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<退職してもらう方法の選択>

業務上のミスが多く、その程度も重い場合、十分に注意・指導・教育しても改善の見込みが低い場合には、仕方なく会社を辞めてもらうことになります。

その方法としては、退職勧奨や普通解雇があります。

解雇が有効となる条件がそろっているような場合には、会社から対象者に退職を勧め、本人がこれに応じる合意退職が成立しやすいでしょう。

しかし、解雇が有効となる条件が欠けている場合、能力不足などにより転職がむずかしい社員の場合、実力に比べて高額な給与が支給されているような場合には、なかなか本人が退職勧奨に応じないものです。

また、能力不足そのものを理由とする懲戒解雇はできませんので、「このままだと懲戒解雇になる」などの説明をして退職願いを提出させた場合でも、錯誤〔民法95条〕、強迫〔民法96条〕による退職の意思表示の無効が主張され、取り消されてしまう可能性があります。

さらに、反省を示す意図で退職願いが出されたのに対し、会社側がその意図を知りうるのに退職手続きを進めたような場合には、心裡留保〔民法93条〕により退職の意思表示が無効となる可能性もあります。

 

<普通解雇による退職>

こうして、能力不足によるミスの連発が見られる場合には、普通解雇を検討することになります。

普通解雇のつもりで解雇を通告しても、法的な条件を満たしていなければ解雇権の濫用とされ無効となります。これが不当解雇です。不当解雇の場合には、解雇したつもりになっていても、それは無効だということです。

解雇が有効となるためには、次の条件を満たしている必要があります。

・就業規則に定めてある普通解雇の具体的な理由にあたること

・解雇権の濫用〔労働契約法16条〕ではないこと

・解雇予告義務〔労働基準法20条〕が果たされていること

・解雇が法律上の制限に違反していないこと

 

<証拠固め>

退職勧奨に応じた社員や、普通解雇をした社員から、合意退職や解雇の無効を主張されることがあります。これに備えて会社は証拠を保管しておく必要があります。ところが実際には、会社側に証拠が残っていないことが多く、退職者の主張を覆せないことによるトラブルが後を絶ちません。

会社が「十分に注意・指導・教育しても改善の見込みが低い」という証拠を持っていなければ、真実はそうであったとしても、裁判官はその事実を認定できません。注意・指導・教育の日時と内容、そしてその後の対象社員の変化などを、文書に残しておく必要があります。

会社経営者、上司、同僚、部下、取引先などは、基本的に会社の味方ですから、その証言は信頼できる証拠にはなりません。

また、そもそも業務上のミスが多いので辞めてもらいたいわけですから、いつどのようなミスがあったのか、会社はどう対処したのかという基礎的な証拠も必要なわけです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

たとえば、解雇権の濫用とされる基準は、労働契約法16条を読んだだけでは具体的なことがわかりません。具体的な事案に即した専門的な判断が要求されるのです。

社員に退職してもらうことを検討する場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.25.解決社労士

<加入基準>

雇用保険や社会保険(健康保険・厚生年金保険)の加入基準のうち、労働時間については、実労働時間ではなくて所定労働時間が基準となります。

つまり、シフトに多く入っていて実際の労働時間が多くなっていても、雇用契約書や労働条件通知書に書いてある所定労働時間が基準に達していなければ、保険に入れないということになります。

 

<所定労働時間の見直し>

とはいえ、所定労働時間と実労働時間との食い違いが続くというのは、正しい状態ではありません。

従業員から会社の責任者などに「約束通りにシフトに入れてください」と言うか、「実際の勤務に合わせて雇用契約書を作り直してください」と言うべきです。

 

<所定労働時間が無い?>

出勤日や勤務時間は、雇い入れにあたって雇い主が労働者に明示しておくべき労働条件の一つです。

しかし、月や週ごとに、話し合いで出勤日や勤務時間を決めることも違法ではありません。

実際、シフトを組んで勤務予定を立てている場合、基準となる出勤日数が決まっていないことがあります。

さらに、労働者が主体となって、自分の都合に合わせで出勤日を決めるというのも、何ら法令違反にはなりません。

このように所定労働時間が明確に決まっていない場合に限っては、勤務の実態を踏まえて、雇用保険や社会保険の加入を判断せざるを得ません。

社会保険については年金事務所、雇用保険についてはハローワークが相談窓口となります。

まとめて相談するのであれば、信頼できる社労士にご連絡ください。

 

2017.06.24.解決社労士

<制度利用への嫌がらせ>

次に掲げる制度や措置は、育児介護休業法が定めるもので、男女どちらにも適用されます。上司や同僚の言動が、こうした制度や措置に関するもので、人権侵害となれば、就業環境を害することにもなり、制度等の利用への嫌がらせ型のマタハラ(マタニティーハラスメント)となります。

小さな会社を含め、すべての会社の労働者に適用されます。

・育児休業

・子の看護休暇

・所定外労働(早出や残業)の制限

・深夜業の制限

・育児のための所定労働時間の短縮措置

・始業時刻変更等の措置

 

<マタハラとなる言動>

次のような言動が、マタハラの典型例です。

・制度や措置の利用請求などを理由に上司が不利益な取扱いをほのめかす

・制度や措置の利用請求などを上司や同僚が邪魔する

・制度や措置を利用したことを理由に上司や同僚が嫌がらせをする

具体的には、次のような発言がマタハラになります。

「男のくせに育休を取るなんて」

「一人だけ残業しないで帰るなんてずるい」

「いつも社長出勤で偉そうね」

周囲の人たちは、自分の負担が増えるから、ついついこんな発言をしがちです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

「うちの会社は産休や育休なんて関係ない」と言えるうちに、マタハラ対策をするのがお勧めです。

具体的に対象者があらわれてからでは、冷静に判断することができなくなるものです。

労働者の出産前後のルールについて、権利ばかりではなく義務についても、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.23.解決社労士

<パートやアルバイトなどの定義>

正社員、パート、アルバイト、嘱託社員、契約社員などの用語は、法律用語というわけではなくて、それぞれの企業で定義を決めています。そして実際には、明確な定義を決めていない企業も数多くあります。

このように、パートなどが法律用語ではない以上、各企業が特定の従業員をどのような名称で区分しようとも、それを根拠に正社員と違った扱いができることにはならないのです。

 

<パートやアルバイトの解雇>

ところが、パートやアルバイトであればいつでも解雇できるものと誤解されていることがあります。もちろん、全くの誤りです。

むしろ、契約期間の途中で解雇するのは、定年の他に期間を定められていない正社員よりもむずかしいのです。

客観的に「やむを得ない」理由が無ければ、契約期間中に解雇することはできません。〔労働契約法17条1項、民法28条〕

「やむを得ない」理由とは、期間を定めて雇用しているにもかかわらず、その約束を破って、期間満了前に雇用契約を終了しなければならないような特別重大な理由をいいます。

ですから、余程のことがない限り、契約期間の途中で解雇することはできません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

期間満了と共に解雇する場合にも、決して自由に行えるわけではありません。

解雇したつもりになっていても、不当解雇であれば解雇は無効なのです。

その人を採用するかどうかは、基本的に企業側の自由なのですが、採用したからには雇い続ける努力をしなさいというのが、労働法全体の趣旨となっています。

それでもなお、解雇を考えなければならないのなら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.22.解決社労士

<残業の性質>

残業は、会社が命じて社員に行わせるものです。具体的には、上司が業務上の必要から、部下に命じて行わせることになります。

少なくとも、部下が残業の必要性を上司に打診し、これを受けて上司が部下に命ずるという形でなければ、残業は発生しない性質のものです。

そして、いつも上司がいるわけではありませんから、伝票の処理が終わらないときは残業しなさいとか、お客様のクレームがあったときは対応して報告書を作成するまでは残業しなさいという包括的な命令もありえます。

この場合には、ダラダラ残業の危険がありますから、上司は十分な事後チェックをしなければなりません。

 

<上司の怠慢>

ところが実際には、上司の命令が無いままに、部下が自己判断で残業することがあります。上司は、これを発見し、注意し、禁止しなければなりません。そうしなければ、際限なく残業代が発生しますから、人件費の垂れ流しになってしまいます。

このような管理能力を備えていない上司が、部下の残業を野放しにしておくと、上司による黙示の承認があったものとされ、会社は多額の残業代を支払うことになります。支払わなければ、サービス残業とされ、未払い残業代の請求が発生します。

上司には、部下を管理する役目があって、その分給料が高いのですが、上司が給料分働かないうえに、部下の余計な残業代まで負担するのですから、会社はたまったものではありません。

上司の管理能力の有無は、きちんと人事考課によって評価されなければなりません。管理能力の不足する上司が、適正に降格されなければ、会社全体の生産性が低下してしまいます。

 

<就業規則での対処>

業務が終了したら直ちに帰ることを規定しましょう。残業代が発生しなくても、ただそこに社員が残っているだけで、余計な光熱費が発生しますし、雑談などしようものなら、残業している社員の邪魔になります。それだけでなく、使用者の指揮命令下にあるものとされ、タイムカードを打刻した後の時間にも残業代が発生してしまいます。

残業は、上司の命令によって発生することを明記しましょう。上司の命令に応じるのではなく、自己判断で残業することは禁止しましょう。

こうした規定に違反する社員は、人事考課で適正に評価されなければなりません。場合によっては、懲戒処分の対象とする必要もあるでしょう。

 

<残業代を稼ぎたい社員の発見>

仕事の合間に居眠りしたり、軽食をとったり、雑談したり、喫煙したり、仕事に関係ない資料を読んだり、個人的興味でパソコンをいじったり、スマホを操作したりの時間は、本当の労働時間ではありません。

こうした時間の総合計が長い一方で、残業が発生している社員は、上司が注意指導して仕事をさせなければなりません。

これもまた、適正な人事考課と必要に応じた懲戒処分の対象となります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

担当者に対して「残業を減らしなさい」「残業は月20時間まで」などと言うのは、上司のあるいは会社側の責任放棄です。これでは、仕事が回らなくなるか、生産性が低下するか、サービス残業が発生してブラック企業に転落するかでしょう。

社内でうまく残業を減らせないのなら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.21.解決社労士

<マタハラ(マタニティーハラスメント)>

マタハラとは、職場での上司や同僚からの、妊娠・出産したことに関する言動や、育児のための制度の利用に関する言動により、妊娠・出産した女性労働者や育児休業等を申出・取得した男女労働者等の就業環境が害されることをいいます。

対象者は、女性に限られず、父親となった男性も含まれます。

 

<職場>

職場は、労働者が業務を遂行する場所ですから、事務所、店舗などに限られず、出張先や取引先、自動車の中なども含まれます。

また、勤務時間外であっても、職務との関連性や、参加義務などにより、実質的に勤務の延長であれば、職場と見なされる場合があります。

職場で起きた事であれば、企業の使用者責任が問われます。

 

<労働者>

正社員だけでなく、パート、アルバイト、契約社員などを含むすべての労働者をいいます。

また、派遣労働者については、派遣元も派遣先も、直接雇用の労働者と同様に措置を講じる必要があります。

 

<マタハラにあたらない場合>

客観的に見て、業務上の必要に基づく言動は、マタハラにはなりません。

この点、セクハラには業務上の必要に基づくことがありえないのとは異なります。

 

2017.06.20.解決社労士

<基本的な態度として>

パワハラを指摘されたなら、それはそれで十分反省すべきです。

しかし、懲戒解雇というのが行き過ぎた対応ではないかと疑うことも必要です。

パワハラを理由に懲戒解雇を宣告されても、それが法的に有効となるためには、厳格な法的要件を満たす必要があります。

会社に再考を促すべき場合もありますので、冷静に考えてみてください。

 

<懲戒処分の有効要件>

解雇までいかなくても、懲戒処分が有効とされるには、多くの条件を満たす必要があります。条件を1つでも欠けば、無効を主張できるわけです。

法律上の制限としては、次の規定があります。

 

「使用者が労働者を懲戒できる場合に、その労働者の行為の性質、態様、その他の事情を踏まえて、客観的に合理的な理由を欠いているか、社会通念上相当であると認められない場合には、その権利を濫用したものとして無効とする」〔労働契約法15条〕

 

これは、数多くの裁判の積み重ねによって作られた「懲戒権濫用法理」という理論を条文にしたものです。

ですから「使用者が労働者を懲戒できる場合」、つまり就業規則や労働条件通知書、雇用契約書などに懲戒処分の具体的な取り決めがあって、その労働者の行為が明らかに懲戒対象となる場合であっても「懲戒権濫用法理」の有効要件を満たしていなければ、裁判ではその懲戒処分が無効とされます。

また、そもそも就業規則や労働条件通知書、雇用契約書などに懲戒処分の具体的な取り決めが無ければ、懲戒処分そのものができないことになります。

 

懲戒権の濫用ではないといえるためには、次の条件を満たす必要があります。

・労働者の行為と懲戒処分とのバランスが取れていること。

・パワハラの問題が起きてから懲戒処分の取り決めができたのではないこと。

・過去に懲戒処分を受けた行為を、再度懲戒処分の対象にしていないこと。

・その労働者に説明や弁解をするチャンスを与えていること。

・嫌がらせや退職に追い込むなど不当な動機目的がないこと。

・社内の過去の例と比べて、不当に重い処分ではないこと。

 

<懲戒規定の明確さ>

実際にパワハラとされた行為が、懲戒処分の対象であることが明確でなければ、従業員としては、何が処分の対象かわからないまま処分されてしまうことになります。これは、やはり懲戒権の濫用となり、懲戒処分は無効となります。

同じパワハラでも、暴行、傷害、名誉棄損など、刑法上の罪に問われる行為であって、懲戒規定に「会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が明らかとなったときは懲戒解雇とする」という規定があれば、他の条件を満たす限り懲戒解雇も有効になります。

しかし、こうした規定が無かったり、パワハラとされた行為が刑罰法規に違反する行為ではないという場合には、パワハラの定義の明確性が問題となります。

 

<パワハラの定義>

法令にパワハラの定義はありません。ですから、職場ごとに明確な定義づけをしなければ、パワハラを理由とした懲戒処分はできません。

つまり、就業規則などの規定を読めば、問題とされた行為がパワハラにあたることは、その行為を行った人にも明らかだと言える場合や、パワハラについての教育研修が十分に行われているので、その行為を行った人にも理解できていたと言える場合でなければ、有効に懲戒処分を行うことはできません。

何を禁止されているかわからないのに、「あれはパワハラだったから処分します」という不合理なことは許されないのです。

ですから、パワハラを指摘され反省してみたものの、本当にパワハラと言えるのかどうか良くわからないならば、パワハラの定義が不明確である可能性が高いのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

パワハラで懲戒解雇になりそうな場合、自分の行為が本当にパワハラだったのか、パワハラだったとして解雇されるほどのことだったのか、という疑問を感じているのなら、なるべく早く信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.19.解決社労士

<繰り下げ受給を選ぶ理由>

65歳から受給する老齢年金を、繰り下げて受給すると、最大70歳までの繰り下げで受給額が増額されます。

65歳以上でもまだまだ元気に働いていて年金に頼る必要が無い、預貯金などの資産が充分にあるという方は、受給額の増額が大きなメリットとなります。

また、働きながら年金を受け取る在職老齢年金の場合、年金額の一部または全額が支給停止されることもありますから、条件によっては、繰り下げ受給を考えたいところです。

 

<どれほど増額されるのか>

繰り下げによる増額の割合は 0.7%×繰り下げた月数 で計算できます。1年につき8.4%の割合ですから、最大5年で42%ということになります。

しかも、この増額が一生続くのです。

たとえば、65歳から年100万円の年金をもらう代わりに、70歳から年142万円の年金をもらうという計算になります。

 

<70歳からの繰り下げ受給が得なのは>

上のケースで、65歳から受け取る場合と、70歳から受け取る場合とでは、年42万円の差額が出ます。

65歳から受け取っていたとしたら、70歳になるまでの5年間で合計500万円の受取額となっていたはずです。

この差を解消するのに必要な年数は、500万円を42万円で割って、11.905…年となります。

 つまり、11年11か月ほどで、70歳から受給した場合の合計額が、65歳から受給した場合の合計額に追いつきます。

 

今の仕組みが続いたとして、81歳11か月までの年金額の総額は、

65歳からだと、100万円×16.905年=1,690万5千円

70歳からだと、142万円×11.905年=1,690万5千円

 

今の仕組みが続くなら、そして、あくまでも受給額の総額だけで考えるならば、82歳以降も長生きする方は、70歳から年金を受けるのが得なのでしょう。反対に、そこまで生き続けなければ損になります。

 

<結論として>

平成27年の日本人の平均寿命は、厚生労働省が5年ごとに公表している「完全生命表」によると、女性が86.99歳、男性が80.75歳だそうです。

82歳まで生きるというのは、特に女性にとって、決して無理な話ではありません。

また、低金利の世の中で、繰り下げ1年につき8.4%の増額というのは、かなり大きなメリットです。

しかし、高齢者になると体力も気力も低下し、お金があってもそれを上手く使えなくなってくるという現実があります。必ずしも、計算上の合計額が多い方が良いというわけでもありません。

もっと詳しく具体的に検討したい場合には、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2017.06.18.解決社労士

<繰り上げ受給を選んだ理由>

65歳から受給する老齢年金を、最大60歳まで繰り上げて、早めに受給を開始することができます。

厚生労働省の平成24年の調査ですが、繰り上げ受給を選んだ理由ベスト3は、次のようになっています。

 

・年金を繰上げないと生活出来なかったため

・生活の足しにしたかったため

・減額されても、早く受給する方が得だと思ったため

 

減額されても、早く受給する方が得だと思った根拠は何なのでしょうか。不幸にして余命宣告された方は、繰り上げ受給に合理性があると考えられます。しかし、短命な家系に生まれたという程度では、理由としては弱いような気もします。

 

<どれほど減額されるのか>

繰り上げによる減額の割合は 0.5%×繰り上げた月数 で計算できます。1年につき6%の割合ですから、最大5年で30%ということになります。

しかも、この減額が一生続くのです。

たとえば、65歳から年100万円の年金をもらう代わりに、60歳から年70万円の年金をもらうという計算になります。

65歳の時点では、すでに5年間で350万円の年金を受け取っている計算になります。70万円×5年です。

 

<60歳からの繰り上げ受給が得なのは>

上のケースで、65歳から受け取る場合と、60歳から受け取る場合とでは、年30万円の差額が出ます。

すでに受け取っている年金350万円を30万円で割ると、11.66…となります。つまり、11年8か月で60歳からの受給者は、65歳からの受給者に、年金額の総額で追いつかれることになります。

 

今の仕組みが続いたとして、76歳8か月までに受け取る年金額の総額は、60歳から受け取っても、65歳から受け取っても、1,166万6千円です。

60歳からだと、 70万円×16年8か月=1,166万6千円

65歳からだと、100万円×11年8か月=1,166万6千円

 

今の仕組みが続くとして、あくまでも受給額の総額だけで考えるならば、76歳半位までに亡くなる方は、60歳から年金を受けて得なのでしょう。反対に、これ以降も生き続ける方は損になります。

あくまでも、計算上の話です。

 

<他にもある繰り上げ受給のデメリット>

繰り上げ受給をすると、年金の上では、65歳になったのと同じ扱いがされますので、次のようなデメリットもあります。

・障害基礎年金を請求することができない。

・寡婦年金が支給されない。既に寡婦年金を受給していても権利がなくなる。

・65歳になるまで遺族厚生年金が併給できない。

これらも踏まえて、繰り上げ受給を慎重に検討する必要があります。

 

<結論として>

長生きする可能性を考えると、早くもらわないと生活できないという方、難病などで余命宣告されている方を除き、繰り上げ受給はお勧めできません。

低金利の世の中で、繰り上げ1年につき6%の減額というのは、かなり大きなデメリットですから。

もっと詳しく具体的に検討したい場合には、信頼できる社会保険労務士(社労士)にご相談ください。

 

2017.06.17.解決社労士

<定額残業代の失敗による打撃>

残業が少なくても定額残業代が保障されているのですから、労働者は早く仕事を終わらせてプライベートを充実させようとします。そのためには、自主的に学んだり、仕事の仕方を工夫したり、会社に言われるまでもなく努力します。これによって生産性が向上するのは、会社にとっても大きなメリットです。

もし、こうした結果が得られていないのならば、制度の導入や運用に誤りがあると思われます。

そして、制度の導入や運用に誤りがある場合には、定額残業代の有効性が否定されます。否定されると、基本給など残業代を計算するときのベースとなるはずだった賃金に、定額残業代を加えた金額をベースとして、残業代を計算し定額残業代とは別に支給しなければならなくなります。

これは、複利計算の形で残業代の二重払いが発生することになります。ですから、会社にとっては思わぬ打撃となります。

 

<正しい導入は手間がかかる>

基本給にあたる賃金から、一定の時間(基準時間)に相当する定額残業代を算出します。このとき、割増率が法定の基準を下回らないことと、基本給が最低賃金を下回らないことが必要です。

この基本給から定額残業代を算出した計算方法について、労働者ひとり一人に実額で説明します。文書をもって説明し、制度の導入について同意を得ておくのが基本です。

こうした導入ができていないと、定額残業代は無効となりますから、労働者から別途残業代を請求されたら支払わなければなりません。

 

<正しい運用も手間がかかる>

定額残業代を導入しても、労働時間は適正に把握する必要があります。なぜなら、基準時間を上回る時間の残業手当や、計算に含まれない法定休日出勤手当、深夜手当は、毎月計算して支給しなければならないからです。

もちろん、残業が基準時間を下回っても、その分定額残業代を減額することはできません。そんなことをしては「定額」残業代ではなくなってしまいます。

誤った運用をしてしまった場合のリスクは、誤った導入をした場合と同じです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

定額残業代は、ブラックな制度のように思われがちです。

しかし、正しい制度であれば、会社にも労働者にもメリットが多いはずです。その反面、誤った制度にしてしまうと、会社は何らかの形で労働者から残業代の二重払いを請求されます。

定額残業代を正しく活用し、そのメリットを最大限に活かすには、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.16.解決社労士

<同じ解雇でも>

懲戒解雇は、就業規則や雇用契約書、労働条件通知書などに具体的な規定が無ければできません。

しかし普通解雇は、これらに規定が無い場合でも民法が適用されるので、一定の条件を満たせば可能です。

 

〔民法第627条第1項〕

当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

 

〔民法第627条第2項〕

期間によって報酬を定めた場合には、解約の申入れは、次期以後についてすることができる。ただし、その解約の申入れは、当期の前半にしなければならない。

 

通常、給与計算には締切日がありますので、給与支給が月1回であれば第2項の方が適用されます。

 

<解雇の意味>

雇い主から「これこれの条件でこの仕事をしてください」という提案があり、労働者がこれに合意すると労働契約が成立します。

労働契約は口頭でも成立します。ただ労働基準法により、一定の重要な労働条件については、雇い主から労働者に対し、原則として書面による通知が必要となっています。具体的には、雇用契約書、労働条件通知書などです。

解雇は、雇い主がこの労働契約の解除を労働者に通告することです。

 

<普通解雇>

狭義の普通解雇は、労働者の労働契約違反を理由とする労働契約の解除です。

労働契約違反としては、能力の不足により労働者が労働契約で予定した業務をこなせない場合、労働者が労働契約で約束した日時に勤務しない場合、労働者が業務上必要な指示に従わない場合、会社側に責任の無い理由で労働者が勤務できない場合などがあります。

 

<解雇の制限>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という規定があります。〔労働契約法16条〕

労働者の労働契約違反があった場合でも、雇い主はある程度まで労働契約の維持に向けた努力を示さなければ、解雇権の濫用とされ、解雇を通告しても無効になってしまいます。

能力の不足により労働者が労働契約で予定した業務をこなせない場合でも、雇い主は業務に必要な指導教育を十分に行っていなければ解雇できません。

労働者が業務上必要な指示に従わない場合でも、労働者に指示内容の重要性を説明し、指示に従うよう指導したうえでないと解雇できません。

雇い主は、その労働者を雇わないという選択もできたわけです。それでも雇ったからには、雇ったことに対する責任があるということです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

広義の普通解雇には、労働者の労働契約違反を理由とする解雇の他に、整理解雇が含まれます。

整理解雇とは、雇い主側の経営上の理由による解雇をいいます。

解雇は、解雇権の濫用とされれば無効になるわけですから、具体的なケースで解雇の有効性に疑問がある場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.15.解決社労士

<法改正の動向>

少子高齢化対策は国が力を入れている政策ですから、関連する法令の改正が急速に進んでいます。ついこの間まで大丈夫だったことが、いつの間にか法令違反となっています。

もともと、妊娠、出産、育児、介護などを理由として、事業主が解雇、雇い止め、降格、不当な配置転換その他の不利益扱いをすることは、男女雇用機会均等法と育児介護休業法で禁止されてきました。

平成29年1月からは、職場で妊娠などについての上司や同僚の言動で、労働者の就業環境が害されるのを防止する措置をとることが、事業主に義務付けられるようになりました。

 

<不利益取扱の理由>

妊娠中または産後の女性労働者が、妊娠した、出産した、妊婦健診のため仕事を休んだ、つわりや切迫流産で仕事を休んだ、産休をとったなどを理由に、事業主が不利益取扱いをすることは禁止されています。

また、性別に関係なく労働者が、育休や介護休業をとった、子どもの看護休暇をとった、育児介護のため残業や夜勤の免除を申し出たという場合にも、こうしたことを理由に事業主が不利益取扱いをすることは禁止されています。

ここに示した不利益取扱の理由が消滅しても、消滅から1年以内に、何か労働者に不利なことが行われた場合には、妊娠などを契機としていると判断されます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

少子高齢化対策という国の政策による法規制については、従来の「常識」が通用しません。

事業主が労働者に対する「常識的な」措置だと判断しても、タイミングによっては法令違反となりやすいのです。

妊娠した労働者や配偶者が妊娠した労働者がいる場合には、なるべく早い段階で、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.14.解決社労士

<人事院とは>

人事院は、国家公務員の人事行政に広汎な権限を有する行政委員会です。

国家公務員の人事管理の公正中立と統一を確保すること、ストライキ権など労働基本権制約の代償機能を果たすことの2つを目的としています。

人事院は、給与その他の勤務条件の改善や人事行政の改善に関する勧告、採用試験や任免、給与、研修、分限、懲戒、苦情の処理、職務に係る倫理の保持その他職員に関する人事行政の公正の確保と職員の利益の保護等に関する事務を行います。

 

<人事院規則10-10>

人事行政の公正の確保、職員の利益の保護と職員の能率の発揮を目的として、セクシュアル・ハラスメントの防止と排除のための措置、セクシュアル・ハラスメントに起因する問題が生じた場合に適切に対応するための措置に関し、必要な事項を定める規則です。

 

<運用指針に示されたセクハラ例>

人事院規則10-10の運用指針の中に、セクシュアル・ハラスメントになり得る言動として、次のものが例示されています。ここに無い言動が、セクハラにならないというわけではありません。

 

一 職場内外で起きやすいもの

 

(1) 性的な内容の発言関係

 

ア 性的な関心、欲求に基づくもの

・スリーサイズを聞くなど身体的特徴を話題にすること。

・聞くに耐えない卑猥な冗談を交わすこと。

・体調が悪そうな女性に「今日は生理日か」「もう更年期か」などと言うこと。

・性的な経験や性生活について質問すること。

・性的なうわさを立てたり、性的なからかいの対象とすること。

 

イ 性別により差別しようとする意識等に基づくもの

 

・「男のくせに根性がない」「女には仕事を任せられない」「女性は職場の花でありさえすればいい」などと発言すること。

・「男の子、女の子」「僕、坊や、お嬢さん」「おじさん、おばさん」などと人格を認めないような呼び方をすること。

・性的指向(恋愛・性愛の対象が男女どちらか)や性自認(性別に関する自己意識)をからかいやいじめの対象とすること。

 

(2) 性的な行動関係

 

ア 性的な関心、欲求に基づくもの

・ヌードポスター等を職場に貼ること。

・雑誌等の卑猥な写真・記事等をわざと見せたり、読んだりすること。

・身体を執拗に眺め回すこと。

・食事やデートにしつこく誘うこと。

・性的な内容の電話をかけたり、性的な内容の手紙・Eメールを送ること。

・身体に不必要に接触すること。

・浴室や更衣室等をのぞき見すること。

 

イ 性別により差別しようとする意識等に基づくもの

・女性であるというだけで職場でお茶くみ、掃除、私用等を強要すること。

 

二 主に職場外においで起こるもの

 

ア 性的な関心、欲求に基づくもの

・性的な関係を強要すること。

 

イ 性別により差別しようとする意識等に基づくもの

・カラオケでのデュエットを強要すること。

・酒席で、上司の側に座席を指定したり、お酌やチークダンス等を強要すること。

 

<活用方法>

国家公務員向けに示された指針ではありますが、LGBTへの対応など、時代に合わせて改定されていますし、一般の企業でも参考になります。

ただ、(1)アに示されたような「聞くに耐えない」などの形容詞は、実際に懲戒規定を適用するにあたっては、邪魔となる形容詞かもしれません。

ですから、一種のひな形として利用する場合には、自社の状況に合わせたカスタマイズが必要です。

 

<きちんとした対応のための準備>

まず、就業規則などにセクハラの客観的な定義を明示することです。

これと併行して、セクハラについての社員教育をきちんとすることです。

また、セクハラの相談窓口を設けることです。

この相談窓口は、外部の第三者的な立場であることが望ましいのです。そうでなければ、被害者も加害者も相談しにくいですし、社内の人が担当では客観的に対応できない必然性があります。

就業規則も社員教育も、そして相談窓口も、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談してはいかがでしょうか。

 

2017.06.13.解決社労士

<遅刻の連絡先と連絡手段>

寝坊の場合だけではなく、家族の急病や自宅の水漏れ対応など、個人的な事情で遅刻する場合には、なるべく早く上司に連絡するのが常識でしょう。

上司が休日や休暇のこともありますから、念のため、もう一つ連絡先を設定しておくと安心です。

ところが、連絡手段となると、従業員の個人的な判断に任されていることが多いようです。これでは、不都合が発生することもあります。

 

<就業規則の規定>

たとえば、厚生労働省のモデル就業規則には次のような規定があります。

 

(遅刻、早退、欠勤等)

第16条 労働者は遅刻、早退若しくは欠勤をし、又は勤務時間中に私用で事業場から外出する際は、事前に    に対し申し出るとともに、承認を受けなければならない。ただし、やむを得ない理由で事前に申し出ることができなかった場合は、事後に速やかに届出をし、承認を得なければならない。

 

このように、連絡先の定めがあるだけで、連絡手段は定められていません。

常識的な連絡手段としては電話でしょう。ついで、メールでしょうか。職場によってはLINEかもしれません。

さすがに電報や伝書鳩は無いでしょうけれど、社長の自宅の固定電話に留守電を入れておいたとか、上司にショートメールで連絡を入れておいたところ上司はショートメールの受信を拒否する設定にしていたなどという場合には微妙です。

正当な連絡方法といえるのか、従業員個人の常識と会社の判断とで食い違いがあれば、つまらないことで労働トラブルが発生しかねないのです。

特に無断で遅刻することが、懲戒処分の理由となりうる職場であれば、こうしたトラブルの原因は無くしておかなければなりません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

価値観の多様化している時代ですから、個人の「常識」に頼っていては、労働トラブルを未然に防止することはできません。

就業規則のある会社も無い会社も、会社の統一見解としての「常識」を文書化し、従業員全員に共有させておく必要があります。

それぞれの職場の個性に応じて、どのような「常識」をルール化するのが良いのかは、専門的な判断に従う必要があります。

迷ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.12.解決社労士

<解雇を希望する従業員>

従業員の方から解雇を希望するというのは、それ自体、不自然な話です。解雇という言葉の意味からして、会社から従業員に対して労働契約の解除を申し出るのが解雇ですから。

それでも、全く本人の自由な意思で退職を希望する場合や、会社から退職勧奨があった場合に、「解雇にしてください」という申し出は実際にあるのです。

本人の説明によると、失業手当(雇用保険の求職者給付の基本手当)をもらうのに有利だからと言うのです。

退職勧奨の場合には、すでに労働者に有利になっているので、解雇扱いでさらに有利になることは無いのですが、自己都合退職から解雇への理由変更なら有利になりますし、助成金の受給を予定しないのなら会社に不利益なことはなさそうにも思えます。

しかし、絶対に応じてはいけません。

 

<見えなかった下心>

雇用保険の手続きにあたっては、本当の退職理由を記入しなければ違法になります。会社が退職理由を偽ること自体、コンプライアンスの点で問題があります。

しかし、こんな単純な話ではありません。

今や簡単には解雇が認められず、退職者からの不当解雇の主張が通ってしまうという現実があります。

ということは、本人が希望したにもかかわらず、後から会社に対して不当解雇の主張をして、多額の金銭を要求するというリスクがあるのです。

 

<退職者からの要求>

まず、平均賃金の30日分の解雇予告手当の請求があります。

つぎに、不当解雇であり解雇が無効であったことによる賃金支払の要求があります。不当解雇というのは、会社が解雇したつもりになっていて、実は解雇が無効なわけですから、裁判などで争いが長引けば、その間の賃金支払義務は消えないということになります。

ついでに、未払い残業代や慰謝料の請求まで加わることもあります。

 

<会社の対抗措置>

会社としては、解雇を撤回し「今まで通り勤務してください」と申し出るという作戦をとることも可能です。もちろん、解雇扱いになっていた期間の賃金支払義務は消えません。しかし、本当のところは本人が希望して退職しているわけですから、いまさら仕事に復帰する可能性は低いでしょう。

ただし、最初から弁護士と相談して行動していた場合や、労働組合に支援してもらっている場合には、仕事への復帰も想定されます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

普通とは違った話が従業員から出てきたときに、経営者は自分の中の常識に従って判断しがちです。

そして、これが会社にとって大きな打撃となることもあります。

少しでもおかしいと思ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.11.解決社労士

<被害者への悪影響>

被害者はパワハラを受けたことにより、その職場にいられなくなることがあります。そこまでいかなくても、個人の能力の発揮が妨げられます。

我慢していると、うつ病や対人恐怖症など心理的後遺症が残り、長期にわたって回復しないこともあります。この場合、再就職が困難になります。

企業としては、最終的には金銭解決を図るしかないのですが、被害者の一生を補償できるわけではありません。

 

<企業への悪影響>

パワハラの被害は、直接パワハラ行為を受けている相手だけでなく、その同僚、後輩、部下など広範囲に及びます。こうして従業員の勤労意欲低下と、職場秩序の乱れが生じます。

被害者の退職による戦力ダウンだけでなく、職場全体の生産性低下につながります。組織力が適正に活かされなくなり、効率的な運営ができなくなります。

企業イメージの低下により、顧客も取引先も離れていきますし、金融機関からの評価も下がります。

もちろん被害者への損害賠償による金銭的損失も発生します。

 

<加害者への悪影響>

信用の失墜は職場に留まりません。顧客や取引先に対する信用も失われます。何より、家族からの信頼が失われるのが大きな打撃です。

被害者に取り返しのつかない傷を負わせたことが、被害者にとっても一生の傷となります。

加害者が会社から十分な教育を受けていなかったため、熱心な親身の指導をしているつもりで行為に及んでしまったというケースもあります。こうなると、パワハラの加害者も会社との関係では被害者でもあります。

 

<パワハラの性質>

意図的にパワハラ行為をしてやろうと思っているわけではなく、会社の意向を受けて行った注意指導の中に、パワハラとなる部分が含まれているということが多いのです。

業務上必要な注意指導とパワハラ行為との明確な区分が微妙だというのが、パワハラの特徴です。この点、業務上必要なセクハラ行為というものが無いのとは対照的です。

パワハラになることを恐れて、業務上必要な注意指導ができなくなってしまうのも困りものです。

 

<パワハラの予防>

まず就業規則などに、その職場に応じたパワハラの客観的な定義を明示することです。

これと併行して、パワハラについての社員教育をきちんとすることです。特に、必要な注意指導との区別についての教育は重要です。

また、パワハラの相談窓口を設けることです。

この相談窓口は、外部の第三者的な立場であることが望ましいのです。そうでなければ、被害者も加害者も相談しにくいですし、社内の人が担当では客観的に対応できない必然性があります。

就業規則も社員教育も、そして相談窓口も、まとめて信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談してはいかがでしょうか。

 

2017.06.10.解決社労士

<円卓会議WG報告の基準>

法令にパワーハラスメントの定義があるわけではなく、平成24年3月に公表された厚生労働省の「職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ」の報告に示された定義がよく用いられています。

次に示すパワハラの分類も、すべてのパワハラ行為を網羅しているわけではないので、ここに分類されていない行為がパワハラになることもあります。

 

身体的な攻撃(暴行・傷害)

 たたく、なぐる、蹴る、丸めたポスターで頭をたたくなど。

 これらは、業務に関係するものであっても、業務に直接必要な行為ではないので、業務の適正な範囲に含まれることはありません。

 

精神的な攻撃(脅迫、名誉棄損、侮辱、暴言)

 同僚の目の前での叱責、他の従業員を宛先に含めてメールで罵倒、長時間にわたり繰り返ししつこく叱るなど。

 原則として、業務の適正な範囲を超えています。

 

人間関係からの切り離し(隔離、仲間はずれ、無視)

 1人だけ別の部屋に席を移される、自宅待機を命じられる、送別会に出席させないなど。

 原則として、業務の適正な範囲を超えています。

 

過大な要求(不要なことや不可能なことの強制、業務妨害)

 仕事のやり方がわからない新人に、他の人の仕事まで押し付けて、1人で残業させる。

 

過小な要求(能力や経験に見合わない低レベルの仕事を命じる、仕事を与えない)

 運転手が草むしりだけを命じられる、営業担当者が倉庫番のみを命じられる。

 

個の侵害(私的なことに過度に立ち入ること)

 交際相手についてしつこく問われる、配偶者に対する悪口を言われる。

 

このうち、過大な要求、過小な要求、個の侵害は、業務上必要な適正な指導との区別がむずかしい場合もあります。

これらに該当する行為であっても、業務の適正な範囲を超えるかどうかについては、業種や企業文化の影響を受けるうえ、その場の状況や行為の継続性などによっても、判断が異なってくるからです。

ですから、各企業、各職場で認識を統一し、明確化することが求められます。

 

<きちんとした対応のための準備>

まず、就業規則などに各企業、各職場に応じたパワハラの客観的な定義を明示することです。

これと併行して、パワハラについての社員教育をきちんとすることです。

また、パワハラの相談窓口を設けることです。

この相談窓口は、外部の第三者的な立場であることが望ましいのです。そうでなければ、被害者も加害者も相談しにくいですし、社内の人が担当では客観的に対応できない必然性があります。

就業規則も社員教育も、そして相談窓口も、まとめて信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談してはいかがでしょうか。

 

2017.06.09.解決社労士

<被害者への悪影響>

被害者はセクハラを受けたことにより、その職場にいられなくなり退職することになったり、再就職が困難になったりします。対人恐怖症など心理的後遺症が残り、長期にわたって回復しないこともあります。

企業としては、最終的には金銭解決を図るしかないのですが、被害者の一生を補償できるわけではありません。

 

<企業への悪影響>

従業員の勤労意欲低下と、職場秩序の乱れが生じます。

被害者の退職による戦力ダウンだけでなく、職場全体の生産性低下につながります。組織力が適正に活かされなくなり、効率的な運営ができなくなります。

企業イメージの低下により、顧客も取引先も離れていきますし、金融機関からの評価も下がります。

もちろん被害者への損害賠償による金銭的損失も発生します。

 

<加害者への悪影響>

信用の失墜は職場に留まりません。顧客や取引先に対する信用も失われます。何より、家族からの信頼が失われるのが大きな打撃です。

被害者に取り返しのつかない傷を負わせたことが、被害者にとっても一生の傷となります。

加害者が会社から十分な教育を受けていなかったため、軽い気持ちで行為に及んでしまったというケースもあります。こうなると、セクハラの加害者も会社との関係では被害者でもあります。

 

<セクハラの性質>

業務上必要なセクハラ行為というものはありません。

この点、会社の意向を受けて行った注意指導が、パワハラになってしまうことがあるのとは、全く事情が違っています。

仕事をするうえで、全く必要性が認められず、百害あって一利なしというのがセクハラの性質です。

何としても、阻止しなければなりません。

 

<セクハラの予防>

まず、就業規則などにセクハラの客観的な定義を明示することです。

これと併行して、セクハラについての社員教育をきちんとすることです。

また、セクハラの相談窓口を設けることです。

この相談窓口は、外部の第三者的な立場であることが望ましいのです。そうでなければ、被害者も加害者も相談しにくいですし、社内の人が担当では客観的に対応できない必然性があります。

就業規則も社員教育も、そして相談窓口も、まとめて信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談してはいかがでしょうか。

 

2017.06.08.解決社労士

<一般的な規定>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」〔労働契約法16条〕

解雇を通告し、解雇したつもりになっていても、それが不当解雇であって無効であるために、従業員の立場は失われないということですから、働いていなくても賃金の支払いが必要になるなど大変なことになります。

不当解雇というのは、解雇したつもりで、実は解雇できていない状態ですから危険です。

 

<個別的な規定>

解雇を制限する規定としては、次のようなものがあります。

・国籍、信条、社会的身分による差別的取扱いの禁止〔労働基準法3条〕

・公民権行使を理由とする解雇の禁止〔労働基準法7条〕

・業務上の負傷・疾病の休業期間等、産前産後休業期間等の解雇制限〔労働基準法19条〕

・性別を理由とする差別的取扱いの禁止〔男女雇用機会均等法6条4号〕

・婚姻、妊娠、出産、産前産後休業を理由する不利益取扱いの禁止〔男女雇用機会均等法9条〕

・育児休業、介護休業、子の看護休暇、所定外労働の制限、時間外労働の制限、深夜業の制限、所定労働時間の短縮措置の申出等を理由とする解雇その他の不利益取扱いの禁止〔育児介護休業法10条、16条、16条の4、16条の9、18条の2、20条の2、23条の2〕

・通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対する差別的取扱いの禁止〔パートタイム労働法8条〕

・都道府県労働局長に対し個別労働関係紛争解決の援助を求めたこと、あっせんを申請したことを理由とする解雇その他の不利益取扱いの禁止〔個別労働関係紛争解決促進法4条3項、5条2項〕

・法違反を監督官庁(労基署等)に申告したことを理由とする解雇その他の不利益取扱いの禁止〔労働基準法104条2項、最低賃金法34条2項、労働安全衛生法97条2項、賃金確保法14条2項〕

・公益通報したことを理由とする解雇の無効〔公益通報者保護法3条〕

・不当労働行為の禁止〔労働組合法7条〕

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

「常識」に従った解雇は、法的には不当解雇であることが多いものです。

解雇を検討するなら、一度、信頼できる社労士にご相談ください。

何の落ち度もない従業員を退職に追い込むようなことはできませんが、納得して退職していただくためのお手伝いはさせていただきます。

 

2017.06.09.解決社労士

<解雇の意味>

雇い主から「これこれの条件でこの仕事をしてください」という提案があり、労働者がこれに合意すると労働契約が成立します。

労働契約は口頭でも成立します。ただ労働基準法により、一定の重要な労働条件については、雇い主から労働者に対し、原則として書面による通知が必要となっています。

解雇は、雇い主がこの労働契約の解除を労働者に通告することです。

 

<普通解雇>

狭義の普通解雇は、労働者の労働契約違反を理由とする労働契約の解除です。

労働契約違反としては、能力の不足により労働者が労働契約で予定した業務をこなせない場合、労働者が労働契約で約束した日時に勤務しない場合、労働者が業務上必要な指示に従わない場合、会社側に責任の無い理由で労働者が勤務できない場合などがあります。

 

<解雇の制限>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という規定があります。〔労働契約法16条〕

労働者の労働契約違反があった場合でも、雇い主はある程度まで労働契約の維持に向けた努力を示さなければ、解雇権の濫用とされ、解雇を通告しても無効になってしまいます。

能力の不足により労働者が労働契約で予定した業務をこなせない場合でも、雇い主は業務に必要な指導教育を十分に行っていなければ解雇できません。

労働者が業務上必要な指示に従わない場合でも、労働者に指示内容の重要性を説明し、指示に従うよう指導したうえでないと解雇できません。

雇い主は、その労働者を雇わないという選択もできたわけです。それでも雇ったからには、雇ったことに対する責任があるということです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

広義の普通解雇には、労働者の労働契約違反を理由とする解雇の他に、整理解雇が含まれます。

整理解雇とは、雇い主側の経営上の理由による解雇をいいます。

解雇は、解雇権の濫用とされれば無効になるわけですから、具体的なケースで解雇の有効性に疑問がある場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.06.解決社労士

<社会保険への加入拒否>

社会保険への加入基準を満たす労働契約を会社と交わしたら、自動的に社会保険に加入します。

これは、赤ちゃんを産んでおきながら出生届を提出しなくても、生まれなかったことにはならないのと同じです。

ですから、一定以上の週所定労働時間、月間所定労働日数の約束で働き始めておきながら、社会保険への加入を拒否するというのは、法的には意味がありません。

会社は、本人が拒否していても、法令により社会保険加入手続きが義務づけられていますから、その義務に従って加入手続きを行うのが、法的には正しいということになります。

 

<会社が一方的にシフトを減らす行為>

会社は、本人が社会保険への加入手続きに反発したのに対抗して、加入基準を下回る一定未満の週所定労働時間、月間所定労働日数でシフトを組んだのでしょう。

しかし、本人の了解を得ることなく、このようなことをしても無効です。

会社は、社会保険への加入基準を満たす労働契約を交わしたのですから、これに拘束されます。本人との合意なしに労働契約の内容を変えることはできません。

 

<ではどうすれば良かったのか>

会社は、求人広告で所定労働時間や所定労働日数を示し、社会保険への加入も表示していたことでしょう。

そうでなくても、採用にあたって労働条件を再確認しています。

それにも拘わらず、本人が社会保険への加入を拒否するのであれば、社会保険の加入基準は客観的なものであり、本人の意思とは無関係であることを説明したうえで、一定の期限を設けて次のうちから1つを選択してもらうようにします。

・入社を取りやめる

・会社の社会保険加入手続きに合意する

・加入基準を下回る労働契約に変更して勤務する

期限内に回答が無ければ、原則通り社会保険の加入手続きをおこなうこととしておきます。

また、「加入基準を下回る労働契約に変更して勤務する」という選択肢は、会社の自由な意思によりサービスで設けるものですから、無くてもかまいません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

結局、このケースでは直接の法令違反も不法行為も無いので、違法の問題は存在しません。

ところが労働法に明るくない人が、「社会保険への加入を拒否したらシフトを減らされたのは違法ではないか」と問われたら戸惑ってしまいます。

何かおかしいと感じた時は、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.05.解決社労士

<会社が転勤を命ずる権利>

会社の就業規則には、人事異動について、次のような規定が置かれます。

「会社は、業務上必要がある場合に、労働者に対して就業する場所及び従事する業務の変更を命ずることがある。

…労働者は正当な理由なくこれを拒むことはできない。」〔厚生労働省のモデル就業規則8条〕

たとえこのような規定が無くても、会社と社員との間で転勤を想定した労働契約が成立していれば、会社が労働契約に基づいて社員の働く職種や場所を決定できるとされています。

一般的に、会社は正社員に対して、人事権の一つとして配転命令権を持っています。

ただし、近頃増えている「多様な正社員」のうちの勤務地限定正社員のような労働契約が成立している場合には、その契約の性質上、会社は遠方への転勤を命ずる権利を持っていないことになります。

 

<権利の濫用となる場合>

会社に配転命令権がある場合でも、次のような事情がある場合には、権利の濫用となり配転命令が無効となります。ほとんど嫌がらせと思われる場合です。

・業務上の必要が無い場合

・配転命令が不当な動機や目的によるものである場合

・社員の不利益が通常の程度を著しく超える場合

 

<会社が権利の濫用を主張されたら>

「会社には配転命令権があり、社員には従う義務がある」という態度を取り続けたのでは、まさに権利の濫用になってしまいます。

会社の取るべき態度について、参考になる条文としては育児介護休業法26条があります。

「事業主は、その雇用する労働者の配置の変更で就業の場所の変更を伴うものをしようとする場合において、その就業の場所の変更により就業しつつその子の養育又は家族の介護を行うことが困難となることとなる労働者がいるときは、当該労働者の子の養育又は家族の介護の状況に配慮しなければならない」という規定です。

これは、育児介護休業についてのものですが、その趣旨は、すべての配転命令権に共通する原理です。

つまり、配置転換や転勤について、社員が難色を示した場合には、会社側が具体的な事情を聴き、抱えている問題の解消法を共に考え、どのように対応すべきかを真剣に協議しなければならないということです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

具体的なケースについて、社員の我がままとして片付けて良いのか、権利の濫用として転勤命令が無効となるのか、判断に迷ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.04.解決社労士

<社内でよくあるもの>

社内で従業員からの申し出により労働問題とされやすいのは、パワハラ、セクハラ、労働条件の不利益変更です。

これらは、従業員からの申し出があったとき、経営者が判断に困り、適切な対応ができないでいるうちに、社内で解決しきれない労働問題に発展することがあります。

会社に落ち度が無いという自信があれば、所轄の労働基準監督署に確認して、従業員に説明すれば良いでしょう。

そうでなければ、何かアクションを起こす前に、なるべく早く信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

<訴訟や労働審判になるもの>

退職者からの、残業代請求、不当解雇、退職に伴う請求がメインです。

どう考えても円満退職だった退職者の代理人弁護士から、内容証明郵便が届いてビックリというパターンです。

在職中は会社に遠慮して言えなかった不平不満が、退職後に爆発するのですから意外性があります。

退職者ご本人にその気が無くても、ご家族やお知り合いの中には労働法に詳しい方がいらっしゃいます。そして、この方が労働者の権利を強く主張すると、退職者が同調して会社に請求することもあります。

 

<複合的なもの>

退職者から未払い残業代の請求がある場合、パワハラによる慰謝料請求が加わったりします。

セクハラの被害者が退職させられ、加害者が会社に残り、これを不満とした退職者からの慰謝料請求に、未払い残業代の請求が加わったりします。

パワハラの加害者として退職させられた人から、不当解雇を主張され、賃金、賞与、慰謝料を請求されることもあります。

権利の侵害を感じた退職者が弁護士に依頼すると、弁護士は依頼人に事実を確認し、これを法的に構成し、できる請求をすべてすることになります。

依頼人と弁護士との契約は、委任契約ですから、医師が治療にベストを尽くすのと同じように、弁護士も依頼人の権利実現にベストを尽くすわけです。

 

2017.06.03.解決社労士

<「基準」の意味>

もちろん「最高」の水準を意味するものではありません。しかし、「標準」や「目安」を示しているわけでもないのです。

労働基準法の「基準」とは、この一線を踏み越えると違法になるというギリギリの「最低」水準や「限度」、「禁止事項」のことを言っています。

ですから、会社独自の判断で労働基準法に示された「基準」よりも労働者に有利なことをするのはかまいません。たとえば、入社とともに年次有給休暇を14日付与するなどがその例です。

 

<「基準」の個別性>

労働基準法の「基準」は項目ごとに定められています。

「うちの会社は残業手当を多めに支給しているから、有給休暇は取らせなくてもいいだろう」など、全体のバランスで調整することはできません。

 

<違約金・賠償額の予定禁止>

「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」〔労働基準法16条〕

かつては、中途で退職したり、会社に損害を与えたりした場合は、労働者だけでなくその家族も違約金を払う、損害賠償を行なうなどの契約が見られました。

しかし、これは労働者の退職の自由を奪うことになるので、労働基準法が罰則付きで明確に禁止したのです。

 

<「罰金」のあるブラック企業>

ところが実際には、遅刻したら罰金3千円、お皿を割ったら1枚につき千円など、気軽に労働基準法違反を犯している会社もあります。

そもそも「罰金」というのは、国家権力が科すものですから、民間企業が従業員から罰金を取るというのは明らかにブラックなわけです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社内での「常識」に従って昔から行われていることが、実は労働基準法違反ということだってあります。

労働基準監督署への三六協定書の届出など形式的な面だけでなく、社内で行われていること全体について適法性が確保されているのか、労働条件審査を受けてみてはいかがでしょうか。

人事部では問題ないつもりでいても、思わぬ落とし穴があるかもしれません。

ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.06.02.解決社労士

<自己中心的と主体的>

採用面接も1,000人以上を経験し、その後の勤務態度や勤続年数を見てくると、応募の段階で人物像が見えるようになってくるものです。

それでも、不慣れな頃は採用面接で自己中心的な人物を見抜くことができず、配属先にご迷惑をお掛けすることもありました。

自己中心的な方は、自分の利益だけを考えて行動しますから、組織の中で働くのには向いていないでしょう。

これに対して主体的な方は、お客様、上司・同僚・後輩、会社全体のことを考えて自発的に行動するので大いに貢献してくれます。

ところが、短時間の採用面接では、自己中心的な応募者を主体的な人だと勘違いしてしまうこともあります。

そこで、採用面接での自己中心派の特徴をまとめてみました。

 

<わかりやすい自己中心派>

「私は」「私が」を多用するのは、自己中心派のわかりやすい特徴です。また、自己中心的であることを隠そうとした場合には、「私も」「うちも」という言葉が増えます。

「私も」「うちも」と聞くと、協調性があるように思えますが、本当に協調性があれば「そうですね」と言ってうなずきます。

 

<わかりにくい自己中心派>

「割と」「思ったよりも」「意外に」「けっこう」を多用するのも、自己中心派の特徴です。

これらの言葉は、話し相手に対して客観的な内容を伝えるのではなくて、「自分が」どう思うかを伝えています。

「割と大変でしたが、けっこう頑張りました」という話をされたときに、具体的な内容を尋ねると黙り込んでしまうので、ただアピールしたいだけなのがバレてしまいます。

 

<応募の動機>

自己中心派は、自分にとっての直接的なメリットしか言いません。

給料が高い、通勤が便利、勤務先の近くに〇〇があって便利というのは、よく聞く言葉です。

さらに、誰にでもできる仕事、自分の都合でシフトに入れる、好きな仕事をさせてもらえそうという話が出てくるなど、自分に都合の良い思い込みも多いものです。

 

<前職を辞めた理由>

自分の落ち度は、退職した理由に出てきません。

自分だけ叱られた、周りの人たちに協調性が無かった、上司がバカだったなど、そのほとんどが露骨な悪口です。

こういう人たちを採用してしまうと、いつか退職していったあと会社の悪口を言われそうで採用する気にはなれません。

 

<不思議な共通点>

自己中心的な応募者は面接者をほめます。

どうでもいいことで、面接者を過剰にほめるのです。

応募者にとっては、採用されることが目的ですから、面接者から悪く思われたくないのは当然です。

しかし、極端にほめられた面接者は単純には喜べません。「変わった人だ」「気味が悪い」と感じてしまいます。

やはり、自己中心的な人は相手の気持ちを考えるのが不得意なのでしょう。

 

2017.06.01.解決社労士

<ブラックな経営方針>

「うちの会社はブラックでいこう!」という経営者など、いないものと信じたいです。少なくとも、ブラック企業では長続きできないことはわかります。

 

<ありそうな事例>

新しく入ったパート社員から会社に「うちの子が熱を出したのでお休みをいただけませんか?」という電話があったとします。

このとき、会社の責任者はどのように応対するでしょうか。

もし、この電話が入社1か月のパート社員からのもので、同様の電話が3回目だったらどうでしょうか。

 

<子の看護休暇>

小学校就学前の子を養育する労働者は、申し出ることにより、1年に5日まで、病気・けがをした子の看護のために、休暇を取得することができます。平成22年6月30日からは、対象となる子が2人以上なら、1年に10日まで休暇を取得できるようになりました。〔育児・介護休業法16条の2、16条の3〕

申出は口頭でも認められます。

事業主は、業務の繁忙等を理由に、子の看護休暇の申出を拒むことはできません。

ただし、勤続6か月未満の労働者や週の所定労働日数が2日以下の労働者については、労使協定の締結により対象外とすることができます。この他の労働者を対象外とすることはできません。

子の看護休暇は、法によって労働者の権利とされているものですから、残業手当の支払いや年次有給休暇と同じように、「うちの会社はムリだから無し」ということはできないのです。

 

<いつの間にかブラック企業となる危険>

上の事例で、電話を受けた会社の責任者は、子の看護休暇のことを知らなければいけませんし、勤続6か月未満の労働者や週の所定労働日数が2日以下の労働者について、労使協定の締結により対象外としているのであれば、そのことも知らなければいけません。

「そんなに休んでばかりじゃ採用取り消しだ」などと言ってしまったら、ブラック企業だと言われても反論できません。

労働基準法その他の労働法は、たびたび改正されます。特に少子高齢化対策に関連する法令の改正は頻繁です。

数年前に完全に適法にしたハズの就業規則とその運用が、いつの間にかブラックになっていても不思議ではありません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

自覚症状の無いままにブラック企業となってしまわないためには、社内に専任の担当者を置いて、常に最新の教育を施して任に当たらせる必要があります。

これがむずかしいのであれば、会社に合った方法について、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.31.解決社労士

<ブラック疑惑>

マスコミやネットで、ブラック企業の話題が一般化し、自分の勤務先もブラックではないかという疑いを持つ従業員が増えてしまいました。

 

<疑惑のポイント>

ブラック企業の疑いを抱かれるのは、次のようなポイントです。

・賞与が支給されない

・退職金の制度が無い

・通勤手当が一部または全く支給されない

・慶弔休暇が無い

・週休二日制ではない

さらには、次のようなことまで…

・休職の制度が無い

・半日や時間単位の年次有給休暇取得ができない

・病欠を後から年次有給休暇に振り替えることができない

これらは、法令によって労働者の権利とされているものではありません。比較的多くの会社で、事実上行われているにすぎません。

つまり、これらのことを実施するかどうかは、それぞれの会社の判断に任されていて、法令によって強制されているわけではないのです。

たとえば「賞与が支給されない会社はブラック企業」などとは言えません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

会社がブラックの疑いを晴らすためには、労働条件審査と教育・研修が役立ちます。

専門家による客観的な労働条件審査により、労務管理上のあらゆる観点からの適法性がチェックできます。

また、就業規則や社内ルールと労働法について、従業員をきちんと教育すれば、会社が正しいことを理解してもらえるでしょう。

具体的なことは、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.30.解決社労士

<定額残業代のメリット>

定額残業代は良い仕組みです。

労働者にとっては、残業が少なくても定額残業代が保障されていますし、会社にとっては人件費が安定します。

しかし、それだけではありません。

残業が少なくても定額残業代が保障されているのですから、労働者は早く仕事を終わらせてプライベートを充実させようとします。そのためには、自主的に学んだり、仕事の仕方を工夫したり、会社に言われるまでもなく努力します。これによって生産性が向上するのは、会社にとっても大きなメリットです。

もし、こうした結果が得られていないのならば、制度の導入や運用に誤りがあると思われます。

 

<定額残業代の正しい導入>

基本給にあたる賃金から、一定の時間(基準時間)に相当する定額残業代を算出します。このとき、割増率が法定の基準を下回らないことと、基本給が最低賃金を下回らないことが必要です。

この基本給から定額残業代を算出した計算方法について、労働者ひとり一人に実額で説明します。文書をもって説明し、制度の導入について同意を得ておくのが基本です。

 

<誤った導入をすると>

定額残業代の計算が誤っていたり、割増率が法定の基準を下回っていたり、最低賃金法違反があったり、労働者への説明が不十分であったりすると、制度そのものが無効とされます。

この場合、労働基準監督署の監督が入ったり、労働審判が行われたりすると、基本給にあたる賃金に定額残業代を加えた金額を基本給として残業代を計算し、さかのぼって支払うことになるでしょう。

これは、実質的には残業手当の二重払いですから、会社にとって予定外の出費となります。このように、導入の失敗は大きなリスクとなります。

 

<定額残業代の正しい運用>

定額残業代を導入しても、労働時間は適正に把握する必要があります。なぜなら、基準時間を上回る時間の残業手当や、計算に含まれない法定休日出勤手当、深夜手当は、毎月計算して支給しなければならないからです。

もちろん、残業が基準時間を下回っても、その分定額残業代を減額することはできません。そんなことをしては「定額」残業代ではなくなってしまいます。

誤った運用をしてしまった場合のリスクは、誤った導入をした場合と同じです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

定額残業代は、ブラックな制度のように思われがちです。ハローワークで求人票に定額残業代の表示をすることについては、窓口で慎重すぎる態度を示されてしまいます。

これは、誤った制度導入や運用があまりにも多いため、悪い印象を持たれてしまっているからでしょう。

定額残業代を正しく活用し、そのメリットを最大限に活かすには、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.29.解決社労士

<国の政策に対する無知>

産前産後休業というのは、労働基準法による国全体の制度です。また、育児休業というのは、育児介護休業法による国全体の制度です。ですから、会社の状況に左右されません。むしろ、会社は従業員が産休や育休を取得する前提で、人材を確保しておかなければなりません。

たとえ就業規則や社内ルールに、産休や育休についての定めが無くても、その会社には法令通りに産休や育休の規定が適用されます。

日本で少子高齢化が深刻化し、出産や育児に対する法的配慮が強化されています。このことを知らずに会社を経営しているというのは危険です。

当たり前ですが、産休や育休に対応できない会社の評判は口コミ情報で低下していきます。

経営者が、国の政策を踏まえて経営していかなければ、その会社の未来はありません。

 

<解雇が困難であることに対する無知>

産休・育休を取らせないということは、そのまま勤務させるということではありません。退職を迫るということです。これは不当解雇にあたります。

妊娠や出産を理由として解雇するのが不当解雇にあたるということについては、法令に具体的な定めがあります。〔男女雇用機会均等法9条3項〕

不当解雇になるということは、解雇が無効になるということです。経営者は解雇したつもりになっていても、その従業員には従業員としての権利が続くということです。

そして実際に勤務していなくても、勤務できないことについて会社側に責任があるわけですから、会社には賃金支払義務が残ります。それだけでなく、会社はその従業員に辛い思いをさせたのですから、慰謝料も支払うことになるでしょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

「ブラック」を経営理念に掲げる経営者はいないでしょう。ブラック企業というのは、経営者が意図せずに、いつの間にかブラックになっているものです。

その昔は、結婚退職が働く女性のハッピーエンドだったかもしれません。しかし、それは遥か昔のことです。

経営者は、時代の流れに乗らなければ生き残れません。会社が流れに乗り切れず、ブラックな方向に向かっていないかのチェックには、労働条件審査が役立ちます。信頼できる社労士にご相談してみてはいかがでしょうか。

 

2017.05.28.解決社労士

<所定労働日数が不明>

年次有給休暇の付与日数は、原則として1週間の所定労働日数によって決まります。これが何日なのか不明であれば、そもそも年次有給休暇が何日付与されるのかも決まりません。

また年次有給休暇は、入社後最初の半年間、その後は1年ごとの出勤率が8割以上の場合に付与されます。この出勤率というのは、予め決まっている労働日に対する実際に出勤した日の割合です。しかし、所定労働日数が不明であれば、出勤率を計算することはできません。つまり、付与する/しないの判断がつかないのです。

所定労働日数などの労働条件は、入社時と変更の都度、会社から従業員に書面で通知されていなければ違法です。それでも、年次有給休暇を取得させる気の無い会社では、「労働条件通知書」などを交付していません。

 

<人件費の削減>

年次有給休暇を取得させないというのは、不当に人件費を削りたいわけです。ですから、従業員の数もギリギリあるいは不足しています。

「人手が足りないから有給休暇を取得させられない」という言い訳が聞かれます。しかし、年次有給休暇は労働基準法による国全体の制度ですから、会社の状況に左右されません。むしろ、会社は従業員が100%年次有給休暇を取得する前提で、人材を確保しておかなければなりません。

インフルエンザの流行などに備えて、多めに人員を確保しておくという、会社独自の政策的な配慮は、その会社に任されていることです。しかし、年次有給休暇を取得させるのに十分な人員を確保しておくことは、事業を展開する以上、会社に法的に義務付けられていることです。

人件費を削りたいのは経営者です。お客様、従業員、取引先、出資者、金融機関は喜びません。ライバル会社は少し喜ぶかもしれません。

当たり前ですが、会社の評判は口コミ情報で低下していきます。

経営者が、人件費を削減するのではなく、売上を伸ばす努力を進めるべきだと気付かなければ、その会社の未来はありません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

「ブラック」を経営理念に掲げる経営者はいないでしょう。ブラック企業というのは、経営者が意図せずに、いつの間にかブラックになっているものです。

会社がブラックな方向に向かっていないかのチェックには、労働条件審査が役立ちます。信頼できる社労士にご相談してみてはいかがでしょうか。

 

2017.05.27.解決社労士

<労働時間を把握しない>

残業手当を支払うには、従業員の労働時間を適正に把握する必要があります。

支払う気の無い会社では、タイムカードなどの打刻をきちんとさせていません。

 

<所定労働時間・日数が不明>

時間給ならば、1時間当たりの賃金は明確ですから、残業手当の計算が可能です。

しかし、日給制や日給月給制の場合には、1日の所定労働時間が不明なら、1時間当たりの賃金がわからないので、残業手当の計算ができません。

さらに、月給制ならば、月間所定労働時間が不明なら、やはり1時間当たりの賃金がわからないので、残業手当の計算ができません。

こうした労働条件は、入社時と変更の都度、会社から従業員に書面で通知されていなければ違法です。それでも、残業手当を支払う気の無い会社では、「労働条件通知書」などを交付していません。

 

<人件費の削減>

残業手当を支払わないというのは、不当に人件費を削りたいわけです。ですから、従業員の数もギリギリあるいは不足しています。

一部の元気な従業員は、忙しくてバタバタしています。しかし、それよりも長時間労働で疲れた従業員が目立ちます。中には「どうせ残業代が出ないので」のんびりマイペースでやっている従業員もいます。全体として見れば、人件費を削った以上に、従業員の働きが低下しています。

人件費を削りたいのは経営者です。お客様、従業員、取引先、出資者、金融機関は喜びません。ライバル会社は少し喜ぶかもしれません。

当たり前ですが、会社の評判は口コミ情報で低下していきます。

経営者が、人件費を削減するのではなく、売上を伸ばす努力を進めるべきだと気付かなければ、その会社の未来はありません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

「ブラック」を経営理念に掲げる経営者はいないでしょう。ブラック企業というのは、経営者が意図せずに、いつの間にかブラックになっているものです。

会社がブラックな方向に向かっていないかのチェックには、労働条件審査が役立ちます。信頼できる社労士にご相談してみてはいかがでしょうか。

 

2017.05.26.解決社労士

<労働条件審査の横糸>

審査項目としては、大項目が次のようになります。この下に中項目と小項目が付きますから、実際にはチェック項目が100を超えます。

 

A 採用 雇用

B 労働時間 休日 休暇

C 賃金

D 退職 解雇

E 懲戒

F 労働安全衛生

G 育児 介護 母性保護 性差別

H ハラスメント

I 高齢者

J 非正規社員

K 就業規則 労使協定

L 労働関係基本帳簿類

M 労働社会保険

 

<労働条件審査の縦糸>

1. 形式=規定などが調っていること

2. 実態=規定通りに実施されていること

3. 手続=届出等が行われていること

4. 維持=途中で立ち消えしないようになっていること

5. 回復=ルール違反が発生した場合のリカバリー

6. 記録=法定の期間、あるいは必要な期間、記録が保管されていること

 

<お問合せ先>

公契約のための労働条件審査であれば、その内容が厳密に規定されていますから、それに従って行われます。各都道府県の社会保険労務士会へのお問合せをお勧めします。

これ以外の労働条件審査は、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。健康診断に、人間ドックや特定健康診査があるように、詳細なものから簡易なものまであります。ニーズに合わせて、審査内容をカスタマイズできるわけです。

 

2017.05.25.解決社労士

<極めて限定されている管理監督者>

管理監督者といえるかどうかは、その人の肩書ではなく、職務内容、責任、権限、勤務態様、待遇などの実態により判断されます。

管理監督者といえるための最低限必要な条件はすべて満たしていることが必要です。

・経営者と一体的な立場で仕事をしていること

・出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていないこと

・その地位にふさわしい待遇がなされていること

実態として、部長という肩書の社員でも、これらの条件を満たしているのは極わずかでしょう。

 

<労働時間等に関する規定の適用除外>

労働基準法には、次のような規定があります。

「第41条 この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。

第2号 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者」

管理監督者には、第四章の労働時間、休憩、休日及び年次有給休暇、第六章の年少者、第六章の二の妊産婦等の中の労働時間、休憩及び休日に関する規定は適用されないということです。

 

<使用者の立場での労基法適用>

労働基準法の規定からすると、管理監督者は明らかに使用者です。

「第10条 この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう」

管理監督者は、労働者としての保護規定の一部が適用されないうえ、使用者としての義務を負っています。

 

<深夜手当の支払>

最高裁判所の判決に、「管理監督者については、深夜手当を支払う必要はあるけれども、管理監督者に該当する労働者の所定賃金が労働協約、就業規則その他によって一定額の深夜割増賃金を含める趣旨で定められていることが明らかな場合には、深夜手当を支払う必要がない場合もある」というのがあります。〔最二小判平成21年12月18日〕

これを受けて、管理監督者であっても深夜手当の支払いは必要であるといわれます。

しかし厚生労働省は、管理監督者の条件に「出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていないこと」を掲げていますから、この条件を満たす本当の管理監督者であれば、午後10時から翌日午前5時の間に何時間働いたかを集計することは困難です。

結局、厳密な意味での深夜手当を計算して支給することはできず、概算でこれに代わる手当を支給する形になります。

 

<名ばかり管理監督者>

管理監督者扱いされていて残業手当も支給されていないような社員が、自分の判断で出勤したり休んだり、遅く出勤したり早退したり、また、取締役と同レベルで経営に口出ししたときに、懲戒処分や降格が検討されるようであれば、その人は「名ばかり管理監督者」です。

こうしたことを理由に不当解雇をしてしまうと、会社は過去2年分の残業手当などの他に慰謝料の請求をされても仕方がないのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

社内で管理監督者扱いされている社員が、本当の管理監督者なのか、それとも「名ばかり」なのかは、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.24.解決社労士

<社会保険の加入基準>

社会保険の加入基準のうち、労働時間・日数については、労働契約によって定められた所定労働時間・所定労働日数が基準になります。

かつては、今後1年間の見込や勤務の実態が基準とされていたのですが、平成28101日に、基準のあいまいさが解消され明確化されました。

労働契約の内容は、雇用契約書や労働条件通知書などに記載されたものですから、実態として妊婦さんの早退が多く勤務時間が減少したとしても、それだけで加入基準を満たさなくなるわけではありません。

 

<産前産後の社会保険加入者の権利>

少子高齢化の傾向から、社会保険にも少子化対策が反映され、産前産後の加入者(被保険者)の権利は強化されています。

まず、産休(産前産後休業)と育休(育児休業)の間は、社会保険料が免除されます。かつては、育休中だけでしたが、産休中にも拡大されました。

また、産休中の生活保障のため健康保険から出産手当金が支給されます。かつては、賃金の60%の保障でしたが、66.6%に引き上げられました。

さらに、出産費用補てんのため、健康保険から1児につき原則として42万円が支給されます。この出産育児一時金も、最初は30万円でしたが数次にわたり増額されてきましたし、さらに増額が検討されています。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

妊婦さんについて、社会保険から抜けることが検討されるなど、国の政策に反するような動きが出た場合、それが適法なのか妥当なのかについて、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.23.解決社労士

<相談窓口への連絡>

まずは、市区役所または町村役場の「高齢者支援課」などの相談窓口に電話連絡しましょう。

すると、お住まいの近くの地域包括支援センターを案内されますので、そこに電話連絡しましょう。

 

<要介護認定の申請>

つぎに、要介護認定の申請をします。

要介護認定とは、どのくらい介護を必要とするかを判定するものです。

認定の結果にとって、使えるサービスの種類が決まります。

 

<ケアマネージャーの訪問調査>

市区町村から調査員が家庭に派遣され、対象者の普段の様子や心身の状態について聞き取り調査を行います。

この訪問調査の結果と、主治医の意見書に基づき、介護認定審査会で要介護認定が行われます。

 

<申請結果の到着>

原則として申請日から30日以内に、認定通知書と保険証(被保険者証)が自宅に郵送されます。

認定通知書の要介護度区分に応じて、利用できるサービスや利用限度額などが異なります。

自立、要支援12と認定された場合には、地域包括支援センターへ連絡します。

要介護15と認定された場合には、居宅介護支援事業所へ連絡します。

 

<プランの作成>

介護保険サービスを利用するための、ケアプランまたは介護予防ケアプランをケアマネージャーと相談しながら作成します。

 

<サービス事業者との契約>

ケアマネージャーにサービス利用開始を依頼します。

介護サービス利用料の自己負担は、原則として1割です。

 

2017.05.22.解決社労士

<介護保険の加入者>

介護保険の加入者(被保険者)は、2つに区分されます。

第一号被保険者=65歳以上の人

第二号被保険者=40歳から64歳までの医療保険加入者

 

<実際に介護保険サービスを受ける人>

第一号被保険者=介護や支援を必要とする人

第二号被保険者=初老期認知症、脳血管障害などの老化による病気または特定疾病(末期がんなど)により介護を必要とする人

 

<要支援・要介護度認定区分>

要支援・要介護認定の結果に応じて、介護保険給付額や使えるサービスの種類が決まります 。

認定区分は、要支援1が一番軽く、要介護5が一番重く、次のようになっています。

 

要支援1

基本的な日常生活を送る能力はあります。

しかし、身の回りのことについて一部介助が必要です。

 

要支援2

立ち上がる時や歩くときに、よろめくなどの不安定な様子が見られます。

そのため、入浴などで介助が必要とされます。

しかし、物忘れなどがあっても、生活に支障ある程ではありません。

 

要介護1

立ち上がる時や歩くときに、よろめくなどの不安定な様子が見られます。

そのため、排泄や入浴などで転倒防止等のため介助が必要とされます。

さらに、物忘れの他、思考や感情的な障害が認められる部分があり、理解力の欠如などが見られます。

 

要介護2

立ち上がることや歩くことが自力では困難です。

そのため、排泄、入浴、着替えなどで介助が必要です。

さらに、生活のリズムがわからない、記憶があいまい、他人とのスムーズな会話が困難という状態です。

 

要介護3

自分だけでは、立ち上がることや歩くことができません。

そのため、排泄、入浴、着替えなどすべてに介助が必要です。

自分の名前や生年月日もわからなくなる状態です。

 

要介護4

日常生活に必要な能力全般について低下が見られます。

そのため、排泄、入浴、着替えなどすべてに介助が必要です。

さらに、意思の疎通が困難となるなど、しばしば日常生活に支障を生じます。

 

要介護5

寝たきりの状態です。

そのため、すべての日常生活に全面的な介助が必要です。

さらに、理解力に全般的な低下が見られ、意思の疎通が困難です。

 

2017.05.21.解決社労士

<労働条件審査とは>

その企業における労務管理の実態を、労働基準法などの労働法令や通達・判例に照らして総合的・網羅的に精査し、コンプライアンス(法令順守・社会的責任)を確認する手続きのことです。

これによって判明した違法な部分を早急に是正し、不安のある部分を改善することによって、良い企業、強い企業を目指します。

 

<会社の健康診断>

私たちは定期的に健康診断を受けています。この健康診断によって、病気が治るわけではありません。しかし、病気を発見し早期治療を可能にしますし、不安な部分について生活習慣を改善し病気の予防に努めることができます。

労働条件審査は、まさに会社の健康診断です。

 

<今だからこそ必要な理由>

人手不足が深刻な今、優秀な人材の確保は企業にとって最大の課題です。好ましい人材の採用にも、失いたくない人材の定着にも、職場の適法性・社会性・環境が大きく影響します。セクハラ、パワハラ、メンタルヘルス障害などの危険が大きな企業では人材が確保できません。

労使トラブルも急増しています。個々の労働者が手軽に情報を得て、権利を主張するようになりました。不当解雇、未払い残業代、雇用契約の不更新に対する損害賠償の請求も手軽にできるようになっています。これらには多額の慰謝料も含まれます。

世間一般から、企業のコンプライアンス(法令順守・社会的責任)が問われる時代になりました。マスコミは、企業の労使トラブルを大々的に取り上げますし、厚生労働省も平成29510日から労働法違反のあった企業名を公表するようになりました。こうした形で企業名が世間にさらされると、取引先や顧客が離れていき、企業の死活問題ともなりかねないのです。

今まさに、企業が足元をすくわれないようにするため、労働条件審査が必要となっています。

 

<労働条件審査の内容>

労働基準法、労働安全衛生法、最低賃金法、高年齢者雇用安定法、育児・介護休業法、パート労働法、健康保険法、厚生年金保険法、雇用保険法、労災保険法など関連法令との整合性について、社内規定類の書類調査、職場調査、聞き取り調査などを行い、経営者の方や総務・人事部門の方々と打合せを行って、労働条件審査報告書を作成いたします。

これには、具体的な是正案・改善案も含まれますので、すぐにご活用いただけます。

 

労働条件審査についてのお問合せは、右上の「お問合せフォーム」をご利用いただけます。

 

2017.05.20.解決社労士

<国民年金の対象者と加入手続き>

国籍に関係なく、日本国内に居住している20歳以上60歳未満の人は、国民年金の加入者(被保険者)となります。

勤め人で厚生年金や共済組合の加入者である人や、その人に扶養されている配偶者を除き、国民年金第1号の加入手続きをすることが必要です。

手続きは、市区役所または町村役場で行います。

 

<国民年金被保険者資格取得届書>

20歳の誕生月の前月か誕生月の上旬に日本年金機構から「国民年金被保険者資格取得届書」が郵送されます。

これに必要事項を記入し、市区役所か町村役場または年金事務所に提出します。

保険料をすぐに納付し始めるのが難しい場合には、保険料の納付猶予制度や学生納付特例制度の申請書を同時に提出することもできます。

 

<年金手帳>

上の手続きをすると、年金手帳が届きます。保険料納付の確認や将来年金を受け取る際に必要です。大切に保管してください。

ただし、勤め人や障害・遺族年金を受給している人などは、すでに年金手帳を持っていますから届きません。

年金手帳は、1人1冊を一生使うものです。

 

<国民年金保険料納付書>

納付書が届きますので、保険料を納めてください。

法律上は、20歳の誕生日の前日に20歳となりますから、誕生日の前日が含まれる月の分からの保険料を納付することになります。つまり、1日生まれの人は、誕生日の前月分からの納付が必要です。

保険料は、銀行などやコンビニでの納付の他、電子納付もできます。また、口座振替やクレジット納付も可能です。

 

<ここに注意!>

保険料が納められないからという理由で、何も手続きをしないのは驚くほど損です。

具体的な理由は、市区役所か町村役場または年金事務所でご確認ください。

それでも納得できない場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.19.解決社労士

<雇い止めとは>

会社がパートやアルバイトなど、有期労働契約で雇っている労働者を、期間満了時に契約の更新を行わずに終了させることをいいます。

契約更新の繰り返しにより、一定の期間雇用を継続したにもかかわらず、会社が期間満了時に突然退職させるなどの場合にはトラブルとなりがちです。

 

<雇い止めが無効とされる場合>

労働者から契約更新の申出があった場合に、会社がこれを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときには、今までと同じ条件で、契約が更新されることがあります。〔労働契約法19条〕

雇い止めが無効とされないためには、具体的にどうしたら良いのか、以下にポイントを示します。

 

<正社員との違いの明確化>

正社員用の就業規則とは別に、専用の就業規則を備え、労働時間は正社員よりも短く、採用手順も簡略なものを定めておきましょう。

 

<業務内容の臨時性>

業務内容を、特定の臨時的なものに限定し、負担も責任も正社員より軽いことを明確にします。

 

<更新への期待>

雇い入れの時に、労働条件通知書の内容を具体的に説明し、契約更新について誤解が生じないようにしておきます。

 

<契約更新の手続き>

契約の更新にあたっては、労働者と個別に面談し、これを踏まえて更新後の労働条件通知書を渡します。なんとなくの更新にしてはいけません。

 

<契約不更新の実績を作る>

職場の人間関係を悪くしたり、新人をいじめたり、勤務成績の悪い労働者について、契約を更新しない実績を作っておきましょう。

会社側が、我慢したり、人情に流されたりしていては、イザというときに困ります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

会社の状況を踏まえて、具体的にどうすれば良いのか迷ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.18.解決社労士

<求人広告の内容についての法規制>

ハローワークの求人票や求人情報誌の求人広告には、求職者の知りたい情報が詳しく明確に記載されていることが重要です。

このため、求人の申込みや労働者の募集を行う際に書面や電子メールなどで明示すべき労働条件が、次のように定められています。〔職業安定法5条の3

・労働者が従事すべき業務の内容に関する事項

・労働契約の期間に関する事項

・就業の場所に関する事項

・始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間及び休日に関する事項

・賃金の額に関する事項

・健康保険、厚生年金、労働者災害補償保険及び雇用保険の適用に関する事項

なお、労働契約を締結する際に明示すべき労働条件と明示の方法についても法定されています。〔労働基準法15条〕

また、労使当事者は労働契約の内容について、できる限り書面により確認するものとされています。〔労働契約法4条〕

 

<求人広告と実際の労働条件との関係>

求人広告は、あくまでも広告に過ぎません。これに応募したからといって、必ず採用されるわけではありません。

また、求人広告に「月給20万円~25万円」などと書いてあって、具体的な金額は採用面接の中で決まるという場合もあります。

さらに、事務職で応募したところ、「他の応募者で採用枠が埋まってしまったけれど、営業職に欠員が1名出たのでいかがでしょうか」と打診されて、これに応じるというのは普通に行われていることです。

このように、求人広告と実際の労働条件とが異なる場合に、採用側が新たな労働条件を明示していれば問題無いのです。そして、職業安定法5条の33項も、平成3011日付で、この内容を盛り込む形に改正されます。

 

<問題のあるケース>

採用が決まって労働契約を締結する際の労働条件明示義務については、30万円以下の罰金が定められています。〔労働基準法120条〕

労働契約の締結は口頭でもできますが、雇い主は労働者に対して、労働条件を書面で明示する義務を負っているのです。

ところがブラック企業では、最初の給与支払額を見て不審に思った労働者が会社に確認すると「あなたの場合には能力不足だから給与は半分しか支払えない」などの回答が返ってくるケースがあります。

また、求人広告では正社員募集だったのに、後から契約期間6か月の契約社員だと言われたりもします。

これらは、入社にあたって労働条件の明示が無いわけです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

特にブラック企業というわけではないのに、入社にあたって「労働条件通知書」などを交付しない会社もあります。

経営者が労働基準法の規定を知らないだけのこともあります。また、労働条件の決め方に迷っている場合もあります。

つまらないことで罰則を適用されたり、会社の評判が落ちたりしないように、労働条件の通知については、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.17.解決社労士

<ハローワークで求人の申込みが拒否される場合>

ハローワークは、原則としてすべての求人申込みに応じなければなりません。たとえブラック企業だとわかっている会社からの求人申込みであっても、次のように拒否して当然の理由が無ければ拒否できないのです。

・求人申込みの内容が法令違反のとき

・賃金、労働時間などの労働条件が著しく不適当であるとき

・労働条件の明示が不足しているとき

大手新聞社の全国紙に掲載されている広告がインチキではないという保証はありません。同じく、ハローワークの求人がブラック求人ではないという保証は無いのです。しかし、実際には信頼されやすいという実態があります。

悪い人は、ここに目を付け、全国紙の広告やハローワークの求人票を利用するのです。

 

<新たに求人の申込みが拒否されることになる場合>

職業安定法の改正案が、平成29年3月31日、参議院において賛成多数で可決・成立しました。実際に施行される日は、政令によって公布の日から3年以内の日が指定されます。

法改正後は次の場合に、ハローワークが求人申込みを拒否できるようになります。

・労働法の規定に違反し、法律に基づく処分、公表などの措置が取られた会社からの申込み

・暴力団員の役員がいる会社や、暴力団員が事業を支配している会社からの申込み

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

求職者が身を守るために、ブラック求人を見抜くことも必要です。

反対に、まじめな企業がブラック求人と誤解されないようにすることも大事です。

他社に見劣りしない採用条件を提示しても応募者が少ない場合には、一度求人広告の内容を考え直してみる必要があります。

ブラックを疑われない効率の良い求人をするためには、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.16.解決社労士

<平成29年4月1日雇用保険法改正>

法改正によって、30~45歳未満の方が倒産・解雇(懲戒解雇を除く)等により離職した場合には、失業手当(求職者給付の基本手当)の所定給付日数が次のように変更となりました。

30~35歳未満:90日→120日

35~45歳未満:90日→150日

 

<法改正の理由からわかること>

所定給付日数終了までに就職した割合が低い、つまり、熱心に求職活動を行っていたが就職に結びつかなかった割合が高いことから、これらの人を対象に保護を手厚くしたものです。

このことを素直に解釈すれば、今20代の採用にこだわっている会社が、対象者を30代に拡張すれば格段に採用しやすくなるということが言えるでしょう。

また、45歳以上の管理職経験者の採用にこだわっている会社が、対象者の年齢層を引き下げて、自社で経験を積み上げてもらうことを考えた場合も同様です。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

法改正の動向に敏感な人事担当者なら、自社で対応すべき法改正と、そうではない法改正をふるいにかけて、労力を集中させ生産性を上げています。

会社の一員として、退職後の従業員が受ける失業手当(求職者給付の基本手当)の変化は、対応の対象外に振り分けることになります。

しかし社労士であれば、この法改正から人手不足解消のチャンスを見出します。ここがプロフェッショナルである社労士の違いです。

人手不足や採用の困難を感じたら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.15.解決社労士

<労働法違反の公表>

厚生労働省ホームページの「長時間労働削減に向けた取組」のコーナーに労働法違反で書類送検された事案などが公表されました。(平成29年5月10日)

これは、原則として1年間公開されるそうですから、お取引先やお客様の目に触れる可能性があります。

 

<安全面の問題>

労働安全衛生関連の法令違反が大半を占めています。

・作業現場そのものに危険があったもの

・免許や教育研修無しに作業にあたらせたもの

不当な経費節減や手抜きが摘発されています。

 

<賃金の問題>

毎年、最低賃金が上昇していますから、これに追いつかず、いつの間にか最低賃金法違反ということもあります。

・外国人や技能実習生にも最低賃金が適用され、本人の同意は無関係であること

・固定(定額)残業代設定の段階で、最低賃金法違反がありうること

・固定(定額)残業代の基準を上回る残業代を別に支給すべきこと

このような点についての理解不足が多いようです。

代休と休日出勤割増や、深夜割増についても誤解が見られます。

 

<労働時間の問題>

三六協定の未届け、三六協定を上回る残業という形での違法残業が書類送検されています。

三六協定は労使協定ですから、就業規則と同様に労働者に周知しなければなりません。

ところが違反のある企業では、労働者自身が1か月間で何時間まで働いても違法にならないのか、まったく認識していないケースも多いように思われます。

 

<ウソの報告>

労働基準監督署や労働局にウソの報告書を提出して書類送検されている企業があるのは不思議です。

税務署が脱税の手口を熟知しているのと同じように、労働基準監督署などは法令違反のごまかし方を熟知しています。企業側のしろうとが知恵比べをしてもかないません。

また、正直な報告書の提出では「過失」を主張できる場合も多いのですが、ウソの報告書を提出すると「故意」に行っていたと推定されても仕方ありません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

知っていて法令違反をしているのは論外ですが、適法性について疑問があれば所轄の労働基準監督署に確認することをお勧めします。

藪蛇(やぶへび)になることを恐れるのであれば、少し離れたエリアの労働基準監督署に相談しても良いでしょう。

それも危ないと感じたら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.14.解決社労士

<面接指導実施の義務>

脳・心臓疾患の発症は、長時間労働との関連性が強いとされています。

そこで、労働者数などの事業規模とは関係なく、すべての事業者には、長時間労働の労働者に対して、医師による面接指導を行うことが義務付けられています。〔労働安全衛生法66条の8〕

事業者は、長時間労働などの要件に当てはまる労働者の健康状態を把握し、適切な措置を講じなければなりません。

また、労災認定された自殺には、長時間労働だった労働者も多いことから、この面接指導の際には、うつ病などのストレスが関係する精神疾患の発症を予防するために、メンタルヘルス面への配慮も必要となっています。

 

<対象者など>

事業者は、労働者の週40時間を超える労働が1月当たり100時間を超え、かつ、疲労の蓄積が認められるときは、労働者の申出を受けて、医師による面接指導を行わなければなりません。

基本的には、対象となる労働者ご本人からの申出を受けて行うことになります。ただし、医師による面接指導の制度は、労働安全衛生法で定めたものですから、社内への周知が必要です。

また産業医のいる事業場では、産業医から該当する労働者に対して申出を行うよう勧奨することができます。〔労働安全衛生法施行規則52条の3〕

 

<面接指導実施後の措置>

面接指導を実施した労働者の健康保持のため、事業者が必要な措置について、医師の意見を聴かなければなりません。

医師の意見に基づいて事業者が実施すべき措置としては、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少などがあります。

また、面接指導の結果は、記録を作成して5年間保存しなければなりません。

 

2017.05.13.解決社労士

<休憩室とは違う休養室>

休憩室は、従業員がリフレッシュするため日常的に使うスペースです。

しかし休養室は、従業員が急に体調をくずしたときに一時的に休ませ、場合によっては救急車が来るまで待たせておくための施設です。

 

<設置義務>

労働安全衛生法と労働安全衛生法施行令の規定に基づき、またこれらの規定を実施するため、労働安全衛生規則が定められています。

その618条には、次のように規定されています。

「事業者は、常時五十人以上又は常時女性三十人以上の労働者を使用するときは、労働者がが床することのできる休養室又は休養所を、男性用と女性用に区別して設けなければならない」

このように、設置義務を負うのは男女合わせて50人以上、または、女性だけで30人以上の従業員がいる事業場に限られています。

 

<注意するポイント>

が床(臥床)とは横たわることですから、座って休めればよいというものではありません。基本的に、ベッドや布団が必要になります。

また、男女兼用ではダメで、男性用と女性用に区別して設置する必要があります。

従業員が少しずつ増えていき、いつの間にか50人を超えた場合、衛生管理者、衛生委員会、産業医、健康診断結果報告などは思いつくものの、休養室は忘れがちです。

 

<規則に違反した場合>

労働安全衛生規則そのものには罰則がありません。

しかし、休養室が設置されていなかったり、条件を満たしていなかったりした状態で、急病人が発生し対応が遅れることがあれば、会社が責任を問われることになります。

そうでなくても、労働基準監督署の監督などがあった場合には、指摘を受けてしまいますので、きちんと対応すべきです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

事業場の従業員が10名以上になった場合、50名以上になった場合など、節目の人数で会社が対応に追われることは多々あります。

計画的に対応できるよう、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.12.解決社労士

<職場の空気の量や換気についての規定>

労働安全衛生法と労働安全衛生法施行令の規定に基づき、また、これらの規定を実施するため、労働安全衛生規則が定められています。

これは、厚生労働省令の一つで、最近では平成28年11月30日に改正されています。

 

<空気の量についての規定>

労働者が室内で呼吸などに利用できる空気の量を気積(きせき)といいます。

その室内にキャビネットなどがあって、空間をふさいでいる部分の体積は、気積に含まれません。

また、天井が高く床面から4メートルを超える場合には、4メートルを超える高さにある空間も気積に含まれません。

こうして計算された気積は、労働者1人について10立方メートル(1万リットル)以上必要です。〔労働安全衛生規則600条〕

 

<換気についての規定>

換気が十分に行われる設備が整っていれば問題ないのですが、窓を開けて換気している場合には、直接外気に触れる部分の面積が、床面積の20分の1(5%)以上であることが必要です。〔労働安全衛生規則601条1項〕

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

事業場の従業員が50名以上であれば、資格を持った衛生管理者や産業医のチェックが入ります。

しかし小規模な事業場では、職場環境の最低基準を満たしていないケースも見られます。

一度、信頼できる社労士にチェックさせてはいかがでしょうか。

 

2017.05.11.解決社労士

<職場のトイレについての規定>

労働安全衛生法の規定に基づき、また規定の内容を実施するため、事務所衛生基準規則が定められています。

これは、厚生労働省令の一つで、最近では平成26年7月30日に改正されています。

トイレについては、事務所衛生基準規則第17条に規定があります。

 

<男性用と女性用の区別>

職場のトイレは、男女共用ではいけません。

男性用と女性用をそれぞれ設置する必要があります。

そのうえで、障害者やLGBTの方々に配慮した専用のトイレを設置することは望ましいことです。

 

<男性用小便器の数>

男性労働者30人以内ごとに1つ以上の割合で必要です。

その職場に所属する人数ということではありません。同時に就業する最大の人数が基準となります。

たとえば65人であれば、65人 ÷ 30人 = 2.17 の端数切り上げで3つ必要です。

 

<個室の数>

男性用は60人以内ごとに1つ以上の割合で必要です。

女性用は20人以内ごとに1つ以上の割合で必要です。

 

<その他>

流水で手を洗うための設備が必要です。

事業者には、トイレを清潔に保つ義務があります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

事業場の従業員が50名以上であれば、資格を持った衛生管理者や産業医のチェックが入ります。

しかし小規模な事業場では、職場環境の最低基準を満たしていないケースも見られます。

一度、信頼できる社労士にチェックさせてはいかがでしょうか。

 

2017.05.10.解決社労士

<請負とは>

「請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる」〔民法632条〕

請負では、注文者が請負人に細かな指示を出すことなく、すべてお任せして、完成した仕事を受け取るわけです。彫刻家に芸術作品の制作を依頼するのは、この請負にあたります。

 

<雇用とは>

「雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる」〔民法623条〕

雇用では、雇い主が労働者に業務上の指示を出し、労働者がこれに従って労働に従事します。正社員、パート、アルバイトなどの労働が雇用にあたります。

 

<区別の基準>

請負では、仕事を受けるかどうかが自由です。しかし、雇用では正当な理由なく拒めません。

請負では、いつ、どこで作業するかが、基本的には自由です。しかし、雇用では、時間と場所を拘束されます。

請負では、作業に必要な車両、機械、器具などを請負人が負担します。しかし、雇用では、雇い主の貸与する物を使い、雇い主が経費を負担します。

他にも具体的な区別基準はあるのですが、決して契約書のタイトルが区別の基準になるわけではありません。

 

<偽装請負>

雇用では、労働基準法、最低賃金法、労災保険法などの労働法により、労働者が保護されます。ところが、請負では請負人がこれらによる保護を受けません。

反対の立場から見ると、何か仕事をしてもらう場合、雇用ではなくて請負にした方が、仕事をさせる側の負担が少ないことになります。

そこで、本当は雇用なのに、雇い主が請負だと言い張って、労働者に不利な扱いをしてしまう場合があります。これが、偽装請負です。

あるいは、最初は請負契約だったのに、注文者から請負人に対して、あれこれ具体的な指示が出るようになって、途中から雇用契約になった場合に、それでも扱いは請負契約のままという場合もあります。これも、偽装請負です。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

求職活動をしていて採用面接で「うちは請負です」と言われた、勤務先から「来月から請負契約に変更してもらう」と言われたという場合、お近くの労働基準監督署などに相談しましょう。

もし、相談しにくいと感じたら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.09.解決社労士

<客観的事実なら>

従業員が休日に事故にあった、取引先が火災に見舞われた、災害により原料の供給が途絶えたなど、会社が関与していない原因により発生した事実については、なるべく早く社内に伝達すべきです。

その事実に対し、会社として、個人として、どのように対応すべきかについて、なるべく早く検討を開始する必要があるからです。

事実の伝達が遅れれば、遅いことについて、会社側が非難されてしまいます。

 

<会社の判断が絡むことなら>

これに対して、会社側の判断によって、一部の店舗や営業所を廃止する、パート社員の雇用契約を更新しない、賞与の支給を見送るなどの場合には、単純にその事実を伝えただけでは、関係する従業員から反発を招き、不信感を抱かれます。それだけではなく、社外の無関係な人々からも非難されることになります。

こうした場合には、その事実の理由や原因を突き詰めて説明する必要があるのです。

 

<一部の店舗を廃止する場合>

その店舗の売上が不振だから、経営の合理化が必要だからというように、直接の理由を示すだけでは不十分です。到底、納得できるものではありません。

ある店舗の周辺で再開発が進むことによって、人の流れが変わってしまい、顧客の減少を食い止めることはできない。会社には、その店舗の赤字経営を続ける余裕は無く、一度閉店して力を蓄え、集客の期待できる場所に改めて出店を考えることにしたなどと、納得のいく説明が必要なのです。

従業員にこうした説明をすることによって、その店舗をご愛顧いただいていたお客様にも納得のいく説明が伝わることでしょう。

 

<パート社員の契約打切りの場合>

会社の経営が不振だから、景気が悪くなったからというように、一般的な理由を示すだけでは不十分です。「なぜ、あなたの契約が打切りになるのか」という具体的な説明が無ければ、到底、納得できるものではありません。

原材料の相場が上昇し、会社は仕入先と共に努力を重ねてきたが、それでもなお利益率が15%低下し、人件費を3割程度削減しなければならなくなった。そこで、次のような基準を立てて一部のパート社員の契約を更新しないこととしたのだが、あなたはこの基準にかかってしまった。

このようなしっかりとした説明をすることによって、対象となるパート社員に理解を求めることができるのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

そもそも会社のやろうとしていることが、違法であったり、従業員から賠償を求められるようなことであったりすれば、どんなに上手な説明も虚しいだけです。

特に人に絡むことについて決断する場合には、念のため、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.08.解決社労士

<過労死ライン>

国の過労死認定基準として「法定労働時間を上回る残業時間が1か月で100時間を超えた場合、または、直近2~6か月の平均が80時間を超えた場合」という基準が有名です。具体的には、次のように用いられています。

・「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について」(平成13年12月12日付基発第1063号厚生労働省労働基準局長通達)

・「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(平成23年12月26日付基発1226第1号厚生労働省労働基準局長通達)

・ハローワークで雇用保険給付手続きをした場合に自己都合退職ではなく会社都合退職として特定受給資格者となる基準

こうしたことから、大手企業を中心に、従業員の労働時間がこの過労死ラインを超えないようにする配慮が行われています。

 

<例外の発生>

最近、山口県内の弁当販売会社で配送業務を行っていた当時50歳の女性社員について、山口労働基準監督署が労災(過労死)と認定したことが報道されています。

この女性の勤務時間は、過労死ラインを超えていなかったものの、死亡前の半年で休日が4日しか無かったことが重視されているようです。

これを受けて、今後、政府から月間労働時間だけではなく、休日労働を含めた基準が提示されることが想定されます。

 

<会社の取るべき対応>

この基準さえ守れば、会社は従業員の過労死について責任を負わずに済むという絶対の基準はありません。

ましてや、基準を守っているかのような数字を作ることによって、会社の責任が消えるハズはありません。

特定の従業員に負担が集中しているのなら、たとえ本人が望んでいる場合であっても、万一の事態を想定して負担を分散しなければなりません。

また、全社的に従業員の負担が大きいのであれば、事業の存続について行政に協力を求めるべきです。

そして、それも無理なら思い切って事業の継続を見直すことも必要です。

 

2017.05.07.解決社労士

<一口に「扶養から外れる」と言っても>

所得税と社会保険とでは基準が違います。

税法上は扶養から外れても、社会保険上は扶養に入ったままということもあるのです。もちろん、この逆もあります。

 

<社会保険上の基準>

60歳未満の配偶者は、1年間の収入見込み額が130万円以上になると、扶養から外れることになります。

また、配偶者が勤務先で社会保険に加入すると、当然に扶養から外れます。

この基準は、平成3011日以降も変わらない予定です。

 

<税法上の基準>

平成29年までは、配偶者が60歳未満の場合、1月から12月までの年収が103万円を超えると、扶養から外れることになります。

ところが、平成3011日からは、103万円の基準が150万円に引き上げられます。

配偶者特別控除の基準も、141万円から201万円に引き上げられます。

 

<注意したい点>

この法改正は、働きたい人が就業調整を意識しなくて済む仕組みを構築する観点から行われるものです。

しかし、給与収入が150万円までは配偶者の扶養に入れるようになるというのは、あくまでも税金の話です。130万円以上になれば、社会保険の扶養からは外れます。

法改正により、税法上の基準と社会保険上の基準が逆転しますので、注意が必要となります。

 

2017.05.06.解決社労士

<一元適用事業>

労働保険(雇用保険と労災保険)の保険関係の適用や、保険料の申告・納付などの事務は、原則として、一つにまとめて処理することができます。

この原則が適用される事業を、労働保険の一元適用事業といいます。

 

<二元適用事業>

これに対して、建設業などでは、労働保険を一つにまとめて処理することがむずかしいので、保険関係の適用や保険料の申告・納付などの事務を、それぞれ別に行います。

建設業では、次の3つに分けて行います。

1.工事現場の労災保険は、工事現場の労働者の賃金総額をもとに保険料を計算します。

2.本店、支店、事務所などの労災保険は、工事現場の労働者を除く賃金総額をもとに保険料を計算します。

3.雇用保険は、会社全体の雇用保険の対象者の賃金総額をもとに保険料を計算します。

特に建設業では、元請事業者がまとめて労災保険料を負担することになっています。

また、工事現場に複数の企業が関与していて、賃金総額を正しく把握するのが難しい場合には、元請としてその年度中に終了した工事の請負金額に労務費率を掛けて賃金総額を求めるという例外が認められています。

 

<二元適用事業に該当するもの>

•都道府県、市町村およびこれらに準ずるものの行う事業

•港湾労働法の適用される港湾における港湾運送の事業

•農林・畜産・養蚕・水産の事業

•建設の事業

 

2017.05.05.解決社労士

<違法残業の発生パターン>

次のような状況下で、法定労働時間を超える勤務をさせると違法残業となります。

・三六協定の労働基準監督署長への届出をしていない

・三六協定の有効期限が切れたままになっている(有効期間は最長1年)

・労働者代表の選出方法が民主的ではないなどにより三六協定が無効

また、三六協定の限度を超える勤務をさせた場合にも違法残業となります。

結局、違法残業というのは、有効な三六協定が届出されない状態で法定労働時間を超える勤務があった場合と、三六協定に違反する勤務があった場合を指すものだといえます。

 

<建設業の特殊性>

三六協定には、法定労働時間を上回って勤務させる場合の限度時間を定めます。

この限度時間についても、労働省(現厚生労働省)告示「労働時間の延長の限度等に関する基準」により、その上限が定められています。

一般には、1か月で45時間(1年単位の変形労働時間制の場合は42時間)、1年で360時間(1年単位の変形労働時間制の場合は320時間)と規定されています。

ところが建設業では、この基準が適用除外となっています。工事の受注量は変動しやすいですし、作業は天候に左右されやすいですから、時間外労働に一定の上限を設けることはむずかしいからです。

こうしたことから、労働基準法上、建設業では残業が無制限にできてしまうことになります。

 

<残業時間の基準>

しかし、法的な制限が無いというだけで、長時間労働によって労働者に何があっても責任を負わないということではありません。

「法定労働時間を上回る残業時間が1か月で100時間を超えた場合、または、直近2~6か月の平均が80時間を超えた場合」という基準が、次のように多く用いられています。

・「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について」(平成13年12月12日付基発第1063号厚生労働省労働基準局長通達)

・「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(平成23年12月26日付基発1226第1号厚生労働省労働基準局長通達)

・ハローワークで雇用保険給付手続きをした場合に自己都合退職ではなく会社都合退職として特定受給資格者となる基準

このように、建設業の場合でも、健康管理措置上の上限があると考えられます。

 

2017.05.04.解決社労士

<憲法記念日に良く見るニュース>

安倍晋三首相は3日、憲法改正を求める集会にビデオメッセージを寄せ、「2020年を新しい憲法が施行される年にしたい」と表明した。首相は改正項目として9条を挙げて「1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込むという考え方は国民的な議論に値する」との考えを示した。(「朝日新聞デジタル」より転載)

 

<憲法改正の手続>

「この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする」〔日本国憲法961項〕

つまり憲法改正案は、国会が特別多数決によって国民に提案し、改正は国民投票で決まるということです。

内閣が憲法を改正することはできませんし、国会の議決で憲法を変えることもできません。決めるのは国民です。

ですから、「憲法9条改正反対!」などの集会は、政府や国会議員に向けられるのではなく、全国民に向けられるべきものでしょう。

安倍晋三首相も、このことを良く理解したうえで発言しています。

 

<基本的人権の保障>

日本国憲法は、基本的人権を保障するためにできました。

日本国民の一人ひとりが人間らしく生きていくための最低限の権利として生存権が規定されています。私たちが「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を保障しています。〔憲法25条〕

生活保護などの諸施策は、この規定が根拠となっています。

さらに、国が生存権の保障をできるように財源を確保するしくみも定めています。

・「文化的な生活」ができるための義務教育〔憲法26条〕

・教育を受けた人が働く権利と義務〔憲法27条〕

・立場の弱い働き手が団結する権利〔憲法28条〕

・働いて得た財産を自分のものとする権利〔憲法29条〕

・収入や財産によって税金を納める義務〔憲法30条〕

・そしてこの税金を使って守られる生存権〔憲法25条〕

このように、憲法25条から30条までは循環する関係にあります。

 

<憲法に規定されていること>

日本国憲法は、1947年(昭和22年)53日 に施行されました。

その目的は、私たちが人間らしく生きていけるようにすることです。

この目的にそって規定されている内容は、主に次の2点です。

・日本国民の一人ひとりが人間らしく生きていく権利(基本的人権)の保障

・権力が日本国民の基本的人権を侵害しないようにする権力細分化のしくみ

 

<権力細分化のしくみ>

国家権力が、王様のような一人の人間に集中すると、私たちが人間らしく生きていくのに必要な基本的人権は、その人の感情によって簡単に侵害されてしまいます。

そうしたことがないように、憲法は権力を細かく分割するしくみを定めました。

・国家権力を、立法権・行政権・司法権に分けました。三権分立です。

・立法権のある国会を衆議院と参議院に分けました。

・行政権を内閣と多くの行政機関に分けました。

・司法権を最高裁判所・高等裁判所・地方裁判所・簡易裁判所・家庭裁判所に分けました。

・地方分権のため、都道府県とその下に市町村を設けました。

・この他、政党や派閥の存在を認めています。

このように国家権力が細分化されたことによって、誰か一人のえらい人が、自分だけの考えで好きなことを自由にできるわけではありません。

もし、そうしたことをすれば、国民や住民の批判にさらされることになります。

今後も、選挙制度が正しく機能している限り安心です。この意味で、私たちが投票に行くことはとても大切です。

 

繰り返しになりますが、日本国憲法は国家権力から私たちの人権を守るためにあります。そして、憲法の改正を決定するのは、私たち国民です。

憲法記念日は、年に1回、このことを確認する日にしたいものです。

<定年年齢の規制>

事業主が定年制を設ける場合には、定年を60歳以上とすることが義務化されています。〔高年齢者雇用安定法8条〕

これにより、60歳未満の定年を定めた就業規則などの規定は無効とされます。

 

<定年後の継続雇用義務>

定年の定めをしている事業主に対して、65歳までの高年齢者雇用確保措置を講ずべきことが定められています。〔高年齢者雇用安定法9条〕

義務付けられる雇用確保措置のうち継続雇用制度には、勤務延長制度と再雇用制度とがあります。

勤務延長制度は、原則として役職・職務、仕事内容、賃金水準などが変わりません。これに対し、再雇用制度は一度労働契約を終了させた後に、再び新しく労働契約を締結するものです。

つまり、定年の65歳への引上げが義務付けられるわけではありませんし、必ずしも勤務延長制度を選択しなければならないわけでもありません。再雇用制度を選択し、新しい労働契約によって、役職・職務、仕事内容、賃金水準などが変わることもあるわけです。

 

<定年後の再雇用を拒める場合>

しかし、トラブルの多い問題社員が定年後の再雇用を求めてきた場合に、会社がこれを拒めないというのは不合理です。

そこで、就業規則に継続雇用の条件を定めておくことにより、それが労働契約の内容となるようにしておいて、問題社員の再雇用を回避できるようにしておく必要があります。

それでも、ただ定めておけば、どんな条件であっても有効というわけではなく、不合理な条件は無効とされてしまいます。

ここにも、労働契約法の解雇権濫用法理の趣旨が及ぶわけです。

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」〔労働契約法16条〕

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

就業規則の具体的な規定が、客観的に合理的か、社会通念上相当であるかという判断は、労働審判や裁判の事例を見ながら専門的な見地から判断することになります。

就業規則に関連規定を置いていても不安が残る場合や、これから対応しようと考えている場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.03.解決社労士

<受給資格期間の短縮>

年金機能強化法の改正があって、平成2981日より年金受給資格期間が25年から10年に短縮されます。

受給資格期間というのは、原則65歳から老齢基礎年金を受給するための条件となる期間で、次の3つの期間の合計です。

1.厚生年金保険や国民年金の保険料を納付した期間

2.国民年金の保険料の納付を免除された期間

3.合算対象期間(カラ期間)

 

<納付期間の勘違い>

国民年金(老齢基礎年金)は、国籍を問わず日本国内に住所があると、20歳から60歳になるまで強制的に加入することになります。

その間、保険料の滞納や免除期間がない限り、この満額を受け取ることになります。満額は、平成29年度で779,300円(年額)です。

たしかに、年金受給資格期間は25年から10年に短縮されるのですが、10年間だけ年金保険料を納めれば、あとは納めなくても良いというわけではありません。

10年を超えて年金保険料を納めても、40年に到達するまでは、満額受給することはできず、納付期間に応じた年金しか受給できません。

十分な年金を受給するには、なるべく長期間、年金保険料を納付することが必要です。

 

<保険料の免除についての勘違い>

国民年金の保険料の免除には、法定免除、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除、納付猶予、学生納付特例があります。

免除されたら、納付したのと同じ効果があるというわけではありません。

平成214月分以降について、法定免除、全額免除は、納付した場合の2分の1の効果、半額免除は、納付した場合の8分の6の効果をもたらすことになります。

学生納付特例では、後から年金保険料を納めなければ、年金額には反映されません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

年金について、個人の具体的なデータは、年金事務所などで確認することができます。

ご自分で確認する時間的余裕が無かったり、年金事務所などで相談したけれども、今一つわからないときには、信頼できる社労士にご相談ください

 

2017.05.02.解決社労士

<会社の不安>

健康診断の結果、社員に癌が見つかった。あるいは、社員から会社に申し出があったとします。

こんなとき勤務を続けさせていて、万一のことがあったら、会社は何らかの責任を負わされるリスクがあります。

しかし、安易に労働契約を解除すれば、不当解雇として責任を追及されるかもしれません。

会社としては、放置できない悩ましい問題です。

 

<健康診断で癌が見つかった場合>

会社は健康診断の結果で、異常の所見があると診断された労働者について、健康を保持するために必要な措置について、医師などの意見を聴かなければなりません。〔労働安全衛生法66条の4〕

そして意見を聴いた結果、必要があると認めるときは、その労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少などの措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設・設備の設置・整備、その他の適切な措置を講じなければなりません。〔労働安全衛生法66条の5〕

これは、健康診断で異常が見つかった場合の規定ですが、労働者に健康不良がある場合に会社がとるべき対応として参考になる内容です。

 

<具体的な対応方法>

まず、健康状態について事実を確認するため、経営者や人事部門の担当者が対象者と面談します。このとき、健康診断の結果などを持参してもらうのが一般的ですが、健康診断の項目に無い病状であれば、これに代わる資料が必要です。

つぎに、ご本人の了解を得たうえで、医師などに相談します。相談結果については、ご本人にも伝えます。もちろん、会社の担当者とご本人とで、医師の意見を聴きに行くのも良いでしょう。

そして、会社としての対応策を検討し、その案をご本人に伝え、具体的な対応策を決めるようにします。

ここまでの流れの中で、ご本人から退職の意向が示されることも多いでしょう。会社から退職勧奨となるような働きかけが無ければ、ご本人の自由な意思による退職の申し出ですから、労働契約は労働者からの解除となります。

 

<会社の責任>

癌にかかったからと言って、労働契約解除通知など出したら不当解雇になります。ご本人にも生活がありますし、治療費を負担するためにも働き続けたいのです。

かつては癌と言えば、入院治療が当然の時代もありました。しかし、今や医学の発達によって、通院治療が主流となっています。つまり、通院の日には休んだり早退したりが必要になっても、普段の日は通常通り勤務できるということです。

ですから、ご本人と今後の勤務について良く話し合うことが大切です。勤務の継続に無理が感じられるようでしたら、医師などと相談のうえ、再度、ご本人と話し合うことになります。

これと併行して、労働安全衛生法などの規定を参考に、会社として取るべき措置を実施することも大切です。

ここまでやって初めて、会社は責任を果たしたことになります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

健康保険により、長期休業した場合の賃金の補償や、医療費が高額になった場合の補助もあります。

具体的な事例に即して、何をどうすれば良いのか、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.05.01.解決社労士

<同じ日当でも>

出張に伴う日当は、就業規則などに規定が無ければ、本来、支払われなくても問題の無い手当です。しかも、社会慣行として非課税とされているなど、その性質は不明確です。

これに対して、同じく日当と呼ばれることはあるものの、日給には多くの法的規制があります。

 

<最低賃金法の規制>

日給制とは、1日を単位として賃金が定められている制度を言います。また、これを前提として、毎日賃金を支払うことを言います。賃金を1月に1回支払う場合には、日給月給制と呼ばれます。

一方で、最低賃金法で定められている最低賃金は、1時間当たりの賃金で示されています。これは、時間給だけではなく、月給制でも日給制でも適用があります。

ということは、1日いくらという日給制の場合、その1日とは何時間なのか明確にしておく必要があるということです。

日給÷所定労働時間=1時間当たりの賃金

これで計算した結果が、最低賃金を下回ると違法になります。

 

<時間外割増賃金の規制>

このように、1日いくらで決めれば計算が簡単なハズの日給ですが、所定労働時間は決めなければなりません。

そして、所定労働時間を超える労働に対しては、プラスアルファの賃金支払いが必要となります。

さらに、法定労働時間を超えた場合には、割増賃金の支払いも必要です。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

このように見てくると、せっかく明確な賃金制度として日給制を選んでも、そのメリットは疑わしくなってきます。

また、その日によって、所定労働時間がバラバラの場合には、どのように計算すれば良いのか迷うことになるでしょう。

日給制を合理的に、また合法的に運用するのであれば、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.04.30.解決社労士

<労働時間の定義>

労働時間とは、「労働者が実際に労働に従事している時間だけでなく、労働者の行為が何らかの形で使用者の指揮命令下に置かれているものと評価される時間」と定義されます。

これは、会社ごとに就業規則で決まったり、個人ごとに労働契約で決まったりするのではなく、客観的に決められている定義です。

 

<持ち帰り仕事を命じられた場合>

使用者から命じられて、自宅や喫茶店などで業務をこなした場合、途中で進み具合のチェックが入ったり、完了の報告が求められたりすれば、労働時間の定義にあてはまるでしょう。

ところが、翌日出勤するまでチェックされない場合には、テレビを観たり飲食したりでダラダラやってもわかりません。通常2時間で終わる仕事について、「5時間かかりました」という自己申告により、使用者が5時間分の残業手当を支払うのも不合理です。この場合には、2時間分の賃金支払いが合理的です。

ここは、次の条文が参考になりますが、実際には、労使で合意しにくいポイントでもあります。

「労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす。ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす。」〔労働基準法38条の2第1項〕

 

<労働者が自己判断により無断で行った場合>

業務上の資料を無許可で社外に持ち出すこと自体が問題です。

それはともかく、使用者が把握できないならば、指揮命令下に置くことも不可能ですから、労働時間とはなりません。

 

<持ち帰り仕事を黙認していた場合>

使用者が、自主的な持ち帰り仕事の存在を知っていて、これを禁止するなどの措置を取らなかった場合には、使用者から暗黙の命令があったものと考える余地があります。ここはグレーゾーンで、具体的な事情によって結論が分かれるところです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

総務省がテレワーク(在宅勤務)を推進しています。

あいまいな持ち帰り仕事を、ルールに従ったテレワークとして正式に認めれば、会社も労働者も納得することができます。

具体的にどうすべきか、迷ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.04.29.解決社労士

<義務の対象となる事業場>

産業医については、労働基準法ではなく労働安全衛生法13条に義務規定が置かれています。

常時50人以上の労働者を使用する事業場では、産業医を選任し労働者の健康管理などを行わせることになります。

事業場というのは、事務所、営業所、店舗などを言いますから、会社全体の人数ではありません。

 

<産業医の資格>

産業医は、医師のうち次のいずれかの条件を満たす者から選任します。

(1)厚生労働大臣の指定する者(日本医師会、産業医科大学)が行う研修を修了した者

(2)産業医の養成課程を設置している産業医科大学その他の大学で、厚生労働大臣が指定するものにおいて当該過程を修めて卒業し、その大学が行う実習を履修した者

(3)労働衛生コンサルタント試験に合格した者で、その試験区分が保健衛生である者

(4)大学において労働衛生に関する科目を担当する教授、准教授、常勤講師又はこれらの経験者

 

<産業医の職務>

産業医は、次のような職務を行うこととされています。

(1)健康診断、面接指導等の実施及びその結果に基づく労働者の健康を保持するための措置、作業環境の維持管理、作業の管理等労働者の健康管理に関すること。

(2)健康教育、健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置に関すること。

(3)労働衛生教育に関すること。

(4)労働者の健康障害の原因の調査及び再発防止のための措置に関すること。

産業医は、労働者の健康を確保するために必要があると認めるときは、事業者に対し、労働者の健康管理などについて必要な勧告をすることができます。

また産業医は、原則として毎月1回作業場などを巡視し、作業方法や衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに、労働者の健康障害を防止するため必要な措置を講じることになっています。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

産業医選任義務の有無の確認や労働基準監督署への届出、衛生委員会や事業場巡視での活用については、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.04.28.解決社労士

<モデル就業規則>

厚生労働省のホームページに掲載されている「モデル就業規則」の最初のほうに、次のような規定があります。

「この規則に定めた事項のほか、就業に関する事項については、労基法その他の法令の定めによる。」〔モデル就業規則12項〕

そして、この条文について、次のような説明があります。

「本規程例に労働者の就業に関するすべての事項が定められているわけではありません。本規程例に定めがない事項については、労基法等関係法令の規定によることになります。」

このことは、すべての就業規則にあてはまることですから、念のための注意規定として、ほとんどの就業規則の最初のほうに置かれています。

 

<労働基準法の性質>

労働基準法の最初のほうに、次のような規定があります。

「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。」〔労働基準法12項〕

つまり、労働基準法の基準は最低限のものだから、これを上回ることはかまわないが、下回ることは許さないと言っています。

 

<最低限の保障があること>

上記の2つのことから、まず言えることは、たとえば、就業規則に年次有給休暇の規定が無くても、労働基準法には規定があるので、労働基準法どおりの年次有給休暇が付与されるということです。

同じことは、産休、育休、介護休業、業務災害に対する補償など、あらゆることに当てはまります。

「うちの会社の就業規則には、産休の規定なんか無いから…」というときは、労働基準法の規定をチェックすれば良いのです。

 

<プラスアルファの保障は無いこと>

もう一つ言えることは、たとえば、会社の就業規則に産休や育休の規定が無い場合には、その会社の従業員には、法令による最低限の権利しか保障されていないということです。

産休の期間を長く認めていたり、産休中に賃金の支払いがある会社では、そのことについての規定が、就業規則の中に定められています。

つまり、規定が無ければ、プラスアルファの恩恵は無くて、最低限の保障となるわけです。

 

<就業規則の無い会社>

就業規則が無いということは、すべてのことについて「就業に関する事項については、労基法その他の法令の定めによる。」という規定を置いているようなものですから、何か不明なことがあるときは、関連する法令の条文を参照して確認することになります。

実際、経営者が従業員から権利を主張されてアタフタし、労働問題に発展しやすいのは、このケースです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

やはり小さな会社でも就業規則は必要です。

「うちは、アルバイトに年次有給休暇だとか、産休だとか無理だから…」という会社にも、労働基準法が適用されます。

いきなり請求されても困らないように、運用基準を決めておいてはいかがでしょうか。

信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.04.27.解決社労士

<法令の規定>

「事業者は、労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、医師による健康診断を行なわなければならない。」〔労働安全衛生法661項〕

このことから、労働者は健康診断を受診することが義務づけられます。

「ただし、事業者の指定した医師又は歯科医師が行なう健康診断を受けることを希望しない場合において、他の医師又は歯科医師の行なうこれらの規定による健康診断に相当する健康診断を受け、その結果を証明する書面を事業者に提出したときは、この限りでない。」〔労働安全衛生法665項但書〕

つまり、全く受けないわけにはいきませんが、会社の指定する健診機関とは別の所で受診して、会社に健康診断結果を提出することは許されています。

 

<注意点>

健康診断項目は法定されていますので、すべての項目がそろっていなければなりません。

健康診断結果について、医師または歯科医師の意見が書かれていることも必要です。

 

<会社側の不都合>

健康診断について、画一的な処理ができないのは効率が低下します。

たびたび健診機関が変わってしまうと、数年にわたる数値の変化などを管理するのがむずかしくなります。

しかし、法令が会社指定の機関とは別の機関での健診を認めていますし、LGBTの問題もありますから、希望があれば会社は対応しなければなりません。

 

2017.04.26.解決社労士

<新薬との違い>

医師の診断により、病院や調剤薬局などで処方される医療用医薬品は、新薬(先発医薬品)とジェネリック医薬品(後発医薬品)に分けられます。

新薬はその開発に多額の費用と時間がかかるため、特許権が与えられ、その新薬を独占的に製造・販売することができます。

しかし、この特許権には特許期間が設けられていて、その特許期間が過ぎると、他の医薬品メーカーでも同じ有効成分の薬を製造することが許されます。

こうして、特許権を持っていたメーカーとは別のメーカーが製造するようになった薬がジェネリック医薬品です。                 

 

<効き目の違い>

ジェネリック医薬品は、新薬と同一の有効成分を含み、効き目や安全性が同等であると厚生労働省が承認した薬です。

しかも、ジェネリック医薬品は、医薬品メーカーによって薬を飲みやすい形や大きさに変えるなどの工夫がされています。

 

<価格の違い>

新薬の開発には、10年~15年程度の長い期間がかかり、数百億円もの費用が必要とされています。新薬の価格には、これが反映されています。

ところが、ジェネリック医薬品は、新薬の有効成分を利用して開発されるため、その分だけ、開発期間やコストを大幅に抑えることが可能となります。そのため、ジェネリック医薬品の価格を安く設定することができます。

ジェネリック医薬品は、新薬に比べ、3割から5割程度安くなる場合が多いです。

 

<注意したい点>

新薬と同じ成分のジェネリック医薬品が、まだ無いこともあります。

ジェネリック医薬品は、新薬に比べて、やや供給が不安定なこともあります。

この点を確認のうえ、ジェネリック医薬品を希望すれば、医療費を節約することができます。

 

2017.04.25.解決社労士

<厚生年金基金の支払い>

厚生年金基金や企業年金連合会は、厚生年金基金の加入期間について、60歳からの特別支給の老齢厚生年金の「報酬比例部分」と65歳からの老齢厚生年金のうち、報酬の再評価や物価スライドをしないで計算した部分の支払いを国に代わって行っています。

また、国に代わって支払う部分に各基金の規約により基金独自の給付設計による加算を行い、国の給付水準を上回る支払いを行っています。

 

<問い合わせ先>

このような各基金の規約による計算については、日本年金機構では把握できません。

そのため、厚生年金基金から支払われる額については、加入している(加入していた)厚生年金基金または企業年金連合会に問い合わせることになります。

 

企業年金連合会

電話0570-02-2666(PHS・IP電話は03-5777-2666)

<有期契約と無期契約との違い>

定年年齢とは別に終了日を決めた雇用契約を有期雇用契約といいます。契約期間が終われば、雇用契約が終了するというのが原則になります。そこから先、さらに働けるかどうかは、更新契約が結ばれるかどうかによりますので、雇われている人の立場は不安定です。

これに対して、定年年齢とは別に終了日を決めていない雇用契約を無期雇用契約といいます。一般に、正社員は無期雇用契約とされ、有期雇用契約の場合よりも立場が安定しています。

 

<無期転換ルール>

長年にわたって、有期雇用契約の更新を何回も繰り返している社員は、正社員と同様に雇用の安定が必要であるという考え方から、有期雇用契約の期間を通算して5年を超えた場合には、本人の希望により、無期雇用契約に転換できることになっています。

ただし、この無期転換ルールは労働契約法の改正によってスタートしたものですから、有期雇用契約の開始が平成25年4月1日以降のものだけが通算の対象になります。

また、前の有期雇用契約と後の有期雇用契約との間に、契約が存在しない期間がある場合に、それまで通算された契約期間の半分以上の期間が空いてしまったときは、期間の計算がリセットされて、後の有期雇用契約から期間の計算を始めます。このとき、空いてしまった期間に1か月未満の端数が出たときは1か月に切り上げます。

さらに、空いてしまった期間が6か月を超える場合にも、後の有期雇用契約から期間の計算を始めます。

 

<転換後の労働条件>

無期転換ルールは、有期雇用契約を無期雇用契約に変えるものです。このルールによって、正社員になるわけではありません。

特に取り決めが無ければ、有期雇用契約の中で定められていた労働条件が、無期雇用契約に変わった後も続きます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

無期転換ルールの運用について、迷うところがあれば、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.04.23.解決社労士

<労働条件通知書の交付義務>

労働条件のうちの基本的な事項は、労働者に対して書面で通知するのが基本です。新人なら、1回目は雇い入れ通知書で、2回目からは契約更新の時や、時給変更、出勤日変更の時から労働条件通知書というパターンもあります。

「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。」〔労働基準法15条〕

これが労働基準法の定めです。そして、罰則もあります。

「三十万円以下の罰金に処する。」〔労働基準法1201号〕

しかし、たまたま摘発されて30万円の罰金を科せられたとしても、日常的に面倒な書類を交付するよりは、30万円の罰金で済むならその方が楽という考え方をする経営者もいるでしょう。

 

<労働条件通知書の保管義務>

労働条件通知書は3年間の保管義務があります。

「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を三年間保存しなければならない。」〔労働基準法109条〕

そして、こちらにも罰則規定があります。

「三十万円以下の罰金に処する。」〔労働基準法1201号〕

結局、3年間に1回でも労働条件の交付をサボれば、罰則が適用されうるということです。

 

<現実の問題として>

たとえば、同じお店で5人のアルバイトがいて、この人たちはベテランなので、時給が1,500円だったとします。

そして1人が辞め、代わりに新人が時給1,000円で入ります。2年後、この新人が辞めて、辞めた時も時給1,000円だったとします。

さて、この後、辞めたアルバイトが労働基準監督署に駆け込み「私は時給1,500円で雇われたのに、この2年間、時給1,000円で計算された給与しかもらっていません!」と言い張ったならどうでしょう。

お店側が、「いやいや時給1,000円の約束で雇っていました」と主張できる証拠はあるのでしょうか。

いくらベテランアルバイトたちが、「あの新人は時給1,000円でした」と言っても、お店に有利な証言をしているに過ぎないと思われます。

「時給1,000円で計算した給与を異議なく受け取っていた」と主張しても、「それはクビになりたくなくて。」と反論されればそれまでです。

 

<労働法上の形式的な義務>

労働基準法だけでなく、労働安全衛生法、男女雇用機会均等法、育児介護休業法、パートタイム労働法などなど、経営者に課せられた義務は把握するだけでも大変な状況です。

しかし、形式的な義務を果たすことは、経営者を護ることにもつながります。

人道的な義務や、人情で果たすべき義務の前に、この形式的な法定の義務を果たすことは、商売を続けるのに必要なことです。

経営者としての想いとは別に、法律上、守らなければ足元をすくわれることがあります。

不安を抱えないで、事業を継続するために、信頼できる社労士にご相談ください。社労士は公務員ではありませんから、親身になってご相談させていただきます。

 

2017.04.22.解決社労士

<法律による制約>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」とされています。〔労働契約法16条〕

実際、この条文を適用しても解雇が無効とされないケースは、かなり限られています。つまり、簡単には解雇できないことになっています。

入社して間もなくの解雇は、「採用取消」などと呼ばれますが、実態は解雇ですから、解雇としての法的規制を受けます。

 

<まるで詐欺のようなケース>

採用選考の段階で、労働者から会社に対して「業務に支障の出る病気は無い」「病気治療のための通院でしばしば欠勤するようなことは無い」と申し出ていたにもかかわらず、入社後に雇い入れ時健康診断で「要治療」の結果が出てしまい、仕事にも支障が出るし、通院のために毎週1日午後3時に早退しなければならないことが発覚し、本人がこれを知っていて嘘をついていたというケースなら、解雇(採用取消)も正当なものと認められやすいでしょう。

 

<業務の転換すらできないケース>

雇い入れ時健康診断であれ、定期健康診断であれ、その結果がかなり悪くて今の業務を続けさせることが困難であれば、会社は職務の転換をしてあげなければなりません。

しかし、比較的小規模な会社であれば、転換させようにも、適当な仕事が見つからないかもしれません。会社は、新たに仕事を作るような義務は負っていません。

このようなケースであれば、解雇も正当なものとして有効となることが多いでしょう。

ただし、会社に休職の制度があるのなら、それも検討したいところです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

ただ単に健診結果が悪いだけで解雇を通告しても、不当解雇として無効になります。

具体的なケースで会社がどうすべきか、失敗しないためには、信頼できる社労士にご相談ください。

すでに、解雇があって不当解雇が疑われるケースでは、社労士の中でも、特定社労士の業務となりますので、特定社労士にご相談ください。

 

2017.04.21.解決社労士

<資格取得時決定>

従業員の所定労働日数や所定労働時間が増加して新たに社会保険に加入する場合や、事業所が従業員を新たに雇用した場合には、その従業員に新たな労働条件で報酬を支払った実績がないため、事業主は就業規則や労働契約などの内容に基づき、以下の「資格取得時の決定」の規定に則って加入者(被保険者)の報酬月額を届け出ることとなります。

 

<標準報酬月額の決定方法>

1.月、週その他一定期間によって報酬が定められる場合

被保険者の資格を取得した日現在の報酬額をその期間の総日数で除して得た額の30倍に相当する額

2.日、時間、出来高または請負によって報酬が定められる場合

被保険者の資格を取得した月の前1か月間にその事業所で、同様の業務に従事し、かつ同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額

3.上記1.または2.の方法では報酬の算定が困難である場合

被保険者の資格を取得した月の前1か月間に、その地方で、同様の業務に従事し、かつ同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額

4.上記1.から3.の複数に当たる報酬を受ける場合

各々の報酬について上記1.から3.によって算定した額の合算額

 

<標準報酬月額の適用期間>

決定された標準報酬月額は、被保険者の資格を取得した月からその年の8月までの各月に適用されます。

ただし、被保険者が6月1日から12月31日までの間に資格取得した場合は、資格取得した月から翌年の8月までの各月に適用されます。

 

<訂正が必要な場合>

事業主は、被保険者が資格を取得した日から5日以内に、被保険者資格取得届を日本年金機構(事務センター又は年金事務所)へ提出します。

提出した後で誤りが見つかった場合や、実際の報酬が見込みと大きく異なった場合には、届出の取消しと遡っての届出を同時に行う形で、修正を行うことになります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

具体的なことは、お近くの年金事務所でご確認いただけますが、尋ねにくかったり、どのように相談したらよいか迷ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.04.20.解決社労士

<セクハラは犯罪になることがある>

社内でセクハラを受けたなら、その行為は強制わいせつ罪にあたる可能性があります。〔刑法176条〕

わいせつ行為には、普通の人であれば嫌がるような行為すべてが含まれます。たとえば、相手が嫌がっているのにもかかわらず、服を脱がせたり、キスをしたり、身体に触る行為は、全てわいせつ行為にあたります。

社長が行為者であれば、自由な意思で同意しているとは認められにくい場合が多いでしょう。拒んだらクビにされると思い、仕方なく耐えている状態は、暗黙の脅迫がある状態ともいえます。

 

<行為者の民事責任>

被害者に対して不法行為責任を負います。〔民法709条〕

つまり、損害賠償責任を負うのです。

ここは、セクハラ行為者が社長でも他の従業員でも同じです。

 

<会社の民事責任>

会社も不法行為責任を負います。〔民法441項〕

まともに働ける環境を提供していないといえる場合なら、債務不履行責任も負います。〔民法415条〕

「社長=会社」ではありませんから、社長がセクハラを行った場合には、会社も社長も責任を負います。

 

<被害者が取るべき行動>

・セクハラ行為の記録や証拠を残す。

・同じ行為者からのセクハラ被害者がいれば協力する。

・労働相談情報センターなどに相談する。

社長がセクハラを行う人物である場合、その権限の強さから、被害者が複数である可能性は高いでしょう。一人では心細いですが、被害者が協力し合うことによって、解決しやすくなります。

また、セクハラの問題は、第一に社内で解決するのが原則です。しかし、セクハラの相談窓口や担当者は、被害者の味方に付いてくれないかもしれません。早めに社外の相談窓口に相談することをお勧めします。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

本気でセクハラ、パワハラ、マタハラなどを防止したい会社なら、相談窓口は社外の専門家に委託して、社内でもみ消されないようにするのではないでしょうか。

ハラスメントに限らず、働いている人たちの相談窓口として、信頼できる社労士をご検討ください。

 

2017.04.19.解決社労士

<死亡一時金の受給者>

国民年金には、日本国内に住む20歳以上60歳未満の人すべてが加入します。このうち自営業者や学生などの加入者を「国民年金第1号被保険者」といいます。

死亡一時金は、国民年金第1号被保険者の保険料納付済期間が36月以上ある人が死亡した時に遺族が受け取れます。

4分の1納付期間は4分の1に相当する期間、半額納付期間は2分の1に相当する期間、4分の3納付期間は4分の3に相当する月数で計算します。

死亡一時金を受け取ることができる遺族は、死亡した時に死亡した人と生計を同一にしていた人で、死亡した人の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹の順番で第一順位の人です。

 

<死亡一時金の額>

保険料納付月数

金 額

36月以上180月未満

120,000円

180月以上240月未満

145,000円

240月以上300月未満

170,000円

300月以上360月未満

220,000円

360月以上420月未満

270,000円

420月以上

320,000円

死亡した月の前月までに付加保険料納付済期間が36月以上ある場合には、上の表の金額に8,500円が加算されます。

 

<請求できない場合>

亡くなった人が、障害基礎年金または老齢基礎年金を受けていたとき、または、遺族基礎年金を受けられる人がいる場合には、死亡一時金を請求することはできません。

死亡一時金は、死亡日の翌日から2年を経過した場合には請求できなくなります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

死亡一時金の請求書類の提出先は住所地の市区町村役場の窓口になります。お近くの年金事務所または街角の年金相談センターでも手続きできます。

請求できるかどうかの確認は、年金事務所などで行います。

もし、ご自分で手続きできない場合や、迷うことがあれば、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.04.18.解決社労士

<処罰できる場合とできない場合>

意図的に仕事をしない場合なら、就業規則に故意に仕事の手抜きをした場合の懲戒規定を置いて、その事実を証明し、本人の言い分を聴くなど適正な手続きを踏んで懲戒処分をすることができます。

能力的に仕事ができない場合なら、適正な人事考課を通じて、その人の給与や賞与が調整されますから、きちんと仕事をしている人との間で不公平の問題は生じません。そもそも能力不足に対する懲戒処分は意味が無いのです。反省して心を入れ替えても、できないことはできないのですから。むしろ、会社が教育研修に力を入れる必要があります。

しかし実際には、わざと仕事をしないのか、それとも能力不足でできないのかは見分けがつきません。

 

<貢献度が基準なら>

「能力による評価」と言っても、真の能力は目に見えません。どれほど手を抜いているのかはわからないのです。

100の能力を持った人が、手を抜いて50の能力しか発揮していない場合と、50の能力しか無い人が死に物狂いで50の能力を発揮した場合とでは、会社に対する貢献度は同じです。

ですから、発揮された能力を会社に対する貢献と考えて、どちらも同じ評価をすることは不合理ではありません。

 

<姿勢を加味するなら>

しかし、死に物狂いの姿は他の社員に良い影響をもたらすと考えれば、50の能力しか無い人の方を高く評価することにも十分な理由があります。

反対に、会社の外でも十分な能力を身に着ける努力を続けていたものと考えれば、100の能力を持った人を高く評価するのも不当ではありません。

 

<結論として>

能力、会社に対する貢献度、仕事に対する取組姿勢など、多面的な評価基準を含んだ適正な人事考課と、その前提となる教育研修を行えば、仕事をきちんとしない社員を懲戒処分の対象とする必要は無くなります。

会社の実情に応じて具体的にどうすれば良いのかは、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.04.17.解決社労士

<寡婦年金(かふねんきん)の受給者>

国民年金には、日本国内に住む20歳以上60歳未満の人すべてが加入します。このうち自営業者や学生などの加入者を「国民年金第1号被保険者」といいます。

寡婦年金は、国民年金第1号被保険者の保険料納付済期間と保険料免除期間が合わせて25年以上ある夫が死亡したときに、夫によって生計を維持され、かつ、夫との夫婦関係(事実婚を含む)が10年以上継続している妻が、60歳から65歳になるまで受け取ることができます。

 

<年金額>

夫の死亡日前日までの第1号被保険者期間だけで計算した老齢基礎年金額の4分の3です。

この第1号被保険者期間には、任意加入被保険者期間を含みます。

 

<請求できない場合>

亡くなった夫が、障害基礎年金の受給権者であった場合、老齢基礎年金を受けたことがある場合は支給されません。

妻が繰り上げ支給の老齢基礎年金を受けている場合は支給されません。

 

<他の年金と選択になる場合>

妻が他の年金を受け取っている場合は、その年金との選択になります。

寡婦年金と死亡一時金の両方の受給条件を満たしているときは、どちらか片方の選択になります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

寡婦年金の請求書類の提出先は住所地の市区町村役場の窓口になります。お近くの年金事務所または街角の年金相談センターでも手続きできます。

請求できるかどうかの確認は、年金事務所などで行います。

もし、ご自分で手続きできない場合や、迷うことがあれば、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.04.16.解決社労士

<出勤日や勤務時間を決めておかないやり方>

出勤日や勤務時間は、雇い入れにあたって雇い主が労働者に明示しておくべき労働条件の一つです。

しかし、月や週ごとに、話し合いで出勤日や勤務時間を決めることも違法ではありません。

実際、シフトを組んで勤務予定を立てている場合、基準となる出勤日数が決まっていないことがあります。

さらに、労働者が主体となって、自分の都合に合わせで出勤日を決めるというのも、何ら法令違反にはなりません。

ただ、これではヒマなときに多くの人がシフトに入り、忙しいときに人手が足りないという不合理が発生してしまいます。

 

<せめて出勤日数が決まっていれば>

話し合いで出勤日数の基準が決められていれば、少なくともその日数分は、シフトに入らなければ、契約違反になります。

もし、雇い主側の都合でシフトに入れる日数が少ないのであれば、法律上は、労働者から足りない日数分の給与を、損害として賠償請求できる場合があります。

しかも、嫌がらせや差別でシフトに入れなかったのであれば、精神的損害に対する賠償を請求できることもあります。

 

<休業手当の支払いが必要となる場合>

労働基準法は、もともとの出勤日に会社側の責任で出勤させられなくなったら、平均賃金の60%以上の休業手当を支払うことを義務付けています。

会社側の判断で回避できる可能性があったのに、休業せざるを得なくなったときは、会社に責任があるとされています。

たとえば、経営不振で操業を減らす、資材や取引先の都合で操業できない、お客が少ないため営業を中止するという理由で休業することは、経営上の判断が招いた結果ですから、休業手当を支払う必要があります。

しかし、会社の判断では回避できない理由、たとえば天災や地震により操業が不可能になった、会社の行動とは関係ない理由で法令等に基づき休業を命じられたなどの理由による休業については、会社に責任はないとされています。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

以上のことから、出勤日や勤務時間を決めておかなければ、会社が負わなくて済む責任もあるといえます。しかし、効率の良い人員配置は出来なくなってしまいます。

どのように労働条件を決めるのが効率的か、迷ったら信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.04.15.解決社労士

<労働契約法による規制>

「使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。」〔労働契約法15条〕

 

<抽象的な基準>

会社が従業員に対して懲戒処分を通告しても、客観的に合理的な理由を欠いている場合や、社会通念上相当であると認められない場合には、無効になってしまいます。

「客観的に合理的な理由」は、社内で協議してOKとなれば良いのではありません。懲戒処分の対象者が、処分の合理性を否定できないような客観的な理由の存在が必要です。そして、その基準は多くの労働裁判や労働審判などに示されています。

「社会通念上相当」というのは、世間一般の人から見て「それだけのことをすれば、こうした懲戒処分もやむを得ない」と言えることをいいます。社内の懲戒権者による主観的な判断は基準になりません。

 

<懲戒処分が無効なら>

懲戒処分が無効になると大変です。

まず、会社は懲戒処分をしてしまった対象者に対して、損害の賠償をします。懲戒処分によって失われた経済的利益の他に、慰謝料の支払いも必要です。

もし、諭旨解雇や懲戒解雇が無効になったなら、ご本人が希望する限り、暖かく元の職場に迎え入れることになります。

会社は悪者扱いした対象者に頭を下げ、不利益をすべて取り除かなければなりません。これはかなり屈辱的なことになってしまいます。

 

<無効な懲戒処分を避けるには>

懲戒処分の対象となる事件が発生したら、信頼できる社労士にご相談ください。

最初から訴訟になりそうな大きな事件であれば、弁護士に依頼するのが普通でしょう。しかし、そこまでの事件でなければ、弁護士と同じく守秘義務を負い、労働法や判例などの事例に精通した社労士が適任だと思います。

間違った懲戒処分をしないことは、懲戒処分の対象となるような事件の発生防止以上に必要なことです。もし、会社にとって不都合な事件が発生したら、なるべく早く社労士にご相談されることをお勧めします。

 

2017.04.14.解決社労士

<就業規則の届出義務>

パートやアルバイトなどを含め、常時10人以上の労働者を使用する使用者は、就業規則を作成して、所轄の労働基準監督署に届け出る義務を負っています。〔労働基準法89条〕

ですから、従業員が9人以下の会社では、就業規則を作らなくても労働基準法違反にはなりません。

しかし就業規則が無いと、経営者は余計な苦労を背負い込んでしまいます。

 

<就業規則の内容>

就業規則には、次の3つの内容が織り込まれています。

・労働条件の共通部分

・職場の規律

・法令に定められた労働者の権利・義務

どの規定が3つのうちのどれにあてはまるのか、一見しただけではわかりません。また、一つの条文に複数の内容が含まれていることもあります。

 

<労働条件の共通部分>

労働条件は、原則として書面により労働者に示されなければなりません。〔労働基準法15条1項〕

一部のブラック企業を除き、法定の項目が記載された「労働条件通知書」などが労働者に交付されています。名称は、「雇用契約書」「雇い入れ通知書」などいろいろなものがあります。

就業規則が無い会社では、「詳細は、就業規則○○条参照」という表示ができないので、きちんとした物を作れば、数十枚から百枚以上の分量になり、とても現実的ではありません。

 

<職場の規律>

就業規則が無い会社では、新人に職場の規律を説明し、また、朝礼やミーティングで「こうして欲しい」「こういうことは禁止します」という内容を、説明することになります。

こうした具体的な説明が無ければ、ひとり一人の従業員が、自己判断で良かれと思う行動をとりますから、組織的には働けません。せっかく複数の従業員がいるのに、その力を結集できないのです。

また、自己判断で行ったことについて注意を受けても、その根拠が文書化されていないと、なかなか納得してもらえません。不満がふくらんで、退職にもつながります。

 

<法令に定められた労働者の権利・義務>

会社は労働者に対して、法令に定められた労働者の権利や義務さらには各種制度について、重要なものを周知する義務を負っています。

これらについては、就業規則の内容に盛り込んでおけば、就業規則の周知によって、会社の義務を果たしたことになります。

しかし、就業規則の無い会社では、法令や法改正の内容について、その都度、個別に説明が必要になります。これは時間と労力の無駄です。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

それぞれの会社の実情に適合した就業規則の作成と改善は、社労士の最も得意とするところです。

きちんと会社の利益を確保し、会社が成長できる就業規則をお考えでしたら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.04.13.解決社労士

<更新の有無を伝える必要がある場合>

有期労働契約であれば、契約期間満了により雇用が終了するのが原則です。

ですから、もともと更新が無い契約であれば、あえて更新が無いことを伝える必要はありません。反対に、必ず更新がある契約でも、これを伝える必要はありません。

問題は、更新の「可能性」があるという契約にした場合です。この場合には、なるべく早く更新の有無を決定して、そのアルバイトに伝えるのが望ましいわけです。

それでも、契約を更新する場合であれば、契約期間満了の直前に契約更新を伝えても大きな問題にはなりません。しかし、契約の更新を打ち切る場合には、これを「雇い止め」と呼び、一定の場合には、その予告が義務づけられています。

 

<雇い止めの予告>

雇い止めの予告が義務となるのは、次のような場合です。

・労働契約を3回以上更新している場合

・1年を超えて継続勤務している場合

・1年を超える労働契約の場合

これらの場合に事業主は、少なくとも期間満了の30日前までに、雇い止めの予告をしなければなりません。

 

<理由の明示>

雇い止めの予告をしたのに対応して、対象者から雇い止めの理由について証明書を請求された場合には、遅滞なく交付しなければなりません。退職後に請求された場合でも、事業主には交付義務がありますが、あくまでも請求があった場合のみの義務となります。

雇い止めの理由の例としては、次のものが挙げられます。

・前回の契約更新時に本契約を更新しないことが明確に合意されていたため

・契約締結当初に定めた契約更新回数の上限に達したため

・閉店など事業縮小のため

・業務を遂行する能力が十分ではないと会社が判断したため

雇い止めの理由は、わかりやすく事実に沿った理由を示す必要があります。誤解を生じる表現だと、これが元で訴訟に発展することもあります。退職後は特にそうですが、「雇い止め理由書」を郵送して終わりにするのは危険です。せめて電話で、できれば面談で説明したいものです。

 

<トラブルを防止するには>

雇い止めというのは、本当にトラブルを発生しやすいものです。決まりきったルールを守るだけではなく、プラスアルファのトラブル防止策をお勧めします。

まず、雇い止めの予告にあたってのトラブルを防ぐには、最初の採用のときと、契約更新のときに、次の契約更新の条件を具体的に示しておくことが必要です。対象者から反論されたり、疑問を出されたりするような条件では、具体性に欠けるということになります。

また、雇い止めの理由を示したことによって、新たなトラブルを発生させないようにするには、その理由が客観的に合理的なものであって、世間一般の常識からしても「やむをえない」といえるものであることが必要です。その基準は、労働法や裁判例を参考にすれば明らかになるものです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

もし社内に専門の担当者がいないなど、不安な状況があるのであれば、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。それぞれの会社と業務内容に応じた対策をとることによって、リスクを大幅に軽減し、経費を削減することができます。

 

2017.04.12.解決社労士

<若者雇用促進法>

少子化にともない労働力の不足が深刻化しています。

こうした中で、若者が経験を積みながら職業能力を向上させ、働きがいを持って仕事に取り組める社会を築くことは、政府の推進する全員参加型社会の実現を図り、国全体の生産性の向上を図るうえで、重要な課題となっています。

若者雇用促進法は、若者の適切な職業選択の支援に関する措置、職業能力の開発・向上に関する措置等を総合的に規定した法律です。

 

<青少年の募集・採用で心がけること>

・青少年が適切に職業選択を行い、安定的に働くことができるように、労働条件などの明示などに関する事項を遵守することが必要です。

法定された労働条件の明示は、すべての年代に必要ですが、特に若年者については文書の交付だけでなく、口頭による追加説明が必要でしょう。

・固定残業代を採用する場合は、その仕組みについて、納得のいく説明が必要です。

・採用内定者については、採用内定取消の条件を予め文書などで明示しておき、やむを得ず採用内定取消を行う場合には、その理由を具体的に明らかにする他、誠意ある対応が求められます。

・新卒採用を行う場合には、既卒者についても、卒業後少なくとも3年間は応募できるなどの措置を講じるよう努めなければなりません。

 

<青少年の職場への定着促進のために心がけること>

事業主は、青少年の職場への定着を図り、その能力を有効に発揮することができるようにするため、研修や職業訓練などを通じて、青少年の仕事に対する能力を高めるための措置を講じるように努めなければなりません。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

固定残業代の制度は、違法な運用が多いため、悪者扱いされることがあります。しかし、正しく運用すれば、従業員にとっても会社にとっても都合の良い仕組みです。

また、研修や職業訓練は、日常業務にプラスアルファで行うものですから、人手不足の中、社内のメンバーで実施することは困難になっています。

こうしたことについては、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.04.11.解決社労士

<行政運営方針>

東京労働局が「平成29年度 東京労働局行政運営方針」を策定しました。(平成29年4月3日発表)

東京労働局の今年度の最重点課題として、次の2つが掲げられています。

・「働き方改革」の推進などを通じた労働環境の整備・生産性の向上

・「全員参加の社会」の実現加速

2つ目は、安倍政権の一億総活躍プランが反映されたものです。

 

<労働環境の整備・生産性の向上>

この最重点課題を達成するための取組として、次の4つが掲げられています。

・長時間労働の是正による良質な労働環境の確保

長時間労働の抑制・過重労働解消に向けた取組、ワーク・ライフ・バランスの推進等

・非正規雇用労働者の待遇改善等

― 非正規雇用労働者の正社員転換・同一労働同一賃金の実現に向けた待遇改善の推進、最低賃金の周知・履行確保等

・人材確保対策の推進や労働生産性の向上等による労働環境の整備

― 労働者のキャリア形成に係る支援策の普及促進、全産業の労働生産性の向上等

・労働者が安心して健康に働くことができる職場づくり

労働条件確保、労働災害防止対策、メンタルヘルス・健康確保対策、労災補償の迅速・適正処理

 

<会社として特に気をつけること>

東京都内の労働基準監督署が、長時間労働、最低賃金、労働基準、労災隠しについて、監督という名の調査・指導を強化することは明らかになったわけです。

・長時間労働の是正 ― 月間法定労働時間を80時間以上上回って勤務する従業員がいれば是正が求められるでしょう。具体的には、毎月の勤務時間が254時間を超えないことが求められます。

・最低賃金の順守 ― この数年、東京都の最低賃金は10月の最初に引き上げられています。今の時点で最低賃金を上回っていても、10月に再度確認が必要です。定額(固定)残業代のある会社や、試用期間の賃金を低く設定する会社は、特に注意が必要です。

・労働基準法の順守 ― 法改正が行われていますので、数年にわたって就業規則変更届が労働基準監督署に提出されていない会社には、監督が入りやすいことになります。

・労災隠しの禁止 ― 労災隠しは犯罪ですが、具体的には「労働者死傷病報告(休業4日以上)」を労働基準監督署に提出しないことをもって、違法な労災隠しとされています。特に建設業では、提出漏れが多いため監督が入りやすいでしょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

長時間労働の是正と最低賃金の順守は、取締役など経営者を除く従業員全員の適正な労働時間把握がベースとなっています。

経営者ではない役職者を、管理監督者扱いにして残業代を支払わず、労働時間の管理もしていない会社は、大規模な是正を求められることになるでしょう。

会社の意図するところを適法に実施するためにも、労災手続きを速やかにするためにも、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.04.10.解決社労士

<パワハラの大前提>

パワハラは、力関係に基づく嫌がらせです。

年齢、経験年数、能力、地位、権限、人気などのパワーを持った人が、自分から見てある側面で「劣る」と思える相手に対して、主に指導の名目で嫌がらせをします。

多少不快感や損害を与えたとしても、指導に伴うものはある程度仕方がないという勘違いがあります。

パワハラの大前提として、同じ職場の従業員間で発生するものと想定されています。

 

<拡大して考えると>

しかし子会社の従業員が、親会社の従業員から、力関係を背景とする嫌がらせを受けるということもありがちです。

これも広い意味でのパワハラにあたるのではないでしょうか。

この場合の被害者は、自分の上司に相談することになります。そして社長にまで話が伝わり、社長が親会社に被害の申告と改善の要求をするという流れになります。しかし、これは建前であって、実際には親会社と子会社の力関係から、上司や社長が動いてくれないことも多いでしょう。

もし、親会社の方にパワハラの相談窓口があって信頼できるのであれば、そこに相談するのも良いと思います。

 

<取引先の従業員からの嫌がらせ>

取引先の従業員から嫌がらせを受けた場合には、パワハラの本来の定義からは外れると思われます。

この場合の被害者は、自分の上司に相談することになります。そして社長にまで話が伝わり、社長が取引先に被害の申告と改善の要求をするという流れになります。しかし、これは建前であって、実際には会社と取引先の力関係から、上司や社長が動いてくれないことも多いでしょう。

 

<相談窓口>

被害を受けたら、上司に報告と相談が正しい行動です。しかし、会社が対応してくれないのなら、社外に助けを求めることになります。

労働基準監督署などには、総合労働相談コーナーが設置されています。まずは電話で相談してみてはいかがでしょうか。

 

2017.04.09.解決社労士

<疑問点>

同じ会社なのに、昇給のある社員と昇給の無い社員がいても、労働基準法違反にはならないのでしょうか。

 

<労働基準法の規定>

労働基準法には、均等待遇の規定があります。

「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」〔労働基準法3条〕

また、男女同一賃金の原則についての規定もあります。

「使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない」〔労働基準法4条〕

これらは、憲法の保障する平等権〔日本国憲法141項〕の趣旨を踏まえた規定で、男女雇用機会均等法をはじめ、多くの労働法にその趣旨が反映されています。

 

<平等と公平>

複数の人々の間に共通する要素があって、その共通する要素に着目して、同じ扱いをすることにより、妥当な結果をもたらそうとするのが、平等の考え方です。

しかし、同じ会社の社員だという理由で、全員が同じ額の給与と賞与では納得できない人が出てきます。会社のために頑張ろうという社員も、ほとんどいなくなってしまいます。これでは、会社が続かないでしょう。

会社の中では、役割に応じて給与の額が設定されたり、貢献度に応じて賞与が支給されたりします。ここには、平等の原理が働きません。公平の原理が働きます。

複数の人々の間に相違する要素があって、その違いに着目し、違いに応じた扱いをすることにより、妥当な結果をもたらそうとするのが、公平の考え方です。

労働基準法の中にも、年少者を保護する規定や、産前産後の女性を保護する規定などがあり、これらは公平の原理に基づくものです。

 

<結論として>

同じ会社で、全く同じ仕事をしているのに、一部の社員だけが昇給無しでは、平等権の侵害となり、労働基準法違反の恐れがあります。「昇給は男性のみ」あるいは「外国人に昇給は無し」という扱いは、明らかに労働基準法違反です。

しかし、きちんとした人事考課が行われ、各社員の成長に応じた昇給を実施している会社でも、たとえば「モデルルーム公開中」の看板を持って国道沿いの歩道に椅子を置き座っている仕事だけをするアルバイトは、昇給が無くても不平等や不公平の問題を生じないでしょう。なぜなら、熟練や生産性の向上ということがほとんど想定しがたいからです。

ですから同じ会社の中に、昇給のある社員と昇給の無い社員がいても、客観的に合理的な理由があり、不平等や不公平の問題が無いのであれば、法的に見ても問題は無いといえます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

実際の労働紛争では、会社が主観的に問題無しと判断したことに対して、退職者などから違法性や不当性を指摘されることが多いのです。

「この条文はこのようにも解釈できる」「今回は例外」のように、会社に都合のよい解釈をして満足するというミスを犯すのです。

本当に大丈夫なものか怪しいときは、信頼できる社労士にご相談ください。外部の第三者である専門家から見たら、驚くほど多くの問題点が見えるものです。

 

2017.04.08.解決社労士

<覚書の効力>

新規採用のフリーターが、社会保険の加入基準を満たしているにもかかわらず、社会保険は親の扶養に入っていたいから、手取りが減るのは嫌だからといった理由で、加入を拒むことがあります。

こんなとき、「社会保険の未加入を希望します。御社にご迷惑をお掛けしません」という誓約書や覚書は効力がありません。

 

<ベニスの商人>

シェイクスピアのベニスの商人では、主人公が悪名高い金貸しに金を借りに行き、「指定された日付までに借りた金を返すことが出来なければ、身体の肉1ポンドを与えなければいけない」という契約書を交わします。

ところが主人公は借金を返せないので、金貸しは主人公を裁判に訴え、主人公の身体の肉1ポンドを要求します。

裁判では「肉は切り取っても良いが、契約書にない血を1滴でも流せば、契約違反として全財産を没収する」とされたという話です。

社会保険の加入基準を満たしているのに加入しない、加入させないというのは違法です。違法な内容について、誓約書や覚書を作っても無効です。

そもそも加入基準を含め、社会保険についてのルールは国が定めていますから、国との間で合意するのではなく、会社と従業員とで勝手に合意することは無意味なのです。

 

<かつて流行った悪行>

10年余り前のことですが、次のような困ったことがフリーターの間に、クチコミで広まりました。

会社に採用されたフリーターが、社会保険への加入を拒みます。「加入するなら退職する」とまで言われ、会社はやむなくこれに応じます。

1~2年後、フリーターは退職を申し出て、退職後に社会保険事務所(現在の年金事務所)に給与明細書などを持って行き、「こんなに働いているのに社会保険に入っていませんでした」と申し出ます。

会社に指導が入りますから、やむなくさかのぼっての加入手続きをします。保険料の支払い義務は第一に会社が負っていますから、会社が保険料を支払って、この退職したフリーターに本人負担分を請求しますが、もちろん無視されます。

こうして、このフリーターは保険料を支払わずに社会保険に加入できるのです。

 

<ではどうするか>

社会保険に加入するか、それとも、社会保険の加入基準を下回る勤務日数、勤務時間の労働契約で働くか、二つに一つだということです。

人手不足なので悩ましいですが、うっかり応募者の口車に乗って、やってはいけないことに同意してしまうと、後から会社に損失をもたらしかねないのです。

 

2017.04.07.解決社労士

<法改正への対応>

可決されるずっと前から、法案は公表されています。施行されてから対応したのでは、ライバル会社に水を開けられてしまいます。

また、施行日がだいぶ先であっても油断はできません。法改正に対応するために、長い期間が必要であることを示唆している場合もあります。

法改正に対して、どの時点で、どこまで対応が必要かは、会社によっても違います。無駄を省いて効率よく対応するには、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

なお、今回の改正に限定した場合、ブラック企業やブラック求人を出す企業を除けば、対応が必要なのは平成29101日施行の育児休業再延長への対応だけでしょう。

 

<平成2941日施行>

・リーマンショック時に創設した暫定措置を終了する一方で、雇用情勢が悪い地域に居住する者の給付日数を60日延長する暫定措置を5年間実施する。また、災害により離職した者の給付日数を原則60日(最大120日)延長できることとする。

・雇止めされた有期雇用労働者の所定給付日数を倒産・解雇等並みにする暫定措置を5年間実施する。

・倒産・解雇等により離職した3045歳未満の者の所定給付日数を引き上げる。(3035歳未満:90日→120日、3545歳未満:90日→150日)

・保険料率及び国庫負担率について、3年間(平成2931年度)、時限的に引き下げる。(保険料率0.8%→0.6% 国庫負担率(基本手当の場合) 13.75%(本来負担すべき額(1/4)55%)→2.5%(同10%))

・ハローワークでも、職業紹介事業者に関する情報を提供する。(以前はハローワークにおける新卒者向け求人のみ)

 

<平成2981日施行>

・基本手当(いわゆる失業手当)等の算定に用いる賃金日額について、直近の賃金分布等を基に、上・下限額等の引上げを行う。

 

<平成2910月1日施行>

・原則1歳までである育児休業を6か月延長しても保育所に入れない場合等に限り、更に6か月(2歳まで)の再延長を可能にする。これに合わせ、育児休業給付の支給期間を延長する。

 

<平成30年1月1日施行>

・専門実践教育訓練給付の給付率を、費用の最大70%に引き上げる。(最大60%→70%)

・移転費の支給対象に、職業紹介事業者(ハローワークとの連携に適さないものは除く。)等の紹介により就職する者を追加する。

・求人者について、虚偽の求人申込みを罰則の対象とする。また、勧告(従わない場合は公表)など指導監督の規定を整備する。

・募集情報等提供事業(求人情報サイト、求人情報誌等)について、募集情報の適正化等のために講ずべき措置を指針(大臣告示)で定めることとするとともに、指導監督の規定を整備する。

・求人者・募集者について、採用時の条件があらかじめ示した条件と異なる場合等に、その内容を求職者に明示することを義務付ける。

 

<公布から3年以内>

・ハローワークや職業紹介事業者等の全ての求人を対象に、一定の労働関係法令違反を繰り返す求人者等の求人を受理しないことを可能とする。

 

2017.04.06.解決社労士

<2年連続の引き下げ>

雇用保険の財政状況などを踏まえて、雇用保険料率が引き下げられました。

【平成29年度の雇用保険料率】

 

雇用保険料率

事業主負担

労働者負担

一般の事業

0.9%

0.6%

0.3%

(平成28年度)

1.1%

0.7%

0.4%

(平成27年度)

1.35%

0.85%

0.5%

農林水産・清酒製造の事業

1.1%

0.7%

0.4%

(平成28年度)

1.3%

0.8%

0.5%

(平成27年度)

1.55%

0.95%

0.6%

建設の事業

1.2%

0.8%

0.4%

(平成28年度)

1.4%

0.9%

0.5%

(平成27年度)

1.65%

1.05%

0.6%

保険料率が引き下げられたと言っても、労働者が給与から天引きされる保険料は、総支給額10万円につき100円の差ですから、ピンと来ないかもしれません。

ところで、いつも雇用情勢が回復すると保険料率が引き下げられ、その後、雇用情勢が悪化すると充分な給付ができなくなっているように思われます。状況の良い時に資金をプールしておいて、失業者が増えたときに使えると安心ですね。

 

<給与明細書で確認を>

4月分の雇用保険料は、通常5月に支給される給与から控除されます。

保険料は、定額ではなくて、総支給額に応じて定率で計算されます。

総支給額が20万円の場合、平成27年度は1,000円、平成28年度は800円、平成29年度は600円が給与から控除されています。

給与計算業務を外部に委託している場合、社労士(社会保険労務士)なら安心ですが、法改正に鈍感な委託先だと、料率の引き下げが反映されていない恐れがあります。

 

<経理・財務部門への影響>

給与計算部門だけでなく、会社の予算を管理している部門へも、料率変更の情報が伝わらないと困ります。

雇用保険料は、事業主負担分も変更されていますから、予算の中の法定福利費も変更する必要があるのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

労災保険料率や雇用保険料率が変更になった場合、7月に労働基準監督署に提出する労働保険料の年度更新は、特に注意が必要です。

念のため、信頼できる社労士にチェックさせることをお勧めします。

 

2017.04.05.解決社労士

<疑問点>

退職の翌月に、会社から保険料の本人負担分の請求が来ることもあり、来ないこともあります。どのように場合分けされているのでしょうか。

 

<保険料徴収の仕組み>

社会保険料は、本人負担分を給与から控除し、会社がこれに会社負担分を足して納付します。直接の納付義務は会社にあります。

そして、保険料の納付期限は翌月末です。4月分の保険料の納付期限は5月末です。

 

<退職と保険料の発生>

退職者は原則として、退職日の翌日に社会保険の資格を失います。そして、資格喪失日の前日が属する月までの社会保険料を負担します。

ですから、月末に退職した場合には、その月の保険料を負担します。しかし、月末以外の日に退職した場合には、前月までの保険料を負担します。

4月30日に退職の場合には、4月分の保険料を負担するのですが、4月12日に退職の場合には負担しません。

 

<給与から控除される保険料>

たとえば、給与が毎月20日締め切り、当月25日支払いだとすると、4月に支給される給与から控除される保険料は、通常の場合3月分です。もし、4月末退職だとすると、5月に支給される給与から、4月分の保険料が控除されます。5月に支給される給与は、4月21日から4月30日までの給与ですから、月給の3分の1程度でしょう。

またたとえば、給与が毎月25日締め切り、当月末日支払いだとすると、4月に支給される給与から控除される保険料は、やはり通常の場合3月分です。もし、4月末退職だとすると、5月に支給される給与から、4月分の保険料を控除したいところですが、5月に支給される給与は、4月26日から4月30日までの給与ですから、月給の6分の1程度でしょう。この少ない給与から、住民税や所得税などと共に社会保険料を控除するのは、ちょっと無理かもしれません。ですから、別途退職者に請求する場合があるのです。

退職日が予めわかっている場合には、最後の給与から2か月分の保険料を控除することもあるのですが、急な解雇の場合などには間に合いませんから、退職後の請求になりやすいのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

具体的なケースについて迷ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

また、急な解雇は不当解雇であることが多いものです。この点についても、迷ったら信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.04.04.解決社労士

<労働基準法を守っていたらつぶれる会社>

ビューティークリニックの女性経営者が、労働基準法を順守していたら会社がつぶれるというような発言をして、マスコミを騒がせました。もう2年以上も前のことです。

法律は国会で審議・可決され成立するのですが、法律案の段階で多くの専門家が関わりますので、順守できないような法律が施行されることは稀です。たとえ施行されたとしても、改正案が準備され、実態に合わせて改正されていきます。

特に労働基準法などの労働法で、会社の負担が過大になるような規定ができてしまうと、会社の経営が苦しくなり、結局、労働者の処遇が低下したり、整理解雇が必要になったりして、労働者の保護にはなりません。労働者の保護を目的とする労働法は、このバランスに配慮して作られています。

ですから、労働基準法を守るとつぶれてしまうような会社というのは、経営者が本業以外に気を取られているとか、社会のニーズに対応していないとか、今の時代には合っていないとか、根本的な問題を抱えているのでしょう。

労働基準法の中でも、労働時間や休日についての基本的な規定は、過重労働による過労死を防ぐのに役立ちます。以下の規定が守られていない会社では、守れない原因の原因、そのまた原因を突き止めて、一つひとつ解消する努力が求められます。

 

<法定労働時間>

形式的な労働時間とは、始業時刻から終業時刻までの時間から休憩時間を除いた時間をいいます。

実質的な労働時間は、労働者が使用者の指揮監督の下にある時間をいい、必ずしも実際に作業に従事していることは必要ありません。何もしていなくてもその場を離れることができない手待ち時間は労働時間となります。この実質的な労働時間は、客観的に決まるものですから、就業規則などにより違うルールにすることはできません。

 労働時間の長さは、週40時間以内、18時間以内に制限されています。〔労働基準法32条〕

 

<法定休日>

休日とは、労働契約で労働義務がないとされている日のことをいいます。

使用者は労働者に、毎週少なくとも1回、あるいは4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。〔労働基準法35条〕

カレンダーで色の違う日付が休日というわけではありません。就業規則などにより、職場ごとに決められます。

1日のうちの一部でも仕事をさせれば、たとえ30分位の短時間であったとしても、その日は休日を与えたことにはなりません。

 

<法定時間外労働・法定休日労働>

法定労働時間を超えて労働者を働かせる場合や、法定休日に働かせる場合には、あらかじめ労働者の過半数代表者(過半数の労働者で組織される労働組合がある場合にはその労働組合)との間に、「時間外労働・休日労働に関する協定」を締結し、労働基準監督署長に届け出なければなりません。〔労働基準法36条〕

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

「そうは言っても、うちの会社には特別な事情があって、こんな規定は守れない」という会社があれば、ブラック企業の汚名を着せられないうちに、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.04.03.解決社労士

個人差の大きな試験です。参考になりそうなところだけ参考にしてください。

 

<目的意識>

なぜ受験するのか、なぜ合格したいのか、合格したらどうしたいのか、目的意識が薄れていると、勉強の効率が上がりません。

あれが嫌、これも嫌の消去法で受験を決意したのでは、勉強が手につかないでしょう。

 

<参考書より問題集>

勉強がかなり進まないと問題集に手を出さないものですが、過去の問題を中心に勉強している人は、実力のつくスピードがすごいです。

参考書の理解を目指しているのではなく、本番の試験で高得点を取ることを目指しているのですから、早い段階で問題集に取り組むべきです。

 

<問題集の使い方>

自分なりの答えが出るまで粘るのは時間の無駄です。

私は中学、高校と数学が得意でした。問題集を解くときは、30秒ほど考えて解き方がわからなければ、解答と解説を読んで覚えました。5分かかって答えにたどり着かなければあきらめました。

数学が不得意な人は、1問を解くのに長時間かけすぎていたと思います。

ましてやこの試験では知識がものを言いますから、悩んでも仕方が無い問題が多いのです。少し考えて正解を出せなければ、解答と解説を読んで覚えましょう。

 

<結局最後は丸暗記>

基本書を読むときは、最初の5~6回は理解することを心がけると良いです。記憶は薄れていきますが、理解は薄れにくいです。

次の3~4回は、記憶することを心がけたいです。どんなに理解しようと思っても、理屈に合わない部分が多いのがこの試験の特徴です。

最後の1~2回は、語呂合わせでも何でもいいですから、すべて覚えるつもりで臨みましょう。

 

<勉強時間の確保>

このように、やるべきことは多いです。

勉強時間の確保が最重要課題です。早朝だったり、休日にまとめてだったり、細切れ時間の有効活用だったり、自分の個性に合わせて確保するしかないです。

週40時間の勉強を1年続けたら合格ラインだと思います。しかし、週20時間の勉強を2年続けても、同じ水準には達しません。なぜなら、法改正やデータの変化により、記憶の混乱が生じてくるからです。

 

<独学は苦しい>

資格取得のための学校に通って仲間ができるとモチベーションを維持できます。精神的に楽だと思います。

また、ネット授業やビデオ授業でも、そこそこの効果が期待できます。

このページ右側の「お勧めします」の中の「いいだ先生メール相談」をクリックすると、飯田弘和先生のブログに飛びます。この先生は、行政書士試験も社労士試験も独学で合格しています。しかし、こういう方は、年に数人しかいないそうです。特別に優れた方を除き、独学で合格を目指すことはお勧めできません。

 

<あきらめないこと>

私が受験した年は、試験当日、途中で帰った人が多かったのが印象的でした。選択式の健保だけが難しくて、足切り点が1点でしたからあきらめたのでしょう。泣いている人もいましたし、参考書に殴り書きをしている人もいました。結果的には、合格率の高い年でしたから、合格発表のデータを見て、途中で帰って失敗だったと思った人は多かったようです。

 

<健康管理>

8月下旬は、風邪を引きやすい時期ではないと思うのですが、試験会場に行くと風邪引きが半分以上でしょうか。試験当日に風邪を引いていないというだけで、かなり合格が近づきます。

やはり健康管理は大事です。

 

2017.04.02.解決社労士

<マクロ経済スライドとは>

年金の給付水準は、賃金や物価により変動します。しかし、あまりに大きな変動は給付額が不安定になり好ましくありません。マクロ経済スライドは、賃金や物価の改定率を調整して、緩やかに年金の給付水準を調整する仕組みです。

これによって、保険料等の収入と年金給付等の支出の均衡が保たれるようになりますし、子や孫など将来の現役世代の負担が過重なものとならないよう保険料の負担水準を定めることになります。

 

<具体的な仕組み>

賃金や物価による改定率から、加入者(被保険者)の減少と平均余命の伸びに応じて算出した「スライド調整率」を差し引くことによって、年金の給付水準を調整します。

そして、賃金や物価がある程度上昇する場合にはそのまま適用しますが、賃金や物価の伸びが小さく、適用すると年金額が下がってしまう場合には、年金額の改定は行われません。

さらに、賃金や物価の伸びがマイナスの場合は調整を行わず、賃金や物価の下落分のみ年金額を下げることになります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

年金額に変更があった場合、その原因がわからないこともあります。

お近くの年金事務所などで確認すれば良いのですが、時間が無かったり、一度説明を受けたけれども良くわからなかったりした場合には、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.04.01.解決社労士

<厚生年金の対象者>

国民年金に上乗せされた保障を受けることができる厚生年金の制度は、いわゆる勤め人を対象としています。

したがって、学生や自営業者は国民年金のみに加入することになります。

 

<厚生年金の加入条件>

厚生年金の加入条件(資格取得要件)は健康保険と同じです。以下の条件を満たした人は、自動的に加入(資格取得)します。そして、会社は加入手続きをとる義務があります。労働者が加入を拒んだ場合でも、会社はこの義務を免除されません。

まず、1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数が正社員の4分の3以上であれば、パート、アルバイト、派遣社員、契約社員などの雇用形態にかかわらず加入することになります。

また、501人以上の加入者(被保険者)がいる企業では、1週間の所定労働時間が20時間以上であり、月収8万8000円(年間106万円)以上となったときに加入することになります。

しかし、従業員5人以下の個人事業所で働く場合や、契約期間が2か月以下で更新しなかった場合など、一定の場合に加入できないこともあります。

なお、1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数は、会社が労働者に書面で明示する義務を負っています。ですから、予め決めておく必要があります。

 

<受けられる年金の種類>

厚生年金に一定の期間加入していることにより、つぎの年金を受けられます。

・老齢厚生年金(原則として65歳から)

・障害厚生年金(病気、事故によって障害が残った場合)

・遺族厚生年金(加入者が死亡したときに、扶養していた妻、18歳未満の子、一定範囲の親族に支給される)

これらは、支払った保険料に応じて支給されます。

また、国民年金は全国民に共通の基礎年金が支払われ、厚生年金は基礎年金に上乗せして年金が支払われる制度です。この制度により支払われる、老齢基礎年金と老齢厚生年金、障害基礎年金と障害厚生年金、遺族基礎年金と遺族厚生年金は、同じ事由で支払われるため、1つの年金とみなされ併せて受けることができます。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

国民年金や厚生年金の加入期間、保険料の納付状況、将来年金を受ける可能性については、お近くの年金事務所などで確認することができます。

お時間が無くてご自分で確認できない場合や、一度相談に行ってみてわかりにくかったときには、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.03.31.解決社労士

<冷静に考えれば>

会社の物品が壊れたのに、すぐに報告せず遅れて報告したら、責任を問われ半額弁償するよう迫られたという相談がありました。

かなりメチャクチャな話であることは明らかです。

理論的に反論するなら、報告が遅れたことと会社の物品が壊れたこととの間に因果関係が無いので、物品の修理費用や新品の購入代金を基準に責任を負わされるのは不合理だということになります。報告が遅れたから物品が壊れたわけではないのに、壊れたことに対して責任を負うのはおかしいのです。

 

<営業上の損害が発生する場合>

パン屋さんやピザ屋さんで、閉店間際にパンを焼くオーブンやピザを焼く窯(かま)が壊れたとします。このときすぐ会社に報告して、修理の手配や代品の手配ができるようにしなかったため、翌日、臨時休業になったとします。会社の損害は、その店舗の1日分の売上に基づく利益ということになります。

もし、会社に損害を加えようとして、わざと報告しなかったのであれば、不法行為としてこの損害を基準とする賠償を求められることもありえます。〔民法709条〕

しかし、この場合でも、修理費用が賠償額の基準になるわけではありません。

また、その場にいる従業員だけで、何とか修理しようとして翌朝まで頑張ってしまい、会社に報告することなど思いもよらなかったというケースなら、故意はありません。過失にしてはひどすぎますが、会社側の教育不足も原因だと考えられます。就業規則の懲戒規定に従い、合理的な範囲内で懲戒処分を受けることになるでしょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

こんなとき報告を受ける側としては、ついカッとなってしまいます。クビにしようか、全額弁償させようかと、極端な思考に走りがちです、一呼吸おいて信頼できる社労士にご相談いただけたらと思います。

 

2017.03.30.解決社労士

<定額(固定・みなし)残業代とは?>

1か月の残業代を定額で支給するものです。

基本給に含めて支給する方式と、基本給とは別に定額残業手当として支給する方式があります。

労働基準監督署では正しい運用を指導しています。しかし、正しい運用が難しいことから、ハローワークでは求人票に載せることを嫌います。

 

<ブラック運用1

対象となる従業員に計算根拠の説明が無い。あるいは、就業規則に具体的な規定が無い。これはブラックな運用です。

残業代の計算方法がわからなければ、給与を支給されたときに、誤っていてもわかりません。対象者全員に理解させることが必要です。

 

<ブラック運用2

残業時間が少ないと、定額残業代が減額される。これはブラックな運用です。

基準時間を下回る時間しか残業が発生しない月も、定額の残業代は減額せずに支給します。「定額」残業代と言うことばから当然のことです。

定額残業代は、全く残業しなくても支給される最低保証額なのです。

 

<ブラック運用3

残業時間がどんなに多くても、残業代は増えず、定額残業代だけが支給される。これはブラックな運用です。

基準時間を上回る時間の残業が発生した月は、定額の残業代を上回る部分の残業代を給与に加えて支給します。賞与でまとめてということはできません。

そもそも定額残業代の基準時間が無いという悪質なものもあります。

 

<ブラック運用4

定額残業代に、深夜労働や法定休日労働の割増賃金を含めている。これは、多くの場合ブラックな運用です。

深夜労働や法定休日労働の分も定額にすることは、理論的には可能です。しかし、それぞれの基準時間と金額を明らかにする必要があって、計算や運用が難しくなりますし、人件費が割高になるのであまり使われません。

 

<ブラック運用5

1時間あたりの基本賃金が、最低賃金法の基準を下回っている。これはブラックな運用です。

最低賃金は、年々上昇していますので、いつの間にか違法になってしまうケースもあります。給与の設定が春だと、最低賃金の変更が秋なので、この時点で違法になることも多いのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

定額残業代(固定残業代・みなし残業代)を使うなら、適法に運用しなければなりません。それだけではなく、適法に運用するとかえって人件費が割高になるという場合には、給与制度や人事制度を見直す必要があります。

それぞれの職場に合った制度をお考えでしたら、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.03.29.解決社労士

<年次有給休暇は労働者の権利> ※以下、年次有給休暇を年休と表示します。

年休は、労働基準法に定められた労働者の権利です。〔労働基準法391項〕

週1日の勤務でも、法定の年休を取得する権利があります。〔労働基準法393項〕

会社が法定以上の年休を与えるのはかまいませんが、一時的にせよ法定の基準を下回ることはできません。〔労働基準法12項〕

こうして与えられた年休を、退職時にまとめて取得するのも労働者の権利です。〔労働基準法395項本文〕

会社は、一定の条件のもとで、年休の取得日を変更できるのですが、退職日よりも後の日に変更することはできません。〔労働基準法395項但し書き〕

 

<権利の濫用ではないのか>

会社は、労働者から退職の申し出があるとともに、何日もの年休取得を言われると、業務の引継ぎについて懸念が生じます。そもそも、引継ぎの相手となる人材がいなければ、新たに採用する必要も出てきます。

退職希望者から、何日もの年休取得を言われた場合、会社はそれを権利の濫用として拒否できるのでしょうか。客観的に見て、会社が対応不可能なのに、労働者が権利を主張してくるのは、権利濫用と言わざるを得ません。

しかし、会社は日常の業務についても、労働者にマニュアルの作成と改善を指示することができます。これを元に、複数の労働者が業務を共有したり、計画的な人事異動を行ったりということも、会社の指揮命令によって行うことができます。つまり、客観的に見て、会社が対応不可能とは言えません。

少し厳しい話ですが、労働基準法が労働者に年休取得の権利を認めている以上、会社は様々な事態を想定して、予め対応しておく必要があります。法律が、それを会社に求めているのです。

 

<就業規則による対処>

就業規則によって、会社に発生する不都合を減少させることもできます。たとえば、次のような規定を設けてはどうでしょうか。

・退職にあたっては、後任者に対し、従来の任務を遂行するのに必要なマニュアルの引継ぎを完了し、上長の確認を受けなければなりません。

・自己都合により退職する人は、退職予定日が決定次第、その理由を申し出て、少なくとも14日前に「退職願」を提出しなければなりません。

・最終出勤日は、退職の理由や引継ぎの内容を考慮して、退職する人と会社とで協議のうえ決定します。

また、懲戒処分の対象に、「正当な理由なく、退職にあたって引継ぎを放棄し、あるいは、引継ぎに必要な出勤を拒んだとき」を加えておくことも考えたいです。退職金減額の理由とすることも可能です。

 

<礼儀として>

十分な引継ぎもできないほどの突発的な退職というのは、労働者が急死するなどの例外的な場合にしか発生しません。

退職する人は、きちんと引継ぎを済ませたうえで、円満退社すべきです。世間は狭いもので、知り合いの知り合いを通じて、悪いうわさが流れたりするものです。ネット上に、あることないこと書かれることもありえます。

会社も、きちんと引継ぎが済むように、年休の一部を買い上げて引継ぎに必要な日数は出勤してもらえるように、丁寧に頼むなど礼儀を尽くすことが必要です。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

急に誰かが退職を申し出ても困らない体制づくりは必要です。具体的に何をどうすべきか、迷ったら信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.03.28.解決社労士

<業務災害とは>

労働者の業務上の負傷、疾病、障害、死亡を業務災害といいます。

「業務災害」として認定されるためには、業務に内在する危険有害性が現実化したと認められること(業務起因性)が必要で、その前提として、労働者が使用者の支配下にある状態(業務遂行性)にあると認められなければなりません。

 

<これも業務遂行性が認められる>

厳密には業務といえない行為であっても、労働者が使用者の支配下にある状態だといえるので、業務遂行性が認められる行為として次のものがあります。

・事業主の私用を手伝うなどの作業中

・生理的行為(用便、飲水等)による作業中断中

・作業に関連または附随する行為、作業の準備、後始末、待機中

・火災等緊急事態に際しての緊急行為中

・事業施設内での休憩中でその事業施設に欠陥があった場合

・出張中(住居と出張先の往復を含む)

 

<業務災害の特殊ケース>

次のような災害も、過去に業務災害として認められています。

・上司の指示により、無届欠勤者の事情を調査するため、通常より約30分早く自宅を出発し、自転車で欠勤者宅に向かう途中で電車にはねられ死亡した〔昭和24年12月15日基収第3001号通達〕

・勤務時間中に、作業に必要な私物の眼鏡を自宅に忘れた労働者が、上司の了解を得て、家族が届けてくれた眼鏡を工場の門まで自転車で受け取りに行く途中で運転を誤り負傷した〔昭和32年7月20日基収第3615号通達〕

・小型パイプが事業場の資材置場に乱雑に荷下しされていたため、それを整理していた際、材料が小型のため付近の草むらに投げ込まれていないかと草むらに探しに入ったところ、その草むらの中にいた毒蛇に足をかまれて負傷した〔昭和27年9月6日基災収第3026号通達〕

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

業務災害にあたらないものを、勘違いして労災保険の手続きをしても、病院や労働基準監督署でストップがかかります。それでも、健康保険の手続きに切り替えたり、被災者やご家族に説明して、お叱りを受けたりという負担は発生します。

恐いのは、業務災害として労災保険の補償が受けられるのに、業務災害ではないと勘違いして手続きを進めないことです。この場合には、時効により権利が失われる前でも、遅れたことにより手続きを進めるのが困難なこともあります。

迷ったら、所轄労働基準監督署の労災課に確認すれば良いのですが、少し聞きづらいと感じたら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.03.27.解決社労士

<通勤災害とは>

労働者の通勤による負傷、疾病、障害、死亡をいいます。ここで「通勤」とは、労働者が就業に関し合理的な経路および方法により移動、往復することをいい、業務の性質を有するものを除きます。

 

<これも「通勤」の一種>

転勤に伴い、やむを得ない事情により配偶者、子、要介護状態にある父母・親族等と別居することとなった場合に、帰省先への移動に反復性や継続性が認められれば、単身赴任先と帰省先との間の移動が通勤と認められうるとされます。〔平成18年3月31日基発0331042号通達〕

 

<「みちくさ」の例外>

通勤経路の途中で、通勤とは関係ない目的で、合理的な経路をそれた場合や、通勤とは関係のない行為を行った場合は、その時点で通勤とは認められなくなるのが原則です。

しかし、日常生活上必要な行為で厚生労働省令に定められているものである場合は、「みちくさ」をしても元の経路に戻った後からは、通勤災害として認められうるとされます。

「日常生活上必要な行為で厚生労働省令に定められているもの」とは、次の行為です。

・日用品の購入その他これに準ずる行為

・職業訓練、学校教育法1条に規定する学校で行われる教育その他これらに準ずる教育訓練であって職業能力の開発向上に資するものを受ける行為

・選挙権の行使その他これに準ずる行為

・病院または診療所で診察や治療を受けることその他これに準ずる行為

・要介護状態にある配偶者、子、父母、配偶者の父母、要介護状態にあり同居し扶養している孫、祖父母、兄弟姉妹の介護(継続的にまたは反復して行われるものに限る)

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

通勤災害にあたらないものを、勘違いして労災保険の手続きをしても、病院や労働基準監督署でストップがかかります。それでも、健康保険の手続きに切り替えたり、被災者やご家族に説明して、お叱りを受けたりという負担は発生します。

恐いのは、通勤災害として労災保険の補償が受けられるのに、通勤災害ではないと勘違いして手続きを進めないことです。この場合には、時効により権利が失われる前でも、遅れたことにより手続きを進めるのが困難なこともあります。

迷ったら、所轄労働基準監督署の労災課に確認すれば良いのですが、少し聞きづらいと感じたら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.03.26.解決社労士

<空欄のある労働条件通知書の有効性>

労働条件通知書は、使用者から労働者に対して主要な労働条件を書面で通知するための書類です。そして、労働条件は労働契約の中心的な内容となっています。

労働契約は、使用者と労働者との口頭による合意で成立しますので、書面に不備があっても労働契約の効力には影響しません。〔民法623条〕

たとえ労働契約書や労働条件通知書が無くても、労働契約は有効に成立するのです。

 

<書面による通知義務のある法定事項>

しかし労働契約の成否とは別に、労働者を保護するため、労働条件のうち次の法定事項は、使用者から労働者に書面で通知する必要があります。

1. 労働契約の期間

2. 就業の場所、従事する業務の内容

3. 始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項

4. 賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締切り・支払いの時期に関する事項

5. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

さらに、パートタイマー(短時間労働者)については、パートタイム労働法により、昇給・退職手当・賞与の有無について、文書の交付等による労働条件明示が必要です。

 

<口頭で通知すれば良い事項>

1. 昇給に関する事項

2. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払いの方法、支払いの時期に関する事項

3. 臨時に支払われる賃金、賞与などに関する事項

4. 労働者に負担される食費、作業用品その他に関する事項

5. 安全・衛生に関する事項

6. 職業訓練に関する事項

7. 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項

8. 表彰、制裁に関する事項

9. 休職に関する事項

つまり、これらの事項は労働条件通知書に漏れていても大丈夫です。ただし、パートタイマー(短時間労働者)については、1.3.の事項がパートタイム労働法により、文書の交付等による労働条件明示が必要な事項とされています。

 

<空欄があることによるトラブル>

労働条件通知書は、使用者の労働者に対する一方的な通知書ですから、1部だけ作成して労働者に交付すれば良い書面です。この点が、労働契約書とは違うところです。

しかし、もし空欄があった場合、交付を受けた労働者が勝手に空欄を補充するとこれがトラブルの元になります。ですから、使用者もコピーを1部保存するのが良いでしょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

就業規則が無い会社では、就業規則の代わりに労働条件通知書にかなり詳細な内容を記載する必要があります。

決まっていないからと言って空欄のままにしておくことは、法定の要件を満たしていなかったり、トラブルの火種となったりします。

そうは言っても、決め方がわからないなど迷うことがあれば、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.03.25.解決社労士

<不満分子に見えますが>

問題社員なら、就業規則の抜け道や不合理な部分を見つけても、これを会社に言わないでしょう。むしろ悪用するチャンスをうかがうハズです。

就業規則を批判する社員は、会社の成長を願う真面目な社員だと受け取った方が良いでしょう。

 

<批判の対象>

就業規則には、労働法の概要、労働契約の共通部分、社内ルールの3つが含まれます。ですから批判も、労働法に対する批判、労働契約に対する批判、社内ルールに対する批判に分類できます。

 

<労働法に対する批判>

法律を作るのは国会です。ですから、会社に対する批判とはなりません。

ただ、こうした批判が出るということは、社員教育が不十分かもしれません。会社は労働基準法について、周知義務を負っています。〔労働基準法1061項〕

少なくとも、労働法の内容は会社の方針で決めたものではなく、批判されても対応できないということは理解してもらいましょう。

 

<労働契約に対する批判>

この部分で批判が出るということは、労働契約の内容に法令違反があるかもしれません。批判の内容を良く聴いて、就業規則に法令違反が無いか専門家にチェックさせることをお勧めします。労働法は、しばしば改正されていますから、労働契約の内容がいつの間にか違法になっていることもあるのです。

 

<社内ルールに対する批判>

もし、規定されている通りに実践されていないという批判なら、頼もしいことです。その批判をした社員を含めたメンバーで、実践を推進すべきでしょう。

そうではなくて、規定の中身が悪いという批判であれば、これは経営者の考えが強く反映されている部分に対する批判ですから少し警戒したいところです。

一番多いのは、時代遅れであるとの指摘でしょう。しかし、古くても良いことはたくさんあり、新しくてもダメなこともあります。ライバル会社を中心に業界全体の動向を把握し、また他業界や世界の動きも見据えて、在るべき姿を再考するチャンスです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

法的観点や業界動向を踏まえて、就業規則の適法性、妥当性を確認するのも、労働法の基本についてレクチャーするのも、社労士の得意分野です。社内でまかない切れない部分については、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください

 

2017.03.24.解決社労士

<就業規則変更の手順>

就業規則変更の正しい手順は、

1.法改正や社内ルールなどの変更により就業規則変更の必要が発生

2.担当部署や社労士(社会保険労務士)が変更案を作成

3.社内での決裁

4.従業員への周知

5.労働者の意見書作成

6.労働基準監督署への変更届提出

という順番になります。

5.の意見書には、労働組合や労働者の過半数を代表する者の、就業規則変更についての意見を記入します。変更後の就業規則が社内に周知され、多くの労働者の反応を把握してから意見書を書くようにしなければ、労働者を代表する立場で書くのは難しいでしょう。ですから、上記の順番が正しいわけです。

 

<手順がおかしいと>

ところが実際には、5.意見書 → 6.届出 → 4.周知 の順番になってしまうことも多いようです。就業規則が効力を発生するのは、従業員への周知の時なのですが、労働基準監督署への届出の時だという勘違いがあるのでしょう。

社内の一部の人や社労士が就業規則の変更案を作り、これが従業員一般に公開されないまま決定されて労働基準監督署に届出が行われるというのは良くないです。「就業規則が変わりました。労働基準監督署にも届出済です。守ってください」では、唐突すぎて会社に対する不信感が生まれてしまいます。

たとえ従業員に有利な変更だったとしても、だまし討ちのように思われてしまいます。やはり、正しい手順で行うことは大切です。

 

<一歩進んで>

就業規則の変更案を作る段階で、その変更により最も影響を受ける従業員から意見を聴き、それを参考にしたらどうでしょうか。

意見の内容はバラバラでしょうから、すべての意見を聞き入れることはできません。それどころか会社の都合で、変更案に意見が全く反映されないこともあるでしょう。それでも、一応、意見を聴いておけば、思わぬ勘違いを防げますし、より良い変更案のヒントが得られるかもしれません。なにより、会社が従業員の意見を聴いたうえで、就業規則の変更を進めるというのは、民主的で良いことです。

このように、一手間加えることで、会社の態度を示すことができますし、従業員の皆さんも就業規則に関心を持ち、守ろうとする気持が高まることでしょう。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

就業規則が従業員に理解され守られるようにするのは、手間がかかることです。勤務先の店内でふざけた写真を撮りネットに掲示することが、就業規則の中の「会社の信用を傷付け・・・」にあたるとは思わない若者が多いのです。

新人が入ってきたら、就業規則について基本的なことは説明しなければなりません。初めて役職者になった従業員に対しては、一段高いレベルの教育も必要です。理想を言えば、毎年のように定期的な説明会を開きたいところです。

もし、社内でまかない切れない部分があれば、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.03.23.解決社労士

<朝礼の時間の賃金支払義務>

朝礼は、業務上必要な連絡事項の伝達、心身の異常の有無の確認、勤務に就く態勢を整えさせるなどのために行われています。

業務に密接に関わる内容を含みますので、通常は出勤者全員の参加が義務付けられています。

確立した判例理論によると、労働時間の定義は「何らかの形で使用者の指揮命令下に置かれているものと評価される時間」です。通常の場合、朝礼はこの定義に当てはまりますので、賃金支払の対象となります。

例外的に、その朝礼が自由参加であって、参加しなくても評価の低下などの不利益が全く無いのなら、労働時間の定義に当てはまりませんから賃金の支払いは不要です。

 

<掃除当番の時間の賃金支払義務>

掃除当番は、会社が通常の業務にプラスアルファで行わせているのが一般的な形です。これは、上記の労働時間の定義に当てはまりますので、賃金支払の対象となります。

例外的に、従業員同志が話し合って、自主的に当番を決めてボランティアで行っている場合には、労働時間の定義に当てはまりませんから賃金の支払いは不要です。

たとえば、長年にわたり社長が毎朝早く出社してトイレ掃除をしていたとします。あるとき、一人の社員の提案で、社長に代わり自分たちで掃除することになって、掃除当番が始まったとします。これが、社長に対する尊敬の念とボランティア精神から始まったことであれば、賃金の支払いは不要なのです。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

「昔から朝礼や掃除当番の時間については無給です」というのは、その時間の賃金を支払わなくて良い理由にはなりません。

長く続いているルールが、労働法違反の慣行に過ぎないということもあるのです。

社内で行われている何となくのルールに疑問を感じたら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.03.22.解決社労士

<生理休暇取得の権利>

「使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない」と規定され、これに違反すると30万円以下の罰金という罰則もあります。〔労働基準法68条、120条1号〕

つまり、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を取るのは権利であり、使用者に当たる人がこれを妨げるような発言をすれば、それは違法であるということになります。

ここで「使用者」には、個人事業なら事業主、会社なら会社そのもの、代表者、取締役、理事、人事部長、労務課長などが含まれます。〔労働基準法10条〕

 

<パワハラにあたる場合>

パワハラは、力関係に基づく嫌がらせです。

年齢、経験年数、能力、地位、権限、人気などのパワーを持った人が、自分から見てある側面で「劣る」と思える相手に対して、主に指導の名目で嫌がらせをします。

多少不快感や損害を与えたとしても、指導に伴うものはある程度仕方がないという勘違いがあります。

しかし、生理日の就業が著しく困難な従業員が生理休暇を取得した時に、「仕事を優先しろ」「使えない」などの発言をすることは、明らかにパワハラです。

 

<セクハラにもあたる場合>

セクハラは、性的なことについての嫌がらせです。

職場に限らず、性的なことに対する興味が特に強い人がいます。こうした人が、「いたずら」「からかい」のつもりで「嫌がらせ」をするとセクハラになるのですが、本人は道徳に反しないと思っているので、反省することなく繰り返します。

「生理の周期がおかしい」「今月は無いのか」「その歳で?」という発言はセクハラになります。

 

<ここも社労士(社会保険労務士)の出番>

生理休暇など労働者の権利についての知識習得は従業員任せにはできません。会社が教育研修を実施する義務を負っています。

また、パワハラ、セクハラ、マタハラについては教育だけでなく、就業規則などにその定義を明らかにし、懲戒処分の対象とすることも必要です。

これらのことは、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.03.21.解決社労士

<社労士の業務>

社労士は採用から退職までのヒトに関するエキスパートです。「採用後から」ではなくて、「採用から」なので、社労士の業務には採用活動の代行も含まれます。

 

<社長による採用活動>

大切なことは、求人広告会社や人材紹介会社に頼りすぎないことです。必要な人材が一発で採用できたら、売上は上がりません。本音では、いつまでも採用が決まらず、繰り返し利用してもらえたらラッキーなのです。社長自身が媒体への掲載について、あれこれ工夫しなければなりません。

この点、ハローワークの求人票を利用すれば、営業トークに振り回されません。ただ、個性的な提案は期待できませんから、やはり自分で考える必要があります。

 

<総務・人事担当者による採用活動>

社内に担当者を指定して採用活動を行わせれば社長は楽です。しかし、必要な人材が一発で採用できたら、その担当者の評価は上がりません。何度も求人広告を出して、多くの応募者の中から究極の選択をした方が、努力し苦労しているように見えます。

こうした理由で無駄な経費、時間、労力、精神力、人件費を発生させないためには、採用担当者の業務目標を設定し適正な評価をする必要があります。しかし、人事考課制度が確立していない会社では、難しい部分もあるでしょう。

 

<社労士による採用活動>

社労士は、お客様である会社のご要望により、例示した次のうちの1つだけでも、すべてでも行うことができます。

・会社の魅力、働くメリットなどを取材します。社内の人たちにとって当たり前になってしまっているポイントを上手く抽出します。

・どんな人材を求めるか、人材要件を確認します。決まっていない要素については、社内の関係者との打合せで確定します。

・職場の魅力と求める人物像がよくわかる求人広告を作成します。

・最適な求人媒体を選定しご提案します。

・媒体の営業担当者と折衝し、効率的・効果的なサービスを選定します。

・ハローワークについて利用登録や求人票の作成・提出を代行します。

・採用面接を代行し結果レポートを作成します。

 

<社労士に任せるメリット>

人手不足だから募集をかけるのに、採用活動に人手を取られるという矛盾が解消されます。

また、社労士の業務は採用したら終わりではなく、採用対象者の保険手続きや本人への説明、雇い入れ時健康診断の実施関連、教育・研修などもニーズに応じて行います。短期間での効率的な採用は、社労士の腕の見せ所ですから、採用活動を長引かせません。そんなことをしていては、仕事が回って来なくなります。

そして、何よりのメリットは適法性の確保です。求人広告の内容についても、面接での発言についても、その効果を保ちつつ違法とはならないようにしています。

採用活動や人事考課制度は、ぜひ、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2017.03.20.解決社労士