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2020/04/01|740文字

 

<労災保険は強制保険>

労災保険は政府が管掌する強制保険です。

労働保険(労災保険と雇用保険)では、法律上当然に保険関係が成立する事業を適用事業といい、農林水産業の一部を除き、原則として1人でも労働者を使用する事業は、すべて適用事業になります。

そして、適用事業については、その事業が開始された日または適用事業に該当するようになったときに、事業主の意思にかかわりなく法律上当然に保険関係が成立することになります。

これは市区役所に出生届を出さなくても、赤ちゃんが生まれた事実がなくならないのと同じです。

 

<届出義務>

適用事業については、その事業開始の日または適用事業に該当することとなった日に自動的に保険関係が成立しますので、適用事業の事業主は、保険関係成立の日から10日以内に、「保険関係成立届」を所轄の労働基準監督署長または公共職業安定所長へ提出しなければなりません。

この手続きは、社労士(社会保険労務士)が代行できます。

この届出を行わなくても、保険関係は成立しますので、労災事故が発生すれば被災者に労災保険が適用されます。

 

<届出を怠った場合>

成立手続を行うよう指導を受けたにもかかわらず、自主的に成立手続を行わない事業主に対しては、最終的な手段として、行政庁の職権による成立手続と労働保険料の認定決定が行われます。

この場合には、さかのぼって労働保険料を徴収されるほか、追徴金も徴収されることとなります。

 

<無届のうちに労災が発生した場合>

事業主が故意または重大な過失により「保険関係成立届」を提出していない期間中に労働災害が生じ、労災保険給付を行った場合は、事業主からさかのぼって労働保険料を徴収(併せて追徴金を徴収)するほかに、労災保険給付に要した費用の全部または一部を徴収することになります。

 

解決社労士

2020/03/31|1,054文字

 

<社労士の定義>

社労士は、社会保険労務士試験に合格した後に連合会に備える社会保険労務士名簿に登録することで、プロとして社会で活躍しています。

社労士の定義は「社会保険労務士法に基づき、毎年一回、厚生労働大臣が実施する社会保険労務士試験に合格し、かつ、2年以上の実務経験のある者で、全国社会保険労務士会連合会に備える社会保険労務士名簿に登録された者」と法律により定められています。

 

<社労士の役割>

社労士は、労働・社会保険に関する法律、人事・労務管理の専門家として、企業経営の3要素(ヒト・モノ・カネ)のうち、ヒトの採用から退職までの労働・社会保険に関する諸問題、さらに年金の相談に応じる、ヒトに関するエキスパートです。

 

<社労士の主な業務>

1.労働社会保険手続業務

・労働社会保険の適用

・労働保険の年度更新

・社会保険の算定基礎届

・各種助成金などの申請

・労働者名簿、賃金台帳の調製

・就業規則の作成、変更

2.労務管理の相談指導業務

・雇用管理・人材育成などに関する相談

・人事・賃金・労働時間の相談

・経営労務監査

3.年金相談業務

・年金の加入期間、受給資格などの確認

・裁定請求書の作成・提出

4.紛争解決手続代理業務

・あっせん申立てに関する相談及び手続

・代理人として意見を陳述

・相手方との和解のための交渉及び和解契約の締結の代理

5.補佐人の業務

・裁判所において、補佐人として弁護士とともに出廷し意見を陳述

 

<特定社労士とは>

職場のトラブルは、これまで裁判で解決するのが一般的でしたが、裁判は多くの時間を費やすうえ、経営者と労働者の間に「勝った」「負けた」の関係を生み出してしまいます。

そこで、最近では、裁判によらない解決手段として、ADR(裁判外紛争解決手続)が活用されるようになっています。

このADRは、当事者同士の話し合いにより解決を目指す制度です。

特定社労士は、このADRのうち個別労働関係紛争にかかる業務を行うことができます。

 

※社労士が、特定社労士になるには、『厚生労働大臣が定める研修を修了』し、『「紛争解決手続代理業務試験」に合格』した後に、その旨を連合会に備える社会保険労務士名簿に付記しなければなりません。

具体的には、ADRを行う機関として厚生労働大臣が指定する「社労士会労働紛争解決センター」や労働局の紛争調整委員会におけるあっせんなどにおいて、特定社労士は労働者や事業主の皆さまの代理人として、個別労働関係紛争の円満な解決のお手伝いをすることができます。

 

(全国社会保険労務士会連合会ホームページより)

 

解決社労士

2020/03/30|1,650文字

 

<通達の発出>

令和2年3月17日、厚生労働事務次官が、都道府県労働局長に宛てて依命通達(令和2年3月17日厚生労働省発基0317第17号)を発出しました。

これは、新型コロナウイルス感染症による経済活動への影響から、中小企業・小規模事業者で労働基準関係法令への対応が困難となる状況が発生していることを受け、中小企業等に与える影響への配慮の徹底を指示するものです。

直接的には、中小企業への配慮を依頼する内容となっていますが、労働基準法の解釈・適用について、実態を踏まえた柔軟な対応をなしうることを示しているもので、大企業にとっても参考になるものです。

具体的には、次の事項を指示しています。

 

<中小企業等への配慮>

・中小企業等に対する相談・支援にあたっては、労働基準関係法令に係る違反が認められた場合においても、新型コロナウイルス感染症の発生および感染拡大による影響を十分勘案し、労働基準関係法令の趣旨を踏まえた自主的な取組みが行われるよう、きめ細かな対応を図ること。

・中小企業等の置かれた状況に応じ、時差出勤やテレワークについて必要な周知等を行うこと。

ポイント:法令違反があっても、必要な知識を与え、自主的な改善を求める。

 

<労働基準法第33条第1項の解釈>

 

【労働基準法第33条第1項】

災害その他避けることのできない事由によつて、臨時の必要がある場合においては、使用者は、行政官庁の許可を受けて、その必要の限度において第三十二条から前条まで若しくは第四十条の労働時間を延長し、又は第三十五条の休日に労働させることができる。ただし、事態急迫のために行政官庁の許可を受ける暇がない場合においては、事後に遅滞なく届け出なければならない。

 

・感染患者を治療する場合、高齢者等入居施設において新型コロナウイルス感染症対策を行う場合および感染・蔓延を防ぐために必要なマスクや消毒液、医療機器等を緊急に増産または製造する場合等が対象になり得るものであること。

・このほか、人命・公益を保護するために臨時の必要がある場合には、状況に応じた迅速な運用を図ること。

・あくまで必要な限度の範囲内に限り認められるものであり、やむを得ず月80時間を超える時間外・休日労働を行わせたことにより疲労の蓄積の認められる労働者に対しては、医師面接等を実施し、適切な事後措置を講じる必要があること。

ポイント:「臨時の必要がある場合」は限定されており、長時間労働で疲労が蓄積した労働者には、適切な事後措置が必要である。

 

<1年単位の変形労働時間制>

・新型コロナウイルス感染症対策のため、当初の予定どおりに1年単位の変形労働時間制を実施することが企業の経営上著しく不適当と認められる場合には、特例的に、1年単位の変形労働時間制の労使協定について、労使で合意解約をし、または協定中の破棄条項に従って解約し、改めて協定し直すことも可能であること。

・解約までの期間を平均して1週40時間超労働させた時間について割増賃金を支払うなど、協定の解約が労働者にとって不利になることのないよう留意すること。

ポイント:1年単位の変形労働時間制についての労使協定を合意解約し、また、協定のやり直しも可能だが、割増賃金の支払などで労働者に不利益が発生しないようにする必要がある。

 

<36協定の特別条項>

・36協定の「臨時的に限度時間を超えて労働させることができる場合」に、繁忙の理由が新型コロナウイルス感染症とするものであることが明記されていなくとも、一般的には、特別条項の理由として認められるものであること。

・現在、特別条項を締結していない事業場においても、法定の手続きを踏まえて労使の合意を行うことにより、特別条項付き36協定を締結することが可能であること。

ポイント:36協定の特別条項に新型コロナウイルス感染症についての記載が無くても、「繁忙の理由」として扱える。また、特別条項の無い36協定が届出済であっても、特別条項付きの36協定に切り替えることができる。

 

解決社労士

2020/03/29|732文字

 

<最低賃金>

最低賃金は、都道府県ごとに1時間あたりの賃金額で定められています。

たとえ働く本人の同意があっても、最低賃金額を下回ることはできません。〔最低賃金法第4条〕

高校生のアルバイトにも適用されますし、法律に反する本人や家族の「同意書」は無効です。

 

<労働基準法の定める「賃金の原則」規定>

賃金は通貨で、直接働く本人に、全額を、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければなりません。〔労働基準法第24条〕

これは賃金支払いの5原則と呼ばれます。

「原則」とは言うものの、違反すれば1人につき1回30万円以下の罰金が科せられます。

ですから原則違反は犯罪行為です。〔労働基準法第120条第1号〕

 

<通貨払いの原則>

賃金は通貨で支払う必要があり、現物支給は禁止されています。

働く本人の同意などがあれば銀行振込も可能です。

会社側から金融機関を指定するのは、本人から銀行振込を求めていないと認定される場合があります。

また、家族名義の口座ではなく本人の口座であることが必要です。

 

<直接払いの原則>

賃金は働く本人に直接支払う必要があります。

代理人や親権者等への支払はできません。

 

<全額払いの原則>

賃金は全額を支払う必要があります。

ただし、所得税など法令に定めがあるものや、労使協定で定めたものだけは控除できます。

 

<毎月1回払いの原則>

毎月少なくとも1回は賃金を支払わなければなりません。

賞与等の一時金は、会社の就業規則などに従って支払えば良いので、この原則の対象とはなりません。

 

<一定期日払いの原則>

毎月25日というように、周期的な支払期日を定めなければなりません。

毎月第3月曜日というように、固定されているように見えて、実は周期的ではない期日は原則違反となります。

 

解決社労士

 

2020/03/28|741文字

 

<雇用保険の届出書類>

ハローワークで雇用保険の届出を行うと、先回りして次の手続で使用する用紙を渡されます。

たとえば、新規採用の従業員が雇用保険に入った届をするために「雇用保険被保険者資格取得届」を提出すると、「雇用保険被保険者資格喪失届・氏名変更届」という用紙を渡されます。

これは、基本的には退職して雇用保険を抜けたときに使う用紙です。

すでに氏名、生年月日、被保険者番号、事業所番号などが印字されているので、その人専用の用紙になります。

ですから、何年後に使用するかわからない用紙を、長期間保管することになります。

 

<保管上の注意点>

ハローワークでの雇用保険関係の事務処理は、全国をオンラインで結ぶ「ハローワークシステム」により、各種届出書類の内容をそのまま機械(OCR)で読み取り、即時処理を行っています。

機械で光学的に読み取る書類の性質上、次の点に注意して、大切に保管しなければなりません。

・ホチキスでとめたり、とじ穴をあけたりしない

・折り曲げない。また、角についても折り曲がらないようにする

・汚さない

・湿気の多い場所には置かない

・直射日光に当たらないようにする

 

<保管期間>

雇用保険関係の書類は、手続き完結の日から少なくとも次の期間は保管します。

被保険者(加入者)に関する書類 4年

労働保険料に関する書類 3年

その他雇用保険に関する書類 2年

 

手続について基本的なことは、所轄のハローワークで気軽に確認できます。

しかし、聞きにくいことや会社特有のことなど、じっくり相談したいことは信頼できる社労士におたずねください。

顧問の社労士がいれば、入社前から退職後まで、その会社の実情に適合した対応ができます。

手続きの代行も書類の管理も社労士の業務です。どうぞ、お気軽にご相談ください。

 

解決社労士

2020/03/27|2,810文字

 

<ガイドラインの公表>

令和2年3月18日、厚生労働省が「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン令和2年3月改訂版」を公表しました。

これは、がん、脳卒中などの疾病を抱える方々に対して、会社が適切な就業上の措置や治療に対する配慮を行い、治療と仕事が両立できるようにするためのものです。

ここでは、両立支援を行うための環境整備(実施前の準備事項)について、中心的な部分の概要をご紹介いたします。

 

<事業者による基本方針等の表明と労働者への周知>

衛生委員会等で調査審議を行った上で、事業者として、治療と仕事の両立支援に取り組むに当たっての基本方針や具体的な対応方法等の事業場内ルールを作成し、全ての労働者に周知することで、両立支援の必要性や意義を共有し、治療と仕事の両立を実現しやすい職場風土を醸成します。

会社として、本気で取り組む姿勢を示すことによって、社内での意識を変革することができるようになります。

 

<研修等による両立支援に関する意識啓発>

治療と仕事の両立支援を円滑に実施するため、当事者やその同僚となり得る全ての労働者、管理職に対して、治療と仕事の両立に関する研修等を通じた意識啓発を行います。

人事異動が、全社的など広汎に行われる会社であれば、すべての労働者に対して研修等が必要となります。

これは、事業者による基本方針等の表明を受けて、具体的な内容を伝達する目的で行うものですから、基本方針等の表明からなるべく期間を置かずに実施することが望ましいものです。

 

<相談窓口等の明確化>

治療と仕事の両立支援は、労働安全衛生法に基づく健康診断において把握した場合を除いては、労働者からの申出を原則とすることから、労働者が安心して相談・申出を行えるよう、相談窓口、申出が行われた場合の当該情報の取扱い等を明確にします。

会社から治療と仕事の両立支援について、正式な表明が行われるまでは、多くの労働者が病気を隠して治療しながら就労しているという実態があります。

こうした労働者が、会社に対して支援を求めようとする場合に、相談窓口や担当部署が明確でなければなりません。

また、支援を求めた場合に、どのように対応してもらえるのか、個人の秘密は守られるのかなど、不安要素は多岐に亘りますから、これらを解消する情報の提供も必要です。

 

<休暇制度、勤務制度の整備>

治療と仕事の両立支援においては、短時間の治療が定期的に繰り返される場合、就業時間に一定の制限が必要な場合、通勤による負担軽減のために出勤時間をずらす必要がある場合などがあることから、以下のような休暇制度、勤務制度について、各事業場の実情に応じて検討、導入し、治療のための配慮を行うことが望ましいといえます。

【時間単位の年次有給休暇】

労働基準法に基づく年次有給休暇は、1日単位で与えることが原則です。しかし、労使協定を結べば、1時間単位で与えることが可能となります。ただし、1年で5日分までが上限となります。

【傷病休暇・病気休暇】

事業者が自主的に設ける法定外の休暇で、入院治療や通院のために、年次有給休暇とは別に休暇を付与するものです。取得条件や取得中の賃金の支払いの有無などの処遇についても、事業場ごとに異なります。

大企業の多くが、こうした休暇制度を設けています。

【時差出勤制度】

事業者が自主的に設ける勤務制度であり、始業と終業の時刻を変更することにより、身体に負担のかかる通勤時間帯を避けて通勤するといった対応が可能となります。

新型コロナウイルス感染症の拡大防止を目的として、この制度が利用されましたので、その有効性は確認済みといえます。

【短時間勤務制度】

育児、介護休業法に基づく短時間勤務制度とは別に、事業者が自主的に設ける勤務制度です。療養中・療養後の負担を軽減すること等を目的として、所定労働時間を短縮する制度です。

【在宅勤務(テレワーク)】

事業者が自主的に設ける勤務制度で、パソコンなどの情報通信機器を活用した、場所にとらわれない柔軟な働き方です。自宅で勤務することにより、通勤による身体への負担を軽減することが可能となります。

大企業では、東京オリンピック対策で用意された制度が、新型コロナウイルス感染症の拡大防止を目的として広く利用されました。そのメリット・デメリットは確認済みといえます。

【試し出勤制度】

事業者が自主的に設ける勤務制度であり、長期間にわたり休業していた労働者に対し、円滑な復職を支援するために、勤務時間や勤務日数を短縮した試し出勤等を行うものです。復職や治療を受けながら就労することに不安を感じている労働者や、受入れに不安を感じている職場の関係者にとって、試し出勤制度があることで不安を解消し、円滑な就労に向けて具体的な準備を行うことが可能となります。

 

<労働者から支援を求める申出があった場合の対応手順、関係者の役割の整理>

労働者から支援を求める申出があった場合に円滑な対応ができるよう、労働者本人、人事労務担当者、上司・同僚等、産業医や保健師、看護師等の産業保健スタッフ等の関係者の役割と対応手順をあらかじめ整理しておきます。

 

<関係者間の円滑な情報共有のための仕組みづくり>

治療と仕事の両立のためには、労働者本人を中心に、人事労務担当者、上司・同僚等、産業医や保健師、看護師等の産業保健スタッフ、主治医等が、本人の同意を得た上で支援のために必要な情報を共有し、連携することが重要です。特に、就業継続の可否、必要な就業上の措置及び治療に対する配慮に関しては、治療の状況や心身の状態、就業の状況等を踏まえて主治医や産業医等の医師の意見を求め、その意見に基づいて対応を行う必要があります。このため、医師に労働者の就業状況等に関する情報を適切に提供するための様式や、就業継続の可否、必要な就業上の措置及び治療に対する配慮について医師の意見を求めるための様式を定めておきます。

「様式」は、書式、フォーマットですが、ひな形の他に記入例も作成して示しておき、情報伝達を円滑・確実にしましょう。

 

<両立支援に関する制度や体制の実効性の確保>

治療と仕事の両立支援のための制度や体制を機能させるため、日頃から全ての労働者に対して、制度、相談窓口の周知を行うとともに、管理職に対して、労働者からの申出、相談を受けた際の対応方法や、支援制度・体制について研修等を行います。

管理職向けの研修は、人事考課研修に併せて定期的に繰り返し行うと効果的です。

 

<労使等の協力>

治療と仕事の両立に関して、制度・体制の整備等の環境整備に向けた検討を行う際には、衛生委員会等で調査審議するなど、労使や産業保健スタッフが連携し、取り組むことが重要です。

何でも話し合って決めるというわけにはいきませんが、話し合いにより共通認識が得られれば、制度の円滑な運用に役立つことでしょう。

 

解決社労士

2020/03/26|861文字

 

<適用事業の範囲>

労働者を1人でも雇用する会社や個人事業は、その業種や事業規模に関係なく、原則としてすべて適用事業となります。

例外として、農林水産の事業のうち一部の事業は、当分の間、任意適用事業とされています。

これは暫定任意適用事業と呼ばれ、個人経営の農林水産業で、雇用している労働者が常時5人未満の事業をいいます。

ただし、農業用水供給事業、モヤシ製造業を除きます。

任意適用というのは、希望すれば適用され、希望しなければ適用されないという意味です。

暫定任意適用事業の事業主であっても、雇用する労働者の2分の1以上が加入を希望するときは、都道府県労働局長に任意加入の申請を行います。

認可されると希望しない労働者を含めて、雇用保険の対象者(被保険者)となります。

 

<雇用保険適用の単位>

雇用保険は、経営組織として独立性をもった事業所単位で適用されます。

支店や工場などでも、ある程度独立して業務を行っていれば、個々に手続きを行います。

独立性の無い支店などは、公共職業安定所長の承認を受けて本社等で一括して手続きを行うことになります。

具体的には「雇用保険事業所非該当承認申請書」を提出することになります。

これにはコツがありますので、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

<労働保険の適用>

労働保険は事業を単位として適用されます。

事業の種類により、一元適用事業と二元適用事業に分かれ、加入手続きや保険料の申告・納付先が違います。

 

<一元適用事業>

労災保険の保険関係と雇用保険の保険関係を一つの事業についての労働保険関係として扱い、保険料の申告納付を一括して行います。

これが原則となります。

次の二元適用事業以外は、すべて一元適用事業となります。

 

<二元適用事業>

雇用保険の保険関係と労災保険の保険関係を別々に取り扱い、保険料の申告納付を別々に行います。

二元適用事業は次に該当するものです。

・都道府県、市町村、これらに準ずるものの行う事業

・農林水産の事業

・建設の事業

・港湾労働法の適用される港湾で港湾運送の行為を行う事業

 

解決社労士

2020/03/25|623文字

 

<業務上腰痛の認定基準>

かつて、腰痛は労災保険の対象外だというウワサがありました。

しかし、厚生労働省の定めた認定基準の条件を満たす場合には、労災認定されることになっています。

この認定基準では、災害性の原因による腰痛と、それ以外の腰痛とで、それぞれ別の条件が定められています。

 

<災害性の原因による腰痛>

次の2つの条件を両方とも満たす腰痛が対象です。

・腰のケガまたはケガの原因となった急激な力の作用が、仕事中の突発的な出来事によって生じたことが明らかであること。

・腰に作用した力が腰痛を起こさせ、または元々あった腰痛を著しく悪化させたと認められること。

ぎっくり腰は、日常的な動作の中でも生じるので、たまたま仕事中に起こったとしても、原則として労災補償の対象とはなりません。

 

<災害性の原因によらない腰痛>

突発的なことが原因ではなく、重量物を取り扱う仕事など、腰に大きな負担のかかる仕事をする人に起こった腰痛で、作業状態や作業期間からみて、その仕事が原因で起こったと認められるものが対象です。

日々の業務によって、腰への負担が徐々に作用して、ついには腰痛を発症したという場合で、筋肉疲労の場合と骨の変化の場合とがあります。

 

<労災の認定について>

労災の認定をするのは所轄の労働基準監督署(労働局)です。

会社や労働者自身が判断するのではありません。

もし判断に迷ったり、納得がいかないということがあれば、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2020/03/24|1,301文字

 

<問題となるケース>

私傷病で休職していた社員が、元の職務で復職することは困難だが、軽易な作業であればすぐにでも復職できるとして、復職を希望した場合に、会社がこれに応じるべきかが問題となります。

休職中に無収入であったり、傷病手当金の受給だけであったりすれば、1日でも早く復職したいということもあります。

また、就業規則に定められた休職期間の満了が迫っていれば、復職できないことによって、退職せざるを得なくなりますから切実です。

一定の期間、軽易な作業に従事した後は、元の職務に戻ることができるという見込みの場合もあります。

いずれの場合にも、その旨の診断書が出されることもあり、会社がこれに従うべきなのか、判断に迷うところです。

 

<復職の原則>

私傷病で休職していた社員が復職するには、休職期間満了時までに、元の職務を普通にこなせるようになっていることが、原則として必要です。

このことからすると、元の職務では復職できず、軽易な作業での復職を希望していること自体、復職の本来の条件を満たしていないことになります。

 

<休職制度の意味合い>

休職については、労働基準法に規定がありません。

ですから、就業規則に休職の規定を置くかどうか、置いたとして、どのような制度にするかは、各企業の判断に任されています。

しかし、休職制度を置かずに簡単に退職させてしまうと、不当解雇となり解雇の通告が無効となって、会社が退職者から多額の賠償金を請求されるケースもあります。

しかも、解雇権の濫用とされ、不当解雇になってしまう基準は極めて抽象的です。〔労働契約法第16条〕

 

【解雇】

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

休職制度を置いておくことで、会社側に「客観的に合理的な理由」があり、「社会通念上相当である」という主張をしやすくすることになります。

 

<例外的な取扱いの要否>

以上のことから、休職制度の運用にあたっても、会社は解雇権の濫用とならないように注意する必要があります。

休職期間満了による退職については、就業規則に「自動退職」「自然退職」という文言が用いられることもありますが、その正当性が問われることは解雇と同様です。

そして、解雇権の濫用を判断するのは裁判所ですから、過去に裁判に現れた事例を元に考えると、次のようなことがいえます。

・復職に当たって軽易な作業に就かせておき、短期間のうちに元の職務に復帰できる見込みがあり、会社側にこうした対応が可能であれば、会社は復帰を拒否してはならない。

・休職している従業員が、職種・業務を特定していない従業員であれば、元の職務に復帰できないとしても、その従業員の能力、経験、地位、その会社の規模、業種、その会社での労働者の配置・異動の実情や難易度などに照らして、元の職務とは異なる業務への配置を検討・実施すべきである。

・休職している従業員が、職種・業務を特定している従業員であっても、就業規則で異動を認めているか、現実には異動の実例があるような職場では、異動を伴う復職を検討・実施すべき場合もある。

 

解決社労士

2020/03/23|2,026文字

 

<履歴書の重要性>

履歴書で印象や評価が大きく変わります。

それなのに、履歴書で損をしている人が半分以上だと思います。

直接お話しする面接担当者に対しては、記入不足や不明確な部分があっても、会話の中で補充することができます。

しかし、その担当者の上司など、採用についての決裁権を持っている人は、履歴書が最大の情報源となります。

面接担当者が気を利かして補足情報を加えれば加えるほど、元の履歴書の情報不足が明らかとなり、かえって不利になることもあります。

内容の充実した履歴書であって、文字の大きさも小さすぎず大きすぎず、読む気にさせるものであることが必要です。

 

<履歴書用紙の選択>

履歴書の様式は統一されていません。

初めてのアルバイトなのに、職歴欄が広い履歴書では、空白が目立ってしまいます。

反対に、職歴が多い場合には、職歴欄が広いものを選べば有利です。

つまり、自分がアピールできる項目が広いものを選ぶのがポイントです。

無料の求人誌から乱暴に切り取った履歴書では、内容がすばらしくても人物を疑われてしまいます。

なるべく、市販のものから自分に有利な書式を選んで使いましょう。

 

<原則は手書き>

パソコンの技能が問われる職種でない限り、手書きが原則です。

高校生のアルバイトの履歴書で、鉛筆で下書きしたのをボールペンでなぞり、後から消しゴムで消したことがわかるものを見ると少し感動します。

努力して作成した履歴書は、プリンターで大量生産でき手軽に訂正できるパソコン入力のものよりも、人の心を動かすものなのです。

同じ手書きでも、訂正が無くて丁寧に書こうとした努力が見られる履歴書は好印象です。

反対に、訂正印、修正液などを使ったものはガッカリさせられます。

 

<日付>

日付が空欄だったり古かったりすると、使い回しを考えているようで変に思われます。

日付は提出日、郵送の場合には発送日を記入します。

 

<写真>

背景なし、脱帽、身だしなみが整っていること、そして全体のバランスがとれていることが最低条件です。

顔の比率が大きい写真は、サイズを間違えて無理に小さくカットしたような印象を与えます。

カラオケで歌っているところを友達に撮ってもらった写真や、どう見ても10年以上前の写真、さらには写真のコピーが貼られた履歴書を見たことがあります。

あきれてしまって、面接が上の空になりました。

履歴書で損をするポイントとしては、写真が最大の要素だと思います。

自分自身で納得のいく写真を使いましょう。

 

<学歴>

義務教育については卒業のみを記載します。

高校以降は入学と卒業をそれぞれ分けて記入します。

大学などは、学部学科まで記入します。

学校名は、略さずに正式名称を書きます。

〇〇高校ではなく、〇〇高等学校という具合です。

他の項目もそうですが、特に学歴欄にウソを書くと、採用取消になったり、入社後しばらくしてから解雇されたりということもありますので正直に書きましょう。

 

<職務経歴書>

中途採用で職歴がある場合には、履歴書に職務経歴書を添えます。

履歴書の職歴欄には、勤務先、転勤、役職変更等の大きな異動に関することを記載します。

職務経歴書には、職務経験、スキル、実績について具体的に記載します。

所属部署の役割ではなく、自分自身が何をしていたのかを書きます。

職務経歴書は、特に指定が無ければパソコン入力で作成するのが普通です。

 

<資格>

資格は無いよりはあった方が良いのですが、余りに多いと資格マニアと勘違いされます。

社会人の場合には、役立つ資格は1級に限定されるものも多いので、2級や3級の資格を並べるよりは、書かない方が有利となるでしょう。

資格をたくさん持っている場合には、求人の内容に適合した資格を選んで記入しましょう。

 

<志望動機>

最も重視されるのが志望動機です。

会社が求めている人物であることをアピールするため、求人内容や業種・職種に合った内容にしましょう。

会社のどこが気に入ったのかではなく、自分がどうやって貢献できるのかを書くべきです。

ここが上手く書けない場合には、応募そのものを考え直す必要があるかもしれません。

 

<趣味、特技>

担当者が興味を引くような内容だったり、配属先に同じ趣味の人がいるなど、偶然有利になることはあります。

非常識でなければ、正直に書けば良いのですが、「特になし」ではなくて、「~に興味があります」など、何か一つは書きましょう。

 

<本人希望欄>

特に希望する職種・勤務地等があれば記入します。

ここは無ければ「特になし」でかまいません。

 

<その他>

郵便番号が無記入だったり、電話番号の市外局番の区切りが古かったり、市町村名が間違っていたりすると、自宅にこもり勝ちの印象を与えます。

氏名や学校名の漢字が間違っていると、かなり印象が悪くなりますので、トメル、ハネル、ハラウなどきちんと確認して正しく書きましょう。

パソコンの文字は不正確なこともありますから、漢字辞典などで確認しましょう。

 

柳田 恵一

2020/03/22|834文字

 

<受給資格期間の短縮>

年金機能強化法の改正により、年金受給資格期間が25年から10年に短縮されています。

受給資格期間というのは、原則65歳から老齢基礎年金を受給するための条件となる期間で、次の3つの期間の合計です。

1.厚生年金保険や国民年金の保険料を納付した期間

2.国民年金の保険料の納付を免除された期間

3.合算対象期間(カラ期間)

実際に年金保険料を納付していない期間も、計算に含まれるということです。

古い法律の基準で、自分はもう老齢年金を受け取れないとあきらめている人が、受給権を与えられていることに気付くということが、今でも多発しています。

 

<1.厚生年金保険や国民年金の保険料を納付した期間>

専業主婦のように勤め人の配偶者として扶養されている場合、正確には国民年金の第3号被保険者の場合、保険料を納付する必要がありません。

しかし、保険料を納付しているものとして扱われますので、この期間は保険料を納付した期間に含まれます。

 

<2.国民年金の保険料の納付を免除された期間>

国民年金の保険料の免除には、法定免除、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除、納付猶予、学生納付特例があります。

 

<3.合算対象期間(カラ期間)>

これには大変多くの種類があります。

ほんの一例として、海外に居住していた期間のうち、20歳以上60歳未満の期間で、任意加入しなかった場合の期間が挙げられます。

 

<法改正による支給開始>

年金受給資格期間の短縮は、平成29(2017)年8月1日の法改正によるもので、平成29年9月支給分(平成29年10月支払い分)からの適用です。

法改正によって、年金の受給資格を得たことが明らかな人には、平成29年8月に日本年金機構から通知が届きました。

しかし、受給権のある人全員に通知が届いたわけではありません。

「年金はもらえない」と思っている人の中には、「もらえるのに手続していない」という人が多く含まれています。

もう一度、確認してみる価値はあると思います。

 

解決社労士

2020/03/21|2,040文字

 

<エイジフレンドリーガイドライン>

令和2年3月16日、厚生労働省が「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン(エイジフレンドリーガイドライン)」を公表しました。

このガイドラインは、60歳以上の労働者の労働災害発生率が高くなり、2018年には休業4日以上の死傷者のうち26.1%が60歳以上となっている現状と課題を受け、高齢者が働きやすい職場環境の実現に向けた労使の取組みを促進するために策定されました。

事業者に求められる取組みとして、次の5つが示されています。

 

<安全衛生管理体制の確立等>

・経営トップ自らが、高齢者労働災害防止対策に関する事項を盛り込んだ安全衛生方針を表明すること。

・高齢者労働災害防止対策に取り組む組織や担当者を指定する等により、高齢者労働災害防止対策の実施体制を明確化すること。

・安全衛生委員会等、人事管理部門等において高齢者労働災害防止対策に関する事項を調査審議すること。

・身体機能の低下等による労働災害の発生リスクについて、危険源の洗い出しを行い、リスクアセスメントをすること。

・リスクアセスメントの結果を踏まえ、年間推進計画を策定、取組みを実施し、計画を一定期間で評価し、必要な改善を行うこと。

 

<職場環境の改善>

・事業場の施設、設備、装置等の改善を検討し、必要な対策を講じること。

具体的には、照度の確保、階段への手すりの設置、滑りやすい箇所への防滑素材の採用、墜落制止用器具、保護具等の着用、安全標識等の掲示等、高年齢労働者の特性やリスクの程度を勘案し、事業場の実情に応じた優先順位をつけて改善に取り組むなど。

・短時間勤務、隔日勤務、交替制勤務等により勤務形態や勤務時間を工夫することで高年齢労働者が就労しやすくすること。

・高年齢労働者の特性を踏まえ、ゆとりのある作業スピード、無理のない作業姿勢等に配慮した作業マニュアルを策定、または改定すること。

・注意力や集中力を必要とする作業について作業時間を考慮すること。

・複数の作業を同時進行させる場合の負担や優先順位の判断を伴うような作業に係る負担を考慮すること。

 

<高年齢労働者の健康や体力の状況の把握>

・雇入れ時および定期の健康診断を確実に実施すること。

・労働安全衛生法で定める健康診断の対象にならない者が、地域の健康診断等(特定健康診査等)の受診を希望する場合は、必要な勤務時間の変更や休暇の取得について柔軟な対応をすること。

・事業者、高年齢労働者双方が当該高年齢労働者の体力の状況を客観的に把握し、事業者はその体力に合った作業に従事させること。

・体力チェックの具体的方法として、加齢による心身の衰えのチェック項目(フレイルチェック)等を導入すること。

・事業場の働き方や作業ルールにあわせた体力チェックを実施すること。

・労働者の体力の状況の把握にあたっては、不利益な取扱いを防ぐため、労働者自身の同意の取得方法や労働者の体力の状況に関する情報の取扱方法等を定めること。

 

<高年齢労働者の健康や体力の状況に応じた対応>

・高年齢労働者については基礎疾患の罹患状況を踏まえ、労働時間の短縮や深夜業の回数の減少、作業の転換等の措置を講じること。

・高齢者に適切な就労の場を提供するため、職場における一定の働き方のルールを構築するよう努めること。

・安全と健康の点で適合する業務を高年齢労働者とマッチングさせるよう努めること。

・「事業場における労働者の健康保持増進のための指針」に基づき、集団および個々の高年齢労働者を対象に、身体機能の維持向上のための取組みを実施することが望ましいこと。

・ストレスチェックを確実に実施するとともに、ストレスチェックの集団分析を通じた職場環境の改善等のメンタルヘルス対策に取り組むこと。

 

<安全衛生教育>

・雇入れ時等の安全衛生教育、一定の危険有害業務において必要となる技能講習や特別教育を確実に行うこと。

・作業内容とそのリスクについて理解を得やすくするため、十分な時間をかけ、写真や図、映像等の文字以外の情報も活用すること。

・再雇用や再就職等により経験のない業種や業務に従事する場合には、特に丁寧な教育訓練を行うこと。

・管理監督者、ともに働く各年代の労働者に対しても、高年齢労働者に特有の特徴と高年齢労働者に対する安全衛生対策についての教育を行うことが望ましいこと。

・管理監督者向けの教育は、体系的キャリア教育の中に位置付けることも考えられること。

・脳・心臓疾患の発症等緊急の対応が必要な状況が発生した場合に、適切な対応をとることができるよう、職場において救命講習や緊急時対応の教育を行うことが望ましいこと。

 

<ガイドラインの活用にあたって>

ガイドラインは、その特性上、一般論的な内容となっています。

実際に、ガイドラインを活用して、自社の高年齢労働者の安全と健康確保に取組むに当たっては、十分な聞き取り調査を行い、事業者と高年齢労働者とで共通認識を確保できるようにしておくことが大切です。

 

解決社労士

2020/03/20|930文字

 

仕事と家庭の両立を図りながら、充実した職業生活を送れるように、妊娠・出産、育児、介護をサポートし、働く男性、女性とも仕事を継続できるような制度が設けられています。

 

<妊産婦の健康管理>

使用者は、6週間(双子や三つ子など多胎妊娠の場合は14週間)以内に出産予定の女性が休業を申請した場合または産後8週間を経過しない女性については、就業させてはなりません。

ただし、産後6週間経過した女性が請求した場合、医師が支障なしと認めた場合は就業できます。

その他、妊婦健診の時間を確保したり、女性労働者が医師等から指導を受けた場合は事業主がその措置を講じること、育児時間を取得できるなどの規定もあります。〔労働基準法第6章の2〕

 

<育児休業>

労働者は原則として子どもが1歳(一定の場合は2歳)になるまで、育児休業を取得することができます。

育児休業は、女性・男性どちらも取得できます。

事業主は要件を満たした労働者の育児休業の申出を拒むことはできません。〔育児・介護休業法第2章〕

これは法律で認められていますので、就業規則に無くても拒めません。

なお、両親がともに育児休業を取得する場合には、子が1歳2か月に達するまでの間で1年間育児休業を取得することができます。

 

<介護休業>

労働者は、要介護状態にある家族を介護するために介護休業を取得することができます。

介護休業は、対象家族一人につき、最長で通算93日間取得することができます。

対象家族一人につき通算93日まで3回を上限として分割取得が可能です。

事業主は、要件を満たした労働者の介護休業の申出を拒むことはできません。〔育児・介護休業法第3章〕

 

<不利益取扱いの禁止>

結婚、妊娠、出産したことや産前産後休業、育児休業などの申し出をしたことまたは取得したことなどを理由として、解雇その他不利益取扱いをすることは、法律で禁止されています。〔男女雇用機会均等法第9条、育児・介護休業法第10条、第16条、第16条の4、第16条の7、第16条の9、第18条の2、第20条の2、第23条の2〕

 

これらに反して休業できない、あるいは不利益な扱いを受けたり、退職を迫られるようなことがあれば、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2020/03/19|599文字

 

<「ねんきん定期便」に基づく従業員からの申し出>

「ねんきん定期便」は個人の自宅に届きますから、「賞与の分が年金記録からもれている」という指摘が、従業員から会社に対して行われることがあります。

会社が設立以来初めて賞与を支給したような場合には、会社の担当者が、手続きを知らなかったこともありえます。

早く気づけば、すぐに年金事務所に書類を提出すれば良いのですが、賞与を支払ってから既に2年以上経過している場合には、時効期間の問題もあります。

 

<こんなときの対応>

会社から自主的に届出もれがあったことを申し出る場合には、「事業主からの自主的な申出にかかる申出者リスト」(賞与支払届提出もれ用)という書類が用意されています。

この書類を、事業所を管轄する年金事務所の窓口に持参して相談します。

この「申出者リスト」に基づき、届出もれとなっている従業員に、その従業員の住所地を管轄する年金事務所より「お知らせ文書」が郵送されます。

そして「お知らせ文書」を受け取った従業員は、年金事務所の窓口で記録を確認することになるのです。

「申出者リスト」については、日本年金機構のホームページからダウンロードできます。

これに必要事項を記入して、所轄の年金事務所に持参すれば良いのです。

しかし、この手続きをするにあたって不安なことがあれば、信頼できる社労士にご相談ください。

こうした手続きを代行することも社労士の業務の一つです。

 

解決社労士

2020/03/18|1,435文字

 

令和2年3月6日、新型コロナウイルス感染症に関わる傷病手当金の支給について、厚生労働省保険局保険課から全国健康保険協会に宛てて、事務連絡文書が発信されています。

 

<感染者の傷病手当金>

健康保険加入者(被保険者)が新型コロナウイルス感染症に感染し、療養のため労務に服することができない場合には、傷病手当金の対象となります。

つまり、他の病気やケガと同様に、療養のため労務に服することができなくなった日から起算して3日を経過した日から、労務に服することができない期間、直近12か月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する金額が、傷病手当金として支給されます。

例外的に業務によって感染した場合には、傷病手当金の対象とはならず、労災保険給付の対象となります。

 

<自覚症状の有無>

検査の結果、「新型コロナウイルス陽性」と判定され、療養のため労務に服することができない場合には、たとえ自覚症状が無いときでも、傷病手当金の支給対象となりえます。

反対に、「新型コロナウイルス陽性」と判定されていない場合でも、医師が診察の結果、被保険者の既往の状態を推測して初診日前に労務不能の状態であったと認め、意見書に記載したときには、初診日前の期間についても労務不能期間となりえます。

今回の新型コロナウイルス感染症では、次のような症状があるため被保険者が自宅療養を行っていた期間は、療養のため労務に服することができなかった期間に該当することとなります。

・風邪の症状や37.5℃以上の発熱が4日以上続いている

・強いだるさ(倦怠感)や息苦しさ(呼吸困難)がある

 

<受診していない場合>

やむを得ない理由により、医療機関での受診を行わず、医師の意見書を添付できない場合でも、傷病手当金支給申請書にその旨を記載するとともに、その期間、被保険者が療養のため労務に服さなかった旨を証明する書類を事業主に作成してもらい添付すること等により、傷病手当金を受給できる場合があります。

 

<職場全体が休業になった場合>

事業所内で、新型コロナウイルス感染者が発生したこと等により、事業所全体が休業し、労務を提供することができなかった期間については、傷病手当金は支給されません。

傷病手当金は、労働者の業務災害以外の理由による疾病、負傷等の療養のため、被保険者が労務に服することができないときに給付されるものであるため、被保険者自身が労務不能と認められない限り、傷病手当金は支給されないことになります。

なお、使用者の独自の判断により、一律に労働者を休ませる措置をとる場合のように、使用者の責に帰すべき事由による休業の場合には、労働基準法に基づき、使用者は、休業期間中の休業手当(平均賃金の100分の60以上)を支払わなければなりません。〔労働基準法第26条〕

 

<家族が感染した場合>

家族が感染し、労働者が濃厚接触者になったが症状は無いという場合、その労働者が休暇を取得しても傷病手当金は支給されません。

繰り返しですが、傷病手当金は、労働者の業務災害以外の理由による疾病、負傷等の療養のため、被保険者が労務に服することができないときに給付されるものであるため、被保険者自身が労務不能と認められない限り、傷病手当金は支給されないことになります。

 

これらは、従来の取扱いに基づくものであって、新型コロナウイルス感染症についての特例を定めたものではありませんが、迷いやすい点もあることから公表されたものです。

 

解決社労士

2020/03/17|971文字

 

<一般常識>

就業規則には職場のルールが定められ、従業員にある程度共通する労働条件の統一的内容が示されています。

ですから、これに従うのが当然であるというのが、企業と従業員の共通認識だと考えられます。

 

<就業規則と校則>

しかし、就業規則は使用者が一方的に作成するものです。

労働基準監督署長に就業規則を届け出る場合には、労働者の過半数で組織される労働組合または労働者の過半数を代表する者の「意見書」を添付します。

この「意見書」は労働者側の意見を示したものですが、使用者はこれに従う義務どころか応答する義務もありません。

作成の経緯としては、中学校や高校の生徒手帳に書いてある校則と同じようなものです。

契約であれば当事者の合意を根拠として、その内容に従う義務を負うのは当然ですが、就業規則は契約ではないのです。

 

<法令の規定>

次の2つの条件を満たしている場合には、労働者も使用者も就業規則の規定に従う義務があります。〔労働契約法第7条〕

・合理的な労働条件を定めていること

・周知されていること

ですから、労働者は不合理な就業規則に従う義務が無いということになります。

しかし、「周知されていること」というのが、就業規則を見ようと思えば見られるかどうかで明らかなのに対して、「合理的」かどうかは簡単に判断がつきません。

 

<「合理的」の判断基準>

労働契約法は、裁判所が判断するにあたって形成してきた理論(判例法理)を立法化したものです。

そして、2007年の成立後も数多くの裁判例があらわれています。

それでも、統一的な基準ができているわけではなく、一つひとつの具体的な事例に即して判断する形がとられています。

ですから、社会人としての一般常識から「合理的」かどうかを判断するのは困難です。

多くの労働法と、さらに多くの裁判例を踏まえて、具体的な就業規則の規定の合理性を判断する必要があるのです。

ですから、社内で就業規則の規定について「合理性」の判断が分かれた場合、社内で解決することは困難です。

こうした場合には、専門家である社労士に判断を仰ぎ、わかりやすい説明を求めることで決着させるのが安心です。

もし、不合理な規定であったり、法令違反の規定であった場合には、会社の実情に照らしてふさわしい規定の提案も依頼できます。

信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2020/03/16|1,240文字

 

<初期対応>

まず電話をかけます。

1~2回電話をかけて出ないからといって、「音信不通」扱いにはできません。

家族と同居しているのなら、固定電話や家族の電話にもかけてみます。

何回も電話をかけて出ないようなら、職場の部門長などが自宅を訪問します。

自宅の玄関先で、人の気配が無く電気のメーターがほとんど動いていないような状態であれば、中で社員が倒れている可能性もあります。

賃貸物件であれば、大家さんや管理会社にも連絡して、中の様子を確認してもらいましょう。

こうして不在が確認された場合には、実家などの連絡先や、職場で仲良くしている社員に心当たりを聞いてみるなどが必要です。

 

<所在不明の場合>

会社側に、その社員がパワハラを受けていたなどの落ち度が無く、本人が出勤して来ないのなら、自己都合退職で処理できないものかと思えてきます。

しかし、本人が何か事故や事件に巻き込まれていて、出勤できず連絡もとれなかったことについて責任が無い場合には、会社の対応が十分だったかという問題が発生します。

ですから、後に紛争とならないよう十分な配慮が必要です。

そして、本当に紛争となった場合には、会社として十分な対応をしたことの証明が必要となります。

こうした場合に備えて、電話連絡の日時の記録は重要です。

時間帯を変えて、何回も電話することとその記録を残すことが必要です。

自宅を訪問した際の記録も正確に残しておきましょう。

 

<退職扱いの可能性>

本人からの申し出が無く、会社から退職扱いにするのであれば「解雇」になります。

解雇の場合には、会社から社員に解雇を通告しなければなりません。

音信不通であれば、簡単には解雇の通告ができませんし、社員が未成年者でなければ、家族が代理人として解雇の通告を受けるわけにもいきません。

こんなときは、就業規則の中に自動退職(自然退職)の規定があれば、それに従って退職扱いとすることもできます。

「30日間以上にわたって音信不通で欠勤が続いている場合には退職とする」というような規定です。

 

<万一に備えて>

新人の採用にあたっては、本人の連絡先だけではなく、実家や家族など緊急時の連絡先を確認しておく必要があります。

就業規則に自動退職(自然退職)の規定を置き、社員に周知しなければなりません。

店長など部門長には、社員が出勤して来なくなった場合の対応マニュアルを渡して、教育しておくことも必要です。

 

<連絡がとれた場合>

単なる寝坊なら笑って許せます。

しかし、パワハラ、セクハラ、うつ病など、本人がすぐには言い出せない原因が潜んでいることもあります。

突然出勤しなかったという事実があれば、それを重く受け止め、人事担当者はその後の様子について、きちんとフォローしていく必要があります。

 

新人採用前後の手続も、就業規則の作成や改善も、例外的な退職手続も、すべて社労士が専門家として対応する職務です。

万一に備えての準備も、トラブルに発展しうる事実が発生したときにも、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2020/03/15|1,262文字

 

<働き方改革の流れ>

厚生労働省は、「働き方改革実行計画」を踏まえ、副業・兼業の普及促進を図っています。

そして、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公表し、モデル就業規則の「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと」という規定を削除しました。

 

<兼業禁止規定の存在>

働き方改革の流れにもかかわらず、兼業禁止規定が就業規則に残っているケースも多々あります。

こうした規定は、政府の方針に沿うものではありませんが、その存在自体が許されないものではなく、各企業が必要性を認めて残しておくことは問題ありません。

 

<職業選択の自由>

職業選択の自由は、「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」として憲法で保障されています。〔日本国憲法第22条第1項〕

この中の、「公共の福祉」というのは、「他者の人権」のことを指しています。

「公共の福祉に反しない限り」というのは、「他者の人権を侵害しない限り」という意味です。

ですから、労働者が自由に副業・兼業を行えるわけではなく、また、企業が一律に禁止できるわけでもありません。

労働者の副業・兼業の権利が、企業の営業の自由との調整によって、ある程度制限されることもありうることになります。

 

<兼業禁止の合理性>

こうして、企業による兼業禁止や兼業制限に合理性が認められれば、有効性は否定されないということになります。

具体的には、次のような事情があれば、その程度に応じた制限も可能であり、場合によっては、禁止することも許されるということになります。

1.本業に支障が出る場合

兼業のために、遅刻や欠勤が増え、生産性が低下している場合には、本業に支障が出ていることになります。

2.会社の売上が低下する場合

ライバル企業での兼業によって、会社の売上に直接マイナスの影響を及ぼしている場合には、会社の利益が損なわれることが明らかです。

3.ノウハウが流出する場合

会社固有の技術やノウハウが流出している場合にも、会社の利益が損なわれることが明らかです。

4.会社に対する信用を利用する場合

会社の名前や名刺を使って副業を行う場合のように、会社の信用を利用して商売を行う場合には、労働者個人の信用失墜行為が、会社の信用低下を招くことにもなります。

5.違法な仕事をする場合

労働者が、違法薬物を販売するような場合には、会社の信用を失墜させることになります。

 

<懲戒処分が許される場合>

就業規則に兼業や副業の届出義務が規定されているにも関わらず、無届で開始したような場合には、手続違背を理由に厳重注意や譴責処分などの軽い懲戒規定を適用することは可能でしょう。

しかし、就業規則に禁止規定があったとしても、実害の発生が認められないにも関わらず、懲戒解雇や出勤停止処分とすることは、行き過ぎだと思われます。

懲戒処分を行う可能性があるのであれば、不都合が発生する恐れが生じた時点で、まず注意勧告を行なう必要があります。

そして、実害が発生したなら、懲戒処分を検討するという流れにするのが適正な対応となります。

 

解決社労士

2020/03/14|741文字

 

<受給には手続が必要>

年金は、年金を受ける資格ができたとき、自動的に支給が始まるものではありません。

年金を受ける資格のある人が、年金を受けるための手続(年金請求)を行う必要があります。

 

<年金請求書の提出>

日本国外に居住している人は、日本での最終居住地を管轄する年金事務所か街角の年金相談センターに「年金請求書(101号)」を提出します。

受付は支給開始年齢になってからです。

支給開始年齢になる前に提出しても受付されませんのでご注意ください。

これに添付する戸籍・住民票などは、受給権発生日以降に交付されたもので、年金請求書の提出日の6か月前までに交付されたものが必要です。

なお、特別支給の老齢厚生年金は「繰下げ制度」はありません。

受給権発生日以降に速やかに請求してください。

 

<社会保障協定について>

日本や協定相手国の年金を受け取るための期間を満たしていなかった場合でも、社会保障協定により、協定相手国と日本の年金加入期間を相互に通算し、日本や相手国の年金を受給することができます。

 

2019年10月1日現在、社会保障協定の発効状況は以下のとおりです。日本は23か国と協定を署名済で、うち20か国は発効しています。

「保険料の二重負担防止」「年金加入期間の通算」は、日本とこれらの国の間のみで有効であることにご注意ください。

だたし、イギリス、韓国、イタリア及び中国については、「保険料の二重負担防止」のみです。

協定が発効済の国 ドイツ イギリス 韓国 アメリカ ベルギー フランス カナダ オーストラリア オランダ チェコ スペイン アイルランド ブラジル スイス ハンガリー インド ルクセンブルク フィリピン スロバキア 中国
署名済未発効の国 イタリア スウェーデン フィンランド

 

解決社労士

 

 

2020/03/13|907文字

 

<社労士の企業側業務>

助成金・補助金の申請、労働基準監督署や会計検査院などの立入検査対応、社会保険や労働保険の適用開始届などは、労働者にとって直接の利益は無いですから、企業側の立場に立って行っている業務です。

 

<社労士の労働者側業務>

健康保険、労災保険などの給付金等請求は、労働者に支給されることを考えると、労働者側の立場に立って行っている業務です。

 

<依頼者の立場に立つ業務>

労働紛争について、社労士が労働局での斡旋(あっせん)の代理人などの業務を行う場合には、企業の依頼を受ければ企業側に立ちますし、労働者の依頼を受ければ労働者側に立ちます。

しかし、「100%経営者の味方」「労働者側の利益を追求」というように、常に一方だけの利益を擁護しているわけではありません。

 

<どちらの立場にも立たない業務>

個人の方から障害年金の手続を依頼されるなど、社労士には、企業側・労働者側ということが問題にならない業務もあります。

 

<両方の立場に立つ業務>

企業の顧問の場合でも、依頼主である企業側のことだけを考えているわけではありません。

就業規則の作成・改善、社員研修、労働環境の維持・向上、給与計算、社会保険や労働保険の保険料を確定する手続、労働トラブルの予防など、多くの業務は会社側の利益と労働者側の利益の微妙なバランスの上に成り立っています。

「100%経営者の味方」という立場に立てば、社員は会社を去っていくでしょうし、会社の評判も地に落ちます。

「労働者側の利益を追求」という立場に立てば、会社が傾き社員は職を失うでしょう。

会社と社員が、共に成長し利益が得られるようにするには、やはりバランスが大切なのです。

 

<社労士に依頼するなら>

「自分は労働者なので労働者側の立場に立つ社労士を探したい」というご希望をお持ちの方がいらっしゃいます。

しかし、「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず」という孫子の言葉にもある通り、敵対する相手方についても熟知していなければ、戦いで優位に立つことはできません。

企業側のことを知らずに労働者の権利を守ることはできないのですから、労働者側社労士を探すのではなく、信頼できる社労士をお勧めします。

 

解決社労士

2020/03/12|1,128文字

 

<解雇の有効性についての判断基準>

解雇の有効性の判断基準について、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という規定があります。〔労働契約法第16 条〕

この規定は、裁判所が判断を下すのに使った理論が条文となったものですから、その趣旨は様々な形で解雇の有効性の判断基準にあらわれます。

 

<解雇の理由が無ければ>

まず、解雇の理由(事由)は、就業規則に必ず記載する事項とされています。〔労働基準法第89条第3号〕

つまり、就業規則に規定の無い理由で解雇することはできません。

また労働者が、解雇の予告をされた日から退職する日までの間に、解雇の理由について証明書を請求した場合には、使用者は、遅滞なくこれを交付しなければなりません。〔労働基準法第22条第2項〕

ですから、使用者が就業規則に規定の無い理由で労働者を解雇した場合には、労働者に有利な証拠書類を交付することになってしまいます。

 

<解雇の理由があっても>

裁判所は、使用者側が解雇の理由として、就業規則の規定を主張したとしても、その規定にあいまいさが残っていれば、使用者に対して厳密な立証を求めます。

たとえば、営業成績が「著しく不良」という規定であれば、使用者はその程度が客観的かつ具体的に重大であることを証明しなければなりません。

また、将来の改善・回復の見込みが無いなどの「将来の予測」については、客観的な立証が必要とされます。

裁判所は、使用者に困難な立証を求めることによって、「解雇は最後の手段であるべき」との態度を示しているのです。

 

<能力不足を理由とする解雇>

裁判では、労働者の能力が職場全体の中で相対的に低いというだけでは、能力不足による解雇が認められていません。

使用者は、解雇を検討する前に、配置転換や再教育による能力向上、あるいは降格処分など、解雇を回避するための措置を求められます。

 

<目標不達成を理由とする解雇>

市場動向の変化や会社の業績に左右されない、客観的で合理的な目標が就業規則に規定されていて、その目標を達成できないことを理由に解雇する場合であって、教育研修を十分に行い、配置転換や降格処分も行ったのになお効果が無く、やむを得ず解雇を通告するのでなければ、その有効性は疑わしいということになってしまいます。

そもそも、条件付きの解雇通告というのは、それだけで労働者の立場を不安定にしますから、どんなに工夫を重ねても、有効性が確実にはならないものなのです。

こうした困難なことにチャレンジするよりは、充実した教育研修システムや、納得のいく人事考課制度を構築したほうが、会社も社員も成長するのではないでしょうか。

 

解決社労士

<会社の周知義務>

会社は、労働基準法および同法による命令等の要旨、就業規則、労使協定を従業員に周知しなければなりません。〔労働基準法第106条第1項〕

労使協定というと三六協定(時間外労働・休日労働に関する協定)が有名です。〔労働基準法第36条〕

最近では、派遣社員の同一労働同一賃金に関する労使協定方式もクローズアップされています。

しかし、傷病手当金は健康保険の制度ですから、会社が従業員に周知する義務を負っていません。

健康保険や年金、労災保険や雇用保険、所得税の還付などについては、国が広報に努めるべき内容です。

 

<会社が説明する必要>

とはいえ、健康保険や年金、労災保険や雇用保険などの給付は、すべて請求手続きをしなければ給付されません。

健康保険の保険料は、会社と従業員とで折半します。

つまり、会社も保険料を負担しています。

それなのに、わからないから給付を受けられないというのでは勿体ないです。

会社は、保険料を無駄にせず、従業員が給付を受けられるようにするため、傷病手当金、高額療養費、療養費支給申請など健康保険の給付や、労災保険で受けられる給付について、従業員に説明しておくべきです。

少しでも記憶に残っていて「何かお金がもらえる制度があったような…」ということになれば、あとは人事担当者にたずねるなどして、手続へと結びつくでしょう。

 

<給与計算とも連動して>

給与計算担当者に専門知識があれば、あるいは、社労士に給与計算を委託していれば、従業員の長期休業について理由を確認します。

健康保険に入っている従業員であれば傷病手当金の手続に進みますし、勤務中のケガで休んでいれば労災保険の手続に進みます。

わからないから受け取れないということが防げるわけです。

また、様々な仕組により従業員が給付を受ける場合について、社労士が会社でレクチャーを行い、従業員からの質問にわかりやすく答えるというサービスもあります。

もし社内でまかなえないことがあれば、信頼できる社労士にご相談ください。

 

解決社労士

2020/03/10|958文字

 

<本採用後の家族手当支給>

試用期間中は家族手当を支給せず、本採用となってから支給を開始するという就業規則やその運用は、原則として問題がありません。

ただし、家族手当を支給しないことによって、1時間あたりの賃金が最低賃金の基準を下回ってしまうと、最低賃金法違反となりますから、ここは確認が必要です。

 

<試用期間の法規制>

労働基準法には、「試用期間」という用語は無くて、「試みの使用期間」〔第12条第3項第5号〕、「試の使用期間中の者」〔第21条第4号〕という用語が登場します。

そして、労働基準法の予定する試用期間は14日までです。

ですから、会社が試用期間を3か月としても、15日目からは労働基準法上の試用期間として認められません。

認められないとどうなるかというと、正当な理由があって辞めてもらう場合にも、解雇予告手当の支払とともに解雇通告することが必要です。

あるいは、30日以上前もって予告するわけです。

解雇予告手当20日分と、10日前の予告で、合わせて30日という方法も認められています。〔第20条第2項〕

たとえ試用期間中であっても、正当な理由があって解雇予告手当を支払わずに即日解雇できるのは、原則として入社14日目までということになります。

 

<試用期間であっても必要な事(法定事項)>

健康保険、厚生年金、雇用保険、労災保険は、試用期間中か本採用後かという区分がありませんので、法定の基準を満たせば入社とともに加入します。

これは、市区役所に出生届を提出しなくても、赤ちゃんが生まれれば、その生まれた事実に変わりはないのと同じです。

つまり、加入手続をしなくても保険料の未払が発生するだけです。

その証拠に、会社に調査が入って手続もれが発覚すれば、さかのぼって多額の保険料を支払うことになります。

給与についていえば、残業手当、深夜手当、法定休日出勤手当のように、法定のものは試用期間中であっても支給しなければなりません。

ただし、役員待遇で入社するなど、いきなり管理監督者の立場に立つ人は例外です。

 

<試用期間であれば必要ない事>

家族手当の他、精勤手当、賞与など、基本の給与とは別に会社がプラスアルファで支給するものは、試用期間中は支給しない規定と運用でも、原則として問題ありません。

ただ、最低賃金法違反に注意するだけです。

 

解決社労士

2020/03/09|1,259文字

 

<労働問題の責任>

労働問題について責任が問われる場合、会社の責任とは別に、取締役個人の責任が問題となります。

また、刑罰が科される刑事責任の側面と、損害賠償など金銭解決が中心となる民事責任の側面とがあります。

 

<取締役の刑事責任>

たとえば、労働基準法第32条第1項は「使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない」と定めています。

この禁止に違反した場合には、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金を科されるという罰則があります〔労働基準法第119条第1号〕。

罰則があるということは、刑事責任の問題となります。

そして、労働基準法第32条第1項が「使用者は」と定めているので、刑事責任を負うのは「使用者」です。

この「使用者」については、労働基準法第10条に定義があり、「この法律で使用者とは、事業主又は事業の経営担当者その他その事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をするすべての者をいう」とされています。

具体的に「使用者」に該当するのは、会社そのものの他、代表取締役、人事労務関係を管掌する取締役、人事部長、人事課長など、労働者に関する事項について権限を有する者が含まれることになります。

このことについて、労働基準法第121条第1項は、「この法律の違反行為をした者が、当該事業の労働者に関する事項について、事業主のために行為をした代理人、使用人その他の従業者である場合においては、事業主に対しても各本条の罰金刑を科する」としています。

結論として、人事労務管理について権限・責任のある取締役は、刑事責任を負う立場にあるということになります。

 

<取締役の民事責任>

民法第709条は、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定めています。

この責任を不法行為責任といいます。

また、会社法第429条第1項は、「役員等がその職務を行うについて悪意又は重大な過失があったときは、当該役員等は、これによって第三者に生じた損害を賠償する責任を負う」と定めています。

たとえば、会社の従業員が、上司からのパワハラにより急性のうつ病を発症して自殺したとします。

もし、代表取締役や人事管掌取締役が、パワハラ防止の適切な管理体制を構築していなかったならば、その落ち度について、民法第709条の不法行為責任を負うことになります。

また、取締役がパワハラを認識し、あるいは容易に認識しえたにもかかわらず、きちんとした対策を取らなかったのであれば、故意または重大な過失により損害を生じさせたことについて、会社法第429条第1項の責任を負うことになります。

どちらも、遺族から損害賠償を求められる形で、責任を負わされることになります。

 

以上のように、取締役が、その業務について責任を問われる場合には、会社や株主から責任を追求されるだけでなく、刑罰を科されたり、被害者側から個人的な賠償責任を追求されたりすることもあるわけです。

 

解決社労士

2020/03/08|1,263文字

 

<労働基準監督署が調査(監督)に入るケース>

労働基準監督署が企業の調査(監督)に入るケースとしては、次の3つが多いでしょう。

・方面(ほうめん)という部署が、労働基準法の順守状況を確認するため。

・安全衛生課という部署が、労働安全衛生や労働環境の状況を確認するため。

・労災課という部署が、労災発生後の再発防止策を確認するため。

 

<方面による調査(監督)>

多いのは、サービス残業と過重労働のチェックです。

これらの前提として、労働時間の適正な把握・管理も対象となります。

労働基準法などの法令違反は「是正勧告書」で、その他の改善すべき点は「指導票」で指導が行われます。

これに対して、企業は「是正報告書」を提出して、改善したことを報告します。

これにて一件落着となっても、ほとぼりが冷めると元に戻ることもありますから、2~3年後に改善内容が定着していることを確認するため、再調査が入ることは多いものです。

最初の調査で何一つ指摘を受けていなければ、再調査ということもありません。

 

<安全衛生課による調査(監督)>

労働安全衛生法などの順守状況が確認されます。

たとえば、機械類の操作がある場合には、現場にマニュアルがあるか、わかりやすい警告表示があるかなどがチェックされます。

また、重量物の取り扱いがある場合には、誰が作業を行っているか、特に女性が制限を超えて重量物を扱っていないかなどがチェックされます。

もし、これらについて是正を求められても、改善することは比較的簡単ですが、2~3年後に改善内容が定着していることを確認するため、再調査が入ることは多いものです。

このときには、安全教育の実施について、実績資料の提示を求められることもあります。

 

<労災課による調査(監督)>

同種の労災事故が繰り返され、あるいは重大な労災事故があった場合には、3か月~1年半後に調査が入ることがあります。

このときは、「企業が自主的に行っている労災の再発防止策」を監督署が確認します。きちんと出来ていれば良いのですが、不十分なら「是正勧告書」「指導票」による指導が行われます。

そして、この指導があった場合には、2~3年後に改善内容が定着していることを確認するため、再調査が入ることは多いものです。

 

<社会保険労務士の役割>

以上のように、最初の調査(監督)で何も指摘されなければ、再調査(再監督)ということも無いのですが、「何も指摘されない」というのはかなり少数です。

会社の中に、専任の担当者がいない場合には、顧問の社労士が対応することになります。

現場任せにしておくと、いつの間にか最初の調査が入った時点の状態に戻ってしまっていることが多いものです。

社労士は、労働基準監督署の調査が入っても指摘事項が最小限になるよう、普段から労働環境の改善や労災発生防止策についてアドバイスします。

もちろん、実際に調査が入ることになれば、この調査にも立ち会いますし、その後の監督署からの指導へも対応します。

監督署の担当官にしても、専門家がいれば安心ですから、スムーズに事が進みます。

 

解決社労士

2020/03/07|1,314文字

 

<有期労働契約の打ち切り>

会社がパートやアルバイトなど、有期労働契約で雇っている労働者を、期間満了時に契約の更新を行わずに終了させることを「雇い止め」といいます。

一定の場合に、「使用者が(労働者からの契約延長の)申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす」という抽象的な規定があります。〔労働契約法第19条〕

これは、数多くの裁判の積み重ねによって作られた「雇い止めに関する法理」という理論を条文にしたものです。

ですから、雇い止めがこの理論による有効要件を満たしていなければ、裁判では無効とされ、有期労働契約が自動的に更新されることになります。

 

<雇い止めの有効性の判断材料>

上記の労働契約法第19条は、数多くの判決がベースとなって規定されたものですから、雇い止めの有効性を判断するには、裁判に現れたケースを基準に具体的に考える必要があります。

そして、結論としては、次のような事情が多く認められるほど、有効と判断されやすくなります。

 

【雇い止めが有効となりやすい事情】

・業務内容や労働契約上の地位が臨時的なものであること。

・契約更新を期待させる制度や上司などの言動が無かったこと。

・契約更新回数が少ないこと、また、通算勤続期間が短いこと。

・他の労働者も契約更新されていないこと。

・雇い止めに合理的な理由が認められること。

 

<どう伝えたら良いか悩む理由>

会社側が、雇い止めの対象者に、契約を更新しないという判断を伝える場合には、契約の打ち切りが不当だという法的主張をされないか、また、感情的に納得してもらえないのではないかということで悩みます。

とくに、自分自身が判断したのではなく、上司や人事部門の決定による場合には、自分の気持ちとは関係なく事実を伝えなければなりませんから辛いものです。

 

<法的主張についての不安>

ポイントは、合理的な理由の説明です。これには事前の準備が必要です。

労働条件通知書、雇用契約書といった労働条件を示した書面に、契約を更新しない場合の具体的な理由と、判断するのは会社側であることが明記されていれば、「ここに書いてある通り」という説明で十分なことも多いでしょう。

労働条件通知書の契約更新の条件は、可能な限り具体的なものとしておくこと、条件の充足を判断するのは会社側であることを明記しておきましょう。

 

<感情的な納得>

雇い止めされる従業員からすると、理屈では理解できても、感情的に納得がいかないという場合もあります。

ポイントは、日頃からのコミュニケーションです。これにも事前の準備が必要です。

日常的な雑談だけでなく、部門長や人事担当者との定期的な面談が必要です。

ここでは、次回の契約更新の可能性など、重要な話もすることになります。

雇い止めをする場合には、契約期間の終了まで多くの日数を残して話を切り出さなければなりません。

次の仕事を探すなど、従業員側にも時間的な余裕が必要だからです。

そして、対象となる従業員の話を十分に聞き、十分な説明をすることが大切です。

 

解決社労士

2020/03/06|1,505文字

 

<出入国在留管理庁の活動>

出入国在留管理庁は、国や地方公共団体が外国人向けに情報発信を行う際には、多言語化と併せ、やさしい日本語を用いることが重要と考えています。

令和2年2月14日、出入国在留管理庁が文化庁と連携し、在留支援のためのやさしい日本語の必要性や、やさしい日本語の要点等を解説したガイドラインを作成する予定であることを公表しました。

この「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」は、令和2年7月頃に公表される予定です。

 

<生活・仕事ガイドブック>

出入国管理庁の外国人生活支援ポータルサイトでは、日本で生活する外国人向けに「生活・仕事ガイドブック」の日本語版、英語版、ベトナム語版、やさしい日本語版を掲載しています。

「やさしい日本語」は、日本で暮らす外国人に向けられた、普通の日本語よりも簡単でわかりやすい日本語のことをいいます。

これは、阪神・淡路大震災を契機として、地方公共団体等を中心に言い換え表現等が研究されてきたものです。

やさしい日本語版「生活・仕事ガイドブック」は、すべての漢字にふりがなが振られています。

 

【「生活・仕事ガイドブック」の構成】

第1章 日本に住むために必要なこと

第2章 市役所、区役所、町役場、村役場

第3章 日本で働く

第4章 子どもを産んで育てる

第5章 教育

第6章 医療

第7章 年金・福祉

第8章 税金

第9章 交通

第10章 緊急(急な病気や事故)・災害(台風や地震)

第11章 住む家を探す

第12章 日本の生活

 

<ガイドブックの活用法>

このガイドブックは、外国人向けの活用が予定されています。

しかし、労働関係などの用語は、日本人にとっても分かりにくいものです。

就業規則や人事関係の社内文書が、難解な表現を含んでいる場合には、社内に周知するのが難しいこともあります。

ガイドブックの「第3章 日本で働く」は、29ページで構成されていて、労働関係などの用語が分かりやすい表現で示されています。

 

【社会保険・労働保険の説明例】

日本には「社会保険」・「労働保険」というシステムがあります。国が、働いている人と会社からお金を集めて、困ったときにそのお金を使って助けます。

会社で働いている人は、給料から社会保険・労働保険(健康保険、介護保険、厚生年金保険、雇用保険)のお金が引かれます(労災保険は全部会社がお金を出します。)。

会社は集めたお金に会社のお金を足して国に渡します。

短い時間だけ働いている人は、社会保険に入っていないため、給料からお金が引かれません。自分で「国民健康保険」や「国民年金」に入ってお金を払います。

 

「健康保険」:けがや病気で病院に行くときのための保険です。

 

「介護保険」:年をとって世話をしてもらうときのための保険です。

 

「厚生年金保険」:年をとったり、病気やけがをしたりして、仕事ができなくなったときのための保険です。そして、家族のために働いていた人が亡くなったとき、家族が生活に困らないようにする保険です。70歳になっていない人が入ります。

 

「雇用保険」:仕事がなくなったり、会社をやめたあと仕事が見つからなかったりしたときのための保険です。生活の心配をしないで、新しい仕事を探すことができるように、この保険からお金が出ます。いつからいくら出るかは、やめた理由などで違いますから、家 の近くの「ハローワーク」で相談しましょう。

 

「労災保険」:仕事が原因で、働いている人がけがをしたり病気になったり亡くなったりしたときの保険です。

 

就業規則の変更案や、人事部門の発信文書を作成する際には、やさしい日本語版「生活・仕事ガイドブック」を参考にされてはいかがでしょうか。

 

解決社労士

2020/03/05|1,039文字

 

<感染経路>

ウイルスの主な感染経路は、飛沫感染と接触感染です。

飛沫感染は、感染した人の咳やくしゃみのしぶき(飛沫)に含まれるウイルスを吸い込むことによる感染です。

予防には、感染した人の咳やくしゃみが直接人にかからないよう、マスクやティッシュ等で口と鼻を覆う等の「咳エチケット」が効果的です。

マスクやティッシュ等が無い場合には、ひじを曲げてひじの内側で口と鼻を覆います。

接触感染は、ウイルスの付着した手で、目・口・鼻を触ることによる感染です。

予防には、手洗い、消毒が効果的です。

 

<従業員の取組>

●こまめな手洗い

手洗いは流水と石けんで15秒以上行い、水分を十分にふき取りましょう。

手が洗えない場合、手指消毒用アルコール製剤(エタノール等を60~80%程度含むもの) による消毒も効果があります。

●顔を触らない

手に付着したウイルスが目・口・鼻の粘膜から体内に入らないよう、手で顔を触らないようにしましょう。

●人ごみを避ける

外出する場合は、公共交通機関のラッシュの時間を避ける等、人ごみは避けましょう。

症状のある人(咳やくしゃみなど)に接触した場合は、手洗いなどを行いましょう。

●咳エチケット

咳やくしゃみが出るときは、マスク等で口や鼻を覆うなどの「咳エチケット」を心がけましょう。

 

<マスクの付け方>

口と鼻の両方を確実に覆う → ゴムひもなどを耳にかける → 鼻の部分に隙間ができたり、あごの部分が出たりしないようマスクを調節する

※あごや首にはウイルスが付着します。飲んだり食べたりの際、マスクを下にずらすと、マスクの内側にウイルスが付着してしまいます。

 

<マスクの外し方>

マスク表面には、ウイルスが付着している可能性があるので、触らずにゴムひもなどを持って外します。

※マスクは1日1枚程度交換します。

 

<企業の取組>

●感染予防に必要な備品・環境の整備

手指消毒薬、石けん・ペーパータオル等を備えるなど、衛生状態を保つための備品・環境を整備しましょう。

手指消毒薬の使用期限に注意しましょう。

●人が触れる場所を清掃・消毒

人が触れる場所(ドアノブ、スイッチ、階段の手すり、エレベーターの押しボタン等)を清掃・消毒しましょう。

消毒剤は、次亜塩素酸ナトリウム(製品表示に従い希釈)や消毒用エタノール等が有効です。

消毒剤を使う場合には、消毒剤を浸したペーパータオル等による拭き取り消毒を行うこと、換気すること、「使用上の注意」をよく読んで使うこと、作業をした後は手を洗うことなどに注意しましょう。

 

解決社労士

2020/03/04|976文字

 

<少し前の法改正>

平成29(2017)11日以降、65歳以上の労働者についても、「高年齢被保険者」として雇用保険の適用の対象となっています。

それまでは、「高年齢継続被保険者」となっている場合を除き適用除外でした。

「高年齢継続被保険者」というのは、65歳になった日の前日から引き続いて65歳になった日以後も雇用されている被保険者です。

「65歳になった日」は65歳の誕生日の前日ですから、「65歳になった日の前日」というのは65歳の誕生日の前々日です。

 

<新たに65歳以上の労働者を雇用した場合>

雇用保険の適用要件にあてはまる場合は、事業所を管轄するハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。

採用した月の翌月10日が提出期限です。

雇用保険の適用要件は、1週間の所定労働時間が20時間以上であり、31日以上の雇用見込みがあることです。ただし、昼間学校に通う学生は除きます。

所定労働時間は必ず決めて、書面で労働者に通知することが、労働基準法により使用者に義務づけられています。

 

<平成28(2016)年12月末までに65歳以上の労働者を雇用し平成29(2017)年1月1日以降も継続して雇用している場合>

雇用保険の適用要件にあてはまる場合は、平成29(2017)11日から雇用保険の適用対象となっています。

事業所を管轄するハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。

提出期限の特例があり、平成29(2017)331日までに提出することになっていました。

 

<平成28(2016)年12月末時点で高年齢継続被保険者である労働者を平成29(2017)年1月1日以降も継続して雇用している場合>

ハローワークへの届出は不要です。自動的に高年齢被保険者に区分が変更されます。

 

<平成29(2017)年1月1日以降に所定労働時間の変更があり適用要件にあてはまるようになった場合>

所定労働時間の変更があった月の翌月10日までに、事業所を管轄するハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出します。

所定労働時間の変更があった場合には、書面で労働者に通知することが、労働基準法により使用者に義務づけられています。

 

必要な手続きが良くわからなかったり、手続きの外注を考える場合には、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2020/03/03|537文字

 

<会社からの請求>

産前産後休業や育児休業の期間は、社会保険料が免除されます。

しかし、介護休業その他の休職中の社会保険料は免除されません。

また、住民税はどの休業・休職中も免除されません。

そして、雇用保険料については、特に免除という話も無いまま、会社からは請求されません。

 

<社会保険料のしくみ>

毎年9月に、4月から6月の給与の総支給額を基に、社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)が決まります。

ここで決まった保険料は、給与の大きな増減や保険料率の変更が無ければ、9月から翌年の8月まで変更がありません。

勤務日数が減って給与が減額されたり、休業・休職で給与がゼロになっても、原則として保険料は変動しません。

ただ、産前産後休業や育児休業の期間は、社会保険料が免除されます。

 

<雇用保険料のしくみ>

雇用保険料は、毎月の給与に対して、雇用保険料率を掛けて計算します。

残業手当の増減により、毎月の給与が増減した場合には、雇用保険料も増減します。

そして、給与の総支給額がゼロであれば、ゼロに保険料率を掛けるので、保険料もゼロになります。

ですから給与の支払の無い休業・休職中の雇用保険料は、支払わなくて良いのです。

特に免除でもなく、請求もれでもなく、保険料が発生しないということなのです。

 

解決社労士

2020/03/02|1,621文字

 

東京都は、自転車が関与する交通事故が増加傾向にあることを受け、自転車利用者が加害者となり、高額な賠償を請求されるケースに備えるとともに、自転車の安全で適正な利用の更なる促進を図るため、東京都自転車の安全で適正な利用の促進に関する条例を改正しました。

 

<改正のポイント(令和2年4月施行)>(東京都ホームページより抜粋)

○自転車利用者、保護者、自転車使用事業者及び自転車貸付業者による自転車損害保険等への加入を義務化

○自転車小売業者による自転車購入者に対する自転車損害保険等への加入の有無の確認、確認ができないときの自転車損害保険等への加入に関する情報提供の努力義務化

○事業者による自転車通勤をする従業者に対する自転車損害保険等への加入の有無の確認、確認ができないときの自転車損害保険等への加入に関する情報提供の努力義務化

○自転車貸付業者による借受人に対する貸付自転車の利用に係る自転車損害保険等の内容に関する情報提供の努力義務化

○学校等の設置者に対し、児童、生徒等への自転車損害保険等に関する情報提供の努力義務化 

 

<改正条例の施行日>

令和2年4月1日から自転車損害保険等への加入が義務づけられます。

 

<罰則>

罰則はありません。

しかし、自転車交通事故で自転車利用者が加害者となり、高額な賠償を請求されるケースが発生しています。

万一の自転車事故に備え、保険に加入しましょう。

 

<加入手続>

保険には様々な種類があり、自転車保険や火災保険などの保険で、既に自転車事故の補償が付帯されている場合もあります。

重複して加入してしまわないよう、まず保険加入状況を確認しましょう。

個人賠償責任保険、共済等への加入に関しては、各損害保険や共済等の取扱店に確認してください。

個人賠償責任保険は、個人又は同居の家族が、日常生活で誤って他人にケガさせたり他人の物を壊したりして、法律上の損害賠償責任を負担した場合の損害を補償するもので、自転車保険等の特約になっているものや、個人単位、家族単位で加入することができるものがあります。

TSマーク付帯保険については、お近くの自転車安全整備士のいる自転車店に問い合わせてください。

TSマーク付帯保険の有効期間は点検日から1年間ですので、更新のし忘れにご注意ください。

 

<自転車損害保険等>

保険の種類は、人に掛ける保険、自転車に掛ける保険の2つがあります。

人に掛ける保険は、自転車保険のほか、自動車保険、火災保険、傷害保険の特約、学校PTAが取り扱っている賠償責任保険などがあります。

自転車に掛ける保険は、自転車販売店で、自転車の点検整備を受けた際に付けるTSマークに付帯する傷害保険と賠償責任保険があります。

 

<保険加入対象者>

自転車利用者(未成年者を除く。)、保護者、自転車使用事業者、自転車貸付業者が保険加入対象者です。

東京都内で自転車を利用する人が対象となり、都内に訪れた観光客等も含まれます。

もらったり、借りたりした自転車に乗る場合についても、自転車損害保険等に加入する必要があります。

ただし、既に加入している個人賠償責任保険が自転車事故も補償対象としている場合は、人に保険がかかっていますので、改めて個々に自転車損害保険等に加入する必要はありません。

補償内容等の詳細は加入している保険会社にご確認ください。

なお、自転車の点検修理に伴って貼られるTSマークに付帯される保険は、自転車自体にかける保険ですので、誰が利用しても補償の対象になります。

中古の自転車でもTSマークが貼ってあり、有効期限内であれば改めて保険に加入する必要はありません。

 

<保護者の義務>

保護者は、未成年の子供が単独で保険契約をすることができないため、子供に代わり保険契約をする必要があります。

保護者はその監護する18歳未満の者にヘルメットを被らせる等、自転車を安全で適正に利用することができるように必要な対策を行うことに努めなければなりません。

 

解決社労士

2020/03/01|995文字

 

<過去の行為で懲戒処分を受けるケース>

「過去の行為で懲戒処分を受ける」という場合、次のようなパターンが考えられます。

1.過去に一度懲戒処分を受けた事について再び懲戒処分を受ける場合

2.その当時は懲戒処分の対象とならなかった事について蒸し返される場合

 

<懲戒処分を受けた行為について重ねて懲戒処分が行われる場合>

「二重処罰の禁止」という原則があります。

これは、日本国憲法第39条で保障されているものです。

一度処分や処罰を受けた事について、重ねて処分や処罰を受けないということです。

この原則は、社内の懲戒処分についても、基本的にはあてはまるものですから、会社から「二重処罰」されそうになったら、大いに反論の余地があります。

ただし、例外があります。それは常習犯的な場合です。

たとえば、遅刻を繰り返した社員を譴責(けんせき)処分にして、厳重注意をしたうえで、始末書を取ったとします。

それにもかかわらず、相変わらず遅刻を繰り返しているという場合、今度は一段重い懲戒処分にするということがあります。

きちんと就業規則に「懲戒処分を受けたにもかかわらず同じ過ちを繰り返した場合には」という規定を置くなど、条件を満たしていれば有効です。

 

<懲戒処分にならなかった事について再び懲戒処分が検討される場合>

「一事不再理(いちじふさいり)」というのがあります。日本国憲法第39条で保障されているものです。

一度処分や処罰が検討された事について、後になってからもう一度処分や処罰を検討されないということです。

この原則は、社内の懲戒処分についても、基本的にはあてはまるものですから、会社から蒸し返されそうになったら、大いに反論の余地があります。

こうした場合だけでなく、会社に発覚したのに長年懲戒処分を検討されなかった事について、ある時突然懲戒処分を言われるというのは、会社が信義誠実の原則に反していることが多いでしょう。

あるいは、退職に追い込むための言い訳として、無理に過去の事を問題にしているのかもしれません。

こうしたことも決して許されることではありません。

 

会社から懲戒処分を受けそうになった時、あるいは受けた時、それが有効なのか、それとも懲戒権の濫用であり無効なのか、かなり専門的な判断が必要です。

おかしいと思ったら、労働事件を扱う弁護士や信頼できる特定社労士(特定の付記を受けた社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2020/02/29|1,141文字

 

<労働時間>

労働時間の定義は、客観的に決まっています。

各企業が自由に決められるものではありません。

労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいいます。

また、使用者の明示または黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は、労働時間に該当します。

 

<研修・教育訓練の取扱い>

研修・教育訓練について、業務上義務づけられていない自由参加のものであれば、その研修・教育訓練の時間は、原則として労働時間に該当しません。

しかし、研修・教育訓練への不参加について、就業規則で減給処分の対象とされていたり、不参加によって業務を行うことができなかったりするなど、事実上参加を強制されている場合には、研修・教育訓練であっても 労働時間に該当します。

その研修・教育訓練が、参加者の業務に必要不可欠のものであれば、自由参加ということはないでしょうから、その性質上、労働時間に該当することになります。

 

<労働時間に該当しない事例>

労働時間に該当しない事例としては、次のようなものが挙げられます。

 

・終業後の夜間に行うため、弁当の提供はしているものの、参加の強制はせず、また、参加しないことについて不利益な取扱いもしない勉強会。

・労働者が、会社の設備を無償で使用することの許可をとった上で、自ら申し出て、一人でまたは先輩社員に依頼し、使用者からの指揮命令を受けることなく勤務時間外に行う訓練。

・会社が外国人講師を呼んで開催している任意参加の業務とは関連性がない英会話講習。

 

<労働時間に該当する事例>

労働時間に該当する事例としては、次のようなものが挙げられます。

 

・使用者が指定する社外研修について、休日に参加するよう指示され、後日レポートの提出も課されるなど、実質的な業務指示で参加する研修。

・自らが担当する業務について、あらかじめ先輩社員がその業務に従事しているところを見学しなければ実際の業務に就くことができないとされている場合の業務見学。

 

<会社が心がけること>

労働者を「研修・教育訓練」に参加させるにあたっては、あらかじめ労使で話し合い、労働時間に該当するか否かを確認しておきましょう。

そして、労働時間に該当しないとする場合には、上司がその「研修・教育訓練」を受けるよう指示していないこと、その「研修・教育訓練」を開始する時点で業務や業務の準備・後処理は終了しており、労働者はそれらの業務から離れてよいことについて、あらかじめ労使で確認しておきましょう。

労働基準法の改正により、時間外労働の上限規制が行われています。

研修・教育訓練の時間を、誤って労働時間から除外した場合には、この規制に違反しても気づかないというケースも考えられます。

労働時間の適正な管理を、今まで以上に心がけましょう。

 

解決社労士

2020/02/28|545文字

 

<お知らせの郵送先>

お住まいのお近くの年金事務所(日本年金機構)から、年金についてのお知らせが郵送で届きます。

このときのあて先は、日本年金機構に登録された住所です。

引っ越して住民票を移した場合、これに連動して日本年金機構に登録された住所も変更になる場合がほとんどです。

連動しない場合には、市区役所/町村役場で住民票を移す手続とは別に、年金事務所で住所変更の手続が必要になります。

 

<郵便物の転送依頼>

郵便物を引越し先に転送してもらう手続をしてあっても、年金関係の書類が転送されない場合もあります。

封筒に「転送不要」と書いてあると、転送しないルールになっているのです。

年金関係の書類の他に、銀行など金融機関からの郵便物や、選挙の投票所の入場券を郵送する封筒には、この「転送不要」の表示があって転送されません。

 

<住民票のある所と違う住所への郵送>

年金事務所で手続すれば、住民票のある住所とは別の場所に郵送してもらうこともできます。

何らかの事情で必要があれば、この手続きをしておくとよいでしょう。

 

年金についてのお知らせが届かず、自分で調べたり手続きしたりがむずかしいときは、信頼できる社労士(社会保険労務士)にお任せください。

届いた書類の内容についてもわかりやすい説明を受けることができます。

 

解決社労士

2020/02/27|500文字

 

<労災保険の適用対象>

労災保険は年齢制限なく適用されます。

原則として、中学卒業年齢になれば雇われることができますので、15歳になって最初の331日になれば、労災保険の対象となります。

高校生のアルバイトも対象者です。

 

<対象外と言われるケース>

労災保険について聞かれた人が、良く知らないこともあります。

勤務先で確認するときには、労災保険に限らず、その仕事を担当している人に聞きましょう。

しかし、ウソをついてしまった可能性もあります。

手続きを求められても良くわからないとか、どこかの事務所に手続きを依頼すると高い報酬を請求されるとか、正直に答えるのが不都合に思えたかもしれません。

 

<正しいことを確認するには>

労災保険について正確なことを確認するには、勤務先を管轄する労働基準監督署にたずねましょう。

たとえ未成年者であっても、親切に回答してくれます。

また、希望すれば、会社に話をしてくれます。

 

労災保険の手続きを依頼するとなると、お近くの社労士(社会保険労務士)ということになります。

報酬は社労士事務所によってバラバラです。

顧問契約を交わしていれば、簡単な手続きは顧問料の範囲内で行う所が多いようです。

 

解決社労士

 

2020/02/26|1,515文字

 

<労使協定のチェックポイント>

令和2年2月12日、厚生労働省が、派遣労働者の同一労働同一賃金に関するリーフレット「過半数代表者に選ばれた皆さまへ」を公表しました。

このリーフレットは、労使協定方式での過半数労働組合または過半数代表者が、派遣元事業主と労使協定を締結する際のポイントを解説したもので、次の点に関する確認を呼びかける内容となっています。

 

【手続面】

・過半数代表者の選定手続きは適切か

・派遣労働者の意思は反映されているか

・過半数代表者が事務を円滑に遂行できるよう派遣元事業主は配慮しているか

 

よくある失敗としては、過半数代表者の選定にあたって、会社側が関与してしまうということがあります。

会社側が過半数代表者を指名してしまう場合の他、会社側が候補者を数人立てて、その中から投票で選出するなど、必ずしも民主的とはいえない方法で選定すると、その選定が無効となり、労使協定も無効となってしまいます。

派遣労働者の場合には、派遣先が数か所に分かれていて、派遣先の異なる派遣労働者とは面識が無いのは当然のことです。

こうした事情の中で、過半数代表者を選定するわけですし、派遣労働者が一堂に会する機会も限られていますので、メールによる投票などの方法がとられます。

民主的な方法による選定を行うことは当然ですが、これを裏付ける資料の保管も必要です。

 

【協定内容】

・協定の対象となる派遣労働者の範囲は適切か

・職種の選択は適切か

・通勤手当の支払方法について確認したか

・能力・経験調整指数の当てはめは適切か

・一般賃金額と対象従業員の賃金額が同等以上か

・昇給規定などが定められているか

・退職金について、どの方法を選択したか確認したか

 

職種の選択については、悩ましいケースが多いと思います。

同じ職種の中にも、必要な技能や経験が異なるものが含まれていますから、そこに示された一般賃金額の妥当性に疑問を持つことも多々あります。

また、一人の派遣労働者が、複数の職種にまたがっている場合もあります。

これらの疑問に答える資料は、今のところ厚生労働省からも十分に提供されているわけではありません。

令和2年度については、ある程度手探りで、不合理とならないように注意しつつ、労使協定の内容を定めるしかないのが実情でしょう。

 

<協定への記載が必要な事項>

派遣労働者について、労使協定方式をとった場合の労使協定に、特に必要な項目として、次のものが掲げられています。

 

□ 派遣労働者の職務の内容、成果、意欲、能力または経験などを公正に評価して賃金を決定すること

□「労使協定の対象とならない待遇」(労働者派遣法第40条第2項の教育訓練および同法第40条第3項の福利厚生施設)および「賃金」を除く待遇について、派遣元事業主に雇用される通常の労働者(派遣労働者を除く)との間で不合理な相違がないこと

□ 派遣労働者に対して段階的・計画的な教育訓練を実施すること

□ その他の事項

   ・有効期間(2年以内が望ましい)

   ・労使協定の対象となる派遣労働者の範囲を派遣労働者の一部に限定する場合はその理由

   ・特段の事情がない限り、一の労働契約の期間中に派遣先の変更を理由として、協定の対象となる派遣労働者であるか否かを変えようとしないこと

 

派遣先が大企業で賃金水準が高ければ、派遣先均等・均衡方式をあてはめ、零細企業で賃金水準が低ければ労使協定方式をあてはめるといった恣意的な運用をすれば、派遣元事業主の人件費は軽減されることになります。

しかし、こうした運用は明らかに不合理であって、派遣労働者に不利であることから、「その他の事項」の2つ目と3つ目に注意的に掲げられているわけです。

 

解決社労士

2020/02/25|1,161文字

 

<疑問の内容>

求人雑誌やハローワークの求人票で条件を確認し、入社して最初の給与明細書を見たら、広告よりも少ない金額で計算されていたということがあります。

この場合、差額を会社に請求することができるでしょうか。

 

<労働契約の成立とは>

求人広告は、募集のための広告であって、広告の中身がそのまま労働契約の内容になるわけではありません。

契約は、申込と申込に対する承諾によって成立します。

もしも、求人広告が申込で応募が承諾ならば、求人広告の内容で労働契約が成立します。

しかし、求人広告は申込を誘っている広告に過ぎません。

その証拠に、応募したからといって必ず採用されるわけではありません。

実際には、応募が申込で採用決定が承諾になります。

 

<裁判になったら>

裁判になった例でも、「求人広告に記載された基本給額は見込額であり、最低額の支給を保障したわけではなく、将来入社時までに確定されることが予定された目標としての金額である」と判断されています。

結局、求人広告に書いてある労働条件と、その後の採用にあたって合意した労働契約の内容が異なる場合には、労働契約の内容が優先されることになります。

 

<求職者の対処法>

使用者は、雇い入れ時に、賃金や労働時間などの労働条件について、書面を交付する方法で労働者に明示しなければならず、その明示された労働条件が、事実と異なる場合は、労働者は即時に労働契約を解除できます。〔労働基準法第15条第2項〕

書面による労働条件の明示が無ければ、労働条件通知書、雇い入れ通知書、雇用契約書など労働条件を示す書類を会社に請求しましょう。

忘れていただけならば問題ないのですが、「そんなの無いよ」ということならばブラック企業の可能性が高いです。

この場合には採用辞退をお勧めします。

書面が交付されても、求人広告などを見て考えていた内容や、採用面接のときの説明よりも悪い労働条件ならば、やはり辞退すべきです。

 

<労働契約成立の性質>

どの求人広告に応募するかは労働者の自由です。そして、どの応募者を選ぶかは会社の自由です。これが基本です。

ですから、採用されたり採用したりという場面では、慎重な判断が求められます。

「ちょっと変だな」と思ったら、採用しない採用されないのが無難です。

 

<結論として>

初任給が求人広告の表示よりも安くても、差額を会社に請求することはできません。

ただし、労働条件通知書など、入社時に交付された書面で明示された内容よりも安い給与であれば、差額を会社に請求できるのが原則です。

 

給与について会社に話をしても聞いてもらえない場合には、信頼できる特定社労士(特定の付記を受けた社会保険労務士)にご相談ください。

正当な権利がある場合には、都道府県の労働局で「あっせん」の手続きを行い、会社に支払いを約束してもらうよう働きかけることができます。

 

解決社労士

2020/02/24|1,091文字

 

<厳しい残業制限>

会社は労働者に、法定労働時間の1日実働8時間を超えて働かせてはなりません。

また、日曜日から土曜日までの1週間で、法定労働時間の実働40時間を超えて働かせてはなりません。〔労働基準法第32条〕

厳しいですが、これが労働基準法の制限です。

この制限に違反すると、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金という罰則が用意されています。〔労働基準法第119条〕

ですから、基本的にこの法定労働時間を超えて残業させることは「違法残業」ということになります。

残業は、会社が労働者に命じて行わせるものですが、労働者が独断で残業しているのを野放しにしている場合にも、「残業させた」と評価されます。

 

<三六協定の免罰効果>

しかし会社は、労働者の過半数が加入する労働組合や、労働者の過半数を代表する者と書面による協定を交わし、これを労働基準監督署長に届け出た場合には、協定の定めに従って18時間を超え、また週40時間を超えて労働者を働かせても罰せられないのです。

このことが、労働基準法第36条に規定されているため、ここで必要とされる協定のことを三六協定と呼んでいます。

ここで「罰せられない」と言い、「適法になる」と言えないのは、適法であるためには残業させる根拠が就業規則などに規定されている必要があるからです。

また、法定労働時間を超えた時間も、さらには三六協定の限度を超えた時間も、残業代支払いの対象となります。

 

<三六協定の届出>

労働者の過半数で組織される労働組合が無い場合には、その事業場ごとに労働者の過半数を代表する者を選出します。

あくまでも労働者の代表ですから、会社からの指名ではなく従業員同士の話し合いを基本に民主的に選出します。

そして、労働時間の上限や休日出勤について、会社と代表とが書面で協定を交わし、これを労働基準監督署長に届け出ます。

協定書を届け出たときから協定が有効になりますので、手続きをしないで制限を超える残業があれば違法残業となります。

また、協定の期間は最長1年間ですから、毎年届け出が必要となります。

 

<三六協定を届け出ても違法となる場合>

まず、協定に定めた残業の上限時間を超える残業が「違法残業」となります。

つぎに、労働者の代表が民主的に選出されず、会社から指名されていた場合や会社から推薦を受けていた場合には、選出が無効なので協定も無効となり、協定が無い場合と同じように「違法残業」となります。

さらに、協定の届け出前や期限が切れた後の残業も「違法残業」となります。

 

マスコミでは「違法残業」という報道が時々クローズアップされます。その中には、本当に悪質なものもあるのですが、三六協定の有効期限切れに気付かなかっただけというのもあります。それでも違法は違法です。

有効期限切れなど起こさないように、顧問の社労士(社会保険労務士)に管理させることをお勧めします。

 

解決社労士

2020/02/23|1,201文字

 

<法改正に関する通達>

令和2年2月10日、パワハラ防止措置義務化等に伴う通達が発出されています。

正式名称は、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第8章の規定等の運用について」(雇均発0210第1号)です。

これは、パワハラ防止措置義務化を定めた改正労働施策総合推進法の6月1日施行に伴い、関連規定と指針の趣旨、内容、取扱い、解釈通達の一部変更を示したものです。

この中で、パワハラ指針の趣旨を次のように示しています。

 

<職場の範囲>

業務遂行の場所であれば、通常就業している場所ではなくても、出張先、業務で使用する自動車の中や取引先との打合わせの場所等も含まれます。

勤務時間外の懇親の場、社員寮や通勤中等であっても、実質上職務の延長と考えられるものは職場に該当します。

日常用語の「職場」は、通常就業している場所を指すのですが、パワハラ防止措置で対象となる「職場」は、職務の延長線上で利用される場所すべてを指します。

 

<内容や状況に応じた適切な対応>

相談者や行為者に対して、一律の対応をするのではなく、労働者が受けている言動等の性格や態様によって、状況を注意深く見守る程度のものから、上司や同僚等を通じ、行為者に対し間接的に注意を促すもの、直接注意を促すもの等事案に即した対応を行うことが必要です。

場合によっては、相談者の性格や精神状態を踏まえた対応も必要になるでしょう。

 

<相談者の心身の状況や受け止め方などへの配慮>

相談者が相談窓口の担当者の言動等によってさらに被害を受けるなど、相談者が相談したことによって被害が拡大する二次被害を防ぐための配慮も必要です。

この二次被害が発生した場合には、訴訟となったときに、企業側が敗訴する可能性は格段に上昇します。

小さなパワハラであっても、企業は全力で対応しなければリスクを負うことになります。

 

<幅広い相談への対応>

放置すれば相談者が業務に専念できないなど、就業環境を害するおそれがある場合、または労働者同士のコミュニケーションの希薄化などの職場環境の問題が原因や背景となって、パワーハラスメントが生じるおそれがある場合の他、勤務時間外の懇親の場等においてパワーハラスメントが生じた場合等も幅広く相談の対象とすることが必要です。

また、その言動を直接受けた労働者だけでなく、それを把握した周囲の労働者からの相談にも応じる必要があります。

なお、一見、特定の労働者に対する言動に見えても、周囲の労働者に対して威圧感を与えるような場合には、周囲の労働者に対するパワーハラスメントになる場合もあることに留意する必要があります。

加害者からの言動を直接受けた労働者だけが、被害者とされる傾向にあります。

しかし、その場に居合わせた同僚や部下なども、精神的に動揺し傷つくのが通常です。

この点を見逃すことなく対応する必要があるということです。

 

解決社労士

2020/02/22|678文字

 

<支給の内容>

業務や通勤が原因となったケガや病気が「治ったとき」、身体に一定以上の障害が残った場合には、業務災害なら障害補償給付、通勤災害なら障害給付が支給されます。

そして、障害の程度は障害等級に区分され、第1級から第7級は、障害(補償)年金、障害特別支給金、障害特別年金が、第8級から第14級は、障害(補償)一時金、障害特別支給金、障害特別一時金が支給されます。

 

<治ったとき>

ケガや病気が「治ったとき」というのは、日常用語では健康な状態に回復したことをいいます。

しかし、労災保険ではこうした場合だけでなく、ケガや病気の症状が安定して、医学上一般に認められた医療を行っても、その効果が期待できなくなった状態になった場合にも「治ったとき」といいます。

これは「症状固定」「治癒(ちゆ)」とも呼ばれます。

ここで、「医学上一般に認められた医療」とは、労災保険の療養の範囲として認められたものをいいます。

したがって、実験段階または研究的過程にあるような先進的な治療方法は、ここでいう医療にはあたりません。

 

<アフターケア>

脊髄(せきずい)損傷、頭頚部外傷症候群、慢性肝炎などのケガや病気に対しては、症状固定後でも後遺症が変化したり、後遺症に伴う病気を発症する恐れがあるので、予防や保健上の措置として、診察、保健指導、薬剤の支給などを行う「アフターケア」が実施されています。

このアフターケアは、都道府県労働局長が交付する「健康管理手帳」を労災病院、医療リハビリテーションセンター、総合せき損センター、労災指定医療機関に提示することにより、無料で受けることができます。

 

解決社労士

2020/02/21|1,046文字

 

<管理監督者の基準>

管理監督者の範囲を、会社の方針で決めることはできません。

管理監督者とは、経営方針の決定に参画し労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者です。

これは、役職とは無関係ですから、部長でも管理監督者ではなかったり、役職者ではなくても管理監督者であったりします。

具体的には、次のような基準から総合的に判断されます。

 

【労働時間の管理を受けていないこと】

 遅刻、早退、欠勤は問題視されず、給与の減額もありません。

 会議への遅刻が非難されることはありますが、「定時」に遅刻して非難されることはありません。

 

【一般従業員と比べて賃金面で優遇されていること】

 給与や賞与がその地位にふさわしく優遇されていることが必要です。

 部下が長時間残業すると、支給額が逆転するような給与ではいけません。

 評価によって、賞与の支給額が部下に逆転されるのもいけません。

 

【労務管理上の指揮権限があって管理的な仕事をしていること】

 人事考課を行う、休暇の許可を与える、業務の指示を与える、正社員採用の決定権限があるなど、会社側の立場に立っていることです。

 

<残業手当の支給>

こうした基準をすべて満たしていて、管理監督者といえる社員には残業手当の支給が不要です。

そもそも、時間管理する側の立場であって、自分自身は時間管理されていないのですから、残業手当の計算もできません。

ただし健康管理上、会社は労働時間の把握義務を負っているという微妙な関係です。

つまり、いつ出勤し、いつ業務を終了するかは、管理監督者の裁量に任されていますが、結果としての労働時間は会社が把握しなければならないのです。

 

<名ばかり管理職>

これらのことからすると、「名ばかり店長」「名ばかり管理職」という言葉には違和感があります。

店長は確かに店長であり、管理職は確かに管理職であって、労働基準法上の管理監督者ではないので、「形ばかり管理監督者」と呼ぶのがふさわしいのです。

しかし、マスコミ向きではないですね。

 

<隠れ管理監督者>

会社によっては、肩書が課長でありながら、管理監督者の定義にピッタリあてはまる社員がいます。

たとえば、管理監督者の立場にありながら、社内での肩書が人事課長だと、給与規定の作成と運用が任されていて、自分自身に残業手当を支給するルールにしていることもあります。

こうしたおかしな「お手盛り」を防ぐには、経営者が労働法に強くなるか、信頼できる社労士(社会保険労務士)と顧問契約を結ぶことが必要でしょう。

 

解決社労士

2020/02/20|1,175文字

 

<解雇の法的性質>

雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生じます。〔民法第623条〕

そして解雇は、使用者の労働者に対する雇用契約の解除です。

ただし、使用者による解雇が、解雇権の濫用にあたる場合には無効となります。〔労働契約法第16条〕

たとえ使用者が、労働者に解雇を通告して解雇したつもりになっていたとしても、その解雇が客観的に合理的な理由を欠き、または、社会通念上相当であると認められない場合は、解雇は無効であって、労働者は使用者に対する権利を失わないことになります。

この場合、解雇を通告された労働者は、給与や賞与を受けるなど労働者の権利を主張できるわけです。

実際に労働者が働いていないとしても、それは解雇を通告した側の落ち度によるものとされ、労働者は働かずして給与を受け取れることになります。

このように、解雇というのは、雇用契約の解除という民事的効果をもたらすものですから、トラブルになれば、金銭による解決が図られることになります。

 

<犯罪と刑罰>

犯罪とは、法によって禁じられ刑罰が科される事実・行為をいいます。

刑法には、不当解雇罪のような規定がありません。

ですから、不当解雇だからといって、必ずしも刑罰が科されるわけではありません。

しかし、労働基準法などには、一定の解雇を禁止する規定があり、これに対応する罰則も規定されています。

 

【解雇制限:労働基準法第19条第1項】

使用者は、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業する期間及びその後三十日間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によって休業する期間及びその後三十日間は、解雇してはならない。

 

つまり、業務災害により休業する労働者がいる場合、あるいは、産前産後休業をする労働者がいる場合には、原則として休業終了後30日以内に解雇することができません。

この禁止に違反した場合、「六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金」という罰則もあります。〔労働基準法第119条第1号〕

 

【解雇の予告:労働基準法第20条第1項本文】

使用者は、労働者を解雇しようとする場合においては、少くとも三十日前にその予告をしなければならない。三十日前に予告をしない使用者は、三十日分以上の平均賃金を支払わなければならない。

 

つまり、解雇予告の期間を置かず、解雇予告手当の支払もなしに解雇することは、原則として違法な解雇となり、この規定に違反した場合、「六箇月以下の懲役又は三十万円以下の罰金」という罰則もあります。〔労働基準法第119条第1号〕

 

<結論として>

不当解雇のすべてが犯罪となるわけではありません。

しかし、労働基準法などに触れると罰則が適用される解雇もあり、こうした解雇は一種の犯罪になりうるわけです。

 

解決社労士

2020/02/19|337文字

 

※個人情報保護のため、メールや電話で基礎年金番号を確認することはできません。

 

<手元の書類による確認方法>

1.青色の年金手帳 ― 基礎年金番号が印字されています

2.基礎年金番号通知書 ― 青色以外の年金手帳の場合に郵送されました

3.国民年金保険料の口座振替額通知書

4.国民年金保険料の納付書、領収書

5.年金証書

6.各種通知書(年金額改定通知書、年金振込通知書など)

7.「ねんきん定期便」

 

<書類以外による確認方法>

1.勤め人の方は、お勤め先の総務・人事関係の部署にお尋ねください。

2.「ねんきん定期便・ねんきんネット等専用ダイヤル(0570-058-555)」にお電話ください。後日、基礎年金番号が記載された書類が郵送されます。

3.お近くの年金事務所の窓口でご相談ください。

 

解決社労士

2020/02/18|562文字

 

<事業所検索システム>

全国の事業所の厚生年金保険・健康保険の加入状況を、誰でも簡単に確認することができるようになっています。

これを使えば、勤務先や求人広告を出している会社の社会保険加入状況がすぐにわかります。

平成28(2016)10月からは、同一事業主の適用事業所の加入者数の合計が、常時500人を超える場合「特定適用事業所」とされ、正社員の半分以上の時間働くパート社員など短時間労働者も、社会保険に入るようになりました。この「特定適用事業所」かどうかも確認できます。

週20時間台の勤務なら、社会保険に入るかどうかは大きな問題です。

原則として「特定適用事業所」なら社会保険に入りますし、そうでなければ入りません。

 

<検索の方法>

「漢字で検索する」「カナで検索する」「法人番号で検索する」のうちから1つを選び、「事業所名称」「事業所所在地」「法人番号」のどれかを入力すれば、条件にあてはまる厚生年金保険・健康保険に加入している事業所(適用事業所)や厚生年金保険・健康保険から脱退した事業所(全喪事業所)の情報を、一覧で閲覧することができます。

 

https://www.nenkin.go.jp/do/search_section/

↑こちらが日本年金機構の検索ページです

 

<加入逃れも明確に>

この検索システムを使えば、社会保険の加入逃れをしている事業所もわかります。

摘発される前に、自主的に手続きをした方が賢いと思います。

手続的なことで迷うようでしたら、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2020/02/17|1,348文字

 

<コミュニケーション>

従業員の間で情報交換が盛んであれば、起きない労働問題もあります。

ある従業員が「何かおかしい」と思ってネットで調べたことを、自分に都合よく解釈し、不満が大きくなったところで、会社にぶつけるというパターンの労働紛争があります。

会社としては、ほとんど言いがかりに感じますが、完全に適法ではない部分もあり、対応に困ってしまいます。

この従業員が「何かおかしい」と思ったとき、ネットで調べるのではなくて、社長、上司、先輩に確認したら、みんなで考えることになります。

一人の従業員と会社が対立する形にはならず、みんなで解決する形になります。

 

<信頼関係>

従業員間の信頼関係があれば、起きない労働問題もあります。

上司から叱られた部下が、「これは嫌がらせだ。イジメだ。パワハラだ」と思い、労働問題になることがあります。

しかし、「あの上司は親身になって叱ってくれてありがたい。よし、頑張ろう!」と思えば、客観的にはパワハラの疑いがあっても、労働問題にはなりません。

むしろ、感謝の気持ちとモチベーションが増大する結果になります。

 

<やりがい>

従業員が自分の仕事にやりがいを感じていれば、起きない労働問題もあります。

「毎日残業続きで、しかも残業代の一部がカットされているような気がする。言われたからやっているけれど、やる意味が解らない。これじゃうつ病になりそうだ」こう考える従業員は、メンタルヘルス不調になりがちです。当然、会社の責任問題にもなります。

ところが、仕事にやりがいを感じていれば、「毎日自分の納得がいくまで残業させてもらえる。会社の光熱費負担だけでも大変だろう。何とか貢献度を上げて成果を出さねば」こう考える従業員は、精神的に充実していますから、多少労働時間が長くても調子が落ちないものです。

この「やりがい」は、コミュニケーションと信頼関係に大きく依存します。自分の仕事が、どこで誰の役に立っているのか、失敗すると誰に迷惑がかかるのかが明確だからです。

 

<就業規則の充実>

上記3つが足りない会社では、就業規則の充実が急務です。会社にピッタリの就業規則は、会社にとって大きな武器になります。

ところが、会社にとって余計なことが書かれている就業規則、会社にとって必要なことが書かれていない就業規則、規定の意味が何とでも受け取れる就業規則、そして法改正に追いついていない就業規則では、会社の武器になるどころかブラック社員の武器になります。特に退職前後のブラック社員にとっては、大変強力な武器となってしまいます。

就業規則の作成や改定を、専門家に依頼して時間とお金をかけるのは当然です。

 

<相談窓口>

どうしても労働問題を防止できない環境にある会社では、問題が小さいうちに発見して対応することが最大の課題となります。

パワハラ、セクハラ、マタハラについての相談窓口設置は必須です。

病気と同じで早期発見と早期治療は大変有効です。

 

就業規則の作成や変更だけでなく、相談窓口となったり、社内のコミュニケーション、信頼関係、やりがいの改善をすることは、すべて社労士(社会保険労務士)の業務です。

社内で対応し切れない、あるいは、早く対応したいということであれば、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2020/02/16|1,281文字

 

<残業が多い人のイメージ>

入社10年目の正社員Aさんが、毎日午後6時から10時まで残業しているとします。

他部署の管理職や社長から見れば、「Aさんは頑張っているなぁ。プライベートの時間をけずって、会社に貢献している」と見えることでしょう。

一方、Aさんと同期のBさんが毎日定時であがっていたらどうでしょう。「自分だけサッサと帰ってしまって、やる気が無いのか」と見えるかもしれません。

 

<残業が多いAさんの実情>

直属の上司からすると「相変わらずAさんは仕事が遅いなぁ。同じ仕事を与えても、Bさんなら定時であがるのに」という見方かもしれません。

Aさんは帰宅するとバタンキュー。休日は死んだように眠っています。家族は「かわいそうに。こんなになるまで働かせてひどい会社だ。いつか訴えてやる」と感じるものです。

いつも疲れが残っているAさんは、朝から調子が上がらずグダグダしているのではないでしょうか。このAさんの態度は、同僚や後輩にもだらしなく見え、悪影響を及ぼすかもしれません。

直属の上司としては、Aさんに重要な仕事や新しい仕事を任せることができません。何しろ、全く余力が無いのですから。

 

<残業しないBさんの実情>

直属の上司からすると「Bさんには余力がある。一段上の仕事を任せてみようか」ということになります。

Bさんには英会話スクールに通ったり、映画を観て楽しんだりする時間があります。休日のプライベートも充実させることができます。それが、仕事に良い影響を与えています。

Bさんの働く姿は、同僚や後輩にも良い影響を与えています。後輩が目標にしているかもしれません。

 

<人件費の配分>

Aさんの残業が、違法なサービス残業であったとしても、Bさんと同じ給与ならもらい過ぎでしょう。ましてや、きっちり残業代が支給されているとしたら、会社に対する貢献度と支払われる給与は逆転しています。

さらに、上級の管理職から良く見えるAさんは、Bさんよりも高い評価を得て、より多額の賞与を支給されるかもしれません。

こうなると人件費の配分が、かなり不合理になってしまいます。

 

<適正な人事考課>

何となくのイメージではなく、客観的な評価基準に基づいた人事考課が必要です。

賞与の金額を決める人事考課で、残業が多いほど評価を下げる会社があります。働き方改革を意識しています。

残業時間の基準を設け、残業時間が基準より少ない社員に対しては、賞与の金額に「浮いた人件費」を上乗せするという会社もあります。

何となくのイメージで評価が決まる会社には、仕事のできない人ばかりが残り、仕事のできる人はあきれて去っていくという現象が見られます。

できる社員を定着させるためにも、みんなのやる気を引き出すためにも、きちんとした人事考課を実施しましょう。

 

本に書いてあったり、ネットで検索できたりする人事考課制度は、一般論に過ぎません。

また、仕事は「できる」社員に集まります。残業が多いことを一律に否定するのも不合理です。

会社の実情に合った人事考課制度の構築と運用については、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2020/02/15|1,098文字

 

<制裁規定の制限>

減給処分の制限として、次の規定があります。

「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。」〔労働基準法第91条〕

就業規則などに具体的な規定が無いのに減給処分をすれば、懲戒権の濫用となり無効とされます。〔労働契約法第15条〕

規定があったとしても、何か一つの不都合な事実に対して、減給処分は平均賃金の1日分の半額が限度です。

そして、この平均賃金の計算方法は法定されています。

たとえば、直近の給与の締日までの3か月で、カレンダー上の日数が91日のとき、この間の給与の総合計が91万円であれば、1日分は1万円、その半額は5千円です。

これが減給処分の限度です。

 

<具体的な計算例>

月給30万円で、月間所定労働日数が22日だとすると、1日あたりの給与は、

30万円 ÷ 22日 = 13,636円 と算出されます。

3回遅刻して1日分の給与がカットされるとすると、これだけの給与が減額されるわけです。

一方で、月給30万円であれば平均賃金の1日分は約1万円、その半額は約5千円ですから、この5千円を大きく上回る13,636円を減額することは、制裁規定の制限を超えてしまいます。

 

<欠勤控除として許される場合>

もし1日8時間勤務の場合で、3回の遅刻を合わせて8時間以上になるのなら、1日分の給与を減額しても制裁の意味を持ちません。

なぜなら、欠勤控除をする場合よりも、給与の減額が少ないからです。

ただし、欠勤控除をしたうえで、それとは別に減給処分として1日分の給与を減額するならば、制裁規定の制限を超えてしまいます。

 

<制度としての合理性>

1分の遅刻を3回でも、3時間の遅刻を3回でも、同じく1日分の給与を減額するというルールでは、明らかに不公平です。

出勤の途中で遅刻しそうだと思った社員は、喫茶店でくつろいでから3時間遅刻して出勤するかもしれません。

また、病気だとウソをついて年次有給休暇を取得するかもしれません。

遅刻3回で1日分の給与を減額するルールというのは、ブラック社員を生み出す原因となりかねないのです。

 

懲戒処分を適正に規定し運用するというのはむずかしいものです。

だからといって、懲戒処分が無ければ問題社員を野放しにしてしまいます。

懲戒処分の役割は、不都合な行為をした社員を懲らしめることよりも、まじめな社員が安心して働ける会社にすることの方が大きいといえます。

会社に合った規定と運用をお考えでしたら、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2020/02/14|1,968文字

 

<労働条件の通知>

アルバイトでも、パートでも、人を雇った使用者は労働条件を書面で交付する義務があります。〔労働基準法第15条〕

労働条件通知書、雇い入れ通知書、雇用契約書、労働契約書などその名称はさまざまです。

名称はどうであれ、交付しないのは違法で、30万円以下の罰金刑が規定されています。〔労働基準法第120条〕

1人につき30万円の損失で済めばマシですが、マスコミやネットの書き込みの威力で、立ち直れなくなる可能性があります。

というのは、労働条件が不明確なら、年次有給休暇の付与日数も、取得した場合の給与計算の方法も不明です。

月給制なら、残業手当の計算方法もわかりません。

こうしたことから、労働条件を書面で交付しないのは、「年次有給休暇も残業手当もありません」と表明しているようなものだからです。

 

<ひな形の活用>

厚生労働省のホームページで、この労働条件通知書のひな形をダウンロードできます。

契約形態に応じて10種類用意されていますから、各労働者に適合するものを利用しましょう。

2020年4月1日の法改正に対応する場合、現在のA4サイズ2枚の形式では、対応し切れなくなる可能性も高いです。

この時点で面倒に思ったり迷ったりするのであれば、お近くの社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

ひな形というのは、そのまま印刷してすぐに使えるわけではありません。

ひな型には空欄が多いですから、あらかじめ使用者が案を作成しておいて、労働者に確認しながら修正して完成させるという手間がかかります。

この案を作成する段階と、完成版のチェックの段階で、記載要領と照らし合わせて確認する必要があります。

労働条件通知書は、トラブル防止のために作ることが義務づけられています。

ですから、下手な労働条件通知書はトラブルのもとになります。

実際には、退職前後の労働者と会社との間で紛争の火種となります。

そうならないために、表現の工夫が必要なのです。

 

<表現の工夫>

まず、「よくわからない」「決まっていない」という理由で、法定の項目をカットしてしまうと労働基準法違反となり、罰則が適用されることは、労働条件通知書を交付しないのと同じですから注意しましょう。

労働基準法に違反する内容を入れないことも大切です。

ここでは、常用、有期雇用型について、特に工夫が必要なポイントをご紹介します。

1.「契約の更新は次により判断する。」

 誰が判断するのか書いておかないと、労働者から「私はそうは思いません」と反論されてしまいますから、「契約の更新は次により使用者が判断する。」あるいは「契約の更新は次により会社が客観的に判断する。」と記載することをお勧めします。

2.始業・終業の時刻等

 勤務形態によっては、毎日バラバラということもあります。

 いくつかのパターンにまとめられるのであれば、標準勤務時間として、いくつかの始業・終業・休憩時間をならべて記入しましょう。

 それも無理であれば、何時から何時までの間で何時間勤務(休憩何分)かを記入します。平均的なことを記入するわけです。

 どちらの場合にも、1日の標準的な所定労働時間を記入しなければなりません。これが無ければ、年次有給休暇を取得しても、その分の賃金が計算できませんから、記入が無ければ「年次有給休暇を取得させるつもりが無い」という解釈になってしまいます。これだけで違法です。

 ここは、始業・終業の時刻等が毎日バラバラのパターンが想定されていないので、記入欄が無く注意が必要です。

3.所定時間外労働の有無

 ここで「有」を選択した場合で、1日8時間、1週40(44)時間を超えて残業することがある場合には、所轄の労働基準監督署長に三六協定書を提出しているわけですから、その範囲内で、「1日何時間まで」「1週何時間まで」などの記入をしておきましょう。

 後になってから、残業が多すぎるなどの不満が出ないように、あらかじめ確認しておく項目です。

 これも記入欄が無いので注意が必要です。

4.休日

 特定の曜日などで決まっていない場合には、「週当たり」または「月当たり」の日数を記入します。

 これが無いと、年次有給休暇を付与する条件としての出勤率が計算できませんから、やはり記入が無ければ「年次有給休暇を取得させるつもりが無い」という解釈になってしまいます。これだけで違法です。

5.自己都合退職の手続

 ひな形では、(退職する  日以上前に届け出ること)となっていますが、言った言わない、取り消したのではないか、などのトラブルを防止するために、(退職する  日以上前に所定の「退職届」で届け出ること)としておくことをお勧めします。もちろん、「退職届」の用紙は準備が必要です。

 

解決社労士

 

2020/02/13|1,825文字

 

<所定労働時間の性質>

雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生じます。〔民法第623条〕

そして、労働条件や労働契約の内容は、労働者の理解を深めるようにしなければなりませんし、できる限り書面により確認するものとされています。〔労働契約法第4条〕

特に、所定労働時間のような主要な労働条件については、使用者から労働者に書面で明示されるのが原則です。〔労働基準法第15条第1項〕

より多くの時間勤務することで、労働者の収入が増えたとしても、疲労が増し家事や育児など日常生活に支障を来たしたのでは、仕事と生活の両立(ワークライフバランス)がむずかしくなります。

反対に、勤務時間が少なくて収入も少ないというのでは、経済的に生活が苦しくなってしまいます。

このように、所定労働時間というのは、各労働者の生活実態を反映し、微妙なバランスの上に成り立っていることが分かります。

ですから、所定労働時間を変更するには、労使の合意で行うことが望ましいといえます。

 

<労働者側の希望による所定労働時間の短縮>

育児や介護を理由とする所定労働時間の短縮については、法令や就業規則の規定に従って行われることになります。

この他にも、労働者の希望により、所定労働時間の短縮が行われることがあります。

たとえば、資格取得の学校に通うために、月、水、金曜日に2時間の早退が認められるような場合です。

その資格取得のための勉強が、業務に役立つものであれば、会社の合意が得られやすいでしょう。

 

<会社の都合や方針による所定労働時間の短縮>

働き方改革に関連して、長時間労働を是正するために、所定労働時間を短縮することは、大企業を中心に見られる動きです。

一般に、給与は据え置きで運用されます。

一方で、売上や客数の減少に伴い、所定労働時間の削減が行われることもあります。

人員の削減によって対応する場合には、整理解雇が行われるのですが、人員削減による対応が困難な場合に、所定労働時間の削減によって対応するわけです。

これは、一種のワークシェアリングです。

会社の体力が低下した状態で行われますから、所定労働時間に比例して月給が減額されることもあります。

労働者にとっては、不利益変更となりますから、労使で十分話し合いのうえ行うことが求められます。

 

<労働者側の希望による所定労働時間の延長>

労働者の方から、会社に対して労働時間の延長を申し出ることがあります。

パートタイマーやアルバイトなどで、所定労働時間が法定労働時間を下回っている場合に、収入増を希望して申し出るパターンです。

人手不足や欠員の発生により、会社側にニーズがあれば、法定労働時間までの延長は可能です。

ただし、就業規則の規定と矛盾しない労働条件とすることが必要です。

正社員から、所定労働時間の延長の申し出があった場合、法定労働時間を超えての延長はできませんから、残業を増やしたいという希望だと解されます。

この場合にも、収入増を期待しているわけです。

しかし残業は、労働者本人の希望で行うものではなく、業務上の必要に応じて会社から労働者に命じるものです。

また、会社にとっては、割増賃金の負担も増加します。

会社から希望者に、こうした事情を説明したうえで、より多くの残業を希望する理由を慎重に確認して、対応する必要があります。

場合によっては、異動や転職の必要が出てくるかもしれません。

 

<会社の都合や方針による所定労働時間の延長>

所定労働時間を一律に延長するというのは、それ自体が、働き方改革に逆行するものです。

ただし、パートタイマーを正社員に登用するなど、所定労働時間の延長だけでなく、役割の変更や待遇の改善を伴うものは、むしろ働き方改革の流れに沿ったものとなります。

もし、人手不足が一時的なものであれば、派遣社員の利用で対応できるでしょうし、人手不足が長期にわたる見込みであれば、新人採用を考えるべきです。

 

<労働時間帯の変更>

所定労働時間はそのままで、始業終業時刻をずらすことがあります。

会社から命ずる場合には、就業規則や労働条件通知書などに根拠規定が必要です。

これに対して、労使の合意により変更する場合には、労働条件の変更ですから、就業規則に反しない範囲で行うことができます。

どちらについても、柔軟に対応できるよう、就業規則を整備しておくことが求められます。

 

解決社労士

2020/02/12|658文字

 

<第三者の行為による傷病届>

保険というのは、保険料を負担した人やその関係者に給付が行われる仕組みです。

健康保険では会社と従業員が保険料を折半して、従業員や扶養家族が治療を受けると健康保険から給付が行われて、治療費の3割を負担するだけで済みます。

ところが無関係な第三者からケガをさせられて、治療費に保険が使われると、ケガをさせた第三者は、治療費の負担が減ったり負担が無くなったりして、不当に利益を得てしまいます。

こうした不都合が起こらないように、保険者である協会けんぽなどが、加害者に費用の負担を求めることになっています。

 

<病院に提出する書類>

協会けんぽなどの保険者に次の書類を速やかに提出しましょう。

傷病手当金の請求をしなくても、治療を受ける場合には必要です。

・第三者(他人)等の行為による傷病(事故)届

・損害賠償金納付確約書 → 加害者が書きます。治療費支払いの約束です。

・念書 → 被害者の損害賠償請求権を健康保険の保険者に譲り渡す約束です。

・負傷原因報告書 → いつ、どこで、どうしてケガをしたのかの報告書です。

 

<保険給付の制限>

ケンカや、酒を飲みすぎてケガした場合には、全く健康保険が使えない場合と一部だけ使える場合があります。〔健康保険法第117条〕

 

勤務中のケンカによるケガなど、労災保険の手続きについても同様の書類が必要になります。

急がないと関係者の記憶が薄れたり、情報が集まらなくなったりします。

第三者がからむ保険の手続きは複雑ですから、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談することをお勧めします。

 

解決社労士

2020/02/11|811文字

 

<通常の場合>

年次有給休暇を取得する場合には、労働者が前もって取得する日を指定するのが通常です(時季指定権)。

指定された日の年次有給休暇取得が、事業の正常な運営を妨げる場合には、会社からその日の取得を拒むことができます(時季変更権)。

労働者から、いきなり「今日休みます」と言われたのでは、この時季変更権を使う余地がありません。

ですから、前もっての指定が必要なのです。

 

<遡ってでも年次有給休暇を取得させたい場合>

会社のために長い間貢献してくれた人が退職していくにあたって、それが円満退社であれば気持よく送り出したいし送別会も盛大にやりたいです。

今まで、ろくに休暇が取れていないのならば、せめて最後に残った年次有給休暇をすべて取得させてあげたいと思います。

しかし、退職までの間にきちんと引継ぎを終わらせて欲しいし、すべて取得させるのはむずかしい。

そこで思いつくのは、遡っての取得です。

 

<遡っての年次有給休暇取得に問題は無いか>

過去に欠勤日があって、その日に年次有給休暇を充てる場合、会社が時季変更権を放棄するのであれば、基本的には遡っての取得に問題は無さそうです。

ただし、前年度に遡ると、労働保険料の計算や税金の計算などがやり直しになりますので注意が必要です。

社会保険料の計算も、場合によっては、やり直しが必要になるかもしれません。

それでも、元々の休日に年次有給休暇を取得させることはできませんから、遡ることには限界があります。

やはり、お勧めしたいのは、年次有給休暇の買い取りです。

通常は、買い取りが許されないのですが、退職にあたって買い取ることは、休暇取得の妨げにならないので許されています。

いずれにせよ、退職者と会社とで話し合って決めることが必要です。

 

ちょっとした裏技と思っていたことが、実は勘違いであって、労働法違反になることがあります。

本当に大丈夫か迷ったら、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2020/02/10|1,108文字

 

令和2年2月6日、厚生労働省と経済産業省(中小企業庁)の合同による働き方改革対応合同チームが創設され、第1回目の会合が行われました。

 

<令和2年度からの取組み>

令和2年度からの取組みが、次のように示されています。

 

●労働基準監督署による中小企業への相談支援

●働き方改革推進支援センターによる支援の拡充

 ・同一労働同一賃金への取組支援として、新たに専門家自ら直接企業を訪問し、課題に対応するプッシュ型支援を実施

 ・同一労働同一賃金等に関する専門家向けの集合研修を実施

 ・各働き方改革推進支援センターが行ってきた、企業支援の取組を基に取組事例集を作成し、横展開を図る

●よろず支援拠点による支援の拡充

●働き方改革推進支援助成金(仮称)の拡充

 ・「時間外労働等改善助成金」を「働き方改革推進支援助成金(仮称)」に改称し、「労働時間短縮・年休促進支援コース」を新設

 ・「勤務間インターバル導入コース」と「労働時間短縮・年休促進支援コース」において、賃金加算要件を創設

●キャリアアップ助成金の拡充

 ・賃金規定の増額改定を行う事業主向けのコースについて、一定幅の増額改定を行った場合の加算措置を拡充

●生産性革命推進事業

 ・複数年にわたって中小企業の生産性向上を継続的に支援し、設備投資、IT導入、販路開拓等の支援を一体的かつ機動的に実施

●各種政府広報による同一労働同一賃金の周知

 

<働き方改革派遣専門家>

中小企業・小規模事業者等が、働き方改革の意義を十分に理解し、前向きに取組むことが重要であるため、47都道府県に「働き方改革推進支援センター」が設置され、①長時間労働の是正、②同一労働同一賃金の実現、③生産性向上による賃金引上げ、④人手不足の緩和などの労務管理に関する課題に対応しています。

就業規則や賃金制度等の見直し方などについて、技術的な相談支援を行っています。

●窓口相談や企業の取組事例や労働関係助成金の活用方法等に関するセミナーの実施

●労務管理などの専門家が事業所への個別訪問などにより、36協定届・就業規則作成ツールや業種別同一労働同一賃金マニュアル等を活用したコンサルティングの実施

●各地域の商工会議所・商工会・中央会・市区町村等への専門家派遣による相談窓口への派遣

 

この中の、「労務管理などの専門家」は、「働き方改革派遣専門家」といいます。

現在は、各企業が「働き方改革推進支援センター」に希望を出すと、働き方改革派遣専門家が指名されて、個別の訪問相談を行う形がとられています。

これは、アウトリーチ型支援と呼ばれるものです。

来年度からは、新たに専門家自ら直接企業を訪問し、課題に対応するプッシュ型支援を実施することになる予定です。

解決社労士

2020/02/09|1,346文字

 

<休職とは>

休職とは、長く働く予定であった従業員が、個人的な事情により長期間勤務できない状況となり、本来ならば退職しなければならないところ、会社が必要を認めて退職させずに雇用を継続する制度です。

そして、長期間勤務できない理由ごとに一定の休職期間が設定され、復帰できる状態になれば職務に復帰し、期限までに復帰できなければ退職となります。

これが一般的な形です。

しかし、育児休業や介護休業などを除き法定の制度ではありませんから、この制度を設けるかどうか、どのような制度にするかは基本的に会社の自由です。

 

<私的な病気やケガによる休職の例>

たとえば、次のような規定が考えられます。

 

第XX条(休職)

労働者が、次のいずれかに該当するときは、所定の期間休職とする。

(1)業務外の傷病による欠勤が1か月を超え、なお療養を継続する必要があるため勤務できないときは、2年以内

(2)前号のほか特別な事情があり、休職させることが適当と認められるときは、必要な期間

2 休職期間中に休職事由が消滅したときは、原則として元の職務に復帰させる。ただし、元の職務に復帰させることが困難又は不適当な場合には、他の職務に就かせることがある。

3 第1項第1号により休職し、休職期間が満了してもなお傷病が治癒せず就業が困難な場合は、休職期間の満了をもって退職とする。

 

第1項第1号で、「業務外の傷病」と言っているのは、業務災害の場合には解雇が制限されているからです。〔労働基準法第19条第1項〕

 

<お勧めしたい表現の変更例>

主語を明確にして、トラブルを未然に防止するには、下線部を次のように変更することが考えられます。

 

第XX条(休職)

労働者が次のいずれかに該当するときは、会社が必要に応じて、所定の期間休職を命ずることがある。

(1)  業務外の傷病による欠勤が1か月を超え、なお療養を継続する必要があるため勤務できないときは、2年以内

(2)  前号のほか特別な事情があり、会社が休職させることが適当と認めたときは、必要な期間

2 休職期間中に休職事由が消滅したときは、原則として元の職務に復帰させる。ただし、元の職務に復帰させることが困難又は不適当と会社が判断した場合には、他の職務に就かせることがある。

3 第1項第1号により休職し、休職期間が満了してもなお傷病が治癒せず就業が困難な場合は、休職期間の満了をもって退職とする。

 

このように表現を変更することによって、次のことが明確になります。

・会社は従業員に休職の権利を与えたわけではない。

・休職を判断するのは従業員ではなく会社である。

・会社は休職を命じても良いし、命じなくても良い。

・元の職務と違う職務に復帰させる必要性についても会社に判断権がある。

これによって休職は、会社にとって必要な人材を確保するための仕組みであることが明確になります。

こうしておけば、従業員から「3か月の世界一周旅行に行ってくる。これは第1項第2号の特別な事情にあたるから必要な期間休職させなさい」などと言われることも無いと思います。

 

就業規則は、言葉が足らなくても余計な言葉が付いていても、それがトラブルの元となります。

ぜひ一度、信頼できる社労士(社会保険労務士)のチェックを受けるよう強くお勧めします。

 

解決社労士

2020/02/08|633文字

 

<介護保険制度>

介護保険制度は、介護が必要な高齢者を社会全体で支える仕組みです。

その費用は、公費(税金)や高齢者の介護保険料のほか、40歳から64歳までの健康保険の加入者(介護保険第2号被保険者)の介護保険料(労使折半)などによりまかなわれています。

 

<64歳までの介護保険料>

40歳から64歳までの健康保険の加入者は、健康保険料と一緒に介護保険料を納めます。

介護保険料は「満40歳に達したとき」より徴収が始まります。

ここで、「満40歳に達したとき」とは、40歳の誕生日の前日のことです。

そして、その日が属する月から介護保険の第2号被保険者となり、介護保険料が徴収されます。

法律上は、誕生日の前日に1歳年をとるので、このように定められています。

特に1日生まれの人は、前月の末日に40歳になるので注意しましょう。

 

<65歳からの介護保険料>

健康保険に加入していても、介護保険料は「満65歳に達したとき」より、健康保険料と一緒には徴収されなくなります。

「満65歳に達したとき」とは、65歳の誕生日の前日のことであり、その日が属する月から介護保険の第2号被保険者ではなくなり、介護保険料が徴収されなくなります。

ただし、65歳以降は介護保険の第1号被保険者となり、お住まいの市区町村より介護保険料が徴収されることとなります。

また、年金受給者の場合には、年金から介護保険料が差し引かれる形で徴収されることがあります。

こうして介護保険料は、亡くなるまで徴収が続くことになります。

 

解決社労士

2020/02/07|635文字

 

「待期期間」と「給付制限期間」とが混同されやすいようです。

 

<待期期間>

ハローワーク(公共職業安定所)に離職票の提出と求職の申込みを行った日(受給資格決定日)から通算して7日間を「待期期間」といい、その期間が満了するまでは失業手当(雇用保険の基本手当)は支給されません。

これは、離職の理由にかかわらず、一律に適用されます。

 

<給付制限>

さらに待期期間の満了後、一定の期間、雇用保険の基本手当の支給が行われない場合もあり(給付制限)、主なものとして次の理由があります。

1.離職理由による「給付制限」

客観的に正当な理由なく自己都合により退職した場合、または、労働者自身に責任がある重大な理由によって解雇された場合は、待期期間終了後、さらに3か月間の「給付制限」があります。

2.紹介拒否などによる「給付制限」

失業手当を受給できる人(受給資格者)が、公共職業安定所からの職業の紹介や指示された公共職業訓練などを客観的に正当な理由なく拒んだ場合、その拒んだ日から起算して1か月間は雇用保険の基本手当が支給されません。

また、再就職を促進するために必要な職業指導を客観的に正当な理由なく拒んだ場合にも、同様の「給付制限」があります。

 

<実際の入金>

なお、実際に雇用保険の基本手当として初めて現金が振り込まれるのは、給付制限の無い場合でも、ハローワーク(公共職業安定所)で求職の申込みをしてから約1か月後(初回認定日の約1週間後)になります。

これを前提とした生活費のやりくりが必要です。

 

解決社労士

2020/02/06|1,029文字

 

<委任契約>

取締役は、会社との間で委任契約を結んでおり、会社経営や業務執行の意思決定を担当します。

 

【会社法第330条:株式会社と役員等との関係】

株式会社と役員及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う。

 

【民法第643条:委任】

委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる。

 

一般の従業員は、会社との間で労働契約(雇用契約)を結んでいますから、労働者として労働基準法などによる保護を受けています。

しかし、取締役は労働者ではありませんから、労働基準法など労働者を保護する法令の適用がないのです。

また、会社の「就業規則」も適用されず、「役員規程」に基づいて経営に携わることになりますが、この「役員規程」は「就業規則」と異なり、所轄の労働基準監督署長への届出も不要です。

 

<就業時間>

取締役は、従業員のように始業・終業の時刻が決められることなく、建前としては、365日24時間態勢で経営に携わる立場です。

会社に何かあれば、日時に関係なく対応を求められることになります。

したがって、早出や残業という概念もありません。

 

<休日・休暇>

取締役の場合、休日についても、「就業規則」が適用されません。

委任契約ですから、いつ働くか、いつ休むかは、取締役自身の判断で行うことになります。

年次有給休暇などの休暇もありません。

慶弔休暇について、「役員規程」に規定が置かれることもありますが、本来は必要の無いことです。

 

<兼務役員>

取締役が、部長や工場長などを兼務することがあります。

この場合、部長や工場長は、労働者の立場で行うことになりますから、労働基準法も「就業規則」も適用されることになります。

ただし、労働者としての立場であっても、ほとんどの場合には、管理監督者の立場ですから、厳密な労働時間管理は行われず、残業代も支給されないことが多いでしょう。

 

<名ばかり役員>

労働基準法などの適用を避けるため、従業員を取締役として登記し、実際には一般の従業員に近い役割と権限しか与えないという、不当な扱いが行われることがあります。

しかし、労働基準法などの労働法の適用では、形式ではなく実質が基準とされます。

たとえ、株主総会で取締役に選任され登記されても、その実質が従業員であれば、労働基準法などが適用されます。

年次有給休暇も付与されますし、労働時間の管理が行われていれば、残業手当も支給されなければならないのです。

 

解決社労士

2020/02/05|352文字

 

<賞与と特別支給金>

労災保険には、給付の本体とは別に特別支給金があります。

賞与(3か月を超える期間ごとに支払われる賃金)は、本体給付には反映されませんが、特別支給金の一部に反映されます。

賞与が反映されるのは、特別支給金のうち障害特別年金・障害特別一時金・遺族特別年金・遺族特別一時金・傷病特別年金です。

ただし、特別加入者には支給されません。

 

<賞与として扱われる範囲>

3か月を超える期間ごとに支払われる賃金が反映されます。

ボーナスのほか、半年ごとに支払われる勤勉手当や販売奨励金などがあてはまります。

ただし、通勤手当が3か月を超える期間ごとに一括で支給されても、特別支給金ではなく本体給付に反映されます。

なお、結婚手当、出産手当など臨時に支払われた賃金は、本体給付、特別支給金のどちらにも反映されません。

 

解決社労士

2020/02/04|1,165文字

 

<過労自殺と労災保険の適用>

自殺は故意に自分の命を絶つ行為ですから、一般には労働と死の結果との間に相当因果関係が無く、原則として業務起因性が認められないので、労災保険が適用されません。

つまり、労働によって死亡したとはいえないとされるのです。

ここで相当因果関係というのは、労働と災害との間に「その労働が無ければその災害は発生しなかった」というだけでなく、客観的科学的に見て「災害の有力な原因が労働だと考えるのが自然である」「その労働からその災害が発生するのは、偶然でもなく、異常なことでもない」という関係があることをいいます。

しかし、過重な労働によりうつ病になり、うつ病によって自殺したといえる場合には、労災保険が適用されます。

この場合には、労働とうつ病との間に相当因果関係があり、うつ病と自殺との間にも相当因果関係が認められれば、労働と自殺との間にも相当因果関係が認められて、労災保険の給付対象となるということです。

 

<安全配慮義務と債務不履行責任>

労災保険とは別に、会社に安全配慮義務違反などが認められれば、従業員の遺族から会社に対し債務不履行を理由とする損害賠償請求がなされることもありえます。

安全配慮義務というのは、労働契約を交わせば当然に会社が負う義務です。

これに違反するのは、会社の債務不履行になるのです。〔民法第415条〕

労働契約は、会社の「賃金を支払いますから働いてください」という意思表示と、労働者の「働きますから賃金を支払ってください」という意思表示が合致して成立します。〔労働契約法第2条参照〕

契約書や労働条件通知書など無くても、労働契約は口頭でも成立します。

そして労働者は、きちんと働けるようコンディションを整えて定時までに出勤しなければなりません。

たとえ出勤しても、すぐにトイレに入って眠っていたのでは、労務を提供していることにはならず、労働契約について債務不履行となります。

一方、会社は労働者がきちんと働ける環境を整えなければなりません。

危険な労働環境で働かせようとするのは、労働契約について債務不履行となります。

ここで「危険な労働環境」というのは、身の危険だけではありません。

「何やってんだコノ!」「ちゃんとしろグズ!」などと、部下の指導のフリをしてストレス発散をしている部門長のもとで働くのは、精神に差し迫った危険があります。

そして長時間労働の常態化は、身体と精神の両方にとって危険です。

結局、会社は労働者が精神を病んでしまう環境で働いているのを放置しておいて、実際にうつ病などにかかれば、債務不履行責任を負うことがあるのです。

そしてそのうつ病が原因で自殺すれば、自殺についても責任を問われるということです。

 

パワハラや長時間労働の問題については、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2020/02/03|1,200文字

 

<障害者特例給付金>

特に短い時間であれば働くことができる障害者である労働者を雇用する事業主に対する支援として、新たに「特例給付金」が支給されることになりました。

令和2年度の雇用実績を踏まえ、申請は令和3年度からとなります。

令和2年度中に事業を廃止等した場合は、事業を廃止した日から45日以内に申請する必要があります。  

 

 

<支給対象障害者>

次のすべての条件を満たす障害者が、支給対象障害者となります。

・障害者手帳等を保持する障害者

・1年を超えて雇用される障害者(見込みを含む)

・週所定労働時間が10時間以上20時間未満の障害者  

 

「障害者手帳等を保持する障害者」とは、次の手帳等を保持する障害者です。

身体障害者  

・身体障害者手帳  

・都道府県知事が指定する医師または産業医による診断書・意見書

知的障害者  

・療育手帳(都道府県により名称が異なります)  

・児童相談所、知的障害者更生相談所、精神保健福祉センター、精神保健指定医 もしくは障害者職業センターによる判定書

精神障害者  

・精神障害者保健福祉手帳  

 

なお、週所定労働時間が10時間以上20時間未満であっても、実労働時間が10時間未満であった障害者は支給対象障害者に含みません。

週所定労働時間が20時間以上であった場合でも、実労働時間が10時間以上20時間未満であった障害者は支給対象障害者に含みます。

ただし、その障害者は、障害者雇用納付金の申告申請で雇用障害者としてはカウントできません。  

 

 

<支給額など>

支給額は、次の計算式によって算出されます。  

 

申請対象期間に雇用した支給対象障害者の人月数 × 支給単価  

 

重度障害者であってもダブルカウントせず、実人数でカウントします。

支給単価(支給対象障害者1人あたり月額)は、週所定労働時間20時間以上の労働者(カウント後)の総数に応じ、100人超えの事業主が7,000円、100人以下の事業主が5,000円です。

申請期間に雇用した週労働時間20時間以上の障害者の人月数が上限となります。

「100人超事業主において納付金の未納付がある事業主」「申請書に記載のあった障害者に対する適切な雇用管理の措置を欠いたことによる労働関係法令の違反により送検処分をされた事業主」には特例給付金が支給されません。  

 

 

<申請と支給>

申請対象期間は、毎年度1年間(4月から翌3月)です。

申請書の申請期間は、週所定労働時間20時間以上の労働者(カウント後)の総数が、  

 100人超えの事業主 翌4月1日~5月15日

 100人以下の事業主 翌4月1日~7月31日

申請期限を過ぎた申請に対しては支給されません。

支給時期は、10月~12月です。

申請書の提出は、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構ホームページより電子申請または同機構都道府県支部へ郵送または持参になります。

ただし、令和2年度の中途に事業を廃止等した場合、電子申請は利用できません。

 

解決社労士

2020/02/02|1,038文字

 

<就業規則の有効性>

就業規則は所轄の労働基準監督署長に届出をしても、労働者に周知しなければ効力がありません。

この「周知」というのは、すべての労働者が見ようと思えば見られるようにしておくことをいいます。

つまり、本当に中身を読んだか、理解したかまでは問われません。

もっとも、日本語がよくわからない外国人には、その母国語で書かれた就業規則を周知したり、内容を解説した文書を公開したり、別の工夫が必要となります。

さらに、労働紛争の発生を想定すると、できれば労働条件通知書の会社控などに就業規則を確認した旨、一筆取っておきたいところです。

少なくとも、新人の入社時には、他の項目と合わせて、就業規則のある場所をメールで通知しておくなど、証拠の保管を意識すべきです。 

 

<就業規則が使われるケース>

実際に就業規則の規定が活用されるのは、「就業規則にこう書いてあるのに守らなかった」「就業規則によればこういう結論になる」といったケースです。

これらの場合には、「読めば誰でも具体的な内容を理解できる」というのが前提になっています。

ところが実際には、表現が古くさくて理解できなかったり、そもそも読めなかったりということがあります。

就業規則を作った人にはわかる内容でも、会社に高校生のアルバイトがいて、その人にはわからないというのでは困ります。

就業規則違反を問いただしても、「へぇーそれはそういう意味だったんですかぁ」と言われたら、反省を求めることもできません。

 

<実例として>

就業規則のひな形の中で、たとえば次のような用語は、書き換えたほうがわかりやすいと思います。

就業に関する → 仕事に関する

若しくは → もしくは

漏洩しない → もらさない

多胎妊娠 → 双子・三つ子などを妊娠

既往の → それまでの

顕著な → 特にすばらしい

それぞれ、法令の用語がそのまま就業規則のひな形に使われ、それが会社の就業規則に入ってしまったものと思われます。

上にあげた例もそうですが、ことばは使われる場所によっても意味が違ってきます。

前後の文脈も考えたうえで、ことばを選ぶ必要があります。

 

<わかりやすい就業規則にするには>

社員数名で就業規則の読み合わせをしてはいかがでしょうか。

「ここの意味がわからない」と気軽に申し出られるメンバーであることが必要です。

そして、よりわかりやすい就業規則の修正案を作成していくのです。

もし、こうしたことが社内でできないのであれば、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2020/02/01|1,137文字

 

<会社の不安>

健康診断の結果、非常に健康状態の悪い人が見つかった。あるいは、本人が同僚に重病であることを明かしている。

こんなとき勤務を続けさせていて、万一のことがあったら、会社は何らかの責任を負わされるリスクがあります。

しかし、安易に雇用契約を解除すれば、不当解雇として責任を追及されるかもしれません。

会社としては、放置できない悩ましい問題です。

 

<健康診断で異常が見つかった場合>

会社は健康診断の結果で、異常の所見があると診断された労働者について、健康を保持するために必要な措置について、医師などの意見を聴かなければなりません。〔労働安全衛生法第66条の4

そして意見を聴いた結果、必要があると認めるときは、その労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少などの措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設・設備の設置・整備、その他の適切な措置を講じなければなりません。〔労働安全衛生法第66条の5

これは、健康診断で異常が見つかった場合の規定ですが、労働者に健康不良がある場合に会社がとるべき対応として参考になる内容です。

 

<具体的な対応方法>

まず、健康状態について事実を確認するため、経営者や人事部門の担当者が対象者と面談します。

このとき、健康診断の結果などを持参してもらうのが一般的ですが、健康診断の項目に無い病状であれば、これに代わる資料が必要です。

つぎに、ご本人の了解を得たうえで、医師などに相談します。

相談結果については、ご本人にも伝えます。

会社の担当者とご本人とで、医師の意見を聴きに行くのも良いでしょう。

そして、会社としての対応策を検討し、その案をご本人に伝え、具体的な対応策を決めるようにします。

ここまでの流れの中で、ご本人から退職の意向が示されることも多いでしょう。

会社から退職勧奨となるような働きかけが無ければ、ご本人の自由な意思による退職の申し出ですから、雇用契約は労働者からの解除となります。

 

<結論として>

健康状態が悪いからと言って、雇用契約解除通知など出したら不当解雇になります。

ご本人にも生活がありますし、治療費を負担するためにも働き続けたいのが本心でしょう。

何よりも、ご本人と今後の勤務について良く話し合うことが大切です。

勤務の継続に無理が感じられるようでしたら、医師などと相談のうえ、再度、ご本人と話し合うことになります。

これと併行して、労働安全衛生法などの規定を参考に、会社として取るべき措置を実施することも大切です。

ここまでやって初めて、会社は責任を果たしたことになります。

具体的な事例に即して、何をどうすれば良いのか、迷うところがあれば、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2020/01/31|1,051文字

 

<有期労働契約>

有期労働契約は、契約期間に限りのある労働契約をいいます。

正社員の場合には、労働契約の期間を区切らず定年年齢まで契約が続くのに対して、正社員以外の場合には期間を区切って契約するのが一般的です。

 

<休職制度>

長く働き続ける予定の労働者が、個人的な事情で働けなくなったとします。

働けない事情について、育児や介護など法令に定めがある場合には、育児休業や介護休業など、基本的には、その法令の定めに従い運用することになります。

しかし、法令に定めが無い休職について、これを認めるか認めないかは、会社の就業規則などの定めに従うことになります。

具体例としては、次のような流れになります。

 

ある人が休日のドライブで事故に遭い長期間働けない

→ 本来なら退職するしかない

→ 会社にとって貴重な人材なので何とかしたい

→ 会社から対象者に休職命令を発する

→ 定めた期間中に復帰できなければ退職

 

多くの場合、法令に定めの無い休職では、会社が命ずるのであって、労働者から権利を主張できるものではありません。

 

<結論として>

同じ有期労働契約であっても、契約期間以外の労働条件は、会社により、労働者によりバラバラです。

休職制度も、法定のものを除き、会社により、労働者によりバラバラです。

ですから、有期労働契約の従業員に休職制度が必要かどうかは、会社の実情と労働契約の内容から具体的に判断しなければなりません。

また、休職制度にこだわらないのであれば、労働契約の内容を変更することや、一度退職して、その後条件が調ったとき優先的に採用するという制度も考えられます。

 

<別の観点から>

労働契約法には、次の規定があります。

 

【解雇】

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

【契約期間中の解雇等】

第十七条 使用者は、期間の定めのある労働契約(以下この章において「有期労働契約」という。)について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。〔以下略〕

 

こうした規定の趣旨からすると、有期労働契約の従業員を契約期間中に解雇するのは簡単ではありません。

経営者の「常識」に従った解雇が、法令違反となり無効とされる場合も多いのです。

会社の実情と目的をふまえ、どのように対応すべきか、どのような制度を導入したら最適かについて、迷ったら信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2020/01/30|805文字

 

<周知義務について説明されていること>

「労働基準法および同法による命令等の要旨、就業規則、各種労使協定等を労働者に周知しなければなりません。 周知の方法には、常時各作業場の見やすい場所に掲示/備え付ける、書面で交付する、磁気テープ/磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録し各作業場に労働者がその記録の内容を常時確認できる機器を設置するというのがあります。」

これは、労働基準法第106条の説明として良く目にするものです。

 

<本当に知りたいのは>

しかし、周知する立場の経営者や人事担当者は、「法令の要旨」をどのようにまとめたら良いのかということを知りたいのです。

就業規則や労働基準法に基づく労使協定ならば、それをそのまま周知すれば良いので、何も迷うことはありません。

しかし、「法令の要旨」となると、まさか『労働法全書』や『六法全書』を休憩室に置いて、従業員の皆さんに見ていただくというわけにはいきません。

しかも、労働基準法第106条は、法令そのものではなく「法令の要旨」と言っていますから、悩んでしまいます。

 

<お勧めなのは>

厚生労働省のホームページには、パンフレット、リーフレット、ポスターが豊富に収録されています。

パンフレットは数ページにまとめられたもので、リーフレットは基本的には1枚でまとめられたものです。

たとえばネットで「厚生労働省 パンフレット マタハラ」で検索すると、「妊娠したから解雇は違法です」というページが検索され、そこに「パンフレット:働きながらお母さんになるあなたへ」という項目が見つかります。

厚生労働省とパンフレットの間に空白(スペース)を入れ、パンフレットとマタハラの間にも空白(スペース)を入れて検索すると、3つの言葉を含んだページが表示されますので、この検索方法を活用しましょう。

それでもなお、上手い説明が見つからない場合には、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

<社会保険の加入基準の客観性>

健康保険と厚生年金の加入基準(資格取得基準)は、客観的に決まっています。

そして、手続をする/しないとは関係なく、基準を満たせば加入したことになります。

例えるなら、役所に出生届を提出する/しないに関係なく、赤ちゃんが生まれたという事実に変わりは無いのと同じです。

出生届を提出しないからといって、その赤ちゃんが消滅するわけではなく、人権が無視されるわけでもありません。

社会保険の加入手続(資格取得手続)をしなくても、それは手続が遅れているだけで、後から手続すれば、さかのぼって効力が認められ、保険料が徴収されるということです。

 

<保険料の負担>

健康保険も厚生年金も、第一に利益を受けるのは加入者(被保険者)です。

しかし、保険料は事業主と加入者とで折半します。

そこで、従業員が基準を満たしているのに、つまり社会保険に加入しているのに、手続をしないという不正が発生します。

もし、加入基準を満たしているのに、会社が手続をしてくれなかったら、年金事務所などに相談しましょう。

 

<従業員からの拒否>

従業員が基準を満たしていれば、会社は加入手続をする義務があります。

たとえ従業員が拒んでも同じです。

「本人の希望」は関係ないのです。

会社としては、そのような従業員に対して、社会保険加入のメリットを説明して、気持よく手続に応じるよう努めるでしょう。

もし、従業員が正しく理解していれば、社会保険への加入手続を拒むことは無いでしょう。

 

<社会保険に加入したくない場合>

所定労働時間や所得を抑えて、社会保険の加入基準以下で勤務できるよう、会社と相談してはいかがでしょうか。

また平成28(2016)10月から、それまでの社会保険加入者数が500人を超えるような大きな会社では、加入基準が引き下げられています。

そのため、大きな会社で勤務していて、基準変更によって新たに社会保険に入ることとなったのであれば、小さな会社に転職して加入しないようにすることも考えられます。

 

解決社労士

2020/01/28|1,473文字

 

<人事考課権の濫用>

人事考課権者が、不当に低い評価をすることがあります。

好き嫌いによって恣意的に、あるいは懲らしめるために意図的に、低い評価をするような場合が考えられます。

必要な業務に伴って、不必要な人権侵害を行うのがパワハラです。

人事考課そのものは必要なことですが、不当に低い評価を行うことによって、対象者の給与・賞与や昇進・昇格に不利益が及べば、それは財産権や名誉権などの侵害となりますから、パワハラとなることは明白です。

これが一次考課者によって行われた場合には、二次考課者や最終考課者などが修正することも多いでしょう。

しかし、最終考課者が行ったような場合には、過去の慣行に反して明らかに不当であるとか、根拠が示されていないなどを指摘できない限り、社員からパワハラを主張することは困難です。

この場合には、経営者によって不当な評価が行われる会社として、世間の批判にさらされ、会社そのものが淘汰されていく結果を招きかねません。

 

<過大な目標設定>

目標管理制度を利用している会社や、社員に何らかの目標を設定させている会社では、そもそも設定された目標が、社員の置かれている立場や役割に比べて過大であることもあります。

目標達成率に応じて評価が決定され、賞与の支給額に連動しているような場合であれば、特定の社員だけ不当に過大な目標を設定させ、達成率の低いことを理由に退職に追い込もうとする意図が見えることもあります。

また、人件費の削減を狙い、一様に過大な目標を設定させるということもあります。

目標の設定そのものは必要な業務ですが、不当に財産権や人格権を侵害するような場合には、やはりパワハラと言わざるを得ません。

こうした場合には、目標の達成率が評価される段階になると、その不当性を判断することが困難になりますから、社員としては目標設定の段階で異議を申し出るべきです。

反対に、目標の達成率が評価される段階で、社員から目標の不当性が主張された場合には、会社から社員に対して、その根拠の提出を求めるべきでしょう。

 

<評価結果のフィードバックでのパワハラ>

人事考課の結果は、社員一人ひとりにフィードバックし、十分に説明することによって、評価結果を理解させ、次に向けてどのように努力すべきかの指針を与えなければなりません。

このとき起こりがちなのは、評価の低い社員に対して、あるいは評価の低い項目について、上司から必要以上の精神的ダメージが加えられることです。

評価結果のフィードバック面談は必要な業務ですが、不当な屈辱を与えるのは人格権の侵害であり、パワハラとなってしまいます。

上司は、必要のない言葉を添えないように、十分注意して面談に臨む必要があります。

もっとも、低い評価にショックを受けて、社員が泣き出してしまうようなケースでも、必ずしもパワハラが行われたとは限りませんので、会社としては慎重な見極めが必要です。

 

<トラブル回避のために>

社員が納得できるところまではいかなくても、少なくとも理解できる説明をすることでトラブルは回避できます。

これには、評価や目標の根拠事実を数多く示すことが必要ですから、評価をする側がこれをなるべく多く集めておく努力が求められます。

また、客観的な評価基準が無く、上司の裁量で評価している場合や、評価基準はあっても具体的な内容が曖昧な場合には、人事考課制度の改善が必要となります。

さらに、人事考課権者の能力不足や理解不足でパワハラの問題が生じないようにするには、人事考課の実施時期の前に必ず考課者研修を行うことが望ましいといえます。

 

解決社労士

2020/01/27|613文字

 

<採用内定の性格>

採用内定の法的性格は、それぞれの具体的事情により異なります。

しかし一般には、採用内定通知のほかに労働契約締結のための意思表示をすることが予定されていないことを前提として、採用内定により始期付解約権留保付労働契約が成立したものとされます。

始期付解約権留保付労働契約というのは、すぐに働き始めるのではなくて、いつから働き始めるかが決められていて、しかも、場合によっては契約を無かったことにできる権利が残されたまま成立している労働契約のことをいいます。

 

<採用内定取消が許される場合>

採用内定取消は解雇にあたります。

ですから、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない場合には、権利を濫用したものとして無効となります。〔労働契約法第16条〕

採用内定取消が有効とされるのは、原則的には、次の2つの条件を満たす場合に限られると考えられています。

・採用内定の取消事由が、採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であること。具体的には、健康状態の大幅な悪化、採否の判断に大きく影響する重要な経歴詐称などが考えられます。

・この事実を理由として採用内定を取消すことが、解約権留保の趣旨と目的に照らして、客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認することができる場合であること。つまり、世間一般の常識から客観的に判断して、やむを得ない事情があるといえる場合であることが必要です。

 

解決社労士

2020/01/26|750文字

 

外国人を雇う場合に守らなければならないルールがあります。これは、外国人が在留資格の範囲内で、その能力を十分に発揮しながら、適正に就労できるようにするためのものです。

 

<ハローワークへの届出>

外国人の雇入れと離職の際には、その氏名、在留資格などをハローワークに届け出ます。〔雇用対策法第28条〕

ハローワークでは、届出に基づき、雇用環境の改善に向けて、事業主への助言や指導、離職した外国人への再就職支援を行います。

届出にあたっては、事業主が雇い入れる外国人の在留資格などを確認する必要があります。

外国人労働者の在留カードまたは旅券(パスポート)などの提示を求め、届け出る事項を確認してください。

これは、不法就労の防止につながります。

 

<届出の対象となる外国人の範囲>

届出の対象となるのは、日本の国籍を持たない人で、在留資格が「外交」「公用」以外の人です。

「特別永住者」(在日韓国・朝鮮人など)は、出入国管理及び難民認定法に定める在留資格の他、特別の法的地位が与えられているため、就職など在留活動に制限がありません。

このため、特別永住者は、外国人雇用状況の届出制度の対象外とされていますので、確認・届出の必要はありません。

 

<在留カードの番号の有効性を確認>

入国管理局ホームページで在留カードの番号の有効性を確認することができます。

「在留カード等番号失効情報照会」ページに在留カードの番号と有効期間を入力して確認します。

在留カードを偽変造したものなどが悪用されるケースも発生していますので、ご確認をお勧めします。

万一、偽変造が疑われる在留カードを発見した場合には、最寄りの地方入国管理局にお問い合わせください。

 

↓在留カード等番号失効情報照会ページ

https://lapse-immi.moj.go.jp/

 

解決社労士

2020/01/25|1,393文字

 

<営業ノルマの意味>

営業ノルマは、企業が部門ごと、あるいは個人ごとに設定する、売上や成約件数などの目標です。

目標を設定することで、モチベーションを維持することができ、管理もしやすくなります。

営業ノルマが、単なる目標値として掲げられているだけであれば、基本的には法的な問題を生じません。

しかし、企業が営業ノルマ達成に熱心なあまり、違法行為が発生してしまうことがあります。

 

<営業ノルマとパワハラ>

経営者や部門長から、各社員に向けて過剰な叱咤激励が行われ、個人の人格権が侵害されれば、パワハラとなってしまいます。

ましてや、ノルマを達成できない社員を叱りつけることは、行き過ぎた態様で行われやすく、パワハラとなる危険性が高まります。

民事上の不法行為に止まらず、犯罪が成立することもありますから、十分に注意が必要です。

 

<営業ノルマとサービス残業>

ノルマを達成したいがために、長時間労働に走る社員も出てきます。

営業部門では、残業手当に代えて、定額の営業手当が支給されていることもあります。

しかし、この場合でも、原則的な計算方法で算出した残業手当の金額が、営業手当を上回った場合には、毎月その過剰分を支給しなければ労働基準法違反となってしまいます。

ノルマ達成に向け、労働時間の延長ではなく、効率アップを図るように指導することが必要です。

 

<自爆営業>

社員に対し、ノルマ未達成部分の自腹購入をさせることは、そもそも労働契約の内容にはなりえませんので、一種の押し売りであり、労働基準法第16条の禁止する賠償予定の実行でもあって、違法行為であると解されます。

これはまた、賃金全額払いの原則(労働基準法第24条)にも違反し、懲戒権の濫用(労働契約法第15条)にもなってしまいます。

 

<未達成を理由とする解雇>

たとえば「ノルマ未達成が3か月続いたら解雇」などの基準を設定し運用することは、解雇権の濫用(労働契約法第16条)になりますから無効です。

社員教育を十分に行い、無理のないノルマが設定されている中で、特定の社員だけが明らかな努力不足で達成できないような、特殊なケースでのみ、解雇が有効となりうるのです。

 

<未達成を理由とする懲戒処分>

仕事をさぼって、故意にノルマを達成しないような、本人の責任が重い特殊な場合には、懲戒処分が有効とされることもあるでしょう。

しかし一般には、懲戒権の濫用となり懲戒処分は無効とされます。

そもそも懲戒処分は、本人に反省を求め、態度を改めさせることに意義があります。

ノルマ未達成に対して懲戒処分を行ったからといって、ノルマを達成できるようになることが期待できない以上、懲戒処分の対象とすべきではないのです。

 

<未達成を理由とする給与減額>

ノルマを達成できない場合に、給与を減額するというのも、自爆営業と同様に、労働基準法違反や労働契約法違反になってしまいます。

しかし欠勤した場合に、欠勤控除を超えて給与を減額することが懲戒処分にあたる一方で、

皆勤した場合に皆勤手当が支給されるのは違法ではありません。

これと同様に、ノルマを達成した場合には報奨金が支払われ、未達成の場合には支払われないというのは必ずしも違法ではありません。

報奨金の金額が、基本的な賃金との比較で適正であり、報奨金が支払われない場合でも最低賃金法違反とならないのであれば、上手に運用することを考えたいものです。

 

解決社労士

2020/01/24|495文字

 

<交通事故にも健康保険が使えます>

国民健康保険、公務員共済、船員保険などを含め健康保険は、加入者(被保険者)と扶養家族(被扶養者)の病気、ケガ、出産、死亡に関して、必要な保険給付を行うことを目的とする制度です。

ケガや死亡の原因が交通事故でも、日常生活上のケガや病気の場合と同じく、健康保険で医師の診療を受けることができます。〔昭和431012日保険発第106号通達〕

 

<社会一般の誤解>

古くから世間一般では、交通事故診療には健康保険が使用できないとの誤解が生じていました。

そのため現在でも、医療機関から「健康保険は使用できない」という説明を受ける場合があります。

しかし、健康保険を使用しての診療(保険診療)、使用しない診療(自由診療)のどちらで治療を受けるかは患者が選択できます。

 

<当然の例外>

ただし、業務または公務上の事故や、通勤中の事故など、労災保険法や公務員災害補償法の適用がある事故については、健康保険は使えません。〔健康保険法第55条、国家公務員共済組合法第60条、地方公務員等共済組合法第62条〕

この場合には、雇い主に申し出て、それぞれの保険手続きを進めることになります。

 

解決社労士

2020/01/23|601文字

 

<離職理由の食い違いが発生する場合>

雇用保険では、離職理由により失業手当(求職者給付の基本手当)の給付日数に差がつきます。

離職者としては、会社側に原因のある理由のほうが有利です。

一方、会社としては会社の恥になるような理由は認めたくないですし、理由によっては助成金の申請ができなくなる可能性もあります。

こうして会社と離職者とで、主張が食い違ってしまう場合もあります。

特に離職者が、パワハラやセクハラなどを主張した場合には、起こりやすい現象です。

ここで離職というのは、退職の他、所定労働時間が週20時間未満となって雇用保険の資格を喪失し、離職票が交付される場合をいいます。

 

<離職理由の判定>

離職理由の判定にあたっては、まず会社が主張する離職理由を、公共職業安定所(ハローワーク)が離職証明書により把握します。

ついで、離職者が主張する離職理由を把握します。

さらに、それぞれの主張を確認できる客観的な資料を集めることにより、事実関係を確認します。

最終的に、離職者の住所を管轄する公共職業安定所において慎重に判定することになっています。

会社の主張のみで判定することはありません。

会社または離職者が意地を張って、それぞれの離職理由を主張しているために、離職票作成・交付の手続きが遅れることがあります。

しかし、これは無意味なことで、それぞれ真実と思う理由を記入すれば良いのです。

判定するのは公共職業安定所ですから。

 

解決社労士

2020/01/22|717文字

 

<改正の内容>

令和3(2021)年1月1日から、育児・介護休業法施行規則等の改正により、子の看護休暇・介護休暇が1時間単位で取得できることとなります。

 

【現行の制度】

・半日単位での取得は可能

 

・1日の所定労働時間が4時間以下の労働者は取得できない

 

【改正後】

・1時間単位での取得が可能

 

・全ての労働者が取得できる

 

労働者からの申し出に応じ、労働者の希望する時間数で取得できるようになります。

 

<中抜けについて>

「中抜け」とは、就業時間の途中から1時間単位の休暇を取得し、就業時間の途中に再び戻ることを指します。

法令で求められているのは、「中抜け」なしの1時間単位休暇です。

しかし、法を上回る制度として、「中抜け」ありの休暇取得を認めることは問題ありません。すでに「中抜け」ありの休暇を導入している企業が、「中抜け」なしの休暇に変更することは、労働者にとって不利益な労働条件の変更になりますから、不利益変更禁止の原則に反しないよう配慮が必要になります。

 

<労使協定による例外的取扱い>

子の看護休暇や介護休暇を1時間単位で取得することが困難な業務がある場合には、労使協定を締結することにより、1時間単位の休暇制度の対象からその業務に従事する労働者を除外することができます。

この場合、困難な業務の範囲は、労使で十分に話し合い共通認識が得られてから労使協定を交わしましょう。

 

<両立支援等助成金>

子の看護休暇や介護休暇は、有給とすることが義務付けられているわけではありません。

しかし、1時間単位で利用できる有給の子の看護休暇制度や介護休暇制度を導入し、休暇を取得した労働者が生じたなど要件を満たした事業主は、両立支援等助成金の支給対象とされます。

 

解決社労士

2020/01/21|693文字

 

<業務災害についての法令の規定>

労働者が業務上負傷しまたは疾病にかかった場合、その傷病による療養のため労働できずに賃金を受けない日(休業日)の第4日目から休業補償給付が支給されます。〔労災保険法第14条〕

労災保険法の対象とはならない休業日の第1日目から第3日目(待期期間)までは、事業主が平均賃金の60%以上を補償することになっています。〔労働基準法第76条〕

そして、労働者の業務災害による負傷などについては、労働基準法により、事業主に補償義務が課せられています。

しかし、労災保険より給付された場合に、事業主は補償義務を免除されることになっています。〔労働基準法第84条〕

事業主は、このために労災保険に入らされているわけです。

 

<結論として>

労働基準法第76条の休業補償についても、休業第4日目以降について労災給付が行われた場合は、事業主はその補償義務を免除されることになります。

一方、休業補償給付が行われない第1日目から第3日目までについては、事業主が労働基準法に基づいて、その補償を行うことになります。

つまり、被災者は労災保険からは休業の最初の3日間(待期期間)の補償を受けられないのですが、その3日間分は事業主から補償を受けることになります。

 

<通勤災害についての法令の規定>

なお、通勤災害に対する保険給付は、労災保険法で独自に定められた制度です。

通勤災害における休業日の第1日目から第3日目までについては、事業主に補償義務は課せられていないのです。

これは、業務上の災害については事業主の責任が重いのに対して、通勤途上の災害については事業主に責任を問うことが適当ではないからです。

 

解決社労士

2020/01/20|1,213文字

 

<ハラスメントとは>

パワハラやマタハラの「ハラ」は、ハラスメントの略です。

これは日本語で「嫌がらせ」と言います。

職場での職権などのパワーを背景とした嫌がらせがパワハラであり、働く女性が妊娠・出産・育児をきっかけに受ける嫌がらせがマタハラです。

どちらも、精神的・肉体的な嫌がらせによって、幸福追求権〔第13条〕、平等権〔第14条〕、思想・良心の自由〔第19条〕、言論の自由〔第21条〕、職業選択の自由〔第22条〕、勤労の権利〔第27条〕など、憲法の保障する基本的人権を侵害するものです。

これによって被害を受けた人は、行為者と会社に対して民法などを根拠に損害賠償などを求めることができ、社長以下取締役に対しては会社法を根拠に損害賠償を求めることができます。

 

<パワハラとマタハラの違い>

パワハラでは、対象者の職務遂行能力、仕事の進め方、態度、礼儀、性格などが引き金になります。

上司や先輩は、対象者の職場での様子に常識を超える不信感を抱くのです。

して、その対象者の「存在」が負担だと感じます。

マタハラでは、対象者の職務遂行能力や仕事の進め方は、原因になりにくいものです。

場合によっては、態度、礼儀、性格も原因とされますが、ほとんど「言いがかり」です。

上司や先輩、さらには後輩も、対象者の職場での様子ではなく、妊娠、出産、育児によって、対象者が長い間職場を離れることで、自分たちの仕事の負担が増えることに不安と不満を感じるのです。

つまり、その対象者の「不存在」が負担だと感じます。

 

<パワハラの効果的な対策>

パワハラ行為者は、負担ばかりを感じ、何の利益も感じられないのが不満です。

もし、部下や後輩の指導を、人事考課基準に取り入れたらどうでしょう。

自分がダメ社員だと思う相手を育成すると、成長した分だけ自分が評価され、正当な見返りがあるということになります。

今、人事考課制度が無い会社は、なるべく早く導入すべきですし、個人の経験・能力が評価の中心となっている会社では、部下・後輩の育成を評価の対象とすることをお勧めします。

誰をどこまで成長させるという具体的内容を、個人目標の一つにしたいものです。

状況によっては部下・後輩に、上司・先輩の育成を個人目標として設定するケースも考えられます。

 

<マタハラの効果的な対策>

マタハラ行為者は、仕事の負担増が不安であり不満です。

女性社員が妊娠した場合、ミーティングなどで、その部署のメンバーに公表することが多いでしょう。

それと同時に、その女性社員が休んでいる間、派遣社員が来るとか、他部署からの応援が入るなどの対応を伝えたらどうでしょう。

産休・育休の間、会社は給与の支払義務がありません。

浮いた人件費で派遣社員を頼むことは可能でしょう。

他部署からの応援は、次善の策です。

なぜなら、応援に入る人が不安と不満を感じることもあるからです。

妊娠について公表するのは、人の手配がついてからにしたいものです。

 

解決社労士

2020/01/19|1,053文字

 

<本来は自由な身だしなみ>

髪型や服装などの自由については、憲法第13条が根拠とされます。

 

【日本国憲法】

第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

 

「個人として尊重される」のですから、各個人の個性が尊重されるわけです。

また、個人的事柄について、公権力(国や学校など)から干渉されることなく、自ら決定することができる権利として自己決定権が認められています。

そして、髪型、髪の色、ひげ、アクセサリー、服装などを決定する自由も、個人的事柄について自ら決定することですから、自己決定権として保障されていることになります。

 

<雇用契約による制約>

ただ、こうした本来の自由も、会社と雇用契約を交わした従業員については、雇用契約に定められた義務を果たすために必要な範囲で、制約を受けることがあります。

会社側としては、男性の口ひげ、女性の明るい髪色、ネイルアートなど、職場にふさわしくないと思われるような身だしなみの従業員に対しては、これを規制したいと考えたくなります。

具体的には、就業規則、内規、運用ルール、通達などで、身だしなみについての基準を示し、規制をかけていくことになります。

 

<実害のある場合>

長い髪が機械に巻き込まれる恐れがある、高いヒールが転倒事故につながる恐れがあるなど、従業員自身の安全を確保する必要がある場合に、合理的な範囲内で規制することは許されます。

また、付け爪、ピアス、イヤリングなど、食品に混入する恐れがあるので、作業中は外しておくなどのルールにも合理性があります。

さらに、公共性が強い事業や、お客様の信用を第一に考えるべき業種・職種では、企業経営の必要性やお客様の心情などを踏まえ、一段上の規制が許されることもあります。

職業選択の自由(憲法第22条第1項)がある中で、従業員はその会社を選び、現在の業務に就きうることを包括的に承諾しているわけですから、合理的な範囲内で規制に服する義務を負っているわけです。

 

<定期的な見直し>

たとえば、お客様から特定の従業員の身だしなみについてクレームがあって、一定の身だしなみを禁止する規定を設けたとします。

その規定は、その時点では妥当であったとしても、その後も正当性を維持し続けるとは限りません。

就業規則一般にいえることですが、定期的にルールの妥当性をチェックし、社会の認識に沿った内容へと改善していくことが求められます。

 

解決社労士

2020/01/18|1,908文字

 

<パワハラとは>

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係など職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与え、または職場環境を悪化させる行為をいいます。

 

<パワハラの定義の抽象性>

パワハラの定義は抽象的なものになりがちです。

ところが懲戒処分を有効に行うには、つまり懲戒処分を行ってそれが無効だと主張されないようにするには、就業規則や労働条件通知書などに具体的な懲戒規定が必要です。

パワハラについての懲戒規定が無かったり、たとえあっても抽象的すぎて具体的な言動がパワハラにあたるかどうか判断できなかったりすれば、加害者が有効に処分されることはありません。

懲戒処分の手続きを担当する従業員の常識に照らせばパワハラにあたることが明らかな行為であっても、加害者の常識に照らせば対象者を育成するのに必要不可欠な行為であり正当な行為だという場合もあります。

 

<懲戒処分の目的>

懲戒処分の目的には、不都合な行為を行った従業員に対して制裁を加えることにより、他の従業員が納得して安心して働けるようにすること、他の従業員が同様の行為を行わないよう再発を防止すること、そして何より行為者本人が深く反省し同じ過ちを繰り返さないようにすることなどがあります。

しかし、本人が自分の行為は懲戒処分の対象になるようなものではないと確信していては、たとえ懲戒処分を行っても、反省するどころか、会社に対する反発と不信感を生むだけです。

ですから、会社がパワハラ対策をきちんとするには、懲戒規定を読めばパワハラの具体的な定義と具体例がすぐわかるようにしておく必要があります。

パワハラについての具体的な定義が無い職場には、必ずパワハラがあると言っても過言ではないでしょう。

 

<上司は部下を叱れないのか>

職場では、業務上の指示や指導の際に、やや厳しい言動が見られることはありますし、労働者本人が不快に感じたからといって、その行動の全部が違法になるわけではありません。

しかし、その行動の目的と手段から見て、企業の中で通常行われている範囲を超えた業務上の指示や対応であれば、違法なハラスメントになるといえます。

つまり、相手の感情を基準に違法性を判断するのではなく、周囲の人々が客観的に見たときに、業務上の必要性も無く、嫌がらせなどの不当な目的が明らかで、一般的に見て不安を感じさせるような対応だと言えるときに、違法性の存在が認められるのです。

また、その言動自体は業務の範囲と言えるものでも、退職に追い込む、あるいは見せしめなどの目的が客観的に明らかであれば、違法なパワハラであることが認定できます。

裁判となった事例では、一人だけ炎天下の作業を命じたり、差別的に業務配分をしたりすることを違法としたケースがあります。

さらに、部下の指導や勤務態度の改善といった正当な目的でなされた行動であっても、暴力を伴う行為は、原則として違法となる犯罪行為です。

たとえ言葉の上での対応でも、その発言の内容が著しく労働者の人格や尊厳を傷つけるものであったり、社会的に許される範囲を超えて継続的になされたりすれば、やはり違法となります。

このときも、言われた人がどう思ったかではなく、客観的に見て人格や尊厳を傷つけるか、世間一般の基準から客観的に許される範囲と言えるかが基準となります。

 

<パワハラと指導の境界線をどこに引くか>

こうして見て来ると、次の場合には、指導を超えたパワハラと言えるでしょう。

これらを踏まえて、パワハラについての懲戒規定を見直すようお勧めします。

・相手の成長を促すのとは別の不当な目的が客観的に認定できる場合。ここで、不当な目的とは、退職に追い込む、見せしめ、差別的、人格権の侵害などがあります。つまり、憲法で保障された人権の侵害や、刑罰法規に触れるような不当な目的です。

・客観的に見て犯罪行為にあたる場合。炎天下の人目につかない場所で、たった一人で力仕事をさせたり、暴力を振ったりというのは、目的がどうであれパワハラにあたります。

・客観的に見て、怒りをぶつけている場合。親が子供をしつける場合には、こうしたことが必要になるかもしれません。しかし、社会人を指導し育成するのに、怒りの感情を持ち込むことは、必要不可欠なことではありません。

 

就業規則の見直しなど、具体的にどうしたら良いのか迷ってしまう場合には、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

また、感情に左右されることなく、冷静に対応できることから、第三者的な立場の社労士が、パワハラの相談窓口になることも有効な対策になります。

 

解決社労士

2020/01/17|1,456文字

 

<トラブルが生じやすい雇い止め>

パート、アルバイト、派遣社員、契約社員などの雇用形態では、有期労働契約が多く見られます。

有期労働契約というのは、1年契約、6か月契約など期間の定めのある労働契約のことです。

有期労働契約である以上、契約期間満了により雇用が終了することが原則です。

しかし、契約更新の繰り返しにより長い間雇用を継続する場合もあります。

このような場合に、契約を更新せずに期間満了をもって退職させると、期待を裏切ることになります。

こうした「雇い止め」では、トラブルが生じやすいので、トラブル防止のためのルールが定められています。

 

<雇い止めの予告>

雇い止めの予告が義務となるのは、次のような場合に限られます。

・労働契約を3回以上更新している場合

・1年を超えて継続勤務している場合

・1年を超える労働契約の場合

これらの場合に事業主は、少なくとも期間満了の30日前までに、雇い止めの予告をしなければなりません。

ただし、雇用の約束をした時に、期間満了で必ず退職する約束だった場合には、期待を裏切る可能性は無いので対象外となります。

事業主としては、辞めてもらうことが決まっていても、あまり早く雇い止めの予告をしてしまうと、働く意欲が低下するのではないか、一緒に働いている人たちに不満を言うのではないかと心配になります。

しかし、早く伝えてあげないと、雇い止めの対象となった人は、次の仕事を見つけるための準備をする期間が短くなってしまいます。

このルールは、この点に配慮しているわけです。

 

<理由の明示>

雇い止めの予告をしたのに対応して、対象者から雇い止めの理由について証明書を請求された場合には、遅滞なく交付しなければなりません。

退職後に請求された場合でも、会社には交付義務がありますが、あくまでも請求があった場合のみの義務となります。

雇い止めの理由の例としては、次のものが挙げられます。

・前回の契約更新時に本契約を更新しないことが明確に合意されていたため

・契約締結当初に定めた契約更新回数の上限に達したため

・閉店など事業縮小のため

・業務を遂行する能力が十分ではないと会社が判断したため

わかりやすく事実に沿った理由を示す必要があります。

誤解を生じる表現だと、これが元で訴訟に発展することもあります。

退職後は特にそうですが、「雇い止め理由書」を郵送して終わりにするのは危険です。

せめて電話で、できれば面談で説明したいものです。

 

<トラブルを防止するには>

雇い止めというのは、本当にトラブルを発生しやすいものです。

決まりきったルールを守るだけではなく、プラスアルファのトラブル防止策をお勧めします。

まず、雇い止めの予告にあたってのトラブルを防ぐには、最初の採用のときと、契約更新のときに、次の契約更新の条件を具体的に示しておくことが必要です。

対象者から反論されたり、疑問を出されたりするような条件では、具体性に欠けるということになります。

また、雇い止めの理由を示したことによって、新たなトラブルを発生させないようにするには、その理由が客観的に合理的なものであって、世間一般の常識からしても「やむをえない」といえるものであることが必要です。

その基準は、労働法や裁判例を参考にすれば明らかになるものです。

もし社内に専門の担当者がいないなど、不安な状況があるのであれば、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

それぞれの会社と業務内容に応じた対策をとることによって、リスクを大幅に軽減し、経費を削減することができます。

 

解決社労士

2020/01/16|1,116文字

 

<スマホの私用と経費>

会社が支給し経費を負担しているスマホは、業務用なので業務のみに使用するのが原則です。

また、私物のスマホを、個人の負担で業務に使用することは、少なくとも経費の面では、会社の負担を軽減することになり、容認されやすい傾向にあります。

しかし、いずれの場合にも、スマホの私用は無駄な人件費が発生するので否定的に考えられています。

たとえ私物のスマホであっても、勤務時間中にプライベートな使用をすることは、その時間だけ仕事をしていないことになり、職務専念義務違反にもなりますし、人件費の無駄は明らかです。

 

<情報漏洩リスク>

スマホの私用は、会社の情報が漏洩するリスクを伴います。

アルバイトが、職場のふざけた様子をSNSにアップし、売上や顧客の減少をもたらす事件は無くなっていません。

場合によっては、閉店や廃業の結果をもたらすことさえあります。

行為者には、会社の情報を漏洩する意識が希薄です。

仲間内でのウケを狙って、ふざけた写真などを投稿するのですが、仲間の範囲を超えて流出し、世界中にばらまかれて、予想外の結果を生じてしまうわけです。

 

<就業規則による禁止>

就業規則に、勤務中のスマホ私用を禁止する規定と、これに対応する懲戒規定を置き、きちんと社員教育を行ったうえで、実際に懲戒処分を適正に運用していけば、会社のリスクは大幅に軽減されます。

また、人事考課制度が適正に運用されていれば、スマホの私用が目立つ社員の評価を、職務専念の点で引き下げることも可能です。

さらに、適性の面から、勤務中にスマホをいじれないような業務に異動することも不合理ではありません。

なお、就業規則に規定が無い場合であっても、上司が正当な業務命令として、スマホの使用を禁止することは可能です。

 

<禁止の限界>

会社は、原則として、プライベートな時間についてまで社員の行動を規制することができません。

このことから、スマホを勤務場所に持参することまでは禁止できません。

ただ、職場にスマホを持ち込まないよう、ロッカーに保管するなどのルールを設けることはできます。

また、休憩時間のスマホ私用を制限することも、正当な理由なく行うことはできません。

休憩時間は、休息のために労働から完全に解放されることを保障されている時間です。

通達も、休憩時間を労働者の自由に利用させなければならないとしています。〔昭和22年9月13日 発基17号〕

 

<社員のとるべき行動>

どうしても、スマホをプライベートなことに使いたい場合もあります。

この場合には、理由を示し上司の許可を得たうえで私用すれば問題ありません。

こうしたルールの徹底によって、ほとんどの問題が解消するのではないでしょうか。

 

解決社労士

2020/01/15|875文字

 

<最低賃金の発効日>

たとえば東京都の最低賃金時間額は、令和元年10月1日をもって、985円から1,013円に引き上げられました。

この日が発効日ですから、この日に勤務した分から1,013円を下回る時間給は違法になってしまいます。

日給でも月給でも年俸制でも、1時間あたりの賃金が1,013円を下回ってはいけません。

 

<「雇い入れ通知書」より「労働条件通知書」が便利>

労働者の採用にあたっては、書面の交付により労働条件を通知しなければなりません。

このとき、「雇い入れ通知書」という名称の書面を交付することもあります。

雇い入れにあたって交付する書面ですから、「雇い入れ通知書」という名称がしっくりきます。

しかし、契約期間が令和元年10月1日以降にまたがる「雇い入れ通知書」を交付していた場合で、その人の賃金時間額が1,013円を下回っている場合には、これ以上の賃金に改定した内容の労働条件を示さなければなりません。

このときは、「雇い入れ」ではありませんから、「労働条件通知書」という名称が正しいことになります。

最初から「労働条件通知書」という名称の書面を用意しておけば、採用にあたっても、その後の変更や契約更新でも、同じ書式が使えますので「労働条件通知書」がお勧めです。

 

<「労働条件通知書」のひな形>

「労働条件通知書」のひな形は、厚生労働省のホームページでダウンロードして利用できます。労働条件によって、次の中から適合するものを選んで使います。

【一般労働者用】常用、有期雇用型/日雇型

【短時間労働者用】常用、有期雇用型

【派遣労働者用】常用、有期雇用型/日雇型

【建設労働者用】常用、有期雇用型/日雇型

【林業労働者用】常用、有期雇用型/日雇型

それぞれに詳しい【記載要領】が、本文と同じ位の分量で添付されていますので、よく読んで作成する必要があります。

 

最低賃金の引き上げに限らず、有期契約の無期化や、社会保険加入基準の変更、同一労働同一賃金などで、労働条件の管理は少し複雑になってきています。

面倒に思えてきたら信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2020/01/14|1,291文字

 

<月間所定労働日数の必要性>

月給制の場合に、残業手当や欠勤控除の計算基準となる時間単価は、

月給 ÷(1日の所定労働時間 × 月間所定労働日数 )

で計算されます。

これが毎月変動すると、給与計算をする人は大変です。

いきおい、残業手当も欠勤控除も計算しなくなるのではないでしょうか。

残業手当を計算しないと、ブラック企業の代名詞であるサービス残業が発生します。

欠勤控除を計算しないと、遅刻しても叱られるだけで給料が減らないわけですから、なんとなく遅刻が増えてくるでしょう。

きちんと残業手当を支払っている会社では、頭の良い人が仕事をためておいて、残業単価の高い月にまとめて残業するということもあるでしょう。

これでは、わざと仕事を遅らせることになります。

やはり、毎月一定の月間所定労働日数を設定しておく必要があるでしょう。

 

<年間労働日数からの算出>

たとえば、土日・祝日と1229日~13日だけが休日だとします。

これなら年間の労働日数の計算は、単純なように見えます。

それでも、祝日は日曜日と重なると月曜日が振替休日になるのですが、土曜日と重なっても振替休日は生じません。

体育の日のように、日曜日と重ならない祝日もあります。

年末年始の1229日~13日も、カレンダーによって短かったり長かったりします。

こうして休日の数は、その年によって増えたり減ったりするのです。

これらすべてについて、確率を計算しながら平均値を求めるのは少し面倒です。

最近新設された山の日のように、祝日が増えることもあります。

むしろ、最近3年間の本来の出勤日を数えて平均値をとった方が楽な場合が多いでしょう。

そして、月間所定労働日数は年間労働日数を12で割れば計算できます。

1日未満の端数は、労働者に不利にならないように切り捨てるのが基本です。

 

<給与計算にあたって間違えやすいこと>

たとえば、月間所定労働日数を22日と決めたとします。

ある人が、会社のルールに従って休みをとっていたら、ある月は24日出勤となり、また別の月は20日出勤となったとします。

このとき「休日出勤手当が発生するのかな?」「欠勤になるのかな?」と迷うことがあるようです。

しかし、答えはどちらもノーです。

月給制の場合に、残業手当や欠勤控除の計算基準となる時間単価は、

月給 ÷(1日の所定労働時間 × 月間所定労働日数 )

で計算されます。

つまり、月間所定労働日数は時間単価の計算に使うだけです。

休日出勤や欠勤は、1週間を一区切りとして計算しますので、ここに月間所定労働日数は出てこないのです。

遅刻・早退や残業も1日単位での計算が基本です。

結局、月間所定労働日数は給与計算をする人だけが意識していて、他の従業員はカレンダーを見ながら会社のルールに従って出勤していることになります。

 

月間所定労働日数を固定した日数に決めないまま給与計算をしている会社、あるいは外部に委託している会社は、従業員のモチベーションを低下させている恐れがあります。

これを含め、給与計算について失敗が無いか、信頼できる社労士(社会保険労務士)にチェックさせることをお勧めします。

 

解決社労士

2020/01/13|1,423文字

 

<労働者派遣法の改正>

2020年4月1日から、派遣労働者の同一労働同一賃金の実現に向けた改正労働者派遣法が施行されます。

改正点は次の3点です。

1.不合理な待遇差をなくすための規定の整備

2.派遣労働者の待遇に関する説明義務の強化

3.裁判外紛争解決手続(行政ADR)の規定の整備

 

<不合理な待遇差をなくすための規定の整備>

次の①または②の待遇決定方式により公正な待遇が確保されます。

①【派遣先均等・均衡方式】派遣先の通常の労働者との均等・均衡待遇

②【労使協定方式】一定の要件を満たす労使協定による待遇

2020年4月1日をまたぐ労働者派遣契約であっても、この日から適用されます。

 

【派遣先均等・均衡方式】

「均等待遇」は、職務内容と異動の範囲が同じであれば、差別的取扱いが禁止されるものです。「平等待遇」ともいえます。

「均衡待遇」は、職務内容、異動の範囲、その他の事情の違いを考慮して不合理な待遇差を禁止するものです。「公平待遇」ともいえます。

 

【労使協定方式】

労使協定に定めるのは、次のような事項です。

① 協定の対象となる派遣労働者の範囲

② 賃金決定方法(同種業務の一般労働者の平均的な賃金額以上、職務の内容等が向上した場合に改善)

③ 職務の内容などを公正に評価して賃金を決定すること

④ 賃金以外の待遇決定方法(派遣元の通常の労働者(派遣労働者除く)との間で不合理な相違がない)

⑤ 段階的・体系的な教育訓練を実施すること

⑥ 有効期間 など

 

次のような場合には、【労使協定方式】は適用されず、【派遣先均等・均衡方式】が適用されます。

・協定を書面で締結していない場合

・協定に必要な事項が定められていない場合

・協定で定めた事項を遵守していない場合

・過半数代表者が適切に選出されていない場合

 

<派遣先企業が講ずべき措置>

 

(1) 派遣先から派遣元への比較対象労働者の待遇等に関する情報提供

労働者派遣契約を締結する前に、派遣先から派遣元に対し、比較対象労働者の待遇などに関する情報を提供しなければなりません。

つまり、情報提供をせず、派遣元との間で労働者派遣契約を締結することはできません。

 

(2) 教育訓練の実施・福利厚生施設の利用機会の付与・情報提供

派遣元の求めに応じて、派遣労働者に対しても業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練を実施するなどの義務があります。

食堂・休憩室・更衣室は、利用の機会を与える義務があります。物品販売所、病院、診療所、浴場、理髪室、保育所、図書館、講堂、娯楽室、運動場、体育館、保養施設などの施設は、利用に関する便宜供与を講ずるよう配慮する義務があります。

派遣元の求めに応じて、派遣先の労働者に関する情報、派遣労働者の業務遂行状況などの情報を提供するなど必要な協力をするように配慮する義務があります。

 

<裁判外紛争解決手続(行政ADR)の規定の整備>

派遣労働者と派遣先との間で、次の事項に関してトラブルとなった場合には、「都道府県労働局長による助言・指導・勧告」や「紛争調整委員会による調停」を求めることができます。この制度は無料で利用することができ、調停等の内容が公にされないため、プライバシーが保護されます。また、これらを求めたことを理由として、派遣先は派遣労働者に対して不利益な取扱いをしてはならないこととされています。

① 業務の遂行に必要な能力を付与するための教育訓練の実施

② 食堂、休憩室、更衣室の利用の機会の付与

 

解決社労士

2020/01/12|1,665文字

 

<問題上司>

「良いことの原因は自分、悪いことの原因は部下」と思い込み、パワハラで気に入らない部下を追い出すような管理職です。

自部署の業績が向上すれば、自分の方針や部下への指導が優れていると感じますし、昇給・昇格・抜擢・栄転など期待はふくらみます。

部下の年次有給休暇取得率が低ければ、その部下が無能であり、仕事にメリハリが無いからだと感じます。

自分の業務配分のバランスの悪さや、指導不足は感じません。

社長や上司の機嫌は最大限尊重します。

コンプライアンスや、部下の権利との調整など思いつくことはありません。

自部署の業務の問題点を指摘されると、嫌いな部下のせいにします。

面と向かって「お前のせいでこんな結果になってしまった」と言います。

パワハラは毎日のように続きますから、その部下は異動や退職を申し出ます。

そして、その部下がいなくなれば、もう問題点は解決したと思い込みます。

しかし、追い出された部下は上司のパワハラや会社の管理責任を問う訴えを起こしてきます。

その部下自身はおとなしい性格なのですが、その両親や親戚に強い性格の人がいて「おとなしく引き下がっていないで訴えなさい」と迫るのです。

こうなって初めて、会社は問題上司の存在に気がつきます。

問題上司にも責任はありますが、管理職にしてしまった会社の責任の方が重いかもしれません。

 

<問題上司を作らない方法>

管理職選考の段階で見極めることが大事です。

今までの業務の中で、次のような傾向が強く見られれば、管理職登用を見送ることです。

・仕事でも私生活でも上手くいったことの原因は自分にあると主張する。

・仕事でも私生活でも上手くいかなかったことに自分の責任は無いと言う。

・昇進・昇格・栄転などに強い興味を示し、同期との比較をしたがる。

・会社や上司に対して「間違っている」と思うことを言わない。

これらは、人事考課のチェック項目に入れておくことができます。

きちんとした人事考課基準の確立と運用で、問題上司を作らない会社にしておくことです。

社長の好き嫌いや経験年数で管理職に登用してしまうと、かわいそうな部下を作ってしまうことになります。

具体的に人事考課をどうすれば良いか迷ったら、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

<問題上司の教育>

問題上司に会社の方針を伝えたり、それを部下に浸透させたり、別の部署を担当させたりは、普通に行うことができます。

しかし、問題上司から優良上司に変えることはできません。

生まれてから今までに、私生活でも仕事でも多くの経験を積む中で、今の人間力を身に着けてきたのですから、他人がこれを変えることはできません。

問題上司の真逆の優良上司とは、良いことも悪いこともその原因を自分の能力や判断と部下に対する指導にあると理解し、自分の昇進を考える前に部下をしっかり育てることを考え、退職までにどれだけ多くの人材を育て会社を成長させられるか真剣に考えるような管理職です。

問題上司を優良上司に変えようと努力するよりは、他の社員を抜擢した方が近道です。

 

<うっかり問題上司を作ってしまったときのために>

会社オリジナルの就業規則が最大の武器になります。

パワハラの定義すら無い就業規則では、問題上司の暴走を止めることはできません。

どんなに優秀な社員であっても、不適切な言動はきちんと懲戒の対象とし、一度管理職になっても不適格と認められれば降格させることのできる規定を備えた就業規則を作り、磨き、周知することによって、被害を最小限に抑えることができます。

もちろん、優良上司がのびのびと働ける内容にしなければなりません。

もう一つ、会社にとって不都合な情報でも、社長や取締役あるいはこれに準ずる人たちにきちんと伝わる会社にしておくことです。

どれほど優れた判断力を備えた社長でも、必要な情報が入って来なかったり、ウソの報告が多かったりしたら、正しい経営判断はできません。

就業規則や人事制度についても、問題を感じるようになる前に、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2020/01/11|1,374文字

 

<問題社員>

「良いことの原因は自分、悪いことの原因は他人」と思い込み、権利を濫用して、退職後に会社を訴えるような従業員です。

会社の業績が向上すれば、誰よりも自分が一番貢献していると感じますし、昇給・昇格・臨時ボーナスなど期待はふくらみます。

年次有給休暇を取得できなければ、上司が無能であり、人事の方針が間違っていると感じます。

自分の生産性の低さや計画性の欠如は感じません。

労働者としての権利は最大限主張します。

会社側の権利や、他の従業員の権利との調整など思いつくことはありません。

問題社員であることが周囲にバレて、居心地が悪くなると突然会社を辞めます。

社長以下従業員一同がホッとしていると、会社を訴えてきます。

訴えの理由は、会社に辞めさせられたとか、仕事がキツくて病気になったとか、サービス残業代の請求だったりします。

会社としては、これに対応しなければなりませんから、退職してもなお迷惑をかけられるということになります。

 

<問題社員を入社させない方法>

採用選考の段階で見極めることが大事です。

履歴書や職務経歴書、採用面接中の発言などに、次のような傾向が強く見られれば、採用を見送ることです。

・仕事でも私生活でも上手くいったことの原因は自分にあると主張する。

・仕事でも私生活でも上手くいかなかったことに自分の責任は無いと言う。

・年次有給休暇の取得率、昇給や昇進の可能性などに強い興味を示す。

・会社や上司とのトラブルの経験と自分の正当性について話す。

これらは、あらかじめ採用選考時の面接で使用する「面接シート」にチェック項目を入れておくことができます。

具体的に採用選考をどうすれば良いか迷ったら、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

<問題社員の教育>

問題社員に、会社の方針を具体的に落とし込んだり、新しい仕事を教えたりということについては、普通に行うことができます。

しかし、問題社員から優良社員に変えることはできません。

生まれてから今までに、私生活でも仕事でも多くの経験を積む中で、今の人間力を身に着けてきたのですから、他人がこれを変えることはできません。

問題社員の真逆の優良社員とは、良いことも悪いこともその原因を自分と他人の両方にあると理解し、労働者としての権利を主張する前に会社や他の従業員の都合を考え、退職までにどれだけ会社を改善し成長させられるか真剣に考えるような従業員です。

問題社員を優良社員に変えようと努力するよりは、優良社員を採用した方が近道です。

 

<問題社員を入社させてしまった場合に備えて>

会社オリジナルの就業規則が最大の武器になります。

権利の濫用を許さず、会社が不当に訴えられるスキを作らない就業規則を作り、磨き、周知することによって、被害を最小限に抑えることができます。

もちろん、優良社員がのびのびと働ける内容にしなければなりません。

もう一つ、きちんとした人事考課基準の確立と運用で、問題社員には居心地の良くない会社にしておくことです。

問題社員が人の上に立つようになってしまったら、部下はたまったものではありません。

能力が発揮できなくなるだけではなく、いたずらに退職者を増やすことになってしまいます。

就業規則や人事考課についても、問題を感じるようになる前に、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2020/01/10|1,145文字

 

<年々減少する参加者>

若者を中心に、会社の行事に参加したがらない社員が増えています。

社員旅行などは、かつて当たり前のように行われていたのですが、現在では行う会社がかなりの少数派になってしまいました。

せっかく社員間の親睦を図るために会社が用意しているのに残念なことです。

 

<自由参加の場合>

自由参加とした場合には、社員に参加義務がありませんから、不参加を理由に会社が何らかの対応を取ることは困難です。

就業中の協調性が欠けていることについては、本人への注意が必要ですし、人事考課で「協調性」の評価が低くなることは当然です。

しかし、自由参加の会社行事に欠席した事実については、原則として評価の対象外となります。

それでも、一定以上の役職の管理職で部下を持つ社員など、自ら積極的に会社の行事に参加すると共に、他の社員に対しても参加を呼び掛けるべき立場の者が、正当な理由なく欠席した場合には、「指導力」などの項目で、評価が低くなる原因とされるのは不当ではありません。

 

<業務命令の場合>

忘年会や新年会などの行事が、原則全員参加であるなど、会社の業務命令になっている場合には、正当な理由なく欠席することが業務命令違反となります。

会社は、参加しない社員に対しては、注意し改善を求めることになります、

また、懲戒処分を検討すべき場合もあります。

この場合、忘年会や新年会などの内容は、会社によってかなり異なりますので、参加命令が労働契約の範囲内であることの確認が必要です。

懲戒処分の内容は、初めての欠席であれば最小限に留めるべきでしょうし、注意し改善を求めても繰り返し欠席するような場合や、他の社員にも欠席するよう促している場合には、重い処分が必要になってきます。

 

<業務命令となる条件>

参加対象者は、明確であることが必要です。

全員参加であれば明らかですが、社員の側から見て、自分が参加対象者かどうか分からないようでは、業務命令が及ぶ範囲も不明確になってしまいます。

参加している時間は、賃金の支払い対象とされていることも必要です。勤務時間外の行事であれば、割増賃金も必要になってきます。

したがって、誰が参加し、誰が欠席しているかの確認も必要です。

 

<会社の行事一般について>

何の目的で参加しなければならないのか、参加しなくても構わないのではないかという疑問は、目的意識のはっきりした社員ほど強くなり、気持ちが不参加の方に動いてしまいます。

新年会といえばその趣旨はだいたい分かるだろうということではなく、日時・場所の他、その目的や内容、自由参加か強制参加かなど、具体的にイメージできる情報も提供しておくべきです。

そして、強制参加であれば、不参加の場合に理由を添えて事前に届け出るなどの手続も明確にしておきましょう。

 

解決社労士

2020/01/09|1,163文字

 

<法定の義務>

定期健康診断を実施したら、個人別結果表を各個人に配布して、会社の控えは5年間保管します。

また、労働者数が50人以上の事務所・店舗などでは、労働基準監督署長に定期健康診断結果報告書を提出します。

しかし、こうした法定の義務を果たして終わりでは勿体ないのです。

健診には多額の費用が発生しますし、従業員の負担も大きいものです。

特に、私のように健康診断が大嫌いな人も我慢して受けているわけですから、もっと結果の活用を考えていただきたいものです。

 

<特定保健指導>

協会けんぽなどの保険者に義務づけられているということで、特定健診は定期健診に併せて行われることが多いものです。

そして対象者がいれば、保険者から会社に特定保健指導の案内がきます。

この指導は「無料」とはいいますが、財源は保険料ですから利用しない手はないのです。

対象者は、メタボになりそうな人です。

既にメタボになってしまい、治療を受けている人は対象外です。

また、高血圧の治療を受けているなど一部の人も除外されています。

メタボとなると個人差はあるものの、会社側から見て生産性が低下していると感じられることがあるものです。

その予備軍への指導ですから、会社にとっては生産性を維持するための施策にもなります。

具体的には、保健師などが対象者に11で指導する形と、グループ研修の形があります。

どちらも一長一短ありますので、年度によって交互に実施しても良いでしょう。

 

<平均値との比較で>

厚生労働省が検査項目ごとに全国と都道府県別の有所見率のデータを発表しています。

また、所轄の労働基準監督署に電話で問い合わせれば、最新のデータを教えてもらえます。

これと自社のデータを比較することによって、健康上の問題点や留意点が見えてきます。

これをもとに、社員への健康増進知識の広報を行ったり、職場環境や食事内容などの見直しを行うことができます。

 

<年次推移の把握>

実は有所見率については、全国的に上昇傾向が見られます。

その中にあって、自社の有所見率の推移を把握することは、職場環境の改善や労働安全衛生の推進にとって重要です。

また、有所見率にとどまらず、生のデータの推移を把握することも大切です。

特定の店舗の従業員だけ、血圧が上昇傾向にあり、原因を探っていくと昼食・夕食の弁当の塩分濃度にたどりついたという例もあります。

 

健康診断に限らず、メンタルヘルスチェックなども、健診機関や医師などの立場からのアドバイスだけに頼らず、労働環境や労働条件など労務管理の観点からの分析とアドバイスを信頼できる社労士(社会保険労務士)に依頼してはいかがでしょうか。

医師からのアドバイスは家庭生活に、社労士からのアドバイスは職業生活に活かすことによって、従業員が元気に働けるよう会社がサポートすると安心ですね。

 

解決社労士

<実例として>

小さな飲食店では、アルバイトがシフト制で、始業時刻も終業時刻もその日によって違うということがあります。

休憩もあったり無かったり、休憩開始の時刻もその日によって臨機応変にというわけです。

シフトを組む段階で、お店の都合とアルバイトの都合とをすり合わせて何とかしのいでいるわけですから、あらかじめ決めておくというのが無理なようにも思えます。

ましてや当日のお客様の状態によって、当初の計画どおりにはいかないこともあります。

「雇い入れ通知書」「労働条件通知書」をきちんとアルバイトに交付しなければ、労働基準法違反になってしまいます。

労働条件の明示義務違反については、1人につき30万円以下の罰金という罰則があります。〔労働基準法第120条第1号)〕

何とかしなければなりません。

 

<対処法>

労働条件が決まっていないと、年次有給休暇付与の有無や日数が決まらない、社会保険や雇用保険の加入対象かどうかがわからない、残業代の計算もできないなどなど、ブラック企業丸出しの状態になります。

これを避けるには、平均値から「標準」となるものを割り出して、「雇い入れ通知書」「労働条件通知書」に示せば良いのです。

つまり、入社時は本人の実績が無いですから、同じような状態のアルバイトを参考に、「標準的な始業時刻」「標準的な終業時刻」を決めます。この通りに働くわけではなく、あくまでも年次有給休暇などの基準として使うわけです。

同じように、「標準的な休憩時間」「標準的な時間外労働」「標準的な休日出勤の日数」なども決めます。

これで「雇い入れ通知書」が作れます。

そして、ある程度勤務が続いて、実態が「雇い入れ通知書」と離れてしまったら、内容を修正して「労働条件通知書」に示せば良いのです。

 

「平均値と言われてもよくわからない」という場合には、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

書類の作り方だけではなく、効率の良いシフトの組み方など、実質的な内容についての相談も可能です。

2019/01/07|1,057文字

 

<モデル就業規則>

モデル就業規則の最新版(平成31(2019)年3月版)は、懲戒の事由を次のように規定しています。

 

【懲戒の事由】

第66条  労働者が次のいずれかに該当するときは、情状に応じ、けん責、減給又は出勤停止とする。(以下略)

2 労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。ただし、平素の服務態度その他情状によっては、第51条に定める普通解雇、前条に定める減給又は出勤停止とすることがある。(以下略)

 

ここでは、懲戒処分として、けん責、減給、出勤停止、懲戒解雇の4種が掲げられています。

 

<降格処分>

会社によっては、上記の4種の他、降格処分が規定されていることがあります。

降格処分には、役職の降格、資格等級の降格などがあります。

懲戒処分として降格を行うものです。

 

<人事権の行使としての降格>

これとは別に、会社の人事権の行使としての降格があります。

その役職や資格等級の立場を維持するのに、必要な能力や適性を欠いているために、会社の判断により降格を行うものです。

 

<2つの降格があることによる問題>

懲戒処分としての降格と、人事権の行使としての降格とは、理由付けが異なるだけで、行われる内容は同じです。

そして、人権保障の趣旨から、日本国憲法には次の規定が置かれています。

 

【一事不再理・二重処罰の禁止】

第三十九条 何人も、実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、重ねて刑事上の責任を問はれない。

 

懲戒処分についても、これと同じ考え方が妥当します。

つまり、懲戒処分が検討され対象外と判断された行為について、再び懲戒処分の対象とすることを検討することは禁止されます。

また、懲戒処分を受けた行為について、二重に懲戒処分を行うことも禁止されます。

もし、減給処分と人事権の行使としての降格が同時に行われたならば、その結果から、減給処分と降格処分が重ねて行われたと判断される余地があります。

これでは、二重処罰の禁止に触れるのではないかという問題を生じることになります。

こうした問題の発生を避けるためには、懲戒処分の種類に降格処分を入れないのが得策です。

 

<その他の留意点>

懲戒処分の種類に降格処分を入れなければ、問題が発生しないということではありません。

懲戒処分は、懲戒権の濫用となる場合には無効とされます。〔労働契約法第15条〕

これと同様に、人事権の行使としての降格が、人事権の濫用であれば無効とされる場合もあります。

こうした点にも、十分留意しましょう。

 

解決社労士

2020/01/06|896文字

 

<0時で区切るのか>

いつもは午前9時に出勤して、正午から午後1時まで昼食休憩をとり、午後6時までが定時で、しばしば残業している人がいるとします。

これはかなり一般的な例でしょう。

この人が仕事の都合で正午に出勤し、翌日の午前2時まで出勤した場合には、午後10時から翌日午前2時までが深夜労働となり、2割5分以上の割増賃金の対象となることは明らかです。

また、途中で午後6時から1時間の夕食休憩をとったとして、正午から翌日午前2時までのうち、勤務開始から実働8時間を超える午後9時以降の勤務時間について、残業手当が発生することも明らかです。

しかし、真夜中の0時で一度区切って、正午から真夜中の0時までの12時間から1時間の休憩時間を引いてこの日は11時間勤務として、真夜中の0時から2時間の勤務は翌日の勤務時間としてカウントして良いのでしょうか。

言い換えれば、ある日の勤務時間を集計するのに、真夜中の0時で区切って良いのでしょうか。

 

<法令の規定>

実は法令には規定がありません。

それでは困るので、通達が出されています。

法律は国会が作るのですが、あまり細かいところまでは規定し切れませんので、行政機関が解釈の基準を出しているのです。

日付をまたいで勤務した場合には、翌日の始業時刻までの労働が前日の勤務とされます。〔昭和63年1月1日基発第1号通達〕

こんなとき、ある人の始業時刻がきちんと決まっていなければ計算できません。

そこで労働基準法は、基本的な労働条件について、書面で労働者に通知するなどの義務を規定しているわけです。

それでも、わからないときは通常の始業時刻で計算するしかありません。

通常の始業時刻をまたいで長時間勤務した場合には、そこまでで一度集計して残業時間を確定して残業手当を支給することになります。

そして、通常の始業時刻から翌日分の勤務時間を計算すれば良いのです。

 

法令に規定が無いとき、自社で基準を作ると、通達違反であったり、判例とは違っていたり、あるいは典型的な不合理を含むものであったりという失敗が起こりがちです。

迷ったら信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2020/01/05|914文字

 

<始末書の目的>

始末書とは、不都合な事実が発生した場合に、その事実を発生させた人が、事実の内容と原因・責任を明らかにし、再発防止を約束して、反省と謝罪の意思を示す文書です。

顛末(てんまつ)書は、事の顛末を示す文書ですから、事実の内容と原因を明らかにすれば良いのですが、会社によっては始末書と顛末書を混同しているケースも見られます。

 

<事実の内容>

ここは5W1Hを意識して客観的に書く部分です。

感情を入れたり、クドクドとお詫びの言葉を入れたり、長々と書いてしまうと、わかりにくくなって読む人がイライラします。

事実がわかるように簡潔に要領よく書きましょう。

 

<発生の原因>

ここも客観的に書く部分です。

不都合な事実の発生原因には、多くのものが思い浮かびますが、その中でも特に主要な原因をいくつか書きます。

ここも、感情を入れたり、クドクドとお詫びの言葉を入れたり、長々と書いてしまうのは禁物です。

 

<再発防止策の提示>

会社が始末書の提出によって得られる利益としては、不都合な事実の発生に最も深くかかわった本人から、再発防止策を示してもらうことにあるでしょう。

ですから、ここには具体的なことを書く必要があります。

「もっと注意すれば…」のような抽象的なことを書いても役に立ちません。

自分と同じ立場に立たされた人が、同様のことをしてしまわないためには、具体的にどうしたら良いのかを書きます。

 

<反省と謝罪>

ここは主観的にお詫びの言葉を書く部分です。

どれほど反省しているか、自分自身、再発防止策をどのように実行していくかという内容も必要です。

最後に、「寛大な措置をお願いいたします」「今後は規則に従います」「相応の処分を受ける覚悟でおります」など、結びの言葉を添えます。

 

始末書を提出すること自体、注意を受けることと併せて、譴責(けんせき)処分という懲戒処分になります。

これ自体に納得できなかったり、始末書提出後の会社の対応に不満があれば、信頼できる特定社労士(特定社会保険労務士)にご相談ください。

自分の思っていることが、客観的に正しいのかどうか、冷静に判断してもらえるでしょう。

そのうえで、今後どうすれば良いのか対策を立てることになります。

 

解決社労士

2020/01/04|1,257文字

 

<会社の対応>

社員が、違法薬物を自己使用したり、社内外で販売したりの事実が判明したら、会社はどのように対応すべきでしょうか。

社員の問題行為が発覚した場合、会社として取るべき対応としては、懲戒処分、人事異動、人事考課への反映、再教育などが考えられます。

しかし、違法薬物の取り扱いは犯罪行為ですから、基本的には懲戒処分が中心となります。

 

<懲戒解雇の検討>

違法薬物の自己使用や販売は、他人から発見されないように行われますので、勤務中の違法薬物使用・販売が発覚するのは稀であり、勤務外での行動が問題とされるのが一般です。

そして、社員は勤務中、会社に対して労務を提供する義務を負っていますが、勤務時間外の職場外での行動は基本的に自由です。

ですから、こうしたプライベートの時間の行為について、懲戒処分を行うというのは例外に当たります。

厚生労働省が公表しているモデル就業規則の最新版(平成31(2019)年3月版)は、犯罪行為について次の懲戒規定を置いています。

 

【懲戒の事由】

第66条 2 労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。ただし、平素の服務態度その他情状によっては、第51条に定める普通解雇、前条に定める減給又は出勤停止とすることがある。 

 

会社内において刑法その他刑罰法規の各規定に違反する行為を行い、その犯罪事実が明らかとなったとき(当該行為が軽微な違反である場合を除く。)。

 

社外での犯罪行為であれば、プライベートなものであり会社が関与しないとするのでしょう。

しかし、違法薬物の自己使用や販売は刑罰法規に触れる行為であり、発覚すれば会社の信用が低下しうる事実です。

社外での犯罪行為でも、会社に損害を与えうるのですから、自社の就業規則がモデル就業規則と同様に「会社内」と限定しているのであれば、「会社内外」への変更をお勧めします。

 

<その他の懲戒処分の検討>

モデル就業規則の最新版(平成31(2019)年3月版)には、次のような規定も置かれています。

 

【懲戒の事由】

第66条  労働者が次のいずれかに該当するときは、情状に応じ、けん責、減給又は出勤停止とする。

 

③ 過失により会社に損害を与えたとき。

 

違法薬物の自己使用や販売は、会社の名誉や信用を侵害するなど損害を与える意図で行われるわけではありませんが、「過失により」という規定を適用して、懲戒処分を行うことは可能です。

特に、違法薬物を買い受けて使用した他の社員が中毒症状を示し、勤務できなくなったような場合には、会社の損害は明らかですから反論の余地はありません。

そうではなくても、企業秩序に不当な悪影響を与えた場合には、懲戒処分の対象となりえます。

 

<対応にあたり心がけること>

犯罪だから、違法薬物の使用は許されないからと、つい感情に走ってしまい、適正な手続きを経ずに懲戒解雇を通告してしまい、反対に不当解雇を主張されることもあります。

まずは、具体的な事実を確認し、会社への影響を見定め、適正な手続きを経て懲戒処分を行うように心がけましょう。

 

解決社労士

2020/01/03|998文字

 

<安易な運用>

上司から部下へ「昨日は2時間の残業ごくろうさん。今日は2時間早く上がっていいよ」という話があると、部下はトクした気分になるかもしれません。

しかし、給与の時間単価が2,000円だとすると、2時間の法定外労働では、

2,000円×2時間×1.25=5,000円

となって、会社は5,000円以上の賃金支払い義務を負います。

一方で、2時間の欠勤控除では、

2,000円×2時間=4,000円

となって、残業代と欠勤控除をそれぞれ正しく計算すると、

5,000円-4,000円=1,000円

となって、プラスマイナスゼロではなく、総支給額がプラス1,000円になるのが正しいということになります。

しかも、会社都合で2時間早退させたとしたら、休業手当も発生します。

2,000円×2時間×0.6=2,400円

これは、労働基準法第26条に規定があります。

法律上、労働者は7,400円だけ多くの賃金を受け取れる計算になります。

しかも、労働法ですから「本人が同意」しても結論は変わりません。

 

<相殺の例外1>

きちんと手続きをして、フレックスタイム制を正しく運用していれば、ある日2時間残業して、別の日に2時間早退すると、結果的に相殺されたのと同じ効果が発生します。

これは、使用者側の指示によらず、労働者側が仕事の都合と個人の都合をバランス良く考えて、自由に労働時間を設定できることによる例外です。

 

<相殺の例外2>

中小事業主は当分の間対象外ですが、月60時間を超える時間外労働の割増賃金(割増率5割以上)については、労働者の健康確保の観点から、割増賃金の支払いに代えて有給の休暇(代替休暇)を付与することができます。〔労働基準法第37条第3項〕

代替休暇制度の導入には、事業場の過半数組合、または労働者の過半数代表者との間で労使協定を結ぶことが必要です。

この協定では、a.代替休暇を与えることができる時間外労働の時間数の算定方法、b.代替休暇の単位、c.代替休暇を与えることができる期間、d.代替休暇の取得日の決定方法および割増賃金の支払い日を定めるべきとされています。

 

残業時間と早退時間の相殺を正しく行いたい場合には、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

柳田事務所にご依頼いただければ、上手に運用するためのツールのご提供や、研修の実施など、よりスムーズに導入するためのサービスも行っております。

 

解決社労士

2020/01/02|1,103文字

 

<制裁の制限規定>

減給処分の制限として、次の規定があります。

「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。」〔労働基準法第91条〕

就業規則に具体的に規定してあるなど、他の適法要件を備えていたとしても、何か一つの不都合な事実に対して、減給処分は平均賃金の1日分の半額が限度です。この平均賃金の計算方法は、法定されています。

たとえば、直近の給与の締日までの3か月で、カレンダー上の日数が91日のとき、この間の給与の総合計が91万円であれば、1日分は1万円、その半額は5千円です。これが減給処分の限度です。

また、いくつかの不都合な言動があって、まとめて減給処分をする場合に、給与計算後の月給の支給総額が20万円の人に対しては、10分の1の2万円が限度ということになります。

これは、労働者の生活を守るためです。

 

<分割払いの減給処分>

たとえば1回の遅刻につき、平均賃金の1日分の半額の減給処分が就業規則に規定されていて、適法に運用されているとします。

ある人が、9月に10回遅刻したとすると、

「平均賃金の1日分の半額」×10=「平均賃金の5日分」

の減給処分をしたいところ、それでは月給の10分の1を超えてしまいます。

これを10月から翌年2月までの5回に分けて、平均賃金の1日分ずつ減給できるでしょうか。

これは、できます。

なぜなら、分割払いにすれば労働者の生活を守るという法の趣旨に反しないからです。

一括だと大変な負担でも、法の制限内の金額での分割なら許されるのです。

 

<現実には>

5か月にわたって、特別な給与計算をするのは面倒です。

また、減給処分の対象者が途中で退職するかもしれません。

この場合にも、制限を超えてまとめて減給はできません。

そもそも月に10回も遅刻するというのは異常です。

原因を突き止めたうえで、他の懲戒処分、たとえば、出勤停止なり降格処分なりを考えるべきでしょう。

もっともこれは、あらかじめ就業規則に定めておく必要があります。

あるいは、人事異動や人事考課で対処するというのが、より現実的でしょう。

 

<結論として>

現在の就業規則の減給処分が、労働基準法違反ではないか、従業員の不都合な言動に対する懲戒処分の規定が適正か、あらためてチェックしておく必要があるでしょう。

甘すぎても、厳しすぎてもダメです。

それと、きちんとした人事考課の基準が無ければ、適正な対応ができないケースもあります。

総合的に内容をチェックするには、信頼できる社労士(社会保険労務士)にご相談ください。

 

解決社労士

2020/01/01|1,082文字

 

<慶弔休暇>

慶弔休暇とは、喜ばしいお祝い事である慶事、おくやみごとや御不幸などの弔事があった場合に取得できる特別な休暇のことをいいます。

慶弔休暇は、年次有給休暇や産前産後休暇のように、法令で定められた法定休暇ではありません。

企業が、任意に独自の内容で定めている法定外休暇です。

ですから、慶弔休暇の付与が無くても、それ自体は違法ではありません。

慶弔休暇が無い場合には、年次有給休暇の取得で対応したり、欠勤扱いになったりします。

 

<正社員のみの付与>

企業の中には、正社員のみに慶弔休暇を付与し、パート・アルバイトには付与しないというところもあります。

しかし、労働契約法第20条には次の規定があります。

 

【期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止】

有期労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件が、期間の定めがあることにより同一の使用者と期間の定めのない労働契約を締結している労働者の労働契約の内容である労働条件と相違する場合においては、当該労働条件の相違は、労働者の業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下この条において「職務の内容」という。)、当該職務の内容及び配置の変更の範囲その他の事情を考慮して、不合理と認められるものであってはならない。

 

正社員に慶弔休暇が付与される一方で、パートやアルバイトのように、有期労働契約を締結している労働者に、慶弔休暇が付与されない場合、こうした処遇の差が不合理であってはならないのです。

上の条文では、業務内容、責任の程度、人事異動の範囲、その他の事情により、労働条件の相違があり、処遇の差が不合理でなければ良しとしています。

しかし、慶弔休暇の必要性は、業務内容、責任の程度、人事異動の範囲によって異なることはありません。

「その他の事情」として考えられるのは、1週間の所定労働日数が少ないうえに、シフトの変更が容易であるような場合です。

週2日の勤務であって、しかも出勤日の変更がわりと自由であれば、慶事や弔事に当たる日を出勤日にしないことによって対応できるのが普通です。

例外的に、対応できない場合に限り、慶弔休暇を付与するものとしても、決して不合理ではありません。

 

<有給か無給か>

慶弔休暇は、法定休暇ではありませんから、有給にするか無給にするかは、企業の判断で制度を設計すれば良いことになります。

しかし、実際には、ほとんどの企業で有給とされ、しかも、お祝い金や弔慰金が支給されています。

違法でなければ問題ないということではなく、世間一般の動向を踏まえたうえで、自社のルールを決めることが必要でしょう。

 

解決社労士

2019/12/31|836文字

 

<出産手当金>

健康保険に入っている人(被保険者)が、出産のために会社を休み、その間に通常の給与が支給されないときに、申請によって支給される給付金です。

 

<受給の条件>

まず、被保険者の出産であることが必要です。

被保険者とは保険料を負担している人のことですから、扶養家族(被扶養者)は対象外となります。

また、妊娠85日以上での出産であることが必要です。

妊娠85日以上であれば、流産や死産、人工妊娠中絶も含みます。

法律上は、4か月以上となっていますが、妊娠については1か月28日で計算しますし、3か月を1日でも超えれば4か月以上と考えますので、28日×3か月+1日=85日という計算になり、実際の運用では妊娠85日以上が基準となっています。

さらに、給与の支給が無いか、あっても出産手当金の金額より少ないことが条件です。

 

<支給金額>

実際の支給金額は、次の計算式によって計算されます。

1日あたりの金額=(支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額)÷30日×2/3

 

<支給期間>

出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産予定日)以前42日(双子や三つ子など多胎妊娠の場合98日)から出産の翌日以後56日目までの範囲内で、会社を休んだ期間を対象として出産手当金が支給されます。

出産日は出産の日以前の期間に含まれます。

また、出産が予定日より遅れた場合、その遅れた期間についても出産手当金が支給されます。

 

<資格喪失後の出産手当金>

会社を辞めたり、勤務時間が減少することによって、健康保険の資格を喪失した後の出産でも、出産手当金が支給されることがあります。

資格喪失の日の前日(退職日等)まで被保険者期間が継続して1年以上あり、被保険者の資格喪失の日の前日に、現に出産手当金の支給を受けているか、受けられる状態(出産日以前42日目が加入期間であること、かつ、退職日は出勤していないこと)であれば、資格喪失後も所定の期間の範囲内で引き続き支給を受けることができます。

解決社労士

2019/12/30|805文字

 

<労働基準監督官の任務>

労働基準監督官の基本的任務は、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法などの労働法で定められている労働者の労働条件や安全・健康の確保・改善を図るための各種規定が、工場、事業場等で遵守されるよう、事業者などを監督することにあります。

労働基準監督官は、監督を実施し法令違反が認められた場合には、事業主などに対し文書で指導し是正させるのです。

また、危険性の高い機械・設備等について労働基準監督署長が命ずる使用停止などの行政処分の実行も行っています。

 

<労働基準監督官の権限>

こうした任務を全うするため、労働基準監督官には労働法により臨検(立入調査)権限を始め、帳簿・書類などの検査権限、関係者への尋問権限など多くの権限が与えられています。〔労働基準法第101条、第103条、労働安全衛生法第91条、第98条、最低賃金法第32条など〕

また、労働基準監督官には、司法警察員としての職務権限があるため、重大・悪質な法令違反を犯した事業者などに対しては、司法警察権限を行使して、刑事事件として犯罪捜査を行うこともあります。〔労働基準法第102条、労働安全衛生法第92条、最低賃金法第33条など〕

 

<立入調査>

労働基準監督官の監督は、各種情報に基づき問題があると考えられる事業場を選定して行われています。

例えば、労働災害発生の情報や労働者からの賃金不払、解雇等の申告・相談をきっかけとして、また、問題が懸念される事業場などをあらかじめ選定した上で計画的に、監督が実施されています。

なお、事業場のありのままの現状を的確に把握するため、原則として予告することなく事業場に監督を行っています。

臨検(立入調査)の拒否・妨害や尋問に対する陳述の拒否・虚偽の陳述、書類の提出拒否・虚偽を記載した書類の提出については、罰則が設けられています。〔労働基準法第120条、労働安全衛生法第120条、最低賃金法第41条など〕

 

解決社労士

2019/12/29|1,404文字

 

<就職氷河期世代>

就職氷河期世代は、2000年前後に大学を卒業した世代、あるいは、1990年代半ばから2000年代前半に社会に出た世代といわれます。

現在は、40歳前後が中心の、雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った世代であり、希望する就職ができず、現在も、不本意ながら不安定な仕事に就いている、無職の状態にあるなど、様々な課題に直面している人たちがいます。

 

<就職氷河期世代支援プログラムの基本認識>

現在のプログラムは、令和元(2019)年6月21日の閣議決定に基づいています。

一億総活躍社会を目指す中で、取り残されがちなこの世代を支援するプログラムです。

希望する労働条件とのギャップ、実社会での経験不足等就職氷河期世代が抱える固有の課題や今後の人材ニーズを踏まえつつ、個々人の状況に応じた支援により、同世代の活躍の場をさらに広げられるよう、地域ごとに対象者を把握した上で、具体的な数値目標を立てて3年間で集中的に取り組むものです。

支援対象としては、正規雇用を希望していながら不本意に非正規雇用で働く者、就業を希望しながら様々な事情により求職活動をしていない長期無業者、社会とのつながりを作り、社会参加に向けてより丁寧な支援を必要とする者など、100万人程度が見込まれています。

3年間の取組により、現状よりも良い処遇、そもそも働くことや社会参加を促す中で、同世代の正規雇用者については、30万人増やすことを目指すものとされています。

 

<施策の方向性>

相談、教育訓練から就職まで、切れ目のない支援という施策の方向性が示されています。

 

【きめ細かな伴走支援型の就職相談体制の確立】

・支援対象者が相談窓口を利用する流れづくり

・ハローワークに専門窓口を設置、専門担当者のチーム制によるきめ細かな伴走型支援

・地方自治体の無料職業紹介事業を活用したマッチングの仕組みを横展開

 

【受けやすく、即効性のあるリカレント教育の確立】

・仕事や子育て等を続けながら受講でき、正規雇用化に有効な資格取得等に資するプログラム、短期間での資格取得と職場実習等を組み合わせた「出口一体型」のプログラム、人手不足業種等の企業等のニーズを踏まえた実践的な人材育成プログラム等の整備

・「出口一体型」のプログラムや民間ノウハウを活用した教育訓練

・職場実習を職業訓練受講給付金の給付対象とし、受講を支援

 

【採用企業側の受入機会の増加につながる環境整備】

・採用選考を兼ねた「社会人インターンシップ」の推進

・各種助成金の見直し等による企業のインセンティブ強化

・採用企業や活躍する個人、農業分野などにおける中間就労の場の提供等を行う中間支援の好事例の横展開

 

<民間ノウハウの活用>

就職相談、教育訓練・職場実習、採用・定着の全段階について、専門ノウハウを有する民間事業者に対し、成果連動型の業務委託を行い、ハローワーク等による取組と車の両輪で、必要な財源を確保し、取組を加速するものとしています。

 

<令和2年度概算要求>

就職氷河期世代支援プログラム関連予算について、令和2(2020)年度は、1,344億円の概算要求がされています。

しかし、このプログラム自体が、3年間の集中支援プログラムとされていて、長期にわたって継続することは予定されていません。

企業としては、このプログラムによる下支えがある期間中に、就職氷河期世代の採用と教育を強化することが得策です。

 

解決社労士

2019/12/28|1,564文字

 

<見直しの必要性>

就業規則の内容は、大きく分けると次の3つです。

・法令の定める労働者の権利・義務のうち自社の従業員に関係する部分

・自社の従業員にある程度共通する労働条件

・自社で独自に定めた職場のルール

このそれぞれについて、見直していく必要が発生します。

おそらく就業規則を1年間放っておくと実情に合わないものになるでしょう。

 

<法令の定める労働者の権利・義務のうち自社の従業員に関係する部分>

これには、法改正への対応を迫られるケースと、今までの対応では足りない新事情が発生するケースがあります。

法改正については、テレビニュースや新聞記事をキッカケに、ネットで情報を検索して、自社内で就業規則の関連部分を手直しすることも可能でしょう。

しかし、新事情への対応となると、その必要性に気づきにくく、イザというとき規定が足りないというケースが発生しやすいのです。

最近では、従業員の親の高齢化による介護休業制度の見直し、メンタルヘルス不調者の発生による休職制度や復職支援制度の見直しの必要性が、クローズアップされています。

今は、働き方改革関連の法改正が頻繁ですから、その動向からも目が離せません。

 

<自社の従業員にある程度共通する労働条件>

これは従業員の勤務の実態が変化して、対応を迫られるケースです。

事業が拡大して、遠方に支店や新営業所ができれば、転勤や単身赴任のしくみが必要となります。

場合によっては、全国エリア社員と勤務地限定社員を区分するしくみが必要となるでしょう。

また、従業員ひとり一人の負担も増えていますから、毎日のように居眠りする社員が疑問視され、賃金の欠勤控除を厳密に行う必要が発生することもあるでしょうし、新たな懲戒項目を設ける必要が感じられるようになることもあるでしょう。

 

<自社で独自に定めた職場のルール>

これには社内事情の変化への対応と、社会情勢の変化への対応があります。

社内事情の変化には、たとえば事務所の引っ越しがあります。

これによって、通勤手当の見直しや、出勤・退勤時のルールや休日出勤のルール見直しが必要になるでしょう。

社会情勢の変化には、たとえば社員が社内でふざけた写真をとりネットに掲示する事件などがあります。

この場合には、自社で発生を防止する一方、万一発生した場合の対応についても、ルールを決めておく必要があります。

 

<独特なむずかしさ>

就業規則の一部分だけを見直すことによって、関連する規定との間に矛盾が発生してしまい、これに気づかないという問題も多発します。

実際に発覚するのは、何か具体的な問題が発生して、就業規則を調べたときです。

こうしたときには、問題が解決できず本当に困ってしまいます。

これを防ぐには、就業規則というものの体系的な理解をしている専門家の関与が必要です。

「転ばぬ先の杖」ということで、3年に1回程度は、お近くの社労士(社会保険労務士)のチェックをお勧めします。

 

<柳田事務所にご依頼なら>

顧問契約をお勧めします。

就業規則見直しの必要性について、日常的に多角的にチェックしています。

そして、会社の実情に応じて、無理のない見直しをご提案します。そして社内に定着するまでのフォローをします。

経営者の方や社内のご担当者の方が主体となって就業規則の見直しを行い、柳田事務所が指導・サポートする形であれば、つまり改定案作成の丸投げでなければ、顧問料の範囲内で行うこともできます。

しかも、顧問契約(基本契約)の業務範囲は広く、就業規則関係だけでなく、人事制度、労災、雇用保険、健康保険、労働紛争、採用、懲戒、コンプライアンス、労働基準監督署・会計検査院の調査対応、教育など人事業務全般に及びます。

もし必要を感じましたら、まずはご一報ください。

このページ右上のお問合せフォームをご利用いただけます。

 

解決社労士

2019/12/27|1,280文字

 

<周知の大前提>

就業規則は、従業員に周知することで有効となります。

周知というのは「誰でも読もうと思えば読める状態に置くこと」です。

一部分だけ周知していればその部分だけ、一部の人だけに周知していればその一部の人だけに有効となります。

しかし、高校生が読んでもわからない就業規則では威力を発揮できません。

ですから、読んでわかる就業規則というのが大前提です。

 

<ひな形の活用>

就業規則を作るとなると、厚生労働省のモデル就業規則や、業界ごとに作られたものをネットで検索して利用することが多いでしょう。

厚生労働省のものは、法改正などに応じて内容が更新されています。

最終改定年月日も示されていますので安心して利用することができます。

他のひな形は、どこまで法改正に対応できているか確認するのが大変です。

また知り合いが、その昔専門家に作ってもらったという就業規則をコピーさせてもらっても、何度も行われてきた法改正や社会情勢の変化に対応できていないことが多いので注意しましょう。

 

<自社の個性への対応>

就業規則の内容は、大きく分けると次の3つです。

・法令の定める労働者の権利・義務のうち自社の従業員に関係する部分

・自社の従業員にある程度共通する労働条件

・自社で独自に定めた職場のルール

こうしてみると、自社の就業規則はひな形を丸写しにしてでき上るものではないことがわかります。

厚生労働省のモデル就業規則にも、その最初と各条文のところに、自社に合わせることの重要性と注意点がとても細かく書かれています。

ひな形の規定であっても、自社に無理なことをマネすると苦労します。

「お客様、お取引先、従業員など関係者には自分から進んで明るく元気にあいさつすること」が、社内では当たり前のルールになっていたとしても、これを就業規則に入れておかないと、従業員に対して「ルールを守りなさい」と注意したときに、「何を根拠に?」と反論されたり、反感を抱かれたりします。

こうしたことから、社内規定を十分に理解していない若手事務担当者に作成を任せるのは、不可能を押しつけることになってしまいます。

やはり、社内で就業規則を作成するのは、経営者やベテラン社員の仕事ということになります。

 

<柳田事務所にご依頼なら>

新しい会社であれば、経営者の方からご意向をうかがい、会社にマッチした就業規則案を作成し、これをベースに微調整という進め方になります。

設立後ある程度の年数を経過し、労働者数が10人以上になりそうなので就業規則を作成したいというケースもあります。

この場合には、従業員の方々にもお話をうかがい、完成形に近い就業規則案を作ってしまいます。

特長的なのは、就業規則の運用に必要な社内の申請書類やチェック表などの準備、さらには従業員の教育研修の実施なども、運用をスムーズにするために役立つことは、すべてご要望に応じてサポートしている点です。

もちろん、就業規則作成にあたって、一部分だけのお手伝いをすることもあります。

もし必要を感じましたら、まずはご一報ください。このページ右上のお問合せフォームをご利用いただけます。

 

解決社労士

2019/12/26|1,752文字

 

<令和元年度補正予算案>

令和元(2019)年12月13日、政府は令和元年度補正予算案を閣議決定しました。

これは、次の4つの経済対策のために編成されています。

 

1.災害からの復旧・復興(2兆3,086億円)

2.経済の下振れリスク対応(9,173億円)

3.東京2020後を見据えた景気活性化策(1兆771億円)

4.その他(392億円)

 

以下、経済の下振れリスクを乗り越えようとする者への重点支援として、厚生労働省と経済産業省が補正予算案に示しているものをご紹介します。

 

<厚生労働省関連(一部抜粋)>

 

【中小企業・小規模事業者の生産性向上の支援(14億円)】

最低賃金の引上げや被用者保険の適用拡大等を踏まえ、生産性向上に資する設備投資等に対する助成の拡充を行い、最低賃金引上げに取り組む中小企業・小規模事業者を支援するとともに、中小企業等において、被用者保険の適用に当たり、労働者への丁寧な説明等を行えるよう、事業者を対象とした説明会等による周知や専門家の活用支援等を行う。

 

【生活衛生関係営業者の生産性向上の支援(2.8億円)】

生活衛生関係営業者の生産性向上を支援するため、個別相談やセミナーを実施するとともに、経営改善に役立つ情報提供や経営診断ツール等により、経営力底上げを図る。

 

【介護事業所における生産性向上の推進(1.5億円)】

介護現場の生産性向上の推進に向けて、各自治体の先進的な取組を収集し、介護現場の生産性向上に関するモデル事例の全国への普及・展開を図る。

 

【就職氷河期世代への支援(18億円)】

就職氷河期世代を支援するため、ハローワークに専門窓口の設置を進め、就職から職場定着まで一貫した支援を実施するほか、トライアル雇用を行う事業主、正社員として雇い入れ定着させた事業主等への助成金の拡充等、技能修得期間における生活福祉資金の貸付を行う新しいメニューの創設等により、就職氷河期世代の正社員雇用や就労を支援する。また、市町村におけるひきこもり支援を強化するため、ひきこもり支援施策の前提となる調査研究に要する経費や広報経費について補助を行う。

 

<経済産業省関連(一部抜粋)>

 

【中小企業生産性革命推進事業(3,600億円)】

中小機構が複数年にわたり中小企業の生産性向上を継続的に支援する「生産性革命推進事業」(仮称)を創設。設備投資、IT導入、販路開拓等の支援を一体的かつ機動的に実施。

よろず支援拠点等の支援体制を充実するほか、生産性及び省エネ性能の高い設備更新を支援。

 

【事業承継の円滑化(64億円)】

事業承継時に経営者保証の解除を促進するため、専門家による支援を実施。

事業承継ネットワークによるプッシュ型支援、事業承継補助金による後継者の経営革新等の支援等を実施。

 

【海外展開企業の事業円滑化(60億円)】

TPP11、日EU・EPA、日米貿易協定等を踏まえ、地域の中堅・中小企業による海外需要の取り込み活動等を支援。

世界市場(グローバル)に地方の中堅・中小企業等(ローカル)が直接製品等を提供するグローカルな取組等を促進。

(情報提供・相談体制整備、新輸出大国コンソーシアムによる支援、越境ECの活用、コンテンツの海外展開支援等)

 

【イノベーションの担い手の輩出(75億円)】

大企業等からの人材開放も含め、スタートアップ立ち上げ活動等を支援。また、アジアの新興国企業と共創し、社会課題解決に資する新事業創出(アジアDX)を推進。

産総研のAIクラウドシステムを拡充。また、公設試・大学等による先端設備の導入、人材育成事業を支援。

 

<経済の下振れリスク対応>

厚生労働省と経済産業省が補正予算案に示している経済の下振れリスク対応は、その性質上、中小企業に限定されたものもあります。

生産性向上策や海外需要の取り込みの点で、中小企業だけが支援されることについては、大企業にとっての脅威だと捉えるべきでしょう。

今後は、大企業が生産性向上や海外需要の取り込みに、より積極的に取り組む必要があります。

また大企業は、就職氷河期世代の採用と教育にも社会的責任を負っています。

人材不足への対応と生産性向上のため、大企業には、就職氷河期世代の採用と職場定着のための教育に、積極的に取り組んでいただきたいと思います。

 

解決社労士

2019/12/25|1,679文字

 

<ストレスチェック制度が導入されて>

企業には健康診断の実施が義務付けられています。

しかし、従業員の皆さんは「健康診断さえ受けていれば安心」ではありません。

ひとり一人が健康に関心を持ち、それなりの対応をする必要があります。

同じことがストレスチェック制度にもいえます。

「労働安全衛生法」という法律が改正されて、労働者が50 人以上いる事業所では、平成27(2015)12 月から、毎年1回、この検査を実施することが義務付けられました。

これとは別に、ひとり一人が心の健康に関心を持ち、ストレスをためない暮らしかたを心がける必要があります。

 

<ストレスをためない暮らし方>

ストレスと上手につきあうには、まず毎日の生活習慣を整えることが大切です。

バランスの取れた食事や良質な睡眠、適度な運動の習慣を維持することが、健康の基礎固めになります。

「7時間眠らなければダメ」など、自分を追い込むような考え方はやめましょう。

睡眠は、その日の過ごし方などによって、深い日もあれば、浅い日もあります。

たとえ眠れない夜があっても、そのことにこだわらなければ大丈夫です。

翌日にはその分だけ眠りが深くなるものです。

1日単位ではなく、1週間、1か月単位で良質な睡眠を心がけましょう。

食事についても、食べ過ぎた後は量を少し控え目にするとか、普段食べないものを食べてみるなどは自然に行えるものです。

また、週に1回激しい運動をするよりも、毎日やや急ぎ足で散歩したほうが効果を期待できます。

 

<ストレスが少したまったら>

ストレスが少したまったときの対策として、日常生活の中にリラックスできる時間をもつことも大切でしょう。

ぼんやりと景色を眺める、ゆったりお風呂に入る、軽くストレッチする、好きな音楽を聴くなど、気軽にできることをやってみましょう。

お酒を飲んでつらさを紛らわせようとするのは、睡眠の質を低下させ、こころの病気を引き寄せます。

実際、ストレスがたまるとお酒の量が増えるということがあります。

お酒以外の方法でストレスを和らげるようにして、お酒の量を元に戻したいものです。

 

<柔軟に考える>

「7時間眠らなければダメ」など、自分をしばるような考え方をしていると、うまくいかなかったときに強いストレスを感じてしまいます。

困ったことに、私たちはストレスを感じているときほど、物事を固定的に考えて、さらにストレスを発生させてしまっていることがあります。

こうしたことから抜け出すためには、「できたこと」に注意を向けるのがお勧めです。「7時間睡眠」を心がけて、6時間だったら「まずまずの達成率!」と思うことです。

また、何かを失ったストレスから抜け出すには、「残されたもの」に注意を向けることです。

大切なものを失うストレスは大きいものです。

しかし、それと引き換えに、思い出や教訓、自由な時間など、残されたものは決して少なくないはずです。

 

<さらにストレスがたまったら>

誰かに相談してみましょう。

これは、特に男性にお勧めです。

女性は、誰かにグチを言ったり話を聴いてもらったりということが上手です。

これに対して、男性は他人に弱みを見せるのがイヤで、話さないことが多いようです。

しかし、誰かに話すことで問題点が整理され、自分の中で解決策が見つかることもあります。

相談に乗ってもらえたという安心感も、気持ちを落ち着かせるでしょう。

友人、家族、同僚、地域や趣味の仲間など、日頃から気軽に話せる人を増やしておきたいものです。

 

<専門家への相談>

何らかの症状が続くときは、早めに専門家に相談しましょう。

医師やカウンセラーなどの専門家や、地域の精神保健福祉センター、保健所、自治体の相談所など、相談できる専門家はたくさんいます。

もし会社の中に、症状が重くて仕事をするのも大変な人がいたら、医師だけでなく労務管理の専門家である社労士(社会保険労務士)にもご相談ください。

気になる症状をもった社員がいたら、異動、休職、復帰、あるいは退職についても、早めの検討が必要になるでしょう。

そんなとき、信頼できる社労士がお役に立ちます。

 

解決社労士