら生産性を向上させることができるのか。これを相談するのが、上記の「労働時間相談・支援コーナー」ということになります。

もし、労働基準監督署は敷居が高いということでしたら、こうしたことの専門家であり国家資格者の社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2018.03.31.解決社労士

平成30(2018)年4月に実施される厚生労働省関係の主な制度変更のうち、特に国民生活に影響を与える事項について、厚生労働省のホームページにお知らせが掲示されました(3月23日)。

http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000198659.html

 

<国民年金保険料>

平成30年度の国民年金保険料は、16,340円(平成29年度16,490円)

 

<老齢基礎年金>

平成30年4月からの年金額は、満額で月64,941円(据え置き)

4月分・5月分が6月15日に支給されます。

 

<診療報酬改定>

平成30年度については、医療機関の経営状況、物価・賃金の動向等を踏まえ、診療報酬本体0.55%のプラス改定となりました。

 

<国民健康保険制度>

財政運営の都道府県単位化と財政支援の拡充による財政基盤の強化を柱とする国保改革が行われます。

市町村による個別の運営から、都道府県が財政運営責任を担うなど中心的役割を果たす形に変わります。

 

<高額療養費>

国民健康保険の被保険者が、同一都道府県内の他市町村へ住所を異動した場合について、被保険者が属する世帯の高額療養費の多数回該当についての該当回数を引き継ぐ規定を設けます。

同一保険者から過去12か月以内に高額療養費が支給されている月数が3月以上ある世帯で、4月目以降、その世帯の自己負担限度額は引き下げられます。これが、多数回該当です。

今までは、同一都道府県内の他市町村へ引っ越すと回数がリセットされていたのですが、法改正により回数が通算されるようになります。

 

<住所異動月の自己負担限度額>

国民健康保険の被保険者が、同一都道府県内の他市町村へ住所を異動した場合、転居月は転出元の市町村と転入先の市町村での自己負担限度額をそれぞれ本来の2分の1に設定します。

 

<賦課(課税)限度額>

平成30年度分の保険料(税)から、国民健康保険・後期高齢者医療の保険料(税)の賦課(課税)限度額について、国民健康保険は89万円から93万円に、後期高齢者医療は57万円から62万円に、引き上げられます。

 

<介護報酬改定>

介護サービス事業者の経営状況、賃金・物価の動向等を踏まえ、0.54%のプラス改定となりました。

 

<障害者雇用率>

事業主に義務付けられている法定雇用率(その雇用する労働者に占める障害者の割合)の計算方法と基準が変わります。

平成30(2018)年4月1日から、障害者雇用義務の対象として、身体障害者、知的障害者に精神障害者が加わり、法定雇用率も次のように変わります。

・民間企業 2.2%(←2.0%)

・国、地方公共団体等 2.5%(←2.3%)

・都道府県等の教育委員会 2.4%(←2.2%)。

 

<労災保険の特別加入対象者>

個人家庭に雇用され、家事、育児等の作業に従事する者についても、特別加入制度の対象とされます。

 

2018.03.30.解決社労士

<遺族年金>

遺族年金は、一家の働き手や年金受給者などが亡くなったときに、残された家族に給付される年金です。

遺族年金を受け取るには、亡くなった人の年金保険料の納付状況に条件があります。また、亡くなった人の年金の加入状況などによって、受け取れる年金の種類が異なってきます。これは、年金をもらう人ではなく、亡くなった人についての条件です。

一方で、年金をもらう人にも、年齢や優先順位などの条件が設けられています。

ここでは、遺族厚生年金について説明します。

 

<亡くなった人の条件>

次のうち少なくとも1つの条件を満たす必要があります。

1.被保険者(厚生年金加入者)が亡くなったとき、または被保険者期間中の傷病がもとで初診の日から5年以内に亡くなったとき。加えて、亡くなった人について、保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が国民年金加入期間の3分の2以上あること。

ただし、平成38(2026)41日前の場合は死亡日に65歳未満であれば、死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられます。

2.老齢厚生年金の受給資格期間が25年以上ある人が亡くなったとき。

3.1級・2級の障害厚生(共済)年金を受けられる人が亡くなったとき。

これらの条件を満たしているかどうかは、年金事務所などで確認する必要があります。ご自分で確認できない場合には、社会保険労務士に委託することもできます。

 

<年金をもらう人の条件>

亡くなった人によって生計を維持されていた、妻、子、孫、55歳以上の夫、父母、祖父母

このうち、子と孫は18歳到達年度の年度末を経過していないか、20歳未満で障害年金の障害等級12級であることが必要です。

また、55歳以上の夫、父母、祖父母の支給開始は60歳からとなります。ただし、夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせて受給できます。

さらに、子のない妻が30歳未満の場合には、5年間の有期給付となります。

なお、上記の条件を満たす子のある配偶者、子は、遺族基礎年金も併せて受けられます。

これらの条件を満たした人が全員年金をもらえるわけではなく、法定の優先順位に従って、実際に受給できる人が決まります。

 

<生計を維持されていたとは>

原則として次の要件を満たす場合をいいます。

1.同居していたこと(別居していても、仕送りしていた、健康保険の扶養親族であった等の事情があれば認められます。)。

2.加給年金額等対象者について、前年の収入が850万円未満であること。または所得が6555千円未満であること。

 

<年金事務所で確認を>

年金の仕組みは複雑ですから、これらの事項には、細かな例外があります。

また、年金受給者が亡くなった場合には、年金が後払いの形で支給されることから、亡くなった人が受け取り切れなかった年金(未支給年金)を遺族が受け取ることになります。

年金受給者が亡くなったことそのものを届け出る必要がありますから、あわせて年金事務所で確認することをお勧めします。

 

2018.03.29.解決社労士

<遺族年金>

遺族年金は、一家の働き手や年金受給者などが亡くなったときに、残された家族に給付される年金です。

遺族年金を受け取るには、亡くなった人の年金保険料の納付状況に条件があります。また、亡くなった人の年金の加入状況などによって、受け取れる年金の種類が異なってきます。これは、年金をもらう人ではなく、亡くなった人についての条件です。

一方で、年金をもらう人にも、年齢などの条件が設けられています。

ここでは、遺族基礎年金について説明します。

 

<亡くなった人の条件>

被保険者(年金加入者)または老齢基礎年金の受給資格期間が25年以上ある人が死亡したことが条件となります。

そして、その死亡した人について、保険料納付済期間と保険料免除期間を合計して加入期間の3分の2以上あることが必要です。ただし、平成38(2026)41日前の場合は死亡日に65歳未満であれば、死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられます。

これらの条件を満たしているかどうかは、年金事務所などで確認する必要があります。ご自分で確認できない場合には、社会保険労務士に委託することもできます。

 

<年金をもらう人の条件>

亡くなった人によって生計を維持されていた (1)子のある配偶者 (2)子 が年金をもらえます。

ただし、「子」が次のどちらかの条件を満たす場合に限ります。

・18歳到達年度の末日(331)を経過していない子

・20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子

例外的に、「子」に配偶者がいると対象外になります。

 

<生計を維持されていたとは>

原則として次の要件を満たす場合をいいます。

1.同居していたこと(別居していても、仕送りしていた、健康保険の扶養親族であった等の事情があれば認められます。)。

2.加給年金額等対象者について、前年の収入が850万円未満であること。または所得が6555千円未満であること。

 

<年金事務所で確認を>

年金の仕組みは複雑ですから、これらの事項には、細かな例外があります。

また、年金受給者が亡くなった場合には、年金が後払いの形で支給されることから、亡くなった人が受け取り切れなかった年金(未支給年金)を遺族が受け取ることになります。

年金受給者が亡くなったことそのものを届け出る必要がありますから、あわせて年金事務所で確認することをお勧めします。

 

2018.03.28.解決社労士

<通勤時間>

自宅から仕事の現場に直接向かった場合、これは通勤となり労働時間にはなりません。

同様に、仕事の現場から直接帰宅した場合、これも通勤となり労働時間にはなりません。

ただし、会社からの指示により、会社に寄ってから現場に向かう場合には、会社に寄るところまでが通勤時間であり、その後は労働時間となります。

同様に、会社からの指示により、現場での仕事を終えた後、会社に寄ってから帰宅する場合には、会社での勤務終了までが労働時間となります。

ですから、余計な労働時間が発生し、残業手当などが増えないようにするためには、直行直帰を徹底するのが合理的です。

 

<労働時間の適正な把握>

旧「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」は、平成29(2017)年1月20日に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」に改められました。

全体としては大きな変更がありません。

しかし、自己申告制で労働時間を把握する場合の取扱いが、極めて具体的になりました。

これにより、現場に直行し直帰する従業員の労働時間を把握する場合にも、安易な自己申告が許されなくなっています。

 

最も確実なのは、使用者が自ら現認することにより、始業時刻、休憩時間、終業時刻を確認することです。

ここで「使用者」というのは、社長などの事業主に限定されてはいません。

このことについて、労働基準法は次のように規定しています。

 

第十条 この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう。

 

つまり、労働者であっても、事業主のために他の労働者を管理する者は、その限りにおいて使用者の立場にあるということです。

工事現場などで、会社から労働者の指揮監督を任されている職長は、まさにこの使用者にあたりますから、職長が各従業員の始業時刻、休憩時間、終業時刻を確認し記録すれば、労働時間の適正な把握が可能です。

ただ、会社が職長などに労働時間の管理を任せる場合には、「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」の内容を理解させ、必要な研修を行うことが前提になるものと考えられます。

 

2018.03.27.解決社労士

<休職の性質>

休職とは、業務外での病気やケガなど主に労働者側の個人的事情により、長期間にわたり働けない見込みとなった場合に解雇せず、労働者としての身分を保有したまま一定期間就労義務を免除する特別な扱いをいいます。

しかし、これは一般的な説明であって、休職の定義、休職期間の制限、復職等については、労働基準法などに規定がありません。

つまり、法令に違反しない限り、会社は休職制度を自由に定めることができますし、休職制度を設けないこともできます。

 

<モデル就業規則の規定>

平成302018)年1月に厚生労働省から公表された最新のモデル就業規則には、休職について次のように規定されています。

 

(休職)

第9条  労働者が、次のいずれかに該当するときは、所定の期間休職とする。

①業務外の傷病による欠勤が  か月を超え、なお療養を継続する必要があるため勤務できないとき  年以内

②前号のほか、特別な事情があり休職させることが適当と認められるとき 必要な期間

 

第1号が「業務外の傷病による欠勤」に限定しているのは、業務による傷病、つまり労災のうちの業務災害については、解雇制限があるからです。〔労働基準法191項本文〕

休職期間が満了してもなお傷病が治癒せず就業が困難な場合は、休職期間の満了をもって退職とするのですが、業務災害については療養のために休業する期間及びその後30日間は解雇が禁止されているので、これに配慮した規定となっています。

 

モデル就業規則では、「業務外の傷病による欠勤が  か月を超え、なお療養を継続する必要があるため勤務できないとき」は、「所定の期間休職とする」という規定になっています。

休日にスポーツをして大ケガをした場合であっても、酒に酔って階段で転んで大ケガをした場合であっても、年次有給休暇を使い果たし、一定の期間欠勤が続けば自動的に休職となります。

また、会社としては何年でも復帰を待ちたい人材というわけではなく、長く職場を離れるのなら代わりの人を採用したいという本音があったとしても、やはり自動的に休職となります。

「あなたは勤務態度が今一つなので、この規定を適用しません」ということはできないのです。

 

<会社に主導権のある規定>

「労働者が、次のいずれかに該当するときは、所定の期間休職を命ずる場合がある

このような規定にしておけば、会社は具体的な事情に応じて休職を命ずるか、休職を命じないで長期欠勤を理由とする解雇をするかの選択が可能となります。

ただ、不公平な運用をすれば、その合理性を問われて解雇が無効となる余地はあります。

さらに、復帰して欲しい人材に休職を命じたところ、本人から退職の申し出があった場合には、引きとめることができません。

この場合、有能な人材が復帰を拒否したということで、他の社員に与える悪影響もあるでしょう。

 

<合意を前提とする規定>

「労働者が、次のいずれかに該当するときは、所定の期間休職を申し出ることができる。この場合、会社が承認したときは、会社の認めた期間休職を命ずる

つまり、労働者がそのまま退職するのではなく復帰を希望する場合に、会社が認めた範囲内で休職を命ずることができます。

休職について、会社に主導権がある一方で、労使の合意の元に休職制度を利用することになり、円満な運用を可能とします。

 

<規定を置かないという選択>

就業規則に休職の規定が無い場合、あるいは、そもそも就業規則が無い場合であっても、労働者に休職を命ずることができます。

休職を命じなければ、長期欠勤で退職となるところ、休職を命じて救済するわけですから、法令以上に有利な扱いをすることになるからです。

つまり、ある程度、休職の実績が積み重ねられてから、就業規則に休職についての規定を置くという選択も可能です。

ただ、行き当たりばったりの不公平で不合理な運用をすれば、休職扱いとならず解雇された労働者から、解雇の無効を主張される可能性はあります。

 

休職制度ひとつを取っても、就業規則というのは、会社の個性に応じたものでなければならないことが痛感されます。

 

2018.03.26.解決社労士

<労働災害防止計画>

労働災害防止計画は、労働災害を減少させるために国が重点的に取り組む事項を定めた中期計画です。

厚生労働省は、過労死やメンタルヘルス不調への対策の重要性が増していることや、就業構造の変化及び労働者の働き方の多様化を踏まえ、労働災害を少しでも減らし、安心して健康に働くことができる職場の実現に向け、国、事業者、労働者等の関係者が目指す目標や重点的に取り組むべき事項を定めた 2018 4 月から2023 3 月までの 5 年間を計画期間とする「第 13 次労働災害防止計画」を 2018 2 28 日に策定し、 3 19 日に公示しました。

 

<第13次労働災害防止計画が目指す社会>

「一人の被災者も出さないという基本理念の下、働く方々の一人一人がより良い将来の展望を持ち得るような社会」

働く方々の一人一人がかけがえのない存在であり、それぞれの事業場において、日々の仕事が安全で健康的なものとなるよう、不断の努力が必要です。

また、一人一人の意思や能力、そして置かれた個々の事情に応じた、多様で柔軟な働き方を選択する社会への移行が進んでいく中で、従来からある単線型のキャリアパスを前提とした働き方だけでなく、正規・非正規といった雇用形態の違いにかかわらず、副業・兼業、個人請負といった働き方においても、安全や健康が確保されなければなりません。

さらに、就業構造の変化等に対応し、高年齢労働者、非正規雇用労働者、外国人労働者、障害者である労働者の安全と健康の確保を当然のこととして受け入れていく社会を実現しなければなりません。

 

<計画の主な目標>

(a) 死亡者数を2017年と比較して、2022年までに15%以上減少させる。

(b) 死傷災害(休業4日以上の労働災害)については、死傷者数を2017年と比較して、2022年までに5%以上減少させる。

(c) 重点とする業種の目標として、建設業、製造業及び林業については死亡者数を2022年までに15%以上減少、陸上貨物運送事業・小売業・社会福祉施設及び飲食店については、死傷者数を死傷年千人率で5%以上減少させる。

(d) その他の目標として、

・仕事上の不安、悩み又はストレスについて、職場に事業場外資源を含めた相談先がある労働者の割合を90%以上とする。

・メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上とする。

・ストレスチェック結果を集団分析し、その結果を活用した事業場の割合を60%以上とする。

・第三次産業及び陸上貨物運送事業の腰痛による死傷者数を2017年と比較して、2022年までに死傷年千人率で5%以上減少させる。

・職場での熱中症による死亡者数を2013年から2017年までの5年間と比較して、2018年から2022年までの5年間で5%以上減少させる。

 

<目標達成のための重点事項>

(1) 死亡災害の撲滅を目指した対策の推進

(2) 過労死等の防止等の労働者の健康確保対策の推進

(3) 就業構造の変化及び働き方の多様化に対応した対策の推進

(4) 疾病を抱える労働者の健康確保対策の推進

(5) 化学物質等による健康障害防止対策の推進

(6) 企業・業界単位での安全衛生の取組の強化

(7) 安全衛生管理組織の強化及び人材育成の推進

(8) 国民全体の安全・健康意識の高揚等

 

2018.03.25.解決社労士

<諭旨(ゆし)解雇の定義>

従業員が不祥事を起こし、諭旨解雇になったという報道に接することがあります。

しかし、その報道の中で、諭旨解雇の意味について説明されている例は、ほとんど見られません。

実は「諭旨解雇」というのは法律用語ではなく、公式な定義はありません。

そのため、諭旨解雇の取扱いは各企業により異なるため、報道機関も安易に解説できないのです。

それでも、諭旨解雇の多くは、懲戒解雇の一種または退職勧奨による退職であると考えられます。

 

<懲戒解雇の一種>

就業規則や労働条件通知書などに定められた懲戒処分の一つで、解雇予告手当や退職金の全額または一部を支払ったうえで解雇するものです。

懲戒解雇も諭旨解雇も、就業規則などに具体的な定めが無ければできませんし、客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められなければ、解雇権の濫用となり無効です。

また、退職金の減額や不支給が就業規則に規定されている場合であっても、客観的に相当と認められる範囲に限り有効となります。

 

<退職勧奨による退職>

従業員の不祥事や非行があった時に、その行為を諭したうえで、従業員自身の意思により退職願を提出させるものです。

これは、退職を勧められたことにより、従業員自身の意思で退職を決めるので、解雇にはあたりません。

しかし、従業員の自由な意思による決定が前提となっていますので、精神的に追い込まれ、その真意に反して退職願を提出させられたような場合には、退職の申し出が無効となることもあります。

本人に十分反省させたうえで、自主的に退職させることが、その本質となります。

 

2018.03.24.解決社労士

<該当する場合と手続内容>

適用事業所が、次のいずれかに該当した場合には、事業主が「適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」を提出します。

・適用事業所が、これまでの年金事務所が管轄する地域外へ住所変更する場合

・上記に併せて名称を変更する場合

 

管轄年金事務所の変更

同一都道府県内の場合…届出日の翌月1日より変更されます。

都道府県外の場合………届出日の翌月1日または翌々月1日より変更されます。

(届書受付日によって異なる場合があります)

 

健康保険料率の変更(協会けんぽ管掌の健康保険の場合)

他の都道府県に事業所が移転する場合、健康保険料率が変更になる場合があります。

この場合、届書に記載された「事業開始年月日」から変更後の健康保険料率が適用されることになり、既に徴収済みの健康保険料に過不足があるときは、年金事務所の管轄変更後に初めて納付する保険料で精算されます。

 

提出時期 事実発生から5日以内

提 出 先 変更前の事業所の所在地を管轄する年金事務所

提出方法 電子申請、郵送、窓口持参

 

<添付書類>

次の1.~3.の場合に応じて、添付書類が必要となります。

 

1.法人事業所の場合(所在地変更・名称変更共通)

法人(商業)登記簿謄本のコピー

 

2.個人事業所の場合(所在地変更)

事業主の住民票のコピー(個人番号の記載がないもの)

 

3.個人事業所の場合(名称変更)

公共料金の領収書のコピー等

 

法人(商業)登記簿謄本のコピー、事業主の住民票のコピー(個人番号の記載がないもの)は、発行から90日以内のものが必要です。

電子申請により提出する場合、添付書類は画像ファイル(JPEG形式またはPDF形式)による添付データとして提出することができます。

事業所の所在地が登記上の所在地等と異なる場合は「賃貸借契約書」のコピーなど事業所所在地の確認できるものを添付します。

 

<その他の留意事項>

この届出は、変更前の事業所の所在地を管轄する年金事務所へ行いますが、変更後の事業所の所在地を管轄する年金事務所へ引き継がれます。

改めて変更後の事業所の所在地を管轄する年金事務所へ届出する必要はありません。

 

協会けんぽ管掌の健康保険の場合で、他の都道府県へ事業所が移転する場合、または名称変更を伴う所在地移転をする場合は、全国健康保険協会(協会けんぽ)支部から新しい被保険者証が事業主あて交付されます。

事業主は、引き換えに従業員から回収した旧被保険者証を全国健康保険協会支部へ返送してください。

全国健康保険協会(協会けんぽ)では、同一都道府県内での事業所所在地の変更の場合は、被保険者証の差し替えは行われません。

 

2018.03.23.解決社労士

<該当する場合と手続内容>

同一の年金事務所管内で、次のいずれかに該当した場合には、事業主が「適用事業所名称/所在地変更(訂正)届」を提出します。

・同一の年金事務所の管轄地域内で所在地を変更する場合

・会社など適用事業所の名称を変更する場合

・同一の年金事務所の管轄地域内で所在地及び名称を変更する場合

 

提出時期 事実発生から5日以内

提 出 先 郵送で事務センター(事業所の所在地を管轄する年金事務所)

提出方法 電子申請、郵送、窓口持参

 

<添付書類>

次の1.~3.の場合に応じて、添付書類が必要となります。

 

1.法人事業所の場合(所在地変更・名称変更共通)

法人(商業)登記簿謄本のコピー

 

2.個人事業所の場合(所在地変更)

事業主の住民票のコピー(個人番号の記載がないもの)

 

3.個人事業所の場合(名称変更)

公共料金の領収書のコピー等

 

法人(商業)登記簿謄本のコピー、事業主の住民票のコピー(個人番号の記載がないもの)は、発行から90日以内のものが必要です。

電子申請により提出する場合、添付書類は画像ファイル(JPEG形式またはPDF形式)による添付データとして提出することができます。

事業所の所在地が登記上の所在地等と異なる場合は「賃貸借契約書」のコピーなど事業所所在地の確認できるものを添付します。

 

2018.03.22.解決社労士

<個人番号を記入する届書等>

雇用保険の手続きで、マイナンバーを記入する届出・申請書などは次のとおりです。

 

雇用保険被保険者資格取得届

雇用保険被保険者資格喪失届

高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書

育児休業給付受給資格確認票・(初回)育児休業給付金支給申請書

介護休業給付金支給申請書

 

<個人番号の確認>

これらの届出・申請の際に、マイナンバーカードのコピーなど、番号の正しいことを確認する書類の添付は不要です。

しかし、従業員からマイナンバーを取得する際は、なりすまし防止のため、番号確認(正しい番号であることの確認)と、身元(実在)確認(番号の正しい持ち主であることの確認)が必要です。

 

<新規採用者の場合>

雇用保険の資格条件を満たした人は、雇用保険の加入者(被保険者)となります。

しかし、事業主が手続きをしないと資格の確認ができません。この手続が「雇用保険被保険者資格取得届」のハローワークへの提出です。

新規に採用した人が、マイナンバー通知カードを受け取っていない、あるいは、受け取ったけれども番号が不明の場合には、市区役所や町村役場の窓口で手続きしてマイナンバーを確認する必要があります。

速やかな手続きのため、採用決定の段階で、マイナンバーが必要であることを伝えて、準備しておいてもらうことをお勧めします。

 

2018.03.21.解決社労士

<年金手続きとマイナンバー>

平成292017)年1月より、年金分野でのマイナンバーの利用が開始されています。

これにより、年金手帳等によって基礎年金番号を確認できなくても、マイナンバーカードを窓口に持参すれば、相談や照会といったサービスを受けられるようになっています。

また、平成30(2018)35日からは、年金関係の手続きは、原則マイナンバーで提出することとなりました。

 

<個人番号を記入する届書等>

年金手続きで、マイナンバーを記入する届書等は306種類に及びます。

年金加入者(被保険者)や年金受給者が届け出るものと、会社などの事業主が提出するものがあります。

マイナンバー通知カードを受け取っていない、あるいは、受け取ったけれども番号が不明の場合には、市区役所や町村役場の窓口で手続きしてマイナンバーを確認し、できればマイナンバーカードの交付を受けておくことをお勧めします。

 

参考:マイナンバーを記入する届書等一覧

個人番号等登録届

個人番号変更届

年金手帳再交付申請書

基礎年金番号住所変更届

基礎年金番号生年月日訂正届

基礎年金番号性別訂正届

国民年金被保険者関係届書(申出書)

国民年金関係報告書

国民年金被保険者住所変更報告書(転出)・取消報告書

国民年金被保険者資格関係記録訂正・追加・取消報告書

沖縄特別措置対象者該当申出書

国民年金第3号被保険者関係届

国民年金第3号被保険者住所変更届

国民年金第3号被保険者特例措置該当期間登録(取消)届

国民年金保険料免除・納付猶予・学生納付特例期間証明(申請)書

国民年金保険料納付確認(申請)書

国民年金保険料納付証明(申請)書

特定事由申出書(登録)

特定事由申出書(取消)

付加保険料の特例納付申込書

国民年金保険料学生納付特例申請書

国民年金保険料追納申込書

中国残留邦人等の特例措置対象者該当申出書

中国残留邦人等の特例措置追納申出書

国民年金保険料納付申出書(死刑再審無罪者の納付の特例)

中国残留邦人等の特例措置 免除記録訂正・追加・取消報告書(処理票)

中国残留邦人等の特例措置 追納申出記録訂正・追加・取消報告書(処理票)

国民年金保険料免除・納付猶予申請書

国民年金保険料免除・納付猶予取消申請書

国民年金保険料免除期間納付申出書

国民年金保険料免除期間納付申出期間訂正申出書

時効消滅不整合期間に係る特定期間該当届

国民年金後納・特定保険料納付申込書

国民年金保険料クレジットカード納付(変更)申出書

国民年金保険料クレジットカード納付辞退申出書

国民年金納付記録訂正・追加・取消報告書(処理票)

国民年金保険料免除・納付猶予・学生納付特例期間の変更申請書

国民年金保険料学生納付特例取消申請書/不該当届

国民年金事務組合事務委託届書

国民年金事務組合事務解約届書

国民年金納付書ソートコード関係報告書

国民年金銀行信託・事務委託関係報告書

国民年金保険料全額免除・納付猶予継続申請取下申出書

国民年金保険料関係記録訂正・追加・取消報告書(処理票)

国民年金保険料2年前納納付書発行事前受付申出書(兼納付書作成処理票)

国民年金保険料免除期間納付申出取消書

国民年金保険料免除・納付猶予申請に係る被災状況届

被保険者資格取得届・70歳以上被用者該当届

被保険者適用除外承認申請書・被保険者資格取得届・70歳以上被用者該当届

被保険者資格喪失届・70歳以上被用者不該当届

被保険者資格喪失届・70歳以上被用者該当届※70歳到達届

被保険者報酬月額算定基礎届・70歳以上被用者算定基礎届

被保険者報酬月額変更届・70歳以上被用者月額変更届

被保険者賞与支払届・70歳以上被用者賞与支払届

被扶養者(異動)(3号)届

育児休業等取得者申出書(新規・延長)/終了届

育児休業等終了報酬月額変更届/70歳以上被用者育児休業等終了時報酬月額相

産前産後休業取得者申出書/変更(終了)届

産前産後休業終了時報酬月額変更届/70歳以上被用者産前産後休業終了時月額相当額変更届

養育期間標準報酬月額特例申出/終了届

特例加入被保険者資格取得申出書

特例加入被保険者資格喪失申出書

高齢任意加入被保険者(船員以外)資格取得 申出・申請書

高齢任意加入被保険者(船員以外)資格喪失 申出・申請書

被保険者 所属選択・二以上事業所勤務届

70歳以上被用者 所属選択・二以上事業所勤務届

被保険者資格確認請求書

資格取得・資格喪失等確認申請書

被保険者生年月日訂正届(処理票)

被保険者氏名変更(訂正)届

被保険者住所変更届

任意単独被保険者資格取得申請書

任意単独被保険者資格喪失申請書

被保険者区分変更届・70歳以上被用者区分変更届

被保険者資格取得届

被扶養者(異動)届

被保険者資格喪失届

被保険者報酬月額変更(基準日)届被保険者報酬月額(基準日)届

被保険者報酬月額変更届(育児休業用)

育児休業等取得者申出書(新規・延長)

育児休業等取得者終了届

育児休業等終了時報酬月額変更届

産前産後休業取得者申出書

産前産後休業取得者変更(終了)届

産前産後休業終了時報酬月額変更届

被保険者報酬月額変更届(産前産後休業用)

養育期間標準報酬月額特例申出書

養育期間標準報酬月額特例終了届

70歳以上被用者該当・不該当届

70歳以上被用者月額変更(基準日)・賞与支払届

70歳以上被用者関連記録取消届

70歳以上被用者育児休業等終了時報酬月額相当額変更届

70歳以上被用者 産前産後休業終了時報酬月額相当額変更届

被保険者種別変更届

被保険者資格記録訂正届

被保険者資格記録取消届

被保険者生年月日訂正届(処理票)

被保険者氏名変更・訂正届

被保険者住所変更届

年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付)

年金請求書(国民年金・厚生年金保険老齢給付)【ターンアラウンド用】

年金請求書(国民年金障害基礎年金)

年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)

年金請求書(国民年金・厚生年金保険遺族給付)(別紙)

年金請求書(国民年金遺族基礎年金)

年金請求書(国民年金遺族基礎年金)(別紙)

年金請求書(国民年金寡婦年金)

厚生年金保険老齢年金請求書 旧

厚生年金保険通算老齢年金請求書 旧

厚生年金保険特例老齢年金請求書 旧

厚生年金保険遺族年金請求書 旧

厚生年金保険通算遺族年金請求書 旧

厚生年金保険特例遺族年金裁定請求書 旧

厚生年金保険 障害年金・障害手当金請求書

船員保険老齢年金請求書 旧

船員保険通算老齢年金請求書 旧

船員保険特例老齢年金請求書 旧

船員保険脱退手当金請求書

年金請求書(国民年金・厚生年金保険障害給付)

国民年金・厚生年金保険 老齢基礎年金受給権者 老齢厚生年金裁定請求書

老齢基礎・厚生年金年金支給繰下げ請求書

国民年金・厚生年金保険 老齢基礎・厚生年金裁定請求書(65歳支給)

年金(改定)請求書(退職共済年金給付)

年金(改定)請求書(障害共済年金給付)

年金(改定)請求書(遺族共済年金給付)

年金(改定)請求書(退職共済年金給付:農林)

年金(改定)請求書(障害共済年金給付:農林)

年金(改定)請求書(遺族共済年金給付:農林)

退職共済年金支給繰下げ請求書

退職共済年金請求書(65歳支給)

厚生年金保険脱退手当金請求書

年金受給権者現況届

年金受給権者氏名変更届

厚生年金保険老齢・通算老齢・特例老齢年金受給権者支給停止事由消滅届・改定事由該当届(退職)

年金受給選択申出書

老齢・障害給付受給権者支給停止事由消滅届

老齢基礎・厚生年金受給権者厚年被保険者・共済組合等の組合員または加入者資格喪失届(退職)

遺族年金受給権者支給停止事由消滅届

国民年金 厚生年金保険 遺族基礎・厚年年金受給権者の所在不明による支給停止・支給停止解除申請書

国民年金 老齢基礎年金加算額支給停止事由消滅届

老齢・障害・遺族給付支給停止撤回申出書(申出により停止している年金を受けるための届)

障害基礎・厚生年金受給権者共済組合加入者等資格喪失届(退職)

障害による退職・遺族・遺族共済年金の支給停止解除届

特別障害給付金請求書 (特別障害給付金の支給受給資格及び額の認定)

特別障害給付金支給調整額変更届

特別障害給付金受給資格者住所・氏名・支払機関変更届

扶養親族等申告書

租税条約に関する届出書

租税条約に関する源泉徴収税額の還付請求書

年金請求書(国民年金老齢基礎年金)

厚生年金保険 適用証明書交付申請書

厚生年金保険 適用証明期間継続・延長申請書

厚生年金保険 適用証明書再交付申請書

国民年金 適用証明書交付申請書

国民年金 適用証明期間継続・延長申請書

国民年金 適用証明書再交付申請書

船員保険障害年金・障害手当金請求書

船員保険遺族年金請求書

船員保険通算遺族年金請求書

船員保険遺族一時金請求書

船員保険障害差額一時金請求書

船員保険 障害・遺族年金差額一時金請求書

国民年金 老齢年金請求書 旧

国民年金 通算老齢年金裁定請求書 旧

国民年金・厚生年金保険 特別支給の老齢厚生年金受給権者 老齢基礎年金支給繰上げ請求書

国民年金死亡一時金請求書

特別一時金請求書

厚生年金保険・国民年金 老齢厚生年金・老齢基礎年金支給繰上げ請求書

老齢基礎・老齢厚生・退職共済年金支給繰上げ請求書

国民年金・厚生年金保険・船員保険・共済年金未支給【年金・保険給付】請求書

老齢基礎年金・老齢厚生年金 支給繰下げ申出書(様式第103-1)

年金受給権者 住所・支払機関変更届

年金受給権者 住所変更届

年金受給権者 通知書等送付先・受取機関・口座名義変更申出書 住民基本台帳による住所の更新 停止・解除 申出書

遺族年金失権届

国民年金・厚生年金保険・船員保険・共済年金 年金受給権者死亡届

住民基本台帳による住所等の更新 停止・解除 申出書

厚生年金保険加給年金額対象者不該当届 旧

厚生年金保険老齢・通算老齢・特例老齢・障害年金受給権者支給停止事由消滅届

障害給付 額改定請求書

厚生年金保険 障害年金額改定請求書 旧

厚生年金保険 障害年金障害不該当届・老齢年金受給権者支給停止事由該当届

厚生年金保険遺族・通算遺族・特例遺族年金受給権者支給停止事由消滅届

厚生年金保険 老齢・障害年金加給年金額支給停止事由該当届 旧

厚生年金保険 老齢・障害年金加給年金額支給停止事由消滅届 旧

厚生年金保険老齢年金・障害年金受給権者胎児出生届 旧

中国残留邦人等の特別措置に伴う老齢給付の年金額改定請求書 旧

厚生年金保険 遺族年金額改定請求書(胎児の出生による年金額改定の請求)

年金保険遺族・通算遺族・特例遺族年金受給権者支給停止事由該当届 旧

厚生年金保険 通算老齢・特例老齢 年金受給権者改定事由該当届(65)

厚生年金保険 老齢・通算老齢受給権者支給停止事由消滅届・改定事由該当届(70歳喪失)

厚生年金保険 通算老齢・特例老齢 年金受給権者改定事由該当届(70)

遺族年金 寡婦加算額支給停止事由該当届 旧

遺族年金 寡婦加算額支給停止事由消滅届 旧

船員保険 遺族年金受給者の所在不明による支給停止・支給停止解除申請書

船員保険老齢年金・障害年金・遺族年金受給権者胎児出生届 旧

船員保険障害年金改定事由該当届・障害年金の受給権取得届

船員保険通算老齢・特例老齢年金受給権者改定事由該当届 (65)

船員保険老齢・通算老齢・特例老齢年金受給権者改定事由該当届 (70)

船員保険遺族・通算遺族・特例遺族年金受給権者支給停止事由該当届 旧

船員保険老齢・障害年金 加給金支給停止事由該当届 旧

船員保険老齢・障害年金 加給金支給停止事由消滅届 旧

船員保険遺族年金 寡婦加算額支給停止事由該当届 旧

船員保険遺族年金 寡婦加算額支給停止事由消滅届 旧

船員保険加給金額対象者不該当届 旧

船員保険老齢・通算老齢・特例老齢・障害年金受給権者支給停止事由消滅届・改定事由該当届(70歳喪失)

船員保険障害年金額改定請求書 旧

国民年金 老齢年金額改定請求書 旧

厚生年金保険障害者特例・繰上げ調整額請求書(繰上げ調整額停止事由消滅届)

厚生年金保険 年金受給権者障害者特例不該当届 繰上げ調整額停止届

生計維持確認届

年金受給選択申出書(様式第201号)

加算額・加給年金額対象者不該当届

国民年金・厚生年金保険 老齢基礎・厚生年金受給権者支給停止事由該当届

国民年金・厚生年金保険 老齢基礎・厚生年金受給権者厚生年金保険被保険者資格喪失届(退職)

障害基礎・老齢厚生・退職共済年金受給権者胎児出生届

障害給付受給権者 障害不該当届

国民年金・厚生年金 障害基礎・厚生年金受給権者 業務上障害補償の該当届

障害基礎年金・老齢厚生年金・退職共済年金加算額・加給年金額対象者の障害該当届

国民年金 厚生年金保険 遺族基礎・厚生年金額改定請求書

遺族給付受給権者の障害該当届

年金受給権者所在不明届

国民年金 老齢基礎年金額加算開始事由該当届

国民年金 老齢基礎年金加算額不該当届

国民年金 老齢基礎年金加算額支給停止事由該当届

国民年金 遺族基礎年金受給権者支給停止事由該当届

厚生年金保険老齢・障害・遺族厚生年金額改定請求書

老齢厚生年金・退職共済年金 加給年金額加算開始事由該当届

障害給付加算額・加給年金額加算開始事由該当届

老齢厚生年金 加給年金額加算開始事由該当届(生計維持申立書)

老齢・障害給付 加給年金額支給停止事由該当届

老齢・障害給付 加給年金額支給停止事由消滅届

遺族厚生・遺族共済年金受給権者支給停止事由該当届

特別支給の老齢厚生年金受給権者障害者特例不該当届

中国残留邦人等の特例措置に伴う老齢給付の年金額改定請求書

沖縄特例措置特別加算該当届

国民年金老齢基礎年金額改定届(沖縄特別措置該当)

国民年金寡婦年金額改定届(沖縄特別措置該当)

老齢厚生・退職共済年金受給権者 支給停止事由該当届

老齢・障害・遺族給付支給停止申出書(年金の受給を停止するための申出書)

受給権者所得状況届

国民年金受給権者支給停止事由該当届

国民年金 障害基礎・遺族基礎年金受給権者支給停止額変更届

国民年金受給権者支給停止事由消滅届

国民年金受給権者障害業務上の障害・遺族補償の該当届 旧

国民年金障害年金受給権者障害不該当届 旧

国民年金障害年金受給権者支給停止額変更届 旧

国民年金障害年金受給権者支給停止事由消滅届 旧

国民年金母子・準母子年金加算額対象者不該当届 旧

国民年金母子・準母子年金受給権者母子加算額支給停止事由該当届 旧

国民年金母子・準母子年金受給権者支給停止額変更届 旧

国民年金母子・準母子年金受給権者母子加算額支給停止事由消滅届 旧

国民年金遺児年金受給権者の所在不明による支給停止・支給停止解除申請書 旧

国民年金母子・準母子・遺児・寡婦年金受給権者支給停止事由消滅届 旧

国民年金障害年金額改定請求書 旧

年金請求書(国民年金老齢基礎年金)

国民年金 障害基礎年金額改定請求書

退職共済年金加給年金額支給停止事由該当・消滅届

遺族共済年金 中高齢寡婦加算額・経過的寡婦加算額支給停止事由該当届

障害共済年金受給権者 業務上障害補償の該当届

障害共済年金・障害年金受給権者 厚生年金保険被保険者資格取得・喪失届

扶養遺族(公務上)不該当届

遺族年金 寡婦加算額支給停止事由該当届()

遺族年金 寡婦加算額支給停止事由消滅届()

年金証書・改定通知書・振込通知書再交付申請書

源泉徴収票・準確定申告用源泉徴収票交付(再交付)申請書

脱退一時金支給決定通知書 再発行依頼書(本人申請用)

償還請求書

国民年金第3号被保険者加入期間証明請求書

年金分割のための情報提供請求書

年金分割のための情報通知書再交付申請書

標準報酬改定請求書(離婚時の年金分割の請求書)

標準報酬改定通知書再交付申請書

年金分割の合意書

国民年金 老齢福祉年金請求書

国民年金 老齢福祉年金支給停止関係(発生・消滅・額変更)届

国民年金老齢福祉年金所得状況届

国民年金 老齢福祉年金被災状況届

国民年金 老齢福祉年金氏名・住所・支払郵便局・扶養義務者変更届

国民年金 老齢福祉年金支給停止関係申出書

国民年金老齢福祉年金受給権者死亡届・国民年金未支給福祉年金支給請求書

老齢福祉年金受給月確認書

国民年金 国民年金証書再交付申請書・亡失届

特別障害給付金額改定請求書

特別障害給付金所得状況届

特別障害給付金支給調整事由該当届

特別障害給付金被災状況届

特別障害給付金 現況届

特別障害給付金受給資格者証・支給額改定通知書再交付申請書

特別障害給付金受給資格消滅届

特別障害給付金受給資格者死亡届・未払金請求書

厚生年金保険 遺族年金差額支給請求書 旧

国民年金 老齢基礎年金 共済組合員期間等追加申立書 退職

国民年金・厚生年金保険 第三者行為事故状況届

国民年金・厚生年金保険・船員保険・共済年金 時効特例給付支払手続用紙

時効特例給付支払手続用紙(未支給年金用)

国民年金・厚生年金保険・共済年金 遅延特別加算金請求書

国民年金・厚生年金保険・共済年金 遅延特別加算金請求書(未支給年金用)

年金加入期間確認請求書

給与所得報告書

年金受給権者 受取機関変更届

国会議員又は地方公共団体の議会の議員に係る老齢厚生年金在職支給停止(解除)届

国民年金障害基礎年金遺族基礎年金被災状況届

厚生年金保険 老齢・通算老齢・特例老齢 年金受給権者支給停止事由消滅届・改定事由該当届 70歳喪失

厚生年金保険 老齢・通算老齢・特例老齢年金受給権者支給停止事由消滅届

年金受給権者 通知書等送付先・支払機関・口座名義変更申出書、住民基本台帳による住所の更新 停止・解除 申出書(成年後見人等用)

 

2018.03.20.解決社労士

特掲事業

雇用保険では、失業等給付の負担の均衡化を図るために、短期雇用特例被保険者が多く雇用される事業については、雇用保険の保険料の料率を一般の事業と比べて高くしています。

これらの事業を特掲事業といい、次の4つの事業が該当します

(1) 土地の耕作若しくは開墾又は植物の栽植、栽培、採取若しくは伐採の事業その他農林の事業(園芸サービスの事業は除く。)

(2) 動物の飼育又は水産動植物の採捕若しくは養殖の事業その他畜産、養蚕又は水産の事業(牛馬の育成、養鶏、酪農又は養豚の事業及び内水面養殖の事業は除く。)

(3) 土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体又はその準備の事業(通常「建設の事業」といっている。)

(4) 清酒の製造の事業

 

<失業等給付>

雇用保険で、労働者の生活及び雇用の安定、求職活動の促進のために支給される給付金をまとめて失業等給付といいます。

失業等給付には、1.求職者給付、2.就職促進給付、3.教育訓練給付、4.雇用継続給付の4種類があり、昔「失業手当」と呼んでいたものは、求職者給付の基本手当に相当します。

 

<短期雇用特例被保険者と特例一時金

季節的に雇用されている者等は、短期雇用特例被保険者として一般の雇用保険加入者(被保険者)と区別されます。

短期雇用特例被保険者は、一定の期間ごとに就職と離職を繰り返すため、一般の被保険者への求職者給付よりも一時金制度とすることのほうが、その生活実態に適合しているといえます。

そのため短期雇用特例被保険者には、一般の被保険者と区別して、特例一時金が給付される仕組みがとられています。

 

<不公平の是正>

特掲事業には、短期雇用特例被保険者の割合が高く、特例一時金の給付も多いのです。

そして、給付と保険料とのバランスを考えたときに、特例一時金は失業等給付の中でも、特に保険料に対する給付の比率が高いものとなっています。

そのため、すべての事業で雇用保険率を一律にしてしまうと不公平が発生してしまいます。

特掲事業を定め、これらの事業だけ雇用保険率を高くすることによって、この不公平を是正しているわけです。

 

2018.03.19.解決社労士

平成30(2018)222日、厚生労働省が「情報通信技術を利用した事業場外勤務(テレワーク)の適切な導入及び実施のためのガイドライン」を策定しました

 

<テレワークのメリット>

労働者にとってのメリットとして、次のものが例示されています。

・通勤時間の短縮

・業務の効率化・時間外労働の削減

・育児や介護と仕事の両立の一助に

・仕事と生活の調和を図ることが可能

 

また、使用者にとってのメリットとして、次のものが例示されています。

・業務効率化による生産性の向上

・育児・介護等による労働者の離職の防止

・遠隔地の優秀な人材の確保

・オフィスコストの削減

 

これらのメリットが期待できないテレワークであれば、その方法を再考すべきですし、無理に導入するものでもないといえます。

 

<テレワークの問題や課題>

テレワークの問題や課題として、次のものが例示されています。

・労働時間の管理が難しい

・仕事と仕事以外の切り分けが難しい

・長時間労働になりやすい

 

テレワークを行う労働者にも、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法等の労働基準関係法令が適用されますから、適切な労務管理の実施は、テレワーク普及の前提となる重要な要素です。

 

<業務を行う場所に応じたテレワーク>

1.在宅勤務

通勤の必要がないため、時間を有効に活用することが可能となり、仕事と家庭生活との両立に繋がります。

 

2.サテライトオフィス勤務

自宅近くや通勤途中の場所などに設けられたサテライトオフィスを利用することで、通勤時間を短縮しつつ、作業環境の整った場所での就労が可能となります。

 

3.モバイル勤務

労働者が自由に働く場所を選択できる、外勤における移動時間を利用できる等、業務の効率化を図ることが可能となります。

 

テレワークはメリットの多い仕組みですが、導入にあたっては、その実効性と適法性を十分に検証する必要があるといえます。

 

2018.03.18.解決社労士

<解雇の意味>

雇い主から「この条件でこの仕事をしてください」という提案があり、労働者がこれに合意すると労働契約が成立します。

労働契約は口頭でも成立します。ただ労働基準法により、一定の重要な労働条件については、雇い主から労働者に対し、原則として書面による通知が必要となっています。

解雇は、雇い主がこの労働契約の解除を労働者に通告することです。

 

<普通解雇>

狭義の普通解雇は、労働者の労働契約違反を理由とする労働契約の解除です。

労働契約違反としては、能力の不足により労働者が労働契約で予定した業務をこなせない場合、労働者が労働契約で約束した日時に勤務しない場合、労働者が業務上必要な指示に従わない場合、会社側に責任の無い理由で労働者が勤務できない場合などがあります。

 

<解雇の制限>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という規定があります。〔労働契約法16条〕

普通解雇は、この制限を受けることになります。

 

<懲戒処分の制限>

「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする」という規定があります。〔労働契約法15条〕

労働契約法の15条と16条は、重複している部分があるものの、15条の方により多くの条件が加わっています。

懲戒処分は、この厳格な制限を受けることになります。

 

<懲戒解雇の有効要件>

懲戒解雇というのは懲戒+解雇ですから、懲戒の有効要件と解雇の有効要件の両方を満たす必要があります。

普通解雇は、解雇の有効要件だけ満たせば良いのですから、懲戒解雇よりも条件が緩いことは明らかです。

 

<懲戒解雇と普通解雇の有効要件の違い>

そして、条文上は不明確な両者の有効要件の大きな違いは次の点にあります。

まず懲戒解雇は、社員の行った不都合な言動について、就業規則などにぴったり当てはまる具体的な規定が無ければできません。しかし普通解雇ならば、そのような規定が無くても、あるいは就業規則が無い会社でも可能です。

また懲戒解雇の場合には、懲戒解雇を通告した後で、他にもいろいろと不都合な言動があったことが発覚した場合にも、後から判明した事実は懲戒解雇の正当性を裏付ける理由にはできません。しかし普通解雇ならば、すべての事実を根拠に解雇の正当性を主張できるのです。

ですから懲戒解雇と普通解雇とで、会社にとっての影響に違いが無いのであれば、普通解雇を考えていただくことをお勧めします。特に、両者で退職金の支給額に差が無い会社では、あえて懲戒解雇を選択する理由は乏しいといえます。

 

<障害者雇用促進法に基づく合理的配慮>

障害者を採用した場合や、健常者である社員が障害者となった場合には、会社が障害者雇用促進法に基づく合理的配慮を求められます。

こうした配慮が不十分であれば、解雇を通告しても、労働契約法16条にいう解雇権の濫用とされ、解雇が無効となる可能性が高くなります。

ましてや、知的障害者や精神障害者の懲戒解雇となれば、そのハードルは更に高くなります。

懲戒処分の対象となる行為の原因が、知的障害や精神障害である可能性もあり、これに対して、戒めて反省を求めるための懲戒処分が無意味なケースもあるからです。

障害者の雇用の促進等に関する法律は、昭和351960)年に障害者の職業の安定を図ることを目的として制定されました。

そして、労働者の募集・採用、均等待遇、能力発揮、相談体制などについて定められ〔36条の236条の4〕、事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針が定められるとしています。〔36条の5

また、平成282016)年4月の改正障害者雇用促進法の施行に先がけて、合理的配慮指針が策定されています。(平成27(2015)325日)

この指針を参考にして、会社が十分な取り組みを行ってきたのでなければ、解雇を有効に行うことはむずかしいのです。

 

<解雇を検討するよりも>

結論としては、会社が一方的に普通解雇や懲戒解雇をするのではなく、障害者本人、家族、主治医、産業医などとよく話し合い、会社が対応しきれないことを説明して、合意による退職を目指すのが現実的です。

会社が誠実に説明すれば、家族が本人の説得に回ってくれることもあります。

それでも合意できない場合には、病状により休職を命じることも考えます。客観的に見て、懲戒解雇の検討対象となるような行動が現れたのなら、医師から病状が重いと判断されることが多いでしょう。

「あの対応で本当に良かったのだろうか」という疑問を残さないよう、慎重に対応しましょう。

 

2018.03.17.解決社労士

<いじめが疑われる場合>

障害者に対する偏見などにより、同僚からいじめられていたり、上司からパワハラを受けていたりすることによって、本来の能力を発揮できないことがあります。

また、求められている能力を発揮して業務をこなしているにもかかわらず、周囲から仕事ぶりについて悪く言われていることもあります。

この場合には、会社のトップや人事担当者が障害者と面談して、いじめの事実が無いか確認する必要があります。

そして、本人がいじめの事実を認めた場合でも、他に被害者がいないか、目撃者はいないかなどの調査を会社が始めると、告げ口したとされて、かえっていじめがエスカレートしてしまう危険があります。

会社が、いじめ、パワハラ、障害者について、きちんとした社内教育をしないうちに、障害者を迎え入れてしまうのは、危険だということです。

それでも、法定の障害者雇用率の段階的な上昇により、障害者の雇用が難しくなりつつありますから、急ぐあまり、態勢が整わないうちに採用してしまうこともあります。

こうした場合には、すぐに犯人探しに走るのではなく、研修などの社内教育をする旨の全社告知をしたうえで、計画的に進めるのが得策です。

 

<メンタルヘルス不調が疑われる場合>

身体障害やいじめなどが原因で、精神疾患にかかっている場合もあります。また、元々あった精神疾患が悪化している場合もあります。

これらの場合には、上司や同僚から不自然な言動についての情報が入ることもあります。会社のトップや人事担当者が障害者と面談して、受け答えや態度に疑問を抱くようであれば、専門医の受診を促すようにします。

程度によっては、ご家族、支援機関、主治医、産業医との連動も必要になります。

精神疾患により、正常に勤務できないのであれば、会社のルールに従い休職などの手続きを取ることになります。

 

<障害者雇用促進法に基づく合理的配慮>

障害者を採用した場合や、健常者である社員が障害者となった場合には、会社が障害者雇用促進法に基づく合理的配慮を求められます。

こうした配慮が無いために、障害者が能力を発揮できないのであれば、会社側に問題があることを素直に認め、合理的な配慮を実施しなければなりません。

障害者の雇用の促進等に関する法律は、昭和351960)年に障害者の職業の安定を図ることを目的として制定されました。

そして、労働者の募集・採用、均等待遇、能力発揮、相談体制などについて定められ〔36条の236条の4〕、事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針が定められるとしています。〔36条の5

また、平成282016)年4月の改正障害者雇用促進法の施行に先がけて、合理的配慮指針が策定されています。(平成27(2015)325日)

この指針を参考にして、会社としての取り組みを進めましょう。

 

<解雇の検討>

以上の問題をクリアしたうえで、尚、障害者が思うように働いてくれない場合には、普通解雇を検討することになります。

しかし、障害者の場合には、会社側の努力が求められている分だけ、能力不足を理由とする解雇が困難です。

採用にあたっては、何をどこまで期待するのかについて、具体的な人材要件を文書化し、本人に説明して交付しておくことをお勧めします。

できれば3か月程度の試用期間を置き、定期的に必要な人材要件と本人の働きぶりとを対照しつつ面談を行って、本採用に至らない場合でも、納得が得られるようにしておくと良いでしょう。

 

2018.03.16.解決社労士

<解雇は無効とされやすい>

社員が障害者になったら、「ある程度面倒は見るけれど、今まで通り働けないのなら、退職を申し出て欲しい」というのが、経営者の本音だと思います。

それでも、本人から退職の申し出が無ければ、説得して退職を申し出てもらうように働きかけるでしょう。これに応じてもらえれば、退職勧奨に応じての退職ということで、その人は失業手当(雇用保険の基本手当)も有利に受給できます。

しかし、本人の愛社精神が強ければ、働きたいと思うはずです。経営者としては、こうした本人の想いに応えたい反面、止むを得ず解雇を考えることでしょう。

しかし解雇については、労働契約法に次の規定があります。

 

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

裁判になれば、この条文の中の「客観的に合理的な理由」「社会通念上相当」というのは、経営者の考え方や世間の常識ではなく、裁判官の解釈が基準になります。

ですから、安易に懲戒解雇を行うのは危険です。実際に発生している具体的な事実に照らして、関連する判例を数多く調べたうえで、懲戒解雇を検討しなければなりません。

多くの中小企業では、社外の専門家の手助けを必要とするでしょう。

 

<障害者雇用促進法に基づく合理的配慮指針>

さらに、障害者については法令による保護が強化されています。

障害者の雇用の促進等に関する法律は、昭和351960)年に障害者の職業の安定を図ることを目的として制定されました。

そして、労働者の募集・採用、均等待遇、能力発揮、相談体制などについて定められ〔36条の236条の4〕、事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針が定められるとしています。〔36条の5

また、平成282016)年4月の改正障害者雇用促進法の施行に先がけて、合理的配慮指針が策定されています。(平成27(2015)325日)

 

※正式名称は、「雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会若しくは待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために事業主が講ずべき措置に関する指針」と長く、具体的な内容を示すものですが、ここでは「合理的配慮指針」と呼びます。

 

<合理的配慮指針の基本的な考え方>

全ての事業主は、障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となっている事情を改善するため、労働者の募集及び採用に当たり障害者からの申出により当該障害者の障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければならないとしています。

また、障害者である労働者について、障害者でない労働者との均等な待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するため、その雇用する障害者である労働者の障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な施設の整備、援助を行う者の配置その他の必要な措置を講じなければならないとしています。

 

<中小企業での対応>

しかし、中小企業で社員が障害者となった場合に、上記のような対応を求められたのでは大変でしょう。

実は、障害者雇用促進法の募集・採用、均等待遇、能力発揮についての規定には、「ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない」という但し書きが添えられています。〔36条の236条の3

これを受けて、合理的配慮指針にも、同様の内容が加えられています。

つまり各企業には、その規模や体力に応じた対応が求められているのであって、決して無理を強いられているのではないということです。

 

中小企業では、何が何でも障害者となった社員を解雇してはならないということではなく、ご本人と親身になって相談したうえで、会社ができる限りのことをしても限界があるのなら、解雇もやむを得ないということになります。

 

2018.03.15.解決社労士

<同じ失言でも>

大臣が失言で罷免されたというニュースは、たびたび報道されています。場合によっては、大臣をクビになるだけでなく、国会議員としても辞職に追い込まれるケースがあります。

しかし、民間企業での社員の失言はほとんど報道されず、じわじわとその影響が現れてくることが多いものです。

 

<たとえばの失言>

上司が部下に対して、「○○くんって彼女はいるのかな?」という失言をしたとします。

これが失言だとピンとくる人は、正しい知識を持っていて実践できているので、問題となる失言はしないでしょう。

 

職場の優位者が劣位者に対して、仕事上接する際に、必要以上に人権を侵害しうる行為をパワハラといいます。

上司が部下を「○○くん」と呼ぶ必要はありません。このように呼ぶのは、客観的に見れば上から目線の態度ですから、パワハラになりうるのです。

 

職場の人間関係や職場環境で、性について平穏に過ごす自由を侵害しうる行為をセクハラといいます。

彼女かいるかどうかは、聞かれるだけでドキドキします。ですからセクハラになるのです。

ましてや、言われた男性が同性愛者であれば、同性愛者であることがバレたのかと、大いに困惑することもあるでしょう。LGBTへの対応は、すべての企業に必須の取り組み課題なのです。

 

<失言で表面化する労働問題>

この例で、言われた部下がパワハラやセクハラを問題にすることは少ないでしょう。ハラスメントについての社員教育が不足していれば尚更です。

しかし、彼女のいない○○くんは、「彼女がいないのは出会いが無いからだ。毎日残業続きだし、休日出勤もあるし、有給休暇も取れないからだ」と思ってしまうかも知れません。

また、彼女がいる○○くんは、「今の年収では結婚もできないし、子供を設けるなんてとても無理だ。それに、家族と過ごす時間も確保できやしない」と考えるキッカケとなります。

 

上司の失言により、「会社のため、自分のため」と頑張ってきた○○くんは、考えを変えてしまう可能性があるのです。

何気ない一言が、人間関係や職場関係を悪化させ、労働問題が表面化します。

この例では、パワハラ、セクハラ、長時間労働、サービス残業、年次有給休暇の取得率、低賃金の問題について、法的に正当な主張を公式の場で展開する可能性が高まります。

 

<中小企業での対応>

社員教育が最善の対策です。

すべての点で、労働法に従った経営というのは困難です。有名な大企業であっても、しばしば労働法違反の報道がされています。あらゆる点で法律上の努力義務まで尽くしているという企業は稀です。

だからといって、法令を無視することはできません。日本は法治国家です。会社は、法律によってその存続が認められでいるのですから、アウトローでは生きていけません。罰則が適用されるようなことは慎まなければなりません。

結局、会社として対応すべきは対応して、社員とのコミュニケーションを密にして、適正な社員教育をすることです。

少なくとも、部下を持つ社員には失言させない教育が必要ですし、すべての社員にブラック企業の疑いを発生させないための教育が必要です。

 

2018.03.14.解決社労士

<障害者雇用促進法に基づく合理的配慮指針>

障害者の雇用の促進等に関する法律は、昭和351960)年に障害者の職業の安定を図ることを目的として制定されました。

そして、労働者の募集・採用、均等待遇、能力発揮、相談体制などについて定められ〔36条の236条の4〕、事業主が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針が定められるとしています。〔36条の5

また、平成282016)年4月の改正障害者雇用促進法の施行に先がけて、合理的配慮指針が策定されています。(平成27(2015)325日)

 

※正式名称は、「雇用の分野における障害者と障害者でない者との均等な機会若しくは待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するために事業主が講ずべき措置に関する指針」と長く、具体的な内容を示すものですが、ここでは「合理的配慮指針」と呼びます。

 

<合理的配慮指針の基本的な考え方>

全ての事業主は、障害者と障害者でない者との均等な機会の確保の支障となっている事情を改善するため、労働者の募集及び採用に当たり障害者からの申出により当該障害者の障害の特性に配慮した必要な措置を講じなければならないとしています。

また、障害者である労働者について、障害者でない労働者との均等な待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するため、その雇用する障害者である労働者の障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な施設の整備、援助を行う者の配置その他の必要な措置を講じなければならないとしています。

 

この内容からすると、たとえば視覚障害者に対しては、募集や採用試験にあたって点字や音声等による実施が求められることになります。

また、たとえば精神障害者に対しては、業務の優先順位や目標を明確にし、指示を一つずつ出す、作業手順を分かりやすく示したマニュアルを作成し使用することや、本人の状況を見ながら業務量等を調整することなどが求められます。

 

<中小企業での対応>

人手不足の折、中小企業で障害者の雇用を考えた場合に、上記のような対応を求められたのでは、なかなか採用に踏み切れないでしょう。

実は、障害者雇用促進法の募集・採用、均等待遇、能力発揮についての規定には、「ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない」という但し書きが添えられています。〔36条の236条の3

これを受けて、合理的配慮指針にも、同様の内容が加えられています。

つまり各企業には、その規模や体力に応じた対応が求められているのであって、決して無理を強いられているのではないということです。

 

中小企業では、募集・採用にあたって経費のかかる配慮をしたり、勤務にあたって高額な設備を設けたりということではなく、相談相手を決めて親切に相談に応じるとか、チューター制度を設けてマンツーマンの指導を受けるようにするなどの配慮が求められるのでしょう。

 

2018.03.13.解決社労士