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<パワハラとは>

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係など「職場内での優位性」を背景に、「業務の適正な範囲」を超えて、精神的・身体的苦痛を与え、または、職場環境を悪化させる行為をいいます。これが厚生労働省による説明です。

ここで「同じ職場」というのは、1つの企業内ということではありません。取引先などを含めた複数の企業の従業員が「同じ職場」で働けば、そこにパワハラが発生しうるのです。

 

【厚生労働省によるパワハラの6類型】

身体的な攻撃

暴行、傷害、丸めた書類で頭を叩く

精神的な攻撃

脅迫、名誉毀損、侮辱、ひどい暴言

人間関係からの切り離し

隔離、仲間外れにする、無視

過大な要求

業務上不要なことや遂行不可能なことの強制、仕事の妨害

過小な要求

能力や経験とかけ離れた程度の低い仕事を命じる、仕事を与えない

個の侵害

私的なことに過度に立ち入る

 

<身体的な攻撃>

 殴ったり蹴ったりは暴行罪に当たります。物を投げつければ、当たらなくても暴行です。ケガをさせれば傷害罪です。刑法には、次のように規定されています。

 

【傷害罪】

第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 

【暴行罪】

第二百八条 暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

 

「そんなことまで暴行罪になるとは知らなかった」などと言ってみても、刑法は許してくれません。

 

【故意】

第三十八条 3 法律を知らなかったとしても、そのことによって、罪を犯す意思がなかったとすることはできない。

 

故意犯のことを、日常用語では「確信犯」などと言います。

法律用語の「確信犯」は、「道徳的、宗教的または政治的信念に基づき、本人が悪いことではないと確信して行う犯罪」をいいます。つまり、刑罰に触れる行為ではあるけれど、悪いことではないと考えて行うのです。

 

職場で身体的な攻撃を行うのは、怒りの感情を抑え切れなかったり、「この場合には正しい行為である」という確信を持ったりした場合でしょう。

前者については、アンガーマネジメントが必要です。職場では、叱ることはあっても、怒る必要はありません。この区別ができるように自己鍛錬が必要です。怒る人ほど、自分の失敗には甘いものです。

他人の身体を侵害しても許される場合として、刑法には、法令又は正当な業務による行為〔35条〕、正当防衛〔36条〕、緊急避難〔37条〕、心神喪失者の行為〔39条〕、14歳に満たない者の行為〔41条〕といった規定があります。しかし、職場でカッとなって暴行を加えるのは、どれにも当てはまりません。

 

<精神的な攻撃>

脅迫というのは、害悪の告知です。これも刑法に規定のある犯罪です。

 

【脅迫】

第二百二十二条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。

 

脅迫は、証拠が残ったり、証人がいたりすれば、警察沙汰になることもあります。

 

名誉毀損、侮辱、ひどい暴言というのも、人前で行えば刑法に規定される犯罪です。

 

【名誉毀損】

第二百三十条 公然と事実を摘示し、人の名誉を毀き 損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

 

【侮辱】

 第二百三十一条 事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

 

同僚や部下の目の前で、「使えない奴だ!」と叱責するのは侮辱罪に当たりますし、「取引先との商談を忘れるなんてふざけた奴だ!」と叱責するのは名誉毀損罪に当たります。この場合には、証人もいますから言い逃れはできません。

 

会議室などにこもって、必要以上に長時間にわたり繰り返し執拗に叱るのは、監禁罪〔刑法220条〕に該当する場合があります。

 

こうして見ると、パワハラ罪というものは無いのですが、警察に知れれば刑法上の罪に問われるパワハラ行為は多いことがわかります。

 

もちろん、犯罪にはならなくても、業務上必要も無いのに精神的な攻撃を行うことは、パワハラ行為とされ慰謝料を含めた損害賠償請求の対象となり得ますし、社内でも懲戒処分の対象とされることがあります。

 

<人間関係からの切り離し>

1人だけ別室に席を移す、強制的に自宅待機を命じる、送別会に出席させないなどの「村八分」もパワハラ行為です。

これは、犯罪とはならなくても、不法行為になりますから、慰謝料を含めた損害賠償請求の対象となり得ます。

 

【民法の規定】

(不法行為による損害賠償)

第七百九条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

(財産以外の損害の賠償)

第七百十条 他人の身体、自由若しくは名誉を侵害した場合又は他人の財産権を侵害した場合のいずれであるかを問わず、前条の規定により損害賠償の責任を負う者は、財産以外の損害に対しても、その賠償をしなければならない。

 

つまり、人間関係からの切り離しを行っても犯罪にはならないのですが、民事訴訟を提起されることはあるわけです。

 

<過大な要求、過小な要求>

やり方を教えることなく仕事をさせたり、何時間もかかる仕事で残業させ自分は帰ってしまうというのは、過大な要求になります。

運転手に営業所の草むしりだけを命じる、事務職に倉庫業務だけを命じるというのは、過小な要求になります。

これらも人の心を傷つける行為なので、必要の無いことはパワハラになります。

 

<個の侵害>

これは、プライバシーの侵害です。プライバシー権は、個人として尊重される権利であり、法律上保護される利益です。日本国憲法13条が根拠とされています。

社会保険や税法上の手続きで、家族の情報が必要な場合には、その必要の範囲内での取得が認められています。

しかし、適正な範囲を超えて、家族について具体的なことを尋ねたり、悪口を言ったりはプライバシーの侵害です。

交際相手について執拗に尋ねたり、休日の過ごし方を尋ねたりするのもプライバシーの侵害になりますし、内容によってはセクハラにもなります。

 

<パワハラの指摘を恐れるな>

以上のことから、次の条件を満たしている限り、業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛などは、萎縮せずに堂々と行うことが部下や後輩を育成するうえで大切です。

 

直接の相手や周囲の人々を個人として尊重しており、身体も心も傷つける恐れが無い。

 

その場の様子をビデオに収め、相手の家族や友人に見せても嫌な顔をされないなら、この条件は満たされているのではないでしょうか。

 

2018.12.15.解決社労士

<民法改正>

平成29(2017)526日に民法改正案が参議院を通過し、成立した改正民法は、62日に公布されました。これによって改正民法は、2020年41日に施行されることになります。

民法の改正は、労働関係には影響が無いように見えます。しかし、労働契約も契約の一種ですから、民法は労働契約に適用されます。

 

<無期契約労働者からの退職申し出>

民法627条の改正により、正社員など無期契約労働者からの退職申し出の効果に、次の変更が発生します。

期間により報酬を定めている場合、たとえば完全月給制で欠勤控除が無い場合などは、退職日についての規定があります。たとえば、完全月給制で末日締切り、翌月15日支払いの場合、月給の計算期間は1日から末日です。30日ある月に、1日から15日までの間に退職を申し出れば当月の月末で退職、16日から月末までの間であれば翌月末日で退職となります。これが法改正により、退職の申し出がいつであっても、その申し出から2週間で退職ということになります。

また、6か月以上の期間により報酬が定められた労働者については、3か月前までに退職の申し出が必要でした。ところが法改正により、2週間前でよいことになります。

 

<具体的な影響>

完全月給制の場合、退職申し出のタイミングにかかわらず、給与の締日に退職ということでした。

法改正により、退職日がバラバラになり、就業規則(給与規程)に欠勤控除について、明確な計算方法が無いと困ることになります。

業務の引継ぎについても、引継ぎ期間は最低でも2週間だったのが、原則として2週間になってしまいます。

 

<合意退職なら>

ここまで述べたことは、従業員が会社に対して一方的に退職の申出を押し通すような場面を想定しています。

 

現実には、お互いトラブルを避けるため、従業員から退職の申出があった場合には、会社側が従業員と話し合って退職の段取りを決めるのが一般的です。

 

これは、合意退職という形になりますから、民法の規定にこだわらず柔軟な対応を取ることが可能です。

 

しかし、会社では突然の退職にも対応できるよう、普段からマニュアルを利用した業務遂行と業務改善を当たり前にしておきたいところです。

また、退職時のルールや異動の場合を含めた引継ぎのルールも、具体的に定めて正しく運用することで、生産性の低下を防止したいところです。

具体的に何をすべきか迷ったら、信頼できる社労士にご相談ください。

 

2018.12.14.解決社労士

<健康保険の主な給付>

健康保険の主な給付には、次のようなものがあります。

給付の種類

給付される場合

療養費

就職直後で保険証がない等、やむを得ず全額自己負担で受診したときや、治療上の必要からコルセット等の治療用装具を装着したときなど

高額療養費

被保険者本人・被扶養者とも単独または、世帯合算で1ヵ月の窓口負担額が自己負担限度額を超えたとき

傷病手当金

被保険者が療養のために会社を休み、事業主から給料を受けられないとき

出産手当金

被保険者が出産のため会社を休み、事業主から給料を受けられないとき

出産育児一時金

被保険者(被扶養者)が出産したとき

埋葬料(費)

被保険者(被扶養者)が亡くなったとき

 

健康保険給付の申請期限>

健康保険給付を受ける権利は、受けることができるようになった日の翌日から2年で時効によって消滅します。

「翌日から」というのは、当日は24時間無いのが普通なのでカウントしないというルールによるものです(初日不算入)。〔民法140条〕

時効の期間を計算し始める第1日目(起算日)は以下のとおりです。

給付の種類

消滅時効の起算日

療養費

 療養に要した費用を支払った日の翌日

高額療養費

 診療月の翌月1日

(自己負担分を診療月の翌月以後に支払ったときは支払った日の翌日)

移送費

 移送に要した費用を支払った日の翌日

傷病手当金

 労務不能であった日ごとにその翌日

出産手当金

 出産のため労務に服さなかった日ごとにその翌日

出産育児一時金

 出産日の翌日

埋葬料(費)

 死亡した日の翌日

(ただし、埋葬費については埋葬を行った日の翌日)

 

<申請漏れをなくすために>

経営者や人事担当者が、保険給付の内容を良く知っておいて、何か給付の対象となる事実を把握したら、すみやかに対象者にご案内することが必要です。

これだけだと、給付対象となる事実を把握できないことによる申請漏れが発生します。

就業規則に規定しておくか、分かりやすいパンフレットを従業員に配布するなどして、申請漏れが発生しないようにしましょう。

会社も健康保険料を負担しているわけですから、申請しないのは勿体ないですし、会社に過失があれば、受けられたはずの給付額を賠償しなければなりません。

社内で対応できない場合には、社会保険労務士に委託することもできます。

 

2018.12.13.解決社労士

<会社が証明を必要とする場合>

雇用関係助成金の申請などのために、会社が特定の従業員の雇用契約について、期間の定めの無いものであることを証明する必要に迫られることがあります。

労働基準法により、従業員に対する労働条件の通知は会社に義務付けられていますから、これを怠っていたのなら、労働条件通知書や雇用契約書を作成することによって、証明書類とすることができます。

また、一定の範囲の従業員について労働条件が一律であれば、その共通部分について就業規則に規定しておくことにより、就業規則を証明書類とすることができます。

 

<退職したい従業員が証明を必要とする場合>

退職の申し出については、労働基準法ではなく民法の規定が適用されます。

 

【期間の定めのない雇用の解約の申入れ】

第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

 

【やむを得ない事由による雇用の解除】

第六百二十八条 当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。

 

つまり、期間の定めの無い雇用契約であれば、いつでも退職の申し出ができるのに対し、期間の定めがあると、「やむを得ない事由」が無ければ期間の終了前に退職の申し出ができません。

従業員が、自分自身の雇用契約について期限の有無がわからないというのは、労働条件通知書の交付を受けていないか紛失して忘れているかのどちらかでしょうから、使用者に確認するしかありません。

 

退職の申出は、従業員側から契約を解約する旨の意思表示であり、会社の承認までは必要ないのですが、退職には一定のルールがあり、就業規則などに従った手続をとる必要があります。

就業規則が無い場合には、上記の民法の規定に従うことになります。

 

もっとも、これらのことは、従業員が会社に対して一方的に退職の申出を押し通すような場面を想定しています。

現実には、お互いトラブルを避けるため、従業員から退職の申出があった場合には、会社側が従業員と話し合って退職の段取りを決めるのが一般的です。

これは、合意退職という形になりますから、民法の規定にこだわらず柔軟な対応を取ることが可能です。

この場合には、期間の定めの有無についての証明が要らないことになります。

 

<解雇を通告される従業員が証明を必要とする場合>

会社から解雇を通告された、あるいは、通告されそうだという場合に、期間の定めの無い雇用契約であることを証明できれば、解雇されにくくなるような気もします。

しかし、当初から契約終了日が決まっていて、契約の更新が無いことも明示されていたような場合を除けば、解雇は簡単に有効となるものではありません。

労働契約法には、次の規定があります。

 

【解雇】

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

この条文を素直に読めば、解雇の通告さえすれば解雇が有効になるのが原則ということになります。例外として、客観的に合理的な理由を欠いているか、社会通念上相当であると認められない場合に限り、雇い主側の権利の濫用となって解雇が無効になるものと読めます。

ところが、訴訟ともなると、労働基準法など労働関係の法令の趣旨に反して合理的ではないとか、裁判所の認定した世間の常識とは違うとか、様々な理由によって解雇の通告が無効とされることは多いのです。

ですから、期間の定めの無い雇用契約であることを証明できないと解雇が有効になってしまうというわけではないのです。

期間の定めの無い雇用契約であることの証明に力を注ぐのではなく、具体的な事実を整理して専門家に相談することをお勧めします。

 

2018.12.12.解決社労士

<欠勤控除>

遅刻・早退・欠勤によって労働時間が減少した分だけ、給与を減らすことをいいます。

時間給であれば、労働時間分の賃金を計算しますから、欠勤控除は問題となりません。主に月給制の場合に問題となります。

また、「完全月給制」のように欠勤控除をしない場合には問題となりません。

 

<法律の規定>

労働基準法その他の法令に規定はありません。

しかし一般に、労働者の労務の提供が無い場合には、使用者は賃金を支払う義務が無く、労働者も賃金を請求できないという「ノーワーク・ノーペイの原則」が認められています。

これは、労働契約が「働きますから賃金を支払ってください」「賃金を支払いますから働いてください」という労使の合意によって成立していることから当然に導かれます。

欠勤控除をすることは違法ではないのですが、計算方法について就業規則等に明記しておく必要はあります。

 

<「時間給」の計算>

欠勤控除を考える場合、まず「時間給」を計算します。

1日当たりの所定労働時間に、1か月平均の所定労働日数をかけて、1か月の所定労働時間を計算します。

月給を、1か月の所定労働時間で割った金額が、「時間給」となります。

所定労働日数や所定労働時間が決まっていなければ、こうした計算はできないことになります。

しかし、労働条件を書面で通知することは使用者の義務ですから、決まっていないということは想定外になります。

 

<減額方式>

月給から欠勤時間分の賃金を控除する計算方法です。

これは欠勤控除の考え方を、そのまま計算方法に反映させているので、多くの会社で用いられています。

しかし、31日ある月など、その月の勤務シフト上の労働日数が所定労働日数を超える場合、1か月すべて欠勤すると給与がマイナスになるという不都合が生じます。

このとき、対象者からマイナス分の給与を支払ってもらったり、翌月の給与から天引きしている会社もあるようですが、明らかに不合理でしょう。

 

<加算方式>

出勤した分の賃金を時間給で計算する方法です。

これなら給与がマイナスになることはありません。

しかし、28日しかない月など、その月の勤務シフト上の労働日数が所定労働日数を下回る場合、支給額が大幅に減ってしまいます。減額方式よりも明らかに不利になります。

 

<併用方式>

たとえば、減額方式と加算方式の両方で計算して多い金額の方で給与を支給するなど、2つの方式を併用することによって欠点を解消することができます。

 

2018.12.11.解決社労士

<出勤簿の重要性>

会計検査院がハローワークを通じて会社の調査に入る場合には、この出勤簿の提出を求めてきます。

それだけ出勤簿は重要視されているということです。

 

<出勤簿の体裁>

たしかに出勤簿を使用している会社も数多くあります。

その内容は、出勤日、公休日、休暇、欠勤など1日単位で区分して記入し、1か月単位で集計したものがほとんどです。

これは、給与計算や年次有給休暇管理の補助簿として用いられています。

ところがハローワークに持参すると「これは出勤簿ではない」と言われてしまいます。

 

<法定帳簿としての出勤簿>

ハローワークの想定する出勤簿は、出勤日の始業時刻と終業時刻が明示されていて、1か月の勤務時間が集計されたものです。

パソコンやタイムカードなどで勤務時間を管理している会社であれば、それが出勤簿の代わりになりますから、別に作る必要はありません。

出勤簿を本当に必要とするのは、出勤簿によって勤怠管理をしている一部の会社だけということになります。

 

2018.12.10.解決社労士

<衛生委員会の設置義務>

事業者は業種を問わず、常時50人以上の労働者を使用する事業場ごとに、衛生委員会を設置する義務を負っています。

これを規定するのが、労働安全衛生法の次の条文です。

 

【衛生委員会】

第十八条 事業者は、政令で定める規模の事業場ごとに、次の事項を調査審議させ、事業者に対し意見を述べさせるため、衛生委員会を設けなければならない。

一 労働者の健康障害を防止するための基本となるべき対策に関すること。

二 労働者の健康の保持増進を図るための基本となるべき対策に関すること。

三 労働災害の原因及び再発防止対策で、衛生に係るものに関すること。

四 前三号に掲げるもののほか、労働者の健康障害の防止及び健康の保持増進に関する重要事項

 

事業場ごとですから、会社全体ではなく事務所や店舗ごとに設置します。

労働者が50人を上回ったり下回ったりの場合には、給与計算の締日ごとに集計して、過去1年間の7か月以上で50人以上なら「常時50人以上」と考えるのが行政解釈です。

 

<委員会のメンバー>

その事業場の責任者、衛生管理者、産業医、その事業場の労働者で労働衛生に関する経験を有する者で構成されます。

衛生管理者は試験に合格しなければなれませんし、産業医は医師に限定されますので、事業場の労働者数が50人に近づいたら、前もって準備しておくことが必要です。

 

<衛生委員会の役割>

毎月1回以上委員会を開催して、労働者の健康障害防止対策、労働者の健康保持増進対策、労働災害の原因と再発防止などについて、労働衛生の面から調査・審議し、重要なものについては議事録を作成して、その内容を社内に周知します。委員会の内容で「重要なもの」だけ議事録に残せば良いのですが、定期健康診断の結果についての話し合いは、これに含まれるというのが行政解釈です。

議事録は3年間の保管義務があります。ここは労働基準監督署のチェックポイントになりますから重要です。

せっかく毎月衛生委員会を開催していても、議事録を作成して保管しておかなければ、労働基準監督署には伝わりません。

形式を整えておくことも大事ですから、忘れないようにしましょう。

 

2018.12.09.解決社労士

<保険料控除の趣旨>

保険料控除は、所得控除の1つです。

支払った保険料に応じて、一定の金額が保険料負担者のその年の所得から差し引かれる制度です。

税率を掛ける前の所得が低くなることにより所得税、住民税の負担が軽減されます。

私たちに何か事故があって、本来であれば国が救済にあたるべき場合でも、私たちが自主的に保険に入っていれば、万一のときに国の負担が軽減されるため、その分、税金を優遇しようという趣旨です。

 

<会社での手続き>

従業員が控除対象となる生命保険、地震保険、社会保険に加入している場合、会社に「給与所得者の保険料控除申告書」を提出してその内容を伝えます。

平成29年度分まで使われた「保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」が、「給与所得者の保険料控除申告書」と「給与所得者の配偶者控除等申告書」に分割されました。

生命保険料控除の欄には、一般の生命保険料の他、介護医療保険料や個人年金保険料が含まれます。

地震保険料控除には、旧長期損害保険料控除に関する経過措置を含みます。

社会保険料は、主に扶養家族の国民年金保険料と国民健康保険料です。

保険料控除には、原則として控除証明書の添付が必要です。

たとえば、生命保険料控除証明書は10月中旬から11月頃にかけて、保険会社から従業員の自宅に送られてきます。あらかじめ従業員に告知しておくことも必要でしょう。

 

2018.12.08.解決社労士

<自転車通勤>

就業規則で自転車通勤を認めている会社は多いですし、自転車通勤に対して通勤手当を支給している会社もあります。さらに、就業規則に規定は無いものの、自転車通勤を黙認している会社もあります。

特に都市部では、満員電車を避け運動不足の解消にもなるので、自転車通勤は増加傾向にあるようです。

 

<従業員がケガをした場合>

従業員が自転車通勤中にケガをした場合には、ほとんどのケースで通勤災害として労災保険が適用されます。

この場合には、会社の人事担当者や顧問の社会保険労務士が手続きをすることになります。

単独事故ではなく相手がいる場合、第三者行為災害となります。すると、通常の労災保険の手続きで作成する書類の他に、何種類か別の書類を作成する必要があります。ケガをした本人から話を聞きながら書く部分が多く、事故の発生状況を示す図も添付します。

相手が自動車やバイクであれば、警察に報告して「交通事故証明書」の交付も受けておかなければなりません。

慣れていないと、全部で5~8時間かかるでしょう。

 

<従業員が加害者になった場合>

さらに大変なのは、従業員が加害者になってしまった場合です。

会社は事故の発生には関与していません。しかし、民法715条の使用者責任が認められた場合には、事故を起こした従業員が負う損害賠償債務を会社が負担しなければなりません。

民法715条は、使用者が従業員を使用して利益を上げている以上、その使用によって生じたリスクも負担しなければならないという報償責任や、従業員を雇えば一定のリスクが発生することは覚悟しておいて対策をとっておかなければならないという危険責任等の趣旨に基づいています。

自転車通勤を認めている会社も黙認している会社も、こうした法的責任を問われることがあるので、従業員に対する安全教育は不可欠です。

最近になって、道路交通法が改正され、自転車利用のルールも厳しくなっていますので、ほんの一部を以下にご紹介します。

 

<逆走の禁止>

自転車は、道路(車道)の中央から左側部分の左端に寄って通行しなければなりません。〔道路交通法17条〕

当たり前のように歩道を走行する自転車も多いのですが、自転車は車両の一種ですから、歩道と車道の区別がある道路では、車道を通行するのが原則です。〔道路交通法17条〕

車道の右側を走行している自転車が、多数の自動車からクラクションを鳴らされても、自分に対するものだとは気づかないことも多いようです。

 

<歩行者の優先>

自転車が例外的に歩道を走行できる場合については、道路交通法で次のように規定されています。

 

【普通自転車の歩道通行】

第六十三条の四 普通自転車は、次に掲げるときは、第十七条第一項の規定にかかわらず、歩道を通行することができる。ただし、警察官等が歩行者の安全を確保するため必要があると認めて当該歩道を通行してはならない旨を指示したときは、この限りでない。一 道路標識等により普通自転車が当該歩道を通行することができることとされているとき。

二 当該普通自転車の運転者が、児童、幼児その他の普通自転車により車道を通行することが危険であると認められるものとして政令で定める者であるとき。

三 前二号に掲げるもののほか、車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められるとき

2 前項の場合において、普通自転車は、当該歩道の中央から車道寄りの部分(道路標識等により普通自転車が通行すべき部分として指定された部分(以下この項において「普通自転車通行指定部分」という。)があるときは、当該普通自転車通行指定部分)を徐行しなければならず、また、普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは、一時停止しなければならない。ただし、普通自転車通行指定部分については、当該普通自転車通行指定部分を通行し、又は通行しようとする歩行者がないときは、歩道の状況に応じた安全な速度と方法で進行することができる。

(罰則 第二項については第百二十一条第一項第五号)

 

ここの罰則は、自転車が徐行しない場合や、歩行者の通行を妨げないようにする一時停止を怠った場合に適用されます。2万円以下の罰金または科料です。

 

ベルを鳴らして歩行者にどいてもらうというのも法律違反です。自転車は一種の車両ですから、歩行者を優先しなければなりません。

自転車に乗った高齢者から歩道で後ろからベルを鳴らされて、やれやれと思うこともあります。しかも歩行者である私を追い抜けません。少し気の毒な気がします。

 

2018.12.07.解決社労士

<就業規則変更の手順>

就業規則変更の正しい手順は、

1.法改正や社内ルールなどの変更により就業規則変更の必要が発生

2.担当部署や社労士(社会保険労務士)が変更案を作成

3.社内での決裁

4.従業員への周知

5.労働者の意見書作成

6.労働基準監督署への変更届提出

という順番になります。

5.の意見書には、労働組合や労働者の過半数を代表する者の、就業規則変更についての意見を記入します。変更後の就業規則が社内に周知され、多くの労働者の反応を把握してから意見書を書くようにしなければ、労働者を代表する立場で書くのは難しいでしょう。ですから、上記の順番が正しいわけです。

 

<意見書の内容>

所轄の労働基準監督署長に就業規則の変更届を提出するには、上記5.の意見書を添付しなければなりません。これが無いと、受け付けてもらえません。

ところが、「この変更は納得できません。私たちにとって不利になる変更です」「この変更は、労働基準法違反です」などの意見が書かれていても、問題なく受け付けてもらえます。

提出したときに押されるゴム印には、「受付」の文字があります。「承認」「確認」ではなくて「受付」です。

これは、内容の審査までは行わず、形式を満たしているので受け付けましたということです。

つまり、意見書に労働者の切実な訴えが書かれていたとしても、これは全く考慮されないのです。

 

<従業員に不利な変更>

労働契約法には、次のような規定があります。

 

【就業規則による労働契約の内容の変更】

第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。

 

つまり、就業規則の変更内容を従業員に知らせていて、不利益の程度や会社側の必要性など様々な事情を踏まえて合理的であれば、変更後の就業規則が有効だということです。

実際に不利益を受けた従業員や退職者が会社に対して民事訴訟を提起して、裁判所が「不合理」と判断したのでなければ無効にはなりません。

 

<法令違反の変更>

労働契約法13条の定めにより、法令で定める基準に達しない労働条件を定める就業規則は、その部分については無効となります。

不思議ですが、法令違反の就業規則でも、労働基準監督署に持って行けば受け付けてもらえます。

労働基準監督署にしてみれば、たとえ法令違反の規定が含まれていたとしても、そこは無効になって法令の内容に修正されるわけですから、安心して受け付けることができるわけです。

こうして、実際に所轄労働基準監督署の立入調査(臨検監督)や訴訟などがなければ、就業規則の法令違反は指摘されないのが実情です。

 

<結論として>

このように、会社に都合よく就業規則を変更することは、かなり自由にできてしまうことは事実です。

明らかに不合理な不利益変更であるとか、法令違反であるとか、確信が持てる場合であれば、従業員や退職者から訴訟が提起されることもあるでしょう。

しかし、確信が持てない場合には、信頼できる社会保険労務士に相談してみることも考えましょう。

ちなみに、「就業規則を見せてもらえない」ということであれば、その就業規則は無効です。

この場合には、すべて法令通りということになりますし、法令に規定の無いことは何もルールが無いということになります。

 

2018.12.06.解決社労士

<年次有給休暇を取得させる義務>

年次有給休暇は、労働者の所定労働日数や勤続年数などに応じた法定の日数以上を与えることになっています。

与えるというのは、年次有給休暇を取得する権利を与えるということです。

実際に労働者の方から「この日に年次有給休暇を取得します」という指定が無ければ、使用者の方から積極的に取得させる義務は無いのです。

これが現在の労働基準法の内容です。

ところが、平成31(2019)年4月1日からは、労働者からの申し出が無くても、使用者が積極的に年次有給休暇を取得させる義務を負うことになります。

 

法改正後は、年次有給休暇の付与日数が10日以上の労働者に対し、年次有給休暇のうち5日については、基準日から1年以内の期間に労働者ごとにその取得日を指定しなければなりません。

これには例外があって、労働者の方から取得日を指定した日数と、労使協定によって計画的付与がされた日数は、年5日から差し引かれます。

つまり、基準日から次の基準日の前日までの1年間で、年次有給休暇の取得について、次の3つの合計が5日以上となる必要があります。

 

・労働者からの取得日の指定があって取得した年次有給休暇の日数

・労使協定により計画的付与が行われた年次有給休暇の日数

・使用者が取得日を指定して取得させた年次有給休暇の日数

 

<姑息(こそく)な手段>

従業員に年次有給休暇を取得させていなかった企業は対応に困ります。

これまで、お盆休みや年末年始休みとしていた日を出勤日に変更し、これらの日に年次有給休暇を取得させようかなどと考えます。

元々の休みである「休日」に「休暇」を取らせることはできないので、こんなことを思いつくわけです。

これは、対象となる従業員の合意があれば、合意した従業員についてのみ可能です。

また、就業規則がある企業なら、一定の条件の下、就業規則の変更により可能です。

ただし、「本心による合意ではなかった」「不合理な変更だった」などと民事訴訟を提起される恐れはあります。

こうしたことは、後掲の労働契約法8条から10条に定められています。

 

<働き方改革の趣旨>

働き方改革の定義は、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「従業員満足度向上により、労働意欲と健康状態を回復させて、労働生産性を高める急速かつ多面的な施策」といえるでしょう。

働き方改革の手段は、従業員の満足度を高めるものであることが必要です。

 

<趣旨に反する対応の結果>

「来年度から、各企業には年次有給休暇を取得させる義務が課される」

このことは、ニュースや口コミで多くの従業員が知っています。

この期待に反して、元々の休日を出勤日に変更し、これらの日に年次有給休暇をあてるような対応をすれば、従業員は「うちの会社らしい対応だ」「あの社長ならやると思った」など不満たらたらです。

労働意欲や会社への帰属意識は低下し、労働生産性が下がることは目に見えています。

これは、働き方改革の目的に反する結果が生じることになるわけです。

やはり真面目に働き方改革に取り組むべきでしょう。

 

【参考】労働契約法

(労働契約の内容の変更)

第八条 労働者及び使用者は、その合意により、労働契約の内容である労働条件を変更することができる。

 

(就業規則による労働契約の内容の変更)

第九条 使用者は、労働者と合意することなく、就業規則を変更することにより、労働者の不利益に労働契約の内容である労働条件を変更することはできない。ただし、次条の場合は、この限りでない。

 

第十条 使用者が就業規則の変更により労働条件を変更する場合において、変更後の就業規則を労働者に周知させ、かつ、就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであるときは、労働契約の内容である労働条件は、当該変更後の就業規則に定めるところによるものとする。ただし、労働契約において、労働者及び使用者が就業規則の変更によっては変更されない労働条件として合意していた部分については、第十二条に該当する場合を除き、この限りでない。

 

2018.12.05.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、30名を擁する働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。

<ブラックとは何か>

ブラックとは、自分が身を置く社会関係の中で、道義的に求められていることをせず、自分(自分たち)のやりたいようにしてしまう人(企業)であると定義できるでしょう。

これは、他人から自分(自分たち)への干渉を極端に嫌う、自己中心的で無責任な態度です。倫理観が欠如していて、正しく行動することについては消極的で無気力です。

 

<ブラック求人の実態>

労働条件が実態と異なる求人広告を「ブラック求人」といいます。

働き手を募る広告は、募集企業と求職者との社会関係の中で、その内容が正しく実態を示していることが道義的に求められています。

ところが、ハローワークの求人票を含め、このブラック求人についての苦情や相談は一向に減少しません。

それどころか、ブラック求人を出している企業の間では、ブラック求人を採用のための必要なテクニックであるという、誤った共通認識が生じています。

 

<ブラック求人への制裁>

実は、求人広告にウソを書いて出しても、これといって制裁が無いのです。

厚生労働省としても、監視や取締りの強化、ペナルティを設けるなどの有効な対策をとることができていません。

ハローワークの求人票ですら、民間の求人広告会社と同じく、利用者からクレームがあれば、掲載の依頼をした企業に釘を刺すだけです。ですから、「ハローワークの出している求人だから」「○○新聞に載っている求人だから」ということで、そのまま信頼してはダメです。

たとえブラック求人であったとしても、労働契約の際に、正しい労働条件を示していればそれで良しというのが、当局の公式見解のようです。

ただ最近になって、悪質なものはハローワークが求人票を出さない仕組みになっています。

 

<ブラック求人を信じて採用された場合>

採用にあたって示された労働条件が実際と違っていたらいつでも退職できる、そして、働くために引っ越した労働者は14日以内に帰郷する場合、その旅費を使用者に請求できるという規定があります。〔労働基準法15条〕

ですから、採用にあたって示された労働条件と、実際に働き始めてから判明した労働条件が違えば、退職を申し出る権利が労働者には保障されています。

ところが、求人広告と採用にあたって示された条件が違うことや、求人広告と実際に働き始めてから判明した労働条件が違うことは、労働基準法も想定していません。

結局こうした場合には、労働契約が有効ということになってしまいます。

 

<身を守るには>

仕事を探している皆さんは、なかなか仕事が見つからないと、条件を落としてでも就職しようとします。

ですから、良い条件の求人広告を見れば「ここに入社したい」と思います。

それでも、求人広告はあくまでも「広告」なのだということを忘れずに、実際の労働条件は採用面接のときに確認しましょう。

そして、「広告」と違っていたら、採用を辞退しましょう。

「なんか求人広告と違う気がするけど、まぁいいか」と妥協するのは、自己責任ということになります。

 

<もし採用されてしまったら>

ブラック求人を出すような企業は、他にもいろいろとブラックな面を持ち合わせていることが多いものです。

そういう企業で無理に働くようなことはせず、なるべく早く労働法に明るい弁護士や特定社会保険労務士にご相談いただくのが得策だと思います。

社内だけに目を向けて、「みんな頑張っているのに私が辞めてしまったら」とは考えずに、視野を広げて考えていただきたいです。

 

2018.12.04.解決社労士

<契約書には似た規定が>

契約書の最後の方に「本契約書に定めのない事項、または本契約の履行にあたり疑義を生じた事項は、甲乙協議の上円満に解決をはかるものとする」という規定を見ることが多いですね。

しかし、契約書というのは、当事者間に紛争が発生した時にこそ、その解決の拠り所とするために作成されるものです。

なんでも話し合って円満に事が進むのならば、その当事者間に契約書は要りません。

それなのに、何か疑問に思うことがあれば話し合って解決しましょうという条文は矛盾しています。

 

<就業規則では>

就業規則の最初の方に「この規則に定めのない事項については、労働基準法その他の法令の定めるところによる」という規定を見ることも多いです。

なるほど、こうすれば法改正があっても、就業規則を変更する必要が無くて便利なようにも見えます。

しかし、こうしておけば不都合が無いといえるのでしょうか?

 

<たとえば労働基準法で>

労働基準法第7条の公民権行使の保障について、たとえば投票に行っている時間の賃金が支払われるか否かは、通達により労使の取り決めによるとされています。

ということは、賃金の支払いについて決めておかないとトラブルになるでしょう。

これは労働基準法第68条の生理休暇も同様です。休んだ日の賃金が支払われるのか支払われないのかは大問題です。

労働基準法第41条は、「監督もしくは管理の地位にある者」については、労働基準法の労働時間、休憩、休日に関する規定を適用しないとしています。さて、適用されない人の休憩や休日はどうなるのでしょうか。ご本人が自由に決めるのでしょうか。取締役に近い従業員についての話ですから事は重大です。

 

<他の労働法でも>

高年齢者雇用安定法が改正されたとき、会社は定年を引き上げるか、定年をなくすか、あるいは継続雇用制度を導入するかの選択を迫られました。

これと同様に、育児・介護休業法には、会社の義務として、どちらか/どれか選んで措置を実施するという規定がいくつかあります。

こうした場合には「法令の定めるところによる」と言ってみても、何も決まっていないことになります。

会社がどうすべきかについて、選択肢を与えられる条文というのは、最近になってから出現しています。

昔は「法令の定めるところによる」としておけば問題なかったのですが、最近の法令では「会社が従業員と話し合って選んでください」という内容が出てきましたので、対応しきれなくなっているというわけです。

 

<そもそも法令に規定が無い場合>

懲戒処分ができる場合とは、どのような場合なのか、法令には規定がありません。反対に、懲戒処分の限度や無効となる場合については、労働基準法や労働契約法に規定があります。ということは、就業規則に具体的な規定を置かなければ、懲戒処分が適正にできないことになります。

特に男女雇用機会均等法は、セクハラの禁止とセクハラ行為者に対する懲戒処分などの規定を企業に義務づけていますが、その具体的な内容は各企業の実情に応じて定めることになっています。セクハラの定義は法令にありませんから、「法令の定めるところによる」という規定ではセクハラが野放しになってしまいます。各企業ごとにきちんと定義を規定しなければなりません。

またたとえば、「正社員」ということばに、法令上の定義はありません。社内に正社員と正社員以外の従業員がいて、異なる処遇をしているのなら、それぞれの定義づけが必要です。もし「無期労働契約の従業員が正社員である」としていたら、労働契約法18条による有期労働契約の無期化により、正社員が増産されることになります。

 

<不都合を避けるためには>

何もせず放置したことによって「何もしていないのに」退職者から訴えられたり、労働基準監督署から是正を求められたりというのは、珍しいことではありません。

それぞれの会社にとって、必要不可欠な内容が、その会社の就業規則にきちんと規定されているか、法改正によって変えるべきところは変わっているか、労働法に詳しい弁護士や社会保険労務士のチェックが必要でしょう。

そして、会社の状況の変化や法改正のことも考えると、定期的なチェックが必要ということになります。

 

2018.12.03.解決社労士

平成30(2018)年11月27日に開催された、労働政策審議会の職業安定分科会 雇用・環境均等分科会 同一労働同一賃金部会で、厚生労働省が諮問した働き方改革関連法の同一労働同一賃金に関する省令案要綱・指針案が了承されました。

 

<働き方改革推進法に伴う厚生労働省令案>

【短時間・有期雇用労働法施行規則】

 〇 短時間・有期雇用労働者の雇い入れ時に事業主が行う労働条件明示の方法 等

 

【労働者派遣法施行規則】

 〇 協定締結に関し、過半数代表者の選出方法、同種の業務に従事する一般の労働者の平均的な賃金の額、周知方法、行政への報告

 〇 派遣先から派遣元への待遇情報の提供に関し、比較対象労働者の選定、提供すべき情報の内容

 〇 派遣労働者の雇い入れ時・派遣時に、派遣元事業主が説明する事項やその説明の方法 等

 

これらについては、具体的な方法が不明確であったことから、省令で具体的な内容を示すことになっていたものです。

働き方改革の影響もあり、法改正のスピードが速く、また多岐にわたっています。こうした状態に、中小企業がそろって対応できるとは思えません。

行政からの広報を強化するだけでなく、行政協力という形で社会保険労務士が精力的に動く必要があるでしょう。

 

<短時間・有期雇用労働指針>

事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等に関する措置等についての指針の一部を改正する件案が了承されています。

 

【短時間・有期雇用労働指針】

〇 通常の労働者との待遇の相違の内容及び理由の説明に関し、事業主が説明すべき内容や説明の方法 等

 

こちらは、上記の【短時間・有期雇用労働法施行規則】とは異なり、雇い入れ時だけでなく、すでに働いている短時間労働者と有期雇用労働者に対しても、事業者が負う説明義務についてのものです。

 

<派遣元指針・派遣先指針>

派遣元事業主が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する件案(派遣元指針)と派遣先が講ずべき措置に関する指針の一部を改正する件案(派遣先指針)も了承されました。

 

【派遣元指針】

〇 比較対象労働者との待遇の相違の内容及び理由等に関し、派遣元事業主が説明すべき内容や説明の方法 等

 

【派遣先指針】

〇 派遣料金の額に関する配慮は、労働者派遣契約の締結又は更新がなされた後にも求められること 等

 

労働者派遣法違反の告発が、しばしば報道発表資料として公表されています。

最近では、平成30年11月29日に千葉労働局が行っています。

 

【労働者派遣法違反「無許可派遣」の疑いで刑事告発】

 千葉労働局(局長 高橋秀誠)は、平成30年7月20日に、下記の者を労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)違反の疑いで、刑事訴訟法第239条第2項の規定に基づき、千葉県行徳警察署に告発していたところ、本日、被告発人が逮捕されたことを受け、これを公表する。(以下省略)

 

これは、労働者派遣法による厚生労働大臣の許可を受けずに、自己の雇用する労働者を他社に派遣し、その指揮命令の下で労働に従事させる「労働者派遣事業」を行った疑いで逮捕されたケースが、企業名の公表とともに行われているものです。

派遣社員を利用する場合には、派遣会社がルールを守っている企業であることを確認するだけでなく、利用する企業も厳格なルールを守ることが求められています。

守るべきルールは、年々高度化していることを忘れないようにしましょう。

 

<同一労働同一賃金ガイドライン>

短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針案です。

 

【同一労働同一賃金ガイドライン】

〇 通常の労働者と短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者との間に待遇の相違が存在する場合に、いかなる待遇の相違が不合理と認められるものか否か等の原則となる考え方及び具体例を待遇ごとに示すもの。下記の内容も規定。

 ・不合理な待遇の相違の解消等を行うに当たって、基本的に、労使で合意することなく通常の労働者の待遇を引き下げることは望ましい対応とはいえないこと 等

 

すでに「同一労働同一賃金ガイドライン(案)」というものが策定されていました。

その後の最高裁判所の判決や法改正などを踏まえて、「(案)」の取れた確定版が出来ることになります。

これは、各企業が自社の就業規則や給与規程、給与や賞与支給の実態を見直すのに重要な資料となるもので、決して無視できないものとなるでしょう。

 

2018.12.02.解決社労士

<毎月勤労統計調査>

平成30(2018)年11月22日、厚生労働省が「毎月勤労統計調査」の平成30年9月分結果確報を公表しました。

 

【前年同月との比較】

・現金給与総額は、一般労働者が346,970円(1.2%増)、パートタイム労働者が97,339円(0.6%増)、パートタイム労働者比率が30.98%(0.20ポイント上昇)、就業形態計では269,656円(0.8%増)となった。

なお、一般労働者の所定内給与は311,152円(1.0%増)、パートタイム労働者の時間当たり給与は1,141円(2.5%増)となった。

・就業形態計の所定外労働時間は10.5時間(3.6%減)となった。

 

つまり、現金給与総額は増加傾向にあり、所定外労働時間は減少しています。

明らかに時間単価が上昇しています。

 

<賃金引上げの実態調査>

平成30(2018)年11月27日、厚生労働省が「平成30 年賃金引上げ等の実態に関する調査の概況」をとりまとめ公表しました。

これによると、定期昇給やベアによる1人平均の賃上げ額は月額5,675円で、比較可能な1999年以降で過去最高を2年連続で更新しました。賃上げ率は2.0%と前年比横ばいでした。

 

【ポイント】

1 賃金の改定

・平成30年中に「1人平均賃金を引き上げた・引き上げる」企業割合は89.7%(前年87.8%)で、前年より上昇した。

・平成30 年の1人平均賃金の改定額(予定を含む。)は5,675円(前年5,627 円)で、前年より増加、改定率は2.0%(同2.0%)で、前年と同水準となった。

 

2 定期昇給等の実施

・平成30年中の賃金改定が未定以外の企業(賃金の改定を実施しまたは予定している企業および賃金の改定を実施しない企業)のうち、定期昇給を「行った・行う」企業割合は、管理職69.7%(前年69.0%)、一般職80.1%(同 77.5%)で、管理職、一般職ともに前年より上昇した。

・定期昇給制度がある企業のうち、平成30年中にベースアップを「行った・行う」企業割合は、管理職24.2%(前年22.9%)、一般職29.8%(同 26.8%)で、管理職、一般職ともに前年より上昇した。

 

<働き方改革との関係>

働き方改革の定義は、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料、そして現在までの動向をもとに考えると「社員満足度向上により、労働意欲と健康状態を回復させて、労働生産性を高める急速かつ多面的な施策」といえるでしょう。

ここで、労働生産性を高めるために人件費を削減、あるいは従業員の手取り額を減らすことは、明らかに社員満足度を低下させますから、働き方改革にはなりません。

 

テレビで新橋のサラリーマンがインタビューに答えているのを観ていると、「働き方改革のせいで残業代が減り手取りが減った」「働き方改革のせいで妻の勤務時間が減り収入が減った」という声が多数聞かれます。

しかし、統計調査を見る限り、残業は減って給与は増えたということになっています。

これは飽くまでも平均値です。

中には働き方改革にかこつけて、賃金を削っている企業もあるのでしょう。

こうした間違った「働き方改革」を行っている企業には人が集まりません。むしろ、離れていく人が増えてしまいます。

 

働き方改革への向き合い方で、企業が淘汰される時代に入るのでしょう。

 

2018.12.01.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、30名を擁する働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。

<時季指定権と時季変更権>

同じ会社の同じ部署で、一度に多数の労働者が相談のうえ、同じ日を指定して年次有給休暇を取得しようとするのは権利の濫用です。

このように事業の正常な運営を妨げる場合には、会社は時季変更権を行使することができます。

 

【労働基準法第39条第5項】

使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。

 

<権利の濫用>

出勤日当日の朝に、従業員が上司にメールで「休みます」と連絡し、後から「あれは有給休暇です」と言っても、多くの場合、会社は有給休暇の取得を拒否できます。なぜなら、会社の時季変更権を侵害してしまうからです。

そもそも年次有給休暇などの権利を保障する労働基準法は、憲法に基づいて制定されました。

 

【勤労条件の基準】

第二十七条 2 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、法律でこれを定める。

 

そして憲法自身が、権利を濫用してはならないと定めています。

 

【権利濫用の禁止】

第十二条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によって、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであって、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

 

ここで、「公共の福祉」というのは、時季指定権と時季変更権のような対立する権利間の調整を意味します。

自分の権利の主張が、相手の権利を侵害する場合には、権利の濫用とされることがあるのです。

 

<権利の濫用とは言えない場合>

出勤日当日の朝に、従業員が上司に電話で「母が自宅で意識を失い救急車で病院に運ばれました。私も救急車に同乗して今病院にいます。有給休暇の取得ということにできませんか」と連絡した場合は、権利の濫用とはいえないでしょう。

従業員は有給休暇の取得にあたって、理由を述べる必要は無いのですが、みずから特別な理由を明らかにして申し出た場合には、会社も取得を認めるルールが必要でしょう。

たとえば、就業規則に「私傷病により勤務できない場合の欠勤、その他やむを得ない事情による欠勤は、申請によってこれを年次有給休暇に振り替えることを認める場合があります。振替は所定の用紙に記入するものとします」というような規定を置くと良いでしょう。

 

2018.11.30.解決社労士

<子の看護休暇>

子の看護休暇とは、けがや病気の子の世話などを行う労働者に対し与えられる休暇です。

年次有給休暇と同じく法定の休暇ですから、会社には労働者に与える義務があります。

これは、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律に規定されています。

 

【子の看護休暇の申出】

第十六条の二 小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者は、その事業主に申し出ることにより、一の年度において五労働日(その養育する小学校就学の始期に達するまでの子が二人以上の場合にあっては、十労働日)を限度として、負傷し、若しくは疾病にかかった当該子の世話又は疾病の予防を図るために必要なものとして厚生労働省令で定める当該子の世話を行うための休暇(以下「子の看護休暇」という。)を取得することができる。

2 子の看護休暇は、一日の所定労働時間が短い労働者として厚生労働省令で定めるもの以外の者は、厚生労働省令で定めるところにより、厚生労働省令で定める一日未満の単位で取得することができる。

3 第一項の規定による申出は、厚生労働省令で定めるところにより、子の看護休暇を取得する日(前項の厚生労働省令で定める一日未満の単位で取得するときは子の看護休暇の開始及び終了の日時)を明らかにして、しなければならない。

4 第一項の年度は、事業主が別段の定めをする場合を除き、四月一日に始まり、翌年三月三十一日に終わるものとする。

 

子の看護休暇の申し出があったなら、会社はきちんと対応しなければなりません。

 

【子の看護休暇の申出があった場合における事業主の義務等】

第十六条の三 事業主は、労働者からの前条第一項の規定による申出があったときは、当該申出を拒むことができない。

 

ただし、有給の休暇とする義務は無く、無給でもかまいません。

しかし、取得したことを理由とする不利益取り扱いは禁止されています。

ですから、休みが多いことを理由に、解雇したり評価を下げたりすることは禁止されています。

典型的なパターンとしては、入社したばかりのパート社員が、お子さんの健康状態を理由に何回も休んだので解雇を通告するというケースです。

 

<法の趣旨>

子どもが病気やけがの際に休暇を取得しやすくし、子育てをしながら働き続けることができるようにするための権利として子の看護休暇が位置づけられています。

また、「疾病の予防を図るために必要な世話」も休暇の対象となります。これは、子に予防接種または健康診断を受けさせることをいい、予防接種には、予防接種法に定める定期の予防接種以外のもの(インフルエンザ予防接種など)も含まれます。

 

<対象者と日数>

小学校就学前の子を養育する労働者は、事業主に申し出ることにより、1年度につき5日を限度として、子の看護休暇を取得することができます。

ただし、対象となる子が2人以上の場合は10日を限度とします。

ここで「年度」とは、事業主が特に定めをしない場合には、毎年4月1日から翌年3月31日となります。

ただし、日々雇い入れられる者は除かれます。また労使協定によって、勤続6か月未満の労働者や1週間の所定労働日数が2日以下の労働者は対象外とすることができます。

 

<口頭の申し出による取得>

就業規則などで、具体的な運用ルールを定める場合に、子の看護休暇の利用については緊急を要することが多いことから、当日の電話など口頭の申し出でも取得を認め、書面の提出などを求める場合には事後となっても差し支えないこととすることが必要です。

 

<申し出にあたって必要な情報>

労働者からの「子の看護休暇」の申し出は、次の事項を事業主に明らかにすることによって行わなければなりません。

・労働者の氏名

・子の氏名および生年月日

・看護休暇を取得する年月日

・子が負傷し、あるいは病気にかかっている事実、または病気の予防を図るために必要な世話を行う旨

 

<事業主からの証明書類の請求>

事業主は、労働者に対して子が負傷し、あるいは病気にかかっている事実、または病気の予防を図るために必要な世話を行うことを証明する書類の提出を求めることができます。〔育児・介護休業法施行規則30条2項〕

ただし、証明書類の提出を求める場合には、事後の提出を可能とするなどの配慮が必要とされています。

また、風邪による発熱など短期間で治る病気であっても、労働者が必要と考える場合には申し出ができます。

こうした場合には、必ずしも医師の診断書などが得られないときもありますので、購入した薬の領収書により確認するなど、柔軟な取扱いをすることが求められます。〔事業主が講ずべき措置に関する指針〕

 

2018.11.29.解決社労士

<就業規則の内容>

就業規則には、次の3つの内容が織り込まれています。

・職場のルール

・労働契約の共通部分

・法令に定められた労働者の権利・義務

3つのうちのどれにあたるかによって、就業規則変更の可能性と必要性は異なります。

 

<職場のルール>

明らかに不合理とならない限り、会社の実情に合わせて自由に変えられるのが原則です。

たとえば、「従業員は、従業員同志およびお客様・お取引先に対して明るく元気に挨拶すること」という規定を新たに就業規則に定めるような場合です。

そして変更の必要性については、会社の判断に委ねられています。

ここは、会社の創業の精神や経営理念を反映した内容が十分に盛り込まれるところです。

 

<労働契約の共通部分>

労働者に不利な変更は「不利益変更」となり厳格な要件のもとで許されます。

しかし、不利とならない変更や有利となる変更は原則として自由です。

たとえば、深夜労働の賃金の割増率を25%から30%に引き上げるような変更です。

これも、変更の必要性は会社の判断に委ねられます。

人手不足や働き方改革で、従業員の処遇改善が必要になっており、各社とも対応が迫られている部分です。

 

<法令に定められた労働者の権利・義務>

労働基準法などの労働法に改正があれば、少なくとも会社に影響のある範囲内で、就業規則を変更しなければなりません。

そして就業規則の変更は、労働基準監督署への届け出が義務付けられていますから、法改正の情報が出たら早めの対応が必要となります。

ここの部分を変更していなくても、法律の規定が優先されますので、就業規則に古い部分が残っていれば、ただみっともないだけの物になってしまいます。

 

2018.11.28.解決社労士

<就業規則の内容>

就業規則には、次の3つの内容が織り込まれています。

・職場のルール

・労働契約の共通部分

・法令に定められた労働者の権利・義務

どの規定が3つのうちのどれにあてはまるのか、一見しただけではわかりません。

また、一つの条文に複数の内容が含まれていることもあります。

 

<職場のルール>

「就業規則」という名前の通り、働くにあたって労働者が職場で守るべきルールです。

 学校の校則は、学校で生徒が守るべきルールをまとめたものですが、これの会社版です。

ですから、会社ごとに会社の実情に合わせた内容となっています。

 

<労働契約の共通部分>

同じ会社の中でも、勤務地、業務内容、給与・時給などは、労働者ごとにバラバラです。

しかし、会社ごとに見ると、正社員は正社員の、パートはパートの共通部分があります。

たとえば、出張したときの旅費や手当ての定めは、これに当たります。

「正社員」というのは、法律用語ではありません。

ですから、「正社員」の定義も会社ごとに就業規則の中で定めておく必要があります。

 

<法令に定められた労働者の権利・義務>

会社は労働者に対して、法令に定められた労働者の権利や義務さらには各種制度について、重要なものを周知する義務を負っています。

これを個別に説明していたのでは手間がかかりますから、就業規則の内容に盛り込んで、就業規則の周知として行っています。

 

2018.11.27.解決社労士

<原則の割増賃金>

使用者は、過重な労働に対する労働者への補償のため、原則として次の割増賃金を支払う義務があります。

・1日8時間または1週40時間を超えて時間外労働させた場合25%以上

(特例対象事業場では、1週44時間が基準となります)

・深夜(原則として午後10時~翌日午前5時)に労働させた場合25%以上

・週1日の法定休日に労働させた場合35%以上

 

 <割増賃金の計算基礎>

割増賃金の計算の基礎となる賃金には、家族手当、通勤手当、別居手当、子女教育手当、住宅手当を含めなくてもかまいません。ただしこれは、名称ではなく内容により判断されます。

 

<割増の条件が重なった場合>

深夜に時間外労働を行った場合には、25% + 25% = 50% 以上の割増賃金です。

法定休日に深夜労働を行った場合には、35% + 25% = 60% 以上の割増賃金です。

しかし、法定休日に時間外労働を行った場合には、35%以上の割増賃金です。

この割増賃金ですが、働き方改革の推進により残業手当が減ってしまう不都合を緩和するために、割増率を法定の率よりも高く設定する動きが見られます。

 

<「限度時間」を超える時間外労働>

「限度時間」とは、「時間外労働の限度に関する基準」が定める時間のことで、1か月45時間、1年間360時間です。

「限度時間」を超える時間外労働については、法定割増賃金率(25%以上)を超える率とするよう努めなければなりません。そして、具体的な割増率は三六協定に明記することになります。

たとえば、「限度時間」を超える時間外労働の割増率を30%とした会社の場合には、深夜労働と重なれば 30% + 25% = 55% 以上の割増賃金となります。

 

<1か月60時間を超える時間外労働>

1か月60時間を超えて時間外に労働させた場合には、50%以上の割増賃金となります。

したがって、1か月60時間を超える時間外労働のうち、深夜労働と重なる部分は50% + 25% = 75% 以上の割増賃金となります。

 

<中小企業の例外>

1か月60時間を超える時間外労働の割増賃金は、中小企業については適用が猶予されていますので、「限度時間」を超える時間外労働の割増率が適用されています。

適用が猶予される中小企業の範囲は、次のとおり業種ごとに、資本金の額または出資の総額と常時使用する労働者数の限度が決められています。

小売業 ― 5,000万円以下 または 50人以下

サービス業 ― 5,000万円以下 または 100人以下

卸売業 ― 1億円以下 または 100人以下

その他 ― 3億円以下 または 300人以下

「資本金の額または出資の総額」と「企業全体での常時使用する労働者の数」のどちらかが基準以下であれば、中小企業として適用が猶予されることになります。

 

<猶予期間の終了>

 

働き方改革関連法により、中小企業でも2023年4月1日からは1か月に60時間を超える時間外労働を行わせた場合、50%以上の割増賃金を支払う義務が課せられることになります。

 

2018.11.26.解決社労士

<特別条項付き三六協定>

原則として、三六協定の範囲内で時間外労働や休日出勤が許されるわけですが、どうしても臨時的に「限度時間」を超えて時間外労働を行わなければならない特別の事情が予想される場合には、「特別条項付き三六協定」を結ぶことにより、「限度時間」を超える時間を延長時間とすることができます。

ここで「限度時間」とは、「時間外労働の限度に関する基準」が定める時間のことで、1か月45時間、1年間360時間です。

 

<特別条項に定める内容>

「特別条項付き三六協定」では、次の項目について定める必要があります。

・原則としての延長時間(限度時間以内の時間)

・限度時間を超えて時間外労働を行わせなければならない具体的な「特別の事情」

・一定期間途中で「特別の事情」が生じ、原則としての延長時間を延長する場合に労使がとる手続

・限度時間を超える一定の時間

・限度時間を超えることができる回数

 

<特別条項を定めるときの注意点>

「特別の事情」はできるだけ具体的に定めます。また、臨時的なものに限られ、一時的または突発的であること、全体として1年の半分を超えないことが見込まれることが必要です。

さらに、長時間の労働(週40時間を超える労働が1月当たり80時間を超えた場合)により疲労の蓄積が認められ、または健康上の不安を有している労働者が申し出た場合には、医師の面接指導を受けさせる義務が会社に発生します。〔労働安全衛生法66条の8、66条の9、104条〕

特別条項付き三六協定によっても、1か月の延長時間は80時間までと考えるのが、現在でも常識的な上限となっています。

働き方改革関連法により、このことが罰則付きで法定されましたので、特に注意が必要です。

 

2018.11.25.解決社労士

<労働政策審議会>

平成30(2018)年11月19日、労働政策審議会雇用環境・均等分科会(旧雇用均等分科会)で、女性の活躍の推進のための対策及びパワーハラスメント防止対策等についての審議が行われ、配布資料も公開されています。

労働政策審議会は、労働政策について審議を行う委員会です。厚生労働省に置かれている審議会のひとつで、厚生労働大臣の諮問機関ですから、ここでの審議が労働関係法令の改正案に反映されます。労働政策審議会に関する情報を把握することにより、今後の政府の動きや企業の取り組むべき課題を先取りすることができます。

 

<セクハラ防止対策の実効性向上>

これについては、4項目に分けて総論が述べられています。枠内は原文をそのまま引用したものです。

 

【セクハラ対策の必要性】

セクシュアルハラスメントは許されない行為であり、あってはならないもの。セクシュアルハラスメントを受けた労働者が相談を行い易くするとともに、二次被害を防止するため、労働者がセクシュアルハラスメントに関する相談を行ったことを理由として不利益取扱いが行われないよう徹底することが必要。

 

セクシュアルハラスメントは、「職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われ、それを拒否するなどの対応により解雇、降格、減給などの不利益を受けること(対価型)」または「性的な言動が行われることで職場の環境が不快なものとなったため、労働者の能力の発揮に悪影響が生じること(環境型)」をいいます。これが厚生労働省による説明です。

これによると、労働者が「不利益を受けること」あるいは「悪影響が生じること」という実害の発生が、セクハラ成立の条件のようにも見えます。しかし、企業としてはセクハラを未然に防止したいところです。

ましてや、セクハラ被害者が会社の窓口に相談したところ、情報が社内に漏れてしまい、被害が拡大するという二次被害の発生は確実に防止しなければなりません。二次被害が一度でも発生すれば、怖くて会社の窓口に相談できなくなりますから、セクハラ被害が更に拡大する恐れが生じてしまいます。できれば、社会保険労務士のような社外の専門家を相談窓口にすることをお勧めします。

 

【社外からのセクハラ、社外へのセクハラ】

社外の労働者からセクシュアルハラスメントを受けた場合や、社外の者に対してセクシュアルハラスメントを行った場合の対応をより一層明確化し、取組を徹底することが必要。

 

多くのセクハラ対策は、被害者と加害者の両方が社員の場合を想定しています。

実際、多くのハラスメントは社員同士で問題となります。

これを放置することは、会社にとって明らかにマイナスですから、積極的な対応をすることに躊躇する理由はありません。

 

しかし、お取引先の社員からのセクハラであれば、今後の取引関係を考えて、事なかれ主義に走ってしまう危険があります。

社員が被害者となった場合には、社長自らお取引先に出向いてハラスメントの事実を確認し、事実があれば取引関係を解消する毅然とした態度が必要です。

お取引先も理解を示さざるを得ませんし、社員は会社の態度に共感するでしょうし、こうした情報が外部に漏れても批判は生じにくいものです。

長い目で見れば、会社にとってのプラスが大きいといえます。

 

反対に、社員からお取引先に対するセクハラの疑いが生じたら速やかに事実を確認し、真実であったなら、社長自らお取引先に出向いてハラスメントの事実について報告とお詫びをする必要があります。

 

加害者・被害者が社内に留まらなくても、客観的に見れば人権侵害(嫌がらせ)であることに変わりはありません。

多くの場合、慰謝料を含めた損害賠償請求の対象となりますし、内容によっては犯罪となり刑法で罰せられることもあります。

ですから、これを防止すべきこと、万一発生したら善処すべきことに差異はありません。

 

取引先との間で発生するセクハラを定義すると、次のようになるでしょう。

「性的言動により、取引先の労働者に不利益や不快感を与えたり、就業環境を害するようなこと」

念のため、就業規則に規定しておきたいところです。

また、社員を守るため、取引先からのセクハラが疑われる事実があれば、上司や社内の相談窓口に報告する義務も規定すべきです。

どちらも、社員と会社を守るための規定ですから、ぜひ就業規則に加えておくことをお勧めします。

 

【企業の取組】

セクシュアルハラスメント防止対策の実効性向上に加え、男女雇用機会均等法に沿った雇用管理の実現やポジティブ・アクションの推進に向けて、企業の実効性ある取組を促すことが必要。

 

今後、労働政策審議会では、各企業での男女雇用機会均等法に沿った雇用管理の実現やポジティブ・アクションの推進に関する実効性ある取組を促すため、社内でその業務を担当する労働者(男女雇用機会均等推進者)について、選任するよう努めることを法律に規定してはどうか、その推進者の役割に、女性活躍推進法に基づく行動計画策定や情報公表の取組の推進も加えてはどうかということが議論される予定です。

 

ポジティブ・アクション (positive action)は、肯定的差別(positive discrimination)と肯定的措置(affirmative action)を組み合わせた和製英語です。

このうち肯定的措置(affirmative action)というのは、弱者集団の不利な現状を把握し、歴史的経緯や社会環境を踏まえて是正するという改善措置を指します。

弱者集団については、民族、人種、出身などによる差別が問題となるのですが、日本では特に女性差別が問題とされ、厚生労働省が中心となって女性の活躍や男女格差解消を推進しています。

具体的な肯定的措置としては、就職や昇進での特別な採用枠の設置や試験点数の割り増しなどの直接的な優遇措置があります。

 

【法律による対応】

セクシュアルハラスメントは許されない行為であるという趣旨を明確にする観点から、法律でセクシュアルハラスメントを禁止すべきという意見がある一方、そうした規定を設けることについては、民法等他の法令との関係の整理や違法となる行為の要件の明確化等の課題があることから中長期的に検討することが必要との意見がある中で、どのように考えるか。

 

パワハラは、次の2つが一体となって同時に行われるものです。

・業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛など

・業務上不要な人権侵害行為(犯罪行為、不法行為)

行為者は、パワハラをしてやろうと思っているわけではなく、会社の意向を受けて行った注意指導などが、無用な人権侵害を伴っているわけです。

 

しかしセクハラは、業務上不要な人権侵害行為(犯罪行為、不法行為)が単独で行われるケースが多く、行為者が会社の意向を受けて行うこともありません。

会社にとって有益な部分は無いのですから、セクハラは徹底的に排除すべきです。むしろ、セクハラの徹底排除が会社にとって有益です。

 

セクハラ行為は、刑法上の犯罪であって刑事事件とされたり、民法上の不法行為であって損害賠償の請求対象となったりします。

また、セクハラに耐えられず退職の申し出をした場合には、民事上その意思表示の有効性が問題となります。

ですから、刑法にセクハラ罪というものを新設したり、民法にセクハラ関係の規定を加えたりしなくても、現状の法令で十分対応できるのです。

ただ、こうしたことを分かりやすくするのが難しいのです。

今のところは、専門家に具体的な事情を明らかにして相談するのが現実的な対応だと思われます。

 

2018.11.24.解決社労士

<労働政策審議会>

平成30(2018)年11月19日、労働政策審議会雇用環境・均等分科会(旧雇用均等分科会)で、女性の活躍の推進のための対策及びパワーハラスメント防止対策等についての審議が行われ、配布資料も公開されています。

労働政策審議会は、労働政策について審議を行う委員会です。厚生労働省に置かれている審議会のひとつで、厚生労働大臣の諮問機関ですから、ここでの審議が労働関係法令の改正案に反映されます。労働政策審議会に関する情報を把握することにより、今後の政府の動きや企業の取り組むべき課題を先取りすることができます。

 

<パワハラ防止対策の強化>

これについては、4項目に分けて総論が述べられています。枠内は原文をそのまま引用したものです。

 

【パワハラ対策の必要性】

パワーハラスメントは相手の尊厳や人格を傷つける許されない行為であり、あってはならないもの。企業にとっても経営上の損失に繋がる。都道府県労働局における職場の「いじめ・嫌がらせ」の相談件数や、嫌がらせ、いじめ又は暴行を受けたことによる精神障害の労災認定件数が増加傾向となっている。職場のパワーハラスメント防止は喫緊の課題であり、現在、法的規制がない中で、対策を抜本的に強化することが社会的に求められている。

 

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係など「職場内での優位性」を背景に、「業務の適正な範囲」を超えて、精神的・身体的苦痛を与え、または、職場環境を悪化させる行為をいいます。これが厚生労働省による説明です。

これによると、「精神的・身体的苦痛を与えこと」あるいは「職場環境を悪化させる行為」という実害の発生が、パワハラ成立の条件のようにも見えます。しかし、企業としてはパワハラを未然に防止したいところです。

ですから、就業規則にパワハラの定義を定めるときは、「精神的・身体的苦痛を与えうる言動」「職場環境を悪化させうる言動」という表現が良いでしょう。

 

【企業の講ずべき措置】

職場のパワーハラスメントの防止のためには、企業の現場において確実に予防・解決に向けた措置を講じることが必要。その際、現場の労使が対応しやすくなるよう、職場のパワーハラスメントの定義や考え方、企業が講ずべき措置の具体的内容を明確化していくことが必要。

 

就業規則の中に、パワハラの分かりやすい定義があって、全従業員が理解しているという前提が無ければ、その職場には確実にパワハラが存在することでしょう。なぜなら、パワハラ行為に対して、自信をもって注意できる人がいないからです。

また、パワハラを行った人に対する懲戒の規定が無ければ、注意されてもやめないのは仕方のないことです。問題社員にとって居心地の悪い会社にしなければ、パワハラをするような問題社員は増えていってしまいます。

さらに、パワハラを受けたと思っている従業員の相談窓口が無ければ、いよいよ耐えられなくなった従業員は退職を申し出て、パワハラ行為者と会社を訴えることもあります。ここまでくると、被害者は転職することも困難かもしれません。その場合には、会社が一生面倒を見ることになるのでしょうか。できれば、社会保険労務士のような社外の専門家を相談窓口にすることをお勧めします。

 

【中小企業の特性】

中小企業については、パワーハラスメントの防止に関するノウハウや専門知識が乏しいこと等から、その負担軽減に十分配慮し、支援を強化することが必要。

 

中小企業では、経営者が昭和時代の考え方を引きずっていると、パワハラ対策が困難になってしまいます。まずは、経営者がパワハラなどハラスメントについての理解を深め、社内に向けて「パワハラは絶対に許さない」という宣言をすることが第一歩です。

 

【法律による対応】

なお、法律でパワーハラスメントを禁止することについては、民法等他の法令との関係の整理や、違法となる行為の要件の明確化等の課題があることから、今回の見直しにおける状況の変化を踏まえつつ、その必要性も含めて中長期的に検討することが必要ではないか。

 

パワハラは、次の2つが一体となって同時に行われるものです。

・業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛など

・業務上不要な人権侵害行為(犯罪行為、不法行為)

行為者は、パワハラをしてやろうと思っているわけではなく、会社の意向を受けて行った注意指導などが、無用な人権侵害を伴っているわけです。

 

業務上必要な行為と同時に行われる「業務上不要な人権侵害行為」には、次のようなものがあります。

・犯罪行為 = 暴行、傷害、脅迫、名誉毀損、侮辱、業務妨害など

・不法行為 = 暴言、不要なことや不可能なことの強制、隔離、仲間はずれ、無視、能力や経験に見合わない低レベルの仕事を命じる、仕事を与えない、私的なことに過度に立ち入るなど

刑事上は犯罪となる行為が、同時に民事上は不法行為にもなります。つまり、刑罰の対象となるとともに、損害賠償の対象ともなります。

 

パワハラ行為から業務上必要な部分を引き算した残りが、刑法上の犯罪であって刑事事件とされたり、民法上の不法行為であって損害賠償の請求対象となったりします。

また、パワハラに耐えられず退職の申し出をした場合には、民事上その意思表示の有効性が問題となります。

ですから、刑法にパワハラ罪というものを新設したり、民法にパワハラ関係の規定を加えたりしなくても、現状の法令で十分対応できるのです。

ただ、こうしたことを分かりやすくするのが難しいのです。

今のところ、専門家に具体的な事情を明らかにして相談するのが現実的な対応だと思われます。

 

2018.11.23.解決社労士

<労働政策審議会>

平成30(2018)年11月19日、労働政策審議会雇用環境・均等分科会(旧雇用均等分科会)で、女性の活躍の推進のための対策及びパワーハラスメント防止対策等についての審議が行われ、配布資料も公開されています。

労働政策審議会は、労働政策について審議を行う委員会です。厚生労働省に置かれている審議会のひとつで、厚生労働大臣の諮問機関ですから、ここでの審議が労働関係法令の改正案に反映されます。労働政策審議会に関する情報を把握することにより、今後の政府の動きや企業の取り組むべき課題を先取りすることができます。

 

<女性活躍推進法の施行後3年の見直し>

これについては、3項目に分けて総論が述べられています。枠内は原文をそのまま引用したものです。

 

【女性活躍の取組】

女性活躍推進法が施行されて以降、民間企業における同法に基づく女性活躍の取組は着実に進展。行動計画の策定が義務付けられた常時雇用する労働者が301人以上の企業については、平成30 年9月末時点で99.1%が行動計画を届出。また、厚生労働省が運営する「女性の活躍推進企業データベース」では、約1万2千社が行動計画を掲載し、約1万社が同法に基づく情報を公表。

 

対象となる企業は、行動計画の策定と提出が義務付けられていますから、提出率が高いのは当然でしょう。

企業が形式的に策定・提出しているだけでなく、熱心に取り組んでいるのかは見えません。

ただ、熱心に取り組んだ企業は女性の定着率が向上しているでしょうし、その成果を公表することによって女性の採用に役立っているでしょう。

 

【女性活躍を一層推進するために】

今後、社会全体で女性活躍を一層推進するためには、計画的なPDCA サイクルを促す行動計画の策定や、求職者の職業選択に資する情報公表等に、より多くの企業が取り組むことが必要。現在、300 人以下の企業については女性活躍推進法に基づく取組が努力義務とされているが、既に多くの企業が何らかの取組を進めている一方、取組を進める企業においても課題を感じていることを踏まえれば、これらの企業においても、負担軽減に配慮しつつ、確実な取組を求めることが必要。

 

残念ながら、男尊女卑のような昭和の考え方から抜け出せない企業も残っています。

そのため審議会では、101人以上300人以下の企業にも、行動計画策定を義務付けるべきではないか、情報公表を義務付けるべきではないかということが議論されています。

 

【インセンティブの充実】

行動計画策定や情報公表等の取組の内容については、女性活躍推進法の基本原則を踏まえ、「職業生活に関する機会の提供」と「職業生活と家庭生活の両立」に資するものとなるよう制度を見直すとともに、企業に対するインセンティブを充実させることが必要。

 

インセンティブと言っても、報奨金のようなものが給付されるわけではなく、一定の認定基準をクリアした企業については、行動計画の策定義務を免除するといったことが議論されています。

一方で、求職者の職業選択に影響を与える情報公表義務違反や虚偽の情報公表に関して勧告に従わない企業については、企業名を公表できることとしてはどうかという議論もあります。

 

2018.11.22.解決社労士

<高年齢者の雇用状況>

平成30(2018)年11月16日、厚生労働省が高年齢者を65歳まで雇用するための「高年齢者雇用確保措置」の実施状況などを集計した、平成30年「高年齢者の雇用状況」を取りまとめ公表しました。

高年齢者が年齢にかかわりなく働き続けることができる生涯現役社会の実現に向け、「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律」は、65歳までの安定した雇用を確保するため、企業に「定年制の廃止」や「定年の引上げ」、「継続雇用制度の導入」のいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じることと、毎年6月1日現在の高年齢者の雇用状況の報告を義務づけています。

今回の集計結果は、この雇用状況を報告した従業員31人以上の企業156,989社の状況がまとめられたものです。

なお、この集計では、従業員31人~300人規模を「中小企業」、301人以上規模を「大企業」としています。 

今後は、生涯現役で働くことのできる社会の実現に向けたさらなる取組が行われ、雇用確保措置を実施していない企業に対して、都道府県労働局、ハローワークによる計画的かつ重点的な個別指導が実施される予定です。

 

【集計結果の主なポイント】

 Ⅰ 65歳までの高年齢者雇用確保措置のある企業の状況

 1 高年齢者雇用確保措置の実施状況

   65歳までの雇用確保措置のある企業は計156,607社、99.8%[0.1ポイント増加]

 2 65歳定年企業の状況

   65歳定年企業は25,217社[1,382社増加]、16.1%[0.8ポイント増加]

  ・中小企業では23,685社[1,229社増加]、16.8%[0.7ポイント増加]、

  ・大企業では1,532社[153社増加]、9.4%[0.9ポイント増加]

 

Ⅱ 66歳以上働ける企業の状況

 1 66歳以上働ける制度のある企業の状況

   66歳以上働ける制度のある企業は43,259社、割合は27.6%

   ・中小企業では39,699社、28.2%、

   ・大企業では3,560社、21.8%

 2 70歳以上働ける制度のある企業の状況

   70歳以上働ける制度のある企業は40,515社[5,239社増加]、割合は25.8%[3.2ポイント増加]

   ・中小企業では37,232社[4,453社増加]、26.5%[3.1ポイント増加]

   ・大企業では3,283社[786社増加]、20.1%[4.7ポイント増加]

 3 定年制廃止企業の状況

   定年制の廃止企業は4,113社[49社増加]、割合は2.6%[変動なし]

   ・中小企業では4,032社[49社増加]、2.9%[0.1ポイント増加]

 ・大企業では81社[変動なし]、0.5%[変動なし]

 

<集計対象>

○ 全国の常時雇用する労働者が31人以上の企業156,989社

(報告書用紙送付事業所数165,763事業所)

 ・中小企業(31~300人規模):140,628社

(うち31~50人規模:54,088社、51~300人規模:86,540社)

 ・大企業 (301人以上規模): 16,361社

 

2018.11.21.解決社労士

<厚生年金保険料の給与天引き>

会社は、厚生年金加入者(被保険者)の給与から厚生年金保険料を控除します。

控除する金額は、その被保険者の標準報酬月額に保険料率を乗じた額の半額となります。保険料は会社と被保険者が折半するからです。

控除する金額=その被保険者の標準報酬月額×保険料率÷2

1円未満の端数が生じるときは、四捨五入して円単位にします。

 

<標準報酬月額>

厚生年金保険では、被保険者が受け取る給与(基本給のほか残業手当や通勤手当などを含めた税引き前の給与)を、一定の幅で区分した報酬月額に当てはめて決定した標準報酬月額を保険料の計算に用います。

平成30年現在の標準報酬月額は、1等級(8万8千円)から31等級(62万円)までの30等級に分かれています。

 

<定時決定と随時改定>

毎年9月に、4月から6月の報酬月額を基に、標準報酬月額の改定が行われます(定時決定)。

また、報酬月額に大幅な変動(標準報酬月額の2等級以上)があって、一定の条件を満たした場合には、標準報酬月額の改定が行われます(随時改定)。

 

<注意ポイント>

随時改定のしくみは、実際にはかなり複雑です。

社会保険労務士であれば、よく理解しているのですが、他の士業の方の中には、定時決定しか知らない方も多いのが実態です。

手続きを外注している場合には、一度社労士のチェックを受けることをお勧めします。

 

2018.11.20.解決社労士

<繰り越しか消滅か>

退職金の請求権は5年間、その他の請求権は2年間で時効消滅します。

民法の規定によると消滅時効の期間が短いので、労働基準法が労働者を守るために期間を延長しています。

 

【労働基準法の時効の定め】

第百十五条 この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)、災害補償その他の請求権は二年間、この法律の規定による退職手当の請求権は五年間行わない場合においては、時効によって消滅する。

 

パート社員などを正社員にした場合、前から持っている年次有給休暇も、発生してから2年間で消滅します。正社員になると共に消滅することはありません。

会社によっては、正社員になると共に年次有給休暇が10日間付与されます。この場合には、未消化の年次有給休暇が40日を超えることもあります。

また、付与日数の計算基準となる勤続年数も通算されます。

正社員にならなかった場合よりも、不利にならぬよう注意が必要です。

 

<所定労働日数が変化した場合>

正社員登用前は週3日勤務、登用後は週5日勤務という場合、年次有給休暇付与の条件としての出勤率は、次回の年次有給休暇付与の日からさかのぼって1年間で計算します。

登用前が4か月、登用後が8か月であれば、登用前の出勤率の4倍と登用後の出勤率の8倍を合計して、12で割って求めます。これが8割以上なら付与されることになります。

また付与日数は、週5日勤務が基準となります。

ただし就業規則などに、労働者にとってより有利なルールがあれば、それに従います。

 

<給与計算システムとの整合性>

正社員と正社員以外とで、給与計算に異なるシステムを使用している会社もあります。

データを単純に移動してしまうと、年次有給休暇の勤続年数がリセットされてしまい、せっかく正社員に登用されたのに不利になってしまうことがあります。

これは労働基準法違反にもなりますので、対応できないシステムの場合には、一部手作業で対応することになるでしょう。

特に勤続6年半以上のパートさんなどが、正社員に登用された場合には注意が必要です。

 

2011.11.19.解決社労士

<解雇予告の規定>

労働基準法第20条に次の規定があります。

 

【解雇の予告】

第二十条 使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。但し、天災事変その他やむを得ない事由のために事業の継続が不可能となった場合又は労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合においては、この限りでない。

2 前項の予告の日数は、一日について平均賃金を支払った場合においては、その日数を短縮することができる。

3 前条第二項の規定は、第一項但書の場合にこれを準用する。

 

<解雇予告手当>

会社が従業員を解雇しようとする場合に、少なくとも30日前には解雇する旨を通知しなくてはならないというものです(第1項)。

もし30日以上前に解雇予告をしなかった場合には、使用者は平均賃金の30日分以上の解雇予告手当を支払う義務が生じます(第1項)。

 

<予告と手当の組み合わせ>

予告期間と解雇予告手当を組み合わせることもできます(第2項)。

たとえば、17日前に予告して平均賃金の13日分の解雇予告手当を支払うこともできます。併せて30日になれば良いのです。

ただし、解雇予告の当日は24時間ありませんので、1日としてカウントできません。今月30日をもって解雇という場合には、13日に予告すれば17日前の予告となります。

 

<解雇予告手当の支払い時期>

解雇予告手当は解雇の通知とともに支払います。

この手当は、給与ではなく支払うことによって効力が発生する特殊な手当なので、「次の給与と一緒に支払います」ということはできません。

もし給与と一緒に支払ったなら、支払ったその日に予告したものとして予告期間が計算されてしまいます。

解雇予告手当を給与振込口座に振り込んでから、解雇の通知をすれば良いでしょう。

 

<注意すること>

解雇予告を正しく行うということは、手続きを正しく行うということです。

これによって、不当解雇が正当化されるわけではありません。

労働契約法にも、次の規定があります。

 

【解雇】

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

解雇予告手当を支払い解雇を通告して安心していると、解雇の無効を主張され、働いていないのに賃金を請求されるということもありますから注意しましょう。

 

2018.11.18.解決社労士

<LGBTの定義>

LGBTは、4つの性的少数者の頭文字をとったものです。

 

【LGBT】

L

レズビアン(Lesbian)

恋愛の対象が女性である女性
G ゲイ(Gay) 恋愛の対象が男性である男性
B バイセクシュアル(Bisexual) 恋愛の対象が男性・女性の両方である人
T トランスジェンダー(Transgender) 生まれた時の体に基づいて判別された性別と、本人が心の中で認識している性別とが異なる人

トランスジェンダーの中でも、出生上の性に分類されることに持続的な不快感を持ち、精神的な苦痛や生活上の問題を抱えている状態にある人を、医学的に「性同一性障害」と呼んでいます。

 

すべての企業に、LGBTへの理解と具体的な取り組みが求められています。

 

<特別ではないLGBT>

電通総研が、平成27(2015)年に約7万人を対象に実施した調査で、7.6%がLGBTに該当すると回答したそうです。これは、約13人に1人の割合です。

しかし、「あなたはLGBTのどれかに当てはまりますか?」と尋ねられて、素直に「はい」と答える人は限られているでしょう。実際には、より多くの人がLGBTに該当するのかもしれません。

LGBTは特別な存在ではないのです。

 

つまり、お客様、従業員、お取引先にも、LGBTの方がいらっしゃる可能性は高いのです。

 

企業は、性別や年齢によって、採用、教育、異動、待遇などの差別をしないように求められています。

これは、LGBTについても全く同じことが当てはまります。

 

<採用内定にあたって>

企業としては、LGBTであるか否かに関わらず、優秀な人材を採用したいと考えているでしょう。

しかし、内定を受けた学生からLGBTに該当することを明かされた企業が、戸惑いからか内定を取り消してしまうという事態も見られます。

こうした内定取消の多くは、不当なものであり無効とされるべきものですが、LGBTの立場は弱く、学生側が諦めやすいものです。

また、内定を出してくれた企業を信じてLGBTに該当することを打ち明けたのに、内定を取り消されたのですから一層ショックが大きいのです。

LGBTに該当する人について、本当に内定を取り消さなければならない特殊な業種などであれば、内定取消事由として「学校を卒業できなかった場合」「重大な罪を犯した場合」などに加えて、「LGBTに該当する場合」を書面で明示しておかなければなりません。

 

<従業員について>

性的少数者である従業員の多くは、誰にも相談できずに悩んでいます。

一方、周囲の従業員や上司は、それと知らずに接しています。

同性同士の雑談に傷つき体調を崩して休んでしまい、退職してしまうことすらあります。企業は、LGBTに該当する従業員がいることを想定して、誰でも自分らしく働ける環境を作らなければ、優秀な人材の確保がむずかしくなってしまいます。

トイレや健康診断、セクハラの定義など、企業に求められることは意外な項目にも及びます。

しかし、最初に取り組むべきことは、LGBTに対する理解を深めるための社員研修だと思います。もちろん、経営トップをはじめ、幹部社員は特に深い理解を求められます。

特定非営利活動法人「虹色ダイバーシティ」等の団体に講師の派遣を依頼できる場合もありますので、必要に応じて相談すると良いでしょう。

 

<就業規則の整備>

厚生労働省が公表しているモデル就業規則の最新版(平成30(2018)年1月版)は、次のように規定しています。

 

【その他あらゆるハラスメントの禁止】

第15条  第12条から前条までに規定するもののほか、性的指向・性自認に関する言動によるものなど職場におけるあらゆるハラスメントにより、他の労働者の就業環境を害するようなことをしてはならない。

 

上記のうち「第12条から前条まで」というのは、パワハラ、セクハラ、マタハラ、パタハラ、ケアハラなどを指します。

いずれにせよ、「性的指向・性自認に関する言動」という言葉が入っています。LGBTのうち、LGBは性的指向ですし、Tは性自認に関することです。

就業規則には、こうした規定が必須のものとなっていますし、LGBTについて従業員の全員に理解できる内容となっている必要があります。

 

大企業の従業員であれば、同性パートナーへの福利厚生の適用も期待が高まっていることでしょう。

結婚した時に支給される結婚祝い金や結婚休暇等を、同性間のパートナーについても適用する旨の規定が、就業規則に欲しいところです。

もちろん、お祝い事だけでなく、育児、介護等の特別休暇や結婚以外の慶弔見舞金の対象にすることも考えられます。

これらを運用するには、同性間の事実婚や同性パートナーとの同居を届け出る「パートナー届」のような制度も必要となります。

 

<企業のメリット>

LGBT該当者の中からも優秀な人材を採用できるようになりますし、定着率も向上します。

また、LGBT該当者向けの商品やサービスの開発にも有利です。

何より、企業のイメージアップにつながります。

 

2018.11.17.解決社労士

<中小企業庁の決定>

平成30(2018)年10月24日に中小企業庁で開かれた「第5回中小企業・小規模事業者の長時間労働是正・生産性向上と人材確保に関するワーキンググループ」で、下請事業者の長時間労働是正に向けた通報制度の強化策が示されました。

運用開始は平成30(2018)年11月からとされています。

 

<通報制度の強化>

これまでは、労働基準監督署や労働局の立入検査(臨検監督)で、公正取引委員会や経済産業省(中小企業庁・経済産業局等)に通報が行われるのは、次の3つの条件を満たした場合でした。

 

【臨検監督による通報の条件】

①労働基準法第24条、第32条違反等労働基準関係法令違反が認められること

 

②その違反の背景に親事業者による下請法違反行為や特定荷主による物流特殊指定違反行為の存在が疑われること

③下請事業者・特定物流事業者が通報を希望した場合

 

今回の決定で、上記のうち「③下請事業者・特定物流事業者が通報を希望した場合」の条件が外されることになりました。

立場の弱い下請事業者などは、取引関係を気にして通報を希望しないケースが想定されるため、この条件が外されたのです。

通報を受けた公正取引委員会や経済産業省は、立入検査によって法違反が認められた場合、下請法や独占禁止法の下での指導を行います。

※ 建設業でも、国土交通大臣許可の親事業者に対しては、同様の対応がとられます。

 

<社会保険労務士への情報提供>

労働基準監督署で把握している短納期発注による長時間労働について特徴的な事例(下請法違反の疑いがあるもの)を追加収集し、取引関係の所管官庁の相談窓口とともに、全国社会保険労務士会連合会等に情報提供が行われる予定です。

社会保険労務士は公務員ではありませんから、与えられた情報を元に企業の調査や指導に入るということはありません。

顧問先の企業などに違反行為が無いことを確認し、違反があれば企業とともに改善していくことになります。

 

2018.11.16.解決社労士

<ガイドライン>

平成30(2018)年11月6日、厚生労働省、国土交通省、全日本トラック協会がガイドラインを公表しました。

これは、トラック事業者と荷主が連携して実施した、トラック運送事業における荷待ち時間の削減や荷役作業の効率化など長時間労働の抑制を図るためのパイロット事業の成果を取りまとめたものです。

 

<改善のステップ>

取引環境と長時間労働の改善に向けた取組みの手順が、7つのステップで示されています。

 

【ステップ1】荷主企業と運送事業者の双方で、ドライバーの労働条件改善の問題意識を共有し、検討の場を設ける

● 荷主とトラック運送事業者が意見交換できる場(可能であれば 関係者が同席する会議体)を設置する

● 問題意識の共有のため、定期的な意見交換を実施する

 

【ステップ2】労働時間、特に荷待ち時間の実態を把握する

● 労働時間、特に荷待ち時間や荷役時間を正確に把握する方法を 検討する

● 時間管理のためのツールの導入を検討する

 

【ステップ3】荷待ち時間の発生等、長時間労働になっている原因を検討、把握する

● 発荷主の生産・出荷スケジュールや附帯作業などを検証する

● トラック運送事業者の運行計画、配車計画などを検証する

● 着荷主の受け入れ体制や附帯作業などを検証する

 

【ステップ4】荷主企業、運送事業者の双方で、業務内容を見直し改善に取り組む

● 把握、検証した長時間労働の原因について関係者間で協議する

● 荷主、トラック運送事業者それぞれができることを検討する

 

【ステップ5】荷主、トラック運送事業者間での応分の費用負担を検討する

● 作業効率化のために必要な機器やソフトウェアの導入、作業手 順の見直し等を検討する

● 関係者間で応分の費用負担を検討する

 

【ステップ6】改善の成果を測定するための指標を設定する

● 改善効果を測るための数値目標を設定する

● 問題点と改善に向けた意識を関係者間で共有する

 

【ステップ7】指標の達成状況を確認、評価することでさらなる改善に取り組む

● 設定した数値目標を定期的にモニタリングする

● 数値目標の達成度合いについて関係者間で共有する

 

<改善に向けた対応>

次の項目について、改善に向けた具体的な対応の内容が示されています。

 

 1 予約受付システムの導入
 2 パレット等の活用
 3 発荷主からの入出荷情報等の事前提供
 4 幹線輸送部分と集荷配送部分の分離
 5 集荷先や配送先の集約
 6 運転以外の作業部分の分離
 7 出荷に合わせた生産・荷造り等
 8 荷主側の施設面の改善
 9 十分なリードタイムの確保による安定した輸送の確保
10 高速道路の利用
11 混雑時を避けた配送
12 発注量の平準化
13 モーダルシフト(フェリーなどの内航海運や鉄道の利用への切替え)

 

荷主さんの協力が無ければ改善は進みません。このガイドラインは、自社の改善目標を提示し、荷主さんに協力を依頼する内容を明らかにするために役立つでしょう。

 

2018.11.15.解決社労士

<自殺の原因>

厚生労働省が公表した「平成30年版過労死等防止対策白書」の中に、警察庁の自殺統計原票データに基づく内容が次のようにまとめられています。

 

我が国の自殺者数は、平成10(1998)年以降14 年間連続して3万人を超えていたが、平成22(2010)年以降減少が続き、平成29(2017)年は21,321 人となっている。また、自殺者数総数に対する、勤務問題を原因・動機の1つとする自殺者の割合は増加傾向にあり、平成29 年は9.3%となっている。

職業別にみると、被雇用者・勤め人(有職者から自営業・家族従業者を除いたもの。会社役員等を含む)の自殺者数は、近年、総数が減少傾向にある中でおおむね減少傾向にあったが、平成29 年は前年比108 人増加の6,432 人となっている。

原因・動機別(遺書等の自殺を裏付ける資料により明らかに推定できる原因・動機)にみると、勤務問題が原因・動機の一つと推定される自殺者数は、平成19(2007)年から平成23(2011)年までにかけて、自殺者総数が横ばいから減少傾向にある中で増加したが、その後減少し、平成28 年は1,978 人となった。

しかし、平成29 年は前年比13 人増の1,991 人となっている。

勤務問題が原因・動機の一つと推定される自殺者数の推移を原因・動機の詳細別にみると、勤務問題のうち「仕事疲れ」が約3割を占め、次いで、「職場の人間関係」が2割強、「仕事の失敗」が2割弱、「職場環境の変化」が1割強となっている。

 

<自殺の防止>

上記の内容を簡単にまとめると、「自殺者の総数は減っているが、勤務問題を原因とする自殺は増えている。具体的な動機としては、仕事疲れ、人間関係、仕事の失敗、環境の変化が多い」となります。

従業員の自殺は明らかな戦力ダウンですし、会社の対策が不足していれば、親族からの賠償請求や顧客離れ、会社の評判の低下などにより、一部の大企業を除けば会社の存続が危うくなるのは目に見えています。

働き方改革が推進される中で、過労自殺がクローズアップされています。その防止法は明確で過重労働の解消です。

「職場の人間関係」の具体的内容としては、セクハラやパワハラが想像されますし、パワハラは「仕事の失敗」による苦痛を倍加させます。

「職場環境の変化」について行けないというのは、個人の資質に原因もありますが、会社は十分な教育をしたかを問われます。教育の不足は「仕事の失敗」にもつながります。

労働時間の削減に加え、ハラスメント対策と社員教育の強化が、従業員の自殺防止に効果的であることは明らかではないでしょうか。

迷ったら、信頼できる社会保険労務士にご相談ください。

 

2018.11.14.解決社労士

平成30(2018)年10月31日、厚生労働省が労働政策審議会の労働条件分科会に、働き方改革関連法で来年4月から導入される高度プロフェッショナル制度(高プロ)について、具体的な対象業務の素案と導入する場合の企業の実務フローを示しました。

今後、この資料に沿って議論が進むことになります。

 

<対象となる業務の条件>

対象業務とされるには、次の条件を満たすことが必要です。

 

【対象業務の要件等】

・高度の専門的知識等を必要とし、その性質上従事した時間と従事して得た成果との関連性が通常高くないと認められる業務であること。〔労働基準法41条の2 1項1号〕

・使用者は「始業・終業時間や深夜・休日労働など労働時間に関わる働き方についての業務命令や指示などを行ってはならない」「実際の自由な働き方の裁量を奪うような成果や業務量の要求や納期・期限の設定などを行ってはならない」。〔参議院厚生労働委員会附帯決議(平成30年6月28日)二十一〕

・当該事業場における労使委員会が決議した業務であること。〔労働基準法41条の2 1項〕

 

<対象業務(素案)>

対象業務として、金融商品の開発業務、金融商品のディーリング業務、アナリストの業務、コンサルタントの業務、研究開発業務が示されています。

しかし、これらに含まれるすべての業務が高度プロフェッショナル制度の対象となるわけではなく、その範囲は以下に示すように限定されています。

 

【金融工学等の知識を用いて行う金融商品の開発の業務】

・金融取引のリスクを減らしてより効率的に利益を得るため、金融工学のほか、統数学、経済学等の知識をもって確率モデル等の作成、更新を行い、これによるシミュレーションの実施、その結果の検証等の技法を駆使した新たな金融商品の開発の業務

 

【資産運用の業務、有価証券の売買その他の取引の業務】

・投資判断に基づく資産運用(指図を含む。)の業務(資産運用会社等におけるファンドマネージャーの業務)

・投資判断に基づく資産運用として行う有価証券の売買その他の取引の業務(資産運用会社等におけるトレーダーの業務)

・証券会社等におけるディーラーの業務(自社の資金で株式や債券などを売買する業務)

 

【有価証券市場における相場等の動向又は有価証券の価値等の分析、評価又はこれに基づく投資に関する助言の業務】

・有価証券等に関する高度の専門知識と分析技術を応用して分析し、当該分析の結果を踏まえて評価を行い、これら自らの分析又は評価結果に基づいて運用担当者等に対し有価証券の投資に関する助言を行う業務

 

【顧客の事業の運営に関する重要な事項についての調査又は分析及びこれに基づく当該事項に関する考案又は助言の業務】

・企業に対して事業・業務の再編、人事等社内制度の改革など経営戦略に直結する業務改革案などを提案し、その実現に向けてアドバイスや支援をしていく業務

 

【新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務】

・新たな技術の開発、新たな技術を導入して行う管理方法の構築、新素材や新型モデル・サービスの開発等の業務

 

まだ、厚生労働省から資料が提示された段階ではありますが、かなり高度に専門的な業務のみが対象とされることは分かります。

安易に高プロを導入できないのは、間違いないことのようです。

 

2018.11.13.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、30名を擁する働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。

平成31(2019)年1月から「確定申告書等作成コーナー」のホームページが一新され、スマートフォンやタブレットに最適化されたデザインの画面を利用して、所得税の確定申告書が作成できるようになると国税庁が公表しました。

 

<スマートフォン専用画面>

スマートフォンやタブレットに最適化したデザインの画面を利用して、所得税の確定申告書が作成できるようになります。

 

<デザイン一新>

トップページなどについて、シンプルでよりわかりやすいデザインに変更されます。

 

<e-Taxの送信方式>

「マイナンバーカード方式」と「ID・パスワード方式」の選択ができるようになります。

 

【マイナンバーカード方式】

マイナンバーカードとICカードリーダライタを利用してe-Taxを行う方法です。

以下のものの用意が必要です。

 

マイナンバーカード

マイナンバーカードの取得方法については、マイナンバーカード総合サイトを参照するか、住民票のある市区町村に確認します。

 

ICカードリーダライタ

ICカードリーダライタは、マイナンバーカードの電子証明書を読み込むために必要となるもので、家電販売店などで購入できます。

また、ICカードリーダライタの代わりに、マイナンバーカード対応のスマートフォンも利用できます。

 

【ID・パスワード方式】

「ID・パスワード方式の届出完了通知」に記載されたe-Tax用のID・パスワードを利用してe-Taxを行う方法です。

マイナンバーカードとICカードリーダライタは不要です。

「ID・パスワード方式の届出完了通知」は、税務署で職員による本人確認を行った上で発行されます。

運転免許証などの本人確認書類を税務署に持参して行います。

なお、平成30(2018)年1月以降、確定申告会場などで既にID・パスワード方式の届出完了通知を受け取った人は、平成31(2019)年1月から利用できます。

 

2018.11.12.解決社労士

<過労死の労災認定基準>

仕事が主な原因で発症した心筋梗塞などの「心疾患」、脳梗塞などの「脳血管疾患」、また、仕事によるストレスが関係した精神障害については、「業務上疾病」として認められます。

そして、これらの認定に当たっての基準が以下のとおり通達で定められています。

 

〈労働者についての労災認定基準〉

① 脳血管疾患・心疾患について

 平成13 年12 月12 日付け基発第1063 号「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について」

② 精神障害について

 平成23 年12 月26 日付け基発1226 第1号「心理的負荷による精神障害の認定基準について」

 

〈国家公務員についての公務災害認定基準〉

① 脳血管疾患・心疾患について

 平成13 年12 月12 日付け勤補―323「心・血管疾患及び脳血管疾患の公務上災害の認定について」

② 精神障害について

 平成20 年4月1日付け職補―114「精神疾患等の公務上災害の認定について」

 

〈地方公務員についての公務災害認定基準〉

① 平成13 年12 月12 日付け地基補第239 号「心・血管疾患及び脳血管疾患の公務上災害の認定について」

② 平成13 年12 月12 日付け地基補第240 号「「心・血管疾患及び脳血管疾患の公務上災害の認定について」の実施及び公務起因性判断のための調査事項について」

③ 平成24 年3月16 日付け地基補第61 号「精神疾患等の公務災害の認定について」

④ 平成24 年3月16 日付け地基補第62 号「「精神疾患等の公務災害の認定について」の実施について」

 

これらは、行政が作成した基準ですから、統計資料の作成など行政の内部で使われるのは当然ですが、裁判所もこれらを尊重しますから、訴訟の場面でも基準となっています。

 

<脳・心臓疾患の労災補償状況>

厚生労働省が公表した「平成30年版過労死等防止対策白書」の中には、次のようにまとめられています。

業務における過重な負荷により脳血管疾患又は虚血性心疾患等(以下「脳・心臓疾患」という。)を発症したとする労災請求件数は、過去10 年余りの間、700 件台後半から900 件台前半の間で推移している。

労災支給決定(認定)件数は、平成14(2002)年度に300 件を超えて以降、平成18(2006)年度から平成20(2008)年度に300 件台後半となったが、それ以降は200 件台後半から300 件台前半の間で推移しており、そのうちの死亡件数は、平成14 年度に160 件に至ったが、ここ数年間は90 件台から100 件台前半で推移している。

平成29(2017)年度における脳・心臓疾患の労災請求件数は840 件で、前年度比15 件の増加となり、労災支給決定(認定)件数は253 件(うち死亡92 件)で、前年度比7件の減少となっている。

 

簡単に言うと、「過労死が疑われる事実の発生件数も、労災と認定された件数も、明らかな増加または減少の傾向は見られない」ということです。

 

<労働時間との関係>

労働時間との関係は、次のようにまとめられています。

なお、ここでの「時間外労働時間」は法定労働時間が基準となっています。

 

時間外労働時間別の労災支給決定(認定)件数をみると、まず評価期間が1か月の場合、「100 時間以上~120 時間未満」42 件、「160 時間以上」17 件、「120 時間以上~140 時間未満」14 件の順に多くなっている。

次に評価期間が2~6か月における1か月平均の場合、「80 時間以上~100 時間未満」96 件、「100 時間以上~120 時間未満」34 件、「60 時間以上~80 時間未満」11 件の順に多くなっている。

 

<過労死ライン>

過労死認定基準として「法定労働時間を上回る残業時間が1か月で100時間を超えた場合、または、直近2~6か月の平均が80時間を超えた場合」という基準が有名です。

今回の労働基準法の改正でも、残業時間の規制に、過労死ラインが取り入れられています。

しかし、この基準さえ守れば、会社は従業員の過労死について責任を負わずに済むという絶対の基準はありません。

ましてや、基準を守っているかのような数字を作ることによって、会社の責任が消えるハズはありません。

特定の従業員に負担が集中しているのなら、たとえ本人が望んでいる場合であっても、万一の事態を想定して負担を分散しなければなりません。

また、全社的に従業員の負担が大きいのであれば、事業の存続について行政に協力を求めるべきです。

そして、それも無理なら思い切って事業の継続を見直すことも必要です。

会社の存続を人命に優先させてはなりません。

 

2018.11.11.解決社労士

<社会保険労務士>

平成30(2018)年11月9日、厚生労働省が第50回社会保険労務士試験の合格者を決定し公表しました。

今回の試験は、8月26日に全国19都道府県の会場で実施されました。

社会保険労務士は、労働・社会保険に関する専門家で、労働社会保険諸法令に基づく申請書類などの作成や労務管理、社会保険に関する相談・指導などを行います。

また、コンサルタント業務を行う場合には、主に顧問社労士として、中長期的な視点から、会社を継続的に改善し成長させるためのアドバイスを続けます。

その分野は、労働保険や社会保険だけでなく、採用、教育、労務管理、人事制度、就業規則、労使協定など入社前から退職後まで人に関すること全体に及びます。

試験の合格者は、労働社会保険諸法令の事務に2年以上従事、または厚生労働大臣が指定した講習を修了後に、全国社会保険労務士会連合会に備える社会保険労務士名簿に登録することで、社会保険労務士となることができます。

社会保険労務士は、公務員ではありません。医師や弁護士と同じく、国家資格の専門家です。

決して国の味方ではありません。正しい者の味方です。

 

【概要】

受験申込者数  49,582 人

(前年49,902人、対前年 0.6%減)

 

受験者数 38,427人

(前年38,685人、対前年 0.7%減)

 

合格者数 2,413人

(前年 2,613人)

 

合格率 6.3%

 

【合格者の構成】

年齢別構成

20 歳代以下(9.2%)、30 歳代(29.5%)、40 歳代(32.8%)、

50 歳代(19.2%)、60 歳代以上(9.3%)

 最年少者 20 歳、最高齢者 84 歳

 

職業別構成

会社員(57.4%)、無職(13.6%)、公務員(6.2%)、団体職員(5.3%)、

自営業(5.2%)、役員(3.1%)、学生(0.5%)、その他(8.7%)

 

男女別構成

男性(65.1%)、女性(34.9%)

 

 

<難易度>

試験について、合格率だけで難易度が論じられることがあります。

しかし、たとえば東京大学の一般入試で文科系の合格率は30%程度です。

頭が良くなくても合格できますが、ここの入試で高得点を取るための準備には大変な努力が必要です。

試験の難易度は、むしろ合格するのに必要な準備時間で考えるのが現実的だと思います。

社会保険労務士試験の場合、普通の会社員なら、週40時間の勉強を2年続ければ十分でしょう。

3年以上の期間をかけて合格を狙った場合、法改正が多すぎて混乱するリスクがあります。

大学で法律を学んだ、行政書士試験に合格したなど、法令を学ぶことに抵抗が少ない方々は、勉強時間を短縮できます。

とはいえ、勤め人にとっては、勉強時間の確保が最大の課題です。

 

2018.11.10.解決社労士

<ストレスの原因>

厚生労働省が公表した「平成30年版過労死等防止対策白書」では、職場でストレスなどを感じている人の割合や内容について次のようにまとめられています。

 

仕事や職業生活に関することで強い不安、悩み、ストレスを感じている労働者の割合は、平成28(2016)年は59.5%であり、依然として半数を超えている。

「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる」とした労働者のうち、その内容をみると、「仕事の質・量」(53.8%)が最も多く、次いで、「仕事の失敗、責任の発生等」(38.5%)、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む。)」(30.5%)となっている。

 

<相談相手>

現在の自分の仕事や職業生活でのストレスについての相談相手については、次のようにまとめられています。

 

現在の自分の仕事や職業生活でのストレスについて「相談できる人がいる」とする労働者の割合は91.1%となっており、「相談できる人がいる」とする労働者が挙げた相談相手は、「家族・友人」(84.8%)が最も多く、次いで、「上司・ 同僚」(76.0%)となっている。

また、家族・友人等を除き、職場に事業外資源(事業場外でメンタルヘルス対策の支援を行う機関及び専門家)を含めた相談先がある労働者の割合は71.2%である。

なお、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(平成 30 年7月 24 日閣議決定)において、2022 年までに仕事上の不安悩み又はストレスについて、職場に事業場外資源を含めた相談先がある労働者の割合を90%以上とすることを目標としている。

また、「ストレスを相談できる人がいる」とした労働者のうち、実際に相談した人がいる労働者の割合は85.0%となっており、実際に相談した相手をみると、「家族・友人」(81.3%)が最も多く、次いで、「上司・同僚」(71.3%)となっている。

 

ここで「事業場外資源」には社会保険労務士も含まれます。

たしかに、社会保険労務士の中には手続業務や給与計算などの事務的な業務のみを専門に行っている者もいます。

しかし、社会保険労務士の専門分野は、採用、教育、労務管理、人事制度、就業規則、労使協定など人に関すること全体に及びます。

ですから、顧問の社会保険労務士を相談窓口に設定し、不安、悩み、ストレスが労使紛争へと発展しないうちに解決できるようにしている企業も多いのです。

 

<メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合>

 

メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は、56.6%(平成28 年)となっている。

また、事業所の規模別にみると、50 人以上の事業所は80%を超える割合となっている一方、10人~29 人の事業所は48.3%となっている。

なお、「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(平成 30 年7月 24 日閣議決定)において、2022 年までにメンタルヘルス対策に取り組んでいる事業場の割合を80%以上とすることを目標としている。

また、平成27 年12 月から施行されている、医師、保健師等による心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を集団分析して、その結果を活用した事業場の割合は37.1%(平成28 年)となっている。

なお、大綱において、ストレスチェック結果を集団分析し、その結果活用した事業場の割合を60%以上とすることを目標としている。

 

事業所の規模が小さいほど、メンタルヘルス不調により職場を離れる者が出た場合のダメージは大きいのですが、対策に取り組んでいない割合が多いというのは心配です。

 

<職場のハラスメント>

昔に比べて増えたように見えないパワハラ、セクハラ、マタハラなどの相談が増えています。

ハラスメントに対する意識について、経営者と労働者との間に大きな溝があるのでしょうか。

50年前には禁煙の場所が限られていたのに、今では喫煙できる場所が限られています。歩きタバコをしている人には、高齢者の方も多く見られます。喫煙に対する社会の目の変化についていけない部分もあるのでしょう。

 

職場のハラスメントの問題については、近年、全国の総合労働相談コーナーへの「いじめ・嫌がらせ」の相談件数が増加するなど、社会問題として顕在化している。

具体的には、総合労働相談コーナーにおいて、民事上の個別労働紛争に係る相談を平成29(2017)年度中253,005 件受け付けているが、そのうち、職場での「いじめ・嫌がらせ」に関する相談受付件数は、72,067 件(23.6%)であり、相談内容として最多となっている。

 

職場のハラスメント対策は、経営者がハラスメントを正しく理解し、これを絶対に許さないと宣言するのが第一歩です

これが行われない職場から従業員が離れていくのは、残念ながら仕方のないことだと思います。

 

2018.11.09.解決社労士

<1人当たりの労働時間>

厚生労働省が公表した「平成30年版過労死等防止対策白書」では、労働者1人当たりの労働時間について次のようにまとめられています。

 

我が国の労働者1人当たりの年間総実労働時間は緩やかに減少している。

平成29(2017)年は前年比3時間の減少となっており、5年連続で減少している。

総実労働時間を所定内労働時間、所定外労働時間の別にみると、所定内労働時間は長期的に減少傾向が続いている一方、所定外労働時間は、平成 21(2009)年以降、増加傾向にあり、平成 28(2016)年にわずかに減少したものの、平成 29 年は前年比2時間増加の 131時間となっている。

 

ここで「所定内労働時間」とは、事業所の就業規則や労働契約で定められた、正規の始業時刻と終業時刻との間の実労働時間数のことで、休憩時間は差し引かれています。

また、「所定外労働時間」とは、早出、残業、臨時の呼出、休日出勤等の実労働時間数のことです。

「総実労働時間」は、「所定内労働時間」と「所定外労働時間」の合計です。

 

働き方改革の影響が出る前から、総実労働時間に減少傾向が見られたことになります。

 

<労働時間減少の原因>

1人当たりの労働時間が減少傾向にある原因は、次のように説明されています。

 

一般労働者とパートタイム労働者の別にみると、一般労働者の総実労働時間は平成 21 年

を除き、2,000 時間を超えているが、パートタイム労働者の総実労働時間は横ばいから微減で推移している。

一方、パートタイム労働者の割合は、近年、増加傾向にあることから、近年の労働者1人当たりの年間総実労働時間の減少は、パートタイム労働者の割合の増加によるものと考えられる。

 

ここで「一般労働者」とは、「常用労働者」のうち「パートタイム労働者」を除いた労働者のことをいいます。原則として、正社員のように1日の所定労働時間が最も長く、1週の所定労働日数が最も多い者のことです。職場により基準が異なります。

「パートタイム労働者」は、「常用労働者」のうち次のいずれかに該当する労働者のことをいいます。やはり、職場により基準が異なります。

(1) 1日の所定労働時間が一般の労働者よりも短い者。

(2) 1日の所定労働時間が一般の労働者と同じで1週の所定労働日数が一般の労働者よりも少ない者。

なお、1か月未満の期間を定めて雇われている者は、「常用労働者」ではないので、「一般労働者」にも「パートタイム労働者」にも含まれません。

 

いずれにせよ、手品の種明かしのような説明で、実態としては正社員の労働時間が減少していないことが分かります。

特に、「運輸業,郵便業」、「建設業」、「製造業」、「情報通信業」では、全産業平均よりも労働時間が長くなっているそうです。

 

<長時間労働の実態>

「過労死等の防止のための対策に関する大綱」(平成 30 年7月 24 日閣議決定)では、2020 年までに週労働時間 60 時間以上の雇用者の割合を5%以下とすることを目標としています。

 

総務省「労働力調査」で雇用者(非農林業)の月末1週間の就業時間別の雇用者の割合の推移をみると、1週間の就業時間が 60 時間以上である者の割合は、最近では平成 15(2003)、16(2004)年の 12.2%をピークとして減少傾向にある。

平成 21 年に大きく減少した後、平成 22(2010)年に一時増加した。

平成 22 年以降は緩やかな減少を続けていたものの、平成 29 年は前年比同率の 7.7%となっており、月末 1 週間の就業時間が 60 時間以上である雇用者数は前年比で約3万人増加し、432 万人となっている。

 

結論として、長時間労働が安定して減少傾向にあるとは言えないわけです。

 

<長時間労働の担い手>

「平成30年版過労死等防止対策白書」から抽出すると、次の傾向が見られます。

 

・30 歳代、40 歳代で月末の1週間に 60 時間以上就業している者の割合が高い。

・平成 27(2015)年以降、30 代男性より 40 代男性の方が割合が高くなっている。

・女性では、他の年齢層に比べ、40 代、50 代で週 60 時間以上就業している者の割合が低い。

・企業の従業者規模によりそれほど大きな差異はない。ただ平成 29 年は、規模が小さくなるに従って、その割合が高くなっている。

・業種別に見ると、平成 29 年は、「運輸業,郵便業」、「教育,学習支援業」、「建設業」で割合が高く、「医療,福祉」、「電気 ・ ガス ・ 熱供給 ・ 水道業」で割合が低い。

 

2018.11.08.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、30名を擁する働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。

<具体例>

年中無休の新規店舗で働き始めた。

月曜日と水曜日はダンスのレッスンがあり、この2日を除き1日7時間、週5日の勤務という約束だった。

ところが突然、会社からの指示があったということで、毎週火曜日が定休日になった。

週4日しか働けなくなり、社会保険も資格を失うことになった。

こうした変更は、「不利益変更」と言って法的に許されないのではないか。

 

<不利益変更禁止の原則>

「合理的理由がない限り、労働条件を一方的に不利益になるように変更できない」

これが、不利益変更禁止の原則です。

この原則に違反して労働条件の変更を通告しても、その変更は無効ですから労働条件は元のままということになります。

しかし、毎週火曜日は定休日ですから出勤できません。これは、会社都合で働けないのですから、本来の賃金の6割以上の休業手当が支払われなければなりません。

 

<合理的理由がある場合>

不利益変更禁止の原則には、「合理的理由がない限り」という条件が付いています。

合理的理由があれば、労働条件の変更も無効になるとは限りません。

上記の例では、採用されるにあたって「月曜日と水曜日は必ずダンスのレッスンを受けたいので出勤できない」という説明をしていなかった。そして、店長から「火曜日は店休日なので、月曜日か水曜日に働きませんか」と言われた。ここで初めてダンスのレッスンの話を持ち出した。このような事情があれば、合理的な理由は認められやすくなります。

また、会社全体で年次有給休暇の取得率を高める方針で、定休日を設けることにしたのであれば、これにも合理的な理由があったと認められやすいでしょう。

 

<トラブル防止のために>

基本的な労働条件については、「労働条件通知書」などの交付によって、使用者から労働者に通知されます。これが行われないと、労働トラブル発生のリスクが大幅に上昇します。言った/言わないの話になりますし、勘違いも増えるからです。

この「労働条件通知書」には、労使の合意内容が記載されるのですが、出勤日を「日、火、木、金、土曜日」と書くか、「週5日勤務(シフト制)」と書くかによって、大きな違いを生じます。上記の例のように、火曜日を定休日にした場合には、この違いが明らかになります。

また、働いている人たちの都合を考えれば、なるべく早い時期に、定休日を設ける理由を具体的に説明しておきたいところです。

ただ、いくら明確に説明しても「売上が落ちてきたから」「退職者が多く、求人広告への応募者が少ないから」というのでは、経営努力の問題とされ合理的な理由があるとは認められにくくなってしまいます。定休日を設ける場合、いくつもの理由が重なった上でそうするのでしょうから、合理的な理由を中心に説明することが求められています。

 

<円満解決>

最初に挙げた具体例では、定休日には仕事が無いということを前提条件として、解決策を探るのが一般です。

しかし、店舗の休業日であっても、清掃、POP作成・交換、レイアウトや棚割りの変更などの業務を行うことは可能ですし、むしろ休業日に行うことが望ましい業務もあると思われます。

ここまで深く踏み込んだうえで話し合いを行えば、たとえ理想的な結論にたどり着けなくても、納得のいく円満解決が期待できるのではないでしょうか。

 

2018.11.07.解決社労士

<モデル就業規則では>

厚生労働省が公表しているモデル就業規則の最新版(平成30(2018)年1月版)は、次のように規定しています。

 

【退職金の支給】

第52条 勤続  年以上の労働者が退職し又は解雇されたときは、この章に定めるところにより退職金を支給する。ただし、自己都合による退職者で、勤続  年未満の者には退職金を支給しない。また、第63条第2項により懲戒解雇された者には、退職金の全部又は一部を支給しないことがある。

2 継続雇用制度の対象者については、定年時に退職金を支給することとし、その後の再雇用については退職金を支給しない。

 

退職金制度は必ず設けなければならないものではありませんが、設けたときは、適用される労働者の範囲、退職金の支給要件、額の計算及び支払の方法、支払の時期などを就業規則に記載しなければなりません。

これを怠ると、労働基準法違反になります。

 

<慣行がある場合>

会社に就業規則が無い場合や、就業規則はあっても退職金についての規定が無い場合でも、一定の基準で計算された退職金が現に支給されているのであれば、退職者には退職金を受給する権利があるものと考えられます。

ただし、基準が不明確で、経営者に支給の有無や金額の判断が一任されているような場合には、退職者の方から会社に退職金の支払いを求めるのは困難です。あくまでも恩恵的なものであって、退職金の制度があるわけではないという説明ができるからです。

 

<会社の意向で特別に支給する場合>

もっとも、就業規則の規定や過去の例が無ければ退職金を支払えないわけではありません。

長年にわたり会社に多大な貢献をした人に特別に退職金を支給したり、事業縮小に伴い希望退職者を募る時に退職金の支給を条件としたりということがあります。

また、就業規則が規定する金額を上回る退職金が支給される場合もあります。

これらの特別扱いをする場合には、なぜ特別扱いをするのか、その具体的な理由を社内に明示するとともに、これらが前例となるわけではないことを、明確に説明しておく必要があります。これを怠ると、慣例があるものと勘違いしたその後の退職者から、退職金の支払いを求められてトラブルとなる可能性があるからです。

 

2018.11.06.解決社労士

<消えない誤解>

「部長や課長は管理監督者だから、労働基準法41条によると残業手当や休日手当は付かないし、休憩時間も要らないわけで、タイムカードも要らないわけだ」

こんな誤解がいまだに解けないのは何故でしょう。

 

<魔法のことば>

「管理監督者」には2つの意味があります。

 

【2つある管理監督者の意味】

法 令

分 野

管理監督者の意味

労働基準法など

労働条件、労務管理 労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者

労働安全衛生法など

メンタルヘルスを含む健康管理、安全、衛生 職場環境や部下の健康、労働安全、労働衛生に配慮すべき管理職

 

ネットでは「管理監督者」で、次のようなものが検索されます。

・労働基準法における 管理監督者の範囲の適正化のために – 厚生労働省

・しっかりマスター労働基準法 管理監督者編 – 東京労働局

・「管理監督者」 – 確かめよう労働条件 – 厚生労働省

・「管理監督者」の範囲の適正化に関するQ&A – 厚生労働省

これらは、主に労働基準法の解釈に関することが書かれています。

 

ところが、「管理監督者研修」では、次のようなものが検索されます。

・心の健康づくりの研修のために (管理監督者編) – 人事院

・メンタルヘルス対策って、 具体的には何するの? – 愛知県

・管理監督者・職場リーダーのためのラインケアセミナー – 東京労働基準協会

これらの中で「管理監督者」は、労働基準法の規定とは無関係に、「管理職」という意味で使われています。

後ろに「研修」を加えただけで、「管理監督者」の意味が違ってくるのは面白いですね。

 

<使い分け>

「管理監督者」について規定しているのは、労働基準法41条2号の条文です。

 

【労働時間等に関する規定の適用除外】

第四十一条 この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者

 

この中の「監督若しくは管理の地位にある者」というのが、「管理監督者」の語源です。

 

一方、労働安全衛生法は、労働者の安全・衛生を管理する者として、総括安全衛生管理者、安全管理者、衛生管理者、安全衛生推進者等について定めています。

しかし、職場における労働者の安全と健康について第一に責任を負っているのは事業者とされています。

労働安全衛生法には、次の規定があります。

 

【事業者等の責務】

第三条 事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。

 

ここで、事業者とは誰かというと、会社であれば会社そのものです。

実際には、経営者の他、経営者から権限を与えられ責任を負わされる管理職が、事業者である会社の手足となって労働者の安全と健康の確保に努めるわけです。

 

こちらの方は、素直に「管理職」と表現するのが良いと思います。

 

結局、労働基準法41条の厳しい条件を満たすような取締役に準ずる労働者に限定して「管理監督者」と呼び、その他の部長や課長などは「管理職」と呼んで混乱を避けるようにしてはいかがでしょうか。

 

2018.11.05.解決社労士

<健康診断の実施義務>

会社は一定の条件を満たした従業員について、雇い入れ時の健康診断、定期健康診断、深夜業の健康診断などの実施義務を負っています。

そして、その結果は本人に通知する義務を負っていますし、結果を5年間保管する義務も負っています。

 

<罰則>

義務違反には50万円以下の罰金が科せられます。〔労働安全衛生法120条〕

たとえば、健康診断の対象となる従業員が5人いたとして、会社が健康診断を全く実施していなかったとします。

実施していなければ、結果を本人に通知できませんし、結果を保管しておくこともできません。

実施義務違反と、通知義務違反と、保管義務違反で、1人当たり150万円の罰金です。

50万円 × 3 = 150万円 ということです。

5人なら 150万円 × 5 = 750万円 となります。

結果は5年間保管ですから、保管されていなければ、健康診断を実施していない証拠になってしまいます。「個人別結果表をなくしました」と嘘をついても、ではどの健診機関で実施したのかと問い詰められれば、嘘がバレてしまいます。

結局、750万円 × 5回分 = 3,750万円 の罰金ということになります。

 

<損害賠償>

罰金3,750万円で済めば安いものです。

ある従業員が勤務中に脳血管障害で倒れて亡くなったとします。本人は、健康診断を希望していなかったし、受けなくてラッキーだと納得していたとします。

しかし、遺族はどうでしょう。

配偶者や、親兄弟、お子さんたちは、会社に責任があると考えるでしょう。

となると、会社に対して民事訴訟を提起して損害賠償の請求をします。

会社は、自分たちに責任が無いことの証拠をどれだけ持っているでしょうか。

遺族の皆さんは、法定の健康診断を実施していたのか、その結果を元に必要な指導をしていたのかといったことを追究してきます。

会社としては、法律で定められた最低限のことすらしていなかったのですから全面降伏しかありません。

こうなると、3,750万円の罰金とは別に、1億円の損害賠償を求められたりします。

 

法定の健康診断なら1人2万円です。5人なら10万円、5年で50万円です。これは1人の1回分の罰金の額です。高いですか?

 

2018.11.04.解決社労士

<働き方改革の定義>

働き方改革の定義は、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ労働生産性を向上させる急速な改善」といえるでしょう。

ここで、労働生産性を向上させるために人件費を削減、あるいは従業員の手取り額を減らすことは、明らかに働き手の欲求に反しますから、働き方改革にはなりません。

 

<企業にとっての働き方改革の目的>

政府としては、少子高齢化による労働力不足や消費の落ち込みを解消するために、何としても働き方改革を推進しなければなりません。

しかし、企業が働き方改革に取り組むのは、政府に協力することが目的ではありません。

求職者に「この会社で働きたい」と思わせること、従業員に「この会社で働き続けたい。貢献したい。自分が成長したい」と思わせること、従業員の家族をはじめ取引先や金融機関、そして何よりお客様に「この会社は良い会社だ」と思わせることが、本音の目的だと考えられます。

 

<働き方改革の手段>

上記の目的を果たすための具体的な手段としては、次のようなものが挙げられます。

 

【労働時間の正確な把握】

 社内で把握可能な勤務時間はもちろんのこと、社外での勤務時間や持ち帰り仕事の時間も、可能な限り正確に把握する必要があります。

 これは、すべての働き方改革の前提条件ですから、これを怠ると不平等や不公平が拡大して社員の不満が高まります。

 

【業務の削減】

 過去からの習慣で行っているだけの業務をやめる。経営者の満足のために行っているだけの業務をやめる。この2つでかなりの業務が削減されます。

 加えて、仕事のダブりをなくす、時間帯や手順を変える、取引先との取り決めを見直す、システム化、機械化、外注化、上司や先輩から部下や後輩へのノウハウ伝授など、できることは意外に多いものです。

 これも、すべての働き方改革の前提条件ですから、怠ると会社も従業員も無理を強いられて苦労することになります。

 

【残業時間の削減】

 業務が減れば、自然と残業時間は減っていきます。減らない従業員がいた場合には、その原因を究明して問題点を解消しなければなりません。特定の人に業務が偏っていたり、残業代が欲しくてあえて残業が増えるように立ちまわっていたりと、原因はさまざまです。

 業務が減るペースを上回って残業時間が減る場合には、サービス残業や持ち帰り仕事が発生している可能性があります。

 また、残業時間が減った分だけ、従業員の手取り額が減らないように、何らかの手当を支給する、賞与に上乗せするなどが必要です。収入が減って喜ぶ従業員はいません。

 

【年次有給休暇の取得率向上】

 平成31(2019)年4月以降は、企業側から積極的に年次有給休暇を取得させる義務も発生します。

 業務の削減が進んでいれば、こうした法改正への対応も難しくはないでしょう。

 ただ、労働基準法が1年間で5日以上と定めたからといって、一律に5日の年次有給休暇を取得させ、それ以上の休暇を取れない雰囲気にしてしまうのは本末転倒です。

 毎年10月に最低賃金が改定されて、そのたびに時給が最低賃金ピッタリに上昇している状態と同じで、あまり喜べるものではありません。

 法改正によって強制される以上の年次有給休暇取得を奨励するのが、本当の働き方改革です。

 また、今回の法改正は、企業に時季指定義務を課したのだという説明も見られます。しかし、年次有給休暇はあくまでも労働者の権利ですから、権利者である従業員の意向を十分に反映して取得日を決定する必要があります。

 

【フレックスタイム制】

 平成31(2019)年4月より、清算期間の上限が1か月から3か月に延長されるのですが、使用者から労働者に業務内容の指示はできても、出勤日や始業・終業時刻の指示はできないという大原則に変更はありません。

 業務に支障が出ないように、労働者同士で話し合って出勤日や勤務時間帯を決めたうえで、使用者に事前報告するというのが上手な運用の基本です。

 あくまでも、生活と仕事の両立を目指し、労働生産性を高めるための制度ですから、結果として残業時間が減少したり年次有給休暇の取得が減ったりはあっても、最初からそれを意図するというのは誤った運用になります。

 

<働かせ方改革にしないために>

会社の立場で、経営陣や人事部門が働き方改革を推進したつもりになっても、それが働き手の必要と欲求に反していれば、それは「働かせ方改革」になってしまいます。

これでは、働き方改革の目的は達せられません。

働き方改革の推進のためには、実施の前後に従業員の声を聞き、不満がないか不合理ではないかということを常にチェックする必要があるのです。

 

2018.11.03.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、30名を擁する働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。

<救急箱を備える義務>

救急用具について、労働安全衛生規則には次の規定があります。

 

【労働安全衛生規則633条1項】

(救急用具)第六百三十三条 事業者は、負傷者の手当に必要な救急用具及び材料を備え、その備付け場所及び使用方法を労働者に周知させなければならない。

2 事業者は、前項の救急用具及び材料を常時清潔に保たなければならない。

 

ただ救急箱を置いておけば良いのではなく、イザというときに役立つよう、従業員に置き場所を知らせておき、使い方も指導しておく必要があります。

もちろん、メンテナンスも重要です。

 

<救急箱の中身>

救急箱の中身についても規定されています。

 

【労働安全衛生規則634条】

(救急用具の内容)第六百三十四条 事業者は、前条第一項の救急用具及び材料として、少なくとも、次の品目を備えなければならない。

一 ほう帯材料、ピンセット及び消毒薬

二 高熱物体を取り扱う作業場その他火傷のおそれのある作業場については、火傷薬

三 重傷者を生ずるおそれのある作業場については、止血帯、副木、担架等

 

つまり、どの職場にも最低限、包帯材料、ピンセット、消毒薬が必要です。

このうち、包帯材料はよく見るガーゼ付きの絆創膏でもかまいません。

また、消毒薬も赤チンなどではなく、無色透明のシュッと吹き付けるタイプのものでかまいません。

これらを保管するには、やはり救急箱が手頃でしょう。

 

<管理もきちんと>

従業員の誰かが気を利かせたつもりで、救急箱の中に医師から処方された胃腸薬の使い残しを入れておいたとします。

これを他の従業員が勝手に服用すると、薬事法違反となりかねません。

ですから、救急箱は中身が適正で清潔に保てるよう、担当者を決めてきちんと管理することが大事です。

 

2018.11.02.解決社労士

平成30(2018)年10月23日、厚生労働省が平成30 年「就労条件総合調査」の結果を取りまとめ公表しました。

「就労条件総合調査」は、国内の民間企業における就労条件の現状を明らかにすることを目的としています。

対象は、常用労働者30人以上の民営企業( 医療法人、社会福祉法人、各種協同組合等の会社組織以外の法人を含む )で、このうち6,370社を抽出して平成30年1月1日現在の状況等について1月に調査を行い、3,697社から有効回答を得ています。

平成29年の年次有給休暇の取得率は51.1%で、前年に比べて1.7 ポイント上昇しています。50%を超えたのは特筆に値しますが、政府は70%を目指していますので、まだまだこれからともいえます。

 

【労働時間制度】

所定労働時間

1日の所定労働時間は、1企業平均7時間46分、労働者1人平均7時間45分。

週所定労働時間は、1企業平均39時間31分、労働者1人平均39時間02分。

産業別にみると、「金融業,保険業」が38時間21分で最も短く、「宿泊業,飲食サービス業」が39時間56分で最も長い。

 

週休制

「何らかの週休2日制」を採用している企業割合は84.1%。

「完全週休2日制」を採用している企業割合は46.7%。

 

年間休日総数

平成29年の年間休日総数の1企業平均は107.9日、労働者1人平均は113.7日。

 

年次有給休暇

平成29年(又は平成28会計年度)1年間に企業が付与した年次有給休暇日数(繰越日数を除く)は労働者1人平均18.2日、そのうち労働者が取得した日数は9.3日で、取得率は51.1%。

 

変形労働時間制

変形労働時間制を採用している企業割合は60.2%。

種類別(複数回答)では、「1年単位の変形労働時間制」が35.3%、「1か月単位の変形労働時間制」が22.3%、「フレックスタイム制」が5.6%。

 

みなし労働時間制

みなし労働時間制を採用している企業割合は15.9%。

種類別(複数回答)では、「事業場外みなし労働時間制」が14.3%、「専門業務型裁量労働制」が1.8%、「企画業務型裁量労働制」が0.8%。

 

勤務間インターバル制度

勤務間インターバル制度の導入状況別の企業割合は、「導入している」が1.8%、「導入を予定又は検討している」が9.1%、「導入予定はなく、検討もしていない」が89.1%。

 

【賃金制度】

時間外労働の割増賃金率

「一律に定めている」企業割合は82.7%、うち時間外労働の割増賃金率を「25%」とする企業割合は93.0%、「26%以上」とする企業割合は6.1%。

 

上記のうち、1か月60時間を超える時間外労働に係る割増賃金率を定めている企業割合は30.1%。

このうち時間外労働の割増賃金率を「25~49%」とする企業割合は40.3%、「50%以上」とする企業割合は56.2%。

 

【退職給付(一時金・年金)制度】

退職給付制度

制度がある企業割合は80.5%。

上記のうち、制度の形態別の企業割合は「退職一時金制度のみ」が73.3%、「退職年金制度のみ」が8.6%、「両制度併用」が18.1%。

 

退職年金制度

制度がある企業について、支払準備形態(複数回答)別の企業割合をみると、「厚生年金基金(上乗せ給付)」が20.0%、「確定給付企業年金(CBP を含む)」が43.3%、「確定拠出年金(企業型)」が47.6%。

 

2018.11.01.解決社労士

統計調査などによっては、異なる意味で使用されることもありますが、基本的なものをまとめてみました。

 

<常用労働者>

次のうちいずれかに該当する労働者のこと。

(1) 期間を定めずに雇われている者。

(2)  1か月以上の期間を定めて雇われている者。

つまり、1か月未満の期間を定めて雇われている者は、常用労働者ではない。

 

<パートタイム労働者>

「常用労働者」のうち次のいずれかに該当する労働者のこと。

職場により基準が異なる。

(1) 1日の所定労働時間が一般の労働者よりも短い者。

(2) 1日の所定労働時間が一般の労働者と同じで1週の所定労働日数が一般の労働者よりも少ない者。

 

<一般の労働者>

「常用労働者」のうち「パートタイム労働者」を除いた労働者のこと。

原則として、正社員のように1日の所定労働時間が最も長く、1週の所定労働日数が最も多い者。

職場により基準が異なる。一般労働者とも言う。

 

<所定内労働時間数>

事業所の就業規則や労働契約で定められた、正規の始業時刻と終業時刻との間の実労働時間数のこと。休憩時間は差し引かれる。

所定労働時間とも言う。

統計資料では、労働者によって異なる場合に、最も多くの労働者に適用されるものを、その企業の所定内労働時間数としている。変形労働時間制が採用されている場合には、期間内の平均をその企業の所定内労働時間数としている。

 

<所定外労働時間数>

早出、残業、臨時の呼出、休日出勤等の実労働時間数のこと。

 

<総実労働時間数>

「所定内労働時間数」と「所定外労働時間数」の合計。

 

<変形労働時間制>

週40時間、1日8時間の労働時間の原則に対して、一定の期間内で例外を認める制度。

1年単位の変形労働時間制、1か月単位の変形労働時間制、1週間単位の非定型的変形労働時間制、フレックスタイム制がある。

 

<みなし労働時間制>

特定の事情により、労働時間の算定が困難であったり、通常と同じ算定方法が適切でなかったりする場合に、労使協定等により定めた時間を労働したものとみなす制度。

事業場外みなし労働時間制、専門業務型裁量労働制、企画業務型裁量労働制がある。

 

<事業場外みなし労働時間制>

営業社員など、事業場外で業務に従事し、使用者の具体的な指揮・監督が及ばず、労働時間を算定することが困難な業務を遂行する場合に、所定労働時間、または労使協定等により通常必要とされる時間を労働したものとみなす制度。

 

<専門業務型裁量労働制>

研究開発など、その業務の性質上その遂行の方法や時間配分の決定等に関し具体的な指示をすることが困難として法定されている業務に就かせた場合に、あらかじめ定めた時間労働したものとみなすことを労使協定により定める制度。

 

<企画業務型裁量労働制>

事業運営に関する企画、立案、調査、分析の業務を行うホワイトカラー労働者を対象として、労使委員会で決議した時間労働したものとみなす制度。

導入には、労使委員会で5分の4以上の多数による決議が必要であり、また、対象労働者本人の同意が必要。

 

<勤務間インターバル>

実際の終業時刻から次の始業時刻までの間隔。

これを一定時間以上空ける制度を、勤務間インターバル制度という。

 

<時間外労働>

法定労働時間(原則、1日8時間、1週40時間)を超えて労働させることをいう。

時間外労働の割増賃金も、法定労働時間を超える部分について発生する。

 

2018.10.31.解決社労士

<就業規則作成料金の相場>

社会保険労務士に就業規則の作成を依頼すると、相場は20万円前後です。

何に経費がかかるのかというと、経営者や人事部門の責任者と繰り返し行う打合せの時間、移動時間、就業規則をパソコンで作成する時間、これらすべての人件費です。

こうした業務を行えるのは、労働基準法、労働契約法、労働安全衛生法その他の労働法についての専門知識があり、法改正や通達の変更、裁判所の新判例や判例変更、社会情勢の変動などに即した知識の更新があって、トラブル対応の実戦経験を積んでいればこそのことです。

日頃の自己研鑽あっての高度に専門的な業務なので、人件費の時間単価は高額になるのです。

 

<高い就業規則で元が取れるのか>

下手な就業規則はトラブルを招きます。

会社と退職者との間で争いが生じ、徹底的に争った場合には、時間、労力、人件費その他の経費、そして何より精神力の負担が大変です。裁判になれば、会社の評判も落ちます。

会社の負担を減らすため、和解に持ち込むことができたとしても、3・6・12の法則があると言われるくらいです。

 

【解決金の相場3・6・12の法則】

賃金の3か月分 ― 退職者側に悪質性が認められる場合の解決金

賃金の6か月分 ― 会社と退職者のどちらが悪いともいえない場合の解決金

賃金の12か月分 ― 会社側に悪質性が認められる場合の解決金

 

こうしてみると、優れた就業規則でトラブルを防ぐことができるか、あるいは会社に悪質性が認められずに済むことが1回でもあれば、十分に元を取ることができます。

 

ネットに公開されている就業規則を手直ししたり、友人の会社の就業規則をコピーさせてもらったりでは、自社の実態に合った就業規則にはなりません。

この実態に合わない就業規則がトラブルの種となるのです。

 

<就業規則はいつ作るか>

労働基準法には、次の規定があります。

 

(作成及び届出の義務)第八十九条 常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。次に掲げる事項を変更した場合においても、同様とする。(以下略)

 

これによると、従業員が9人までは就業規則の作成義務が無いことになります。

しかし、なるべく早く就業規則作りに取りかかることを強くお勧めします。

残念なことに、「そろそろ従業員の人数が2ケタになりそう」「労働基準監督署の監督が入って勧告を受けた」というタイミングで、就業規則の作成を依頼してくるお客様が多いのです。

 

会社を設立し、いつか従業員を雇い入れる予定があるのなら、すぐに就業規則を作るようお勧めします。

従業員が1人でもいれば、就業規則の変更にあたって、不利益変更という厄介な問題が出てきます。

しかし、適用対象者がいないのであれば変更は自由です。

思い立った時に変更をかけていけば、会社にぴったりの就業規則が完成してから従業員を雇い入れるという理想的な形になります。

 

2018.10.30.解決社労士

雇用関係助成金の計画書や申請書類等の受付について、事業主の利便性向上のため、平成30(2018)年10月1日から郵送による受付が行われるようになりました。

 

<郵送の注意点>

郵送受付を利用する事業主に対して、厚生労働省は次の注意を呼びかけています。

・郵送事故の防止のため、簡易書留等、必ず配達記録が残る方法で郵送してください。

・郵送の場合、申請期限までに到達していることが必要です。

・書類の不備や記入漏れがないよう、事前によくご確認ください。

 

<書面審査の注意点>

雇用関係助成金は、原則として、提出された書類により審査が行われます。

書類の不備や補正すべき内容があった場合、都道府県労働局長や(独)高齢・障害・求職者雇用支援機構理事長が相当な期間を定めて提出や補正を求めます。

それでも提出や補正がない場合は、1か月以内を期限として補正を求める書面を発送します。

その期限までに提出や補正が無い場合は、不支給となりますのでご注意ください。

 

<不正な業者の勧誘に注意>

助成金の申請や、助成対象の診断、受給額の無料査定をするといった記載内容の書面をFAXや郵便で送りつけ、不正に勧誘している業者がいます。

特に、厚生労働省が勧誘に関与しているかのような、虚偽の表現がされているものには注意が必要です。

雇用関係助成金の手続きを有料で代行できるのは、国家資格者の社会保険労務士に限られています。無資格者に手続きを依頼するのは、トラブルの元になりますので気をつけましょう。

 

郵送先は、厚生労働省ホームページに掲載の「雇用関係助成金郵送受付窓口一覧」で確認できますし、所轄のハローワークに問い合わせることもできます。

 

従来通り、助成金申請窓口に書類を持参しても、受け付けてもらえます。自社で助成金を申請する場合など、計画書や申請書の作成方法等が不明な場合は、都道府県労働局やハローワークなどで相談することができます。

 

2018.10.29.解決社労士

総務省、厚生労働省、経済産業省、国土交通省を「テレワーク推進4省」と呼んでいます。

テレワーク推進4省と産業界、学識者の産学官で構成される「テレワーク推進フォーラム」では、11月を「テレワーク月間」とし、テレワークの活用によって働き方の多様性を広げる運動を推進しています。

テレワーク月間の実施は今年で4回目ですが、テレワークの導入を促進するための企業向けセミナーや、働く人にテレワークのメリットを感じてもらえる体験型のイベントなどが複数の都市で開催されます。これらのセミナーやイベントでは、今年2月に策定された「テレワークにおける適切な労務管理のためのガイドライン」についても解説されます。

11月29日には、テレワーク月間を締めくくる「『働く、が変わる』テレワークイベント」が開催され、テレワークを活用することでワーク・ライフ・バランスの実現に顕著な成果を上げた企業や個人の表彰なども行われます。

 

【厚生労働省における「テレワーク月間」の主な取組】

1 テレワーク推進企業などへの厚生労働大臣表彰を実施(東京)

  テレワークを活用することで、ワーク・ライフ・バランスの実現において顕著な成果を上げた企業や個人を表彰します。(表彰式は、5『働く、が変わる』テレワークイベントの中で行います。

 

2 テレワーク推進フォーラム「産官学連携セミナー」(東京)

  「テレワークの更なる普及に向けて」をテーマとし、企業の取組やテレワーク学会による普及に向けた考察の紹介のほか、テレワーク推進4省からの施策紹介を行います。

[日時]11月2日(金) 13:30~17:00

[会場]御茶ノ水ソラシティ2Fホール(東京都千代田区神田駿河台4-6)

[定員]250人 [費用]無料(事前申込制)

[詳細] http://teleworkgekkan.org/news/20180928_7106

 

3 「テレワーク・セミナー」(名古屋)

  テレワークを導入する際に必要な労務管理、ICT(情報通信技術)、テレワーク導入企業の事例などを説明します。また、セミナーの終了後に個別相談会も開催します。

[日時]11月13日(火) 13:00~15:45

[会場]名古屋国際センター 別棟ホール(愛知県名古屋市中村区那古野一丁目47-1 名古屋国際センタービル)

[定員]120人 [費用]無料(事前申込制)

[詳細] https://kagayakutelework.jp/seminar/2018/nagoya02.html

 

4 「テレワークに関する体験型イベント」(仙台、福岡)

  テレワークの利用に興味のある方を対象に、実際にパソコンを使ってテレワークを体験していただきます。また、社会保険労務士などの専門家が、テレワーク時の就業開始・終了といった労働時間の報告のルールや、働く人からみたテレワークのメリットを分かりやすく解説します。

 

■仙台

[日時] 11月8日(木)  (午前の部)9:30~12:00、(午後の部)14:30~17:00

[会場]富士ゼロックス宮城 カメイ五橋ビル 2階大会議室

[定員]各30人 [費用]無料(事前申込制)

 

■福岡

[日時]11月28日(水)  (午前の部)9:30~12:00、(午後の部)14:30~17:00

[会場]富士ゼロックスDOCUMENT HUB Square Fukuoka

[定員]各30人 [費用]無料(事前申込制)

 ※詳細は、以下のURLをご参照ください。http://teleworkevent.jp/

 

5 「『働く、が変わる』テレワークイベント」(東京)

  テレワーク月間の締めくくりとして行う、テレワーク推進4省共同主催のイベントです。ここでは、厚生労働大臣賞と総務大臣賞の表彰式のほか、受賞企業による取組紹介やパネルディスカッションなどを行います。

[日時]11月29日(木)13:30~17:00

[会場]御茶ノ水ソラシティ2Fホール(東京都千代田区神田駿河台4-6)

[定員]300人  [費用]無料(事前申込制)

[詳細]https://kagayakutelework.jp/symposium/

 

 

2018.10.28.解決社労士

特定個人情報保護委員会事務局により、個人番号(マイナンバー)・特定個人情報の基本ルールが4か条にまとめられています。

 

<取得・利用・提供のルール>

・個人番号の取得・利用・提供は、法令で決められた場合だけ。これ以外では、「取れない」「使えない」「渡せない」。

たとえ便利でも、会社がマイナンバーを社員番号として使用することはできません。

 

<保管・廃棄のルール>

・必要がある場合だけ保管。必要がなくなったら廃棄。

マイナンバーの記載された書類が、法定の保存期間を経過し保管の必要がなくなった場合には、できるだけ速やかに廃棄しなければなりません。

 

<委託のルール>

・委託先を「しっかり監督」再委託は「許諾が必要」

会社がマイナンバーの管理を専門業者に委託しても、委託先に対して必要かつ適切な監督を行わなければなりません。

また、委託先が再委託できるのは、最初の委託者の許諾を得た場合だけです。

 

<安全管理措置のルール>

・漏えいなどを起こさないために。

会社は、漏えい、滅失、毀損の防止その他の適切な管理のため、適切な安全管理措置を講じ、従業員に対しても適切な監督を行わなければなりません。

 

2018.10.27.解決社労士

<出産育児一時金>

昔は分娩費(ぶんべんひ)などと呼ばれていました。

出産育児一時金は、健康保険の加入者(被保険者)やその扶養家族(被扶養者)が出産した時に、協会けんぽなどの保険者に申請すると1児につき42万円が支給される一時金です。

また、「1児につき」ですから双子なら2倍、三つ子なら3倍の金額が支給されます。

ただし、産科医療補償制度に未加入の医療機関等で出産した場合は40万4千円です。この産科医療補償制度というのは医療機関等が加入する制度で、加入医療機関で制度対象となる出産をされ、万一、分娩時の何らかの理由により重度の脳性まひとなった場合、子どもとご家族の経済的負担を補償するものです。

 

<未婚の娘の出産>

平成14年10月以前は、被保険者の他には配偶者のみに「配偶者出産育児一時金」が支給されていましたが、法改正により被保険者の被扶養者が出産したとき「家族出産育児一時金」が支給されるようになりました。

こうして、扶養に入っていれば未婚の娘でも妹でも、支給されるようになったのです。

そもそも結婚するかどうかは、当事者の自由です。〔日本国憲法24条〕

入籍していないと支給されないというのは平等権の侵害です。〔日本国憲法14条1項〕

少子化対策の流れの中で、やっと憲法の趣旨が届いた感じです。

 

 <支給の条件>

妊娠85日以後の生産(早産)、死産(流産)、人工妊娠中絶であることが必要です。

ですから、会社で出産祝い金の支給対象外となる場合であっても、出産育児一時金の支給対象となることがあります。

 

<直接支払制度>

出産にかかる費用に出産育児一時金を充てることができるよう、協会けんぽなどの保険者から医療機関等に、直接支払う仕組み(直接支払制度)があります。この場合、出産費用としてまとまった額を事前に用意する必要がないので大変助かります。

もちろん、出産後に健康保険の加入者(被保険者)が直接受け取ることもできます。

 

<出産費貸付制度>

出産費用に充てるため、出産育児一時金の支給までの間、出産育児一時金の8割相当額を限度に資金を無利子で貸し付ける制度があります。

対象者は、出産育児一時金の支給が見込まれる方のうち、出産予定日まで1か月以内の方、または妊娠4か月以上で医療機関等に一時的な支払いを要する方です。

 

<資格喪失後の出産育児一時金>

退職などにより、健康保険の加入者(被保険者)でなくなった場合でも、資格喪失の日の前日(退職日等)まで被保険者期間が継続して1年以上ある方が、資格喪失日から6ヵ月以内に出産したときは、出産育児一時金が支給されます。

たとえば、健康保険に加入していた女性が退職して資格を喪失し、夫の扶養に入ってから出産した場合には、本人の出産育児一時金か、夫の家族出産育児一時金のどちらか一方を選んで支給を受けます。

ただし、健康保険の加入者(被保険者)の資格喪失後にその被扶養者だった家族が出産しても、家族出産育児一時金は支給されません。

 

2018.10.26.解決社労士

<ノーワーク・ノーペイの原則>

「ノーワーク・ノーペイ」とは、「労働者の労務提供がなければ使用者は賃金を支払わなくてよい」という原則のことです。

これを直接規定した法令はありませんが、労働契約法には次の規定があります。

 

【労働契約の成立】

第六条 労働契約は、労働者が使用者に使用されて労働し、使用者がこれに対して賃金を支払うことについて、労働者及び使用者が合意することによって成立する。

 

つまり労働契約は、労働者の労働に対して使用者が賃金を支払う約束だということです。

裏を返せば、労働者が労働しなければ使用者に賃金支払い義務は無いのが原則です。

ただし、使用者側に何か落ち度があれば、賃金の全額または一部の支払義務が生ずることはあります。

 

使用者の都合で半日休みになったときの減給がどこまで許されるかは、「使用者の都合」の中身によって結論が分かれます。

 

<使用者に故意・過失がある場合>

使用者に故意・過失があって、労働者が働けない場合には、賃金全額を支払うという規定が民法にあります。

この場合には、減給できないことになります。

 

【債務者の危険負担等】

第五百三十六条 2 債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債務者は、反対給付を受ける権利を失わない。この場合において、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

 

この中の「債権者」というのは、労働の提供を受ける権利がある使用者のことをいいます。

「債務を履行」というのは、労働の提供をいいます。

「債務者」は、労働を提供する義務がある労働者のことです。

「反対給付」は、労働と引き換えに受け取るもの、つまり賃金を指します。

 

使用者に明らかな故意・過失がある場合としては、次のようなものが想定されます。

・使用者が設備の法定点検を何度も怠っていたために、設備に欠陥を生じ営業時間の途中から営業できなくなった場合。・お店のカギを開けられるのが使用者である店長のみであったのに、寝坊して大幅に遅刻したため、営業開始時間が遅くなった場合。

 

<使用者側に責任がある場合>

使用者に明らかな故意・過失が無くても、労働者には責任が無く、どちらかというと使用者側に原因がある場合には、使用者は労働者に対して平均賃金の6割以上を支払う義務があります。

この場合には、4割まで減給できることになります。

このことを定めたのが、労働基準法の次の規定です。

 

【休業手当】

第二十六条 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。

 

条文に使われている言葉は、民法536条2項も、労働基準法26条も同じで、「責(せめ)に帰すべき事由」です。

しかし、その意味合いは、民法では故意・過失を指し、労働基準法では広く何らかの責任があることを指していると解釈されています。

 

使用者に明らかな故意・過失は無いものの、何らかの原因がある場合としては、次のようなものが想定されます。

・取引先の手配ミスによって材料が不足し製造ができない場合。・景気が急速に悪化したため、新規学卒採用内定者を自宅待機させた場合。

 

<使用者側に全く責任が無い場合>

どう考えても、使用者に責任の無い理由で、労働者が働けない状態になったのなら、使用者は賃金を支払う義務がありません。

この例としては、次のようなものがあります。

 

・2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震の被害・影響により、計画停電が実施されたとき。・労働安全衛生法の規定による健康診断の結果に基づいて、労働者を休業させたとき。

 

2018.10.25.解決社労士

<依然高い離職率>

平成30(2018)年10月23日、厚生労働省が平成27(2015)年3月に卒業した新規学卒就職者の就職後3年以内の離職状況について取りまとめ公表しました。

今回の取りまとめにより、新規高卒就職者の約4割、新規大卒就職者の約3割が、就職後3年以内に離職していることが分かりました。

厚生労働省では、新卒応援ハローワークなどでの相談・支援の他、こうした人々を含めた求職者に対応するため、平日の夜間と土日に電話とメールで利用できる無料相談窓口「おしごとアドバイザー」を通じて、引き続き支援を行っていくそうです。

新卒応援ハローワークというのは、全都道府県にあるワンストップで新卒者を支援する施設です。大学院・大学・短大・高専・専修学校などの学生や、これらの学校を卒業した人を対象に、学校との連携の下、ジョブサポーターによるきめ細かな支援など、様々なサービスを無料で行っています。

 

■ 新規学卒就職者の就職後3年以内離職率 ( )内は前年比増減
 【 大学 】 31.8% (▲0.4P)       【 短大など 】 41.5% (+0.2P)
 【 高校 】 39.3% (▲1.5P)       【 中学 】 64.1% (▲3.6P)

■ 新規学卒就職者の事業所規模別就職後3年以内離職率  ( )内は前年比増減

[ 事業所規模 ]

【大学】

【高校】

1,000 人以上

24.2% (▲0.1P)

25.3% (±0.0P)

500 ~999人

29.6% (▲0.2P)

32.9% (±0.0P)

100 ~499人

31.9% (±0.0P)

36.5% (▲1.4P)

30 ~99人

39.0% (+0.2P)

46.3% (▲0.8P)

5~29人

49.3% (▲0.9P)

55.9% (▲0.5P)

5人未満

57.0% (▲2.1P)

64.3% (+0.3P)

 

■ 新規学卒就職者の産業別就職後3年以内離職率のうち離職率の高い上位5産業
              ( )内は前年比増減     ※「その他」を除く

■ 大学

 

宿泊業・飲食サービス業

49.7% (▲0.5P)

教育・学習支援業

46.2% (+0.8P)

生活関連サービス業・娯楽業 

45.0% (▲1.3P)

医療、福祉 

37.8% (+0.2P)

小売業 

37.7% (▲0.9P)

 

■  高校      

 

宿泊業・飲食サービス業

63.2% (▲1.2P)

生活関連サービス業・娯楽業

59.2% (▲0.2P)

教育・学習支援業

56.5% (+0.5P)

小売業

48.8% (▲1.6P)

医療、福祉 

47.0% (+0.1P)

 

2018.10.24.解決社労士

<モデル就業規則の規定>

能力不足を理由とする解雇に関して、厚生労働省労働基準局監督課が作成したモデル就業規則の最新版(平成30(2018)年1月版)は、次のように規定しています。

 

(解雇)

第51条  労働者が次のいずれかに該当するときは、解雇することがある。

勤務成績又は業務能率が著しく不良で、向上の見込みがなく、他の職務にも転換できない等就業に適さないとき。

⑧ その他前各号に準ずるやむを得ない事由があったとき。

 

直感的には、能力不足を理由とする解雇は、厚生労働省の立場からも②の規定により認められていると読み取れます。

しかし、この規定をよく見ると、解雇の条件がクリアされるためには、会社側にもそれ相当の準備が必要であることに気づきます。

 

<著しく不良>

「勤務成績」「業務能率」という言葉に明確な定義があるわけでもなく、ましてや評価基準となると、客観的に統一されたものなどありません。

これらが「著しく不良」であることを、会社側が証明するのは困難です。

 

<向上の見込みがない>

向上の見込みがあるか、それともないか、これを見極めるには、会社側が様々な教育・研修を行ってみる必要がありそうです。

上司が熱心に指導して、少しも成長しないので匙を投げたという場合であっても、上司の指導力不足を疑われたら、反論するのもむずかしいでしょう。

 

<他の職務にも転換できない>

他の部署で活躍できるか、それともできないか、これを見極めるには、異動させてみないと分からない点もあります。

しかし、すべての部署を経験させてから見極めるのでは、余りにも非現実的です。

 

<就業に適さない>

これはもう、その会社で働くことが向いていない、あるいは、働くことそのものが向いていないと言っているに等しい表現です。

そのような人物であれば、最初から採用しませんから、この規定を根拠として解雇するのは現実的ではありません。

 

<別の攻め方>

そもそも、「勤務成績」「業務能率」「向上の見込み」や適性は、目に見えない抽象的なものです。

ですから、これらを根拠に解雇しても、不当解雇を主張され解雇を無効にされる恐れがあります。

むしろ、不都合な事実を多数突き付けて、⑧の「その他前各号に準ずるやむを得ない事由があったとき」を理由に解雇するのが現実的です。

 

【解雇理由となる不都合な事実の例】

ルール違反が多い。

居眠りをしている。

勤務中に個人的な興味でスマホをいじる時間が長い。

仕事をしているふりをして時間をつぶしている。

時々勤務中に感情を爆発させ叫ぶことがある。

上司から注意しても詫びないし、反省の色を示さない。

上司の指示に従わない。

常識から外れた行為が目立ち、その自覚が無い。

遅刻の回数が多く、1回あたりの遅刻が長時間。

以上について、口頭・文書での注意が繰り返されているが改善されない。

 

万一、裁判などになれば「いろいろありました」ではなく、いつどこで何があったのかという事実の記録が必要です。

つまり、解雇するにもそれ相当の準備が必要になるということです。

 

大前提として、解雇が無効とされないためには、就業規則に具体的な解雇理由の規定が置かれていることも必要です。

その意味で、解雇に関する規定は、具体的で詳細なものであることが求められるのです。

 

2018.10.23.解決社労士

<労働契約の成立条件>

労働契約は、使用者と労働者との口頭による合意で成立しますので、労働条件通知書を交付しなくても、労働契約そのものの効力には影響しません。〔民法623条〕

 

<書面による通知義務のある法定事項>

しかし、労働契約の成否とは別に、労働者を保護するため、労働条件のうち次の法定事項は使用者から労働者に書面で通知する必要があります。〔労働基準法15条1項〕

これを怠ると、1人につき30万円以下の罰金という罰則もあります。〔労働基準法120条〕

 

【書面による通知義務がある事項】

1. 労働契約の期間2. 就業の場所、従事する業務の内容

3. 始業・終業時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇、交替制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項

4. 賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締切り・支払いの時期に関する事項

5. 退職に関する事項(解雇の事由を含む)

 

さらに、パートタイマー(短時間労働者)については、パートタイム労働法により、昇給・退職手当・賞与の有無について、文書の交付等による労働条件明示が必要です。

 

<口頭で通知すれば良い事項>

労働条件のうち次の事項は、書面によらず口頭で通知しても良い事項です。とはいえ、トラブルが発生すれば、言った/言わないの争いとなりやすいわけですから、何らかの証拠を残しておく必要はあります。

 

【口頭による通知義務がある事項】

1. 昇給に関する事項2. 退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算・支払いの方法、支払いの時期に関する事項

3. 臨時に支払われる賃金、賞与などに関する事項

4. 労働者に負担される食費、作業用品その他に関する事項

5. 安全・衛生に関する事項

6. 職業訓練に関する事項

7. 災害補償、業務外の傷病扶助に関する事項

8. 表彰、制裁に関する事項

9. 休職に関する事項

 

これらの事項は労働条件通知書に漏れていても大丈夫です。ただし、パートタイマー(短時間労働者)については、1.~3.の事項がパートタイム労働法により、文書の交付等による労働条件明示が必要な事項とされています。

 

<労働条件のメールによる通知>

厚生労働省は労働基準法に基づく省令を改正して、平成31(2019)年4月からは、書面に代えて電子メールやファクスなどによる労働条件の通知を可能にする予定です。

ただし、これは希望した労働者だけに限った措置とされ、労働者が電子メールなどでの受け取りを拒む場合には、これまで通り書面で交付する必要があります。

労働者からの希望があったという証拠を残しておかずに、電子メールによる労働条件通知を行った場合、これもまた言った/言わないの争いとなりやすいわけですから、何らかの証拠を残しておく必要があります。

 

2018.10.22.解決社労士

<不幸な「名ばかり管理監督者」>

残業手当、休日出勤手当といった時間外割増賃金を支給されない役職者が多数います。

その根拠とされるのが次の条文です。

 

【労働基準法41条】

この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。

一 別表第一第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者

二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者

三 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの

 

この「監督若しくは管理の地位にある者」に該当するのはどのような人なのか、労働基準法の中には説明がありません。

会社の中で素人的にイメージされるのは、何となく「役職者」「管理職」でしょうか。

このように解釈すれば、新入社員であれ誰であれ、役職さえ付けて管理職扱いにすれば、残業手当などを支給しなくても構わないことになりますから、会社にとっては都合の良い解釈です。

小さな企業の中では、正社員の全員にリーダー、チーフ、班長など、手頃な役職名を付けて、割増賃金を支給しないという現象も見られました。

最近でも、「管理職」には残業手当を支給しないこととしている大企業や大手グループ企業について、その違法性を指摘するニュースが流れています。

 

実は、労働基準法の中には、「役職者」「管理職」という用語が1回も登場しません。

これひとつを取ってみても、「役職者」「管理職」を「監督若しくは管理の地位にある者」と解釈することには無理があります。

 

<「監督若しくは管理の地位にある者」の条件>

管理監督者と認められるためには、次の3つの条件が、すべて満たされていなければなりません。

 

【管理監督者の条件】

・経営者と一体的な立場で仕事をしていること。つまり、大きな権限を与えられていて、多くの事案について上司に決裁を仰ぐ必要が無い立場にあること。

・出社、退社や勤務時間について厳格な制限を受けていないこと。つまり、出退勤時間が自らの裁量に任されていること。遅刻や早退をしたら、給料や賞与が減らされるような立場では、管理監督者とはいえません。

・その地位にふさわしい待遇がなされていること。つまり、一般社員と比較して一段上の待遇がなされていること。部下が長時間労働をすると、あるいは高い評価を得ると、年収が逆転しうるのでは管理監督者とはいえません。

 

イメージとしては、あと一歩で取締役という立場にあり、強い権限を持っている人が本当の管理監督者です。

責任ばかりが重くて、権限が与えられていないような社員は、管理監督者であるはずがありません。

 

2018.10.21.解決社労士

<社員の声の重要性>

大企業や大手グループ企業は社員の声を聞くことに熱心で、社内に独自の仕組みが構築されています。

これは、企業の成長や改善にとって、社内の事情を知っている社員の声が最も貴重な情報源だからです。

ましてや今は、働き方改革が推進されています。これは国の方針ですから、軽視するわけにはいきません。

 

たしかに、働き方改革の定義は必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ労働生産性を向上させる急速な改善」といえるでしょう。

今、働き方改革を誤った方向に進めている企業は、働き手の必要と欲求を無視して独善に走り、社員に背を向けられてしまっています。

こうした事態を招かないためにも、社員の声を聞くことが必要なのです。

 

<小さな会社では>

小さな会社の社長の多くは、社員の声を聞くことにあまり熱心ではありません。

なぜなら、社内のほとんどの事は社長自身が決定しているのですから、今さら社員の声など聞いてみても、それはそれとして、やはり自分が決めると考えているからでしょう。

しかし、中には「もっと社員の声を聞きたい」「社員が意見を言ってくれないと本当の改善ポイントが見えない」「会社の成長のために批判でも良いから考えを出してほしい」と思っている社長もいます。

これは、会社が大きく成長する兆候です。

 

<目的意識の重要性>

まず、何のために社員の声を集めるのか、社内に具体的な目的を明示しなければなりません。

ただ単に、「成長のため」「改善のため」と言ってみても、社員はこれを信用しません。

 

小さな会社では、多くの事を社長が決定しています。

ですから、会社の現状について問題点を指摘したり、何らかの改善提案をしたりすれば、それはそのまま社長批判にもなりうるのです。

「社長は社員に声を出させることで不満分子を見つけ出し、徹底的に叩こうとしているのではないか」「少しでも自分の方針に合わない社員を解雇したいのではないか」と、疑心暗鬼を生ずるのも無理のないことです。

 

社員の声を集める目的を明確にするには、ただ漠然と会社についての意見を求めるのではなく、具体的なテーマを提示することが必要です。

たとえば、「経費削減についての意見が欲しい」よりも「コピー機の使い方について経費削減の視点から意見が欲しい」の方が、意見が出やすくなります。

「整理整頓について聞かせて欲しい」よりも「机やロッカーをはじめ、物品の置き場所について見直したいので、気付いたことを教えて欲しい」の方が、社員の声が集まりやすくなるわけです。

これは、目的が具体的で明確ですから、出した意見が変なことに悪用される恐れが無いからでしょう。

 

<声が上がったときの対応>

社員から声が上がったら、社長は速やかに対応しなければなりません。

まずは、意見を出してくれたことに対するお礼を述べ、ほめることは最低限必要なことです。

うっかり聞き流しになってしまったら、二度と意見は出てきません。

意見を馬鹿にしたり、ケチを付けたりしても、社員に対する裏切りになります。

 

とはいえ、社長自身が出てきた意見に対して、どのように対応して良いのか迷ってしまい、身動きが取れなくなることもあります。

こんなときは、出てきた意見を公表し、この意見に対して他の人の意見を聞くと良いでしょう。他の人の意見が出にくければ、具体的にそれを実施する場合の経費や手間、時間について考えを出してもらうなど、前向きに取り組む姿勢を見せたいところです。

 

<記録を残す>

社員から上がった声の中には、今は無理でも、3年後、5年後に役立つものがあります。

少なくとも5年間は見直しができるように、記録を残しておく必要があります。

なにしろ社員からの声は、大変貴重なものなのですから。

 

2018.10.20.解決社労士

<働き方改革>

働き方改革の定義は、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ労働生産性を向上させる急速な改善」といえるでしょう。

 

社員は人間ですから、ある程度の時間働き続ければ、肉体的精神的疲労が蓄積して効率が低下してきます。

しかし、休憩や休暇によってリフレッシュできれば、体力と気力が回復して労働生産性が高まります。

適切な労働時間で働き、ほどよく休暇を取得することは、仕事に対する社員の意識やモチベーションを高めるとともに、業務効率の向上にプラスの効果が期待されます。

 

これに対し、長時間労働や休暇が取れない生活が常態化すれば、メンタルヘルスに影響を及ぼす可能性も高まりますし、労働生産性は低下します。

また、離職リスクの上昇や、企業イメージの低下など、さまざまな問題を生じることになります。

社員のためだけでなく、そして企業経営の観点からも、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進が得策です。

 

社員の能力がより発揮されやすい労働環境、労働条件、勤務体系を整備することは、企業全体としての生産性を向上させ、収益の拡大ひいては企業の成長・発展につなげることができます。

 

<忘れられている働き方改革の条件>

「働き方改革のせいで収入が減った。転職せざるを得ない」という声が聞かれます。

働き方改革は、「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ労働生産性を向上させる急速な改善」のはずです。

「働き手の必要と要求に応えつつ」という条件が満たされていれば、社員からこのような不満は出ないはずです。

ところが、業務量を無視した残業時間の削減、業務の上司への押し付けが横行しています。上司が名ばかり管理監督者であれば、残業手当も支給されません。

 

<社会保険労務士による働き方改革>

ひとつひとつの企業に寄り添った労務管理を提案し、「人を大切にする」企業づくりを一緒に行う。それが、「人を大切にする」働き方改革の専門家、私たち社会保険労務士です。

 

社会保険労務士は、社会保険労務士法に基づく国家資格者です。

・採用前から退職後まで、労働社会保険、労務管理、法令等遵守、就業規則と運用管理、トラブル対応などのサポート

・ひとつひとつの企業に寄り添った「適切な労務管理」の提案を通じて、「人を大切にする」働き方改革の導入・推進や人材確保に向けた支援などを幅広く行い、企業の成長・発展をバックアップ

 

具体的には、次のような業務に携わっています。

・就業規則の作成と法改正や市場動向に応じた改定

・三六協定書など労使協定書の適正な作成・届出・運用管理

・賃金と評価制度の設計、運用管理

・社内研修の提案と実施(マナー、ハラスメント、メンタルヘルス等)

・仕事の両立支援(子育て、介護、病気の治療)

・高齢者の雇用継続支援、障害者の雇用

・労働条件審査(コンサルタント的な内部監査)

・労働者の社外相談窓口(パワハラ、セクハラ、人間関係、能力向上)

 

考え込むよりは、社会保険労務士に相談するのが近道です。

「聞くは一時の恥 聞かぬは一生の恥」と言うではないですか。

 

2018.10.19.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、30名を擁する働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。

<法令の規定>

社会保険労務士は、依頼に応じる義務があると言われます。

その根拠となっているのは、主に次の社会保険労務士法の規定です。

 

【依頼に応ずる義務】

第二十条 開業社会保険労務士は、正当な理由がある場合でなければ、依頼(紛争解決手続代理業務に関するものを除く。)を拒んではならない。

 

この条文は「開業社会保険労務士は、」から始まっています。

社会保険労務士として登録する場合、独立して開業する開業社会保険労務士の他に、企業などで勤務する勤務社会保険労務士などの形があります。

勤務社会保険労務士は、自分が働いている企業のために業務を行っているわけです。他の会社や個人から、社会保険労務士としての業務を受けることがありません。

 

また、カッコ書きで「紛争解決手続代理業務に関するものを除く」と書かれています。紛争解決手続代理業務を行えるのは、社会保険労務士の中でも研修を受け試験に合格して登録を受けた人だけです。この人たちは「特定社会保険労務士」などと呼ばれています。

「特定社会保険労務士」は、社会保険労務士の業務にプラスアルファで紛争解決手続代理業務も行うことができるわけです。決して、社会保険労務士の業務のうちの特定のものだけを行えるということではありません。

 

結局、依頼に応じる義務があるのは、開業社会保険労務士であって、その対象となる業務は、紛争解決手続代理業務に関するものを除くということになります。

 

<現実的な対応として>

開業社会保険労務士の業務は幅広いものです。

ですから、障害年金、企業の手続き業務、助成金の申請、給与計算、就業規則の作成・改定など、どれか1つ特定の分野に集中して専門的に行っている社会保険労務士事務所も多いのです。

また、業務経験を積んでいない新人の社会保険労務士もいます。

こうした所に、依頼があった場合に、依頼を拒めないとすると不都合があります。依頼された社会保険労務士も困りますし、依頼した企業や個人が適切なサービスを受けられないということになりかねません。

そこで、社会保険労務士が自ら依頼を受けられないと判断した場合には、その分野に明るい、その業務経験を積んでいる社会保険労務士を紹介するようにしています。

多くの国家資格がある中、特に社会保険労務士は仲間意識が強いのではないでしょうか。お互いにライバル視し足を引っ張り合うのではなく、強い協力関係が形成されていると感じられます。

こうしたことから、社会保険労務士への依頼を考えた場合には、どうぞお近くの社会保険労務士にお気軽にご連絡ください。

 

2018.10.18.解決社労士

<労働契約法の規定>

労働契約法には、安全配慮義務について次の規定があります。

 

(労働者の安全への配慮)

第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

 

労働契約法は、最高裁判所の判決の理由中に示された判断を中心にまとめられた法律です。

 

<最高裁の判決>

上の規定の元となったのは、昭和50(1975)年2月25日の最高裁第三小法廷の判決です。

陸上自衛隊の隊員が、自衛隊内の車両整備工場で車両を整備していたところ、後退してきたトラックにひかれて死亡し、遺族が国に対して損害賠償を請求した事件です。

この判決は、「国は、国家公務員に対し、その公務遂行のための場所、施設、器具等の設置管理またはその遂行する公務の管理にあたって、国家公務員の生命および健康等を危険から保護するよう配慮すべき義務を負っているものと解すべきである」と述べています。

 

<安全配慮義務の根拠>

現在では、労働契約法が安全配慮義務の根拠となります。

しかし、労働契約法ができた平成19(2007)年よりも前から、安全配慮義務が認められてきました。

その根拠については、学者の間でも考えが分かれ定説というものがありませんでした。

それでも、簡単に説明すると次のようになるでしょう。

 

【安全配慮義務の説明】

労働契約の内容は、次のことが基本です。

・労働者は、労務の提供について債務者、賃金について債権者である。

・使用者は、労務の提供について債権者、賃金について債務者である。

債務者の立場から、それぞれ誠実に債務を履行するのは当然のことです。

 

これとは別に、信義則上、債権者は債務者がうまく債務を履行できるよう配慮する義務を負っています。

ここで、「信義則」というのは、民法1条2項に定められた「権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない」という原則のことです。

 

こうして債権者には、債務者に対する次のような配慮が求められます。

・使用者は、安全配慮義務などを負う。

・労働者は、例えば銀行支店の統廃合により、給与振込口座に変更が生じたら、会社に届出る義務を負う。

 

債権者としての義務に違反したときに、債権者が被る不利益は自ら負担することになりますし、債務者に与えた不利益については賠償責任を負うことになります。

 

2018.10.17.解決社労士

<雇用継続給付>

雇用継続給付とは、職業生活の円滑な継続を援助、促進することを目的とし、「高年齢雇用継続給付」、「育児休業給付」、「介護休業給付」が支給されるものです。

・高年齢雇用継続給付 ― 60歳到達等時点に比べて賃金が75%未満に低下した状態で働き続ける60歳以上65歳未満の雇用保険加入者(正しくは被保険者)に支給されます。・育児休業給付 ― 育児休業を取得した被保険者に支給されます。

・介護休業給付 ― 介護休業を取得した被保険者に支給されます。

※支給には、それぞれ一定の条件があります。

 

<手続きの変更>

従来は、それぞれの申請書に雇用保険被保険者の署名・押印が必要でした。

平成30(2018)年10月1日に、雇用保険法施行規則の⼀部を改正する省令が施行され、その申請内容等を事業主等が被保険者に確認し、被保険者と合意のもと「記載内容に関する確認書・申請等に関する同意書」を作成して保存することで、申請書への被保険者の署名・押印を省略することができるようになりました。なお、保存期間は手続き完結の日から4年間です。

この手続きが認められる要件は、事業主が被保険者に対して同意書を提出させて、これを事業主が保存していることです。原則として、ハローワークに同意書を提出する必要はありません。

申請書の申請者氏名(印)の欄や、賃金証明書の確認印又は自筆による署名の欄には、「申請について同意済」と記載してください。電子申請も同様です。

 

<手続き簡素化のメリット>

雇用継続給付は、2か月に1回の申請により継続的に給付を受けるものです。

そのため、手続きのたびに受給する被保険者の署名を求めることになります。

高年齢雇用継続給付受給者の署名を求めるのは、受給者が手続き担当者の近くで勤務していれば比較的簡単です。

しかし、遠方の店舗などで勤務している場合には、郵送でのやり取りになるなど、手間がかかる他、ハローワークへの提出期限に間に合うかの心配があります。

また育児休業給付は、休業中の受給者とのやり取りになりますので、やはり同様のことが言えます。

今回の手続きによって、このような不便が解消されたわけです。

ただし、被保険者が合意しなければ、従来の方法で手続きすることになります。

 

2018.10.16.解決社労士

 

中小企業でも任意特定適用事業所であれば、ここの従業員は大企業と同じ基準で社会保険に加入することになります。

 

<大企業での加入基準>

平成28(2016)年10月から、厚生年金保険と健康保険の適用対象者が拡大されました。

週20時間以上働く短時間労働者で、厚生年金保険の加入者(被保険者)数が常時501人以上の法人・個人・地方公共団体に属する適用事業所および国に属する全ての適用事業所で働く人も厚生年金保険等の適用対象となっています。

 

【平成28(2016)年10月から拡大された適用対象者】

勤務時間・勤務日数が、常時雇用者の4分の3未満で、以下の①~⑤すべてに該当する人

① 週の所定労働時間が20時間以上あること

② 雇用期間が1年以上見込まれること

③ 賃金の月額が8.8万円以上であること

④ 学生でないこと

⑤ 被保険者数が常時501人以上の企業に勤めていること

⑤の企業を特定適用事業所といいます。

 

<中小企業への基準適用>

平成29(2017)年4月からは、被保険者数が常時500人以下の企業であっても、労使合意に基づき申出をした企業では、上記の基準が適用されます。

 

【平成29(2017)年4月から拡大された基準適用企業】

次の同意を得たことを証する書類(同意書)を添付して、本店または主たる事業所の事業主から所轄の年金事務所に「任意特定適用事業所該当/不該当申出書」を提出した企業

 

・従業員の過半数で組織する労働組合があるときは、その労働組合の同意

 

・こうした労働組合がないときはA、Bのいずれかの同意

A.従業員の過半数を代表する者の同意

B.従業員の2分の1以上の同意

このような手続きをした企業を任意特定適用事業所といいます。

 

企業が新人を採用する際には、社会保険の加入について十分な説明を行うはずです。

しかし、加入基準が複雑になってきていますので、採用される側としても、「前に働いていた会社と同じ条件で働くのだから、社会保険には入らないのだろう」という先入観をもたずに、きちんと確認する必要があります。

 

2018.10.15.解決社労士

<健康診断の対象者>

企業は、常時使用する労働者に対し、労働安全衛生法に定める基準により、健康診断を実施しなければなりません。

たとえ就業規則に規定が無くても、この実施義務を免れることはできません。むしろ、健康診断に関する規定がもれているわけですから、就業規則への補充が必要です。

労働安全衛生法に定める対象者の基準は次の2つです。両方の基準を満たす人については、健康診断の実施義務があります。

 

【健康診断の対象者の基準】

・期間を定めないで採用されたか、期間を定めて採用されたときでも1年(深夜業を含む業務、一定の有害業務に従事する人は6か月)以上引き続き使用(または使用を予定)されていること。

・1週間の所定労働時間が、その企業で同種の業務に従事する正社員の4分の3以上であること。

 

1週間の所定労働時間が正社員の4分の3未満の労働者であっても、2分の1以上であれば、健康診断を実施することが望ましいとされています。努力義務です。

 

<実施義務のある健康診断>

実施しなければならない健康診断は次のとおりです。

1.常時使用する労働者に対しては、雇入れの際に行う健康診断、及び1年に1回定期に行う健康診断。

2.深夜業に常時従事する労働者に対しては、その業務への配置替えの際に行う健康診断、及び6か月に1回定期に行う健康診断。

3.一定の有害な業務に常時従事する労働者に対しては、採用、及びその業務への配置替えの際と、その後に定期で行う特別の項目についての健康診断。

4.その他必要な健康診断。

 

<深夜勤務と健康診断>

上記のうち、2.が深夜勤務についての健康診断です。

この中の「常時従事」については、法令に明確な基準が示されていません。

しかし、深夜勤務をしている労働者からの自発的健康診断の結果の提出〔労働安全衛生法66条の2〕について、厚生労働省令が「6か月を平均して1か月当たり4回以上深夜業に従事した者」という基準を示しています。

ですから各企業は、過去6か月間で24回以上深夜勤務のあった労働者を対象として、年1回の定期健康診断の6か月後、この健康診断を実施しています。

実施しなければ、1人につき50万円以下の罰金という罰則も、常時50人以上の労働者を使用していれば、所轄の労働基準監督署に健康診断結果報告書を提出しなければならないのも一般の定期健康診断と同じです。

22:00~翌朝5:00の勤務回数を適正に把握して、健康診断の実施もれが発生しないように注意しましょう。

 

2018.10.14.解決社労士

<働き方改革とは>

働き方改革の定義は、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ労働生産性を向上させる急速な改善」といえるでしょう。

 

社員は人間ですから、ある程度の時間働き続ければ、肉体的精神的疲労が蓄積して効率が低下してきます。

しかし、休憩や休暇によってリフレッシュできれば、体力と気力が回復して生産性が高まります。

適切な労働時間で働き、ほどよく休暇を取得することは、仕事に対する社員の意識やモチベーションを高めるとともに、業務効率の向上にプラスの効果が期待されます。

 

これに対し、長時間労働や休暇が取れない生活が常態化すれば、メンタルヘルスに影響を及ぼす可能性も高まりますし、生産性は低下します。

また、離職リスクの上昇や、企業イメージの低下など、さまざまな問題を生じることになります。

社員のためだけでなく、そして企業経営の観点からも、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進が得策です。

 

社員の能力がより発揮されやすい労働環境、労働条件、勤務体系を整備することは、企業全体としての生産性を向上させ、収益の拡大ひいては企業の成長・発展につなげることができます。

 

<長時間労働の解消>

現在、大手企業を中心に最も進んでいる働き方改革といえば、残業時間を初めとする労働時間の削減でしょう。

労働時間の削減は、ひとつ一つの業務の必要性を見直すことが基本です。過去からの習慣で行っている業務、得られる成果が経営陣の自己満足だけのような業務は最初に切り捨てられます。

これはこれで正しいのですが、労働者側の声として「働き方改革の影響で収入が減った。転職を考えている」というのがあります。

残業時間の減った正社員は、その分だけ残業手当が減り給与が減少します。パート社員は時間給ですから、出勤日数や労働時間が減った分だけ収入が減ります。

会社側は、働き方改革で労働時間が減り、労働生産性が向上したということで喜んでいる一方、働き手の不満は膨らんでいるようです。

 

<正しい働き方改革>

「残業時間が減ったから残業手当も減った。バンザイ!」というのは、飽くまでも会社側の考えです。

収入が減れば、社員のモチベーションは低下します。生活レベルも低下して疲労回復も限定されてしまいます。会社への帰属感は低下します。「この会社が好きだけど、今の仕事が気に入っているけれど、転職しないと生活できない」という社員も増えてしまいます。

こうした状態では、労働生産性が低下します。やる気が無くなり、不安が先行しますから当たり前のことです。

社員は人間ですから、収入が減ればやる気が無くなります。

残業時間が減ったのなら、今までの残業分を定額残業代として支給してはいかがでしょうか。残業代を不当に削るための定額残業代ではなく、働き方改革が進んだことへの報奨としての定額残業代です。

パート社員についても時給のアップを考えましょう。採用難の中、ただでさえ人材確保のために時給を高めに設定する必要があります。「皆さんのご協力のおかげで働き方改革が進んでいます。これに報いるため時給の見直しを行います」というアナウンスをすると効果的です。

たしかに形式的には、会社の人件費は少しも削減されません。しかし、社員の疲労は軽減され、やる気は大幅にアップします。

これが正しい働き方改革の姿なのです。

 

2018.10.13.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、30名を擁する働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。

 

次の2つの場合について比較してみましょう。

A : 1つの会社で週40時間働いて約40万円の月給を得る場合

B : 2つの会社で、それぞれ週約20時間働いて、それぞれ約20万円の月給を得る場合

 

<年金保険>

Aの場合には、厚生年金に加入し、厚生年金保険料が給与から控除されます。扶養している配偶者について、保険料を負担せず国民年金に加入できます(第三号被保険者)。

Bの場合には、原則として厚生年金には加入せず、自分で手続きをして国民年金に加入します。扶養している配偶者も、国民年金に加入し保険料を負担します。

将来老齢年金を受け取る場合には、厚生年金の方が有利ですし、これは障害年金や遺族年金でも同様です。

 

例外的にBの場合で、片方の会社が特定適用事業所の場合には、その会社で厚生年金に入ります。特定適用事業所には、任意特定適用事業所が含まれます。

保険料は、その会社の給与や賞与が基準となり、将来受ける年金も保険料に見合ったものとなります。

 

さらに、Bの場合で、両方の会社が特定適用事業所の場合には、両方の会社で厚生年金に入ります。

この場合、「健康保険・厚生年金保険所属選択・二以上事業所勤務届」という書類をメインとなる会社の所轄年金事務所に提出します。

大雑把に言うと、両方の会社の給与を合算して保険料の総額を確定し、各会社の給与の額に応じて按分した金額が、それぞれの会社の保険料となります。

ですから、2つの会社が連動して手続きを行うことになります。

 

<健康保険>

健康保険への加入については、厚生年金への加入とほぼ同様のことがいえます。

Bの場合に、健康保険に入らなければ、たとえばプライベートの傷病で会社を長期間休業しても傷病手当金がもらえません。

片方の会社だけで健康保険に入った場合には、その会社の月給に見合った傷病手当金しかもらえません。

 

<雇用保険>

週20時間以上の勤務の場合に雇用保険に加入します。

しかし、Bの場合のように2つの会社で勤務し、どちらも週20時間以上の勤務であっても、メインの会社の方だけ雇用保険に入ります。

もし、その会社を辞めたら、もう片方の会社で雇用保険に入ります。片方の会社だけ辞めても失業の状態にはなりませんから、失業手当(求職者給付の基本手当)はもらえません。

 

<労災保険>

Bのように、2つの会社で勤務する場合には、どちらの会社での労働災害についても労災保険が適用されます。

ただし、労災事故が発生した側の会社についてのみ給付が行われます。

たとえば、休業した期間の賃金の補償については、その会社の給与のみが基準となります。

 

<結論として>

Bの方が、保険料の負担が少ない分だけ、手取りが増えるケースもあります。

しかし、万一の場合の補償や将来のことを考えると、Aの方が安心といえるでしょう。

 

2018.10.12.解決社労士

<遺族年金>

遺族年金は、一家の働き手や年金受給者などが亡くなったときに、残された家族に給付される年金です。

遺族年金を受け取るには、亡くなった人の年金保険料の納付状況に条件があります。また、亡くなった人の年金の加入状況などによって、受け取れる年金の種類が異なってきます。これは、年金をもらう人ではなく、亡くなった人についての条件です。

一方で、年金をもらう人にも、年齢や優先順位などの条件が設けられています。

ここでは、遺族厚生年金について説明します。

 

<亡くなった人の条件>

次のうち少なくとも1つの条件を満たす必要があります。

 

(1)厚生年金に加入している人が在職中に死亡した場合(2)在職中に初診日のある病気やけがが原因で初診日から5年以内に死亡した場合(3)障害等級1級または2級に該当する障害厚生年金の受給者が死亡した場合(4)受給資格期間が25年以上ある人が死亡した場合

 

このうち、(1)(2)(3)が短期要件で、(4)が長期要件です。

平成29(2017)年8月の法改正で、「10年年金」になりましたが、これは老齢年金の話であって、遺族年金には当てはまりません。ですから、(4)の条件は25年のままです。

また、(1)(2)の場合、死亡日前に国民年金の保険料を納めていなければならない期間があるときは、原則として保険料納付済期間と保険料免除期間の合計が国民年金加入期間の3分の2以上あることが必要です。

ただし、2026年4月1日前の場合は死亡日に65歳未満であれば、死亡日の属する月の前々月までの1年間の保険料を納付しなければならない期間のうちに、保険料の滞納がなければ受けられます。

 

<年金をもらう人の条件>

亡くなった人によって生計を維持されていた、妻、子、孫、55歳以上の夫、父母、祖父母

このうち、子と孫は18歳到達年度の年度末を経過していないか、20歳未満で障害年金の障害等級1・2級であることが必要です。

また、55歳以上の夫、父母、祖父母の支給開始は60歳からとなります。ただし、夫は遺族基礎年金を受給中の場合に限り、遺族厚生年金も合わせて受給できます。

さらに、子のない妻が30歳未満の場合には、5年間の有期給付となります。

なお、上記の条件を満たす子のある配偶者、子は、遺族基礎年金も併せて受けられます。

これらの条件を満たした人が全員年金をもらえるわけではなく、法定の優先順位に従って、実際に受給できる人が決まります。

 

<生計を維持されていたとは>

原則として次の要件を満たす場合をいいます。

 

(1)同居していたこと(別居していても、仕送りしていた、健康保険の扶養親族であった等の事情があれば認められます。)。(2)加給年金額等対象者について、前年の収入が850万円未満であること。または所得が655万5千円未満であること。

 

<年金事務所で確認を>

年金の仕組みは複雑ですから、これらの事項には、細かな例外があります。

また、年金受給者が亡くなった場合には、年金が後払いの形で支給されることから、亡くなった人が受け取り切れなかった年金(未支給年金)を遺族が受け取ることになります。

年金受給者が亡くなったことそのものを届け出る必要がありますから、あわせて年金事務所で確認することをお勧めします。

 

2018.10.11.解決社労士

有期労働契約の打ち切り>

一般の正社員のように、契約期間を区切らず定年まで働く契約を無期労働契約といいます。

これに対して、パートやアルバイトなど契約期間を区切って更新を重ねていく契約を有期労働契約といいます。

有期労働契約で雇っている労働者を、期間満了時に契約の更新を行わずに終了させることを「雇い止め」といいます。

 

<法律の規定>

一定の場合に「使用者が(労働者からの契約延長の)申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす」という抽象的な規定があります。〔労働契約法19条〕

ここで、「客観的に合理的な理由を欠き」というのは、労働契約法1条に示された労働契約法の目的や全体の趣旨に反することをいうと考えられます。

 

労働契約法第1条(目的)

この法律は、労働者及び使用者の自主的な交渉の下で、労働契約が合意により成立し、又は変更されるという合意の原則その他労働契約に関する基本的事項を定めることにより、合理的な労働条件の決定又は変更が円滑に行われるようにすることを通じて、労働者の保護を図りつつ、個別の労働関係の安定に資することを目的とする。

 

また、「社会通念上相当である」というのは、裁判で認定された世間一般の常識に反していないことを指していると考えられます。

 

これは、数多くの裁判の積み重ねによって作られた「雇い止めに関する法理」という理論を条文にしたものです。

ですから、雇い止めがこの理論による有効要件を満たしていなければ、裁判では無効とされ、有期労働契約が自動的に更新されることになります。

 

<雇い止めに関する法理>

雇い止めは、次のような事情が多く認められるほど、有効と判断されやすくなります。

・業務内容や労働契約上の地位が臨時的なものであること。・契約更新を期待させる制度や上司などの言動が無かったこと。

・契約更新回数が少ないこと、また、通算勤続期間が短いこと。

・他の労働者も契約更新されていないこと。

・雇い止めに合理的な理由が認められること。

 

反対に、次のような事情があると、雇い止めが無効であり労働契約が継続していると判断されやすくなります。

業務内容や労働契約上の地位が継続的なものであること。正社員と同様の働き方をしていること。・就業規則に契約更新を期待させる内容や上司など一定の立場にある人から「長く働いて欲しい」「来年もよろしく」など契約更新を期待させる言葉があったこと。

・契約更新回数が多いこと、また、通算勤続期間が長いこと。

・同じ職場で、同様の契約をしている労働者の中に、契約を更新されている人がいること。

・雇い止めに客観的に合理的な理由が認められないこと(些細なことや上司の好き嫌いを理由に契約を更新しないなど)。

契約更新を期待させる事情があったり、契約を更新しない理由が不合理であったりする場合です。 

 

<注意ポイント>

契約期間の終了間際になってから雇い止めの話を切り出したり、事前に充分な説明が無かったりすれば、それだけで「社会通念上相当でない」と判断されます。

雇い止めをする事情が発生したときに、「あまり早く事情を説明したら勤務意欲を失うのではないか」と考えてためらってはいけません。

対象者は次の仕事を見つける必要がありますから、できるだけ早く納得のいく説明を聞きたいのです。

 

2018.10.10.解決社労士

<年次有給休暇の付与日数>

労働基準法で、年次有給休暇の付与日数は次の【図表1】のとおりです。週所定労働日数が4日以上で、週所定労働時間が30時間以上の場合には、週所定労働日数が5日以上の欄が適用されます。

 

【図表1】

週所定

労働日数

勤 続 期 間

6月 1年6月 2年6月 3年6月 4年6月 5年6月 6年6月以上
5日以上

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

4日以上5日未満

7日

8日

9日

10日

12日

13日

15日

3日以上4日未満

5日

6日

6日

8日

9日

10日

11日

2日以上3日未満

3日

4日

4日

5日

6日

6日

7日

1日以上2日未満

1日

2日

2日

2日

3日

3日

3日

 

これは法定の日数ですから、就業規則にこれと異なる規定があれば、労働者に有利である限りそれに従います。

【図表1】の中の週所定労働日数は、一般には「4日」「3日」などと表示されていますが、たとえば「4日」というのは「4日以上5日未満」という意味です。

月間所定労働日数さえ決まっていれば、週所定労働日数は次の計算式で求められます。

週所定労働日数 = 月間所定労働日数 × 12か月 ÷ 52週

こうして求められた週所定労働日数を、【図表1】に当てはめて年次有給休暇の日数を確定することができます。

 

会社によっては、所定労働日数を年間で決めている場合もあります。

この場合、次の【図表2】が用いられます。

 

【図表2】

年間所定

労働日数

勤 続 期 間

6月 1年6月 2年6月 3年6月 4年6月 5年6月 6年6月以上

217日以上

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

169~216日

7日

8日

9日

10日

12日

13日

15日

121~168日

5日

6日

6日

8日

9日

10日

11日

73~120日

3日

4日

4日

5日

6日

6日

7日

48~72日

1日

2日

2日

2日

3日

3日

3日

 

所定労働日数を半年間で決めているのなら2倍し、3か月間で決めているのなら4倍すれば良いのです。

 

<出勤率の問題>

年次有給休暇の付与について、労働基準法に次の規定があります。

 

(年次有給休暇)第三十九条 使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。

○2 使用者は、一年六箇月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れの日から起算して六箇月を超えて継続勤務する日(以下「六箇月経過日」という。)から起算した継続勤務年数一年ごとに、前項の日数に、次の表の上欄に掲げる六箇月経過日から起算した継続勤務年数の区分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与えなければならない。ただし、継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日の前日の属する期間において出勤した日数が全労働日の八割未満である者に対しては、当該初日以後の一年間においては有給休暇を与えることを要しない。

 

法律上は、出勤率が八割以上なら【図表1】か【図表2】で定められた年次有給休暇が付与され、八割未満なら全く付与されないということになります。

 

この出勤率は、大雑把に言うと 出勤した日数 ÷ 出勤すべき日数 で計算されます。

しかし、シフト制で、しかもそのシフトの変更が激しい職場などでは、出勤すべき日数(全労働日)を確定するのが困難です。

 

また、出勤率が八割未満ということは、年次有給休暇をフルに取得したうえ、さらに欠勤も発生している状態だと考えられます。

何らかの事情があって、そうなってしまったのでしょう。

翌年度も、同じ事情があるのなら、少しは年次有給休暇を付与してあげたいというのが人情です。

 

<出勤率を計算しないで付与する方法>

【図表2】の年間所定労働日数の欄を、年間出勤日数に変え、数値をその八割に置き換えたのが次の【図表3】です。

 

【図表3】

年間出勤日数

勤 続 期 間

6月 1年6月 2年6月 3年6月 4年6月 5年6月 6年6月以上

173日以上

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

135~172日

7日

8日

9日

10日

12日

13日

15日

96~134日

5日

6日

6日

8日

9日

10日

11日

58~95日

3日

4日

4日

5日

6日

6日

7日

38~57日

1日

2日

2日

2日

3日

3日

3日

 

【図表3】は、【図表2】で出勤率八割をギリギリの日数でクリアした状態を想定して作ってあります。

ですから、実際の年間出勤日数だけをカウントし、面倒な出勤率を計算せずに、年次有給休暇を付与した場合には、労働者に少しだけ有利となり、労働基準法違反とはなりません。

具体的には、欠勤がほとんど無い場合に、1行上の日数が付与されることになります。

そして、出勤率が低くても、それなりの日数だけ年次有給休暇が付与されます。

 

この仕組みなら、積極的にシフトに入ろうとするでしょうし、なるべく欠勤しないように頑張れるのではないでしょうか。

 

2018.10.09.解決社労士

<所定労働日数についての勘違い>

「所定」は「定まる所」つまり「決めたこと」「決まっていること」ですから、所定労働日数というのは就業規則や労働契約で決められている労働日数です。

月給制の人について、1か月の所定労働日数がある場合、これを下回ったら欠勤控除が必要で、これを上回ったら休日出勤手当が必要だという勘違いが起こりやすいようです。

 

<所定労働日数の意味>

所定労働日数は、月給の時間単価を計算するのに必要です。

月給を月間所定労働時間で割って時間給を計算し、時間外労働1時間当たりの賃金を、時間給 × 1.25などとして計算します。

この場合、月間所定労働時間 = 1日の所定労働時間 × 月間所定労働日数で計算されるのが一般です。

 

<月間所定労働日数を決めるときの端数>

就業規則に従って、カレンダーで年間の休日数を数え365日から引いて年間の労働日数を確定します。

うるう年と平年でも違いますし、同じ平年でも日曜日と祝日の重なる回数などによって変動があります。

そして、月間所定労働日数 = 年間の労働日数 ÷ 12 の計算式によって、月間所定労働日数を決めることが多いと思います。

このとき、22.51日、23.16日など、端数が出るのが通常です。

こうした場合に、切り上げると月給の時間単価は安くなり、切り捨てると高くなります。今までの運用実績があるのなら、切り上げると厳密には不利益変更となりますので、切り捨てるのが無難です。

月間所定労働日数に小数点以下の端数があっても、給与計算には困らないのですが、一般には整数で決められています。

 

<所定労働日数を決めなくても大丈夫か>

賃金が時間給の場合や、月給制でも労使協定を交わしてフレックスタイム制を使っていれば、賃金計算には困りません。

しかし、所定労働日数が決まっていないと、年次有給休暇の付与日数が決まりません。

 

労働基準法で、年次有給休暇の付与日数は次の【図表1】のとおりです。週所定労働日数が4日以上で、週所定労働時間が30時間以上の場合には、週所定労働日数が5日以上の欄が適用されます。

 

【図表1】

週所定

労働日数

勤 続 期 間

6月 1年6月 2年6月 3年6月 4年6月 5年6月 6年6月以上
5日以上

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

4日以上5日未満

7日

8日

9日

10日

12日

13日

15日

3日以上4日未満

5日

6日

6日

8日

9日

10日

11日

2日以上3日未満

3日

4日

4日

5日

6日

6日

7日

1日以上2日未満

1日

2日

2日

2日

3日

3日

3日

 

これは法定の日数ですから、就業規則にこれと異なる規定があれば、労働者に有利である限りそれに従います。

【図表1】の中の週所定労働日数は、一般には「4日」「3日」などと表示されていますが、たとえば「4日」というのは「4日以上5日未満」という意味です。

月間所定労働日数さえ決まっていれば、週所定労働日数は次の計算式で求められます。

週所定労働日数 = 月間所定労働日数 × 12か月 ÷ 52週

こうして求められた週所定労働日数を、【図表1】に当てはめて年次有給休暇の日数を確定することができます。

 

会社によっては、所定労働日数を年間で決めている場合もあります。

この場合、次の【図表2】が用いられます。

 

【図表2】

年間所定

労働日数

勤 続 期 間

6月 1年6月 2年6月 3年6月 4年6月 5年6月 6年6月以上

217日以上

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

169~216日

7日

8日

9日

10日

12日

13日

15日

121~168日

5日

6日

6日

8日

9日

10日

11日

73~120日

3日

4日

4日

5日

6日

6日

7日

48~72日

1日

2日

2日

2日

3日

3日

3日

所定労働日数を半年間で決めているのなら2倍し、3か月間で決めているのなら4倍すれば良いのです。

 

結論として、所定労働日数が全く決まっていないとすると、年次有給休暇の日数が確定しません。

これでは、平成31(2019)年4月1日から、労働者からの申し出が無くても、使用者が積極的に年次有給休暇を取得させる義務を負うことになるのに、対応できないので困ったことになってしまいます。

やはり、明確に確定することが求められているのです。

 

2018.10.08.解決社労士

 

働き方改革関連法についての通達「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について(平成30年9月7日基発0907第1号)」が公表されました。

 

第4 中小事業主における月60時間超の時間外労働に対する割増賃金率の適用猶予の見直し(新労基法第138条及び整備法附則第1条関係)

1 趣旨

 中小事業主において特に長時間労働者の比率が高い業種を中心に、関係行政機関や業界団体等との連携の下、長時間労働の抑制に向けた環境整備を図りつつ、中小事業主に使用される労働者の長時間労働を抑制し、その健康確保等を図る観点から、月 60 時間を超える時間外労働の割増賃金率を5割以上とする労働基準法第 37 条第1項ただし書の規定について、中小事業主にも適用することとしたものであること。

 

 2 猶予措置の廃止(新労基法第 138 条関係)

 上記1の趣旨に基づき、労働基準法第 138 条を削除し、中小事業主についても月 60 時間を超える時間外労働の割増賃金率を5割以上としなければならないものとするものであること。

 なお、週休制の原則等を定める労働基準法第 35 条が必ずしも休日を特定すべきことを求めていないことに着目し、月 60 時間を超える時間外労働に対する5割以上の割増賃金率の適用を回避するために休日振替を行うことにより、休日労働の割増賃金率である3割5分以上の割増賃金率を適用することは、労働基準法の趣旨を潜脱するものであり、望ましくないことに留意 すること。

 

 3 施行期日(整備法附則第1条関係)  

 猶予措置の廃止に係る改正規定の施行期日は、平成 35 年4月1日である こと。

 

法改正により、月間60時間超の時間外労働に対する割増賃金率は、2割5分以上から5割以上に引き上げられています。

この法改正は、中小企業には猶予されていましたが、2023年4月1日から中小企業であっても大企業と同様に5割以上の割増率となります。

社内で月間60時間を超える残業をする人がいるのなら、2割5分の割増率であっても、もう一人雇った方が、会社の人件費は安くて済みます。

幸い2023年度に施行されるということですので、東京オリンピックが終わってから、チャンスを伺って新人を雇うのが得策でしょう。

 

2018.10.07.解決社労士

 

働き方改革関連法についての通達「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について(平成30年9月7日基発0907第1号)」が公表されました。

 

第3 年次有給休暇(新労基法第39条及び新労基則第24条の5等関係)

1 趣旨

 年次有給休暇の取得率が低迷しており、いわゆる正社員の約16%が年次有給休暇を1日も取得しておらず、また、年次有給休暇をほとんど取得していない労働者については長時間労働者の比率が高い実態にあることを踏まえ、年5日以上の年次有給休暇の取得が確実に進む仕組みを導入することとしたものであること。

 

2 年5日以上の年次有給休暇の確実な取得(新労基法第 39 条第7項及び第 8項並びに新労基則第 24 条の5関係)  

 

⑴ 使用者による時季指定(新労基法第39条第7項及び第8項関係)

 使用者は、労働基準法第39条第1項から第3項までの規定により使用者が与えなければならない年次有給休暇(以下「年次有給休暇」という。)の日数が10労働日以上である労働者に係る年次有給休暇の日数のうち、5日については、基準日(継続勤務した期間を同条第2項に規定する6箇月経過日から1年ごとに区分した各期間(最後に1年未満の期 間を生じたときは、当該期間)の初日をいう。以下同じ。)から1年以 内の期間に、労働者ごとにその時季を定めることにより与えなければならないものであること。

 この場合の使用者による時季指定の方法としては、例えば、年度当初に労働者の意見を聴いた上で年次有給休暇取得計画表を作成し、これに基づき年次有給休暇を付与すること等が考えられるものであること。

 ただし、労働基準法第39条第5項又は第6項の規定により年次有給休暇を与えた場合においては、当該与えた年次有給休暇の日数(当該日数 が5日を超える場合には、5日とする。)分については、時季を定めることにより与えることを要しないこと。すなわち、労働者が自ら時季指定して5日以上の年次有給休暇を取得した場合や、労働基準法第39条第6項に基づく計画的付与により5日以上の年次有給休暇を取得した場合には、使用者による時季指定は不要であること。 

 

 ⑵ 年次有給休暇を基準日より前の日から与える場合の取扱い(新労基則 第24条の5関係)

 

ア 10労働日以上の年次有給休暇を前倒しで付与する場合の取扱い(新労基則第24条の5第1項関係) 使用者は、年次有給休暇を当該年次有給休暇に係る基準日より前の日から10労働日以上与えることとしたときは、当該年次有給休暇の日数のうち5日については、基準日より前の日であって、10 労働日以上の年次有給休暇を与えることとした日(以下「第一基準日」という。) から1年以内の期間に、その時季を定めることにより与えなければならないものであること。  

 

イ 付与期間に重複が生じる場合の特例(新労基則第24条の5第2項関係)

上記アにかかわらず、使用者が10労働日以上の年次有給休暇を基準日又は第一基準日に与えることとし、かつ、当該基準日又は第一基準日から1年以内の特定の日(以下「第二基準日」という。)に新たに10 労働日以上の年次有給休暇を与えることとしたときは、履行期間(基準日又は第一基準日を始期として、第二基準日から1年を経過する日を終期とする期間をいう。)の月数を12で除した数に5を乗じた日数について、当該履行期間中に、その時季を定めることにより与えること ができること。

 

 ウ 第一基準日から1年以内の期間又は履行期間が経過した場合の取扱い(新労基則第24条の5第3項関係)

第一基準日から1年以内の期間又は履行期間が経過した場合においては、その経過した日から1年ごとに区分した各期間(最後に1年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日を基準日とみなして新労基法第39条第7項本文の規定を適用するものであること。

 

エ 年次有給休暇の一部を基準日より前の日から与える場合の取扱い(新労基則第24条の5第4項関係)

使用者が年次有給休暇のうち10労働日未満の日数について基準日以前の日(以下「特定日」という。)に与えることとした場合において、特定日が複数あるときは、当該10労働日未満の日数が合わせて10労働日以上になる日までの間の特定日のうち最も遅い日を第一基準日とみなして新労基則第24条の5第1項から第3項までの規定を適用するものであること。この場合において、第一基準日とみなされた日より前に、労働基準法第39条第5項又は第6項の規定により与えた年次有給休暇の日数分については、時季を定めることにより与えることを要しないこと。

 

 ⑶ 半日単位の年次有給休暇の取扱い

年次有給休暇の半日単位による付与については、年次有給休暇の取得促進の観点から、労働者がその取得を希望して時季を指定し、これに使用者が同意した場合であって、本来の取得方法による休暇取得の阻害とならない範囲で適切に運用される限りにおいて、問題がないものとして取り扱うこととしているが、この取扱いに変更はないものであること。 この現行の取扱いに沿って、半日単位の年次有給休暇を労働者が取得した場合については、新労基法第 39 条第8項の年次有給休暇を与えた場合として取り扱って差し支えないものであること。 また、新労基則第 24 条の6第1項の規定により労働者の意見を聴いた 際に半日単位の年次有給休暇の取得の希望があった場合においては、使用者が新労基法第 39 条第7項の年次有給休暇の時季指定を半日単位で行うことも差し支えないものであること。 これらの場合において、半日単位の年次有給休暇の日数は 0.5 日として 取り扱うものであること。

 

3 労働者からの意見聴取(新労基則第 24 条の6関係)

 使用者は、新労基法第 39 条第7項の規定により、労働者に年次有給休暇を時季を定めることにより与えるに当たっては、あらかじめ、当該年次有給休暇を与えることを当該労働者に明らかにした上で、その時季について当該労働者の意見を聴かなければならないものであること。 また、使用者は、年次有給休暇の時季を定めるに当たっては、できる限り 労働者の希望に沿った時季指定となるよう、聴取した意見を尊重するよう努めなければならないものであること。

 

4 年次有給休暇管理簿(新労基則第24条の7及び第55条の2関係)  

 使用者は、新労基法第 39 条第5項から第7項までの規定により年次有給休暇を与えたときは、時季、日数及び基準日(第一基準日及び第二基準日を含む。)を労働者ごとに明らかにした書類(以下「年次有給休暇管理簿」と いう。)を作成し、当該年次有給休暇を与えた期間中及び当該期間の満了後 3年間保存しなければならないこと。

 また、年次有給休暇管理簿については、労働者名簿又は賃金台帳とあわせて調製することができるものであること。  

 なお、年次有給休暇管理簿については、労働基準法第 109 条に規定する重要な書類には該当しないものであること。

 

5 罰則(新労基法第 120 条関係)

 新労基法第 39 条第7項に違反した使用者に対しては、新労基法第 120 条第1号の罰則の適用があること。

 

6 施行期日(整備法附則第1条関係)  

 年次有給休暇に係る改正規定の施行期日は、平成 31 年4月1日である こと。

 

7 経過措置(整備法附則第4条関係)  

 整備法の施行の際4月1日以外の日が基準日(年次有給休暇を当該年次有給休暇に係る基準日より前の日から与えることとした場合はその日)である労働者に係る年次有給休暇については、整備法の施行の日後の最初の基準日の前日までの間は、新労基法第 39 条第7項の規定にかかわらず、なお従前の例によることとし、改正前の労働基準法第 39 条が適用されるものであること。

 

 

<時季指定義務>

年次有給休暇を取得するにあたって、労働者は時季を指定できます。この権利が時季指定権です。「○月○日に」と指定するわけですから、言葉としては「取得日指定権」でしょう。しかし欧米では、長期連休を取る習慣がありますから、労働基準法では、これに倣って「時季」という言葉が使われています。

さて、平成31(2019)年4月1日からは、労働基準法の規定により、年次有給休暇が10日以上付与される労働者については、実際に5日以上取得させる義務が使用者に課されます。年間で4日以下の労働者がいると、1人につき30万円の罰金が科されうるようになります。この5日間については、使用者側が時季指定義務を負うという形になります。

労働者が自主的に年次有給休暇を取得しないのなら、使用者はこれを放置しておいても良かったのが、法改正によって、労働者の意見を聞きながら積極的に年次有給休暇を取得させる義務が生じたわけです。

 

<中小企業では>

上記の通達の中の2(2)と(3)は、労働基準法の規定を超えて労働者の権利を拡大する場合の話ですから、中小企業ではあまり参考になりません。

むしろ、今まで年次有給休暇の取得に目が行かなかった会社では、4に示されている「年次有給休暇管理簿」は必須だと思われます。これが無ければ、うっかり年次有給休暇の取得が1日足りない労働者が出てしまうかもしれません。

 

<法改正への対応のためにやるべきこと>

業務を減らすしかありません。社内で知恵を絞り、取引先とも相談して、あるいは外部の専門家の力を借りて徹底的に行いましょう。

これができないと、人員を増やして対応せざるを得ませんが、どうしても人件費が増えてしまいます。

過去の習慣にとらわれず、思い切った改革が必要になると思われます。

 

2018.10.06.解決社労士

 

働き方改革関連法についての通達「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について(平成30年9月7日基発0907第1号)」が公表されました。

 

第2 時間外労働の上限規制(新労基法第36条及び第139条から第142条まで、新労基則第16条等並びに指針関係)

1 趣旨 長時間労働は、健康の確保だけでなく、仕事と家庭生活との両立を困難にし、少子化の原因や、女性のキャリア形成を阻む原因、男性の家庭参加を阻む原因となっている。これに対し、長時間労働を是正すれば、ワーク・ライフ・バランスが改善し、女性や高齢者も仕事に就きやすくなり、労働参加率の向上に結びつく。

 こうしたことから、時間外労働の上限について、現行の労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準(平成 10 年労働省告示第 154 号。以下「限度基準告示」という。)に基づく指導ではなく、これまで上限無く時間外労働が可能となっていた臨時的な特別の事情がある場合として労使が合意した場合であっても、上回ることのできない上限を法律に規定し、これを罰則により担保するものであること。

 

2 新労基法第 36 条第1項の協定の届出(新労基法第 36 条第1項並びに新労基則第 16 条及び第 70 条関係)

 新労基法第 36 条第1項の協定(以下「時間外・休日労働協定」という。)の届出様式を改めたものであること。具体的には、時間外・休日労働協定に特別条項(新労基法第 36 条第5項に規定する事項に関する定めをいう。以下同じ。)を設けない場合にあっては新労基則様式第9号により、特別条項を設ける場合にあっては新労基則様式第9号の2により、所轄労働基準監督署長に届け出なければならないものであること。

 併せて、新労基法第 36 条第 11 項に規定する業務に対応した様式(新労基 則様式第9号の3)、新労基法第 139 条第2項、第 140 条第2項、第 141 条 第4項又は第 142 条の規定により読み替えて適用する新労基法第 36 条の規定に対応した様式(新労基則様式第9号の4から第9号の7まで)を整備したものであること。

 

3 時間外・休日労働協定における協定事項(新労基法第 36 条第2項及び新労基則第 17 条第1項関係)

 時間外・休日労働協定において、以下の⑴から⑸までの事項を定めることとしたものであること。

 ⑴ 新労基法第 36 条の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができることとされる労働者の範囲(新労基法第 36 条第2項第1 号関係)時間外・休日労働協定の対象となる「業務の種類」及び「労働者数」を協定するものであること。

⑵ 対象期間(新労基法第 36 条第2項第2号関係) 時間外・休日労働協定により労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる期間をいい、時間外・休日労働協定において、1年間の上限を適用する期間を協定するものであること。

 なお、事業が完了し、又は業務が終了するまでの期間が1年未満である場合においても、時間外・休日労働協定の対象期間は1年間とする必要があること。

⑶ 労働時間を延長し、又は休日に労働させることができる場合(新労基法 第 36 条第2項第3号関係)時間外労働又は休日労働をさせる必要のある具体的事由について協定するものであること。

⑷ 対象期間における1日、1箇月及び1年のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数(新労基法第 36 条第2項第4号関係)整備法による改正前の労働基準法における時間外・休日労働協定は、労働基準法施行規則第 16 条第1項において「1日」及び「1日を超える一定の期間」についての延長時間が必要的協定事項とされているが、今般、新労基法第 36 条第4項において、1箇月について 45 時間及び1年につい て 360 時間(対象期間が3箇月を超える1年単位の変形労働時間制により 労働させる場合は1箇月について 42 時間及び1年について 320 時間)の 原則的上限が法定された趣旨を踏まえ、整備法の施行後の時間外・休日労働協定においては「一日」、「一箇月」及び「一年」のそれぞれの期間について労働時間を延長して労働させることができる時間又は労働させることができる休日の日数について定めるものとしたものであること。

⑸ 労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとするために必要な事項として厚生労働省令で定める事項(新労基法第 36 条第2項第5号及び新 労基則第 17 条第1項関係) ア 時間外・休日労働協定の有効期間の定め(新労基則第 17 条第1項第 1号関係) 

 時間外・休日労働協定(労働協約による場合を除く。)において、当該時間外・休日労働協定の有効期間を定めるものであること。

イ 新労基法第 36 条第2項第4号の規定に基づき定める1年について労働時間を延長して労働させることができる時間の起算日(新労基則第 17 条第1項第2号関係)

 時間外・休日労働協定において定めた新労基法第 36 条第2項第4号 の1年について労働時間を延長して労働させることができる時間を適用する期間の起算日を明確にするものであること。

ウ 新労基法第36条第6項第2号及び第3号に定める要件を満たすこと。(新労基則第 17 条第1項第3号関係)

 時間外・休日労働協定で定めるところにより時間外・休日労働を行わせる場合であっても、新労基法第 36 条第6項第2号及び第3号に規定する時間を超えて労働させることはできないものであり、時間外・休日労働協定においても、この規定を遵守することを協定するものであること。

 これを受け、新労基則様式第9号及び第9号の2にチェックボックスを設け、当該チェックボックスにチェックがない場合には、当該時間外・ 休日労働協定は法定要件を欠くものとして無効となるものであること。

エ 限度時間を超えて労働させることができる場合(新労基則第 17 条第 1項第4号関係)

 時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合において、限度時間 (新労基法第 36 条第3項の限度時間をいう。以下同じ。)を超えて労働させることができる具体的事由について協定するものであること。

オ 限度時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置(新労基則第 17 条第1項第5号関係)

 過重労働による健康障害の防止を図る観点から、時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合においては、限度時間を超えて労働させる労 働者に対する健康及び福祉を確保するための措置(以下「健康福祉確保 措置」という。)を協定することとしたものであること。なお、健康福祉 確保措置として講ずることが望ましい措置の内容については、指針第8 条に規定していること。

カ 限度時間を超えた労働に係る割増賃金の率(新労基則第 17 条第1項 第6号関係)

時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合においては、限度時間 を超える時間外労働に係る割増賃金率を1箇月及び1年のそれぞれについて定めなければならないものであること。

 なお、限度時間を超える時間外労働に係る割増賃金率については、労働基準法第 89 条第2号の「賃金の決定、計算及び支払の方法」として就 業規則に記載する必要があること。

キ 限度時間を超えて労働させる場合における手続(新労基則第 17 条第 1項第7号関係)

 限度基準告示第3条第1項に規定する手続と同様のものであり、時間外・休日労働協定の締結当事者間の手続として、時間外・休日労働協定を締結する使用者及び労働組合又は労働者の過半数を代表する者(以下「労使当事者」という。)が合意した協議、通告その他の手続(以下「所定の手続」という。)を定めなければならないものであること。

 また、「手続」は、1箇月ごとに限度時間を超えて労働させることができる具体的事由が生じたときに必ず行わなければならず、所定の手続を経ることなく、限度時間を超えて労働時間を延長した場合は、法違反となるものであること。

 なお、所定の手続がとられ、限度時間を超えて労働時間を延長する際には、その旨を届け出る必要はないが、労使当事者間においてとられた所定の手続の時期、内容、相手方等を書面等で明らかにしておく必要が あること。

 

4 健康福祉確保措置の実施状況に関する記録の保存(新労基則第 17 条第2 項関係)

 使用者は、健康福祉確保措置の実施状況に関する記録を当該時間外・休日労働協定の有効期間中及び当該有効期間の満了後3年間保存しなければならないものであること。

 

5 限度時間(新労基法第 36 条第3項及び第4項関係)

 時間外・休日労働協定において新労基法第 36 条第2項第4号の労働時間を延長して労働させる時間を定めるに当たっては、当該事業場の業務量、時間外労働の動向その他の事情を考慮して通常予見される時間外労働の範囲内において、限度時間を超えない時間に限るものとしたこと。 また、限度時間は、1箇月について45 時間及び1年について 360 時間( 対象期間が3箇月を超える1年単位の変形労働時間制により労働させる場合は、1箇月について 42 時間及び1年について320時間)であること。

 

6 特別条項を設ける場合の延長時間等(新労基法第 36 条第5項関係)

 時間外・休日労働協定においては、上記3に掲げる事項のほか、当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合において、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間並びに1年について労働時間を延長して労働させることができる時間を定めることができることとしたものであること。

 この場合において、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させることができる時間については、上記3⑷に関して協定した時間を含め 100 時間未満の範囲内としなければならず、1年について労働時間を延長して労働させることができる時間については、上記3⑷に関して協定した時間を含め 720 時間を超えない範囲内としなければならないも のであること。

 さらに、対象期間において労働時間を延長して労働させることができる時間が1箇月について 45 時間(対象期間が3箇月を超える1年単位の変形労働時間制により労働させる場合は 42 時間)を超えることができる月数を1年について6箇月以内の範囲で定めなければならないものであること。

 

7 時間外・休日労働協定で定めるところにより労働させる場合の実労働時間数の上限(新労基法第 36 条第6項及び新労基則第 18 条関係)

 使用者は、時間外・休日労働協定で定めるところにより時間外・休日労働を行わせる場合であっても、以下の⑴から⑶までの要件を満たすものとしなければならないこと。また、以下の⑵及び⑶の要件を満たしている場合であっても、連続する月の月末・月初に集中して時間外労働を行わせるなど、短期間に長時間の時間外労働を行わせることは望ましくないものであること。

 なお、労働者が、自社、副業・兼業先の両方で雇用されている場合には、その使用者が当該労働者の他社での労働時間も適正に把握する責務を有しており、以下の⑴から⑶までの要件については、労働基準法第 38 条に基づき通算した労働時間により判断する必要があること。その際、労働基準法における労働時間等の規定の適用等については、平成 30 年1月 31 日付け基発 0131 第2号「「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の周知等について」の別添1「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を参考とすること。

 ⑴ 坑内労働その他厚生労働省令で定める健康上特に有害な業務について、 1日における時間外労働時間数が2時間を超えないこと。(新労基法第 36 条第6項第1号及び新労基則第 18 条関係)

 整備法による改正前の労働基準法第 36 条第1項ただし書と同様の内容であること。

 ⑵ 1箇月における時間外・休日労働時間数が 100 時間未満であること。(新 労基法第 36 条第6項第2号関係)

 1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働さ せた時間の合計時間が 100 時間未満であることを規定したものであること。

 ⑶ 対象期間の初日から1箇月ごとに区分した各期間の直前の1箇月、2 箇月、3箇月、4箇月及び5箇月の期間を加えたそれぞれの期間における 時間外・休日労働時間数が1箇月当たりの平均で80時間を超えないこと。(新労基法第 36 条第6項第3号関係)

 時間外・休日労働協定の対象期間におけるいずれの2箇月間ないし6 箇月間における労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の1箇月当たりの平均時間が 80 時間を超えないことを規定したものであること。

 

8 厚生労働大臣が定める指針(新労基法第 36 条第7項から第 10 項まで関係)

 厚生労働大臣は、時間外・休日労働協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率その他の必要な事項について、労働者の健康、福祉、時間外労働の動向その他の事情を考慮して指針を定めることができるものとし、今般、指針を定めたものであること。 労使当事者は、当該時間外・休日労働協定の内容が指針に適合したものとなるようにしなければならないものであること。 また、行政官庁は、指針に関し、労使当事者に必要な助言及び指導を行うことができるものとし、当該助言及び指導を行うに当たっては、労働者の健康が確保されるよう特に配慮しなければならないものであること。 指針の内容等については、下記 11 のとおりであること。

 

9 適用除外(新労基法第 36 条第 11 項関係)

 新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務については、専門的、科学的な知識、技術を有する者が従事する新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務の特殊性が存在する。このため、限度時間(新労基法第 36 条 第3項及び第4項)、時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合の要件 (新労基法第 36 条第5項)、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の上限(新労基法第 36 条第6項第2号及 び第3号)についての規定は、当該業務については適用しないものであるこ と。 なお、新たな技術、商品又は役務の研究開発に係る業務とは、専門的、科学的な知識、技術を有する者が従事する新技術、新商品等の研究開発の業務をいうものであること。

 

10 適用猶予(新労基法第 139 条から第 142 条まで並びに新労基則第 69 条 及び第 71 条関係)

 以下の⑴から⑷までに掲げる事業又は業務については、その性格から直ちに時間外労働の上限規制を適用することになじまないため、猶予措置を設けたものであること。

 ⑴ 工作物の建設等の事業(新労基法第 139 条及び新労基則第 69 条第1項 関係) 工作物の建設その他これに関連する事業として厚生労働省令で定める事業(以下「工作物の建設等の事業」という。)については、平成 36 年3 月 31 日までの間、新労基法第 36 条第3項から第5項まで及び第6項(第 2号及び第3号に係る部分に限る。)の規定は適用しないこととし、同年 4月1日以降、当分の間、災害時における復旧及び復興の事業に限り、新労基法第 36 条第6項(第2号及び第3号に係る部分に限る。)の規定は適用しないこととしたものであること。

 ア 猶予対象となる事業の範囲(新労基則第 69 条第1項関係) 新労基法第 139 条により時間外労働の上限規制の適用が猶予される 工作物の建設等の事業の範囲は、新労基則第 69 条第1項各号に掲げる事業をいうものであること。

 新労基則第 69 条第1項第2号に規定する事業とは、建設業に属する事業の本店、支店等であって、労働基準法別表第1第3号に該当しないものをいうものであること。

 また、新労基則第 69 条第1項第3号に規定する事業については、当該事業において交通誘導警備の業務を行う労働者に限るものであること。

 イ 平成 36 年3月 31 日までの新労基法第 36 条の適用(新労基法第 139 条第2項及び新労基則第 71 条関係) 平成 36 年3月 31 日(同日及びその翌日を含む期間を定めている時間外・休日労働協定に関しては、当該協定に定める期間の初日から起算して1年を経過する日)までの間、時間外・休日労働協定においては、 ①1日、②1日を超え3箇月以内の範囲で労使当事者が定める期間、③ 1年についての延長時間を協定するものであり、限度時間(新労基法第 36 条第3項及び第4項)、時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合の要件(新労基法第 36 条第5項)、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の上限(新労基法第 36 条第6項第2号及び第3号)についての規定は適用されないものであること。

 また、新労基則第 17 条第1項第3号から第7号までの規定は適用されないものであること。

 ウ 平成 36 年4月1日以降の新労基法第 36 条の適用(新労基法第 139条第1項関係)     

平成 36 年4月1日以降は、災害時における復旧及び復興の事業を除 き、工作物の建設等の事業に対して新労基法第 36 条の規定が全面的に 適用されるものであること。      災害時における復旧及び復興の事業については、平成 36 年4月1日 以降も、当分の間、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の上限(新労基法第 36 条第6項第2号及 び第3号)についての規定は適用されず、特別条項において定める1箇 月の時間外・休日労働時間数は、労使当事者間において、事業場の実情に応じた時間数を協定するものであること。

 ⑵ 自動車の運転の業務(新労基法第 140 条及び新労基則第 69 条第2項関係)

 自動車の運転の業務については、平成 36 年3月 31 日までの間、新労基法第 36 条第3項から第5項まで及び第6項(第2号及び第3号に係る部分に限る。)の規定は適用しないこととし、同年4月1日以降、当分の間、時間外労働の上限規制として1年について 960時間以内の規制を適用することとしたものであること。

 ア 猶予対象となる業務の範囲(新労基則第 69 条第2項関係)

 新労基法第 140 条により時間外労働の上限規制の適用が猶予される 自動車の運転の業務の範囲は、新労基則第 69 条第2項に規定する業務をいうものであり、自動者運転者の労働時間等の改善のための基準(平 成元年労働省告示第7号)の対象となる自動車運転者の業務と同義であること。

 イ 平成 36 年3月 31 日までの新労基法第 36 条の適用(新労基法第 140 条第2項及び新労基則第 71 条関係)

 平成 36 年3月 31 日(同日及びその翌日を含む期間を定めている時 間外・休日労働協定に関しては、当該協定に定める期間の初日から起算して1年を経過する日)までの間、時間外・休日労働協定においては、 ①1日、②1日を超え3箇月以内の範囲で労使当事者が定める期間、③ 1年についての延長時間を協定するものであり、限度時間(新労基法第 36 条第3項及び第4項)、時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合の要件(新労基法第 36 条第5項)、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の上限(新労基法第 36 条第6項第2号及び第3号)についての規定は適用されないものであること。

 また、新労基則第 17 条第1項第3号から第7号までの規定は適用されないものであること。 

  ウ 平成 36 年4月1日以降の新労基法第 36 条の適用(新労基法第 140 条第1項関係)

 平成 36 年4月1日以降は、当分の間、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の上限(新労基法 第 36 条第6項第2号及び第3号)についての規定は適用されず、特別条項において定める時間外・休日労働時間数は、労使当事者間において、1箇月については事業場の実情に応じた時間数を、1年については 960 時間を超えない範囲内の時間数をそれぞれ協定するものであること。

 ⑶ 医業に従事する医師(新労基法第 141 条関係)

 医業に従事する医師については、時間外労働の上限規制を適用するに当たって、医師法(昭和 23 年法律第 201 号)第 19 条第1項に基づく応召義務等の特殊性を踏まえた対応が必要であることから、平成 36 年4月 1日から時間外労働の上限規制を適用することとし、具体的な規制の在り方等については、現在、医療界の参加の下で有識者による検討を行っているものであること。

 ア 猶予対象となる医師の範囲(新労基法第 141 条第1項関係)

 新労基法第 141 条第1項に規定する医師の範囲については、有識者による検討結果等を踏まえながら、今後厚生労働省令で定めることとしているものであること。

 イ 平成 36 年3月 31 日までの新労基法第 36 条の適用(新労基法第 141 条第4項及び新労基則第 71 条関係)    

 平成 36 年3月 31 日(同日及びその翌日を含む期間を定めている時間外・休日労働協定に関しては、当該協定に定める期間の初日から起算 して1年を経過する日)までの間、時間外・休日労働協定においては、 ①1日、②1日を超え3箇月以内の範囲で労使当事者が定める期間、③ 1年についての延長時間を協定するものであり、限度時間(新労基法第 36 条第3項及び第4項)、時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合の要件(新労基法第 36 条第5項)、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の上限(新労基法第 36 条第6項第2号及び第3号)についての規定は適用されないものである こと。

 また、新労基則第 17 条第1項第3号から第7号までの規定は適用 れないものであること。

 ウ 平成 36 年4月1日以降の新労基法第 36 条の適用(新労基法第 141 条第1項から第3項まで関係)

 平成 36 年4月1日以降は、当分の間、労働時間を延長して労働させ ることができる時間を協定するに当たっては、新労基法第 36 条第2項 第2号の対象期間における時間数を協定するものであり、1日、1箇月 及び1年の区分は設けないものであること。また、新労基法第 36 条第2項第3号に基づき協定する時間外労働の原則的上限については、別途厚生労働省令で定めることとしたものであること。

 また、時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合の協定事項や時 間外・休日労働時間数の上限については、新労基法第 36 条第5項によらず、別途厚生労働省令で定めることとしたものであること。

 さらに、時間外・休日労働協定で定めるところにより労働させる場合の実労働時間数の上限については、新労基法第 36 条第6項によらず、 別途厚生労働省令で定めることとしたものであること。

 ⑷ 鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業(新労基法第 142 条及び新労基則第 71 条関係)

 鹿児島県及び沖縄県における砂糖を製造する事業については、平成 36 年3月 31 日(同日及びその翌日を含む期間を定めている時間外・休日労 働協定に関しては、当該協定に定める期間の初日から起算して1年を経過 する日)までの間、時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合の1箇月についての上限(新労基法第 36 条第5項)、1箇月について労働時間を延長して労働させ、及び休日において労働させた時間の上限(新労基法第 36 条第6項第2号及び第3号)についての規定は適用されないものであること。 また、新労基則第 17 条第1項第3号から第7号までの規定は適用され ないものであること。 平成 36 年4月1日以降は、新労基法第 36 条の規定が全面的に適用されるものであること。

 

11 労働基準法第三十六条第一項の協定で定める労働時間の延長及び休日の 労働について留意すべき事項等に関する指針関係

 ⑴ 目的(指針第1条関係)  

 指針は、時間外・休日労働協定で定める労働時間の延長及び休日の労働について留意すべき事項、当該労働時間の延長に係る割増賃金の率その他の必要な事項を定めることにより、労働時間の延長及び休日の労働を適正なものとすることを目的とするものであること。

 ⑵ 労使当事者の責務(指針第2条関係)

時間外・休日労働協定による労働時間の延長及び休日の労働は必要最小限にとどめられるべきであり、また、労働時間の延長は原則として限度時間を超えないものとされていることから、労使当事者は、これらに十分 留意した上で時間外・休日労働協定をするように努めなければならないものであること。 

 ⑶ 使用者の責務(指針第3条関係)

 使用者は、時間外・休日労働協定において定めた範囲内で時間外・休日労働を行わせた場合であっても、労働契約法(平成 19 年法律第 128 号) 第5条の規定に基づく安全配慮義務を負うことに留意しなければならないものであること。   

 また、使用者は、平成 13 年 12 月 12 日付け基発第 1063 号「脳血管疾患及び虚血性心疾患等(負傷に起因するものを除く。)の認定基準について」において、①1週間当たり 40 時間を超えて労働した時間が1箇月に おいておおむね 45 時間を超えて長くなるほど、業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が徐々に強まると評価できるとされていること、②発症前1箇月間におおむね 100 時間又は発症前2箇月間から6箇月間までにおい て1箇月当たりおおむね 80 時間を超える場合には業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が強いと評価できるとされていることに留意しなければならないものであること。

 ⑷ 業務区分の細分化(指針第4条関係)

労使当事者は、時間外・休日労働協定において労働時間を延長し、又は 休日に労働させることができる業務の種類について定めるに当たっては、 業務の区分を細分化することにより当該業務の範囲を明確にしなければならないものであること。   

 これは、業務の区分を細分化することにより当該業務の種類ごとの時 間外労働時間をきめ細かに協定するものとしたものであり、労使当事者は、時間外・休日労働協定の締結に当たり各事業場における業務の実態に即し、業務の種類を具体的に区分しなければならないものであること。 

 ⑸ 限度時間を超えて延長時間を定めるに当たっての留意事項(指針第5 条関係)     労使当事者は、時間外・休日労働協定において限度時間を超えて労働させることができる場合を定めるに当たっては、当該事業場における通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合をできる限り具体的に定めなければならず、「業務の都合上必要な場合」、「業務上やむを得ない場合」など恒 常的な長時間労働を招くおそれがあるものを定めることは認められないことに留意しなければならないものであること。   

 また、労使当事者は、特別条項において1箇月の時間外・休日労働時間 数及び1年の時間外労働時間数を協定するに当たっては、労働時間の延長は原則として限度時間を超えないものとされていることに十分留意し、当該時間を限度時間にできる限り近づけるように努めなければならない ものであること。   

 さらに、労使当事者は、時間外・休日労働協定において限度時間を超えて労働時間を延長して労働させることができる時間に係る割増賃金の率を定めるに当たっては、当該割増賃金の率を、労働基準法第三十七条第一項の時間外及び休日の割増賃金に係る率の最低限度を定める政令(平成 6年政令第5号)で定める率(2割5分)を超える率とするように努めなければならないものであること。 

 ⑹ 1箇月に満たない期間において労働する労働者についての延長時間の 目安(指針第6条関係)   

 労使当事者は、期間の定めのある労働契約で労働する労働者その他の1箇月に満たない期間において労働する労働者について、時間外・休日労働協定において労働時間を延長して労働させることができる時間を定めるに当たっては、指針別表の上欄に掲げる期間の区分に応じ、それぞれ同表の下欄に掲げる目安時間を超えないものとするように努めなければならないものであること。

 

別表(第6条関係)

期  間

目 安 時 間

1週間

15 時間

2週間

27 時間

4週間

43 時間

備考 期間が次のいずれかに該当する場合は、目安時間は、当該期間の区分に応じ、それぞれに定める時間(その時間に1時間未満の端数があるときは、これを1時間に切り上げる。)とする。 一 1日を超え1週間未満の日数を単位とする期間 15 時間に当該日数を7で除して得た数を乗じて得た時間

 二 1週間を超え2週間未満の日数を単位とする期間 27 時間に当該日数を14 で除して得た数を乗じて得た時間

 三 2週間を超え4週間未満の日数を単位とする期間 43 時間に当該日数を28 で除して得た数を乗じて得た時間(その時間が 27 時間を下回るときは、27 時間)

 

 ⑺ 休日の労働を定めるに当たっての留意事項(指針第7条関係)

 労使当事者は、時間外・休日労働協定において休日の労働を定めるに当たっては労働させることができる休日の日数をできる限り少なくし、及び休日に労働させる時間をできる限り短くするように努めなければならないものであること。 

 ⑻ 健康福祉確保措置(指針第8条関係)

 労使当事者は、時間外・休日労働協定に特別条項を設ける場合において、健康福祉確保措置を協定するに当たっては、次に掲げるもののうちから協定することが望ましいことに留意しなければならないものであること。

 ① 労働時間が一定時間を超えた労働者に医師による面接指導を実施すること。

 ② 労働基準法第 37 条第4項に規定する時刻の間において労働させる回数を1箇月について一定回数以内とすること。  

 ③ 終業から始業までに一定時間以上の継続した休息時間を確保すること。 

 ④ 労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、代償休日又は特別な休暇を付与すること。  

 ⑤ 労働者の勤務状況及びその健康状態に応じて、健康診断を実施すること。  

 ⑥ 年次有給休暇についてまとまった日数連続して取得することを含めてその取得を促進すること。 

 ⑦ 心とからだの健康問題についての相談窓口を設置すること。  

 ⑧ 労働者の勤務状況及びその健康状態に配慮し、必要な場合には適切な部署に配置転換をすること。  

 ⑨ 必要に応じて、産業医等による助言・指導を受け、又は労働者に産業医等による保健指導を受けさせること。 

 ⑼ 適用除外等(指針第9条及び指針附則関係)

 ア 新労基法第 36 条第 11 項に規定する業務(指針第9条関係)

 新労基法第 36 条第 11 項に規定する業務については、指針第5条、第 6条及び第8条の規定は適用しないものであること。

 また、新労基法第 36 条第 11 項に規定する業務に係る時間外・休日労働協定をする労使当事者は、延長時間を定めるに当たっては、限度時間を勘案することが望ましいことに留意しなければならないものであること。

 さらに、新労基法第 36 条第 11 項に規定する業務に係る時間外・休日労働協定をする労使当事者は、限度時間に相当する時間を超えて労働時間を延長して労働させることができることとする場合においては、当該時間外・休日労働協定において当該時間を超えて労働させる労働者に対する健康及び福祉を確保するための措置を定めるように努めなければならず、当該措置については、指針第8条各号に掲げるもののうちから定めることが望ましいことに留意しなければならないものであること。  

 イ 新労基法第 139 条第2項、第 140 条第2項、第 141 条第4項又は第 142 条の規定の適用を受ける時間外・休日労働協定(指針附則第3項関係)

  新労基法第 139 条第2項、第 140 条第2項、第 141 条第4項又は第 142 条の規定の適用を受ける時間外・休日労働協定についても、平成 36 年3月 31 日までの間、必要な読替えを行った上で、指針第9条第1項 及び第2項を適用するものであること。  

 ウ 限度基準告示の取扱い(指針附則第2項関係)

 限度基準告示は、廃止するものであること。

 

12 罰則(新労基法第 119 条関係)

 新労基法第 36 条第6項に違反した使用者に対しては、新労基法第 119 条 第1号の罰則の適用があること。

 

13 施行期日等(整備法附則第1条及び指針附則第1項関係) 時間外労働の上限規制に係る改正規定の施行期日及び指針の適用日は、平成 31 年4月1日であること。

 

 14 経過措置(整備法附則第2条及び第3条関係)

 ⑴ 時間外・休日労働協定に関する経過措置(整備法附則第2条関係)

  新労基法第 36 条の規定(新労基法第 139 条第2項、第 140 条第2項、 第 141 条第4項及び第 142 条の規定により読み替えて適用する場合を含む。)は、平成 31 年4月1日以後の期間のみを定めている時間外・休日労 働協定について適用するものであること。 平成 31 年3月 31 日を含む期間を定めている時間外・休日労働協定については、当該協定に定める期間の初日から起算して1年を経過する日までの間については、なお従前の例によることとし、改正前の労働基準法 第 36 条、労働基準法施行規則及び限度基準告示等が適用されるものであ ること。 

 ⑵ 中小事業主に関する経過措置(整備法附則第3条関係)

 中小事業主(その資本金の額又は出資の総額が3億円(小売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については5千万円、卸売業を主たる事業とする事業主については1億円)以下である事業主及びその常時使用する労働者の数が 300 人(小売業を主たる事業とする事業主について は50人、卸売業又はサービス業を主たる事業とする事業主については100 人)以下である事業主をいう。以下同じ。)の事業に係る時間外・休日労 働協定(新労基法第 139 条第2項に規定する事業、第 140 条第2項に規定する業務、第 141 条第4項に規定する者及び第 142 条に規定する事業 に係るものを除く。)については、平成 32 年4月1日から新労基法第 36 条の規定を適用するものであること。

 平成 32 年3月 31 日を含む期間を定めている時間外・休日労働協定については、当該協定に定める期間の初日から起算して1年を経過する日までの間については、なお従前の例によることとし、改正前の労働基準法 第 36 条、労働基準法施行規則及び限度基準告示等が適用されるものであること。   

 また、平成 32 年3月 31 日を含む期間を定める時間外・休日労働協定をする労使当事者は、当該協定をするに当たり、新労基法第 36 条第1項 から第5項までの規定により当該協定に定める労働時間を延長させ、又 は休日において労働させることができる時間数を勘案して協定をするように努めなければならないものとし、政府は、必要な情報の提供、助言その他の支援を行うものとしたこと。

 さらに、行政官庁は、当分の間、中小事業主に対し新労基法第 36 条第 9項の助言及び指導を行うに当たっては、中小企業における労働時間の動向、人材の確保の状況、取引の実態その他の事情を踏まえて行うよう配慮するものとしたこと。

 

ずいぶん長いですね。言いたいことのすべてを尽くしている感があります。

働き方改革関連法ということで注目を集めていますから、この機会にすべてを述べておきたいのでしょう。

特に、基準適用の先送りが行われた業種について、決して規制がかかるまで放置する意図ではないこと、一般の基準と業界や業種の実態とがあまりにもかけ離れているので、やむを得ず先送りしたことが丁寧に説明されています。

 

「労使が合意した場合であっても長時間労働は悪である」ということを忘れてはなりません。

家庭の事情から、過労に陥ることを覚悟のうえで長時間働いてより多くの収入を得ようとする人たちがいます。

しかし、健康を害したら、ましてや命を失ったら働けません。

本当は、適正な労働時間で十分な収入が得られることを望んでいるはずです。

今の仕事が好きだから、会社を気に入っているから、家族のために…こう思って働いている皆さんにどうやって報いることができるのか、これが社会全体の課題です。

 

2018.10.05.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。

 

働き方改革関連法についての通達「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律による改正後の労働基準法の施行について(平成30年9月7日基発0907第1号)」が公表されました。

 

第1 フレックスタイム制(新労基法第 32 条の3及び第 32 条の3の2並びに 新労基則第 12 条の3関係)

1 趣旨 フレックスタイム制は、一定の期間(清算期間)の総労働時間を定めておき、労働者がその範囲内で各日の始業及び終業の時刻を選択して働くことにより、労働者が仕事と生活の調和を図りながら効率的に働くことを可能とし、労働時間を短縮しようとする制度である。 整備法においては、子育てや介護、自己啓発など様々な生活上のニーズと仕事との調和を図りつつ、効率的な働き方を一層可能にするため、フレックスタイム制がより利用しやすい制度となるよう、清算期間の上限の延長等の見直しを行ったものであること。

なお、フレックスタイム制の運用に当たっては、使用者が各日の始業・終業時刻を画一的に特定することは認められないことに留意すること。

 

2 清算期間の上限の延長(新労基法第 32 条の3第1項関係)

 仕事と生活の調和を一層図りやすくするため、フレックスタイム制における清算期間の上限をこれまでの1箇月以内から3箇月以内に延長したものであること。  

 

3 清算期間が1箇月を超え3箇月以内である場合の過重労働防止(新労基法 第 32 条の3第2項関係) 

 清算期間を3箇月以内に延長することにより、清算期間内の働き方によっては、各月における労働時間の長短の幅が大きくなることが生じ得る。

 このため、対象労働者の過重労働を防止する観点から、清算期間が1箇月を超える場合には、当該清算期間を1箇月ごとに区分した各期間(最後に1箇月未満の期間を生じたときには、当該期間)ごとに当該各期間を平均し1週間当たりの労働時間が 50 時間を超えないこととしたものであること。

 また、フレックスタイム制の場合にも、使用者には各日の労働時間の把握を行う責務があるが、清算期間が1箇月を超える場合には、対象労働者が自らの各月の時間外労働時間数を把握しにくくなることが懸念されるため、使用者は、対象労働者の各月の労働時間数の実績を対象労働者に通知等することが望ましいこと。

 なお、整備省令による改正後の労働安全衛生規則(昭和 47 年労働省令第 32 号)第 52 条の2第3項に基づき、休憩時間を除き 1 週間当たり 40 時間を超えて労働させた場合におけるその超えた時間が 1 月当たり80時間を超えた労働者に対しては、当該超えた時間に関する情報を通知しなければならないことに留意する必要があること。

 加えて、清算期間が1箇月を超える場合であっても、1週平均 50 時間を超える労働時間について月 60 時間を超える時間外労働に対して5割以上の 率で計算した割増賃金の支払が必要であることや、法定の要件に該当した労働者について労働安全衛生法(昭和 47 年法律第 57 号)に基づき医師による面接指導を実施しなければならないことは従前と同様であり、使用者には、長時間労働の抑制に努めることが求められるものであること。

 

4 完全週休2日制の場合の清算期間における労働時間の限度(新労基法第 32 条の3第3項関係)

 完全週休2日制の下で働く労働者(1週間の所定労働日数が5日の労働者)についてフレックスタイム制を適用する場合においては、曜日のめぐり次第で、1日8時間相当の労働でも清算期間における法定労働時間の総枠を超え得るという課題を解消するため、完全週休2日制の事業場において、労使協定により、所定労働日数に8時間を乗じた時間数を清算期間における法定労働時間の総枠とすることができるようにしたものであること。

 この場合において、次の式で計算した時間数を1週間当たりの労働時間の限度とすることができるものであること。

 

(8×清算期間における所定労働日数)÷(清算期間における暦日数 ÷ 7)

 

5 労使協定の締結及び届出(新労基法第 32 条の3第4項及び新労基則第 12 条の3関係)  

フレックスタイム制の導入に当たっては、新労基法第 32 条の3第1項の規定に基づき、就業規則等の定め及び労使協定の締結を要するものであるが、今回の改正により、清算期間が1箇月を超えるものである場合においては、 労使協定に有効期間の定めをするとともに、新労基則様式第3号の3により、当該労使協定を所轄労働基準監督署長に届け出なければならないものであること。

 

6 清算期間が1箇月を超える場合において、フレックスタイム制により労働させた期間が当該清算期間よりも短い労働者に係る賃金の取扱い(新労基法 第 32 条の3の2関係)  

清算期間が1箇月を超える場合において、フレックスタイム制により労働させた期間が当該清算期間よりも短い労働者については、当該労働させた期間を平均して1週間当たり40 時間を超えて労働させた時間について、労働基準法第 37 条の規定の例により、割増賃金を支払わなければならないもの であること。

 

7 法定時間外労働となる時間

 フレックスタイム制を採用した場合に法定時間外労働となるのは、以下の ⑴及び⑵に示す労働時間であること。なお、上記4の特例に留意すること。

  ⑴ 清算期間が1箇月以内の場合    従前のとおり、清算期間における実労働時間数のうち、法定労働時間の総枠を超えた時間が法定時間外労働となるものであること。具体的な計算方法は、次の式によること。

 

清算期間における実労働時間数 -(週の法定労働時間 × 清算期間における暦日数 ÷7)

 

 ⑵ 清算期間が1箇月を超え3箇月以内の場合

次のア及びイを合計した時間が法定時間外労働となるものであること。

ア 清算期間を1箇月ごとに区分した各期間(最後に1箇月未満の期間 を生じたときには、当該期間)における実労働時間のうち、各期間を平均し1週間当たり 50 時間を超えて労働させた時間。具体的な計算方法は、次の式によること。

 

清算期間を1箇月ごとに区分した期間における実労働時間数 

-(50 × 清算期間を1箇月ごとに区分した期間における暦日数 ÷ 7)

 

  イ 清算期間における総労働時間のうち、当該清算期間の法定労働時間 の総枠を超えて労働させた時間(ただし、上記アで算定された時間外 労働時間を除く。)

 

8 罰則(新労基法第 120 条関係)

 新労基法第 32 条の3第4項に違反した使用者に対しては、新労基法第 120 条第1号の罰則の適用があること。

 

9 施行期日(整備法附則第1条関係)  

 フレックスタイム制に係る改正規定の施行期日は、平成 31 年4月1日 であること。

 

働き方改革関連法ということで注目を集めていますから、この機会に、従来のフレックスタイム制の注意点について再確認したという色合いが強いと思います。

清算期間を3か月にまで延長できるようにしたのは、労働時間を短縮しようとする制度の効果拡大を狙ってのものです。

 

次の点に注意していただきたいです。

・法定の手続きを踏まずに導入するのは違法であること。

・自己流の運用も、ほとんどの場合に違法となること。

・違法であれば、遡って賃金の計算をやり直し、差額の精算が必要となること。

・違法行為には罰則があること。

 

結果的に、残業手当が減額されたり、年次有給休暇を取得する必要性が低下したりということはあります。

しかし、これは結果論であって、フレックスタイム制というのは、あくまでも労働時間を短縮しようとする制度であることを忘れないようにしましょう。

 

2018.10.04.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。

平成30(2018)年9月28日、厚生労働省が閣議で「平成30年版労働経済の分析」(「労働経済白書」)を報告し公表しました。

この中で、雇用情勢の概況が次のように分析されています。

 

【雇用情勢の概況】

1. 2017年度の完全失業率は2.7%と1993年度以来24年ぶりの低水準となったことに加えて、有効求人倍率は1.54倍と1973年度以来44年ぶりの高水準となっており、雇用情勢は着実に改善している。

 

2. 雇用者数(15~54歳)の推移をみると、正規の職員・従業員は3年連続で増加しており、2017年では2,841万人(前年差36万人増)となった。

 

3. 他方、雇用人員判断D.I.により人手不足の状況をみると、人手不足感が高まっており、2018年3月調査では、全産業・製造業・非製造業のいずれもバブル期に次ぐ人手不足感となっている。

 

<雇用情勢の改善>

完全失業率が2.7%というのは、「完全雇用」の状態です。

すると、国は失業対策の手を緩め、次の段階である「労働者の健康の維持・増進」を強化することになります。

たしかに、失業して困っている人々も多いのですが、これだけ雇用情勢が改善されれば、国全体としては深刻な事態には至らないでしょう。

 

労働者の健康に関する法令というと、労働安全衛生法が有名です。もともと労働基準法に規定されていた労働者の安全・衛生・健康といった内容が、労働基準法から分家して独立したのが労働安全衛生法です。

ですから、もともと労働基準法には、労働者の健康に配慮した規定というのが少ないのですが、働き方改革の一環として、こうした規定が増えることになりました。

年次有給休暇を取得させる義務、残業時間の上限規制などは、労働者の健康に配慮した規定です。

 

これらの規定には罰則がありますから、企業は無視できません。罰金は1人当たり30万円ですから、摘発されたら支払えばよいと考える経営者もいるでしょうか。しかし、会社の評判は落ちますし、従業員は他社に逃げていきます。

正面から対応するには、まず、業務を減らすことが大事です。過去からの習慣で行っているだけの業務や、経営者の自己満足のための業務は、最初に切り捨てるべきです。

 

<正社員の増加>

働き方改革の中で、同一労働同一賃金ということが言われています。

仕事内容や異動の有無などに違いが無いのなら、同じ待遇(均等待遇)にしなさいということです。

また、正社員と短時間労働者や有期雇用労働者とで、仕事内容や異動の有無などに違いがあったとしても、その違いに応じた公平な待遇(均衡待遇)にしなさいということが、働き方改革関連法により強化されます。

こうなってくると「なぜあなたが正社員ではないのか」を説明するのが大変になってきます。

 

政府の方針に逆らっても、事業の継続にとっては損ですから、大手企業を中心に非正規社員の正社員化や正社員の積極採用の動きが見られます。

そもそも「正社員」というのは法律用語ではありませんし、それぞれの会社が独自に定義を決めていたり、定義を決めていなかったりしているのです。

政府は、将来的には正規と非正規の区別をなくす方針ですから、これを見越して、正社員を増やす傾向は今後も続くでしょう。

 

<人手不足感の高まり>

「労働経済白書」の中でも、少子高齢化による労働供給制約を抱える日本が、持続的な経済成長を実現していくためには、多様な人材が個々の事情に応じた柔軟な働き方を選択できるように「働き方改革」を推進し、一人ひとりの労働生産性を高めていくことが必要不可欠であり、そのためには、資本への投資に加えて、人への投資を促進していくことが重要だとしています。

上司が部下を、先輩が後輩を育てる仕組みと、育てることが評価される仕組みを充実させましょう。これだけでも、一人ひとりの労働生産性が高まりますから、人手不足が解消に向かいます。

また、自分自身の成長は嬉しいものです。成長を実感できる会社では、社員の定着率も高まります。

 

2018.10.03.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。

ぜひ、ご一緒に労働生産性の向上に取り組みましょう。

<傷病手当金とは>

傷病手当金は、休業中に健康保険の加入者(被保険者)とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、病気やケガのために会社を休み、会社から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。

被保険者は、給与天引きなどにより保険料を支払っている人です。

国民健康保険の被保険者は対象外です。

 

<支給の条件>

傷病手当金は、次の4つの条件をすべて満たしたときに支給されます。

・業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること

 業務や通勤によるケガは労災保険で補償されますから対象外です。

・仕事に就くことができないこと

 医師の判断によります。大事をとって休業しても対象外です。

・連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと

 最初の3日が、たまたま年次有給休暇でもOKです。

・休業した期間について給与の支払いがないこと

 給与の支払があって、その給与が傷病手当金の額より少ない場合は、傷病手当金と給与の差額が支給されます。

 

<支給される期間>

傷病手当金が支給される期間は、支給開始から最長1年6か月です。

医師が労務不能を認めた日と、実際に休業した日が重なっている期間に限ります。

 

<支給される金額>

傷病手当金は、1日につき健康保険加入者(被保険者)の標準報酬日額の3分の2に相当する額(1円未満四捨五入)が支給されます。

標準報酬日額は、標準報酬月額の30分の1に相当する額(10円未満四捨五入)です。

標準報酬月額は、原則として4月から6月までの給与の総支給額を基準に、その年9月以降の保険料の計算基準となる月給です。

ここでの標準報酬月額は、支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額を用います。法改正により、平成28(2016)年4月1日からこのようになりました。

 

<注意したいこと>

たとえば4日間の休業だと、もらえる傷病手当金は1日分です。「傷病手当金支給申請書」に医師の証明を書いてもらうのに、3千円から1万円の文書料がかかります。交通費などの経費や手間を考えると、申請を見送った方が良い場合もあるでしょう。

 

2018.10.02.解決社労士

 

平成30(2018)年9月28日、厚生労働省が閣議で「平成30年版労働経済の分析」(「労働経済白書」)を報告し公表しました。

 

<労働経済白書の趣旨>

「労働経済白書」は、雇用、賃金、労働時間、勤労者家計などの現状や課題について、統計データを活用して分析する報告書で、今回で70回目の公表となります。

少子高齢化による労働供給制約を抱える日本が、持続的な経済成長を実現していくためには、多様な人材が個々の事情に応じた柔軟な働き方を選択できるように「働き方改革」を推進し、一人ひとりの労働生産性を高めていくことが必要不可欠です。

そのためには、資本への投資に加えて、人への投資を促進していくことが重要です。

平成30年版では、こうした認識のもと、働き方の多様化に対応した能力開発や雇用管理の在り方についてさまざまな視点から多面的に分析を行いました。

 

<働き方改革>

働き方改革の定義は、必ずしも明確ではありません。

そのためか、働き方改革に関連した事項について誤った運用がなされると、そこばかりがクローズアップされて、悪いものであるかのように報道されてしまいます。

「副業・兼業の促進と言ってこれ以上働かせるのか。長時間労働の話はどうなったのか」

「働き方改革って、要は少ない賃金で働かせ放題にすることでしょ」

街頭インタビューでは、こんな発言が多くなってしまいました。

 

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ労働生産性を向上させる急速な改善」といえるでしょう。

労働生産性を向上させるには、より少ない労働時間で、より大きな成果を目指すことになります。また、この結果として、労働者にはより多くの報酬が与えられなければなりません。そうでなければ、らせん階段を駆け上がるような、良い循環は生まれないからです。

 

働くのは人間ですから、ある程度の時間働き続ければ、肉体的精神的疲労が蓄積して効率が低下してきます。

しかし、休憩や休暇によってリフレッシュできれば、体力と気力が回復して生産性が高まります。

適切な労働時間で働き、ほどよく休暇を取得することは、仕事に対する社員の意識やモチベーションを高めるとともに、業務効率の向上にプラスの効果が期待されます。

 

これに対し、長時間労働や休暇が取れない生活が常態化すれば、メンタルヘルスに影響を及ぼす可能性も高まりますし、生産性は低下します。

また、離職リスクの上昇や、企業イメージの低下など、さまざまな問題を生じることになります。

企業経営の観点からも、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進が得策です。

 

社員の能力がより発揮されやすい労働環境、労働条件、勤務体系を整備することは、企業全体としての生産性を向上させ、収益の拡大ひいては企業の成長・発展につなげることができます。

 

<人への投資>

かつて、「人財」という言葉が持てはやされました。

働き手が会社経営にとって財産であるという捉え方をして、「人材」ではなく「人財」だとされたのです。

企業の利益の源は「人財」である、企業は積極的に「人財」に投資すべきであると説かれました。

 

こうして一時的に、新人研修、○年目研修、幹部研修などが盛んに行われるようになったのですが、いつの間にか中小企業を中心に研修が少なくなってしまいました。

職場を離れての集合研修も重要なのに、働く現場でのOJTだけになっている企業も増えています。(OJTは、On-the-Job Training の略)

 

労働生産性の向上のためには、「人財教育」をはじめ、人への投資を促進していくことが不可欠となっています。

 

【白書の構成】

第Ⅰ部  労働経済の推移と特徴

第Ⅱ部

第1章  労働生産性や能力開発をめぐる状況と働き方の多様化の進展

第2章  働き方や企業を取り巻く環境変化に応じた人材育成の課題について

第3章  働き方の多様化に応じた「きめ細かな雇用管理」の推進に向けて

第4章  誰もが主体的にキャリア形成できる社会の実現に向けて

 

【白書の主なポイント】

・企業が能力開発に積極的に取り組むことが、翌年の売上高や労働生産性の向上、従業員の仕事に対するモチベーションの上昇などのプラスの影響を与える。

・多様な人材の十分な能力発揮に向けて、能力開発機会の充実や従業員間の不合理な待遇格差の解消など「きめ細かな雇用管理」を推進していくことが重要である。

・人生100年時代が見据えられる中、誰もが主体的なキャリア形成を行うことができる環境整備が重要であり、自己啓発の実施促進に向けては、金銭的な援助だけでなく、教育訓練機関等の情報提供やキャリアコンサルティングを実施することが、有効な取組となり得る。

 

2018.10.01.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

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ぜひ、ご一緒に労働生産性の向上に取り組みましょう。

 

非正規雇用労働者(パートタイム労働者、有期雇用労働者、派遣労働者)について、以下の①~③が統一的に整備されます。

パートタイム労働者だけでなく、有期雇用労働者も法の対象に含まれることになりました。

法律の名称も、「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」(パートタイム・ 有期雇用労働法)に変わります。

新しい法律は、中小企業については2021年4月1日施行ですが、大企業では2020年4月1日施行です。

 

<① 不合理な待遇差をなくすための規定の整備>

同一企業内で、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で、基本給や賞与などの個々の待遇ごとに、不合理な待遇差を設けることが禁止されます。

平成28(2016)年12月に、「同一労働同一賃金 ガイドライン案」が策定され、どのような待遇差が不合理に当たるかが示されていますが、今後、確定版が策定され明確な基準が示される予定です。

 

均等待遇規定

 (差別的取扱い

の禁止)

下記2点が同じ場合、差別的取扱いを禁止します。

①職務内容(業務の内容+責任の程度)

②職務内容・配置の変更の範囲

均衡待遇規定

 (不合理な待遇差

の禁止)

下記3点の違いを考慮した上で、不合理な待遇差を禁止します。

①職務内容

②職務内容・配置の変更の範囲

③その他の事情

 

均等待遇規定は、平等の原理に基づくものです。

平等とは、人々の共通する属性に着目して同じ扱いをすることにより、妥当な結論を導く考え方です。

ここでは、①と②が同じである点に着目しています。

 

均衡待遇規定は、公平の原理に基づくものです。

公平とは、人々の異なった属性に着目して違った扱いをすることにより、妥当な結論を導く考え方です。

ここでは、①~③が異なっている点に着目しています。

 

なお、派遣労働者については、下記のいずれかを確保することが義務化されます。

 

 

(1)派遣先の労働者との均等・均衡待遇

(2)一定の要件を満たす労使協定による待遇

併せて、派遣先になろうとする事業主に対し、派遣先労働者の待遇に関する派遣元への情報提供義務が新設されます。

 

派遣元で、評価制度や昇給制度を含む、一定の要件を満たす労使協定が交わされていれば、派遣先は安心です。

しかし、労使協定が無い場合には、派遣先の労働者の給与や賞与などの待遇を、派遣元に提供しなければならないということです。

 

<② 労働者に対する待遇に関する説明義務の強化>

非正規雇用労働者は、「正社員との待遇差の内容や理由」など、自身の待遇について説明を求めることができるようになります。

事業主は、非正規雇用労働者から求めがあった場合は、説明をしなければなりません。

具体的には、パートタイム労働者や有期雇用労働者から請求された場合には、賃金制度、賞与や退職金の有無などについて、正社員との違いを、それぞれの就業規則に基づき説明しなければなりません。

前提として、正社員と非正規雇用労働者それぞれの就業規則が存在し、周知されていて、その内容が不合理ではないことが必要です。

 

<③ 行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続の規定の整備>

事業主と労働者との間の紛争を、裁判をせずに解決する手続きのことを行政ADRといいます。都道府県労働局で、無料・非公開の紛争解決手続きが行われています。

現在は対象外の「均衡待遇」や「待遇差の内容・理由」に関する説明についても、行政ADRの対象となります。

裁判よりもはるかに安い費用で、しかも短期間で解決に至りうる手続きです。

行政ADRの当事者(会社側・労働者側)に不安がある場合には、特定社労士などが代理人となって活動することもできます。

 

2018.09.30.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。

<職場情報総合サイトの公開>

厚生労働省が、平成30(2018)年9月28日(金)に「職場情報総合サイト」を一般公開しました。

職場情報総合サイトは、「若者雇用促進総合サイト」-「女性の活躍推進企業データベース」-「両立支援のひろば」の3サイトに掲載されている各企業の職場情報を収集し、転載しています。また、各企業の各種認定・表彰の取得等の情報も掲載しています。

このように、職場情報をワンストップで閲覧できるようにし、横断的に検索・比較できるようにすることで、企業と働き手のよりよいマッチングの実現が期待できます。

職場環境の維持向上に努めている企業にとっては、アピールの場が新たに増えたことになります。

 

職場情報総合サイト:https://shokuba.mhlw.go.jp/index.html

 

【「職場情報総合サイト」の特徴について】

1 主なコンテンツ・機能

  ・当サイトについて(掲載する職場情報、メリット、当サイト設立の背景)

  ・利用方法(使い方・ご利用の流れ、操作マニュアル)

  ・職場情報検索(企業名・条件からの検索機能、複数の企業の比較機能)

  ・CSV一括ダウンロード(職場情報の全件データのダウンロード機能)

 

2 掲載する主な職場情報

  ・採用状況に関する情報

  ・働き方に関する情報

  ・女性の活躍に関する情報

  ・育児・仕事の両立に関する情報

  ・能力開発に関する情報

  ・ハローワークインターネットサービスに掲載されている求人情報とのリンク

 

3 職場情報総合サイトの活用のメリット

  ■求職者

  ○ライフスタイルや希望条件にあった企業の選択

  ○事前に企業の就業実態を把握し、入社後のミスマッチを防止

  ■データ登録企業

  ○職場情報を開示することによる企業のPR

  ○職場改善への取組が評価されることによる優秀な人材の獲得

 

2018.09.29.解決社労士

<懲戒処分の時効>

懲戒処分について、消滅時効期間を定める法令はありません。

会社の就業規則にも「○年以上経過した事実に対する懲戒処分は行わない」などの規定は無いでしょう。

ただ、懲戒処分は労働契約に付随するものですから、次に示す民法の基本原則が適用されます。

 

(基本原則)第一条 私権は、公共の福祉に適合しなければならない。

2 権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。

3 権利の濫用は、これを許さない。

 

つまり、いくら会社に懲戒権があるからといって、ずいぶん前の事実について懲戒処分を行うことは、不誠実でもあり権利の濫用ともなりうるので許されません。

 

<懲戒と刑罰>

刑事訴訟法には、公訴時効についての規定があります。

犯罪が終わってから、一定期間を過ぎると検察官が公訴を提起できなくなります。

会社による懲戒処分は、国家権力による刑罰とは違いますが、その目的は共通しています。

 

【懲戒処分の目的】

・懲戒対象となった社員に反省を求め、その将来の言動を是正しようとすること。・会社に損害を加えるなど不都合な行為があった場合に、会社がこれを放置せず懲戒処分や再教育を行う態度を示すことによって、他の社員が納得して働けるようにすること。

 

何が許され何が許されないのか社員一般に対して基準を示し、みんなが安心して就業できる職場環境を維持するためには、就業規則の懲戒規定が具体的でわかりやすいことが必要です。

そうでなければ、懲戒対象者が処分に納得せず、会社を逆恨みすることもあります。これでは、懲戒処分の目的が果たされません。

社会保険労務士に報酬を支払ってでも、それぞれの会社にピッタリの就業規則を作る必要があることは、懲戒規定だけを考えても明らかです。

 

<実際の公訴時効期間>

セクハラについて見ると、現在の刑事訴訟法では次のように規定されています。

30年 ― 強制性交等致死罪、強制わいせつ致死罪

15年 ― 強制性交等罪

3年 ― 名誉毀損罪、暴行罪、過失致傷罪、脅迫罪

1年 ― 侮辱罪、軽犯罪法違反罪

しかも、一部の公訴時効期間は、平成16(2004)12月の刑事訴訟法改正により、延長されています(翌年1月1日施行)。

こうしてみると、被害者が亡くなったような重大なケースを除き、20年前のセクハラで懲戒処分を行うというのは、懲戒権の濫用となる可能性が高いでしょう。

 

<時代背景からすると>

日本でセクハラという言葉が使われるようになったのは1980年代半ばだとされています。

しかし、男女雇用機会均等法が改正され、性的嫌がらせへの会社の配慮についての規定が置かれたのが平成9(1997)年です。

20年前というと、行為者がセクハラについての社員教育を受けていなかった可能性が高く、また、就業規則にもセクハラに対する懲戒処分の規定が無かった可能性があります。

行為の当時、就業規則に規定が無かったのならば、後から新たに規定ができても、これを根拠に懲戒処分をすることはできません(不遡及の原則)。

 

2018.09.28.解決社労士

<加害者に対して>

パワハラというのは、次の2つが一体となって同時に行われるものです。

・業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛など・業務上不要な人権侵害行為(犯罪行為、不法行為)

たしかに、被害者が退職した後も、加害者が嫌がらせを続ける場合があります。

しかし、この場合には、加害者が被害者に対して業務上必要な働きかけをするということがありませんので、人権侵害行為が単独で行われている状態です。

この人権侵害行為の多くは不法行為に当たり、被害者から加害者に対して損害賠償の請求が可能です。

さらに、この人権侵害行為が犯罪にあたる場合には、警察に被害を申し出て対応してもらうことになります。

ここで考えられる犯罪としては、刑法に規定されているものだけでも、暴行罪、傷害罪、脅迫罪、名誉毀損罪、侮辱罪などが考えられます。

 

<加害者の勤務先に対して>

加害者の勤務先としても、社員が退職者に対して権利侵害行為を行っているという事実は重大な関心事です。

たとえ勤務と無関係に行われた行為であっても、社員が会社の利益や信用を低下させる行為を行った場合には、行為者に対して懲戒処分を行いうるのです。

警察沙汰になったり、裁判になったりすれば、会社にとって大きなダメージとなりますから、放置することはできません。

退職者としてではなく、一個人として会社に被害を受けていることの事実を伝えるのが良いでしょう。

このような場合に心細いのであれば、交渉事ではありませんので、社会保険労務士に付き添いを依頼することも可能です。

 

2018.09.27.解決社労士

 

厚生労働省が、「働き方改革関連法」の一環で、平成31(2019)年4月から施行される改正労働基準法に盛り込まれた新しい時間外労働の上限規制に基づく新36協定の内容・記載方法などのリーフレットを公表しました。

法改正後は、36(サブロク)協定で定める時間外労働に、罰則付きの上限が設けられます。

厚生労働省は、時間外労働と休日労働を適正なものとすることを目的として、新たに指針を策定しました。 

 

<36(サブロク)協定とは>

時間外労働(残業)をさせるためには、36協定が必要です。

労働基準法では、労働時間は原則として、1日8時間・1週40時間以内とされています。これを「法定労働時間」といいます。

法定労働時間を超えて労働者に時間外労働(残業)をさせる場合には、協定書を所轄労働基準監督署長へ届け出る必要があります。

この届出が無いまま残業させると、たとえ1分でも厳密には違法残業となります。

36協定では、「時間外労働を行う業務の種類」や「1日、1か月、1年当たりの時間外労働の上限」などを決めなければなりません。

 

<時間外労働の上限規制とは>

平成30(2018)年6月に労働基準法が改正され、36協定で定める時間外労働に罰則付きの上限が設けられることとなりました。

この改正法は、平成31(2019)年4月施行ですが、中小企業への適用は2020年4月からとなります。

時間外労働の上限(「限度時間」)は、月45時間・年360時間となり、臨時的な特別の事情がなければこれを超えることはできません。

臨時的な特別の事情があって労使が合意する場合でも、年720時間、複数月平均80時間以内(休日労働を含む)、月100時間未満(休日労働を含む)を超えることはできません。

この「休日労働を含む」というのは、今回の法改正から取り入れられた基準です。

また、月45時間を超えることができるのは、年間6回(6か月)までです。

 

【36協定の締結にあたって留意すべき指針の内容】

① 時間外労働・休日労働は必要最小限にとどめましょう。(指針第2条)

 

②使用者は、36協定の範囲内であっても労働者に対する安全配慮義務を負います。また、労働時間が長くなるほど過労死との関連性が強まることに留意する必要があります。(指針第3条)

36協定の範囲内で労働させた場合であっても、労働契約法第5条の安全配慮義務を負うことに留意しましょう。

「脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準について」(平成13年12月12日付け基発第1063号厚生労働省労働 基準局長通達)で、

・1週間当たり40時間を超える労働時間が月45時間を超えて長くなるほど、業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が徐々に強まるとされていること

・さらに、1週間当たり40時間を超える労働時間が月100時間または2~6か月平均で80時間を超える場合には、業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が強いとされていること

に留意しなければなりません。

 

③時間外労働・休日労働を行う業務の区分を細分化し、業務の範囲を明確にしましょう。(指針第4条)

 

④臨時的な特別の事情がなければ、限度時間(月45時間・年360時間)を超えることはできません。限度時間を超えて労働させる必要がある場合は、できる限り具体的に定めなければなりません。この場合にも、時間外労働は、限度時間にできる限り近づけるように努めましょう。(指針第5条)

・限度時間を超えて労働させることができる場合を定めるに当たっては、通常予見することのできない業務量の大幅な増加等に伴い臨時的に限度時間を超えて労働させる必要がある場合をできる限り具体的に定めなければなりません。

「業務の都合上必要な場合」「業務上やむを得ない場合」など恒常的な長時間労働を招くおそれがあるものは認められません。

・時間外労働は原則として限度時間を超えないものとされていることに十分留意し、

(1)1か月の時間外労働と休日労働の時間、

(2)1年の時間外労働時間、

を限度時間にできる限り近づけるように努めましょう。

・限度時間を超える時間外労働については、25%を超える割増賃金率とするように努めなければなりません。

 

⑤1か月未満の期間で労働する労働者の時間外労働は、目安時間を超えないように努めましょう。(指針第6条)

ここで目安時間とは、1週間:15時間、2週間:27時間、4週間:43時間です。

 

⑥休日労働の日数及び時間数をできる限り少なくするように努めましょう。(指針第7条)

 

⑦限度時間を超えて労働させる労働者の健康・福祉を確保しましょう。(指針第8条)

・限度時間を超えて労働させる労働者の健康・福祉を確保するための措置について、次の中から協定することが望ましいことに留意しましょう。

(1)医師による面接指導

(2)深夜業の回数制限

(3)終業から始業までの休息時間の確保(勤務間インターバル)

(4)代償休日・特別な休暇の付与

(5)健康診断

(6)連続休暇の取得

(7)心とからだの相談窓口の設置

(8)配置転換

(9)産業医等による助言・指導や保健指導

 

⑧限度時間が適用除外・猶予されている事業・業務についても、限度時間を踏まえて、健康・福祉を確保するよう努めましょう。(指針第9条、附則第3項)

・限度時間が適用除外されている新技術・新商品の研究開発業務については、限度時間を勘案することが望ましいことに留意しましょう。

また、月45時間・年360時間を超えて時間外労働を行う場合には、⑦の健康・福祉を確保するための措置を協定するよう努めなければなりません。

・限度時間が適用猶予されている事業・業務については、猶予期間において限度時間を勘案することが望ましいことに留意しましょう。 

 

<指針への対応>

こうした指針は、会社の実情を踏まえて、会社に都合の良い解釈がとられがちです。

36協定書を所轄の労働基準監督署長に届け出ることだけでなく、その運用についても、専門家の客観的な解釈に沿って考える必要があるでしょう。

 

2018.09.26.解決社労士

<調査の目的>

平成30(2018)年9月14日、厚生労働省が「平成28(2016)年社会保障を支える世代に関する意識調査」について調査結果を取りまとめ公表しました。

急速な少子高齢化の進行、経済情勢や雇用基盤の変化、就業形態の多様化の進展など、社会保障制度を取り巻く環境が大きく変化しています。

これらの変化に対応して、充実と重点化・効率化を同時に図ることで、誰もが安心できる持続可能な社会保障制度を確立していくことが求められています。

この調査は、こうした状況を背景として、社会保障を支える世代の就業状況や子育て、親への支援の状況の実態を把握するとともに、理想の働き方や社会保障に係る負担のあり方などについての意識を調査し、今後の厚生労働行政施策の企画・立案のための基礎資料を得ることを目的としています。

 

【調査結果のポイント】

(1) 子育ての状況について

・子育てと仕事の両立について、男女ともに「仕事が忙しくて、十分な子育てができない」が最も多く、男性は53.9%、女性は25.5%。次いで、男性では「苦もなくできている」が33.5%、女性では「そもそも仕事をしていない」が24.0%だった。

 

(2) 親への支援の状況について

・親への手助けや見守りで負担に感じることについて、男女ともに「ストレスや精神的負担が大きい」が最も高く、男性は33.0%、女性では44.7%だった。

 

(3) 就業状況について

・一番理想とする働き方や労働条件については、年齢層が上がると「残業が少なく、定時どおりに帰宅しやすい環境」や「有給休暇が取得しやすい環境」が低下し、「退職金や企業年金が充実」が上昇する傾向にある。女性の若年層においては、「育児休業が取得しやすいなど、子育てと両立しやすい環境」が比較的高くなっている。

 

(4) 社会保障制度に対する意識について

・今後、充実させる必要があると考える社会保障の分野について、男女ともに「老後の所得保障(年金)」が最も高く、次いで「高齢者医療や介護」、「子ども・子育て支援」となっている。

・社会保障の給付と負担の考え方については、男女ともに「社会保障の給付水準を維持し、少子高齢化による負担増はやむを得ない」が最も高く、男性は25.4%、女性は23.7%だった。

 

<子育て中の社員への対応>

子育ての状況については、男女間の意識差が感じられます。

また男女ともに、「仕事が忙しくて、十分な子育てができない」が最多数であるにもかかわらず、2番目に多いのが男性では「苦もなくできている」、女性では「そもそも仕事をしていない」という結果です。

これは、家庭ごとに事情が大きく異なることを示しています。

会社が子育て中の社員への対応を考える場合に、「平均値」的なものにとらわれず、各家庭の事情に応じて、対象者が会社の対応を選べるようにすることが必要でしょう。

育児介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)が、会社の取るべき対応を1つに絞り込まず、複数の中から選択できる形をとっているのも、こうした事情を踏まえてのことだと考えられます。

 

<親を支援する社員への対応>

親を支援する世代の社員には管理職が多いと思われます。

最近では、働き方改革と称して、部下の仕事を残業手当の付かない管理職にシフトさせる動きが見られます。

ここには、働き方改革に対する誤解があるようです。

たしかに、働き方改革の定義は必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ生産性を向上させる急速な改善」といえるでしょう。

社員は人間ですから、長時間労働や休暇が取れない生活が常態化すれば、メンタルヘルスに影響を及ぼす可能性も高まりますし、生産性は低下します。

また、離職リスクの上昇や、企業イメージの低下など、さまざまな問題を生じることになります。

社員のためだけでなく、そして企業経営の観点からも、長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進が得策です。

特に親を支援している管理職には業務を集中させず、メンタルヘルス不調を来さないように、十分な管理が必要となるでしょう。

 

2018.09.25.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。

 

 

平成30(2018)年10月1日以降に日本年金機構で受け付ける「健康保険被扶養者(異動)届」について、添付書類の取扱いが変更になります。

 

<認定事務の変更>

厚生労働省から「日本国内に住んでいる家族を扶養家族(被扶養者)に認定する際の身分関係と生計維持関係の確認について、申立てのみによる認定は行わず、証明書類に基づく認定を行うこと」という事務の取扱いが示されました。

これを受けて、日本年金機構への届出に際して【添付書類一覧】の書類の添付が必要になりました。

なお、一定の要件を満たした場合には、書類の添付を省略することが可能となります。

 

<添付書類の変更>

扶養認定を受ける人の続柄や年間収入を確認するため、【添付書類一覧】のうち、扶養認定を受ける人が保険加入者(被保険者)と同居しているときは№1,2を、別居しているときは№1,2,3を添付します。

 

【添付書類一覧】

添 付 書 類

目的

添付の省略ができる場合

1

次のうちどれか1つ( 90 日以内に発行されたもの)

・戸籍謄本

・戸籍抄本

・住民票

保険加入者(被保険者)と扶養認定を受ける人が同居していて、保険加入者(被保険者)が世帯主である場合に限ります。

続柄の

確認

次の両方に該当するとき

・保険加入者(被保険者)と扶養認定を受ける人のどちらもマイナンバーが届書に記載されていること

・左記の書類により、扶養認定を受ける人の続柄が届書の記載と同じであることを確認した旨を、事業主が届書に記載していること

2

年間収入が「130 万円未満」であることを確認できる課税証明書等の書類

 

ただし、扶養認定を受ける人が次のどちらかに該当する場合は「180 万円未満」です(収入には公的年金も含まれます)。

・60 歳以上の人

・障害厚生年金の受給要件に該当する程度の障害者

収入の

確認

次のどちらかに該当するとき

・16 歳未満のとき

・扶養認定を受ける人が、所得税法上の控除対象の配偶者または扶養親族であることを確認した旨を、事業主が届書に記載しているとき(障害年金、遺族年金、傷病手当金、失業給付等非課税対象の収入がある場合は、受取金額の確認ができる通知書等のコピーの添付が必要です)。

3

仕送りの事実と仕送り額が確認できる書類

・振込の場合 … 預金通帳等の写し

・送金の場合 … 現金書留の控え(写し)

次のどちらかに該当するとき

・16 歳未満のとき

・16 歳以上の学生のとき

 

なお、保険加入者(被保険者)と扶養認定を受ける人との同居については、日本年金機構で確認を行うため、原則として、書類の添付は不要ですが、確認できない場合には、別途、住民票の提出を求められることがあります。

 

2018.09.24.解決社労士

<働く女性の実情>

平成30(2018)年9月18日、厚生労働省が「平成29年版 働く女性の実情」を取りまとめ公表しました。

「働く女性の実情」は、政府や研究機関などの各種統計調査を用いて、働く女性の状況などを分析した報告書で、昭和28(1953)年から毎年公表しています。

「平成29年版 働く女性の実情」は2部構成で、Ⅰ部第1章では、就業状況や労働条件など働く女性に関する状況について、第2章では「女性活躍推進法に基づく取組状況」について、また、Ⅱ部では、働く女性に関する厚生労働省の施策について取りまとめています。

 

我が国では、女性の個性と能力が十分に発揮できる社会を実現するため、「女性活躍推進法」(「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」)が平成27年8月に成立し、平成28年4月に全面施行されたところです。

これは、次の国内事情を踏まえてのことです。

(1)就業を希望していながら働いていない女性が約300万人に上っていること、また、出産・育児を理由に離職する女性は依然として多く、再就職にあたって非正規労働者となる場合が多いことなどから、女性雇用者の半数以上は非正規労働者として働いていること、さらに、管理職に占める女性の割合は、欧米、アジア諸国と比べても低い状況にあることから、働く場面において女性の力が十分に発揮できているとはいえない状況にある。

(2)急速な人口減少局面を迎え、労働力不足が懸念されている中で、国民のニーズの多様化やグローバル化等に対応するためにも、企業等における人材の多様性(ダイバーシティ)を確保することが不可欠となっており、女性の活躍の推進の重要性が高まっている。

 

このため、平成29年版Ⅰ部第2章では「女性活躍推進法に基づく取組状況」をテーマに、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画(以下「行動計画」という。)や情報公表状況について、女性の活躍推進企業データベースのデータ等を用い、企業等における自社の女性の活躍推進に向けた課題の検討に資するものとなるよう分析を行っています。

 

「女性活躍推進法に基づく取組状況」のあらまし

■都道府県労働局雇用環境・均等部(室)への一般事業主行動計画策定届の届出状況

・女性活躍推進法において義務企業である301人以上の労働者を雇用する事業主は15,983社(届出率98.1%)、努力義務企業である300人以下の労働者を雇用する事業主は4,711社

 

■厚生労働大臣の認定(えるぼし認定)

・女性の活躍推進に関する状況等が優良な企業として「えるぼし認定」を受けた企業は630社

 

■女性の活躍推進企業データベースにおける情報公表

  女性活躍推進法ではインターネットの利用などにより情報の公表を義務づけており(300人以下は努力義務)、厚生労働省では「女性の活躍推進企業データベース」を運営している。

 1 登録企業

  ・登録企業は13,306社

  ・規模別にみると、「301~500人」が3,239社と最も多く、「501~1,000人」2,768社、「1,001人~5,000人」2,182社、「5,001人以上」479社と続く。

  ・産業別にみると、「製造業」が2,972社と最も多く、「サービス業(他に分類されないもの)」2,022社、「卸売業、小売業」1,959社、「医療、福祉」1,323社、「建設業」1,238社と続く。

 2 情報公表の実態

    ・情報公表企業は9,276社

  (1)平均公表項目数は5.5項目

    規模別にみると、「5,000人以上」が7.8項目と最も多く、次いで「1,001~5,000人」が6.1項目、「10~100人」が5.7項目、「100人未満」が5.6項目となっている。

    産業別にみると、「鉱業、採石業、砂利採取業」が9.4項目と最も多く、次いで「電気・ガス・熱供給・水道業」が7.2項目、「金融業、保険業」「学術研究、専門・技術サービス業」が7.0項目となっている。

  (2)雇用者総数に占める女性の割合が高い産業と低い産業の公表項目

    総務省労働力調査において、雇用者総数に占める女性の割合が高い「医療、福祉」、「宿泊業、飲食サービス業」と低い「電気・ガス・熱供給業」、「建設業」についてみると、「医療、福祉」「宿泊業、飲食サービス業」では「採用した労働者に占める女性労働者」(それぞれ72.7%、70.1%)及び「管理職に占める女性労働者の割合」(それぞれ72.7%、61.4%)の公表割合が高い。一方、「電気・ガス・熱供給業」では「男女の平均勤続勤務年数の差異、又は男女別の採用10年前後の継続雇用割合」88.0%、「労働者に占める女性労働者」76.0%、「建設業」では「採用した労働者に占める女性労働者」67.2%、「労働者に占める女性労働者」62.6%と高くなっていることから、女性雇用者の多少により公表項目が異なっており、女性の割合が高い産業は低い産業と比べて「管理職に占める女性労働者の割合」の公表順位が高い。

  (3)女性の活躍状況(公表項目の平均値)

   ・採用した労働者に占める女性の割合

   平均値は39.8%

   企業規模別にみると、「101~300人」が44.0%と最も高く、次いで「301~500人」の41.2%、「501~1,000人」「5,001人以上」40.5%となっている。

   産業別にみると、「医療,福祉」が71.7%と最も高い。

   ・管理職に占める女性労働者の割合

   平均値は14.3%

   企業規模別にみると、「10人未満」16.5%、「10~100人」19.0%、「101~300人」17.2%、「301~500人」16.1%、「501~1,000人」13.0%、「1,001~5,000人」10.5%、「5,001人以上」9.3%となっており、企業規模が大きくなるほど女性の割合は低い。

 

2018.09.23.解決社労士

<最低賃金の発効日>

平成30年10月1日をもって、東京都の最低賃金時間額は958円から985円に引き上げられます。この日が発効日ですから、この日に勤務した分から985円を下回る時間給は違法になってしまいます。日給でも月給でも、1時間あたりの賃金が985円を下回ってはいけません。

 

<雇用契約書を変更する必要性>

契約期間が平成30年10月1日以降にまたがる雇用契約書(労働契約書)であれば、その人の賃金時間額が985円を下回っている場合に、これ以上の賃金に改定した内容で雇用契約書を交わしなおす必要があります。

賃金という重要項目でもありますし、いつの分からの変更か明らかにする意味でも、また、最低賃金改定の説明をするチャンスでもあることから、修正して訂正印ではなくて、きちんと作り直して説明のうえ交付することをお勧めします。

 

<雇用契約書が複数ある場合の効力>

古い雇用契約書には、まだ契約期間が残っていて、新しい雇用契約書と期間がダブることになります。

そして古い雇用契約書も、その期間の雇用契約を明らかにする重要な文書ですから、回収するわけにもいきません。

実は、雇用契約書を含め契約書には必ず作成年月日が記されています。これは、契約内容が変更され新しい契約書が作成された場合には、作成年月日の新しいものが優先的に効力を持つという約束事があるからです。

ですから期間の重なった複数の雇用契約書があっても、最新のものが適用されるということで安心なのです。ただし、雇用契約書の作成年月日を空欄にしたままではいけません。きちんと契約書を完成させた日の日付を入れておきましょう。

 

最低賃金の引き上げに限らず、有期契約の無期化や、社会保険加入基準の変更などで、雇用契約の管理は少し複雑になってきています。面倒に思えてきたらお近くの社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

2018.09.22.解決社労士

<「被」という漢字の意味>

「被」という漢字には、受け身の意味があります。

ここで「受け身」というのは、行動の主体からの動作・作用を受ける人を主人公にして話す話し方です。

 

AさんがBさんをほめた。

この事実をBさんから見ると、

BさんがAさんからほめられた。

となります。

 

英語の授業では受動態として習いましたし、漢文の授業では「る」「らる」という受け身の助動詞として習いました。

 

<社会保険で「被」が付くことば>

「被保険者」は、保険について受け身の人のことをいいます。

保険者は、保険を運用する人のことをいいます。

健康保険の保険者は、保険証に書かれています。

協会けんぽであったり、健康保険組合であったり…

国民健康保険では、市町村が保険者です。

そして、保険が適用され給付を受ける人が「被保険者」ということになります。

日常用語では「保険加入者」ですね。

 

「被扶養者」は、扶養について受け身の人のことをいいます。

扶養する人を、わざわざ「扶養者」ということは少ないでしょう。

誰かに扶養されている人のことを「被扶養者」といいます。

日常用語では「扶養家族」ですね。

特に被扶養者のうち配偶者を「被扶養配偶者」といいます。

国民年金では勤め人が第二号被保険者、その被扶養配偶者が第三号被保険者ということになっています。

 

<労働保険で「被」が付くことば>

雇用保険や労災保険でも、保険を適用される人が「被保険者」ということになります。

労災保険では、保険事故に遭った人のことを「被災者」といいます。

業務災害や通勤災害という災害に遭った人ということです。

 

<その他「被」が付くことば>

「被相続人」というのは亡くなった人です。

「相続人」は、相続する人、相続を受ける人のことですから、相続をされる側の人は亡くなった人ということになります。

 

「被害者」は害を受ける人です。相手は「加害者」です。

 

「被告人」は、犯罪の嫌疑を受けて公訴を提起された人です。「告訴された人」が語源ですが、その意味は「起訴された人」です。

告訴は、犯罪の被害者などが、捜査機関に犯罪事実を申告し、犯人の訴追を求めることですから、起訴とは意味が違っています。

なお「被告」は、民事裁判で訴えを提起された人のことを指しますから、犯罪者というわけではありません。

日常用語では、「被告人」と「被告」が混同されています。テレビニュースでも、正しく区別して表現されないことがあります。

 

2018.09.21.解決社労士

<社会保険の加入基準>

社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入は、1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数が常時雇用者(正社員など)の4分の3以上というのが原則の基準です。

ただし、大企業などで特定適用事業所となっている場合には、1週間の所定労働時間が20時間以上でも加入となりえます。

「勤務日数が少なくなった」というのが、一般の企業で1か月の所定労働日数が常時雇用者(正社員など)の4分の3を下回ったという意味であれば、社会保険から脱退(資格喪失)することになります。

特定適用事業所の場合には、1週間の所定労働時間が20時間を下回ったのであれば、同様に社会保険から脱退(資格喪失)することになります。

 

<所定労働時間・日数>

「所定」とは「あらかじめ決められている」という意味です。

そして、所定労働時間や所定労働日数は、使用者と労働者との労働契約での合意によって決まります。

企業は「就業規則」か、個人ごとに交付する「労働条件通知書」などの書面で、労働者に所定労働時間や所定労働日数を示します。これを示さないのは労働基準法違反ということになります。

 

<事実か契約か>

社会保険の加入基準は、事実としての勤務日数ではなく、所定労働日数が原則です。

ですから、病気や家庭の事情により、一時的に勤務日数が少なくなったに過ぎない場合には、所定労働日数は変更が無いと考えられます。

なぜなら、一時的な事情が解消すれば、元どおりの勤務をするようになると考えられるからです。

もし、長期にわたって勤務日数が少ないままであることが見込まれるのであれば、使用者と労働者とで話し合い、所定労働日数を変更する必要があります。

これをしないと、社会保険の加入だけでなく、年次有給休暇の付与日数や出勤率の計算が実態に合わなくなってしまいます。

 

ところで、所定労働日数が原則だというのは例外があるからです。

使用者が労働者の社会保険加入を不当に避けるため、実際には加入基準を満たす勤務実態であるのに、所定労働時間を短く、所定労働日数を少なくして、労働条件通知書も嘘の内容にして交付しているような場合があります。

こうした場合には、勤務の実態に即して社会保険に加入(資格取得)することになっています。

 

2018.09.20.解決社労士

<加害者への責任追及>

パワハラについて社内に相談窓口があれば、その相談窓口に事実を伝えます。

もし相談窓口が無ければ、加害者の直属上司に事実を伝えます。

これによって期待される会社の対応は、加害者から被害者への謝罪を促すこと、就業規則の規定に沿った懲戒処分、加害者の人事異動などです。

しかし、会社の対応が無い場合や、不適切・不十分と感じられる場合には、加害者に対する損害賠償の請求が考えられます。

 

〔民法709条〕

(不法行為による損害賠償)故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

少なくとも、精神的な損害を受けているでしょうから慰謝料の請求ができます。この他、治療費や勤務できなかったことによる賃金の損失などが考えられます。

 

<会社への責任追及>

会社は従業員に対し、パワハラに走らないように指導すること、従業員がパワハラを受けずに勤務できる環境を整えることについて責任を負っています。

法的には、使用者責任と安全配慮義務です。

 

〔民法715条〕

(使用者等の責任)ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。2 使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。

3 前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

 

〔労働契約法5条〕

(労働者の安全への配慮)使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。

 

労働契約法には、損害賠償のことが書かれていませんが、労働契約法5条違反で従業員の権利が侵害されると、先に出てきた民法709条によって損害賠償を請求できることになります。

 

<加害者への制裁>

ここまでの内容は、パワハラについて責任を負う人たちに損害賠償を請求するという民事上の話です。

これとは別に、法令によって加害者に制裁が加えられる場合があります。

 

パワハラは、次の2つが一体となって同時に行われるものです。

・業務上必要な叱責、指導、注意、教育、激励、称賛など

・業務上不要な人権侵害行為(犯罪行為、不法行為)

 

この人権侵害行為が犯罪にあたる場合には、警察に被害を申し出て対応してもらうことになります。

パワハラに伴う犯罪としては、刑法に規定されているものだけでも、暴行罪、傷害罪、脅迫罪、名誉毀損罪、侮辱罪などが考えられます。

 

加害者に制裁する権限は、国家権力に独占されています。

たとえパワハラで辛い思いをしても、加害者に直接仕返しするようなことは許されません。それ自体が犯罪となることもあります。

 

2018.09.19.解決社労士

<年齢制限は原則禁止>

労働者の募集と採用の際には、原則として年齢を不問としなければなりません。

これは、形式的に求人票や求人広告で「年齢不問」とすれば良いということではありません。

年齢を理由に応募を断ったり、書類選考や面接で年齢を理由に不採用としたりすることは違法です。

また、応募者の年齢を理由に雇用形態や職種などの求人条件を変えることもできません。

 

【違法な求人条件の例】

・ハードな重労働について40歳以下で募集

・若者向けの洋服の販売スタッフについて30歳以下で募集

・PC操作や夜間業務の多い職種について若い人限定で募集

・一定の経験が必要な指導業務について50歳以上で募集

 

<認められている例外>

合理的な理由により、例外的に年齢制限が許される場合があります。

例外的に年齢制限を行う場合は、法定の例外事由に該当する必要があります。

また、年齢の上限を定める場合には、求職者、職業紹介事業者等に対して、その理由を書面や電子媒体により提示することが義務づけられています。

ただし、年齢制限が65歳以上の場合には、対象外となっています。

〔高年齢者雇用安定法20条1項〕

 

例外となる場合(雇用対策法施行規則1条の3 1項)

例外事由 1号 定年年齢を上限として、その上限年齢未満の労働者を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
例外事由 2号 労働基準法その他の法令の規定により年齢制限が設けられている場合
例外事由 3号 イ 長期勤続によるキャリア形成を図る観点から、若年者等を期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
例外事由 3号 ロ 技能・ノウハウの継承の観点から、特定の職種において労働者数が相当程度少ない特定の年齢層に限定し、かつ、 期間の定めのない労働契約の対象として募集・採用する場合
例外事由 3号 ハ 芸術・芸能の分野における表現の真実性などの要請がある場合
例外事由 3号 ニ 60歳以上の高年齢者または特定の年齢層の雇用を促進する施策(国の施策を活用しようとする場合に限る)の対象となる者に限定して募集・採用する場合

 

これらの例外事由は、厳密に解釈されていますので、安易な拡張解釈は許されません。

しかし、年齢制限の必要を感じる理由を分析してみれば、例外事由に該当する場合も多いのではないでしょうか。

 

2018.09.18.解決社労士

ガイドライン案の内容は↓こちらをご参照ください。

https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11650000-Shokugyouanteikyokuhakenyukiroudoutaisakubu/0000190750.pdf

 

<示している内容>

このガイドライン案は、正規雇用労働者と非正規雇用労働者との間で、待遇差がある場合に、次の2つを区別するための基準を示しています。

 

・不合理な待遇差

・不合理ではない待遇差

 

しかし、次の2つは示されていません。

 

・不合理な待遇差を含む就業規則の例(これは許されない)

・不合理ではない待遇差を含む就業規則の例(ここまでは許される)

 

なぜなら、1つの規定だけを見て、それが不合理な待遇差であるか否かは判断できないからです。

実際には、2組の規定の組合せを見て判断することになります。

 

・職務内容、責任、異動の範囲、人事考課による不利益の有無などの規定

・待遇または待遇の基準についての規定

 

<比較される2つのグループ>

このガイドライン案は、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の間の不合理な待遇差を解消することを目的としています。

単純に正社員とパート社員のような比較ではなく、2つのグループ間での比較になります。

 

正規雇用労働者 =「無期雇用」かつ「フルタイム」

雇用期間に区切りが無く定年まで働く予定であることと、1日8時間、週5日のようにフルタイムで働くこととの両方が条件となります。

「パートさん」「契約社員」と呼ばれていても、契約期間の定めが無くて、フルタイムで働いていれば、ここに言う正規雇用労働者です。

「正社員」と呼ばれていても、フルタイムで働いていない人は正規雇用労働者に含まれません。ただし、普段はフルタイムで、育児などの理由により一定の期間だけフルタイムで働かないという人は、正規雇用労働者に含まれます。

 

非正規雇用労働者 = 正規雇用労働者の条件を満たさない人

雇用期間に区切りのある有期雇用の人、フルタイムの人よりも短時間勤務の人、フルタイムの人よりも勤務日数が少ない人は、すべて正規雇用労働者の条件を満たしませんから非正規雇用労働者です。

「正社員」の中にも稀に有期雇用の人がいますが、この人は非正規雇用労働者に含まれます。

 

このガイドライン案が対象としているのは、正規雇用労働者のグループに含まれる人と、非正規雇用労働者のグループに含まれる人との比較です。

同じグループに含まれる正社員同士や、パートとアルバイトとの比較は対象外となります。

 

結局、就業規則の規定が、このガイドライン案によって不合理とされるか否かの判断のためには、次の2つの比較が必要となります。

 

正規雇用労働者についての次の2つの規定の組合せ

・職務内容、責任、異動の範囲、人事考課による不利益の有無などの規定

・待遇または待遇の基準についての規定

 

非正規雇用労働者についての次の2つの規定の組合せ

・職務内容、責任、異動の範囲、人事考課による不利益の有無などの規定

・待遇または待遇の基準についての規定

 

不合理だと判断されるのは、非正規雇用労働者の待遇または待遇の基準についての規定の内容です。

 

<比較される対象者の範囲>

このガイドライン案は、同一の企業・団体における不合理な待遇差の是正を目的としています。

世界的に見ると、労働組合が全企業にまたがって職種ごとに組織されてきた国が多いようです。こうした国々では、同一労働同一賃金も全企業にまたがって考えられています。

しかし、日本では企業ごとに労働組合が組織されてきた歴史があり、同じ仕事をしていても、企業によって待遇差が大きいという実態があります。

こうした実態を踏まえて、このガイドライン案は同一の企業・団体の内部での比較を考えています。

 

2018.09.17.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。

<理論上許される場合>

「女性社員だけ昇給しない」と決めて昇給しないのであれば、一般には労働基準法違反です。

ただし、男女平等の人事考課により、合理的な昇給制度を適用した結果、偶然、女性社員だけが昇給しなかったというのは、適法ということになるでしょう。

また、社内で男性社員の賃金水準が女性社員に比べて低い場合に、格差を是正するための措置であれば、許される場合もあります。

理論上は、この通りです。

しかし、会社側が適法性を証明するのは容易ではありません。

また、例外的に適法性を証明できたとしても、その正当性は支持されないでしょう。

 

<法令の規定>

憲法の平等規定を受けて、労働基準法に男女同一賃金の原則規定があります。

 

 日本国憲法14条1項

すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

 

 労働基準法4条

使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。

 

<裁判所の判断>

日本シェーリング事件(平成元年12月14日 最高裁判決)では、「賃上げは稼働率80%以上のものとする」旨の賃上げ協定の中の条項に関し、生理休暇、産休、育児時間による欠務を欠勤として算入するとの取扱いがなされたことに対し、右欠務のため賃上げを得られず、また、旧賃金を基礎とした一時金の支給しか受けられなかったXらが、Y社に対し、賃金差額、債務不履行ないし不法行為により受けた損害の賠償を求め勝訴しています。

この判決は、賃上げ協定の中の条項が公序に反することを理由としています。公序というのは、公の秩序です。男女平等という公の秩序に反する条項は無効だということです。

 

民法90条

公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。

 

<政府の方針>

平成22(2010)年8月31日には、厚生労働省が「男女間賃金格差解消に向けた労使の取組支援のためのガイドライン」を作成し公表しています。

ガイドラインの趣旨を、次のように説明しています。

 

男女雇用機会均等法などの法整備が進み、企業でも女性の活躍の場が広がっていますが、男女間賃金格差は先進諸外国と比べると依然、大きい状況にあります。また、多くの企業が男女間賃金格差を計算したこともないとの実態もあります。

今回作成したガイドラインは、賃金や雇用管理の在り方を見直すための視点や、社員の活躍を促すための実態調査票といった支援ツールを盛り込んでいます。現実的な対応方策を示すことで、労使による自主的な見直しの取組を支援していきます。

 

ガイドラインのポイント

1.男女間格差の「見える化」を推進

 男女での取扱いや賃金の差異が企業にあっても、それが見えていない場合もあると考えられる。男女間格差の実態把握をし、取組が必要との認識を促すため、実態調査票などの支援ツールを盛り込んだ。

 

2.賃金・雇用管理の見直しのための3つの視点

 

(1)賃金・雇用管理の制度面の見直し

 <具体的方策>

 ・ 賃金表の整備

 ・ 賃金決定、昇給・昇格の基準の公正性、明確性、透明性の確保

 ・ どのような属性の労働者にも不公平の生じないような生活手当の見直し

 ・ 人事評価基準の公正性、明確性、透明性の確保、評価結果のフィードバック

 ・ 出産・育児がハンデにならない評価制度の検討

 

(2)賃金・雇用管理の運用面の見直し

 <具体的方策>

 ・ 配置や職務の難易度、能力開発機会の与え方、評価で、男女で異なる取扱いをしていないかを現場レベルでチェック

 ・ コース別雇用管理の設定が合理的なものとなっているかを精査

 ・ コースごとの採用や配置は、先入観やこれまでの実績にとらわれず均等に実施

 

(3)ポジティブ・アクションの推進

 <具体的方策>

 ・ 女性に対する社内訓練・研修の積極的実施や、基準を満たす労働者のうち女性を優先して配置、昇進させる等のポジティブ・アクションの実施

 

現在は、働き方改革の中で、同一労働同一賃金が求められています。

家庭の中で女性の果たす役割を固定的に捉え、これを前提として賃金を決定するというのは、同一労働同一賃金の考え方に反します。

すでに男女同一賃金は「当たり前のこと」として、次の段階に入っています。

 

「女性社員だけ昇給しない」という事実は、それ自体が適法な場合であっても、社会の大きな流れには逆らっているわけですから、お客様を含めて世間から支持されるものではありません。

 

2018.09.16.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。

<法改正のポイント>

年次有給休暇は、労働者の所定労働日数や勤続年数などに応じた法定の日数以上を与えることになっています。

与えるというのは、年次有給休暇を取得する権利を与えるということです。

実際に労働者の方から「この日に年次有給休暇を取得します」という指定が無ければ、使用者の方から積極的に取得させる義務は無いのです。

これが現在の労働基準法の規定内容です。

ところが、平成31(2019)年4月1日からは、労働者からの申し出が無くても、使用者が積極的に年次有給休暇を取得させる義務を負うことになります。

これが年次有給休暇についての、今回の労働基準法の改正内容です。

 

<対象となる労働者>

年次有給休暇の付与日数が10日以上である労働者が対象です。

付与された日数が少ない労働者の場合には、自由に取得日を指定できる日数が少なくなってしまうことに配慮されています。

 

労働基準法で、年次有給休暇の付与日数は次の【図表】のとおりです。週所定労働日数が4日で、週所定労働時間が30時間以上の場合には、週所定労働日数が5日の欄が適用されます。

 

【図表】

週所定

労働日数

勤 続 期 間

6月 1年6月 2年6月 3年6月 4年6月 5年6月 6年6月以上

5日

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

4日

7日

8日

9日

10日

12日

13日

15日

3日

5日

6日

6日

8日

9日

10日

11日

2日

3日

4日

4日

5日

6日

6日

7日

1日

1日

2日

2日

2日

3日

3日

3日

 

これは法定の日数ですから、就業規則にこれと異なる規定があれば、労働者に有利である限りそれに従います。

 

この【図表】の中で、「年次有給休暇の付与日数が10日以上である」のは、赤文字の部分です。

これをまとめると、次のようになります。

 

年次有給休暇の付与日数が10日以上のパターン 

・週5日出勤の従業員が勤続6月以上になった場合

・週4日出勤で週所定労働時間が30時間以上の従業員が勤続6月以上になった場合

・週4日出勤で週所定労働時間が30時間未満の従業員が勤続3年半以上になった場合

・週3日出勤の従業員が勤続5年半以上になった場合

 

ここで勤続期間は、最初の入社から通算しますから、パート社員などで期間を区切って契約する有期労働契約であっても、契約更新でリセットされません。

 

<使用者に求められること>

労働者が6か月間継続勤務したときに年次有給休暇が付与され、その後1年間勤務するごとに年次有給休暇が付与されるというのが労働基準法の定めです。

この基準日から次の基準日の前日までの1年間で、年次有給休暇の取得について、次の3つの合計が5日以上となる必要があります。

 

・労働者からの取得日の指定があって取得した年次有給休暇の日数

・労使協定により計画的付与が行われた年次有給休暇の日数

・使用者が取得日を指定して取得させた年次有給休暇の日数

 

こうしたことは、多くの企業にとって不慣れですから、ともすると次の基準日の直前にまとめて年次有給休暇を取得させることになりかねません。

これでは業務に支障が出てしまいますので、計画的に対処することが必要になります。

 

基準となるのは週所定労働日数と週所定労働時間です。これが確定できないと、年次有給休暇の付与日数も決まりません。未確定ならば、必要に応じ専門家に相談するなどして確定させてください。

 

2018.09.15.解決社労士

東京都社会保険労務士会 武蔵野統括支部 働き方改革研究会 代表

大きな案件や専門性の高い業務は、働き方改革研究会の選抜チームで受任しております。

 

<国民健康・栄養調査>

平成30(2018)年9月11日、厚生労働省は平成29(2017)年11月に実施した「国民健康・栄養調査」の結果を取りまとめ公表しました。

平成29年調査は、毎年実施している基本項目に加え、高齢者の健康・生活習慣の状況を重点項目とし、高齢者の筋肉量や生活の様子について初めて把握しました。

高齢者の健康づくりには、食事、身体活動に加えて、生活状況も踏まえた視点が重要だということです。

 

【調査結果のポイント】

高齢者の栄養状態は、食事、身体活動、外出状況等と関係・65歳以上の低栄養傾向の者(BMI≦20 kg/m2)の割合は、男性12.5%、女性19.6%。・四肢の筋肉量は、男女ともたんぱく質摂取量が多く、肉体労働の時間が長い者ほど有意に増加。

・外出していない男性の低栄養傾向の者の割合は、外出している者と比べて約20ポイント高い。

・「何でもかんで食べることができる」者の割合や、20歯以上歯を有する者の割合は、60歳代から大きく減少。

 

女性は20~50歳代でもやせが課題

・20~50歳代の女性のやせの者(BMI<18.5 kg/m2)の割合は、いずれの年齢階級も10%超であり、特に20歳代では21.7%。

※「健康日本21(第二次)」では、若年女性のやせは骨量減少、低出生体重児出産のリスク等との関連があることが示されている。

 

40歳代で睡眠の状況に課題

・1日の平均睡眠時間が6時間未満の割合は、男女とも40歳代で最も高く、それぞれ48.5%、52.4%。

・睡眠で休養が十分にとれていない者の割合は20.2%であり、平成21年からの推移でみると有意に増加し、年齢階級別にみると40歳代で最も高く30.9%。

 

受動喫煙の機会は「飲食店」が最も高く4割超

・受動喫煙の機会を有する者の割合について場所別にみると、「飲食店」では42.4%と最も高く、次いで「遊技場」では37.3%、「路上」では31.7%。

 

 

<個人的な解説>

BMIは、体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で計算します。たとえば、64kgで1.75m(175㎝)なら、64÷1.75÷1.75でBMIは20.9です。体形は無視して体重と身長だけで計算します。

歯については、8020運動というのがあります。「80歳になっても20本以上自分の歯を保とう」という運動です。ちなみに、私の歯は31本あります。虫歯で親知らずを1本抜いてもらいました。今は、京王線府中駅前の太田歯科医院で定期検査を受けるだけで良好に保たれています。太田歯科医院の太田先生は、小学校と中学校の同級生です。昔から潔癖症でとても器用ですから信頼しています。

女性はダイエットを意識する割には、やせ過ぎの人が多いということです。ダイエットが必要なのに本気で取り組まない人と、必要が無いのに無理なダイエットをする人は不健康になってしまいます。見た目だけでなく、健康美を目指していただけたらと思います。

睡眠時間だけでなく、睡眠の質も大事です。今は、スマートフォンのアプリで睡眠の質をチェックすることもできますが、あまり気にすると反対に眠れなくなりますから注意しましょう。

 

2018.09.14.解決社労士

<給与から控除(天引)できるもの>

給与から控除できるものとしては、次のものが挙げられます。

・法令に別段の定めがある場合(所得税法による所得税等の源泉徴収、健康保険法、厚生年金保険法、労働保険徴収法による保険料の控除)

・労使協定(労働組合または労働者の過半数を代表する者と使用者との協定)によるもの

・欠勤控除(休んだ分を差し引く)

・減給処分(これは厳密には控除ではなく給与そのものの減少)

このうち欠勤控除だけで、給与の総支給額がマイナスになってしまう場合には、給与計算の方法が不合理だと考えられるので改める必要があるでしょう。

 

<欠勤控除>

遅刻・早退・欠勤によって労働時間が減少した分だけ、給与を減らすことをいいます。

時間給であれば、労働時間分の賃金を計算しますから、欠勤控除は問題となりません。主に月給制の場合に問題となります。

また、「完全月給制」のように欠勤控除をしない場合には問題となりません。

 

欠勤控除について、労働基準法その他の法令に規定はありません。

しかし一般に、労働者の労務の提供がない場合には、使用者は賃金を支払う義務がなく、労働者も賃金を請求できないという「ノーワーク・ノーペイの原則」が認められています。

この原則は、労務の提供と賃金の支払いが対応するという労働契約の性質上、当然に認められているものです。

ですから、欠勤控除をすることは違法ではないのですが、計算方法について就業規則等に明記しておく必要はあります(絶対的必要記載事項)。

 

<欠勤控除の単価>

欠勤控除を算出する場合、まず単価である「時間給」を計算します。

月給を、1か月の所定労働時間で割った金額が、「時間給」となります。

1日当たりの所定労働時間に、1か月平均の所定労働日数をかけるなどして、1か月の所定労働時間を計算します。

1か月の所定労働時間が計算できないのは、労働条件通知書の必須項目が決まっていないという状態ですから違法ですし、トラブル防止のためにも決めなければなりません。

 

<減額方式の場合>

月給から欠勤時間分の賃金を控除する計算方法です。

これは欠勤控除の考え方を、そのまま計算方法に反映させているので、多くの会社で用いられています。

しかし、31日ある月など、その月の所定労働日数が1か月平均の所定労働日数を超える場合、1か月すべて欠勤すると給与がマイナスになるという不都合が生じることがあります。

このとき、対象者からマイナス分の給与を支払ってもらったり、翌月の給与から控除したりしている会社もあるようですが、明らかに不合理でしょう。

ですから、減額方式でマイナスになった場合にはゼロとして扱い、会社からの支払も労働者からの徴収もないこととするなど、規定に例外を設けるなどの工夫が必要です。

 

<加算方式の場合>

出勤した分の賃金を時間給で計算する方法です。

これなら給与がマイナスになることはありません。

しかし、28日しかない月など、その月の所定労働日数が1か月平均の所定労働日数を下回る場合、支給額が大幅に減ってしまいます。減額方式よりも、明らかに不利になります。

 

<合理的な併用方式>

たとえば、減額方式と加算方式の両方で計算して、多い金額の方で給与を支給するなど、2つの方式を併用することによって、欠点を解消することができます。

 

<月間所定労働時間の変動>

なお、1か月の所定労働時間が、毎月の出勤日数や暦上の日数によって変動する会社もあるようです。この場合には、欠勤控除の不合理が発生しにくくなります。

しかし、月給の時間単価が変動するというのでは、給与計算が複雑になりますし、同じ時間の残業手当が月によって変動するのなら、単価の安い月には仕事を溜めておいて、単価の高い月に集中して残業するという困った現象も起こりかねません。

平成31(2019)年4月には、年次有給休暇の取得が義務化されますが、これも有利な月に集中しそうです。

毎月変動するのでは名ばかり「所定労働時間」になってしまいます。

やはり、1か月の所定労働時間は一定にすべきでしょう。

 

<他の控除と欠勤控除が重なってマイナスの場合>

社会保険料など法定の項目を給与から控除することは、法律上問題ありません。

しかし、欠勤控除をしたら給与が少額となり、ここから社会保険料を控除するとマイナスになってしまう場合、これでよいのか迷ってしまいます。

それでも、欠勤控除だけでマイナスになる場合とは違い、マイナス分を別途労働者に請求することは問題ありません。

こうした例外的な場合についてまで、就業規則に規定しておくことは稀でしょうから、マイナス分をどのように支払ってもらうかなど細かいことは、会社と労働者とで話し合って決めればよいでしょう。

 

2018.09.13.解決社労士

<リスク回避のため>

パワハラに走る人には特徴があります。

こうした特徴の現れている人に、会社が部下や後輩を与えると、パワハラを誘発することになります。

リスク回避のためには、これらの特徴が消えるまで教育研修などを行い、人事異動を慎重にするなどの配慮が必要でしょう。

 

<善悪判断の自信過剰>

「自分は正しい」という思い込みが強いという特徴があります。

ニュースに接したとき、「誰が正しい、誰が悪い」ということを口にします。

自分の社内での手柄について、繰り返し話題にします。

グループ研修などを通じて、「常に自分が正しいわけではない」ことを理解させましょう。

 

<主体的な制裁意識>

「悪いことをした人に対しては、自分が制裁を加えるべきだ」と考える特徴があります。

社内で不都合なことをした人に対しては、直属上司が指導すべきですし、社内規定に従った懲戒が行われるべきです。

しかし、他部署の人に注意したり、街中で赤の他人に怒ったりするのは、この特徴の現われです。

組織論や懲戒が行われる場合の段取りについて、理解させる必要があります。

 

<原因の誤判断>

自分の行為から生じた不都合な結果について、他人の行為が原因であると考える特徴があります。

自分が会議室で花瓶を倒して割った場合には、「こんな所に花瓶を置いた人が悪い」と考えます。

他人が会議室で花瓶を倒して割った場合には、「不注意で花瓶を割った人が悪い」と考えます。

こうした考え方の矛盾と問題点について、本人に自覚させなければなりません。

 

<器が小さい>

人格的に未成熟で心に余裕が無いという特徴です。

他人の成功を喜べない、他人をほめることができない、人の好き嫌いが激しい、自分と家族を優先して考える、自分に利益が無いことには消極的、お金に細かい、他人を批判するが自分への批判は気にする、好意的なアドバイスを受け入れないなどの傾向が見られます。

これでは、部下や後輩がついてきませんから、イライラしてパワハラに走るのも当然でしょう。

この特徴は、家庭内の「しつけ」の現われでもあり、社内での教育研修で改善するのは大変かもしれません。

人事考課の評価項目に入れておき、自覚を促して、自ら改善していただくことも考えましょう。

 

2018.09.12.解決社労士

<再雇用後の賃金>

会社と労働者とで定年後も働き続けることの合意がなされる場合に、労働条件については、どうしても賃金ばかりが重視されがちです。

再雇用の実績が多い会社では、定年前の賃金のおよそ何パーセントという相場の形成があるでしょうから、賃金についての合意の形成は比較的容易かもしれません。

年金については、性別と生年月日によって支給開始の時期が異なりますし、60代前半と65歳以降とでは支給額が大きく異なります。また、配偶者の生年月日によって、加給年金額や振替加算についても違いが出てきます。

これらを踏まえて、期間ごとの賃金変動まで合意しておくこともあります。

 

<年次有給休暇>

定年前は、毎年20日の年次有給休暇が付与される一方で、2年前に付与された年次有給休暇は時効消滅するという実態があると思われます。

しかしこれは、週5日勤務を前提としているわけです。

定年後の再雇用で、所定労働日数や所定労働時間が変われば、年次有給休暇の付与日数は変わるかもしれません。

変わるのであれば、これについても再雇用対象者に確認しておく必要があります。

 

労働基準法で、年次有給休暇の付与日数は次の【図表】のとおりです。週所定労働日数が4日で、週所定労働時間が30時間以上の場合には、週所定労働日数が5日の欄が適用されます。

 

【図表】

週所定

労働日数

勤 続 期 間

6月 1年6月 2年6月 3年6月 4年6月 5年6月 6年6月以上

5日

10日

11日

12日

14日

16日

18日

20日

4日

7日

8日

9日

10日

12日

13日

15日

3日

5日

6日

6日

8日

9日

10日

11日

2日

3日

4日

4日

5日

6日

6日

7日

1日

1日

2日

2日

2日

3日

3日

3日

 

これは法定の日数ですから、就業規則にこれと異なる規定があれば、労働者に有利である限りそれに従います。

「勤続期間」は定年前と定年後を通算します。定年後の再雇用だからといって、定年前の年次有給休暇が自動的に消滅するわけではありません。

 

さて、平成31(2019)年4月1日からは、労働者からの申し出が無くても、使用者が積極的に年次有給休暇を取得させる義務を負うことになります。これは労働基準法の改正によるものです。

法改正後は、年次有給休暇の付与日数が10日以上の労働者に対し、基準日から1年以内の期間に、年次有給休暇のうち5日については、その取得を確実にしなければなりません。

「年次有給休暇の付与日数が10日以上の労働者」という限定がありますので、この部分についても再雇用対象者にあらかじめ説明が必要でしょう。

 

<社会保険>

社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入は、1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数が常時雇用者(正社員など)の4分の3以上というのが原則の基準です。

ただし、大企業などで特定適用事業所となっている場合には、1週間の所定労働時間が20時間以上で加入となります。

 

この基準により社会保険に加入しない場合には、扶養家族(被扶養者)を含めて国民健康保険の保険料を支払うことになりますし、扶養している配偶者は国民年金保険料を支払うことになります。

定年前の健康保険であれば、扶養家族の分の保険料は発生しなかったのに、国民健康保険に切り替わると、扶養家族扱いにはならず保険料が高くなることも多いでしょう。

また国民年金に切り替わると、扶養している配偶者についても「第三号被保険者」ではなくなりますので国民年金保険料がかかることになります。

 

社会保険料は高額ですから、社会保険の加入基準との関係で、1週間の所定労働時間と1か月の所定労働日数を決める必要があります。

 

<雇用保険>

雇用保険の加入基準は、会社の規模にかかわらず1週間の所定労働時間が20時間以上となっています。

20時間を下回ると、安定した雇用関係に無いということで、雇用保険では「離職」という扱いになります。

なお、現在は毎年4月1日時点で満64歳以上の労働者の雇用保険料は免除されています。しかし、この免除制度は2020年4月1日をもって廃止されます。

 

人手不足を背景として、定年後の再雇用が盛んになっています。これに伴うトラブルも増加しています。会社に長年貢献してきた従業員とのトラブルは、会社にとって大きな打撃となってしまいます。十分な話し合いをもって労働条件を決定するようお願いいたします。

 

2018.09.11.解決社労士

<みなし規定の効果>

法令の中に「みなす」「推定する」という言葉が使われています。

日常会話の中では厳密に区別されませんが、条文の解釈としては大きな違いが出てきます。

「みなす」という表現が使われている規定は、「みなし規定」と呼ばれます。

ある事実があった場合に、一定の法的効果を認めるという規定です。

その事実さえあれば、自動的に法的効果が発生します。

「例外的な事情があって法的効果を否定したい」と考えて証拠を集めても、法的効果を否定することができません。

「推定する」という表現が使われている「推定規定」であれば、実際はその推定が不合理であることを証明して、法的効果の発生を阻止することができるのですが、「みなし規定」では覆すことができないのです。

 

<労働法とみなし規定>

労働法では、主に労働者を保護するために「みなし規定」が置かれています。

たとえば、労働基準法38条2項には次の規定があります。

 

坑内労働については、労働者が坑口に入つた時刻から坑口を出た時刻までの時間を、休憩時間を含め労働時間とみなす。

 

つまり、賃金を計算するときには、労働者が坑口に入った時刻から坑口を出た時刻までのすべての時間を労働時間として計算しなければなりません。

たとえ、1日2時間の休憩時間を設けていたとしても、休憩が無かったものとして計算します。

日当を設定する場合には、1時間あたりの最低賃金に、このルールで計算した労働時間をかけ合わせて、最低賃金法違反にならないかチェックする必要があります。

 

また、年次有給休暇の付与基準である出勤率について、労働基準法39条8項は次の規定を置いています。

 

労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第二条第一号に規定する育児休業又は同条第二号に規定する介護休業をした期間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業した期間は、第一項及び第二項の規定の適用については、これを出勤したものとみなす。

 

つまり、法律によって休業することが認められた日については、すべて出勤したものとみなして出勤率を計算することになります。

 

労働契約法にも、有期労働契約の無期転換(18条1項)と更新(19条)に「みなす」という規定があります。

 

「常識的に見て」「実際には」などの理由で法的効果を否定できないところに、みなし規定の怖さがあります。

 

2018.09.10.解決社労士

<毎月の源泉徴収>

会社など給与の支払者は、役員または使用人に対して給与を支払うたびに、所得税と復興特別所得税の見込み額を天引き(控除)しています。

これを源泉徴収といいます。

源泉徴収した税金は、原則として、給与などを実際に支払った月の翌月10日までに国に納めなければなりません。

こうして国は税金の徴収漏れを防げますし、分割払いになることで、一度に多額の税金を納付することも防げます。

 

<1年間の税額の確定>

ところが、その年1年間に給与から源泉徴収した税金の見込み額の合計は、必ずしもその人が1年間に納めるべき税額とはなりません。

そこで、その年の1月1日から12月31日までの間に支払うべきことが確定した給与の合計額に応じ、一覧表により給与所得控除後の給与の額を求めます。

ここから、扶養控除などの所得控除を差し引き、所得税の税率を当てはめて税額を求めます。

 

<年末調整>

源泉徴収をした税金の見込み額の合計と、1年間に納めるべき実際の税額には差額が発生します。

この差額をその年最後の給与で精算するのが年末調整です。

一般には、源泉徴収をした金額の方が多いため、徴収しすぎた税額を返金します。これを「年調還付」などと呼んでいます。

反対に、1年間に納めるべき税金の方が多い場合には、追加で差額の税額を徴収します。これを「年調不足」などと呼んでいます。

年末調整の対象となる人は、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人です。

ただし、2,000万円を超える給与の支払を受ける人は、年末調整の対象になりません。

 

<年の途中で年末調整の対象となる人>

次のいずれかに当てはまる人は、年の中途で「年末調整」の対象となります。

・海外支店等に転勤したことにより日本の非居住者となった人

・死亡によって退職した人

・著しい心身の障害のために退職した人(再就職して給与を受け取る見込みの人を除く)

・12月に支給される給与等の支払を受けた後に退職した人

・パートタイマーとして働いている人などが退職した場合で、年内に支払を受ける給与の総額が103万円以下である人(退職後、年内に他の勤務先から給与の支払を受ける見込みのある人を除く)

 

2018.09.09.解決社労士

<定額(固定)残業代>

1か月の残業代を定額で支給するものです。

基本給に含めて支給する方式と、基本給とは別に定額残業手当として支給する方式があります。

残業時間を減らしても給与が減らないので、長時間労働の抑制になります。

会社にとっても、人件費が安定するので人件費の予算や計画が立てやすくなります。

 

<適法性>

かつては違法な運用が横行していたために、定額(固定)残業代そのものが悪であるかのように言われていました。

しかし、適法に運用する会社が増えてきており、必ずしも悪いものとは見られなくなりました。

ハローワークの求人票でも、正しく内容を明示すれば問題ないものとして扱われています。

適法な導入と運用の概要は次のとおりです。

まず、残業について1か月の基準時間を定めて、これに応じた定額の残業代を設定します。

基準時間を下回る時間しか残業が発生しない月も、定額の残業代は減額せずに支給します。

基準時間を上回る時間の残業が発生した月は、定額の残業代を上回る部分の残業代を給与に加えて支給します。

賞与でまとめて支給することはできません。

深夜労働や休日労働の割増賃金は、別計算で支給する方式をお勧めします。

たしかに、深夜労働や休日労働の分も定額(固定)にすることは、理論的には可能です。

しかし、計算や運用が難しくなりますし、人件費が割高になるのでお勧めできません。

この点は、労働基準監督署でも、このように指導されているはずです。

 

<具体的な計算方法>

定額(固定)残業代の設定に必要な計算はやや複雑ですから、Excelなど表計算ソフトを活用した方が良いと思います。

ここでは、1日8時間、1週40時間、1か月の勤務日数が22日で月給が設定されている場合を例にとります。

残業の基準時間が30時間で、基本給+定額残業手当=25万円にしたいときは、

定額残業手当=基本給÷(8時間×22日)×1.25×30時間なので、

25万円-基本給=基本給×37.5÷176

基本給×(37.5÷176+1)=25万円

基本給=25万円÷(37.5÷176+1)

これを計算すると、206,089円となります。

定額残業手当は、25万円-206,089円=43,911円です。

206,089円の基本給の場合、1か月の勤務時間が8時間×22日=176時間なら、

30時間分の残業手当は、(206,089円÷176時間)×30時間×1.25=43,911円で計算の正しいことが確認できます。

※ただし実際の給与計算では、円未満の端数処理のルールがありますから、上記のとおりにいかない部分もあります。

 

<その他の注意点>

このとき注意したいのは、最低賃金です。

計算結果の基本給が、最低賃金×176時間を下回ると最低賃金法違反となります。

上記の例では、206,089円÷176時間=1,170円ですから、1時間あたりの賃金が1,170円となり、現在どの都道府県でも最低賃金を上回ります。

しかし、基本給+定額残業手当=20万円の場合を想定すると、1時間あたりの賃金が936円となり、東京都や神奈川県では最低賃金を下回ってしまいます。

これでは最低賃金法違反となってしまいます。

なお、基本給に定額残業代を含めたいときは、上記の基本給+定額残業手当を基本給として設定すればOKです。この場合でも、きちんと内訳を表示する必要がありますから、本来の基本給分がいくらで、定額の残業代が何時間分でいくらなのかを対象者に明示しましょう。

さらに、残業時間が基準時間を超える場合に、残業手当を別途支給するときの基準額も示す必要があります。

何も示さないと、定額残業代を含んだ基本給をベースに残業手当を計算することになってしまいます。

これでは、想定外に人件費が膨らんでしまうので注意しましょう。

 

2018.09.08.解決社労士